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特開2024-166032微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166032
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/00 20060101AFI20241121BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241121BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B01J13/00 A
A61K8/06
A61K8/55
A61K8/81
A61K8/73
A61Q19/00
A61K8/34
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186101
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】10-2023-0063984
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0137766
(32)【優先日】2023-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523365055
【氏名又は名称】ニューアンドニュー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEW&NEW Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】85 Baekseokgongdan 1-ro, Seobuk-gu, Cheonan-si, Chungcheongnam-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョ テ
(72)【発明者】
【氏名】イ,チャン オン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ホ ヨン
【テーマコード(参考)】
4C083
4G065
【Fターム(参考)】
4C083AC091
4C083AC092
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC172
4C083AC231
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC712
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD262
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB01
4C083BB11
4C083BB44
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD35
4C083DD44
4C083EE07
4C083EE12
4G065AA01
4G065AB03Y
4G065AB05X
4G065AB07X
4G065AB13X
4G065AB17X
4G065AB26X
4G065AB33X
4G065AB35X
4G065BA07
4G065BA09
4G065CA09
4G065DA02
(57)【要約】
【課題】有効性物質の皮膚吸収増大と皮膚弾力増進などの有益な効果が発揮できる液晶ナノエマルジョンの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法は、A相とB相とを1次混合する段階(a)、及び、前記段階(a)の1次混合後に、C相を入れて2次混合する段階(b)を含み、前記A相は、オイル、ポリオール、リン脂質及び乳化剤が混合されたものであり、前記B相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びるアクリル系の粘増剤又はガム類系の粘増剤が混合されたものであり、前記C相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びる有機酸又は有機酸塩が混合されたものであることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA相とB相とを1次混合する段階(a);及び、
前記段階(a)の1次混合後に、下記のC相を入れて2次混合する段階(b);を含み、
前記A相は、オイル、ポリオール(Polyol)、リン脂質及び乳化剤が混合されたものであり、
前記B相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びるアクリル(Acryl)系の粘増剤又はガム(Gum)類系の粘増剤が混合されたものであり、
前記C相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びる有機酸又は有機酸塩が混合されたものである、
ことを特徴とする微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法。
【請求項2】
前記B相は、
精製水、中和剤(Neutralizer)が混合されたD相が添加されたことを特徴とする、請求項1に記載の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法。
【請求項3】
前記C相は、
アミノ酸がさらに混合されていることを特徴とする、請求項1に記載の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法。
【請求項4】
前記ポリオールは、
オクチルドデカノール(Octyldodecanol)及びグリセロール(Glycerol)から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法。
【請求項5】
前記リン脂質は、
フィトスフィンゴシン(Phytosphingosine)及び水添レシチン(Hydrogenated Lecithin)から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法。
【請求項6】
前記乳化剤は、
ポリグリセリル系の乳化剤及びオリーブ油脂肪酸ソルビタン(Sorbitan Olivate)から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法に関し、具体的には、電気伝導性をより高め、電圧をよりよく形成して微細電流をより高く形成することによって、有効性物質の皮膚吸収増大と皮膚弾力増進などの有益な効果が発揮できる液晶ナノエマルジョン製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細電流は、傷治癒、細胞活性、皮膚トーン改善及び皮膚弾力などに効果を発揮する有益な機能性を有するものと多年間報告されてきている。したがって、これを活用したビューティーデバイス市場がここ数年間着実に成長してきた。しかしながら、ビューティーデバイスは高価であり、使用及び携帯が不便であるという短所がある。したがって、ビューティーデバイスを用いずに微細電流を起こし得る組成物形態の化粧料を開発することが求められている。
【0003】
近年、消費者が化粧品を使用する際に、皮膚への塗布後に叩いたり皮膚に圧力を加えて擦り込むなどの使用法に基づく圧電性(力を加えると分極によって微細電流又は電圧が発生する現象)の概念を化粧品に適用しようとする努力がなされている。すなわち、塗布時に圧力を加えると微細電流が形成される方式の微細電流発生方式に関する研究がなされている。
【0004】
しかしながら、上記のように圧力を加えることは、圧力の発生という別の労力を消費者に要求する。このため、直接に圧力を加えずに微細電流を発生させることによって、皮膚層に有効成分をよく送達して吸収力を高め、微細電流による有益な皮膚機能性(弾力増進、皮膚障壁強化など)を発揮できる新しい技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許登録公報第10-2559008号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電気伝導性をより高め、電圧をよりよく形成して微細電流をより高く形成することによって、有効性物質の皮膚吸収増大と皮膚弾力増進などの有益な効果が発揮できる液晶ナノエマルジョンの製造方法を開発して提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記のA相とB相とを1次混合する段階(a);及び、前記段階(a)の1次混合後に、下記のC相を入れて2次混合する段階(b);を含み、前記A相は、オイル、ポリオール(Polyol)、リン脂質及び乳化剤が混合されたものであり、前記B相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びるアクリル(Acryl)系の粘増剤又はガム(Gum)類系の粘増剤が混合されたものであり、前記C相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びる有機酸又は有機酸塩が混合されたものであることを特徴とする微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法を提供する。
【0008】
本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法において、前記B相は、好ましくは、精製水、中和剤(Neutralizer)が混合されたD相が添加されたものが良い。
【0009】
本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法において、前記C相は、好ましくは、アミノ酸がさらに混合されたものが良い。
【0010】
本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法において、前記ポリオールは、好ましくは、オクチルドデカノール(Octyldodecanol)及びグリセロール(Glycerol)から選ばれるいずれか一つ以上であることが良い。
【0011】
本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法において、前記リン脂質は、好ましくは、フィトスフィンゴシン(Phytosphingosine)及び水添レシチン(Hydrogenated Lecithin)から選ばれるいずれか一つ以上であることが良い。
【0012】
本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法において、前記乳化剤は、好ましくは、ポリグリセリル系の乳化剤及びオリーブ油脂肪酸ソルビタン(Sorbitan Olivate)から選ばれるいずれか一つ以上であることが良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明を用いれば、液晶ラメラ構造のナノエマルジョンを製造することができる。また、ナノサイズの液晶構造と電解質の相互作用により、電気伝導性をより高め、電圧をよりよく形成して化学的電池の役目をよりよく果たすことができる。
【0014】
本発明の高浸透力のナノサイズのエマルジョンは、微細電流をより高く形成し、有効性物質の吸収増大と皮膚弾力増進などの有益な効果を極大化させると判断される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法を示す模式図である。
図2】実施例のTEM透過電子顕微鏡写真である。
図3】実施例の光学顕微鏡写真である。
図4】実施例のゼータ電位測定結果である。
図5】実施例の電気伝導性測定結果である。
図6】実施例の発光ダイオード発光写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、粘増剤を使用し、ポリオール、有機酸を適切に組み合わせて液晶ナノエマルジョンを製造したところ、電気伝導性が高まり、高い電圧を形成して化学的電池として働くことによって、皮膚に圧力を加えずとも剤形自体中に微細電流が高く形成されることが確認できた。すなわち、ラメラ構造の液晶エマルジョンがナノ単位で生成されることにより、全体的な表面積が広くなり、電荷ポテンシャルが高くなる。したがって、電解質との電荷相互作用が一般のエマルジョン、液晶エマルジョンに比べて高くなる。
【0017】
具体的には、本発明は、下記のA相とB相とを1次混合する段階(a);及び、前記段階(a)の1次混合後に、下記のC相を入れて2次混合する段階(b);を含み、前記A相は、オイル、ポリオール(Polyol)、リン脂質及び乳化剤が混合されたものであり、前記B相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びるアクリル(Acryl)系の粘増剤又はガム(Gum)類系の粘増剤が混合されたものであり、前記C相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びる有機酸又は有機酸塩が混合されたものであることを特徴とする微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法を提供する。図1は、本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造方法を示す模式図である。
【0018】
下記では、本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョン製造方法を各段階別に細分化して説明する
【0019】
<段階(a):A相とB相との1次混合>
この段階(a)は、A相とB相を混合する過程である。A相は、オイル(Oil)、ポリオール(Polyol)、リン脂質(Phospholipid)及び乳化剤(Emulsifier)が混合されたものである。
【0020】
オイル(oil)は、化粧品に広く用いられるものであれば特に限定されない。脂肪酸又はエステルオイルなど、オイルに分類可能な如何なるものも使用可能であり、全組成に対して0.1~30%(w/w)添加することが良い。オイルの具体的な例としては、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(Caprylic/Caprictriglyceride)を使用することができる。
【0021】
ポリオール(Polyol)は、複数のヒドロキシル基を含有する有機化合物のことを指す。その代表例として、グリセロール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン、プロパンジオール、メチルプロパンジオール、ブチレングリコールなどがある。本発明では、全組成に対して好ましくは0.1~20%(w/w)添加することが良い。本発明では、特定のポリオールに限定されず、ポリオールを1種又は複数種混合して使用することができる。一例として、オクチルドデカノール(Octyldodecanol)とグリセロール(Glycerol)とを混合して使用することができる。
【0022】
リン脂質(Phospholipid)は、極性を帯びるリン酸塩(phosphate)及び非極性である脂肪酸(fatty acid)を含む脂質の一種で、生体膜の主要成分である。リン脂質は両親媒性を帯びるので、水のような水溶液環境において、疎水性である脂肪酸部分が凝集し合って安定化した形態のミセル(micell)又はリポソーム(liposome)の構造を形成する。本発明では、特定のリン脂質に限定されず、リン脂質を1種又は複数種混合して使用することができる。リン脂質は、本発明において全組成に対して好ましくは0.01~5%(w/w)添加することが良い。一例として、フィトスフィンゴシン(Phytosphingosine)と水添レシチン(Hydrogenated Lecithin)とを混合して使用することができる。
【0023】
乳化剤(Emulsifier)は特定のものに限定されず、乳化剤を1種又は複数種混合して使用することができる。好ましくは、オリーブ油脂肪酸ソルビタン(Sorbitan Olivate)とポリグリセリル系の乳化剤とを混合して使用することが良い。本発明では全組成に対して好ましくは0.1~20%(w/w)添加することが良い。
【0024】
ポリグリセリル系の乳化剤には、例えば、ポリグリセリル-4カプレート、ポリグリセリル-3ポリリシノレアート、ジイソステアロイルポリグリセリル-3ダイマージリノリエート、ポリグリセリル-4ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート、ポリグリセリル-10オレアート、ポリグリセリル-6ポリヒドロキシステアレート、ポリグリセリル-6ポリリシノレアート、ポリグリセリル-3オレアート、ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、ポリグリセリル-10ジオレアート、ポリグリセリル-10デカイソステアレート、ポリグリセリル-10ラウレート、ポリグリセリル-10ミリステート、ポリグリセリル-10ステアレート、ポリグリセリル-2イソステアレート/ダイマージリノリエートコポリマー、ポリグリセリル-2ステアレート、ポリグリセリル-2トリイソステアレート、ポリグリセリル-3カプレート、ポリグリセリル-3メチルグルコースジステアレート、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ステアレート、ポリグリセリル-4イソステアレート、ポリグリセリル-5オレアート、ポリグリセリル-8デカベヘネート/カプレート、ポリグリセリル-4オレアート、ポリグリセリル-6ジステアレート、ポリグリセリル-3ビーズワックス、ポリグリセリル-6カプリレート、ポリグリセリル-6ステアレート、ポリグリセリル-6ベヘネート、ポリグリセリル-10ジステアレート、ポリグリセリル-3ジステアレート、ポリグリセリル-4ラウレート、ポリグリセリル-6ラウレート、ポリグリセリル-3リシノレアート、ポリグリセリル-3ココエートなどがある。
【0025】
一方、B相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びるアクリル(Acryl)系の粘増剤又はガム(Gum)類系の粘増剤が混合されたものである。本発明では、粘増剤(Thickener)を添加することにより、粘増の効果に加えて、ナノ粒子が分離され、乳化が増進することが確認できた。また、アクリル(Acryl)系の粘増剤又はガム(Gum)類系の粘増剤は精製水に溶解されると伝導性を帯びることになり、よって、本発明の液晶ナノエマルジョンにおいて、電気伝導性をより高め、電圧をよりよく形成することで化学的電池としてよりよく働き得ることが確認できた。粘増剤は、本発明において全組成に対して好ましくは0.01~2.00%(w/w)添加することが良い。
【0026】
一部の粘増剤は、pH調節及び粘度向上のために中和剤が添加される必要があるが、精製水、中和剤(Neutralizer)が混合された別個のD相を作った後、これをB相に添加して使用することができる。中和剤の例には、トロメタミン(Tromethamine)、L-アルギニン(L-Arginine)、TEA(Triethanolamine)などがある。中和剤は、本発明において全組成に対して好ましくは0.01~2.00%(w/w)添加することが良い。
【0027】
<段階(b):1次混合の後、C相を入れて2次混合>
この段階(b)は、前記段階(a)の1次混合後に、C相を入れて2次混合する過程である。
【0028】
C相は、精製水、及び、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びる有機酸又は有機酸塩が混合されたものである。有機酸又は有機酸塩が精製水に溶解されると解離しながら電解質溶液となる。このように電解質溶液となったC相は電圧を形成し、電気伝導性を高める。有機酸又は有機酸塩は、本発明において全組成に対して好ましくは0.01~5%(w/w)添加することが良い。有機酸又は有機酸塩は特定のものに限定されず、1種又は複数種混合して使用することができる。有機酸の例は、クエン酸を使用することができ、有機酸塩の例は、クエン酸ナトリウム(Sodium Citrate)を使用することができる。
【0029】
一方、前記C相は、好ましくは、アミノ酸がさらに混合されたものが良い。アミノ酸は、本発明において全組成に対して好ましくは0.01~5%(w/w)添加することが良い。アミノ酸は電荷(charge)を帯びており、本発明の液晶ナノエマルジョン内で、電気伝導性をより高め、電圧をよく形成することに役立つ。アミノ酸の例としてはベタイン(Betaine)を使用することができる。また、C相には必要によって保存剤(防腐剤;Preservative)も添加されてよい。保存剤の種類は特定のものに限定されず、1種又は複数種混合して使用することができる。その例には、1,2-ヘキサンジオール(1,2-Hexanediol)とエチルヘキシルグリセリン(Ethylhexylglycerine)がある。
【0030】
本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造過程を説明すると、下記の通りである。まず、A相とC相をそれぞれ加温後に冷却させて準備する。その後、A相にB相(又は、「D相が添加されたB相」)を添加して1次撹拌するが、好ましくはホモミキサーで撹拌する。その後、C相を少量ずつ添加しながら2次撹拌するが、好ましくはホモミキサーで撹拌する。
【0031】
上記のような製造方法で製造した本発明の液晶ナノエマルジョンは、優れた電気伝導度を有して微細電流をよく形成でき、ガルバニック効果により、化粧料組成物中の有効物質のイオン化による皮膚吸収増大や、微細電流自体による皮膚弾力増進及び皮膚障壁強化効果を発揮できる。したがって、本発明の方法によって製造された液晶ナノエマルジョンは、様々な剤形の化粧料組成物又は化粧品に添加して使用可能である。
【0032】
以下、本発明の内容を、下記の実施例及び実験例を用いてより詳細に説明する。ただし、本発明の権利範囲が下記の実施例及び実験例に限定されるものではなく、これらと等価の技術的思想の範囲も含む。
【0033】
[実施例:本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造]
本実施例では、オイルに基づいて様々な粘増剤別実施例を製造して微細電流形成能を比較する。オイルとしては、化粧品に代表的に使用されるトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(Caprylic/Caprictriglyceride)を選定した。粘増剤は、粒子乳化安定性を与え、粒子を閉じ込め得るアクリル系の粘増剤と天然ガム類から選定した。
【0034】
下表1で、A相は乳化剤が添加された油相である。オイルとしてはトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(Caprylic/Caprictriglyceride)を使用し、ポリオール(Polyol)としてはオクチルドデカノール(Octyldodecanol)とグリセロール(Glycerol)を使用した。乳化剤としてはオリーブ油脂肪酸ソルビタン(Sorbitan Olivate)とポリグリセリル系の乳化剤であるポリグリセリル-4ラウレート(Polyglyceryl-4 Laurate)を使用した。リン脂質としてはフィトスフィンゴシン(Phytosphingosine)と水添レシチン(Hydrogenated Lecithin)を使用した。
【0035】
B相は粘増剤相(phase)であるが、本実施例では、下表1に記載した通りに様々な粘増剤を実施例別に様々に組成し、精製水に溶解させて使用した。
【0036】
C相は水相であるが、C相には、精製水に溶解されると溶液が伝導性を帯びる有機酸又は有機酸塩が溶解されている。有機酸としてはクエン酸(Citric acid)を使用し、有機酸塩としてはクエン酸ナトリウム(Sodium Citrate)を使用した。また、アミノ酸は、べタイン(Betaine)を添加して使用し、保存剤(防腐剤;Preservative)も添加した。
【0037】
D相は水相であるが、中和剤(Neutralizer)が添加された水溶液である。粘増剤としてアクリレート/C10-30アルキル(Acrylates/C10-30 Alkyl)とポリアクリル酸(Polyacylic Acid)を使用した場合には、粘増剤相にD相を添加して使用した。中和剤としてはトロメタミン(Tromethamine)を使用した。
【0038】
本発明の微細電流形成液晶ナノエマルジョンの製造過程を説明すると、下記の通りである。まず、A相とC相をそれぞれ加温(85℃)後に冷却(30℃以下)させて準備した。その後、A相にB相又は「D相が添加されたB相」を添加し、約5~10分間ホモミキサーで撹拌した。その後、C相を少量ずつ添加しながら10分程度ホモミキサーで撹拌した。
【0039】
【表1】
【0040】
[実験例1:実施例の透過電子顕微鏡観察]
上記で製造した実施例において、液晶ラメラ構造とナノサイズエマルジョンがよく形成されているかを確認するために、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて分布全般の様子を形態学(Morphology)側面で観察した。
【0041】
その結果は図2に示した。いずれの実施例も全般的にラメラ膜構造と約2~300nmサイズの粒子が均一に分布していることが分かる。
【0042】
[実験例2:実施例の偏光顕微鏡観察]
実施例に対して、光学顕微鏡のうち偏光顕微鏡を用いて、明るく輝くラメラ多層構造を形成したかを観察した。
【0043】
その結果は図3に示した。いずれの実施例も、多層ラメラ構造特徴である明るく輝くクリスタル形態の粒子が観察された。
【0044】
[実験例3:実施例の静電気的ポテンシャル確認]
静電気的ポテンシャルを確認するために、実施例に対してゼータ電位を測定した。
【0045】
実験結果は図4に示した。いずれの実施例も-30以下のゼータ電位を記録し、「粒子別ゼータ電位」が-50以下と記録されたものも確認された。一方、対照群として既存ガルバニッククリーム(大韓民国特許登録公報第10-2559008号)に対するゼータ電位を測定した結果、-30以下を記録したが、-50は超えていないことが観察された。
【0046】
通常、ゼータ電位の絶対値が-30以下を記録するとき、ゼータ電位の反発力が安定しているといい、絶対値が-50以下であると、それ以上の静電気的反発力を備えていると見なしてよい。
【0047】
既存ガルバニッククリーム(大韓民国特許登録公報第10-2559008号)では-50を超えていないが、本実施例はいずれもそれを超えていることが見られ、特に、実施例5及び9では-100までも分布していることが見られた。
【0048】
したがって、本実施例はいずれも優れた静電気的反発力を有しており、特に、実施例5及び実施例9が最も優れているものと判明された。
【0049】
[実験例4:実施例の電流及び電圧測定]
実際の電流と電圧を比較するために、実施例と対照群との電流、電圧を比較測定した(表2)。対照群1としては既存ガルバニッククリーム(大韓民国特許登録公報第10-2559008号)を、対照群2としては他社のガルバニック製品を用いて電流及び電圧を測定した結果である。
【0050】
【表2】
【0051】
上記の表2に見られるように、対照群1及び対照群2に比べて、実施例の電流及び電圧がいずれも圧倒的に高いことが確認できた。特に、実施例5及び実施例9において優れていることが見られた。
【0052】
[実験例5:実施例の皮膚電気伝導性測定]
実施例の皮膚電気伝導性を測定するために、皮膚に塗布後に電気伝導度を測定した。対照群として蒸留水、対照群(一般クリーム)、対照群2(大韓民国特許登録公報第10-2559008号のガルバニッククリーム)を採択して共に電気伝導度を測定した。
【0053】
実験結果は図5に示した。いずれの実施例も対照群に比べて高い電気伝導性を有していることが確認され、特に実施例5及び実施例9が最も高い電気伝導性を有することが確認された。
【0054】
[実験例6:実施例の発光ダイオード発光測定]
実施例を発光ダイオードに適用時に、通電して点灯するかを確認した。
【0055】
実験結果は図6に示した。いずれの実施例においても発光ダイオード適用時に点灯する(発光ダイオード電球から赤色が発される)ことが観察できた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6