IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

特開2024-166026車両用制御装置及び車両用制御プログラム
<>
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図1
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図2
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図3
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図4
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図5
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図6
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図7
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図8
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図9
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図10
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図11
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図12
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図13
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図14
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図15
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図16
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図17
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御プログラム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166026
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】車両用制御装置及び車両用制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20241121BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173909
(22)【出願日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2023081857
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB26
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD57
2F129EE02
2F129EE25
2F129EE29
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE81
2F129EE95
2F129FF11
2F129FF12
2F129FF62
2F129FF65
2F129FF72
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH14
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH22
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181FF40
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能な車両用制御装置等の提供。
【解決手段】自動運転ECUは、ドライバの運転操作を支援又は代行する走行制御機能を備える自車両において用いられ、車両用制御装置として機能する。自動運転ECUでは、走行制御機能によって用いられる自車両の走行計画が把握される。そして、走行計画にてUターン制御の実施が予定されている場合、経路案内の報知が、Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様で実施される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバの運転操作を支援又は代行する走行制御機能を備える自車両(Am)において用いられる車両用制御装置であって、
前記走行制御機能によって用いられる前記自車両の走行計画を把握する計画把握部(77,82)と、
前記走行計画にてUターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知を、前記Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様で実施する報知実施部(72,88)と、
を備える車両用制御装置。
【請求項2】
前記報知実施部は、前記Uターン制御の実施が予定されている場合の前記経路案内の報知を、前記Uターン制御の実施が予定されていない場合の前記経路案内の報知よりも強調した態様で実施する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記計画把握部は、前記Uターン制御の実施が予定されているUターン予定場所(UL)が交差点(IA)であるか否かを把握し、
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン予定場所が前記交差点であるか否かに応じて、前記Uターン制御の内容を変更する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記制御実施部は、ターン元車線(LnS)からターン先車線(LnG)への前記Uターン制御を実施する場合、前記ターン元車線のうちで前記ターン先車線から遠い側に位置する外側端(EO)に前記自車両を寄せる請求項3に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記制御実施部は、前記Uターン予定場所が前記交差点である場合、前記Uターン予定場所が前記交差点でない場合よりも、前記外側端に前記自車両を近づける請求項4に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記報知実施部は、前記Uターン制御にて前記自車両の一時停止が行われる場合と、前記一時停止が行われない場合とで、前記経路案内の報知の態様を変更する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項7】
前記報知実施部は、前記Uターン制御にて前記一時停止が行われる場合よりも、前記一時停止が行われない場合の前記経路案内の報知を強調する請求項6に記載の車両用制御装置。
【請求項8】
前記報知実施部は、前記Uターン制御にて前記自車両の切り返しが行なわれる場合と、前記切り返しが行なわれない場合とで、前記経路案内の報知の態様を変更する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項9】
前記報知実施部は、前記Uターン制御にて前記切り返しが行なわれる場合、前記切り返しが行なわれない場合よりも、自車周囲の広範囲の状況を前記経路案内にて報知する請求項8に記載の車両用制御装置。
【請求項10】
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御の開始後における前記自車両の行き詰まりを判定し、当該行き詰まりを判定した地点から前記切り返しを開始する請求項8又は9に記載の車両用制御装置。
【請求項11】
前記自車両の搭乗者による前記Uターン制御の実施の許可を取得する許可取得部(71)と、
前記搭乗者による前記Uターン制御の実施の許可がある場合に、前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)と、をさらに備える請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項12】
前記報知実施部は、前記Uターン制御の実施を許可するか否かを判断するための情報として、前記Uターン制御に必要な切り返しの回数を前記搭乗者に報知する請求項11に記載の車両用制御装置。
【請求項13】
前記制御実施部は、
前記搭乗者による実施の許可がある場合に限り、切り返しが必要な前記Uターン制御を実施し、
前記搭乗者による実施の許可がない場合でも、前記切り返しが不要な前記Uターン制御であれば実施する請求項11に記載の車両用制御装置。
【請求項14】
前記報知実施部は、前記自車両に設定された経路を変更するリルートが発生した場合、前記リルート後において前記Uターン制御の実施を許可するか否かを前記自車両の搭乗者に問い合わせる請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項15】
前記報知実施部は、前記Uターン制御の推奨条件を満たすUターン推奨場所が前記リルート後の経路にある場合、当該Uターン推奨場所での前記Uターン制御の実施を前記搭乗者に提案する請求項14に記載の車両用制御装置。
【請求項16】
前記Uターン制御を行わなくても前記自車両に設定された目的地(DST)に到達できる場合、前記Uターン制御の実施を回避し、前記Uターン制御を行わないと前記目的地に到達できない場合、前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備える請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項17】
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、ターン元車線(LnS)からターン先車線(LnG)への前記Uターン制御を実施する場合、前記Uターン制御での自動運転レベルを、前記ターン先車線において許可される前記自動運転レベルに設定する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項18】
前記制御実施部は、前記走行制御機能における前記自動運転レベルを、前記ターン元車線を走行しているうちに、前記ターン先車線において許可される前記自動運転レベルに引き下げる請求項17に記載の車両用制御装置。
【請求項19】
前記制御実施部は、前記Uターン制御の制御負荷に応じて、前記ドライバによる操舵操作部の把持義務の有無を変更する請求項17に記載の車両用制御装置。
【請求項20】
前記報知実施部は、前記Uターン制御が実施される場合、前記ドライバに周辺監視を促す報知を実施する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項21】
前記自車両の後方を走行する後方車両を把握する物標把握部(74)と、
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御での前記自車両の予定走行ラインを前記後方車両の有無に応じて変更する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項22】
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、ターン元車線(LnS)からターン先車線(LnG)への前記Uターン制御を実施する場合、前記ターン元車線を挟んで前記ターン先車線の反対側に位置する外側車線(LnO)に前記自車両をはみ出させるか否かを決定する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項23】
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御の実施を許可するか否かの判断基準を、前記Uターン制御に適用予定の自動運転レベルに応じて変更する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項24】
前記制御実施部は、前記自動運転レベルが高くなるほど前記Uターン制御の実施を許可し易くする請求項23に記載の車両用制御装置。
【請求項25】
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御での前記自車両の予定走行ラインを、前記Uターン制御に適用予定の自動運転レベルに応じて変更する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項26】
前記制御実施部は、前記自動運転レベルが高くなるほど、切り返しが不要な前記予定走行ラインを設定する請求項25に記載の車両用制御装置。
【請求項27】
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御の実施を許可するか否かの設定を、前記自車両に設定された目的地と現在位置との位置関係、及び前記目的地への到着予約時刻と現在時刻との時間関係、の少なくとも一方に応じて変更する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項28】
ドライバの運転操作を支援又は代行する走行制御機能を備える自車両(Am)において用いられる車両用制御プログラムであって、
前記走行制御機能によって用いられる前記自車両の走行計画を把握し(S61)、
前記走行計画にてUターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知を、前記Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様で実施する(S62)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11,51)に実行させる車両用制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、ドライバの運転操作を支援又は代行する走行制御機能を備えた自車両において用いられる車両用の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動運転車両の経路計画を生成する方法が記載されている。具体的に、特許文献1では、計画された経路に基づく運転シナリオの1つとして、Uターンシナリオが含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-523552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなUターンシナリオに基づき自動運転車両である自車両がUターンを行う場合、Uターン以外の走行制御(例えば、右左折制御等)を行う場合よりも、自車両は、大きく進行方向を変えることになる。その結果、Uターン制御を行う自車両の挙動に対して、搭乗者が不安を感じ易くなり得る。
【0005】
本開示は、Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能な車両用制御装置、及び車両用制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、ドライバの運転操作を支援又は代行する走行制御機能を備える自車両(Am)において用いられる車両用制御装置であって、走行制御機能によって用いられる自車両の走行計画を把握する計画把握部(77,82)と、走行計画にてUターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知を、Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様で実施する報知実施部(72,88)と、を備える車両用制御装置とされる。
【0007】
また開示された一つの態様は、ドライバの運転操作を支援又は代行する走行制御機能を備える自車両(Am)において用いられる車両用制御プログラムであって、走行制御機能によって用いられる自車両の走行計画を把握し(S61)、走行計画にてUターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知を、Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様で実施する(S62)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11,51)に実行させる車両用制御プログラムとされる。
【0008】
これらの態様では、走行制御機能によって用いられる走行計画にて、Uターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知は、Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様とされる。故に、自車両の搭乗者は、通常とは異なる経路案内の報知により、Uターン制御の実施予定を知り得る。その結果、Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0009】
尚、上記及び特許請求の範囲における括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、特許請求の範囲において明示していない請求項同士の組み合せも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第一実施形態による自動運転ECU及びHMI制御装置を含む車載ネットワークの全体像を示す図である。
図2】自動運転ECUの詳細を示すブロック図である。
図3】自動運転ECUにて実施されるUターン制御を説明するための図である。
図4】交差点にてUターンを行う場合のオフセット制御を説明するための図である。
図5】接続路にてUターンを行う場合のオフセット制御を説明するための図である。
図6】外側車線へのはみ出しを行う場合のUターン制御を説明するための図である。
図7】Uターン経路案内を行う自車ステータスを示す図である。
図8】右折経路案内を行う自車ステータスを示す図である。
図9】一時停止することなくUターンを行う場合の自車ステータスを示す図である。
図10】切り返しが発生した場合の自車ステータスを示す図である。
図11】自動運転ECU及びHMI制御装置にて実施される問い合わせ処理の詳細を示すフローチャートである。
図12】自動運転ECUにて実施される走行計画生成処理の詳細を示すフローチャートである。
図13】自動運転ECU及びHMI制御装置にて実施されるUターン報知処理の詳細を示すフローチャートである。
図14】自動運転ECUにて実施される切り返し実行処理の詳細を示すフローチャートである。
図15】本開示の第二実施形態による自動運転ECUにて実施される許否判断処理の詳細を示すフローチャートである。
図16】自動運転ECU及びHMI制御装置にて実施される問い合わせ処理の詳細を示すフローチャートである。
図17】自動運転ECUにて実施される走行計画生成処理の詳細を示すフローチャートである。
図18】本開示の第三実施形態による自動運転ECUにて実施される制限解除処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0012】
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態による車両用制御装置の機能は、図1及び図2に示す自動運転ECU(Electronic Control Unit)50bによって実現されている。自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aと共に車両(以下、自車両Am)に搭載されている。自動運転ECU50b及び運転支援ECU50a等は、自車両Amの自動運転システム50を構成している。自動運転システム50の搭載により、自車両Amは、自動運転機能(走行制御機能)を備えた自動運転車両となり、自動運転機能(自律走行制御)によって走行可能となる。
【0013】
運転支援ECU50aは、自動運転システム50において、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を実現させる車載ECUである。運転支援ECU50aは、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、レベル2程度の高度運転支援又は部分的な自動運転を可能にする。運転支援ECU50aによって実施される自動運転は、ドライバの目視による自車周辺の監視が必要な周辺監視義務のある自動運転となる。例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)、LTC(Lane Trace Control)、及びLCA(Lane Change Assist)等の運転支援機能が運転支援ECU50aによって実現される。
【0014】
自動運転ECU50bは、ドライバの運転操作を代行可能な自律走行機能を実現させる車載ECUである。自動運転ECU50bは、システムが制御主体となるレベル3以上の自律走行を実施可能である。自動運転ECU50bによって実施されるレベル3の自動運転は、ドライバによる周辺監視義務のない、自車周囲の監視が不要なアイズオフの自動運転となる。
【0015】
自動運転ECU50bは、レベル4以上の自動運転を実施可能であってよい。レベル4の自動運転は、システムによって全ての運転タスクが実施される完全自動運転であり、ドライバへ向けた運転交代の要請が発生しないブレインオフの自動運転となる。加えて、自動運転ECU50bは、高速道路を除く一般道であって歩行者等が車両と混在する交通環境において、ドライバによって周辺監視が実施された状態下、自動運転レベル2に相当するハンズオン自動運転又はハンズオフ自動運転を実施する。
【0016】
自動運転システム50では、運転支援ECU50a又は自動運転ECU50bによる周辺監視義務のある運転支援制御と、自動運転ECU50bによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで自動運転機能の制御状態が切り替えられる。以下の説明では、運転支援ECU50a又は自動運転ECU50bによるレベル2以下の自動運転制御を「運転支援制御」と記載し、自動運転ECU50bによるレベル3以上の自動運転制御を「自律走行制御」と記載する。
【0017】
自動運転ECU50bによる自律走行制御によって自車両Amが走行する自動走行期間では、予め規定された運転以外の特定行為(以下、セカンドタスク)がドライバに許可され得る。セカンドタスクは、自動運転ECU50bがHMI(Human Machine Interface)制御装置100と連携して行う運転交代要請の発生まで、ドライバに法規的に許可される。例えば、動画等のエンターテイメント系のコンテンツの視聴、スマートフォン等のデバイス操作、及び食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0018】
運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、自車両Amに搭載された車載ネットワーク1の通信バス99に、通信可能に接続されている。通信バス99には、車内モニタ装置29、周辺監視センサ30、ロケータ35、ナビゲーションECU38、車載通信機39、走行制御ECU40、及びHMI制御装置100等が接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。これらECU等のうちの特定のノード同士は、相互に直接的に電気接続され、通信バス99を介することなく通信可能であってもよい。
【0019】
車内モニタ装置29は、自車両Amの車室内を撮影する複数の車室内カメラと、複数の車室内カメラを制御する制御ユニットと備えている。車室内カメラは、可視光カメラであってもよく、又は近赤外光源と組み合わされた近赤外カメラであってもよい。複数の車室内カメラのうち少なくとも1つは、運転席に着座する搭乗者(ドライバ)を撮影可能に設置されており、ドライバモニタとして機能する。車内モニタ装置29は、車室内カメラによる撮像画像、又は撮像画像を画像解析した解析結果を、車内モニタ情報としてHMI制御装置100又は自動運転ECU50bに提供する。車内モニタ情報には、ドライバのアイポイントの位置及び視線方向等を示すドライバステータス情報が含まれている。
【0020】
周辺監視センサ30は、自車両Amの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30は、例えばカメラユニット、ミリ波レーダ、ライダ、及びソナーのうちの1つ又は複数を含んでなる。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から移動物体及び静止物体を検出可能である。周辺監視センサ30は、自車周囲の物体の検出情報を運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。加えて、周辺監視センサ30は、カメラユニットにて撮影された自車周囲の映像(以下、周辺監視映像)をHMI制御装置100に提供する。
【0021】
ロケータ35は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサ等を含む構成である。ロケータ35は、GNSS受信機で複数の測位衛星から受信する測位信号、慣性センサの計測結果、及び通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、自車両Amの自車位置及び進行方向等を逐次測位する。ロケータ35は、測位結果に基づく自車両Amの位置情報及び方角情報を、ロケータ情報として通信バス99に逐次出力する。
【0022】
ロケータ35は、地図データを格納した地図データベースをさらに有している。地図データベースは、多数の3次元地図データ及び2次元地図データを格納した大容量の記憶媒体を主体とする構成である。3次元地図データは、いわゆるHD(High Definition)マップであり、自動運転に必要な道路情報を含んでいる。ロケータ35は、現在位置周辺の地図データを地図データベースから読み出し、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等にロケータ情報と共に提供する。
【0023】
ナビゲーションECU38は、HMI制御装置100から取得する操作情報に基づき、ドライバ等の搭乗者が指定する目的地の情報を取得する。ナビゲーションECU38は、自車位置情報及び方角情報をロケータ35から取得し、現在位置から目的地までの経路を設定する。ナビゲーションECU38は、目的地までの設定経路を示す経路情報を、運転支援ECU50a、自動運転ECU50b、及びHMI制御装置100等に提供する。ナビゲーションECU38は、後述するHMIシステム10と連携し、目的地までの経路案内として、画面表示及び音声メッセージ等を組み合わせ、交差点IA及び分岐ポイント等にて自車両Amの進行方向をドライバに通知する(図7及び図8等参照)。
【0024】
ここで、スマートフォン及びタブレット等のユーザ端末等が、車載ネットワーク1又はHMI制御装置100に接続されてもよい。こうしたユーザ端末は、ロケータ35に替わって、自車位置情報、方角情報、及び地図データ等を運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。さらに、ユーザ端末は、ナビゲーションECU38に替わって、目的地までの経路情報を、運転支援ECU50a、自動運転ECU50b及びHMI制御装置100等に提供してもよい。また、ユーザ端末が、後述のHMIシステム10に替わって、又はHMIシステム10と共に、動画コンテンツ等の再生を実施してもよい。
【0025】
車載通信機39は、自車両Amに搭載された車外通信ユニットであり、V2X(Vehicle to Everything)通信機として機能する。車載通信機39は、道路脇に設置された路側機との間で無線通信によって情報を送受信する。一例として、車載通信機39は、渋滞情報及び交通規制情報等を路側機から受信する。渋滞情報及び交通規制情報は、例えばVICS(登録商標)情報等である。車載通信機39は、交通信号機の点灯パターンを示す信号情報、並びに停止車両、駐車車両、歩行者、及びサイクリスト等の検出情報等を、路側機からさらに受信してもよい。車載通信機39は、受信した渋滞情報、交通規制情報、信号情報、及び検出情報等を、ナビゲーションECU38、自動運転ECU50b、及びHMI制御装置100等に提供する。
【0026】
走行制御ECU40は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。走行制御ECU40は、ブレーキ制御ECU、駆動制御ECU、及び操舵制御ECUの機能を少なくとも有している。走行制御ECU40は、ドライバの運転操作に基づく操作指令、運転支援ECU50aの制御指令、及び自動運転ECU50bの制御指令のいずれか一つに基づき、各輪のブレーキ力制御、車載動力源の出力制御、及び操舵角制御を継続的に実施する。
【0027】
HMI制御装置100は、複数の表示デバイス、オーディオ装置24、アンビエントライト25、及び操作デバイス26等と共にHMIシステム10を構成している。HMIシステム10は、自車両Amのドライバ等の搭乗者による操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
【0028】
表示デバイスは、画像表示等により、ドライバの視覚を通じて情報を提示する。表示デバイスには、メータディスプレイ21、センターインフォメーションディスプレイ(以下、CID)22、及びヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)23等が含まれている。メータディスプレイ21及びHUD23は、主にドライバへ向けて情報を提示する表示デバイスである。CID22は、ドライバだけでなく、ドライバを除く搭乗者(同乗者)へ向けた情報提示が可能な表示デバイスである。CID22は、タッチパネルの機能を有しており、ドライバ等による表示画面へのタッチ操作を検出する。
【0029】
オーディオ装置24は、車室内に設置された複数のスピーカを有している。オーディオ装置24は、報知音又は音声メッセージ等をスピーカによって車室内に再生させる。アンビエントライト25は、インスツルメントパネル及びステアリングホイール等に設けられている。アンビエントライト25は、発光色を変化させるアンビエント表示により、ドライバの周辺視野を利用した情報提示を行う。
【0030】
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば自動運転機能の作動及び停止に関連するユーザ操作、経路案内の目的地の設定に関連するユーザ操作等が入力される。さらに、後述するUターン制御に関連する設定を行うためのユーザ操作等が、操作デバイス26には入力される。ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部に設けられた操作レバー、及びドライバの発話内容を認識する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
【0031】
HMI制御装置100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。HMI制御装置100は、提示制御装置として機能する。HMI制御装置100は、自動運転システム50との連携により、自動運転に関連する情報を提示する。HMI制御装置100は、記憶部13に格納されたプログラム(提示制御プログラム)を処理部11によって実行することにより、提示制御に関連する機能部として情報連携部82及び提示制御部88等を備える(図2参照)。
【0032】
情報連携部82は、自動運転ECU50b及びナビゲーションECU38等と連携し、自動運転システム50及びナビゲーションECU38と、HMI制御装置100との間での情報の共有を可能にする。情報連携部82は、操作デバイス26に入力されたユーザ操作の操作情報を、自動運転ECU50b及びナビゲーションECU38等に提供する。情報連携部82は、自動運転機能の制御状態を示す制御ステータス情報、及び自動運転機能等に関連する報知の実施要求を、自動運転ECU50bから取得する。情報連携部82は、目的地までの設定経路を示す経路情報をナビゲーションECU38から取得する。
【0033】
提示制御部88は、複数の表示デバイス、オーディオ装置24、及びアンビエントライト25等を用いた情報提示を統合的に制御する。例えば、自動運転ECU50bにて自律走行制御の終了が予定された場合、提示制御部88は、情報連携部82にて取得される実施要求に基づき、ドライバに運転交代を要請する報知を実施する。また、提示制御部88は、ナビゲーションECU38にて生成される経路情報に基づき、経路案内に関連する報知を実施する(図7及び図8等参照)。
【0034】
次に、自動運転ECU50bの詳細をさらに説明する。
【0035】
自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aよりも高い演算能力を備えており、ACC、LTC及びLCAに相当する走行制御を少なくとも実施できる。自動運転ECU50bは、上述した一般道を走行するシーンに加えて、自律走行制御を一時的に中断するシーン等においても、運転支援ECU50aに代わってドライバに周辺監視義務のある運転支援制御を実施する。
【0036】
自動運転ECU50bは、処理部51、RAM52、記憶部53、入出力インターフェース54及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部51は、RAM52へのアクセスにより、本開示による自動運転制御方法及び車両用制御方法を実現するための種々の処理(インストラクション)を実行する。記憶部53には、処理部51によって実行される種々のプログラム(自動運転制御プログラム及び車両用制御プログラム等)が格納されている。処理部51によるプログラムの実行により、自動運転ECU50bには、情報連携部61、環境認識部62、行動判断部63、及び制御実行部64等が、自動運転機能(走行制御機能)及び車両制御機能を実現するための機能部として構築される(図2参照)。
【0037】
情報連携部61は、HMI制御装置100の情報連携部82との情報連携により、HMI制御装置100への情報提供と、HMI制御装置100からの情報取得とを実施する。情報連携部61は、HMI制御装置100との情報連携のためのサブ機能部として、HMI情報取得部71及び報知要求部72を有する。
【0038】
HMI情報取得部71は、HMI制御装置100から取得する操作情報に基づき、ドライバ等によりCID22及び操作デバイス26等に入力されるユーザ操作の内容を把握する。HMI情報取得部71は、例えば手動運転から運転支援制御への移行を指示するレベル2移行操作、及び運転支援制御から自律走行制御への移行を指示するレベル3移行操作等を把握する。加えてHMI情報取得部71は、HMI制御装置100を通じて、ドライバの運転姿勢、視線方向、周辺監視の実施の有無、セカンドタスクの実施の有無、覚醒度合い、及び体調異常の有無等のドライバステータス情報を把握する。
【0039】
報知要求部72は、HMI制御装置100へ向けた報知の実施要求の出力により、自動運転機能の動作状態に同期したHMI制御装置100による報知を可能にする。報知要求部72は、例えば自律走行制御の終了が予定された場合、運転交代を要請する報知の実施要求をHMI制御装置100へ向けて出力する。また報知要求部72は、後述するUターン制御(図3等参照)に関連する報知の実施要求をHMI制御装置100へ向けて出力する。
【0040】
環境認識部62は、ロケータ35より取得するロケータ情報及び地図データと、周辺監視センサ30及び車載通信機39より取得する検出情報等とを組み合わせ、自車両Amの走行環境を認識する。環境認識部62は、ナビゲーションECU38から経路情報を取得し、取得した経路情報を行動判断部63に提供する。
【0041】
環境認識部62は、走行環境認識のためのサブ機能部として、物標把握部74及び道路把握部75を有する。物標把握部74は、自車両Amの周囲を走行する他車両等、自車周囲の動的な物標の相対位置及び相対速度等を把握する。道路把握部75は、自車両Amの走行する道路又は走行予定の道路に関連した道路情報を取得する。環境認識部62は、物標把握部74及び道路把握部75にて把握された情報、即ち、走行環境の認識結果を行動判断部63に逐次提供する。
【0042】
行動判断部63は、自動運転ECU50bに運転操作の制御権がある場合、環境認識部62による走行環境の認識結果に基づき、自車両Amの実施する行動を判断する。行動判断部63は、自動運転機能に関連する制御を実行するサブ機能部として、計画生成部77及び制御切替部78を有する。
【0043】
計画生成部77は、環境認識部62による走行環境の認識結果を参照しつつ、経路情報の示す設定経路に従って自車両Amを走行させる走行計画(パスプラン)を作成する。具体的に、計画生成部77は、交差点IA(図3参照)にて右左折を行う予定走行ライン、及び合流地点又は分岐地点にて車線変更を行う予定走行ライン等を生成し、生成した予定走行ラインを制御実行部64に出力する。
【0044】
制御切替部78は、運転支援ECU50a及びHMI制御装置100と連携し、自動運転システム50及びドライバ間での運転交代を制御する。具体的に、制御切替部78は、手動運転(制御オフ)、ドライバによる周辺監視義務のあるレベル2の運転支援制御、及びドライバによる周辺監視義務のないレベル3の自律走行制御のうちで、自車両Amの走行制御状態を切り替える。制御切替部78は、レベル2の運転支援制御のうちで、ドライバにステアリングホイールの把持義務がある運転支援制御(以下、ハンズオンレベル2)と、把持義務のない運転支援制御(以下、ハンズオフレベル2)とをさらに切り替え可能であってよい。制御切替部78は、自動運転システム50における現在の走行制御状態を示す制御ステータス情報を把握し、情報連携部61等に提供する。制御ステータス情報は、情報連携部61を経由して、HMI制御装置100等に提供される。
【0045】
制御実行部64は、自動運転ECU50bに運転操作の制御権がある場合、走行制御ECU40との連携により、行動判断部63にて生成された予定走行ラインに従って、自車両Amの加減速制御及び操舵制御等を実行する。具体的に、制御実行部64は、予定走行ラインに基づく制御指令を生成し、生成した制御指令を走行制御ECU40へ向けて逐次出力する。
【0046】
[自動運転ECUによるUターン制御]
ここまで説明した自動運転ECU50bは、交差点IA(図3等参照)又は中央分離帯MBの切れ目(図5参照)等にてUターン制御を実施する。以下、自動運転ECU50bによって実施されるUターン制御の詳細と、Uターン制御に伴う経路案内の報知の具体例とを、図3図10に基づき、図1及び図2を参照しつつ順に説明する。
【0047】
<Uターン制御の詳細>
計画生成部77は、自動運転ECU50bが運転操作の制御権を有するレベル2以上の自動運転期間において、目的地DSTへのアプローチにUターンが有効になるか否かを判断する。Uターンは、Uの字を描くようにして、自車両Amの進行方向を概ね180°変更する転回行動である。一例として、図3に示すシーンでは、Uターンを行う場合の経路(以下、Uターン経路RtU)は、Uターンを行わない場合の通常経路(以下、迂回経路RtD)よりも、自車両Amを目的地DSTに容易に接近させることができる。
【0048】
計画生成部77は、Uターンを行うことで、複数回の右折又は左折を省略でき、かつ、走行距離を短縮可能な場合、Uターン経路RtUの採用を決定する。計画生成部77は、Uターン経路RtUの採用決定に基づき、Uターンを行うための予定走行ラインを生成する。具体的に、計画生成部77は、走行中の自車車線(以下、ターン元車線LnS)から、進行方向が自車車線とは真逆となる対向車線(以下、ターン先車線LnG)へ向かうU字状の予定走行ラインを規定する。U字状の旋回区間の半径は、自車両Amの最小回転半径に基づき、最小回転半径と同程度か又は最小回転半径よりも僅かに大きくされる。
【0049】
計画生成部77は、自車両Amの走行する道路が片側2車線以上の道路である場合、複数車線のうちで最も内側の車線をターン元車線LnSとする。一方、計画生成部77は、複数車線のうちで最も外側の車線を、原則的にターン先車線LnGとする。但し、自車両Amの最小回転半径が車線幅に対して十分に小さい場合、計画生成部77は、複数車線のうちの内側の車線をターン先車線LnGとしてもよい。
【0050】
計画生成部77は、自車両Amを円滑にUターンさせるために、ターン元車線LnS内にて自車両Amの走行位置を外側にオフセットさせる予定走行ラインを生成する(図4及び図5参照)。こうした予定走行ラインに基づくオフセット制御により、自車両Amは、ターン元車線LnSのうちでターン先車線LnGから遠い側に位置する外側端EOに寄せられる。外側端EOは、ターン元車線LnSを区画する区画線、又は走行中の道路の道路端である。
【0051】
計画生成部77は、Uターンの実施を予定している場所(以下、Uターン予定場所UL)の種別を把握する。具体的に、計画生成部77は、Uターン予定場所ULが交差点IAであるか否かを判定する。計画生成部77は、Uターン予定場所ULが交差点IAであるか否かに応じて、Uターン制御の内容が変更されるように、予定走行ラインの形状を調整する。計画生成部77は、Uターン予定場所ULが交差点IAである場合(図4参照)、Uターン予定場所ULが交差点IAでない場合(図5参照)よりも外側端EOに自車両Amを近づける予定走行ラインを生成する。言い替えれば、ターン元車線LnSの車線幅が同一の場合、ターン元車線LnSの中央を基準とした外側へのオフセット量は、交差点IAでのUターンにおいて、交差点IA以外でのUターンよりも大きくされる。以上により、交差点IAでUターンを行う場合、交差点IA以外でUターンを行う場合よりも、自車両Amは、外側端EOに接近した状態となる。
【0052】
ここで、交差点IAではないUターン予定場所ULは、例えば、中央分離帯MBの切れ目に形成される接続路CL(図5参照)等である。中央分離帯MBは、互いに進行方向が対向する2つの車線(車線群)の間に帯状に設けられた構造物である。接続路CLは、中央分離帯MBによって方向別に分離された2つの車線を互いに接続する走行領域となる。
【0053】
行動判断部63は、計画生成部77にて生成されるUターンの予定走行ラインに基づき、他車両及び歩行者等の交通を妨げないように、自車両AmのUターン制御を実施する。自車両Amの走行する道路が複数車線を含む場合、行動判断部63は、計画生成部77によるUターンの実施決定に基づき、最も内側の車線に自車両Amを予め位置させる。行動判断部63は、自車両Amの予定経路上に他車両又は歩行者等が存在する場合、自車両Amを一時停止させ、外側にオフセットさせた状態で自車両Amをターン元車線LnS内に待機させる。他車両又は歩行者等がいなくなると、行動判断部63は、自車両Amを発進させ、予定走行ラインに沿った走行を再開させる。
【0054】
行動判断部63は、旋回のための操舵制御の開始後、環境認識部62による走行環境の認識結果に基づき、切り返しが必要か否か、言い替えれば、ターン先車線LnGから外側にはみ出すことなく旋回を完了できるか否かを継続的に判定する。行動判断部63は、切り返しが必要と判定した地点、即ち、自車両Amが行き詰った地点にて、切り返し制御の開始を決定する(図14参照)。行動判断部63は、切り返し制御にて、Uターン中とは逆方向への操舵を行った状態で、自車両Amを数メートル程度後退させる(図10参照)。車線幅の狭い道路では、切り返し制御が複数回実施されてもよい。
【0055】
HMI情報取得部71は、自車両Amの搭乗者(例えば、ドライバ等)によるUターン制御の実施の許可を取得する。ドライバは、Uターン制御の実施を許可するか否かを、CID22等に表示される設定画面を用いて事前に設定可能である。また、ドライバは、Uターン制御の実施が予定された際の問い合わせへの応答により、Uターン制御の実施を許可できる。Uターン制御の許可に関する設定は、「許可あり」及び「許可なし」の2段階のうちで切り替えられてもよく、又は、「許可あり」、「許可なし」及び「禁止」の3段階のうちで切り替えられてもよい。
【0056】
行動判断部63は、ドライバによるUターン制御の実施の許可がある場合に、Uターン制御を実施する。具体的に、行動判断部63は、ドライバによる実施の許可がある場合に限り、切り返しが必要なUターン制御を実施する。一方で、ドライバによる実施の許可がない場合でも、行動判断部63は、切り返しが不要なUターン制御であれば実施する。さらに、ドライバによりUターン制御が禁止されている場合、行動判断部63は、切り返しが必要なUターン制御だけでなく、切り返しが不要なUターン制御も実施しない。
【0057】
ここで、図6に示すように、自車両Amが大型車両LV等であり、Uターン予定場所ULにて切り返しが必要となる場合、行動判断部63は、外側車線LnOに自車両Amをはみ出させるか否かを決定する。外側車線LnOは、ターン元車線LnSを挟んでターン先車線LnGの反対側に位置する車線である。行動判断部63は、外側車線LnOに他車両(並走車両)が存在せず、かつ、ターン元車線LnSに後方車両が存在しないことを条件に、外側車線LnOに自車両Amをはみ出させるUターン制御の実施を決定する(図6 Uターン経路RtU参照)。外側車線LnOへのはみ出しを許容することで、自車両Amは、通常(図6 2点鎖線参照)よりも大回りでのUターンを行うことができる。
【0058】
<Uターン制御に伴う経路案内の報知>
ここまで説明したUターン制御が自動運転ECU50bによって行われる場合、進行方向を大きく変える自車両Amの挙動に対して、搭乗者が不安を感じ易くなる。こうした不安を抑制するため、自動運転ECU50bにてUターン制御が実施される場合、Uターン制御に関連する情報が搭乗者に提示される。Uターン制御に関連する情報は、メータディスプレイ21又はCID22に表示される自車ステータスStA(図7参照)の態様変化によって搭乗者に報知される。
【0059】
自車ステータスStAは、自車両Am及び自車周囲の状況を搭乗者に報知する。自車ステータスStAは、自車両Amを後ろ上方から見下ろした態様の鳥瞰コンテンツである。自車ステータスStAは、自車周囲の交通環境を表示上で再現している。HMI制御装置100は、周辺監視センサ30等による検出情報等を用いて、自車ステータスStAを描画する。HMI制御装置100は、環境認識部62による走行環境の認識結果を取得し、取得した認識結果を用いて自車ステータスStAを描画してもよい。
【0060】
自車ステータスStAは、道路背景RB、自車アイコンIcS、他車アイコンIcB、及び予定軌跡アイコンIPPを含んでなる。道路背景RBは、自車周囲の道路の形状を表示上で再現した画像である。自車アイコンIcSは、自車を模った画像部である。自車アイコンIcSは、自車ステータスStAの概ね中央に表示される。
【0061】
他車アイコンIcBは、検出情報又は認識結果に基づき表示され、自車周囲を走行する実際の他車両の存在を示す画像部である。他車アイコンIcBは、他車両の相対位置を反映した配置にて、道路背景RB上に重畳される。自車周囲に他車両が存在しない場合、他車アイコンIcBは、非表示とされる。
【0062】
予定軌跡アイコンIPPは、自車アイコンIcSを起点として線状又は帯状に延伸する画像部である。予定軌跡アイコンIPPは、計画生成部77にて生成される予定走行ラインの情報に基づき描画され、自車両Amの予定走行経路を自車ステータスStA上で再現している。
【0063】
自車ステータスStAは、予定軌跡アイコンIPPの表示により、自車両Amに予定された走行経路を搭乗者に案内する機能を有する。例えば、Uターンが行なわれる場合、自車ステータスStAは、U字状に湾曲した予定軌跡アイコンIPPの表示により、Uターン経路案内を実施する(図7参照)。また、右折が行なわれる場合、自車ステータスStAは、右方向に屈曲した予定軌跡アイコンIPPの表示により、右折経路案内を実施する(図8参照)。
【0064】
自車ステータスStAは、走行計画にてUターン制御の実施が予定されている場合のUターン経路案内を、Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様で実施する。具体的に、Uターン制御の実施が予定された場合、自車ステータスStAにおける仮想視点位置と、予定軌跡アイコンIPPの描画態様とが変更される。
【0065】
Uターン制御の実施が予定された場合の仮想視点位置(図7参照)は、迂回経路RtDに従い右折等を行う場合の仮想視点位置(図8参照)よりも高く設定され、かつ、自車アイコンIcS(自車両Am)よりも遠い位置に設定される。これにより、自車ステータスStAには、自車周囲の広範囲の状況が表示される。
【0066】
加えて、Uターン制御の実施が予定された場合の予定軌跡アイコンIPP(図7参照)は、右折を行う場合等の通常時の予定軌跡アイコンIPP(図8参照)よりも強調される。具体的に、Uターンの実施予定を示す予定軌跡アイコンIPPは、帯状に描画され、線状に描画される通常時の予定軌跡アイコンIPPよりも太く表示される。Uターンの実施予定を示す予定軌跡アイコンIPPは、表示輝度のアップ又は表示色の変更により、通常時に対して誘目性が高められてもよい。以上により、Uターン制御の実施が予定されている場合のUターン経路案内は、Uターン制御の実施が予定されていない場合の右折経路案内等よりも強調された態様となる。
【0067】
さらに、Uターン制御が実施される場合、メータディスプレイ21又はCID22には、監視推奨アイコンIcMが追加表示される。監視推奨アイコンIcMは、ドライバに周辺監視を促す報知を実施する画像部である。監視推奨アイコンIcMは、自動運転ECU50bが周辺監視義務のない自律走行制御を実行中であっても、自車ステータスStAと共に表示される。
【0068】
また、自車ステータスStAによるUターン経路案内の態様は、Uターン制御にて自車両Amの一時停止が行われる場合(図7参照)と、Uターン制御にて自車両Amの一時停止が行われない場合(図9参照)とで変更される。一例として、Uターン制御にて一時停止が行われない場合、予定軌跡アイコンIPPに複数の強調部HLが互いに間隔を開けて重畳される。強調部HLは、自車両Amの進行方向へ向けて、予定軌跡アイコンIPP上を繰り返し流れていく。こうした予定軌跡アイコンIPPの態様変更により、Uターン制御にて一時停止が行われない場合、一時停止が行われる場合よりも、Uターン経路案内が強調される。
【0069】
加えて、自車ステータスStAによるUターン経路案内の態様は、Uターン制御にて自車両Amの切り返しが行なわれる場合(図10参照)と、Uターン制御にて自車両Amの切り返しが行なわれない場合(図7参照)とで変更される。一例として、Uターン制御にて切り返しが行なわれる場合、切り返しが行なわれない場合よりも、自車周囲の広範囲の状況が自車ステータスStAに表示される。
【0070】
具体的には、切り返しが行なわれる場合、自車ステータスStAの仮想視点位置は、自車アイコンIcS(自車両Am)の真上に設定される。加えて、仮想視点位置は、自車アイコンIcSからさらに離れた位置に設定される。これにより、自車ステータスStAは、アラウンドビュー表示となる。自車ステータスStAには、後退する自車両Amの移動軌跡を示す後退軌跡アイコンIPBが、Uターンの移動軌跡を示す予定軌跡アイコンIPPとは異なる態様で表示されてよい。さらに、メータディスプレイ21又はCID22には、少なくとも1つの周辺カメラ映像AVが追加表示される。周辺カメラ映像AVは、カメラユニットによって撮影されるリアルタイムの映像であり、自車両Amの進行方向の様子を搭乗者に報知する。
【0071】
[Uターン制御に関連する各処理の詳細]
次に、ここまで説明したUターン制御及びUターン経路案内を実現するため、自動運転ECU50b及びHMI制御装置100にて実施される各処理の詳細を、図11図14に基づき、図1図10を参照しつつ説明する。
【0072】
<Uターン実施の問い合わせ処理>
図11に示す問い合わせ処理は、Uターン制御の実施を許可するか否かについて、搭乗者(ドライバ等)に問い合わせる処理である。問い合わせ処理は、Uターン予定場所ULに所定の距離(例えば、1km程度)まで接近したタイミングで開始される。問い合わせ処理は、自動運転ECU50bとHMI制御装置100との連携によって実施される。
【0073】
問い合わせ処理のS11では、道路把握部75が、Uターン予定場所ULの情報を取得する。道路把握部75は、主にUターン予定場所ULの広さに関する情報を主に取得する。S12では、S11にて取得されたUターン予定場所ULの情報に基づき、行動判断部63が、Uターン予定場所ULでのUターンに切り返しが必要か否かを判定する。一例として、ターン元車線LnS及びターン先車線LnGの各中央間の距離が自車両Amの最小回転半径よりも短い場合、行動判断部63は、1度に曲がり切ることができず、切り返しが必要になると判定する。
【0074】
Uターン予定場所ULにて切り返しが不要と判定した場合(S12:NO)、問い合わせ処理は、終了される。一方、Uターン予定場所ULにて切り返しが必要と判定した場合(S12:YES)、S13にて、報知要求部72が、HMI制御装置100と連携し、Uターン制御の実施を許可するか否かを搭乗者に問い合わせる。一例として、「この先でのUターンを許可しますか?」等のメッセージが、CID22又はHUD23等に表示される。このとき、「許可する」及び「実施しない」等の選択用のアイコンがCID22又はHUD23に表示されてよい。
【0075】
S13での問い合わせでは、Uターン制御に必要な切り返しの回数が搭乗者に対して提示される。切り返しの回数は、Uターン制御の実施を許可するか否かを判断するための情報となる。例えば、「道幅が狭いため、少なくとも1回の切り返しが予定されています。」、又は「複数回の切り返しが予定されています。」等のメッセージが、CID22又はHUD23に表示される。
【0076】
S13にて実施される問い合わせに応じて、ドライバ等の搭乗者は、Uターン制御の許可又は中止を指示するユーザ操作を入力する。S14では、HMI情報取得部71が、HMI制御装置100と連携し、搭乗者によって入力されるユーザ操作の操作情報を取得する。これにより、切り返しを必要とするUターン制御の実施の可否が設定される。
【0077】
尚、問い合わせ処理におけるS12の判定は省略されてもよい。即ち、Uターン予定場所ULにて切り返しが不要な場合でも、Uターン制御の実施可否の問い合わせが実施されてよい。この場合、切り返しの回数に替えて、又は切り返しの回数と共に、切り返しの実施予定の有無を示す情報が、Uターンの実施を許可するか否かを判断するための情報として搭乗者に提示される。
【0078】
<走行計画生成処理>
図12に示す走行計画生成処理は、Uターン制御を行うための走行計画(予定走行ライン)を生成する処理である。走行計画生成処理は、Uターン予定場所ULに所定の距離(例えば、数百メートル程度)まで接近したタイミングで、自動運転ECU50bによって開始される。
【0079】
走行計画生成処理のS31では、問い合わせ処理のS11(図11参照)と同様に、道路把握部75が、Uターン予定場所ULの情報を取得する。S32では、行動判断部63が、S31にて取得した情報に基づき、Uターン予定場所ULについて、切り返しなしにUターン可能な広さがあるか否かを判定する。
【0080】
Uターン予定場所ULが狭く、切り返しが必要と判定した場合(S32:NO)、行動判断部63は、S33にて、環境認識部62による走行環境の認識結果を取得する。行動判断部63は、取得した認識結果に基づき、S34にて、外側車線LnOへのはみ出しが可能か否かを判定する。外側車線LnOへのはみ出しが可能と判定した場合(S34:YES)、行動判断部63は、S35にて、外側車線LnOに自車両Amをはみ出させることを決定する。この場合、計画生成部77は、S40にて、ターン元車線LnSから外側車線LnOに自車両Amをはみ出させる予定走行ラインを生成する(図6参照)。
【0081】
一方、Uターン予定場所ULが広く、切り返しが不要と判定した場合(S32:YES)、又は、外側車線LnOへのはみ出しが不可能と判定した場合(S34:NO)、行動判断部63は、S36にて、外側車線LnOへのはみ出しを禁止する。
【0082】
S37では、計画生成部77が、Uターン予定場所ULについて、交差点IAであるか否かを判定する。Uターン予定場所ULが交差点IAである場合(S37:YES)、計画生成部77は、S38にて、ターン元車線LnS内での自車両Amのオフセット量を「大」に設定する。こうした設定に基づき、計画生成部77は、S40にて、外側端EOに自車両Amを近づける予定走行ラインを生成する(図4参照)。
【0083】
対して、Uターン予定場所ULが交差点IA以外の接続路CL等である場合(S37:NO)、計画生成部77は、S39にて、ターン元車線LnS内での自車両Amのオフセット量を「小」に設定する。こうした設定に基づき、計画生成部77は、S40にて、外側端EOに自車両Amを僅かに寄せる予定走行ラインを生成する(図5参照)。以上のように、Uターン予定場所ULが交差点IAであるか否かに応じて、Uターン制御の内容が変更される。
【0084】
S41では、行動判断部63が、S40にて生成された予定走行ラインを参照し、切り返しが必要か否かを再び判定する。切り返しが不要な場合(S41:NO)、走行計画生成処理は、終了される。この場合、S40にて生成された予定走行ラインに基づき、Uターン経路RtUに沿って走行するUターン制御の実施が決定される。
【0085】
一方、切り返しが必要な場合(S41:YES)、行動判断部63は、S42にて、搭乗者によるUターン制御の実施の許可が取得されているか否かを判定する。問い合わせに対するユーザ操作(図11 S14参照)又は事前の設定により、Uターン制御の実施が許可されている場合(S42:YES)、走行計画生成処理は、終了される。この場合も、S40にて生成された予定走行ラインに基づき、Uターン経路RtUに沿って走行するUターン制御の実施が決定される。以上のように、切り返しが発生するUターン制御のみ、搭乗者の許可が必要とされる。
【0086】
対して、Uターン制御の実施が許可されていない場合(S42:NO)、行動判断部63は、S43にて、Uターンの実施回避を決定する。この場合、計画生成部77は、迂回経路RtD(図3参照)の採用を決定する。計画生成部77は、S40にて生成した予定走行ラインを破棄し、右折又は左折を行うための予定走行ラインを新たに生成する。
【0087】
<Uターン報知処理>
図13に示すUターン報知処理は、Uターン制御の実施予定を報知する態様(Uターン経路案内)に自車ステータスStA(図7参照)を切り替える処理である。Uターン報知処理は、走行計画生成処理(図12参照)にて、Uターンを実施する予定走行ラインの採用が確定したことに基づき開始される。Uターン報知処理は、自動運転ECU50bとHMI制御装置100との連携によって実施される。
【0088】
Uターン報知処理のS61では、計画生成部77が、自動運転ECU50b(走行制御機能)によって用いられる自車両Amの走行計画(予定走行ライン)を把握する。S62では、報知要求部72が、HMI制御装置100と連携し、自車ステータスStAの態様を切り替える。S62では、自車ステータスStAの仮想視点位置、及び予定軌跡アイコンIPPの描画態様が変更される(図7参照)。これにより、Uターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知(Uターン経路案内)は、Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なり、かつ、強調された態様で実施される。
【0089】
S63では、自車ステータスStAを表示する表示デバイスの画面に、監視推奨アイコンIcM(図7参照)が追加表示される。これにより、ドライバに周辺監視(周辺確認)の実施が促される。
【0090】
S64では、行動判断部63が、自車両Amを一時停止させるか否かを判定する。予定経路上に他車両及び歩行者等が存在せず、一時停止させることなくUターンを開始できる場合(S64:NO)、S65にて、強調部HLの追加表示によって予定軌跡アイコンIPPが強調表示される(図9参照)。対して、Uターンの開始前に一時停止が行なわれる場合(S64:YES)、S65はスキップされ、強調部HLの追加表示は省略される。以上により、Uターン制御にて一時停止が行われる場合と、一時停止が行われない場合とで、経路案内の報知の態様が変更される。
【0091】
S66では、行動判断部63が、切り返しを実施するか否かを判定する。自車両Amの切り返しが行なわれる場合(S66:YES)、S67にて、仮想視点位置の移動により、自車ステータスStAがアラウンドビュー表示に切り替えられる(図10参照)。加えて、S67では、周辺カメラ映像AVの追加表示が行なわれる。対して、切り返しが行なわれない場合(S66:NO)、S67はスキップされ、仮想視点位置の変更及び周辺カメラ映像AVの追加表示は、共に実施されない。以上により、Uターン制御にて切り返しが行なわれる場合、切り返しが行なわれない場合よりも、自車周囲の広範囲の状況が、自車ステータスStAによる経路案内にて報知される。
【0092】
<切り返し実行処理>
図14に示す切り返し実行処理は、Uターン制御の開始に基づき、自動運転ECU50bにより実行される。切り返し実行処理のS81では、行動判断部63が、環境認識部62による走行環境の認識結果を取得する。そして、行動判断部63は、S82にて、Uターン制御の開始後における自車両Amの行き詰まりを判定する。曲がりきれる可能性がなくなり、自車両Amが行き詰まっていると判定した場合(S82:YES)、行動判断部63は、S83にて、切り返し制御を開始する。一方、自車両Amに曲がりきれる可能性があり、自車両Amが行き詰まっていないと判定された場合(S82:NO)、S83による切り返し制御は、開始されない。
【0093】
行動判断部63は、S84にて、Uターンが完遂可能か否かを判定する。自車両Amが曲がりきれる状態になり、Uターンの完遂が可能になったと判定した場合(S84:YES)、切り返し実行処理は、終了される。対して、再度の切り返しが必要な場合(S84:NO)、S81~S84の処理が切り返される。以上により、複数回の切り返しが実行されてもよい。
【0094】
(第一実施形態まとめ)
ここまで説明した第一実施形態では、走行制御機能によって用いられる走行計画にて、Uターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知は、Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様とされる。故に、自車両Amの搭乗者は、通常とは異なる経路案内の報知により、Uターン制御の実施予定を知り得る。その結果、Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0095】
加えて第一実施形態では、Uターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知は、Uターン制御の実施が予定されていない場合の経路案内の報知よりも強調した態様で実施される。即ち、Uターン制御は、自車ステータスStA(図7参照)により、強調された経路案内の報知が行われている状態で実施される。以上によれば、搭乗者は、強調された経路案内の報知を確実に認識でき、Uターン制御の実施を予め把握し得る。その結果、Uターン制御に対する搭乗者の不安は、いっそう抑制可能となる。
【0096】
また第一実施形態では、Uターン制御の実施が予定されているUターン予定場所ULについて、交差点IAであるか否かが把握される。そして、Uターン制御の内容は、Uターン予定場所ULが交差点IAであるか否かに応じて変更される。以上のように、交差点IAでのUターンと、交差点IA以外でのUターンとで制御を変更すれば、行動判断部63は、各シーンに適した自車両Amの走行を実現し得る。その結果、Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0097】
さらに第一実施形態では、ターン元車線LnSからターン先車線LnGへのUターン制御が実施される場合、自車両Amは、ターン元車線LnSのうちでターン先車線LnGから遠い側に位置する外側端EOに寄せられる。こうしたオフセット制御によれば、道路幅が広くない道路においても、円滑なUターンが実施され易くなる。
【0098】
加えて第一実施形態では、Uターン予定場所ULが交差点IAである場合、Uターン予定場所ULが交差点IAでない場合よりも、自車両Amは、外側端EOに近づけられる。以上によれば、自車周囲の環境変化が激しい交差点IAでのUターンにて、行動判断部63は、切り返しを発生させることなく、一度で曲がり切れるように自車両Amを制御し得る。こうした切り返しの低減によれば、Uターン制御に起因する搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0099】
また第一実施形態では、Uターン制御にて自車両Amの一時停止が行われる場合と、一時停止が行われない場合とで、経路案内の報知の態様が変更される。以上によれば、Uターン制御での一時停止の有無に応じた適切な経路案内の報知が実施され得る。その結果、Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0100】
さらに第一実施形態では、Uターン制御にて一時停止が行われる場合よりも、一時停止が行われない場合の経路案内の報知が強調される(図9参照)。このように、強調された経路案内によって一時停止の省略が搭乗者に予め知らされることにより、一時停止を行わないUターンであっても、搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0101】
加えて第一実施形態では、Uターン制御にて自車両Amの切り返しが行なわれる場合と、切り返しが行なわれない場合とで、経路案内の報知の態様が変更される。以上によれば、切り返しが行なわれることを、搭乗者は、経路案内の報知から予め把握し得る。その結果、切り返しが発生するUターンを行う場合でも、搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0102】
また第一実施形態では、Uターン制御にて切り返しが行なわれる場合、切り返しが行なわれない場合よりも、自車周囲の広範囲の状況が経路案内にて報知される。以上によれば、搭乗者は、切り返しが発生するシーンにおいて、自車周囲の状況を把握し易くなる。その結果、切り返し中における搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0103】
さらに第一実施形態では、Uターン制御の開始後における自車両Amの行き詰まりが判定される。そして、行き詰まりを判定した地点から切り返しが開始される。このように、行き詰った地点、言い替えれば、曲がりきれないことが明らかとなった地点から早期に切り返し制御を開始すれば、道路幅が十分でない道路でも、円滑なUターンが実施され得る。その結果、Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0104】
加えて第一実施形態では、自車両Amの搭乗者によるUターン制御の実施の許可が取得される。そして、搭乗者によるUターン制御の実施の許可がある場合に、Uターン制御が実施される。このように、Uターン制御に搭乗者の許可が必要とされることで、搭乗者が不安を感じ易いシーンでのUターンの強行実施が回避され得る。その結果、Uターンに起因する搭乗者の不安が抑制可能となる。
【0105】
また第一実施形態では、Uターン制御の実施を許可するか否かを判断するための情報として、Uターン制御に必要な切り返しの回数が搭乗者に報知される。以上によれば、搭乗者は、計画されたUターンを実施するか否かを適切に判断し得る。その結果、不安を感じ易いシーンでのUターンの実施が、逐次回避可能となる。
【0106】
さらに第一実施形態では、搭乗者による実施の許可がある場合に限り、切り返しを必要とするUターン制御が実施される。一方で、搭乗者による実施の許可がない場合でも、切り返しが不要なUターン制御であれば実施される。以上のように、切り返しの発生するUターンのみ搭乗者の許可が必要とされれば、不安を感じ易いシーンでのUターンの実施を回避しつつ、Uターンの実施によって利便性を向上させる効果も獲得可能となる。
【0107】
加えて第一実施形態では、Uターン制御が実施される場合、ドライバに周辺監視を促す報知が実施される。具体的には、監視推奨アイコンIcMの表示により、自車周囲の確認が促される。このように、Uターンの実施時に周辺確認を促し、搭乗者の意識を運転に向けさせることで、Uターン制御に起因する搭乗者の不安をさらに抑制することが可能になる。
【0108】
また第一実施形態では、ターン元車線LnSからターン先車線LnGへのUターン制御を実施する場合、ターン元車線LnSを挟んでターン先車線LnGの反対側に位置する外側車線LnOに自車両Amをはみ出させるか否かが決定される。このように、外側車線LnOへのはみ出しが許容されれば、Uターン予定場所ULがUターンを行うのに十分な広さを有していなくても、切り返しの発生を抑制し、円滑なUターン制御を実施することが可能になる。
【0109】
尚、上記第一実施形態では、自動運転ECU50bが「車両用制御装置」に相当し、行動判断部63が「制御実施部」に相当し、HMI情報取得部71が「許可取得部」に相当する。さらに、報知要求部72が「報知実施部」に相当し、計画生成部77が「計画把握部」に相当する。
【0110】
(第二実施形態)
本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態の自動運転ECU50bは、Uターン制御に関連する処理として、許否判断処理及びUターン提案処理をさらに実施可能である。加えて自動運転ECU50bは、第一実施形態とは異なる走行計画生成処理を実施する。以下、第二実施形態の許否判断処理、Uターン提案処理、及び走行計画生成処理の各詳細を、図15図17に基づき、図1及び図2を参照しつつ説明する。
【0111】
<Uターン制御の許否判断処理>
図15に示す許否判断処理は、Uターン制御の実施を許可するか否かを判断する処理である。許否判断処理では、Uターン制御の実施を許可するか否かの判断基準が、Uターン制御に適用予定の自動運転レベルに応じて変更される。行動判断部63は、自動運転レベルが高くなるほどUターン制御の実施を許可し易くする。即ち、自動運転レベル3に適用される判断基準は、自動運転レベル2に適用される判断基準よりも緩和される。許否判断処理は、一例として、ナビゲーションECU38から環境認識部62に経路情報が提供されたことに基づき開始される。
【0112】
許否判断処理のS211では、計画生成部77が、環境認識部62にて取得された経路情報の示す設定経路を把握する。計画生成部77は、S212にて、設定経路にUターン予定場所ULがあるか否かを判定する。Uターン予定場所ULがない場合(S212:NO)、許否判断処理は終了される。
【0113】
一方、Uターン予定場所ULがある場合(S212:YES)、計画生成部77は、S213にて、Uターン予定場所ULにて実施されるUターン制御に適用予定の自動運転レベルを判別する。S213では、Uターン予定場所ULについて、自動運転レベル3(自律走行制御)の実施が許可された許可エリア内か否かを判定する。Uターン予定場所ULが許可エリア外であり、自動運転レベル2でのUターン制御が実施予定となる場合(S213:NO)、自動運転レベル3でのUターン制御が実施予定である場合よりも、Uターン制御の実施を許可する基準が厳しくされる。
【0114】
計画生成部77は、S214にて、Uターン予定場所ULの種別を判別する。具体的に、計画生成部77は、Uターン予定場所ULについて、交通信号機が設置されており、かつ、右左折専用レーンを含むような大規模な交差点IA(図3等参照,以下、特定交差点)であるか否かを判定する。Uターン予定場所ULが特定交差点である場合(S214:YES)、行動判断部63は、S216にて、Uターン予定場所ULでのUターン制御の実施を許可する。対して、Uターン予定場所ULが特定交差点ではなく、小規模な交差点IA又は接続路CL(図3参照)等である場合(S214:NO)、行動判断部63は、S217にて、Uターン制御の実施を不許可とする。この場合、行動判断部63は、ナビゲーションECU38に、Uターンを実施しない経路を再設定するように要求する。
【0115】
行動判断部63は、Uターン制御での自車両Amの予定走行ラインを、Uターン制御に適用予定の自動運転レベルに応じて変更する。行動判断部63は、自動運転レベルが高くなるほど、切り返しが不要な予定走行ラインを設定する。そのため、Uターン予定場所ULが許可エリア内であり、自動運転レベル3でのUターン制御が実施予定となる場合(S213:YES)、計画生成部77は、S215にて、Uターン予定場所ULでのUターン制御に切り返しが必要になるか否かを判定する。Uターン制御に切り返しが必要になる場合(S215:YES)、行動判断部63は、S217にて、Uターン制御の実施を不許可とする。この場合でも、ナビゲーションECU38に、Uターンを実施しない経路への変更が、ナビゲーションECU38に要求される。対して、Uターン制御に切り返しが必要な場合(S215:NO)、行動判断部63は、S216にて、Uターン予定場所ULでのUターン制御の実施を許可する。
【0116】
尚、S211にて把握される設定経路に複数のUターン予定場所ULが含まれている場合、行動判断部63は、全てのUターン予定場所ULに対し実施の許否を判断する。行動判断部63は、少なくとも1つのUターン予定場所ULにて、Uターン制御の実施を不許可とした場合、当該Uターン予定場所UL以降の経路の再設定を、ナビゲーションECU38に要求する。
【0117】
<リルート後の問い合わせ処理>
図15に示す問い合わせ処理は、リルートが行われた場合に、リルート後の所定領域内でのUターン制御の実施を許可するか否かについて、ドライバ等の搭乗者に問い合わせる処理である。問い合わせ処理は、一例として、ナビゲーションECU38から環境認識部62に、リルートの発生を示す通知又はリルート後の経路情報が提供されたことに基づき開始される。
【0118】
ここで、リルートは、ナビゲーションECU38が自車両Amの設定された経路を変更する処理である。例えば、搭乗者が目的地を変更した場合、予定していた経路上で事故又は渋滞が発生した場合等に、予定していた経路を変更するリルートが発生する。また、自車両AmがBEV(Battery Electric Vehicle)である場合、バッテリ残量の減少に起因するリルートが実施されてもよい。以上のように、リルートは、搭乗者、ナビゲーションECU38、及び自動運転ECU50bの判断に基づき、適宜実施されてよい。
【0119】
問い合わせ処理のS221では、計画生成部77が、環境認識部62にて取得された経路情報の示すリルート後の設定経路を把握する。計画生成部77は、S222にて、所定領域内にUターン予定場所ULがあるか否かを判定する。所定領域は、例えば現在位置から1km~数km程度の範囲内である。所定領域の広さは、自車周囲の走行環境に応じて適宜変更されてよい。一例として、自車両Amの走行速度が高くなる走行環境下ほど、所定領域が広く設定されてよい。所定領域内にUターン予定場所ULがない場合(S222:NO)、問い合わせ処理は終了される。
【0120】
一方、所定領域内にUターン予定場所ULがある場合(S222:YES)、計画生成部77は、S223にて、所定領域内のUターン予定場所ULがUターン制御の推奨条件を充足するUターン推奨場所であるか否かを判定する。計画生成部77は、目的地DST(図3参照)への到達に要する時間の削減割合が大きい場合、Uターン制御の推奨条件を満たしていると判断する。具体的には、Uターンにより所定時間(例えば数分程度)以上、目的地DSTへの到着時刻が早まる場合、計画生成部77は、推奨条件を満たしていると判定する。加えて、計画生成部77は、Uターン予定場所ULがUターンを実施し易い道路環境である場合、Uターン制御の推奨条件を満たしていると判断する。具体的には、Uターン予定場所ULが上述の特定交差点である場合、計画生成部77は、Uターン制御の推奨条件を満たしていると判定する。又は、Uターン予定場所ULでのUターンにて切り返しが不要である場合、計画生成部77は、Uターン制御の推奨条件を満たしていると判定する。
【0121】
尚、Uターン推奨場所の判定基準は、適宜変更されてよい。例えば、計画生成部77は、上述の時間条件及び道路条件等、複数の条件を全て満たしている場合に、Uターン制御の推奨条件を満たしたUターン推奨場所を判定してもよい。
【0122】
Uターン予定場所ULがUターン推奨場所であると判定された場合(S223:YES)、S224にて、リルート直後のUターンを許可するか否かについて、ドライバに選択させる報知が行われる。この場合、報知要求部72は、HMI制御装置100と連携し、Uターン制御の実施を許可するか否かを搭乗者に問い合わせる。この問い合わせでは、Uターンの実施によって得られるメリットが搭乗者に提示され、Uターンの実施が搭乗者に積極的に提案される。
【0123】
一例として、「この先でのUターンにより、到着時刻が早まります」又は「この先にUターンに適した交差点が存在します」等のメッセージが、「この先でのUターンを許可しますか?」等のメッセージと共にCID22又はHUD23等に表示される。この場合も、「許可する」及び「実施しない」等の選択用のアイコンが、CID22又はHUD23に表示される。
【0124】
一方、Uターン予定場所ULが推奨条件を満たしておらずUターン推奨場所でないと判定された場合(S223:NO)、行動判断部63は、S225にて、Uターン制御の実施を不許可とする。この場合、行動判断部63は、ナビゲーションECU38に、Uターンを実施しない経路の再設定を要求する。
【0125】
ここで、Uターン制御の実施を許可するか否かの問い合わせは、Uターン予定場所ULが推奨条件を満たさない場合(S223:NO)に実施されてもよい。即ち、リルート直後のUターンを許可するか否かをドライバに決めてもらうための報知は、推奨条件を満たさないUターン予定場所ULがリルート直後にある場合に行われてもよい。こうした形態では、Uターン予定場所ULが推奨条件を満たす場合(S223:YES)、行動判断部63は、搭乗者の選択に依拠せず、Uターンの実施を自動的に許可する。
【0126】
さらに、Uターン予定場所ULが推奨条件を満たさない場合(S223:NO)、通常の問い合わせが実施されてもよい。通常の問い合わせでは、Uターンの実施によって得られるメリットが搭乗者に提示されず、「この先でのUターンを許可しますか?」等のメッセージが表示される。こうした問い合わせに対し、搭乗者がUターン制御の実施を許可しない場合、行動判断部63は、Uターン制御の不実施を決定する。
【0127】
<走行計画生成処理>
図16に示す走行計画生成処理は、第一実施形態と同様に、Uターン制御を行うための走行計画を生成する処理であり、Uターン予定場所ULに所定の距離(例えば、数百メートル程度)まで接近したタイミングで開始される。走行計画生成処理では、Uターン制御での自車両Amの予定走行ラインが後方車両の有無に応じて変更される。加えて、走行計画生成処理では、Uターン制御での自動運転レベルが、ターン先車線LnG(図3参照)において許可される自動運転レベルに応じて変更される。
【0128】
走行計画生成処理のS231では、道路把握部75が、Uターン予定場所ULの情報を取得する。さらに、道路把握部75は、S231にて取得したUターン予定場所ULの情報に基づき、S232にて、自動運転レベル3での自律走行がターン先車線LnGにて許可されているか否かを判定する。ターン先車線LnGにて自動運転レベル3の使用が許可されている場合(S232:YES)、Uターン制御は、自動運転レベル3の走行制御状態を維持したまま実施される。
【0129】
一方、ターン先車線LnGにて自動運転レベル3の使用が許可されていない場合(S232:NO)、制御切替部78は、実行中の走行制御の自動運転レベルを変更する。この場合、制御切替部78は、ターン元車線LnS(図3参照)を走行しているうちに、ターン先車線LnGにおいて許可される自動運転レベル2に引き下げる。加えて、制御切替部78は、Uターン制御の制御負荷に応じて、ドライバによるステアリングホイールの把持義務の有無を変更する。
【0130】
具体的に、S233にて、計画生成部77は、Uターン予定場所ULでのUターン制御に切り返しが必要になるか否かを判定する。Uターン制御に切り返しが必要になる場合(S233:YES)、制御切替部78は、S234にて、ハンズオンレベル2への制御移行を決定する。対して、Uターン制御に切り返しが不要な場合(S233:NO)、制御切替部78は、S235にて、ハンズオフレベル2への制御移行を決定する。制御切替部78は、Uターン制御が開始される以前に、報知要求部72との連携によって運転交代要請を実施し、自動運転レベル3からハンズオンレベル2又はハンズオフレベル2への制御切替を完了させる。
【0131】
S236では、環境認識部62により、自車周囲の走行環境の認識結果が取得される。物標把握部74は、S236にて、自車両Amの後方を走行する後方車両を把握する。物標把握部74は、自車両Amと同一の車線を走行する後方車両だけでなく、隣接車線を走行する後方車両及び並走車両を把握可能であってよい。
【0132】
行動判断部63は、S236にて環境認識部62が取得した認識結果に基づき、S237にて、外側車線LnOへのはみ出しが可能か否かを判定する。外側車線LnOへのはみ出しが可能と判定した場合(S237:YES)、行動判断部63は、S238にて、外側車線LnOに自車両Amをはみ出させることを決定する。この場合、計画生成部77は、S244にて、ターン元車線LnSから外側車線LnOに自車両Amをはみ出させる予定走行ラインを生成する(図6参照)。
【0133】
一方、外側車線LnOに並走車両が存在する場合、或いは外側車線LnO又は自車車線の少なくとも一方に後方車両が存在する場合、行動判断部63は、外側車線LnOへのはみ出しが可能でないと判断する(S237:NO)。この場合、行動判断部63は、S239にて、外側車線LnOへの自車両Amのはみ出しを禁止する。加えて行動判断部63は、S240にて、切り返しを行う場合の外側車線LnOへの自車両Amの膨らみも禁止する。詳記すると、切り返しを行う場合、交差点IA及び接続路CL等のUターン予定場所ULにて、自車両Amの一時的に後退が行われる。切り返しでの膨らみが禁止される場合、行動判断部63は、後退時に自車両Amの後端が外側車線LnO又は外側車線LnOの延長上の領域にはみ出さないように、自車両Amの移動範囲を制限する。
【0134】
計画生成部77は、S241にて、Uターン予定場所ULが交差点IAであるか否かを判定する。Uターン予定場所ULが交差点IAである場合(S241:YES)、計画生成部77は、S242にて、ターン元車線LnS内での自車両Amのオフセット量を「大」に設定する。対して、Uターン予定場所ULが接続路CL等である場合(S241:NO)、計画生成部77は、S243にて、ターン元車線LnS内での自車両Amのオフセット量を「小」に設定する。計画生成部77は、S242又はS243での設定を反映し、S244にて、外側車線LnOにはみ出さない範囲で自車両Amを外側端EOにオフセットさせた予定走行ラインを生成する。
【0135】
(第二実施形態まとめ)
ここまで説明した第二実施形態でも、第一実施形態と同様のUターン報知処理(図13参照)の実施により、Uターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知は、Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様とされる。その結果、第一実施形態と同様の効果を奏し、Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0136】
加えて第二実施形態では、自車両Amに設定された経路を変更するリルートが発生した場合、リルート後においてUターン制御の実施を許可するか否かの問い合わせが、自車両Amの搭乗者に対し実施される。このように、Uターン制御を許可するか否かを搭乗者に決めてもらうことにより、リルート後の不安を感じ易いシーンでのUターンに起因し、搭乗者が強い不安を感じる事態は、回避され得る。
【0137】
また第二実施形態では、Uターン制御の推奨条件を満たすUターン推奨場所がリルート後の経路にある場合、このUターン推奨場所でのUターン制御の実施が搭乗者に提案される。これにより、Uターン制御の実施が容易であり、Uターンに起因する不安が生じ難いUターン予定場所ULでは、搭乗者の決定に基づき、Uターン制御が行われ易くなる。その結果、搭乗者の利便性がいっそう向上し得る。
【0138】
さらに第二実施形態では、ターン元車線LnSからターン先車線LnGへのUターン制御が実施される場合、Uターン制御での自動運転レベルは、ターン先車線LnGにおいて許可される自動運転レベルに設定される。これにより、自動運転レベルの変更は、Uターン制御の開始前に行われる。故に、高負荷な状態となるUターンの途中又はターン先車線LnGへの進入後にて自動運転レベルの変更が行われ、搭乗者の不安が惹起され易くなる事態は、回避され得る。
【0139】
加えて第二実施形態では、走行制御機能における自動運転レベルが、ターン元車線LnSを走行しているうちに、ターン先車線LnGにおいて許可される自動運転レベルに引き下げられる。これにより、自動運転システム50からドライバへの運転交代は、ターン元車線LnSにおいて完了され得る。その結果、Uターンの途中又はターン先車線LnGへの進入後に自動運転レベルが引き下げられて、自車両Amの挙動が不安定になる事態は、回避される。
【0140】
また第二実施形態では、Uターン制御の制御負荷に応じて、ドライバによるステアリングホイールの把持義務の有無が変更される。このように、把持義務を適切に発生させ、ドライバにステアリングホイールを握らせることで、Uターン中における搭乗者の不安を抑制することが可能になる。加えて、切り返しの発生によってUターンが高負荷となる場合に把持義務を発生させれば、搭乗者の不安は、いっそう抑制され得る。尚、上記第二実施形態では、ステアリングホイールが「操舵操作部」に相当する。
【0141】
さらに第二実施形態では、自車両Amの後方を走行する後方車両が把握される。そして、Uターン制御での自車両Amの予定走行ラインは、後方車両の有無に応じて変更される。これにより、Uターン制御を実施する自車両Amが後方車両に過度に接近する事態は、回避され得る。その結果、後方車両が存在するシーンでもUターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安は、抑制可能となる。
【0142】
加えて第二実施形態では、Uターン制御の実施を許可するか否かの判断基準が、Uターン制御に適用予定の自動運転レベルに応じて変更される。このように、Uターン制御の実施基準が自動運転レベルに応じて調整されれば、Uターン制御に起因する搭乗者の不安がより適切に抑制され易くなる。
【0143】
また第二実施形態では、自動運転レベルが高くなるほど、Uターン制御の実施が許可され易くする。故に、搭乗者が不安を感じ難いシーンにて、Uターン制御が積極的に行われる。その結果、Uターン制御による搭乗者の利便性は、いっそう向上し得る。
【0144】
さらに第二実施形態では、Uターン制御での自車両Amの予定走行ラインが、Uターン制御に適用予定の自動運転レベルに応じて変更される。このように、Uターン制御での予定走行ラインが自動運転レベルに応じて調整されれば、搭乗者が不安を感じ難い挙動でのUターンが実施され易くなる。
【0145】
加えて第二実施形態では、自動運転レベルが高くなるほど、切り返しの不要な予定走行ラインが設定される。例えば、ドライバに周辺監視義務のない自動運転レベル3の走行制御状態では、ドライバは、自車周囲の状況を把握していない。故に、切り返しが生じた場合に、搭乗者は、不安を感じ易くなる。そのため、高レベルの自動運転が実行される場合、切り返しの発生を回避することで、搭乗者の不安を効果的に抑制することが可能になる。
【0146】
(第三実施形態)
本開示の第三実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第三実施形態の自動運転ECU50bでは、Uターン制御が原則的に実施されない。自動運転ECU50bは、制限解除処理に基づき、所定の条件下でのみUターン制御の実施を許可する。以下、第三実施形態の自動運転ECU50bにて実施される制限解除処理の詳細を、図18に基づき、図1及び図2を参照しつつ説明する。
【0147】
<Uターン制御の制限解除処理>
図18に示す制限解除処理は、禁止しているUターン制御を一時的に解除する処理である。制限解除処理によれば、緊急時に限定してUターン制御の実施が許可される。制限解除処理は、自動運転システム50にて運転支援制御又は自律走行制御が起動したことに基づき、自動運転ECU50bによって開始される。制限解除処理は、運転支援制御及び自律走行制御が共にオフ状態となるまで、自動運転ECU50bによって繰り返し実施される。
【0148】
制限解除処理のS301では、道路把握部75が、車載通信機39にて受信される渋滞情報及び交通規制情報等を取得する。道路把握部75は、S301にて、予定していた経路上で事故又は渋滞等の交通障害が発生しているか否かを判定する。交通障害が発生している場合(S301:YES)、計画生成部77は、S302にて、ナビゲーションECU38と連携し、交通障害の発生場所を迂回して目的地DST(図3参照)に到達する経路(以下、代替ルート)があるか否かを判定する。代替ルートが設定できない場合(S302:NO)、行動判断部63は、S304にて、Uターン制御の実施を許可する。このように、Uターン制御を行わないと目的地DSTに到達できない場合、行動判断部63は、Uターン制御を実施する。
【0149】
交通障害の発生がない場合(S301:NO)又は代替ルートが設定可能な場合(S302:YES)、行動判断部63は、Uターン制御の実施を許可するか否かの設定を、予約時間の切迫の程度に応じて変更する。この場合、行動判断部63は、自車両Amに設定された目的地DSTと現在位置との位置関係、及び目的地DSTへの到着予約時刻と現在時刻との時間関係に基づき、予約時間が切迫しているか否かを判断する。到着予約時刻は、目的地DSTの設定時に搭乗者によって入力された時刻であってもよく、目的地DSTの設定時に自動運転システム50から搭乗者に提示された時刻であってもよい。加えて、自車両Amがモビリティサービスを提供するサービス車両である場合、搭乗者となるユーザに乗車予約時に提示された時刻であってもよい。
【0150】
行動判断部63は、Uターン制御を行わなくても到着予約時刻までに自車両Amが目的地DSTに到着できると推定される場合、予約時間が切迫していない(S303:NO)と判断する。この場合、行動判断部63は、S305にて、Uターン制御の実施を禁止する。対して、Uターン制御を行わないと到着予約時刻までに自車両Amが目的地DSTに到着でないと推定される場合、行動判断部63は、予約時間が切迫している(S303:YES)と判断する。この場合、行動判断部63は、S304にて、Uターン制御の実施を許可する。
【0151】
S303での予約時間の切迫判断は、常時実施されてもよく、又は期間を限定して実施されてもよい。例えば、目的地DSTまで所定距離(例えば、数km)以内の範囲に到達した場合、又は到着予約時刻まで所定時間(例えば、10~20分)以内になった場合に、予約時間の切迫判断が開始されてもよい。さらに、予約時間の切迫判断は、ナビゲーションECU38による最初のルート検索及び決定のタイミングで、1回又は複数回だけ実施されてもよい。
【0152】
(第三実施形態まとめ)
ここまで説明した第三実施形態でも、第一実施形態と同様の効果を奏し、Uターン制御が行なわれる場合の搭乗者の不安を抑制することが可能になる。
【0153】
加えて第三実施形態では、Uターン制御を行わなくても目的地DSTに到達できる場合、Uターン制御の実施が回避される。一方、Uターン制御を行わないと目的地DSTに到達できない場合、Uターン制御が実施される。以上によれば、事故等により、目的地DSTに到達できるルートがなく、Uターンでのみ目的地DSTに到達できる状況である場合に、Uターンが許可される。このように、Uターン制御を基本的に実施しない設定であれば、Uターン制御に起因する搭乗者の不安が抑制され得る。さらに、Uターン制御の実施を緊急時に限ることで、Uターンに対する搭乗者の納得感を得つつ、搭乗者の利便性の向上を図ることが可能になる。
【0154】
また第三実施形態では、Uターン制御の実施を許可するか否かの設定が、自車両Amに設定された目的地DSTと現在位置との位置関係、及び目的地DSTへの到着予約時刻と現在時刻との時間関係の少なくとも一方に応じて変更される。以上によれば、予約時間が迫っており、目的地DSTへの到着を急ぐ必要のあるシーンにおいて、Uターン制御を含む経路が一時的に選択可能になる。このように、Uターン制御の実施を緊急時に限ることで、Uターンに対する搭乗者の納得感を得つつ、搭乗者の利便性の向上を図ることが可能になる。
【0155】
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0156】
上記実施形態の各処理は、自動運転ECU50bが主体となって実施されていた。一方、上記実施形態の変形例1では、HMI制御装置100が主体となって問い合わせ処理及びUターン報知処理が実施される。具体的に、変形例1のUターン報知処理では、情報連携部82が、自動運転ECU50bと連携し、走行制御機能によって用いられる自車両Amの走行計画を把握する。さらに、提示制御部88が、自車ステータスStAの表示態様を切り替え、Uターン経路案内を右折経路案内等と異なる態様で実施する。こうした変形例1では、HMI制御装置100が「車両用制御装置」に相当し、情報連携部82が「計画把握部」に相当し、提示制御部88が「報知実施部」に相当する。
【0157】
上記実施形態の変形例2では、自動運転ECU50b及びHMI制御装置100の各機能が、1つの統合ECUに実装されている。統合ECUは、自動運転に関連する走行制御機能と、搭乗者へ向けた情報提示の統合制御機能とを備えている。こうした変形例2は、統合ECUが「車両用制御装置」に相当し、報知要求部72に替えて提示制御部88が「報知実施部」に相当する。
【0158】
さらに、自動運転ECU50b及びHMI制御装置100が連携し、上記実施形態の各処理が実施されてもよい。こうした変形例の場合、自動運転ECU50b及びHMI制御装置100を含むシステムが「車両用制御装置」に相当し、提示制御部88が「報知実施部」に相当する。
【0159】
尚、運転支援ECU50aの機能は、自動運転ECU50b又は統合ECUに実装されていてもよい。即ち、自動運転レベル2以下の走行制御機能を実現する運転支援ECU50aは、省略されていてもよい。さらに、自動運転システム50は、自動運転レベル2以下の走行支援制御のみを実施可能な構成であってもよい。
【0160】
上記実施形態の変形例3では、Uターン制御の実施に伴う自車ステータスStAの態様変更として、仮想視点位置の上方かつ遠方への移動、及び予定軌跡アイコンIPPの強調のうち、仮想視点位置の移動のみが実施される。また、上記実施形態の変形例4では、Uターン制御の実施に伴う自車ステータスStAの態様変更として、予定軌跡アイコンIPPの強調のみが実施される。こうした変形例3,4のように、Uターン制御の実施に伴う態様変更の具体的な手法は、適宜変更されてよい。さらに、Uターン制御の実施に伴う経路案内の報知には、オーディオ装置24によって再生される音声メッセージ又は報知音が利用されてもよい。
【0161】
上記実施形態の変形例5では、交差点IAでのUターン制御、及び交差点IA以外でのUターン制御の少なくとも一方のシーンにて、オフセット制御が実施されない。また、上記実施形態の変形例6では、交差点IAでのUターン制御におけるオフセット量が、交差点IA以外でのUターン制御におけるオフセット量よりも、小さくされる。
【0162】
上記実施形態の変形例7では、一時停止を行わないUターン制御での報知の強調が省略される。また、上記実施形態の変形例8では、切り返しを行わない場合でも、ぎりぎりでUターンを行う場合、言い替えれば、ターン先車線LnGの外側端に過度に接近する場合、アラウンドビュー表示が実施される。この場合、ターン先車線LnGの外側端を映した周辺カメラ映像AVが追加表示されてよい。
【0163】
上記実施形態の変形例9では、ターン先車線LnGの外側端に接近したタイミングで自車両Amの切り返しが実施される。こうした変形例9のように、切り返しの開始タイミングは、交通環境等を鑑みて、適宜変更されてよい。
【0164】
上記実施形態の変形例10では、Uターン制御について、「積極的に実施する」、「実施する」、「あまり実施しない」、「実施しない」等の選択肢が準備されている。搭乗者は、これらの選択肢のうちの1つを選択する。以上により、Uターン制御は、搭乗者が不安を感じ難いシーンに限って実施されるようになり得る。
【0165】
上記実施形態の変形例11では、搭乗者が目的地を変更した場合のリルート後に、Uターン制御の実施許可の問い合わせが実施される。対して、交通障害の発生に起因し、ナビゲーションECU38が自動で経路を変更した場合、Uターン制御の実施許可の問い合わせは、実施されない。以上のように、Uターン制御の実施許可の問い合わせは、特定のリルート発生時に限定して実施されてもよい。
【0166】
上記実施形態の変形例12では、Uターン制御での自動運転レベルを、ターン先車線LnGへの進入前に、ターン先車線において許可される自動運転レベルに引き上げる制御が実施される。具体的に、制御切替部78は、ハンズオフレベル2から自動運転レベル3への制御状態の切り替えを、Uターン制御の開始前又はUターン制御中に実施する。
【0167】
上記実施形態の変形例13では、ターン先車線LnGでの自動運転レベル3が許可されていない場合、Uターン制御での切り返しの有無に関わらず、Uターン制御中の自動運転レベルは、ハンズオフレベル2(又はハンズオンレベル2)に設定される。また、上記実施形態の変形例14では、Uターン制御に切り返しが必要になる場合ハンズオフレベル2への制御移行が実施され、Uターン制御に切り返しが不要な場合、ハンズオンレベル2への制御移行が実施される。
【0168】
上記実施形態の変形例15では、Uターン制御の実施を許可するか否かの判断基準が、Uターン制御に適用予定の自動運転レベルが高くなるほど、Uターン制御の実施を許可し難くなるように調整される。また、上記実施形態の変形例16では、Uターン制御での自車両Amの予定走行ラインは、Uターン制御に適用予定の自動運転レベルが低くなるほど、切り返しが不要となるように設定される。
【0169】
上記実施形態のUターン経路案内は、自動運転レベル3以上の自律走行制御が実施されている場合に限り行なわれる情報提示であってもよく、又は、自動運転レベル2以下の運転支援制御が実施されている場合に限り行なわれる情報提示であってもよい。
【0170】
上記実施形態にて、自動運転ECU及びHMI制御装置によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。また、こうした機能を実現するためのソフトウェアは、例えば現実世界のカメラ映像を用いてトレーニングされたニューラルネットワーク又は言語モデルにより自動生成されたコードを少なくとも一部に含んでいてもよい。
【0171】
上記実施形態の各処理部は、RAMと結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。こうした処理部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA等に実装された構成であってもよい。
【0172】
上記実施形態にて各種プログラム等を記憶する記憶媒体(持続的有形コンピュータ読み取り媒体,non-transitory tangible storage medium)の形態は、適宜変更されてよい。さらに、記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、自動運転ECU等の制御回路に電気的に接続される構成であってよい。また、記憶媒体は、自動運転ECU等へのプログラムのコピー元又は配信元となる光学ディスク、ハードディスクドライブ、及びソリッドステートドライブ等であってもよい。
【0173】
上記の自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。また、自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による車両用制御は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化されてよい。
【0174】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0175】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0176】
(技術的思想1)
ドライバの運転操作を支援又は代行する走行制御機能を備える自車両(Am)において用いられる車両用制御装置であって、
前記走行制御機能によって用いられる前記自車両の走行計画を把握する計画把握部(77,82)と、
前記走行計画にてUターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知を、前記Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様で実施する報知実施部(72,88)と、
を備える車両用制御装置。
(技術的思想2)
前記報知実施部は、前記Uターン制御の実施が予定されている場合の前記経路案内の報知を、前記Uターン制御の実施が予定されていない場合の前記経路案内の報知よりも強調した態様で実施する技術的思想1に記載の車両用制御装置。
(技術的思想3)
前記計画把握部は、前記Uターン制御の実施が予定されているUターン予定場所(UL)が交差点(IA)であるか否かを把握し、
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン予定場所が前記交差点であるか否かに応じて、前記Uターン制御の内容を変更する技術的思想1又は2に記載の車両用制御装置。
(技術的思想4)
前記制御実施部は、ターン元車線(LnS)からターン先車線(LnG)への前記Uターン制御を実施する場合、前記ターン元車線のうちで前記ターン先車線から遠い側に位置する外側端(EO)に前記自車両を寄せる技術的思想3に記載の車両用制御装置。
(技術的思想5)
前記制御実施部は、前記Uターン予定場所が前記交差点である場合、前記Uターン予定場所が前記交差点でない場合よりも、前記外側端に前記自車両を近づける技術的思想4に記載の車両用制御装置。
(技術的思想6)
前記報知実施部は、前記Uターン制御にて前記自車両の一時停止が行われる場合と、前記一時停止が行われない場合とで、前記経路案内の報知の態様を変更する技術的思想1~5のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想7)
前記報知実施部は、前記Uターン制御にて前記一時停止が行われる場合よりも、前記一時停止が行われない場合の前記経路案内の報知を強調する技術的思想6に記載の車両用制御装置。
(技術的思想8)
前記報知実施部は、前記Uターン制御にて前記自車両の切り返しが行なわれる場合と、前記切り返しが行なわれない場合とで、前記経路案内の報知の態様を変更する技術的思想1~7のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想9)
前記報知実施部は、前記Uターン制御にて前記切り返しが行なわれる場合、前記切り返しが行なわれない場合よりも、自車周囲の広範囲の状況を前記経路案内にて報知する技術的思想8に記載の車両用制御装置。
(技術的思想10)
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御の開始後における前記自車両の行き詰まりを判定し、当該行き詰まりを判定した地点から前記切り返しを開始する技術的思想8又は9に記載の車両用制御装置。
(技術的思想11)
前記自車両の搭乗者による前記Uターン制御の実施の許可を取得する許可取得部(71)と、
前記搭乗者による前記Uターン制御の実施の許可がある場合に、前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)と、をさらに備える技術的思想1~10のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想12)
前記報知実施部は、前記Uターン制御の実施を許可するか否かを判断するための情報として、前記Uターン制御に必要な切り返しの回数を前記搭乗者に報知する技術的思想11に記載の車両用制御装置。
(技術的思想13)
前記制御実施部は、
前記搭乗者による実施の許可がある場合に限り、切り返しが必要な前記Uターン制御を実施し、
前記搭乗者による実施の許可がない場合でも、前記切り返しが不要な前記Uターン制御であれば実施する技術的思想11又は12に記載の車両用制御装置。
(技術的思想14)
前記報知実施部は、前記自車両に設定された経路を変更するリルートが発生した場合、前記リルート後において前記Uターン制御の実施を許可するか否かを前記自車両の搭乗者に問い合わせる技術的思想1~13のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想15)
前記報知実施部は、前記Uターン制御の推奨条件を満たすUターン推奨場所が前記リルート後の経路にある場合、当該Uターン推奨場所での前記Uターン制御の実施を前記搭乗者に提案する技術的思想14に記載の車両用制御装置。
(技術的思想16)
前記Uターン制御を行わなくても前記自車両に設定された目的地(DST)に到達できる場合、前記Uターン制御の実施を回避し、前記Uターン制御を行わないと前記目的地に到達できない場合、前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備える技術的思想1~15のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想17)
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、ターン元車線(LnS)からターン先車線(LnG)への前記Uターン制御を実施する場合、前記Uターン制御での自動運転レベルを、前記ターン先車線において許可される前記自動運転レベルに設定する技術的思想1~16のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想18)
前記制御実施部は、前記走行制御機能における前記自動運転レベルを、前記ターン元車線を走行しているうちに、前記ターン先車線において許可される前記自動運転レベルに引き下げる技術的思想17に記載の車両用制御装置。
(技術的思想19)
前記制御実施部は、前記Uターン制御の制御負荷に応じて、前記ドライバによる操舵操作部の把持義務の有無を変更する技術的思想17又は18に記載の車両用制御装置。
(技術的思想20)
前記報知実施部は、前記Uターン制御が実施される場合、前記ドライバに周辺監視を促す報知を実施する技術的思想1~19のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想21)
前記自車両の後方を走行する後方車両を把握する物標把握部(74)と、
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御での前記自車両の予定走行ラインを前記後方車両の有無に応じて変更する技術的思想1~20のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想22)
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、ターン元車線(LnS)からターン先車線(LnG)への前記Uターン制御を実施する場合、前記ターン元車線を挟んで前記ターン先車線の反対側に位置する外側車線(LnO)に前記自車両をはみ出させるか否かを決定する技術的思想1~21のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想23)
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御の実施を許可するか否かの判断基準を、前記Uターン制御に適用予定の自動運転レベルに応じて変更する技術的思想1~22のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想24)
前記制御実施部は、前記自動運転レベルが高くなるほど前記Uターン制御の実施を許可し易くする技術的思想23に記載の車両用制御装置。
(技術的思想25)
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御での前記自車両の予定走行ラインを、前記Uターン制御に適用予定の自動運転レベルに応じて変更する技術的思想1~24のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想26)
前記制御実施部は、前記自動運転レベルが高くなるほど、切り返しが不要な前記予定走行ラインを設定する技術的思想25に記載の車両用制御装置。
(技術的思想27)
前記Uターン制御を実施する制御実施部(63)、をさらに備え、
前記制御実施部は、前記Uターン制御の実施を許可するか否かの設定を、前記自車両に設定された目的地と現在位置との位置関係、及び前記目的地への到着予約時刻と現在時刻との時間関係、の少なくとも一方に応じて変更する技術的思想1~26のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
(技術的思想28)
ドライバの運転操作を支援又は代行する走行制御機能を備える自車両(Am)において用いられる車両用制御方法であって、
前記走行制御機能によって用いられる前記自車両の走行計画を把握し(S61)、
前記走行計画にてUターン制御の実施が予定されている場合の経路案内の報知を、前記Uターン制御の実施が予定されていない場合とは異なる態様で実施する(S62)、
というステップを、少なくとも一つの処理部(11,51)にて実施される処理に含む車両用制御方法。
【符号の説明】
【0177】
Am 自車両、DST 目的地、EO 外側端、IA 交差点、LnG ターン先車線、LnO 外側車線、LnS ターン元車線、UL Uターン予定場所、11,51 処理部、50b 自動運転ECU(車両用制御装置)、63 行動判断部(制御実施部)、71 HMI情報取得部(許可取得部)、72 報知要求部(報知実施部)、74 物標把握部、77 計画生成部(計画把握部)、82 情報連携部(計画把握部)、88 提示制御部(報知実施部)、100 HMI制御装置(車両用制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18