(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166147
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】衝撃改質剤組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
C08L 23/12 20060101AFI20241121BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20241121BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C08L23/12
C08L53/02
C08L23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079181
(22)【出願日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】63/502,426
(32)【優先日】2023-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523064398
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・ネーデルラント・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダーマラジャン,ナラヤナスワミ
(72)【発明者】
【氏名】フェルフールト,フレディ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルン,フック
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB052
4J002BB121
4J002BP012
4J002FD010
4J002GB01
4J002GG01
4J002GG02
4J002GL00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】改善された耐衝撃性と、透明性、高剛性、引張強度、流動特性などの良好なバランスとを有するSBCを有する改善されたポリプロピレン組成物を提供する必要性が依然として存在する。
【解決手段】(A)ポリプロピレンホモポリマー、(B)(a)第1の水素添加スチレン系ブロックコポリマー(第1のHSBC)及び(b)(i)第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマー(第2のHSBC)と(ii)ポリオレフィンコポリマーとから選択される少なくとも1種のポリマーを含有する衝撃改質剤、並びに(C)25重量%までの少なくとも添加剤を含むポリオレフィン組成物が開示される。水素添加前の各第1のHSBC及び第2のHSBCは、それぞれ70~95重量%及び0~50重量%のビニル含有量を有する。衝撃改質剤は、第1のHSBCと少なくとも1種のポリマーの重量比が1:10~10:1である。ポリオレフィン組成物は、改善された耐衝撃性、並びに透明性及び他の機械的特性のバランスを示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)65~99重量%のポリプロピレンホモポリマーであって、当該ポリマーはASTM D1238に従って2.16kg荷重で230℃において測定された0.25~100dg/分のメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー;
(B)1~35重量%の衝撃改質剤であって、以下から本質的になる衝撃改質剤:
(a)ブロックA及びブロックBを有する第1の水素添加スチレン系ブロックコポリマーであって、水素添加前の
各ブロックAが、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロックであり、
各ブロックBが、共役ジエンモノマーのポリマーブロックであり、前記ブロックBが、前記ブロックB中の重合共役ジエンモノマーの総重量に基づいて、70~95重量%のビニル含有量を有する、第1の水素添加スチレン系ブロックコポリマーと、
(b)以下から選択される少なくとも1種のポリマー:
(i)ブロックA’及びブロックB’を有する第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマーであって、水素添加前の
各ブロックA’が、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロックであり、
各ブロックB’が、共役ジエンモノマーのポリマーブロックであり、前記ブロックB’が、前記ブロックB’中の重合共役ジエンモノマーの総重量に基づいて、0~50重量%のビニル含有量を有する、第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマー、及び
(ii)ASTM D792に従って測定された0.850~0.920g/cm3の密度、及びASTM D1238に従って2.16kg荷重で190℃において測定された0.5~100dg/分のメルトインデックスを有するポリオレフィンコポリマー
であって、(a)と(b)の重量比が、1:10~10:1である衝撃改質剤;並びに
(C)ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、25重量%までの少なくとも添加剤
を含むポリオレフィン組成物であって、
前記少なくとも1種のポリマーが、前記第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマーである場合、前記第1及び前記第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマーの少なくとも一方が15~50重量%のポリスチレン含有量を有する、ポリオレフィン組成物。
【請求項2】
前記ポリオレフィン組成物が、前記衝撃改質剤の非存在下のポリオレフィン組成物と比較した場合、
(i)1%での曲げセカント係数の>5%の増加、及び(ii)透過率の<10%の低下、又は
(iii)0℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃の>10%の増加、及び(iv)透過率の<5%の低下、又は
(v)21℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃の>5%の増加、及び(vi)透過率の<10%の低下、又は
(vii)21℃で測定されたノッチ付きアイゾット衝撃の>10%の増加、及び(viii)透過率の<5%の低下、又は
(ix)降伏ひずみの>10%の増加、及び(x)透過率の<5%の低下、又は
(xi)破断伸びの>5%の増加、及び(xii)透過率の<5%の低下
を有し、
前記1%での曲げセカント係数が、ASTM D790に従って測定され、
前記0℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃及び前記21℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃が、いずれもASTM D610に従って測定され、
前記ノッチ付きアイゾット衝撃が、ISO 180に従って21℃で測定され、
前記降伏ひずみが、ISO 527-2に従って測定され、
前記破断伸びが、ISO 527-2に従って測定され、
前記透過率が、ASTM D1003に従って1.6mmのサンプル厚みで測定される、
請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリマーが、第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマーである、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項4】
各ブロックA及びA’が、独立して、ASTM5296に従って測定された、1~40kg/molの分子量(Mp)を有する、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項5】
前記ブロックBが、70~85重量%のビニル含有量を有し、前記ブロックB’が、0~45重量%のビニル含有量を有する、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項6】
前記第1及び前記第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマーの一方が、15~50重量%のポリスチレン含有量を有し、他の一方が、5~50重量%のポリスチレン含有量を有する、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項7】
前記第1の水素添加スチレン系ブロックコポリマーが、<15重量%のジブロック含有量を有する、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のポリマーがポリオレフィンコポリマーである、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項9】
前記ポリオレフィンコポリマーが、0.853~0.915g/cm3の密度を有する、請求項8に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項10】
前記ポリオレフィンコポリマーが、2.16kg荷重で190℃において測定された、5~50dg/分のメルトインデックスを有する、請求項8に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項11】
前記ポリオレフィンコポリマーが、エチレンと、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のC3~C20α-オレフィンとのコポリマーである、請求項8に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項12】
前記ポリオレフィン組成物が、
21℃で28~75kJ/m2、
0℃で3~20kJ/m2、及び
-20℃で3~10kJ/m2
のASTM D610に従って測定されたノッチ付きシャルピー衝撃、並びに
21℃で15~50kJ/m2、及び
-20℃で2~10kJ/m2
のISO 180に従って測定されたノッチ付きアイゾット衝撃
を有する、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項13】
前記ポリオレフィン組成物が、それぞれASTM D1003に従って1.6mmのサンプル厚みで測定された、>70%の透過率及び<95%のヘイズを有する、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項14】
前記ポリオレフィン組成物が、
700~1200MPaの1%での曲げセカント係数、及び
25~50MPaの曲げ強度
のうちの少なくとも1つを有し、それぞれASTM D790に従って測定される、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項15】
前記ポリオレフィン組成物が、
900~1600MPaの引張モジュラス、
20~35MPaの降伏応力、
5~18%の降伏ひずみ、及び
100~400%の破断伸び
のうちの少なくとも1つを有し、すべてISO 527-2に従って測定される、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衝撃改質剤、その調製方法及びポリオレフィン組成物におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンをベースとするポリマー及びその組成物は大量に使用されている。ポリオレフィンのうち、ポリプロピレン組成物には、包装材料、機械部品、自動車部品、電化製品などを含む多くの用途がある。このような組成物は、所望の最終用途のために、より優れた機械的特性、柔軟性、耐スクラッチ性、加工性、耐熱性などを有する必要がある。耐衝撃性は、エンジニアリング熱可塑性プラスチックと競合するために、組成物に持たせるべき重要な特性である。
【0003】
ポリプロピレンを含有する組成物の耐衝撃性を向上させるために、ゴム質材料などの衝撃改質剤が使用されている。ゴム質材料を組み込むことにより、剛性、流動性、透明性などの低下を犠牲にして耐衝撃性を達成することができる。ポリオレフィン組成物の耐衝撃性を向上させるために、スチレン系ブロックコポリマー(SBC)をベースとする衝撃改質剤が使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善された耐衝撃性と、透明性、高剛性、引張強度、流動特性などの良好なバランスとを有するSBCを有する改善されたポリプロピレン組成物を提供する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
一態様において、本開示は、(A)ASTM D1238に従って2.16kg荷重で230℃において測定された0.25~100dg/分のメルトフローレート(MFR)を有する65~99重量%のポリプロピレンホモポリマー、(B)(a)第1の水素添加スチレン系ブロックコポリマー(第1のHSBC)及び(b)(i)第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマー(第2のHSBC)と(ii)ポリオレフィンコポリマー(POLC)とから選択される少なくとも1種のポリマーから本質的になる1~35重量%の衝撃改質剤、並びに(C)ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、25重量%までの少なくとも添加剤を含む、それから本質的になる、又はそれからなるポリオレフィン組成物に関する。第1のHSBCは、ブロックA及びブロックBを有する。水素添加前の各ブロックAは、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロックであり、各ブロックBは、共役ジエンモノマーのポリマーブロックである。ブロックBは、ブロックB中の重合共役ジエンモノマーの総重量に基づいて、70~95重量%のビニル含有量を有する。第2のHSBCは、ブロックA’及びブロックB’を有する。水素添加前の各ブロックA’は、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロックであり、各ブロックB’は、共役ジエンモノマーのポリマーブロックである。ブロックB’は、ブロックB’中の重合共役ジエンモノマーの総重量に基づいて、0~50重量%のビニル含有量を有する。ポリオレフィンコポリマーは、ASTM D792に従って測定された0.850~0.920g/cm3の密度、及びASTM D1238に従って2.16kg荷重で190℃において測定された0.5~100dg/分のメルトインデックス(MI)を有する。(a)と(b)の重量比は、1:10~10:1である。少なくとも1種のポリマーが第2のHSBCである場合、第1のHSBC又は第2のHSBCの少なくとも一方は、15~50重量%のポリスチレン含有量(PSC)を有する。
【0006】
第2の態様において、ポリオレフィン組成物は、衝撃改質剤の非存在下のポリオレフィン組成物と比較した場合、(i)1%での曲げセカント係数の>5%の増加、及び(ii)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<10%の低下、又は(iii)0℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃の>10%の増加、及び(iv)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<5%の低下、又は(v)21℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃の>5%の増加、及び(vi)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<10%の低下、又は(vii)21℃で測定されたノッチ付きアイゾット衝撃の>10%の増加、及び(viii)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<5%の低下、又は(ix)降伏ひずみの>10%の増加、及び(x)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<5%の低下、又は(xi)破断伸びの>5%の増加、及び(xii)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<5%の低下を有する。1%での曲げセカント係数はASTM D790に従って測定される。0℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃及び21℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃は、いずれもASTM D610に従う。ノッチ付きアイゾット衝撃は、ISO 180に従って21℃で測定される。降伏ひずみはISO 527-2に従って測定される。破断伸びはISO 527-2に従って測定される。透過率はASTM D1003に従って測定される。
【0007】
第3の態様において、少なくとも1種のポリマーは、第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマーである。
【0008】
第4の態様において、各ブロックA及びA’は、独立して、ASTM 5296に従って測定された、1~40kg/molの分子量(Mp)を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書の全体を通じて、以下の用語を使用する。
【0010】
「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、特許請求する組成物が、特許請求する発明の新規な特徴又は機能に重大な影響を与えない追加成分を許容した上で、指定された材料を主に含有することを意味し、追加成分が存在する場合、量は<30%又は<20%又は<10%である。
【0011】
「[A、B及びCなどのグループ]のうちの少なくとも1つ」又は「[A、B及びCなどのグループ]のいずれか」は、グループからの単一のメンバー、グループからの1つを超えるメンバー又はグループからのメンバーの組合せを意味する。例えば、A、B及びCのうちの少なくとも1つは、例えば、Aのみ、Bのみ又はCのみ、並びにA及びB、A及びC、B及びC;又はA、B及びC又はA、B及びCの任意の他のすべての組合せを含む。
【0012】
「A、B又はC」として提示された実施形態のリストは、実施形態、Aのみ、Bのみ、Cのみ、「A若しくはB」、「A若しくはC」、「B若しくはC」又は「A、B若しくはC」を含むと解釈されるべきである。
【0013】
ブロックコポリマーの「ポリスチレン含有量」又はPSCは、ブロックコポリマー中の重合ビニル芳香族モノマー、例えばスチレンの重量%を指し、すべてのビニル芳香族単位の分子量の合計をブロックコポリマーの全分子量で割ることによって計算される。PSCは、プロトン核磁気共鳴(NMR)などの任意の好適な方法を使用して決定することができる。
【0014】
「ビニル含有量」は、ブタジエンの場合、1,2-付加を介して、又はイソプレンの場合、3,4-付加を介して重合し、ポリマー骨格に隣接する一置換オレフィン又はビニル基を生じる共役ジエンモノマーの含有量を指す。ビニル含有量は核磁気共鳴分光法(NMR)で測定できる。
【0015】
「分子量」又はMwは、ポリマーブロック又はブロックコポリマーのポリスチレン当量の分子量(kg/mol)を指す。Mwは、ASTM5296に従って測定するなど、ポリスチレン校正標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。GPC検出器は、紫外線若しくは示差屈折率検出器又はそれらの組合せであることができる。クロマトグラフは、市販のポリスチレン分子量標準を使用して校正される。このように校正されたGPCを使用して測定されたポリマーのMwは、ポリスチレン当量の分子量又は見かけの分子量である。本明細書で表されるMwは、GPCトレースのピークで測定され、一般にポリスチレン当量の「ピーク分子量」と称され、Mpとして示される。
【0016】
ポリマーの「バイモーダル」分子量は、ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析によって得られるものなどの、所与の分子量を示すポリマーの(y)相対的割合の関数としての(x)分子量のプロットにおいて、容易に識別可能である異なる分子量の2つ以上のピークを指す。
【0017】
本開示は、(A)ポリプロピレンホモポリマー、(B)(a)第1の水素添加スチレン系ブロックコポリマー(第1のHSBC)及び(b)i)第2の水素添加スチレン系ブロックコポリマー(第2のHSBC)とii)ポリオレフィンコポリマー(POLC)とから選択される少なくとも1種のポリマーから本質的になる衝撃改質剤、並びに(C)任意の添加剤を含む、それから本質的になる、又はそれからなるポリオレフィン組成物に関する。ポリオレフィン組成物は、改善された耐衝撃性、並びに透明性、高剛性、引張強度及び流動特性の良好なバランスを示す。
【0018】
(ポリプロピレンホモポリマー)
ポリプロピレンホモポリマーは、当該技術分野で公知の任意のプロセスを経て製造されたポリプロピレンホモポリマー(例えば、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックなど)である。ポリプロピレンホモポリマーは、未使用の(virgin)供給源又はリサイクルされた供給源から得ることができ、初めて製造される場合には、石油又はバイオ供給源をベースとすることができる。
【0019】
実施形態において、ポリプロピレンブレンドは、ポリオレフィン組成物、例えば、ポリプロピレンとプロピレンのランダムエチレンコポリマー若しくはランダムブテンコポリマーとのブレンド、又はゴム質エチレン-プロピレンコポリマーと組み合わせた、エチレンとプロピレンとの結晶性ランダムコポリマー中で使用される。ポリプロピレンコポリマーは、プロピレンと共重合可能なコモノマー、例えばエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン又は1種以上の共役又は非共役ジエンとのコポリマーを含め、使用することができる。コモノマーは、ポリプロピレンコポリマーの総重量に基づいて、0.05~40又は0.5~30又は1~20又は5~30重量%の範囲であることができる。
【0020】
実施形態において、ポリプロピレンホモポリマーは、分子量の観点からバイモーダル又はマルチモーダルであり、10~2000又は30~1500又は50~1000又は100~800又は150~500又は200~400kg/molの分子量(Mp)を有する。
【0021】
実施形態において、ポリプロピレンホモポリマーは、100~180℃又は110~170℃又は120~160℃又は125~150℃の融解温度(Tm)を有する。
【0022】
実施形態において、ポリプロピレンホモポリマーは、ASTM F2625に従って示差走査熱量測定(DSC)融解熱によって測定された、20~70%又は25~65%又は30~60%又は35~55%又は>35%又は>40%又は>50%の結晶度を有する。
【0023】
実施形態において、ポリプロピレンホモポリマーは、ASTM D1238に従って測定された、2.16kg荷重で230℃において、<400又は<300又は<200又は5~100又は0.25~100又は0.25~75又は0.50~70又は15~65又は20~40dg/分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0024】
実施形態において、ポリプロピレンホモポリマーは、ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、65~99又は70~99又は70~95又は75~99又は75~90重量%の量で使用される。
【0025】
(衝撃改質剤)
衝撃改質剤は、(a)水素添加前のビニル含有量が70~95重量%である第1のHSBC、及び(b)i)水素添加前のビニル含有量が0~50重量%である第2のHSBCとii)POLCとから選択される少なくとも1種のポリマーを、第1のHSBCと少なくとも1種のポリマーの重量比が、1:10~10:1又は1:8~8:1又は1:5~5:1又は1:2~2:1で含む、それから本質的になる、又はそれからなる。
【0026】
(水素添加スチレン系ブロックコポリマー(HSBC))
第1のHSBC及び第2のHSBC(存在する場合)は、少なくとも1種のブロックA又はA’及び少なくとも1種のブロックB又はB’を有する直鎖状、分枝状又は放射状のブロックコポリマーのいずれかであるSBC前駆体の水素添加によって独立して得られる。
【0027】
実施形態において、SBC前駆体は、当技術分野で公知の技術を使用したアニオン重合によって調製される。カチオン重合などの他の方法を採用することもできる。アニオン重合開始剤は、一般に、有機金属化合物、例えば、有機リチウム化合物、例えば、エチル-、プロピル-、イソプロピル-、n-ブチル-、sec-ブチル-、tert-ブチル-、フェニル-、ヘキシルビフェニル-、ヘキサメチレンジ-、ブタジエニル-、イソプレニル-、1,1-ジフェニルヘキシルリチウム又はポリスチリルリチウムである。必要な開始剤の量は、達成すべき分子量に基づいて計算され、一般に、重合されるモノマーの量に基づいて0.002~5重量%である。重合に好適な溶媒としては、4~12個の炭素原子を有する脂肪族、シクロ脂肪族又は芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、イソオクタン、ベンゼン、アルキルベンゼン、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン及びこれらの混合物が挙げられる。ポリマー鎖の終結は、プロトン供与体又はカルバニオン性ポリマー鎖によって置換され得る離脱基を有する化合物でクエンチすることによって達成することができる。
【0028】
実施形態において、SBC前駆体は、A-B-A、B-A-B、A-B-A-B、A-B-A-B-A、(A-B)n、(A-B)n(A)、(A-B-A)n、(A-B-A)nX、(A-B)nX、(B-A-B)nX、(A-B-A-B)nX、(A-B-A-B-A)nX、A’-B’-A’、B’-A’-B’、A’-B’-A’-B’、A’-B’-A’-B’-A’、(A’-B’)n、(A’-B’)n(A’)、(A’-B’-A’)n、(A’-B’-A’)nX、(A’-B’)nX、(B’-A’-B’)nX、(A’-B’-A’-B’)nX、(A’-B’-A’-B’-A’)nX又はそれらの混合物の一般的な構成を有する;式中、nは2~30の整数であり;Xはカップリング剤の残基である。各ブロックA及びA’は同一であり又は異なり、ビニル芳香族モノマーから独立して誘導され、各ブロックB及びB’は同一であり又は異なり、共役ジエンモノマーから独立して誘導される。
【0029】
実施形態において、カップリング剤は、二官能性又は多官能性化合物、例えばジビニルベンゼン、脂肪族又はアラリファティック(araliphatic)炭化水素のハロゲン化物、例えば1,2-ジブロモエタン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、四塩化ケイ素、ジアルキル-又はジアリールシリコンジクロリド、アルキル-又はアリールシリコントリクロリド、四塩化スズ、アルキルシリコンメトキシド、アルキルシリコンエトキシド、多官能性アルデヒド、例えばテレフタル酸ジアルデヒド、ケトン、エステル、無水物、又はエポキシドなどを含む。実施形態において、カップリング剤は、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、テトラメトキシシラン(TMOS)、ジメチルアジペート、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びそれらの混合物から選択される。
【0030】
実施形態において、ビニル芳香族モノマーは、スチレン、パラ-メチルスチレン、パラ-エチルスチレン、パラ-n-プロピルスチレン、パラ-イソ-プロピルスチレン、パラ-n-ブチルスチレン、パラ-sec-ブチルスチレン、パラ-イソ-ブチルスチレン、パラ-t-ブチルスチレン、パラ-デシルスチレンの異性体、パラ-ドデシルスチレンの異性体、オルト-置換スチレン、メタ-置換スチレン、アルファ-メチルスチレン、1,1-ジフェニルエチレン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
実施形態において、共役ジエンモノマーは、イソプレン、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、ファルネセン、ミルセン、ピペリレン、シクロヘキサジエン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
実施形態において、各ブロックA及びA’は、1~40又は1~35又は1~30又は1~25又は1~20又は1~10又は>1又は>2又は<40又は<35又は25kg/molの分子量(Mp)を独立して有する。
【0033】
実施形態において、ブロックBは、ブロックB中の重合共役ジエンモノマーの総重量に基づいて、≧70又は>72又は>75又は70~95又は70~85又は75~90又は70~80重量%のビニル含有量を有する。
【0034】
実施形態において、ブロックB’は、ブロックB’中の重合共役ジエンモノマーの総重量に基づいて、≦50又は0~50又は0~45又は<45重量%のビニル含有量を有する。
【0035】
実施形態において、各ブロックB及びB’は、10~300又は20~200又は50~200又は20~150kg/molの分子量(Mp)を独立して有する。
【0036】
実施形態において、第1のHSBCは、第1のHSBCの総重量に基づいて、5~50又は10~45又は5~40又は10~40又は5~35又は10~35重量%のポリスチレン含有量(PSC)を有する。
【0037】
第1のHSBC及び第2のHSBCの両方を含む衝撃改質剤を有する実施形態において、第2のHSBCは、第2のHSBCの総重量に基づいて、5~50又は10~45又は5~40又は10~40又は5~35又は10~35重量%のポリスチレン含有量(PSC)を独立して有する。さらに、第1のHSBC又は第2のHSBCの少なくとも一方中のポリスチレン含有量(PSC)は、第1のHSBC又は第2のHSBCのそれぞれの総重量に基づいて、15~50又は15~35又は18~40重量%である。
【0038】
実施形態において、各第1のHSBC及び第2のHSBC(存在する場合)は、独立して、10~500又は20~300又は50~250又は20~240又は40~220kg/molの分子量(Mp)を有する。
【0039】
実施形態において、各第1のHSBC及び第2のHSBC(存在する場合)は、独立して、ASTM D 1238に従って測定された、少なくとも1dg/分又は>2又は>4又は>5又は1~40又は2~30又は4~35又は5~35dg/分の2.16kg荷重で230℃におけるメルトフローレート(MFR)を有する。
【0040】
実施形態において、各第1のHSBC及び第2のHSBC(存在する場合)は、>60%又は>65%又は>70%又は60~98%又は65~95%のカップリング効率(coupling efficiency)(CE)を有する。
【0041】
実施形態において、第1のHSBCは、第1のHSBCの総重量に基づいて、<15又は<12又は<10又は1~15又は1~10重量%のジブロック含有量を有する。
【0042】
実施形態において、各第1のHSBC及び第2のHSBC(存在する場合)は、少なくとも1個の官能基、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基及びシラノール基などで独立して官能化される。
【0043】
(ポリオレフィンコポリマー(POLC))
POLCは、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリオレフィンプラストマー(POP)及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
実施形態において、POEは、エチレン-α-オレフィンコポリマー(EOC)、プロピレン-α-オレフィンコポリマー(POC)及びそれらの混合物から選択される。EOCは、エチレンと少なくとも1種のC3~C20α-オレフィンとのコポリマーであることができ、EOCの総重量に基づいて、>50又は>60又は>70又は>80又は>90又は50~90重量%の量でエチレンを含有することができる。実施形態において、POCは、プロピレンと少なくとも1種のC3~C20α-オレフィンとのコポリマーであり、POCは、POCの総重量に基づいて、>50又は>60又は>70又は>80又は>90又は50~90重量%の量でプロピレンを含有する。
【0045】
実施形態において、POLCは、エチレンと、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン及び1-エイコセンなどから選択される少なくとも1種のC3~C20α-オレフィンとのコポリマーである。
【0046】
EOCは、エチレン/ブテン(EB)コポリマー、エチレン/ヘキセン-1コポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/α-オレフィン/ジエン変性(EAODM)インターポリマー(例えば、エチレン/プロピレン/ジエン変性(EPDM)インターポリマー、エチレン/プロピレン/オクテンターポリマーなど)及びエチレン/プロピレンコポリマーなどから選択することができる。
【0047】
POCの例としては、コポリマー、例えば、プロピレン/エチレン、プロピレン/1-ブテン、プロピレン/1-ヘキセン、プロピレン/4-メチル-1-ペンテン、プロピレン/1-オクテン、プロピレン/エチレン/1-ブテン、プロピレン/エチレン/ENB、プロピレン/エチレン/1-ヘキセン、プロピレン/エチレン/1-オクテン、プロピレン/スチレン及びプロピレン/エチレン/スチレンが挙げられる。
【0048】
実施形態において、POEは、C4~C18ジオレフィン及び/又はアルケニルベンゼンをさらに含む。
【0049】
実施形態において、POLCは、メタロセン触媒(又は拘束幾何(constrained geometry))、又はチーグラー・ナッタ触媒からなる群から選択される触媒を使用するプロセスで製造される。
【0050】
実施形態において、POLCは、2種のポリオレフィンコポリマー画分POLC-1とPOLC-2とを好適な量、例えば1:10~10:1又は1:5~5:1で含む。POLCは、バイモーダル分子量分布を有し得る。実施形態において、POLC組成物は、高分子量(HMW)画分の重量平均分子量と低分子量(LMW)画分の重量平均分子量の重量比(Mw-HMW/Mw-LMW比)が20~60又は25~50又は30~40である。
【0051】
実施形態において、POLCは、ASTM D792に従って測定された、0.850~0.920又は0.853~0.915、0.855~0.910又は0.852~0.905g/cm3の密度を有する。
【0052】
実施形態において、POLCは、ASTM D1238に従って測定された、0.5~100又は1~80又は5~70又は5~50又は5~40dg/分の2.16kg荷重で190℃におけるメルトインデックスを有する。
【0053】
実施形態において、POLCは、20~400又は30~350又は40~300又は50~400又は70~350kg/molの分子量(Mp)を有する。
【0054】
実施形態において、POLCは、1.7~3.5又は1.8~3又は1.8~2.8又は1.8~2.5の多分散性指数(Mw/Mn)を有する。
【0055】
実施形態において、POLCは、<-10℃又は<-20℃又は<-30℃又は<-50℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0056】
実施形態において、POLCは、>20℃又は>30℃又は20~140℃又は25~130℃又は30~125℃の融点を有する。
【0057】
(ポリオレフィン組成物)
実施形態において、ポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、1~35又は1~30又は5~30又は10~30又は5~25重量%の量で衝撃改質剤を含有する。
【0058】
実施形態において、ポリオレフィン組成物は、組成物の総重量に基づいて、65~99重量%のポリプロピレンホモポリマー;第1のHSBCと第2のHSBCとを1:10~10:1の重量比で又は第1のHSBCとPOLCとを1:10~10:1の重量比で含む1~35重量%の衝撃改質剤;及び25重量%までの任意選択の添加剤を含む。
【0059】
(任意選択の添加物)
任意選択の添加剤は、活性剤、硬化剤、安定化剤、中和剤、増粘剤、合体剤(coalescing agent)、スリップ剤、離型剤、抗菌剤、界面活性剤、酸化防止剤、オゾン割れ防止剤、色変化pH指示薬、可塑剤、粘着付与剤、フィルム形成添加剤、染料、顔料、紫外線安定化剤、紫外線吸収剤、触媒、充填剤、他の樹脂、酸化還元対、繊維、難燃剤、粘度調整剤、湿潤剤、脱気剤、強靭化剤、接着促進剤、着色剤、熱安定化剤、光安定化剤、潤滑剤、流動調整剤、ドリップ防止剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、加工助剤、応力緩和添加剤、発泡剤、発泡核剤、ウェルドライン強度促進剤及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
充填剤の例としては、砂、滑石、ドロマイト、炭酸カルシウム、クレイ、シリカ、マイカ、珪灰石、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスビーズ、ガラス微小球、セラミック微小球、熱可塑性微小球、バライト、木粉、ガラス繊維、木繊維、炭素繊維及びこれらの混合物が挙げられる。充填剤は、ポリオレフィン組成物に添加する前に表面処理することができる。
【0061】
実施形態において、ポリオレフィン組成物中に使用される添加剤は、ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、25重量%まで又は0.5~25又は0.5~20又は1~15又は0.5~10又は>0.5又は<20重量%である。
【0062】
実施形態において、ポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、0.5~15又は1~10又は3~12重量%の量の滑石を含む。
【0063】
実施形態において、ポリオレフィン組成物は、上述の衝撃改質剤以外の衝撃改質剤をさらに含む。例としては、エチレンプロピレン-ジエン(EPDM)モノマー、エチレン-プロピレン(EPM)モノマー、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エラストマーポリオレフィン(POE)、エチレン及びプロピレンをベースとするコポリマー及びターポリマー、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、イソブチレン(IB)、塩素化ゴム、塩素化ポリエチレン(CM)、イソプレン、エチレン-ブテン、それらの混合物及び誘導体が挙げられる。その他の衝撃改質剤は、存在する場合、ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、0~10又は0.5~8又は1~5又は>1又は<10重量%の量である。
【0064】
(衝撃改質剤の調製方法)
組成物は、好適な量の成分を使用して、ドライブレンド又はドライブレンドとペレットへの溶融押出とによって調製することができる。ドライブレンド及び溶融混合は、単軸又は二軸押出機によって行うことができる。
【0065】
(ポリオレフィン組成物/成形品の加工方法)
ポリオレフィン組成物は、当技術分野で公知の方法に従って処理することができ、成分を溶融混合によって組み合わせてブレンドし/ペレットに押し出し、その後、射出成形、延伸ブロー成形、オーバーモールド、ロトモールド、熱成形、鋳造、押出成形、異形押出及びブロー成形などの公知の技術によって成形品を形成させる。
【0066】
実施形態において、ポリオレフィン組成物は、80~250℃又は100~240℃又は120~220℃又は150~230℃のいずれかの温度で混錬される。様々な成分は、任意の順序で又は同時に、互いに添加及び混錬することができる。一部の実施形態において、添加剤は、予め混合されたマスターバッチとして添加される。マスターバッチは、溶融混練法によって簡便に形成される。
【0067】
(ポリオレフィン組成物の特性)
ポリオレフィン組成物は、成形品を形成するための柔軟性、衝撃性、剛性、透明性、引張強度、流動特性、異方性の間でバランスのとれた特性を有することを特徴とする。
【0068】
A)65~99重量%のポリプロピレンホモポリマー、B)1:10~10:1の重量比の第1のHSBC及び第2のHSBC、又は1:10~10:1の重量比の第1のHSBCとPOLCとを含む、1~35重量%の衝撃改質剤、並びにC)ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて25重量%までの添加剤を含有するポリオレフィン組成物は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:
すべてASTM D610に従って測定された、28~75又は28~72又は29~70又は>28又は>30又は<50kJ/m2の21℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃;3~20又は3~18又は3~15又は>2又は<15kJ/m2の0℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃;及び3~10又は3~8又は3~6又は>3又は<8kJ/m2の-20℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃。
【0069】
すべてISO 180に従って測定された、15~50又は16~45又は17~42又は>18又は<40kJ/m2の21℃におけるノッチ付きアイゾット衝撃;及び2~10又は2~8又は3~7又は>2又は<8kJ/m2の-20℃におけるノッチ付きアイゾット衝撃。
【0070】
>55%又は>60%又は>63%又は50~100%、52~95%の透過率;及びすべてASTM D1003に従って3mmのサンプル厚みで測定された、<100%又は<98%又は85~99又は88~98%のヘイズ。
【0071】
>70%又は>75%又は70~100%、75~95%の透過率;及びすべてASTM D1003に従って1.6mmのサンプル厚みで測定された、<95%又は<90%又は<85%又は<80%又は60~95%又は60~90%又は60~85%のヘイズ。
【0072】
ASTM D790に従って測定された、700~1200又は800~1100又は830~1150又は>800又は>820又は<1150MPaの1%での曲げセカント係数。
【0073】
ASTM D790に従って測定された、25~50又は25~45又は26~42又は>25又は<40MPaの曲げ強度。
【0074】
ISO 527-2に従って測定された、900~1600又は920~1550又は940~1500又は>930又は<1550MPaの引張モジュラス。
【0075】
ISO 527-2に従って測定された、20~35又は21~32又は20~30又は>20又は<30MPaの降伏応力。
【0076】
ISO 527-2に従って測定された、5~18%又は6~15%又は>5%又は<15%の降伏ひずみ。
【0077】
ISO 527-2に従って測定された、100~400%又は110~370%又は120~350%又は>110%又は<350%の破断伸び。
【0078】
実施形態において、ポリオレフィン組成物は、衝撃改質剤の非存在下のポリオレフィン組成物と比較して、以下のバランスのとれた特性:
(i)1%での曲げセカント係数の>5%の増加、及び(ii)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<10%の低下、又は
(iii)0℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃における>10%の増加、及び(iv)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<5%の低下、又は
(v)21℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃の>5%の増加、及び(vi)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<10%の低下、又は
(vii)21℃で測定されたノッチ付きアイゾット衝撃の>10%の増加、及び(viii)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<5%の低下、又は
(ix)降伏ひずみの>10%の増加、及び(x)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<5%の低下、又は
(xi)破断伸びの>5%の増加、及び(xii)1.6mmのサンプル厚みで測定された透過率の<5%の低下
のうちの少なくとも1つを有し、透過率特性はASTM D1003に従って測定される。
【0079】
(ポリオレフィン組成物の用途)
ポリオレフィン組成物は、射出ブロー成形、射出成形、押出ブロー成形(EBM)、共押出成形、キャストフィルム押出成形、ブローフィルム押出成形、射出延伸ブロー成形(ISBM)、回転成形、熱成形、熱融着、発泡ブロー成形、引抜成形、カレンダー成形、付加製造又は他の公知の処理方法を通じて様々な成形品を製造するために使用することができる。
【0080】
中空成形品は、連続押出ブロー成形又は断続押出ブロー成形のいずれかによって、ポリオレフィン組成物から形成することができる。実施形態において、中空成形品は、ボトル、容器、燃料タンク、ドラムなどを含む。他の成形品としては、家具、看板、車輪、玩具及び園芸用品などが挙げられる。
【0081】
ポリオレフィン組成物は、配管、包装用途、フィルム、ジオメンブレン、屋根用途、池のライナー、キャップ及び柵、並びに多層ポリオレフィンシート又はフィルム、容器及び家庭用品のコア層、医療用成形体、ボトル及びキャップに使用することができる。ポリオレフィン組成物は、自動車用途、例えば、内装トリム、内装被覆材、ドアパネル、計器盤、フェイシア、リフトゲート及びコンソールなどに使用できる。
【0082】
実施形態において、ポリオレフィン組成物を使用して織物繊維を調製し、次いで、織物繊維を使用してスパンボンド繊維、ステープル繊維、多繊維糸、ニット布帛、織布又は不織布を形成する。
【実施例0083】
以下の例は、非限定的であることを意図している。
【0084】
実施例で使用される成分は以下を含む:
PP-1は、2.16kg荷重で230℃において20dg/分のMFRを有する、Borealis製のポリプロピレンホモポリマーである。
【0085】
POLC-1は、0.857g/cm3の密度、10dg/分のMI(190℃/2.16kg)、-58℃のTg及び38℃の融解温度を有するエチレン-オクテンコポリマーである。
【0086】
POLC-2は、0.868g/cm3の密度、10dg/分のMI(190℃/2.16kg)、-62℃のTg及び121℃の融解温度を有するエチレン-オクテンコポリマーである。
【0087】
POLC-3は、0.900g/cm3の密度、10dg/分のMI(190℃/2.16kg)のエチレン-ヘキセンコポリマーである。
【0088】
第1のHSBC及び第2のHSBCの組成物の詳細を表1に示す。SEBSは、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)を表し、SEPはポリ(スチレン-エチレン/プロピレン)を表す。
【0089】
【0090】
(実施例1~34)
ポリオレフィン組成物は、成分をドライブレンドし、次いで、5lbsのバッチサイズを使用して25mmの二軸押出機で混錬することにより調製した。溶融温度は約245℃に維持した。様々な測定のための試験片は、保持時間6秒前後及び冷却時間約30秒で射出成形することによって調製した。実施例1~34のポリオレフィン組成及び機械的特性を表2~6に示す。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「~を含む(comprising)」は、その用語に続いて特定される要素又はステップを含むことを意味するが、そのような要素又はステップはいずれも網羅的ではなく、実施形態は他の要素又はステップを含み得る。本明細書では、様々な態様を説明するために、用語「~を含む(comprising)」及び「~を含む(including)」を使用してきたが、本開示のより具体的な態様を提供するために、「~を含む(comprising)」及び「~を含む(including)」の代わりに、用語「~から本質的になる」及び「~からなる(consisting of)」を使用することができ、また開示される。