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特開2024-166163散乱放射線を検出するためのアセンブリ並びに前記検出アセンブリを含む検出及び可視化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166163
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】散乱放射線を検出するためのアセンブリ並びに前記検出アセンブリを含む検出及び可視化システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/10 20060101AFI20241121BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20241121BHJP
【FI】
A61B6/10 503
G01T7/00 B
A61B6/46 506Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079937
(22)【出願日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】2304954
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2304953
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515004577
【氏名又は名称】トリクセル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビニョル,ジャン-ミシェル
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188AA25
2G188BB02
2G188CC22
2G188CC29
2G188DD05
2G188DD16
4C093AA25
4C093CA34
4C093EB22
4C093EB25
4C093EB28
4C093EE16
4C093FA35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】散乱放射線を検出するためのアセンブリ並びに前記検出アセンブリを含む検出及び可視化システムを提供する。
【解決手段】散乱光線を検出するためのアセンブリ1であって、X線をその放射方向の関数として空間的にフィルタリングするように構成されたX線フィルタリング装置3と、フィルタリング装置3によってフィルタリングされたX線を受信するために、フィルタリング装置3に面して組み立てられたイメージャ4であって、フィルタリング装置3によってフィルタリングされたX線から放射線画像を生成するように構成されるイメージャ4とを含み、フィルタリング装置3は、いくつかのプレートを含み、前記プレートは、X線を吸収することができる材料を含み、プレートは、イメージャ4からフィルタリング装置3に向かう方向において、フィルタリング装置3の中心から離れるように配向される1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散乱光線を検出するためのアセンブリであって、
- 前記X線をその放射方向の関数として空間的にフィルタリングするように構成されたX線フィルタリング装置(3)と、
- 前記フィルタリング装置(3)によってフィルタリングされた前記X線を受信するために、前記フィルタリング装置(3)に面して組み立てられたイメージャ(4)であって、前記フィルタリング装置(3)によってフィルタリングされた前記X線から放射線画像を生成するように構成されるイメージャ(4)と
を含み、前記フィルタリング装置(3)は、いくつかのプレート(300、301)を含み、前記プレート(300、301)は、前記X線を吸収することができる材料を含み、前記プレート(300、301)は、第1の一連のプレート及び第2の一連のプレートを含み、前記第1の一連のプレートは、第1の方向(D1)に連続する第1のプレート(300)を含み、前記第2の一連のプレートは、第2の方向(D2)に連続する第2のプレート(301)を含み、前記第1の方向(D1)及び前記第2の方向(D2)は、互いに直交し、前記第1のプレート(300)は、前記イメージャ(4)から前記フィルタリング装置(3)に向かう方向において、前記フィルタリング装置(3)の中心(303)から離れるように配向され、前記第2のプレート(301)は、前記イメージャ(4)から前記フィルタリング装置(3)に向かう前記方向において、前記フィルタリング装置(3)の前記中心(303)から離れるように配向される、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のプレート(300)の少なくとも2つは、互いに平行ではなく、及び前記第2のプレート(301)の少なくとも2つは、互いに平行ではない、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
空間(302)は、前記プレート(300、301)を互いに分離する、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記フィルタリング装置(3)は、前記プレート(300、301)間に配置される、透明部分と呼ばれる部分を含み、前記透明部分は、前記X線を透過する材料で製造される、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記イメージャ(4)は、湾曲している、請求項1~4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記イメージャ(4)は、半球形の形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記イメージャ(4)は、平坦である、請求項1~4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記フィルタリング装置(3)及び前記イメージャ(4)は、同じ一般的形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
検出及び可視化システムであって、
- 請求項1~8のいずれか一項に記載のアセンブリ(1)と、
- 前記イメージャ(4)と同じ視野を有する光学カメラ(5)であって、光学画像を生成するように構成される光学カメラ(5)と、
- 前記イメージャ(4)及び前記カメラ(5)に接続された読み取り及び表示装置(6)であって、前記イメージャ(4)から受信された前記画像及び前記カメラ(5)から受信された前記光学画像を読み取り、前記放射線画像と前記光学画像とを重ね合わせ、且つ前記放射線画像と前記光学画像との前記重ね合わせを表示するように構成される読み取り及び表示装置(6)と
を含む検出及び可視化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散乱放射線を検出するためのアセンブリ並びに前記検出アセンブリを含む検出及び可視化システムに関する。
【0002】
本発明は、様々な分野、例えば医療分野で特に使用されるX線画像化において適用可能である。
【背景技術】
【0003】
特定の方向に放射されたX線は、少なくとも部分的に、対象としない他の方向に散乱され得る。したがって、最初に1つ以上のゾーンに向けて放射されたX線は、最初に対象としなかった他のゾーンにも放射される。これは、例えば、X線発生器が患者の身体の特定のゾーンにX線を送る介入的放射線医学の場合に当てはまる。患者に向けられたX線の一部は、患者に吸収され、これらのX線の他の部分は、患者と、患者の近くに位置し、これらの放射線が接触する物体とによって散乱される。散乱光線は、再びあらゆる方向に飛び出す。医療従事者は、特に外科的介入に参加するとき、この散乱放射線にさらされることになる。介入中に医療従事者が吸収する散乱放射線は、受ける線量が低いために危険ではないが、複数回の介入中に繰り返し被ばくすると危険な場合がある。
【0004】
したがって、医療従事者(及びより一般的にはX線にさらされるすべてのユーザ)は、X線から保護される必要がある。これを実現するために、医療分野では、主に3つの保護対策が実施される。
- 個人線量計を例えば胸部に装着し、線量計は、一定期間にわたって個人が受けた総線量のおよその目安を示す。
- 受ける放射線を弱める鉛製の防護服などを着用する。
- 医療従事者は、このリスク及びそれを最小限に抑える方法について訓練を受ける。
【0005】
これらの対策は、理想的ではない。線量計は、小型の物体であるため、身体に固定されたゾーンで受けた放射線のみを測定することができ、身体の他の部分が受けた放射線が記録されない。一方、防護服は、重くて着心地が悪い。そのため、医療従事者は、防護服の着用を躊躇する。最後に、論文[Badera 2022]で説明されているように、医療従事者は、必ずしも訓練を受けているわけではなく、訓練を受けていたとしても、X線が目に見えないため、医療従事者は、危険性を十分に認識しない。
【0006】
これに関連して、X線、特に散乱X線を検出することが望ましい場合がある。主な目的の1つは、X線からの保護を強化し、且つ/又は周囲の機器を保護することであり得る。危険を認識したユーザがより効果的に自らを保護することができるように、散乱X線を可視化することも望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、環境内で散乱X線を検出することを可能にする検出アセンブリ並びに散乱X線を検出及び可視化することを可能にするシステムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、散乱光線を検出するためのアセンブリであって、
- X線をその放射方向の関数として空間的にフィルタリングするように構成されたX線フィルタリング装置と、
- フィルタリング装置によってフィルタリングされたX線を受信するために、フィルタリング装置に面して組み立てられたイメージャであって、フィルタリング装置によってフィルタリングされたX線から放射線画像を生成するように構成されるイメージャと
を含むアセンブリを提案する。フィルタリング装置は、いくつかのプレートを含み、前記プレートは、X線を吸収することができる材料を含む。
【0009】
プレートは、第1の一連のプレート及び第2の一連のプレートを含み、第1の一連のプレートは、第1の方向に連続する第1のプレートを含み、第2の一連のプレートは、第2の方向に連続する第2のプレートを含む。第1の方向及び第2の方向は、互いに直交する。
【0010】
プレートは、イメージャからフィルタリング装置に向かう方向において、フィルタリング装置の中心から離れるように配向される。したがって、第1のプレートは、イメージャからフィルタリング装置に向かう方向において、フィルタリング装置の中心から離れるように配向され、第2のプレートは、イメージャからフィルタリング装置に向かう方向において、フィルタリング装置の中心から離れるように配向される。
【0011】
フィルタリング装置は、吸収性材料を含み、特定の方向を有するプレートの形状に構成されることにより、特定の方向に到達するX線のみを検出する放射線画像をイメージャ上に形成することを可能にする。フィルタリング装置は、イメージャの平面に対して垂直な方向に到達するX線を除去(又は吸収)し、イメージャに到達する他の方向のX線を通過させる。
【0012】
更に、本発明により、比較的広い範囲にわたって放射線を検出することが可能となる。実際に、フィルタリング装置の中心から離れる、すなわちフィルタリング装置の外側に向かうプレートの配向により、広い角度でX線を検出することが可能になる。
【0013】
本発明による検出アセンブリの特に便利な好ましい特徴を以下に示す。
【0014】
第1のプレートの少なくとも2つは、互いに平行ではなく、及び第2のプレートの少なくとも2つは、互いに平行ではない。
【0015】
空間がプレートを互いに分離する。
【0016】
フィルタリング装置は、プレート間に配置される、透明部分と呼ばれる部分を含む。透明部分は、X線を透過する材料で製造される。
【0017】
イメージャは、湾曲している。
【0018】
イメージャは、半球形の形状を有する。
【0019】
イメージャは、平坦である。
【0020】
フィルタリング装置及びイメージャは、同じ一般的形状を有する。
【0021】
別の態様によれば、本発明は、検出及び可視化システムであって、
- 前述の特徴の少なくとも1つを有する検出アセンブリと、
- イメージャと同じ視野を有する光学カメラであって、光学画像を生成するように構成される光学カメラと、
- イメージャ及びカメラに接続された読み取り及び表示装置であって、イメージャから受信された画像及びカメラから受信された光学画像を読み取り、放射線画像と光学画像とを重ね合わせ、且つ放射線画像と光学画像との重ね合わせを表示するように構成される読み取り及び表示装置と
を含む検出及び可視化システムにも関する。
【0022】
X画像と光学画像とを重ね合わせることで、X線を可視化し、その位置及び場合により他の情報(例えば、強度)を特定することが可能になる。観察者は、光学画像上でX線を放出するゾーンがいずれの箇所に位置するかを確認し得る。
【0023】
したがって、本発明によって提供される解決策により、例えば、ユーザ及び医療従事者に照射される可能性のある散乱X線の発生源又はユーザに到達し、ユーザによって再放射されるX線を視覚化することが可能になる。本発明のシステムにより、視覚化をリアルタイムで行うことができる。これにより、ユーザは、危険な瞬間を記録することができる。それを認識したユーザは、必要な保護対策を講じることになる。
【0024】
別の態様によれば、本発明は、X線を検出及び可視化する方法であって、
- X線フィルタリング装置によってX線をフィルタリングするステップと、
- フィルタリング装置によってフィルタリングされたX線から、X画像と呼ばれる画像を生成するステップであって、このX画像は、フィルタリング装置によってフィルタリングされたX線を受信するために、フィルタリング装置に面して組み立てられたX線のイメージャによって生成される、ステップと、
- イメージャと同じ視野を有する光学カメラから光学画像を生成するステップと、
- イメージャ及びカメラに接続された読み取り及び表示装置により、X画像及び光学画像を読み取るステップと、
- 読み取り及び表示装置により、X画像と光学画像とを重ね合わせるステップと、
- 読み取り及び表示装置により、X画像と光学画像との重ね合わせを表示するステップと
を含む方法に関し得る。フィルタリング装置は、前述の特徴の少なくとも1つを有し得る。
【0025】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として示される添付の図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態による、いくつかの検出及び可視化システムを含む放射線室を概略的に表す。
図2図1の検出及び可視化システムを個別に表し、前記システムは、検出アセンブリを含む。
図3】光学カメラを備えた検出アセンブリを表す。
図4】第1の実施形態による検出アセンブリのフィルタリング装置を表す。
図5】第2の実施形態によるフィルタリング装置を表す。
図6】光学カメラを備えた本発明の別の実施形態による検出アセンブリを表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、患者P及び医療従事者Mがいる放射線室を概略的に表す。図1には、患者Pに向けられた放射線アセンブリEも示される。放射線アセンブリは、X線の発生器100及びX線検出器101を含む。患者Pは、X線の発生器100と検出器101との間に配置される。
【0028】
X線の発生器100は、X線のビームを生成するように構成される。X線の発生器100及び検出器101は、X線の発生器100によって放出されたX線が検出器101によって拾われるように互いに対して配置される。
【0029】
検出器101は、従来の画像検出器である。画像検出器は、特にセンサを含む。センサは、例えば、第1の基板上に製造される。第1の基板は、行及び列のマトリックスに編成されたピクセルのセットを含む。マトリックスは、任意の数の行及び列を含み得、それによりピクセルが形成される。マトリックスは、第1の基板上に地理的ゾーンを形成する。ピクセルのセットは、検出器101に到達する放射線の関数として信号を生成するように構成される。
【0030】
ピクセルは、受信された光子の流れの関数として電荷の電流を送る感光ゾーンと、この電流を処理する電子回路とを含む。感光ゾーンは、通常、感光素子又は光検出器を含み、これは、例えば、フォトダイオード、フォトレジスタ又はフォトトランジスタであり得る。電子回路は、例えば、スイッチ、コンデンサ、抵抗器で構成され、その下流にアクチュエータがある。感光素子及び電子回路で構成されるアセンブリにより、電荷を生成し、収集することが可能になる。
【0031】
図1は、本発明の実施形態による2つのX線検出及び可視化システム2も示す。この例示的な実施形態によるX線検出及び可視化システム2も図2に個別に表される。
【0032】
検出及び可視化システム2は、散乱X線検出アセンブリ1、光学カメラ5及び読み取り及び表示装置6を含む。
【0033】
検出アセンブリ1は、X線フィルタリング装置3及びX線イメージャ4を含む。
【0034】
X線は、高周波電磁放射線の一形態であり、その波長は、およそ5ピコメートル~10ナノメートルである。これらの光子のエネルギーは、数eV(電子ボルト)~数十MeVに及ぶ。X線の主な特性の1つは、「ソフトマター」(炭素、酸素、窒素などの軽い元素で構成された、密度がそれほど高くない固体物質)を容易に透過し、「ハードマター」(重い元素で構成された、密度の高い固体物質)によって容易に吸収されることである。この特性により、光線が肉体を通過して骨によって止められ、医療用画像化が可能になる。
【0035】
フィルタリング装置3は、X線をフィルタリングするように構成される。
【0036】
介入的放射線医学の状況では、フィルタリングされたX線は、通常、患者がX線の発生器100によって放射線を受け取ったときに散乱放射線から生成される。特に、フィルタリングされたX線は、「一次」散乱光線、すなわちX線の発生器100によって放出された光線を受ける患者によって散乱された光線と、X線の発生器100によって送信された光線が接触する近傍にある物体によって散乱された光線とから得られる。フィルタリングされたX線は、「二次」散乱X線、すなわち近くの物体又は人による散乱から生じた放射線、すなわち「一次」散乱によって放出されたX線でもあり得る。
【0037】
フィルタリング装置3は、図1~3に概略的に示すように、イメージャ4に面して組み立てられる。
【0038】
好ましくは、フィルタリング装置3とイメージャ4との間の距離は、小さい。好ましくは、フィルタリング装置3とイメージャ4との間の距離は、30cm未満である。これにより、X線の流れが弱い場合でもX線を良好に検出することができる。
【0039】
ここで、フィルタリング装置3は、イメージャ4に固定される。
【0040】
フィルタリング装置3及びイメージャ4は、同じ一般的形状を有する。イメージャ4と組み合わされたフィルタリング装置3の部分又は表面は、イメージャ4と同じ寸法を有する。イメージャ4は、例えば、略矩形の形状を有する。フィルタリング装置3も矩形の輪郭を有する。
【0041】
図1図3の実施形態では、イメージャ4は、平坦である。フィルタリング装置3も平坦である。図1では、イメージャ4及びフィルタリング装置3は、正方形の形状を有する。例えば、イメージャ4及びフィルタリング装置3は、それぞれ一辺が20cmの正方形の形状を有する。
【0042】
フィルタリング装置3及びイメージャ4は、互いに平行である。
【0043】
イメージャ4は、フィルタリング装置3によってフィルタリングされたX線から放射線画像又はX画像を生成するように構成される。
【0044】
イメージャ4は、例えば、X線検出器101と同様である。イメージャ4は、特にセンサを含む。センサは、例えば、第1の基板上に製造される。第1の基板は、行及び列のマトリックスに編成されたピクセルのセットを含む。マトリックスは、任意の数の行及び列を含み得、それによりピクセルが形成される。マトリックスは、第1の基板上に地理的ゾーンを形成する。ピクセルのセットは、イメージャ4に到達する放射線の関数として信号を生成するように構成される。
【0045】
ピクセルは、X線に敏感であり、電気信号(特に電荷)を送信する。そのレベルは、X線の強度の関数である。換言すれば、ピクセルは、感光素子又は光検出器を含み、これは、例えば、フォトダイオード、フォトレジスタ又はフォトトランジスタであり得る。異なるピクセルからの電気信号は、マトリックスの読み取りフェーズ中にイメージャ4の読み取り回路によって収集され、その後、デジタル化されて処理及び保存され、放射線画像を形成できるようになる。
【0046】
感光素子により、可視光線又は可視光線に近い電磁放射線を検出することができる。これらの要素は、検出器に入射する放射線に対して敏感ではないか又はあまり敏感ではない。シンチレータと呼ばれる放射線変換器が頻繁に使用され、入射する放射線(例えば、X線)を、ピクセル内に存在する感光素子が感知できる波長帯の放射線に変換する。代替形態の1つは、X線を電荷に直接変換する別の材料で感光素子を製造することである。これは、例えば、テルル化カドミウム(CdTe)で製造された第1のピクセル化された基板がピクセルごとにCMOS読み取り回路に接続されるマトリックスの場合であり、そのため、この回路は、もはや検出機能を有しない。
【0047】
イメージャ4は、非常に感度が高く、ノイズが少ないことが好ましい。これは、通常、NED(「ノイズ等価線量」、Xのノイズがイメージャ4の電子ノイズに等しくなる線量)の値によって表される。例えば、開口部が1cm~20cmで、患者から1m離れた場所にある強度10mAのX線源から患者に送られるX線量が80kV~120kVである場合、イメージャ4が受信する信号は、わずか0.01~0.05nGy(ナノグレイ)であり、非常に少ない。したがって、イメージャ4は、このオーダーの線量で判読可能な画像を生成する能力を有し、そのNEDは、通常、0.01nGy以下である。イメージャ4のNEDの方が高い場合、イメージャ4からの画像は、時間的に平均化され(時間平均化、例えば100枚の連続画像)、且つ/又は空間的に平均化される(空間平均化、例えば10×10ピクセルのブロックによる)。これにより、時間的及び/又は空間的な解像度が制限されるが、NEDは、必要なレベルになる。
【0048】
フィルタリング装置3は、X線を吸収することができる材料を含む。X線を吸収することができる材料としては、例えば、鉛、銅、タングステンがある。銅は、安価で硬く、環境に害を及ぼさないという利点がある。
【0049】
一実施形態による、図1及び図2に概略的に示されるフィルタリング装置3は、図4に個別に且つ異なる視野角から示されている。
【0050】
フィルタリング装置3は、いくつかのプレート300、301(図4及び図5に示す)を含む。他の図は、フィルタリング装置3をごく概略的に表す。
【0051】
プレート300、301は、X線を吸収することができる材料(例えば、鉛、銅、タングステン)を含むか又はそれで製造される。プレート300、301は、いくつかの方向からX線を吸収するように配向される。
【0052】
各プレートは、矩形の形状を有する。したがって、各プレートは、縦方向の寸法又は長さ、横方向の寸法又は幅及び横断的寸法又は厚さを有する。
【0053】
ここで、プレート300、301は、空間302によって分離される。換言すれば、隣接するプレート300、301は、隙間によって互いに分離される。
【0054】
変形実施形態によれば、プレート300、301は、空の空間によって分離されない。フィルタリング装置3は、プレート300、301間に配置された材料の部分を含む。材料の部分は、X線を透過する材料で製造される。好ましくは、材料の部分(ここでは透明部分とも呼ばれる)は、剛性である。これにより、プレート300、301を所定の位置に確実に保持することが可能になる。材料の部分は、例えば、ポリウレタンフォームの部分である。
【0055】
プレート300、301は、第1の一連のプレート及び第2の一連のプレートを含む。第1の一連のプレートは、第1の方向D1に連続する第1のプレート300を含む。第2の一連のプレートは、第2の方向D2に連続する第2のプレート301を含む。第1の方向D1及び第2の方向D2は、別個であり、ここでは互いに直交する。
【0056】
ここで、空間302は、第1のプレート300のそれぞれを分離する。同様に、ここでは、空間302が第2のプレート301のそれぞれを分離する。
【0057】
プレート300、301は、フィルタリング装置3の中心303から離れるように配向される。特に、第1のプレート300は、フィルタリング装置3の中心303から離れるように配向され、第2のプレート301は、フィルタリング装置3の中心303から離れるように配向される。プレート300、301は、イメージャ4からフィルタリング装置3に向かう方向に中心303から離れる。換言すれば、プレート300、301は、フィルタリング装置3の外側に向けられる。このように構成されたプレート300、301は、フィルタリング装置3が放射線アセンブリで使用される場合、X線の発生器から分岐する。
【0058】
プレート300、301は、X線をいくつかの方向にフィルタリングするように配向される。プレート300、301は、第1の方向D1及び第2の方向D2によって作られる平面に対してゼロ以外の配向角度に従って配向される。
【0059】
プレート300、301は、それぞれ所定の配向角度に従って配向され、それにより、所与のプレート300、301について、特定の方向に到達するX線は、前記所与のプレート300、301によって遮断される。前記所与のプレート300、301は、前記方向に到達するX線を吸収する。異なる方向から到達したX線は、通過する。
【0060】
フィルタリング装置3がプレート300、301間に空間302を含む場合、X線は、2つのプレート300、301間の空間に到達すると通過する。すなわち、通過するX線は、プレートに到達しないX線である。換言すれば、所与の方向に到達するX線は、フィルタリング装置3の所与の部分を除いて、プレート300、301によって吸収され、その部分では、前記X線は、2つのプレート300、301間を通過し、イメージャ4の所与のゾーンに到達する。
【0061】
フィルタリング装置3の動作は、プレート300、301間の空の空間302の代わりにX線を透過する材料を含む場合も同様である。
【0062】
フィルタリング装置3のこの構成により、イメージャ4の各ゾーンは、X線の1つの方向のみを観測する。イメージャ4の各ゾーンで見られるX線の方向は、少なくともフィルタリング装置3のプレート300、301の向きによって決まる。
【0063】
フィルタリング装置3に沿って配向角度が変更される。いくつかのプレート300、301は、同じ方向角度を有し得る。プレート300、301の向きの角度は、特定の方向のX線を吸収し、他の方向のX線を通過させるように変化する。
【0064】
好ましくは、第1のプレート300の少なくとも2つは、互いに平行ではなく、第2のプレート301の少なくとも2つは、互いに平行ではない。換言すれば、第1のプレート300の少なくとも2つは、互いに異なる配向角度を有し、第2のプレート301の少なくとも2つは、互いに異なる配向角度を有する。
【0065】
前述のフィルタリング装置3は、X線のためのレンズを形成する。フィルタリング装置3は、いくつかの放射線不透過性プレート300、301を使用してX線を「カット」する。イメージャ4によって取得される最終的な放射線画像は、フィルタリング装置3によって「カット」されたX線を受信することによって取得される画像のアセンブリである。画像のアセンブリは、モザイク方式で行われる。画像のアセンブリは、複眼を有する昆虫が行うものと類似している。
【0066】
プレート300、301の数、その厚さ及び方向により、フィルタリングされた画像が定義される。プレート300、301の数、その厚さ及び方向は、要件の関数として事前に定義され、寸法決めされる。これらのパラメータは、プレート300、301間の間隔(又は空間がある場合にはその空間)を定義する。
【0067】
フィルタリング装置3のプレート300、301の厚さは、0.1mm~5mm、好ましくは約1mmである。
【0068】
各プレート300、301の幅は、1mm~10cm、好ましくは1cmに等しい。
【0069】
各プレート300、301の長さは、使用されるイメージャ4のサイズによって異なる。各プレートの長さは、イメージャ4の長さ以下、好ましくはイメージャ4の長さと等しい。各プレートの長さは1cm~50cm、好ましくは20cmに等しい。
【0070】
プレート300、301の配向角度は、-90°~90°、好ましくは-60°~60°である。
【0071】
プレート300、301の数は、10~1000、好ましくは約100である。
【0072】
図1~5の実施例では、平らなフィルタリング装置3の深さ、すなわち全体の厚さは、1~10cmである。したがって、フィルタリング装置3は、非常にコンパクトである。
【0073】
X画像は、プレート300、301間の空間302に面して配置されたイメージャ4のピクセル数の関数でもある。好ましくは、プレート300、301間の各空間302にいくつかのピクセルが面する。
【0074】
フィルタリング装置3は、図4の場合のように一体的に製造され得る。
【0075】
図5に示す変形形態では、フィルタリング装置3は、2つの部分で製造される。フィルタリング装置3は、第1の部分304及び第2の部分305を含む。第1の部分304は、第1の一連の第1のプレート300を含む。第2の部分305は、第2の一連の第2のプレート301を含む。プレートは、それぞれ図4の実施形態と同様に所定の配向角度に従って配向される。
【0076】
第1の部分304及び第2の部分305は、図5のように重ね合わせることができる。
【0077】
図示されない変形形態では、第1の部分304及び第2の部分305は、交差し得る。
【0078】
フィルタリング装置3を2つの部品で製造する方が単一の部品で製造するよりも経済的である。
【0079】
フィルタリング装置3は、3D印刷、成形又は所望の形状及び形態を得ることを可能にする他の手段によって製造され得る。
【0080】
フィルタリング装置3は、画像化されるゾーンから10cm~5mの距離、好ましくは2m程度の距離に配置することが好ましい。距離が短いほど、得られる放射線画像の品質が向上する。
【0081】
しかし、イメージャ4は、以下の利点を有することに留意されたい。撮像対象ゾーンがかなり大きく、常にピクセルをカバーする限り、ピクセルが受信する信号は、イメージャ4と撮像対象ゾーンとの間の距離に応じて減少しない。実際、X線信号は、1/Rで減少する(Rは、イメージャと、イメージングされるゾーン間の距離)が、ピクセルでイメージングされるゾーンの表面は、Rで増加する。2つの効果が互いに補い合い、信号が一定になる。
【0082】
イメージャ4は、異なる形状を有し得、例えば、イメージャ4は、湾曲し得る。イメージャ4は、図6に示すように、ドーム型又は半球型の形状をとり得る。フィルタリング装置3も同様の形状、ここではドーム形状を有する。
【0083】
イメージャ4及びフィルタリング装置3は、平坦なイメージャ4及びフィルタリング装置3について前述したものと同じ特徴を有する。
【0084】
特に、フィルタリング装置3は、イメージャ4からフィルタリング装置3に向かう方向において、フィルタリング装置3の中心303から離れるいくつかのプレート300、301を含む。
【0085】
ここでも、フィルタリング装置3は、イメージャ4に固定される。
【0086】
ドーム型又は半球型の形状により、イメージャ4は、平面型に比べてより多くの放射線を拾うことができる。
【0087】
ドームの直径は、通常、10cm~40cm、例えば20cmであり得る。高さは、5cm~20cm、例えば10cmであり得る。
【0088】
得られる放射線画像は、上で説明したように、フィルタリング装置3の構成によって異なる。放射線画像は、プレート300、301間の空間302又は放射線を透過する材料で作られた部分に面して配置されたイメージャ4のピクセル数の関数でもある。いくつかのピクセルは、プレート300、301間の各空間又はX線を透過する材料で作られた各部分に面することが好ましい。
【0089】
各ピクセルの寸法は、約1ミリメートル又は数ミリメートルである。これらの寸法は、高い画像解像度を必要としない用途に十分である。
【0090】
図1、2、3、5に示される光学カメラ5は、光学画像又は可視画像を生成するように構成される。カメラ5は、レンズ500及びCCD又はCMOS写真センサ501を含む。
【0091】
イメージャ4及び光学カメラ5のレンズ500は、キャプチャ又は撮像される同じ点又は同じゾーンに向けられる。光学カメラ5は、イメージャ4と実質的に同じ視野を有する。例えば、イメージャ4及びカメラ5のレンズ500を、X線にさらされるゾーン又は人物に向けることができる。
【0092】
光学カメラ5は、イメージャ4と平行な平面内に配置される。光学カメラ5は、イメージャ4の上方に配置することができる(図1)。光学カメラ5は、ドーム(図6)又は他の湾曲した形状の中心又は焦点に配置され得る。
【0093】
読み取り及び表示装置6は、イメージャ4及びカメラ5に接続される。読み取り及び表示装置6は、イメージャ4から受信された放射線画像及びカメラ5から受信された光学画像を読み取り、放射線画像と光学画像とを重ね合わせ、且つ放射線画像と光学画像との重ね合わせを表示するように構成される。
【0094】
読み取り及び表示装置6は、イメージャ4及び光学カメラ5に接続するための手段を含む。接続手段は、例えば、コネクタシステム又は無線接続手段である。
【0095】
読み取り及び表示装置6は、画像読み取り処理システムを含む。読み取り及び表示装置6は、画像処理のためのコンピュータを含み得る。画像処理は、光学画像と放射線画像とを組み合わせることを可能にするソフトウェアによって実行され得る。
【0096】
読み取り及び表示装置6は、放射線画像と光学画像との重ね合わせを表示するためのモニタ又はスクリーンなどのディスプレイ600を更に含む。ディスプレイ600は、画像読み取り及び処理システムに接続される。
【0097】
放射線画像と光学画像との重ね合わせは、それらを光学画像上に表示することによってX線を示す。すなわち、散乱X線は、光学画像との重ね合わせにより、散乱される箇所で可視化され得る。
【0098】
X線は、光学画像と異なる色で表示され得る。例えば、光学画像は、白黒であり、X線は、別の色であり得る。
【0099】
X線の強度など、関心のある情報も表示され得る。強度の数値を表示し、且つ/又はX線をその強度に応じて異なる色で表示することができる。
【0100】
X線を散乱するゾーン及び場合によりその強度などの他の情報は、光学画像に重ねて表示される。ユーザは、この情報がディスプレイ600にリアルタイムで表示されることを確認し得る。これにより、例えば(特に医療従事者の場合に)X線から身を守るように促すことができる。
【0101】
1つ以上の検出及び可視化システム2を使用して、X線を散乱するゾーンを検出し、可視化することができる。これにより、X線を散乱するゾーンの検出及び可視化を強化し得る。図1は、2つの検出及び可視化システム2を表す。
【0102】
例示的な実施形態では、1つの共通ディスプレイ600をいくつかの検出及び可視化システム2に使用することができる。
【0103】
X線を検出及び可視化する方法は、以下のように進行する。
【0104】
X線がX線フィルタリング装置3によってフィルタリングされる。
【0105】
フィルタリングされたX線は、イメージャ4によって受信される。X画像は、フィルタリング装置3によってフィルタリングされたX線からイメージャ4によって生成される。
【0106】
並行して又は別の時間に光学カメラ5が光学画像を生成する。
【0107】
X画像及び光学画像は、イメージャ4及びカメラ5に接続された読み取り及び表示装置6によって読み取られる。
【0108】
読み取り及び表示装置6は、例えば、画像処理ソフトウェアによってX画像と光学画像とを重ね合わせる。
【0109】
読み取り及び表示装置6は、最終的に、X画像と光学画像との重ね合わせをディスプレイ4に表示する。読み取り及び表示装置6は、X線の強度などの他の情報も表示することができる。
【0110】
本発明による検出アセンブリは、単純な構造及び構成により、X線をその放射方向の関数として空間的にフィルタリングすることを可能にする。フィルタリング装置の中心から発散する構成により、フィルタリング装置では、検出アセンブリが広い視野又は広い角度でイメージャ上のX線を拾うことができる。
【0111】
検出及び可視化システムにより、X線を散乱するゾーンを検出及び可視化し、例えばそこから身を守ることが可能になる。X線の散乱に関する情報を直接提供するために、リアルタイムで表示することができる。
【0112】
参考文献
[Badera 2022]:Al Mohammad,Badera,Monther Gharaibeh,and Maram Al Alakhras.“Knowledge and practice of radiation protection in the operating theater among orthopedic surgeons.”Journal of Medical Imaging 9.6(2022):066002.
【符号の説明】
【0113】
1 アセンブリ
2 可視化システム
3 フィルタリング装置
4 イメージャ
5 光学カメラ
6 読み取り及び表示装置
100 発生器
101 検出器
300 第1のプレート
301 第2のプレート
302 空間
303 中心
304 第1の部分
305 第2の部分
500 レンズ
501 CCD又はCMOS写真センサ
600 共通ディスプレイ
D1 第1の方向
D2 第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】