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特開2024-166054車両用照明装置、車両用灯具、および車両用照明装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166054
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】車両用照明装置、車両用灯具、および車両用照明装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/31 20180101AFI20241121BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241121BHJP
   F21S 43/33 20180101ALI20241121BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20241121BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241121BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241121BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241121BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241121BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20241121BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20241121BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241121BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241121BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241121BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/14
F21S43/33
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220524
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2023082079
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】白石 寛光
(57)【要約】
【課題】発光素子から出射した光の取り出し効率を向上させることができる車両用照明装置、車両用灯具、および車両用照明装置の製造方法を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた発光素子と;前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記基板の上であって、前記発光素子の側面と、前記枠部の内壁との間に設けられた反射部と;を具備している。前記反射部の上面は、前記基板側に突出する凹状の曲面となっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた発光素子と;
前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;
前記基板の上であって、前記発光素子の側面と、前記枠部の内壁との間に設けられた反射部と;
を具備し、
前記反射部の上面は、前記基板側に突出する凹状の曲面となっている車両用照明装置。
【請求項2】
前記反射部は、前記枠部と同じ材料を含み、前記枠部と一体に形成されている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記発光素子の上部電極と、前記基板の上に設けられた配線パターンと、を電気的に接続する配線ワイヤをさらに具備し、
前記枠部、および前記反射部の少なくともいずれかは、前記配線ワイヤと、前記配線パターンとの接合部分の上に設けられている請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記反射部の材料の線膨張係数は、封止部の材料の線膨張係数よりも小さい、
および、
前記反射部の材料のヤング率は、前記封止部の材料のヤング率よりも小さい、の少なくともいずれかである請求項3記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向において、
前記基板の面と、前記発光素子の上面との間の距離をh1(mm)、前記基板の面と、前記発光素子の側面における前記反射部の上端の位置との間の距離をh2(mm)、前記基板の面と、前記枠部の内壁における前記反射部の上端の位置との間の距離をh4(mm)、前記基板の面と、前記枠部の頂部との間の距離をh5(mm)とした場合に、以下の式を満足する請求項1または2に記載の車両用照明装置。
h2(mm)<h1(mm)<h4(mm)<h5(mm)
【請求項6】
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向において、前記基板の面と、前記反射部の上面の頂点との間の距離をh3(mm)とした場合に、以下の式をさらに満足する請求項5記載の車両用照明装置。
h3(mm)<h2(mm)
【請求項7】
請求項1記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【請求項8】
請求項1記載の車両用照明装置の製造方法であって、
基板の面の、反射部を形成する領域に軟化させた樹脂を供給し、供給した前記樹脂の外側に軟化させた前記樹脂をさらに枠状に供給する車両用照明装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、車両用灯具、および車両用照明装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを有するランプを備えた車両用照明装置に代えて、発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。発光素子を備えた車両用照明装置は、発光モジュールを備えている。発光モジュールは、配線パターンが設けられた基板と、配線パターンに電気的に接続されたチップ状の発光素子と、チップ状の発光素子を囲む枠部と、枠部の内側に設けられチップ状の発光素子を覆う封止部と、を有している。
【0003】
チップ状の発光素子の上面から出射した光の大部分は、車両用照明装置の正面側に向けてそのまま照射される。チップ状の発光素子の上面から出射し、枠部の内壁に入射した光は、枠部の内壁において反射されて、車両用照明装置の正面側に向けて照射される。
【0004】
ここで、チップ状の発光素子の側面からも光が出射する場合がある。発光素子の側面から出射した光の一部は、発光素子の側面と、枠部の内壁との間に位置する基板の面に入射する。基板の面に入射した光の一部は基板に吸収されるので、発光素子から出射した光の取り出し効率が低下する場合がある。この場合、発光素子の側面と、枠部の内壁との間の距離を短くすれば、発光素子の側面と、枠部の内壁との間に位置する基板の面積を小さくすることができる。露出する基板の面積が小さくなれば、基板の面に入射する光を減らすことができるので、発光素子から出射した光の取り出し効率を向上させることができる。
【0005】
ところが、発光素子の側面と、枠部の内壁との間に位置する基板の面には、発光素子の上部電極と、基板の面に設けられた配線パターンとを電気的に接続する配線ワイヤが設けられる場合がある。そのため、発光素子の側面と、枠部の内壁との間の距離を短くすることで、発光素子から出射した光の取り出し効率を向上させることは困難である。
そこで、発光素子から出射した光の取り出し効率を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-247061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、発光素子から出射した光の取り出し効率を向上させることができる車両用照明装置、車両用灯具、および車両用照明装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた発光素子と;前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記基板の上であって、前記発光素子の側面と、前記枠部の内壁との間に設けられた反射部と;を具備している。前記反射部の上面は、前記基板側に突出する凹状の曲面となっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、発光素子から出射した光の取り出し効率を向上させることができる車両用照明装置、車両用灯具、および車両用照明装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】発光モジュールの、枠部が設けられる領域の模式平面図である。
図4図3における枠部、および反射部のB-B線断面図である。
図5】比較例に係る反射部の模式断面図である。
図6】他の実施形態に係る反射部の模式断面図である。
図7】他の実施形態に係る反射部の模式断面図である。
図8】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図3は、発光モジュール20の、枠部23が設けられる領域の模式平面図である。
図1、および図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0014】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられている。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0015】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、板状を呈している。フランジ13は、例えば、略円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0017】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1に示すように、ソケット10には複数の放熱フィン14を設けることができる。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0018】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0019】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。ソケット10は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属から形成することができる。金属を含むソケット10は、例えば、ダイカスト法(ダイキャスト法)などを用いて形成することができる。
【0020】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することもできる。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン(Nylon)などの樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0021】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法を用いて、ソケット10、および給電部30、あるいは、ソケット10、給電部30、および伝熱部40を一体成形することもできる。
【0022】
発光モジュール20(基板21)は、ソケット10の一方の端部側に設けられている。 発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、回路素子25、および反射部26を有する。
【0023】
図2に示すように、基板21は、例えば、伝熱部40の上に接着することができる。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、導電性材料や無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。接着剤が硬化することで、発光モジュール20(基板21)と、伝熱部40との間に接着層20aが形成される。
【0024】
図1、および図2に示すように、基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状(車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の形状)は、例えば、略四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。また、基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0025】
また、図1、および図3に示すように、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部21bが設けられている。被覆部21bは、例えば、ガラス材料を含んでいる。
【0026】
図2、および図3に示すように、発光素子22は、基板21の上(基板21のソケット10側とは反対側の面)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。
【0027】
例えば、図3に例示をしたように、5つの発光素子22を設けることができる。この場合、1つの発光素子22の中心が、車両用照明装置1の中心軸1aと重なるようにし、中心軸1aを中心として回転対称となる位置に4つの発光素子22のそれぞれの中心が位置するようにすることができる。例えば、図3に示すように、4つの発光素子22のそれぞれの中心が、1辺の長さが1.6mmの正方形の角部に位置する様にすることができる。図3に例示をした発光素子22の平面形状(車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の形状)は、一辺が0.48mmの正方形である。
ただし、発光素子22の数、配置、および平面形状は、要求される全光束、配光特性、輝度分布などに応じて適宜変更することができる。また、複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。
【0028】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることができる。発光素子22がチップ状の発光素子であれば、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0029】
チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。発光素子22が、上部電極型の発光素子、または上下電極型の発光素子である場合には、発光素子22の上部電極と、配線パターン21aとを電気的に接続する配線ワイヤ22cが設けられる(例えば、後述する図4を参照)。
【0030】
図1図3に示すように、枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、基板21に接着されている。枠部23は、枠状を呈し、発光素子22を囲んでいる。車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の枠部23の輪郭は、例えば、図3に示すように四角形とすることができる。この場合、四角形の角部の輪郭は、例えば、半円などの曲線としてもよい。また、図3に示すように、枠部23の中心は、車両用照明装置1の中心軸1aに重なる様にすることができる。この場合、枠部23の内壁間の長さは、例えば、3.2mm程度とすることができる。枠部23の外壁間の長さは、例えば、5.2mm程度とすることができる。
【0031】
なお、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の枠部23の輪郭の形状、および寸法は、発光素子22の数や配置、要求される配光特性や輝度分布などに応じて適宜変更することができる。例えば、枠部23の輪郭の形状は、円や楕円などであってもよい。
【0032】
枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂などとすることができる。
【0033】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有する。そのため、枠部23は、発光素子22から出射した光に対する反射率が高い材料から形成することができる。枠部23の材料は、例えば、白色の樹脂や、光散乱性粒子(例えば、酸化チタンの粒子)を含む樹脂などとすることができる。枠部23の材料は、例えば、シリコーン樹脂に酸化チタンの粒子を混合したものとすることができる。この場合、酸化チタンの粒子の含有量は、例えば、20wt%程度とすることができる。枠部23は、例えば、射出成形法や切削加工などにより形成することができる。また、枠部23は、例えば、ディスペンサなどの供給装置を用いて、樹脂を枠状に塗布することで形成することもできる。
なお、枠部23に関する詳細は後述する。
【0034】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどの供給装置を用いて行うことができる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
【0035】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0036】
回路素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。回路素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。回路素子25は、配線パターン21aを介して、発光素子22と電気的に接続されている。なお、回路素子25は、例えば、車両用照明装置1の外部に設けられた点灯回路などに設けてもよい。この様にすれば、発光モジュール20の構成の簡易化を図ることができるので、車両用照明装置1の製造コストの低減を図ることができる。ただし、回路素子25が発光モジュール20に設けられていれば、発光モジュール20の保護を図ったり、発光モジュール20の多機能化を図ったりするのが容易となる。
【0037】
回路素子25は、例えば、抵抗25a、保護素子25b、および制御素子25cなどとすることができる。
ただし、回路素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、回路素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、トランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0038】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21aと電気的に接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗25aは、表面実装型の抵抗器である。
【0039】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から出射する光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から出射する光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0040】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、配置、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0041】
保護素子25bは、基板21の上に設けられている。保護素子25bは、配線パターン21aと電気的に接続される。保護素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。保護素子25bは、例えば、ダイオードである。図1に例示をした保護素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0042】
制御素子25cは、基板21の上に設けられている。制御素子25cは、配線パターン21aと電気的に接続される。制御素子25cは、例えば、発光素子22に印加する電圧を切り替えるために設けられる。制御素子25cは、例えば、トランジスタや集積回路とすることができる。なお、図1に例示をした制御素子25cは、表面実装型の集積回路である。
【0043】
ここで、発光素子22は、主に、上面(基板21側とは反対側の面)から光を出射するが、発光素子22の側面(上面と交差する面)からも光が出射する。例えば、全光束の20%程度の光が発光素子22の側面から出射する。発光素子22の側面から出射した光の一部は、発光素子22の側面と、枠部23の内壁との間に位置する、基板21の面、配線パターン21a、および被覆部21bに入射する。基板21の面などに光が入射すると、入射した光の一部が基板21の面などに吸収されて、発光素子22から出射した光の取り出し効率が低下する。
【0044】
そこで、基板21の上であって、発光素子22の側面と、枠部23の内壁との間には、反射部26が設けられている。例えば、反射部26は、枠部23の内側の、基板21の面、配線パターン21a、および被覆部21bの上に設けられている。例えば、反射部26は、発光素子22から出射した光に対する反射率が高い材料から形成することができる。例えば、反射部26の材料は、白色の樹脂や、光散乱性粒子(例えば、酸化チタンの粒子)を含む樹脂などとすることができる。反射部26の材料は、例えば、シリコーン樹脂に酸化チタンの粒子を混合したものとすることができる。この場合、酸化チタンの粒子の含有量は、例えば、20wt%程度とすることができる。反射部26は、枠部23と同じ材料を含んでいてもよいし、異なる材料を含んでいてもよい。反射部26は、例えば、ディスペンサなどの供給装置を用いて、樹脂を塗布することで形成することができる。
なお、反射部26に関する詳細は後述する。
【0045】
その他、必要に応じて、光学要素などを設けることもできる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などである。光学要素は、例えば、封止部24の上に設けることができる。光学要素は、例えば、封止部24、および枠部23の少なくともいずれかと接合することができる。光学要素が設けられていれば、例えば、所望の配光特性を得るのが容易となる。
【0046】
図2に示すように、給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31は、例えば、所定の方向に並べて設けられる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aに半田付けされている。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0047】
前述したように、ソケット10は、熱伝導率の高い材料を用いて形成するのが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は、導電性を有している場合がある。例えば、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂や、アルミニウム合金などの金属は、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、PETやナイロンなどの樹脂から形成することができる。
【0048】
複数の給電端子31が設けられた保持部32は、例えば、ソケット10の内部を延びる孔10cの内部に設けられる。複数の給電端子31が設けられた保持部32は、例えば、孔10cの内部に圧入したり、孔10cの内壁に接着したり、インサート成形法を用いてソケット10と一体成形したりすることができる。
【0049】
なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。
【0050】
伝熱部40は、ソケット10と、発光モジュール20(基板21)との間に設けられている。図2に示すように、伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に開口する凹部11bの内部に接着することができる。接着剤が硬化することで、伝熱部40と、凹部11bの内壁との間に接着層41が形成される。なお、伝熱部40は、凹部11aの底面11a1に接着したり、凹部11aの底面11a1に設けられた凸状の台座の上に接着したり、インサート成形法を用いてソケット10と一体成形したりすることもできる。また、熱伝導グリス(放熱グリス)を介して、伝熱部40を凹部11bの内部に取り付けることもできる。
【0051】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱がソケット10に伝わり易くするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成される。例えば、伝熱部40は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成することができる。
【0052】
なお、ソケット10が金属から形成される場合には、伝熱部40を省くことができる。この場合、発光モジュール20(基板21)は、凹部11aの底面11a1に接着したり、凹部11aの底面11a1に設けられた凸状の台座の上に接着したりすることができる。
【0053】
伝熱部40を接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、前述した、発光モジュール20(基板21)と伝熱部40とを接着する接着剤と同じとすることができる。
【0054】
次に、枠部23、および反射部26についてさらに説明する。
図4は、図3における枠部23、および反射部26のB-B線断面図である。
図5は、比較例に係る反射部126の模式断面図である。なお、図5は、図3におけるB-B線断面に対応する図である。
【0055】
まず、比較例に係る反射部126について説明する。
図5に示すように、反射部126は、基板21の上であって、発光素子22の側面と、枠部23の内壁との間に設けられている。反射部126は、膜状を呈し、上面(基板21側とは反対側の面)が、基板21の面と略平行となっている。前述した様に、発光素子22は、主に、上面から光を出射するが、発光素子22の側面からも光22bが出射する。発光素子22の側面から出射した光22bの一部は、反射部126の上面で反射される。この場合、反射部126の上面は、基板21の面と略平行となっているので、光22bの、反射部126の上面への入射角が大きくなる。そのため、図5に示すように、光22bの、枠部23の内壁への入射角が小さくなって、光22bが枠部23の外部に出射し難くなる。すなわち、光の取り出し効率が低下することになる。
【0056】
この場合、発光素子22の側面の、発光層22aが設けられている位置を反射部126で覆えば、反射部126の上面に光22bが入射することがない。ところが、反射部126により、発光素子22の側面から出射する光22bを遮光すれば、発光素子22の内部において、光22bの反射が繰り返されることになる。そのため、発光素子22の内部において、光22bが減衰することになる。そのため、光の取り出し効率が低下することになる。
【0057】
また、枠部23の内壁を傾斜面とすれば、光22bの、枠部23の内壁への入射角を大きくすることができる。光22bの、枠部23の内壁への入射角が大きくなれば、光22bが枠部23の外部に出射し易くなる。ところが、図5に示すように、枠部23の内壁の近傍には、発光素子22の上部電極と、配線パターン21aとを電気的に接続する配線ワイヤ22cが設けられる場合がある。この場合、枠部23の内壁の位置が、配線ワイヤ22cと配線パターン21aとの接合位置よりも外側になる。そのため、枠部23の外形寸法が大きくなったり、封止部24の体積(外形寸法)が大きくなったりする。枠部23の外形寸法が大きくなると、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化が困難となる。また、封止部24の体積(外形寸法)が大きくなると、発光素子22の点灯と消灯(発熱と冷却)により発生する熱応力が大きくなる。熱応力が大きくなると、発光素子22や配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりする場合がある。
【0058】
次に、本実施の形態に係る反射部26について説明する。
図4に示すように、反射部26は、基板21の上であって、発光素子22の側面と、枠部23の内壁との間に設けられている。例えば、反射部26は、枠部23の内側の、基板21の面、配線パターン21a、および被覆部21bの上に設けられている。
【0059】
ここで、前述した反射部126の上面は、基板21の面と略平行となっているが、反射部26の上面(基板21側とは反対側の面)26aは、基板21側に突出する凹状の曲面となっている。
図4に示すように、発光素子22の側面から出射した光22bの一部は、反射部26の上面26aで反射される。この場合、反射部26の上面26aは、基板21側に突出する凹状の曲面となっているので、光22bの、反射部26の上面26aへの入射角が小さくなる。そのため、図4に示すように、光22bが枠部23の外部に出射し易くなる。すなわち、発光素子22から出射した光の取り出し効率を向上させることができる。
【0060】
また、発光素子22の側面と、枠部23の内壁との間に、凹状の曲面(上面26a)を有する反射部26が設けられていれば、封止部24の体積を小さくすることができる。封止部24の体積が小さくなれば、発光素子22の点灯と消灯(発熱と冷却)により発生する熱応力が小さくなる。熱応力が小さくなれば、発光素子22や配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりするのを抑制することができる。
【0061】
ここで、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、基板21の面と、発光素子22の上面との間の距離をh1(mm)、基板21の面と、発光素子22の側面における反射部26の上端の位置との間の距離をh2(mm)、基板21の面と、枠部23の内壁における反射部26の上端の位置との間の距離をh4(mm)、基板21の面と、枠部23の頂部(基板21側とは反対側の端部)との間の距離をh5(mm)とすると、「h2(mm)<h1(mm)<h4(mm)<h5(mm)」となるようにすることが好ましい。この様にすれば、反射部26の上面26aを、基板21側に突出する凹状の曲面とするのが容易となる。この場合、反射部26の上面26aの曲率半径は、0.2mm以上、1.2mm以下とすることが好ましい。反射部26は、ディスペンサなどの供給装置を用いて、軟化させた樹脂を基板21の面に供給することで形成することができる。図4に示すように、枠部23の内壁の近傍に、配線ワイヤ22cと配線パターン21aとの接合部分が設けられる場合がある。この場合、反射部26は、配線ワイヤ22cと、配線パターン21aとの接合部分の上に設けることができる。反射部26は、軟化させた樹脂を供給することで形成されるため、反射部26を、配線ワイヤ22cと、配線パターン21aとの接合部分の上に設けても、配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりするのを抑制することができる。
【0062】
反射部26が、配線ワイヤ22cと、配線パターン21aとの接合部分の上に設けられている場合、反射部26の材料の線膨張係数が、封止部24の材料の線膨張係数よりも小さくなるようにすることが好ましい。この様にすれば、封止部24が、配線ワイヤ22cと、配線パターン21aとの接合部分の上に設けられている場合に比べて、発光モジュール20の温度が上昇した際に、配線ワイヤ22cに作用する力が小さくなる。そのため、発光モジュール20の温度が上昇した際に、配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりし難くなる。
【0063】
また、反射部26の材料の線膨張係数と、封止部24の材料の線膨張係数との差が小さくなれば、温度上昇に伴い発生する熱応力が小さくなる。熱応力が小さくなれば、配線ワイヤ22cを剪断方向に引っ張る力が小さくなるので、発光モジュール20の温度が上昇した際に、配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりするのをさらに抑制することができる。
【0064】
本発明者の得た知見によれば、反射部26の材料の線膨張係数は、80×10-6/K以上、210×10-6/K以下とすることが好ましい。封止部24の材料の線膨張係数は、90×10-6/K以上、210×10-6/K以下とすることが好ましい。
この様にすれば、発光モジュール20の温度が上昇した際に、配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりするのを効果的に抑制することができる。
【0065】
また、反射部26が、配線ワイヤ22cと、配線パターン21aとの接合部分の上に設けられている場合、反射部26の材料のヤング率が、封止部24の材料のヤング率よりも小さくなるようにすることが好ましい。この様にすれば、封止部24が、配線ワイヤ22cと、配線パターン21aとの接合部分の上に設けられている場合に比べて、発光モジュール20の温度が上昇した際に、配線ワイヤ22cに作用する力が小さくなる。そのため、発光モジュール20の温度が上昇した際に、配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりし難くなる。
【0066】
本発明者の得た知見によれば、反射部26の材料のヤング率は、3MPa以上、20MPa以下とすることが好ましい。封止部24の材料のヤング率は、5MPa以上、50MPa以下とすることが好ましい。
この様にすれば、発光モジュール20の温度が上昇した際に、配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりするのを効果的に抑制することができる。
【0067】
反射部26の上面26aの曲率半径は、軟化させた樹脂の粘度などを調整することで制御することができる。この場合、反射部26の上面26aの曲率半径が0.2mm以上、1.2mm以下となるようにすることが好ましい。
【0068】
ここで、「0.2×h1(mm)≦h2(mm)」とすれば、発光素子22と配線パターン21aとを接合する接合材22dを反射部26により覆うことができる。そのため、発光素子22の側面から出射した光22bの一部が、接合材22dに入射して、発光素子22から出射した光の取り出し効率が低下するのを抑制することができる。
【0069】
また、「h2(mm)≦0.97×h1(mm)」とすれば、発光素子22の側面の、発光層22aが設けられている位置が、反射部26により覆われるのを抑制することができる。そのため、光22bが発光素子22の内部に閉じ込められるのを抑制することができる。その結果、光の取り出し効率が低下するのを抑制することができる。
【0070】
すなわち、「0.2×h1(mm)≦h2(mm)≦0.97×h1(mm)」とすることが好ましい。例えば、h1(mm)は、0.125mm程度、h2(mm)は0.11mm程度とすることができる。
【0071】
また、「3×h1(mm)≦h4(mm)≦0.8×h5(mm)」とすれば、反射部26の上面26aの曲率半径が0.2mm以上、1.2mm以下となるようにするのが容易となる。
例えば、h5(mm)は、0.8mm~1mm程度、h4(mm)は、0.5mm程度(h5(mm)の半分程度)とすることができる。
【0072】
図6は、他の実施形態に係る反射部27の模式断面図である。なお、図6は、図3におけるB-B線断面に対応する図である。
図6に示すように、反射部27は、基板21の上であって、発光素子22の側面と、枠部23の内壁との間に設けられている。例えば、反射部27は、枠部23の内側の、基板21の面、配線パターン21a、および被覆部21bの上に設けられている。
【0073】
前述した反射部26と同様に、反射部27の上面(基板21側とは反対側の面)27aは、基板21側に突出する凹状の曲面となっている。そのため、反射部26と同様に、光22bの、反射部27の上面27aへの入射角が小さくなる。その結果、光22bが枠部23の外部に出射し易くなるので、発光素子22から出射した光の取り出し効率を向上させることができる。
【0074】
また、前述した反射部26と同様に、封止部24の体積を小さくすることができるので、発光素子22の点灯と消灯(発熱と冷却)により発生する熱応力が小さくなる。熱応力が小さくなれば、発光素子22や配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりするのを抑制することができる。
【0075】
ここで、前述した様に、反射部27は、ディスペンサなどの供給装置を用いて、軟化させた樹脂を基板21の面に供給することで形成することができる。前述した様に、軟化させた樹脂を基板21の面に供給すれば、枠部23の内壁の近傍に、配線ワイヤ22cと配線パターン21aとの接合部分が設けられていたとしても、配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりするのを抑制することができる。
【0076】
ただし、軟化させた樹脂が、発光素子22の側面の、発光層22aが設けられている位置を覆ったり、発光素子22の上面に這い上がったりすると、光の取り出し効率が低下するおそれがある。
【0077】
そこで、車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向において、反射部27の上面27aの頂点(反射部27の上面27aと、基板21の面との間の距離が最も短くなる点)が、発光素子22の側面と、枠部23の内壁との間に設けられる様になっている。
【0078】
この場合、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、基板21の面と、反射部27の上面27aの頂点との間の距離をh3(mm)とすると、「h3(mm)<h2(mm)<h1(mm)<h4(mm)<h5(mm)」となるようにすることができる。この様にすれば、反射部27の上面27aを、基板21側に突出する曲面とするのが容易となる。また、反射部27を形成する際に、軟化させた樹脂が、発光素子22の側面の、発光層22aが設けられている位置を覆ったり、発光素子22の上面に這い上がったりするのを抑制することができる。
【0079】
この場合、「0.01×h1(mm)≦h3(mm)」とすれば、配線パターン21aを反射部27により覆うことができる。そのため、発光素子22の側面から出射した光22bの一部が、配線パターン21aに入射して、発光素子22から出射した光の取り出し効率が低下するのを抑制することができる。
【0080】
また、「h3(mm)≦0.9×h1(mm)」とすれば、上面27aの曲率半径を大きくすることができるので、光22bが枠部23の外部に出射し易くなる。すなわち、発光素子22から出射した光の取り出し効率を向上させることができる。
【0081】
すなわち、「0.01×h1(mm)≦h3(mm)≦0.9×h1(mm)」とすることが好ましい。例えば、h3(mm)は、0.06mm程度(h1(mm)の半分程度)とすることができる。
【0082】
なお、反射部27における、h1(mm)、h2(mm)、h4(mm)、およびh5(mm)の寸法や寸法比率は、反射部26において例示をしたものと同様とすることができる。
【0083】
ここで、基板2の表面の、発光素子22から出射した光に対する反射率が90%以上となる場合がある。例えば、基板2が白色のセラミックス(例えば、酸化アルミニウムなど)から形成される場合には、基板2の表面の、発光素子22から出射した光に対する反射率が90%以上となる。この様な場合には、基板2の面の、配線パターン21a、および被覆部21bが設けられていない領域が、反射部27から部分的に露出していても、光の取り出し効率が低下するのを抑制することができる。
【0084】
そのため、基板2の表面の、発光素子22から出射した光に対する反射率が90%以上の場合には、h3(mm)を0mmとすることができる。前述した様に、h3(mm)の値は小さいので、「0.01×h1(mm)≦h3(mm)≦0.9×h1(mm)」となるようにするのは難しい。この場合、「0mm≦h3(mm)≦0.9×h1(mm)」とすることができれば、反射部27の形成が容易となる。
【0085】
図7は、他の実施形態に係る反射部28の模式断面図である。なお、図7は、図3におけるB-B線断面に対応する図である。
図7に示すように、反射部28は、基板21の上であって、発光素子22の側面と、枠部23aの内壁との間に設けられている。例えば、反射部28は、枠部23aの内側の、基板21の面、配線パターン21a、および被覆部21bの上に設けられている。
【0086】
図4、および図6において例示をした枠部23は、射出成形法や切削加工などにより形成することができる。形成された枠部23は、基板21の面に接着される。反射部26、27は、枠部23の内側に軟化させた樹脂を供給することで形成される。
【0087】
これに対して、枠部23aは、基板21の面に、軟化させた樹脂を枠状に供給し、枠状に供給した樹脂を硬化させることで形成する。また、反射部28は、基板21の面の所定の領域に、軟化させた樹脂を供給し、供給した樹脂を硬化させることで形成する。軟化させた樹脂の供給は、ディスペンサなどの供給装置により行うことができる。
【0088】
この様にすれば、同じ樹脂、および同じ供給装置を用いて、枠部23aと反射部28を一体に形成することができる。すなわち、反射部28は、枠部23aと同じ材料を含み、枠部23aと一体に形成することができる。例えば、軟化させた樹脂の供給位置や供給量を変えることで、枠部23aと反射部28を形成することができる。そのため、製造工程の簡略化を図ることができるので、製造コストの低減や、製造期間の短縮を図ることができる。
【0089】
前述した反射部26、27の場合と同様に、反射部28の上面(基板21側とは反対側の面)28aは、基板21側に突出する凹状の曲面となっている。そのため、反射部26、27と同様に、発光素子22から出射した光の取り出し効率を向上させることができる。
【0090】
また、枠部23aと反射部28を一体に形成することができ、且つ、配線ワイヤ22cと配線パターン21aとの接合位置に枠部23aや反射部28を形成することができる。配線ワイヤ22cと配線パターン21aとの接合位置に枠部23aや反射部28を形成すれば、枠部23aの外形寸法を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。また、封止部24の体積(外形寸法)を小さくすることができるので、発光素子22の点灯と消灯(発熱と冷却)により発生する熱応力を小さくすることができる。そのため、発光素子22や配線ワイヤ22cが配線パターン21aから外れたり、配線ワイヤ22cが断線したりするのを抑制することができる。
【0091】
また、図7に示すように、軟化させた樹脂が被覆部21bの上に供給されて、枠部23a、または反射部28が形成される場合がある。この場合、形成された枠部23a、および反射部28と、基板21側との間の接合強度は、軟化させた樹脂が基板21の面の上、または配線パターン21aの上に供給された場合よりも大きくなる。そのため、ガラス材料を含む層が、枠部23a、および反射部28の少なくともいずれかの下に設けられるようにしてもよい。例えば、基板21の面の、枠部23a、および反射部28が設けられる領域に、被覆部21bを設けることもできる。この様にすれば、枠部23a、および反射部28と、基板21側との間の接合強度を大きくすることができる。
【0092】
ここで、基板21の面の、枠部23aを形成する領域に軟化させた樹脂を枠状に供給し、枠状に供給した樹脂の内側に軟化させた樹脂を供給することができる。すなわち、枠部23aを形成するための樹脂の供給を、反射部28を形成するための樹脂の供給よりも先に行うことができる。ただし、この様にすると、枠状に供給した樹脂と、発光素子22との間の狭い領域に樹脂を供給することになる。狭い領域に、ディスペンサなどのノズルから軟化させた樹脂を供給するためには、ノズルの位置を精密に制御する必要がある。そのため、作業性が低下したり、歩留まりが低下したりするおそれがある。
【0093】
そのため、基板21の面の、反射部28を形成する領域に軟化させた樹脂を供給し、供給した樹脂の外側に軟化させた樹脂をさらに枠状に供給することが好ましい。すなわち、反射部28を形成するための樹脂の供給を、枠部23aを形成するための樹脂の供給よりも先に行うことが好ましい。この場合、枠状に供給された樹脂により、先に供給された樹脂が内側に押し出されることで、基板21側に突出する凹状の曲面を有する反射部28が形成される。
すなわち、本実施の形態に係る車両用照明装置の製造方法においては、基板21の面の、反射部28を形成する領域に軟化させた樹脂を供給し、供給した樹脂の外側に軟化させた樹脂をさらに枠状に供給する。
【0094】
この様にすれば、ノズルの位置精度を緩和させることができるので、作業性を向上させたり、歩留まりを向上させたりすることができる。
【0095】
なお、反射部28の上面28aの頂点(反射部28の上面28aと、基板21の面との間の距離が最も短くなる点)は、前述した反射部27の上面27aの頂点と同様とすることができる。また、h1(mm)、h2(mm)、h3(mm)、h4(mm)、およびh5(mm)の寸法や寸法比率は、反射部26、27において例示をしたものと同様とすることができる。なお、図7に例示をした反射部28は、h3(mm)が0mmの場合である。すなわち、基板2の面の、配線パターン21a、および被覆部21bが設けられていない領域が、反射部28から部分的に露出している場合である。
【0096】
(車両用灯具)
本発明の1つの実施形態において、車両用照明装置1を具備した車両用灯具100を提供することができる。前述した車両用照明装置1に関する説明、および車両用照明装置1の変形例(例えば、反射部27、反射部28、枠部23a、あるいは当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもので、本発明の特徴を備えているもの)は、いずれも車両用灯具100に適用することができる。
【0097】
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0098】
図8は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図8に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0099】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0100】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0101】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0102】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図8に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0103】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0104】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0105】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、点灯回路などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、点灯回路などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0106】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0107】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0108】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0109】
(付記1)
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた発光素子と;
前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;
前記基板の上であって、前記発光素子の側面と、前記枠部の内壁との間に設けられた反射部と;
を具備し、
前記反射部の上面は、前記基板側に突出する凹状の曲面となっている車両用照明装置。
【0110】
(付記2)
前記反射部は、前記枠部と同じ材料を含み、前記枠部と一体に形成されている付記1記載の車両用照明装置。
【0111】
(付記3)
前記発光素子の上部電極と、前記基板の上に設けられた配線パターンと、を電気的に接続する配線ワイヤをさらに具備し、
前記枠部、および前記反射部の少なくともいずれかは、前記配線ワイヤと、前記配線パターンとの接合部分の上に設けられている付記1または2に記載の車両用照明装置。
【0112】
(付記4)
前記反射部の材料の線膨張係数は、封止部の材料の線膨張係数よりも小さい、
および、
前記反射部の材料のヤング率は、前記封止部の材料のヤング率よりも小さい、の少なくともいずれかである付記3記載の車両用照明装置。
【0113】
(付記5)
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向において、
前記基板の面と、前記発光素子の上面との間の距離をh1(mm)、前記基板の面と、前記発光素子の側面における前記反射部の上端の位置との間の距離をh2(mm)、前記基板の面と、前記枠部の内壁における前記反射部の上端の位置との間の距離をh4(mm)、前記基板の面と、前記枠部の頂部との間の距離をh5(mm)とした場合に、以下の式を満足する付記1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
h2(mm)<h1(mm)<h4(mm)<h5(mm)
【0114】
(付記6)
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向において、前記基板の面と、前記反射部の上面の頂点との間の距離をh3(mm)とした場合に、以下の式をさらに満足する付記5記載の車両用照明装置。
h3(mm)<h2(mm)
【0115】
(付記7)
付記1~6のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【0116】
(付記8)
付記1~6のいずれか1つに記載の車両用照明装置の製造方法であって、
基板の面の、反射部を形成する領域に軟化させた樹脂を供給し、供給した前記樹脂の外側に軟化させた前記樹脂をさらに枠状に供給する車両用照明装置の製造方法。
【符号の説明】
【0117】
1 車両用照明装置、1a 中心軸、10 ソケット、20 発光モジュール、21 基板、21a 配線パターン、21b 被覆部、22 発光素子、22c 配線ワイヤ、23 枠部、23a 枠部、24 封止部、26 反射部、27 反射部、28 反射部、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8