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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166093
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】軟水化装置付き洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/00 20060101AFI20241121BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20241121BHJP
   B01J 39/04 20170101ALI20241121BHJP
   B01J 49/75 20170101ALI20241121BHJP
   B01J 49/06 20170101ALI20241121BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20241121BHJP
   E03C 1/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A47K1/00 Z
C02F1/42 A
B01J39/04
B01J49/75
B01J49/06
A47K1/00 U
A47K1/00 S
E03C1/02
E03C1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024070463
(22)【出願日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2023080557
(32)【優先日】2023-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 弥志雄
(72)【発明者】
【氏名】三澤 真
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫子
【テーマコード(参考)】
2D060
4D025
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060AB03
2D060AB05
2D060AB06
2D060BA03
2D060BC14
2D060BC21
4D025AA02
4D025AB19
4D025BA08
4D025BB11
(57)【要約】
【課題】本発明は軟水化装置付き洗面化粧台の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の洗面化粧台は、床面に設置され、日用品の収納や、給水給湯排水配管スペースの空間を有する収納用下台と、収納用下台上方に載置されたカウンターと、カウンターから凹状に形成された、湯水を受けるための洗面ボウルと、洗面ボウルに湯水を吐水するための水栓を備えた洗面化粧台であって、水道水を軟水化するための陽イオン交換樹脂を内蔵した軟水化装置が、収納用下台に収納され、水栓の開閉弁が、軟水化装置の入口継手に接続され、水栓の吐出口が、軟水化装置の出口継手に接続され、陽イオン交換樹脂を再生するための再生水を供給する再生水供給部が、軟水化装置よりも上方に位置して入口継手に接続され、再生水を排水するための排水栓が、再生水供給部よりも下方に位置して出口継手に接続され、排水栓の排水口は、再生水を洗面ボウル内に排水するように配置されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置され、日用品の収納や、給水給湯排水配管スペースの空間を有する収納用下台と、
前記収納用下台の上方に載置されたカウンターと、
前記カウンターから凹状に形成された、湯水を受けるための洗面ボウルと、
前記洗面ボウルに湯水を吐水するための水栓を備えた洗面化粧台であって、
水道水を軟水化するための陽イオン交換樹脂を内蔵した軟水化装置が、前記収納用下台に収納され、
前記水栓の開閉弁が、前記軟水化装置の入口継手に接続され、
前記水栓の吐出口が、前記軟水化装置の出口継手に接続され、
前記陽イオン交換樹脂を再生するための再生水を供給する再生水供給部が、前記軟水化装置よりも上方に位置して前記入口継手に接続され、
前記吐出口が、前記再生水供給部よりも下方に位置された
ことを特徴とする軟水化装置付き洗面化粧台。
【請求項2】
床面に設置され、日用品の収納や、給水給湯排水配管スペースの空間を有する収納用下台と、
前記収納用下台の上方に載置されたカウンターと、
前記カウンターから凹状に形成された、湯水を受けるための洗面ボウルと、
前記洗面ボウルに湯水を吐水するための水栓を備えた洗面化粧台であって、
水道水を軟水化するための陽イオン交換樹脂を内蔵した軟水化装置が、前記収納用下台に収納され、
前記水栓の開閉弁が、前記軟水化装置の入口継手に接続され、
前記水栓の吐出口が、前記軟水化装置の出口継手に接続され、
前記陽イオン交換樹脂を再生するための再生水を供給する再生水供給部が、前記軟水化装置よりも上方に位置して前記入口継手に接続され、
再生水を排水するための再生水排水口が、前記再生水供給部よりも下方に位置して前記出口継手に接続され、
前記再生水供給部と前記入口継手の間に、前記再生水供給部を開閉するための再生バルブが設けられ、
前記再生水排水口と出口継手の間に、前記再生水排水口を開閉するための排水弁が設けられていることを特徴とする軟水化装置付き洗面化粧台。
【請求項3】
前記入口継手が、前記軟水化装置に接続される第1接続部と、前記開閉弁からの配管が接続される第2接続部と、前記再生水供給部からの配管が接続される第3接続部を有し、前記第1接続部と前記第2接続部と前記第3接続部が連通している配管部材であり、
前記出口継手が、前記軟水化装置に接続される第4接続部と、前記吐出口への配管が接続される第5接続部と、前記再生水排水口への配管が接続される第6接続部を有し、前記第4接続部と前記第5接続部と前記第6接続部が連通している配管部材である
ことを特徴とする請求項2に記載の軟水化装置付き洗面化粧台。
【請求項4】
前記吐出口から前記第5接続部までの圧力損失が、前記再生水排水口から第6接続部までの圧力損失よりも大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の軟水化装置付き洗面化粧台。
【請求項5】
前記再生水排水口は、再生水を前記洗面ボウル内に排水するように配置されているか、又は、前記吐出口からの吐水を前記洗面ボウルで受けて排水するための排水配管の一部に排水するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の軟水化装置付き洗面化粧台。
【請求項6】
前記排水弁は、前記開閉弁が開き、前記吐出口から湯水が吐水されている間は閉じ、前記開閉弁が閉じ、前記吐出口から吐水していない間は開くことを特徴とする請求項2に記載の軟水化装置付き洗面化粧台。
【請求項7】
前記再生水供給部と前記入口継手の間に、前記入口継手から前記再生水供給部への逆流を防止するための逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の軟水化装置付き洗面化粧台。
【請求項8】
前記洗面ボウルの上方に日用品の収納や鏡の保持のための鏡キャビネットが設けられ、
前記再生水供給部が、前記鏡キャビネットに内蔵され、前記軟水化装置が前記収納用下台に収容されていることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の軟水化装置付き洗面化粧台。
【請求項9】
前記再生水供給部は、上部が大気開放され、下部が配管を接続するための接続口を有する箱状のタンクと、前記タンクの内部に、前記タンクの底部から上方に離隔して設置された透水性のメッシュ部材で、上下に分割され、
前記メッシュ部材の上部に固形の再生剤が載置され、
前記タンクに水が前記メッシュ部材の上位まで投入され、一旦貯蔵されている間に、水と前記再生剤が接触し、前記再生剤が溶解して、再生水を生成する構造であることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の軟水化装置付き洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台に、水道水などの原水の硬度成分を除去し軟水化する軟水化装置を内蔵する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、水道水などの軟水化に陽イオン交換樹脂が用いられている。陽イオン交換樹脂は、使用を続けると交換能力が低下するため、再生水(例えば塩水)を通水して再生することが行われる。
陽イオン交換樹脂を備えた軟水化装置は、陽イオン交換樹脂の容量を多くすると大型化するが、陽イオン交換樹脂の再生頻度は少なくなる。一方、陽イオン交換樹脂の容量を少なくすると、装置は小型化するが、陽イオン交換樹脂の再生頻度が多くなる。
【0003】
軟水化された水は、硬度成分が除去されたことで、石けんと硬度成分が結合して生成される「石けんカス」の発生を抑制するという効果がある。さらに、それに伴い、石けんの泡立ちが良くなり、「水周りの汚れが少なくなる」、「石けんやシャンプー等の使用量が減る」、「髪や肌に優しい」といった効果を得ることができる。特に、シャワーを浴びた後、肌には石けんカスの残留がなく、皮脂膜と同じような脂肪酸に覆われるため、肌に優しい状態になる。
【0004】
軟水化装置を内蔵した洗面化粧台として、特許文献1に記載された技術が開示されている。
また、洗面化粧台に内蔵はされてはいないものの、洗面台や洗面器の下部に軟水化装置を配置した従来技術として、特許文献2、3に記載の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-352088号公報
【特許文献2】特開平11-10145号公報
【特許文献3】特開2005-261991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、軟水化装置を水栓の開閉弁よりも下流側で、水栓の吐水口よりも上流側に接続し、軟水化装置を洗面化粧台に内蔵し、扉付きのキャビネットを開けることなく、陽イオン交換樹脂の再生を実施するものである。
そのため、開閉弁の閉止によって、排水管に設けた弁と、塩水投入部の弁を開く構造であるので、軟水化装置内の残水は必ず捨てられるという問題があった。
軟水化装置が小型であれば、捨てる水量も少ないが、大型の場合に捨てる水量は許容できない水量となる。また、排水管は、洗面化粧台の排水トラップを有した排水管に接続しなければならず、接続工事に手間がかかることになる。
【0007】
特許文献2に記載の技術は、軟水器を洗面台の下に設置し、さらに陽イオン交換樹脂を再生するための塩水を供給する食塩水容器も洗面台の下に設置し、一つのバルブで内部通路を切り替える技術である。そのため、配管内エゼクターで食塩水を吸い上げる必要があるが、作動に必要な流量(流速)の確保が課題になる。また、エゼクターの通路の口径が小さいため、ごみかみが発生しやすいという問題があった。さらに、軟水器、食塩水容器ともに洗面台の下に露出していて外観が悪いという問題があった。
【0008】
特許文献3に記載の技術は、特許文献2に記載の技術同様、軟水器を洗面器の下に設置し、陽イオン交換樹脂の再生について、開閉弁の手動操作を除いて、電動化を図った技術である。再生の際、軟水器内の塩タンク内の塩水をエゼクターで吸引して軟水器に供給し、出口に接続されたシャワーホースから洗面器に排水するものである。
そのため、特許文献2に記載の技術と同様、エゼクターの使用に関し課題があった。また、軟水器自体も洗面台の下に露出していて外観が悪いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、簡単な手動操作だけで、洗面化粧台で軟水を使うことができるとともに、軟水化装置や再生水供給部を含むすべての部材を洗面化粧台に内蔵した洗面化粧台の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明に係る軟水化装置付き洗面化粧台は、床面に設置され、日用品の収納や、給水給湯排水配管スペースの空間を有する収納用下台と、前記収納用下台の上方に載置されたカウンターと、前記カウンターから凹状に形成された、湯水を受けるための洗面ボウルと、前記洗面ボウルに湯水を吐水するための水栓を備えた洗面化粧台であって、水道水を軟水化するための陽イオン交換樹脂を内蔵した軟水化装置が、前記収納用下台に収納され、前記水栓の開閉弁が、前記軟水化装置の入口継手に接続され、前記水栓の吐出口が、前記軟水化装置の出口継手に接続され、前記陽イオン交換樹脂を再生するための再生水を供給する再生水供給部が、前記軟水化装置よりも上方に位置して前記入口継手に接続され、前記吐出口が、前記再生水供給部よりも下方に位置されたことを特徴とする。
【0011】
(2)本発明に係る軟水化装置付き洗面化粧台は、床面に設置され、日用品の収納や、給水給湯排水配管スペースの空間を有する収納用下台と、前記収納用下台の上方に載置されたカウンターと、前記カウンターから凹状に形成された、湯水を受けるための洗面ボウルと、前記洗面ボウルに湯水を吐水するための水栓を備えた洗面化粧台であって、水道水を軟水化するための陽イオン交換樹脂を内蔵した軟水化装置が、前記収納用下台に収納され、前記水栓の開閉弁が、前記軟水化装置の入口継手に接続され、前記水栓の吐出口が、前記軟水化装置の出口継手に接続され、前記陽イオン交換樹脂を再生するための再生水を供給する再生水供給部が、前記軟水化装置よりも上方に位置して前記入口継手に接続され、再生水を排水するための再生水排水口が、前記再生水供給部よりも下方に位置して前記出口継手に接続され、前記再生水供給部と前記入口継手の間に、前記再生水供給部を開閉するための再生バルブが設けられ、前記再生水排水口と出口継手の間に、前記再生水排水口を開閉するための排水弁が設けられていることを特徴とする。
【0012】
(3)本発明に係る(2)に記載の軟水化装置付き洗面化粧台において、前記入口継手が、前記軟水化装置に接続される第1接続部と、前記開閉弁からの配管が接続される第2接続部と、前記再生水供給部からの配管が接続される第3接続部を有し、前記第1接続部と前記第2接続部と前記第3接続部が連通している配管部材であり、前記出口継手が、前記軟水化装置に接続される第4接続部と、前記吐出口への配管が接続される第5接続部と、前記再生水排水口への配管が接続される第6接続部を有し、前記第4接続部と前記第5接続部と前記第6接続部が連通している配管部材であることが好ましい。
【0013】
(4)本発明に係る(3)に記載の軟水化装置付き洗面化粧台において、前記吐出口から前記第5接続部までの圧力損失が、前記再生水排水口から第6接続部までの圧力損失よりも大きいことが好ましい。
【0014】
(5)本発明に係る(2)に記載の軟水化装置付き洗面化粧台において、前記再生水排水口は、再生水を前記洗面ボウル内に排水するように配置されているか、又は、前記吐出口からの吐水を前記洗面ボウルで受けて排水するための排水配管の一部に排水するように配置されていることが好ましい。
【0015】
(6)本発明に係る(2)に記載の軟水化装置付き洗面化粧台において、前記排水弁は、前記開閉弁が開き、前記吐出口から湯水が吐水されている間は閉じ、前記開閉弁が閉じ、吐出口から吐水していない間は開くことが好ましい。
【0016】
(7)本発明に係る(2)に記載の軟水化装置付き洗面化粧台において、前記再生水供給部と前記入口継手の間に、前記入口継手から前記再生水供給部への逆流を防止するための逆止弁が設けられていることが好ましい。
【0017】
(8)本発明に係る(1)~(7)のいずれかに記載の軟水化装置付き洗面化粧台は、前記洗面ボウルの上方に日用品の収納や鏡の保持のための鏡キャビネットが設けられ、前記再生水供給部が、前記鏡キャビネットに内蔵され、前記軟水化装置が前記収納用下台に収容されていることを特徴とする。
【0018】
(9)本発明に係る(1)~(7)のいずれかに記載の軟水化装置付き洗面化粧台において、前記再生水供給部は、上部が大気開放され、下部が配管を接続するための接続口を有する箱状のタンクと、前記タンクの内部に、前記タンクの底部から上方に離隔して設置された透水性のメッシュ部材で、上下に分割され、前記メッシュ部材の上部に固形の再生剤が載置され、前記タンクに水が前記メッシュ部材の上位まで投入され、一旦貯蔵されている間に、水と前記再生剤が接触し、前記再生剤が溶解して、再生水を生成する構造であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る軟水化装置付き洗面化粧台によれば、従来通りの洗面化粧台の外観のままで、洗面化粧台の中に、軟水化装置を内蔵することができる。軟水化装置は、水栓と開閉弁と吐出口の間に接続されるため、開閉弁を開くことで、使用者は吐出口から軟水を使うことができる。
軟水化装置の陽イオン交換樹脂を再生する際、再生水供給部が軟水化装置よりも上方に位置し、吐出口が再生水供給部よりも下方に位置し、再生水供給部で生成された再生水は自然落差で、軟水化装置を通過し、吐出口から洗面ボウル内に排水されて、陽イオン交換樹脂を再生することができる。
また、吐出口とは別に、再生水排水口を設け、出口継手に接続すると、再生水を再生水排水口から排水できる。このとき、再生水排水口を洗面ボウル内、又は洗面ボウルの排水配管の一部に排水できるように配置することができる。
【0020】
このとき、再生水供給部と入口継手の間に、再生水供給部を開閉する再生バルブを設けると、再生水は再生バルブを開くことで、イオン交換樹脂部に供給される、また、再生水排水口と出口継手の間に、再生水排水口を開閉するため排水弁を設け、排水弁が開いているとイオン交換樹脂部を経由した再生水が排水される。
【0021】
この排水弁は、開閉弁が開き、吐出口から湯水が吐水している間は、通路内の圧力が高まることで閉じて、湯水が漏れないように作用し、吐水されていない間は、通路内の圧力低下に伴って開き、再生水の排水が可能な状態にすることができる。このような構成とすることで、使用者は、再生バルブの操作だけで、再生作業を行うことができる。
【0022】
さらに、軟水化装置の入口継手、出口継手が、3方向に連通する配管部材であれば、配管接続が容易になる。このとき、吐出口側の配管の圧力損失が、再生水排水口側の配管の圧力損失よりも大きいと、再生水は自然落差で供給されるため、圧力損失の小さい再生水排水口からのみ、排水することができる。
【0023】
このとき、再生水供給部と入口継手の間に、入口継手から再生水供給部への逆流を防止するための逆止弁が設けられていると、万一、使用者が、開閉弁を開いた状態で再生バルブを開いた場合に、入口継手から再生水供給部へ逆流する恐れがあり、この逆止弁で通路を閉じることで逆流を防止することができる。なお、逆止弁は逆流が発生していない状態では閉じている。
【0024】
再生水供給部は、軟水化装置の上方、すなわち、鏡キャビネット内に内蔵することができるので、収納用下台に軟水化装置と入口継手及び出口継手とそれらに接続する配管等を収容するならば、すべての部材を洗面化粧台に内蔵することができる。
【0025】
また、再生供給部は、上部が開口され、下部が配管を接続するための接続口を有する箱状のタンクと、底面から上方に離隔して設置された透水性のメッシュ部材で、タンク内部が上下に分割される。このメッシュ部材の上部に固形の再生剤を載置し、水を上位まで投入し、一旦貯蔵している間に、水が再生剤と接触し、自然溶解して、所定濃度の再生水を生成することができる。このタンクの接続口を入口継手に接続し再生水を供給することで、イオン交換樹脂部を適宜再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第一実施形態の軟水化装置付き洗面化粧台を示す正面図。
図2】同軟水化装置付き洗面化粧台の配管系統を示す正面側からの透視図であり、軟水使用中の通水経路を合わせて示す図。
図3】同軟水化装置付き洗面化粧台の配管系統を示す正面側からの透視図であり、再生中の通水経路を合わせて示す図。
図4】同軟水化装置付き洗面化粧台に適用される軟水化装置の一例を示す断面図。
図5】第二実施形態の軟水化装置付き洗面化粧台を示す正面図。
図6】同軟水化装置付き洗面化粧台の配管系統を示す正面側からの透視図であり、軟水使用中の通水経路を合わせて示す図。
図7】同軟水化装置付き洗面化粧台の配管系統を示す正面側からの透視図であり、再生中の通水経路を合わせて示す図。
図8】従来の洗面化粧台における配管系統を示す正面側からの透視図であり、使用中の通水経路を合わせて示す図。
図9】第一・第二実施形態の軟水化装置付き洗面化粧台において、再生水供給部を示す部分拡大断面図。
図10】第一実施形態の軟水化装置付き洗面化粧台において、排水弁を示す部分拡大断面図。
図11】第一・第二実施形態の軟水化装置付き洗面化粧台において、再生バルブと逆止弁を示す部分拡大断面図。
図12】第二実施形態の軟水化装置付き洗面化粧台において、排水弁を示す部分拡大断面図。
図13】軟水化装置付き洗面化粧台の実施例において得られた通水量と硬度の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
「第一実施形態」
以下、図面を用いて本発明の第一実施形態の軟水化装置付き洗面化粧台について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0028】
<洗面化粧台>
図1は、第一実施形態における軟水化装置付き洗面化粧台1の正面図であり、図2図3は、第一の実施形態における配管系統を示す正面側からの透視図であり、図4は軟水化装置14の断面図である。本実施形態では、鏡キャビネット15が設けられているが、鏡キャビネット15の有無は発明の内容によって決定されるものとする。鏡キャビネット15は前面に鏡を保持する。
洗面化粧台1は、床面に設置される収納用下台2と、収納用下台2の上方に載置されたカウンター3と、カウンター3から凹状に形成され、湯水を受けるための洗面ボウル4と、洗面ボウル4に湯水を吐水するための水栓5を備えている。
【0029】
収納用下台2は、合成木材等で前面開口型の箱状に構成され、給水配管10、給湯配管11、排水配管8の設置用スペースであり、日用品等の収納スペースとしても使用できる。収納用下台2の前面は、開閉可能な扉部材6によって覆われる。また、扉部材6と一体となるように、引き出しを設けることができる。収納用下台2の上面は、カウンター3を載置するために、開放されていてもよい。収納用下台2は、内部に給水給湯排水配管スペースとするための空間を有している。本実施形態の収納用下台2では、図2図3に示すように内部空間の右奥側に給水配管10、給湯配管11が収容されている。また、これら給水配管10、給湯配管11の左側であって、内部空間の中央よりの奥側に排水配管8が収容されている。
【0030】
収納用下台2の上方には、カウンター3が載置され、カウンター3から凹状に洗面ボウル4が形成される。カウンター3と洗面ボウル4とは別体とし、その間をコーキングして水密性を確保することができる。また、カウンター3と洗面ボウル4を一体で成形してもよい。洗面ボウル4の略中央には、ボウル排水口7が設けられている。また、図示はしないが、開閉自在な排水蓋が設けられ、洗面ボウル4内に湯水を貯めることができ、排水もできるようになっている。ボウル排水口7には、鎖線で示す排水トラップを含む排水配管8が取り付けられ、排水は、排水配管8から建屋外へ導かれる。
【0031】
カウンター3の壁側は、壁から離隔を設けて、上面から上方に背面板9を設けることができる。この背面板9の裏側を配管スペースとすることで、壁付けタイプの水栓5を背面板9に取り付けることができる。このとき、背面板9とカウンター3と洗面ボウル4とを一体成形すると、その合わせ部のシールが不要になり、現地での施工性が向上するとともに、外観や清掃性が向上する。
【0032】
水栓5は、給水配管10と給湯配管11に接続され、湯水の混合と開閉を行う開閉弁12と、開閉弁12に接続され、シャワー吐水と直流吐水に切り替えられる吐出口13から構成されている。開閉弁12と吐出口13は、一体であってもよいし、別体であってもよい。但し、開閉弁12と吐出口13の間の配管は、分離可能な構成とし、その間に、軟水化装置14を接続する。使用者が操作するハンドル12aやボディ13aは、洗面ボウル4側に露出し、配管部は、背面板9を貫通し、裏面や収納用下台2内に収納される。
ハンドル12aは、例えば一つのレバーで混合、開閉を行うことができる構成とすることができる。また、吐出口13は、開閉弁12とホース接続されていると、ボディ13aを取り外して使うことができる。
【0033】
鏡キャビネット15は、使用者が身支度を整えるために、鏡とともに、洗面ボウル4の上方に設けられる。したがって、水栓5よりも上方に設けられている。鏡キャビネット15の前面は、開閉自在の扉部材16で覆われ、扉部材16の後方の壁面は、日用品等の収納スペースとして使用できる収容部が複数設けられている。鏡キャビネット15の内部に小仕切りを設けたり、電源コンセントを設けたりすることができる。そして、扉部材16の最前面に鏡が備えられているのが一般的な構成である。鏡の区割りは、一面鏡や三面鏡を適宜選択できる。
【0034】
<軟水化装置>
収納用下台2には図2図3に示すように軟水化装置14が内蔵されている。
軟水化装置14は、図4に内部構造を示すようにタンク17の内部に収容されたイオン交換樹脂部18と、タンク17の内部に水を供給するための水入口部19と、水入口部19に接続された入口継手20と、タンク17の内部から外部へ水を流出させるための水出口部21と、水出口部21に接続された出口継手22と、タンク17を覆うケーシング部材23と、を備える。
タンク17の内部は、軟水化させる水の流路となる。軟水化される水は、タンク17の下部側の水入口部19からタンク17の内部に流入し、イオン交換樹脂部18を通過し、タンク17の上部側の水出口部21から外部に流出する。
【0035】
この軟水化装置14は、収納用下台2に内蔵されている。内蔵する位置は、特に限定されないが、日用品等の収納スペースを確保するためには、収納用下台2の奥側が適している。また、収納用下台2に収容されている給水配管10、給湯配管11、排水配管8を避けるためには、水栓5や洗面ボウル4とは反対側(本図面では収納用下台2の内部左側)が適している。さらに、水栓5からの配管距離を短くして、水量のロスを少なくするために、収納用下台2内においてできるだけ上方が適している。
第一実施形態では、図2図3に示すように収納用下台2の内部左奥側であって洗面ボウル4の底部に近い位置に軟水化装置14が収容され、収納用下台2の内部右奥側に給水配管10、給湯配管11などが設置されている。
【0036】
<イオン交換樹脂部>
図4に示すイオン交換樹脂部18は、水を軟水化する陽イオン交換樹脂24と、内部空間に陽イオン交換樹脂24を収納するケース部材25と、を有する。なお、図2図3図4において、陽イオン交換樹脂24は、一部のみを図示しており、実際の収容状態とは異なる。実際の陽イオン交換樹脂24は、ケース部材25の内部空間の90%以上を満たすように収容されている。
ケース部材25の上側、下側は、陽イオン交換樹脂24が流出せず、水が通過できるように、それぞれメッシュ部材25aで構成されている。これによって、ケース部材25の下側から流入した水が、陽イオン交換樹脂24を通過し、ケース部材25の上側から流出する。
【0037】
陽イオン交換樹脂24は、水道水中のカルシウムイオン(Ca2+)とマグネシウムイオン(Mg2+)とを除去する。一例として、陽イオン交換樹脂24の母体は、初期段階では陰イオン(R-SO )に陽イオンであるNaが結合している。水道水を陽イオン交換樹脂24に導入すると、イオン交換が始まり、Ca2+、Mg2+が陽イオン交換樹脂24に吸着され、その代わりにNaを放出する。これにより、硬度成分であるCa2+、Mg2+が除去されるので、水道水を軟水化できる。
【0038】
また、陽イオン交換樹脂24は、使用を続けるとイオン交換能力が低下するため、再生水(例えば塩水)を通水して再生することが行われる。陽イオン交換樹脂24は、例えば5~20%の高濃度の塩水が通水されるとイオン交換能が逆転し、Naが陽イオン交換樹脂24に吸着され、代わりにCa2+、Mg2+が放出される。塩水を所定量通水することにより、陽イオン交換樹脂24は、初期の状態に復元され、陽イオン交換機能が再生される。軟水化装置14は、以上説明した軟水化と、再生を繰り返すことにより長期間使用することができる。
【0039】
<水入口部、入口継手>
水入口部19は、イオン交換樹脂部18よりも下部で、タンク17の側面の下部側に設けられている。水入口部19には、導水管26、入口アダプター27を介して、ケーシング部材23の上面から、90度エルボなどのエルボ管28Aが設けられ、さらにその出口に、入口継手20として配管部材が接続されている。
【0040】
導水管26は、L字状のパイプであり、タンク17の側面から側方に延びる水平部26aと、水平部26aの先端から上方に延びる鉛直部26bとを有する。導水管26の水平部26aと水入口部19とは、パッキン等を介して漏水がないように接続される。導水管26の鉛直部26bの上端には、筒型の入口アダプター27が接続されている。
【0041】
入口アダプター27は、一端側が導水管26に固定される。他端側の内周にはOリングシール面27aと、さらにその奥側にメネジ27bが設けられている。エルボ管28Aの一端側は、先端部にオネジ28aを備え、Oリングを介して、入口アダプター27のメネジ27bに螺合する。これによってエルボ管28Aは、入口アダプター27の軸に対して回転自在になる。また、エルボ管28Aの他端側は、オネジ28bが設けられている。
【0042】
入口継手20は、配管部材として三方向に分岐された配管チーズであって、一端は第1接続部20aとしてとしてナットが設けられ、エルボ管28Aのオネジ28bにパッキンを介して螺合する。そして、その第1接続部20aに対向した端部は第2接続部20bとしてオネジ20cが設けられ、第1接続部20aから上方には90度分岐した第3接続部20dとしてオネジ20eが設けられている。第2接続部20bは、開閉弁12からの配管P1が接続され、第3接続部20dは、後述する再生バルブ105からの配管P6が接続される。また、エルボ管28Aが回転自在であるため、第2接続部20b、第3接続部20dの方向を微調整することが可能になっている。入口継手20は、第1接続部20aと第2接続部20bと第3接続部20dを連通している配管部材である。
【0043】
<水出口部、出口継手>
軟水化装置14の水出口部21は、イオン交換樹脂部18よりも上方に位置し、出口アダプター29を介し、ケーシング部材23の上面から、エルボ管28が設けられ、さらにその出口に、出口継手22として配管部材が接続されている。
出口アダプター29は、一端がOリングを介してタンク17に固定され、他端側の内周にはOリングシール面29aと、さらにその奥側にメネジ29bが設けられている。エルボ管28の一端側は、先端部にオネジ28aを備え、Oリングを介して、出口アダプター29のメネジ29bに螺合する。これによってエルボ管28は、出口アダプター29の軸に対して回転自在になる。
【0044】
出口継手22は、配管部材として三方向に分岐された配管チーズであって、一端は第4接続部22aとしてナットが設けられ、エルボ管28のオネジ28bを備えた端部にパッキンを介して螺合する。そして、第4接続部22aに対向した端部は第5接続部22bとしてその外周にオネジが設けられ、第4接続部22aから上方に90度分岐した端部は第6接続部22cとしてその外周にオネジが設けられている。第5接続部22bは、吐出口13への配管P3が接続され、第6接続部22cは、後述する再生水排水口101への配管P4が図2図3に示すように接続される。また、エルボ管28が回転自在であるため、第5接続部22b、第6接続部22cの方向を微調整することが可能になっている。出口継手22は、第4接続部22aと第5接続部22bと第6接続部22cを連通している配管部材である。
【0045】
<再生水排水口、排水弁>
再生水供給部30からの再生水は、自然落差で排水するため、吐出口13、又は別に設けた再生水排水口101は、再生水供給部よりも下方に配置されている。その落差は、大きければ大きいほど排水には有利であり、150mm以上であることが好ましい。150mm以下になると落差が小さく、排水する時間が長くなる。また、吐出口13は、使用者の実際の湯水の吐水を考慮して、洗面ボウル4の背面板9の比較的高い位置に設置される。一方、吐出口13は別に、再生水排水口101を設けた場合は、自由に配置することが可能になり、比較的低い位置とすることができる。再生水を吐出口13から排水する場合よりも、落差を十分に確保できることになる。
【0046】
<第一実施形態における再生水排水口の位置>
第一実施形態において再生水排水口101は、洗面ボウル4の背面板9の下部に、洗面ボウル4側に露出し、出口101aを洗面ボウル4内に向けて配置されている。さらに、再生水排水口101は、背面板9の裏面側で配管P4を通じて、出口継手22の第6接続部22cに接続されている。
このような配置によって、再生水は再生水排水口101から洗面ボウル4内に排水される。ここで、排水弁102は、出口継手22と再生水排水口101の間であれば、設置場所を限定しないが、再生水排水口101の直近に内蔵するなどの構造を採用して配置することが、施工性や製造コストの面で好ましい。
【0047】
例えば、図10に示すように再生水排水口101は、第1接続エルボ管90の一端側に形成され、第1接続エルボ管90の他端側は筒状の継手部材93を介し第2接続エルボ管91に連結されている。第2接続エルボ管91に配管P4が接続されている。
図10に示す例では、第1接続エルボ管90と第2接続エルボ管91は継手部材93を介し側面視逆U字状に連結されている。第1接続エルボ管90と第2接続エルボ管91を継手部材93で連結した部分が背面板9を厚さ方向に貫通するように配置されている。継手部材93が背面板9を貫通した部分にフランジ部95aを備えたリング部材95が外挿されている。継手部材93に設けたフランジ部93aと先のリング部材95との間にシールリング96が介装されている。
継手部材93の外周にネジ部93cが形成され、リング部材95の内周にもネジ部95bが形成されているので、ネジ部93cにネジ部95bを螺合することでリング部材95が継手部材93の外周に装着されている。
フランジ部93aとフランジ部95aの間隔調節により背面板9とシールリング96を挟持することで止水性を向上させることができる。継手部材93外周側にはリング部材95の緩み止めとするためのリングナット94が螺合されている。
【0048】
第1接続エルボ管90と第2接続エルボ管91の突合せ端部側外周にそれぞれオネジ部90a、91aが形成され、継手部材93の内周にメネジ部93bが形成されている。
オネジ部90aとオネジ部91aを継手部材93のメネジ部93bに螺合することで第1接続エルボ管90と第2接続エルボ管91が接続されている。第1接続エルボ管90と継手部材93との接続部分にOリング97が介装され、第2接続エルボ管91と継手部材93との接続部分にOリング98が介装されている。
第2接続エルボ管91において配管P4と接続する部分にオネジ部91bが形成され、このオネジ部91bに螺合された取付ナット99により配管P4の先端部が固定されている。
【0049】
<排水弁の構造>
排水弁102の構造は、通路を開閉する手段であれば、特に限定されないが、通路の通水の有無で自動的に開閉する方式は、使用者の使い勝手、製造コストの面で好ましい。
この方式の排水弁102は、図10に例示するように筒型の再生水排水口本体101bに内蔵されている。第1接続エルボ管90の上流側から出口101aに向かって、通水穴102bを有する係止具102aと、ゴム製のパッキン102cが装着されている。一端が係止具102aに支持され、パッキン102cが再生水排水口本体101bの内部側のシール面101cに当接することで流路を閉じる弁体103を備えている。再生水排水口本体101bの内部に、弁体103を係止具102aの方向に付勢し、流路を開くためのバネ部材104が設けられている。
【0050】
水栓5の開閉弁12が閉じている状態(湯水を使用していない状態)では、開閉弁12から下流の通路の内圧は、吐出口13が大気開放されているために、ほぼゼロである。
このとき、バネ部材104の付勢力が水圧に伴う閉止力よりも大きく、排水弁102が開いた状態になる。再生水供給部30からの再生水があった場合には排水される。
一方、水栓5の開閉弁12が開いている状態(湯水を使用している状態)では、通路内には給水圧に伴う動水圧が作用し、弁体103には閉じる方向に荷重が印加される。このとき、その荷重がバネ部材104の付勢力よりも大きくなり、パッキン102cがシール面101cに当接し、排水弁102が閉じられる。なお、バネ部材104の付勢力は、適宜設定できるが、出来る限り低水圧で排水弁102を閉じるとともに、通水がない場合は確実に開くことが必要になる。
【0051】
<再生バルブ>
再生バルブ105は、使用者が再生水供給部30の再生水を軟水化装置14に導き再生するために、再生水供給部30と入口継手20の間に設けられる。また、通路を開閉する手段であれば手動式、電気式限定されないが、製造コストの面で手動式が好ましい。
【0052】
本実施形態では手動式を用いることができる。
再生バルブ105の構造の一例として、セラミック製の固定ディスク面上に、同材質の可動ディスクを摺動、回動させて流路を開閉する構造を採用することができる。
固定ディスクの開口部が可動ディスクの開口部と合致したときに流路が開き、可動ディスクが固定ディスクの面上を回転し、固定ディスクの開口部を閉塞すると流路を閉じることができる。
一例として、図11に示すように流路を構成した流路ブロック100に再生バルブ105を組み付けた構成を採用できる。
【0053】
再生バルブ105は、このようなセラミック製バルブを内蔵したバルブ本体105aと、セラミック製バルブを回転させる操作ハンドル105bで構成されている。流路ブロック100の内部に設けた折曲形状の流路100aの一部に、バルブ本体105aの先端面側を押圧可能な固定ディスク面100bを形成し、この固定ディスク面100bを閉じているバルブ本体105aがその回転角度に応じて流路を開閉可能な構造を有する。
例えば、バルブ本体105aの先端面から側面に達する連通孔が形成され、バルブ本体105aが所定の回転角度となった場合のみ流路ブロック100の流路全体が連通する構成を採用することができる。
【0054】
再生バルブ105において入口105c側が配管P2を介し再生水供給部30に接続され、出口105d側が配管P6を介して入口継手20に接続され、洗面ボウル4の背面板9の裏面側で、入口105c側が上方、出口105d側が下方に向くように配置されている。
操作ハンドル105bは、洗面ボウル4側に露出して配置される。使用者は、操作ハンドル105bをその軸回りに回転させて、再生バルブ105を開閉することができる。
再生バルブ105の入口105c側には後述する逆止弁106を介し配管P2が接続されるとともに、出口105d側には筒型の接続金具105Aと固定金具105Bを介し配管P6が接続されている。
【0055】
この方式では、万一、再生バルブ105を開いた状態で、水栓5の開閉弁12を開くと、水が入口継手20の第2接続部20bから第3接続部20dへ流れ、再生水供給部30に逆流し、洗面化粧台1の外へ漏れる恐れがある。そこで、入口継手20と再生水供給部30部の間に図11に示す構造の逆止弁106を設けることが好ましい。
【0056】
<逆止弁>
逆止弁106は、逆流が発生したときに通路を閉じ、逆流が解消されたときに通路を開く構造であれば、特に限定されない。前述した排水弁102のように、通路を開くときに、バネ部材104の付勢力を利用する構造を採用することもできる。
本実施形態において、図11に示すように逆止弁106は、再生バルブ105の入口105c側に接続されている。逆止弁106は、再生水供給部30から再生バルブ105に向かって、内側にシール面106aを有する円筒形の逆止弁ボディ106bを有する。また、ゴム製のパッキン106cが装着され、パッキン106cが逆止弁ボディ106b内に設けたシール面106aに当接することで通路を閉じる構成の弁体107を有する。更に、弁体107の一端を支持する通水穴106dを有する係止具106eを逆止弁ボディ106bの内部に備えている。
【0057】
逆止弁ボディ106bは、筒型の外装ボディ106Aの内部に収容されている。外装ボディ106Aの下端側にネジ部106Bが形成され、このネジ部106Bを流路ブロック100の上部に形成されたねじ穴100cに螺合することで外装ボディ106Aが流路ブロック100に一体的に取り付けられている。外装ボディ106Aの上端部にもネジ部106Cが形成され、このネジ部106Cに螺合されている筒形の接続金具106Dとリング状の固定金具106Eを介し配管P2の端部が接続されている。
【0058】
再生バルブ105の入口105c側は上方に配置され、内蔵される逆止弁106のパッキン106cを上向きになるように配置することで、逆流のない状態では弁体107は自重で下がり通路は開いている。一方、逆流が発生すると、弁体107は水圧で上昇し、パッキン106cがシール面106aに当接し、流路が閉じるので、結果的に逆流が防止される。
【0059】
再生水供給部30を軟水化装置14よりも上方に配置し、再生水排水口101を再生水供給部30よりも下方に配置することによって、開閉弁12を閉じ、再生バルブ105を開くと、再生水供給部30からの再生水は、自然落差で軟水化装置14に供給される。
その供給経路は、再生水供給部30、配管P2、逆止弁106、再生バルブ105、配管P6、入口継手20の第3接続部20dから第1接続部20a、水入口部19、イオン交換樹脂部18、水出口部21、出口継手22の第4接続部22aから第5接続部22b、配管P4を経て、再生水排水口101から排水される。これによって、陽イオン交換樹脂24を再生することができる。
【0060】
この構造において、吐出口13から第5接続部22bまでの圧力損失が、再生水排水口101から第6接続部22cまでの圧力損失よりも大きいことが望ましい。再生水は自然落差で供給されるが、吐出口13側の圧力損失は大きいため、再生水排水口101優先で再生水が排水完了されることになる。なお、圧力損失差を利用せずに、吐出口13から第5接続部22bの間に、再生水の通過を規制する専用バルブや逆止弁を設けることもできる。
【0061】
図8は、従来の鏡キャビネット15’の構成を示す。従来の鏡キャビネット15’は、本実施形態の鏡キャビネット15と同様に収納用下台2を有し、その内部に給水配管10と給湯配管11が設けられ、これらが開閉弁12に接続されている。開閉弁12を操作するハンドル12aが設けられ、開閉弁12は配管P5を介し吐出口13に接続され、ハンドル12aの操作に応じて吐出口13から、水あるいは温水を吐出できるようになっている。
図8に示す従来構造と図2に示す第一実施形態の構造を対比して明らかなように、第一実施形態の構造は、従来構造の鏡キャビネット15’において配管P5を配管P3に置き換えた上で軟水化装置14と再生水供給部30と配管P2などを設けることにより容易に実現できる。従って第一実施形態の構造は、従来構造に若干の改造を施すのみで実施できる優れた利点を有する。
【0062】
<再生水供給部>
陽イオン交換樹脂24の再生は、再生剤として塩を用い、塩分濃度10~20%の塩水を使用することが、安全面、費用面の観点から最も適している。塩水を生成する方法は各種あるが、本実施形態では、粒状の固形塩を水に浸して所定時間放置し、塩分濃度を20%程度にして、軟水化装置に供給することができる。
固形塩の寸法は、5~15mmが好ましい。形状は略球状のほか、略楕円球状であっても、略円盤状であっても、略アーモンド状であっても特に限定されない。市販の食塩のような粉状では、水に浸漬して乾燥後に塩橋により凝固して逆に溶解しにくくなるため適していない。また、固形塩の寸法が大きい場合は、比表面積が小さくなり溶解時間が長くなる。
【0063】
再生水供給部30は、上部が開放され、下部に再生バルブ105への配管P2を接続する接続口108を有する箱状のタンク109を有し、タンク109の底面から上方に離隔して設置された透水性のメッシュ部材110で、タンク109の内部が上下に分割された構造が望ましい。
メッシュ部材110は、透水性があれば特に限定されないが、固形塩よりも開口がはるかに小さいポリエステル製のメッシュが好ましい。本実施形態では、メッシュ部材110は、特に図示していない格子状の成形物でメッシュを挟持しタンク109内部に設けている。また、タンク109上部の開口部109aを上から覆うカバー109bを設けることもできる。
【0064】
この構造で、カバー109bを外し、固形塩を開口部109aからメッシュ部材110の上部に載置し、さらに、再生バルブ105を閉じた状態で水をタンク109の上位(メッシュ部材110より上方)まで投入する。タンク109内に一旦貯蔵される水の量は、少なくとも固形塩の下側が必ず接触して浸漬する程度は必要である。
この構成によって、固形塩は水に浸漬した部分から徐々に溶解する。ここで、塩水は比重が水よりも大きいため、メッシュ部材110下部では、比重差による対流が発生し、固形塩に接するのは水になり、自然溶解が促進される。そして、所定時間が経過すると、塩分濃度は20%程度に高まる。なお、最高でも飽和濃度の約26%で溶解が完了する。なお、固形塩の溶解には、自然溶解に限定されるものではなく、ポンプを利用して強制的に撹拌し、溶解してもよい。
【0065】
このようにして生成された再生水は、再生バルブ105を開くと、図3の矢印で示すように配管P2、P6に沿って下降し、入口継手20、エルボ管28A、導水管26を介し水入口部19からイオン交換樹脂部18に至る。イオン交換樹脂部18に5~20%の高濃度の塩水が通水されるとイオン交換能が逆転し、Naが陽イオン交換樹脂24に吸着され、代わりにCa2+、Mg2+が放出される。塩水を所定量通水すると、陽イオン交換樹脂24は、初期の状態に復元され、陽イオン交換機能が再生される。
イオン交換樹脂部18を通過した再生水は、水出口部21から出口継手22を介し配管P4に至り、再生水排水口101から洗面ボウル4に排出される。
【0066】
以上説明してきたように、再生水供給部30は軟水化装置14よりも上方にあれば、洗面化粧台1のどこに設置しても、その位置は限定されないが、鏡キャビネット15に内蔵してもよい。その場合、鏡キャビネット15内のトレイ用の係止溝15aを利用し、タンク109の側面部に突起状の係止部109cを設け、係止部109cを係止溝15aに嵌め込んで取り付けることができる。このようにして再生水供給部30を鏡キャビネット15に収納できるため、扉部材16を閉めておくと、外部から再生水供給部30を全く見えないように内蔵することができる。
【0067】
<第二実施形態>
本発明に係る軟水化装置付き洗面化粧台の第二実施形態について、図5図6図7図12に基づき以下に説明する。但し、<再生水排水口の位置>以外については、先に説明した第一実施形態と同一構成であり、同一構成部分の説明を割愛する。
【0068】
<第二実施形態における再生水排水口の位置>
第二実施形態において、再生水排水口101は、洗面ボウル4の裏面側に配置されている。ボウル排水口7は、洗面ボウル4の底部裏面側に、図6図7の鎖線で示すか、図12に示すように、洗面ボウル4の上方からのオーバーフロー管111が接続されるオーバーフロー管接続部112を有し、排水トラップ113を含む排水配管8が接続され、排水は排水配管8から建屋外へ導かれる。
再生水排水口101は、図12に示すようにオーバーフロー管接続部112に、オーバーフロー管111とは別に接続される分岐管114を介して接続されている。
【0069】
なお、接続箇所は、ボウル排水口7から排水配管8のどこに接続してもよいが、排水トラップ113よりも上流側に接続した方が、封水を確保できるため衛生面で好ましい。
そして、この分岐管114の接続部に図12に示すように排水弁102を内蔵し、配管P4を介し、出口継手22の第6接続部22cと配管P4を接続する。
この構造により、排水弁102は、第一実施形態と同一の作用で動作し、再生水を排水配管8に排水できる。
この場合、第一実施形態に比べて、再生水排水口101は下方に配置されるため、落差が大きくなり、再生水がより流れやすくなる。さらに、再生水排水口101を洗面化粧台1の外観側から隠すことができる。
【実施例0070】
<生成された再生水>
図1図2図3に示した軟水化装置付き洗面化粧台に係る実施例について以下に説明する。
鏡キャビネット15に収納できるように、開口部109aが約100cmの箱状のタンク109の底面から約35mm上方にメッシュ部材110を配置した。そのメッシュ部材110の上に、略アーモンド状で1粒の寸法が7~14mmの固形塩を600g載置した。そして、再生バルブ105を閉じた状態で、タンク109の開口部109aから約500mLの水を投入し、貯蔵し、固形塩を溶解させた。このときの水位は、タンク109の底面から約74mmであった。そして約1時間後に、塩分濃度が約19.7%になり、再生水量は約623mLになった。
【0071】
<排水弁の状態>
排水弁102のバネ部材104は、塩水による耐食性を考慮してステンレス製とした。水圧0.03MPa以上で通水すると弁体103が閉じ、非通水(0MPa)で開くようにバネ部材104の付勢力を設定した。
【0072】
<得られた軟水量>
再生バルブ105を開いて、生成された再生水を軟水化装置14に供給し、再生水排水口101から洗面ボウル4に全量排水した。排水時間は約90秒であった。なお、再生水排水口101から第6接続部22cまでの圧力損失は0.03MPa(流量6L/分時)であり、吐出口13から第5接続部22bまでの圧力損失は0.08MPa(流量6L/分時)であった。
【0073】
次に、再生バルブ105を閉じて、開閉弁12を開き、吐出口13から吐水される水の硬度を、吐出口13を通過する吐水の通水量とともに測定したところ、図13に示す通りとなった。
なお、通水量は洗面化粧台1で一般的な6L/分とした。原水の硬度は70mg/Lに換算した。また、このとき排水弁102は閉じていることは言うまでもない。
図13に示す結果から、通水量5Lまでは、配管内の残水の影響で硬度が高いが、その後は硬度0mg/Lの軟水が450L得られた。
洗面化粧台1における水の使用量は4人家族で40L/日と言われており、10日以上、硬度0mg/Lの軟水を使用できることがわかった。
【0074】
<逆止弁の作動>
故意に、再生バルブ105を開いた状態で、開閉弁12を開き、吐出口13から吐水させた。このとき、逆止弁106は閉じ、タンク109への逆流は発生しなかった。
開閉弁12を閉じると、逆止弁106の弁体107は下方に動き、流路が開くことを確認できた。
【0075】
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は前述の実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0076】
1…洗面化粧台、2…収納用下台、3…カウンター、4…洗面ボウル、5…水栓、
6…扉部材、7…ボウル排水口、8…排水配管、9…背面板、10…給水配管、
11…給湯配管、12…開閉弁、12a…ハンドル、13…吐出口、13a…ボディ、
14…軟水化装置、15…鏡キャビネット、15a…係止溝、16…扉部材、
17…タンク、18…イオン交換樹脂部、19…水入口部、
20…入口継手、20a…第1接続部、20b…第2接続部、20c…オネジ、
20d…第3接続部、20e…オネジ、21…水出口部、
22…出口継手、22a…第4接続部、22b…第5接続部、22c…第6接続部、
23…ケーシング部材、24…陽イオン交換樹脂、
25…ケース部材、25a…メッシュ部材、
26…導水管、26a…水平部、26b…鉛直部、
27…入口アダプター、27a…Oリングシール面、27b…メネジ、
28A、28B…エルボ管、28a…オネジ、28b…オネジ、29…出口アダプター、
29a…Oリングシール面、29b…メネジ、30…再生水供給部、
101…再生水排水口、101a…出口、101b…再生水排水口本体、
101c…シール面、102…排水弁、102a…係止具、102b…通水穴、
102c…パッキン、103…弁体、104…バネ部材、
105…再生バルブ、105a…バルブ本体、105b…操作ハンドル、
105c…入口、105d…出口、106…逆止弁、106a…シール面、
106b…逆止弁ボディ、106c…パッキン、106d…通水穴、106e…係止具、107…弁体、108…接続口、109…タンク、109a…開口部、
109b…カバー、109c…係止部、110…メッシュ部材、
111…オーバーフロー管、112…オーバーフロー管接続部、
113…排水トラップ、114…分岐管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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