(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166134
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】標本封入方法および標本封入装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20241121BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01N1/28 U
G01N33/48 P
G01N33/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078747
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2023081992
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】森脇 三造
(72)【発明者】
【氏名】荻 寛志
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045BA14
2G045BB21
2G045BB22
2G045CB01
2G045FA16
2G045HA16
2G045JA07
2G052AA28
2G052AA33
2G052AD32
2G052AD52
2G052FA02
2G052FA03
2G052GA30
2G052GA32
(57)【要約】
【課題】スライドグラスとカバーグラスとの間における気泡を低減する。
【解決手段】標本封入方法は、標本が貼り付けられたスライドグラスとカバーグラスとを準備する工程(ステップS11)と、封入剤を脱気して脱気封入剤を生成する工程(ステップS12)と、スライドグラスまたはカバーグラスに脱気封入剤を付与する工程(ステップS13)と、カバーグラスを脱気封入剤を介してスライドグラス上に重ねて標本を封入する工程(ステップS14)と、を備える。これにより、スライドグラスとカバーグラスとの間における気泡を低減することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本封入方法であって、
a)標本が貼り付けられたスライドグラスとカバーグラスとを準備する工程と、
b)封入剤を脱気して脱気封入剤を生成する工程と、
c)前記スライドグラスまたは前記カバーグラスに前記脱気封入剤を付与する工程と、
d)前記カバーグラスを前記脱気封入剤を介して前記スライドグラス上に重ねて前記標本を封入する工程と、
を備える標本封入方法。
【請求項2】
請求項1に記載の標本封入方法であって、
前記b)工程において生成された前記脱気封入剤は、前記c)工程の前まで外気に曝露されていない状態に維持されており、
前記c)工程および前記d)工程は、前記脱気封入剤が外気に曝露された状態で行われ、
前記脱気封入剤が外気に曝露されてから前記d)工程が終了するまでの経過時間は60秒以内である標本封入方法。
【請求項3】
請求項1に記載の標本封入方法であって、
前記b)工程における前記封入剤の脱気は脱気膜により行われる標本封入方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の標本封入方法であって、
前記標本は、染色、色除去および観察を複数回繰り返す多重免疫染色法にて観察される標本である標本封入方法。
【請求項5】
標本封入装置であって、
標本が貼り付けられたスライドグラスを保持するスライドグラス保持部と、
カバーグラスを保持するカバーグラス保持部と、
封入剤を脱気して生成した脱気封入剤を前記スライドグラスまたは前記カバーグラスに付与する封入剤付与部と、
前記カバーグラス保持部を前記スライドグラス保持部に対して相対的に移動し、前記カバーグラスを前記脱気封入剤を介して前記スライドグラス上に重ねて前記標本を封入するグラス移動部と、
を備える標本封入装置。
【請求項6】
請求項5に記載の標本封入装置であって、
前記脱気封入剤は、生成されてから前記封入剤付与部による付与の前まで、外気に曝露されていない状態に維持されており、
前記封入剤付与部による前記脱気封入剤の付与、および、前記グラス移動部による前記標本の封入は、前記脱気封入剤が外気に曝露された状態で行われ、
前記脱気封入剤が外気に曝露されてから前記グラス移動部による前記標本の封入が終了するまでの経過時間は60秒以内である標本封入装置。
【請求項7】
標本封入装置であって、
標本が貼り付けられたスライドグラスを保持するスライドグラス保持部と、
前記スライドグラスと間隙を挟んで対向するカバーグラスを保持するカバーグラス保持部と、
封入剤を脱気して生成した脱気封入剤を前記スライドグラスと前記カバーグラスとの間に付与して前記間隙に前記脱気封入剤を充満させる封入剤付与部と、
を備える標本封入装置。
【請求項8】
請求項7に記載の標本封入装置であって、
前記脱気封入剤は、生成されてから前記封入剤付与部による付与の前まで、外気に曝露されていない状態に維持されており、
前記封入剤付与部による前記脱気封入剤の付与は、前記脱気封入剤が外気に曝露された状態で行われ、
前記脱気封入剤が外気に曝露されてから前記間隙に前記脱気封入剤が充満するまでの経過時間は60秒以内である標本封入装置。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれか1つに記載の標本封入装置であって、
前記封入剤を脱気して前記脱気封入剤を生成する封入剤生成部をさらに備える標本封入装置。
【請求項10】
請求項9に記載の標本封入装置であって、
前記封入剤生成部は、内部空間に設けられた脱気膜を前記封入剤が通過する脱気膜モジュールを備える標本封入装置。
【請求項11】
請求項10に記載の標本封入装置であって、
前記封入剤生成部は、前記脱気膜モジュールの送出口から送出された液体を、前記脱気膜モジュールの供給口へと供給する循環部をさらに備える標本封入装置。
【請求項12】
請求項5ないし8のいずれか1つに記載の標本封入装置であって、
前記標本は、染色、観察および色除去を複数回繰り返す多重免疫染色法にて観察される標本である標本封入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標本封入方法および標本封入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医学研究や生物学研究において、疾患メカニズムの解明や生体メカニズムの解明、薬剤作用機序解明等を目的として、組織標本や細胞標本等の生体由来標本のシングルセル単位の解析が実施されている。例えば、免疫染色解析においては、タンパク質等の生体由来物質を染色し、染色状態を計測することで定量的・定性的な解析が行われている。免疫染色解析を行う際には、スライドグラス上に貼り付けられた染色された標本をカバーグラスにて被覆したプレパラートが使用される。
【0003】
特許文献1の自動カバースリッパでは、3つのサクションカップによって吸着したカバースリップをスライド上に載置する際に、3つのサクションカップによる吸着を順次解除することにより、カバースリップの一方の端部が最初にスライド上に載置され、その後、カバースリップの残りの部分がスライド上に載置される。また、当該自動カバースリッパでは、流体ディスペンサからカバースリッピング封入剤をスライド上の所定位置に分注してカバースリップで制御することにより、スライドとカバースリップとの間における気泡の発生抑制が図られている。スライドとカバースリップとの間に気泡が存在すると、標本のうち気泡と重なっている領域の観察や解析が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の免疫染色解析では、解析精度の向上のため、スライドグラスとカバーグラスとの間における気泡の更なる低減が求められている。また、同一の標本に対して複数回の免疫染色を順次実施するタイプの多重免疫染色法では、スライドグラス上の標本に対するカバーグラスの設置および剥離を繰り返すため、リン酸緩衝液(PBS)や水等の比較的低粘度の液体が封入剤として用いられる。このような低粘度の封入剤では、正に帯電したカバーグラスを封入剤に近づける際に封入剤が急速に引き寄せられ、上述の気泡が比較的生じやすい。また、上述の多重免疫染色法では、カバーグラスの剥離等に起因して標本の表面が毛羽立つ(すなわち、粗くなる)場合がある。この場合、標本上に封入剤を付与した際等に、標本の表面上に気体が残存しやすく気泡が比較的生じやすい。したがって、スライドグラスとカバーグラスとの間における気泡低減が特に望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、スライドグラスとカバーグラスとの間における気泡を低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様1は、標本封入方法であって、a)標本が貼り付けられたスライドグラスとカバーグラスとを準備する工程と、b)封入剤を脱気して脱気封入剤を生成する工程と、c)前記スライドグラスまたは前記カバーグラスに前記脱気封入剤を付与する工程と、d)前記カバーグラスを前記脱気封入剤を介して前記スライドグラス上に重ねて前記標本を封入する工程と、を備える。
【0008】
本発明の態様2は、態様1の標本封入方法であって、前記b)工程において生成された前記脱気封入剤は、前記c)工程の前まで外気に曝露されていない状態に維持されている。前記c)工程および前記d)工程は、前記脱気封入剤が外気に曝露された状態で行われる。前記脱気封入剤が外気に曝露されてから前記d)工程が終了するまでの経過時間は60秒以内である。
【0009】
本発明の態様3は、態様1(態様1または2であってもよい。)の標本封入方法であって、前記b)工程における前記封入剤の脱気は脱気膜により行われる。
【0010】
本発明の態様4は、態様1ないし3のいずれか1つの標本封入方法であって、前記標本は、染色、色除去および観察を複数回繰り返す多重免疫染色法にて観察される標本である。
【0011】
本発明の態様5は、標本封入装置であって、標本が貼り付けられたスライドグラスを保持するスライドグラス保持部と、カバーグラスを保持するカバーグラス保持部と、封入剤を脱気して生成した脱気封入剤を前記スライドグラスまたは前記カバーグラスに付与する封入剤付与部と、前記カバーグラス保持部を前記スライドグラス保持部に対して相対的に移動し、前記カバーグラスを前記脱気封入剤を介して前記スライドグラス上に重ねて前記標本を封入するグラス移動部と、を備える。
【0012】
本発明の態様6は、態様5の標本封入装置であって、前記脱気封入剤は、生成されてから前記封入剤付与部による付与の前まで、外気に曝露されていない状態に維持されている。前記封入剤付与部による前記脱気封入剤の付与、および、前記グラス移動部による前記標本の封入は、前記脱気封入剤が外気に曝露された状態で行われる。前記脱気封入剤が外気に曝露されてから前記グラス移動部による前記標本の封入が終了するまでの経過時間は60秒以内である。
【0013】
本発明の態様7は、標本封入装置であって、標本が貼り付けられたスライドグラスを保持するスライドグラス保持部と、前記スライドグラスと間隙を挟んで対向するカバーグラスを保持するカバーグラス保持部と、封入剤を脱気して生成した脱気封入剤を前記スライドグラスと前記カバーグラスとの間に付与して前記間隙に前記脱気封入剤を充満させる封入剤付与部と、を備える。
【0014】
本発明の態様8は、態様7の標本封入装置であって、前記脱気封入剤は、生成されてから前記封入剤付与部による付与の前まで、外気に曝露されていない状態に維持されている。前記封入剤付与部による前記脱気封入剤の付与は、前記脱気封入剤が外気に曝露された状態で行われる。前記脱気封入剤が外気に曝露されてから前記間隙に前記脱気封入剤が充満するまでの経過時間は60秒以内である。
【0015】
本発明の態様9は、態様5ないし8のいずれか1つの標本封入装置であって、前記標本封入装置は、前記封入剤を脱気して前記脱気封入剤を生成する封入剤生成部をさらに備える。
【0016】
本発明の態様10は、態様9の標本封入装置であって、前記封入剤生成部は、内部空間に設けられた脱気膜を前記封入剤が通過する脱気膜モジュールを備える。
【0017】
本発明の態様11は、態様10の標本封入装置であって、前記封入剤生成部は、前記脱気膜モジュールの送出口から送出された液体を、前記脱気膜モジュールの供給口へと供給する循環部をさらに備える。
【0018】
本発明の態様12は、態様5ないし8のいずれか1つ(態様5ないし11のいずれか1つ、であってもよい。)の標本封入装置であって、前記標本は、染色、観察および色除去を複数回繰り返す多重免疫染色法にて観察される標本である。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、スライドグラスとカバーグラスとの間における気泡を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一の実施の形態にかかる標本封入装置の構成を示す図である。
【
図5】脱気封入剤が外気に暴露されてからの経過時間と気泡の数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一の実施の形態にかかる標本封入装置1の構成を示す図である。標本封入装置1は、プレパラート2を作成する際に利用される。標本封入装置1は、プレパラート2を作成するプレパラート作成部3と、後述する脱気封入剤を生成する封入剤生成部4と、を備える。プレパラート2は、例えば、免疫染色法による生体由来標本の染色画像を取得するために利用される。
【0022】
図2は、標本封入装置1によって作成されるプレパラート2を示す平面図である。
図3は、プレパラート2の側面図である。プレパラート2は、スライドグラス21と、カバーグラス22と、標本23と、脱気封入剤24とを備える。
図3では、図の理解を容易にするために、プレパラート2の各構成を実際よりも厚く描いている。また、
図2および
図3では、脱気封入剤24に平行斜線を付す。
図1についても同様である。
【0023】
スライドグラス21は、顕微鏡用のスライドであり、上面に貼り付けられた標本23を下側から支持する。スライドグラス21は、ガラス製または樹脂製の略平板状部材である。スライドグラス21の平面視における形状は、例えば略長方形である。カバーグラス22は、スライドグラス21上に貼り付けられている標本23を上側から被覆する。カバーグラス22は、ガラス製または樹脂製の略平板状部材である。カバーグラス22の平面視における形状は、例えば、略正方形または略長方形である。スライドグラス21およびカバーグラス22の平面視における形状は、様々に変更されてよい。
【0024】
標本23は、組織切片や細胞等の生体由来標本である。標本23は、例えば、免疫染色(免疫組織化学または免疫細胞化学ともいう。)により染色された状態で、スライドグラス21とカバーグラス22との間に挟まれる。標本23は、例えば、シーケンシャル多重免疫染色法により解析される標本である。シーケンシャル多重免疫染色法とは、標本23に対する免疫染色、観察(例えば、撮像)および色除去を、免疫染色に用いる抗体等を変更しつつ複数回繰り返す多重免疫染色法である。なお、シーケンシャル多重免疫染色法では、色除去(すなわち、色素除去)の際に、抗体の不活性化および除去も行われてもよい。シーケンシャル多重免疫染色法では、カバーグラス22による標本23の被覆、および、標本23上からのカバーグラス22の剥離が繰り返されるため、標本23の表面が毛羽立つ可能性がある(すなわち、粗くなる可能性がある)。
【0025】
脱気封入剤24は、従来のプレパラートの作成に使用される封入剤(例えば、市販の封入剤)を脱気することにより生成される液体である。脱気封入剤24は、例えば、市販のリン酸緩衝液(以下、「PBS」とも呼ぶ。)や純水等の封入剤を、上述の標本封入装置1の封入剤生成部4にて脱気することにより生成される。上述のシーケンシャル多重免疫染色法では、比較的低粘度の封入剤が使用される。プレパラート2では、標本23上に付与された脱気封入剤24を介して、カバーグラス22がスライドグラス21上に重ねられることにより、標本23がスライドグラス21とカバーグラス22との間に封入される。
【0026】
図1に示す標本封入装置1では、プレパラート作成部3は、スライドグラス保持部31と、カバーグラス保持部32と、封入剤付与部33と、グラス移動部34とを備える。スライドグラス保持部31は、標本23が上面に貼り付けられたスライドグラス21を保持する部位である。スライドグラス保持部31は、例えば、上面311上に載置されたスライドグラス21の下面を着脱自在に吸着して保持するステージである。カバーグラス保持部32は、スライドグラス保持部31の上方においてカバーグラス22を保持する部位である。カバーグラス保持部32は、例えば、カバーグラス保持部32の上面を着脱自在に吸着して保持する吸着支持部である。
【0027】
図1に示す状態では、カバーグラス保持部32によって保持されたカバーグラス22は、スライドグラス保持部31によって保持されたスライドグラス21から上方に離間した位置に配置される。換言すれば、カバーグラス22は、スライドグラス21と間隙を挟んで上下方向に対向する。スライドグラス21の上面とカバーグラス22の下面との間の上下方向の距離(すなわち、スライドグラス21とカバーグラス22との間の間隙の高さ)は、例えば、2mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。また、当該間隙の高さは、0.5mm以上であることが好ましい。
【0028】
封入剤付与部33は、封入剤生成部4によって生成される脱気封入剤24を、スライドグラス保持部31によって保持されたスライドグラス21、および/または、カバーグラス保持部32によって保持されたカバーグラス22に付与する部位である。封入剤付与部33は、例えば、先端に設けられた吐出口からスライドグラス21とカバーグラス22との間の間隙に向けて脱気封入剤24を吐出するノズル331を備える。ノズル331から吐出された脱気封入剤24は、当該間隙から気体を押し出して当該間隙に充満する。
【0029】
グラス移動部34は、カバーグラス保持部32をスライドグラス保持部31に対して上下方向に相対的に移動する移動機構である。
図1に示す例では、グラス移動部34は、カバーグラス保持部32を上下方向に移動する。グラス移動部34は、例えば、電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。プレパラート作成部3では、グラス移動部34によってカバーグラス保持部32が
図1に示す状態から下方へと移動する。これにより、カバーグラス22が脱気封入剤24を介してスライドグラス21上に重なり、標本23がスライドグラス21とカバーグラス22との間に封入される。
【0030】
なお、スライドグラス21とカバーグラス22との間の上記間隙の高さが比較的小さい場合、グラス移動部34によるカバーグラス保持部32の上記相対移動は行われなくてもよい。例えば、封入剤付与部33によって上記間隙に脱気封入剤24を充満させることにより、脱気封入剤24を介してカバーグラス22をスライドグラス21上に重ねて標本23を封入することが実現されてもよい。この場合、標本封入装置1では、グラス移動部34は省略されてもよい。
【0031】
あるいは、プレパラート作成部3では、スライドグラス保持部31によって保持されたスライドグラス21と、カバーグラス保持部32によって保持されたカバーグラス22とが、上下方向に比較的大きく離間して配置された状態で、封入剤付与部33からスライドグラス21の上面のみに脱気封入剤24が付与されてもよい。また、上下方向に反転する機構が設けられたカバーグラス保持部32によってカバーグラス22が上下反転した状態で保持されており、当該カバーグラス22の上面のみに封入剤付与部33から脱気封入剤24が付与されてもよい。この場合、脱気封入剤24が付与されたカバーグラス22は、上下方向にて反転されつつ下降し、スライドグラス21上に重ねられる。あるいは、カバーグラス22がスライドグラス21から下方に離間して配置された状態で、カバーグラス22の上面のみに脱気封入剤24が付与されてもよい。この場合、例えば、標本23が貼り付けられた面を下方に向けた(すなわち、カバーグラス22と上下方向に対向させた)スライドグラス21が、カバーグラス22に向かって下降してカバーグラス22上に重ねられる。
【0032】
封入剤生成部4は、貯溜部41と、送液部42と、脱気部43と、バルブ44と、配管45とを備える。貯溜部41、送液部42、脱気部43およびバルブ44は、配管45によって互いに接続されている。封入剤生成部4では、送液部42によって貯溜部41から送出された封入剤は、配管45を介して脱気部43およびバルブ44を通過し、貯溜部41へと戻る。
【0033】
貯溜部41は、封入剤を貯留する容器である。貯溜部41の内部空間は、例えば、実質的に外気(例えば、封入剤生成部4の周囲の空気)に暴露されない空間である。貯溜部41は、例えば、配管45との接続部を除いて密閉された密閉容器である。封入剤生成部4では、配管によって接続された複数の容器が、貯溜部41として利用されてもよい。封入剤生成部4では、貯溜部41は密閉容器には限定されず、様々な構造を有する容器等が貯溜部41として利用可能である。例えば、貯溜部41の上部(すなわち、気体が貯留されている部分)に、フィルタおよび流量制御弁等を介して外気を低流量にて流入させる第1の系統の配管と、減圧機構に接続されて貯溜部41の当該上部に比較的弱い負圧を発生させる第2の系統の配管と、が接続されてもよい。あるいは、貯溜部41に貯留されている封入剤の液面の略全体を、当該液面に浮かぶ落とし蓋状の被覆部材にて被覆し、貯溜部41のうち被覆部材よりも上方の空間は外気と接続されてもよい。この場合、被覆部材は封入剤の液面と共に上下方向に移動可能とされる。また、貯溜部41から封入剤を送出する配管は、例えば、貯溜部41の下部側面に接続される。送液部42は、貯溜部41に貯留されている封入剤を、配管45を介して脱気部43に向けて送出する機構である。送液部42は、例えば、電動式ポンプである。送液部42は、電動式ポンプには限定されず、他の機構であってもよい。
【0034】
脱気部43は、封入剤を脱気して脱気封入剤24を生成する部位である。脱気部43は、例えば、ハウジング432の内部空間に脱気膜431が設けられた脱気膜モジュール430を備える。脱気膜431は、例えば中空糸膜である。ハウジング432は、例えば、略円筒状の略密閉容器である。ハウジング432の長手方向の一方の端部(
図1に示す例では、右端部)には、貯溜部41から送出された封入剤が供給される供給口433が設けられる。ハウジング432の長手方向の他方の端部(
図1に示す例では、左端部)には、ハウジング432の内部を通過した封入剤が送出される送出口434が設けられる。
【0035】
ハウジング432の内部空間は、供給口433および送出口434とは異なる接続部を介して、真空ポンプ等の減圧部46に接続されている。減圧部46が駆動されると、脱気膜431の周囲の空間が減圧され、脱気膜431を通過する封入剤に含まれている気体(例えば、空気中から封入剤に溶け込んだ酸素(O2)等)が、脱気膜431を透過して脱気膜431の周囲の空間へと移動する。このため、脱気膜431を通過した封入剤は、脱気された封入剤である脱気封入剤24となる。
【0036】
脱気部43にて生成された脱気封入剤24は、送出口434および配管45を介してバルブ44を通過し、貯溜部41へと戻される。封入剤生成部4では、配管45、バルブ44、貯溜部41および送液部42は、脱気膜モジュール430の送出口434から送出された液体を、脱気膜モジュール430の供給口433へと供給する循環部47である。このように、封入剤が、貯溜部41、送液部42、脱気部43およびバルブ44を配管45を介して循環することにより、封入剤生成部4内の封入剤が全て脱気封入剤24となる。
【0037】
バルブ44は、例えば三方弁である。バルブ44は、封入剤生成部4の配管45とプレパラート作成部3の封入剤付与部33との接続部に配置される。封入剤生成部4内の封入剤が脱気封入剤24となるまでは、配管45と封入剤付与部33とは接続されず、封入剤は上述のように封入剤生成部4内にて循環する。脱気封入剤24が生成され、封入剤付与部33からスライドグラス21およびカバーグラス22に脱気封入剤24が供給される際には、バルブ44によって封入剤生成部4の配管45とプレパラート作成部3の封入剤付与部33とが接続され、配管45を流れる脱気封入剤24の一部が封入剤付与部33へと供給される。
【0038】
図1に例示する封入剤生成部4では、実質的に大気開放されない密閉循環方式により脱気封入剤24が生成されており、生成された脱気封入剤24は実質的に外気に暴露されることなく封入剤付与部33から吐出される。したがって、脱気封入剤24がスライドグラス21およびカバーグラス22に供給されるよりも前に、外気(例えば、大気中の酸素等)が脱気封入剤24に溶け込むことが抑制される。標本封入装置1において、ノズル331から吐出される脱気封入剤24の溶存酸素濃度は、例えば、吐出される脱気封入剤24の温度における上記封入剤の飽和溶存酸素濃度よりも1mg/L以上低いことが好ましい。
【0039】
次に、
図4を参照しつつプレパラート2の作成の流れ(すなわち、標本23の封入の流れ)の一例について説明する。まず、標本23が貼り付けられたスライドグラス21が、標本封入装置1のスライドグラス保持部31によって保持されて準備される。また、カバーグラス22が、カバーグラス保持部32によって保持されて準備される(ステップS11)。スライドグラス21上の標本23は、例えば、上述のように免疫染色されている。
【0040】
標本封入装置1では、ステップS11と並行して、封入剤生成部4により封入剤が脱気されて脱気封入剤24が生成される(ステップS12)。なお、ステップS12は、ステップS11よりも前に予め行われていてもよく、ステップS11よりも後に行われてもよい。
【0041】
ステップS11およびステップS12が終了すると、封入剤生成部4にて生成された脱気封入剤24が、封入剤付与部33によってスライドグラス21およびカバーグラス22に付与される(ステップS13)。具体的には、封入剤付与部33から吐出された脱気封入剤24は、スライドグラス21とカバーグラス22との間の間隙に側方から供給され、当該間隙に充満する。なお、上述のように、封入剤付与部33から吐出される脱気封入剤24は、スライドグラス21およびカバーグラス22のうち少なくとも一方に付与されればよい。
【0042】
ステップS13が終了すると、グラス移動部34によってカバーグラス22が下方へと移動される。そして、カバーグラス22が、スライドグラス21に貼り付けられた標本23上に脱気封入剤24を介して載置されて重ねられることにより、当該標本23がスライドグラス21とカバーグラス22との間に封入され、プレパラート2が作成される(ステップS14)。上述のように、スライドグラス21とカバーグラス22との間の上記間隙の高さが比較的小さい場合、ステップS14において、グラス移動部34によるカバーグラス22の移動は省略されてもよい。
【0043】
このように、脱気封入剤24を用いてプレパラート2を作成することにより、スライドグラス21とカバーグラス22との間における脱気封入剤24の減圧等の影響によって、脱気封入剤24に溶存している気体(例えば、酸素)が析出して気泡が発生することを抑制することができる。また、脱気封入剤24に含まれている微小気泡が標本23とカバーグラス22とによって押し広げられることを抑制することができる。さらに、仮に、スライドグラス21とカバーグラス22との間に気泡が発生したとしても、当該気泡は、溶存している気体の濃度が低い脱気封入剤24に溶け込んで消失する。また、スライドグラス21上へのカバーグラス22の載置時に、周囲の雰囲気を巻き込むことにより気泡が生じた場合であっても、当該気泡は脱気封入剤24に溶け込んで消失する。このため、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡を低減することができる。その結果、平面視において標本23と気泡とが重なることを抑制することができ、プレパラート2を用いた標本23の解析精度を向上することができる。
【0044】
上述のプレパラート2の作成(すなわち、標本23の封入)は、必ずしも標本封入装置1により行われる必要はなく、様々な態様にて行われてよい。例えば、ステップS11におけるスライドグラス21およびカバーグラス22の準備、ステップS13における脱気封入剤24の付与、並びに、ステップS14におけるスライドグラス21上へのカバーグラス22の載置は、作業者の手作業により行われてよい。
【0045】
また、ステップS12における脱気封入剤24の生成は、例えば、ビーカー等の開口容器に貯留された市販の封入剤を、真空容器内に配置されたスターラ等を用いて攪拌することにより行われてもよい。あるいは、市販の封入剤に超音波を付与したり、市販の封入剤を加熱した後に冷却することにより、脱気封入剤24が生成されてもよい。生成された脱気封入剤24は、好ましくは、外気に暴露されていない状態で保存される。例えば、脱気封入剤24は、内部に大気等の気体が実質的に存在しない状態の密閉容器に貯留されてもよい。あるいは、大気中に開放された状態の容器に脱気封入剤24が貯留されている場合、液面からの深さが例えば30mm以上の領域に位置する脱気封入剤24を、実質的に外気に暴露されていない状態の脱気封入剤24として使用してもよい。
【0046】
上述のように、脱気封入剤24の付与(ステップS13)が作業者の手作業にて行われる場合、例えば、ステップS12にて予め生成されて外気に暴露されていない状態で保存されている脱気封入剤24が、ピペットやスポイト等によって吸い取られ、スライドグラス21上に滴下されて付与される(ステップS13)。そして、作業者がカバーグラス22をピンセット等にて保持し、スライドグラス21上に付与されている脱気封入剤24上に重ねることにより、標本23の封入が行われる(ステップS14)。このとき、脱気封入剤24がスライドグラス21上に滴下されて外気に暴露されてから、カバーグラス22による標本23の封入終了までの経過時間が長いと、脱気封入剤24に外気が溶け込み(例えば、大気中の酸素が溶け込み)、スライドグラス21とカバーグラス22との間に気泡が生じる可能性がある。
【0047】
図5は、脱気封入剤24が外気に暴露されてからの経過時間(すなわち、大気との接触時間)と、スライドグラス21とカバーグラス22との間において標本23上に残存した気泡の数との関係を示すグラフである。
図5の横軸は当該経過時間を示し、縦軸は当該気泡の数を示す。当該経過時間は、外気に暴露されていない状態の脱気封入剤24をスライドグラス21上に滴下してからカバーグラス22にて被覆するまでの経過時間である。脱気封入剤24は、純水を脱気することにより生成した。標本23の平面視における面積は、約450mm
2であった。
【0048】
図5に示すように、上述の気泡の数を3個以下に抑えるという観点からは、脱気封入剤24が外気に暴露されてからステップS14が終了するまでの経過時間は、60秒以下であることが好ましい。また、当該気泡の数を1個以下に抑えるという観点からは、当該経過時間は50秒以下であることが好ましく、48秒以下であることがさらに好ましい。なお、脱気していない純水を用いてプレパラート2を作成すると、上記経過時間が25秒程度の場合であっても、上記気泡の数は8個であり、当該気泡の大きさも脱気封入剤24を用いた場合に比べて大きくなった。
【0049】
以上に説明したように、上述の標本封入方法は、標本23が貼り付けられたスライドグラス21とカバーグラス22とを準備する工程(ステップS11)と、封入剤を脱気して脱気封入剤24を生成する工程(ステップS12)と、スライドグラス21またはカバーグラス22に脱気封入剤24を付与する工程(ステップS13)と、カバーグラス22を脱気封入剤24を介してスライドグラス21上に重ねて標本23を封入する工程(ステップS14)と、を備える。これにより、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡を低減することができる。その結果、平面視において標本23と気泡とが重なることを抑制することができ、プレパラート2を用いた標本23の解析精度を向上することができる。
【0050】
上述のように、ステップS12において生成された脱気封入剤24は、ステップS13の前まで外気に曝露されていない状態に維持されていることが好ましい。これにより、使用前の脱気封入剤24に外気が溶け込むことを抑制することができる。その結果、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡をさらに低減することができる。また、ステップS13およびステップS14は、脱気封入剤24が外気に曝露された状態で行われ、脱気封入剤24が外気に曝露されてからステップS14が終了するまでの経過時間は60秒以内であることが好ましい。これにより、上述のように、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡をより一層低減することができる。
【0051】
上述のように、ステップS12における封入剤の脱気は脱気膜431により行われることが好ましい。これにより、封入剤の脱気を簡素な構造で好適に行うことができる。
【0052】
上述のように、標本23は、染色、色除去および観察を複数回繰り返す多重免疫染色法(いわゆる、シーケンシャル多重免疫染色法)にて観察される標本であることが好ましい。シーケンシャル多重免疫染色法に使用される標本23は、繰り返されるカバーグラス22の剥離等に起因して表面が毛羽立つ可能性があり、この場合、当該表面に気体が残存して気泡が生じやすい。このため、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡を低減可能な上述の脱気封入剤24を用いた標本封入方法は、シーケンシャル多重免疫染色法に使用される標本23の封入に特に適している。
【0053】
上述の標本封入装置1は、スライドグラス保持部31と、カバーグラス保持部32と、封入剤付与部33と、グラス移動部34とを備える。スライドグラス保持部31は、標本23が貼り付けられたスライドグラス21を保持する。カバーグラス保持部32は、カバーグラス22を保持する。封入剤付与部33は、封入剤を脱気して生成した脱気封入剤24をスライドグラス21またはカバーグラス22に付与する。グラス移動部34は、カバーグラス保持部32をスライドグラス保持部31に対して相対的に移動し、カバーグラス22を脱気封入剤24を介してスライドグラス21上に重ねて標本23を封入する。これにより、上述のように、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡を低減することができる。
【0054】
上述のように、脱気封入剤24は、生成されてから封入剤付与部33による付与の前まで、外気に曝露されていない状態に維持されていることが好ましい。これにより、上述のように、使用前の脱気封入剤24に外気が溶け込むことを抑制することができる。また、封入剤付与部33による脱気封入剤24の付与、および、グラス移動部34による標本23の封入は、脱気封入剤24が外気に曝露された状態で行われ、脱気封入剤24が外気に曝露されてからグラス移動部34による標本23の封入が終了するまでの経過時間は60秒以内であることが好ましい。これにより、上述のように、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡をより一層低減することができる。
【0055】
上述のように、標本封入装置1では、グラス移動部34は省略されてもよい。この場合、標本封入装置1は、スライドグラス保持部31と、カバーグラス保持部32と、封入剤付与部33とを備える。スライドグラス保持部31は、標本23が貼り付けられたスライドグラス21を保持する。カバーグラス保持部32は、スライドグラス21と間隙を挟んで対向するカバーグラス22を保持する。封入剤付与部33は、封入剤を脱気して生成した脱気封入剤24をスライドグラス21とカバーグラス22との間に付与して上記間隙に脱気封入剤24を充満させる。これにより、脱気封入剤24の外気への曝露を抑制しつつ、脱気封入剤24をスライドグラス21およびカバーグラス22に付与することができる。その結果、上述のように、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡を低減することができる。なお、標本封入装置1では、当該間隙が真空に維持されることにより、当該間隙への脱気封入剤24の付与が容易化されてもよい。
【0056】
上述のように、脱気封入剤24は、生成されてから封入剤付与部33による付与の前まで、外気に曝露されていない状態に維持されていることが好ましい。これにより、上述のように、使用前の脱気封入剤24に外気が溶け込むことを抑制することができる。また、封入剤付与部33による脱気封入剤24の付与は、脱気封入剤24が外気に曝露された状態で行われ、脱気封入剤24が外気に曝露されてから上記間隙に脱気封入剤24が充満するまでの経過時間は60秒以内であることが好ましい。これにより、上述のように、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡をより一層低減することができる。
【0057】
上述のように、標本封入装置1は、封入剤を脱気して脱気封入剤24を生成する封入剤生成部4をさらに備えることが好ましい。これにより、脱気封入剤24の生成と、標本23の封入とを、単一の装置で行うことができる。
【0058】
上述のように、封入剤生成部4は、内部空間に設けられた脱気膜431を封入剤が通過する脱気膜モジュール430を備えることが好ましい。これにより、脱気封入剤24の生成を簡素な構造で実現することができる。
【0059】
上述のように、封入剤生成部4は、脱気膜モジュール430の送出口434から送出された液体を、脱気膜モジュール430の供給口433へと供給する循環部47をさらに備えることが好ましい。これにより、封入剤の脱気を好適に行うことができる。
【0060】
上述のように、標本23は、染色、色除去および観察を複数回繰り返す多重免疫染色法(いわゆる、シーケンシャル多重免疫染色法)にて観察される標本であることが好ましい。標本封入装置1は、上述のように、スライドグラス21とカバーグラス22との間における気泡を低減可能であるため、シーケンシャル多重免疫染色法に使用される標本23の封入に特に適している。
【0061】
上述の標本封入装置1および標本封入方法では、様々な変更が可能である。
【0062】
標本封入装置1では、必ずしも循環部47が設けられる必要はなく、脱気部43にて脱気が1回のみ行われた封入剤が脱気封入剤24として使用されてもよい。
【0063】
標本封入装置1では、必ずしも封入剤生成部4は設けられる必要はなく、省略されてもよい。この場合、標本封入装置1の外部にて生成された脱気封入剤24が、標本封入装置1においてスライドグラス21またはカバーグラス22に付与される。
【0064】
標本封入装置1では、カバーグラス保持部32が移動不能に固定されており、グラス移動部34によってスライドグラス保持部31が上下方向に移動されてもよい。あるいは、グラス移動部34は、スライドグラス保持部31およびカバーグラス保持部32の双方を移動してもよい。
【0065】
脱気封入剤24が外気に暴露されてから標本23の封入が終了するまでの経過時間は、必ずしも60秒以下である必要はなく、60秒よりも長くてもよい。
【0066】
標本23は、必ずしもシーケンシャル多重免疫染色法にて観察されるものである必要はなく、生体由来標本である必要もない。標本23は、様々な目的に使用される各種標本であってよい。
【0067】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0068】
1 標本封入装置
4 封入剤生成部
21 スライドグラス
22 カバーグラス
23 標本
24 脱気封入剤
31 スライドグラス保持部
32 カバーグラス保持部
33 封入剤付与部
34 グラス移動部
47 循環部
331 ノズル
430 脱気膜モジュール
431 脱気膜
433 供給口
434 送出口
S11~S14 ステップ