(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166114
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】防音壁及び防音壁の設計方法、パーティション及びパーティションの設計方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20241121BHJP
E04B 1/82 20060101ALI20241121BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20241121BHJP
E01F 8/00 20060101ALI20241121BHJP
G10K 11/172 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G10K11/16 110
G10K11/16 120
E04B1/82 P
E04B2/74 561H
E01F8/00
G10K11/172
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024077198
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2023081613
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】増田 崇
【テーマコード(参考)】
2D001
2E001
5D061
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001CA01
2D001CB02
2E001DF01
2E001FA03
2E001FA07
2E001FA30
2E001GA20
5D061CC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】敷地面積を有効活用でき、かつ、主要騒音源の音源位置の高さと同じ程度の高さであっても十分な騒音低減効果を得る防音壁を提供する。
【解決手段】防音壁100は、騒音源側と受音側との間に配される防音壁本体10と、防音壁本体10に取り付けられる両端開管20と、を含む。両端開管20は、騒音源側において、いずれか一方の開口が上方に向けられ、上側開口21の端部が防音壁本体10の頭頂部に並ぶように配されており、騒音源の音源位置の高さに対して、防音壁本体10の高さが下式で定義する位相差aが-0.4π以上となるように設定される。
a=(u-v)×2π×f/c
ここで、
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音源側と受音側との間に配される防音壁本体と、当該防音壁本体に取り付けられる両端開管とを含む防音壁であって、
両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口が上方に向けられ、上側開口の端部が防音壁本体の頭頂部に並ぶように配されており、
騒音源の音源位置の高さに対して、前記防音壁本体の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定されることを特徴とする防音壁。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【請求項2】
前記防音壁本体の高さが、音源位置の高さ以上となるよう設定されることを特徴とする請求項1に記載の防音壁。
【請求項3】
前記防音壁本体に沿って両端開管が一列で複数配されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防音壁。
【請求項4】
前記防音壁本体に沿って両端開管が複数列で複数配されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防音壁。
【請求項5】
両端開管の断面が矩形であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防音壁。
【請求項6】
騒音源側と受音側との間に配される防音壁本体と、当該防音壁本体に取り付けられる両端開管とを含む防音壁を設計する方法であって、
両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口を上方に向け、上側開口の端部が防音壁本体の頭頂部に並ぶように配し、
騒音源の音源位置の高さに対して、前記防音壁本体の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定することを特徴とする防音壁の設計方法。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【請求項7】
オープンプランオフィスに配されるパーティション本体と、当該パーティション本体に取り付けられる両端開管とを含むパーティションであって、
両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口が上方に向けられ、上側開口の端部がパーティション本体の頭頂部に並ぶように配されており、
騒音源の音源位置の高さに対して、前記パーティション本体の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定されることを特徴とするパーティション。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【請求項8】
前記パーティション本体が、パーソナルブース間に配されるものであって、
前記両端開管が、前記パーティション本体の第1主面側、及び、前記第1主面と表裏の関係にある第2主面側の双方に配されることを特徴とする請求項7に記載のパーティション。
【請求項9】
オープンプランオフィスに配されるパーティション本体と、当該パーティション本体に取り付けられる両端開管とを含むパーティションを設計する方法であって、
両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口を上方に向け、上側開口の端部がパーティション本体の頭頂部に並ぶように配し、
騒音源の音源位置の高さに対して、前記パーティション本体の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定することを特徴とするパーティションの設計方法。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音源側と受音側との間に配される防音壁本体と、この防音壁本体に取り付けられる両端開管とからなる防音壁、及びこのような防音壁の設計方法、当該防音壁と同様の原理による騒音低減効果を有するパーティション、及びこのようなパーティションの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
騒音源から発せされる騒音が周辺へ拡散することを防止する方法としては、防音壁が一般的に用いられる。防音壁は高さが高いほどその騒音低減効果は大きいが、高さの高い防音壁は自身の構造を保持する為、また風等による荷重に耐える必要性から、防音壁本体とその支持構造を強固に構成する必要があり、荷重の増大と製造・設置費用の増大を招く。
【0003】
荷重の増大は、防音壁を設置する建物や高架道路等の構造に負荷をかけることになり、その対策にも費用が必要になる。防音壁を既存の建物や高架道路等に設置する場合、荷重の制限から十分な高さの防音壁を設置できない場合もある。
【0004】
また、騒音源によっては、その特徴から騒音の対策として周囲に十分に高い防音壁を設置できない場合がある。例えば、熱交換のため吸排気を必要とする空調室外機や、燃料を燃焼させて発電する工事用発電機などは、周囲に高い防音壁を設置すると排気口から排出された空気が吸気口から取り込まれるショートカットが生じ、本来の目的である熱交換や発電の性能が低下する。
【0005】
これらの機器から発生する騒音の対策として設置される防音壁は、必要な騒音低減性能を得るためには機器の大きさを超える高さが必要であるとしても、前記の吸排気に係るショートカットの発生を防ぐため、機器と同程度の高さに制限される、という課題があった。
【0006】
例えば、クーリングタワーやチラーユニットの一部は機器が大型であることに加え、機器頭頂部に主要な騒音発生源である吸排気用のファン、あるいは開口が設けられている場合が多い。その騒音対策に防音壁を用いて十分な騒音低減性能を得るには、機器頭頂部にあるファンや吸排気用開口を大きく超える高さにする必要がある。
【0007】
しかしながら、前記の通り機器の本来目的である熱交換性能を確保するためには、頭頂部の高さを超える防音壁を周囲に設置することができず、騒音対策上必要な高さを確保できない場合がある(
図6参照)。
【特許文献1】特開2019-191576号公報
【特許文献2】特開平10-37342号公報
【非特許文献1】日本音響学会騒音・振動研究会資料N-2023-01,「開管を上端に配列した防音壁の遮音性能に関する数値解析による検討」,石塚崇
【非特許文献2】騒音制御,“先端改良型防音壁”,Vol.28,No.5,pp.317-322,大久保朝直,2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明者は特許文献1において、防音壁の高さを増さずに騒音低減効果を増加させる方法として、両端が開放された管を、一端を上方に向けて配列し、防音壁本体の頭頂部に設置する方法を提案している。以下、本明細書においては、このような管を両端開管と言い、複数の両端開管の配列を防音壁本体頭頂部に設置した防音壁を開管配列型防音壁と言う。特許文献1に記載の発明では、両端開管により騒音低減効果を得るためには、両端開管は防音壁本体頭頂部の受音側、即ち騒音源と反対側に配列する必要があるとしている。
【0009】
しかしながら、例えば、工場敷地内で敷地境界に面した屋外設備機器ヤードから発生する騒音の対策に防音壁を設置する際には、敷地の有効利用の観点から防音壁は敷地境界線に沿って設置される場合が多い。この場合、特許文献1記載の発明のように、両端開管を受音側(工場敷地の外側)に配置しようとしても、敷地境界線を越えてしまうため設置できない、という課題があった。また、両端開管を受音側に設置するために、防音壁を敷地境界線から工場敷地側に下げて設置することとなるので、有効利用できる敷地面積が減少してしまう。
【0010】
また、特許文献1に記載の方法とは別に、防音壁の高さを増さずに防音壁の騒音低減効果を増加させる効果を持つ“先端改良型防音壁”が様々に提案されている。非特許文献2や特許文献2に記載の技術のように、防音壁頭頂部の形状を変化させる、吸音材を配置する、片側が閉鎖されている音響管を配列する等の方法で、通常の直壁と比べて騒音低減効果を大きくすることが可能である。
【0011】
しかしながら、これらの先端改良型防音壁は、騒音が防音壁頭頂部を回り込む角度(回折角)が大きいほどその効果(直壁に対する騒音低減効果の増加分)が大きいという特徴を持つ。言い換えると、元々の防音壁の高さが騒音源の高さよりも高ければ高いほど、大きな効果が得られるという特徴を持つ。
【0012】
したがって、
図6のような、防音壁の高さが、主要な騒音源となる機器と同じ程度の高さしかない場合は、これまで提案されていた先端改良型防音壁による騒音低減効果を増加させる効果が十分に得られない、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、上記課題を解決するものであって、本発明に係る防音壁は、騒音源側と受音側との間に配される防音壁本体と、当該防音壁本体に取り付けられる両端開管とを含む防音壁であって、両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口が上方に向けられ、上側開口の端部が防音壁本体の頭頂部に並ぶように配されており、騒音源の音源位置の高さに対して、前記防音壁本体の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定されることを特徴とする。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【0014】
また、本発明に係る防音壁は、前記防音壁本体の高さが、音源位置の高さ以上となるよう設定されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る防音壁は、前記防音壁本体に沿って両端開管が一列で複数配されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る防音壁は、
前記防音壁本体に沿って両端開管が複数列で複数配されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る防音壁は、両端開管の断面が矩形であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る防音壁の設計方法は、騒音源側と受音側との間に配される防音壁本体と、当該防音壁本体に取り付けられる両端開管とを含む防音壁を設計する方法であって、両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口を上方に向け、上側開口の端部が防音壁本体の頭頂部に並ぶように配し、騒音源の音源位置の高さに対して、前記防音壁本体の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定することを特徴とする。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【0019】
また、本発明に係るパーティションは、オープンプランオフィスに配されるパーティション本体と、当該パーティション本体に取り付けられる両端開管とを含むパーティションであって、両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口が上方に向けられ、上側開口の端部がパーティション本体の頭頂部に並ぶように配されており、騒音源の音源位置の高さに対して、前記パーティション本体の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定されることを特徴とするパーティション。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【0020】
また、本発明に係るパーティションは、前記パーティション本体が、パーソナルブース間に配されるものであって、前記両端開管が、前記パーティション本体の第1主面側、及び、前記第1主面と表裏の関係にある第2主面側の双方に配されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るパーティションの設計方法は、オープンプランオフィスに配されるパーティション本体と、当該パーティション本体に取り付けられる両端開管とを含むパーティションを設計する方法であって、
両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口を上方に向け、上側開口の端部がパーティション本体の頭頂部に並ぶように配し、
騒音源の音源位置の高さに対して、前記パーティション本体の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定することを特徴とするパーティションの設計方法である。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る防音壁によれば、位相差aが適切な設定となる範囲(位相差aが-0.4π以上)で、両端開管が防音壁本体の騒音源側に取り付けられているので、防音壁を敷地境界に設けられ、敷地面積を最大限に有効活用することが可能となる。また、本発明に係る防音壁によれば、防音壁本体の高さが、騒音源の音源位置の高さと同じ程度の高さであったとしても、十分な騒音低減効果を得ることができる。
【0023】
また、本発明に係る防音壁の設計方法によれば、敷地境界に設けられ、敷地面積を最大限に有効活用することが可能な防音壁を設計できる。また、本発明に係る防音壁の設計方法によれば、騒音源の音源位置の高さと同じ程度の高さであったとしても、十分な騒音低減効果が得られる防音壁を設計できる。
【0024】
また、本発明に係るパーティションによれば、位相差aが適切な設定となる範囲(位相差aが-0.4π以上)で、両端開管がパーティション本体の騒音源側に取り付けられているので、十分な回折音低減効果(回折減衰量の向上効果)を得ることができる。
【0025】
また、本発明に係るパーティションの設計方法によれば、十分な回折音低減効果(回折減衰量の向上効果)を得ることができるパーティションを設計できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る防音壁100の斜視図である。
【
図2】両端開管20が取り付けられた防音壁本体10の主面に対する垂直面できってみた模式的縦断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る防音壁100において、両端開管20の開口付近の音圧が極小になる音源位置と両端開管20の位置関係(理想状態の位置関係)を示す図である。
【
図5】数値解析の結果を示す図(位相差aと両端開管の効果の関係を示す図)である。
【
図6】防音壁の高さを主要な騒音源となる機器の高さと同程度にせざるを得ない例を示す図である。
【
図7】オープンプランオフィス200の状況の一例を示す模式図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るパーティション300の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係る防音壁100の斜視図である。本発明に係る防音壁100は、騒音源側と受音側との間に配される防音壁本体10と、この防音壁本体10に取り付けられる両端開管20とを含むものである。
【0028】
本発明に係る防音壁100における防音壁本体10は一般的なものを用いることができる。このような防音壁本体10の一方の主面は騒音源側に配され、他方の主面は受音側に配されることが想定されている。本明細書においては、前者の主面を騒音源側主面11と称し、後者の主面を受音側主面12と称する。また、両端開管20は、騒音低減効果を増加する目的で、防音壁本体10に取り付けられる。ここで、両端開管20は、両側に開口を有する音響管である。
【0029】
両端開管20は、防音壁本体10の騒音源側主面11において、いずれか一方の開口が上方に向けられるようにして設けられている。両端開管20は、平面視でみて上側開口21から下側開口22までが貫通する空洞となるように、防音壁本体10の騒音源側に設けられている。
【0030】
図1に示す防音壁100においては、両端開管20の水平方向の断面が矩形であるものを想定しているが、両端開管20の断面形状はこれに限定されるものではなく、防音壁100に用いる両端開管20としては、円形断面、三角形断面、その他多角形断面を持つ両端開管を用いることができる。
【0031】
また、
図1に示す防音壁100においては、同じ長さの複数の両端開管20が、防音壁本体10の騒音源側に1列に配列した場合が示されているが、本発明に係る防音壁100においては、同じ長さの複数の両端開管20を複数列、防音壁本体10の騒音源側に配列するようにしてもよい。
【0032】
以上のような構成において、本発明に係る防音壁100及び、防音壁100の設計方法においては、騒音源の音源位置(主要な騒音の音源点)の高さに対して、防音壁本体10の頭頂部の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定されるものである(
図2の配置関係参照)。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管20の下側開口22に到達する音波、及び上側開口21に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管20の下側開口22までの距離
v:音源位置から両端開管20の上側開口21までの距離
f:波長の半分が両端開管20の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【0033】
本明細書においては、πは円周率である。
【0034】
発明者が非特許文献1に示したように、両端開管の中心から管軸と垂直な方向へ管外に離れて位置する騒音源から、両端開管の長さが半波長と等しくなる周波数またはその整数倍の周波数の音波が入射すると、両端開管の内部に定在波が生じ、その結果両端の開口付近の音圧は極めて小さくなる(非特許文献1の第2節、Fig.1、Fig.3参照)。発明者による非特許文献1の記載内容は、参照されることで、本明細書に援用されるものである。
【0035】
この両端開管20と騒音源の位置関係を維持したまま、両端開管20を防音壁本体10の頭頂部の騒音源側に配列すると(
図3参照)、両端開管20の長さが半波長と等しくなる周波数またはその整数倍の周波数では、上側開口21の端部付近すなわち防音壁本体10の上端付近の音圧が極めて小さくなる。
【0036】
防音壁本体10により騒音源が視覚的に見えなくなる、いわゆる影の領域に位置する点においては、騒音が防音壁本体10を回折して到達する為、防音壁本体10の頭頂部が仮想的な音源と見なせる。両端開管20の長さが半波長と等しくなる周波数またはその整数倍の周波数では、この仮想的な音源付近の音圧が極めて小さくなるため、防音壁本体10を回折して影の領域に位置する点に到達する騒音の音圧が小さくなる。すなわち、両端開管20を防音壁本体10の頭頂部の騒音源側に配置することで、高さを増さずに防音壁の騒音低減効果を向上することが実現できる。
【0037】
ただし、
図3に示した騒音源と両端開管20の位置関係は、前記位相差aが0であり、両端開管20の両方の開口に同じ位相の音波が入射する理想的な状態である。実際には騒音源と両端開管20の位置関係が多少程度ずれたとしても、ある程度の効果が得られると考えられる。そのずれの程度を明らかにするために下記の数値実験を行った。
【0038】
以下、数値実験には2次元境界要素法による波動音響解析を用いた。解析対象音場を
図4に示す。この解析対象音場においては、厚さ10mmの薄い防音壁本体10の騒音源側に長さ340mm、幅150mmの両端開管20を配列している。
【0039】
(騒音の)音源点は防音壁から1m、3m、5m離れた位置で、図中に破線で示した鉛直方向に設定される音源ライン1~3に100mm間隔で設定した。なお、計算においては音源点の何れか1点から音波が発生せられるものとしている。(すべての音源点から同時に音波が発せられるのではない。)
受音点としては、防音壁本体10から、音源点と反対側に3m、及び10m離れた位置で、防音壁本体10の頭頂部から3m低い高さに受音点1、および受音点2を設定した。
【0040】
計算の都合上、防音壁本体10は完全反射性で無限に平坦な地面上に立てられていると仮定するが、非特許文献1第4節に記載の手法で計算を行い、地面からの反射波の影響を取り除いている。この手法を用いるためには防音壁本体10は十分に高い必要があるが、ここでは地面からの反射波を取り除くために十分な、高さ18.8mとしている。これにより、音源側及び受音側の地面からの反射波の影響を取り除き、音源から防音壁本体10頭頂部を回折して受音点に到達する経路をたどる音波のみを計算することになる。
【0041】
前記の手法により算出した防音壁本体10背後(受音側)の受音点における音圧レベルから、中心周波数500Hzの1/3オクターブ帯域における、両端開管20の効果、すなわち両端開管20の有無による受音点での音圧レベルの低減量を求めた。なお、500Hzは、波長の半分がこの数値実験における両端開管20の長さ340mmと等しくなる周波数である。
【0042】
図5は数値解析の結果を示す図である。
図5においては、横軸を前記位相差a、縦軸を前記両端開管20の効果とした計算結果が示されている。
【0043】
音源点と防音壁本体10との高さ関係により、位相差aが大きく変化するため、結果は音源ラインと受音点の組み合わせごとにプロットしている。
【0044】
防音壁本体10と音源点、および受音点の距離により効果のピーク値は異なるものの、いずれの組み合わせにおいても位相差aが-0.4π以上において両端開管20の効果が0以上であり、防音壁本体10背後の受音点において音圧レベルが低下していることが明らかである。
【0045】
位相差aが0以下ということは、音源点が両端開管20の中心より下方に位置すること、逆に言えば防音壁本体10が
図3の状態より騒音源に対して相対的に高いことを意味している。これは、位相差aが適切な範囲(位相差aが-0.4π以上)に収まるのであれば、騒音源と防音壁本体10の高さの関係は
図3に示す理想的な関係でなくても良いことが示している。
【0046】
ただし、あまり防音壁本体10を高くすると、位相差aが-0.4πより小さくなり、両端開管20の効果は得られない。これは、防音壁の効果向上のために上端部の形状を変えたり、何らかの騒音低減装置を取り付けたりする先端改良型防音壁において、元々の防音壁が騒音源より高ければ高いほどその効果向上が大きく得られる、という一般な傾向と異なる特徴を示している。
【0047】
すなわち、本発明による両端開管20を防音壁本体10頭頂部の騒音源側に配置する設定が、ファン等の主要な騒音源が機器上部にあるにもかかわらず、熱交換や換気の必要性から機器と同程度の高さの防音壁しか設置できない場合においても、防音壁100の高さを増さずに騒音低減性能を向上することついて、他の方法より有効であることを示す。
【0048】
一方で、音源点が両端開管20の中心より上方に位置する場合、逆に言えば防音壁本体10が
図3の状態より騒音源に対して相対的に低い場合は、位相差aは0以上となる。この場合も位相差aが0.6π程度までであれば両端開管20の効果が得られることが
図5から分かる。
【0049】
ただし、以下の理由から本発明においては、両端開管配列型防音壁の高さは最低でも騒音源の高さと同程度としている。すなわち、本発明に係る防音壁100においては、少なくとも防音壁本体10の高さが、音源位置の高さ以上となるよう設定される。
【0050】
これは、防音壁本体10が騒音源の高さより低くなると、防音壁本体10背後において騒音源が直接見通せる領域が広がってくる。このような領域では防音壁100そのものの騒音低減効果が大きく低下し、そこに両端開管20による効果が加わったとしても、全体として十分な騒音低減効果が得られないためである。
【0051】
なお、何らかの理由で防音壁100の高さを騒音源より低くしなければならない場合には、上記のように位相差aが0.6π以下の範囲であれば両端開管20による騒音低減効果を得ることはできる。
【0052】
以上、本発明に係る防音壁100によれば、位相差aが適切な設定となる範囲(位相差aが-0.4π以上)で、両端開管20が防音壁本体10の騒音源側に取り付けられているので、防音壁100を敷地境界に設けられ、敷地面積を最大限に有効活用することが可能となる。また、本発明に係る防音壁100によれば、防音壁本体10の高さが、騒音源の音源位置の高さと同じ程度の高さであったとしても、十分な騒音低減効果を得ることができる。
【0053】
また、本発明に係る防音壁の設計方法によれば、敷地境界に設けられ、敷地面積を最大限に有効活用することが可能な防音壁を設計できる。また、本発明に係る防音壁の設計方法によれば、騒音源の音源位置の高さと同じ程度の高さであったとしても、十分な騒音低減効果が得られる防音壁を設計できる。
【0054】
また、本発明に係る防音壁100によれば、ファン等の主要な騒音源が機器上部にあるにもかかわらず、熱交換や換気の必要性から機器と同程度の高さの防音壁100しか設置できない場合においても、防音壁100の高さを増さずに騒音低減性能を向上できる。これは、必要な騒音低減対策をとりつつ、熱交換性能や換気性能を確保できることを意味する。
【0055】
また、本発明に係る防音壁100では、両端開管20を防音壁本体10頭頂部の騒音源側に配列した場合において、上記効果を得ることができる。
【0056】
また、本発明に係る防音壁100によれば、荷重や費用の制限から十分な高さの防音壁を設置できない場合においても騒音低減効果を増加させることができる。
【0057】
また、本発明によれば、 既設防音壁の騒音低減効果が十分でない場合において、両端開管20を増設することで、防音壁本体や支持構造に大幅な変更を加えることなく、騒音低減効果を増加させることができる。
【0058】
また、本発明に係る防音壁100においては、両端開管20の両側は開放されている為、ゴミや雨水が管内に蓄積することがなく、メンテナンス不要である。また、ゴミ除けや水抜き孔を設ける必要が無く、一方の開口端部を塞ぐことも不要であるため、構造が単純で、低コストで製造可能である。
【0059】
次に、本発明に係るパーティション300について説明する。本発明に係るパーティション300では、両端開管をオープンプランオフィスの執務スペースを区切るパーティションの騒音低減量向上に利用する。
図7に示すように、オープンプランオフィスでは、例えば、個人のパーソナルブースや、少人数用の執務スペース(図示せず)を他の執務スペースと区切るために、パーティションが設置されることがある。
【0060】
この場合、オープンプランオフィスで用いられるパーティションとしては、オフィス空間の開放感を損なわないために、またコミュニケーションを円滑に行うために、高さ1.2m以上1.4m以下程の比較的低いものが使われる場合が多い。なお、本明細書では、高さ1.2m以上1.4m以下程度の比較的低いパーティションを「ロー・パーティション」と呼び、高さ1.8m程度の高いパーティション(ハイ・パーティション)と区別することがある。
【0061】
このようなオープンプランオフィスにおいては、ある執務スペースに居る執務者(
図7中央のWeb会議参加者)が発した音声は、パーティションを回折(回り込んで)隣接する他のスペース(
図7の左右の執務者のスペース)に伝搬する。
【0062】
しかし、オープンプランオフィスで用いられるロー・パーティションの高さが低いため、その回折減衰量は小さく、音声はあまり減衰することなく隣接する他のスペース(ブース)に伝搬し、隣接する他のスペースにおいて他の執務者の会議、打ち合わせ、その他の作業を妨害することがある。
【0063】
ハイ・パーティションで構成されたパーソナルブースから漏洩する音声を低減する手段としては、発明者はこれまで特願2023-079283を提案しているが、上述のように回折減衰がほとんど期待できないロー・パーティションで構成された個人または少人数用の執務スペースから漏洩する音声を低減することは、これまで出来なかった。
【0064】
なお、ロー・パーティションの内側を吸音処理する手法を用いることができるが、パーティションで囲われた内部の空間における音の多重反射を抑えることは可能であるが、パーティションによる回折減衰量を向上する効果は得られない。
【0065】
そこで、本発明に係るパーティション300に対しては、先の防音壁100の回折減衰量の向上に係る技術を適用するものである。本発明に係るパーティション300及びこのようなパーティション300の設計方法は、先の実施形態に係る防音壁100と同様の原理による騒音低減効果を有するものである。先の実施形態に係る防音壁100の「防音壁本体10」、「両端開管20」が、それぞれ本発明に係るパーティション300の「パーティション本体210」、「両端開管220」に対応するものである。
【0066】
図8は本発明の実施形態に係るパーティション300の斜視図である。本発明に係るパーティション300におけるパーティション本体210は一般的なものを用いることができる。パーティション本体210は、吸音処理が施されているものが用いられることも好ましい実施態様である。なお、本明細書においては、パーティション本体210の一方の主面を第1主面211と称し、第1主面211と表裏の関係にある主面を第2主面212と称する。
【0067】
一般的にオープンプランオフィス200で用いられるパーティション本体210(ロー・パーティション)においては、どちらの主面側が騒音源側で、どちらの主面側が受音側であるかはケースバイケースであるが、どちらの主面側も騒音源側たり得、どちらの主面側も受音側たり得る。従って、両端開管220は、騒音低減効果を増加する目的で、パーティション本体210の第1主面211側に配し、第2主面212側にも配することが望ましい。しかしながら、場合によっては、両端開管220をパーティション本体210の第1主面211又は第2主面212のいずれかに用いるようにしてもよい。
【0068】
図8に示す実施形態では、他のスペースと区切られたパーソナルブースを構成するパーティション本体210のうち、声の伝搬を防止したい隣接する他のスペースとの間にパーティション本体210の、頭頂部のパーソナルブース側と隣接する他のパーソナルブース側の両側に、両端開管220を配列するようにしている。
【0069】
すなわち、
図8においては、両端開管220は、パーティション本体210の第1主面211及び第2主面212において、いずれか一方の開口が上方に向けられるようにして設けられている。両端開管220は、平面視でみて上側開口221から下側開口222までが貫通する空洞となるように、パーティション本体210に設けられている。
【0070】
図8において、個人あるいは少人数用執務スペースであるパーソナルブースの入り口からみて紙面左右方向のパーティション本体210に両端開管220を配列した例を示したが、本実施例において両端開管20を配列する場所はこれに限定するものではない。
【0071】
図8に示す場合、パーソナルブースおよび隣接する他のスペースにおける執務者の顔付近を騒音源の位置と考え、その位置とパーティション本体210の高さの関係を、以下のように規定する。すなわち、本発明は、オープンプランオフィス200に配されるパーティション本体210と、当該パーティション本体210に取り付けられる両端開管とを含むパーティション300(或いは、パーティション300の設計方法)であって、
両端開管は騒音源側において、いずれか一方の開口が上方に向けられ、上側開口の端部がパーティション本体210の頭頂部に並ぶように配されており、
騒音源の音源位置の高さに対して、前記パーティション本体210の高さが下式(1)で定義する位相差aが-0.4π以上となるよう設定されることを特徴とするパーティション300(或いは、パーティション300の設計方法)である。
a=(u-v)×2π×f/c ・・・(1)
ここで、
a:音源位置から両端開管の下側開口に到達する音波、及び上側開口に到達する音波の位相差
u:音源位置から両端開管の下側開口までの距離
v:音源位置から両端開管の上側開口までの距離
f:波長の半分が両端開管の長さと等しくなる周波数
c:空気中の音速
である。
【0072】
以上のような、本発明に係るパーティション300によれば、回折により漏洩音声を低減する効果が殆ど得られない、パーティション本体210(ロー・パーティション)で構成された個人スペース(パーソナルブース)あるいは少人数用執務スペースにおいて、パーティション本体210による回折低減量を向上することができる。
【0073】
また、上記のような効果を、パーティション本体210の高さを、執務スペースにおいて座席に着席して執務する執務者の顔の高さと同程度とすることで得られる。
【0074】
そして、これにより、オープンプランオフィス200の開放感を損なうことなく、隣接する他のスペースにおいて他の執務者の会議、打ち合わせ、その他の作業を妨害する程度を抑えること、またオフィス全体の喧騒感を低減するができる。
【0075】
なお、両端開管220には底板は無く、内部にはゴミや埃等は蓄積されないので、上記のような効果をメンテナンスフリーで得ることができる。
【0076】
以下、本発明に係るパーティション300の効果を示すために、数値実験を行った。数値実験には2次元境界要素法による波動音響解析を用いた。解析対象とする2次元音場を
図9に示す。下記に記載のない計算条件等は、先に記載の条件と同じである。
【0077】
パーティション本体210頭頂部の両側に両端開管220を配列する。配列する両端開管220の寸法は、先に記載したものと同様に、長さ340mm、幅150mmで、長さは周波数500Hzの音波の半波長に等しい。
【0078】
音源点は、パーティション本体210から1m離れた位置で、高さはパーティション本体210頭頂部から0.17m低い点とする。
【0079】
受音点は、音源点の反対側でパーティション本体210から1m離れた位置で、高さはパーティション本体210頭頂部から0.17m低い点とする。
【0080】
これらの位置関係においては、式(1)における位相差aは0である。
【0081】
受音点における1/3オクターブ帯域ごとの両端開管220の効果、すなわち両端開管220の有無による音圧レベルの低減量を
図10に示す。
【0082】
図10に示されるように、両端開管220の長さが半波長に相当する、中心周波数500Hz帯域を中心とした周波数帯で、両端開管220による効果が大きく得られている。すなわち、パーティション本体210(ロー・パーティション)の回折低減量を大きく向上することが可能であることが示されている。
【0083】
図10には、参考に、両端開管220を片側(音源側のみ)に配列した場合の効果も併せて示している。
【0084】
パーティション本体210の両側が音源側となり得るため、
図8に示した本実施形態では、パーティション本体210頭頂部の両側に両端開管220を配列しているが、それによりパーティション本体210(ロー・パーティション)の回折効果を向上する効果がより大きく得られていることが分かる。
【0085】
数値実験においては、計算上、音源点と受音点を設定したが、上記のように、それぞれのスペースは音源側であり、受音側であり得る。
図9に示した解析対象とする音場は、パーティションを対称軸として左右対称であるので、
図10に示した両端開管220の効果は、音源点と受音点を入れ替えても、同じように得られる。
【0086】
なお、以上では、本発明を、防音壁やパーティションの実施形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明と同一及び均等の範囲内において、上記の実施形態に対して種々の変更を加えたり、実施形態同士を組み合わせたりすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
10・・・防音壁本体
11・・・騒音源側主面
12・・・受音側主面
20・・・両端開管
21・・・上側開口
22・・・下側開口
100・・・防音壁
200・・・オープンプランオフィス
210・・・パーティション本体
211・・・第1主面
212・・・第2主面
220・・・両端開管
221・・・上側開口
222・・・下側開口
300・・・パーティション