(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166193
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】扉の取付け枠構造
(51)【国際特許分類】
E06B 1/52 20060101AFI20241121BHJP
E06B 1/16 20060101ALI20241121BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
E06B1/52
E06B1/16 Z
E06B1/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024081355
(22)【出願日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2023081465
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521404118
【氏名又は名称】インフィニティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】谷山 里志
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011EA02
2E011EB03
2E011ED03
(57)【要約】
【課題】極めて薄い扉枠でありながら収容構造との収まりがよく、かつ強度を維持することができる扉の取付け枠構造を提供する。
【解決手段】
扉の背面寄りのヒンジ側辺、開放側辺、上辺からなる三方辺に沿って、函板片を断面視にて方形部を含む閉じた図形に函状形成してなる方形枠を三方連結して一体的に形成すると共に、三方函枠それぞれの、扉面中央寄りの函板片を、扉面の前方、及び後方へそれぞれ突出させて、当該函板片の板先によって、扉の正背面の三方露出枠を形成し、
かつ正背面の三方露出枠を、一枚板片を折重ねた折返し部の外屈曲面によって構成した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開き扉の背面寄りのヒンジ側辺、開放側辺、上辺からなる三方辺に沿って、函板片を断面視にて方形部を含む方形部を含む閉じた図形に函状形成して函枠を形成し、三方の函枠の枠端を部分的に切り欠くと共に組合せ接合して、三方函枠を一体的に形成すると共に、
前記三方函枠それぞれの、扉面中央寄りの函板片が、扉面の前方、及び後方へそれぞれ延長形成された延長板片からなり、当該延長板片の延長部によって、扉の正背面それぞれで三方に連なって露出した三方露出枠を形成し、かつ、
前記正背面の三方露出枠を、共に、前記延長板片の正面側及び背面側の延長部を屈曲させて折重ねた外屈曲面によって構成したことを特徴とする、扉の取付け枠構造。
【請求項2】
前記三方函枠は、断面函状の背面に、正面の壁ボードと平行な函板面、または背面の壁ボードと平行な函板面の少なくともいずれかを有し、正面の函板面または背面の函板面に、扉周囲の壁面を構成する壁ボードが貼り付けられ、
前記延長板片の板先によって形成された、扉の正背面の三方露出枠が、前記壁ボードの仕上げ面よりも突出して露出仕上げされると共に、
正面側又は背面側の前記延長板片の延長部が扉外方へ屈曲して折り重ねられると共に、折り重ねた先の延長端部が、前記正面又は背面の函板面と当接して、この当接部の少なくとも一部にて函板面と固着される、請求項1に記載の扉の取付け枠構造。
【請求項3】
前記壁内の三方函枠が、函板片を方形函状断面または変形函状断面に構成した函筒または変形函筒構造からなり、この函筒または変形函筒構造の扉中央寄りの部分を構成する一辺の枠板片が、正面側及び背面側に延長部を有した一枚の延長板片からなり、
この延長板片が、前記函筒または変形函筒構造の扉中央寄り以外の部分と面当接又は辺当接で重合一体化された重合構造によって一体構成される、請求項2記載の扉の取付け枠構造。
【請求項4】
前記三方函枠は、上部函枠と、ヒンジ側部函枠と、開放側部函枠から構成され、
上部函枠、ヒンジ側部函枠、及び開放側部函枠はそれぞれ、開き扉の上辺に沿う扉背面の上部分、開き扉のヒンジ側辺に沿う扉背面の側部分、及び開き扉の開放側辺に沿う扉背面の側部分をそれぞれ背面側から部分的に覆った閉扉状態となると共に、
上部函枠及びヒンジ側部函枠には、開き扉の正面上辺、ヒンジ側辺、及び開放側辺を囲う、前方突出構造がそれぞれ扉上面、扉側面との隙間を設けて形成され、
これら前方突出構造に、開き扉を開閉可能に繋ぐ吊りヒンジ部品、及び、開き扉のラッチ錠を受けるラッチ受け部品が設けられる、請求項1記載の扉の取付け枠構造。
【請求項5】
前記三方函枠の背面の函板面には、前記函筒または変形函筒構造から三方外方へそれぞれ張り出した羽根状板または凸状アングルがさらに設けられ、
前記羽根状板または凸状アングルの一部が、周囲の壁下地材に面固定されてなる、請求項1記載の扉の取付け枠構造。
【請求項6】
前記吊りヒンジ部品は、開き扉の上面に埋設される下ヒンジ部品と、下ヒンジ部品の上部であって上部函枠内に埋設される上ヒンジ部品とによってヒンジ可動構造で構成され、前記開き扉は、ヒンジ側の端部が片側アール状成形部からなると共に、
片側アール状成形部及び下ヒンジ部品が、ヒンジ側部函枠の前面端に形成された枠状空間内の収容位置に組み込まれ、
開き扉を開いた状態でヒンジ軸が三方函枠内に収容されることで扉が前方へ突出することなく開いた状態となる、請求項4記載の扉の取付け枠構造。
【請求項7】
前記三方函枠のうち少なくとも上部函枠は、枠上面に、壁の下地アングル端部と係止されるかまたは下地アングル下面と溶接される固定用突起を複数個突設してなり、
前記三方枠を囲むように接して壁内の三方下地アングルが組み構成され、
前記三方函枠が、三方下地アングル内に係止又は溶接することで固定される、請求項4記載の扉の取付け枠構造。
【請求項8】
前記三方函枠のうち少なくとも上部函枠は、枠背面部に、段差状の扉止め枠が部分函構成され、この部分函構成部が延長板片の板先を構成する、請求項4記載の扉の取付け枠構造。
【請求項9】
前記開き扉の片側アール状成形部及びヒンジ側部函枠が、突入係止部及び突入穴からなる係止構造を有して開き扉を側部支持する、請求項4記載の扉の取付け枠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築用扉の取付け枠構造に関する。特に、ボード仕上げの壁面に取付け枠の一部が露出する、開き扉の吊りヒンジを備えた取付け枠構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠端部の一部分のみを露出させた扉の取付け枠構造が開示される。例えば特許文献1(登実-03144289)に記載の扉の取付け枠構造は、表壁4aと裏壁4bとからなる建物の壁の開口部に嵌められるドア枠であって、表壁4aと裏壁4bとの間に嵌められる嵌込み片22,23と、ドア枠の本体を構成する本体部とからなり、本体部は、ドア枠の内面となる内面部26と表壁4aの端面に当接する表端面部27および裏壁4bの端面に当接する裏端面部28とからなり、嵌込み片22,23と表裏両端面部27,28と内面部26とは1枚物の金属板を曲げた成形体であって、表裏両端面部27,28と内面部26の両端縁部とは、互いに平行に折り曲げられて密着していることを特徴とする。見付面11は細く、強度も高い。また、部品点数が少なく、溶接も必要がないので、製造コストは低いという利点がある、とされる。
【0003】
また、特許文献2(特開2011-168958)に記載のドア枠構造は、室外側部位について言うと、板材を山折り状に折り曲げて密着させることで突片44、54を形成し、先端の折り曲げ部が第2見付部440、540となる。突片44、54の基端側において、密着された板材の一方を突片44、54に対して直角状に折り曲げて第1見付部43、53が形成され、密着された板材の他方を突片44、54に対して第1見付部43、53と反対側に直角状に折り曲げて底片45、55が形成される、と説明される(段落0032)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登実3144289号公報
【特許文献2】特開2011-168958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の扉の取付け枠構造は、極めて薄い扉枠を扉の辺に沿って露出させるために枠板材を多段階に折り曲げて複雑な構造を形成しており、ヒンジ部品やラッチ受け具といった、扉の収容構造を収容できず、吊りヒンジ構成にすることができないものであった。また、枠板材や枠構造に複雑な凹凸部を有するために枠構造自体の強度を維持することができないものであった。
【0006】
そこで本発明は、扉の取付け枠構造の構成によって極めて薄い扉枠でありながら収容構造との収まりがよく、かつ強度を維持することができる扉の取付け枠構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく下記の解決手段を講じている。
【0008】
〔1〕本発明の扉の取付け枠構造は、
扉の上辺と左辺と右辺の三方の枠棒である方形枠1,2,3を一体的に形成した組み材からなる三方函枠と、
ヒンジ6及びコンシーラー7を介してこの三方函枠の枠内に組み込まれる開き扉Dと、から構成されるものであって、
壁の下地材の枠開口に組み込まれて構成される。
前記三方函枠は、
開き扉Dの背面寄りのヒンジ側辺DR、開放側辺DO、上辺DUからなる三方辺に沿って、函板片を断面視にて方形部を含む閉じた図形に函状形成してなる断面方形の方形枠1,2,3を、各枠端部を部分切り欠きによって枠端同士を組み合わせ連結して、上枠及び左右枠からなる三方枠の棒状函枠を一体的に形成すると共に、
前記三方函枠それぞれの、扉面中央寄りの函板片123,223,323を、扉面の前方、及び後方へそれぞれ延長形成した一枚の延長板片によって構成し、
当該延長板片の延長部によって、扉の正面の三方露出枠11,21,31、扉の背面の三方露出枠13,23,33、を三方に連なるように形成し、
かつ、
正面の三方露出枠11,21,31と背面の三方露出枠13,23,33をそれぞれ、”前後共通の一枚板片を折重ねた折返し部31、33”の、折り重ねによる外屈曲面によって構成し、
正面の三方露出枠11,21,31の外屈曲面のみが壁の正面仕上げ材である表ボードB11の仕上げ面よりも正面側に突出し、かつ、背面の三方露出枠13,23,33の外屈曲面のみが壁の背面仕上げ材である裏ボードB3の仕上げ面よりも背面側に突出し、
これらを除く三方函枠の方形枠の構成部分が、壁の下地材に固定されると共に、仕上げ材である表ボード、裏ボードに隠されることを特徴とする。
【0009】
〔2〕前記いずれか記載の扉の取付け枠構造において、
前記三方函枠は、断面函状を構成する、扉周囲の壁面と平行な正面の函板面と、背面の函板面とを有し、正面の函板面または背面の函板面の少なくともいずれかに扉背面側の壁ボードB12,B13が貼り付けられることで当該函板面が壁内に隠蔽され、
前記延長板片の前後の延長部に形成された、扉の正背面の三方露出枠が、前記壁ボードB12,B13の仕上げ面よりも突出して露出仕上げされると共に、
前後の延長部のうち少なくとも何れかの延長部の延長端が、扉面の中央寄りと反対の扉外方へ屈曲して折り重ねられると共に前記正面ないし背面の函板面と先端当接し、この当接部にて函板面と延長端とが少なくとも部分的に固着されることで、函枠が補強されることを特徴とする。
【0010】
例えば
図5に示すような上部の函枠においては、固着部33Bが延長端33Eにて延長板片の延長部が内側ではなく外側へ折り重ねられ、折り重ねられた端片が函板面323の外面と接して外角部を形成し、この外角部にて例えば溶接部33Bによって溶接固着されることで函枠自体が補強され、折り曲げ状態を維持することができる。
【0011】
また、例えば
図6に示すようなヒンジ側部の函枠においては、ヒンジ側の背面の延長部が外側に折り重ねられてその先端が函枠120の函背面と当接し、溶接部13Bによって固着されて補強される。
【0012】
また例えば
図6に示すような開放側部の函枠においては、正面及び背面の延長部がいずれも外側に折り重ねられてその先端が函枠220Aの函正面、220Bの函背面とそれぞれ当接し、このうち背面部が溶接部によって部分固着されて補強される。
【0013】
〔3〕前記いずれか記載の扉の取付け枠構造において、
前記壁内の三方函枠が、函板片を方形函状断面または変形函状断面に構成した函筒または変形函筒構造からなり、この函筒または変形函筒構造の扉中央寄りの部分を構成する一辺の枠板片が、正面側及び背面側に延長部を有した一枚の延長板片からなり、
この延長板片が、前記函筒または変形函筒構造の扉中央寄り以外の部分と面当接又は辺当接で重合一体化された重合構造によって一体構成されることを特徴とする。
【0014】
例えば
図5に示すように、上函枠は正面側の函枠面321と屈曲した延長板片とが正面側にて面重合し、これにより函枠が補強されてなる。
【0015】
〔4〕前記いずれか記載の扉の取付け枠構造において、
前記三方函枠は、上部函枠と、ヒンジ側部函枠と、開放側部函枠から構成され、
上部函枠、ヒンジ側部函枠、及び開放側部函枠はそれぞれ、開き扉の上辺に沿う扉背面の上部分、開き扉のヒンジ側辺に沿う扉背面の側部分、及び開き扉の開放側辺に沿う扉背面の側部分をそれぞれ背面側から部分的に覆った閉扉状態となると共に、
上部函枠及びヒンジ側部函枠には、開き扉の正面上辺、ヒンジ側辺、及び開放側辺を囲う、前方突出構造がそれぞれ扉上面、扉側面との隙間を設けて形成され、
これら前方突出構造に、開き扉を開閉可能に繋ぐ吊りヒンジ部品、及び、開き扉のラッチ錠を受けるラッチ受け部品が設けられることを特徴とする。
【0016】
函枠の前方に前方突出構造を一体的に設け、この前方突出構造に吊りヒンジ部品やラッチ受け部品を設けることで、コンパクトな構造でありながら吊りヒンジ構造による扉の枠構造を形成することができる。
【0017】
特に後述の実施例では、上部の吊りヒンジ部品を上部函枠の外部に函枠からの延長板を介して設け、下部の吊りヒンジ部品を側部函枠の外部に函枠からの延長板を介して設け、ラッチ受け部品を側部の函枠の前方に一体的に設けた部分函枠内に収容して設けている。
【0018】
なお実施例の上函枠においては箱枠の高さ方向中央部寄りの正面函面に水平な上部の露出枠を屈曲形成すると共に、函上面板を正面側に延長した延長部34を形成している。この上部露出枠31と延長部34とを、前方へ並行形成し、かつ、延長部34の延長端を、正面の仕上げボードB11の背面位置に設定することで、仕上げボードB11の貼り付け代となっている。
【0019】
〔5〕前記いずれか記載の扉の取付け枠構造において、
前記三方函枠の背面の函板面には、前記函筒または変形函筒構造から三方外方へそれぞれ張り出した三方羽根状板がさらに設けられ、
三方羽根状板の一部が、周囲の壁下地材に面固定されてなることで、三方函枠が壁内に固定される。
【発明の効果】
【0020】
上記手段を講じることで、扉の取付け枠構造の構成によって極めて薄い扉枠でありながら収容構造との収まりがよく、かつ強度を維持することができる扉の取付け枠構造を提供するものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1の扉の取付け枠構造を壁下地材と共に示す斜視図
【
図2】
図1の扉の取付け枠構造を分解して示す分解斜視図。
【
図3】
図1の扉の取付け枠構造の三方函枠を壁下地材と共に示す分解斜視図。
【
図4】
図1の扉の取付け枠構造のA-A側面断面図(中間部省略)。
【
図5】
図4のBB-BB部において、吊りヒンジを追記した部分拡大断面図。
【
図6】
図1の扉の取付け枠構造のB-B平面断面図(中間部省略)。
【
図7】
図2の扉の取付け枠構造を壁仕上げ材と共に示す正面図(a)及び背面図(b)。
【
図8】
図7のC-C部、D-D部の部分拡大図(a0)(b0)及び部分透視図(a1)(b1)。
【
図9】
図7(a)(b)それぞれの右側面拡大図(a)(b)(いずれも中間部省略)。
【
図10】
図7(a)の平面拡大図(a)及び底面拡大図(b)。
【
図11】本発明の実施例2の扉の取付け枠構造を壁下地材と共に示す斜視図。
【
図12】
図11の扉の取付け枠構造を分解して示す分解斜視図。
【
図13】
図11の扉の取付け枠構造の三方函枠を壁下地材と共に示す分解斜視図。
【
図14】
図11の扉の取付け枠構造を壁仕上げ材と共に示す正面図(a)及び背面図(b)。
【
図15】実施例2の三方函枠の正面図(a)右側面図(c)及び背面図(b)。
【
図16】実施例2の三方函枠の平面図(a)及び
図15のE-E平面断面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態例について
図1~10とともに説明する。但し、図示内及び以下の用語に続けて記載し、或いは図面内に引き出し指示する文字列ないし数字列は、構成を示すための便宜的に付された符号であってそれ自体に構成を限定するものではない。上記記載中の各符号についても便宜的に付されたものであって、それ自体によって構成を限定するものではない。
【0023】
〔1〕本発明の扉の取付け枠構造は、
開き扉Dの背面寄りのヒンジ側辺DR、開放側辺DO、上辺DUからなる三方辺に沿って、函板片を断面視にて方形部を含む閉じた図形に函状形成してなる方形枠1,2,3を、各枠端部を部分切り欠きによって枠端同士を組み合わせ連結して、三方函枠を一体的に形成すると共に、
前記三方函枠それぞれの、扉面中央寄りの函板片123,223,323を、扉面の前方、及び後方へそれぞれ延長形成した一枚の延長板片によって構成し、当該延長板片の延長部によって、扉の正面の三方露出枠11,21,31、扉の背面の三方露出枠13,23,33、を三方連なるように、端部を部分的に切り欠いて組合せ、連結形成した。
【0024】
正面の三方露出枠11,21,31と背面の三方露出枠13,23,33を、それぞれ前後共通の一枚板片を、ヒンジ側面を除いて全て外側へ折重ねた折返し延長部の外屈曲面によって構成した。また、ヒンジ側面飲み、内側へ折り重ねた折返し延長部の外屈曲面によって構成し、扉の側辺、上辺に沿ってわずかなすき間を設けた三方露出枠を形成した。
【0025】
〔2〕前記いずれか記載の扉の取付け枠構造において、
前記三方函枠は、断面函状を構成する、扉周囲の壁面と平行な正面の函板面と、背面の函板面とを有し、正面の函板面または背面の函板面の少なくともいずれかに扉背面側の壁ボードB12,B13が貼り付けられることで当該函板面が壁内に隠蔽され、
前記延長板片の前後の延長部に形成された、扉の正背面の三方露出枠が、前記壁ボードB12,B13の仕上げ面よりも突出して露出仕上げされるように形成した。
【0026】
前記前後の延長部のうち少なくとも何れかの延長部の延長端が、扉面の中央寄りと反対の扉外方へ屈曲して折り重ねられると共に前記正面ないし背面の函板面と先端当接し、この当接部にて函板面と延長端とが少なくとも部分的に固着されることで、函枠が補強されることを特徴とする。
【0027】
例えば
図5に示すような上部の函枠においては、固着部33Bが延長端33Eにて延長板片の延長部が内側ではなく外側へ折り重ねられ、折り重ねられた端片が函板面323の外面と接して外角部を形成し、この外角部にて例えば溶接部33Bによって溶接固着されることで函枠自体が補強され、折り曲げ状態を維持することができる。
【0028】
また、例えば
図6に示すようなヒンジ側部の函枠においては、ヒンジ側の背面の延長部が外側に折り重ねられてその先端が函枠120の函背面と当接し、溶接部13Bによって固着されて補強される。
【0029】
また例えば
図6に示すような開放側部の函枠においては、正面及び背面の延長部がいずれも外側に折り重ねられてその先端が函枠220Aの函正面、220Bの函背面とそれぞれ当接し、このうち背面部が溶接部によって部分固着されて補強される。
【0030】
〔3〕前記いずれか記載の扉の取付け枠構造において、
前記壁内の三方函枠が、函板片を方形函状断面または変形函状断面に構成した函筒または変形函筒構造からなり、この函筒または変形函筒構造の扉中央寄りの部分を構成する一辺の枠板片が、正面側及び背面側に延長部を有した一枚の延長板片からなり、
この延長板片が、前記函筒または変形函筒構造の扉中央寄り以外の部分と面当接又は辺当接で重合一体化された重合構造によって一体構成されることを特徴とする。
【0031】
例えば
図5に示すように、上函枠は正面側の函枠面321と屈曲した延長板片とが正面側にて面重合し、これにより函枠が補強されてなる。
【0032】
〔4〕前記いずれか記載の扉の取付け枠構造において、
前記三方函枠は、上部函枠と、ヒンジ側部函枠と、開放側部函枠から構成され、
上部函枠、ヒンジ側部函枠、及び開放側部函枠はそれぞれ、開き扉の上辺に沿う扉背面の上部分、開き扉のヒンジ側辺に沿う扉背面の側部分、及び開き扉の開放側辺に沿う扉背面の側部分をそれぞれ背面側から部分的に覆った閉扉状態となると共に、
上部函枠及びヒンジ側部函枠には、開き扉の正面上辺、ヒンジ側辺、及び開放側辺を囲う、前方突出構造がそれぞれ扉上面、扉側面との隙間を設けて形成され、
これら前方突出構造に、開き扉を開閉可能に繋ぐ吊りヒンジ部品、及び、開き扉のラッチ錠を受けるラッチ受け部品が設けられることを特徴とする。
【0033】
函枠の前方に前方突出構造を一体的に設け、この前方突出構造に吊りヒンジ部品やラッチ受け部品を設けることで、コンパクトな構造でありながら吊りヒンジ構造による扉の枠構造を形成することができる。
【0034】
実施例では、上部の吊りヒンジ部品を上部函枠の外部に函枠からの延長板を介して設け、下部の吊りヒンジ部品を側部函枠の外部に函枠からの延長板を介して設け、ラッチ受け部品を側部の函枠の前方に一体的に設けた部分函枠内に収容して設けている。
【0035】
なお実施例の上函枠においては箱枠の高さ方向中央部寄りの正面函面に水平な上部の露出枠を屈曲形成すると共に、函上面板を正面側に延長した延長部34を形成している。この上部露出枠31と延長部34とを、前方へ並行形成し、かつ、延長部34の延長端を、正面の仕上げボードB11の背面位置に設定することで、仕上げボードB11の貼り付け代となっている。
【0036】
〔5〕前記いずれか記載の扉の取付け枠構造において、
前記三方函枠の背面の函板面には、前記函筒または変形函筒構造から三方外方へそれぞれ張り出した三方羽根状板がさらに設けられ、
三方羽根状板の一部が、周囲の壁下地材に面固定されてなることで、三方函枠が壁内に固定される。
【0037】
前記壁内の三方函枠が、函板片を方形函状断面または変形函状断面に構成した函筒または変形函筒構造からなり、この函筒または変形函筒構造の扉中央寄りの部分を構成する一辺の枠板片が、正面側及び背面側に延長部を有した一枚の延長板片からなり、
この延長板片が、前記函筒または変形函筒構造の扉中央寄り以外の部分と面当接又は辺当接で重合一体化された重合構造によって一体構成される。
【0038】
(三方函枠)
三方函枠は、上部函枠と、ヒンジ側部函枠と、開放側部函枠から構成され、
上部函枠、ヒンジ側部函枠、及び開放側部函枠はそれぞれ、開き扉の上辺に沿う扉背面の上部分、開き扉のヒンジ側辺に沿う扉背面の側部分、及び開き扉の開放側辺に沿う扉背面の側部分をそれぞれ背面側から部分的に覆った閉扉状態となると共に、
上部函枠及びヒンジ側部函枠には、開き扉の正面上辺、ヒンジ側辺、及び開放側辺を囲う、前方突出構造がそれぞれ扉上面、扉側面との隙間を設けて形成され、
これら前方突出構造に、開き扉を開閉可能に繋ぐ吊りヒンジ部品6(軸6A,軸ピン61,プレート62)、及び、開き扉DRのラッチ錠8を受けるラッチ受け部品が設けられる。
【0039】
三方函枠の連結部は、
図6~
図10に示すように、正面側の露出枠の長さ、すなわち扉の高さ、幅に合わせた函枠を設けて三方の露出枠を連続形成すると共に、背部側にて、その一部を露出枠と共にL字型に切り欠いて、背面側でも三方の露出枠を連続形成するようにしている。具体的には、
図6の2CL,3CLに示す、壁厚さ中央のラインを切り欠きラインとして方形の函枠の厚さ方向過半部以上を含む後部と、それ以外の前部とで切り欠き構成した函筒端同士を組み合わせて連結構成している。
【0040】
三方枠のうち上枠は、
図4,5に示すように、正面から背面側までを亘ると共に両端が折り重ねられて折り返し部31,33を形成した、断面視カギ状に屈曲形成された一枚板片と、このカギ状の一枚板片の縦方向の屈曲面に当接した、断面視倒立L字状の第一L字板321と、一枚板片の背面側の端部の折り返し部33の折り返し端に垂直調節し、かつ前記第一L字板321の水平面に面当接した、断面視倒立L字状の第二L字板323と、から構成される。第一L字板321と第二L字板の水平面は面当接部が互いに接着され、面の正面端部342,341が正面側の内部ボードB12の下端を支えると共に正面の表ボードB11の背面を支える。また第二L字板323の下端と背面の折り返し部33の折り返し端は溶接部33Bによって溶接される。
【0041】
(三方羽根状板41,42,43)
実施例1の三方函枠の背面の函板面には、前記函筒または変形函筒構造から三方外方へそれぞれ張り出した三方羽根状板41,42,43がさらに設けられ、
三方羽根状板の一部が、各ビス穴にて背面方向からのビス止めによって周囲の壁下地材に面固定される(
図7、
図8)。
【0042】
図13は実施例2の下地枠に三方枠が固定された状態を示す。実施例2の下地枠は、縦フレームP1,P2及びその内側の縦アングルA1,A2が、床面のライナーL1の上に立設して左右の枠空間を構成すると共に、上部の三本の縦フレームP3と横アングルA3が、上部の枠空間を構成する。
【0043】
実施例2の三方函枠の背面の函板面には、前記函筒または変形函筒構造から三方外方へそれぞれ張り出した断面三角形の凸条F1,F2,F3が3個~5個、等間隔に設けられ、
各凸条が、スポット溶接によって周囲の壁下地材のチャンネルC1,C2,C3に固定される(
図13、
図16)。
【0044】
本発明は上記のほか、以下の特徴を有する。
【0045】
1、扉枠の正背面にて、外方へ折重ねた折り重ね構造の扉枠板を、正面にて扉辺近傍に沿って形成し、しかもそのすき間が左7mm、右5mm、上5mm、下9mmのように、いずれも10mm未満の極めて小さいすき間となっている。
【0046】
2、扉枠片を内延長した函筒構造が扉裏部に三方(上辺+左右辺の三方向)へ枠形成され、函枠内に吊りヒンジを内蔵した吊り扉を構成して突出ヒンジ部を有さずに形成される。
【0047】
3、正面壁の壁ボードは、厚手の壁ボードと、表面仕上げ用のケイカル板からなる壁ボードとを段差構造にして二重構成することで、上函枠の断面コ字状/側部函枠のロ字状の函筒がそれぞれボード面に当接するようにして、当接代を形成している。
【0048】
4.三方一体型の羽根板(張り出し板)によって軽量鉄骨下地に正背面方向からビス連結するようにし、溶接なしで三方函枠を壁内に固定することができる。
【0049】
5、正背面の三方露出枠を、一枚板片を折重ねた折返し端面(外曲面)によって構成し、折り返し先の延長端部を、箱面と当接させて外角部を形成し、スポット溶接によって部分固着した(強度確保)。
【0050】
6、背部の折返し一枚板片の延長先を一辺とする函筒/変形函筒構造で三方枠化するだけでなく、函筒の方形中空体の前方に、水平板又は部分変形函筒からなる前方突出部を突出形成し、この前方突出部にヒンジ部品、コンシーラー部品、ラッチ受け部品などの付属品を設けた。
【0051】
7、正面壁を内部9.5tボードと外部3tケイカルボードで重ね合わせた段差構造とし、それぞれを表部の折返し一枚板片と、前方突出部である函筒辺延長片、または部分変形函筒の外函面に各々突合わせたことで、収まりを確保した。
【0052】
8、前記函筒/変形函筒構造の三方外方から張り出した羽根状板を、一体の「コ字状」板で形成し、三方函枠と別の構成として一体的に設け、羽根状板によって周囲の下地材に正背面方向から交換可能に固定した。
【0053】
その他、本発明は上記の実施形態に限らず種々の変形が可能である。要素ごとの組合せ、一部要素の抽出、部品ごとへの分解構成或いは一体構成も可能である。
【符号の説明】
【0054】
D 開き扉
DU 扉上辺
DR ヒンジ側辺
DO 開放側辺
1 ヒンジ側部方形枠(三方函枠)
2 開放側部方形枠(三方函枠)
3 上部方形枠(三方函枠)
11,21,31 函板片の延長部(正面の三方露出枠)
13,23,33 函板片の延長部(背面の三方露出枠)
321 正面の函板面
323 背面の函板面
B11,B12,B13 壁ボード
L1 ,L2,C1 壁下地材