(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166010
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】アンカープレート及びアンカー装置
(51)【国際特許分類】
B60R 22/18 20060101AFI20241121BHJP
B60R 22/12 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B60R22/18
B60R22/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123356
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2023080889
(32)【優先日】2023-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】南 壽英
(72)【発明者】
【氏名】ティアンゴ パウロ アガピト
(72)【発明者】
【氏名】湯木 翔太
(72)【発明者】
【氏名】森崎 研太
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018BA14
(57)【要約】
【課題】シートベルトウェビングを介して伝達される外力によって係止体との係合に影響が及ぶことを抑制できるアンカープレートを提供する。
【解決手段】アンカープレート3は、車体又はシートに取り付けられるボルト2が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビング103が先端側に挿通される開口を有するベースプレートと、ベースプレートに取り付けられるバネ板20と、を備える。ベースプレートは、プレート本体10と、プレート本体10の上面10fに重なる樹脂製プレート30とを有する。バネ板20のタング部25は、アンカープレートがボルト2に連結固定される前後において、少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面よりも突出するよう形成される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体又はシートに取り付けられる係止体に連結固定されるアンカープレートであって、
前記係止体が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビングが先端側に挿通される開口を有するベースプレートと、
該ベースプレートに取り付けられるバネ板と、
を備え、
前記ベースプレートは、第1プレートと、該第1プレートの一方の面に重なる樹脂製の第2プレートとを有し、
前記バネ板は、前記開口の両側のサイド部に重なる一対の脚部と、該脚部の基端側同士を繋ぐタイ部と、該タイ部から前記開口の途中まで前記ベースプレートの前記第2プレート側に延出するタング部と、該タング部に設けられるストッパ片と、を有し、
前記バネ板の前記タング部は、当該アンカープレートが前記係止体に連結固定される前後において、少なくとも一部が前記第2プレートの表面よりも突出するよう形成される、
アンカープレート。
【請求項2】
前記バネ板は、
前記タング部の前記第1プレートと反対側の主面の略中央の位置に突出して設けられる突起を有し、
前記突起は、前記第1プレートの前記一方の面から前記突起の頭頂部までの高さが、前記第1プレートの前記一方の面から前記第2プレートのうち前記一方の面から最も離れた部分までの高さよりも高くなるよう形成される、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項3】
前記バネ板は、
前記タング部の先端部分が前記第1プレートと反対側の方向に屈曲して形成される屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記タング部の先端部分から前記反対側の方向に屈曲して形成される第1斜面と、前記第1斜面から前記第1プレート側に屈曲して形成される第2斜面と、前記第1斜面と前記第2斜面との境界部分に形成される頭頂部と、前記頭頂部の延在方向両端から外側にて前記第1プレート側に屈曲して形成される一対の第3斜面と、を有し、
前記屈曲部は、前記第1プレートの前記一方の面から前記頭頂部までの高さが、前記第1プレートの前記一方の面から前記第2プレートのうち前記一方の面から最も離れた部分までの高さよりも高くなるよう形成される、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項4】
前記バネ板は、
前記タング部の前記第1プレートと反対側の主面に突出して設けられ、前記タング部の幅方向に沿って併設される複数の突起を有し、
前記複数の突起は、前記第1プレートの前記一方の面から前記複数の突起の頭頂部までの高さが、前記第1プレートの前記一方の面から前記第2プレートのうち前記一方の面から最も離れた部分までの高さよりも高くなるよう形成される、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項5】
前記バネ板は、
前記タング部の前記第1プレートと反対側の主面において、前記ストッパ片より先端側の位置に突出して設けられる突起を有し、
前記突起は、前記第1プレートの前記一方の面から前記突起の頭頂部までの高さが、前記第1プレートの前記一方の面から前記第2プレートのうち前記一方の面から最も離れた部分までの高さよりも高くなるよう形成される、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項6】
前記バネ板は、
前記タング部の先端部分が前記第1プレートと反対側の方向に屈曲して形成される屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記タング部の先端部分から前記反対側の方向に屈曲して形成される第1斜面と、前記第1斜面から前記第1プレート側に屈曲して形成される第2斜面と、前記第1斜面と前記第2斜面との境界部分に形成される頭頂部と、を有し、
前記屈曲部は、前記第1プレートの前記一方の面から前記頭頂部までの高さが、前記第1プレートの前記一方の面から前記第2プレートのうち前記一方の面から最も離れた部分までの高さよりも高くなるよう形成される、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項7】
前記係止体がボルトであり、
前記ストッパ片は、当該アンカープレートが前記ボルトに連結固定される状態において、該ストッパ片の先端部が前記ボルトの頭部側面と対向配置されるよう前記タング部から前記第1プレート側に屈曲して形成される、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項8】
前記ストッパ片は、前記タング部に対して前記第1プレート側に傾斜して形成され、
前記ストッパ片において、前記タング部と接続される基部側から前記先端部側への傾斜方向に直交する延在方向を幅方向とするとき、前記先端部は、前記幅方向の一部が最も前記傾斜方向に突出して前記ボルトの前記頭部側面と最も接近して配置される頭頂部を有する凸形状に形成される、
請求項7に記載のアンカープレート。
【請求項9】
前記ストッパ片の前記先端部は、前記タング部に対して前記第1プレート側に直角に屈曲して形成される、
請求項7に記載のアンカープレート。
【請求項10】
前記ストッパ片は、前記タング部と接続される基部側から前記先端部側への延在方向の第1中間位置にて前記第1プレート側に屈曲する第1屈曲部と、前記第1中間位置より前記延在方向の前記先端部側の第2中間位置にて前記タング部と平行な方向に屈曲する第2屈曲部と、を有する、
請求項7に記載のアンカープレート。
【請求項11】
前記ストッパ片において、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部の配列方向に直交する延在方向を幅方向とするとき、前記先端部は、前記幅方向の一部が最も前記配列方向の前記基部側に窪む凹形状に形成され、前記凹形状は、前記ボルトの前記頭部側面と同じ曲率の形状である、
請求項10に記載のアンカープレート。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のアンカープレートと、
車体又はシートに取り付けられ、前記アンカープレートを連結固定する係止体と、
を具備するアンカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンカープレート及びアンカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートベルトウェビングを自動車車体に連結するアンカー装置が特許文献1に記載されている。このアンカー装置は、アンカープレートと、該アンカープレートに設けられた開口と、該プレート本体にリベットで留め付けられたバネ板よりなるストッパ等を有する。車体に固定されたボルトの頭部が該開口に挿入され、該ボルトのフランジと頭部との間で該開口の縁部が挟持される。ストッパに設けられた係止片がボルト頭部に係合することにより、該ボルト頭部の退動が阻止され、ボルト頭部及びフランジによる該縁部の挟持状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに記載の従来のアンカー装置では、例えば乗員がシートベルトウェビングを装着する際などに、乗員がシートベルトウェビングを引っ張る動作などによって、シートベルトウェビングを介して外力が付加される。この外力によって、ストッパの係止片とボルト頭部との係合に影響を及ぼす虞がある。
【0005】
本開示は、シートベルトウェビングを介して伝達される外力によって係止体との係合に影響を及ぼすことを抑制できるアンカープレート及びアンカー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一観点に係るアンカープレートは、車体又はシートに取り付けられる係止体に連結固定されるアンカープレートであって、前記係止体が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビングが先端側に挿通される開口を有するベースプレートと、該ベースプレートに取り付けられるバネ板と、を備え、前記ベースプレートは、第1プレートと、該第1プレートの一方の面に重なる樹脂製の第2プレートとを有し、前記バネ板は、前記開口の両側のサイド部に重なる一対の脚部と、該脚部の基端側同士を繋ぐタイ部と、該タイ部から前記開口の途中まで前記ベースプレートの前記第2プレート側に延出するタング部と、該タング部に設けられるストッパ片と、を有し、前記バネ板の前記タング部は、当該アンカープレートが前記係止体に連結固定される前後において、少なくとも一部が前記第2プレートの表面よりも突出するよう形成される。
【0007】
同様に、本発明の実施形態の一観点に係るアンカー装置は、上述のアンカープレートと、車体又はシートに取り付けられ、前記アンカープレートを連結固定する係止体と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シートベルトウェビングを介して伝達される外力によって係止体との係合に影響を及ぼすことを抑制できるアンカープレート及びアンカー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】アンカープレートとボルトとの係合途中におけるアンカー装置の斜視図
【
図3】アンカープレートとボルトとが係合したアンカー装置の斜視図
【
図8】アンカープレートとボルトとの係合途中におけるアンカー装置の縦断面図
【
図9】アンカープレートとボルトとが係合したアンカー装置の縦断面図
【
図10】アンカー装置が車体に設置されている状態の一例を示す模式図
【
図12】
図11に示す第2実施形態に係るアンカー装置の縦断面図
【
図14】
図13に示す第3実施形態に係るアンカー装置の縦断面図
【
図16】
図15に示す第4実施形態に係るアンカー装置の縦断面図
【
図18】
図17に示す第5実施形態に係るアンカー装置の縦断面図
【
図19】第1変形例に係るストッパ片を有するアンカープレートの斜視図
【
図20】第1変形例に係るストッパ片を有するアンカー装置の平面図
【
図22】第2変形例に係るストッパ片を有するアンカープレートの斜視図
【
図23】第2変形例に係るストッパ片を有するアンカー装置の平面図
【
図25】第3変形例に係るストッパ片を有するアンカープレートの斜視図
【
図26】第3変形例に係るストッパ片を有するアンカー装置の平面図
【
図28】第4変形例に係るストッパ片を有するアンカープレートの斜視図
【
図29】第4変形例に係るストッパ片を有するアンカー装置の平面図
【
図31】比較例としてのストッパ片を有する構成における作用を説明する図
【
図32】第1変形例のストッパ片を有する構成における作用を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向は、アンカープレート3の長手方向であり、アンカープレート3がボルト2に係合する際の摺動方向である。Y方向はアンカープレート3の短手方向である。Z方向は、アンカープレート3とボルト2との対向方向であり、アンカープレート3がボルト2に係合した状態におけるボルト2の軸線方向である。なお、以下の説明ではZ正方向側を「上側」、Z負方向側を「下側」とも表現する場合ある。
【0012】
[第1実施形態]
図1~
図10を参照して第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態に係るアンカー装置1の斜視図である。
図2は、アンカープレート3とボルト2との係合途中におけるアンカー装置1の斜視図である。
図3は、アンカープレート3とボルト2とが係合した状態のアンカー装置1の斜視図である。
図4は、アンカープレート3の分解斜視図である。
図5は、樹脂製プレート30の平面図である。
図6は、バネ板20の平面図である。
図7は、
図1中のアンカープレート3の縦断面図である。
【0013】
第1実施形態に係るアンカー装置1は、シートベルトウェビング103の一端のループ部103A(
図10参照)を連結し、かつ、車体またはシートに固設されるボルト2に連結固定されることによって、シートベルトウェビング103を車体に連結する装置である。
【0014】
図1に示すように、アンカー装置1は、自動車の車体に取り付けられる係止体としてのボルト2と、該ボルト2に係止されるアンカープレート3とを有する。アンカープレート3にシートベルトウェビング103(
図10参照)が通される。
【0015】
ボルト2は、ボルト軸部2aと、該ボルト軸部2aの先端のボルト頭部2bと、ボルト軸部2aの途中に設けられたフランジ2cと、ボルト頭部2bとフランジ2cとの間に形成された溝部2dとを有する。図示は省略するが、ボルト軸部2aのうちフランジ2cよりも後端側の外周面に雄ネジが設けられている。溝部2dはボルト頭部2bの周囲を周回している。符号2rはボルト頭部2bの裏面を示す。
【0016】
アンカープレート3は、プレート本体(第1プレート)10及び樹脂製プレート(第2プレート)30と、該プレート本体10に取り付けられたバネ板20とを有する。プレート本体10は、
図4に示すように上面10fを有した金属板よりなる。プレート本体10は、先端10Tから基端(後端)10Eに向う前後方向の長さがそれと直交方向の幅よりも大きい。この実施の形態では、プレート本体10と樹脂製プレート30とによりベースプレートが構成されている。
【0017】
図4に示すように、プレート本体10に開口15が設けられている。開口15は、プレート本体10の長手方向に延在しており、先端10T側が大幅部15aであり、基端10E側が小幅部15bである。
【0018】
大幅部15aは、ボルト頭部2bが通過しうる幅となっている。大幅部15aと小幅部15bとが連なる部分は、小幅部15bに向って左右幅が徐々に小さくなっている。小幅部15bの幅はボルト頭部2b及びフランジ2cの直径よりも小さく、溝部2dにおけるボルト直径よりも若干大きい。
【0019】
プレート本体10は、開口15を囲む1対の長辺部11,12と、1対の短辺部13,14とを有している。長辺部11,12の長手方向の途中にリベット孔16,17が設けられている。
【0020】
図4、
図5、
図7に示すように、樹脂製プレート30は、プレート本体10の一方の面(上面10f)に重なるように配置される。樹脂製プレート30の外形はプレート本体10との外形と同一か又はそれよりもごくわずかに小さいものとなっている。
【0021】
樹脂製プレート30は、プレート本体10の長辺部11,12に重なる1対の長辺部31,32と、短辺部13,14に重なる1対の短辺部33,34と、これらの長辺部31、32及び短辺部33、34で囲まれた開口35と、長辺部31,32の長手方向の途中に設けられたリベット作業孔36,37を有する。
【0022】
図4、
図7に示すように、樹脂製プレート30の先端30T側の短辺部33にL字形断面形状のフック片部38が設けられている。このフック片部38と短辺部33との間に、プレート本体10の厚みと略同一の間隔があいている。
【0023】
長辺部31,32の基端30E側の下面は、基端30E側ほどプレート本体10の上面10fから離隔する傾斜面となっており、この傾斜面に沿って
図4、
図6に示すバネ板20の脚部21,22が配置される。
【0024】
図4、
図5に示すように、長辺部31,32の長手方向の中間よりも先端の30T側において、開口35の内周縁から互いに接近方向に突出する接近部41,42が設けられている。接近部41,42同士の最狭幅部分同士の間の間隔はボルト頭部2bの直径よりも小さい。開口35は、接近部41,42よりも先端30T側がウェビング挿通部35w(第二挿通孔)となっている。
【0025】
接近部41,42よりも基端30E側において、開口35の内周縁から、張出片部51,52が設けられている。
【0026】
張出片部51,52は、開口35の長手方向に延在している。張出片部51,52同士の間隔は、小幅部15bの間隔と略同一であり、ボルト2の頭部2b及びフランジ2cの直径よりも小さく、ボルト溝部2d部分の直径よりもごくわずかに大きい。
【0027】
この張出片部51,52間が細穴部35bとなっている。張出片部51,52と接近部41,42との間が大穴部35aとなっている。
【0028】
張出片部51,52の上面(プレート本体10と反対側の面)のうち接近部41,42側には、接近部41,42に向って下り勾配となるスロープ部51a,52aが設けられている。
図1に示すボルト頭部2bの裏面2rは、このスロープ部51a,52aに沿って移動して張出片部51,52の上面に乗り上げることが可能となっている。張出片部51,52は、プレート本体10の長辺部11,12の開口15の小幅部15bの縁部に重なる位置及び大きさに設けられている。なお、
図7には張出片部51のみ図示しているが、張出片部52の位置関係も同様である。
【0029】
また、
図5、
図7に示すように、樹脂製プレート30は、基端30E側の短辺部34から開口35内へ張り出すように小片部53が設けられている。小片部53は後述の弾性片61,62間に位置する。また、小片部53は、
図7に示すように、プレート本体10の開口15の基端10E側の縁部に重なる位置及び大きさに設けられている。
【0030】
図7に示すように、小片部53の上面と、張出片部51,52の上面(スロープ部51a,52aを除く)とは面一状となっている。これにより、後述のようにボルト2をアンカープレート3に係止させた際に、ボルト頭部2bの裏面2rが張出片部51,52及び小片部53上に乗り上げた状態となる。
【0031】
樹脂製プレート30の基端30E側の短辺部34の近傍に、ボルト頭部2bが当接する弾性片(樹脂製弾性片)61,62が設けられている。弾性片61,62は、長辺部31,32の基端30E近傍の内周縁から互いに接近方向に、かつ短辺部34に近づくように延出している。
【0032】
弾性片61,62は、開口15の幅方向中心を挟んで両側に対称に設けられている。弾性片61,62の延出方向先端部は、短辺部34から離隔している。
【0033】
長辺部31,32の基端30E側から、各長辺部31,32の延長方向に保持片部71,72が突設されている。
【0034】
図4、
図6に示すように、バネ板20は、先端20T側がプレート本体10の長辺部11,12に取り付けられる脚部21,22と、脚部21,22の基端20E側同士を繋ぐタイ部23と、タイ部23から接近部41,42付近まで延出したタング部25と、該タング部25から切り起しにより設けられたストッパ片26等を有する。
【0035】
脚部21,22は、先端20T側にリベット孔21a,22aが設けられている。リベット孔21a,22aとプレート本体10のリベット孔16,17とを同軸とし、リベット81,82を打つことによりバネ板20がプレート本体10に固定される。脚部21,22は、基端20E側ほどプレート本体10から離反している。
【0036】
脚部21,22の基端20E側は略U字形に湾曲したU字形状部21u,22uとなっている。
【0037】
バネ板20のタイ部23の両端は各U字形状部21u,22uの末端部21b,22bに連なっている。各末端部21b,22b及びタイ部23は、プレート本体10の上面に重なるように平面状となっている。
【0038】
タング部25の基端はタイ部23に連なるU字形湾曲部25rとなっている。
【0039】
タング部25は、湾曲部25rから、プレート本体10の上面10fと略平行に延在している。タング部25の延在方向先端部は樹脂製プレート30の大穴部35aにまで達している。
【0040】
タング部25の先端は、略U字形に曲成された曲成部25bとなっている。曲成部25bは、樹脂製プレート30の接近部41,42同士の間に配置される。
【0041】
図7に示すように、タング部25の板面と、プレート本体10の上面10fとは、ボルト頭部2bの厚み分だけ離隔している(
図9も参照)。
【0042】
ストッパ片26は、タング部25から切り起しにより形成される。ストッパ片26は、タング部25の先端20T側に連なり、基端20E側に向って延出した舌片状である。ストッパ片26は、基端20E側ほどタング部25の板面からプレート本体10側へ接近するように傾斜している。
【0043】
このアンカープレート3を組み立てるには、まず、バネ板20と樹脂製プレート30とを組み付ける。この際、脚部21,22が長辺部31,32の基端30E側の下面に係合し、リベット孔21a,22aがリベット作業孔36,37と同軸状とされる。
【0044】
タイ部23は、短辺部34の下側に配置される。タング部25の湾曲部25rが短辺部34を取り巻く。タング部25は、細穴部35bの上側を通って大穴部35aまで延出し、曲成部25bが接近部41,42間に配置される。
【0045】
このようにバネ板20と樹脂製プレート30とを組み付けた後、
図7に示すように、樹脂製プレート30のL形のフック片部38を、開口15を通してプレート本体10の短辺部13の下側に差し込む。これにより、フック片部38と短辺部33とでプレート本体10の短辺部13が挟持される。また、バネ板20の基端20E側及び樹脂製プレート30をプレート本体10の上面10fに重ねる。次いで、リベット81,82を、リベット作業孔36,37を通してリベット孔21a,22a及びリベット孔16,17に打ち込み、バネ板20及び樹脂製プレート30とプレート本体10とを連結固定する。
【0046】
このようにしてバネ板20及び樹脂製プレート30をプレート本体10に固定することにより、アンカープレート3が構成される。
【0047】
このとき、アンカープレート3は、車体又はシートに取り付けられるボルト2が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビング103が先端側に挿通される開口を有するベースプレートと、ベースプレートに取り付けられるバネ板20と、を備える。ベースプレートは、プレート本体10と、プレート本体10の上面10fに重なる樹脂製プレート30とを有する。すなわち、「ベースプレートの開口」とは、プレート本体10の開口15と、樹脂製プレート30の開口35とがZ方向に重なって形成される。
【0048】
次に、
図1~
図3、
図7に加えて、
図8及び
図9を参照して、アンカープレート3とボルト2との係合手順について説明する。
図8は、アンカープレート3とボルト2との係合途中におけるアンカー装置1の縦断面図であり、
図2に示す状態に対応する。
図9は、アンカープレート3とボルト2とが係合した状態のアンカー装置1の縦断面図であり、
図3に示す状態に対応する。なお、
図7は、組み立て後のアンカープレート3の縦断面図であり、
図1に示す状態に対応する。
【0049】
本実施形態において、アンカープレート3とボルト2とは、
図1、
図2、
図3に示すの手順で係合される。
【0050】
ボルト2は、ボルト軸部2aを車体又はシートの雌ネジ部材(図示略)にねじ込むことにより車体又はシートに固定されている。本実施形態では、車体の固定部材101(
図10参照)に固定される。また、アンカープレート3のウェビング挿通部35w(接近部41,42よりも先端側)に予めシートベルトウェビング103(
図10参照)が挿通されている。
【0051】
まず、
図1に矢印Aで示すように、アンカープレート3をZ正方向側からボルト2に接近させて、開口35の大穴部35aをボルト頭部2bに外嵌させる。その後に引き続きアンカープレート3が、
図1、
図8に矢印Aで示すようにZ負方向側にさらに押し込まれることによって、ボルト頭部2bと接触するバネ板20のストッパ片26を介してタング部25が押圧され、
図2、
図8に矢印Bで示すように、タング部25及びストッパ片26が基端20E側の湾曲部25rを中心として弾性変形し、上方に押し上げられる。
【0052】
次いで、
図2、
図8に矢印Cで示すように、基端10E,20E,30Eがボルト2に接近する方向(X正方向側)にアンカープレート3を移動させる。そうすると、ボルト2は大穴部35aから細穴部35bに移行し、ボルト頭部2bの裏面2rは、
図7に示す樹脂製プレート30の張出片部51,52のスロープ部51a,52aに沿って摺動し、フランジ2cはプレート本体10の裏面に沿って摺動する。
【0053】
この移動途中では、まずボルト頭部2bの上面がストッパ片26の下面に当接する。アンカープレート3をさらに移動させると、
図8に示すように、ボルト頭部2bがストッパ片26と張出片部51,52との間に入り込む。アンカープレート3をさらに矢印Cの方向に移動させると、
図3、
図9に示すように、ボルト頭部2bがストッパ片26を通り抜け、張出片部51,52のスロープ部51a,52aよりも基端20E側にまで移動し、弾性片61,62に弾性的に押し当てられる。また、ボルト頭部2bの裏面2rは小片部53にも乗り上げた状態となる。
【0054】
この状態では、ストッパ片26がボルト頭部2bよりも大穴部35a側に位置し、
図3、
図9に矢印Dで示すように、タング部25及びストッパ片26が湾曲部25rを中心として下方に弾性復帰して、
図1の初期状態の位置に戻される。これにより、ストッパ片26の先端がボルト頭部2bの上面より下方まで移動して、ボルト頭部2bの側面に係合する。この結果、ボルト頭部2bの大穴部35a方向への退動が阻止され、アンカープレート3がボルト2に対し抜け止め不能に連結される。
【0055】
また、ボルト頭部2bが、弾性片61,62から弾性的な反力を受け、ストッパ片26の先端に押し付けられ、アンカープレート3の長手方向への動きが防止される。
【0056】
また、
図9に示すように、ボルト頭部2bとフランジ2cとによって、樹脂製プレート30の張出片部51,52及び小片部53と、プレート本体10の開口15の基端10E側の縁部とが挟持される。
【0057】
このアンカープレート3は、プレート本体10が1個の開口15を有したものであるため、製造が容易であると共に、プレート本体10の全長を小さくすることも可能である。また、バネ板20の脚部21,22及びタング部25も全体としてほぼ平板に近い形状であり、製作が容易である。
【0058】
このアンカープレート3では、開口15,35内が接近部41,42で仕切られてウェビング挿通部35wが区画されているので、アンカープレート3をボルト2に係止させる際にシートベルトウェビング103が大穴部35aに入り込むことがなく、この係止作業を容易に行うことができる。
【0059】
このアンカープレート3では、ボルト頭部2bとフランジ2cとによって、樹脂製プレート30の張出片部51,52及び小片部53と、プレート本体10の開口15の縁部とが挟持される。これにより、アンカープレート3がボルト2の軸心方向に動くことが防止される。また、弾性片61,62からの反力によりボルト頭部2bの側面がストッパ片26の先端に押し付けられる。これにより、アンカープレート3がプレート面方向(長手方向)に動くことが阻止され、振動や異音が防止される。
【0060】
特に本実施形態では、バネ板20は、アンカープレート3がボルト2に連結固定される前後において、少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面(上側を向く面)よりも突出するよう形成される。
【0061】
具体的には、本実施形態では、バネ板20のタング部25の上面の略中央の位置に突起27が設けられる。突起27は、例えば
図1などに示すように平面視において略円形状であり、タング部25の上面に対して上方に突出して形成されている。また、本実施形態では、突起27の表面は、平面視における中心部が最も上方に突出し、外側に凸となる曲面状に形成されている。さらに、例えば
図7などに示すように、突起27は、少なくとも頭頂部がバネ板20の中で最も上方の位置となるように形成されている。なお、突起27は
図1などでは1個を設ける構成が例示されているが、複数個を設ける構成でもよい。
【0062】
タング部25に突起27を設けることにより、
図7に示す組み立て時のアンカープレート3であり、アンカープレート3がボルト2に連結固定される前の状態において、プレート本体10の上面10fからバネ板20の最上部、すなわち突起27、までの高さHは、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30の上面までの高さhよりも高く設定することができる。同様に、
図9に示すアンカープレート3がボルト2に連結固定された後の状態においても、プレート本体10の上面10fからバネ板20の最上部、すなわち突起27、までの高さHは、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30の上面までの高さhよりも高く設定することができる。また、
図8に示すように、アンカープレート3がボルト2に連結固定される途中の状態では、バネ板20のタング部25が上方に押し上げられるので、当然ながらプレート本体10の上面10fからバネ板20の最上部、すなわち
図8の場合にはタング部25のX正方向側の先端部、までの高さH´は、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30の上面までの高さhよりも高く設定することができる。すなわち、
図7~
図9に示すようにH>h及びH´>hの関係となる。
【0063】
したがって上述のように、第1実施形態では、アンカープレート3がボルト2に連結固定される前後において、バネ板20のタング部25の少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面よりも突出するよう形成される、という要件を満たすことができる。具体的には、突起27は、プレート本体10の上面10fから突起27の頭頂部までの高さHが、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30のうち上面10fから最も上方に離れた部分までの高さhよりも高くなるよう形成され、これにより上記の要件を満たす。
【0064】
図10を参照して、上記要件を満たすことの効果を説明する。
図10は、第1実施形態に係るアンカー装置1が車体に設置されている状態の一例を示す模式図である。
図10の例では、ボルト2は例えばピラーなどの車体側の固定部材101に設置されている。アンカープレート3は、上面側が、車室内のシートのサイドカバーなどのシートの外装材102と対向するよう設置される。
【0065】
上述のように、突起27は、バネ板20のタング部25に対して上方に突出して形成されている。このため、突起27の頭頂部は、タング部25の上面よりも外装材102の表面により接近して配置される。つまり、
図10に示すように、突起27と外装材102との間の距離D1は、タング部25と外装材102との間の距離D2より小さい関係となる(D1>D2)。
【0066】
シートベルトウェビング103は、アンカープレート3のウェビング挿通部35wに挿通されて、アンカープレート3に連結されている。シートベルトウェビング103は、一端部がウェビング挿通部35wに挿通された後に、シートベルトウェビング103に接合されて、ループ部103Aが形成される。このループ部103Aが、アンカープレート3のうち樹脂製プレート30の短辺部33及びフック片部38と、プレート本体10の短辺部13とをY軸まわりに包囲する。シートベルトウェビング103は、このループ部103Aを介してアンカープレート3に連結される。
【0067】
シートベルトウェビング103は、例えば乗員が装着する際などに、乗員がシートベルトウェビングを引っ張る動作などによって、他端側へ向かう外力Fが付加される。この外力Fはループ部103Aを介してアンカープレート3に伝達される。この外力Fによって、例えばボルト2の軸線方向(Z方向)に対してアンカープレート3が例えばX軸まわりに捻れたり、X正方向側かつZ負方向側(
図10の右下方向)に傾斜したりすることが考えらえる。このような状況が生じると、バネ板20のタング部25が湾曲部25rを中心にボルト2に対して上方に弾性変形して、ストッパ片26とボルト2のボルト頭部2bの側面との係合に影響を与える虞がある。
【0068】
この問題に対して、本実施形態に係るアンカープレート3及びアンカー装置1では、上述のようにバネ板20に突起27を設け、上述の要件を満たすことによって、バネ板20とシートの外装材102との距離を短くできる。このため、シートベルトウェビング103を介してアンカープレート3に外力Fが付加された場合でも、突起27によって外装材102に先当たりさせることができるので、バネ板20のタング部25の上方への弾性変形量を抑制することができる。これにより、アンカープレート3とボルト2との係合への影響を抑制できる。
【0069】
なお、
図10では、第1実施形態に係るアンカー装置1が車体に設置される構成を例示しているが、アンカー装置1をシート側に設置する構成としてもよい。この場合には、ボルト2は例えばシートの側面部などに設置される。アンカープレート3は、上面側が例えばピラーなどの車体の車室側の表面と対向するよう設置される。つまり、
図10に示す車体側の要素101と、シート側の要素102との位置関係がアンカー装置1に対して逆となる。
【0070】
したがって、アンカー装置1をシート側に設置する構成の場合でも、
図10を参照して説明した効果と同様の効果を奏することができる。つまり、バネ板20に突起27を設けることによって、バネ板20と車体側の要素101の車室側の表面との距離を短くできる。このため、アンカープレート3がこじられる状況が発生した場合でも、突起27によって車体側の要素101に先当たりさせることができるので、バネ板20のタング部25の車体側への弾性変形量を抑制することができる。これにより、アンカープレート3とボルト2との係合への影響を抑制できる。
【0071】
ところで、
図4などに示すように、プレート本体10は、平板状に形成される金属板である。プレート本体10は、開口15のうち先端10T側の大幅部15a(第一挿通孔)にシートベルトウェビング103を挿通する。また、
図4、
図7に示すように、樹脂製プレート30の先端30T側の短辺部33と、L字形断面形状のフック片部38との間に、プレート本体10の厚みと略同一の隙間があいており、この隙間にプレート本体10の先端10T側の短辺部13が嵌入される。これにより、フック片部38と短辺部33とでプレート本体10の短辺部13が挟持され、プレート本体10の大幅部15aの縁部を覆い、かつシートベルトウェビング103を挿通するウェビング挿通部35w(第二挿通孔)が形成される。
【0072】
そして特に本実施形態では、ウェビング挿通部35w(第二挿通孔)の縁部には凸状部39が設けられる。凸状部39は、縁部のうち少なくともシートベルトウェビング103の幅方向(Y方向)に沿った部分(X正方向側の部分)に設けられ、プレート本体10の上面10fから離れる方向(本実施形態ではZ正方向)に突出し、かつ、表面がシートベルトウェビング103の延在方向に沿って曲面状に形成される。
【0073】
このように凸状部39を設けることによって、
図10に示すようにシートベルトウェビング103が他端側から外力Fで引っ張られたときに、ループ部103Aのうちウェビング挿通部35wの縁部と接触する部分が凸状部39に接触するようにできる。これにより、ループ部103Aとウェビング挿通部35wの縁部との接触面積を増やすことができ、シートベルトウェビング103の接触部分にかかる荷重を分散することができる。これにより、シートベルトウェビング103の摩耗や破損を抑制でき、使用可能期間の短縮化を抑制することができる。
【0074】
また、凸状部39は樹脂製プレート30に形成されるので、樹脂製プレート30に覆われる金属製のプレート本体10の短辺部13には、凸状部39の形状に対応するようなバーリング加工を施す必要がなく、平板状のままでよい。これにより、プレート本体10の製造容易性を向上でき、かつ、凸状部39の形状の自由度を向上できる。
【0075】
[第2実施形態]
図11、
図12を参照して第2実施形態を説明する。
図11は、第2実施形態に係るアンカー装置1Aの斜視図であり、アンカープレート3Aとボルト2とが係合したアンカー装置1Aの斜視図である。
図12は、
図11に示す第2実施形態に係るアンカー装置1Aの縦断面図である。
図11、
図12は、それぞれ第1実施形態の
図3、
図9に対応する。
【0076】
図11、
図12に示すように、第2実施形態のアンカープレート3Aでは、バネ板20Aが屈曲部28を有する。屈曲部28は、タング部25のX正方向側の先端部分が上方に屈曲して形成される。屈曲部28は、タング部25の上面に対して上方に突出して形成されている。
【0077】
屈曲部28は、第1斜面28Aと、第2斜面28Bと、頭頂部28Cとを有する。第1斜面28Aは、タング部25の先端部分から上方に屈曲して形成される。第2斜面28Bは、第1斜面28Aから下方に屈曲して形成される。頭頂部28Cは、第1斜面28Aと第2斜面28Bとの境界部分に形成される。したがって、頭頂部28Cが屈曲部28の中で最も上方となり、バネ板20Aの中で最も上方となるように形成されている。
【0078】
タング部25と第1斜面28Aとの境界部分と、第1斜面28Aと第2斜面28Bとの境界部分と、はタング部25の幅方向に沿って延在するよう形成される。これにより、頭頂部28Cもタング部25の幅方向(Y方向)に沿って延在する。
【0079】
ストッパ片26は、第1斜面28Aからタング部25の基端側(X負方向側)に延在して設けられ、第1斜面28Aと同一平面状となるよう形成される。第2斜面28Bの先端に曲成部25bが設けられる。
【0080】
また、頭頂部28CのY方向両端から外側には、下方に屈曲して形成される一対の第3斜面28Dが設けられる。第3斜面の下端は、タング部25の上面の位置となる。このような一対の第3斜面28Dが設けられることにより、頭頂部28Cは、タング部25の上面の幅方向の中央部分のみ(少なくともストッパ片26のY方向の幅を含む部分)に設けられる。
【0081】
屈曲部28は、Z方向の平面視において、頭頂部28Cの周囲を第1斜面28A、第2斜面28B、及び第3斜面28Dで囲んで形成される。頭頂部28CのX負方向側に第1斜面28Aが配置され、頭頂部28CのX正方向側に第2斜面28Bが配置され、頭頂部28CのY方向両側に一対の第3斜面28Dが配置される。
【0082】
第2実施形態でも、バネ板20Aに屈曲部28を設けることによって、アンカープレート3Aがボルト2に連結固定される前後において、バネ板20Aのタング部25の少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面よりも突出するよう形成される、という要件を満たすことができる。具体的には、
図12に示すように、屈曲部28は、プレート本体10の上面10fから頭頂部28Cまでの高さHAが、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30のうち上面10fから最も離れた上方の部分までの高さhよりも高くなるよう形成され、これにより上記の要件を満たす。
【0083】
このように第2実施形態に係るアンカープレート3A及びアンカー装置1Aも、第1実施形態と同様に上記要件を満たすので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0084】
[第3実施形態]
図13、
図14を参照して第3実施形態を説明する。
図13は、第3実施形態に係るアンカー装置1Bの斜視図であり、アンカープレート3Bとボルト2とが係合したアンカー装置1Bの斜視図である。
図14は、
図13に示す第3実施形態に係るアンカー装置1Bの縦断面図である。
図13、
図14は、それぞれ第1実施形態の
図3、
図9に対応する。
【0085】
図13、
図14に示すように、第3実施形態のアンカープレート3Bでは、バネ板20Bが複数の突起29を有する。複数の突起29は、タング部25の上面に突出して設けられ、タング部25の幅方向(Y方向)に沿って併設される。複数の突起29は、タング部25の上面に対して上方に突出して形成されている。
【0086】
複数の突起29のそれぞれは、
図13に示すように、Y方向の幅が一定であり、側方視において中央が頭頂部となるように、外側に凸の曲面状に形成される。突起29は、Y方向の側方視において厚みがタング部25と略同一であり、タング部25上面との間に隙間が形成される。
【0087】
突起29は、タング部25の上面においてY方向に沿って複数個(
図13、
図14の例では2個)が設けられる。
【0088】
第3実施形態でも、バネ板20Bに複数の突起29を設けることによって、アンカープレート3Bがボルト2に連結固定される前後において、バネ板20Bのタング部25の少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面よりも突出するよう形成される、という要件を満たすことができる。具体的には、
図14に示すように、複数の突起29は、プレート本体10の上面10fから複数の突起29の頭頂部までの高さHBが、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30のうち上面10fから最も離れた上方の部分までの高さhよりも高くなるよう形成され、これにより上記の要件を満たす。
【0089】
このように第3実施形態に係るアンカープレート3B及びアンカー装置1Bも、第1実施形態と同様に上記要件を満たすので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0090】
[第4実施形態]
図15、
図16を参照して第4実施形態を説明する。
図15は、第4実施形態に係るアンカー装置1Cの斜視図であり、アンカープレート3Cとボルト2とが係合したアンカー装置1Cの斜視図である。
図16は、
図15に示す第4実施形態に係るアンカー装置1Cの縦断面図である。
図15、
図16は、それぞれ第1実施形態の
図3、
図9に対応する。
【0091】
図15、
図16に示すように、第4実施形態のアンカープレート3Cでは、バネ板20Cが突起29´を有する。突起29´は、タング部25の上面において、ストッパ片26より先端側(X正方向側)の位置に突出して設けられる。
図15、
図16では、タング部25のうち曲成部25bを含む先端部分がプレート本体10側に屈曲して斜面となっており、この斜面とタング部25の上面との境界部分に突起29´が設けられている。
【0092】
第4実施形態の突起29´の形状は、第3実施形態の複数の突起29と略同一である。突起29´は例えば1個が設けられ、
図15、
図16では突起29´がタング部25の幅方向(Y方向)の中央の位置に設けられている。
【0093】
第4実施形態でも、バネ板20Cに突起29´を設けることによって、アンカープレート3Cがボルト2に連結固定される前後において、バネ板20Cのタング部25の少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面よりも突出するよう形成される、という要件を満たすことができる。具体的には、
図16に示すように、突起29´は、プレート本体10の上面10fから突起29´の頭頂部までの高さHCが、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30のうち上面10fから最も離れた上方の部分までの高さhよりも高くなるよう形成され、これにより上記の要件を満たす。
【0094】
このように第4実施形態に係るアンカープレート3C及びアンカー装置1Cも、第1実施形態と同様に上記要件を満たすので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0095】
[第5実施形態]
図17、
図18を参照して第5実施形態を説明する。
図17は、第5実施形態に係るアンカー装置1Dの斜視図であり、アンカープレート3Dとボルト2とが係合したアンカー装置1Dの斜視図である。
図18は、
図17に示す第5実施形態に係るアンカー装置1Dの縦断面図である。
図17、
図18は、それぞれ第1実施形態の
図3、
図9に対応する。
【0096】
図17、
図18に示すように、第5実施形態のアンカープレート3Dでは、バネ板20Dが屈曲部28´を有する。屈曲部28´は、タング部25のX正方向側の先端部分が上方に屈曲して形成される。
【0097】
屈曲部28´は、第1斜面28Aと、第2斜面28Bと、頭頂部28Cとを有する。第1斜面28Aは、タング部25の先端部分から上方に屈曲して形成される。第2斜面28Bは、第1斜面28Aから下方に屈曲して形成される。頭頂部28Cは、第1斜面28Aと第2斜面28Bとの境界部分に形成される。したがって、頭頂部28Cが屈曲部28の中で最も上方となり、バネ板20Dの中で最も上方となるように形成されている。
【0098】
タング部25と第1斜面28Aとの境界部分と、第1斜面28Aと第2斜面28Bとの境界部分と、はタング部25の幅方向に沿って延在するよう形成される。これにより、頭頂部28Cもタング部25の幅方向(Y方向)に沿って延在する。また、屈曲部28´では、第1斜面28A、第2斜面28B、頭頂部28Cは、タング部25の幅方向の全体に亘って形成される。
【0099】
ストッパ片26は、第1斜面28Aからタング部25の基端側(X負方向側)に延在して設けられ、第1斜面28Aと同一平面状となるよう形成される。第2斜面28Bの先端に曲成部25bが設けられる。
【0100】
第5実施形態でも、バネ板20Dに屈曲部28´を設けることによって、アンカープレート3Dがボルト2に連結固定される前後において、バネ板20Dのタング部25の少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面よりも突出するよう形成される、という要件を満たすことができる。具体的には、
図18に示すように、屈曲部28´は、プレート本体10の上面10fから頭頂部28Cまでの高さHDが、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30のうち上面10fから最も離れた上方の部分までの高さhよりも高くなるよう形成され、これにより上記の要件を満たす。
【0101】
このように第4実施形態に係るアンカープレート3D及びアンカー装置1Dも、第1実施形態と同様に上記要件を満たすので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0102】
[ストッパ片26の変形例]
図19~
図32を参照して、ストッパ片26の先端形状の変形例について説明する。
【0103】
<第1変形例>
図19は、第1変形例に係るストッパ片261を有するアンカープレート3の斜視図である。
図20は、第1変形例に係るストッパ片261を有するアンカー装置1の平面図である。アンカープレート3と係合状態にあるボルト2の頭部2bを点線で図示している。
図21は、
図20に示すアンカー装置1の縦端面図である。
【0104】
図21に示すように、第1変形例のストッパ片261は、アンカープレート3がボルト2に連結固定される状態において、ストッパ片261の先端部261Aがボルト頭部2bの側面2b1と対向配置されるようタング部25からプレート本体10(第1プレート)側に屈曲して形成される。
【0105】
より詳細には、
図19~
図21に示すように、第1変形例のストッパ片261は、タング部25に対してプレート本体10側に傾斜して形成される。ここで、ストッパ片261において、タング部25と接続される基部261B側から先端部261A側への傾斜方向に直交する延在方向を幅方向(Y方向)とする。このとき、ストッパ片261の先端部261Aは、幅方向の一部が最も傾斜方向に突出してボルト頭部2bの側面2b1と最も接近して配置される頭頂部261Cを有する凸形状に形成される。頭頂部261Cの位置は、例えば
図19、
図20に示すように、ストッパ片261の幅方向(Y方向)の中央の位置であるのが好ましい。
【0106】
<第2変形例>
図22は、第2変形例に係るストッパ片262を有するアンカープレート3の斜視図である。
図23は、第2変形例に係るストッパ片262を有するアンカー装置1の平面図である。
図24は、
図23に示すアンカー装置1の縦端面図である。
図22~
図24は、それぞれ第1変形例の
図19~
図21に対応する。
【0107】
図24に示すように、第2変形例のストッパ片262は、アンカープレート3がボルト2に連結固定される状態において、ストッパ片262の先端部262Aがボルト頭部2bの側面2b1と対向配置されるようタング部25からプレート本体10(第1プレート)側に直角に屈曲して形成される。
【0108】
より詳細には、
図22~
図24に示すように、第2変形例のストッパ片262では、先端部262Aがタング部25に対してプレート本体10側(Z負方向側)に直角に屈曲して形成される。
【0109】
<第3変形例>
図25は、第3変形例に係るストッパ片263を有するアンカープレート3の斜視図である。
図26は、第3変形例に係るストッパ片263を有するアンカー装置1の平面図である。
図27は、
図26に示すアンカー装置1の縦端面図である。
図25~
図27は、それぞれ第1変形例の
図19~
図21に対応する。
【0110】
図27に示すように、第3変形例のストッパ片263は、アンカープレート3がボルト2に連結固定される状態において、ストッパ片263の先端部263Aがボルト頭部2bの側面2b1と対向配置されるようタング部25からプレート本体10(第1プレート)側に屈曲して形成される。
【0111】
より詳細には、
図25~
図27に示すように、第3変形例のストッパ片263は、タング部25と接続される基部263B側から先端部263A側への延在方向の第1中間位置にてプレート本体10側(Z負方向)に直角に屈曲する第1屈曲部263Cと、第1中間位置より延在方向の先端部263A側の第2中間位置にてタング部25と平行な方向に直角に屈曲する第2屈曲部263Dと、を有する。
【0112】
<第4変形例>
図28は、第4変形例に係るストッパ片264を有するアンカープレート3の斜視図である。
図29は、第4変形例に係るストッパ片264を有するアンカー装置1の平面図である。
図30は、
図29に示すアンカー装置1の縦端面図である。
図28~
図30は、それぞれ第1変形例の
図19~
図21に対応する。
【0113】
図30に示すように、第4変形例のストッパ片264は、アンカープレート3がボルト2に連結固定される状態において、ストッパ片264の先端部264Aがボルト頭部2bの側面2b1と対向配置されるようタング部25からプレート本体10(第1プレート)側に屈曲して形成される。
【0114】
より詳細には、
図28~
図30に示すように、第4変形例のストッパ片264は、タング部25と接続される基部264B側から先端部264A側への延在方向の第1中間位置にてプレート本体10側(Z負方向)に傾斜して屈曲する第1屈曲部264Cと、第1中間位置より延在方向の先端部264A側の第2中間位置にてタング部25と平行な方向に傾斜して屈曲する第2屈曲部264Dと、を有する。
【0115】
また、ストッパ片264において、第1屈曲部264C及び第2屈曲部264Dの配列方向に直交する延在方向を幅方向(Y方向)とするとき、先端部264Aは、幅方向の一部が最も配列方向の基部264B側に窪む凹形状に形成される。先端部264Aの凹形状は、例えばボルト頭部2bの側面2b1と同じ曲率の形状である。
【0116】
第1~第4変形例に係るストッパ片261~264は、アンカープレート3がボルト2に連結固定される状態において、ストッパ片261~264の先端部261A~264Aがボルト頭部2bの側面2b1と対向配置される。これにより、シートベルトウェビング103を介してアンカープレート3に外力Fが付加された場合でも、ストッパ片261~264の先端部261A~264Aをボルト頭部2bの側面2b1に先当たりさせることができる。ストッパ片261~264の先端部261A~264Aを側面2b1に突き当てると、ストッパ片261~264がボルト頭部2bの頭頂面2b2に乗り上げることを抑制できるので、バネ板20のタング部25の上方への弾性変形量をさらに抑制することができる。これにより、アンカープレート3とボルト2との係合への影響をさらに抑制できる。
【0117】
図31、
図32を参照して、上記変形例によってストッパ片261~264の先端部261A~264Aがボルト頭部2bの側面2b1と対向配置させることによる効果についてさらに説明する。
図31は、比較例としての傾斜角度が比較的浅く、ボルト2から抜けやすいストッパ片265を有する構成における作用を説明する図である。
図31(A)、(B)共に
図21の縦端面図のうちボルト2とバネ板20の周辺を拡大視した図である。
【0118】
ここでボルト頭部2bの側面2b1と頭頂面2b2との間の角部2b3に角Rの加工が施されたボルト2を考える。
図31(A)のボルト2Aは、角部2b3の角Rが比較的小さい。この場合は、比較例のストッパ片265でも、先端部265Aは角Rの範囲より下方に位置するので、側面2b1と対向配置できる。このため、上記変形例と同様の効果を得られる。
【0119】
一方、
図31(B)のボルト2Bは、角部2b3の角Rが
図31(A)のものより大きい。この場合、比較例のストッパ片265では、先端部265Aは角Rの範囲に位置するので、側面2b1と対向配置できずに角部2b3と対向配置する。このため、外力が加わったときに、ストッパ片265の先端部265Aが角部2b3の角Rに沿って上方に移動して、ストッパ片265がボルト頭部2bの頭頂面2b2に乗り上げやすくなる。これにより、比較例に係るストッパ片265を有する構成では、シートベルトウェビング103を介して伝達される外力Fによってアンカープレート3とボルト2との係合に影響を及ぼす虞がある。
【0120】
図32は、第1変形例のストッパ片261を有する構成における作用を説明する図である。
図32(A)、(B)に示すボルト2A、2Bの概要は、
図31のものと同様である。
図32に示すように、ストッパ片261は比較例より深く屈曲しており、先端部261Aがよりプレート本体10側(Z負方向側)に配置される。つまり、ボルト頭部2bの頭頂面2b2や角部2b3からより離れた位置に配置されている。
【0121】
このため、
図32(A)に示すように、角部2b3の角Rが比較的小さいボルト2Aを用いる場合には、比較例と同様に先端部261Aは角Rの範囲より下方に位置するので、側面2b1と対向配置できる。また、
図32(B)に示すように、角部2b3の角Rが
図31(A)のものより大きいボルト2Bを用いる場合でも、ストッパ片261の先端部261Aは角Rの範囲より充分にプレート本体10側に離れて配置される。これにより、ボルト2Bの場合でも、先端部261Aは角Rの範囲より下方に位置するので、側面2b1と対向配置できる。
【0122】
第2~第4変形例のストッパ片262~264でも同様の作用効果を発揮できる。
【0123】
ここで、
図31、
図32に示すボルト2A、2Bのボルト頭部2bのZ方向の厚みを、A:5.5mm及びB:4.0mmの2パターンとする場合のストッパ片261の各部の寸法例を説明する。なお、上記のボルト頭部2bの寸法例のときには、樹脂製プレート30の小片部53と、タング部25との間の空間のZ方向の寸法Jは5.5mmである。
【0124】
図32(A)に示すように、角部2b3の角Rが比較的小さいボルト2Aにおいて、角Rが0.5mmの場合には、角部2b3の角Rの下端位置からストッパ片261の先端部261Aまでの偏差G1は、厚みAのとき3.3mmであり、厚みBのとき1.8mm程度であるのが好ましい。また、角Rが1.0mmの場合には、角部2b3の角Rの下端位置からストッパ片261の先端部261Aまでの偏差G1は、厚みAのとき2.8mmであり、厚みBの場合1.5mm程度であるのが好ましい。
【0125】
また、
図32(B)に示すように、角部2b3の角Rが比較的大きいボルト2Bにおいて、角Rが3.8mmの場合には、角部2b3の角Rの下端位置からストッパ片261の先端部261Aまでの偏差G2は、厚みAのときも厚みBのときも0mm以上であるのが好ましい。また、角Rが2.3mmの場合には、角部2b3の角Rの下端位置からストッパ片261の先端部261Aまでの偏差G2は、厚みAのときも厚みBのときも0.0mm程度であるのが好ましい。
【0126】
言い換えると、
図32(A)に示す角部2b3の角Rが比較的小さいボルト2Aにおいても、
図32(B)に示す角部2b3の角Rが比較的大きいボルト2Bにおいても、タング部25に対するストッパ片261の先端部261Aのプレート本体10側(Z負方向)への下降量Kは、厚みAのとき3.8mm以上5.5mm未満であり、厚みBのとき2.3mm以上4.0mm未満であるのが好ましい。
【0127】
上記の寸法例を一般化すると、ストッパ片261の先端部261Aの下降量Kは、例えば以下の(1)式で表現できる。
Rmax<K<M ・・・(1)
ここで、Rmaxは、実施形態に係るアンカー装置1に使用され得るボルト2において、ボルト頭部2bの角部2b3の角Rの最大値である。Mは、ボルト頭部2bのZ方向の厚みである。
【0128】
要は、ストッパ片261の先端部261Aの下降量Kは、少なくともボルト頭部2bの角部2b3の角Rの最大値より大きく設定すれば、角部2b3より下方の側面2b1と対向できる。また、下降量Kは、ボルト頭部2bの厚みより小さく設定すれば、ボルト頭部2bより下方に位置することなく側面2b1と対向できる。
【0129】
第2~第4変形例のストッパ片262~264の先端部262A~264Aでも同様の寸法とするのが好ましい。
【0130】
第1~第4変形例に係るストッパ片261~264は、タング部25に対するストッパ片261~264の先端部261A~264Aのプレート本体10側(Z負方向)への下降量Kを上記(1)式のように設定することにより、先端部261A~264Aをボルト頭部2bの側面2b1とより確実に対向配置できる。これにより、上述の作用効果をより確実に発揮でき、アンカープレート3とボルト2との係合への影響をさらに抑制できる。
【0131】
また、第1~第3変形例のストッパ片261~263では、先端部261A~263Aとボルト頭部2bの側面2b1との接触面積を減らすことができる。具体的には、第1変形例のストッパ片261では、先端部261Aは、幅方向(Y方向)の一部が最も傾斜方向に突出してボルト頭部2bの側面2b1と最も接近して配置される頭頂部261Cを有する凸形状に形成される。これにより、先端部261Aがボルト頭部2bの側面2b1に突き当たるときに、先端部261Aの全体ではなく頭頂部261Cのみが側面2b1と接触する。第2変形例のストッパ片262と第3変形例のストッパ片263では、先端部262A、263Aは幅方向(Y方向)に沿って直線状に形成されるので、先端部262A、263Aがボルト頭部2bの側面2b1に突き当たるときには円柱状のボルト頭部2bの周面である側面2b1のうち最も先端部262A、263Aに近い部分のみが接触する。
【0132】
このように先端部261A~263Aとボルト頭部2bの側面2b1との接触面積を減らすことにより、ストッパ片261~263がボルト頭部2bの頭頂面2b2に乗り上げることをより一層抑制できるので、バネ板20のタング部25の上方への弾性変形量をさらに抑制することができる。
【0133】
また、第2~第4変形例のストッパ片262~264では、先端部262A~264Aがボルト頭部2bの側面2b1と直交して配置される。具体的には、第2変形例のストッパ片262では、先端部262Aは、タング部25からプレート本体10(第1プレート)側に直角に屈曲して形成される。これにより、先端部262Aのうち側面2b1側を向く面はX負方向側を向くよう配置される。一方、円周面状の側面2b1のうち最も先端部262Aに近い部分では側面2b1はX正方向を向くよう配置される。
【0134】
第3変形例のストッパ片263では、先端部263Aは、第2屈曲部263Dにてタング部25と平行な方向に直角に屈曲して形成される。これにより、先端部263Aのうち側面2b1側の縁端部はX負方向側を向くよう配置される。一方、円周面状の側面2b1のうち最も先端部263Aに近い部分では側面2b1はX正方向を向くよう配置される。第4変形例のストッパ片264では、先端部264Aは、第2屈曲部264Dにてタング部25と平行な方向に傾斜して屈曲して形成される。これにより、先端部264Aのうち側面2b1側の縁端部はX負方向側を向くよう配置される。一方、円周面状の側面2b1のうち最も先端部264Aに近い部分では側面2b1はX正方向を向くよう配置される。
【0135】
すなわち、先端部262A~264Aの向きを、ボルト頭部2bの側面2b1のうち最も先端部262A~264Aに近い部分、すなわち側面2b1のうち最もX正方向側の部分の法線方向と平行かつ逆方向とすることができる。この構成により、先端部262A~264Aをボルト頭部2bの側面2b1と直交して配置できるので、シートベルトウェビング103を介してアンカープレート3に外力Fが付加された場合でも、ストッパ片262~264の先端部262A~264Aをボルト頭部2bの側面2b1により確実に先当たりさせることができる。これにより、ストッパ片262~264がボルト頭部2bの頭頂面2b2に乗り上げることをより一層抑制できるので、バネ板20のタング部25の上方への弾性変形量をさらに抑制することができる。
【0136】
なお、
図19~
図32では、第1~第4変形例のストッパ片261~264を第1実施形態のアンカー装置1、すなわちバネ板20に突起27を設ける構成に適用したが、上述の第2~第5実施形態のアンカー装置1A~1Dにも同様に適用できる。なお、上述の各実施形態は、例えば突起27を設ける構成などによって、バネ板20のタング部25は、アンカープレート3がボルト2に連結固定される前後において、少なくとも一部が樹脂製プレート30(第2プレート)の表面よりも突出するよう形成される、という条件を満たす構成である。第1~第4変形例のストッパ片261~264は、この条件を満たさない構成のアンカー装置にも適用可能である。
【0137】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0138】
1、1A、1B、1C、1D アンカー装置
2、2A、2B ボルト(係止体)
2b ボルト頭部
2b1 ボルト頭部の側面
2b2 ボルト頭部の頭頂面
2b3 ボルト頭部の角部
3、3A、3B、3C、3D アンカープレート
10 プレート本体(第1プレート)
20、20A、20B、20C、20D バネ板
21、22 脚部
23 タイ部
25 タング部
26 ストッパ片
27 突起
28、28´ 屈曲部
28A 第1斜面
28B 第2斜面
28C 頭頂部
28D 第3斜面
29 複数の突起
29´ 突起
30 樹脂製プレート(第2プレート)
103 シートベルトウェビング
261、262、263、264 ストッパ片
261A、262A、263A、264A ストッパ片の先端部
261B、263B、264B ストッパ片の基部
263C、264C 第1屈曲部
263D、264D 第2屈曲部