(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166117
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】コンデンサ、電力変換装置およびモータユニット
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241121BHJP
H01G 2/08 20060101ALI20241121BHJP
H01G 4/32 20060101ALI20241121BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01G2/08 A
H01G4/32 301D
H01G4/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024077648
(22)【出願日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】202310552151.7
(32)【優先日】2023-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】300052246
【氏名又は名称】ニデックエレシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】岩上 直記
【テーマコード(参考)】
5E082
5H770
【Fターム(参考)】
5E082AA11
5E082BB04
5E082BC25
5E082DD11
5E082DD15
5E082EE07
5E082FF05
5E082FG06
5H770AA21
5H770BA01
5H770CA01
5H770JA11W
5H770PA11
5H770PA21
5H770QA06
5H770QA12
5H770QA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンデンサに接続されている電気部品から伝わってきた熱がコンデンサの動作に影響を及ぼすことを抑制する。
【解決手段】コンデンサは、互いに交差する第1の表面S1と第2の表面S2とを有しており、更にはバスバーBSを有しており、このうち、前記バスバーは第1のバスバーBS1を含み、該第1のバスバーは前記第2の表面に沿って延在している第1の延在部BS11を有しており、該第1のバスバーにおける前記第1の表面とは反対の側は第1の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、前記第1の表面上には第1の放熱板P1が設けられており、前記第2の表面上には前記第1の延在部を少なくとも部分的に覆うように第2の放熱板P2が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する第1の表面と第2の表面とを有しており、更にはバスバーを有するコンデンサであって、
前記バスバーは第1のバスバーを含み、該第1のバスバーは前記第2の表面に沿って延在している第1の延在部を有しており、該第1のバスバーにおける前記第1の表面とは反対の側は第1の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、
前記第1の表面上には第1の放熱板が設けられており、
前記第2の表面上には第2の放熱板が設けられ、前記第1の延在部を少なくとも部分的に覆う、
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記コンデンサは、前記第1の表面と交差し且つ前記第2の表面とは異なる第3の表面を更に有しており、
前記バスバーは第2のバスバーを含み、該第2のバスバーは前記第3の表面に沿って延在している第2の延在部を有しており、該第2のバスバーにおける前記第1の表面とは反対の側は第2の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、
前記第3の表面上には第3の放熱板が設けられ、前記第2の延在部を少なくとも部分的に覆う、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第2の表面と前記第3の表面とが互いに反対方向を向いている、ことを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記バスバーは、前記第1の表面に沿って延在するとともに前記第1のバスバーを前記第2のバスバーに接続する接続部を含み、
前記第1の放熱板は前記接続部を少なくとも部分的に覆う、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第1の放熱板、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれ金属板であり、
前記接続部と前記第1の放熱板との間、前記第1のバスバーと前記第2の放熱板との間および前記第2のバスバーと前記第3の放熱板との間にはそれぞれ絶縁層が設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記コンデンサは、樹脂製のケースおよび該ケースの内部に埋設されているコンデンサ素子を有しており、
前記第1の延在部および前記第2の延在部は前記ケースの表面付近に埋設されており、
前記第1の放熱板、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板は前記ケースの表面に貼り付けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれ前記第1の放熱板に接続されている、ことを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第1の放熱板は十字状をなしており、
前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれL字状をなす、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項9】
請求項1に記載のコンデンサと、
前記第1の電気部品である第1のパワーモジュールと、
を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項2から8のいずれか一項に記載のコンデンサと、
前記第1の電気部品である第1のパワーモジュールと、
前記第2の電気部品である第2のパワーモジュールと
冷却流路部と、を備え
前記第2の放熱板および前記第3の放熱板からの熱を前記第1の放熱板を経て前記冷却流路部に放散する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
前記コンデンサは、それぞれ前記第1の表面、前記第2の表面および前記第3の表面に繋がっている第4の表面を更に有しており、
前記第4の表面と前記冷却流路部との間には、前記第4の表面からの熱を前記冷却流路部に放散するヒートシンクが設けられる、
ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記コンデンサは、前記第1の表面とは互いに反対方向を向いており、しかも、前記第2の表面、前記第3の表面および前記第4の表面に繋がっている第5の表面を更に有し、
前記第1のパワーモジュールおよび前記第2のパワーモジュールは前記第5の表面と前記冷却流路部との間に位置し、
前記第1のパワーモジュールおよび前記第2のパワーモジュールにおける前記第5の表面とは反対の側は前記冷却流路部に直接的または間接的に接触する、
ことを特徴とする請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
モータと、
請求項9に記載の電力変換装置と、
を備え、
該電力変換装置は電源から供給された直流電力を交流電力に変換するとともに前記モータに供給する、
ことを特徴とするモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ、該コンデンサを含む電力変換装置および該電力変換装置を含むモータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンデンサはコンデンサ素子ユニットとケースとを有しており、コンデンサ素子ユニットはバスバーを有しており、ケースはバスバーの接続端子部を突出させる方式でコンデンサ素子ユニットを収容しており、ケースの1つの側面にはインサート成形により放熱用の金属板が設けられている(例えば特許文献1を参照のこと)。
特許文献1:WO2021/014927A1
上記コンデンサ中では、金属板を設けることで、コンデンサ本体で発生した熱がコンデンサの動作に影響を及ぼすことを抑制できる。
しかし、実際には、バスバーの接続端子部に電気的に接続されているパワーモジュール等の電気部品の熱はバスバーに沿ってコンデンサにも伝わることから、よって、コンデンサは、電気部品から伝わってきた熱により過熱状態となってしまい、正常動作しなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明はまさに上記問題に鑑みてなされたものであり、コンデンサに接続されている電気部品から伝わってきた熱がコンデンサの動作に影響を及ぼすことを抑制するのに有利となる、コンデンサ、該コンデンサを含む電力変換装置および該電力変換装置を含むモータユニットを提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、互いに交差する第1の表面と第2の表面とを有しており、更にはバスバーを有しており、このうち、前記バスバーは第1のバスバーを含み、該第1のバスバーは前記第2の表面に沿って延在している第1の延在部を有しており、該第1のバスバーにおける前記第1の表面とは反対の側は第1の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、前記第1の表面上には第1の放熱板が設けられており、前記第2の表面上には前記第1の延在部を少なくとも部分的に覆うように第2の放熱板が設けられている、コンデンサを提供する。
【0006】
本発明のコンデンサによれば、バスバーは第1のバスバーを含み、該第1のバスバーは第2の表面に沿って延在している第1の延在部を有しており、第1のバスバーにおける第1の表面とは反対の側は第1の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、第1の表面上には第1の放熱板が設けられており、第2の表面上には第1の延在部を少なくとも部分的に覆うように第2の放熱板が設けられていることから、よって、第1の表面側の第1の放熱板がコンデンサ本体で発生した熱を放熱する以外に、更に第2の表面側の第2の放熱板を用いて第1の電気部品から第1のバスバーを経てコンデンサに伝わる熱を放熱できるとともに、コンデンサを2つの方向から放熱して、第1の電気部品から伝わってきた熱がコンデンサの動作に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0007】
また、本発明のコンデンサにおいて、好ましくは、前記コンデンサは、前記第1の表面と交差し且つ前記第2の表面とは異なる第3の表面を更に有しており、前記バスバーは第2のバスバーを含み、該第2のバスバーは前記第3の表面に沿って延在している第2の延在部を有しており、該第2のバスバーにおける前記第1の表面とは反対の側は第2の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、前記第3の表面上には前記第2の延在部を少なくとも部分的に覆うように第3の放熱板が設けられている。
【0008】
本発明のコンデンサによれば、コンデンサは、第1の表面と交差し且つ第2の表面とは異なる第3の表面を更に有しており、バスバーは第2のバスバーを含み、該第2のバスバーは第3の表面に沿って延在している第2の延在部を有しており、該第2のバスバーにおける第1の表面とは反対の側は第2の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、第3の表面上には第2の延在部を少なくとも部分的に覆うように第3の放熱板が設けられていることから、よって、更に第3の表面側の第3の放熱板を用いて第2の電気部品から第2のバスバーを経てコンデンサに伝わる熱を放熱でき、コンデンサを3つの方向から放熱して、第2の電気部品から伝わってきた熱がコンデンサの動作に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0009】
また、本発明のコンデンサにおいて、前記第2の表面と前記第3の表面とが互いに反対方向を向いている、ことが好ましい。
また、本発明のコンデンサにおいて、前記バスバーは、前記第1の表面に沿って延在するとともに前記第1のバスバーを前記第2のバスバーに接続する接続部を含み、前記第1の放熱板が前記接続部を少なくとも部分的に覆うことが好ましい。
本発明のコンデンサによれば、バスバーは、第1の表面に沿って延在するとともに第1のバスバーを第2のバスバーに接続する接続部を含み、第1の放熱板は接続部を少なくとも部分的に覆うことから、よって、コンデンサ本体で発生した熱が接続部を経て第1の放熱板に伝わって放熱しやすくなり、更にコンデンサ本体で発生した熱がコンデンサの動作に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0010】
また、本発明のコンデンサにおいて、前記第1の放熱板、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれ金属板であり、前記接続部と前記第1の放熱板との間、前記第1のバスバーと前記第2の放熱板との間および前記第2のバスバーと前記第3の放熱板との間にはそれぞれ絶縁層が設けられている、ことが好ましい。
また、本発明のコンデンサにおいて、前記コンデンサは、樹脂製のケースおよび該ケースの内部に埋設されているコンデンサ素子を有しており、前記第1の延在部および前記第2の延在部は前記ケースの表面付近に埋設されており、前記第1の放熱板、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板は前記ケースの表面に貼り付けられている、ことが好ましい。
【0011】
本発明のコンデンサによれば、コンデンサは、樹脂製のケースおよび該ケースの内部に埋設されているコンデンサ素子を有しており、第1の延在部および第2の延在部はケースの表面付近に埋設されており、第1の放熱板、第2の放熱板および第3の放熱板はケースの表面に貼り付けられていることから、よって、第1の放熱板、第2の放熱板および第3の放熱板を用いて、コンデンサ本体で発生した熱および第1の電気部品および第2の電気部品から伝わってきた熱をより好適に放熱できる。
また、本発明のコンデンサにおいて、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれ前記第1の放熱板に接続されている、ことが好ましい。
【0012】
本発明のコンデンサによれば、第2の放熱板および第3の放熱板はそれぞれ第1の放熱板に接続されていることから、よって、放熱面積を増大しやすくなることから、コンデンサ本体で発生した熱および第1の電気部品および第2の電気部品から伝わってきた熱に対する放熱効果を更に向上する。
また、本発明のコンデンサにおいて、前記第1の放熱板は十字状をなし、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれL字状をなしている、ことが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明では、上記のコンデンサと、前記第1の電気部品である第1のパワーモジュールとを備える電力変換装置を提供する。
また、上記目的を達成するために、本発明では、上記いずれかに記載のコンデンサと、前記第1の電気部品である第1のパワーモジュールと、前記第2の電気部品である第2のパワーモジュールとを備える電力変換装置を提供する。
また、本発明の電力変換装置において、冷却流路部を更に含み、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板からの熱を前記第1の放熱板を経て前記冷却流路部に放散する、ことが好ましい。
【0013】
本発明の電力変換装置によれば、冷却流路部を更に含み、第2の放熱板および第3の放熱板からの熱が第1の放熱板を経て冷却流路部に放散されることから、よって、冷却流路部を用いて、コンデンサ本体で発生した熱および第1の電気部品および第2の電気部品から伝わってきた熱に対する放熱効果を更に向上できる。
また、本発明の電力変換装置において、前記コンデンサは、それぞれ前記第1の表面、前記第2の表面および前記第3の表面に繋がっている第4の表面を更に有しており、前記第4の表面と前記冷却流路部との間には、前記第4の表面からの熱を前記冷却流路部に放散するヒートシンクが設けられている、ことが好ましい。
【0014】
本発明の電力変換装置によれば、コンデンサは、それぞれ第1の表面、第2の表面および第3の表面に繋がっている第4の表面を更に有しており、第4の表面と冷却流路部との間には、第4の表面からの熱を冷却流路部に放散するヒートシンクが設けられていることから、よって、冷却流路部を用いて、コンデンサ本体で発生した熱および第1の電気部品和第2の電気部品から伝わってきた熱に対する放熱効果を更に向上できる。
また、本発明の電力変換装置において、前記コンデンサは、前記第1の表面とは互いに反対方向を向いており、しかも、前記第2の表面、前記第3の表面および前記第4の表面に繋がっている第5の表面を更に有しており、前記第1のパワーモジュールおよび前記第2のパワーモジュールは前記第5の表面と前記冷却流路部との間に位置し、前記第1のパワーモジュールおよび前記第2のパワーモジュールにおける前記第5の表面とは反対の側は前記冷却流路部に直接的または間接的に接触している、ことが好ましい。
【0015】
本発明の電力変換装置によれば、コンデンサは、第1の表面とは互いに反対方向を向いており、しかも、第2の表面、第3の表面および第4の表面に繋がっている第5の表面を更に有しており、第1のパワーモジュールおよび第2のパワーモジュールは第5の表面と冷却流路部との間に位置し、第1のパワーモジュールおよび前記第2のパワーモジュールにおける第5の表面とは反対の側は冷却流路部に直接的または間接的に接触していることから、よって、冷却流路部を用いて、コンデンサ本体で発生した熱および第1の電気部品および第2の電気部品から伝わってきた熱に対する放熱効果を更に向上できる。
また、上記目的を達成するために、本発明では、モータと、上記いずれかに記載の電力変換装置とを備えており、該電力変換装置は電源から供給された直流電力を交流電力に変換するとともに前記モータに供給する、ことを特徴とする、ユニットを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バスバーは第1のバスバーを含み、該第1のバスバーは第2の表面に沿って延在している第1の延在部を有しており、第1のバスバーにおける第1の表面とは反対の側は第1の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、第1の表面上には第1の放熱板が設けられており、第2の表面上には第1の延在部を少なくとも部分的に覆うように第2の放熱板が設けられていることから、よって、第1の表面側の第1の放熱板がコンデンサ本体で発生した熱を放熱する以外に、更に第2の表面側の第2の放熱板を用いて第1の電気部品から第1のバスバーを経てコンデンサに伝わる熱を放熱できるとともに、コンデンサを2つの方向から放熱して、第1の電気部品から伝わってきた熱がコンデンサの動作に影響を及ぼすことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態のモータユニットを含む車両駆動ユニットのブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態のモータユニットに含まれる電力変換装置の側面図である。
【
図3】本発明の実施形態のモータユニットに含まれる電力変換装置の概略的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1から
図3を参照して、本発明の実施形態のモータユニットについて説明するものであって、このうち、
図1は本発明の実施形態のモータユニットを含む車両駆動ユニットのブロック図であり、
図2は本発明の実施形態のモータユニットに含まれる電力変換装置の側面図であり、
図3は本発明の実施形態のモータユニットに含まれる電力変換装置の概略的な正面図である。
ここで、説明の便宜上、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向およびZ方向として、且つX方向の一方の側をX1、X方向の他方の側をX2として、Y方向の一方の側をY1、Y方向の他方側をY2として、Z方向の一方側をZ1、Z方向の他方側をZ2とする。
【0019】
(車両制御ユニットの構造)
図1に示すように、車両制御ユニット1はモータユニット100と、高圧電源200とを含み、該モータユニット100は、モータ110と、電力変換装置120とを含み、該電力変換装置120は高圧電源200から供給された電力を最適な交流電力に変換するとともにモータ110に供給する。
【0020】
ここで、
図1に示すように、モータユニット100はコンデンサ130と、DC-DC変換回路140とを更に有する。しかも、モータ110は駆動モータ111と、回生モータ112とを含む。しかも、電力変換装置120はコンデンサ121と、パワーモジュール122とを有しており、このうち、パワーモジュール122は第1のパワーモジュール1221と、第2のパワーモジュール1222とを含む。しかも、高圧電源200、コンデンサ130、DC-DC変換回路140、コンデンサ121およびパワーモジュール122は順次接続されている。通常運転時には、高圧電源200から供給された電力はコンデンサ130、DC-DC変換回路140およびコンデンサ121を経てそれぞれ第1のパワーモジュール1221および第2のパワーモジュール1222に供給されて、更にそれぞれ駆動モータ111および回生モータ112に供給されるとともに、駆動モータ111を用いて車軸300を駆動する。回生運転時には、回生モータ112が発生した電力が第1のパワーモジュール1221および第2のパワーモジュール1222を経て駆動モータ111に供給されることで、車軸300を駆動する。2つのモータおよび2つのパワーモジュールを含むことから、1つのモータおよび1つのパワーモジュールを含む場合と比べて、出力と負荷が高くなる。
【0021】
また、
図1に示すように、車両制御ユニット1は、低圧電源400と、車両電子制御ユニット500とを更に含み、モータユニット100は回路板150を更に有しており、該回路板150上にはマイクロコントローラ151が設けられている。低圧電源400は回路板150に電力を供給し、車両電子制御ユニット500はマイクロコントローラ151に制御信号を供給する。
【0022】
(電力変換装置の構造)
上記したように、電力変換装置120はコンデンサ121と、パワーモジュール122とを有しており、このうち、パワーモジュール122は第1のパワーモジュール1221と、第2のパワーモジュール1222とを含む。
また、
図2および
図3に示すように、電力変換装置120は、コンデンサ121およびパワーモジュール122を冷却するための冷却流路部123を更に有している。
また、
図2および
図3に示すように、コンデンサ121は、互いに交差する(図示する例では互いに直交しているが、これに限定されない)第1の表面S1と第2の表面S2とを有しており、更にはバスバーBSを有しており、バスバーBSは第1のバスバーBS1を含み、該第1のバスバーBS1は第2の表面S2に沿って延在している第1の延在部BS11を有しており、該第1のバスバーBS1における第1の表面S1とは反対の側(図示する例ではZ1方向側である)は第1の電気部品である第1のパワーモジュール1221に電気的に接続するのに用いられ、第1の表面S1上には第1の放熱板P1が設けられており、第2の表面S2上は第1の延在部BS11(図示する例では第1の延在部BS11全般を略覆っている)を少なくとも部分的に覆うように第2の放熱板P2が設けられている。
【0023】
また、
図2および
図3に示すように、コンデンサ121は、第1の表面S1と交差し(図示する例では直交しているが、これに限定されない)且つ第2の表面S2とは異なる第3の表面S3を更に有しており、バスバーBSは第2のバスバーBS2を含み、該第2のバスバーBS2は第3の表面S3に沿って延在している第2の延在部BS21を有しており、該第2のバスバーBS2における第1の表面S1とは反対の側(図示する例ではZ1方向側である)は第2の電気部品である第2のパワーモジュール1222に電気的に接続するのに用いられ、第3の表面S3上には第2の延在部BS21を少なくとも部分的に覆うように(図示する例では第2の延在部BS21全般を略覆っている)第3の放熱板P3が設けられている(図示する例では、第2の表面S2は第3の表面S3と互いに反対方向を向いており、第2の表面S2はY1方向側を向き、第3の表面S3はY2方向側を向いている)。
【0024】
また、
図2および
図3に示すように、コンデンサ121は、それぞれ第1の表面S1、第2の表面S2および第3の表面S3に繋がっている第4の表面S4を更に有しており、第4の表面S4と冷却流路部123との間には、第4の表面S4からの熱を冷却流路部123に放散するヒートシンク124が設けられている。
【0025】
また、
図2および
図3に示すように、コンデンサ121は、第1の表面S1とは互いに反対方向を向いており、しかも、第2の表面S2、第3の表面S3および第4の表面S4に繋がっている第5の表面S5を更に有しており、第1のパワーモジュール1221および第2のパワーモジュール1222は第5の表面S5と冷却流路部123との間に位置しており、第1のパワーモジュール1221および第2のパワーモジュール1222における第5の表面S5とは反対の側は冷却流路部123に直接的または間接的に接触している。
【0026】
また、
図2および
図3に示すように、バスバーBSは、第1の表面S1に沿って延在するとともに第1のバスバーBS1を第2のバスバーBS2に接続する接続部BS3を更に含み、第1の放熱板P1は接続部BS3を少なくとも部分的に覆っている。
また、
図2および
図3に示すように、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3はそれぞれ第1の放熱板P1に接続されており、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3からの熱は第1の放熱板P1を経て冷却流路部123に放散される。しかも、第1の放熱板P1は十字状をなし、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3はそれぞれL字状をなしている。
【0027】
また、
図2および
図3に示すように、第1の放熱板P1、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3はそれぞれ金属板であり、接続部BS3と第1の放熱板P1との間、第1のバスバーBS1と第2の放熱板P2との間および第2のバスバーBS2と第3の放熱板P3との間にはそれぞれ絶縁層が設けられている。具体的には、コンデンサ121は樹脂製のケース1211および該ケース1211の内部に埋設されているコンデンサ素子1212(例えばフィルムコンデンサからなる)を有しており、第1の延在部BS11、第2の延在部BS21および接続部BS3はケース1211の表面付近にそれぞれ埋設されており、第1の放熱板P1、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3はケース1211の表面に貼り付けられている。しかも、第1のバスバーBS1および第2のバスバーBS2は例えば接続部BS3を介して発熱部品であるコンデンサ素子1212に接続されている。
【0028】
また、図示していないが、第1のパワーモジュール1221および第2のパワーモジュール1222は例えば複数のスイッチング素子(例えばIGBT素子からなる)をそれぞれ有して、発熱部品を構成している。
また、
図2および
図3に示すように、冷却流路部123は入口1231と、出口1232とを有しており、全体がZ字状をなして延在しており、パワーモジュール122よりもZ1方向側寄りで且つ厚さがZ方向と略同一致する第1の板状部と、パワーモジュール122よりもX1方向側寄りで且つ厚さがX方向と略一致する第2の板状部と、パワーモジュール122よりもX1方向側寄りで且つ厚さがZ方向と略一致する第3の板状部とを有している。水などの冷却流体が入口1231から冷却流路部123に流入した後に蛇行して、その後出口1232から流出する。
【0029】
(本実施形態の主な効果)
本実施形態のモータユニット100によれば、バスバーBSは第1のバスバーBS1を含み、該第1のバスバーBS1は第2の表面S2に沿って延在している第1の延在部BS11を有しており、第1のバスバーBS1における第1の表面S1とは反対の側は第1の電気部品である第1のパワーモジュール1221に電気的に接続するのに用いられ、第1の表面S1上には第1の放熱板P1が設けられており、第2の表面S2上には第1の延在部BS11を少なくとも部分的に覆うように第2の放熱板P2が設けられていることから、よって、第1の表面S1側の第1の放熱板P1を用いて、コンデンサ121本体で発生した熱を放熱できる以外に、更に第2の表面S2側の第2の放熱板P2を用いて、第1のパワーモジュール1221から第1のバスバーBS1を経てコンデンサ121に伝わる熱を放熱でき、しかも、コンデンサ121を2つの方向から放熱して、第1のパワーモジュール1221から伝わってきた熱がコンデンサ121の動作に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0030】
以上、図面を参照して本発明に対して例示的に説明したが、本発明の具体的な実現は上記実施形態によって制限されないことは明らかである。
例えば、上記実施形態において、第1のパワーモジュール1221および第2のパワーモジュール1222を例として第1の電気部品および第2の電気部品について説明したが、これに限定されることなく、第1の電気部品および第2の電気部品はパワーモジュール以外の発熱部品であってもよい。
【0031】
また、上記実施形態において、第1の放熱板P1、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3を放熱する冷却流路部123を含むが、これに限定されることなく、冷却流路部123を省略してもよい。
また、上記実施形態において、第1の放熱板P1は十字状をなしており、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3はそれぞれL字状をなしているが、これに限定されることなく、第1の放熱板P1、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3の形状は必要性に応じて適切に選択してもよい。
また、上記実施形態において、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3はそれぞれ第1の放熱板P1に接続されているが、これに限定されることなく、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3は第1の放熱板P1に対して独立してもよい。
また、上記実施形態において、第1の放熱板P1、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3を空冷で冷却してもよい。
【0032】
また、上記実施形態において、第1のバスバーBS1および第2のバスバーBS2は接続部BS3を介して接続されているが、これに限定されることなく、例えば接続部BS3を省略して、第1のバスバーBS1および第2のバスバーBS2をそれぞれコンデンサ素子1212に直接接続してもよい。
また、上記実施形態において、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3を同時に設けているが、これに限定されることなく、第2の放熱板P2および第3の放熱板P3のうちの一方のみを設けてもよい。
また、上記実施形態において、第1のパワーモジュール1221および第2のパワーモジュール1222を同時に設けているが、これに限定されることなく、第1のパワーモジュール1221および第2のパワーモジュール1222のうちの一方のみを設けてもよい。
【0033】
本発明は、その範囲内で、実施形態における各部を自由に組み合わせ、または適宜変形、省略できることを理解されたい。
【0034】
なお、本願は以下の項目に上げる発明を含む。
[項目1]
互いに交差する第1の表面と第2の表面とを有しており、更にはバスバーを有するコンデンサであって、
前記バスバーは第1のバスバーを含み、該第1のバスバーは前記第2の表面に沿って延在している第1の延在部を有しており、該第1のバスバーにおける前記第1の表面とは反対の側は第1の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、
前記第1の表面上には第1の放熱板が設けられており、
前記第2の表面上には第2の放熱板が設けられ、前記第1の延在部を少なくとも部分的に覆う、
ことを特徴とするコンデンサ。
[項目2]
前記コンデンサは、前記第1の表面と交差し且つ前記第2の表面とは異なる第3の表面を更に有しており、
前記バスバーは第2のバスバーを含み、該第2のバスバーは前記第3の表面に沿って延在している第2の延在部を有しており、該第2のバスバーにおける前記第1の表面とは反対の側は第2の電気部品に電気的に接続するのに用いられ、
前記第3の表面上には第3の放熱板が設けられ、前記第2の延在部を少なくとも部分的に覆う、
ことを特徴とする項目1に記載のコンデンサ。
[項目3]
前記第2の表面と前記第3の表面とが互いに反対方向を向いている、ことを特徴とする項目2に記載のコンデンサ。
[項目4]
前記バスバーは、前記第1の表面に沿って延在するとともに前記第1のバスバーを前記第2のバスバーに接続する接続部を含み、
前記第1の放熱板が前記接続部を少なくとも部分的に覆っている、ことを特徴とする項目2に記載のコンデンサ。
[項目5]
前記第1の放熱板、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれ金属板であり、
前記接続部と前記第1の放熱板との間、前記第1のバスバーと前記第2の放熱板との間および前記第2のバスバーと前記第3の放熱板との間にはそれぞれ絶縁層が設けられている、ことを特徴とする項目4に記載のコンデンサ。
[項目6]
前記コンデンサは、樹脂製のケースおよび該ケースの内部に埋設されているコンデンサ素子を有しており、
前記第1の延在部および前記第2の延在部は前記ケースの表面付近に埋設されており、
前記第1の放熱板、前記第2の放熱板および前記第3の放熱板は前記ケースの表面に貼り付けられている、ことを特徴とする項目2から5のいずれか一項に記載のコンデンサ。
[項目7]
前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれ前記第1の放熱板に接続されている、ことを特徴とする項目2から5のいずれか一項に記載のコンデンサ。
[項目8]
前記第1の放熱板は十字状をなしており、
前記第2の放熱板および前記第3の放熱板はそれぞれL字状をなしている、ことを特徴とする項目2から5のいずれか一項に記載のコンデンサ。
[項目9]
項目1に記載のコンデンサと、
前記第1の電気部品である第1のパワーモジュールとを備える、ことを特徴とする電力変換装置。
[項目10]
項目2から8のいずれか一項に記載のコンデンサと、
前記第1の電気部品である第1のパワーモジュールと、
前記第2の電気部品である第2のパワーモジュールとを備える、ことを特徴とする電力変換装置。
[項目11]
冷却流路部を更に含み、
前記第2の放熱板および前記第3の放熱板からの熱を前記第1の放熱板を経て前記冷却流路部に放散する、ことを特徴とする項目10に記載の電力変換装置。
[項目12]
前記コンデンサは、それぞれ前記第1の表面、前記第2の表面および前記第3の表面に繋がっている第4の表面を更に有しており、
前記第4の表面と前記冷却流路部との間には、前記第4の表面からの熱を前記冷却流路部に放散するヒートシンクが設けられている、ことを特徴とする項目11に記載の電力変換装置。
[項目13]
前記コンデンサは、前記第1の表面とは互いに反対方向を向いており、しかも、前記第2の表面、前記第3の表面および前記第4の表面に繋がっている第5の表面を更に有しており、
前記第1のパワーモジュールおよび前記第2のパワーモジュールは前記第5の表面と前記冷却流路部との間に位置し、
前記第1のパワーモジュールおよび前記第2のパワーモジュールにおける前記第5の表面とは反対の側は前記冷却流路部に直接的または間接的に接触している、ことを特徴とする項目12に記載の電力変換装置。
[項目14]
モータと、
項目9から項目13のいずれかに記載の電力変換装置とを備えており、該電力変換装置は電源から供給された直流電力を交流電力に変換するとともに前記モータに供給する、ことを特徴とするモータユニット。
【符号の説明】
【0035】
1 車両制御ユニット
100 モータユニット
110 モータ
111 駆動モータ
112 回生モータ
120 電力変換装置
121 コンデンサ
1211 ケース
1212 コンデンサ素子
122 パワーモジュール
1221 第1のパワーモジュール
1222 第2のパワーモジュール
123 冷却流路部
1231 入口
1232 出口
124 ヒートシンク
130 コンデンサ
140 DC-DC変換回路
150 回路板
151 マイクロコントローラ
200 高圧電源
300 車軸
400 低圧電源
500 車両電子制御ユニット
BS バスバー
BS1 第1のバスバー
BS11 第1の延在部
BS2 第2のバスバー
BS21 第2の延在部
BS3 接続部
P1 第1の放熱板
P2 第2の放熱板
P3 第3の放熱板
S1 第1の表面
S2 第2の表面
S3 第3の表面
S4 第4の表面
S5 第5の表面