(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166170
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】水面施用農薬組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 47/16 20060101AFI20241121BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20241121BHJP
A01N 43/90 20060101ALI20241121BHJP
A01N 43/08 20060101ALI20241121BHJP
A01N 43/70 20060101ALI20241121BHJP
A01N 25/12 20060101ALI20241121BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A01N47/16 Z
A01P13/00
A01N43/90 105
A01N43/08 G
A01N43/70
A01N25/12
A01N25/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080267
(22)【出願日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2023081164
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303020956
【氏名又は名称】三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100152331
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 拓
(72)【発明者】
【氏名】山口 航洋
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB02
4H011BA05
4H011BB08
4H011BB09
4H011BB13
4H011BC06
4H011BC19
4H011DA02
4H011DH03
(57)【要約】
【課題】良好な水面拡展性と保存安定性を併せ持つ、水面施用農薬組成物を提供する。
【解決手段】(1)農薬有効成分と、(2)脂肪酸アルキルエステルと、(3)ノニオン性界面活性剤と、(4)浮遊性担体と、を含む、水面施用農薬組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)農薬有効成分と、
(2)脂肪酸アルキルエステルと、
(3)ノニオン性界面活性剤と、
(4)浮遊性担体と、
を含む、水面施用農薬組成物。
【請求項2】
脂肪酸アルキルエステルが、脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸プロピルエステルである、請求項1に記載の水面施用農薬組成物。
【請求項3】
脂肪酸アルキルエステルが、ヤシ油脂肪酸メチル又はミリスチン酸イソプロピルである、請求項1に記載の水面施用農薬組成物。
【請求項4】
ノニオン性界面活性剤が、アルキルエーテル系界面活性剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水面施用農薬組成物。
【請求項5】
ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水面施用農薬組成物。
【請求項6】
(1)農薬有効成分と、
(2)脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸プロピルエステルと、
(3)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤と、
(4)浮遊性担体と、
を含む、水面施用農薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面施用農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、種々の水面施用農薬組成物が開発されている。水面施用農薬組成物の実用場面においては、栽培植物や、藻、稲の籾殻、その他の浮遊物が水面を覆ってしまうことが多く、農薬有効成分の水面拡展が阻害されることがある。その結果、農薬有効成分が均一に拡展しないことが知られている。
【0003】
良好な水面拡展性を有する水面施用農薬組成物として、例えば、特許文献1には、(1)1種又は2種以上の農薬有効成分、(2)アルキルスルホサクシネート塩、(3)下記化合物群から選ばれる1種又は2種以上の拡展剤並びに(4)1種又は2種以上の中空状鉱物質担体、植物担体及び/又は合成樹脂発泡体を含有する粒核(当該粒核の見掛け比重は1未満である)を含有する水面施用農薬組成物(化合物群:α-オレフィンスルホン酸塩及びグリコールエーテル系溶剤。)が開示され、特許文献2には、(1)1種又は2種以上の農薬有効成分、(2)グリコールエーテル系溶剤、(3)1種又は2種以上の固体の界面活性剤を含有する被覆層、並びに(4)1種又は2種以上の中空状鉱物質担体、植物担体及び/又は合成樹脂発泡体を含有する粒核(当該粒核の見掛け比重は1未満)を含む水面施用農薬組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-177791号公報
【特許文献2】特開2020-75909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水面施用農薬組成物を長期間保存した場合に、水面施用農薬組成物の懸垂性が悪化することで、均一に散布されないことがある。その結果、水面施用農薬組成物の投入地点において農薬有効成分の濃度が増加し、局所的な薬害が発生するといった問題もある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、良好な水面拡展性と保存安定性を併せ持つ、水面施用農薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討した結果、特定の成分を組み合わせることにより、良好な水面拡展性と保存安定性を併せ持つ水面施用農薬組成物が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
(1)農薬有効成分と、
(2)脂肪酸アルキルエステルと、
(3)ノニオン性界面活性剤と、
(4)浮遊性担体と、
を含む、水面施用農薬組成物。
[2]
脂肪酸アルキルエステルが、脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸プロピルエステルである、[1]に記載の水面施用農薬組成物。
[3]
脂肪酸アルキルエステルが、ヤシ油脂肪酸メチル又はミリスチン酸イソプロピルである、[1]又は[2]に記載の水面施用農薬組成物。
[4]
ノニオン性界面活性剤が、アルキルエーテル系界面活性剤である、[1]~[3]のいずれかに記載の水面施用農薬組成物。
[5]
ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤である、[1]~[4]のいずれかに記載の水面施用農薬組成物。
[6]
(1)農薬有効成分と、
(2)脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸プロピルエステルと、
(3)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤と、
(4)浮遊性担体と、
を含む、水面施用農薬組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な水面拡展性と保存安定性を併せ持つ、水面施用農薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の水面施用農薬組成物について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0010】
<水面施用農薬組成物>
本実施形態の水面施用農薬組成物(以下、単に略称して「農薬組成物」ともいう。)は、(1)農薬有効成分と、(2)脂肪酸アルキルエステルと、(3)ノニオン性界面活性剤と、(4)浮遊性担体と、を含む。
【0011】
[(1)農薬有効成分]
本実施形態の農薬組成物に含まれる農薬有効成分としては、特に制限はないが、例えば、除草性活性成分、殺虫・殺ダニ性活性成分、殺菌性活性成分、植物調節成分などが挙げられる。
農薬有効成分としては、殺生物効果を有することが好ましい。農薬有効成分は、農薬組成物中で安定であれば、いずれの成分であってもよく、農薬有効成分の物理的性状は特に制限されず、例えば、粉末、液体などであってもよい。
【0012】
本実施形態において、農薬有効成分の農薬組成物における含有量は、製剤が可能な量であればよく、特に制限はないが、製造性又は農薬組成物の物性の観点から、農薬組成物100質量%に対して、好適には0.1~50質量%であり、より好適には1~40質量%であり、上記範囲内で、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上であってもよく、35質量%以下、30質量%以下であってもよい。
農薬有効成分の農薬組成物における含有量は、農薬組成物の製造時の仕込み比より求めてもよく、農薬組成物の高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析などにより求めてもよい。
【0013】
本実施形態の農薬組成物に含まれる除草性活性成分としては、特に制限はないが、例えば、ベンスルフロンメチル、アジムスルフロン、イマゾスルフロン、ハロスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、エトキシスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、クロルスルフロン、クロリムロンエチル、ネオフェンスルフロンメチル、フラザスルフロン、スルホメツロンメチル、プリミスルフロンメチル、リムスルフロン、プロピリスルフロン、メトスルフロンメチル、フルセトスルフロン、メタゾスルフロン、ジメピペレート、メフェナセット、プレチラクロール、モリネート、ピリブチカルブ、テニルクロール、エスプロカルブ、ブタミホス、ブロモブチド、ダイムロン、カフェンストロール、シハロホップブチル、ベンゾフェナップ、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンフレセート、ベンチオカーブ、エポロダン、キノクラミン(ACN)、シメトリン、ジメタメトリン、ペントキサゾン、エドベンザニド、ジチオピル、ブタクロール、オキサジアルギル、ナプロアニリド、シンメスリン、(2,4-ジクロロフェノキシ)酢酸(2,4-D)又はそのアルキルエステル若しくはその塩、4-(4-クロロ-o-トリルオキシ)酪酸(MCPB)、オキサジクロメホン、フェントラザミド、シクロピリモレート、ペノキススラム、ベンタゾン、メソトリオン、スルコトリオン、ベンゾビシクロン、テフリルトリオン、ビシクロピロン、ビスピリバック、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、ピリミスルファン、トリアファモンなどが挙げられる。
【0014】
本実施形態の農薬組成物に含まれる殺虫・殺ダニ性活性成分としては、特に制限はないが、例えば、インドキサカルブ、クロマフェノジド、ピリミジフェン、ミルベメクチン、メソミル、アセフェート、ジノテフラン、チオシクラム、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、ピリダフェンチオン、ジメトエート、ホスメット(PMP)、テトラクロルビンホス(CVMP)、ジメチルビンホス、トリクロルホン(DEP)、カルバリル(NAC)、メトルカルブ(MTMC)、イソプロカルブ(MIPC)、プロポキスル(PHC)、キシリルカルブ(MPMC)、3,5-ジメチルフェニル N-メチルカルバマート(XMC)、ベンフラカルブ、ピリミカルブ、オキサミル、チオジカルブ、シペルメトリン、カルタップ、ベンスルタップ、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ピリダベン、クロフェンテジン、バチラス・チューリンゲンシス又はその産生毒素、フェンチオン(MPP)、フェニトロチオン(MEP)、ダイアジノン、イソキサチオン、エチルチオメトン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、シラフルオフェン、シクロプロトリン、ベンフラカルブ、ブロフラニリドなどが挙げられる。
【0015】
本実施形態の農薬組成物に含まれる殺菌性活性成分としては、特に制限はないが、例えば、シメコナゾール、ヒドロキシイソキサゾール、テクロフタラム、ジクロメジン、ペンチオピラド、ピロキロン、ジラム、チウラム、キャプタン、クロロタロニル(TPN)、フサライド、トリクロホスメチル、ホセチル、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンタゾール、チアベンタゾール、ジエトフェンカルブ、イプロジオン、ビンクロゾリン、プロシミドン、フルオルイミド、オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、メタラキシル、オキサジキシル、トリアジメホン、ヘキサコナゾール、トリホリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、ペンタクロロニトロベンゼン(PCNB)、ダゾメット、トリアジン、プロベナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、テトラコナゾール、トリクラミド、オキソリニック酸、ジメトモルフ、シモキサニル、トルプロカルブ、チフルザミド(MON-240)などが挙げられる。
【0016】
本実施形態の農薬組成物に含まれる植物調節成分としては、特に制限はないが、例えば、マレイン酸ヒドラジド又はその塩、アブシジン酸、過酸化カルシウム、イナベンフィド、パクロブトラゾール、ウニコナゾール、トリアペンテノール、サイコセルなどが挙げられる。
【0017】
農薬有効成分としては、農薬組成物中に1種又は2種以上含んでもよく、農薬有効成分を2種以上用いる場合には、農薬有効成分は、その混合成分として用いられる。
農薬有効成分を混合成分として用いる場合、上記の除草性活性成分、殺虫・殺ダニ性活性成分、殺菌性活性成分、植物調節成分などのそれぞれにおいて複数の成分を組み合わせてもよく、種類を越えて2種以上を組み合わせてもよい。
【0018】
[(2)脂肪酸アルキルエステル]
本実施形態の農薬組成物に含まれる脂肪酸アルキルエステルとしては、特に制限はないが、例えば、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸プロピルエステル、脂肪酸ブチルエステル、脂肪酸2-エチルヘキシルエステル、脂肪酸デシルエステル、脂肪酸ドデシルエステルなどが挙げられる。
【0019】
本実施形態において、脂肪酸アルキルエステルの農薬組成物における含有量は、製剤が可能な量であればよく、特に制限はないが、良好な水面拡展性と保存安定性を両立する観点から、農薬組成物100質量%に対して、好適には20~60質量%であり、より好適には30~50質量%である。脂肪酸アルキルエステルの農薬組成物における含有量が、60質量%以下であることにより、製造性に富む傾向にあり、20質量%以上であることにより、水面拡展性が向上する効果が得られる傾向にある。
脂肪酸アルキルエステルの農薬組成物における含有量は、農薬組成物の製造時の仕込み比より求めてもよく、農薬組成物のHPLC分析などにより求めてもよい。
【0020】
脂肪酸メチルエステルなどの脂肪酸アルキルエステルとしては、特に制限はないが、例えば、植物油に由来する脂肪酸を、メチルエステル化などのようにアルキルエステル化したものなどが挙げられる。植物油としては、特に制限はないが、例えば、ヤシ油、パーム油、大豆油、菜種油、ヒマシ油、アマニ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、オリーブ油、ヤシ油などが挙げられる。
脂肪酸プロピルエステルとしては、特に制限はないが、例えば、ミリスチン酸イソプロピルなどが挙げられる。
脂肪酸デシルエステルとしては、特に制限はないが、例えば、フタル酸イソデシルなどが挙げられる。
【0021】
脂肪酸アルキルエステルとしては、特に制限はないが、良好な水面拡展性と保存安定性を両立する観点から、好適には脂肪酸メチルエステル、脂肪酸プロピルエステルであり、より好適にはヤシ油脂肪酸メチル及びミリスチン酸イソプロピルである。
また、本実施形態において、脂肪酸アルキルエステルは、例えば、浮遊性担体を他の成分を粉末として担持させる際に、浮遊性担体と粉末を結合する結合剤として機能することができる。
【0022】
脂肪酸アルキルエステルとしては、農薬組成物中に1種又は2種以上含んでもよく、脂肪酸アルキルエステルを2種以上用いる場合には、脂肪酸アルキルエステルは、その混合成分として用いられる。
【0023】
[(3)ノニオン性界面活性剤]
本実施形態の農薬組成物に含まれるノニオン性界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ソルビタン系界面活性剤又はそのアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、糖系界面活性剤、シュクログリセリド、アルキルエーテル系界面活性剤などが挙げられる。
【0024】
本実施形態において、ノニオン性界面活性剤の農薬組成物における含有量は、製剤が可能な量であればよく、特に制限はないが、良好な水面拡展性と保存安定性を両立する観点から、農薬組成物100質量%に対して、好適には1~20質量%であり、より好適には5~15質量%である。ノニオン性界面活性剤の農薬組成物における含有量が、20質量%以下であることにより、製造性に富む傾向にあり、1質量%以上であることにより、水面拡展性が向上する効果が得られる傾向にある。
ノニオン性界面活性剤の農薬組成物における含有量は、農薬組成物の製造時の仕込み比より求めてもよく、農薬組成物のHPLC分析などにより求めてもよい。
【0025】
脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物、及びポリオキシアルキレン脂肪酸エステルは、脂肪族アルコール、又は脂肪酸と、アルキレンオキサイド(ポリアルキレンオキサイドであってもよい)とのエーテル、又はエステルであってもよい。脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物としては、特に制限はないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0026】
ソルビタン系界面活性剤又はそのアルキレンオキサイド付加物としては、特に制限はないが、例えば、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンアルキレンオキサイド付加物、ソルビタンモノパルミチン酸エステルなどが挙げられる。
【0027】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に制限はないが、例えば、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリルなどが挙げられる。
【0028】
糖系界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、アルキルグリコシドなどが挙げられる。
【0029】
アルキルエーテル系界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンスチリルフェノールエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンジスチリルフェノールエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレントリスチリルフェノールエーテル系界面活性剤などが挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンデシルエーテル系界面活性剤などが挙げられる。また、アルキルエーテル系界面活性剤におけるアルキルエーテル部分は、分岐アルキルエーテルであっても、直鎖アルキルエーテルであってもよく、ポリオキシアルキレン分岐アルキルエーテル系界面活性剤であってもよく、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル系界面活性剤であってもよい。
【0030】
ノニオン性界面活性剤としては、良好な水面拡展性と保存安定性を両立する観点から、好適には、脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレンオキシ脂肪酸エステル、アルキルエーテル系界面活性剤などが挙げられ、より好適には、アルキルエーテル系界面活性剤などが挙げられる。中でも、好適には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤などが挙げられ、より好適には、ポリオキシアルキレン分岐アルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレン直鎖アルキルエーテル系界面活性剤などが挙げられ、さらに好適には、ポリオキシアルキレンデシルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤などが挙げられ、よりさらに好適には、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤などが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤におけるアルキルエーテル部分は、脂肪族アルコールに由来する構造であってよく、好適には炭素原子数5~25の脂肪族アルコールに由来し、当該炭素原子数は、より好適には10~20である。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤におけるアルキレンオキサイドの付加モル数は、好適には2~10であり、より好適には2~5である。
【0031】
なお、(ポリ)エチレンオキサイドを付加したタイプのノニオン性界面活性剤においては、その一部に(ポリ)プロピレンオキサイド付加物を含有してもよい。すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤とポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤との混合物であってもよいし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤には、(ポリ)プロピレンオキサイド付加物が含有されていてもよい。
【0032】
ノニオン性界面活性剤としては、農薬組成物中に1種又は2種以上含んでもよく、ノニオン性界面活性剤を2種以上用いる場合には、ノニオン性界面活性剤は、その混合成分として用いられる。
【0033】
本実施形態の農薬組成物において、前記脂肪酸アルキルエステルの含有量と前記ノニオン性界面活性剤の含有量との比が、前記脂肪酸アルキルエステルの含有量(質量%)/前記ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)として、好適には、1/1以上10/1以下であり、より好適には、2/1以上6/1以下である。前記脂肪酸アルキルエステルの含有量と前記ノニオン性界面活性剤の含有量との比が上記範囲内にあることで、良好な水面拡展性と保存安定性を両立することができる。その理由については、特に限定する趣旨ではないが、本発明者は次のように推測している。すなわち、本実施形態の農薬組成物は、長期間保存した場合でも、脂肪酸アルキルエステルやノニオン性界面活性剤が浮遊性担体に浸透しにくく、農薬組成物の物性の劣化を抑制することができる傾向にある。その結果、農薬組成物を長期間保存した場合でも、農薬組成物に水が浸透するのに時間がかかり、農薬組成物が沈降しない傾向にある。したがって、本実施形態の農薬組成物は、長期間保存した場合でも、懸垂性に優れる傾向にあり、良好な水面拡展性と保存安定性を両立することができると考えられる。
【0034】
[(4)浮遊性担体]
本実施形態の農薬組成物に含まれる浮遊性担体は、水に浮く性質を有する担体であれば、特に制限はないが、例えば、中空状鉱物質担体、植物担体及び/又は合成樹脂発泡体を含有する粒状物を意味してもよい。
中空状鉱物質担体としては、特に制限はないが、例えば、仮焼バーミキュライト、焼成バーミキュライト、発泡パーライト、発泡シラスなどが挙げられる。
植物担体としては、特に制限はないが、例えば、コルクなどが挙げられる。
合成樹脂発泡体としては、特に制限はないが、例えば、発泡スチロールなどが挙げられる。
浮遊性担体は、1種又は2種以上の中空状鉱物質担体、植物担体及び/又は合成樹脂発泡体を含有して水に浮く性質が付与され成形された粒状物であってもよい。
浮遊性担体としては、特に制限はないが、製造性の観点から、好適には焼成バーミキュライト、発泡パーライト、発泡シラス及び/又はコルクを含有する粒状物であり、より好適には焼成バーミキュライト、発泡パーライト及び/又はコルクを含有する粒状物である。
また、本実施形態において、浮遊性担体は浮力材として機能することができる。
【0035】
本実施形態において、浮遊性担体の農薬組成物における含有量は、水面浮遊性の観点から、農薬組成物100質量%に対して、好適には1~50質量%であり、より好適には5~40質量%であり、上記範囲内で、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上であってもよく、35質量%以下であってもよい。
浮遊性担体の農薬組成物における含有量は、農薬組成物の製造時の仕込み比より求めてもよい。
本明細書において記載する各成分の農薬組成物における含有量は、製品パッケージに記載される含有量であってもよい。
【0036】
浮遊性担体としては、農薬組成物中に1種又は2種以上含んでもよく、浮遊性担体を2種以上用いる場合には、浮遊性担体は、その混合成分として用いられる。
浮遊性担体を混合成分として用いる場合、上記の中空状鉱物質担体、植物担体及び/又は合成樹脂発泡体を含有する粒状物などのそれぞれにおいて複数の成分を組み合わせてもよく、種類を越えて2種以上を組み合わせてもよい。
【0037】
本実施形態の農薬組成物は、従来の技術に比して、さらに良好な水面拡展性と保存安定性を両立することができる。その理由については、特に限定する趣旨ではないが、本発明者は次のように推測している。すなわち、ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤を主として含む農薬組成物では、水面拡展中に個々の粒剤同士が凝集し、均一な水面拡展性を有さない傾向にあり、それにより局所的な薬害が発生する傾向にある。一方、本実施形態の農薬組成物は、ノニオン性界面活性剤を含むことで、水面拡展中に個々の粒剤同士が凝集せず、良好な水面拡展性を有する傾向にある。
本実施形態においては、農薬組成物に脂肪酸アルキルエステルとノニオン性界面活性剤を用いることで、本実施形態の農薬組成物は、水面拡展性を改良することができると共に、均一散布が達成可能な保存安定性を有する。このことは、本明細書においては、長期間保存した場合であっても、懸垂性に優れる性能を意図して「良好な保存安定性」という場合がある。
【0038】
[任意の成分]
本実施形態の農薬組成物には、その効果を妨げない範囲内において、任意の成分を添加してもよい。任意の成分としては、特に制限はないが、例えば、着色剤、溶剤類・オイル類、糖類、水溶性高分子類、防腐剤・防黴剤、無機塩類、紫外線遮蔽剤、ラテックス類・エマルジョン類、香料類、鉱物性粉末、ノニオン性界面活性剤を除く界面活性剤などが挙げられる。
【0039】
着色剤としては、特に制限はないが、例えば、食用色素、亜鉛華、亜酸化銅、一酸化鉛、ウォッチングレッド、塩素法酸化チタン顔料、オイルファーネスブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、オキシサルファイド蛍光体、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、蛍光顔料、黒鉛、黒色酸化鉄、極微細炭酸カルシウム、コバルト青、コバルト緑、コバルト紫、胡粉、紺青、サーマルブラック、酸化クロム、酸化チタン(アタナース)、酸化チタン(ルチル)、酸化テルビウム、酸化銅、ジスアゾイエロー、赤色酸化鉄、造粒カーボンブラック、茶色酸化鉄、チャンネルブラック、超微粒子状酸化チタン、鉄黒、天然黒鉛粉末、天然土状黒鉛、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、バナデート蛍光体、微粒子酸化チタン、ファストイエロー10G、ベンガラ、モリブデンレッドなどが挙げられる。
【0040】
溶剤類・オイル類としては、特に制限はないが、例えば、エタノール、イソプロパノール、1-ブタノール、酢酸、無水酢酸、アセトフェノン、オレイン酸メチル、ヤシ油、ナタネ油、大豆油、ヒマシ油、アマニ油、パラフィン油、ケロシン、高級アルコール、シクロヘキサノール、γ-ブチロラクトン、メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロアニリン、ノルマルパラフィン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、灯油、マシン油、芳香族溶剤などが挙げられる。
【0041】
糖類としては、特に制限はないが、例えば、α-含水乳糖、α-無水乳糖、β-無水乳糖、ジオール化合物、グリセリン並びにその誘導体、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ショ糖、ブドウ糖、果糖などが挙げられる。
【0042】
水溶性高分子類としては、特に制限はないが、例えば、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0043】
防腐剤・防黴剤としては、特に制限はないが、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラクロロメタキシレノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ポリへサメチレンビグアニジドハイドロクロライド、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、メチルパラヒドロキシベンゾエート、エチルパラヒドロキシベンゾエート、プロピルパラヒドロキシベンゾエート、ブチルパラヒドロキシベンゾエート、ヘプチルパラヒドロキシベンゾエート、ベンジルパラヒドロキシベンゾエート、パラオキシ安息香酸エステル、オルソフェニルフェノール、ソディウムオルソフェニルフェネート、グルタルジアルデヒド、第四級アンモニウム化合物、トリ-(N-クロロヘキシルジアゼニウムジオキシ)-アルミニウム、テトラヒドロ-3,5-ジメチル-2H-1,3,5-チアジアジン-2-チオン、2,5-ジメトキシテトラヒドロフラン、ジメチロール尿素、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、フェノキシエタノール、グリオキサール、グルタルアルデヒド、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3,5-ヘキサヒドロトリアジン、塩化ベンザルコニウム、フェノキシプロパノール、テトラメチルアセチレンジ尿素、ポビドンイオディン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、チアゾロンなどが挙げられる。
【0044】
無機塩類としては、特に制限はないが、例えば、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、塩化カリウムなどが挙げられる。
【0045】
紫外線遮蔽剤としては、特に制限はないが、例えば、サリチル酸系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤などが挙げられる。
【0046】
ラテックス類・エマルジョン類としては、特に制限はないが、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリル共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル共重合体、シリコーン-アクリル共重合体、ポリウレタン、ポリウレアなどのラテックス類、エマルジョン類などが挙げられる。
【0047】
香料類としては、特に制限はないが、例えば、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、シトロネラール、オイゲノール、リモネン、ミカン油、トウヒ、シトロネロールなどが挙げられる。
【0048】
鉱物性粉末としては、特に制限はないが、例えば、ホワイトカーボン、タルク、ベントナイト、クレーなどが挙げられる。
【0049】
ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤の農薬組成物における含有量は、本実施形態の農薬組成物の効果を妨げない範囲内であれば特に制限されないが、農薬組成物100質量%に対して、好適には20質量%以下であり、より好適には10質量%以下であり、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下であってもよい。本実施形態の農薬組成物は、ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤を含まない場合があってもよい。
【0050】
アニオン系界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、リグニンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、モノアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩;など)、アリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩などのナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩;アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩などのアルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩;フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩などのフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物塩;など)、α-オレフィンスルホン酸塩(α-オレフィンスルホン酸ナトリウムなど)、アルキルスルホン酸塩(アルキルスルホン酸ナトリウムなど)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステル、アルキル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、スルホコハク酸塩(ジアルキルスルホコハク酸塩など)、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩など)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩などのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;など)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー硫酸塩(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー硫酸ナトリウムなど)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム塩などのポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;など)、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸塩(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーンブロックポリマーリン酸塩(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマテルリン酸塩など)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸モノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレーリン酸ナトリウムなど)、アルキルリン酸エステル(アルキルリン酸、アルキルリン酸ナトリウムなど)、メチルタウリン酸塩(オレイルメチルタウリドナトリウムなど)、ポリカルボン酸塩(アルキレンマレイン酸共重合体ナトリウム、マレイン酸イソブチレンコポリマー、アクリル酸マレイン酸共重合体ナトリウム、ポリカルボン酸ナトリウム・ジスチリルフェニルエーテル硫酸塩アンモニウム塩など)、脂肪酸塩(半硬化牛脂脂肪酸ソーダ石けんなど)などが挙げられる。
【0051】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミノプロピルアミドなどが挙げられる。
【0052】
両性界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシルメチル-N-ヒドロキシエチル-イミダゾリニウムベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸、ジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。
【0053】
本実施形態の農薬組成物は、特に制限はないが、良好な水面拡展性と保存安定性を両立する観点から、好適には、(1)農薬有効成分と、(2)脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸プロピルエステルと、(3)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤と、(4)浮遊性担体と、を含み、より好適には、(1)農薬有効成分と、(2)脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸プロピルエステルと、(3)ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル系界面活性剤又はポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤と、(4)浮遊性担体と、を含む。
【0054】
[被覆層、核粒]
本実施形態の農薬組成物は、核粒と被覆層を有することが好ましい。
核粒は、浮遊性担体を含有することが好ましい。また、農薬組成物が良好な浮遊性を有する観点から、核粒の見掛け比重は、好適には1.0未満である。
被覆層は、特に制限はないが、好適には脂肪酸アルキルエステル及び/又はノニオン性界面活性剤を含有し、より好適には脂肪酸アルキルエステル、ノニオン性界面活性剤及び/又は農薬有効成分を含有する。
核粒と被覆層が上記成分を含有することで、良好な水面拡展性と保存安定性を両立することができる。その理由については、特に限定する趣旨ではないが、本発明者は次のように推測している。すなわち、被覆層が脂肪酸アルキルエステル、ノニオン性界面活性剤を含有することで、核粒が脂肪酸アルキルエステル、ノニオン性界面活性剤を含有する場合よりも素早く水面に脂肪酸アルキルエステル、ノニオン性界面活性剤が拡展し、より良好な水面拡展性を有する傾向がある。また、長期間保存した場合であっても、核粒の内部に脂肪酸アルキルエステルやノニオン性界面活性剤が浸透しにくく、物性が劣化しにくい傾向にあり、より良好な保存安定性を有する傾向がある。
【0055】
[剤型]
本実施形態の農薬組成物の剤型としては、特に制限はないが、例えば、粉剤、粒剤、紛粒剤、粉末、水和剤、水溶剤、乳剤、液剤、油剤、エアゾル、ペースト剤、くん煙剤、くん蒸剤、塗布剤、マイクロカプセル剤、パック剤などが挙げられ、良好な水面拡展性と保存安定性を併せ持つ観点から、好適にはパック剤、粒剤であり、より好適にはジャンボ剤である。
また、粒剤である場合、被覆型、練込型の粒剤が挙げられ、好適には被覆型の粒剤であり、より好適には浮遊性担体に農薬有効成分を担持させた粒剤である。当該粒剤は、練り込み押し出し造粒にて調製される粒剤や顆粒剤を含まないことが好ましい。
【0056】
[用途]
本実施形態の農薬組成物の用途については、特に制限はないが、例えば、農業場面における雑草、病害虫に対する除草剤・殺菌剤・殺虫剤としての使用が挙げられる。本実施形態の農薬組成物は、良好な水面拡展性と保存安定性を併せ持つ観点から、水面施用剤として用いられ、より好適には水稲用除草剤である。
【0057】
<水面施用農薬組成物の製造方法>
本実施形態の農薬組成物の製造方法としては、前述した成分を有する農薬組成物が得られる方法であれば特に制限はないが、次の方法により農薬組成物を製造することが好ましい。ここで使用できる農薬有効成分、脂肪酸アルキルエステル、ノニオン性界面活性剤、浮遊性担体は前述したとおりである。
【0058】
すなわち、本実施形態の農薬組成物の製造方法は、
脂肪酸アルキルエステルと、ノニオン性界面活性剤と、浮遊性担体と、を混合し、混合物Aを得る工程a1と、
次いで、得られた混合物Aと、農薬有効成分と、を混合し、農薬組成物を得る工程a2と、を含む方法であってよい。
【0059】
工程a1においては、脂肪酸アルキルエステル、ノニオン性界面活性剤、及び浮遊性担体を混合する順序は、特に制限はないが、例えば、浮遊性担体に、脂肪酸アルキルエステルと、ノニオン性界面活性剤とを加えて混合することができる。これにより、浮遊性担体を含有する核粒と、脂肪酸アルキルエステル及びノニオン性界面活性剤を含有する被覆層と、が形成されてもよい。
工程a2においては、例えば、得られた混合物Aに農薬有効成分を加えて混合することができる。これにより、農薬有効成分を含有する被覆層がさらに形成されてもよい。
【0060】
また、本実施形態の農薬組成物の別の製造方法は、
農薬有効成分と、浮遊性担体と、を混合し、混合物Bを得る工程b1と、
次いで、得られた混合物Bと、脂肪酸アルキルエステルと、ノニオン性界面活性剤と、を混合し、農薬組成物を得る工程b2と、を含む方法であってよい。
【0061】
工程b1においては、特に制限はないが、例えば、浮遊性担体に、農薬有効成分を加えて混合することができる。これにより、浮遊性担体を含有する核粒と、農薬有効成分を含有する被覆層と、が形成されてもよい。
工程b2においては、例えば、得られた混合物Bに、脂肪酸アルキルエステルと、ノニオン性界面活性剤とを加えて混合することができる。これにより、脂肪酸アルキルエステル及びノニオン性界面活性剤を含有する被覆層がさらに形成されてもよい。
【0062】
また、本実施形態の製造方法においては、農薬有効成分を、予め任意の成分と混合して使用してもよい。この場合、農薬有効成分は、プレミックスとして用いてもよく、プレミックスの製法は、従来公知の方法によってよく、特に制限されない。プレミックスに含まれる任意の成分としては、特に制限はないが、例えば、無機塩類、鉱物性粉末などが挙げられる。
【0063】
これらの製造方法は、最終的に農薬有効成分を浮遊性担体に担持することができるという点において、いずれも好適な製造方法である。各工程の混合に使用される機器としては、特に制限はないが、例えば、リボンミキサー、ナウターミキサー、レディゲミキサーなどが挙げられる。また、本発明の効果が得られる限り、混合時間、混合温度などの条件は特に制限されない。
【0064】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【実施例0065】
以下に実施例、及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0066】
[試製例1]
シクロピリモレート(純度98.2%、三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社製)40.0質量部、ペノキススラム(純度98.0%、コルテバ・ジャパン株式会社製)13.2質量部、SIPERNAT 22S(エボニック・ジャパン株式会社製)2.0質量部及び中性無水芒硝44.8質量部を混合し、この混合物をサンプルミル(登録商標)KII-1型(ダルトン製)にて乾式粉砕し、シクロピリモレート・ペノキススラムプレミックスを得た。
【0067】
[試製例2]
テフリルトリオン(純度99.0%、バイエルクロップサイエンス株式会社製)53.5質量部、SIPERNAT 22S(エボニック・ジャパン株式会社製)5.0質量部及び中性無水芒硝41.5質量部を混合し、この混合物をサンプルミル(登録商標)KII-1型(ダルトン製)にて乾式粉砕し、テフリルトリオンプレミックスを得た。
【0068】
[試製例3]
シメトリン(純度98.6%、北興化学工業株式会社製)39.9質量部、SIPERNAT 22S(エボニック・ジャパン株式会社製)2.0質量部及び中性無水芒硝58.1質量部を混合し、この混合物をサンプルミル(登録商標)KII-1型(ダルトン製)にて乾式粉砕し、シメトリンプレミックスを得た。
【0069】
[試製例4]
シクロピリモレート(純度98.2%、三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社製)15.4質量部、ペノキススラム(純度98.0%、コルテバ・ジャパン株式会社製)5.1質量部、テフリルトリオン(純度99.0%)22.3質量部、シメトリン(純度98.6%、北興化学工業株式会社製)16.3質量部、SIPERNAT 22S(エボニック・ジャパン株式会社製)2.0質量部及び中性無水芒硝38.9質量部を混合し、この混合物をサンプルミル(登録商標)KII-1型(ダルトン製)にて乾式粉砕し、シクロピリモレート・ペノキススラム・テフリルトリオン・シメトリンプレミックスを得た。
【0070】
[実施例1]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し実施例1の組成物を得た。
【0071】
[実施例2]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにミリスチン酸イソプロピル(エキセパールIPM、花王株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し実施例2の組成物を得た。
【0072】
[実施例3]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(直鎖)(ナロアクティーCL-40、三洋化成株式会社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し実施例3の組成物を得た。
【0073】
[実施例4]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)33.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)38.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)9.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例4のシクロピリモレート・ペノキススラム・テフリルトリオン・シメトリンプレミックス20.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し実施例4の組成物を得た。
【0074】
[比較例1]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部及び2-エチルヘキシルジグリコール(日本乳化剤社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例1の組成物を得た。
【0075】
[比較例2]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部及びα-オレフィンスルホン酸塩(ニューカルゲンWG-8、竹本油脂社製)11.00質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例2の組成物を得た。
【0076】
[比較例3]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部及びジアルキルスルホサクシネート塩(エアロールCT-1L、東邦化学工業社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例3の組成物を得た。
【0077】
[比較例4]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部及び脂肪酸グリコールエステル(アグロサーフTG-3000、竹本油脂社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例4の組成物を得た。
【0078】
[比較例5]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部及びアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(MORWETD-425POWDER、NouryonSurfaceChemistryAB社製)11.00質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例5の組成物を得た。
【0079】
[比較例6]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部及びポリカルボン酸ナトリウム塩(ニューカルゲンWG-5、竹本油脂社製)11.00質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例6の組成物を得た。
【0080】
[比較例7]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部及びPOEアルカンジオール(ニューカルゲン-310、竹本油脂社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例7の組成物を得た。
【0081】
[比較例8]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部及び脂肪酸グリコールエステル(アグロサーフTG-3000、竹本油脂社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例8の組成物を得た。
【0082】
[比較例9]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヤシ油脂肪酸メチル(エキセパールMC、花王株式会社製)35.00質量部及びポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(ニューコール607-PDE、日本乳化剤社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例9の組成物を得た。
【0083】
[比較例10]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これに流動パラフィン(スーパーオイルM100、ENEOS株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例10の組成物を得た。
【0084】
[比較例11]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これに流動パラフィン(スーパーオイルM100、ENEOS株式会社製)35.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部及びα-オレフィンスルホン酸塩(ニューカルゲンWG-8、竹本油脂社製)11.00質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例11の組成物を得た。
【0085】
[比較例12]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これに流動パラフィン(スーパーオイルM100、ENEOS株式会社製)35.00質量部及びジアルキルスルホサクシネート塩(エアロールCT-1L、東邦化学工業社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例12の組成物を得た。
【0086】
[比較例13]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これに流動パラフィン(スーパーオイルM100、ENEOS株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(直鎖)(ナロアクティーCL-40、東邦化学工業社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該粉末部を被覆し、均一になるまで混合し比較例13の組成物を得た。
【0087】
[比較例14]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにプロピレングリコール(AGC株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例14の組成物を得た。
【0088】
[比較例15]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにプロピレングリコール(AGC株式会社製)35.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部及びα-オレフィンスルホン酸塩(ニューカルゲンWG-8、竹本油脂社製)11.00質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例15の組成物を得た。
【0089】
[比較例16]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにプロピレングリコール(AGC株式会社製)35.00質量部及びジアルキルスルホサクシネート塩(エアロールCT-1L、東邦化学工業社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例16の組成物を得た。
【0090】
[比較例17]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにプロピレングリコール(AGC株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(直鎖)(ナロアクティーCL-40、東邦化学工業社製)11.00部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部、試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例17の組成物を得た。
【0091】
[比較例18]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにヒマシ油(伊藤製油株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例18の組成物を得た。
【0092】
[比較例19]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにシクロヘキサノン(UBE株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例19の組成物を得た。
【0093】
[比較例20]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにフタル酸イソデシル(サンソサイザーDIDP、新日本理化株式会社製)35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例20の組成物を得た。
【0094】
[比較例21]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにアマニ油35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例21の組成物を得た。
【0095】
[比較例22]
焼成バーミキュライト(ヒルイシS1-600、ヒルイシ化学工業株式会社製、0.6mmアンダーカット品、見掛け比重:0.1)30.00質量部をラボミキサー(登録商標)LV-0(ホソカワミクロン株式会社製)に仕込み、核粒を得て、これにオレンジ油35.00質量部及びポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノイゲンLF-40X、第一工業製薬社製)11.00質量部を加えて混合し当該核粒の表面を湿らせた。次いで得られた核粒に試製例1のシクロピリモレート・ペノキススラムプレミックス8.0質量部、試製例2のテフリルトリオンプレミックス8.0質量部及び試製例3のシメトリンプレミックス8.0質量部を加えて混合することにより、核粒の表面に当該プレミックスを被覆し、均一になるまで混合し比較例22の組成物を得た。
【0096】
[試験1]
(拡散性確認試験)
長さが4m、幅が14cmのトユに水道水を25L入れ、田面水上の障害物(浮遊物)を想定して、ベビーパウダー2gを水面に均一になるよう処理した。静置後、水面施用農薬組成物300mgを該トユの一方の端から10cmの地点に投入し、投入後の各実施例及び比較例の組成物の投入地点から1.5m到達時間(秒)、投入地点からの最長到達距離(m)及び水面での粒同士の凝集有無を評価した。
(1.5m到達時間の評価基準)
○:30秒以下
×:30秒超
(最長到達距離の評価基準)
○:2.0m以上
×:2.0m未満
(水面での粒同士の凝集有無の評価基準)
〇:凝集無 5粒以上で構成される凝集体が3個以下
×:凝集有 5粒以上で構成される凝集体が3個超
【0097】
[試験2]
(沈降量確認試験)
農薬一般試験法III-2-(2)記載の懸垂管に約20℃の3度硬水500mLを入れ、水面から約5cmの高さより各実施例及び比較例の組成物を静かに投入した。ガラス棒を用いて水面より1cm以内の深さでヒルコンの層が均一になるように丁寧に10回(静かに)攪拌した。そのまま静置し、組成物の投入より10分後に沈降した試料のmL数を目盛管により読み取り、懸垂度を評価した。尚、試験2は保管後の水面施用農薬組成物の評価が目的の為、製造後に25℃で30日保管した組成物を使用した。
(評価基準)
〇:1.0mL以下
×:1.0mL超
【0098】
【0099】
以上の試験の結果から、実施例の組成物は、優れた拡散性を示すとともに、水面で凝集することがなく、良好な水面拡展性を有することが分かった。さらに、実施例の組成物は、長期間保存した場合であっても優れた懸垂性を示し、良好な保存安定性を有することが分かった。これらの実施例の組成物においては、核粒の内部に脂肪酸アルキルエステルやノニオン性界面活性剤が浸透することなどに起因する物性の劣化が少なく、保存安定性に優れる脂肪酸アルキルエステルとノニオン性界面活性剤との組み合わせの相乗効果により、良好な水面拡展性が得られたと考える。一方で、比較例の組成物においては、時間経過により物性の劣化が起こり保存安定性に優れない傾向や、水面拡展性が優れない傾向が認められた。
本発明の水面施用農薬組成物は、良好な水面拡展性と保存安定性を併せ持つことから、水面施用除草剤、水面施用殺菌剤、水面施用殺虫剤などとして産業上利用可能性を有する。