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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166020
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241121BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20241121BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H02G3/04
H02G3/30
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159956
(22)【出願日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2023081171
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 公亮
(72)【発明者】
【氏名】後藤 真
【テーマコード(参考)】
5G309
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
5G309AA01
5G309AA09
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD14
5G357DE05
5G357DE08
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】原価の低減。
【解決手段】少なくともn-1組(n=3以上の自然数)の対になる電気接続具10の組み合わせ毎に電気接続具同士を接続する電線群20と、全ての電線群を挟み込んで内方に収容するシート状の一対の外装部材30と、を備え、n数の電気接続具における一対の主電気接続具11を除く残りは、一対の主電気接続具を繋ぐ直線に対して交差方向に間隔を空けて配置された副電気接続具12であり、全ての電線群は、その内の1本が一対の主電気接続具の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ主電線群21であり、その内の残りが、少なくともn-1組の対になる電気接続具の組み合わせの内、一対の主電気接続具の組み合わせを除く残りの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22であり、少なくともn-1組の対になる電気接続具の組み合わせには、副電線群で接続される主電気接続具と副電気接続具の組み合わせを少なくとも1組含めること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n数(n=3以上の自然数)具備し、その全てを用いて2つずつ組み合わせた少なくともn-1組の組み合わせを電線接続対象とする電気接続具と、
複数本の電線を具備し、前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせ毎に、その対になる前記電気接続具同士を接続する電線群と、
全ての前記電線群を挟み込んで内方に収容するシート状の絶縁性の一対の外装部材と、
を備え、
前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせの内の1つは、互いに間隔を空けて配置された一対の主電気接続具の組み合わせであり、
n数の前記電気接続具における一対の前記主電気接続具を除く残りは、一対の前記主電気接続具を繋ぐ直線に対して交差方向に間隔を空けて配置された副電気接続具であり、
全ての前記電線群は、その内の1本が一対の前記主電気接続具の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ主電線群であり、かつ、その内の残りが、前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせの内、一対の前記主電気接続具の組み合わせを除く残りの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群であり、
前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせには、前記副電線群で接続される前記主電気接続具と前記副電気接続具の組み合わせを少なくとも1組含めることを特徴としたワイヤハーネス。
【請求項2】
前記直線に対して前記交差方向で一方に間隔を空けて配置した少なくとも1つの一方の前記副電気接続具と、前記直線に対して前記交差方向で他方に間隔を空けて配置した少なくとも1つの他方の前記副電気接続具と、を備え、
前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせには、前記副電線群で接続された一方の前記副電気接続具と他方の前記副電気接続具の組み合わせを少なくとも1組含めることを特徴とした請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
一対の前記外装部材の間には、内方の前記電線群を外方に引き出す電線引出口が前記電気接続具毎に形成され、
前記電気接続具には、前記電線群が前記電線引出口から外方に引き出された先で接続され、
共通の前記電線引出口から外方に引き出される全ての前記電線群を当該電線引出口で前記外装部材に固定する電線固定部材を備えることを特徴とした請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
一対の前記外装部材は、相接して接合された接合部を有することを特徴とした請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
一対の前記外装部材を配索対象物に対して固定するハーネス固定部材を少なくとも1つ備え、
一対の前記外装部材は、前記ハーネス固定部材を挿通させる貫通孔であり、貫通孔周縁を前記ハーネス固定部材と前記配索対象物とで挟持させる挿通孔を前記ハーネス固定部材毎に有することを特徴とした請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
一対の前記外装部材の内の第1外装部材は、平板形状の主体と、前記主体の一部を前記主電線群の配索経路に沿って凹ませた溝形状に形成され、前記主体側の主電線挿入口から差し入れた前記主電線群が配策される主電線配索路と、前記主体の一部を前記副電線群の配索経路に沿って前記副電線群毎に凹ませた溝形状に形成され、前記主体側の副電線挿入口から差し入れた前記副電線群が配策される副電線配索路と、を有し、
一対の前記外装部材の内の第2外装部材は、平板形状に成形され、その平滑なシート面を前記第1外装部材の前記主体のシート面に密着させて前記主電線挿入口と前記副電線挿入口を塞ぐことを特徴とした請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記第2外装部材は、自身の前記シート面を前記第1外装部材の前記シート面に熱圧着させることを特徴とした請求項6に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記主体と前記第2外装部材は、矩形の平板形状に形成され、
前記主電線配索路は、前記主体における一方の向かい合う第1辺部と第2辺部を直線状に繋ぐ溝形状に形成され、
前記副電線配索路としては、前記主体における他方の向かい合う第3辺部と第4辺部を直線状に繋ぐ第1副電線配索路と、前記主電線配索路における前記第1辺部側の一端と前記第1副電線配索路における前記第3辺部側の一端を直線状に繋ぐ第2副電線配索路と、前記主電線配索路における前記第2辺部側の他端と前記第1副電線配索路の前記一端を直線状に繋ぐ第3副電線配索路と、前記主電線配索路の前記一端と前記第1副電線配索路における前記第4辺部側の他端を直線状に繋ぐ第4副電線配索路と、前記主電線配索路の前記他端と前記第1副電線配索路の前記他端を直線状に繋ぐ第5副電線配索路と、が設けられ、
前記主電線配索路の前記一端と前記第2外装部材との間には、前記主電線配索路の前記主電線群と前記第2副電線配索路の前記副電線群と前記第4副電線配索路の前記副電線群を外方に引き出して、その引き出した先で前記主電線群と前記副電線群を前記主電気接続具に接続させる第1主電線引出口が形成され、
前記主電線配索路の前記他端と前記第2外装部材との間には、前記主電線配索路の前記主電線群と前記第3副電線配索路の前記副電線群と前記第5副電線配索路の前記副電線群を外方に引き出して、その引き出した先で前記主電線群と前記副電線群を前記主電気接続具に接続させる第2主電線引出口が形成され、
前記第1副電線配索路の前記一端と前記第2外装部材との間には、前記第1副電線配索路の前記副電線群と前記第2副電線配索路の前記副電線群と前記第3副電線配索路の前記副電線群を外方に引き出して、その引き出した先で前記副電線群を前記副電気接続具に接続させる第1副電線引出口が形成され、
前記第1副電線配索路の前記他端と前記第2外装部材との間には、前記第1副電線配索路の前記副電線群と前記第4副電線配索路の前記副電線群と前記第5副電線配索路の前記副電線群を外方に引き出して、その引き出した先で前記副電線群を前記副電気接続具に接続させる第2副電線引出口が形成されることを特徴とした請求項6に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスにおいては、n数(n=3以上の自然数)の電気接続具(コネクタ等)と、このn数の電気接続具の内の少なくともn-1組の対になる電気接続具同士をその組み合わせ毎に接続する電線群と、を備えるものが知られている。この種のワイヤハーネスについては、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-185353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の或るワイヤハーネスは、第1電気接続具と第2電気接続具を繋ぐ第1電線群と、第1電気接続具と第3電気接続具を繋ぐ第2電線群と、第2電気接続具と第3電気接続具を繋ぐ第3電線群と、を備えている。更に、第3電気接続具は、第1電気接続具と第2電気接続具を最短経路で繋ぐ第1電線群に対して、この第1電線群の軸線に対する交差方向に配置されている。このワイヤハーネスにおいては、例えば、第2電線群を第1電気接続具から第1電線群に並走させ、この第2電線群を第1電線群の途中の分岐部で折り曲げて第3電気接続具に向かわせる。そして、このワイヤハーネスにおいては、例えば、第3電線群を第2電気接続具から第1電線群に並走させ、この第3電線群を第1電線群の途中の分岐部で折り曲げて第3電気接続具に向かわせる。この従来のワイヤハーネスにおいては、第2電線群や第3電線群が分岐部を一旦通る経路で配索されるので、その経路長が第1電気接続具と第3電気接続具の距離や第2電気接続具と第3電気接続具の距離よりも長い。電線群については、その経路長が長いほど高い材料費を要する。また、この従来のワイヤハーネスにおいては、例えば、第1電線群と第2電線群と第3電線群の分岐部に粘着テープを巻き付けたり、第1電線群と第2電線群と第3電線群の分岐部をクランプで束ねたりして、第1電線群と第2電線群と第3電線群が分岐部で散けないようにする。この場合には、粘着テープやクランプの材料費、粘着テープを巻き付ける作業費用が掛かる。
【0005】
そこで、本発明は、原価を低減し得るワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、n数(n=3以上の自然数)具備し、その全てを用いて2つずつ組み合わせた少なくともn-1組の組み合わせを電線接続対象とする電気接続具と、複数本の電線を具備し、前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせ毎に、その対になる前記電気接続具同士を接続する電線群と、全ての前記電線群を挟み込んで内方に収容するシート状の絶縁性の一対の外装部材と、を備え、前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせの内の1つは、互いに間隔を空けて配置された一対の主電気接続具の組み合わせであり、n数の前記電気接続具における一対の前記主電気接続具を除く残りは、一対の前記主電気接続具を繋ぐ直線に対して交差方向に間隔を空けて配置された副電気接続具であり、全ての前記電線群は、その内の1本が一対の前記主電気接続具の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ主電線群であり、かつ、その内の残りが、前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせの内、一対の前記主電気接続具の組み合わせを除く残りの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群であり、前記電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる前記電気接続具の組み合わせには、前記副電線群で接続される前記主電気接続具と前記副電気接続具の組み合わせを少なくとも1組含めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るワイヤハーネスにおいては、電線接続対象とする全ての対になる電気接続具の組み合わせにて、その対になる電気接続具の間が電線群によって最短経路で直線的に繋がれている。従って、このワイヤハーネスは、電線群の材料費を低く抑えることができるので、原価の低減を図ることができる。また、このワイヤハーネスは、全ての電線群を最短経路で直線的に配策した上で、この全ての電線群を一対の外装部材に挟み込んで固定している。従って、このワイヤハーネスは、従来のような電線群の分岐部が形成されないので、その分岐部で電線群を束ねる粘着テープやクランプが必要なく、これ故、この点でも原価の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態のワイヤハーネス(n=3)について説明する説明図である。
図2図2は、図1のX1-X1線断面図である。
図3図3は、実施形態のワイヤハーネス(n=4)について説明する説明図である。
図4図4は、図3のX2-X2線断面図である。
図5図5は、第1外装設置工程について説明する説明図である。
図6図6は、第1外装設置工程について説明する説明図であって、図5の矢視Aを治具板が鉛直下方に来るよう90度回転させている。
図7図7は、電線設置工程について説明する説明図である。
図8図8は、電線保持工程について説明する説明図である。
図9図9は、図8のX3-X3線断面図である。
図10図10は、第2外装設置工程について説明する説明図である。
図11図11は、車両への設置例について説明する説明図である。
図12図12は、図11のX2-X2線断面図である。
図13図13は、変形例のワイヤハーネス(n=4)について説明する説明図である。
図14図14は、変形例のワイヤハーネス(n=4)の概要を模式的に示す斜視図である。
図15図15は、変形例のワイヤハーネス(n=4)の概要を模式的に示す分解斜視図である。
図16図16は、変形例の第1外装設置工程について説明する説明図である。
図17図17は、変形例の電線設置工程について説明する説明図である。
図18図18は、変形例の第2外装設置工程について説明する説明図である。
図19図19は、変形例のワイヤハーネスの車両への設置例について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係るワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係るワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図12に基づいて説明する。
【0011】
図1から図4の符号1は、本実施形態のワイヤハーネスを示す。
【0012】
このワイヤハーネス1は、n数(n=3以上の自然数)具備し、その全てを用いて2つずつ組み合わせた少なくともn-1組の組み合わせを電線接続対象とする電気接続具10を備える(図1から図4)。電気接続具10とは、例えば、コネクタであり、電気機器の相手方コネクタや電線群の端末の相手方コネクタ等に対して物理的且つ電気的に接続される。このワイヤハーネス1においては、n数の電気接続具10を全て用いて2つずつ組み合わせた際に、少なくともn-1組の対になる電気接続具10が組み合わされる。よって、このワイヤハーネス1においては、その少なくともn-1組の組み合わせを電線による接続の対象物(電線接続対象)とする。
【0013】
ここでは、説明の便宜上、そのn数の電気接続具10を次のように一対の主電気接続具11と残り全ての副電気接続具12とに大別する。
【0014】
電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる電気接続具10の組み合わせの内の1つは、互いに間隔を空けて配置された一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)の組み合わせである(図1及び図3)。つまり、n数の電気接続具10には、その一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)が含まれている。このn数の電気接続具10における一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)を除く残りは、その一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)を繋ぐ直線に対して、交差方向に間隔を空けて配置された副電気接続具12である(図1及び図3)。
【0015】
ここで、n数の電気接続具10の中に含まれる副電気接続具12が単数であろうと複数であろうと、電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる電気接続具10の組み合わせには、対になる主電気接続具11と副電気接続具12の組み合わせを少なくとも1組含める(図1及び図3)。
【0016】
また、n数の電気接続具10の中に含まれる副電気接続具12が複数の場合には、次の条件のときに、電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる電気接続具10の組み合わせに、対になる副電気接続具12の組み合わせを少なくとも1組含めてもよい(図3)。その条件とは、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)を繋ぐ直線に対して交差方向で一方に間隔を空けて配置した少なくとも1つの一方の副電気接続具12と、その直線に対して交差方向で他方に間隔を空けて配置した少なくとも1つの他方の副電気接続具12と、を備えるときである。
【0017】
例えば、電気接続具10が3つの場合には(n=3)、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)と1つの副電気接続具12とを備えている(図1及び図2)。この場合には、電線接続対象とする少なくとも2組の対になる電気接続具10が組み合わされ、そして、電線接続対象とする最大で3組の対になる電気接続具10が組み合わされる。その電線接続対象とする少なくとも2組の対になる電気接続具10の組み合わせは、その内の1つが、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)の組み合わせであり、その内の残りが、第1主電気接続具11A及び副電気接続具12の組み合わせと第2主電気接続具11B及び副電気接続具12の組み合わせの内の少なくとも一方の組み合わせである。
【0018】
また、例えば、電気接続具10が4つの場合には(n=4)、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)と2つの副電気接続具12(第1副電気接続具12A、第2副電気接続具12B)とを備えている(図3及び図4)。この場合には、電線接続対象とする少なくとも3組の対になる電気接続具10が組み合わされ、そして、電線接続対象とする最大で6組の対になる電気接続具10が組み合わされる。その電線接続対象とする少なくとも3組の対になる電気接続具10の組み合わせは、その内の1つが、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)の組み合わせである。そして、この電線接続対象とする少なくとも3組の対になる電気接続具10の組み合わせは、その内の残りが、少なくとも1組の対になる主電気接続具11と副電気接続具12の組み合わせだけでもよく、少なくとも1組の対になる主電気接続具11及び副電気接続具12の組み合わせと2つの副電気接続具12(第1副電気接続具12A、第2副電気接続具12B)の組み合わせとを混在させたものでもよい。この場合、電線接続対象とする少なくとも1組の対になる主電気接続具11と副電気接続具12の組み合わせとは、第1主電気接続具11Aと一方の副電気接続具12(第1副電気接続具12A)の組み合わせ、第1主電気接続具11Aと他方の副電気接続具12(第2副電気接続具12B)の組み合わせ、第2主電気接続具11Bと一方の副電気接続具12(第1副電気接続具12A)の組み合わせ及び第2主電気接続具11Bと他方の副電気接続具12(第2副電気接続具12B)の組み合わせの内の少なくとも1つの組み合わせのことである。
【0019】
このワイヤハーネス1は、複数本の電線を具備し、電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる電気接続具10の組み合わせ毎に、その対になる電気接続具10同士を接続する電線群20を備える(図1及び図3)。この電線群20においては、複数本の電線が一纏めに束ねられている。
【0020】
全ての電線群20は、その内の1本が一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ主電線群21である(図1及び図3)。そして、全ての電線群20は、その内の残りが、電線接続対象とする少なくともn-1組の対になる電気接続具10の組み合わせの内、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)の組み合わせを除く残りの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22である(図1及び図3)。先に示した主電気接続具11と副電気接続具12の組み合わせは、その副電線群22で接続される(図1及び図3)。また、先に示した一対の副電気接続具12(第1副電気接続具12A、第2副電気接続具12B)の組み合わせは、その副電線群22で接続される(図3)。
【0021】
ここで例示している電気接続具10が3つ(n=3)のワイヤハーネス1は、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ主電線群21と、第1主電気接続具11Aと副電気接続具12の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第2主電気接続具11Bと副電気接続具12の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、を備えている(図1)。
【0022】
また、ここで例示している電気接続具10が4つ(n=4)のワイヤハーネス1は、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ主電線群21と、第1主電気接続具11Aと第1副電気接続具12Aの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第1主電気接続具11Aと第2副電気接続具12Bの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第2主電気接続具11Bと第1副電気接続具12Aの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第2主電気接続具11Bと第2副電気接続具12Bの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第1副電気接続具12Aと第2副電気接続具12Bの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、を備えている(図3)。
【0023】
このワイヤハーネス1は、その全ての電線群20を挟み込んで内方に収容するシート状の絶縁性の一対の外装部材30を備える(図1から図4)。
【0024】
この一対の外装部材30は、相接して接合された接合部31を有する(図1及び図3)。この接合部31は、一対の外装部材30同士を溶着して形成された部位であってもよく、一対の外装部材30を固定部材(以下、「外装固定部材」という。)41で接合して形成された部位であってもよい(図1及び図3)。一対の外装部材30は、溶着して接合する場合、その溶着を可能にする絶縁性の原材料で成形される。この場合の外装部材30は、例えば、塩化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等を原材料にして成形されたものであり、高周波溶着や超音波溶着等の周知の溶着技術を用いて溶着される。また、一対の外装部材30は、外装固定部材41で接合する場合、この外装固定部材41の形態に合わせた絶縁性の原材料で成形される。この例示では、一対の外装部材30を外装固定部材41としてのステープラによって複数箇所で接合しており、その針を貫通させ得る原材料(例えば、塩化ビニル等)で成形されている。一対の外装部材30は、それぞれに異なる部材であってもよく、互いに同じ部材であってもよい。また、外装部材30には、柔軟性を持たせてもよい。
【0025】
この一対の外装部材30の間には、内方の電線群20を外方に引き出す電線引出口32が電気接続具10毎に形成される(図1及び図3)。この電線引出口32は、少なくとも1本の電線群20を内方から外方に引き出す。電気接続具10には、電線群20が電線引出口32から外方に引き出された先で接続される。
【0026】
このワイヤハーネス1は、共通の電線引出口32から外方に引き出される全ての電線群20を当該電線引出口32で外装部材30に固定する固定部材(以下、「電線固定部材」という。)42を備える(図1及び図3)。この電線固定部材42は、例えば、結束バンドであり、共通の電線引出口32から外方に引き出される全ての電線群20を一纏めに束ねて一対の外装部材30の内の一方に固定する。この場合、その一方の外装部材30には、電線固定部材42を挿通させる2つの貫通孔(以下、「電線固定孔」という。)33が形成されている(図5)。
【0027】
このワイヤハーネス1は、次の製造方法によって治具板500上で組み立てられる(図6)。
【0028】
このワイヤハーネス1の製造方法は、治具板500に設置された支持部材510に一方の外装部材30を支持させる第1外装設置工程を有する(図5及び図6)。
【0029】
その支持部材510は、一方の外装部材30を支持する支持部511を有しており、治具板500上に立設させる(図5及び図6)。その支持部511は、互いに間隔を空けて対向配置された少なくとも2本の支持ピン511aと、この少なくとも2本の支持ピン511aの一方の端部同士を繋ぐ連結部511bと、を有している(図5及び図6)。ここで例示する支持部511は、2本の支持ピン511aと連結部511bによってU字状に形成されている。
【0030】
支持部材510は、一対の外装部材30を接合させた際に形成される電線引出口32毎に用意され、その電線引出口32として形成される場所で一方の外装部材30を支持する。よって、一方の外装部材30には、電線引出口32として形成される場所に、支持ピン511aを挿通させる貫通孔(以下、「外装支持孔」という。)34が支持ピン511a毎に形成されている(図1及び図3)。この一方の外装部材30においては、電線引出口32の開口端部となる場所より内側に2つの電線固定孔33が形成され、この2つの電線固定孔33よりも更に内側に支持ピン511a毎の外装支持孔34が形成されている。その支持ピン511a毎の外装支持孔34は、他方の外装部材30においても、電線引出口32として形成される場所に形成されている。
【0031】
第1外装設置工程では、治具板500上に一方の外装部材30を設置する際に、支持部材510の支持部511毎に支持ピン511aを先端から外装支持孔34に挿通させることによって、その支持部511の連結部511b側に一方の外装部材30を支持させる。例えば、電気接続具10が4つの場合(n=4)、第1外装設置工程では、4箇所の支持部材510の支持部511毎に支持ピン511aを先端から一方の外装部材30の外装支持孔34に挿通させる(図5)。
【0032】
この製造方法は、その一方の外装部材30の上に全ての電線群20を載せ置く電線設置工程を有する(図7)。
【0033】
この電線設置工程では、支持部材510の支持部511毎に、この支持部材510に対応する電線引出口32を通る電線群20が2本の支持ピン511aの間に差し入れて設置される(図7)。そして、この電線設置工程では、電線群20を設置する際に、電線群20が2つの支持部材510の間で最短経路を通るように直線的に配索される(図7)。例えば、電気接続具10が4つの場合(n=4)、電線設置工程では、一対の主電気接続具11(第1主電気接続具11A、第2主電気接続具11B)の組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ主電線群21と、第1主電気接続具11Aと第1副電気接続具12Aの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第1主電気接続具11Aと第2副電気接続具12Bの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第2主電気接続具11Bと第1副電気接続具12Aの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第2主電気接続具11Bと第2副電気接続具12Bの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、第1副電気接続具12Aと第2副電気接続具12Bの組み合わせを最短経路で直線的に繋ぐ副電線群22と、をそれぞれに配策する。
【0034】
この製造方法は、支持部材510の支持部511毎に、その支持部511で支持されている全ての電線群20を一方の外装部材30に固定する電線保持工程を有する(図8及び図9)。
【0035】
この電線保持工程では、例えば、支持部511毎に、一方の外装部材30における2つの電線固定孔33に先端から電線固定部材42としての結束バンドを順次差し込み、この一方の外装部材30と支持部511で支持されている全ての電線群20に電線固定部材42を巻き付ける(図8及び図9)。例えば、電気接続具10が4つの場合(n=4)、電線保持工程では、4箇所の支持部材510の支持部511毎に電線固定部材42で一方の外装部材30と電線群20を固定する。
【0036】
この製造方法は、その一方の外装部材30と全ての電線群20に他方の外装部材30を載せ置き、その全ての電線群20を一方の外装部材30と他方の外装部材30とで挟み込む第2外装設置工程を有する(図10)。
【0037】
この第2外装設置工程では、支持部材510の支持部511毎に支持ピン511aを先端から外装支持孔34に挿通させることによって、他方の外装部材30を設置する(図10)。例えば、電気接続具10が4つの場合(n=4)、第2外装設置工程では、4箇所の支持部材510の支持部511毎に支持ピン511aを先端から他方の外装部材30の外装支持孔34に挿通させる。
【0038】
この製造方法は、その一対の外装部材30を接合する外装接合工程を有する(図3)。
【0039】
この外装接合工程では、一対の外装部材30の外周縁部同士を外装固定部材41としてのステープラで複数箇所固定する(図3)。例えば、電気接続具10が4つの場合(n=4)、外装接合工程では、一対の外装部材30における第1主電気接続具11A側と第1副電気接続具12A側との間の外周縁部同士と、一対の外装部材30における第1主電気接続具11A側と第2副電気接続具12B側との間の外周縁部同士と、一対の外装部材30における第2主電気接続具11B側と第1副電気接続具12A側との間の外周縁部同士と、一対の外装部材30における第2主電気接続具11B側と第2副電気接続具12B側との間の外周縁部同士と、を外装固定部材41で固定する。
【0040】
以上示した本実施形態のワイヤハーネス1においては、電線接続対象とする全ての対になる電気接続具10の組み合わせにて、その対になる電気接続具10の間が電線群20によって最短経路で直線的に繋がれている。従って、このワイヤハーネス1は、電線群20の材料費を低く抑えることができるので、原価の低減を図ることができる。また、このワイヤハーネス1は、全ての電線群20を最短経路で直線的に配策した上で、この全ての電線群20を一対の外装部材30に挟み込んで固定している。従って、このワイヤハーネス1は、従来のような電線群20の分岐部が形成されないので、その分岐部で電線群20を束ねる粘着テープやクランプが必要なく、これ故、この点でも原価の低減を図ることができる。
【0041】
ところで、このワイヤハーネス1は、例えば、車両における車体(フロアパネル、ダッシュパネル、ルーフパネル等)やドアなどの構造物を配索対象物とし、この配索対象物に沿わせて配策され、かつ、この配索対象物に対して固定される。そこで、このワイヤハーネス1は、一対の外装部材30を配索対象物に対して固定する固定部材(以下、「ハーネス固定部材」という。)43を少なくとも1つ備える(図11及び図12)。一対の外装部材30は、そのハーネス固定部材43を挿通させる貫通孔(以下、「挿通孔」という。)35をハーネス固定部材43毎に有する(図1図3図5図7図8図10及び図12)。挿通孔35は、その貫通孔周縁を一対の外装部材30ハーネス固定部材43と配索対象物とで挟持させることによって、一対の外装部材30を配索対象物に対して固定する。例えば、ハーネス固定部材43には、所謂錨型クリップが用いられる。この例示では、ドアDを配索対象物としている。
【0042】
一対の外装部材30は、その挿通孔35を複数箇所に有し、この複数箇所の挿通孔35毎にハーネス固定部材43が差し込まれる。この一対の外装部材30は、複数箇所のハーネス固定部材43で配索対象物へと固定する。従来のワイヤハーネスは、電線群の所定箇所に組み付けたクリップ等を配索対象物に差し込んで固定するので、そのクリップ等の配索対象物への組付け作業に際して電線群の形状保持が難しい。これに対して、本実施形態のワイヤハーネス1は、例えば、外装部材30を形状保持し得る最低限の硬度に成形しておくことで、ハーネス固定部材43の配索対象物への組付け作業性が従来よりも高くなる。よって、本実施形態のワイヤハーネス1は、配索対象物への組付け作業時間の短縮が可能になる。
【0043】
一方、一対の外装部材30は、複数箇所のハーネス固定部材43で配索対象物へと固定した際に、一方の外装部材30の外壁面を配索対象物の外壁面に接触させてもよい。この場合、このワイヤハーネス1においては、一対の外装部材30に柔軟性を持たせることによって、その一方の外装部材30の外壁面と配索対象物の外壁面との密着性を高めることが望ましい。例えば、ここでは、ドアDのインナパネルD1を配索対象物とし、このインナパネルD1の平面部分に一方の外装部材30の外壁面を密着させながら、このインナパネルD1に複数箇所のハーネス固定部材43で一対の外装部材30を固定する(図12)。これにより、このワイヤハーネス1は、車体側からの入力が軽減されるので、その入力の電気接続具10への伝達を抑えることができる。従って、このワイヤハーネス1は、その耐久性を向上させることができる。更に、このワイヤハーネス1は、ドアトリムD2を他方の外装部材30の外壁面に密着させ、インナパネルD1とドアトリムD2で挟み込むので、車体側からの入力の電気接続具10への伝達をより抑えることができる(図12)。従って、このワイヤハーネス1は、その耐久性の更なる向上が可能になる。
【0044】
[変形例]
図13から図15の符号2は、本変形例のワイヤハーネスを示す。本変形例のワイヤハーネス2は、前述した実施形態のワイヤハーネス1において、一対の外装部材30を第1外装部材150と第2外装部材160に置き換えたものに相当する。このため、以下において実施形態と同じ符号を付したものは、本変形例の説明においても実施形態と同じ部品や部位等を示すものとする。また、実施形態と重複する説明については、ここでの説明を省略する。
【0045】
第1外装部材150と第2外装部材160は、実施形態の外装部材30と同じように、シート状の絶縁性の部材として成形される。
【0046】
第1外装部材150は、平板形状の主体151と、この主体151の一部を主電線群21の配索経路に沿って凹ませた溝形状に形成され、主体151側の主電線挿入口152aから差し入れた主電線群21が配策される主電線配索路152と、主体151の一部を副電線群22の配索経路に沿って副電線群22毎に凹ませた溝形状に形成され、主体151側の副電線挿入口153aから差し入れた副電線群22が配策される副電線配索路153と、を有する(図13から図15)。この第1外装部材150は、かかる形状を保つべく、その形状のものとして合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。
【0047】
ここで示す主体151は、矩形の平板形状に形成されている。主電線配索路152は、この主体151における一方の向かい合う辺部同士(第1辺部151aと第2辺部151b)を直線状に繋ぐ溝形状に形成されている(図13から図15)。また、ここで示す副電線配索路153としては、主体151における他方の向かい合う辺部同士(第3辺部151cと第4辺部151d)を直線状に繋ぐ第1副電線配索路153Aと、主電線配索路152における第1辺部151a側の一端と第1副電線配索路153Aにおける第3辺部151c側の一端を直線状に繋ぐ第2副電線配索路153Bと、主電線配索路152における第2辺部151b側の他端と第1副電線配索路153Aの一端を直線状に繋ぐ第3副電線配索路153Cと、主電線配索路152の一端と第1副電線配索路153Aにおける第4辺部151d側の他端を直線状に繋ぐ第4副電線配索路153Dと、主電線配索路152の他端と第1副電線配索路153Aの他端を直線状に繋ぐ第5副電線配索路153Eと、が設けられている(図13から図15)。
【0048】
第2外装部材160は、平板形状に成形される(図13から図15)。ここで示す第2外装部材160は、矩形の平板形状に成形されている。第1外装部材150の主体151には、主電線配索路152と副電線配索路153(第1副電線配索路153A、第2副電線配索路153B、第3副電線配索路153C、第4副電線配索路153D、第5副電線配索路153E)を除いた場所に平滑なシート面151eが複数存在している(図15)。第2外装部材160は、自身の平滑なシート面161(図15)を第1外装部材150の主体151のシート面151eに密着させて主電線挿入口152aと副電線挿入口153aを塞ぐ。
【0049】
第1外装部材150と第2外装部材160においては、そのシート面151eとシート面161を密着させたそれぞれの場所を接合して、そのそれぞれの場所を実施形態と同様の接合部31とする(図13及び図14)。この接合部31は、実施形態の接合部31と同じように、第1外装部材150と第2外装部材160を溶着して形成された部位であってもよく、第1外装部材150と第2外装部材160を外装固定部材41で接合して形成された部位であってもよい。例えば、ここで示す第2外装部材160は、矩形のフィルムシート部材として成形され、第1外装部材150に熱圧着させる。ここでは、密着させた第1外装部材150のシート面151eと第2外装部材160のシート面161をそれぞれの場所で熱圧着させる。
【0050】
このワイヤハーネス2において、主電線配索路152の一端と第2外装部材160との間には、主電線配索路152の主電線群21と第2副電線配索路153Bの副電線群22と第4副電線配索路153Dの副電線群22を外方に引き出して、その引き出した先で主電線群21と副電線群22を主電気接続具11(第1主電気接続具11A)に接続させる第1主電線引出口132Aが形成される(図13及び図14)。また、主電線配索路152の他端と第2外装部材160との間には、主電線配索路152の主電線群21と第3副電線配索路153Cの副電線群22と第5副電線配索路153Eの副電線群22を外方に引き出して、その引き出した先で主電線群21と副電線群22を主電気接続具11(第2主電気接続具11B)に接続させる第2主電線引出口132Bが形成される(図13及び図14)。
【0051】
また、第1副電線配索路153Aの一端と第2外装部材160との間には、第1副電線配索路153Aの副電線群22と第2副電線配索路153Bの副電線群22と第3副電線配索路153Cの副電線群22を外方に引き出して、その引き出した先で副電線群22を副電気接続具12(第1副電気接続具12A)に接続させる第1副電線引出口132Cが形成される(図13及び図14)。また、第1副電線配索路153Aの他端と第2外装部材160との間には、第1副電線配索路153Aの副電線群22と第4副電線配索路153Dの副電線群22と第5副電線配索路153Eの副電線群22を外方に引き出して、その引き出した先で副電線群22を副電気接続具12(第2副電気接続具12B)に接続させる第2副電線引出口132Dが形成される(図13及び図14)。
【0052】
本変形例においても、支持部材510は、電線引出口(第1主電線引出口132A、第2主電線引出口132B、第1副電線引出口132C、第2副電線引出口132D)毎に用意される。本変形例の支持部材510は、第1外装部材150を支持する。その第1外装部材150においては、主電線配索路152と第1副電線配索路153Aのそれぞれの溝底における電線引出口(第1主電線引出口132A、第2主電線引出口132B、第1副電線引出口132C、第2副電線引出口132D)として形成される場所に、支持ピン511a毎の外装支持孔34が形成されている(図13)。
【0053】
本変形例の第1外装設置工程では、支持部材510の支持部511毎に支持ピン511aを先端から外装支持孔34に挿通させ、その支持部511の連結部511b側に第1外装部材150を支持させることによって、治具板500上に第1外装部材150を設置する(図16)。そして、電線設置工程では、主電線群21を主電線挿入口152aから差し入れて主電線配索路152に配策し、かつ、副電線群22を副電線挿入口153aから差し入れて副電線配索路153(第1副電線配索路153A、第2副電線配索路153B、第3副電線配索路153C、第4副電線配索路153D、第5副電線配索路153E)に配策して、支持部材510の支持部511毎に、電線群20(主電線群21、副電線群22)を2本の支持ピン511aの間に差し入れる(図17)。
【0054】
本変形例の電線保持工程では、実施形態の電線保持工程と同じように、支持部511毎に、主電線配索路152と第1副電線配索路153Aのそれぞれの溝底における2つの電線固定孔(図示略)に先端から電線固定部材42としての結束バンドを順次差し込み、第1外装部材150と支持部511で支持されている全ての電線群20(主電線群21、副電線群22)に電線固定部材42を巻き付ける。
【0055】
また、本変形例の第2外装設置工程では、支持部材510の支持部511毎に支持ピン511aを先端から第2外装部材160の外装支持孔34に挿通させることによって、第2外装部材160を第1外装部材150の上に設置する(図18)。そして、本変形例の外装接合工程では、シート面151eとシート面161を密着させた第1外装部材150と第2外装部材160のそれぞれの場所を加圧し且つ加熱して、その密着させたシート面151eとシート面161をそれぞれの場所で熱圧着させる。
【0056】
本変形例のワイヤハーネス2は、実施形態のワイヤハーネス1と同じように、車両の構造物を配索対象物とし、この配索対象物に沿わせて配策され、かつ、この配索対象物に対して固定される。よって、本変形例のワイヤハーネス2は、実施形態のワイヤハーネス1と同じように、ハーネス固定部材43を少なくとも1つ備え、第1外装部材150と第2外装部材160にハーネス固定部材43毎の挿通孔35を設けている(図13及び図19)。
【0057】
ここで、本変形例のワイヤハーネス2は、溝形状の電線配索経路が形成された配索対象物に固定する。例えば、ここでは、配索対象物たるドアDのインナパネルD1に溝形状の電線配索経路D1aが形成されている(図19)。本変形例のワイヤハーネス2においては、その電線配索経路D1aの中に嵌め込むことが可能な主電線配索路152と副電線配索路153を第1外装部材150に形成する(図19)。よって、本変形例のワイヤハーネス2は、主電線配索路152と副電線配索路153をインナパネルD1の電線配索経路D1aの中に嵌め込み、かつ、インナパネルD1の平面部分に第1外装部材150の外壁面を沿わせながら、このインナパネルD1に複数箇所のハーネス固定部材43で第1外装部材150と第2外装部材160を固定する(図19)。
【0058】
以上示した本変形例のワイヤハーネス2においては、実施形態のワイヤハーネス1と同じように、電線接続対象とする全ての対になる電気接続具10の組み合わせにて、その対になる電気接続具10の間が電線群20によって最短経路で直線的に繋がれている。従って、このワイヤハーネス1は、電線群20の材料費を低く抑えることができるので、原価の低減を図ることができる。また、このワイヤハーネス2は、全ての電線群20を最短経路で直線的に配策した上で、この全ての電線群20を第1外装部材150と第2外装部材160で挟み込んで固定している。従って、このワイヤハーネス2は、従来のような電線群20の分岐部が形成されないので、その分岐部で電線群20を束ねる粘着テープやクランプが必要なく、これ故、この点でも原価の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0059】
1,2 ワイヤハーネス
10 電気接続具
11 主電気接続具
11A 第1主電気接続具
11B 第2主電気接続具
12 副電気接続具
12A 第1副電気接続具
12B 第2副電気接続具
20 電線群
21 主電線群
22 副電線群
30 外装部材
31 接合部
32 電線引出口
35 挿通孔
42 電線固定部材
43 ハーネス固定部材
132A 第1主電線引出口
132B 第2主電線引出口
132C 第1副電線引出口
132D 第2副電線引出口
150 第1外装部材
151e シート面
151 主体
151a 第1辺部
151b 第2辺部
151c 第3辺部
151d 第4辺部
152 主電線配索路
152a 主電線挿入口
153 副電線配索路
153A 第1副電線配索路
153B 第2副電線配索路
153C 第3副電線配索路
153D 第4副電線配索路
153E 第5副電線配索路
153a 副電線挿入口
160 第2外装部材
161 シート面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19