(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166109
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】相関3層マイクロテキスト
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20241121BHJP
B42D 25/333 20140101ALI20241121BHJP
【FI】
B41M3/14
B42D25/333
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075582
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】18/198,796
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エヌ.チャップマン
【テーマコード(参考)】
2C005
2H113
【Fターム(参考)】
2C005JA09
2C005JB20
2H113AA01
2H113AA05
2H113BA00
2H113BC04
2H113CA39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】相関マークを含む透かしなどセキュリティデバイスを提供する。
【解決手段】セキュリティマークをレンダリングするための方法、装置、及びシステムは、第1の可変層及び第2の可変層を含むセキュリティマーク用データテキストの2つの可変層を設けるステップと、2つの可変層を使用してセキュリティマークを記録媒体に付与して、セキュリティマークの第3の可変層を作成するステップと、を含み得る。第2の可変層は、同一周波数で第1の可変層から位相をずらすか、又は直交して付与されて、復号可能なデータテキストを有する第3の可変層を形成し得る。データテキストを有する第3の可変層は、復号画面を用いて復号可能であり得る。更に、第1の可変層、第2の可変層、及び第3の可変層は、同一領域を共有し得る。セキュリティマークは、相関マークを含み得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティマークをレンダリングする方法であって、
第1の可変層及び第2の可変層を含むセキュリティマーク用データテキストの2つの可変層を設けるステップと、
前記2つの可変層を使用して前記セキュリティマークを記録媒体に付与して、前記セキュリティマークの第3の可変層を作成するステップと、を含み、前記第2の可変層は、同一周波数で前記第1の可変層から位相をずらすか、又は直交して付与され、これにより、復号可能なデータテキストを有する前記第3の可変層を形成する、方法。
【請求項2】
前記データテキストを有する前記第3の可変層は、復号画面を用いて復号可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の可変層、前記第2の可変層、及び前記第3の可変層は同一領域を共有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記セキュリティマークは相関マークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記セキュリティマークは透かしを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データテキストは可変データテキストを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記可変データテキストはマイクロテキストを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
セキュリティマークをレンダリングする方法であって、
a)周波数でセキュリティマークを定義するステップと、
b)周期が前記周波数の数分の1未満であるマイクロフォントを作成するステップと、
c)前記マイクロフォントによって制限される角度で前記セキュリティマークを定義するステップと、
d)第1の可変データ列、第2の可変データ列、及び第3の可変データ列を定義するステップと、
e)前記マイクロフォントを使用して、前記角度及び前記周波数で前記第1の可変データ列を書き込むステップと、
f)前記マイクロフォントを使用して、前記角度から位相をずらすか、又は直交し、前記周波数で前記第2の可変データ列を書き込むステップと、を含む、方法。
【請求項9】
ステップa)~f)の結果として、前記第3の可変データ列は、復号画面なしでは復号できない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記セキュリティマークは相関マークを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記セキュリティマークは透かしを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
セキュリティ装置であって、
第1の可変層及び第2の可変層を含むデータテキストの2つの可変層を有するセキュリティマークと、
前記セキュリティマークの第3の可変層と、を含み、前記セキュリティマークは、前記2つの可変層を使用して記録媒体に付与されて、前記セキュリティマークの前記第3の可変層を作成し、前記第2の可変層は、同一周波数で前記第1の可変層から位相をずらすか、又は直交して付与され、これにより、復号可能なデータテキストを有する前記第3の可変層を形成する、セキュリティ装置。
【請求項13】
前記データテキストを有する前記第3の可変層は、復号画面を用いて復号可能である、請求項12に記載のセキュリティ装置。
【請求項14】
前記第1の可変層、前記第2の可変層、及び前記第3の可変層は同一領域を共有する、請求項12に記載のセキュリティ装置。
【請求項15】
前記セキュリティマークは相関マークを含む、請求項12に記載のセキュリティ装置。
【請求項16】
前記セキュリティマークは透かしを含む、請求項12に記載のセキュリティ装置。
【請求項17】
前記データテキストは可変データテキストを含む、請求項12に記載のセキュリティ装置。
【請求項18】
前記可変データテキストはマイクロテキストを含む、請求項17に記載のセキュリティ装置。
【請求項19】
前記データテキストを有する前記第3の可変層は、復号画面を用いて復号可能であり、前記第1の可変層、前記第2の可変層、及び前記第3の可変層は、同一領域を共有する、請求項12に記載のセキュリティ装置。
【請求項20】
前記セキュリティマークは相関マークを含み、前記データテキストは可変データテキストを含む、請求項19に記載のセキュリティ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、画像処理方法、システム、及びデバイスに関する。実施形態はまた、印刷デバイス及び技術に関する。実施形態は更に、相関マークを含む透かしなどセキュリティデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ手段を必要とする従来の印刷プロセスでは、セキュリティ手段を提供し、印刷物の偽造を防止するために、特殊イメージング特性を有するパターン色空間が使用され得る。更に、従来の印刷プロセスでは、印刷ロゴ、シリアル番号、シート位置、又は印刷物上の他のタイプの固有の識別情報などの可変データ上に部分的に、パターン色空間が使用され得る。
【0003】
セキュリティは、多くの文書作成用途において重要な要件である。公文書又は政府文書の印刷、イベントチケットの印刷、金融商品の印刷などの場合、複製、捏造、及び/又は偽造に対して、多くの文書を保護する必要がある。これを達成するために、印刷された文書は、偽造を防止し、かつ/又はある文書を元本と特定するのに役立つセキュリティマーク若しくはセキュリティ特徴を含むことが多い。
【0004】
セキュリティ用途では、変更及び偽造を防止又は妨げ得るセキュリティマーク又はセキュリティ特徴の形式で、文書に情報を追加することが望ましい場合がある。従来は、このようなセキュリティ用途に対して不正保護及び偽造防止対策を提供するために、印刷物において特殊イメージングが使用されてきた。例示的な文書としては、薬剤師が、その文書が本物であるという良好な信頼度を有し得ることを希望する処方箋である。
【0005】
特殊イメージング効果の設計目標は、
図1及び
図2に示す相関マークなど、ある条件下で読み取り不能であり、別の条件下では読み取り可能であることである。すなわち、
図1は、バーコード15及び17の上方にそれぞれ位置し、復号キーを有しない相関マーク11及び13の絵画
図10を示す。
図2は、復号キー19を有する相関マーク11の絵画
図12を示す。
【0006】
図3は、読み取りが困難な特殊イメージング効果の他の例を示す。すなわち、
図3は、一実施形態による、ルーペを伴うマイクロテキスト及びルーペを伴わないマイクロテキストを示す画像の絵画
図16、絵画
図18、絵画
図20、絵画
図22を示す。マイクロテキストは絵画
図20に示されているが、絵画
図16、絵画
図18、及び絵画
図20に示されているルーペなど拡大してのみ見ることができる。ルーペは、小さな細部をより詳細に見るために使用され得る、小型拡大デバイスである。ルーペは、概して拡大鏡よりも高倍率を有し、眼の近くに保持又は装着されるように設計される。なお、このようなルーペの代わりに顕微鏡を用いることも可能である。ルーペ、顕微鏡など拡大を可能にする任意のデバイスを使用して、マイクロテキストを見直すことができる。
【0007】
多くのセキュリティ印刷効果は、セキュリティ印刷効果が保護する文書上でいくらかのリアルエステート/スペースを占める。しかしながら、これはしばしば、コンサートチケット及びクーポンなど文書のための審美的に満足のいくデザインというデザイナーの意図と矛盾する。したがって、同一スペースを共有する複数の効果又は層を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
以下の概要は、開示される実施形態に特有の革新的な特徴の一部の理解を容易にするために提供されるものであり、完全な説明を意図するものではない。本明細書に開示される実施形態の様々な態様の完全な理解は、本明細書全体、特許請求の範囲、図面、及び要約書をまとめて見ることによって得ることができる。
【0009】
したがって、実施形態の一態様は、改善された画像処理方法、システム、及びデバイスを提供することである。
【0010】
実施形態の別の態様は、改善された印刷デバイス及びレンダリング技術を提供することである。
【0011】
実施形態の更に別の態様は、文書を保護するために使用される透かしなど改善されたセキュリティデバイスを提供することである。
【0012】
また、実施形態の一態様は、マイクロテキストの2つの可変層を使用して記録媒体(例えば、文書)にセキュリティマークを付与するための方法、システム、及びデバイスを提供することであり、これは、復号画面を用いて復号可能であるマイクロテキストの第3の可変層を作成する。
【0013】
上述の態様、並びに他の目的及び有益性は、ここで本明細書に記載されるように達成することができる。一実施形態では、セキュリティマークをレンダリングする方法は、第1の可変層及び第2の可変層を含むセキュリティマーク用データテキストの2つの可変層を設けるステップと、2つの可変層を使用してセキュリティマークを記録媒体に付与して、セキュリティマークの第3の可変層を作成するステップと、を含み得、第2の可変層は、同一周波数で第1の可変層から位相をずらすか、又は直交して付与され得、これにより、復号可能なデータテキストを有する第3の可変層を形成することができる。
【0014】
一実施形態では、データテキストを有する第3の可変層は、復号画面を用いて復号することができる。
【0015】
一実施形態では、第1の可変層、第2の可変層、及び第3の可変層は、同一領域を共有し得る。
【0016】
一実施形態では、セキュリティマークは相関マークを含み得る。
【0017】
一実施形態では、セキュリティマークは透かしであり得る。
【0018】
一実施形態では、データテキストは可変データテキストを含み得る。
【0019】
一実施形態では、セキュリティマークをレンダリングする方法は、以下のステップ、すなわち、a)セキュリティマークを周波数で定義するステップと、b)周期が周波数の数分の1未満であるマイクロフォントを作成するステップと、c)マイクロフォントによって制限される角度でセキュリティマークを定義するステップと、d)第1の可変データ列、第2の可変データ列、及び第3の可変データ列を定義するステップと、e)マイクロフォントを使用して、当該角度及び当該周波数で第1の可変データ列を書き込むステップと、f)マイクロフォントを使用して、当該角度に直交する第2の可変データ列を、当該周波数で書き込むステップと、を含み得る。
【0020】
一実施形態では、ステップa)~f)の結果として、第3の可変データ列は、復号画面なしでは復号できない場合がある。
【0021】
一実施形態では、セキュリティ装置は、第1の可変層及び第2の可変層を含むデータテキストの2つの可変層と、セキュリティマークの第3の可変層と、を含み得、セキュリティマークは、2つの可変層を使用して記録媒体に付与されて、セキュリティマークの第3の可変層を作成し、第2の可変層は、同一周波数で第1の可変層から位相をずらすか、又は直交して付与され得、これにより、復号可能なデータテキストを有する第3の可変層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
同様の参照番号が、別個の図全体をとおして同一又は機能的に類似した要素を指し、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成している添付図面は、本発明を更に例示し、本発明の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0023】
【
図1】バーコードの上方に位置し、復号キーを有しない相関マークの絵画図を示す。
【
図2】復号キーを有する相関マークの絵画図を示す。
【
図3】ルーペを有する、及びルーペを有しないマイクロテキストを示す絵画図を示す。
【
図4】一実施形態による、マイクロテキスト文字列の一例を示す。
【
図5】一実施形態による、異なる文字列を有するルーペを通して得られた絵画図を示す。
【
図6】一実施形態による、ルーペではなく、復号画面下にある絵画図を図示する。
【
図7】一実施形態による、セキュリティマークをレンダリングするための方法の論理的動作ステップを示す動作の高水準フロー図を示す。
【
図8】開示された実施形態の1つ以上を実装するのに好適な印刷システムのブロック図を示す。
【
図9】開示された実施形態の1つ以上を実装するのに有用なデジタルフロントエンドのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
これらの非限定的な実施例で論じられる特定の値及び構成は、変更されてもよく、単に1つ以上の実施形態を例示するために引用されており、その範囲を限定することを意図するものではない。
【0025】
ここで、本主題は、本明細書の一部分を形成し、例示として特定の例示的実施形態を示す添付図面を参照して、以下により詳細に説明される。しかしながら、主題は、種々の異なる形態で具現化されてもよく、したがって、網羅又は請求される主題は、本明細書に記載される任意の例示的な実施形態に限定されないものとして解釈されることが意図される。例示的な実施形態は、単に例示のために提供される。同様に、請求又は言及される主題についてはかなり広い範囲が意図される。とりわけ、例えば、主題は、方法、デバイス、構成要素、又はシステムとして具現化され得る。したがって、実施形態は、例えばハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせ(ソフトウェア自体以外)の形態をとり得る。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。
【0026】
本明細書及び特許請求の範囲全体をとおして、用語は、明示的に記載された意味を超える文脈で示唆又は暗示される微妙な意味を有し得る。同様に、本明細書で使用するとき、「一実施形態では」又は「例示的実施形態では」などの語句及びその変形は、必ずしも同じ実施形態を指すものではなく、本明細書で使用するとき、「別の実施形態では」又は「別の例示的実施形態では」という語句及びその変形は、異なる実施形態を指す場合もあり、必ずしもそうでない場合もある。例えば、請求される主題は、例示的実施形態の全体又は一部の組み合わせを含むことを意図する。
【0027】
一般に、用語は、文脈における使用から少なくとも部分的に理解され得る。例えば、本明細書で使用される「及び」、「又は」、又は「及び/又は」などの用語は、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存し得る様々な意味を含み得る。典型的には、「又は」は、A、B、又はCなどのリストを関連付けるために使用される場合、包括的な意味で本明細書に使用されるA、B、及びC、並びに排他的な意味で本明細書に使用されるA、B、又はCを意味することを意図する。加えて、本明細書で使用するとき、用語「1つ以上」は、文脈に少なくとも部分的に依存して、単数の意味で任意の特徴、構造、若しくは特性を説明するために使用される場合があり、又は複数の意味における特徴、構造、又は特性の組み合わせを説明するために使用される場合もある。同様に、「a」、「an」、又は「the」などの用語もまた、文脈に少なくとも部分的に依存して、単数の使用を伝達するか、又は複数の使用を伝達することが理解され得る。加えて、用語「基づいて」は、必ずしも排他的な一組の要因を伝達することを意図するものではなく、代わりに、同じく文脈に少なくとも部分的に依存して、必ずしも明示的に記載されていない追加の要因の存在を見込み得るものとして理解され得る。更に、本明細書で利用される「少なくとも1つ」という用語は、「1つ以上」を指し得る。例えば、「少なくとも1つのウィジェット」は、「1つ以上のウィジェット」を指すことがある。
【0028】
「データ」という用語は、本明細書において、情報を示すか、又は含む物理的信号を指す。物理的な光のパターン又は物理的な光を表すデータの集合体としての「画像」は、文字、単語、及びテキスト、並びに図形などの他の特徴を含み得る。
【0029】
広く捉えると、「デジタル画像」は、デジタルデータの集合体によって表される画像である。画像は、各々自体が画像である「区分」に分割され得る。画像の区分は、最大で画像全体となる任意のサイズであり、画像全体を含み得る。本明細書で使用するとき、「画像オブジェクト」又は「オブジェクト」という用語は、当該技術分野では一般に「区分」という用語と同等であると考えられ、本明細書では互換的に用いられるものとする。
【0030】
物理的な光を表すデータから構成されているデジタル画像では、データの各要素は、当該技術分野では一般的に使用され、画像素子を指し得る「ピクセル」と呼ばれ得る。各ピクセルは、位置及び値を有する。各ピクセル値は、画像の「2値形式」におけるビット、画像の「グレイスケール形式」におけるグレイスケール値、又は画像の「色座標形式」における色空間座標のセットであり、2値形式、グレイスケール形式、及び色座標形式は各々、画像を定義する二次元配列である。動作は、画像の一部に関するデータのアイテム上で動作するときに、「画像処理」を行うことができる。
【0031】
本明細書で使用するとき、「透かし」という用語は、媒体(例えば、文書、紙、写真、画像など)に適用され得る透明なテキスト、画像、ロゴ、又は他のマーキングの断片に関し得、これにより、(セキュリティ印刷によって透かしが適用される)媒体をコピー又は偽造すること、あるいは許可なく使用することをより困難にすることができる。「透かし」は、1ページ以上にわたって印刷され得る特殊目的のテキスト又は絵であり得る。例えば、配布前に文書にスタンプする代わりに、Copy、Draft、又はConfidentialのような単語を透かしとして追加することができる。
【0032】
本明細書で使用するとき、「相関マーク」という用語は、例えば相関ベースの透かし入れを使用して画像又は動画に埋め込むことができるデジタル透かしなどセキュリティマークに関連し得る。相関ベースの透かし入れの背景にある基本的な考え方は、人間の目では知覚できないが、相関分析を使用して検出することができる方法でピクセル値を修正することによって、画像又は動画に透かしを埋め込むというものである。
【0033】
相関マークは、この技術を使用して埋め込むことができる、特定タイプの透かしである。相関マークは、画像又は動画に埋め込むことができる、小さな固有パターンを含み得る。相関ベースの技術を使用して画像又は動画が分析されるとき、パターンを検出し、コンテンツの真正性又は所有権を検証するために使用することができる。
【0034】
相関マークは、娯楽産業や文書管理システムなど、デジタルコンテンツの知的財産を保護することが重要である用途で使用されることが多い。デジタル画像又は動画に相関マークを埋め込むことによって、所有権を証明すること、又はコンテンツの無許可のコピー若しくは配布を検出することが可能である。
【0035】
開示される実施形態は、マイクロテキストなど特殊画像化効果に適用することができる、相関マークに基づいた、又は相関マークを含むセキュリティマークなどセキュリティ装置に関する。本明細書でより詳細に説明するように、第1の層の可変データマイクロテキストを定義することができる。この第1の層は、第1の可変層と呼ぶことができ、特定の角度及び周波数で書き込むことができる。可変マイクロテキストの第2の層(第2の可変層と呼ばれる)も定義することができる。この第2の可変層は、第1の可変層から位相をずらすか、又は直交して、同一周波数で書き込むことができる。これは、デコーダ画面とも呼ばれる相関マーク復号画面を用いて復号可能な可変データテキストの第3の層(すなわち、第3の可変層)を形成することができる。3つの全効果は、同一領域を共有し得る。セキュリティマークを作成し、レンダリングするための方法は、以下のステップを含み得る。
1)相関マーク周波数Fを定義する。
2)周期が1/F未満であるマイクロフォントを作成する。
3)マイクロテキスト機能によって制限される相関マーク角度Aを定義する。
4)可変データ列1、2、及び3を定義する。
5)ステップ2のフォントを使用して、角度A、周波数Fで第1の文字列(一例では、テキストボックスに対応する)を書き込む。
6)ステップ2のフォントを使用して、周波数Fで、角度Aに直交する第2の文字列(一例では、テキストに対応する)を書き込む。
【0036】
これらのステップは、復号され得る第3の可変データ列を作成するために実施され得る。ステップ1では、標準CRデコーダ画面周波数を使用することができるので、既存のデコーダはこの手法で動作する。しかしながら、一部のマイクロフォントは大きすぎることがある。この問題を解決する1つの方法は、周波数Fを下げることなどであり得る。その代わりに、マイクロフォントは、デバイスを最高解像度に設定することと併せて、グリフスペースからデバイススペースに変換行列を変更して、変更後のフォントが1/F未満の周期を有するように変更され得る。
【0037】
ステップ3についても標準CRデコーダの角度Aが望ましいが、当該角度ではマイクロテキストが劣化する。したがって、0度、90度、180度、又は270度といった選択肢を使用すべきである。あるいは、ここで使用する例では、ユーザスペースを-A度回転させて、マイクロテキストを0度で印刷できるようにする。標準デコーダを使用するために、手動で-A度回転させることも必要である。
【0038】
ステップ5及び6に続いて、2つのマイクロテキスト文字列から相関効果を作り出すことができる。あるいは、ステップ6において、第2の文字列は、直交するのではなく、第1の文字列と位相をずらして書き込まれ得る。上記の方法は
図7にも記載している。
【0039】
本明細書で使用するとき、「デコーダ画面」(「復号画面」とも呼ばれる)という用語は、ユーザが画像又は動画内に埋め込まれた透かし情報を抽出するか、又は解読することを可能にし得る視覚インターフェース又はデジタルインターフェースに関連し得ることに留意されたい。復号画面は、遮蔽された透かしを明らかにするために必要なツール又はアルゴリズムを提供し得る。これらのツールとしては、画像処理フィルタ、数学的アルゴリズム、又はメディアファイルから透かしデータを抽出するように設計された専用ソフトウェアアプリケーションが挙げられ得る。場合によっては、復号画面は、抽出された透かしと共に元の画像又は動画を表示することができ、ユーザが比較し、結果を分析することを可能にする。
【0040】
復号画面は、許可されたユーザが、透かし入り媒体から埋め込み情報を取り出すことを可能にし得る。復号画面はまた、媒体の真正性を検証し、それが改ざんされていないことを保証するのに役立ち得る。復号画面の特定の実施態様は、使用される透かし入れ技術及び復号プロセスに使用されるソフトウェア又はシステムに応じて異なり得ることに留意することが重要である。異なる方法では、それらの特定のアルゴリズム及び要件に合わせて調整された異なる復号画面又はインターフェースを必要とすることがある。
【0041】
図4は、一実施形態による、マイクロテキスト文字列30の一例を示す。
図4は、一方のマイクロテキスト文字列が「ABC」であり、他方が「XYZ」である上記のステップの一例を示す。相関文字列は「XEROX」であるが、拡大図ではXのみが見える。
【0042】
図5は、一実施形態による、ルーペを通して得ることができる、異なる文字列を有する画像の絵画
図40を示す。すなわち、
図5は、ルーペを通して撮影された、異なる文字列を有する写真の別の例を示す。
図5に示す図は、絵画
図40内の正方形状物42内に含まれる。
【0043】
図6は、一実施形態による、ルーペではなく、復号画面下での画像の絵画
図50を示す。
図6は、ルーペではなく、復号画面を使用して、
図5と同じ絵画図を示す。「XEROX」中の「XE」は見えていたが、写真ではフェードアウトしている。この例では可変データ列を使用したが、グラフィックス又はアイコンなどの他のオブジェクトを使用することもできる。
【0044】
本明細書で使用するとき、「マイクロテキスト」という用語は、拡大による補助なしで読むことが困難であり得る、様々なタイプの小さな印刷されたか、又は彫り込まれたテキストに関連し得ることに留意されたい。マイクロテキストは、偽造及び改ざんを防止するために、紙幣、パスポート、身分証明書、及び他の重要文書などの様々なセキュリティ文書に使用することができる。マイクロテキストは、複製を困難にする特別な技術を使用して文書に印刷するか、又は彫り込むことができ、ホログラム、透かし、又は特別なインクなど他のセキュリティ機能と組み合わせて使用することができる。マイクロテキストは、セキュリティ文書での使用に加えて、小型ラベル、技術文書、及び美術印刷など他の用途にも使用することができる。
【0045】
本明細書で使用するとき、「マイクロフォント」という用語は、コンパクトであるか又は目立たないことが必要なテキストを印刷するか、又は表示する際に使用され得る、非常に小さいフォントサイズに関し得る。マイクロフォントは、パスポート、IDカード、及び紙幣などのセキュリティ文書において使用されることが多く、これらは、偽造及び詐欺を防止するために、マイクロテキスト、ホログラム、及び透かしなど他のセキュリティ特徴と併せて使用され得る。マイクロフォントの使用は、それが小さすぎて正確に読み取ったり再生したりすることができないので、偽造者が文書上のテキストを複製することを困難にし得る。
【0046】
図7は、一実施形態による、セキュリティマークをレンダリングするための方法400の論理的動作ステップを示す動作の高水準フロー図を示す。ブロック402に示すように、相関マーク周波数を定義するためのステップ又は動作を実施することができる。次に、ブロック404に示すように、周期が1/F未満であるマイクロフォントを作成するステップ又は動作を実施することができる。その後、ブロック406に示すように、マイクロテキスト機能によって制限される相関マーク角度Aを定義するステップ又は動作を実施することができる。
【0047】
次に、ブロック408に示すように、可変データ列1、2、及び3を定義するステップ又は動作を実施することができる。その後、ブロック410に示すように、ブロック404のフォントを使用して、角度A、周波数Fで第1の文字列(一例では、テキストボックスに対応する)を書き込むステップ又は動作を実施することができる。次に、ブロック412に示すように、ブロックのフォントを使用して、周波数Fで、角度Aから位相をずらして、又は直交して第2の文字列((一例として)テキストに対応し得る)を書き込むステップ又は動作を実施することができる。
【0048】
ブロック406に示す動作についても標準CRデコーダの角度Aが望ましいが、前述のように、当該角度ではマイクロテキストが劣化する。したがって、0度、90度、180度、又は270度といった選択肢を使用すべきである。あるいは、ここで使用する例では、ユーザスペースを-A度回転させて、マイクロテキストを0度で印刷できるようにする。標準デコーダを使用するためには、このデコーダを手動で-A度回転させることも必要である。
【0049】
ブロック410及び412に示す動作は、2つのマイクロテキスト文字列から相関効果を作り出すことができる。あるいは、ブロック412に示す動作では、第2の文字列が、直交するのではなく、第1の文字列と位相をずらして書き込まれ得る。いくつかの実施形態は、互いに位相をずらすか、又は直交して書き込まれた文字列を用いて実施され得ることに留意されたい。例えば、マイクロテキスト文字列「ABCDE」及び「WXYZ」について検討する。直交実施形態は、以下のとおりである。
直交:
ABCDE
W
X
Y
Z
しかしながら、同一周波数での可変文字列1間の中心での位相ずれ又は配置は、以下のとおりである。
ABCDEABCDE
WXYZWXYZW
ABCDEABCDE
【0050】
図8を参照すると、本明細書に記載の例示的な実施形態の様々な態様を実施するのに好適であり得る印刷システム(又は画像レンダリングシステム)200が示されている。いくつかの実施形態では、印刷システム200は、スキャナによって文書を走査し、プリンタによって文書を印刷するなどのレンダリング動作を実施することができ、文書は、可変データ隠蔽層を有する開示された2層相関マークを含む。
【0051】
本明細書で使用するとき、「スキャナ」という用語は、画像、印刷されたテキスト、手書き、又は物体を光学的に走査し得、それをデジタル画像に変換するデバイス又はシステムである画像スキャナを指し得ることに留意されたい。スキャナの一例は、画像化される文書(例えば、書式)を走査のためにガラス窓上に置くことができるフラットベッドスキャナである。スキャナは、場合によっては、多機能デバイス(multi-function device、MFD)に組み込まれてもよく、多機能デバイスはまた、印刷及び写真複写機能を有してもよい。そのようなスキャナは、例えば、
図8に示す印刷システム200などの印刷システムに組み込まれ得る。例えば、スキャナ229は、印刷システム200の一部として
図9に示されている。あるいは、又はスキャナ229に加えて、ネットワーク260と通信することができる、
図9にも示すスキャナ261及び262が実装され得る。
【0052】
本明細書で使用するとき、「プリンタ」という単語及び「印刷システム」という用語は、任意の装置及び/又はシステム、例えば、デジタル複写機、電子写真及び複写印刷システム、製本機械、ファクシミリ機械、多機能機械、インクジェット機械、連続供給、シート供給印刷デバイスなどを含むことができ、これらは、印刷コントローラ及び印刷エンジンを含み得、任意の目的のために印刷出力機能を行い得る。
【0053】
印刷システム200は、ユーザインターフェース210、デジタルフロントエンド(digital front-end、DFE)220、及び少なくとも1つの印刷エンジン230を含み得る。印刷エンジン230は、印刷ジョブのために様々なサイズ及びコストの印刷媒体235にアクセスすることができる。いくつかの実施形態では、印刷システム200は、複数のカラーマーキング材料を有するカラープリンタとして実装され得る。DFE220はまた、DFEコントローラを含むか、又はDFEコントローラに関連し得ることに留意されたい。他の実施形態では、印刷システム200は、複数のレンダリングデバイスの機能を1つに組み込んだ多機能デバイス(MFD)として実装され得る。MFDは、以下のデバイス、すなわち、プリンタ、スキャナ、写真式複写機、電子メール、ファクシミリなどの一部又は全ての組み合わせとして機能し得る。
【0054】
「印刷ジョブ」又は「文書」は、普通は関連するシートのセットであり、通常、特定のユーザからの元の印刷ジョブシートのセット若しくは電子文書のページ画像から複製された1つ以上の揃えられた複製セット、又はその他の関連するシートのセットである。通常印刷ジョブ(又は顧客ジョブ)の提出のために、デジタルデータが印刷システム200に送信され得る。
【0055】
本明細書で使用する、「デジタルフロントエンド」又は「DFE」という用語は、デジタルファイルを取得し、それを印刷のために準備する印刷プロセスの一部に関する。DFEは、本質的に、コンピュータ又は他のデジタルデバイスと印刷機又は他の出力デバイスとの間の橋渡しである。DFEは、色管理、ラスタ画像処理(raster image processing、RIP)、及び印刷デバイスへのデータ転送など、いくつかの重要タスクを担う。DFEは、デジタルファイルを取得し、それをPDF又はPostScriptファイルなど印刷デバイスと互換性のあるフォーマットに変換する。DFEはまた、ジョブキューイング、ジョブ優先順位付け、及びエラー処理など印刷プロセスを管理する。DFEはまた、可変データ印刷など高度な機能を実行することができ、1回の印刷部数において各個片の個人向け印刷を可能にすることができる。
【0056】
ソータ240は、切断機能を含むハードコピー出力の配置を管理するために、印刷エンジン230によってジョブが印刷された後に動作し得る。ユーザは、ユーザインターフェース210を使用して、又はワークステーション250などのデータ処理システムを介して、印刷システム200にアクセスし、これを操作することができる。ワークステーション250は、通信ネットワーク260を介して印刷システム200と双方向通信し得る。
【0057】
ユーザプロファイル、印刷用の作業成果物、メディアライブラリ、及び様々な印刷ジョブパラメータは、ネットワーク260を介して、ワークステーション250又は印刷システム200によってアクセス可能なデータベース又はメモリ270に記憶され得、若しくはそのようなデータは、印刷システム200を介して直接アクセスされ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のカラーセンサ(図示せず)を、プリンタ230に関連するプリンタ用紙経路に埋め込むことができる。
【0058】
図9に関して、例示的なDFE300がより詳細に示されている。DFE300は、機械実行可能プログラム命令を実行することができるプロセッサ306など1つ以上のプロセッサを含み得る。プロセッサ306は、DFEプロセッサとして機能することができ、いくつかの実施形態では、
図8に示すDFE220として、又はそれと共に使用され得る。また、
図8に示すDFE300は、
図8のDFE220として使用され得る。
【0059】
図示される実施形態では、プロセッサ306は、バス302(例えば、バックプレーンインターフェースバス、クロスオーバーバー、又はデータネットワークなど)で通信することができる。デジタルフロントエンド300はまた、機械可読命令を記憶するのに使用されるメインメモリ304を含み得る。メインメモリ304は、データを記憶することもできる。メインメモリ304は、代替的に、再プログラミング及び柔軟なデータ記憶をサポートするためのランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)を含んでもよい。バッファ366は、プロセッサ306によるアクセスのためにデータを一時的に記憶するのに使用され得る。
【0060】
プログラムメモリ364は、例えば、本明細書に記載される実施形態を実施し得る実行可能プログラムを含み得る。プログラムメモリ364は、バッファに含まれるデータの少なくともサブセットを記憶し得る。デジタルフロントエンド300は、通信バス302から(又は図示されていないフレームバッファから)ディスプレイ310にデータを転送し得るディスプレイインターフェース308を含み得る。デジタルフロントエンド300はまた、例えば、ハードディスクドライブ314及び/又は取り外し可能な記憶ドライブ316を含み得る二次メモリ312を含み得、これらは、コンピュータソフトウェア及び/又はデータを記憶する、フロッピーディスク、磁気テープ、光ディスクなどの取り外し可能な記憶装置318に対して読み取り及び書き込みを行い得る。
図8に示すUI210は、例えば、
図8に示すディスプレイ310を介してグラフィカルユーザインタフェース(graphical user interface、GUI)として表示され得る。
【0061】
二次メモリ312は、代替的に、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータシステムにロードすることを可能にするための他の同様の機構を含んでもよい。このような機構は、例えば、インターフェース320を通じてデータを交換するように適合されている取り外し可能な記憶ユニット322を含み得る。このような機構の例としては、プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェース(ビデオゲームデバイスに見られるものなど)、取り外し可能なメモリチップ(EPROM又はPROMなど)及び関連するソケット、並びにソフトウェア及びデータが転送されることを可能にする、他の取り外し可能なユニット及びインターフェースが挙げられる。
【0062】
DFE300は、入力及び出力として機能して、ソフトウェア及びデータが、DFEと外部デバイスとの間で転送されることを可能にすることができる通信インターフェース324を含み得る。通信インターフェースの例としては、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネットカードなど)、通信ポート、PCMCIAスロット、及びカードなどが挙げられる。
【0063】
コンピュータプログラム(コンピュータ制御論理とも呼ばれる)及び1つ以上のモジュールは、メインメモリ304及び/又は二次メモリ312に記憶されてもよい。コンピュータプログラム又はモジュールはまた、通信インターフェース324を介して受信されてもよい。そのようなコンピュータプログラム又はモジュールは、実行されると、コンピュータシステムが本明細書で提供される特徴及び能力を実行することを可能にする。通信インターフェースを介して転送されたソフトウェア及びデータは、例えば、電子信号、電磁信号、光信号、又は通信インターフェースによって受信されることができる他の信号であり得る信号の形式とすることができる。
【0064】
これらの信号は、信号を搬送する通信経路(すなわち、チャネル)を介して通信インターフェースに提供され得、ワイヤ、ケーブル、光ファイバ、電話線、セルラリンク、RF、又は他の通信チャネルを使用して実施され得る。
【0065】
DFE動作中にアクセスするために二次メモリ312に記憶されるデータの一部は、入来色信号を物理的機械信号に変換し得る変換テーブルのセットであってもよい。
【0066】
この色信号は、測色値、通常、L*a*b*、RGB、XYZなどの3つの構成要素、シアン、マゼンタ、黄、及び黒の4つのトナーのための物理的露光信号へのいずれかとして表現され得る。これらのテーブルは、DFEの外側で作製され、ダウンロードされ得るが、いわゆる特性評価ステップにおいてDFE内に任意選択的に作製されてもよい。二次メモリ312に記憶されたデータの一部はまた、前述の変換テーブルであり得る。
【0067】
データ処理システムのいくつかの態様は、様々なシステム及び方法を参照してここに提示される。これらのシステム及び方法は、以下の詳細な説明に記載され、添付の図面に様々なブロック、モジュール、構成要素、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(集合的に「要素」と称され得る)によって示され得る。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はこれらの任意の組み合わせを使用して実装され得る。そのような要素がハードウェア又はソフトウェアとして実装されるか否かは、システム全体に課される特定のアプリケーション及び設計上の制約に依存する。
【0068】
例として、要素、又は要素の任意の部分、又は要素の任意の組み合わせは、1つ以上のプロセッサを含む「処理システム」と共に実装されてもよい。プロセッサの例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processors、DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate arrays、FPGA)、プログラマブル論理装置(programmable logic devices、PLD)、状態機械、ゲーテッド論理、離散的なハードウェア回路、及びこの開示全体で説明されている様々な機能を実行するように構成された他の好適なハードウェアが挙げられる。処理システム内の1つ以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語などと称されるか否かに関わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実施ファイル、実施スレッド、手順、機能などを意味すると広く解釈されるものとする。モバイル「アプリ」は、そのようなソフトウェアの一例である。
【0069】
したがって、1つ以上の例示的な実施形態では、説明されている機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令又はコードに記憶されるか、又はそれらとして符号化されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。
【0070】
開示された例示的な実施形態は、本発明の実施形態による方法、システム、並びにコンピュータプログラム製品及びデータ構造のフローチャート図及び/又はブロック図及び/又は概略図を参照して、本明細書に少なくとも部分的に記載される。図の各ブロック、及びブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装され得ることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は機械を製造するための他のプログラマブルデータ処理機器のプロセッサに提供されてもよく、その結果、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理機器を介して実行する命令は、ブロック(単数又は複数)で指定された機能/行為を実装する手段を作成する。
【0071】
明確にするために、開示された実施形態は、例えば、専用コンピュータ又は汎用コンピュータ、あるいは他のプログラマブルデータ処理機器又はシステムの文脈で実装され得る。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、データ処理機器又はシステムは、専用コンピュータと汎用コンピュータとの組み合わせとして実装され得る。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに実施形態の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(又は媒体)を含んでもよい。
【0072】
前述のコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を特定の様式で機能させるために指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、その結果、コンピュータ可読メモリに記憶された命令(例えば、ステップ/動作)は、様々なブロック(単数又は複数)、フロー図、並びに本明細書で図示及び説明されている他のアーキテクチャで指定された機能/行為を実装する命令手段を含む製品を製造する。
【0073】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行する命令がブロック(複数可)に指定された機能/動作を実装するための工程を提供するように、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされて、コンピュータ実装プロセスを生成するための一連の動作工程をコンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行させ得る。
【0074】
図のフローチャート及びブロック図は、様々な実施形態(例えば、優先される又は代替的な実施形態)によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。この点に関して、本明細書に図示及び説明されているフロー図又はブロック図中のそれぞれのブロックは、指定された論理的機能を実施するための1つ以上の実行可能命令を含み得る、モジュール、セグメント、又は命令/ステップの一部を表し得る。
【0075】
いくつかの代替的な実装態様では、ブロック内に記載された機能は、図中に記された順序とは異なる順序で実行されてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実施されてもよく、又はブロックは、関与する機能性に応じて逆順序で実施されてもよい。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能又は行為を実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを遂行することができることに留意されたい。
【0076】
本明細書で説明される機能性は、完全かつ非抽象的に、物理的ハードウェアとして、完全に物理的な非抽象的ソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)として、又は本明細書で「回路」、「モジュール」、「エンジン」、「コンポーネント」、「ブロック」、「データベース」、「エージェント」、若しくは「システム」と称される場合がある非抽象的ソフトウェアの実装及びハードウェアの実装を組み合わせて実装され得る。更に、本開示の態様は、コンピュータ可読及び/又は実行可能プログラムコードが具現化された1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。
【0077】
以下の論述は、システム及び方法が実装され得る好適なコンピューティング環境の簡単な一般的説明を提供することを意図する。必須ではないが、開示される実施形態は、単一のコンピュータによって実行される、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令との一般的な関わりにおいて記載される。多くの場合、「モジュール」(「エンジン」とも称される)は、ソフトウェアアプリケーションを構成し得るが、ソフトウェア及びハードウェアの両方(すなわち、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ)としても実装され得る。
【0078】
一般に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するか、又は特定のデータ型及び命令を実装するルーチン、サブルーチン、ソフトウェアアプリケーション、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などが挙げられるが、これらに限定されない。更に、当業者であれば、開示された方法及びシステムは、例えば、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、データネットワーク、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な民生用電子機器、ネットワーク化PC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、サーバーなどの他のコンピュータシステム構成を用いて実施されてもよいことを理解するであろう。
【0079】
本明細書で使用するとき、用語「モジュール」は、特定のタスクを実行するか、又は特定のデータ型を実装するルーチン及びデータ構造の集合を指し得ることに留意されたい。モジュールは、他のモジュール又はルーチンによってアクセスされ得る定数、データ型、変数、及びルーチンをリストするインターフェースと、典型的にプライベート(例えば、そのモジュールにのみアクセス可能)であり得、モジュール内にルーチンを実際に実装するソースコードを含む実装との2つの部分で構成されてもよい。用語モジュールはまた、単純に、ワードプロセッシング、会計、在庫管理などの特定のタスクの実行を支援するように設計されたコンピュータプログラムなどのアプリケーションを指す場合がある。
【0080】
いくつかの例示的な実施形態では、「モジュール」という用語はまた、モジュール式ハードウェア構成要素、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせである構成要素を指し得る。本明細書に記載の手法によるそのようなモジュールの実装及び処理は、例えば、
図8に示す印刷システム200及び/又は
図9に示すDFE300などデータ処理システムにおける処理速度並びにエネルギー節約及び効率の改善をもたらし得ることを理解されたい。「モジュール」は、例えば、
図7の方法400のステップ、動作、又は命令など、本明細書に記載のステップ又は動作など、本明細書に記載の様々なステップ、動作、又は命令を実行することができる。
【0081】
例えば、
図7に示す方法400は、例えば、DFE220によって実行され得るモジュールを含むコンピュータプログラム製品において部分的に実施され得る。コンピュータプログラム製品は、ディスク、ハードドライブなど制御プログラムが記録(記憶)され得る非一時的コンピュータ可読記録媒体を含み得る。本明細書で使用するとき、「記録媒体」という用語は、そのような非一時的コンピュータ可読記録媒体に関し得ることに留意されたい。
【0082】
非一時的コンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、若しくは任意の他の磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD、若しくは任意の他の光媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、又は他のメモリチップ若しくはカートリッジ、又は内部からコンピュータが読み出すことができ、かつ使用することができる任意の他の有形媒体が挙げられる。コンピュータプログラム製品は、DFE220と一体であり得(例えば、RAMの内部ハードドライブ)、又は別個であり得(例えば、プリンタと動作可能に接続された外部ハードドライブ)、又は、別個であり、かつローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)若しくはインターネットなどのデジタルデータネットワークを介して(例えば、
図8に示すネットワーク260などデジタルネットワークを介して、DFE220によって間接的にアクセスされ得る、Redundant Array of Inexpensive/Independent disks(RAID)又は他のネットワークサーバ記憶装置として)アクセスされ得る。
【0083】
開示されたプロセス又は方法におけるステップ、動作、又は命令の特定の順序又は階層は、例示的な手法の一例であることを理解されたい。例えば、本明細書で論じられる様々なステップ、動作、又は命令は、異なる順序で実行され得る。設計の好みに基づいて、本明細書で論じられ、例示されるプロセス又は方法におけるそのようなステップ、動作、又は命令の特定の順序又は階層は、並べ替えられ得ることを理解されたい。添付の「特許請求の範囲」は例えば、様々なステップ、動作、又は命令の要素をサンプル順序で提示しており、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意図していない。
【0084】
本発明者らは、このようなコンピュータ技術における効率を改善することによってコンピュータ技術を改善するために、技術的問題に対する非抽象的な技術的解決策を実現した。開示された実施形態は、データ処理システムなどのコンピュータ技術に対する技術的な改善を提供し、更に、本開示の「背景技術」の節において特定された技術的問題に対する技術的解決策を介して、コンピュータ技術に対する非抽象的な改善を提供する。そのような改善は、実施形態の実装からもたらされ得る。特許請求される解決策は、コンピュータ、コンピュータネットワーク、並びに印刷及び走査の分野で特に生じる問題を克服するために、コンピュータ技術を根源とすることができる。特許請求される解決策はまた、セキュリティデバイス(例えば、透かし)がレンダリングされ得る印刷媒体(例えば、紙)などの非抽象的特徴を含むセキュリティデバイスなどの非抽象的デバイスを含み得る。
【0085】
上記に基づいて、好ましい実施形態及び代替的な実施形態を含むいくつかの実施形態が開示されていることが理解され得る。例えば、一実施形態では、セキュリティマークをレンダリングする方法は、第1の可変層及び第2の可変層を含むセキュリティマーク用データテキストの2つの可変層を設けるステップと、2つの可変層を使用してセキュリティマークを記録媒体に付与して、第3の可変層を作成するステップと、を含み得、第2の可変層は、同一周波数で第1の可変層から位相をずらすか、又は直交して付与され、これにより、復号可能なデータテキストを有する第3の可変層を形成する。
【0086】
一実施形態では、データテキストを有する第3の可変層は、復号画面を用いて復号することができる。
【0087】
一実施形態では、第1の可変層、第2の可変層、及び第3の可変層は、同一領域を共有し得る。
【0088】
一実施形態では、セキュリティマークは相関マークを含み得る。
【0089】
一実施形態では、セキュリティマークは透かしを含み得る。
【0090】
一実施形態では、データテキストは可変データテキストを含み得る。
【0091】
一実施形態では、可変データテキストは、マイクロテキストを含み得る。
【0092】
一実施形態では、セキュリティマークをレンダリングする方法は、以下のステップ、すなわち、a)セキュリティマークを周波数で定義するステップと、b)周期が周波数の数分の1未満であるマイクロフォントを作成するステップと、c)マイクロフォントによって制限される角度でセキュリティマークを定義するステップと、d)第1の可変データ列、第2の可変データ列、及び第3の可変データ列を定義するステップと、e)マイクロフォントを使用して、当該角度及び当該周波数で第1の可変データ列を書き込むステップと、f)マイクロフォントを使用して、当該角度から位相をずらすか、又は直交し、当該周波数で第2の可変データ列を書き込むステップと、を含み得る。
【0093】
一実施形態では、実施した、前述のステップa)~f)の結果として、第3の可変データ列は、復号画面なしでは復号できない場合がある。
【0094】
一実施形態では、セキュリティ装置は、第1の可変層及び第2の可変層を含むデータテキストの2つの可変層と、セキュリティマークの第3の可変層と、を含み得、セキュリティマークは、2つの可変層を使用して記録媒体に付与されて、セキュリティマークの第3の可変層を作成し、第2の可変層は、同一周波数で第1の可変層から位相をずらすか、又は直交して付与され、これにより、復号可能なデータテキストを有する第3の可変層を形成する。
【0095】
上に開示された特徴及び機能、並びに他の特徴及び機能、又はそれらの代替物の変形は、望ましくは多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。現在予期されない又は予想されない様々な代替物、修正、変形、又は改善は、後に当業者によって行われてもよく、また、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図することも理解されるであろう。
【外国語明細書】