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特開2024-166104PtI2またはPtBr2を使用してオレフィンからアセタールを調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166104
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】PtI2またはPtBr2を使用してオレフィンからアセタールを調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/54 20060101AFI20241121BHJP
   C07C 43/303 20060101ALI20241121BHJP
   C07D 317/12 20060101ALI20241121BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
C07C41/54
C07C43/303
C07D317/12
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074847
(22)【出願日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】23173654.7
(32)【優先日】2023-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523448406
【氏名又は名称】エボニック オクセノ ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フランケ
(72)【発明者】
【氏名】キャロライン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ジャックステル
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ベルラー
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC21
4H006AC43
4H006BA26
4H006BA37
4H006BA48
4H006BC11
4H006BE20
4H006BE40
4H006GN35
4H006GN37
4H006GP01
4H039CA42
4H039CA61
4H039CF10
4H039CH10
4H039CL45
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な収率でオレフィンからアセタールを調製する方法を提供する。
【解決手段】a)最初にオレフィンを投入する工程と、b)キサントホス等のリン化合物を添加する工程と、c)PtIまたはPtBrを添加する工程と、d)メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから選択されるアルコールを添加する工程と、e)COおよびHを供給する工程と、f)前記工程a)~e)の反応混合物を加熱して、前記オレフィンをアセタールに転化する工程と、を含む方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)最初にオレフィンを投入する工程と、
b)式(I):
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rは、-H、-(C-C12)-アルキル、-(C-C20)-アリールから選択され、
、R、R、R、R、R、R、Rが-(C-C20)-アリールである場合、そのアリール環は、-(C-C12)-アルキル、-O-(C-C12)-アルキルから選択される置換基を有していてもよい。)
の化合物を添加する工程と、
c)PtIまたはPtBrを添加する工程と、
d)メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから選択されるアルコールを添加する工程と、
e)COおよびHを供給する工程と、
f)前記工程a)~e)の反応混合物を加熱して、前記オレフィンをアセタールに添加する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
、R、R、R、R、R、Rは、-(C-C12)-アルキル、-(C-C20)-アリールから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
、R、R、Rは、-(C-C20)-アリールである、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
およびRは、-(C-C12)-アルキルである、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
およびRは、-Hである、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記化合物(I)は、構造(1):
【化2】
を有する、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
PtIは、前記工程c)で添加される、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
PtBrは、前記工程c)で添加される、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記工程d)の前記アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオールから選択される、請求項1~請求項8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記工程e)の前記アルコールは、MeOHである、請求項1~請求項9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
COおよびHは、1MPa(10バール)~6MPa(60バール)の範囲の圧力で供給される、請求項1~請求項10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
COおよびHは、3MPa(30バール)~5MPa(50バール)の範囲の圧力で供給される、請求項1~請求項11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記オレフィンは、エテン、プロペン、1-ブテン、シス-および/またはトランス-2-ブテン、イソブテン、1,3-ブタジエン、1,2-ブタジエン、1-ペンテン、シス-および/またはトランス-2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ヘキセン、テトラメチルエチレン、ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、ジ-n-ブテン、トリ-n-ブテン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、メチル9-デセノエート(9-Dame)またはそれらの混合物から選択される、請求項1~請求項12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記オレフィンは、2つの二重結合を有する、請求項1~請求項13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記オレフィンは、2つの二重末端結合を有する、請求項1~請求項13のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PtIまたはPtBrを使用してオレフィンからアセタールを調製する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、オレフィンからアセタールを調製する方法を提供することであった。本明細書での意図は、良好な収率を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、請求項1による方法によって達成される。
【0004】
a)最初にオレフィンを投入する工程と、
b)式(I):
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rは、-H、-(C-C12)-アルキル、-(C-C20)-アリールから選択され、
、R、R、R、R、R、R、Rが-(C-C20)-アリールである場合、そのアリール環は、-(C-C12)-アルキル、-O-(C-C12)-アルキルから選択される置換基を有していてもよい。)
の化合物を添加する工程と、
c)PtIまたはPtBrを添加する工程と、
d)メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから選択されるアルコールを添加する工程と、
e)COおよびHを供給する工程と、
f)工程a)~e)の反応混合物を加熱して、オレフィンをアセタールに添加する工程と、
を含む方法。
【0007】
この方法では、工程a)~工程e)は、任意の順序で実行され得る。ただし、通常は、工程a)~工程d)において共反応物が最初に投入された後に、COおよびHが添加される。
【0008】
表現(C-C12)-は、1~12個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖アルキル基を包含する。これらは、好ましくは(C-C)-アルキル基、より好ましくは(C-C)-アルキル、最も好ましくは(C-C)-アルキルである。
【0009】
適切な(C-C12)-アルキル基は、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、ノニル、デシルである。
【0010】
表現(C-C20)-アリールは、6~20個の炭素原子を有する単環式または多環式芳香族炭化水素基を包含する。これらは、好ましくは(C-C14)-アリール、より好ましくは(C-C10)-アリールである。
【0011】
適切な(C-C20)-アリール基は、特に、フェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニル、コロネニルである。好ましい(C-C20)-アリール基は、フェニル、ナフチルおよびアントラセニルである。
【0012】
本方法の一変形例では、R、R、R、R、R、R、Rは、-(C-C12)-アルキル、-(C-C20)-アリールから選択される。
【0013】
本方法の一変形例では、R、R、R、Rは、-(C-C20)-アリールである。
【0014】
本方法の一変形例では、R、R、R、Rは、-Phである。
【0015】
本方法の一変形例では、RおよびRは、-(C-C12)-アルキルである。
【0016】
本方法の一変形例では、RおよびRは、-CHである。
【0017】
本方法の一変形例では、RおよびRは、-Hである。
【0018】
本方法の一変形例では、化合物(I)は、構造(1):
【0019】
【化2】
【0020】
を有する。
【0021】
本方法の一変形例では、PtIは、工程c)で添加される。
【0022】
本方法の一変形例では、PtBrは、工程c)で添加される。
【0023】
本方法の一変形例では、工程d)のアルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオールから選択される。
【0024】
本方法の一変形例では、工程d)のアルコールは、MeOHである。
【0025】
本方法の一変形例では、COおよびHは、1MPa(10バール)~6MPa(60バール)の範囲の圧力で供給される。
【0026】
本方法の一変形例では、COおよびHは、3MPa(30バール)~5MPa(50バール)の範囲の圧力で供給される。
【0027】
本方法の一変形例では、オレフィンは、エテン、プロペン、1-ブテン、シス-および/またはトランス-2-ブテン、イソブテン、1,3-ブタジエン、1,2-ブタジエン、1-ペンテン、シス-および/またはトランス-2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ヘキセン、テトラメチルエチレン、ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、ジ-n-ブテン、トリ-n-ブテン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、メチル9-デセノエート(9-Dame)またはそれらの混合物から選択される。
【0028】
本方法の一変形例では、オレフィンは、2つの二重結合を有する。
【0029】
本方法の一変形例では、オレフィンは、2つの末端二重結合を有する。
【0030】
本方法の一変形例では、オレフィンは、1,3-ブタジエンである。
【0031】
本方法の一変形例では、反応混合物は、50℃~150℃の範囲の温度に加熱される。
【0032】
本方法の一変形例では、反応混合物は、80℃~140℃の範囲の温度に加熱される。
【0033】
本方法の一変形例では、この方法は、アルコールではない溶媒を添加する追加工程e’)を含む。
【0034】
本方法の一変形例では、溶媒は、THF、MTBE、DCM、ACN、ヘプタン、DMF、トルエン、キシレン、メシチレン、ジベンジルトルエンから選択される。
【0035】
本発明を実施例を参照して以下に詳細に説明する。
【実施例0036】
一般的な実験説明
オレフィン、不活性溶媒、アルコール、PtX(X=ハロゲン)、およびリガンドを、アルゴン雰囲気下、Parr Instruments社製のステンレス鋼製オートクレーブに入れた。合成ガスCO/H(1:1)を注入し、選択した反応温度で、攪拌しながら反応を行った。反応時間が終了したら、オートクレーブを室温まで冷却し、残留圧力を解放し、目的生成物の収率を測定するためのGC試料を採取し、分析した。
【0037】
オレフィンのバリエーション:1-オクテン
反応条件:
10ミリモルの1-オクテン、0.5モル%のPtI、2.2当量のキサントホス(1)、溶媒:トルエン、圧力p(CO/H):40バール、温度T:80℃、時間t:24時間。
モノアルコール:4当量:ジオール:2当量
【0038】
【表1】
【0039】
アルコールのバリエーション:1,3-ブタジエン
反応条件:
10ミリモルの1,3-ブタジエン、0.5モル%のPtI、2.2当量のキサントホス(1)、溶媒:トルエン、圧力p(CO/H):40バール、温度T: 80℃、時間t:24時間。
モノアルコール:4当量:ジオール:2当量
【0040】
【0041】
ハロゲンのバリエーション
【0042】
【化3】
【0043】
10ミリモルの1-オクテン、40ミリモルのメタノール、10mLのトルエン、PtX(0.1モル%)、キサントホス(1)(0.22モル%)を、アルゴン下、25mL容量オートクレーブに導入した。合成ガス(CO/H=1.1)を40バールまで注入した。120℃で撹拌しながら、オートクレーブ内のガス消費量を測定しながら(電子圧力変換器、Specviewソフトウェア)、反応を24時間行った。オートクレーブを室温まで冷却し、圧力を解放した。GC試料を採取し、収率を測定した。
X=I/Br/Clで反応を行った。
【0044】
反応条件:
10ミリモルの1-オクテン、0.1モル%のPtX、2.2当量のキサントホス(1)、溶媒:トルエン、圧力p(CO/H):40バール、温度T:120℃、時間t:24時間。
【0045】
収率:
PtI:46%
PtBr:36%
PtCl*:7%
*発明性のない比較実験
【0046】
実験結果からわかるように、本発明の方法により目的が達成される。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)最初にオレフィンを投入する工程と、
b)式(I):
【化1】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rは、-H、-(C-C12)-アルキル、-(C-C20)-アリールから選択され、
、R、R、R、R、R、R、Rが-(C-C20)-アリールである場合、そのアリール環は、-(C-C12)-アルキル、-O-(C-C12)-アルキルから選択される置換基を有していてもよい。)
の化合物を添加する工程と、
c)PtIまたはPtBrを添加する工程と、
d)メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから選択されるアルコールを添加する工程と、
e)COおよびHを供給する工程と、
f)前記工程a)~e)の反応混合物を加熱して、前記オレフィンをアセタールに添加する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
、R、R、R、R、R、Rは、-(C-C12)-アルキル、-(C-C20)-アリールから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
、R、R、Rは、-(C-C20)-アリールである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
およびRは、-(C-C12)-アルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
およびRは、-Hである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記化合物(I)は、構造(1):
【化2】
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
PtIは、前記工程c)で添加される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
PtBrは、前記工程c)で添加される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記工程d)の前記アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオールから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記工程e)の前記アルコールは、MeOHである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
COおよびHは、1MPa(10バール)~6MPa(60バール)の範囲の圧力で供給される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
COおよびHは、3MPa(30バール)~5MPa(50バール)の範囲の圧力で供給される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記オレフィンは、エテン、プロペン、1-ブテン、シス-および/またはトランス-2-ブテン、イソブテン、1,3-ブタジエン、1,2-ブタジエン、1-ペンテン、シス-および/またはトランス-2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ヘキセン、テトラメチルエチレン、ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、ジ-n-ブテン、トリ-n-ブテン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、メチル9-デセノエート(9-Dame)またはそれらの混合物から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記オレフィンは、2つの二重結合を有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記オレフィンは、2つの二重末端結合を有する、請求項1記載の方法。
【外国語明細書】