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特開2024-166112ふろ装置、ふろシステムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166112
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ふろ装置、ふろシステムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20241121BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/258 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/254 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/262 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/273 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/457 20220101ALI20241121BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20241121BHJP
   A61H 33/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F24H15/196 301Y
F24H15/196 301P
F24H15/281
F24H15/215
F24H15/258
F24H15/254
F24H15/262
F24H15/273
F24H15/269
F24H15/395
F24H15/355
F24H15/457
F24H15/414
A61H33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076981
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2023082041
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】古賀 弘子
(72)【発明者】
【氏名】高野 秀弘
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勲
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 千菜津
【テーマコード(参考)】
3L024
4C094
【Fターム(参考)】
3L024CC17
3L024GG02
3L024GG03
3L024GG42
4C094AA01
4C094DD12
4C094FF02
4C094FF17
4C094GG03
4C094GG12
(57)【要約】
【課題】暑熱馴化のための浴槽浴を使用者に適正に促すことにより、熱中症のリスクを低減することが可能なふろ装置、ふろシステムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】給湯装置10(ふろ装置)は、湯張り機能実行時の湯温(湯張り温度)を設定するための浴室リモコン12および台所リモコン13(温度設定部)と、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断する馴化時期判断部133aと、馴化時期判断部133aにより暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が到来したと判断されたことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う報知処理部123a、133bと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断する馴化時期判断部と、
前記馴化時期判断部により前記時期が到来したと判断されたことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う報知処理部と、を備える、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のふろ装置において、
前記時期の指標とされる暑熱馴化指標情報を記憶する記憶部を備え、
前記馴化時期判断部は、前記暑熱馴化指標情報に基づいて、前記時期が到来したか否かを判断する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のふろ装置において、
前記暑熱馴化指標情報は、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべきカレンダ上の日または連続する日からなる期間であり、
前記馴化時期判断部は、前記判断の当日が前記暑熱馴化指標情報中の日または期間に該当する場合に、前記時期が到来したと判断する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項4】
請求項2に記載のふろ装置において、
前記記憶部は、地域ごとに前記暑熱馴化指標情報を記憶し、
前記馴化時期判断部は、当該ふろ装置が設置された地域の設定を受け付け、受け付けた地域に対応する前記暑熱馴化指標情報を参照して、前記時期の到来を判断する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のふろ装置において、
前記暑熱馴化指標情報は、予め、前記記憶部に記憶されている、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項6】
請求項2に記載のふろ装置において、
外部通信網を介してサーバと通信を行うための通信部を備え、
前記暑熱馴化指標情報は、前記通信部を介して前記サーバから取得して前記記憶部に記憶される、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のふろ装置において、
前記暑熱馴化指標情報は、暑熱馴化前線に関する情報、地域ごとの最高気温に関する予測情報、地域ごとの梅雨の入り明けに関する予測情報、および昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のふろ装置において、
浴室の室温を検出するための室温センサを備え、
前記馴化時期判断部は、前記地域ごとの最高気温に関する予測情報または前記昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報を用いて前記時期の到来の判断処理を行う場合に、前記予測情報または前記統計情報に含まれる所定の日の前記最高気温と、前記所定の日と同日に前記室温センサにより検出された前記室温の最高温度との差分に基づいて、前記判断処理を補正する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のふろ装置において、
外気温に連動する温度を検出するための温度センサを備え、
前記馴化時期判断部は、前記温度センサにより検出された温度が所定の閾値以上となったことに基づいて、前記時期の到来を判断する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項10】
請求項1に記載のふろ装置において、
前記温度センサは、浴室の室温を検出するための室温センサ、または、湯張り用の湯水を生成する給湯器に入水する水の温度を検出するための温度センサである、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項11】
請求項1に記載のふろ装置において、
湯張り機能実行時の湯温を設定するための温度設定部を備え、
前記馴化時期判断部により前記時期が到来したと判断されたことに基づいて、前記温度設定部により設定された前記湯温を、暑熱馴化のための湯温に変更する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項12】
請求項1に記載のふろ装置において、
前記報知処理部は、前記暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知とともに、水分補給を行った後に浴槽浴を行うことの報知をさらに行う、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項13】
請求項12に記載のふろ装置において、
操作入力を受け付ける入力部を備え、
前記報知処理部は、前記入力部が湯張り機能の実行操作を受け付けたことにより、前記水分補給に関する前記報知を行う、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか一項に記載のふろ装置において、
汗のかきやすさに関する使用者の習慣を設定する習慣設定部をさらに備え、
前記馴化時期判断部は、前記習慣設定部により設定された前記習慣に基づいて前記時期を補正する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項15】
請求項14に記載のふろ装置において、
前記報知処理部は、前記暑熱馴化のための浴槽浴の時間をさらに報知し、前記浴槽浴の時間を、前記習慣設定部により設定された前記使用者の習慣に基づき補正する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項16】
請求項14に記載のふろ装置において、
前記習慣設定部は、前記使用者からの入力を受け付ける入力部を介して、当該使用者の前記習慣を取得する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項17】
請求項14に記載のふろ装置において、
前記使用者が浴槽に浸かったことを検知する入浴検知部をさらに備え、
前記使用者の習慣は、当該使用者の入浴習慣を含み、
前記習慣設定部は、前記使用者からの入力を受け付ける入力部を介して、前記使用者が入浴することの入浴開始情報を取得し、取得した前記入浴開始情報と、前記入浴検知部の検知情報とに基づいて、当該使用者の前記入浴習慣を推測する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項18】
外部通信網に接続されたサーバと、前記外部通信網を介して前記サーバと接続可能なふろ装置と、を備えたふろシステムであって、
暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断する馴化時期判断部と、
前記馴化時期判断部により前記時期が到来したと判断されたことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う報知処理部と、を備える、
ことを特徴とするふろシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のふろシステムにおいて、
前記サーバは、前記時期の指標とされる暑熱馴化指標情報を、前記外部通信網を介して他のサーバから取得し、
前記馴化時期判断部は、前記暑熱馴化指標情報に基づいて、前記時期が到来したか否かを判断する、
ことを特徴とするふろシステム。
【請求項20】
外部通信網を介してサーバと通信可能な端末装置の制御部に、
暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の指標とされる暑熱馴化指標情報を前記サーバから取得する機能と、
前記暑熱馴化指標情報に基づいて前記時期が到来したか否かを判断する機能と、
前記時期が到来したと判断したことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う機能と、実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のふろ機能を実行するふろ装置およびふろシステム、並びに、端末装置の制御部に所定の機能を実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
毎年、5~9月には、外気温の上昇による熱中症患者が増加する。この時期の熱中症による救急搬送状況は、毎年約5万人にのぼる。熱中症の原因の一つとして、暑熱馴化、すなわち、身体が暑さになれることができていないことが挙げられる。特に、初夏の段階では、暑熱馴化ができておらず、身体から熱が逃げにくい状態であるため、熱中症になるリスクが高くなる。
【0003】
以下の特許文献1には、水位センサの出力から浴槽内に入浴者がいるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、風呂リモコンの表示内容を変更する風呂給湯装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-107767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
暑熱馴化の有効的な手段として、浴槽浴が挙げられる。浴槽浴により身体を暖めて汗をかくことで、身体を暑さに慣れさせることができる。しかし、その一方で、使用者は、暑熱馴化を始めるべき時期を適正に把握することができない。このため、使用者は、熱中症対策として浴槽浴を適切に行うことができない。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、暑熱馴化のための浴槽浴を使用者に適正に促すことにより、熱中症のリスクを低減することが可能なふろ装置、ふろシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、ふろ装置に関する。この態様に係るふろ装置は、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断する馴化時期判断部と、前記馴化時期判断部により前記時期が到来したと判断されたことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う報知処理部と、を備える。
【0008】
本態様に係るふろ装置によれば、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が到来すると、使用者に対し、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知が行われる。これにより、使用者は、暑熱馴化のための浴槽浴を適切な時期に行うことができ、熱中症のリスクを低減することができる。
【0009】
本態様に係るふろ装置は、前記時期の指標とされる暑熱馴化指標情報を記憶する記憶部を備え、前記馴化時期判断部は、前記暑熱馴化指標情報に基づいて、前記時期が到来したか否かを判断するよう構成され得る。
【0010】
この構成によれば、記憶部に記憶された暑熱馴化指標情報に基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を円滑に判断できる。
【0011】
この構成において、前記暑熱馴化指標情報は、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべきカレンダ上の日または連続する日からなる期間であり、前記馴化時期判断部は、前記判断の当日が前記暑熱馴化指標情報中の日または期間に該当する場合に、前記時期が到来したと判断するよう構成され得る。
【0012】
この構成によれば、判断の当日が暑熱馴化指標情報中の日または期間に該当するか否かによって、その日が暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき日であるか否かを円滑に判断できる。
【0013】
これらの構成において、前記記憶部は、地域ごとに前記暑熱馴化指標情報を記憶し、前記馴化時期判断部は、当該ふろ装置が設置された地域の設定を受け付け、受け付けた地域に対応する前記暑熱馴化指標情報を参照して、前記時期の到来を判断するよう構成され得る。
【0014】
この構成によれば、地域ごとに設定された暑熱馴化指標情報のうち、ふろ装置が設置された地域の暑熱馴化指標情報に基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来が判断されるため、より正確にこの時期の到来を判断できる。よって、使用者は、暑熱馴化のための浴槽浴をより適切な時期に行うことができ、熱中症のリスクを確実に低減できる。
【0015】
これらの構成において、前記暑熱馴化指標情報は、予め、前記記憶部に記憶され得る。
【0016】
この構成によれば、暑熱馴化指標情報を別途取得する必要がないため、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来の判断を、簡易な処理により行い得る。
【0017】
あるいは、ふろ装置は、外部通信網を介してサーバと通信を行うための通信部を備え、前記暑熱馴化指標情報は、前記通信部を介して前記サーバから取得して前記記憶部に記憶されるよう構成され得る。
【0018】
この構成によれば、気象条件に応じて変動し得る暑熱馴化指標情報をサーバから取得して、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来の判断に用い得る。よって、この時期の到来を正確に判断でき、暑熱馴化のための浴槽浴をより適切な時期に行うことができる。
【0019】
この場合、前記暑熱馴化指標情報は、暑熱馴化前線に関する情報、地域ごとの最高気温に関する予測情報、地域ごとの梅雨の入り明けに関する予測情報、および昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報の少なくとも一つを含み得る。
【0020】
これらの情報を用いることにより、暑熱馴化を行うべき時期を的確に判断でき、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知を適正に行うことができる。よって、熱中症のリスクを確実に低減できる。
【0021】
この構成において、ふろ装置は、浴室の室温を検出するための室温センサを備え、前記馴化時期判断部は、前記地域ごとの最高気温に関する予測情報または前記昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報を用いて前記時期の到来の判断処理を行う場合に、前記予測情報または前記統計情報に含まれる所定の日の前記最高気温と、前記所定の日と同日に前記室温センサにより検出された前記室温の最高温度との差分に基づいて、前記判断処理を補正するよう構成され得る。
【0022】
この構成によれば、暑熱馴化の時期の到来の判断処理を、その年の気象傾向に応じたものに補正できる。よって、暑熱馴化の時期をより正確に設定でき、浴槽浴による熱中症の予防をより適正に実行できる。
【0023】
本態様に係るふろ装置は、外気温に連動する温度を検出するための温度センサを備え、前記馴化時期判断部は、前記温度センサにより検出された温度が所定の閾値以上となったことに基づいて、前記時期の到来を判断するよう構成され得る。
【0024】
この構成によれば、温度センサの検出結果に基づき簡易に、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断できる。
【0025】
この場合、前記温度センサは、浴室の室温を検出するための室温センサ、または、湯張り用の湯水を生成する給湯器に入水する水の温度を検出するための温度センサとされ得る。
【0026】
この構成によれば、外気温に連動する温度を簡易に取得できる。
【0027】
本態様に係るふろ装置は、湯張り機能実行時の湯温を設定するための温度設定部を備え、前記馴化時期判断部により前記時期が到来したと判断されたことに基づいて、前記温度設定部により設定された前記湯温を、暑熱馴化のための湯温に変更するよう構成され得る。
【0028】
この構成によれば、別途、使用者が湯張りの温度設定を変更せずとも、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来に応じて、自動で、湯張りの温度が、暑熱馴化に適する湯温に変更される。よって、使用者の利便性を高めつつ、熱中症のリスクを確実に低減できる。
【0029】
本態様に係るふろ装置において、前記報知処理部は、前記暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知とともに、水分補給を行った後に浴槽浴を行うことの報知をさらに行うよう構成され得る。
【0030】
これにより、使用者は、水分補給により浴槽浴の際に汗をかきやすくなり、汗をかいても脱水状態になりにくい。よって、暑熱馴化のための浴槽浴を効果的かつ適切に進めることができる。
【0031】
この場合、ふろ装置は、操作入力を受け付ける入力部を備え、前記報知処理部は、前記入力部が湯張り機能の実行操作を受け付けたことにより、前記水分補給に関する前記報知を行うよう構成され得る。
【0032】
入浴前に水分補給を行う場合、浴槽浴を開始する20~30分前辺りで水分補給を行うことが好ましい。他方、浴槽に対する湯張りには、通常、10~15分程度かかる。このため、上記のように、使用者が入浴のために湯張り機能の実行操作を行ったタイミングで水分補給に関する報知が行われると、この報知に応じて使用者が水分補給を行った場合に、使用者は、その水分補給から20~30分後あたりで浴槽浴を行うことになる。よって、使用者は、浴槽浴前の水分補給を適切に行うことができる。
【0033】
本態様に係るふろ装置は、汗のかきやすさに関する使用者の習慣を設定する習慣設定部をさらに備え、前記馴化時期判断部は、前記習慣設定部により設定された前記習慣に基づいて前記時期を補正するよう構成され得る。
【0034】
この構成によれば、汗のかきやすさに関する使用者の習慣に基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が補正されるため、使用者ごとに適正な時期に、暑熱馴化のための浴槽浴を進めることができる。
【0035】
この構成において、前記報知処理部は、前記暑熱馴化のための浴槽浴の時間をさらに報知し、前記浴槽浴の時間を、前記習慣設定部により設定された前記使用者の習慣に基づき補正する。
【0036】
この構成によれば、使用者は、自身の汗のかきやすさに関する習慣に適する浴槽浴の時間で、暑熱馴化のための浴槽浴を行うことができる。
【0037】
また、前記習慣設定部は、前記使用者からの入力を受け付ける入力部を介して、当該使用者の前記習慣を取得するよう構成され得る。
【0038】
この構成によれば、汗のかきやすさに関する使用者の習慣を使用者自身からの入浴により円滑に取得できる。
【0039】
上記構成において、ふろ装置は、前記使用者が浴槽に浸かったことを検知する入浴検知部をさらに備え、前記使用者の習慣は、当該使用者の入浴習慣を含み、前記習慣設定部は、前記使用者からの入力を受け付ける入力部を介して、前記使用者が入浴することの入浴開始情報を取得し、取得した前記入浴開始情報と、前記入浴検知部の検知情報とに基づいて、当該使用者の前記入浴習慣を推測するよう構成され得る。
【0040】
この構成によれば、使用者が入浴時に浴槽浴を行ったか否かがふろ装置側で判定されて、当該使用者の入浴習慣が決定されるため、別途、使用者から、入浴習慣の設定のための入力を受け付ける必要がなく、また、使用者の実際の浴槽浴の状況に基づいて入浴習慣が推測されるため、使用者の入浴習慣を適正に設定できる。
【0041】
本発明の第2の態様は、外部通信網に接続されたサーバと、前記外部通信網を介して前記サーバと接続可能なふろ装置と、を備えたふろシステムに関する、この態様に係るふろシステムは、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断する馴化時期判断部と、前記馴化時期判断部により前記時期が到来したと判断されたことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う報知処理部と、を備える。
【0042】
本態様に係るふろシステムによれば、上記第1の態様に係るふろ装置と同様の効果が奏され得る。
【0043】
本態様に係るふろシステムにおいて、前記サーバは、前記時期の指標とされる暑熱馴化指標情報を、前記外部通信網を介して他のサーバから取得し、前記馴化時期判断部は、前記暑熱馴化指標情報に基づいて、前記時期が到来したか否かを判断するよう構成され得る。
【0044】
この構成によれば、本システムのサーバが、気象条件に応じて変動し得る暑熱馴化指標情報を他のサーバから適宜取得でき、取得した暑熱馴化指標情報を、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来の判断に用い得る。よって、この時期の到来を正確に判断でき、暑熱馴化のための浴槽浴をより適切な時期に行うことができる。
【0045】
本発明の第3の態様は、外部通信網を介してサーバと通信可能な端末装置の制御部に、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の指標とされる暑熱馴化指標情報を前記サーバから取得する機能と、前記暑熱馴化指標情報に基づいて前記時期が到来したか否かを判断する機能と、前記時期が到来したと判断したことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う機能と、実行させるプログラムである。
【0046】
本態様に係るふろシステムによれば、上記第1の態様に係るふろ装置と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0047】
以上のとおり、本発明によれば、暑熱馴化のための浴槽浴を使用者に適正に促すことにより、熱中症のリスクを低減することが可能なふろ装置、ふろシステムおよびプログラムを提供できる。
【0048】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、実施形態1に係る、給湯装置の構成を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る、給湯装置を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る、給湯器の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
図4図4(a)は、実施形態1に係る、台所リモコンの制御部によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。図4(b)は、実施形態1に係る、浴室リモコンの制御部によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
図5図5(a)、(b)は、実施形態1に係る、浴室リモコンおよび台所リモコンにおいて実行される報知動作を示す図である。
図6図6(a)は、実施形態1の変更例1に係る、地域情報の受付処理を示すフローチャートである。図6(b)は、実施形態1の変更例1に係る、台所リモコンの制御部によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態1の変更例2に係る、暑熱馴化のための浴槽浴の報知を解除する処理を示すフローチャートである。
図8図8(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1の変更例3、4に係る、台所リモコンの制御部によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態2に係る、給湯システムの構成を示す図である。
図10図10は、実施形態2に係る、給湯装置を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図11図11は、実施形態2の変更例3に係る、室温センサからの室温に基づいて暑熱馴化の時期を補正する処理を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態2の変更例4に係る、台所リモコンの制御部によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態2の変更例5に係る、携帯端末装置において行われる報知動作を示す図である。
図14図14は、実施形態2の変更例6に係る、給湯装置を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図15図15(a)、(b)は、実施形態2の変更例6に係る、汗のかきやすさに関する習慣の入力を受け付けるための受付画面の一例を示す図である。
図16図16は、実施形態2の変更例6に係る、汗のかきやすさのタイプの決定方法を示す図である。
図17図17は、実施形態2の変更例6に係る、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の補正方法を示す図である。
図18図18は、実施形態2の変更例6に係る、暑熱馴化のための浴槽浴の負荷の他の補正方法を示す図である。
図19図19(a)、(b)は、実施形態2の変更例6に係る、携帯端末装置の表示入力部に表示されるアプリケーションプログラムのホーム画面を示す図である。
図20図20は、実施形態2の変更例6に係る、台所リモコンにより入浴開始を受け付けるための受付画面の一例を示す図である。
図21図21は、他の変更例に係る、報知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0051】
<実施形態1>
以下の実施形態では、給湯装置10が、特許請求の範囲に記載の「ふろ装置」に対応し、リモートコントローラ12、13が、特許請求の範囲に記載の「温度設定部」に対応する。以下の実施形態では、給湯装置10が、ふろ関連機能とともに、台所の蛇口や、浴室のカラン等に対する給湯機能も実行する。
【0052】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0053】
図1は、給湯装置10の構成を示す図である。
【0054】
給湯装置10は、ふろ装置として、ふろ自動機能、追い焚き機能、足し湯機能、足し水機能などのふろ機能を実行する。
【0055】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯水を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯水は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯水が供給される。
【0056】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度、湯張り温度等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張りや湯張り温度等の設定を行える。
【0057】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0058】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0059】
浴室リモコン12の入力部122には、運転ボタン122aが含まれている。運転ボタン122a、132は、給湯器11を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。
【0060】
さらに、入力部122および表示入力部131には、給湯温度や湯張り温度を変更するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンを操作することにより、給湯や湯張りの設定温度を変更することができる。この他、入力部122および表示入力部131には、ふろ自動機能や、追い焚き機能、足し湯機能、足し水機能等を実行するためのボタン等、給湯器11の動作を制御するためのボタンが含まれている。
【0061】
図2は、給湯装置10を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0062】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、検出部114と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0063】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。
【0064】
検出部114は、給湯器11に配置された各種センサを含んでいる。たとえば、検出部114は、給湯される湯水の温度や給湯器11に入水される水の温度を検出するための温度センサ、湯水の供給を検出するための流量センサ等を含んでいる。
【0065】
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、スピーカ126と、室温センサ127と、焦電センサ128と、を備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
【0066】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0067】
通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。スピーカ126は、制御部123により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部123は、記憶部124に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ126から出力された音声は、図1の音声窓12aから出力される。
【0068】
室温センサ127は、浴室3内の温度(室温)を検出し、検出した室温を制御部123に出力する。検出された室温は、随時、制御部123から給湯器11および台所リモコン13に送信される。
【0069】
焦電センサ128は、浴槽2が設置された浴室3内(図3参照)における人の動き検知する。焦電センサ128の検知範囲は、浴槽2および洗い場の両方を含む。焦電センサ128は、検出信号を制御部123に出力する。制御部123は、入力された検出信号に基づいて、浴室3に対する人の出入りや浴室3内における人の動きを検出する。制御部123は、これらの検出結果を、随時、給湯器11および台所リモコン13に送信する。
【0070】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、スピーカ136とを備える。制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0071】
通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。スピーカ136は、制御部133により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部133は、記憶部134に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ136から出力された音声は、図1の音声窓13aから出力される。
【0072】
本実施形態では、熱中症予防のための浴槽浴(暑熱馴化)を行うべき時期を使用者に報知するための機能が、給湯装置10に装備されている。この機能を実現するために、台所リモコン13の制御部133には、記憶部134に記憶されたプログラムによって、馴化時期判断部133aおよび報知処理部133bの機能が付与され、浴室リモコン12の制御部123には、記憶部124に記憶されたプログラムによって、報知処理部123aの機能が付与されている。また、台所リモコン13の記憶部134には、暑熱馴化指標情報134aが予め記憶されている。
【0073】
馴化時期判断部133aは、暑熱馴化指標情報134aに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断する。報知処理部123a、133bは、馴化時期判断部133aによりこの時期が到来したと判断されたことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う。暑熱馴化指標情報134aは、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の指標とされる情報である。
【0074】
本実施形態では、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべきカレンダ上の日または連続する日からなる期間が、暑熱馴化指標情報134aとして記憶部134に記憶されている。
【0075】
熱中症は、暑熱馴化ができていない時期に気温が上昇することによって起こりやすい。このような時期として、たとえば、「5月の暑い日」、「梅雨明けの時期」、「梅雨期間中の晴れの日」、および「お盆明けの時期」が挙げられる。
【0076】
たとえば、5月には、最高気温が25度以上となる夏日や、最高気温が30度以上となる真夏日が出現し得る。人は、このような日が生じても、まだ暑さに慣れていないため、屋外で活動すると熱中症になりやすい。
【0077】
また、梅雨明け後は、晴れて気温が高くなる日が続くことが多くある。このため、人は、梅雨の間に暑熱馴化ができていない場合、梅雨明け後に熱中症になりやすい。同様に、梅雨の期間中に晴れ間が生じると、急に気温が上昇する。これに対し、梅雨の期間は比較的気温が低いため、それまでに体がある程度暑熱馴化していたとしても、この期間に暑熱馴化が元に戻ってしまう場合がある。このため、人は、梅雨の期間に晴れ間が生じて急に気温が上昇すると、熱中症になりやすい。
【0078】
また、お盆は、通常、長期の休みがあるため、この休みの期間に体が暑熱馴化した状態から元に戻ってしまう場合がある。このため、人は、お盆明けの時期に屋外で活動すると熱中症になりやすい。
【0079】
本実施形態では、このような観点のもと、過去の気象データから、人が熱中症にないやすい時期が推定される。
【0080】
たとえば、熱中症の要因が上述の「5月の暑い日」である場合、過去数年間(たとえば5年間)の5月の気象データから、日ごとに最高気温の全国平均値が算出され、この平均値が所定の閾値を超えた日が、熱中症が生じる可能性のある日に設定される。ここで、閾値は、その時期に外気温がその温度を超えると熱中症が生じやすいと想定される温度(たとえば25度)に設定される。これらの熱中症が生じる可能性のある日から所定日数(たとえば、2週間)だけ前の日が、暑熱馴化のための浴槽浴を開始する日に設定される。暑熱馴化指標情報134aには、この浴槽浴を開始する日から上記所定日数(たとえば、2週間)の間の期間が登録される。
【0081】
また、熱中症の要因が上述の「梅雨明け後」である場合、過去数年間(たとえば5年間)の気象データから、全国において平均的な梅雨明けの日が取得され、その日から所定日数(たとえば、2週間前)だけ前の日が、暑熱馴化のための浴槽浴を開始する日に設定される。暑熱馴化指標情報134aには、この浴槽浴を開始する日から上記所定日数(たとえば、2週間)の間の期間が登録される。
【0082】
また、熱中症の要因が上述の「梅雨期間中の晴れの日」である場合、過去数年間(たとえば5年間)の気象データから、全国において平均的な梅雨の期間(梅雨入りの日から梅雨明けの日までの期間)が取得される。そして、この平均的な梅雨の期間のうち、全国的に晴れになる可能性が高い日(晴れである頻度が所定の閾値以上である日)が過去数年間(たとえば5年間)の気象データから取得され、その日から所定日数(たとえば、2週間前)だけ前の日が、暑熱馴化のための浴槽浴を開始する日に設定される。暑熱馴化指標情報134aには、この浴槽浴を開始する日から上記所定日数(たとえば、2週間)の間の期間が登録される。
【0083】
また、熱中症の要因が上述の「お盆明けの時期」である場合、お盆休み明けの日の振り幅を含み得る平均的な期間(たとえば、8月15~20日)に含まれる日から所定日数(たとえば、2週間前)だけ前の日が、暑熱馴化のための浴槽浴を開始する日に設定される。暑熱馴化指標情報134aには、この浴槽浴を開始する日から上記所定日数(たとえば、2週間)の間の期間が登録される。
【0084】
上記のように、本実施形態では、給湯装置10の出荷前に、全国共通の暑熱馴化指標情報134aが予め記憶部134に記憶される。馴化時期判断部133aは、判断の当日が、暑熱馴化指標情報134aに登録された上記期間の各日に該当することに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断する。
【0085】
図3は、給湯器11の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
【0086】
図3に示すように、給湯器11は、燃焼系の構成として、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230とを備える。給湯器11は、浴槽2が設けられた浴室3の外に設置される。
【0087】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓4および外部水栓5とに繋がる。給湯燃焼器214には、比例弁216の開度に応じた量のガス(燃料ガス)が給湯ガス管路217を通じて供給される。図示しないガス電磁弁が開放されると、給湯ガス管路217にガスが供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として、ガスの供給量に応じた強さで燃焼する。給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。
【0088】
追い焚き部220は、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223は、給湯器11と浴槽2との間で浴槽2内の湯水を循環させるための循環路P1を構成する。
【0089】
ふろ燃焼器224には、比例弁226の開度に応じた量のガス(燃料ガス)がふろガス管路227を通じて供給される。図示しないガス電磁弁が開放されると、ふろガス管路227にガスが供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として、ガスの供給量に応じた強さで燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサS1が配置される。水位センサS1は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0090】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0091】
給湯器11は、水位センサS1の他に、給水管路211の流量を検出するための流量センサS2と、給水管路211に導入された水の温度(給湯器11に入水する水の温度)を検出するための温度センサS3と、給湯熱交換器212で加温された後の湯水の温度を検出するための温度センサS4とを備えている。また、給湯器11は、戻り管路221内の湯水の温度を検出することにより、浴槽2内に溜められた湯水の温度を検出する温度センサS5を備えている。これらセンサS1~S5は、図2の検出部114に含まれる。センサS1~S5の検出結果は、随時、浴室リモコン12および台所リモコン13に送信される。
【0092】
制御部111は、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215および比例弁216、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225および比例弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。
【0093】
浴室水栓4または外部水栓5が開かれると、給湯機能が実行される。水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓4または外部水栓5に供給される。浴室水栓4または外部水栓5が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0094】
また、制御部111は、給湯部210を制御して、湯張り機能(ふろ自動機能)を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0095】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0096】
給湯が行われて浴槽2内に湯水が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が湯水で満たされた状態となる。これにより、水位センサS1での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサS1により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0097】
戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が湯水で満たされた状態にあるとき、戻り管路221内の湯水の温度は、浴槽2内の湯水の温度とほぼ等しくなる。温度センサS5により、戻り管路221内の湯水の温度を、浴槽2内の湯水の温度として検出できる。温度センサS5が検出した温度は、浴槽2内の湯水の温度(湯温)として用いられる。温度センサS5は、検出した湯温を制御部111に出力する。
【0098】
この他、制御部111は、追い焚き部220を制御して、追い焚き機能を実行する。この場合、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる循環路P1と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。これにより、浴槽2内の湯温が上昇する。
【0099】
また、足し湯機能、足し水機能が、制御部111の制御による給湯部210からの浴槽2への給湯および給水により実行される。足し水機能では、給湯燃焼器214は燃焼しない。
【0100】
なお、ふろ自動機能には、湯張り機能と、湯張りの後に浴槽2内の湯水の温度を所定のふろ設定温度に維持する保温機能とが含まれる。保温機能において、制御部111は、所定のタイミングで、温度センサS5からの湯温を参照し、参照した湯温に基づいて、浴槽2内の湯温がふろ設定温度となるように、追い焚き部220による追い焚きを実行する。保温機能により、浴槽2内の湯温は、ふろ設定温度に追従する。ふろ設定温度は、浴室リモコン12でのボタン操作により設定される。
【0101】
図4(a)は、台所リモコン13の制御部133によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
【0102】
図4(a)において、ステップS101、S102は、制御部133の馴化時期判断部133aの機能により実行され、ステップS103、S104は、制御部133の報知処理部133bの機能により実行される。
【0103】
図4(a)の処理は、判断当日の所定の時刻(たとえば正午)に実行される。台所リモコン13の制御部133は、自身の時計回路の時刻がこの時刻に到達したことに応じて、図4(a)の処理を実行する。
【0104】
制御部133は、記憶部134に記憶されている暑熱馴化指標情報134aを参照し(S101)、判断当日が、暑熱馴化指標情報134aに登録されている日および期間に該当するか否かを判定する(S102)。S102がNOの場合、制御部133は処理を終了する。S102がYESの場合、制御部133は、浴室リモコン12にその旨の通知を送信し(S103)、表示入力部131およびスピーカ136を介して、暑熱馴化のための浴槽浴を使用者に促す報知を行う(S104)。
【0105】
ステップS104の報知は、図4(a)の処理が実行されたタイミングとともに、他のタイミングにおいても行われてよい。たとえば、図4(a)の処理の実行時に給湯装置10の運転が停止されている場合、その後、運転ボタン132が操作されて運転が開始されたタイミングで、この報知が行われてよい。また、図4(a)の処理が実行されたタイミングとともに、夕食時または夕食後の団らん時と想定される時刻(たとえば午後8時)に、この報知が行われてもよい。この報知のタイミングは、給湯装置10が設置された家屋に人が居やすいタイミングに設定されることが好ましい。
【0106】
図4(b)は、浴室リモコン12の制御部123によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部123の報知処理部123bの機能により実行される。
【0107】
浴室リモコン12の制御部123は、図4(a)のステップS103で送信された通知を台所リモコン13から受信すると(S201)、報知のタイミングを待つ(S202)。ここでは、焦電センサ128の出力に基づき制御部123が浴室3に人が入室したことを検出したタイミングが、報知のタイミングに設定されている。報知のタイミングが到来すると(S202:YES)、制御部123は、表示部121およびスピーカ126を介して、暑熱馴化のための浴槽浴を使用者に促す報知を行う(S203)。
【0108】
図5(a)、(b)は、図4(a)、(b)の処理により浴室リモコン12および台所リモコン13において実行される報知動作を示す図である。
【0109】
図5(a)に示すように、浴室リモコン12では、表示部121に報知メッセージが表示され、同時に、音声窓12aから報知メッセージの音声が出力される。表示部121では、報知メッセージの全てが表示されるように、報知メッセージが順次上方向にスクロールされる。報知メッセージの内容は、図5(a)に示すとおりである。報知メッセージには、使用者に浴槽浴を促すこととともに、湯張りの温度と浴槽浴の時間が含まれている。図5(b)に示すように、台所リモコン13においても、表示部121および音声窓12aを介して同様の報知が行われる。
【0110】
使用者は、これらの報知を受けることにより、暑熱馴化のために浴槽浴を行うことに動機付けられ得る。これにより、使用者は、適宜、湯張り温度を推奨された温度(ここでは、40℃)に変更し、推奨された時間(ここでは、15分)の浴槽浴を行う。この報知は所定期間(たとえば2週間)に亘って毎日行われるため、使用者はこの期間において浴槽浴を繰り返す。こうして、浴槽浴による暑熱馴化が行われ、使用者における熱中症のリスクが低減され得る。
【0111】
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0112】
図4(a)~図5(b)に示したように、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が到来すると(S101、S102)、使用者に対し、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知が行われる(S103、S104、S201~S203)。これにより、使用者は、暑熱馴化のための浴槽浴を適切な時期に行うことができ、熱中症のリスクを低減することができる。
【0113】
図2に示したように、給湯装置10(ふろ装置)は、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の指標とされる暑熱馴化指標情報134aを記憶する記憶部134を備える。図4(a)に示したように、馴化時期判断部133aは、暑熱馴化指標情報134aに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が到来したか否かを判断する(S101、S102)。この構成によれば、記憶部134に記憶された暑熱馴化指標情報134aに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を円滑に判断できる。
【0114】
ここで、暑熱馴化指標情報134aは、上記のように、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべきカレンダ上の日または連続する日からなる期間であり、馴化時期判断部133aは、判断の当日が暑熱馴化指標情報134a中の日または期間に該当する場合に、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が到来したと判断する。この構成によれば、判断の当日が暑熱馴化指標情報134a中の日または期間に該当するか否かによって、その日が暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき日であるか否かを、円滑に判断できる。
【0115】
図2を参照して説明したように、暑熱馴化指標情報134aは、予め、記憶部134に記憶されている。これにより、暑熱馴化指標情報134aを別途取得する必要がないため、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来の判断を、簡易な処理により行い得る。
【0116】
<変更例1>
上記実施形態1では、全国的に共通の暑熱馴化指標情報134aが記憶部134に記憶された。これに対し、変更例1では、地域(たとえば、兵庫県南部等)ごとに、暑熱馴化指標情報134aが記憶部134に記憶される。各地域の暑熱馴化指標情報134aは、その地域の過去数年分(たとえば5年分)の気象情報に基づいて、上記実施形態と同様の方法により、暑熱馴化を行うべき日または期間が登録される。
【0117】
この場合、台所リモコン13の制御部133は、図6(a)に示すように、給湯装置10の設置時に、当該給湯装置10が設置された地域の登録を受け付ける(S301)。この受付は、表示入力部131に表示された受付画面を介して行われる。図6(a)の処理は、制御部133の馴化時期判断部133aの機能によって行われる。受付画面を介して、使用者により地域の入力が行われると(S302:YES)、制御部133は、入力された地域に関する情報を、記憶部134に記憶させる(S303)。この場合、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来は、登録された地域に対応する暑熱馴化指標情報134aを用いて判断される。
【0118】
他方、受付画面に対して地域の入力が行われなかった場合(S302:NO)、制御部133は、処理を終了する。この場合、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来は、デフォルトの暑熱馴化指標情報134a、たとえば、上記実施形態1と同様の全国共通の暑熱馴化指標情報134aを用いて判断される。この場合、記憶部134には、全国共通の暑熱馴化指標情報134aがさらに記憶される。これに代えて、所定の地域(たとえば、大阪市北部)の暑熱馴化指標情報134aが、デフォルトの暑熱馴化指標情報として用いられてもよい。
【0119】
図6(b)は、変更例1に係る、台所リモコン13の制御部133によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
【0120】
図6(b)のフローチャートでは、図4(a)のフローチャートのステップS101がステップS111、S112に置き換えられている。図6(b)のフローチャートにおけるその他のステップの処理は、図4(a)の対応するステップの処理と同様である。ステップS111、S112の処理は、制御部133の馴化時期判断部133aの機能により実行される。
【0121】
図6(b)の処理も、判断当日の所定の時刻(たとえば正午)に実行される。台所リモコン13の制御部133は、自身の時計回路の時刻がこの時刻に到達したことに応じて、図6(b)の処理を実行する。
【0122】
制御部133は、記憶部134に地域情報が記憶されているか否か、すなわち、図6(a)のステップS303において地域情報が記憶部134に記憶されたか否かを判定する(S111)。地域情報が記憶されていない場合(S111:NO)、制御部133は、ステップS112をスキップして、処理をステップS102に進める。この場合、制御部133は、上記のように、デフォルトの暑熱馴化指標情報134aを用いてステップS102以降の処理を実行する。
【0123】
他方、地域情報が記憶されている場合(S111:YES)、制御部133は、参照する暑熱馴化指標情報134aをデフォルトから当該地域情報の地域に対応する暑熱馴化指標情報134aに変更して(S112)、処理をステップS102に進める。これにより、制御部133は、当該地域の暑熱馴化指標情報134aを用いてステップS102以降の処理を実行する。
【0124】
ステップS102以降の処理は、上記実施形態1と同様である。制御部133は、判断の当日が、参照先の暑熱馴化指標情報134a中の日または期間に該当する場合に(S102:YES)、その旨を浴室リモコン12に通知し(S103)、表示入力部131およびスピーカ136を介して、暑熱馴化のための浴槽浴を使用者に促す報知を実行する。これにより、図5(a)、(b)と同様の報知が行われる。
【0125】
変更例1の構成によれば、地域ごとに設定された暑熱馴化指標情報134aのうち、給湯装置10(ふろ装置)が設置された地域の暑熱馴化指標情報134aに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来が判断されるため、より正確にこの時期の到来を判断できる。よって、使用者は、暑熱馴化のための浴槽浴をより適切な時期に行うことができ、熱中症のリスクを確実に低減できる。
【0126】
なお、S111がNOの場合、制御部133は、使用者に対して、地域情報の入力を促す報知を行うとともに、この入力のための受付画面を表示させてもよい。制御部133は、これに応じて使用者が地域情報を入力したことにより、その地域情報を記憶部134に記憶させて、処理をステップS112に進めてよい。これにより、給湯装置10が設置された地域に対応する暑熱馴化指標情報134aを用いてステップS102の処理を進めることができ、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来をより正確に判断できる。
【0127】
<変更例2>
上記実施形態1では、判断の当日が暑熱馴化指標情報134aの日または期間に該当すれば、使用者に対し、暑熱馴化のための浴槽浴の報知がなされた。ここで、この期間は、上記のように、たとえば、暑熱馴化の開始日から2週間であるため、この報知は、この期間において毎日行われることとなる。しかし、使用者がこの報知に応じて湯張り温度を暑熱馴化用の温度に変更し、既に浴槽浴を開始したにも拘わらず、その後も頻繁に同様の報知がなされると、使用者は煩わしく感じることもある。
【0128】
そこで、変更例2では、暑熱馴化の報知後に所定の報知解除条件が充足されると、暑熱馴化のための報知が行われないように制御される。
【0129】
ここで、報知解除条件は、たとえば、「5月の暑い日」、「梅雨明けの時期」、「梅雨期間中の晴れの日」、および「お盆明けの時期」のそれぞれについて、暑熱馴化の最初の報知が行われた後、暑熱馴化に適する湯張り温度(たとえば40℃以上)で暑熱馴化に適する時間(たとえば15分以上)の入浴が行われた日が、所定日数(たとえば、5日)継続されたこととされ得る。あるいは、報知解除条件は、「5月の暑い日」、「梅雨明けの時期」、「梅雨期間中の晴れの日」、および「お盆明けの時期」のそれぞれについて、上記の条件で入浴が行われた回数が所定の回数(たとえば10回)に到達したこととされてもよい。
【0130】
図7は、暑熱馴化のための浴槽浴の報知を解除する処理を示すフローチャートである。
【0131】
図7の処理は、浴室リモコン12の制御部123と台所リモコン13の制御部133の両方において行われる。制御部123、133は、浴槽2に対する湯張りの設定温度を共有している。したがって、浴室リモコン12または台所リモコン13を介して湯張りの設定温度が変更されると、変更後の設定温度が直ちに、制御部123、133で共有される。また、制御部123、133は、水位センサS1による入浴検知に関する情報を、随時、給湯器11から受信して共有する。
【0132】
制御部123、133は、これらの情報により、図4(a)のステップS104および図4(b)のステップS203において、上述の報知解除条件が充足されたか否かを判定する(S401)。報知解除条件が充足されていない場合(S401:NO)、制御部123、133は、上記と同様の報知処理を実行する(S402)。他方、報知解除条件が充足されている場合(S401:YES)、制御部123、133は、報知処理をスキップ(S403)して、処理を終了する。これにより、図5(a)、(b)に示した報知は行われない。
【0133】
変更例2の構成によれば、報知に応じて使用者が暑熱馴化のための浴槽浴を開始したにも拘わらず、その後も頻繁に同様の報知が行われることが回避される。よって、このような報知が繰り返されることにより、使用者が煩わしく感じることを防ぐことができる。
【0134】
<変更例3>
上記実施形態1では、記憶部134に記憶された暑熱馴化指標情報134aに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来が判定された。これに対し、変更例3では、浴室3内の室温に基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来が判定される。浴室3内の室温は、図2の室温センサ127によって検出され、随時、浴室リモコン12から台所リモコン13に送信される。
【0135】
図8(a)は、変更例3に係る、台所リモコン13の制御部133によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
【0136】
図8(a)のフローチャートでは、図4(a)のフローチャートのステップS101、S102がステップS121~S124に置き換えられている。図8(a)のフローチャートにおけるステップS102、S103の処理は、図4(a)の対応するステップの処理と同様である。ステップS121~S124の処理は、制御部133の馴化時期判断部133aの機能により実行される。
【0137】
図8(a)の処理は、判断当日の現在時刻がその日の所定の時間帯(たとえば正午から1時間)に含まれる場合に実行される。台所リモコン13の制御部133は、自身の時計回路の時刻がこの時間帯に到達したことに応じて、図8(a)の処理を実行する。
【0138】
制御部133は、現在時刻がこの時間帯に到達すると(S121:YES)、浴室3に人が居ないかを判定する(S122)。
【0139】
浴室3に人がいない場合、浴室3内の温度は外気温に連動している(ほぼ等しい)と推定される。これに対し、浴室3に人がいる場合は、浴室3内で人がシャワー等を使用している可能性があるため、浴室3内の温度は外気温より高くなり得る(外気温に連動しなくなり得る)。ここでは、浴室内の温度を外気温に連動する温度として用いるため、制御部133は、ステップS122において、浴室3内に人が居るか否かを判定する。
【0140】
浴室3内の人の有無は、焦電センサ128の出力に基づく浴室リモコン12の制御部123の検出結果に基づき判定される。ステップS121の判定結果がYESである期間において、台所リモコン13の制御部133は、浴室リモコン12の制御部123に対して、人の有無の検出を要求し、これに応じて、浴室リモコン12の制御部123は、その検出結果を随時、台所リモコン13の制御部133に送信する。台所リモコン13の制御部133は、受信した検出結果に基づき、ステップS122の判定を行う。
【0141】
ステップS121の時間帯に浴室3内に人がいなければ(S122:YES)、制御部133は、台所リモコン13から随時入力される室温センサ127の検出結果から、浴室3内の室温を取得する(S123)。そして、制御部133は、取得した室温が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S124)。
【0142】
ここで、閾値は、外気温が熱中症を引き起こす可能性がある温度(たとえば、25度)よりも、所定温度だけ低い温度(たとえば、20度)に設定される。ここで、この所定温度は、暑熱馴化のための浴槽浴を実行すべき期間(たとえば、2週間)において、外気温の変化に連動して浴室3内の温度が変化すると想定される温度に設定される。
【0143】
室温が閾値以上である場合(S124:YES)、制御部133は、ステップS102、S103の処理を実行する。これにより、図5(a)、(b)と同様の報知が行われる。他方、室温が閾値以上でない場合(S124:NO)、制御部133は、ステップS102、S103をスキップして処理を終了する。この場合、図5(a)、(b)の報知は行われない。
【0144】
変更例3の構成によれば、制御部133(馴化時期判断部133a)は、室温センサ127(温度センサ)により検出された温度が所定の閾値以上となったことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴の時期の到来を判断するため、上記実施形態1のように暑熱馴化指標情報134aを用いずとも、室温センサ127(温度センサ)の検出結果から、簡易に、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断できる。また、外気温に連動する温度を、室温として簡易に取得できる。
【0145】
なお、ステップS121の時間帯は、1日のうちに複数、設定されてもよい。この場合、時間帯ごとに、ステップS124の閾値が変更されればよい。たとえば、ステップS121の時間帯として、正午から1時間の第1時間帯と、午後3時から1時間の第2時間帯とが設定された場合、通常、第1時間帯よりも第2時間帯の方が外気温および浴室3の室温が低い。このため、第1時間帯に対応する閾値よりも、第2時間帯に対応する閾値の方がその分低く設定されればよい。
【0146】
<変更例4>
変更例3では、外気温に連動する温度として浴室3内の室温が、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来の判断に用いられた。これに対し、変更例4では、外気温に連動する温度として給湯器11に入水する水の温度が、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来の判断に用いられる。
【0147】
図8(b)は、変更例4に係る、台所リモコン13の制御部133によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
【0148】
図8(b)の処理も、図8(a)の場合と同様、判断当日の現在時刻がその日の所定の時間帯(たとえば正午から1時間)に含まれる場合に実行される。ステップS131~S134の処理は、制御部133の馴化時期判断部133aの機能により実行される。
【0149】
制御部133は、現在時刻がこの時間帯に到達すると(S131:YES)、給湯器11に対する入水が検知されたか否かを判定する(S132)。この入水は、図3の流量センサS2によって検知され、随時、給湯器11から浴室リモコン12の制御部123に送信される。ここで、この入水を検知するのは、給湯器11に滞留している水の温度ではなく、外部から導入された水の温度を取得するためである。すなわち、外部から導入された水の温度は、外気温に連動する。このように外気温に連動する水の温度を取得するために、制御部133は、ステップS132において、給湯器11に対する入水が検知されたか否かを判定する。
【0150】
判定時間帯内に(S131:YES)、給湯器11に対する入水が検知されると(S132:YES)、制御部133は、入水後に検知された水の温度(入水温)を取得する(S133)。入水温は、図3の温度センサS3により検知され、随時、台所リモコン13の制御部133に送信される。
【0151】
制御部133は、取得した入水温が、所定の閾値以上であるか否かを判定する(S134)。ここで、閾値は、外気温が熱中症を引き起こす可能性がある温度(たとえば、25度)となるときの入水温の想定温度(たとえば、19度)よりも、さらに所定温度だけ低いの温度(たとえば、17度)に設定される。この所定温度は、図8(a)のステップS124と同様の観点から、暑熱馴化を実行すべき期間の間に入水温が変化し得ると想定される温度に設定される。
【0152】
入水温が閾値以上である場合(S134:YES)、制御部133は、ステップS102、S103の処理を実行する。これにより、図5(a)、(b)と同様の報知が行われる。他方、入水温が閾値以上でない場合(S134:NO)、制御部133は、ステップS102、S103をスキップして処理を終了する。この場合、図5(a)、(b)の報知は行われない。
【0153】
変更例4の構成によっても、変更例3と同様、上記実施形態1のように暑熱馴化指標情報134aを用いずとも、温度センサS3の検出結果から、簡易に、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断できる。また、外気温に連動する温度を、給湯器11への入水温として簡易に取得できる。
【0154】
なお、変更例4においても、ステップS131の時間帯は、1日のうちに複数、設定されてよい。この場合も、変更例3と同様、時間帯ごとに、ステップS134の閾値が変更されてよい。
【0155】
<実施形態2>
上記実施形態1では、暑熱馴化指標情報134aが予め記憶部134に記憶された。これに対し、実施形態2では、台所リモコン13が外部通信網を介してサーバと通信可能に構成され、暑熱馴化指標情報134aは、外部通信網を介してサーバから取得され記憶部134に記憶される。
【0156】
図9は、実施形態2に係る、給湯システム1(ふろシステム)の構成を示す図である。
【0157】
給湯システム1は、給湯装置10とサーバ50とを備える。台所リモコン13は、宅内H10に設置された無線ルータ30を介して、外部通信網40に接続可能である。図10に示すように、台所リモコン13は、無線ルータ30と通信を行うための無線通信部137を備えている。無線通信部137は、無線通信モジュールである。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。サーバ50は、外部通信網40に接続されている。したがって、台所リモコン13は、外部通信網40を介して、サーバ50と通信可能である。台所リモコン13の記憶部134には、給湯システム1のアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0158】
図9の構成では、さらに、携帯端末装置20が、外部通信網40を介してサーバ50と通信可能である。携帯端末装置20には、給湯システム1のアプリケーションプログラムがインストールされている。宅内H10において、携帯端末装置20は、無線ルータ30を介して、サーバ50と通信可能である。また、宅外において、携帯端末装置20は、無線ルータ60または基地局70を介して、サーバ50と通信可能である。
【0159】
サーバ50は、気象庁等が管理する他のサーバから気象情報を取得して暑熱馴化指標情報134aを生成し、生成した暑熱馴化指標情報134aを台所リモコン13に送信する。台所リモコン13の制御部133は、受信した暑熱馴化指標情報134aを記憶部134に記憶させる。そして、制御部133(馴化時期判断部133a、報知処理部133b)は、この暑熱馴化指標情報134aを用いて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断し、この時期の到来に応じて、使用者に対し、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知を行う。
【0160】
ここで、暑熱馴化指標情報134aは、上記実施形態1と異なり、気象条件に応じて年ごとまたは季節ごとに変化し得る情報である。たとえば、実施形態2に係る暑熱馴化指標情報134aは、「暑熱馴化前線に関する情報」とされ得る。
【0161】
「暑熱馴化前線に関する情報」とは、日本列島を複数に区分した領域ごとに、暑熱馴化を開始すべき時期(たとえば、5月中旬等)を示した情報である。たとえば、5月の暑熱馴化前線に関する情報は、4月の初旬に公表される。たとえば、月ごとの暑熱馴化前線に関する情報が、その前の月の初旬頃に公表される。
【0162】
サーバ50は、暑熱馴化前線に関する情報を管理する他のサーバに適宜アクセスして、翌月の暑熱馴化前線に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、暑熱馴化指標情報134aを生成する。たとえば、サーバ50は、翌月の暑熱馴化前線に関する情報から、地域ごと(たとえば、兵庫県南部や市区ごと)に、暑熱馴化を実施すべき時期(たとえば、初旬、中旬、下旬等に対応する期間)を設定する。こうして、暑熱馴化指標情報134aが生成される。
【0163】
サーバ50は、生成した暑熱馴化指標情報134aを自身の記憶部に記憶させるとともに、これらの情報を台所リモコン13に送信する。台所リモコン13は、受信した暑熱馴化指標情報134aを記憶部134に記憶させる。サーバ50は、月ごとの暑熱馴化前線に関する情報が更新されるごとに暑熱馴化指標情報134aを生成して台所リモコン13に送信する。台所リモコン13の制御部133は、月ごとの最新の暑熱馴化指標情報134aを記憶部134に更新記憶させる。
【0164】
この構成において、台所リモコン13の制御部133が行う処理は、図6(a)、(b)と同様である。図6(b)のステップS102では、判断の当日が、暑熱馴化前線に関する情報に基づき設定された上述の時期に該当するか否かが判断されることになる。ステップS112におけるデフォルトの暑熱馴化指標情報134aは、所定の地域(たとえば、大阪府北部)の暑熱馴化指標情報134aとされる。上記変更例1と同様、ステップS111がNOの場合、地域情報の入力が使用者に促されてもよい。
【0165】
<実施形態2の効果>
実施形態2の構成によれば、気象条件に応じて変動し得る暑熱馴化指標情報134aをサーバ50から取得して、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来の判断に用い得る。よって、この時期の到来を正確に判断でき、暑熱馴化のための浴槽浴をより適切な時期に行うことができる。
【0166】
また、暑熱馴化指標情報134aとして、暑熱馴化前線に関する情報が用いられるため、暑熱馴化を行うべき時期を的確に判断でき、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知を適正に行うことができる。よって、熱中症のリスクを確実に低減できる。
【0167】
<変更例1>
暑熱馴化指標情報134aとして他のサーバから取得される情報は、暑熱馴化前線に関する情報に限られるものではなく、暑熱馴化の時期を判断可能な他の情報であってもよい。たとえば、暑熱馴化指標情報134aとして、「地域ごとの最高気温に関する予測情報」、「地域ごとの梅雨の入り明けに関する予測情報」、または「昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報」が他のサーバから取得されてもよい。
【0168】
ここで、「地域ごとの最高気温に関する予測情報」は、現在から所定期間後(たとえば、2週間後または1カ月後)までの各日について、地域ごとに最高気温を予測した情報である。この場合、サーバ50は、たとえば5月に対するこの予測情報において最高気温が所定温度(たとえば25度)以上となる日を地域ごとに特定し、この日から所定期間(たとえば2週間)前までの期間を、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき地域ごとの期間として、暑熱馴化指標情報134aに登録する。
【0169】
また、「地域ごとの梅雨の入り明けに関する予測情報」は、その年の各地域における梅雨入りの日および梅雨明けの日を予測した情報である。この場合、サーバ50は、この予測情報における地域ごとの梅雨明けの日から所定期間(たとえば2週間)前までの期間を、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき地域ごとの期間として、暑熱馴化指標情報134aに登録する。
【0170】
あるいは、サーバ50は、「地域ごとの梅雨の入り明けに関する予測情報」から地域ごとの梅雨の期間を特定し、その期間のうち、最高気温が所定温度(たとえば25度)以上となる日を地域ごとに特定する。そして、サーバ50は、その日から所定期間(たとえば2週間)前までの期間を、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき地域ごとの期間として、暑熱馴化指標情報134aに登録する。
【0171】
「昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報」を用いる場合、サーバ50は、昨年の最高気温が所定温度(たとえば25度)以上である日を地域ごとに特定し、その日から所定期間(たとえば2週間)前までの期間を、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき地域ごとの期間として、暑熱馴化指標情報134aに登録する。
【0172】
これらの暑熱馴化指標情報134aは、他のサーバにおいて「地域ごとの最高気温に関する予測情報」、「地域ごとの梅雨の入り明けに関する予測情報」または「昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報」が更新されることに応じて、サーバ50において更新される。サーバ50は、こうして更新した最新の暑熱馴化指標情報134aを、随時、自身の記憶部に記憶させるとともに、台所リモコン13に送信する。
【0173】
台所リモコン13の制御部133は、受信した最新の暑熱馴化指標情報134aを、記憶部134に上書き記憶する。制御部133は、最新の暑熱馴化指標情報134aを用いて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断する。
【0174】
この場合も、台所リモコン13の制御部133が行う処理は、図6(a)、(b)と同様である。これにより、上記実施形態2と同様、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を正確に判断でき、暑熱馴化のための浴槽浴をより適切な時期に行うことができる。
【0175】
<変更例2>
上記実施形態2およびその変更例1では、暑熱馴化指標情報134aがサーバ50により生成された。しかしながら、サーバ50は、必ずしもこの生成を行わなくてもよく、他のサーバから取得した情報、すなわち、「暑熱馴化前線に関する情報」、「地域ごとの最高気温に関する予測情報」、「地域ごとの梅雨の入り明けに関する予測情報」または「昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報」をそのまま台所リモコン13に送信する処理を行ってもよい。
【0176】
この場合、台所リモコン13の制御部133は、受信した情報から、上記サーバ50と同様の処理により、自身が設置された地域の暑熱馴化指標情報134aを生成し、生成した暑熱馴化指標情報134aを用いて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断してよい。
【0177】
あるいは、台所リモコン13の制御部133は、受信した情報をそのまま暑熱馴化指標情報134aとして用いて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を判断してよい。
【0178】
たとえば、「暑熱馴化前線に関する情報」をそのまま暑熱馴化指標情報134aとして用いる場合、制御部133は、図6(b)のステップS112において、給湯装置10が設置された地域に対応する暑熱馴化の実施時期を暑熱馴化前線に関する情報から取得し、ステップS102において、判断の当日がこの実施時期に対応するか否かを判定する。
【0179】
また、「地域ごとの最高気温に関する予測情報」をそのまま暑熱馴化指標情報134aとして用いる場合、制御部133は、図6(b)のステップS112において、給湯装置10が設置された地域に対応する予測情報から、最高気温が所定温度(たとえば25度)以上となる日を特定し、特定した日から所定期間(たとえば2週間)前までの期間を、暑熱馴化の実施時期として取得する。そして、制御部133は、ステップS102において、判断の当日がこの実施時期に対応するか否かを判定する。
【0180】
また、「地域ごとの梅雨の入り明けに関する予測情報」をそのまま暑熱馴化指標情報134aとして用いる場合、制御部133は、図6(b)のステップS112において、給湯装置10が設置された地域に対応する予測情報から、梅雨明けの日または梅雨の期間において最高気温が所定温度(たとえば25度)以上となる日を特定し、特定した日から所定期間(たとえば2週間)前までの期間を、暑熱馴化の実施時期として取得する。そして、制御部133は、ステップS102において、判断の当日がこの実施時期に対応するか否かを判定する。
【0181】
また、「昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報」をそのまま暑熱馴化指標情報134aとして用いる場合、制御部133は、図6(b)のステップS112において、給湯装置10が設置された地域に対応する予測情報から、昨年の最高気温が所定温度(たとえば25度)以上である日を特定し、特定した日から所定期間(たとえば2週間)前までの期間を、暑熱馴化の実施時期として取得する。そして、制御部133は、ステップS102において、判断の当日がこの実施時期に対応するか否かを判定する。
【0182】
ステップS111の判定がNOの場合は、上記実施形態2と同様、所定地域に対応する上記各情報を用いて、上記と同様の処理により暑熱馴化の実施時期が取得され、ステップS102において、判断の当日がこの実施時期に対応するか否かが判断される。
【0183】
これらの処理においても、上記実施形態2と同様、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を正確に判断でき、暑熱馴化のための浴槽浴をより適切な時期に行うことができる。
【0184】
なお、上記の場合、サーバ50は、必ずしも、他のサーバから取得した情報をそのまま台所リモコン13に送信しなくてよく、台所リモコン13が設置された地域の情報のみを台所リモコン13に送信してもよい。この場合、サーバ50と台所リモコン13との間の事前の通信により、台所リモコン13に入力された地域情報が台所リモコン13からサーバ50に送信されてサーバ50に登録される。
【0185】
この場合、台所リモコン13の制御部133は、上記のようにサーバ50から受信した情報から自身の地域に対応する情報を抽出する処理を行わなくてもよい。よって、台所リモコン13の処理を簡素化でき、且つ、記憶部134に記憶される情報の容量を削減できる。
【0186】
<変更例3>
上記変更例2の構成において、台所リモコン13の制御部133が、室温センサ127により取得された室温に基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期をさらに補正してもよい。
【0187】
図11は、室温センサ127からの室温に基づいて暑熱馴化の時期を補正する処理を示すフローチャートである。
【0188】
図11のフローチャートは、暑熱馴化指標情報134aとして、「地域ごとの最高気温に関する予測情報」がそのまま用いられる場合に適用される。図11の処理は、馴化時期判断部133aの機能により制御部133が行う。制御部133は、図6(b)の処理と並行して、図11の処理を毎日実行する。
【0189】
まず、制御部133は、1日の気温が最高気温となり得る時間帯(たとえば、12時~15時)において室温センサ127からの室温を取得し、当日の室温の最高温度T1を取得する(S501)。次に、制御部133は、サーバ50から受信し、記憶部134に記憶させた「地域ごとの最高気温に関する予測情報」のうち、給湯装置10が設置された地域の予測情報を抽出する(S502)。制御部133は、抽出した予測情報から当日の最高気温T2をさらに抽出し、抽出した最高気温T2と、ステップS501で取得した当日の室温の最高温度T1との差分α(α=T2-T1)を算出する(S503)。
【0190】
制御部133は、この差分αにより、当該地域の予測情報を補正する(S504)。具体的には、制御部133は、当該地域の予測情報に含まれる各々の最高気温Tnから差分αを減算した最高気温Tn’(Tn’=Tn-α)を、補正後の予測情報として取得する。そして、制御部133は、補正後の予測情報において、最高気温が所定の閾値温度(たとえば25度)以上となる日を特定し(S505)、特定した日から所定日数前までの期間を、暑熱馴化の時期に設定する(S506)。設定された暑熱馴化の時期は、その翌日に行われる図6(b)の処理において用いられる。
【0191】
制御部133は、その翌日に行われる図6(b)の処理のステップS112において、図11により設定された暑熱馴化の時期を参照対象に設定し、処理をステップS102に進める。ステップS102において、制御部133は、ステップS112で設定した暑熱馴化の時期に判断の当日が該当するか否かを判定する。ステップS102以降の処理は、上記変更例2と同様である。これにより、判断当日が暑熱馴化の時期に該当する場合に、図5(a)、(b)の報知処理が行われる。
【0192】
変更例3の構成によれば、実際の室温の最高温度により「地域ごとの最高気温に関する予測情報」が補正されて暑熱馴化の時期が設定されるため、暑熱馴化の時期をその年の気象傾向に応じたものに調整できる。よって、暑熱馴化の時期をより正確に設定でき、浴槽浴による熱中症の予防をより適正に実行できる。
【0193】
なお、図11の処理では、ステップS504において、差分αにより予測情報が補正されたが、予測情報は補正されずに、ステップS505における閾値温度が補正されてもよい。この場合、初期の閾値温度Th1(たとえば25度)に差分αが加算されて、補正後の閾値温度Th1’(Th1’=Th1+α)が算出される。これによっても、上記と同様、暑熱馴化の時期をその年の気象傾向に応じたものに調整でき、浴槽浴による熱中症の予防をより適正に実行できる。
【0194】
また、図11の処理は、必ずしも毎日行われなくてもよく、たとえば、1週間おき等、所定のタイミングで行われてもよい。この場合、隣り合う2つのタイミング間の期間では、これら2つのタイミングのうち時間的に古い方のタイミングにおいて取得された暑熱馴化の時期が、図6(b)のステップS112において参照対象に設定されればよい。
【0195】
また、上記では、暑熱馴化指標情報134aとして「地域ごとの最高気温に関する予測情報」がそのまま用いられる場合が想定されたが、暑熱馴化指標情報134aとして「昨年の地域ごとの最高気温に関する統計情報」がそのまま用いられる場合も、同様の処理が適用され得る。この場合、図11のステップS503において、予測情報から昨年の同じ日の最高気温と室温の最高温度との差分αが算出され、ステップS504では、昨年の統計情報に含まれる各々の日の最高気温から差分αが減算されて補正後の予測情報が生成される。ステップS505、S506では、補正後の予測情報を対象にそれぞれの処理が実行される。この場合も、予測情報ではなく閾値温度が差分αにより補正されてもよい。
【0196】
また、上記実施形態2のように、サーバ50が暑熱馴化指標情報134aを生成する場合も、同様の補正が行われてもよい。この場合、給湯装置10は、浴室3の室温の最高温度を随時、台所リモコン13を介してサーバ50に送信する。サーバ50は受信した最高温度を地域ごとに平均化した最高気温の平均値を用いて、各地域に対する暑熱馴化の時期を同様に補正すればよい。
【0197】
<変更例4>
上記実施形態2では、暑熱馴化のための浴槽浴を報知するための処理のみが実行されたが、変更例4では、この報知とともに、湯張り温度を暑熱馴化に適する温度に変更する処理が行われる。
【0198】
図12は、実施形態2の変更例4に係る、台所リモコン13の制御部133によって実行される暑熱馴化のための浴槽浴を報知する処理を示すフローチャートである。
【0199】
便宜上、図12では、図6(b)のステップS111、S112の処理の図示が省略されている。図12のステップS141、S142の処理は、馴化時期判断部133aの機能により実行され、ステップS143、S144は、報知処理部133bの機能により実行される。
【0200】
図12の処理に先立ち、使用者は、暑熱馴化の時期の到来に応じて湯張り温度を暑熱馴化に適する温度(40度)に自動で変更してよいか否かの設定を、台所リモコン13を介して行う。
【0201】
制御部133は、判断の当日が暑熱馴化の時期に該当すると(S102:YES)、使用者により、湯張り温度を暑熱馴化に適する温度(40度)に自動で変更することを了承する設定がなされているか否かを判定する(S141)。
【0202】
ステップS141の判定がYESの場合、制御部133は、湯張り温度を暑熱馴化に適する温度(40度)に変更し(S142)、第1報知処理を行う(S143)。第1報知処理において、制御部133は、第1報知処理であることを示す通知を浴室リモコン12に送信するとともに、表示入力部131およびスピーカ136に第1報知処理に応じた報知を実行させる。
【0203】
ステップS141の判定がNOの場合、制御部133は、湯張り温度を暑熱馴化に適する温度(40度)に変更することなく、第2報知処理を行う(S144)。第2報知処理において、制御部133は、第2報知処理であることを示す通知を浴室リモコン12に送信するとともに、表示入力部131およびスピーカ136に第2報知処理に応じた報知を実行させる。
【0204】
第2報知処理では、図5(a)、(b)と同様の内容で、浴室リモコン12および台所リモコン13から報知が行われる。これに対し、第1報知処理では、図5(a)、(b)の内容に加えて、湯張り温度を暑熱馴化に適する温度(40度)に変更したことのメッセージ文およびメッセージ音声が浴室リモコン12および台所リモコン13から出力される。これにより、使用者は、暑熱馴化の時期の到来とともに、湯張り温度が暑熱馴化に適する温度(40度)に変更されたことをさらに把握できる。
【0205】
変更例4の構成によれば、別途、使用者が湯張りの温度設定を変更せずとも、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来に応じて、自動で、湯張りの湯温が、暑熱馴化に適する湯温に変更される。よって、使用者の利便性を高めつつ、熱中症のリスクを確実に低減できる。
【0206】
なお、図12のステップS144において、湯張り温度を暑熱馴化に適する温度(40度)に変更することを使用者から受け付ける処理が、さらに実行されてもよい。また、図12の処理からステップS141、S144の処理が省略され、ステップS102の判定がYESの場合に、ステップS142へと処理が進められてもよい。
【0207】
<変更例5>
変更例5では、暑熱馴化の時期の到来の判断およびその報知のための処理が、携帯端末装置20において行われる。
【0208】
携帯端末装置20は、たとえば、携帯電話機である。携帯端末装置20が、タブレットコンピュータや、パーソナルコンピュータ等の他の情報処理端末であってもよい。周知のとおり、携帯端末装置20には、CPU等の制御部と、ROM、RAM等の記憶部を備える。記憶部には、上記のように、給湯システム1のアプリケーションプログラムがインストールされている。携帯端末装置20の制御部は、このアプリケーションプログラムにより、暑熱馴化の時期の到来の判断およびその報知のための処理を実行する。
【0209】
携帯端末装置20には、予め、入力手段を介して、給湯装置10が設置された地域を示す地域情報が登録される。携帯端末装置20は、暑熱馴化指標情報をサーバ50から取得する。取得される暑熱馴化指標情報は、上記実施形態2またはその変更例1、2において、台所リモコン13の制御部133がサーバ50から取得する暑熱馴化指標情報134aと同じであってよい。
【0210】
また、携帯端末装置20が実行する、暑熱馴化の時期の到来の判断およびその報知の処理も、上記実施形態2またはその変更例1、2において、台所リモコン13の制御部133が実行する処理と同様であってよい。この場合、携帯端末装置20の制御部は、判断の当日が暑熱馴化の時期に該当すると、自身でその報知を行うとともに、そのことの通知を台所リモコン13に送信する。この通知は、台所リモコン13からさらに浴室リモコン12に転送される。これにより、宅内H10においては、浴室リモコン12および台所リモコン13により、図5(a)、(b)と同様の報知が行われ得る。
【0211】
携帯端末装置20では、判断の当日が暑熱馴化の時期に該当すると、たとえば、給湯システム1のアプリケーションプログラムの起動に応じて、図13に示す報知が行われる。すなわち、携帯端末装置20の表示入力部201には、暑熱馴化のための浴槽浴を使用者に促すメッセージ文M1が、OKボタンB1とともに表示され、さらにスピーカから、メッセージ文M1と同様のメッセージ音声が出力される。使用者は、メッセージ文M1を参照した後、OKボタンB1にタッチする。これにより、画面が上記アプリケーションプログラムの初期画面に切り替わる。
【0212】
変更例5の構成によれば、上記アプリケーションプログラムにより、携帯端末装置20の制御部に、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の指標とされる暑熱馴化指標情報をサーバ50から取得する機能と、取得した暑熱馴化指標情報に基づいて暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が到来したか否かを判断する機能と、この時期が到来したと判断したことに基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知の処理を行う機能と、が付与される。よって、使用者は、上記実施形態2およびその変更例1、2と同様、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期を適正に把握でき、この浴槽浴を円滑に進めることができる。
【0213】
なお、変更例5の構成においても、実施形態2の変更例3と同様の補正処理が行われてもよい。また、実施形態2およびその変更例1、2において、台所リモコン13の制御部133は、当日が暑熱馴化の時期に該当したことの通知をさらに携帯端末装置20に送信し、これにより、携帯端末装置20が図13と同様の報知を行ってもよい。これにより、宅内H10および宅外に居る使用者の何れも、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の到来を円滑に把握できる。
【0214】
<変更例6>
上記実施形態2では、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が全ての使用者に対して一律に設定された。これに対し、変更例6では、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が、汗のかきやすさに関する使用者の習慣に基づいて補正され、当該時期が使用者ごとに設定される。
【0215】
給湯システム1の構成は、上記実施形態2に係る図9の構成と同様である。
【0216】
図9を参照して、宅内H10に同居する使用者は、自身の携帯端末装置20に上述のアプリケーションプログラムをインストールすることで、自身の携帯端末装置20を介して、給湯装置10の状況を監視し(遠隔監視)、また、湯張り等の所望のふろ機能を実行可能(遠隔制御)である。これらの制御のために、予め、宅内H10に同居する各使用者の携帯端末装置20が、給湯装置10に紐付けて、サーバ50に登録される。すなわち、予め、給湯装置10と携帯端末装置20とがペアリングされ、ペアリングを示す情報(ペアリング情報)が、サーバ50において管理される。
【0217】
具体的には、給湯装置10の識別情報と携帯端末装置20の識別情報とが互いに対応づけられて、ペアリング情報が構成される。これらの識別情報は、各々の装置が予め保持する情報であってよく、あるいは、使用者が任意に設定した情報であってもよい。
【0218】
ペアリングは、たとえば、給湯装置10が設置された宅内H10の台所リモコン13を介して行われる。ペアリング時には、台所リモコン13と携帯端末装置20とが無線ルータ30を介して接続されて、携帯端末装置20の識別情報が台所リモコン13に送信される。台所リモコン13は、受信した識別情報を、自身の識別情報とともに、サーバ50に送信する。サーバ50は、これら2つの識別情報を、ペアリング情報として管理する。
【0219】
サーバ50は、給湯温度等の各種設定や、給湯装置10の状態を示す状態情報を、定期的に、給湯装置10(台所リモコン13)から取得して保持する。サーバ50は、携帯端末装置20からの送信要求に応じて、当該携帯端末装置20に紐付けられている給湯装置10(台所リモコン13)の最新の状態情報を送信する。これにより、携帯端末装置20において、上述の遠隔監視が可能となる。
【0220】
また、使用者が、携帯端末装置20を介して、給湯装置10に対する制御操作(湯張りの実行、等)を入力すると、この入力に関する情報が、サーバ50を介して、当該携帯端末装置20に紐付けられている給湯装置10(台所リモコン13)に送信される。これにより、上述の遠隔制御が可能となる。
【0221】
図14は、変更例6に係る、給湯装置10を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0222】
図14の構成では、図10に記載の実施形態2の構成に比べて、入浴検知部111aと習慣設定部133cが追加されている。入浴検知部111aは、水位センサS1の検知結果に基づいて、浴槽2に対する入退浴を検知する。習慣設定部133cは、汗のかきやすさに関する使用者の習慣を使用者ごとに設定する。
【0223】
入浴検知部111aは、記憶部112に記憶されたプログラムによって制御部111が実行する機能ブロックある。上記実施形態1、2においても、制御部111は、入浴検知部111aと同様の機能を備えている。習慣設定部133cは、記憶部134に記憶されたプログラムによって制御部133が実行する機能ブロックである。変更例6においても、上記実施形態2と同様、制御部133は、無線通信部137を介して、携帯端末装置20およびサーバ50と通信可能である。
【0224】
習慣設定部133cは、汗のかきやすさに関する使用者の習慣を、たとえば、使用者からの入力を受け付ける入力部を介して取得する。たとえば、この入力部として、携帯端末装置20の表示入力部201が用いられる。この場合、携帯端末装置20は、上述のアプリケーションにより、暑熱馴化の浴槽浴の開始時期よりやや早いタイミング、たとえば、3月末または4月初旬の所定の期間において、当該携帯端末装置20を所持する使用者から、汗のかきやすさに関する習慣の入力を受け付ける。
【0225】
たとえば、携帯端末装置20は、この期間に、使用者が、上述のアリケーションプログラムを起動してホーム画面を表示させると、ポップアップ画面を表示させて、暑熱馴化の浴槽浴の時期を決定するために、汗のかきやすさに関する習慣を入力することを使用者に促す。このポップアップ画面に対し、使用者が入力を承諾する操作を行うと、携帯端末装置20は、ホーム画面に代えて、汗のかきやすさに関する習慣の入力を受け付けるための受付画面を、表示入力部201に表示させる。
【0226】
図15(a)、(b)は、汗のかきやすさに関する習慣の入力を受け付けるための受付画面の一例を示す図である。
【0227】
上記入力の際には、まず、図15(a)の受付画面が表示されて、当該携帯端末装置20を所持する使用者の年齢層が受け付けられる。ここでは、ボタンB2a、B2bに示された区分で、使用者の年齢層が受け付けられる。使用者は、ボタンB2a、B2bのうち、自身の年齢に対応する区分のボタンにタッチして、ボタンB4にタッチする。これにより、図15(b)の受付画面が表示される。
【0228】
ここでは、汗のかきやすさに関する習慣として、運動習慣および入浴習慣の入力が受け付けられる。運動習慣は、ボタンB5a、B5bに示す内容に区分され、入浴習慣は、ボタンB5a、B5bに示す内容に区分されている。使用者は、ボタンB5a、B5bおよびボタンB6a、B6bのうち、自身の習慣に対応する区分のボタンにタッチしてボタンB8にタッチする。これにより、当該携帯端末装置20を所持する使用者の年齢層および汗のかきやすさに関する習慣が取得される。
【0229】
取得されたこれらの情報は、携帯端末装置20の識別情報とともに、サーバ50を介して、当該携帯端末装置20に紐付けられている台所リモコン13に送信される。こうして、台所リモコン13の制御部133は、携帯端末装置20を所持する使用者の年齢層と、汗のかきやすさに関する習慣とを、習慣設定部133cの機能により取得し、取得したこれらの情報を、携帯端末装置20の識別情報に紐付けて、記憶部134に記憶させる。
【0230】
なお、使用者は、図15(a)、(b)の受付画面に対する入力を中止する場合、ボタンB3またはボタンB7にタッチする。これにより、これらの受付画面が消失してホーム画面が表示される。この場合、次回、ホーム画面が表示される際に、上述のポップアップ画面が表示されて、同様の処理が行われ、使用者の年齢層、および汗のかきやすさに関する習慣の入力が受け付けられる。これら情報の入力が完了するまでは、上記の期間において、ホーム画面が表示される都度、同様の処理が行われて、使用者に入力が促される。
【0231】
台所リモコン13の制御部133(習慣設定部133c)は、上記の処理により、使用者の年齢層および汗のかきやすさに関する習慣を取得すると、取得したこれらの情報に基づいて、当該使用者の汗のかきやすさのタイプを決定する。
【0232】
図16は、汗のかきやすさのタイプの決定方法を示す図である。
【0233】
図16の左側のテーブルには、運動習慣、入浴習慣および年齢層の各々の区分に対して、ポイントが割り当てられている。たとえば、使用者の運動習慣が「普段からよく身体を動かす」(図15(b)のボタンB5aに対応)の場合、当該使用者の汗のかきやすさの指標に1ポイントが加算される。また、使用者の入浴習慣が「基本的にシャワー浴」(図15(b)のボタンB6bに対応)の場合、当該使用者の汗のかきやすさの指標に2ポイントが加算される。
【0234】
図16の左側のテーブルに基づき、図15(a)、(b)の受付画面に対する使用者の入力に対応する項目のポイントが積算されて、当該使用者の合計得点が算出される。そして、この合計得点が図16の右側のテーブルの合計得点と照合され、当該使用者の合計得点に対応するタイプが、当該使用者の汗のかきやすさのタイプとして決定される。たとえば、使用者の合計得点が3ポイントである場合、当該使用者の汗のかきやすさのタイプは、タイプ1に決定される。
【0235】
台所リモコン13の記憶部134は、図16の2つのテーブルを、上記アプリケーションプログラムの一部として保持している。制御部133(習慣設定部133c)は、携帯端末装置20から受信した使用者の年齢層(図15(a)のボタンB2a、B2bに対する入力)、および、汗のかきやすさに関する習慣(図15(b)のボタンB5a、B5bおよびボタンB6a、B6bに対する入力)と、図16の左側のテーブルとを照合して当該使用者の合計得点を算出し、算出した合計得点に対応する汗のかきやすさのタイプを、図16の右側のテーブルに基づいて決定する。制御部133(習慣設定部133c)は、決定した汗のかきやすさのタイプを、携帯端末装置20の識別情報に紐付けて、記憶部134に記憶させる。
【0236】
制御部133は、こうして、各々の携帯端末装置20を所持する使用者ごとに汗のかきやすさのタイプを決定すると、決定したタイプに応じて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期を、使用者ごとに補正する。この処理は、馴化時期判断部133aの機能により実行される。
【0237】
図17は、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の補正方法を示す図である。
【0238】
図17において、報知開始基準日は、上記実施形態1、2またはこれらの変更例により設定される暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期の開始日(報知開始日)である。また、図17では、暑熱馴化浴(暑熱馴化のための浴槽浴)の負荷が、ステップ状の波形で示されている。この波形の時間軸に対する高さが、浴槽浴の負荷を示す。この高さが大きいほど、浴槽浴の負荷が高くなる。
【0239】
図17の上段に示すように、制御部133(馴化時期判断部133a)は、使用者の汗のかきやすさのタイプがタイプ1である場合、すなわち、年齢層および習慣(運動習慣、入浴習慣)に基づき、当該使用者は、汗をかきやすいタイプであると決定した場合、報知開始基準日の補正を行わない。
【0240】
図17の中段に示すように、制御部133(馴化時期判断部133a)は、使用者の汗のかきやすさのタイプがタイプ2である場合、すなわち、年齢層および習慣(運動習慣、入浴習慣)に基づき、当該使用者は、汗をかきにくいタイプであると決定した場合、報知開始基準日を期間T11(たとえば7日)だけ早めて、暑熱馴化のための浴槽浴の期間を通常より期間T11だけ長くする。これにより、当該使用者は、この浴槽浴の期間に暑熱馴化のための浴槽浴を行うことで、当該期間終了時点において、発汗機能が向上し、暑さに対応できる身体に改善される。
【0241】
図17の下段に示すように、制御部133(馴化時期判断部133a)は、使用者の汗のかきやすさのタイプがタイプ3である場合、すなわち、年齢層および習慣(運動習慣、入浴習慣)に基づき、当該使用者は、汗をややかきにくいタイプであると決定した場合、報知開始基準日を期間T12(たとえば4日)だけ早めて、暑熱馴化のための浴槽浴の期間を通常より期間T12だけ長くする。これにより、当該使用者は、この浴槽浴の期間に暑熱馴化のための浴槽浴を行うことで、当該期間終了時点において、発汗機能が向上し、暑さに対応できる身体に改善される。
【0242】
なお、図17の例では、延長した期間T11、T12における浴槽浴の負荷(浴槽内の湯の温度、浴槽浴の時間)が、年齢層および習慣を加味して、調整されている。すなわち、使用者が、高齢である場合や、発汗しにくく暑さへの対応が難しい場合、標準的な負荷より低い負荷から浴槽浴を開始することが好ましい。このため、期間T11、T12では、浴槽浴の負荷が、タイプ1の標準的な負荷よりも低く設定されている。
【0243】
たとえば、暑熱馴化のための浴槽浴の標準的な負荷が、湯温40℃、浴槽浴の時間12分である場合、期間T11、T12の前半の負荷は、湯温39℃、浴槽浴の時間10分に設定され、期間T11、T12の後半の負荷は、湯温39℃、浴槽浴の時間12分に設定される。期間T11、T12の後半の負荷が、湯温40℃、浴槽浴の時間10分に設定されてもよい。また、期間T11、T12における負荷の変更は、必ずしも2段階でなくてもよく、1段階や3段階以上であってもよい。期間T11と期間T12とで、負荷変更の段数が異なっていてもよい。
【0244】
なお、期間T11、T12における浴槽浴の負荷が、何れも、基準の負荷と同じであってもよく、あるいは、期間T12のみが基準の負荷と同じであってもよい。あるいは、図18に示すように、期間T11、T12は設定されず、タイプ2、3における浴槽浴の負荷が、タイプ1における浴槽浴の基準の負荷より高められてもよい。たとえば、タイプ2における負荷が、湯温41℃、浴槽浴の時間15分に設定され、タイプ3における負荷が、湯温40℃、浴槽浴の時間15分に設定されてもよい。
【0245】
ただし、この方法では、暑熱馴化の浴槽浴の開始時における浴槽浴が、タイプ2、3の使用者にとって負担となる可能性がある。よって、使用者において、より負担なく、暑熱馴化の浴槽浴を円滑に行うためには、図17に示したように、期間T11、T12を設定し、これらの期間における浴槽浴の負荷を標準的な負荷から低下させることが好ましい。
【0246】
ここで、上記変更例6の構成では、使用者ごとに暑熱馴化のための浴槽浴の時期が異なるため、使用者ごとに、暑熱馴化のための浴槽浴を促す報知のタイミングが異なる。各々の使用者に対する報知は、図14の報知処理部133bが、各々の使用者に対する暑熱馴化のための浴槽浴の時期の到来に応じて、当該使用者の携帯端末装置20に、図13と同様の報知を行わせてよい。この報知において、報知処理部133bは、図17を参照して説明した当該使用者に対する浴槽浴の負荷(湯温、浴槽浴の時間)を携帯端末装置20に送信し、上記報知において、携帯端末装置20に浴槽浴の負荷を出力させてもよい。
【0247】
あるいは、図14の報知処理部133bは、暑熱馴化のための浴槽浴の時期の到来に応じて、浴室リモコン12および台所リモコン13に、図5(a)、(b)と同様の報知を行わせてもよい。この場合、報知処理部133bは、入浴対象の使用者を特定する必要がある。たとえば、この特定は、入浴の際に使用者から入浴開始の入力を受け付ける方法により行われ得る。この受け付けは、たとえば、使用者が所持する携帯端末装置20を介して行われ得る。
【0248】
使用者は、自身が入浴しようとする場合に、たとえば、宅内において、上記アプリケーションプログラムを起動してホーム画面を表示させ、現在、浴室が空き状態にあるか否かを確認する。
【0249】
図19(a)は、携帯端末装置20の表示入力部201に表示されるアプリケーションプログラムのホーム画面を示す図である。
【0250】
ホーム画面は、上側の領域R1と下側の領域R2に分割されている。上側の領域R1には、浴室の状況を示す画像と、現在の給湯温度、ふろ温度、および、ふろ水位に関する情報が表示される。図19(a)の例では、人が浴槽に入浴中であるため、浴槽に人が浸かっている画像P11が重ねて表示されている。浴室に人はいるが浴槽に人が浸かっていない場合、浴槽の右側に人の画像が含まれる。下側の領域R2には、所定のふろ機能を実行させるためのボタンが含まれている。
【0251】
領域R1は、上述の遠隔監視のための領域であり、領域R2は、上述の遠隔制御のための領域である。領域R1に含まれる情報は、上述の状態情報に基づいて表示される。浴室内における人の有無は、図14の焦電センサ128の検知結果に基づいて判定され、浴槽に対する人の入退は、上述の水位センサS1の検知結果(入浴検知部111aの検知結果)に基づいて判定される。
【0252】
使用者は、領域R1を参照することで、現在、他の人が入浴中であるか否かを判定できる。図19(a)の場合、使用者は、現在、他の人が入浴中のため、すぐに入浴するのを止めて暫く待機する。
【0253】
これに対し、ホーム画面の領域R1に人の画像が含まれていない場合、使用者は、入浴への行動を進める。この場合、携帯端末装置20は、図19(b)に示すように、人のいない浴槽の画像P12を含むホーム画面を表示し、さらに、この表示から所定時間後(たとえば数秒後)にポップアップ画面P10を表示させて、入浴への行動を進めるか否かを使用者に問い合わせる。すなわち、携帯端末装置20は、ホーム画面の表示の際に、焦電センサ128の検知結果が人を検知しないことを示していると、ポップアップ画面P10を表示させる。
【0254】
ポップアップ画面P10には、入浴を開始する場合に操作されるボタンB9と、入浴を見合わせる場合に操作されるボタンB10とが含まれている。使用者は、入浴を進める場合、ボタンB9にタッチする。これにより、入浴を開始する通知が、携帯端末装置20の識別情報とともに、携帯端末装置20からサーバ50に送信され、さらに、サーバ50から台所リモコン13に送信される。この通知により、台所リモコン13の制御部133(報知処理部133b)は、これから入浴を行う使用者(携帯端末装置20の識別情報)を特定する。
【0255】
そして、制御部133は、馴化時期判断部133aの機能により、上記のように、特定した使用者に対する暑熱馴化のための浴槽浴の時期を補正し、さらに、暑熱馴化のための浴槽浴の負荷を設定する。その後、制御部133は、現時点が補正後の時期に含まれている場合に、現時点の負荷に応じて、図5(a)と同様の報知を浴室リモコン12に実行させ、また、図5(b)と同様の報知を台所リモコン13に実行させる。浴室リモコン12における当該報知は、焦電センサ128の検知結果から、当該使用者が浴室に入ったことが検知されたことに応じて行われる。これにより、使用者は、自身に適した時期から、自身に適した負荷(湯温、浴槽浴の時間)で、暑熱馴化のための浴槽浴を行うことができる。
【0256】
浴槽浴の負荷である湯温は、上記報知により、使用者が、報知された負荷の湯温となるように、湯張り温度を変更することにより設定される。あるいは、図12に示した変更例4のように、給湯装置10において、浴槽浴の負荷に応じた湯温に、湯張り温度が自動で変更されてもよい。
【0257】
なお、携帯端末装置20が、上記アプリケーションプログラムにより、図14の馴化時期判断部133a、報知処理部133bおよび習慣設定部133cの機能を実行可能であってもよい。この場合は、携帯端末装置20により使用者が特定されるため、携帯端末装置20の馴化時期判断部133aおよび習慣設定部133cの機能により補正した暑熱馴化のための浴槽浴の時期および負荷に基づき、携帯端末装置20において、暑熱馴化の浴槽浴のための報知が行われればよい。
【0258】
変更例6の構成によれば、汗のかきやすさに関する使用者の習慣(運動習慣、入浴習慣)に基づいて、暑熱馴化のための浴槽浴を行うべき時期が補正されるため、使用者ごとに適正な時期に、暑熱馴化のための浴槽浴を進めることができる。
【0259】
また、図17および図18を参照して説明したように、暑熱馴化のための浴槽浴の時間(負荷)が、習慣設定部133cにより設定された使用者の習慣(運動習慣、入浴習慣)に基づき補正され、補正された浴槽浴の時間が、図5(a)、(b)または図13と同様の報知処理により、使用者に報知される。これにより、使用者は、自身の汗のかきやすさに関する習慣(運動習慣、入浴習慣)に適する浴槽浴の時間(負荷)で、暑熱馴化のための浴槽浴を行うことができる。
【0260】
また、図15(a)、(b)に示したように、習慣設定部133cは、使用者からの入力を受け付ける入力部(携帯端末装置20の表示入力部201)を介して、当該使用者の習慣(運動習慣、入浴習慣)を取得する。これにより、汗のかきやすさに関する使用者の習慣(運動習慣、入浴習慣)を使用者自身からの入力により円滑に取得できる。
【0261】
なお、汗のかきやすさに関する使用者の習慣の入力は、台所リモコン13が受け付けてもよい。たとえば、台所リモコン13の制御部133は、各々の使用者の識別情報として氏名やニックネーム等の入力を受け付けて、記憶部134に記憶させる。そして、3月末または4月初旬の所定の期間において、記憶した使用者の識別情報を選択候補として表示させながら、各々の使用者から、汗のかきやすさに関する当該使用者の習慣の入力を受け付ける。
【0262】
使用者は、選択候補から自身の識別情報を選択して、汗のかきやすさに関する習慣の入力を行う。この入力の際には、図15(a)、(b)と同様の選択項目が、台所リモコン13の表示入力部131に表示されればよい。使用者が、自身に対応する選択項目を選択することで、汗のかきやすさに関する習慣(運動習慣、入浴習慣)の入力(ここでは、さらに年齢層の入力)が完了する。制御部133は、入力された情報を記憶部134に記憶させて、図16および図17に示した処理を実行し、使用者ごとに、暑熱馴化のための浴槽浴の時期および負荷を設定する。
【0263】
この場合、入浴開始の入力が、さらに、台所リモコン13で受け付けられてよい。台所リモコン13の制御部133は、各々の使用者が入浴する際に、自身が管理する全ての使用者の識別情報(氏名やニックネーム等)を表示入力部131に表示させて、入浴者が何れの使用者であるかの入力を受け付ける。
【0264】
たとえば、台所リモコン13の制御部133は、使用者からの操作に応じて、図20の受付画面を表示入力部131に表示させて、入浴者の選択を使用者に促す。使用者は、受付画面上の選択項目のうち、自身の識別情報に対応する選択項目にタッチする。この入力により、入浴対象の使用者が特定されると、制御部133は、上記と同様、特定した使用者における暑熱馴化のための浴槽浴の時期および負荷に応じて、図5(a)、(b)の報知を実行する。図5(a)の報知は、焦電センサ128の検知結果により使用者が浴室に入室したと判定された後に行われればよい。このとき、使用者の識別情報(氏名やニックネーム等)が併せて報知されてもよい。
【0265】
また、上記実施形態では、汗のかきやすさに関する使用者の習慣が、使用者からの入力により取得されたが、この習慣を取得する方法はこれに限られない。
【0266】
たとえば、習慣設定部133cは、使用者からの入力を受け付ける入力部を介して、使用者が入浴することの入浴開始情報を取得し、取得した入浴開始情報と、入浴検知部111aの検知情報とに基づいて、当該使用者の入浴習慣を推測してもよい。すなわち、これらの情報から、使用者ごとに、浴槽浴の頻度を取得し、取得した頻度に基づいて、各々の使用者の入浴習慣が推測されてもよい。
【0267】
この場合、入力部は、たとえば、図19(b)に示した携帯端末装置20の表示入力部201であってよい。ポップアップ画面P10のボタンB9がタッチされると、その通知が、携帯端末装置20に識別情報とともに、携帯端末装置20からサーバ50を介して台所リモコン13に送信される。台所リモコン13の制御部133(習慣設定部133c)は、この通知を、入浴開始情報として取得すればよい。
【0268】
その後、制御部133(習慣設定部133c)は、浴室に対する使用者の入退室を焦電センサ128の検知結果により判定する。また、制御部133(習慣設定部133c)は、使用者が浴室に入ってから浴室を出るまでの間に、入浴検知部111aの検知結果から、当該使用者が浴槽内の湯に浸かったか否かを判定する。制御部133(習慣設定部133c)は、当該使用者が所持する携帯端末装置20の識別情報に紐付けて、浴室に対する入室ごと(入浴ごと)に、浴槽内の湯に当該使用者が浸かったか否かを示すフラグ情報を記憶させる。
【0269】
こうして、使用者ごとに、浴槽内の湯に浸かる頻度(浴槽浴の頻度)が管理される。制御部133(習慣設定部133c)は、たとえば、暑熱馴化浴の開始前の一定期間、たとえば、2月1日から3月31日までの2ヶ月間において、上述の処理を実行し、この期間における各々の使用者の浴槽浴の頻度を算出する。そして、制御部133(習慣設定部133c)は、この頻度に応じて、当該使用者の入浴習慣を設定する。
【0270】
たとえば、この期間における入浴総回数(入浴のために浴室に入った回数)に対する浴槽浴の総回数の比率が60%以上である場合、入浴習慣は「基本的に湯船に浸かる」に設定され、この比率が60%未満である場合、入浴習慣は「基本的にシャワー浴」に設定される。制御部133(習慣設定部133c)は、こうしてユーザごとに設定した入浴習慣により、図16の左側のテーブルにおける入浴習慣の項目のポイントを取得すればよい。この場合、図15(b)の受付画面からボタンB6a、B6bが省略される。
【0271】
この構成によれば、入浴開始情報と入浴検知部111aの検知結果(検知情報)とに基づいて、使用者が入浴時に浴槽浴を行ったか否かが給湯装置10側で判定されて、当該使用者の入浴習慣が決定される。このため、別途、使用者から、入浴習慣の設定のための入力を受け付ける必要がなく、また、使用者の実際の浴槽浴の状況に基づいて入浴習慣が推測されるため、使用者の入浴習慣を適正に設定できる。
【0272】
なお、この場合も、図20の場合と同様、入浴対象の使用者が、台所リモコン13に対する入力により特定されてもよい。この場合、使用者の識別情報(氏名やニックネーム等)に紐付けて、使用者が各回の入浴時に浴槽浴を行ったか否かのフラグ情報が管理されればよい。そして、上記と同様、一定期間における各々の使用者のフラグ情報から、各々の使用者の入浴習慣が決定されればよい。
【0273】
図15(a)、(b)および図16の例では、汗のかきやすさに関する使用者の習慣(運動習慣、入浴習慣)とともに、使用者の年齢層が加味されて、使用者の汗のかきやすさのタイプが決定されたが、使用者の年齢層は加味されずに、汗のかきやすさに関する使用者の習慣(運動習慣、入浴習慣)のみから、使用者の汗のかきやすさのタイプが決定されてもよい。
【0274】
また、汗のかきやすさに関する使用者の習慣は、運動習慣および入浴習慣に限られるものではなく、たとえば、日中に屋内と屋外の何れで過ごすことが多いかの習慣等が、汗のかきやすさに関する使用者の習慣の1つに含まれてもよい。また、暑熱馴化の時期の補正に用いる習慣は、必ずしも、運動習慣と入浴習慣の両方でなくてもよく、たとえば、使用者の入浴習慣のみに基づいて、当該使用者に対する暑熱馴化の時期が補正されてもよい。
【0275】
また、運動習慣および入浴習慣の区分は、必ずしも、図16に示した区分でなくてもよく、たとえば、運動習慣および入浴習慣がさらに細かく区分されてもよい。
【0276】
たとえば、入浴習慣が、「2日に1回以上湯船に浸かる」、「週に3回湯船に浸かる」、「週に1、2回湯船に浸かる」および「湯船に浸からずシャワー浴のみ」の4段階に区分されてもよい。運動習慣についても、「週に5日以上汗をかく程度の運動している」、「週に3、4回汗をかく程度の運動している」、「週に1、2回汗をかく程度の運動をしている」および「運動は殆どしていない」の4段階に区分されてもよい。
【0277】
この場合、汗のかきやすさのタイプの区分の数も、運動習慣および入浴習慣の区分の増加に応じて増加してよく、これに応じて、補正により、図17における報知開始基準日より前に付加される暑熱馴化浴の期間および負荷のバリエーションも増加されてよい。年齢層も、さらに細かく区分されてもよい。
【0278】
また、図17の例では、暑熱馴化のための浴槽浴の終期が、タイプ1、2、3で同じであったが、タイプ1、2、3とで暑熱馴化のための浴槽浴の終期が異なっていてもよい。たとえば、タイプ1に比べてタイプ3の終期がやや遅らされ、タイプ3に比べてタイプ2の終期がやや遅らされてもよい。
【0279】
<その他の変更例>
上記実施形態1、2では、図5(a)、(b)に示した報知が行われ、上記実施形態2の変更例5では、図13に示した報知が行われたが、これらの報知に加えて、さらに、暑熱馴化のための浴槽浴の前に使用者に水分補給を促すための報知が行われてもよい。これにより、使用者は、入浴前に水分補給を行うことで、暑熱馴化のための浴槽浴の際に汗をかきやすくなり、また、汗をかいても脱水状態になりにくくなる。よって、使用者は、暑熱馴化のための浴槽浴を効果的かつ適切に進めることができる。
【0280】
ここで、水分補給を促すための報知は、たとえば、「水分補給を行った後に入浴することをお勧めします」とのメッセージを、浴室リモコン12、台所リモコン13および携帯端末装置20において、表示および音声で出力させることにより行われ得る。これにより、使用者は、自身が入浴する前に水分補給を行うことが好ましいことを把握でき、水分補給を円滑に行い得る。
【0281】
なお、このような水分補給に関する報知は、使用者が浴室リモコン12や台所リモコン13の入力部(入力部122、表示入力部131)を介して湯張り機能の実行操作を行ったタイミングにおいて行われると、さらに好ましい。
【0282】
すなわち、入浴前に水分補給を行う場合、医学的には、浴槽浴を開始する20~30分前辺りで水分補給を行うことが好ましいと言われている。他方、浴槽に対する湯張りには、通常、10~15分程度かかる。このため、上記のように、使用者が入浴のために湯張り機能の実行操作を行ったタイミングで水分補給に関する報知が行われると、この報知に応じて使用者が水分補給を行った場合に、使用者は、その水分補給から20~30分後あたりで浴槽浴を行うことになる。よって、使用者は、暑熱馴化のための浴槽浴前の水分補給を適切に行うことができる。
【0283】
図21は、この場合の処理を示すフローチャートである。
【0284】
図21の処理は、浴室リモコン12の報知処理部123aおよび台所リモコン13の報知処理部133bによってそれぞれ行われる。
【0285】
報知処理部123a、133bは、使用者から湯張り操作を受け付けると(S601:YES)、その日に図4(a)、(b)の処理によって報知の処理が設定されたか否かを判定する(S602)。報知の処理が設定された場合(S602:YES)、報知処理部123a、133bは、上述の水分補給に関する報知を実行する(S603)。他方、報知の処理が設定されていない場合(S602:NO)、報知処理部123a、133bは、ステップS603をスキップして、処理を終了する。これにより、使用者は、上記のように、その後の暑熱馴化のための浴槽浴を適切に進めることができる。
【0286】
上記実施形態1では、馴化時期判断部133aの機能が台所リモコン13の制御部133に付与されたが、この機能が、給湯器11の制御部111または浴室リモコン12の制御部123に付与されてもよい。この場合、暑熱馴化指標情報134aも、給湯器11の記憶部112または浴室リモコン12の記憶部124に記憶される。
【0287】
同様に、実施形態2の構成においても、馴化時期判断部133aの機能が給湯器11の制御部111または浴室リモコン12の制御部123に付与され、暑熱馴化指標情報134aも、給湯器11の記憶部112または浴室リモコン12の記憶部124に記憶されてもよい。
【0288】
あるいは、図9に示す実施形態2の構成において、馴化時期判断部133aの機能がサーバ50に付与されてもよい。この場合、サーバ50には、給湯装置10が設置された地域を示す地域情報が、台所リモコン13から送信され登録される。サーバ50は、給湯装置10ごとに、図6(b)と同様の処理を実行し、当日が暑熱馴化の時期に該当した場合に、台所リモコン13に対して、暑熱馴化のための浴槽浴を報知させるための通知を送信すればよい。この通知に応じて、浴室リモコン12および台所リモコン13は、図5(a)、(b)と同様の報知を行えばよい。また、この通知がさらにサーバ50から携帯端末装置20に送信され、携帯端末装置20において図13の報知が行われてもよい。
【0289】
また、図9の構成に加えて、さらに、他の制御装置がサーバ50および台所リモコン13と通信可能であれば、この制御装置が、馴化時期判断部133aの機能を実行してもよい。
【0290】
また、図9の構成では、サーバ50が他のサーバに適宜アクセスして、暑熱馴化指標情報134aを生成するための情報を取得したが、この処理が、サーバ50に対する管理者の操作によって行われてもよい。また、図9の構成では、台所リモコン13が外部通信網40と通信可能であったが、給湯器11や他の制御装置等が外部通信網40と通信可能であってもよい。
【0291】
また、室温センサ127は、必ずしも、浴室リモコン12に配置されなくてもよく、たとえば、浴室3内の浴室リモコン12とは別の位置に配置されてもよい。
【0292】
さらに、給湯器11の構成は、図2および図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。また、給湯装置10(ふろ装置)は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。給湯装置10は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0293】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0294】
1 給湯システム(ふろシステム)
2 浴槽
3 浴室
10 給湯装置(ふろ装置)
12 浴室リモコン(温度設定部)
13 台所リモコン(温度設定部)
123a、133b 報知処理部
133a 馴化時期判断部
134 記憶部
134a 暑熱馴化指標情報
127 室温センサ
S2 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21