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特開2024-166021電気伝導性に優れた微細電流形成液晶化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166021
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電気伝導性に優れた微細電流形成液晶化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20241121BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20241121BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/55
A61K8/37
A61K8/365
A61K8/44
A61K8/73
A61K8/92
A61K8/36
A61K8/891
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023160233
(22)【出願日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0063984
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523365055
【氏名又は名称】ニューアンドニュー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEW&NEW Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】85 Baekseokgongdan 1-ro, Seobuk-gu, Cheonan-si, Chungcheongnam-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョ テ
(72)【発明者】
【氏名】カン,グ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョン ユル
(72)【発明者】
【氏名】イ,ホ ヨン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD571
4C083AD572
4C083CC02
4C083DD44
4C083EE07
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】本発明は、電気伝導性に優れた微細電流形成液晶化粧料組成物に関する。
【解決手段】液晶エマルジョンと電解質との適切な組み合わせにより電気伝導性を高め、電圧を形成し、化学的電池としての役割をし、微細電流を形成する液晶化粧料組成物を提供することによって、有効物質のイオン化を通じた皮膚吸収増大、微細電流自体の皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化などの優れた効果を発揮することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相に粘増剤を添加して分散する段階(a);
前記段階(a)の後に、よく溶かした油相を前記段階(a)の水相に投入して乳化する段階(b);及び
前記段階(b)の後に、冷却によって液晶粒子を形成する段階(c);を含み、
前記水相は、精製水、グリセリン、水添レシチン、オリーブ油脂肪酸セテアリル、クエン酸ナトリウム、クエン酸、及びベタインを含んで構成され、
前記粘増剤は、ジウタンガム、及びキサンタンガムを含んで構成され、
前記油相は、シアバター、セテアリルアルコール、ステアリン酸、フェニルメチルトリメチコン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、及びステアリン酸ポリグリセリル-6を含んで構成されることを特徴とする液晶化粧料組成物の製造方法。
【請求項2】
前記液晶化粧料組成物は、微細電流を形成することを特徴とする、請求項1に記載の液晶化粧料組成物の製造方法。
【請求項3】
前記水相は、防腐剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶化粧料組成物の製造方法。
【請求項4】
前記ジウタンガムは、ジウタンガムを含んでいるスフィンゴモナス属(Sphingomonas sp.)菌株の培養液又はその抽出物に由来することを特徴とする、請求項1に記載の液晶化粧料組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1の製造方法によって製造されたことを特徴とする液晶化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気伝導性に優れた微細電流形成液晶化粧料組成物に関し、より詳細には、液晶エマルジョンと電解質との組み合わせで電気伝導性を高め、電圧を形成することによって微細電流を形成する液晶化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
微細電流は、近年、傷の治癒、細胞活性、皮膚トーン改善及び皮膚弾力などに効果を与えるなどの有益な機能性を有することが長年の研究によって発表されている。したがって、近年、これを活用したビューティーデバイス市場が数年にわたって成長し続けているが、これは、価格が高く、使用及び携帯が不便であるという短所を有する。そこで、ビューティーデバイスを用いなくても微細電流を起こし得る剤型の化粧料を開発する必要がある。
【0003】
そこで、近年開発された技術では、消費者達が化粧品を使用するとき、皮膚に塗布した後で叩いたり、皮膚に圧力を加えながら擦る使用法に基づく圧電性(力を加えると、分極によって微細電流又は電圧が発生する現象)という概念を化粧品に適用しようとした。すなわち、塗布時に圧力を加えると微細電流が形成される方式の微細電流発生方式が考案された。
【0004】
しかし、このような直接的な圧力を加えなくても微細電流を発生させ、皮膚層に有効成分を効果的に伝達し、吸収力を高め、微細電流による有益な皮膚機能性(弾力増進、皮膚障壁強化など)を発揮できる新しい技術の開発に対する必要性が検討されている。
【0005】
特許文献1は、圧電性能を有する化粧料組成物に関し、より詳細には、乳化剤、高分子パウダー、乳化安定剤、圧電性高分子及び水を含み、美容機器の補助がなくても水溶性有効成分を皮膚に効果的に伝達できる圧電性能を有する化粧料組成物に関して記載されている。特許文献2は、圧電化粧料組成物に関し、より詳細には、圧力を加えたときに微細電流を発生させる圧電物質を有効成分として含有する圧電化粧料組成物に関して記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-2041748号
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-1819467号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
微細電流は、皮膚に有益な機能性を発揮できるという点で化粧料組成物に適用する必要性が高いが、既存のデバイス装置は、価格が高く、使用及び携帯が不便であるため、適用に限界があった。そこで、本発明では、液晶エマルジョンと電解質との適切な組み合わせにより電気伝導性を高め、電圧を形成し、化学的電池としての役割をし、微細電流を形成することができ、皮膚吸収増大、皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化などの効果を発揮できる液晶化粧料組成物を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、水相に粘増剤を添加して分散する段階(a);前記段階(a)の後に、よく溶かした油相を前記段階(a)の水相に投入して乳化する段階(b);及び前記段階(b)の後に、冷却によって液晶粒子を形成する段階(c);を含み、前記水相は、精製水、グリセリン、水添レシチン(hydrogenated lecithin)、オリーブ油脂肪酸セテアリル(cetearyl olivate)、クエン酸ナトリウム(sodium citrate)、クエン酸(citric acid)、及びベタイン(betaine)を含んで構成され、前記粘増剤は、ジウタンガム(diutan gum)、及びキサンタンガム(xanthan gum)を含んで構成され、前記油相は、シアバター、セテアリルアルコール(cetearyl alcohol)、ステアリン酸(stearic acid)、フェニルメチルトリメチコン(phenylmethyl trimethicone)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Caprylic and Capric Triglyceride)、及びステアリン酸ポリグリセリル-6(polyglyceryl-6 stearate)を含んで構成されることを特徴とする液晶化粧料組成物の製造方法を提供する。
【0009】
一方、本発明の製造方法において、前記液晶化粧料組成物は、微細電流を形成するものであることが好ましい。
【0010】
一方、本発明の製造方法において、前記水相は、防腐剤をさらに含むことが好ましい。
【0011】
一方、本発明の製造方法において、前記ジウタンガムは、ジウタンガムを含んでいるスフィンゴモナス属(Sphingomonas sp.)菌株の培養液又はその抽出物に由来するものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されたことを特徴とする液晶化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、液晶エマルジョンと電解質との適切な組み合わせにより電気伝導性を高め、電圧を形成し、化学的電池としての役割をし、微細電流を形成する液晶化粧料組成物を提供することによって、有効物質のイオン化を通じた皮膚吸収増大、微細電流自体の皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化などの優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の液晶化粧料組成物を顕微鏡で観察した写真である。
図2】本発明の液晶化粧料組成物の電流及び微細電流を測定するために使用した測定装置を示した図である。
図3】本発明の液晶化粧料組成物の電気伝導度を測定した結果を示す図である。
図4】本発明の液晶化粧料組成物を皮膚に塗布した後の皮膚の電気伝導度を測定した結果を示す図である。
図5】発光ダイオードに適用した本発明の液晶化粧料組成物と他社の化粧料組成物とを比較した結果を示す発光写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
微細電流は、皮膚に有益な機能性を発揮できるという点で化粧料組成物に適用する必要性が高いが、既存のデバイス装置は、価格が高く、使用及び携帯が不便であるので、適用に限界を有していた。そこで、近年、消費者達が化粧品を使用するとき、皮膚に塗布した後で叩いたり、皮膚に圧力を加えながら擦る使用法に基づいて圧電性(力を加えると、分極によって微細電流又は電圧が発生する現象)という概念を化粧品に適用し、塗布時に圧力を加えると微細電流が形成される方式の微細電流発生方式が考案された。
【0016】
しかし、本発明では、このような直接的な圧力を加えなくても微細電流を効果的に発生できる化粧料組成物を考案するべく鋭意努力した結果、液晶エマルジョンと電解質とを適切に組み合わせ、これらの流動性及び相互補完性で電気伝導性を高め、電圧を形成し、化学的電池としての役割をすることによって、皮膚に圧力を加えたり塗布することなく、剤型自体内に微細電流が形成され得る技術を開発した。
【0017】
そこで、本発明は、水相に粘増剤を添加して分散する段階(a);前記段階(a)の後に、よく溶かした油相を前記段階(a)の水相に投入して乳化する段階(b);及び前記段階(b)の後に、冷却によって液晶粒子を形成する段階(c);を含み、前記水相は、精製水、グリセリン、水添レシチン、オリーブ油脂肪酸セテアリル、クエン酸ナトリウム、クエン酸、及びベタインを含んで構成され、前記粘増剤は、ジウタンガム、及びキサンタンガムを含んで構成され、前記油相は、シアバター、セテアリルアルコール、ステアリン酸、フェニルメチルトリメチコン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、及びステアリン酸ポリグリセリル-6を含んで構成されることを特徴とする液晶化粧料組成物の製造方法を提供する。
【0018】
上記のような製造方法で製造した液晶化粧料組成物は、優れた電気伝導度を有するので微細電流をうまく形成することができ、ガルバニック効果として、化粧料組成物内の有効物質のイオン化を通じた皮膚吸収増大や微細電流自体の皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化などの効果を発揮することができる。
【0019】
以下では、本発明の液晶化粧料組成物の製造方法を各段階別に細分化して説明する。
【0020】
<段階(a):水相に粘増剤を添加して分散する段階>
【0021】
本段階は、水相に粘増剤を添加して分散する段階であって、前記水相は、精製水、グリセリン、水添レシチン、オリーブ油脂肪酸セテアリル、クエン酸ナトリウム、クエン酸、及びベタインを含んで構成される。
【0022】
一方、本段階は、前記水相を60℃~80℃まで加温し、粘増剤を添加して分散した後、70℃~90℃まで加温することが好ましい。このとき、前記範囲未満で加温した場合は、油相の溶解性に影響を及ぼしたり、粒子サイズの形成に否定的な影響を与え得る一方で、前記範囲を超えて加温した場合は、蒸発量が高いので、乳化の形成に否定的な影響を与え得る。
【0023】
水添レシチンは、豆や卵などに由来するレシチンに水素を添加して得た成分であって、レシチンは、酸素と出会ったときに不安定になるので、これに水素を添加して作られる。これは、界面活性剤(乳化剤)、懸濁化剤(非界面活性剤)、皮膚コンディショニング剤などとして使用されるものとして知られており、保湿及び弾力効果を発揮し、皮膚を回復させる効果を発揮できる。本発明では、液晶エマルジョンを形成するための核心成分のうち一つとしてこれを使用した。
【0024】
オリーブ油脂肪酸セテアリルは、セテアリルアルコールとオリーブオイルに由来する脂肪酸とが結合された形態の合成エステル成分であって、主に室温では液体の形態をしている。これは、PEG系列の乳化剤やPPG系列の乳化剤に取って代わる植物性乳化剤成分として使用され、保湿、皮膚障壁の回復、皮膚鎮静などの多様な効果を有している成分として活用され得る。本発明では、液晶エマルジョンを形成するための核心成分のうち一つとしてこれを使用した。
【0025】
一方、本発明では、液晶エマルジョンと電解質とを組み合わせることによって剤型自体内に微細電流が形成されるようにするが、このために、電解質として、クエン酸ナトリウム、クエン酸、及びベタインを使用した。このとき、液晶エマルジョンが多重層(多重レイヤー)の形態で配列されており、それらの構造の間に前記電解質の各構成成分が配列され、電気伝導度が高くなりながら微細電流が形成される。
【0026】
クエン酸ナトリウムは、クエン酸のナトリウム塩成分であって、塩味を有する白色の粉末形態を有する。これは、化粧品の腐敗又は変質を防止する金属イオン封鎖剤、及び化粧品の酸度を調節し、色を保存し、酸化を防止するpH酸度調節剤などとして使用される。本発明では、電解質のうち一つとしてこれを使用した。
【0027】
クエン酸は、有機酸の一種であって、果実酸とも呼ばれ、果物の酸味から抽出される天然成分を言う。これは、化粧品の腐敗又は変質を防止する金属イオン封鎖剤、香料、及び酸敗を防止するpH調節剤などとして使用される。本発明では、電解質のうち一つとしてこれを使用した。
【0028】
ベタインは、サトウダイコン、ビート、クコの実などから抽出したアミノ酸成分であって、保湿剤、ヘアコンディショニング剤、食品添加物、抗酸化剤などの多様な役割をするものとして使用される。これは、油分と水分のコントロールを通じた皮膚乾燥防止効果、消炎効果、化粧品原料の刺激減少効果などを発揮することができる。本発明では、電解質のうち一つとしてこれを使用した。
【0029】
一方、前記電解質は、クエン酸ナトリウム0.04重量部~0.06重量部、クエン酸0.04重量部~0.06重量部、及びベタイン1重量部~3重量部を含むことが好ましい。これを通じて、電解質が液晶エマルジョンと安定的に相互補完し合い、化学的電池としての役割を円滑に行うことができる。
【0030】
一方、本発明の製造方法において、前記水相は、防腐剤をさらに含むことが好ましい。前記防腐剤は、当業界で公知となったものであればいずれにも制限されない。
【0031】
一方、本段階で、前記粘増剤は、当業界で公知となったものであればいずれにも制限されないが、一例として、カゼイン、アルギン酸、キサンタンガムなどの天然物質と、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの半合成物質と、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリレート類などの合成高分子などを含み、ジウタンガム、及びキサンタンガムから選ばれるいずれか一つ以上を含むことが好ましい。このとき、前記ジウタンガムとしては、ジウタンガムを含んでいるスフィンゴモナス属(Sphingomonas sp.)菌株の培養液又はその抽出物に由来するものを使用すると良いが、ジウタンガムを含んでいるスフィンゴモナス属(Sphingomonas sp.)菌株を培養すると、培養液上にジウタンガムが多く分泌されるので、その培養液又はその抽出物を精製して使用した。前記粘増剤は、ジウタンガム0.1重量部~0.3重量部、及びキサンタンガム0.02重量部~0.06重量部を含むことがさらに好ましい。
【0032】
<段階(b):よく溶かした油相を前記段階(a)の水相に投入して乳化する段階>
【0033】
本段階は、よく溶かした油相を前記段階(a)の水相に投入して乳化する段階であって、前記油相は、シアバター、セテアリルアルコール、ステアリン酸、フェニルメチルトリメチコン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、及びステアリン酸ポリグリセリル-6を含んで構成される。
【0034】
一方、本段階は、前記油相を70℃~90℃まで加温してよく溶かした後、前記段階(a)の水相に投入して乳化を行うと良い。これを通じて、前記油相と水相の乳化がうまく起こる。このとき、前記範囲未満で加温した場合は、油相が溶けない危険性がある一方で、前記範囲を超えて加温した場合は、脂肪酸の酸敗が起こるので問題が生じ得る。
【0035】
一方、本発明において、液晶エマルジョンを形成するためには、当業界で公知となった脂肪酸及び乳化剤であればいずれも使用可能であるが、好ましくは、前記水相の水添レシチン及びオリーブ油脂肪酸セテアリルと、前記油相のセテアリルアルコール及びステアリン酸とを含んで乳化することによって液晶エマルジョンをうまく形成できる。水添レシチン、オリーブ油脂肪酸セテアリル及びステアリン酸などの各界面活性剤とセテアリルアルコールが多重層として乳化粒子を形成することができ、液晶エマルジョンを安定的に形成することができる。このとき、前記各界面活性剤が乳化時に二重層を形成し、それらの各二重層自体が粒子化されて、多重層の液晶エマルジョンを形成することができる。また、セテアリルアルコールが常温で固体の形態となっており、冷却時にその形態を安定的に保持することができ、液晶エマルジョンをうまく形成できる。液晶エマルジョンは、水添レシチン0.4重量部~0.6重量部、オリーブ油脂肪酸セテアリル1重量部~2重量部、セテアリルアルコール1重量部~3重量部、及びステアリン酸1重量部~3重量部を含むことが好ましい。
【0036】
セテアリルアルコールは、セチル及びステアリルアルコールで構成された脂肪アルコールの混合物であって、乳化安定剤、不透明化剤、界面活性剤-発泡剤、粘増剤として多く使用される。これは、化粧品の塗布性を良好にしながらも保湿に効能を有し、多くの化粧品の素材として活用され得る。本発明では、液晶エマルジョンを形成するための核心成分のうち一つとしてこれを使用した。
【0037】
ステアリン酸は、天然脂肪酸で作られた高級飽和脂肪酸の混合物成分であって、オクタデカン酸とも呼ばれる。これは、香料、界面活性剤、洗浄剤、及び乳化剤として使用され、各物質の界面に吸着したとき、互いに混ざらない異なる成分の安定に関与し、洗浄力の付与に使用される。また、これは、皮膚安定性に優れ、皮膚に油膜を形成することによって水分の蒸発を防止し、乾燥を防止するという効果を有する。本発明では、液晶エマルジョンを形成するための核心成分のうち一つとしてこれを使用した。
【0038】
<段階(c):冷却によって液晶粒子を形成する段階>
【0039】
本段階は、前記段階(b)で乳化した後、冷却によって液晶粒子を形成する段階である。
【0040】
一方、本段階は、乳化後、前記冷却時に30℃~50℃までこれを冷却することによって液晶粒子を形成すると良い。このとき、前記範囲を超えて冷却した場合は、冷却が十分に行われないので、粒子の変形が起こる可能性が高いという問題がある。
【0041】
このように、本発明は、前記製造方法によって製造された液晶化粧料組成物を完成した(図1)。これは、液晶エマルジョンと電解質との適切な組み合わせにより電気伝導性を高め、電圧を形成し、化学的電池としての役割をし、微細電流を形成することができ、皮膚吸収増大、皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化などの効果を発揮することができる。
【0042】
一方、本発明の液晶化粧料組成物において、前記化粧料組成物は、皮膚吸収増大用、皮膚弾力増進用、及び皮膚障壁強化用から選ばれるいずれか一つ以上の用途に使用され得る。また、これは、微細電流を形成することによって、有効物質のイオン化を通じた皮膚吸収増大、微細電流自体の皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化などの優れた効果を発揮できる。
【0043】
一方、本発明において、前記化粧料組成物は、一例として、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、化粧水、ジェル、水溶性リキッド、クリーム、エッセンス、界面活性剤含有クレンジング、オイル、水中油(O/W)型及び油中水(W/O)型エマルジョン、ローション、アイクリーム、スーディングジェル、及び軟膏から選ばれるいずれか一つの基礎化粧料剤型;マスクパック用剤型;ボディーウォッシュ用剤型;ピーリングジェル;水中油型及び油中水型メイクアップベース、ファンデーション、スキンカバー、リップスティック、リップグロス、フェースパウダー、ツーウェイケーキ、アイシャドウ、チークカラー及びアイブローペンシル類から選ばれるいずれか一つのカラーメイクアップ化粧料剤型;及び頭皮用剤型;から選ばれるいずれか一つであってもよく、透明スキントナー、透明エッセンス、低粘性の乳化型ローションエッセンス、及び高粘性の乳化型クリームで構成されたグループから選ばれた一つ以上の剤型であることが好ましい。
【0044】
また、本発明の化粧料組成物は、化粧分野で通常使用される補助剤、例えば、親水性又は親油性活性剤、保存剤、抗酸化剤、溶媒、芳香剤、充填剤、遮断剤、顔料、吸収剤、染料などを含有することができる。これらの多様な補助剤の量は、当該分野で通常使用される量であって、いずれの場合にも、補助剤及びその比率は、本発明に係る化粧料組成物の好ましい性質に悪影響を及ぼさないように選択され得る。
【0045】
また、本発明の化粧料組成物は、本発明以外の他の化粧料組成物と重複して使用することができる。また、本発明に係る化粧料組成物は、通常の使用方法によって使用可能であり、ユーザーの皮膚状態又は趣向によってその使用回数を異ならせることができる。
【0046】
一方、下記の実験によると、本発明の液晶エマルジョンと電解質とを混合して製造した液晶化粧料組成物は、電流、電圧の形成及び電気伝導度に優れ、発光程度にも優れることを確認し、実際に皮膚に塗布したときにも微細電流をうまく形成することができた。これを通じて、本発明の液晶化粧料組成物は、微細電流を形成し、ガルバニック効果として、化粧料組成物内の有効物質のイオン化を通じた皮膚吸収増大や微細電流自体の皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化などの効果を発揮できることによって、多様な化粧品素材として適用可能であると判断される。
【0047】
以下、本発明の内容を下記の実施例及び実験例を通じてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の権利範囲が下記の実施例及び実験例にのみ限定されることはなく、それと等価の技術的思想の変形まで含む。
【0048】
[実施例及び比較例:本発明の微細電流形成液晶化粧料組成物の製造]
【0049】
本実施例では、微細電流を形成する液晶化粧料組成物を製造した。比較のために、電解質を添加していない化粧料組成物を製造した。詳細な組成は、下記の表1に示す通りであった。水添レシチン、オリーブ油脂肪酸セテアリル、セテアリルアルコール、及びステアリン酸を用いて液晶エマルジョンを形成するようになり、電解質としてクエン酸ナトリウム、クエン酸、及びベタインを添加した。
【0050】
本発明の液晶化粧料組成物を製造する過程は、次の通りである。まず、水相(表1の1~8の成分)を70℃まで加温した後、粘増剤(表1の9~10の成分)をよく分散してから80℃まで加温した。油相(表1の11~16)を80℃まで加温してよく溶かした後、前記水相に投入しながら乳化を行った。その後、40℃まで徐々に冷却しながら液晶粒子をうまく形成した。このように完成した液晶化粧料組成物は、図1に示すように顕微鏡で観察し、微細電流がうまく形成されるかどうかを確認するために下記の実験を行った。
【0051】
【表1】
*:ジウタンガムとしては、ジウタンガムを含んでいるスフィンゴモナス属(Sphingomonas sp.)菌株の培養液に由来するジウタンガムを使用した。
【0052】
[実験例1:本発明の液晶化粧料組成物の電圧、微細電流、電気伝導度の測定及び発光程度の確認]
【0053】
本実験例では、前記実施例の液晶化粧料組成物の電圧、微細電流及び電気伝導度を測定し、液晶化粧料組成物を発光ダイオードに適用し、その発光程度を確認した。
【0054】
まず、図2に示す測定道具を用いて電圧及び微細電流を測定した。その結果、表2に示すように、本発明の液晶エマルジョンと電解質との組み合わせにより作られた液晶化粧料組成物は、電流及び電圧の形成が比較例に比べて遥かに高いことを確認した。また、これは、他社のガルバニッククリーム(微細電流の形成)に比べても優れた効果であることが分かった。
【0055】
【表2】
【0056】
そこで、本発明の液晶化粧料組成物の電気伝導度を測定した結果、図3に示すように、対照群(他社のガルバニッククリーム)及び蒸留水に比べて遥かに優れた電気伝導度を示すことを確認し、微細電流がうまく形成されることが分かった。また、これを皮膚に塗布した後、皮膚の電気伝導度を測定したときにも、図4に示すように、対照群(他社のガルバニッククリーム)及び蒸留水に比べて皮膚での電気伝導度に優れ、微細電流がうまく形成されることが分かった。
【0057】
一方、発光ダイオードに本発明の液晶化粧料組成物を適用した後、その発光程度を確認した結果、図5に示すように、対照群(他社のガルバニッククリーム)に比べて優れた発光程度を示すことを確認することができた。
【0058】
以上をまとめると、本発明の液晶化粧料組成物は、電流、電圧の形成及び電気伝導度に優れ、発光程度にも優れることを確認した。これを通じて、実際に皮膚に塗布したときにも皮膚に微細電流をうまく形成し、ガルバニック効果として、化粧料組成物内の有効物質のイオン化を通じた皮膚吸収増大や微細電流自体の皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化などの効果を発揮できると判断される。
図1
図2
図3
図4
図5