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特開2024-166121無人航空機を用いた建築工事見積作成システム、無人航空機を用いた建築工事見積作成方法、及び無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166121
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】無人航空機を用いた建築工事見積作成システム、無人航空機を用いた建築工事見積作成方法、及び無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20241121BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241121BHJP
   B64U 20/87 20230101ALI20241121BHJP
   E04G 23/00 20060101ALI20241121BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241121BHJP
   B64U 101/30 20230101ALN20241121BHJP
   B64U 101/26 20230101ALN20241121BHJP
【FI】
G06Q50/08
B64U10/13
B64U20/87
E04G23/00
H04N7/18 K
B64U101:30
B64U101:26
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078113
(22)【出願日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2023082621
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】313015122
【氏名又は名称】日鉄物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】中泉 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】庄子 昌宏
【テーマコード(参考)】
2E176
5C054
5L050
【Fターム(参考)】
2E176BB38
5C054CA04
5C054CC02
5C054CE01
5C054DA07
5C054FC12
5C054FC15
5C054HA01
5C054HA14
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】建物の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる無人航空機を用いた建築工事見積作成システム、無人航空機を用いた建築工事見積作成方法、及び無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラムを提供する。
【解決手段】建築工事見積作成システム100は、無人航空機2を用いて新たに行う既設建物200の建築工事の見積を作成するシステムにおいて、無人航空機2により撮影された既設建物100の外観を示す外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する工事範囲取得部と、ユーザUから指定される建材の識別情報を取得する建材情報取得部と、工事範囲と建材の識別情報とから建材の部数を算出する建材部数算出部と、建材の識別情報に応じた建材の単価と施工の単価とをデータベースから取得する単価取得部と、建材の部数と建材の単価と施工の単価とに応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機を用いて新たに行う既設建物の建築工事の見積を作成する無人航空機を用いた建築工事見積作成システムにおいて、
無人航空機により撮影された既設建物の外観を示す外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する工事範囲取得部と、
ユーザから指定される前記建築工事に用いる建材の識別情報を取得する建材情報取得部と、
前記工事範囲取得部により取得された前記工事範囲と、前記建材情報取得部により取得された前記建材の識別情報と、から前記建築工事に用いる建材の部数を算出する建材部数算出部と、
建材の識別情報と、建材の単価及び施工の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記建材情報取得部により取得された前記建材の識別情報に応じた建材の単価と施工の単価とを当該データベースから取得する単価取得部と、
前記建材部数算出部により算出された前記建材の部数と、前記単価取得部により取得された前記建材の単価と前記施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力部と、
を備えること
を特徴とする無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項2】
前記建材情報取得部は、前記ユーザから指定される前記建築工事に用いる建材の特徴を取得するとともに建材の特徴と建材の識別情報とが予め紐づけられたデータベースを参照した上で、取得した前記建材の特徴に応じた前記建材の識別情報を当該データベースから取得すること
を特徴とする請求項1に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項3】
前記工事範囲取得部は、前記ユーザから指定される前記建築工事の工事エリアをさらに取得し、
前記建材情報取得部は、建材の特徴及び工事エリアと、建材の識別情報と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記工事範囲取得部により取得された前記建材の特徴と前記工事エリアとに応じた前記建材の識別情報を当該データベースから取得すること
を特徴とする請求項2に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項4】
前記工事範囲取得部は、前記ユーザから指定される前記建築工事の工事エリアをさらに取得し、
前記単価取得部は、建材の識別情報及び工事エリアと、施工の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記建材情報取得部により取得された前記建材の識別情報と、前記工事範囲取得部により取得された前記工事エリアと、に応じた前記施工の単価を当該データベースから取得すること
を特徴とする請求項1に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項5】
無人航空機と、
前記無人航空機の平面的な撮影範囲を取得する撮影範囲取得部と、
前記撮影範囲取得部により取得された前記撮影範囲に基づいて前記無人航空機の水平方向の飛行経路を生成する飛行経路生成部と、
前記撮影範囲取得部により取得された前記撮影範囲における撮影高度と撮影枚数とを取得する撮影条件取得部と、
前記撮影条件取得部により取得された前記撮影枚数に基づいて前記飛行経路上の撮影動作を特定する撮影動作特定部と、
前記飛行経路生成部により生成された前記飛行経路と、前記撮影条件取得部により取得された前記撮影高度と、に基づいて前記無人航空機の飛行動作を制御するとともに、前記撮影動作特定部により特定された前記撮影動作に基づいて前記無人航空機の前記撮影動作を制御する動作制御部と、
をさらに備え、
前記工事範囲取得部は、前記動作制御部が制御する前記無人航空機により撮影された前記外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得すること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項6】
前記撮影範囲取得部は、多角形状の前記撮影範囲を取得し、
前記飛行経路生成部は、前記撮影範囲取得部により取得された多角形状の前記撮影範囲の各辺のうち最長辺に略直交する方向を含む前記飛行経路を生成すること
を特徴とする請求項5に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項7】
前記動作制御部は、前記飛行経路生成部により生成された前記飛行経路上において前記無人航空機に搭載されたバッテリーの残量が予め設定された下限値を下回ったとき前記無人航空機を自動的に離陸地点に退避させ、その後前記バッテリーの残量が所定値以上になったとき前記退避を開始した前記飛行経路上の地点から撮影を再開するように前記無人航空機の動作を制御すること
を特徴とする請求項5に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項8】
前記撮影範囲取得部、前記飛行経路生成部、前記撮影条件取得部、前記撮影動作特定部、及び前記動作制御部から独立して制御可能とされ、前記無人航空機により撮影された前記既設建物の外観を示す二次元外観情報を無線通信網を介して受信するとともに、受信した当該二次元外観情報に基づく前記既設建物を示す三次元モデリング画像を取得するサーバをさらに備えること
を特徴とする請求項5に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項9】
前記無人航空機により撮影された前記既設建物の外観を示す外観情報を無線通信網を介して受信するサーバと、
前記サーバに対する前記外観情報の送信を制御する送信制御部と、
をさらに備えること
を特徴とする請求項5に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項10】
無人航空機を識別する無人航空機識別情報とDIPS(Drone/UAS Information Platform System)又はFISS(Flight Information Sharing System)における無人航空機の飛行許可を示す承認情報とが紐づけられたデータベースを参照した上で、前記無人航空機に対応する承認情報が有効であることを認証する認証部をさらに備え、
前記動作制御部は、前記認証部により前記承認情報が有効であることが認証された後に前記無人航空機の動作を制御すること
を特徴とする請求項5に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項11】
前記撮影高度に基づく前記撮影枚数又は前記撮影枚数に基づく前記撮影高度を算出する算出部をさらに備え、
前記撮影条件取得部は、前記撮影枚数及び前記撮影高度のうち何れか一方を先に取得した上で、前記算出部により算出される何れか他方を取得すること
を特徴とする請求項5に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項12】
前記無人航空機の撮影間隔と、前記撮影間隔だけ離間した互いに隣接する2地点それぞれにおける前記無人航空機の画角が互いに重なる重複幅として予め設定された設定重複幅と、に基づく前記撮影高度を算出する算出部をさらに備え、
前記撮影条件取得部は、前記撮影間隔を取得した上で、前記算出部により算出される前記撮影高度を取得すること
を特徴とする請求項5に記載の無人航空機を用いた建築工事見積作成システム。
【請求項13】
無人航空機を用いて既設建物の建築工事の見積を作成する無人航空機を用いた建築工事見積作成方法において、
無人航空機により撮影された既設建物の外観を示す外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する工事範囲取得ステップと、
ユーザから指定される前記建築工事に用いる建材の識別情報を取得する建材情報取得ステップと、
前記工事範囲取得ステップにより取得された前記工事範囲と、前記建材情報取得ステップにより取得された前記建材の識別情報と、から前記建築工事に用いる建材の部数を算出する建材部数算出ステップと、
建材の識別情報と、建材の単価及び施工の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記建材情報取得ステップにより取得された前記建材の識別情報に応じた建材の単価と施工の単価とを取得する単価取得ステップと、
前記建材部数算出ステップにより算出された前記建材の部数と、前記単価取得ステップにより取得された前記建材の単価と前記施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力ステップと、
を有すること
を特徴とする無人航空機を用いた建築工事見積作成方法。
【請求項14】
無人航空機を用いて既設建物の建築工事の見積を作成する無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラムにおいて、
無人航空機により撮影された既設建物の外観を示す外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する工事範囲取得ステップと、
ユーザから指定される前記建築工事に用いる建材の識別情報を取得する建材情報取得ステップと、
前記工事範囲取得ステップにより取得された前記工事範囲と、前記建材情報取得ステップにより取得された前記建材の識別情報と、から前記建築工事に用いる建材の部数を算出する建材部数算出ステップと、
建材の識別情報と、建材の単価及び施工の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記建材情報取得ステップにより取得された前記建材の識別情報に応じた建材の単価と施工の単価とを取得する単価取得ステップと、
前記建材部数算出ステップにより算出された前記建材の部数と、前記単価取得ステップにより取得された前記建材の単価と前記施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力ステップと、
をコンピュータに実行させること
を特徴とする無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に高所における建物の補修等(補修及び修繕を含む)の見積や施工に際して用いる無人航空機を用いた建築工事見積作成システム、無人航空機を用いた建築工事見積作成方法、及び無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の屋根や壁面の補修等が必要か否かを検討するために、建築業者が高所作業をする必要があった。近年では、無人航空機(ドローン)を用いることで、屋根や壁面の外観を撮影することで、高所での人力作業が不要となり、補修等の見積や施工に際して安全性や作業性が飛躍的に向上した。
【0003】
特許文献1には、建物の屋根の塗装又は防水工事の見積を作成するために屋根の画像を撮影するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-55351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたシステムによれば、正確かつ安価に屋根の塗装又は防水工事見積を作成することができる。しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、建材の施工に係る費用については特に開示されておらず、施工費用について別途検討する必要がある点で建物の補修等の見積に関する作業性を向上できない問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、建物の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる無人航空機を用いた建築工事見積作成システム、無人航空機を用いた建築工事見積作成方法、及び無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、無人航空機を用いて新たに行う既設建物の建築工事の見積を作成する無人航空機を用いた建築工事見積作成システムにおいて、無人航空機により撮影された既設建物の外観を示す外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する工事範囲取得部と、ユーザから指定される前記建築工事に用いる建材の識別情報を取得する建材情報取得部と、前記工事範囲取得部により取得された前記工事範囲と、前記建材情報取得部により取得された前記建材の識別情報と、から前記建築工事に用いる建材の部数を算出する建材部数算出部と、建材の識別情報と、建材の単価及び施工の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記建材情報取得部により取得された前記建材の識別情報に応じた建材の単価と施工の単価とを当該データベースから取得する単価取得部と、前記建材部数算出部により算出された前記建材の部数と、前記単価取得部により取得された前記建材の単価と前記施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第1発明において、前記建材情報取得部は、前記ユーザから指定される前記建築工事に用いる建材の特徴を取得するとともに建材の特徴と建材の識別情報とが予め紐づけられたデータベースを参照した上で、取得した前記建材の特徴に応じた前記建材の識別情報を当該データベースから取得することを特徴とする。
【0009】
第3発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第2発明において、前記工事範囲取得部は、前記ユーザから指定される前記建築工事の工事エリアをさらに取得し、前記建材情報取得部は、建材の特徴及び工事エリアと、建材の識別情報と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記工事範囲取得部により取得された前記建材の特徴と前記工事エリアとに応じた前記建材の識別情報を当該データベースから取得することを特徴とする。
【0010】
第4発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第1発明において、前記工事範囲取得部は、前記ユーザから指定される前記建築工事の工事エリアをさらに取得し、前記単価取得部は、建材の識別情報及び工事エリアと、施工の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記建材情報取得部により取得された前記建材の識別情報と、前記工事範囲取得部により取得された前記工事エリアと、に応じた前記施工の単価を当該データベースから取得することを特徴とする。
【0011】
第5発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第1発明~第4発明の何れか1つにおいて、無人航空機と、前記無人航空機の平面的な撮影範囲を取得する撮影範囲取得部と、前記撮影範囲取得部により取得された前記撮影範囲に基づいて前記無人航空機の水平方向の飛行経路を生成する飛行経路生成部と、前記撮影範囲取得部により取得された前記撮影範囲における撮影高度と撮影枚数とを取得する撮影条件取得部と、前記撮影条件取得部により取得された前記撮影枚数に基づいて前記飛行経路上の撮影動作を特定する撮影動作特定部と、前記飛行経路生成部により生成された前記飛行経路と、前記撮影条件取得部により取得された前記撮影高度と、に基づいて前記無人航空機の飛行動作を制御するとともに、前記撮影動作特定部により特定された前記撮影動作に基づいて前記無人航空機の前記撮影動作を制御する動作制御部と、をさらに備え、前記工事範囲取得部は、前記動作制御部が制御する前記無人航空機により撮影された前記外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得することを特徴とする。
【0012】
第6発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第5発明において、前記撮影範囲取得部は、多角形状の前記撮影範囲を取得し、前記飛行経路生成部は、前記撮影範囲取得部により取得された多角形状の前記撮影範囲の各辺のうち最長辺に略直交する方向を含む前記飛行経路を生成することを特徴とする。
【0013】
第7発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第5発明において、前記動作制御部は、前記飛行経路生成部により生成された前記飛行経路上において前記無人航空機に搭載されたバッテリーの残量が予め設定された下限値を下回ったとき前記無人航空機を自動的に離陸地点に退避させ、その後前記バッテリーの残量が所定値以上になったとき前記退避を開始した前記飛行経路上の地点から撮影を再開するように前記無人航空機の動作を制御することを特徴とする。
【0014】
第8発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第5発明において、前記撮影範囲取得部、前記飛行経路生成部、前記撮影条件取得部、前記撮影動作特定部、及び前記動作制御部から独立して制御可能とされ、前記無人航空機により撮影された前記既設建物の外観を示す二次元外観情報を無線通信網を介して受信するとともに、受信した当該二次元外観情報に基づく前記既設建物を示す三次元モデリング画像を取得するサーバをさらに備えることを特徴とする。
【0015】
第9発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第5発明において、前記無人航空機により撮影された前記既設建物の外観を示す外観情報を無線通信網を介して受信するサーバと、前記サーバに対する前記外観情報の送信を制御する送信制御部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
第10発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第5発明において、無人航空機を識別する無人航空機識別情報とDIPS(Drone/UAS Information Platform System)又はFISS(Flight Information Sharing System)における無人航空機の飛行許可を示す承認情報とが紐づけられたデータベースを参照した上で、前記無人航空機に対応する承認情報が有効であることを認証する認証部をさらに備え、前記動作制御部は、前記認証部により前記承認情報が有効であることが認証された後に前記無人航空機の動作を制御することを特徴とする。
【0017】
第11発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第5発明において、前記撮影高度に基づく前記撮影枚数又は前記撮影枚数に基づく前記撮影高度を算出する算出部をさらに備え、前記撮影条件取得部は、前記撮影枚数及び前記撮影高度のうち何れか一方を先に取得した上で、前記算出部により算出される何れか他方を取得することを特徴とする。
【0018】
第12発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成システムは、第5発明において、前記無人航空機の撮影間隔と、前記撮影間隔だけ離間した互いに隣接する2地点それぞれにおける前記無人航空機の画角が互いに重なる重複幅として予め設定された設定重複幅と、に基づく前記撮影高度を算出する算出部をさらに備え、前記撮影条件取得部は、前記撮影間隔を取得した上で、前記算出部により算出される前記撮影高度を取得することを特徴とする。
【0019】
第13発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成方法は、無人航空機を用いて既設建物の建築工事の見積を作成する無人航空機を用いた建築工事見積作成方法において、無人航空機により撮影された既設建物の外観を示す外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する工事範囲取得ステップと、ユーザから指定される前記建築工事に用いる建材の識別情報を取得する建材情報取得ステップと、前記工事範囲取得ステップにより取得された前記工事範囲と、前記建材情報取得ステップにより取得された前記建材の識別情報と、から前記建築工事に用いる建材の部数を算出する建材部数算出ステップと、建材の識別情報と、建材の単価及び施工の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記建材情報取得ステップにより取得された前記建材の識別情報に応じた建材の単価と施工の単価とを取得する単価取得ステップと、前記建材部数算出ステップにより算出された前記建材の部数と、前記単価取得ステップにより取得された前記建材の単価と前記施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力ステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
第14発明における無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラムは、無人航空機を用いて既設建物の建築工事の見積を作成する無人航空機を用いた建築工事見積作成プログラムにおいて、無人航空機により撮影された既設建物の外観を示す外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する工事範囲取得ステップと、ユーザから指定される前記建築工事に用いる建材の識別情報を取得する建材情報取得ステップと、前記工事範囲取得ステップにより取得された前記工事範囲と、前記建材情報取得ステップにより取得された前記建材の識別情報と、から前記建築工事に用いる建材の部数を算出する建材部数算出ステップと、建材の識別情報と、建材の単価及び施工の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、前記建材情報取得ステップにより取得された前記建材の識別情報に応じた建材の単価と施工の単価とを取得する単価取得ステップと、前記建材部数算出ステップにより算出された前記建材の部数と、前記単価取得ステップにより取得された前記建材の単価と前記施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1発明~第12発明によれば、建築工事見積作成システムは、無人航空機により撮影された外観情報から指定される建築工事の工事範囲と、ユーザから指定される建材の識別情報と、から建材の部数を算出する建材部数算出部と、算出された建材の部数と、取得された建材の単価と施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力部と、を備える。このため、既設建物の外観を示す外観情報に基づく建築工事金額を容易に出力することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0022】
また、第1発明~第12発明によれば、工事範囲取得部は、無人航空機により撮影された外観情報から建築工事の工事範囲を取得する。このため、図面等を用いる場合と比べて、補修等が必要な範囲や状況をより確実に確認することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する正確性の向上を図ることができる。
【0023】
特に、第2発明によれば、建材情報取得部は、ユーザから指定される建築工事に用いる建材の特徴を取得するとともに、取得した建材の特徴に応じた建材の識別情報をデータベースから取得する。このため、建材の特徴を特定することで建材の識別情報まで把握する手間がない。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0024】
特に、第3発明によれば、工事範囲取得部は、ユーザから指定される建築工事の工事エリアをさらに取得し、建材情報取得部は、取得された建材の特徴と工事エリアとに応じた建材の識別情報をデータベースから取得する。このため、地域特性など工事エリアに起因する建材の事情を考慮した建築工事金額を容易に出力することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0025】
特に、第4発明によれば、工事範囲取得部は、ユーザから指定される建築工事の工事エリアをさらに取得し、単価取得部は、取得された建材の識別情報と工事エリアとに応じた施工の単価をデータベースから取得する。このため、地域特性など工事エリアに起因する施工の事情を考慮した建築工事金額を容易に出力することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0026】
特に、第5発明によれば、建築工事見積作成システムは、取得された撮影範囲に基づいて生成された飛行経路と、取得された撮影高度と、に基づいて無人航空機の飛行動作を制御するとともに、取得された撮影枚数に基づいて特定された撮影動作に基づいて無人航空機の撮影動作を制御する動作制御部を備える。このため、既設建物に合わせて撮影範囲を設定することで、生成した飛行経路に従って既設建物全体を自動的に撮影することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0027】
特に、第6発明によれば、飛行経路生成部は、取得された多角形状の撮影範囲の各辺のうち最長辺に略直交する方向を含む飛行経路を生成する。このため、最長辺以外を基準とする飛行経路の計算と比べて処理が簡易化され、飛行経路を効率よく生成することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する効率性の向上を図ることができる。
【0028】
特に、第7発明によれば、動作制御部は、飛行経路上においてバッテリーの残量が予め設定された下限値を下回ったとき無人航空機を自動的に離陸地点に退避させ、その後バッテリーの残量が所定値以上になったとき退避を開始した飛行経路上の地点から撮影を再開する。このため、より長時間にわたり無人航空機の飛行動作及び撮影動作を制御することができる。これにより、より大きな既設建物についても補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0029】
特に、第8発明によれば、動作制御部等から独立して制御可能とされ、無人航空機により撮影された二次元外観情報を受信するとともに、受信した当該二次元外観情報に基づく既設建物を示す三次元モデリング画像を取得するサーバをさらに備える。すなわち、二次元外観情報に基づく既設建物を示す三次元モデリング画像を生成したうえで取得するまでの間、無人航空機を待機させることなく動作制御できる。このため、三次元モデリング画像の取得と他の既設建物に対する無人航空機による撮影とを並行して実施できる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0030】
特に、第9発明によれば、無人航空機により撮影された外観情報を受信するサーバと、サーバに対する外観情報の送信を制御する送信制御部と、をさらに備える。すなわち、外観情報を撮り直したうえで送信したり、複数の既設建物に係る複数の外観情報を一括送信したりすることができる。このため、大容量データの送信に起因する回線混雑の発生により外観情報の送信完了までの間外観情報の取り直しや他の既設建物の撮影のために待機する必要がない。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。また、外観情報の取り直しや複数の外観情報の一括送信をすることでデータ送信回数を低減できる。さらに、近距離無線通信圏内等に移動してデータを送信することで外観情報の送信完了までの待機時間を短縮化できる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0031】
特に、第10発明によれば、動作制御部は、認証部により承認情報が有効であることが認証された後に無人航空機の撮影動作を制御する。このため、無人航空機の飛行許可の取得忘れや有効期限切れを容易かつ確実に確認し、ユーザの違法行為を回避又は防止することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に用いる無人航空機の操作に関する法令順守の確度の向上を図ることができる。
【0032】
特に、第11発明によれば、動作制御部は、取得された撮影高度に基づく撮影枚数及び取得された撮影枚数に基づく撮影高度のうち何れかが算出された後に無人航空機の撮影動作を制御する。このため、撮影枚数を自動的に最適化してシステムの通信容量、保存容量及び撮影内容の確認の手間を低減することでことができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0033】
特に、第12発明によれば、無人航空機の撮影間隔と予め設定された重複幅とに基づく撮影高度を算出する算出部をさらに備え、撮影条件取得部は、撮影間隔を取得した上で、算出部により算出される撮影高度を取得する。すなわち、撮影間隔を取得することで予め設定した重複幅(オーバーラップ値)に応じて撮影高度が自動算出される。このため、大型の既設建物に対して所定のオーバーラップ値を満足しつつ最小限の撮影回数(撮影枚数)で外観情報を取得完了でき、外観情報のデータ容量が低減されるため、外観情報の送信完了までの待機時間を短縮化できる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0034】
第13発明によれば、建築工事見積作成方法は、無人航空機により撮影された外観情報から指定される建築工事の工事範囲と、ユーザから指定される建材の識別情報と、から建材の部数を算出する建材部数算出ステップと、算出された建材の部数と、取得された建材の単価と施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力ステップと、を有する。このため、既設建物の外観を示す外観情報に基づく建築工事金額を容易に出力することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0035】
第14発明によれば、建築工事見積作成プログラムは、無人航空機により撮影された外観情報から指定される建築工事の工事範囲と、ユーザから指定される建材の識別情報と、から建材の部数を算出する建材部数算出ステップと、算出された建材の部数と、取得された建材の単価と施工の単価と、に応じた建築工事金額を出力する建築工事金額出力ステップと、をコンピュータに実行させる。このため、既設建物の外観を示す外観情報に基づく建築工事金額を容易に出力することができる。これにより、既設建物の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、第1実施形態における建築工事見積作成システムの一例を示す模式図である。
図2図2(a)は、第1実施形態における建築工事見積作成システムを構成する制御装置の構成の一例を示す模式図であり、図2(b)は、第1実施形態における建築工事見積作成システムを構成する無人航空機の構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態における建築工事見積作成システムを構成する制御装置及び無人航空機の詳細な構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、第1実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態における建築工事見積作成システムが取り扱う情報の一例を示す模式図である。
図6図6は、第1実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法に用いられるデータベースの一例を示す模式図である。
図7図7(a)~(b)は、第1実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法に用いられるデータベースの詳細の一例を示す模式図である。
図8図8(a)~(b)は、第1実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法に用いられるデータベースの詳細の一例を示す模式図である。
図9図9(a)~(b)は、第1実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法に用いられるデータベースの詳細の一例を示す模式図である。
図10図10は、第1実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法に含まれる工事情報の取得方法の一例を示す模式図である。
図11図11は、第1実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法に含まれる建築工事金額の出力方法の一例を示す模式図である。
図12図12は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの一例を示す模式図である。
図13図13は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、第2実施形態における建築工事見積作成システムが取り扱う情報の一例を示す模式図である。
図15図15(a)は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの飛行動作及び撮影動作の一例を示す模式図であり、図15(b)は、撮影動作により取得される外観情報の一例を示す模式図である。
図16図16は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法に用いられるデータベースの一例を示す模式図である。
図17図17(a)~(b)は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法に用いられるデータベースの詳細の一例を示す模式図である。
図18図18は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法の一例を示すシーケンス図である。
図19図19(a)~(e)は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法の一例を示す模式図である。
図20図20(a)は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法の一例を示す模式図であり、図20(b)は、図20(a)のR-R断面を示す模式図である。
図21図21は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法の変形例を示す模式図である。
図22図22は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法の変形例を示す模式図である。
図23図23(a)~(b)は、第2実施形態における建築工事見積作成システムの動作方法の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態としての建築工事見積作成システム100、建築工事見積作成方法、及び建築工事見積作成プログラムの一例について、図面を参照しながら詳細に説明をする。なお、各図における構成は、説明のため模式的に記載されており、例えば各構成の大きさや、構成毎における大きさの対比等については、図とは異なってもよい。
【0038】
(第1実施形態:建築工事見積作成システム100)
図1図3を参照して、本実施形態における建築工事見積作成システム100の一例を説明する。
【0039】
建築工事見積作成システム100は、例えば図1に示すように、制御装置1と、無人航空機2と、無線通信網9と、を備える。建築工事見積作成システム100は、制御装置1を操作するユーザUから入力される情報に応じて、無線通信網9により無線接続された無人航空機2を介して既設建物200の外観を撮影する。
【0040】
建築工事見積作成システム100は、例えば無線通信網9を介して制御装置1及び無人航空機2と無線接続可能なサーバ3を備えてもよい。建築工事見積作成システム100は、例えば無線通信網9その他公知の通信方法を介して接続された外部のシステムやデータベースが保存された装置と連携してもよく、当該装置と情報を送受信してもよい。
【0041】
<制御装置1>
制御装置1は、無人航空機2の動作を制御するための装置である。制御装置1は、例えばユーザUが操作する端末であり、可搬性を有する。制御装置1は、ユーザUが操作する端末に加えて、当該端末とサーバ3との間で情報の送受信を中継する中継装置を含んでもよい。
【0042】
制御装置1は、例えば図2(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。制御装置1として、例えばタブレット型端末やスマートフォン等の可搬性を有する電子機器が用いられる。
【0043】
CPU101は、制御装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、ROMが格納するデータのバックアップ、データベースや学習対象データ等の各種情報が記憶される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)のほか、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば制御装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0044】
I/F105は、無線通信網9を介して、必要に応じて無人航空機2及びサーバ3との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードやマウス等が用いられ、ユーザUは、入力部108を介して、各種情報を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された各種情報、又は評価結果等を表示する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式の場合、入力部108と一体に設けられる。
【0045】
制御装置1は、例えば図3に示すように、無線通信部11と、記憶部12と、工事範囲取得部13と、建材情報取得部14と、建材部数算出部15と、単価取得部16と、建築工事金額出力部17と、を有する。なお、制御装置1の各構成は、CPU101が、RAM103を作業領域として、ROM102又は保存部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。なお、本実施形態では制御装置1が各部61~65を備える例を説明するが、各部61~65の少なくとも一部をサーバ3が備えてもよい。
【0046】
<無線通信部11>
無線通信部11は、無人航空機2又はサーバ3に情報を送信する。無線通信部11は、例えば制御装置1の各構成により取得、生成又は記憶された情報を、無線通信網9を介して無人航空機2又はサーバ3に送信する。無線通信部11は、例えば無人航空機2により取得、生成又は記憶された情報を、無線通信網9を介して受信する。無線通信部11は、例えばサーバ3に記憶される情報を受信する。
【0047】
<記憶部12>
記憶部12は、例えば制御装置1の各構成により取得又は生成された情報を、必要に応じて保存部104に保存されたデータベースに記憶させる。記憶部12は、例えば保存部104に保存されたデータベースに記憶された各種情報を、必要に応じて取出す。
【0048】
<工事範囲取得部13>
工事範囲取得部13は、外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する。工事範囲取得部13は、例えば無人航空機2により撮影された既設建物200の外観を示す外観情報から指定される建築工事の工事範囲を取得する。
【0049】
工事範囲取得部13は、例えば表示部109に表示した外観情報を見たユーザUから、入力部108を介して入力を受け付ける方法により、指定される建築工事の工事範囲を取得する。工事範囲取得部13は、例えば公知の画像認識システムを介して外観情報から既設建物200の屋根や壁等の特定部位を自動的に認識させる方法により、指定される建築工事の工事範囲を取得してもよい。
【0050】
<建材情報取得部14>
建材情報取得部14は、建築工事に用いる建材の識別情報を取得する。建材情報取得部14は、例えばユーザUから入力部108を介して入力を受け付ける方法により、建材の識別情報を取得する。建材情報取得部14は、例えば公知の画像認識システムを介して外観情報から取得した既設建物200の特定部位に応じて、特定部位ごとに建材の識別情報を予め紐づけたデータベースを参照する等の方法により、建材の識別情報を取得してもよい。
【0051】
<建材部数算出部15>
建材部数算出部15は、建築工事に係る工事範囲と建材の識別情報とから、建築工事に用いる建材の部数を算出する。建材部数算出部15は、例えば工事範囲取得部13により取得された工事範囲と、建材情報取得部14により取得された建材の識別情報と、から建築工事に用いる建材の部数を算出する。
【0052】
建材部数算出部15は、例えば工事範囲取得部13により取得された工事範囲の面積を、建材1個当たりの面積で除する方法や、単位面積当たりの使用量を積算する方法等により算出する。建材部数算出部15は、工事範囲取得部13により取得された部位ごとの工事範囲の面積、例えば横葺、縦葺、けらば、壁等の部位ごとに取得した工事範囲の面積を、部位ごとに対応する建材1個当たりの面積で除する、又は部位ごとに対応する単位面積当たりの使用量を積算する方法により算出する。建材部数算出部15は、例えば「坪拾い(登録商標)」等の公知の外装屋根割付積算ソフトを用いて、屋根や外壁の部数を自動算出した結果を算出結果として用いてもよい。
【0053】
<単価取得部16>
単価取得部16は、建材の識別情報と、建材の単価と、が予め紐づけられたデータベースを参照した上で、建材の識別情報に応じた建材の単価をデータベースから取得する。単価取得部16は、例えば建材情報取得部14により取得された建材の識別情報に応じた建材の単価を取得する。
【0054】
<建築工事金額出力部17>
建築工事金額出力部17は、建材の部数と建材の単価とに応じた建築工事金額を出力する。建築工事金額出力部17は、例えば建材部数算出部15により算出された建材の部数と、単価取得部16により取得された建材の単価と、に応じた建築工事金額を出力する。
【0055】
<無人航空機2>
無人航空機2は、いわゆる小型でかつ無人飛行が可能なドローン(マルチコプター)や無人ヘリコプターである。なお、無人航空機2は、航空法が定める重量200g以上の無人航空機を含むほか、同法が定める重量200g未満のいわゆる小型無人機を含んでもよい。無人航空機2は、例えば4基のローター(プロペラ)を有するクアッドコプターでもよく、要求される飛行性能や、故障に対する信頼性、許容されるコスト等に応じて、ローターを1基で構成したヘリコプター、ローターを3基で構成したトリコプター、ローターを6基で構成したヘキサコプター、ローターを8基で構成したオクトコプターとして具現化されるものでもよい。
【0056】
無人航空機2は、例えば図1に示すように、制御ユニット20と、カメラ21と、バッテリー22と、ローター用モーター23と、を有する。
【0057】
無人航空機2は、例えば制御ユニット20から互いに異なる方向に向けてアームが延長され、アームの先端にローター用モーター23が設けられてもよい。特に4基のローターを有するクアッドコプターで構成する場合、無人航空機2の各アームは、例えば平面視で互いに約90°間隔となるように延長される。無人航空機2の各アームは、例えば金属製又は樹脂製、カーボン製、又はその他の材料からなる管体で構成されていてもよい。このとき、アームの管体内に、制御ユニット20に接続されるバッテリー22から電力供給するためのケーブルを挿通させてもよい。
【0058】
無人航空機2は、例えば図2(b)に示すように、CPU201と、ROM202と、RAM203と、を有する。無人航空機2は、無人航空機2の動作を制御する制御プログラム以外のデータを記憶するための保存部204を有してもよい。無人航空機2は、無線通信網9と接続するためのI/F205を有してもよい。各構成201~205は、内部バス210により接続される。無人航空機2は、例えばCPU201、ROM202、RAM203が制御ユニット20に集積される。この制御ユニット20は、例えばマイクロコントローラーが用いられてもよい。
【0059】
CPU201は、無人航空機2全体を制御する。ROM202は、無人航空機2全体のハードウェア資源を制御するためのプログラムや、無人航空機2の動作を制御するための情報等が格納される。RAM203は、データの蓄積や展開等に使用する作業領域として使用され、無人航空機2全体のハードウェア資源を制御するときの各種命令を一時的に記憶する。保存部204は、ROM202に記憶される情報のバックアップや、それらの情報が統合されたデータベース等の各種情報が記憶される。保存部204として、例えばHDDのほか、SSD等のデータ保存装置が用いられる。無人航空機2は、例えば図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0060】
CPU201は、全ての構成要素を制御するためのいわゆる中央演算ユニットである。CPU201は、ROM202又は保存部204等に記憶されているプログラムを読み出して各種動作を行うための命令を各構成要素に対して通知する。例えばROM202に記憶されているプログラムが無人航空機2の飛行経路の生成、飛行動作、又は撮影動作に関するものであれば、これに基づいて飛行経路を生成し、飛行動作をし、又は撮影動作をするための各種命令を生成して各構成要素に送信する。
【0061】
またCPU201は、無線通信網9を介して送られてきた飛行経路の生成、飛行動作、又は撮影動作に関する情報やその他の情報に基づいて各種命令を生成して各構成要素に送信する。またCPU201は、無人航空機2を制御するためのセンサ群から送られてきたデータや、GNSS受信機から送られてきた無人航空機2の位置情報に基づいて、各構成要素を制御する。
【0062】
<制御ユニット20>
制御ユニット20は、各種制御に必要な集積回路やデバイスを収容するための筐体で構成されている。筐体は、例えば金属製又は樹脂製等であって、例えば箱型形状で構成されている。筐体には、例えばローターを取り付けるアームや、無人航空機2が着陸する際に接地するための脚部等を含む部材を取り付ける上で、必要な図示しないネジ孔等が予め設けられている。制御ユニット20に収容される各種部材、又は制御ユニット20に接続される各種部材は、制御ユニット20の筐体に設けられたネジ孔に、ネジを介して固定される。
【0063】
制御ユニット20は、例えば図3に示すように、フライトコントローラ50と、無線通信部51と、ESC(Electronic Speed Controller)52と、を備える。
【0064】
<フライトコントローラ50>
フライトコントローラ50は、無人航空機2の機体の姿勢や、自律飛行等の移動を制御するための装置である。フライトコントローラ50は、ESC54を介してローター用モーター23を制御し、無人航空機2の機体の移動を制御する。フライトコントローラ50は、例えば無線通信網9を介して無線通信部51が受信した情報に基づいて、無人航空機2の移動を制御してもよい。
【0065】
フライトコントローラ50は、センサ情報取得部501と、動作制御部502と、を含む。なお、フライトコントローラ50に含まれる各部は、CPU201が、RAM203を作業領域として、ROM202等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0066】
<センサ情報取得部501>
センサ情報取得部501は、無人航空機2の移動を制御するための情報を、時系列的に順次取得する。センサ情報取得部501は、例えば飛行制御センサ群と、GNSS受信部と、を含む。
【0067】
飛行制御センサ群は、例えば加速度センサ、角速度センサ、気圧センサ(高度センサ)、地磁気センサ(方位センサ)に加え、飛行高度を検出するための高度計、風速や風向を検出するための風向風速計、機体の傾斜角度や傾斜方向を検出するための加速度センサ、ジャイロセンサ等を始めとした各種センサで構成され得る。飛行制御センサ群は、例えば無人航空機2の移動速度を示す情報を、前後方向Xの成分と、左右方向Yの成分と、高さ方向Zの成分と、を含む三次元的な情報としてそれぞれ取得する。飛行制御センサ群は、例えば無人航空機2の移動方向を示す情報を取得する。
【0068】
GNSS受信部は、人工衛星から送られてくる衛星測位信号に基づき、無人航空機2の移動時において、無人航空機2の位置を示す位置情報をリアルタイムに取得する。GNSS受信部は、例えば無人航空機2の位置情報を、緯度と、経度と、高度と、を含む三次元的な情報としてそれぞれ取得する。
【0069】
<動作制御部502>
動作制御部502は、無人航空機2の飛行動作と撮影動作とを制御する。動作制御部502は、例えば無線通信部51が受信した情報に基づいて、無人航空機2の飛行動作と撮影動作とを制御する。
【0070】
動作制御部502は、例えば接続されるESC53を介してローター用モーター23の回転数、及び回転速度等を制御する方法により、無人航空機2の飛行動作を制御する。動作制御部502は、例えば接続されるカメラ21を介して無人航空機2の撮影動作を制御する。動作制御部502は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)コントローラで構成される。
【0071】
<無線通信部51>
無線通信部51は、無線通信網9を介して制御装置1との間で無線通信を行う。無線通信部51は、制御装置1との間で無線通信を行う上で必要な周波数変換やその他各種変換処理を行い、電気信号を電波に変換し、あるいは電波を電気信号に変換するアンテナも含まれる。無線通信部51は、例えば制御装置1又は制御装置1以外の無人航空機2の動作を制御するための装置から送信された電波に重畳されてきた制御情報を電気信号に変換した上で、フライトコントローラ50へ出力してもよい。その結果、建築工事見積作成システム100は、フライトコントローラ50を介して無人航空機2の制御を実現できる。
【0072】
無線通信部51は、フライトコントローラ50又はカメラ21から受信するデータを電波に変換して無線通信網9に送信してもよく、無線通信網9を介して制御装置1又はサーバ3に送信してもよい。無線通信部51は、無線通信網9からの各種情報を取得してフライトコントローラ50へ送信するようにしてもよい。ただし、本実施形態においては、建築工事見積作成システム100以外の外部から受信した制御情報に基づく無人航空機2の動作の制御を要しない。
【0073】
<記憶部52>
記憶部52は、例えば無人航空機2の各構成により取得又は生成された情報を、必要に応じて保存部204に保存されたデータベースに記憶させる。記憶部52は、例えば保存部204に保存されたデータベースに記憶された各種情報を、必要に応じて取出す。
【0074】
<ESC53>
ESC53は、動作制御部502による制御の下、ローター用モーター23の回転数、又は回転速度等を制御する。ESC53は、ローター用モーター23を制御することで、無人航空機2の移動速度及び移動方向を制御することができる。
【0075】
<カメラ21>
カメラ21は、例えば無人航空機2に搭載される。カメラ21は、例えば制御ユニット20の下部に取り付けられ、無人航空機2の下方を撮影する。カメラ21は、画像又は映像等を含む外観情報を取得できる公知のカメラが用いられてよい。
【0076】
<バッテリー22>
バッテリー22は、制御ユニット20及びカメラ21を駆動させるために必要な電力を供給するための電池である。バッテリー22は、例えば無人航空機2に内蔵されてもよく、無人航空機2の機体表面に搭載されてもよい。バッテリー22は、例えば無人航空機2に着脱自在に構成されてもよい。バッテリー22は、充電可能な仕様とされていてもよい。
【0077】
<ローター用モーター23>
ローター用モーター23は、制御ユニット20と電気的に接続され、無人航空機2に搭載されたローターを回転させる。ローター用モーター23は、ローターそれぞれに対して設けられており、バッテリー22から制御ユニット20を介して供給されてくる電力に基づいて回転動作する。ローター用モーター23は、上述の機能を有する限りにおいて限定されず、いかなる市販のものを適用することができる。
【0078】
ローター用モーター23を回転させることによりローターを回転させることができ、無人航空機2を即座に垂直方向に向けて上昇させ又は下降させることができ、あるいはその場で静止させることも可能となる。また、無人航空機2を前後左右に移動させる場合は、進行方向のローター用モーター23の回転数を下げ、進行方向とは反対側のローター用モーター23の回転数を上げる。これにより、無人航空機2は進行方向に対して前かがみの姿勢となり、進行方向に移動することが可能となる。また、ローター用モーター23の回転方向による出力の調整を行うことで、無人航空機2自体を回転させることも可能となる。これらローター用モーター23の回転数の制御は、制御ユニット20を介して行われる。
【0079】
<既設建物200>
既設建物200は、無人航空機2の撮影対象となる建築物である。既設建物200は、例えば居宅、共同住宅、事務所、工場、ホテルなどの用途に分類される建築物を含むが、特に建物部分が高層又は水平方向に広大であるほど無人航空機2を用いることによる作業性の向上が顕著となる。
【0080】
<サーバ3>
サーバ3は、例えば制御装置1又は無人航空機2が取得、生成した情報が記憶される。サーバ3は、例えば制御装置1と同様にCPU、ROM、RAMが搭載され、CPUがROMに記憶されているプログラムを読み出して、RAMを作業領域としてサーバ3の各構成の動作を制御してもよい。サーバ3は、例えば無線通信網9を介して制御装置1又は無人航空機2と接続され、制御装置1又は無人航空機2と任意のデータを互いに送受信してもよい。サーバ3は、例えば既設建物200の位置や寸法を示す情報が予め記憶され、制御装置1又は無人航空機2の要求に応じて、記憶された既設建物200の情報を送信してもよい。
【0081】
<無線通信網9>
無線通信網9は、例えば制御装置1と、無人航空機2と、サーバ3と、が通信回路を介して接続されるインターネット網等である。無線通信網9は、LTE(Long term evolution)を含む無線通信網等の公知の通信技術で実現してもよい。なお、建築工事見積作成システム100は、制御装置1と無人航空機2とが無線通信網9の代わりに「Wi-Fi(登録商標)」等の公知の近距離無線通信で接続されてもよく、「OcuSync(登録商標)2.0」、「OcuSync(登録商標)3.0」等の無人航空機独自の長距離伝送技術で接続されてもよい。
【0082】
(第1実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の一例)
次に、図4図11を参照して、本実施形態における建築工事見積作成システム100の動作の一例を説明する。建築工事見積作成システム100は、例えば制御装置1、無人航空機2及びサーバ3内にインストールされた無人航空機撮影プログラムを介して実行する。
【0083】
建築工事見積作成システム100の動作は、例えば図4に示すように、工事範囲取得ステップS11と、建材情報取得ステップS12と、建材部数算出ステップS13と、単価取得ステップS14と、建築工事金額出力ステップS15と、をさらに有する。
【0084】
まず、本実施形態における、建築工事見積作成システム100の動作に伴う各種情報について説明する。
【0085】
<工事情報D11>
工事情報D11は、既設建物200の建築工事に係る情報である。工事情報D11は、例えば図5に示すように、工事範囲情報D111を含む。工事情報D11は、工事部位情報D112を含んでもよく、工事範囲情報D111と紐づけられて記憶されてもよい。工事情報D11は、工事エリア情報D113を含んでもよく、工事範囲情報D111と紐づけられて記憶されてもよい。工事情報D11は、例えば制御装置1の入力部108がユーザUの入力を受け付けることにより取得される。
【0086】
工事範囲情報D111は、既設建物200の建築工事の実施範囲を特定する情報である。工事範囲情報D111は、平面状の工事範囲を特定する。工事範囲情報D111は、例えば多角形状の工事範囲を特定する。工事範囲情報D111は、例えば特定した工事範囲について、多角形状の各辺の寸法、平面状の工事範囲の面積等を含む。工事範囲情報D111は、例えば互いに離間した複数の工事範囲を特定してもよい。
【0087】
工事範囲情報D111は、例えば既設建物200の外観情報から、外周形状に沿って形成される。このとき、外観情報に含まれる既設建物200の屋根の一部又は全部を工事範囲として特定してもよく、壁の一部又は全部を工事範囲として特定してもよい。
【0088】
ここで、外観情報とは、無人航空機2が撮影した画像や動画等の視覚情報を示す。外観情報には、例えば既設建物200の部分的な外観を示す視覚情報、既設建物200の全体的な外観を示す視覚情報、及びこれの情報を加工して生成された視覚情報を含む。
【0089】
工事部位情報D112は、既設建物200の外観を構成する部位を識別する情報である。工事部位情報D112としては、例えば「屋根」、「壁」等の部位を識別する情報を含む。
【0090】
工事エリア情報D113は、建築工事を実施する既設建物200が所在する地域を示す情報である。工事エリア情報D113としては、例えば日本の地方区分ごと、又は地方公共団体の区分ごとに識別する情報を含む。
【0091】
<建材情報D12>
建材情報D12は、既設建物200の建築工事に用いる建材に係る情報である。建材情報D12は、例えば建材特徴情報D121、建材識別情報D122、建材部数情報D123等を含む。工事情報D11は、建材特徴情報D121及び建材識別情報D122のうち何れか一方のみを含んでもよく、何れも含み相互に紐づけられて記憶されてもよい。建材情報D12は、例えば制御装置1の入力部108がユーザUの入力を受け付けることにより取得される。
【0092】
建材特徴情報D121は、既設建物200の建築工事に用いる建材の特徴を示す情報である。建材特徴情報D121としては、例えば「横葺」、「縦葺」、「けらば」等の建材のカテゴリを示す情報や、「鋼鉄製」、「アルミ製」等の建材の材質を示す情報を含む。
【0093】
建材識別情報D122は、既設建物200の建築工事に用いる建材を識別するための情報である。建材特徴情報D121としては、例えば建材の商品名、商品型番等の建材を識別する情報を含む。
【0094】
<データベース7>
データベース7は、建築工事見積作成システム100の各構成の何れかに予め保存される。本実施形態では、データベース7がサーバ3に予め保存される例を説明するが、データベース7は、例えばサーバ3に代えて、又はサーバ3とともに各保存部104、204等に予め保存されてもよい。
【0095】
データベース7は、例えば図6に示すように、無人航空機情報テーブル71と、外観情報テーブル72と、建築工事情報テーブル73と、建材施工情報テーブル74と、を含む。各テーブル72~74に格納される情報は、識別性を有する情報に紐づけられることが好ましく、例えば無人航空機情報テーブル71に格納される情報と紐づけられる。各テーブルに格納される情報は、例えばサーバ3において受信又は直接入力される。また、各テーブルに格納される情報は、例えば建築工事見積作成システム100が発行するライブラリ番号や、参照用無人航空機識別情報D71等の識別情報と紐づけて保存される。なお、各テーブル71~74に格納される情報は、ユーザUによって予め入力される情報でもよい。
【0096】
<無人航空機情報テーブル71>
無人航空機情報テーブル71は、例えば図7(a)に示すように、参照用無人航空機識別情報D71を格納する。
【0097】
<参照用無人航空機識別情報D71>
参照用無人航空機識別情報D71は、1以上の無人航空機を識別するための情報である。参照用無人航空機識別情報D71は、例えば「操縦者名」、「無人航空機機体名」、「シリアルナンバー」、「無線航空機登録番号」、「保険満期日」等の情報を含む。
【0098】
参照用無人航空機識別情報D71は、例えば無人航空機2を識別する無人航空機識別情報D14に対応する情報を含み得る。「操縦者名」は、例えばユーザUを識別する操縦者名D141に対応する情報を含み得る。「無人航空機機体名」は、例えば無人航空機2を識別する情報を含み得る。「シリアルナンバー」、「無線航空機登録番号」及び「保険満期日」は、それぞれ無人航空機2のシリアルナンバー、登録番号及び保険満期日に対応する情報を含み得る。
【0099】
<外観情報テーブル72>
外観情報テーブル72は、例えば図7(b)に示すように、参照用外観情報D72を格納する。
【0100】
<参照用外観情報D72>
参照用外観情報D72は、1以上の無人航空機ごとに撮影された外観情報を含む。参照用外観情報D72は、例えば「建物部分画像」、「建物全体画像」及び「三次元モデリング画像」等の情報を含む。
【0101】
参照用外観情報D72は、例えば無人航空機2が撮影する外観情報に対応する情報を含み得る。「建物部分画像」は、例えば無人航空機2が撮影する既設建物200の部分的な外観情報に対応する視覚情報を含み得る。「建物全体画像」は、例えば無人航空機2が撮影する既設建物200の全体的な外観情報に対応する視覚情報や、これらの情報を加工して生成された視覚情報を含み得る。「三次元モデリング画像」は、例えば無人航空機2が撮影する視覚情報に基づいて加工して生成された情報を含み得る。
【0102】
<建築工事情報テーブル73>
建築工事情報テーブル73は、例えば図8(b)に示すように、参照用建築工事識別情報D73を格納する。
【0103】
<参照用建築工事識別情報D73>
参照用建築工事識別情報D73は、1以上の既設建物の建築工事を識別するための情報である。参照用建築工事識別情報D73は、例えば「建物工事名」、「建築工事業者名」、「建築工事物件名」及び「工事エリア」等の情報を含む。
【0104】
参照用建築工事識別情報D73は、例えば既設建物200の建築工事の内容を示す建築工事情報に対応する情報を含み得る。「建物工事名」は、例えば既設建物200の建築工事の名称に対応する情報を含み得る。「建築工事業者名」は、例えば既設建物200の建築工事を実施する工事業者名に対応する情報を含み得る。「建築工事物件名」は、例えば既設建物200を識別する名称に対応する情報を含み得る。「工事エリア」は、例えば既設建物200が所在する地域を識別する名称に対応する情報を含み得る。「工事エリア」は、例えば既設建物200の建築工事の工事情報D11に含まれる工事エリア情報D113に対応する情報を含み得る。
【0105】
<建築工事情報テーブル73>
建築工事情報テーブル73は、例えば図8(b)に示すように、1以上の既設建物の建築工事を識別するための参照用建築工事識別情報D73と、参照用建材情報D75とを紐づけて格納する。建築工事情報テーブル73は、例えば1以上の既設建物の建築工事を識別するための参照用建築工事識別情報D73と、参照用外観情報D72及び参照用工事情報D74等がさらに紐づけられて格納されてもよい。なお、参照用建材情報D75は例えば建材施工情報テーブル74に格納される情報が複製される。
【0106】
<参照用工事情報D74>
参照用工事情報D74は、1以上の既設建物の建築工事の内容を示す情報である。参照用工事情報D74は、建築工事に用いる建材の設置面積を示す「建材設置面積」等の情報を含む。
【0107】
参照用工事情報D74は、例えば既設建物200の建築工事の内容を示す建築工事情報に対応する情報を含み得る。「建材設置面積」は、例えば既設建物200の建築工事の工事情報D11に含まれる工事範囲情報D111に対応する情報を含み得る。
【0108】
<建材施工情報テーブル74>
建材施工情報テーブル74は、例えば図9(a)に示すように、参照用建材情報D75を格納する。建材施工情報テーブル74は、例えば図9(b)に示すように、参照用建材情報D75と参照用施工情報D76とを紐づけて格納してもよい。
【0109】
<参照用建材情報D75>
参照用建材情報D75は、1以上の既設建物の建築工事に用いる建材の詳細を示す情報である。参照用建材情報D75は、建築工事に用いる建材の「建材名称」、「建材単価」、「建材取扱業者名」、「建材素材」、「建材特徴」、「補助材名」、「建材部数」等の情報を含む。
【0110】
参照用建材情報D75は、例えば建材識別情報D122に対応する情報を含み得る。参照用建材情報D75は、例えば建材特徴情報D121に対応する情報を含み得る。「建材名称」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の名称を示す情報を含み得る。「建材単価」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の単価を示す情報を含み得る。「建材取扱業者名」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の取扱業者名を示す情報を含み得る。「建材素材」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の素材を示す情報を含み得る。「補助材名」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の取付に必要な治具等を示す情報を含み得る。「建材部数」は、例えば建材情報D12に含まれる建材部数情報D123に対応する建材の部数を示す情報を含み得る。
【0111】
<参照用施工情報D76>
参照用施工情報D76は、1以上の既設建物の建築工事に用いる建材の施工に係る詳細を示す情報である。参照用施工情報D76は、建築工事に用いる建材の施工に係る「施工名」、「施工業者名」、「施工内容」、「施工単価」、「施工工数」等の情報を含む。
【0112】
参照用施工情報D76は、例えば建材識別情報D122に対応する1以上の施工情報を含み得る。参照用施工情報D76は、例えば建材特徴情報D121に対応する1以上の施工情報を含み得る。ここで、1以上の施工情報とは、施工工程が異なる複数の情報でもよく、同一の施工工程に含まれ時系列的な情報又は択一的な情報でもよい。「施工名」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の施工に係る施工名を示す情報を含み得る。「施工業者名」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の施工に係る施工業者を示す情報を含み得る。「施工内容」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の施工に係る施工内容を示す情報を含み得る。「施工単価」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の施工に係る施工単価を示す情報を含み得る。「施工工数」は、例えば建材特徴情報D121又は建材識別情報D122に対応する建材の施工に係る施工工数を示す情報を含み得る。
【0113】
次に、本実施形態における、建築工事見積作成システム100の動作の流れについて説明する。
【0114】
<工事範囲取得ステップS11>
工事範囲取得ステップS11において、工事範囲取得部13は、例えば図10に示すように、参照用外観情報D72から指定される建築工事の工事範囲を工事範囲情報D111として取得する。本実施形態では、参照用外観情報D72として既設建物200の三次元モデリング画像を用いる例を説明するが、1以上の画像が用いられてもよく、映像が用いられてもよい。
【0115】
工事範囲取得部13は、例えば表示部109に表示された既設建物200の三次元モデリング画像等の参照用外観情報D72を視認したユーザUから、入力部108を介して工事範囲の指定を受け付ける。これにより、工事情報D11として、例えば面積A、面積B、面積C、面積Dを含む工事範囲情報D111を取得することができる。また、工事範囲取得部13は、ユーザUから工事範囲情報D111と工事部位情報D112との入力を受け付けることで、工事情報D11として、例えば面積Aの屋根A、面積Bの屋根B、面積Cの屋根C、面積Dの屋根Dを含む、工事部位情報D112が紐づけられた工事範囲情報D111を取得することができる。
【0116】
図10の例では、ユーザUの操作により表示部109に表示した三次元モデリング画像Aにおいて各屋根の外周を選択することで、屋根A~Cの範囲と各辺の寸法とを取得する。その後、ユーザUの操作により三次元モデリング画像Aを回転させて表示部109に表示した三次元モデリング画像Bにおいて残りの屋根の外周を指定することで、屋根Dの範囲と各辺の寸法とを取得する。その後、建材部数の算出を簡潔にするため、取得した各屋根A~Dの寸法に基づく生成処理、又は取得した各屋根A~Dの寸法についてユーザUからの入力を受け付ける方法等により各屋根A~Dを平面的に展開した図を、工事範囲情報D111として取得する。
【0117】
<建材情報取得ステップS12>
建材情報取得ステップS12において、建材情報取得部14は、ユーザUから指定される建材識別情報D122を取得する。建材情報取得部14は、例えば表示部109に表示された1以上の参照用建材情報D75のリストを視認したユーザUから建材の指定の入力を受け付けることで、建材識別情報D122を取得する。
【0118】
ここで、参照用建材情報D75は、全て表示部109に表示されてもよく、工事範囲取得部13が取得した工事情報D11に関連する情報のみ表示部109に表示されてもよい。図10の例では、工事範囲取得部13が「屋根」の部位を示す工事部位情報D112を含む工事情報D11を取得した場合、表示部109は屋根材に該当する参照用建材情報D75のみ表示してもよい。
【0119】
<建材部数算出ステップS13>
建材部数算出ステップS13において、建材部数算出部15は、工事範囲取得ステップS11において工事範囲取得部13により取得された工事範囲情報D111と、建材情報取得ステップS12において建材情報取得部14により取得された建材識別情報D122と、から建材部数情報D123を算出する。図10の例では、工事情報D11として建材ごとの総数を算出するほか、単一材のまま用いる「まもの(真物)」の枚数と、屋根や外壁の形状に合わせて形状を加工し手用いる「切り物」の枚数も算出してもよい。
【0120】
<単価取得ステップS14>
単価取得ステップS14において、単価取得部16は、建材の識別情報と、建材の単価と、が予め紐づけられたデータベース7を参照した上で、建材情報取得部14により取得された建材識別情報D122に応じた建材の単価及び施工の単価をデータベース7から取得する。単価取得部16は、例えば図9に示すように、「建材名称」と「建材単価」と「施工単価」とが紐づけられた建材施工情報テーブル74を参照した上で、建材識別情報D122に応じた建材の単価及び施工の単価を建材施工情報テーブル74から取得する。
【0121】
<建築工事金額出力ステップS15>
建築工事金額出力ステップS15において、建築工事金額出力部17は、建材部数算出ステップS13において建材部数算出部15により算出された建材部数情報D123と、単価取得ステップS14において単価取得部16により取得された建材の単価及び施工の単価と、に応じた建築工事金額D13を出力する。詳しくは、建築工事金額出力部17は、例えば図11に示すように、建材識別情報D122に対応する「材料費」を、その建材の「数量(A1)」に「単価(A3)」を乗じて見積金額小計Aを算出する。同様に、建築工事金額出力部17は、建材識別情報D122及び建材部数情報D123に応じた「加工費」をその加工の「数量(B1)」に「単価(B3)」を乗じて見積金額小計Bを算出し、建材識別情報D122及び建材部数情報D123に応じた「施工費」をその施工の「数量(C1)」に「単価(C3)」を乗じて見積金額小計Cを算出する。その後、各見積金額小計A~Cを足し合わせた見積金額総計Dを、建築工事金額D13として出力する。すなわち、ユーザUは、既設建物200の補修等の見積について専門知識がなく不慣れな場合でも、補修等の見積に関する業務に携わることができる。この場合、既設建物200の外観を示す外観情報に基づく建築工事金額D13を容易に出力することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0122】
また、上述の建築工事金額出力ステップS15によれば、建築工事の見積に施工の内容を考慮することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する正確性の向上を図ることができる。また、1つの「建材名称」に複数の「施工単価」が紐づけられるとき、ユーザUは1以上の「施工単価」から施工の単価を選択的に指定することができる。この場合、特定した建材の識別情報に応じた施工の単価が複数あるときは施工の単価を施工の内容に応じて任意に選択することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する操作性の向上を図ることができる。
【0123】
なお、単価取得部16が「建材名称」と「建材原価」とが紐づけられた建材施工情報テーブル74を参照した上で、建材識別情報D122に応じた建材の原価を建材施工情報テーブル74から取得したとき、その建材の「原価(A2)」とユーザUから指定される「粗利率(E)」とを用いて算出される販売単価を取得し、「単価(A3)」の代わりに「数量(A1)」に乗じて見積金額を算出してもよい。
【0124】
上述した各ステップを実施し、本実施形態における建築工事見積作成システム100の動作は終了する。なお、建築工事見積作成システム100では、例えば上述した各ステップを繰り返し実施してもよい。なお、工事範囲取得ステップS11において、工事範囲取得部13は、例えば予め用意された既設建物200に関する建物図面データを参照用外観情報D72として、その図面データから指定される建築工事の工事範囲を工事範囲情報D111として取得してもよい。この場合、建築工事見積作成システム100は、制御装置1と無人航空機2とが無線接続されることを要しない。
【0125】
(第1実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の変形例)
建材情報取得ステップS12において、建材情報取得部14は、ユーザUから指定される建材特徴情報D121を取得する。その後、建材情報取得部14は、例えば図9(b)に示すように、建材の特徴(例えば「建材特徴」)と、建材の識別情報(例えば「建材名称」)と、が紐づけられた建材施工情報テーブル74を参照した上で、取得した建材特徴情報D121に対応する「建材特徴」に紐づけられた「建材名称」を建材識別情報D122として建材施工情報テーブル74から取得する。この場合、建材の特徴を特定することで建材の識別情報を把握する手間がない。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。また、1つの「建材特徴」に複数の「建材名称」が紐づけられるとき、ユーザUは1以上の「建材名称」から建材識別情報D122を選択的に指定することができる。この場合、特定した建材の特徴に応じた建材の識別情報が複数あるときは建材の識別情報を任意に選択することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する操作性の向上を図ることができる。
【0126】
建築工事見積作成システム100の動作の他の変形例として次の例が挙げられる。工事範囲取得ステップS11において、工事範囲取得部13は、ユーザUから指定される工事エリア情報D113を取得する。また、建材情報取得ステップS12において、建材情報取得部14は、ユーザUから指定される建材特徴情報D121を取得する。その後、建材情報取得部14は、例えば図9(b)に示すように、建材の特徴(例えば「建材特徴」)及び工事エリアと、建材の識別情報(例えば「建材名称」)と、が紐づけられた建材施工情報テーブル74を参照した上で、取得した工事エリア情報D113に対応する「工事エリア」及び建材特徴情報D121に対応する「建材特徴」に紐づけられた「建材名称」を建材識別情報D122として建材施工情報テーブル74から取得する。この場合、地域特性など工事エリアに起因する建材の事情を考慮した建築工事金額D13を容易に出力することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0127】
建築工事見積作成システム100の動作の他の変形例として次の例が挙げられる。工事範囲取得ステップS11において、工事範囲取得部13は、ユーザUから指定される工事エリア情報D113を取得する。また、単価取得ステップS14において、単価取得部16は、例えば図9(b)に示すように、建材の識別情報(例えば「建材名称」)及び工事エリアと、施工の単価(例えば「施工単価」)と、が紐づけられた建材施工情報テーブル74を参照した上で、取得した建材識別情報D122に対応する「建材名称」及び取得した工事エリア情報D113に対応する「工事エリア」に紐づけられた「施工単価」を建材施工情報テーブル74から取得する。この場合、地域特性など工事エリアに起因する施工の事情を考慮した建築工事金額D13を容易に出力することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0128】
本実施形態によれば、建築工事見積作成システム100は、無人航空機2により撮影された外観情報から指定される建築工事の工事範囲と、ユーザUから指定される建材の識別情報と、から建材の部数を算出する建材部数算出部15と、算出された建材の部数と、取得された建材の単価と施工の単価と、に応じた建築工事金額D13を出力する建築工事金額出力部17と、を備える。このため、既設建物200の外観を示す外観情報に基づく建築工事金額D13を容易に出力することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0129】
本実施形態によれば、工事範囲取得部13は、無人航空機2により撮影された外観情報から建築工事の工事範囲を取得する。このため、図面等を用いる場合と比べて、補修等が必要な範囲や状況をより確実に確認することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する正確性の向上を図ることができる。
【0130】
本実施形態によれば、建材情報取得部14は、ユーザUから指定される建築工事に用いる建材の特徴を取得するとともに、取得した建材の特徴に応じた建材の識別情報をデータベース7から取得する。このため、建材の特徴を特定することで建材の識別情報まで把握する手間がない。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0131】
本実施形態によれば、工事範囲取得部13は、ユーザUから指定される建築工事の工事エリアをさらに取得し、建材情報取得部14は、取得された建材の特徴と工事エリアとに応じた建材の識別情報をデータベース7から取得する。このため、地域特性など工事エリアに起因する建材の事情を考慮した建築工事金額D13を容易に出力することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0132】
本実施形態によれば、工事範囲取得部13は、ユーザUから指定される建築工事の工事エリアをさらに取得し、単価取得部16は、取得された建材の識別情報と工事エリアとに応じた施工の単価をデータベース7から取得する。このため、地域特性など工事エリアに起因する施工の事情を考慮した建築工事金額D13を容易に出力することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0133】
本実施形態によれば、建築工事見積作成方法は、無人航空機2により撮影された外観情報から指定される建築工事の工事範囲と、ユーザUから指定される建材の識別情報と、から建材の部数を算出する建材部数算出ステップS13と、算出された建材の部数と、取得された建材の単価と施工の単価と、に応じた建築工事金額D13を出力する建築工事金額出力ステップS15と、を有する。このため、既設建物200の外観を示す外観情報に基づく建築工事金額D13を容易に出力することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0134】
本実施形態によれば、建築工事見積作成プログラムは、無人航空機2により撮影された外観情報から指定される建築工事の工事範囲と、ユーザUから指定される建材の識別情報と、から建材の部数を算出する建材部数算出ステップS13と、算出された建材の部数と、取得された建材の単価と施工の単価と、に応じた建築工事金額D13を出力する建築工事金額出力ステップS15と、をコンピュータに実行させる。このため、既設建物200の外観を示す外観情報に基づく建築工事金額D13を容易に出力することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0135】
(第2実施形態:建築工事見積作成システム100)
図12を参照して、本実施形態における建築工事見積作成システム100の一例を説明する。本実施形態は、建築工事見積作成システム100が撮影範囲取得部61、飛行経路生成部62、撮影条件取得部63及び撮影動作特定部64をさらに備える点で、第1実施形態とは異なる。なお、上述の内容と同様の構成については、説明を省略する。
【0136】
制御装置1は、例えば図12に示すように、撮影範囲取得部61と、飛行経路生成部62と、撮影条件取得部63と、撮影動作特定部64と、を有する。制御装置1は、例えば認証部65と、算出部66と、をさらに備えてもよい。
【0137】
<撮影範囲取得部61>
撮影範囲取得部61は、無人航空機2の平面的な撮影範囲を取得する。撮影範囲取得部61は、例えば入力部108を介してユーザUの入力を受け付ける方法により撮影範囲を取得する。
【0138】
ここで、平面的とは、地球の重力が働く方向に対して略垂直な水平面を指す。すなわち、平面的な撮影範囲は、緯度情報及び経度情報を含み得るが、高さ情報を含まない。
【0139】
<飛行経路生成部62>
飛行経路生成部62は、無人航空機2の水平方向の飛行経路を生成する。飛行経路生成部62は、例えば撮影範囲取得部61により取得された撮影範囲に基づいて無人航空機2の飛行経路を生成する。
【0140】
ここで、水平方向とは、地球の重力が働く方向に対して略垂直な水平面上の方向を指し、平面的な撮影範囲に対して略平行である。すなわち、本発明における無人航空機2は、飛行経路生成部62が生成した飛行経路上においては、水平方向に向かって飛行するものであり、悪天候及び衝突回避等の環境要因、バッテリー消耗等に起因する省力モードへの切替、飛行動作を中断する退避モードへの切替等を除いて、高さ方向Zに向かう意図的な飛行動作を行わない。
【0141】
<撮影条件取得部63>
撮影条件取得部63は、無人航空機2の撮影条件を取得する。撮影条件取得部63は、例えば入力部108を介してユーザUの入力を受け付ける方法により撮影条件を取得する。撮影条件取得部63は、例えば建築工事見積作成システム100の各構成の何れかに予め保存された撮影条件に関連する情報を取得してもよい。撮影条件取得部63は、例えば撮影範囲取得部61により取得された撮影範囲における無人航空機2の撮影条件を取得する。ここで、撮影条件とは、例えば無人航空機2の撮影高度と撮影枚数とを含む。
【0142】
<撮影動作特定部64>
撮影動作特定部64は、無人航空機2の撮影動作を特定する。撮影動作特定部64は、例えば撮影条件取得部63により取得された撮影条件のうち撮影枚数に基づいて、飛行経路生成部62により生成された飛行経路上の撮影動作を特定する。本実施形態において、無人航空機2は、撮影動作特定部64が飛行経路上の撮影動作を特定した後に、特定された撮影動作に従って撮影動作を行う。
【0143】
<認証部65>
認証部65は、無人航空機2に対応する承認情報が有効であることを認証する。認証部65は、例えばDIPS又はFISSにおける無人航空機2の飛行許可に関する情報が含まれるデータベース7を参照した上で、無人航空機2に対応する承認情報が有効であることを認証する。
【0144】
<算出部66>
算出部66は、無人航空機2の撮影高度に基づく撮影枚数又は撮影枚数に基づく撮影高度を算出する。算出部66は、例えば撮影条件取得部63により取得された無人航空機2の撮影高度に基づく撮影枚数、又は撮影条件取得部63により取得された無人航空機2の撮影枚数に基づく撮影高度を算出する。
【0145】
<動作制御部502>
動作制御部502は、例えば飛行経路生成部62により生成された飛行経路と、撮影条件取得部63により取得された撮影高度と、に基づいて無人航空機2の飛行動作を制御するとともに、撮影動作特定部64により特定された撮影動作に基づいて無人航空機2の撮影動作を制御する。
【0146】
(第2実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の一例)
次に、図13図20を参照して、本実施形態における建築工事見積作成システム100の動作の一例を説明する。
【0147】
建築工事見積作成システム100の動作は、例えば図13に示すように、工事範囲取得ステップS11の実施前において、撮影範囲取得ステップS21と、飛行経路生成ステップS22と、撮影条件取得ステップS23と、撮影動作特定ステップS24と、動作制御ステップS25と、を含む。工事範囲取得ステップS11は、動作制御ステップS25により取得される外観情報を用いる。なお、本実施形態では飛行経路生成ステップS22の後に撮影条件取得ステップS23を実施する例を説明するが、撮影条件取得ステップS23の後に撮影範囲取得ステップS21又は飛行経路生成ステップS22を実施してもよい。
【0148】
また、建築工事見積作成システム100の動作は、例えば外観情報記憶ステップS27と、認証ステップS26と、をさらに有してもよい。外観情報記憶ステップS27は、動作制御ステップS25とともに実施されてもよく、動作制御ステップS25が完了した後に実施されてもよい。認証ステップS26は、動作制御ステップS25の前であれば、撮影範囲取得ステップS21、飛行経路生成ステップS22及び撮影条件取得ステップS23、撮影動作特定ステップS24の前後のうち少なくとも何れかで実施されてよく、複数回実施されてもよい。
【0149】
まず、本実施形態における、建築工事見積作成システム100の動作に伴う各種情報について説明する。建築工事見積作成システム100が扱う各種情報には、例えば図14に示すように、無人航空機識別情報D14と、撮影範囲情報D15と、飛行経路情報D16と、撮影条件情報D17と、無人航空機飛行情報D18と、外観情報D19と、が含まれる。なお、建築工事見積作成システム100が扱う各種情報は、制御装置1の入力部108がユーザUの入力を受け付けることにより取得され、建築工事見積作成システム100の各構成において予め保存され又は生成されたものが取得され、又は無人航空機2に搭載されたセンサを介して取得され得る。
【0150】
<無人航空機識別情報D14>
無人航空機識別情報D14は、無人航空機2又は無人航空機2を制御する制御装置1を用いるユーザUを識別する情報である。無人航空機識別情報D14は、例えば操縦者名D141、無人航空機機体名D142等を含む。操縦者名D141と無人航空機機体名D142とは、例えば相互に紐づけられて記憶される。
【0151】
操縦者名D141は、ユーザUを識別する情報である。操縦者名D141は、例えばユーザUが制御装置1又はサーバ3に直接入力することにより取得される。操縦者名D141は、例えば制御装置1から無人航空機2又はサーバ3に送信される。操縦者名D141は、例えば操縦者名D141に紐づけられた無人航空機機体名D142を照会する場合や、無人航空機機体名D142を使用するユーザUとしての認証を行う場合に用いられる。
【0152】
無人航空機機体名D142は、無人航空機2を識別する情報である。無人航空機機体名D142は、例えばサーバ3に予め記憶される。無人航空機機体名D142は、例えば無人航空機2が撮影した情報と紐づけて無人航空機2が取得した外観情報をグルーピングする場合や、無人航空機2の飛行許可の有効期限を照会する場合等に用いられる。
【0153】
<撮影範囲情報D15>
撮影範囲情報D15は、無人航空機2の撮影範囲を特定する情報である。撮影範囲情報D15は、水平方向に沿う平面状の撮影範囲を特定する。撮影範囲情報D15は、例えば多角形状の撮影範囲を特定するほか、円形その他任意の形状の撮影範囲を特定してもよい。
【0154】
撮影範囲情報D15は、既設建物200の平面視における外周形状に沿って、又は外周形状を含むように形成される。撮影範囲情報D15は、例えば図15に示すように、平面視四角形状の既設建物200全体を撮影するために、平面視において第1位置情報D151、第2位置情報D152、第3位置情報D153、第4位置情報D154の4つを頂点とする四角形状の撮影範囲を特定する。ここで、各種位置情報D151~D154は、例えば制御装置1の入力部108がユーザUの入力を受け付けることにより取得される。
【0155】
<飛行経路情報D16>
飛行経路情報D16は、無人航空機2の飛行経路を特定する情報である。飛行経路情報D16は、水平方向に沿う平面状の飛行経路を特定する。飛行経路情報D16は、例えば図14に示すように、撮影範囲情報D15に基づいて最初に生成される第1経路情報D161と、第1経路情報D161に基づいて生成される第2経路情報D162と、を含む。
【0156】
<撮影条件情報D17>
撮影条件情報D17は、無人航空機2の撮影条件を特定する情報である。撮影条件情報D17は、例えば撮影高度情報D171と、撮影枚数情報D172と、撮影時間情報D173と、撮影動作特定情報D174と、を含む。
【0157】
撮影高度情報D171は、無人航空機2が撮影動作を行う撮影高度を示す情報であり、無人航空機2に搭載されるカメラ21が位置する高度を指す。カメラ21が無人航空機2の機体下部に取り付けられる場合、無人航空機2の飛行高度と撮影高度とは、無人航空機2の機体の大きさに応じた誤差が生じる。無人航空機2は、撮影条件情報D17に基づく飛行高度において、飛行経路情報D16に基づく水平方向の飛行動作を行う。
【0158】
撮影枚数情報D172は、無人航空機2が画像を撮影する場合の枚数を指す。ここで、例えば図15(a)~図15(b)に示すように、各種位置情報D151~D154から構成される四角形状の撮影範囲において、無人航空機2が地点P1、P2、P3、P4の順に飛行しながら撮影動作を行う場合、一定の撮影高度を維持することでカメラ21の画角Vを画角内縦幅w1、画角内横幅w2で一定としたまま飛行動作及び撮影動作を行う。なお、図中の斜線は、各画角V1~V4を区別するための各画角V1~V4の対角線を示している。また、既設建物200全体の外観情報を得るためには、各地点P1、P2、P3、P4における画角V1、V2、V3、V4が重複縦幅w3、重複横幅w4だけ重ね合わせ領域が必要となる。詳しくは、2以上の外観情報が重なる重ね合わせ領域の重複部(オーバーラップ部)に含まれる特徴点について、当該外観情報間で照合して互いの位置関係を割り出す。このような位置関係の割り出しは、例えば二次元イメージから三次元のシーンを推定する公知技術であるSfM(Structure from Motion)によって実現される。そして、この重複縦幅w3、重複横幅w4を一定値として設定することで、撮影範囲全体を撮影するために必要な撮影枚数を計画することができる(図15の場合は4枚)。なお、画角内縦幅w1、画角内横幅w2、重複縦幅w3、重複横幅w4は、何れも画角V内に含まれる被写体の実際の寸法(実測値)に対応する幅であり、画像又は映像のサイズとは異なる。
【0159】
すなわち、撮影高度情報D171に基づく一定の撮影高度を維持する場合の撮影枚数の計画値を、撮影枚数情報D172として取得してもよい。また、重ね合わせ領域の重複縦幅w3、重複横幅w4を一定値として設定することで、撮影枚数情報D172に基づいて撮影範囲全体を撮影するために必要な画角Vの画角内縦幅w1、画角内横幅w2を算出し、その画角Vを実現できる撮影高度を撮影高度情報D171として取得してもよい。
【0160】
取得される各情報の一例としては、例えば画角Vの画角内縦幅w1が0m超~100m、画角内横幅w2が0m超~100mである。また、予め設定される各設定値の一例としては、例えば重ね合わせ領域の重複縦幅w3が0m超~20m、重複横幅w4が0m超~20mである。
【0161】
撮影時間情報D173は、例えば無人航空機2が画像を撮影した後の次の撮影までの時間を指すほか、無人航空機2が動画を撮影する際に連続的に撮影する時間を含む。本実施形態においては、無人航空機2の位置情報に応じて撮影動作を行う例を説明するが、無人航空機2は、飛行動作の飛行速度、飛行方向、及び撮影時間情報D173に含まれる撮影時間に応じて撮影動作を行ってもよい。
【0162】
撮影動作特定情報D174は、無人航空機2の飛行経路上における撮影動作の内容を示す。撮影動作特定情報D174は、例えば撮影枚数情報D172に基づいて特定される。
【0163】
撮影動作の内容の例としては、撮影枚数情報D172に含まれる撮影枚数を飛行経路上における撮影回数の総数として、無人航空機2の飛行経路全長に対して等間隔で撮影する撮影動作を含む。また、撮影時間情報D173に含まれる撮影時間を飛行経路上における撮影時間の合計として、無人航空機2の予め設定される飛行予定時間に対して等間隔で撮影する撮影動作を含む。
【0164】
<無人航空機飛行情報D18>
無人航空機飛行情報D18は、無人航空機2の飛行動作に関する状態を示す情報である。無人航空機飛行情報D18は、例えば図14に示すように、無人航空機位置情報D181と、飛行速度情報D182と、電池残量情報D183と、飛行日時情報D184と、を含む。無人航空機飛行情報D18は、例えば建築工事見積作成システム100の各構成からの要請により、又は所定の間隔で自動的に取得される。
【0165】
無人航空機位置情報D181は、無人航空機2の位置を示す情報(位置情報)である。無人航空機位置情報D181は、例えば無人航空機2の飛行動作及び撮影動作を位置情報に基づいて制御する場合や、撮影した外観情報に位置情報を紐づける場合等に用いられる。本実施形態において、建築工事見積作成システム100は、無人航空機2を一定の高度に保って水平方向に飛行させるために、無人航空機位置情報D181に含まれる高度及び座標情報の変化を連続的に又は断続的に取得し、飛行経路情報D16に従うように無人航空機2の飛行動作を制御する。また、建築工事見積作成システム100は、無人航空機2に所定の撮影枚数で所定の撮影範囲全体を撮影させるために、無人航空機位置情報D181に含まれる高度及び座標情報を連続的に又は断続的に取得し、飛行経路情報D16及び撮影条件情報D17に従うように無人航空機2の撮影動作を制御する。
【0166】
飛行速度情報D182は、無人航空機2の飛行速度を示す情報である。飛行速度情報D182は、例えば無人航空機2が所定の速さを保って飛行しているか否か、また飛行経路に従った飛行方向に飛行しているか否かを判定する場合等に用いられる。本実施形態において、建築工事見積作成システム100は、無人航空機2を一定の速度に保って水平方向に飛行させるために、飛行速度情報D182に含まれる速度を連続的に又は断続的に取得し、飛行経路情報D16に従うように無人航空機2の飛行動作を制御する。
【0167】
電池残量情報D183は、無人航空機2に搭載されたバッテリー22の電池残量を示す情報である。電池残量情報D183は、例えば電池残量が予め設定された下限値を下回ったか否かを判定する場合や、バッテリー22を搭載した状態で充電されている無人航空機2が撮影を再開できるか否か(例えば電池残量が予め設定された所定値以上になったか否か)を判定する場合等に用いられる。
【0168】
飛行日時情報D184は、無人航空機2が飛行動作をする際の年月日や時刻を示す情報である。飛行日時情報D184は、例えば無人航空機2が撮影した外観情報に時刻情報を紐づける場合や、無人航空機2の飛行許可が有効期間内であるかどうかを照会する場合等に用いられる。
【0169】
<外観情報D19>
外観情報D19は、無人航空機2が撮影した画像や動画等の視覚情報を示す。外観情報D19は、例えば建物部分外観情報D191、建物全体外観情報D192、加工外観情報D193を含む。
【0170】
建物部分外観情報D191は、無人航空機2が撮影した既設建物200の一部分を示す視覚情報を示す。建物部分外観情報D191は、例えば図15(b)に示すように、各画角V1~V4に含まれる既設建物200の一部分を示す視覚情報である。
【0171】
建物全体外観情報D192は、無人航空機2が撮影した既設建物200のうち壁等を除く平面視の全体を示す視覚情報を示す。建物全体外観情報D192は、例えば撮影高度を上げて画角Vの画角内縦幅w1と画角内横幅w2とを拡張することで既設建物200の全体を画角内に収め、一度の撮影動作で取得される。
【0172】
加工外観情報D193は、無人航空機2が撮影した建物部分外観情報D191及び建物全体外観情報D192のうち少なくとも何れかを加工することで生成される視覚情報である。加工外観情報D193は、例えば図15(a)に示すように、各画角V1~V4に含まれる既設建物200の一部分を示す複数の建物部分外観情報D191を合成して生成される、既設建物200の全体を示す視覚情報である。このとき、加工外観情報D193は、例えば複数の建物部分外観情報D191に付与されるExif(Exchangeable image file format)に含まれる位置情報に基づいて合成して生成される。ここで、本発明は、建物部分外観情報D191は、同様の高度で無人航空機2に撮影されるため、複数の建物部分外観情報D191をより正確に合成した加工外観情報D193を生成しやすい。
【0173】
なお、図15(a)では既設建物200の平面視の全体が各画角V1~V4に含まれる例を示すが、加工外観情報D193は、既設建物200の平面視の全体のうち一部の視覚情報が欠落するとき、公知の人工知能システムを用いてその欠落した視覚情報を補完した上で合成して生成されてもよい。
【0174】
加工外観情報D193は、例えば既設建物200の外観を立体的に示した三次元モデリング画像を含む。三次元モデリング画像は、例えば既設建物200の屋根部分の立体的構造、例えば屋根の勾配の程度、勾配の向き、平面視では捉えにくい差しかけ屋根やこし屋根等の構造を正確に把握する際に有用である。三次元モデリング画像は、例えば公知のオープンソースソフトウェア「Open Drone Map」に対して複数の建物部分外観情報D191を入力することで出力される画像を用いてもよい。
【0175】
<データベース7>
データベース7は、例えば図16に示すように、承認情報テーブル75をさらに備えてもよい。承認情報テーブル75に格納される情報は、例えば建築工事見積作成システム100が発行するライブラリ番号や、参照用無人航空機識別情報D71等の識別情報と紐づけて保存される。
【0176】
<承認情報テーブル75>
承認情報テーブル75は、例えば図17に示すように、参照用承認情報D77を格納する。
【0177】
<参照用承認情報D77>
参照用承認情報D77は、1以上の無人航空機ごとの飛行許可の内容を示す情報である。参照用承認情報D77は、例えば「飛行許可番号」、「飛行許可有効期限」等の情報を含む。
【0178】
参照用承認情報D77は、例えばDIPS(ドローン情報基盤システム)又はFISS(飛行情報共有システム)等の外部データベースに保存される、無人航空機2の飛行許可の内容を示す承認情報に対応する情報を含み得る。「飛行許可番号」は、例えば無人航空機2の飛行許可番号に対応する情報を含み得る。「飛行許可有効期限」は、例えば無人航空機2の飛行許可番号に紐づく飛行許可有効期限に対応する情報を含み得る。
【0179】
サーバ3は、予め無人航空機情報テーブル71に格納された参照用無人航空機識別情報D71と、制御装置1から受信した無人航空機識別情報D14と、が対応することを確認した後に、無人航空機識別情報D14に紐づけられた無人航空機2の承認情報を受信して、参照用承認情報D77に含めて記憶してもよい。
【0180】
サーバ3は、予め無人航空機情報テーブル71に格納された参照用無人航空機識別情報D71と、制御装置1から受信した無人航空機識別情報D14と、が対応することを確認した後に、無人航空機識別情報D14に紐づけられた無人航空機2の外観情報D19を受信して、参照用外観情報D72に含めて記憶してもよい。
【0181】
サーバ3は、予め無人航空機情報テーブル71に格納された参照用無人航空機識別情報D71と、制御装置1から受信した無人航空機識別情報D14と、が対応することを確認した後に、無人航空機識別情報D14に紐づけられた無人航空機2の外観情報D19を受信して、参照用無人航空機識別情報D71を介して、参照用建築工事識別情報D73と参照用外観情報D72とを紐づけて記憶してもよい。
【0182】
サーバ3は、予め無人航空機情報テーブル71に格納された参照用無人航空機識別情報D71と、制御装置1から受信した操縦者名D141と、が対応することを確認した後に、操縦者名D141に紐づけられた無人航空機2の「シリアルナンバー」、「無線航空機登録番号」及び「保険満期日」に関する情報等を受信して、参照用無人航空機識別情報D71に含めて記憶してもよい。サーバ3は、例えば制御装置1から受信した操縦者名D141が、予め記憶された参照用無人航空機識別情報D71と対応しない場合、サーバ3が受信した操縦者名D141に対応する参照用無人航空機識別情報D71を新たに生成して、データベース7に含めて記憶してもよい。これらの処理は、ユーザU又は無人航空機2を識別可能な無人航空機識別情報D14に含まれる何れかの情報で代替することができ、例えば操縦者名D141の代わりに無人航空機機体名D142が用いられてもよい。
【0183】
次に、本実施形態における、建築工事見積作成システム100の動作の流れについて説明する。
【0184】
<事前準備>
動作の事前準備として、建築工事見積作成システム100は、制御装置1を操作するユーザUが無人航空機2の操縦者であることを認証してもよい。認証方法としては、例えば制御装置1がユーザUにより入力された操縦者名D141をサーバ3に送信し、サーバ3において予め記憶された無人航空機2に対応する無人航空機機体名D142に紐づけられた操縦者名であることを認証し、制御装置1による無人航空機2の制御をアクティベートしてもよい。
【0185】
<撮影範囲取得ステップS21>
撮影範囲取得ステップS21において、撮影範囲取得部61は、例えば図18に示すように、平面的な撮影範囲を含む撮影範囲情報D15を取得する(S211)。
【0186】
制御装置1は、撮影範囲取得部61により取得された平面的な撮影範囲Rを含む撮影範囲情報D15を、無線通信部11及び無線通信網9を介して無人航空機2に送信してもよい(S212)。無人航空機2は、無線通信網9を介して受信した撮影範囲情報D15を、保存部204に保存する。無人航空機2は、搭載したセンサ等により受信した撮影範囲情報D15から離脱したことを検出したとき、その旨を制御装置1又はサーバ3に送信してもよい。
【0187】
撮影範囲取得部61は、例えば図19(a)に示すように、ユーザUの入力により各位置情報D151~D154を取得した上で、平面的な撮影範囲Rを含む撮影範囲情報D15を取得する。詳しくは、まずユーザUが、タッチパネル式の制御装置1の表示部109に表示された既設建物200の周辺領域を平面的に示す公知の地図アプリケーションのうち、既設建物200の外周頂点に対応する地点A、地点B、地点C、地点Dの計4地点をタップする。このとき、撮影範囲取得部61は、各地点A~Dに対応する座標情報を地図アプリケーションから取得する。これにより、撮影範囲取得部61は、入力部108を介して入力された地点Aを第1位置情報D151、地点Bを第2位置情報D152、地点Cを第3位置情報D153、地点Dを第4位置情報D154として取得し、各位置情報に含まれる座標情報に基づいて四角形状の撮影範囲Rを撮影範囲情報D15として取得する。なお、表示部109は、取得した撮影範囲Rを表示してもよい。また、表示部109は、制御装置1が飛行動作前の無人航空機2から無人航空機2の現在地を取得したとき、離陸地点Hとして表示してもよい。なお、撮影範囲取得部61は、ユーザUの範囲指定等の入力により、平面的な撮影範囲Rを含む撮影範囲情報D15を直接取得してもよい。
【0188】
無人航空機2は、無線通信網9を介して撮影範囲情報D15を受信して、保存部204に保存する。なお、制御装置1に搭載された飛行経路生成部62により飛行経路生成ステップS22を実行する場合、無人航空機2は撮影範囲情報D15を受信しなくてもよい。
【0189】
<飛行経路生成ステップS22>
飛行経路生成ステップS22において、飛行経路生成部62は、例えば図18に示すように、撮影範囲取得ステップS21において撮影範囲取得部61により取得された撮影範囲情報D15に含まれる撮影範囲Rに基づいて、無人航空機2の水平方向の飛行経路を含む飛行経路情報D16を生成する(S221)。
【0190】
制御装置1は、飛行経路生成部62により生成された水平方向の飛行経路を含む飛行経路情報D16を、無線通信部11及び無線通信網9を介して無人航空機2に送信してもよい(S222)。無人航空機2は、無線通信網9を介して受信した飛行経路情報D16を、保存部204に保存する。無人航空機2は、搭載したセンサ等により受信した飛行経路情報D16から離脱したことを検出したとき、その旨を制御装置1又はサーバ3に送信してもよい。
【0191】
飛行経路生成部62は、例えば図19(b)に示すように、まず四角形状の撮影範囲Rを構成する各辺の長さを、対応する2地点の座標情報に基づいて算出し、範囲幅W1の最長辺ABを特定する。その後、予め設定された折り返し幅W2に基づいて、地点A及び地点Bのうち離陸地点Hから近い地点Aを撮影開始地点とし、最長辺AB上を地点Aから地点Bに向かって折り返し地点E1~E4を特定する。なお、折り返し地点は4つに限定されず、最長辺ABの範囲幅W1及び折り返し幅W2に応じた数を特定してもよい。
【0192】
また、折り返し幅W2は、後述のステップで撮影高度情報D171を取得したとき、撮影高度情報D171に基づいて算出される画角Vの画角内縦幅w1及び画角内横幅w2と、予め設定される建物部分外観情報D191同士の重ね合わせ領域の重複縦幅w3及び重複横幅w4と、に基づいて更新してもよい。例えば撮影高度情報D171に含まれる撮影高度が既設建物200から7mの高さを示し、カメラ21の画角Vが平面視において90°の正四角錐形状で画角内縦幅w1=画角内横幅w2=14mであり、折り返し幅W2の初期値が5mと設定されるとき、重ね合わせ領域の重複横幅w4は、例えばw4=w2×1/2+w2×1/2-W2=9mと算出される(図15の地点P2、P3を参照)。ここで、重ね合わせ領域の重複横幅w4が5mで十分有用な外観情報D19が得られるとき、折り返し幅W2を、重複横幅w4から逆算して算出される折り返し幅W2=w2×1/2+w2×1/2-w4=9mと、拡大した値に更新してもよい。また、重ね合わせ領域の重複縦幅w3は、重複横幅w4と同様の方法で算出されてよい。この場合、より少ない撮影枚数かつより少ない飛行時間で撮影範囲R全体を自動的に撮影することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業効率の向上を図ることができる。
【0193】
その後、飛行経路生成部62は、折り返し地点E1~E4を通り最長辺ABに略直交する経路L1a~L1dを含む第1経路情報D161を生成する。このとき、経路L1a~L1dと最長辺AB以外の各辺との交点をそれぞれ折り返し地点F1~F4とする。ここで、例えば図19(e)に示すように、最長辺AB以外の辺BCに略直交する経路を生成するとき、辺BCを延長した線分BC’を生成し、線分BC’に略直交する経路を生成した上で、その経路と撮影範囲Rとの交点(図19(e)におけるE7’)を算出するステップが余分に生じることとなるが、最長辺ABを選択することでこのステップの発生を抑制しやすい。この場合、最長辺AB以外を基準として飛行経路Lを計算する場合と比べて処理が簡易化され、飛行経路Lを効率よく生成することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する効率性の向上を図ることができる。なお、経路L1a~L1dは、最長辺ABに略直交する場合に限定されず、例えば何れも最長辺ABに隣接する辺ADと略平行な経路を含む第1経路情報D161を生成してもよく、何れも最長辺ABに隣接する辺BCと略平行な経路を含む第1経路情報D161を生成してもよい。
【0194】
飛行経路生成部62は、第1経路情報D161を生成した後、例えば図19(c)に示すように、第1経路情報D161の各径路を結ぶ経路を含む第2経路情報D162を生成する。このとき、第2経路情報D162は、例えば無人航空機2が経路L1a、L1b、L1c、L1dの順に互い違いとなる方向に飛行することを実現する経路を示す。詳しくは、撮影開始地点である地点Aと経路L1aの始点である地点E1とを結ぶ線分AE1を経路L2a、経路L1aの終点である地点F1と経路L1bの始点である地点F2とを結ぶ線分F1F2を経路L2b、経路L1bの終点である地点E2と経路L1cの始点である地点E3とを結ぶ線分E2E3を経路L2c、経路L2bの終点である地点F3と経路L1dの始点である地点F4とを結ぶ線分F3F4を経路L2d、経路L1dの終点である地点E4と撮影終了地点である地点Bとを結ぶ線分E4Bを経路L2eとして、これら経路L2a~L2eを含む第2経路情報D162を生成する。
【0195】
上述の手順により、飛行経路生成部62は、第1経路情報D161と第2経路情報D162とからなる飛行経路Lを含む飛行経路情報D16を生成する。なお、飛行経路Lは上述の例に限定されず、例えば線分AF1を経路L2a、線分E1E2を経路L2b、線分F2F3を経路L2c、線分E3E4を経路L2d、線分F4Bを経路L2eとする第2経路情報D162と第1経路情報D161とから成る飛行経路Lでもよい。無人航空機2は、無線通信網9を介して飛行経路情報D16を受信して、保存部204に保存する。
【0196】
<撮影条件取得ステップS23>
撮影条件取得ステップS23において、撮影条件取得部63は、例えば図18に示すように、撮影範囲取得ステップS21において撮影範囲取得部61により取得された撮影範囲情報D15に含まれる撮影範囲Rに基づいて、少なくとも無人航空機2の撮影高度情報D171と撮影枚数情報D172とを含む撮影条件情報D17を取得する(S231)。
【0197】
制御装置1は、撮影条件取得部63により取得された撮影条件情報D17を、無線通信部11及び無線通信網9を介して無人航空機2に送信する(S232)。制御装置1が送信する撮影条件情報D17は、少なくとも撮影高度情報D171が含まれていればよく、後述のステップにおいて撮影動作特定部64により特定された撮影動作特定情報D174を送信することで、撮影枚数情報D172及び撮影時間情報D173を必ずしも送信する必要はない。無人航空機2は、無線通信網9を介して撮影条件情報D17を受信して、保存部204に保存する。
【0198】
撮影条件取得部63は、撮影高度情報D171又は撮影枚数情報D172のうち何れか一方を先に取得した上で、算出部66により算出される何れか他方を取得してもよい。この場合、撮影枚数を自動的に最適化してシステムの通信容量、保存容量及び撮影内容の確認の手間を低減することでことができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。なお、撮影条件取得部63は、取得した撮影枚数情報D172が示す撮影枚数が閾値から外れるとき、撮影枚数を最適化するために撮影高度情報D171及び撮影枚数情報D172のうち少なくとも何れかを再取得してもよい。撮影条件取得部63は、例えば先に取得した撮影高度情報D171に基づく画角Vの撮影間隔(後述の間隔縦幅W3又は間隔横幅W4)を3mと設定した結果撮影枚数30枚以下を示す撮影枚数情報D172が算出されたとき、撮影間隔を1mと設定して撮影枚数30枚超を示す撮影枚数情報D172を再算出してもよい。また、撮影条件取得部63は、例えば先に取得した撮影枚数情報D172が300枚超であるとき、撮影間隔を拡張してより撮影枚数300枚以下を示す撮影枚数情報D172を算出してもよい。また、重ね合わせ領域の重複縦幅w3及び重複横幅w4が0超において最大の撮影間隔を設定した上で撮影枚数300枚超を示す撮影枚数情報D172が算出されるときは、既設建物200又は撮影範囲Rが想定以上に広いケースと判定してエラーを返してもよい。
【0199】
<撮影動作特定ステップS24>
撮影動作特定ステップS24において、撮影動作特定部64は、撮影条件取得ステップS23において撮影条件取得部63により取得された撮影枚数情報D172に基づいて、飛行経路L上の撮影動作特定情報D174として特定する(S241)。その後、制御装置1は、撮影動作特定部64により特定された撮影動作特定情報D174を、無線通信部11及び無線通信網9を介して無人航空機2に送信する(S242)。
【0200】
撮影動作特定部64は、例えば図19(d)に示すように、取得した撮影間隔の間隔縦幅W3及び間隔横幅W4に応じて、撮影を行う地点s1~s20を特定する。撮影動作特定部64は、撮影位置の個数について、撮影条件取得部63により取得された撮影枚数情報D172に従って決定する(図19の場合は撮影枚数20枚)。
【0201】
なお、折り返し幅W2、間隔縦幅W3及び間隔横幅W4については、撮影高度情報D171に依らず予め設定された値が用いられてもよい。撮影間隔の間隔横幅W4は、飛行経路Lの折り返し幅W2と同じ値でもよい。また、撮影間隔の間隔縦幅W3は、画角Vの画角内縦幅w1及び画角内横幅w2の比(アスペクト比)に基づいて設定してよい。すなわち、間隔縦幅W3:間隔横幅W4=画角内縦幅w1:画角内横幅w2として、撮影間隔の間隔縦幅W3=画角内縦幅w1×間隔横幅W4/画角内横幅w2として取得してもよい。
【0202】
なお、図19(d)に示す例においては、飛行経路L上であって最長辺AB上に存在する地点A、地点E1、地点E2、地点E3、地点E4、地点Bに対応する地点を撮影地点s1、s2、s10、s11、s19、s20とし、飛行経路L上であって辺AD、辺DC、辺CB上の何れかに存在する地点F1、地点F2、地点F3、地点F4に対応する地点を撮影地点s5、s6、s15、s16として取得する。また、経路L1a上であって地点s2から撮影間隔の間隔縦幅W3だけ離間した地点を順にs3、s4とし、経路L1b上であって地点s10から撮影間隔の間隔縦幅W3だけ離間した地点を順にs9、s8、s7とし、経路L1c上であって地点s11から撮影間隔の間隔縦幅W3だけ離間した地点を順にs12、s13、s14とし、経路L1d上であって地点s19から撮影間隔の間隔縦幅W3だけ離間した地点を順にs18、s17として取得する。なお、撮影枚数を減らす調整を行う場合、地点s14は、地点s15での撮影で得られる視覚情報とほぼ同じであることを理由として、撮影地点から除外してもよい。
【0203】
上述の考え方により、撮影動作特定部64は、例えば撮影条件取得部63がユーザUの入力により取得した撮影高度情報D171及び撮影枚数情報D172と、撮影高度情報D171を用いて更新した飛行経路Lの折り返し幅W2と同様の撮影間隔の間隔横幅W4と、間隔横幅W4と画角内縦幅w1及び画角内横幅w2とに対応する撮影間隔の間隔縦幅W3と、に基づいて特定される撮影位置を含む撮影動作特定情報D174を特定する。
【0204】
<動作制御ステップS25>
動作制御ステップS25において、制御装置1は、撮影動作特定ステップS24が完了した後、無人航空機2に対して撮影を開始する制御信号を生成し、無線通信部11及び無線通信網9を介して無人航空機2に送信する(S251)。動作制御部502は、制御装置1から撮影を開始する制御信号を受信した後、飛行経路生成ステップS22において飛行経路生成部62により生成された飛行経路情報D16に含まれる飛行経路Lと、撮影条件取得ステップS23において撮影条件取得部63により取得された撮影高度情報D171に含まれる撮影高度と、に基づいて無人航空機2の水平方向の飛行動作を制御するとともに、撮影動作特定ステップS24において撮影動作特定部64により特定された撮影動作特定情報D174に含まれる撮影動作に基づいて無人航空機2の撮影動作の制御を開始する(S252)。すなわち、無人航空機2は動作制御部502により自動的に制御されるため、ユーザUは、無人航空機2の操縦に不慣れな場合でも補修等の見積に関する業務に携わることができる。また、ユーザUは、補修等の見積に必要な外観情報D19を、既設建物200の上に登って寸法や屋根の状況を確認することなく取得できるため、補修等の見積に関する作業を安全に実施することができ、かつ作業時間を短縮することができる。この場合、既設建物200に合わせて撮影範囲Rを設定することで、生成した飛行経路Lに従って既設建物200全体を自動的に撮影することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0205】
動作制御部502は、例えば図19(c)~(d)ように、無人航空機2を飛行経路Lに沿って飛行するように飛行動作を制御しながら、各地点s1~s20において既設建物200を撮影するように撮影動作を制御する。これにより、建築工事見積作成システム100は、撮影範囲Rを略全体的に撮影することができ、その結果既設建物200の外観のうち平面視(例えば屋根、天窓、屋上の設置物等)の外観に関する視覚情報を取得することができる。
【0206】
動作制御部502は、無人航空機2にたいして、例えば図19(c)に示す矢印の順序、すなわち地点Aから地点Bに向かって、第2経路L2a、第1経路L1a、第2経路L2b、第1経路L1b、第2経路L2c、第1経路L1c、第2経路L2d、第1経路L1d、第2経路L2eの順に、飛行経路Lに沿って飛行するように飛行動作を制御する。このとき、動作制御部502は、各径路(L1a~L1d、L2a~L2e)において一定の速度で飛行させてもよく、各径路の途中において減速又は加速してもよく、各径路が切り替わるタイミングで減速又は加速してもよい。
【0207】
動作制御部502は、無人航空機2に対して、例えば図19(d)に示す各地点s1~s20において飛行速度を変更せずに撮影動作を制御してもよく、各地点s1~s20において空中に静止した状態で撮影動作を制御するように減速又は加速を制御してもよい。
【0208】
動作制御部502は、無人航空機2に対して、例えば予め設定された飛行速度又は加速度等で飛行させるように飛行動作を制御してもよい。動作制御部502は、無人航空機2に対して、例えば予め設定された座標に対応する地点又は予め設定された距離に対応する間隔において飛行速度又は加速度等を変更させ、又は空中に静止させるように飛行動作を制御してもよい。動作制御部502は、無人航空機2に対して、例えば予め設定された飛行時間で飛行動作及び撮影動作が完了するように、各径路における速度又は加速度、各地点における速度又は加速度、各地点における静止時間等を制御してもよい。
【0209】
無人航空機2は、例えば撮影動作中において取得される無人航空機飛行情報D18を、無線通信部11及び無線通信網9を介して制御装置1に適宜送信してもよい(S253)。
【0210】
無人航空機2は、例えば撮影動作中において取得される外観情報D19を、無線通信部11及び無線通信網9を介して制御装置1に適宜送信してもよい(S254)。なお、無人航空機2は、外観情報D19を取得した直後に自動的に制御装置1に送信してもよく、制御装置1からの要請に応じて制御装置1に送信してもよい。
【0211】
無人航空機2は、例えば撮影動作中において、飛行経路Lに沿って又は飛行経路Lから離脱して離陸位置まで戻るための退避経路を算出した上で、算出した退避経路に関する情報を無線通信部11及び無線通信網9を介して制御装置1に適宜送信してもよい(S255)。
【0212】
無人航空機2は、撮影動作が完了した後、離陸位置まで帰還する(S256)。無人航空機2は、制御装置1の制御により、離陸位置とは異なる位置に着陸してもよい。
【0213】
<外観情報記憶ステップS27>
外観情報記憶ステップS27において、無人航空機2は、例えば動作制御ステップS25において動作制御部502が取得した外観情報D19と、保存部204に記憶される無人航空機識別情報D14とを紐づけてサーバ3に送信する。その後、サーバ3は、受信した外観情報D19に対応する参照用外観情報D72を生成し、又は参照用外観情報D72として複製し、受信した無人航空機識別情報D14に対応する参照用無人航空機識別情報D71と紐づけた上で、外観情報テーブル72として記憶する。この場合、複数の無人航空機を用いて一つの既設建物200の視覚情報を取得したり、複数の既設建物の視覚情報を一つのサーバ3で管理したりする等、建築工事見積作成システム100を適用可能なシーンを拡大することができる。なお、外観情報記憶ステップS27におけるサーバ3の一部又は全部の機能は、制御装置1の機能で代替することもできる。
【0214】
<認証ステップS26>
認証ステップS26において、認証部65は、参照用無人航空機識別情報D71と参照用承認情報D77とが紐づけられた承認情報テーブル75を含むデータベース7を参照した上で、無人航空機2に対応する承認情報が有効であることを認証する。認証ステップS26において無人航空機2の承認情報が有効であることが認証された後、動作制御ステップS25において、動作制御部502は、無人航空機2の撮影動作を制御する。この場合、無人航空機2の飛行許可の取得忘れや有効期限切れを容易かつ確実に確認し、ユーザUの違法行為を回避又は防止することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に用いる無人航空機2の操作に関する法令順守の確度の向上を図ることができる。
【0215】
なお、建築工事見積作成システム100は、例えばDIPS又はFISS等の外部システムと連携する場合、制御装置1又はサーバ3等を介して当該外部システムに対して飛行許可の承認申請を行い、適宜受信した申請のステータス情報(申請中、要再申請、承認済み)、及び受信した承認申請の結果としての無人航空機2の承認情報を、参照用承認情報D77に含めて記憶してもよい。この場合、無人航空機2の飛行許可の有無の確認、飛行許可の申請及び承認情報の取得を一元管理することができる。これにより、無人航空機2の飛行準備までの作業性の向上を図ることができる。
【0216】
(第2実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の第1変形例)
動作制御部502は、飛行経路生成部62により生成された飛行経路L上において、無人航空機2に搭載されたバッテリー22の残量が予め設定された下限値を下回ったとき、無人航空機2を自動的に離陸地点に退避させ、その後バッテリー22の残量が所定値以上になったとき退避を開始した飛行経路L上の地点から撮影を再開するように無人航空機2を制御してもよい。なお、バッテリー22の残量は、例えば無人航空機2に搭載される公知の電池残量検出計(図示せず)により特定され、予め設定された下限値と比較され、その比較結果が評価されてもよい。
【0217】
具体的には、例えば図19(d)に示す地点Hを離陸地点として地点s10においてバッテリー22の残量が予め設定された下限値(例えば10%)を下回ったとき、無人航空機2を地点s10から地点Hの上空まで水平方向に飛行させた後に地点Hに着陸させ、バッテリー22の交換又は充電を要求する。その後、バッテリー22の残量が所定値(例えば80%)以上になったとき、地点Hにおいて地表面に対し垂直方向に離陸して地点Hの上空に着いたのち、退避を開始した飛行経路L上の地点s10まで水平方向に飛行し、地点s10から撮影を再開するように無人航空機2を制御してもよい。この場合、より寸法の大きな既設建物200の外観を撮影する場合でも自動制御することができる。これにより、既設建物200の寸法に依らず補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0218】
(第2実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の第2変形例)
撮影範囲取得ステップS21において撮影範囲取得部61が四角形状の撮影範囲Rを取得したとき、動作制御ステップS25において、動作制御部502は、例えば飛行経路生成ステップS22において飛行経路生成部62により生成された飛行経路Lに基づく撮影動作と飛行動作とが完了した後、四角形状の撮影範囲Rの対角線のうち長い方の対角線の中心に対応する座標でかつ既設建物200の全体が画角Vに収まる高度において既設建物200の外観を撮影してもよい。
【0219】
具体的には、動作制御部502は、飛行動作及び撮影動作が完了した無人航空機2に対して、例えば図20(a)に示すように既設建物200の平面視における外周部分に沿った四角形ABCDを撮影範囲Rとしたとき、対角線ACよりも長い対角線BDの中心に対応する地点Gの上空まで水平方向に飛行するように飛行動作を制御する。その後、動作制御部502は、例えば図20(b)に示すように、撮影アングルθ(例えば約90°)の画角Vが対角線BDの建物幅W5が収まる撮影高度まで上昇した後、既設建物200の外観を撮影するように無人航空機2の撮影動作を制御する。この場合、飛行経路L上において撮影された外観情報D19と同時期における既設建物200全体を画角Vに収めた外観情報D19を容易に取得でき、例えば屋根伏せ図等の代わりに用いて撮影範囲R内の確認漏れを防ぎやすい。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する正確性の向上を図ることができる。
【0220】
なお、撮影アングルθの画角Vが対角線BDに収まる撮影高度とは、図20(b)において既設建物200の屋上の地点Gとカメラ21が位置する地点Gの上空の地点G’とを結ぶ高さh1と、既設建物200の高さh2と、の和である。また、無人航空機2の地上からの飛行高度は、高さh1と、高さh2と、無人航空機2の高さh3と、の和で算出される高さh0である。高さh1は、対角線BDの建物幅W5と撮影アングルθとを用いて、以下の数式で算出されてよい。
【0221】
【数1】
【0222】
(第2実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の第3変形例)
建築工事見積作成システム100は、撮影した外観情報D19の有用性を判定する判定部(図示せず)をさらに備え、取得した外観情報D19のうち判定部が有用性ありと判定した外観情報D19のみ保存部104又は保存部204に保存してもよい。この場合、ピンボケ等の有用性のない外観情報を破棄する処理によりシステムの通信容量、保存容量及び撮影内容の確認の手間を低減することでことができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0223】
なお、判定部(図示せず)による有用性の判定については、「OpenCV(登録商標)」等の公知の画像処理ライブラリを用いることで、次の方法を取り得る。例えば外観情報D19の「露出過度」については、InRange関数等を用いて外観情報D19の画像のHSV(色相・彩度・明度)が予め指定した閾値内かどうかを基準に判定させることができる。また、外観情報D19の「ピンボケ」については、外観情報D19の画像のLaplacian Variance(ラプラス分散)、Tenengrad、Image Entropy(画像エントロピー)、Blurriness Index等のパラメータを取得し、パラメータごとに予め指定した閾値内かどうかを基準に判定させることができる。例えば「Analysis of focus measure operators for shape-from-focus(2013年)」によれば、外観情報D19についてラプラス分散を計算して、外観情報D19の高周波数成分が所定値よりも少ない場合に「ピンボケ」とみなす方法がある。また、画像エントロピーは、画像の乱雑さを示す指標である。ピントが合っている画像の方がボケている画像に比べて情報量が多く乱雑さが大きいことから、画像エントロピーは、ピントが合っている画像の方が高い値を示す。例えば、元の外観情報D19をぼかした外観情報D19’を生成した上で外観情報D19と外観情報D19’とについてそれぞれ画像エントロピーを計算して、その差が大きいほど元の外観情報D19のピントが合っていたとみなす方法がある。
【0224】
(第2実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の第4変形例)
建築工事見積作成システム100は、例えば図21に示すように、無人航空機2により撮影された既設建物200の外観を示す二次元外観情報を受信するサーバ3をさらに備えてもよい。ここで、二次元外観情報とは、外観情報D19のうち二次元画像又は二次元動画の建物部分外観情報D191、建物全体外観情報D192及び加工外観情報D193を含む視覚情報であり、三次元モデリング画像を含まない。
【0225】
サーバ3は、例えば無線通信網9を介して、無人航空機2により撮影された二次元外観情報を受信するとともに、受信した二次元外観情報に基づいて既設建物200を示す三次元モデリング画像を取得する。ここで、サーバ3は、例えば制御装置1及び無人航空機2から独立して制御可能とされ、具体的には制御装置1を構成する撮影範囲取得部61、飛行経路生成部62、撮影条件取得部63、撮影動作特定部64、及び無人航空機2を構成する動作制御部502から独立して制御可能とされる。すなわち、建築工事見積作成システム100は、既設建物200の外観を示す二次元外観情報に基づく既設建物200を示す三次元モデリング画像を生成したうえで取得するまでの間、無人航空機2を待機させることなく動作制御できる。この場合、三次元モデリング画像の取得と他の既設建物に対する無人航空機2による撮影とを並行して実施できる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0226】
次に、建築工事見積作成システム100の動作の一例を説明する。
【0227】
無人航空機2は、例えば撮影動作中において取得される二次元外観情報を、無線通信部11及び無線通信網9を介してサーバ3又は制御装置1に送信する(S254)。
【0228】
サーバ3は、動作制御ステップS25のうち、無人航空機2による撮影動作中又は撮影完了後に、無線通信部11及び無線通信網9を介して直接無人航空機2から二次元外観情報を受信する(S25a)。なお、サーバ3は、制御装置1を介して無人航空機2から二次元外観情報を受信してもよい(S25b)。
【0229】
その後、サーバ3は、受信した当該外観情報に基づいて、既設建物200を示す三次元モデリング画像を取得する。このとき、サーバ3は、自身に搭載されたROM等に予め保存された公知の三次元モデリング画像生成ソフトウェアに二次元外観情報を入力して既設建物200を示す三次元モデリング画像を自ら生成した上で取得してもよく、相互に通信接続可能な他の端末に予め保存された公知の三次元モデリング画像生成ソフトウェアに二次元外観情報を入力して既設建物200を示す三次元モデリング画像を生成させた上で受信する方法により取得してもよい。
【0230】
(第2実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の第5変形例)
建築工事見積作成システム100は、例えば図22に示すように、無人航空機2により撮影された既設建物200の外観を示す外観情報D19を受信するサーバ3をさらに備えてもよい。
【0231】
制御装置1は、例えばサーバ3に対する外観情報D19の送信を制御する送信制御部(図示せず)をさらに備えてもよい。すなわち、制御装置1はサーバ3に対して、外観情報D19を撮り直したうえで送信したり、複数の既設建物200に係る複数の外観情報D19を一括送信したりすることができる。この場合、大容量データの送信に起因する回線混雑の発生により外観情報D19の送信完了までの間外観情報D19の取り直しや他の既設建物の撮影のために待機する必要がない。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。また、外観情報D19の取り直しや複数の外観情報D19の一括送信をすることでデータ送信回数を低減できる。さらに、近距離無線通信圏内等に移動してデータを送信することで外観情報D19の送信完了までの待機時間を短縮化できる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0232】
次に、建築工事見積作成システム100の動作の一例を説明する。
【0233】
無人航空機2は、例えば撮影動作中において取得される外観情報D19を、無線通信部11及び無線通信網9を介して制御装置1に送信する(S254)。その後、制御装置1は、無人航空機2から受信した外観情報D19をサーバ3に送信せずに、他の既設建物に対して各ステップS21~24と同様のステップを実施した後に、他の既設建物の外観を示す他の外観情報を撮影するための動作制御ステップS25’を実施する。なお、動作制御ステップS25’は、既設建物200に対する上述の動作制御ステップS25と同様の内容である。また、他の外観情報は、外観情報D19と同様の情報を示す。
【0234】
詳しくは、制御装置1は、動作制御ステップS25’において、例えば無人航空機2に対して他の既設建物の撮影を開始する制御信号を生成し、無線通信部11及び無線通信網9を介して無人航空機2に送信する(S251’)。その後、無人航空機2は、他の既設建物の撮影を開始し(S252’)、撮影動作中において取得される無人航空機飛行情報D18を制御装置1に適宜送信し(S253’)、撮影動作中において取得される他の外観情報を制御装置1に適宜送信してもよい(S254’)。その後、制御装置1は、動作制御ステップS25により無人航空機2から受信した外観情報D19と、動作制御ステップS25’により無人航空機2から受信した他の外観情報と、をサーバ3に一括送信してもよい(S25d)。また、サーバ3は、制御装置1から送信された外観情報D19と他の外観情報とを一括受信してもよい(S25e)。この撮影方法により、データ送信回数が低減され、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0235】
なお、外観情報D19の取り直しを行う場合は、制御装置1は、動作制御ステップS25により無人航空機2から受信した外観情報D19をサーバ3に送信せずに、各ステップS21~24と同様のステップの実施を省略して、同一の既設建物200に対して外観情報D19を撮り直す動作制御ステップS25’を実施してもよい。その後、制御装置1は、動作制御ステップS25’により無人航空機2から受信した撮り直した外観情報D19をサーバ3に送信し、動作制御ステップS25により無人航空機2から受信した撮り直し前の外観情報D19をサーバ3に送信せずに破棄してもよい。この撮影方法により、データ送信回数が低減され、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0236】
また、無人航空機2は、制御装置1に対する外観情報D19の送信を制御する送信制御部(図示せず)をさらに備えてもよい。すなわち、無人航空機2は制御装置1に対して、外観情報D19を撮り直したうえで送信したり、複数の既設建物200に係る複数の外観情報D19を一括送信したりすることができる。この場合も同様に、外観情報D19の送信完了までの間外観情報D19の取り直しや他の既設建物200の撮影のために待機する必要がなく、データ送信回数を低減でき、さらに近距離無線通信圏内等に移動してデータを送信することで待機時間を短縮化できるため、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0237】
(第2実施形態:建築工事見積作成システム100の動作の第6変形例)
算出部18は、例えば図23に示すように、無人航空機2の撮影間隔Inと、撮影間隔Inだけ離間した互いに隣接する2地点それぞれにおける無人航空機2の画角Vが互いに重なる重複幅(重ね合わせ領域の幅)として予め設定された設定重複幅と、に基づく撮影高度を算出する。なお、設定重複幅は、例えば無人航空機2に予め設定される他、建築工事見積作成システム100の各構成の何れかに予め設定されていればよい。
【0238】
このとき、撮影条件取得部63は、撮影間隔Inを取得した上で、算出部18により算出される撮影高度を取得する。すなわち、撮影間隔Inを取得することで予め設定した重ね合わせ領域の重複幅(オーバーラップ値)に応じて撮影高度が自動算出される。この場合、大型の既設建物200に対して所定のオーバーラップ値を満足しつつ最小限の撮影回数(撮影枚数)で外観情報D19を取得完了でき、外観情報D19のデータ容量が低減されるため、外観情報D19の送信完了までの待機時間を短縮化できる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。なお、重複幅は、例えば上述のSfMを用いて二次元イメージから三次元のシーンを推定するために十分な値であればよく、例えば実測値で約2メートル以上と設定されてよい。
【0239】
まず、建築工事見積作成システム100の動作に伴う情報の一例を説明する。建築工事見積作成システム100は、撮影間隔Inを示す撮影間隔情報と、設定重複幅を示す設定重複幅情報と、を含む撮影条件情報D17を用いる。撮影間隔情報と設定重複幅情報とは、建築工事見積作成システム100の各構成において予め保存されてもよく、ユーザUの入力を受け付けて保存されてもよい。なお、設定重複幅とは、例えば加工外観情報D193として、複数の建物部分外観情報D191を合成して既設建物200の全体を示す視覚情報を生成するとき、又は二次元外観情報に基づいて既設建物200の三次元モデリング画像を生成するときに必要な値を示す。
【0240】
撮影間隔情報及び設定重複幅情報の一例として、撮影間隔Inと設定重複幅とに基づいて算出部18により算出された撮影高度(算出撮影高度)を適用する前を図23(a)に、算出撮影高度を適用した後を図23(b)に、それぞれ示す。なお、図23(a)~図23(b)は、図15(a)の平面図における地点P1、P2に対応する側面図である
【0241】
また、無人航空機2の撮影条件に係る各パラメータは図20と同様であり、既設建物200の屋上の地点P1、P2それぞれの上空における無人航空機2について、画角V1、V2とする。また、撮影アングルθ、画角内縦幅w1、算出撮影高度適用前の屋上から上空地点P11、P21の無人航空機2のカメラ21までの高さh1、既設建物200の高さh2、上空地点P11、P21から算出撮影高度適用前後の上空地点P12、P22までの無人航空機2の調整高さh4は、それぞれ地点P1、P2で同値とする。このとき、高さh1と高さh2との和が算出撮影高度を適用する前の撮影高度であり、高さh1と高さh2と調整高さh4との和が算出撮影高度である。また、画角V1、V2は、撮影アングルθが約90°の正四角錐形状であり、図23(a)~図23(b)に示す側面視において鉛直縦方向を基準として線対称とする。この場合、地点P1から画角V1の外縁までの距離と、及び地点P2から画角V2の外縁までの距離とは、何れもw1/2となる。また、地点P1の上方の上空地点P11、P12の画角V1と、地点P2の上方の上空地点P21、P22の画角V2と、の重ね合わせ領域のうち飛行方向の幅を重複縦幅w3とする。
【0242】
この場合において、算出撮影高度適用前の無人航空機2は、例えば図23(a)に示すように、上空地点P11から撮影高度を保ったまま上空地点P21に向かって飛行する。このとき、重複縦幅w3=w1/2+w1/2-In、すなわち重複縦幅w3=画角内縦幅w1-撮影間隔Inの関係にある。ここで、重複縦幅w3が予め設定された設定重複幅のうち飛行方向の設定重複縦幅w3’を満たさない場合、撮影間隔In及び画角内縦幅w1のうち少なくとも何れかを修正する必要があるが、画角内縦幅w1は撮影高度の調整により可変のパラメータであるため、算出部18により算出撮影高度又は調整高さh4を算出することで、任意の撮影間隔Inにおいて設定重複縦幅w3’を満足するように無人航空機2の動作を制御することができる。
【0243】
次に、建築工事見積作成システム100の動作の一例を説明する。
【0244】
撮影条件取得ステップS23において、撮影条件取得部63は、無人航空機2の撮影間隔情報と設定重複幅情報とを含む撮影条件情報D17を取得する。その後、算出部18は、撮影条件取得部63により先に取得された撮影間隔情報と設定重複幅情報とに基づいて、算出撮影高度を算出する。また、撮影条件取得部63は、算出部18により算出された算出撮影高度を取得する。
【0245】
その後、動作制御ステップS25において、動作制御部502は、制御装置1から撮影を開始する制御信号を受信した後、飛行経路生成ステップS22において飛行経路生成部62により生成された飛行経路情報D16に含まれる飛行経路Lと、撮影条件取得ステップS23において撮影条件取得部63により取得された撮影高度情報D171に含まれる算出撮影高度と、に基づいて無人航空機2の飛行動作を制御する。
【0246】
詳しくは、無人航空機2は、例えば図23(b)に示すように、上空地点P11から調整高さh4だけ上方であり算出撮影高度に対応する上空地点P12まで上昇した後に、算出撮影高度を保ったまま上空地点P22に向かって飛行する。このとき、画角内縦幅w1’=撮影間隔In+設定重複縦幅w3’の関係にある。このように、画角内縦幅w1’を満たす撮影高度を算出することで、無人航空機2は、大型の既設建物200に対して所定のオーバーラップ値を満足しつつ最小限の撮影回数(撮影枚数)で外観情報D19を取得完了できる。なお、調整高さh4が0未満、すなわち算出撮影高度が撮影高度よりも下方となる場合は、上空地点P11から調整高さh4だけ下降した後に、算出撮影高度を保ったまま飛行することで、所定のオーバーラップ値を満足しつつより明瞭な外観情報D19を取得できるため好ましい。
【0247】
また、算出撮影高度の高さによっては、既設建物200から離れすぎることで既設建物200の一部の撮影地点において外観情報D19が不鮮明となったときは、当該撮影地点に無人航空機2をマニュアル操作により飛行させて接写した画像を外観情報D19に補完してもよい。また、動作制御部502の制御により無人航空機2が取得した外観情報D19と、マニュアル操作により無人航空機2が接写した補完画像とを用いることで、不鮮明さが解消された三次元モデリング画像を生成してもよい。
【0248】
本実施形態によれば、建築工事見積作成システム100は、取得された撮影範囲Rに基づいて生成された飛行経路Lと、取得された撮影高度と、に基づいて無人航空機2の飛行動作を制御するとともに、取得された撮影枚数に基づいて特定された撮影動作に基づいて無人航空機2の撮影動作を制御する動作制御部502を備える。このため、既設建物200に合わせて撮影範囲Rを設定することで、生成した飛行経路Lに従って既設建物200全体を自動的に撮影することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0249】
また、本実施形態によれば、飛行経路生成部62は、取得された多角形状の撮影範囲Rの各辺のうち最長辺ABに略直交する方向を含む飛行経路Lを生成する。このため、最長辺AB以外を基準とする飛行経路Lの計算と比べて処理が簡易化され、飛行経路Lを効率よく生成することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する効率性の向上を図ることができる。
【0250】
本実施形態によれば、動作制御部502は、飛行経路L上においてバッテリー22の残量が予め設定された下限値を下回ったとき無人航空機2を自動的に離陸地点に退避させ、その後バッテリー22の残量が所定値以上になったとき退避を開始した飛行経路L上の地点から撮影を再開する。このため、より長時間にわたり無人航空機2の飛行動作及び撮影動作を制御することができる。これにより、より大きな既設建物200についても補修等の見積に関する作業性の向上を図ることができる。
【0251】
また、本実施形態によれば、動作制御部502等から独立して制御可能とされ、無線通信網9を介して無人航空機2により撮影された二次元外観情報を受信するとともに、受信した当該二次元外観情報に基づく既設建物200を示す三次元モデリング画像を取得するサーバ3をさらに備える。すなわち、二次元外観情報に基づく既設建物200を示す三次元モデリング画像を生成したうえで取得するまでの間、無人航空機2を待機させることなく動作制御できる。このため、三次元モデリング画像の取得と他の既設建物200に対する無人航空機2による撮影とを並行して実施できる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0252】
また、本実施形態によれば、無線通信網9を介して無人航空機2により撮影された外観情報D19を受信するサーバ3と、サーバ3に対する外観情報D19の送信を制御する送信制御部と、をさらに備える。すなわち、外観情報D19を撮り直したうえで送信したり、複数の既設建物200に係る複数の外観情報D19を一括送信したりすることができる。このため、大容量データの送信に起因する回線混雑の発生により外観情報D19の送信完了までの間外観情報D19の取り直しや他の既設建物の撮影のために待機する必要がない。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。また、外観情報D19の取り直しや複数の外観情報D19の一括送信をすることでデータ送信回数を低減できる。さらに、近距離無線通信圏内等に移動してデータを送信することで外観情報D19の送信完了までの待機時間を短縮化できる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0253】
また、本実施形態によれば、動作制御部502は、認証部65により承認情報が有効であることが認証された後に無人航空機2の撮影動作を制御する。このため、無人航空機2の飛行許可の取得忘れや有効期限切れを容易かつ確実に確認し、ユーザUの違法行為を回避又は防止することができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に用いる無人航空機2の操作に関する法令順守の確度の向上を図ることができる。
【0254】
また、本実施形態によれば、動作制御部502は、取得された撮影高度に基づく撮影枚数及び取得された撮影枚数に基づく撮影高度のうち何れかが算出された後に無人航空機2の撮影動作を制御する。このため、撮影枚数を自動的に最適化してシステムの通信容量、保存容量及び撮影内容の確認の手間を低減することでことができる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0255】
また、本実施形態によれば、無人航空機2の撮影間隔Inと予め設定された設定重複幅とに基づく撮影高度を算出する算出部18をさらに備え、撮影条件取得部63は、撮影間隔Inを取得した上で、算出部18により算出される撮影高度を取得する。すなわち、撮影間隔Inを取得することで予め設定した設定重複幅(オーバーラップ値)に応じて撮影高度が自動算出される。このため、大型の既設建物200に対して所定のオーバーラップ値を満足しつつ最小限の撮影回数(撮影枚数)で外観情報D19を取得完了でき、外観情報D19のデータ容量が低減されるため、外観情報D19の送信完了までの待機時間を短縮化できる。これにより、既設建物200の補修等の見積に関する作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0256】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0257】
100 建築工事見積作成システム
200 既設建物
1 制御装置
10 筐体
101、201 CPU
102、202 ROM
103、203 RAM
104、204 保存部
105~107、205 I/F
108 入力部
109 表示部
110、210 内部バス
11 無線通信部
12 記憶部
13 工事範囲取得部
14 建材情報取得部
15 建材部数算出部
16 単価取得部
17 建築工事金額出力部
61 撮影範囲取得部
62 飛行経路生成部
63 撮影条件取得部
64 撮影動作特定部
65 認証部
66 算出部
2 無人航空機
20 制御ユニット
21 カメラ
22 バッテリー
23 ローター用モーター
50 フライトコントローラ
501 センサ情報取得部
502 動作制御部
51 無線通信部
52 記憶部
53 ESC
3 サーバ
7 データベース
71 無人航空機情報テーブル
72 外観情報テーブル
73 建築工事情報テーブル
74 建材施工情報テーブル
75 承認情報テーブル
9 無線通信網
S11 工事範囲取得ステップ
S12 建材情報取得ステップ
S13 建材部数算出ステップ
S14 単価取得ステップ
S15 建築工事金額出力ステップ
S21 撮影範囲取得ステップ
S22 飛行経路生成ステップ
S23 撮影条件取得ステップ
S24 撮影動作特定ステップ
S25 動作制御ステップ
S26 認証ステップ
S27 外観情報記憶ステップ
D11 工事情報
D12 建材情報
D13 建築工事金額
D14 無人航空機識別情報
D15 撮影範囲情報
D16 飛行経路情報
D17 撮影条件情報
D18 無人航空機飛行情報
D19 外観情報
D71 参照用無人航空機識別情報
D72 参照用外観情報
D73 参照用建築工事識別情報
D74 参照用工事情報
D75 参照用建材情報
D76 参照用施工情報
D77 参照用承認情報
図1
図2
図3
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図5
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