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特開2024-166207代謝及び肝臓障害の処置のための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166207
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】代謝及び肝臓障害の処置のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20241121BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20241121BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241121BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
A61K47/54
A61P1/16
A61P13/12
A61P43/00 111
A61P3/00
A61P9/10 101
A61P3/10
A61P3/06
A61P3/04
A61P43/00 105
C07K14/605
C12N15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】36
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024143170
(22)【出願日】2024-08-23
(62)【分割の表示】P 2023544129の分割
【原出願日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】63/139,676
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519096068
【氏名又は名称】バイキング・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・リアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・イー・バーカー
(72)【発明者】
【氏名】カデル・ヤギズ
(72)【発明者】
【氏名】モウリーン・バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】アーランド・スティーヴンズ
(57)【要約】
【課題】脂肪性肝臓疾患並びに他の疾患及び障害を処置するために使用することができる新規なGIP/GLP1デュアルアゴニスト化合物を提供すること。
【解決手段】式Iの構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩
[式中、
R1は、-C(=O)(OZ1)、-P(=O)(X)(Y)、並びにハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、-OR5、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルから独立して選択される1~2個のR7で任意選択により置換されているN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され;
R2は、-C(=O)(OZ2)、-P(=O)(X)(Y)、並びにハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、-OR5、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルから独立して選択される1~2個のR7で任意選択により置換されているN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され;
各R7は、ハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルからなる群から独立して選択され;
X及びYは各々、-OR4、NR5R6、C1~6アルキル及びハロC1~6アルキルからなる群から独立して選択され;
各R4は、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C6~10アリール及びC6~10アリールアルキルからなる群から独立して選択され;
各R5は独立して、水素又はC1~6アルキルであり;
各R6は独立して、水素又はC1~6アルキルであり;
Z1及びZ2は各々、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、及び(C6~10アリール)C1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
Z1及びZ2の少なくとも1つは水素でない]であって、
以下の構造:
【化2】
を有する化合物ではない、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Z1及びZ2が、各々、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C3~10シクロアルキル、及びC6~10アリールからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Z1及びZ2が、各々、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、及び(C6~10アリール)C1~6アルキルからなる群から独立して選択され;
X及びYが、各々、-OR4、NR5R6、C1~6アルキル、及びハロC1~6アルキルからなる群から独立して選択され;
各R4は、水素、C1~6アルキル、及びハロC1~6アルキルからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Z1及びZ2が、各々、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C3~10シクロアルキル、及びC6~10アリールからなる群から独立して選択され;
X及びYが、各々、-OR4、NR5R6、C1~6アルキル、及びハロC1~6アルキルからなる群から独立して選択され;
各R4は、水素、C1~6アルキル、及びハロC1~6アルキルからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式I-a:
【化3】
の構造を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Z1が、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C3~10シクロアルキル及びC6~10アリールからなる群から選択され;
X及びYは各々、-OR4である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Z1が、水素、ハロC1~6アルキル及びC1~6アルキルからなる群から選択され;
各R4が独立して、水素、C6~10アリール及びC6~10アリールアルキルからなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
Z1が水素であり、X及びYは各々、-OR4であり、各R4が独立して水素又はC6~10アリールアルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
X及びYは各々、-OR4であり、各R4が水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
式I-b:
【化4】
の構造を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
Z2が、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C3~10シクロアルキル及びC6~10アリールからなる群から選択され;X及びYが各々、-OR4である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Z2が、水素、ハロC1~6アルキル、及びC1~6アルキルからなる群から選択され;
X及びYが各々、-OR4であり;
各R4が独立して、水素、C6~10アリール及びC6~10アリールアルキルからなる群から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
Z2が水素であり、X及びYが各々、-OR4であり、各R4が水素又はC6~10アリールアルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
X及びYが各々、-OR4であり、各R4が水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
式I-c:
【化5】
の構造を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
X及びYが各々、-OR4である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
X及びYが各々、-OR4であり、各R4が、水素、C6~10アリール及びC6~10アリールアルキルからなる群から独立して選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
【化6A】
【化6B】
【化6C】
からなる群から選択される化合物、及びその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
*」が、「S」立体配置を有するキラル炭素を示す、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
*」が、「R」立体配置を有するキラル炭素を示す、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
対象における1つ又は複数の脂肪性肝臓疾患を防止する、処置する又は軽快させる方法に使用するための、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
前記脂肪性肝臓疾患が、脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎及び非アルコール性脂肪性肝臓疾患からなる群から選択される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記化合物の投与が、線維症、線維性状態又は線維性症状の防止、処置又は軽快をもたらす、請求項21に記載の使用。
【請求項24】
前記化合物の投与が、前記対象の1つ又は複数の組織中に存在する細胞外マトリックスタンパク質の量の低減をもたらす、請求項21に記載の使用。
【請求項25】
前記化合物の投与が、前記対象の1つ又は複数の組織中に存在するコラーゲンの量の低減をもたらす、請求項21に記載の使用。
【請求項26】
前記化合物の投与が、前記対象の1つ又は複数の組織中に存在するI型、Ia型又はIII型コラーゲンの量の低減をもたらす、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、対象における1つ又は複数の疾患又は障害を防止する、処置する又は軽快させる方法に使用するための医薬組成物であって、前記疾患又は障害が、肝臓線維症、腎線維症、胆管線維症、膵線維症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝臓疾患、慢性腎臓疾患、糖尿病性腎臓疾患、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、又は特発性線維症から選択される、医薬組成物。
【請求項28】
前記疾患又は障害が、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝臓疾患、慢性腎臓疾患、糖尿病性腎臓疾患、原発性硬化性胆管炎又は原発性胆汁性肝硬変である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
化合物が、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体を活性化する、請求項22に記載の使用。
【請求項30】
化合物が、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を活性化する、請求項22に記載の使用。
【請求項31】
化合物が、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体及びグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を活性化する、請求項22に記載の使用。
【請求項32】
対象が哺乳動物である、請求項22に記載の使用。
【請求項33】
対象がヒトである、請求項22に記載の使用。
【請求項34】
化合物が、経腸、静脈内、経口、関節内、筋肉内、皮下、腹腔内、硬膜外、経皮、又は経粘膜投与のために製剤化されている、請求項22に記載の使用。
【請求項35】
請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、対象における1つ又は複数の疾患又は障害を防止する、処置する又は軽快させる方法に使用するための医薬組成物であって、前記疾患又は障害が、代謝障害又はメタボリック症候群である、医薬組成物。
【請求項36】
前記疾患又は障害が、アテローム動脈硬化症、糖尿病、高血糖性糖尿病、2型真性糖尿病、脂質異常症、高コレステロール血症、高脂質血症、肥満、又はプラダー-ウィリー症候群である、請求項35に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年1月20日に出願された米国仮出願第63/139,676号の利益を主張し、これは参照によりそれ全体で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、代謝障害及び脂肪性肝臓疾患のための処置の分野に関する。より具体的には、本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)の処置のための小分子薬物の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
インクレチンペプチドグルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)及びグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、代謝性ホルモンである。GIP及びGLP-1は、両方とも、栄養素経口摂取の数分内に分泌され、経口摂取された栄養素の速やかな処理を容易にする。両方のペプチドは、構造的に別個であるが関連した受容体を介して作用する島β細胞に対して共通の作用を共有する。インクレチン受容体活性化は、グルコース依存性インスリン分泌、β細胞増殖の誘発、及びアポトーシスに対する耐性の増強に至る。GIPは、その上、脂肪組織に対する直接作用を介してエネルギー貯蔵を促進する。対照的に、GLP-1は、胃排出の減速及びグルカゴン分泌のグルコース依存性阻害を介して糖調節作用を発揮する。GLP-1は、その上、満腹を促進し、持続性のGLP-1受容体活性化は、前臨床及び臨床研究の両方において体重損失と関連する。
【0004】
非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)は、メタボリック症候群の肝臓徴候であり、慢性肝臓疾患の最も共通の原因である。NAFLDは、肝臓炎症、線維症、硬変及び更に肝細胞癌腫に進行し得る。GIP/GLP-1デュアル受容体アゴニストは、NAFLD、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、糖尿病、肥満、及び他の疾患を処置するために開発された。しかしながら、GIP/GLP-1デュアル受容体アゴニストの使用は、吐き気、嘔吐、及び/又は下痢と関連する。例えば、GIP/GLP1デュアル受容体アゴニスト化合物の臨床試験は、高用量での忍容性が胃腸有害事象によって制限されたことを見出した。胃腸有害事象と関連する用量制限は、所望の有効用量への投薬を妨げることがあり、処置に対する患者コンプライアンスを損なうことがあり、処置レジメンの有効性を制限することがある。そのため、脂肪性肝臓疾患並びに他の疾患及び障害を処置するために使用することができる新規なGIP/GLP1デュアルアゴニスト化合物の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 87/05297、Johnstonら、9月11日公表、1987
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Travis S. Young及びPeter G. Schultz、「Beyond the Canonical 20 Amino Acids: Expanding the Genetic Lexicon」、J. Biol. Chem. 2010 285: 11039~11044頁
【非特許文献2】Gilmanら(編集) (1990); Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Press
【非特許文献3】Protective Groups in Organic Chemistry (編集J.F.W. McOmie、Plenum Press、1973)
【非特許文献4】P.G.M. Green、T.W. Wutts、Protecting Groups in Organic Synthesis (第3版) Wiley、New York (1999)
【非特許文献5】R. Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers、1989
【非特許文献6】L. Paquette、編集、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons、1995
【非特許文献7】Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、1~15巻(John Wiley、and Sons、1991)
【非特許文献8】Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、1~5巻
【非特許文献9】Supplementals (Elsevier Science Publishers、1989)
【非特許文献10】Organic Reactions、1~40巻(John Wiley、and Sons、1991)
【非特許文献11】March's Advanced Organic Chemistry、(John Wiley、and Sons、第5版、2001)
【非特許文献12】Larock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc.、1989)
【非特許文献13】Remington's The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams & Wilkins (2005)
【非特許文献14】Modern Pharmaceutics、第4版、9章及び10章(Banker & Rhodes版、2002)
【非特許文献15】Liebermanら、Pharmaceutical Dosage Forms; Tablets (1989)
【非特許文献16】Ansel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 第8版(2004)
【非特許文献17】Powellら、Compendium of Excipients for Parenteral Formulations、PDA J Pharm Sci and Tech 1998、52 238~311頁
【非特許文献18】Nemaら、Excipients and Their Role in Approved Injectable Products: Current Usage and Future Directions、PDA J Pharm Sci and Tech 2011、65 287~332頁
【非特許文献19】March Advanced Organic Chemistry (Wiley)
【非特許文献20】Care及びSundberg、Advanced Organic Chemistry
【非特許文献21】T. Greene及びP. Wuts Protecting Groups in Organic Synthesis、第4版、John Wiley & Sons (2007)
【非特許文献22】Bolandら、World J Gastroenterol、2019、25(33):4904~4920頁
【非特許文献23】Lau, J.ら、J. Med. Chem. 2015、58、7370~7380頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において開示されている一部の実施形態としては、式I:
【0008】
【化1】
【0009】
の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩が挙げられ、式中、
R1は、-C(=O)(OZ1)、-P(=O)(X)(Y)、並びにハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、-OR5、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルから独立して選択される1~2個のR7で任意選択により置換されているN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され;
R2は、-C(=O)(OZ2)、-P(=O)(X)(Y)、並びにハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、-OR5、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルから独立して選択される1~2個のR7で任意選択により置換されているN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され;
各R7は、ハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルからなる群から独立して選択することができ;
X及びYは各々、-OR4、NR5R6、C1~6アルキル及びハロC1~6アルキルからなる群から独立して選択することができ、;
各R4は、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C6~10アリールオキシ及びC6~10アリールアルコキシからなる群から独立して選択することができ;
各R5は独立して、水素又はC1~6アルキルであってよく;
各R6は独立して、水素又はC1~6アルキルであってよく;
Z1及びZ2は各々、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル及びC6~10アリールからなる群から独立して選択することができ、
ただし、Z1及びZ2の少なくとも1つは水素でないという条件である。
【0010】
本明細書において開示されている他の実施形態としては、本明細書において開示されている化合物の治療有効量及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が挙げられる。
【0011】
本明細書において開示されている他の実施形態としては、本明細書において開示されている化合物、又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することによって、対象における1つ又は複数の脂肪性肝臓疾患を防止する、処置する又は軽快させる方法が挙げられる。脂肪性肝臓疾患としては、以下に限定されないが、脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)が挙げられる。
【0012】
本明細書において開示されている他の実施形態としては、本明細書において開示されている化合物、又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することによって、対象における1つ又は複数の疾患又は障害を防止する、処置する又は軽快させる方法が挙げられる。一部の実施形態において、前記疾患又は障害は、肝臓線維症、腎線維症、胆管線維症、膵線維症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝臓疾患、慢性腎臓疾患、糖尿病性腎臓疾患、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、又は特発性線維症である。一部の実施形態において、前記疾患又は障害は、代謝障害又はメタボリック症候群である。一部の実施形態において、前記疾患又は障害は、アテローム動脈硬化症、糖尿病、高血糖性糖尿病、2型真性糖尿病、脂質異常症、高コレステロール血症、高脂質血症、高血圧症、低血糖、肥満、又はプラダー-ウィリー症候群である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一部の実施形態において、GIP/GLP-1デュアル受容体アゴニストとしてとして作用する、非大環状官能化ペプチドである化合物が提供される。これらの化合物の各種実施形態としては、上に記載されている通りの式Iの構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。式Iの構造は、以下の構造及びその混合物を含めて、全ての立体異性体及びラセミ混合物を包含する:
【0014】
【化2】
【0015】
式Iの化合物の一部の実施形態において:
R1は、-C(=O)(OZ1)、-P(=O)(X)(Y)、並びにハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、-OR5、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルから独立して選択される1~2個のR7で任意選択により置換されているN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され;
R2は、-C(=O)(OZ2)、-P(=O)(X)(Y)、並びにハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、-OR5、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルから独立して選択される1~2個のR7で任意選択により置換されているN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され;
各R7は、ハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール及び5~10員のヘテロシクリルからなる群から独立して選択することができ;
X及びYは各々、-OR4、NR5R6、C1~6アルキル及びハロC1~6アルキルからなる群から独立して選択することができ;
各R4は、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C6~10アリールオキシ及びC6~10アリールアルコキシからなる群から独立して選択することができ;
各R5は独立して、水素又はC1~6アルキルであってよく;
各R6は独立して、水素又はC1~6アルキルであってよく;
Z1及びZ2は各々、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル及びC6~10アリールからなる群から独立して選択することができ、
ただし、Z1及びZ2の少なくとも1つは水素でないという条件である。
【0016】
式Iの化合物の一部の実施形態としては、式I-a:
【0017】
【化3】
【0018】
の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0019】
式I-aの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;Z1は、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル及びC6~10アリールから選択され;X及びYは各々、-OR4である。
【0020】
式I-aの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;Z1は、水素、ハロC1~6アルコキシ及びC1~6アルコキシから選択され;各R4は、水素、C6~10アリールオキシ及びC6~10アリールアルコキシから独立して選択することができる。
【0021】
式I-aの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;Z1は水素であり、各R4は独立して、水素又はC6~10アリールアルコキシであってよい。
【0022】
式I-aの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;各R4は水素である。
【0023】
式I-aの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;Z1は水素であり、各R4は水素である。
【0024】
式Iの化合物の一部の実施形態としては、式I-b:
【0025】
【化4】
【0026】
の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0027】
式I-bの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;Z2は、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル及びC6~10アリールから選択され;X及びYは各々、-OR4である。
【0028】
式I-bの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;Z2は、水素、ハロC1~6アルコキシ及びC1~6アルコキシから選択され;各R4は、水素、C6~10アリールオキシ及びC6~10アリールアルコキシから独立して選択することができる。
【0029】
式I-bの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;Z2は水素であり、各R4は独立して、水素又はC6~10アリールアルコキシであってよい。
【0030】
式I-bの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;各R4は水素である。
【0031】
式I-bの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;Z2は水素であり、各R4は水素である。
【0032】
式Iの化合物の一部の実施形態としては、式I-c:
【0033】
【化5】
【0034】
の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0035】
式I-cの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;X及びYは各々、-OR4である。
【0036】
式I-cの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;各R4は、水素、C6~10アリールオキシ及びC6~10アリールアルコキシから独立して選択することができる。
【0037】
式I-cの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の一部の実施形態において;各R4は水素である。
【0038】
一部の実施形態としては:
【0039】
【化6A】
【0040】
【化6B】
【0041】
【化6C】
【0042】
【化6D】
【0043】
からなる群から選択される構造を有する化合物、及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0044】
一部の実施形態としては、「*」が「S」立体配置を有するキラル炭素を示す化合物が挙げられる。
【0045】
一部の実施形態としては、「*」が「R」立体配置を有するキラル炭素を示す化合物が挙げられる。
【0046】
本明細書において開示されている化合物が、少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それらは、ラセミ体を含めて、個々のエナンチオマー及びジアステレオマーとして又はこうした異性体の混合物として存在することができる。個々の異性体の分離又は個々の異性体の選択的合成は、当技術分野における実務者によく知られている様々な方法の適用によって達成される。別段に表示されていない限り、全てのこうした異性体及びその混合物は、本明細書において開示されている化合物の範疇に含まれる。更に、本明細書において開示されている化合物は、1つ又は複数の結晶性又は非晶質形態で存在することができる。別段に表示されていない限り、全てのこうした形態は、任意の多形形態を含めて、本明細書において開示されている化合物の範疇に含まれる。加えて、本明細書において開示されている化合物の一部は、水を用いる溶媒和物(即ち、水和物)又は共通の有機溶媒を形成することができる。別段に表示されていない限り、こうした溶媒和物は、本明細書において開示されている化合物の範疇に含まれる。
【0047】
熟練技術者は、本明細書に記載されている一部の構造が、動力学的にであっても、他の化学構造によって顕著に表すことができる化合物の共鳴形態又は互変異性体であり得ることを認識され;当業者は、こうした構造が、こうした化合物の試料の非常にごく一部を表すのみであり得ることを認識されよう。こうした化合物は、図示されている構造の範疇内であると考えられるが、こうした共鳴形態又は互変異性体は、本明細書において表されていない。
【0048】
定義
別段に定義されていない限り、本明細書において使用されている全ての技術的及び化学的用語は、この開示が属する当業者によって共通して理解されているのと同じ意味を有する。全ての特許、出願、公開された出願及び他の公報は、参照によりそれら全体が組み込まれる。本明細書における用語について複数の定義がある場合には、別段に明記されていない限り、このセクションにおけるものが優先される。
【0049】
「溶媒和物」は、溶媒と本明細書に記載されている化合物又はその塩との相互作用によって形成される化合物を指す。適当な溶媒和物は、水和物を含めて、薬学的に許容される溶媒和物である。
【0050】
「薬学的に許容される塩」という用語は、医薬品における使用のために生物学的に又はその他の点で望ましくないわけではない、化合物の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。多くの場合、本明細書における化合物は、アミノ基及び/若しくはカルボキシル基又はそれと同様の基の存在により、酸及び/又は塩基の塩を形成することができる。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸を形成することができる。塩が誘導され得る無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。塩が誘導され得る有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等が挙げられる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機及び有機の塩基を用いて形成することができる。塩が誘導され得る無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等が挙げられ;特に好ましいのは、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩である。塩が誘導され得る有機塩基としては、例えば、第1級、第2級及び第3級アミン、天然置換アミンを含めて置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等、具体的にはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びエタノールアミン等が挙げられる。多くのこうした塩は、WO 87/05297、Johnstonら、1987年9月11日公表(参照により本明細書にそれ全体が組み込まれる)に記載されている通り、当技術分野において知られている。
【0051】
本明細書で使用される場合、「a」及び「b」が整数である「CaからCb」又は「Ca~b」は、特定された基における炭素原子の数を指す。即ち、該基は、包含的な「a」個から「b」個の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1からC4アルキル」又は「C1~4アルキル」基は、1個から4個の炭素を有する全てのアルキル基、即ち、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-及び(CH3)3C-を指す。
【0052】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、本明細書で使用される場合、元素周期表の7列の放射性安定原子のいずれか1つ、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味し、フッ素及び塩素が好ましい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、完全に飽和されている(即ち、二重又は三重結合を含有しない)直鎖又は分岐の炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1個から20個の炭素原子を有することができる(それが本明細書において出現する場合は常に、「1から20」等の数値範囲は、所与の範囲における各整数を指し;例えば、「1個から20個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等、最大20個までの及びそれを含めた炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない場合も「アルキル」という用語の出現を包含する)。アルキル基は、1個から9個の炭素原子を有する中サイズのアルキルであってもよい。アルキル基は、1個から4個の炭素原子を有する低級アルキルでもあり得る。該化合物のアルキル基は、「C1~4アルキル」又は同様の名称として指定され得る。例のみとして、「C1~4アルキル」は、1個から4個の炭素原子がアルキル鎖中にあることを示し、即ち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル及びt-ブチルからなる群から選択される。典型的なアルキル基としては、以下に決して限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、1つ又は複数の水素をハロゲンで置換する、鎖中に1個から12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。ハロアルキル基の例としては、以下に限定されないが、-CF3、-CHF2、-CH2F、-CH2CF3、-CH2CHF2、-CH2CH2F、-CH2CH2Cl、-CH2CF2CF3、及び当技術分野における通常の技術及び本明細書において提供されている教示に照らして前述の例のいずれか1つと等価と考えられる他の基が挙げられる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、Rが上記で定義されている通りのアルキルである式-OR、例えば、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシ等を含めて、「C1~9アルコキシ」を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」は、式
【0057】
【化7】
【0058】
を指し、式中、nは、1より大きい整数であり、Rは、水素又はアルキルである。「n」という反復単位の数は、多数の員を指すことによって示すことができる。したがって、例えば、「2員~5員のポリエチレングリコール」は、2から5から選択される整数であるnを指す。一部の実施形態において、Rは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシから選択される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」は、鎖骨格中に1個又は複数のヘテロ原子を含有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖、即ち、以下に限定されないが、窒素、酸素及び硫黄を含めて、炭素以外の元素を指す。ヘテロアルキル基は、1個から20個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が指定されていない場合に「ヘテロアルキル」という用語の出現も包含する。ヘテロアルキル基は、1個から9個の炭素原子を有する中サイズのヘテロアルキルであってもよい。ヘテロアルキル基は、1個から4個の炭素原子を有する低級ヘテロアルキルでもあり得る。各種実施形態において、ヘテロアルキルは、1個から4個のヘテロ原子、1個から3個のヘテロ原子、1個若しくは2個のヘテロ原子、又は1個のヘテロ原子を有することができる。該化合物のヘテロアルキル基は、「C1~4ヘテロアルキル」又は同様の名称として指定され得る。ヘテロアルキル基は、1個又は複数のヘテロ原子を含有することができる。例のみとして、「C1~4ヘテロアルキル」は、ヘテロアルキル鎖中に1個から4個の炭素原子及び追加として該鎖の骨格中に1個又は複数のヘテロ原子があることを示す。
【0060】
「芳香族の」という用語は、共役パイ電子系を有する環又は環系を指し、炭素環式芳香族基(例えば、フェニル)及び複素環式芳香族基(例えば、ピリジン)の両方を含む。該用語は、単環式又は縮合環多環式(即ち、隣接する対の原子を共有する環)基を含むが、ただし、環系全体は芳香族であるという条件である。
【0061】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、環骨格中に炭素のみを含有する芳香族環又は環系(即ち、2個の隣接する炭素原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、該系中のあらゆる環は、芳香族である。アリール基は、6個から18個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が指定されていない場合に「アリール」という用語の出現も包含する。一部の実施形態において、アリール基は、6個から10個の炭素原子を有する。アリール基は、「C6~10アリール」、「C6又はC10アリール」、又は同様の名称として指定することができる。アリール基の例としては、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、アズレニル及びアントラセニルが挙げられる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」及び「アリールチオ」は、Rが上記で定義されている通りのアリールであるRO-及びRS-、例えば、以下に限定されないが、フェニルオキシを含めて、「C6~10アリールオキシ」又は「C6~10アリールチオ」等を指す。
【0063】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、置換基としてアルキレン基を介して接続されるアリール基、例えば、以下に限定されないが、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル及びナフチルアルキルを含めて、「C7~14アラルキル」等である。一部の場合において、アルキレン基は、低級アルキルレン基(即ち、C1~4アルキレン基)である。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、環骨格中に1個又は複数のヘテロ原子、即ち、以下に限定されないが、窒素、酸素及び硫黄を含めて炭素以外の元素を含有する芳香族環又は環系(即ち、2個の隣接する原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。ヘテロアリールが環系である場合、該系中のあらゆる環は、芳香族である。ヘテロアリール基は、5~18環員(即ち、炭素原子及びヘテロ原子を含めて、環骨格を構成する原子の数)を有することができるが、本定義は、数値範囲が指定されていない場合に「ヘテロアリール」という用語の出現も包含する。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は、5個から10個の環員、又は5個から7個の環員を有する。ヘテロアリール基は、「5員~7員のヘテロアリール」、「5員~10員のヘテロアリール」、又は同様の名称として指定することができる。各種実施形態において、ヘテロアリールは、1個から4個のヘテロ原子、1個から3個のヘテロ原子、1個から2個のヘテロ原子、又は1個のヘテロ原子を含有する。例えば、各種実施形態において、ヘテロアリールは、1個から4個の窒素原子、1個から3個の窒素原子、1個から2個の窒素原子、2個の窒素原子及び1個の硫黄原子若しくは酸素原子、1個の窒素原子及び1個の硫黄原子若しくは酸素原子、又は1個の硫黄原子若しくは酸素原子を含有する。ヘテロアリール環の例としては、以下に限定されないが、フリル、チエニル、フタラジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、イソインドリル及びベンゾチエニルが挙げられる。
【0065】
「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアリールアルキル」は、置換基としてアルキレン基を介して接続されるヘテロアリール基である。例としては、以下に限定されないが、2-チエニルメチル、3-チエニルメチル、フリルメチル、チエニルエチル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル及びイミダゾリルアルキルが挙げられる。一部の場合において、アルキレン基は、低級アルキルレン基(即ち、C1~4アルキレン基)である。
【0066】
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」は、環系骨格中に炭素原子のみを含有する非芳香族環式環又は環系を意味する。カルボシクリルが環系である場合、2つ以上の環は縮合、架橋又はスピロ接続様式で一緒に接合されていてよい。カルボシクリルは、任意の程度の飽和を有することができるが、ただし、該環系中の少なくとも1個の環が芳香族でないという条件である。したがって、カルボシクリルとしては、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルが挙げられる。カルボシクリル基は、3個から20個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が指定されていない場合に「カルボシクリル」という用語の出現も包含する。カルボシクリル基は、3個から10個の炭素原子を有する中サイズのカルボシクリルであってもよい。カルボシクリル基は、3個から6個の炭素原子を有するカルボシクリルでもあり得る。カルボシクリル基は、「C3~6カルボシクリル」又は同様の名称として指定することができる。カルボシクリル環の例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3-ジヒドロ-インデン、二環性[2.2.2]オクタニル、アダマンチル及びスピロ[4.4]ノナニルが挙げられる。
【0067】
「(カルボシクリル)アルキル」は、置換基としてアルキレン基を介して接続されるカルボシクリル基、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルブチル、シクロブチルエチル、シクロプロピルイソプロピル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル等を含めるが限定されない「C4-10(カルボシクリル)アルキル」等である。一部の場合において、アルキレン基は、低級アルキルレン基である。
【0068】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和されたカルボシクリル環又は環系を意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を有するカルボシクリル環又は環系を意味し、ここで、該環系中の環は芳香族でない。例は、シクロヘキセニルである。
【0070】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、環骨格に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する非芳香族環式環又は環系を意味する。ヘテロシクリルは、縮合、架橋又はスピロ接続様式で一緒に接合されていてよい。ヘテロシクリルは、任意の程度の飽和を有することができるが、ただし、該環系中の少なくとも1個の環が芳香族でないという条件である。ヘテロ原子は、該環系においる非芳香族環又は芳香族環のいずれか中に存在することができる。ヘテロシクリル基は、3個から20個の環員(即ち、炭素原子及びヘテロ原子を含めて、環骨格を構成する原子の数)を有することができるが、本定義は、数値範囲が指定されていない場合に「ヘテロシクリル」という用語の出現も包含する。ヘテロシクリル基は、3個から10個の環員を有する中サイズのヘテロシクリルであってもよい。ヘテロシクリル基は、3個から6個の環員を有するヘテロシクリルでもあり得る。ヘテロシクリル基は、「3員~6員のヘテロシクリル」又は同様の名称として指定することができる。
【0071】
各種実施形態において、ヘテロシクリルは、1個から4個のヘテロ原子、1個から3個のヘテロ原子、1個から2個のヘテロ原子、又は1個のヘテロ原子を含有する。例えば、各種実施形態において、ヘテロシクリルは、1個から4個の窒素原子、1個から3個の窒素原子、1個から2個の窒素原子、2個の窒素原子及び1個の硫黄原子若しくは酸素原子、1個の窒素原子及び1個の硫黄原子若しくは酸素原子、又は1個の硫黄若しくは酸素原子を含有する。好ましい6員の単環式ヘテロシクリルにおいて、ヘテロ原子は、1つから最大3つまでのO、N又はSから選択され、好ましい5員の単環式ヘテロシクリルにおいて、ヘテロ原子は、O、N又はSから選択される1個又は2個のヘテロ原子から選択される。ヘテロシクリル環の例としては、以下に限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、オキシラニル、オキセパニル、チエパニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジオキソピペラジニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピロリジオニル、4-ピペリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、1,3-ジオキシニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキシニル、1,4-ジオキサニル、1,3-オキサチアニル、1,4-オキサチイニル、1,4-オキサチアニル、2H-1,2-オキサジニル、トリオキサニル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジニル、1,3-ジオキソリル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオリル、1,3-ジチオラニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3-オキサチオラニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロ-1,4-チアジニル、チアモルホリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンズイミダゾリジニル及びテトラヒドロキノリンが挙げられる。
【0072】
「(ヘテロシクリル)アルキル」は、置換基としてアルキレン基を介して接続されるヘテロシクリル基である。例としては、以下に限定されないが、イミダゾリニルメチル及びインドリニルエチルが挙げられる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、-C(=O)Rを指し、ここで、Rは、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルである。非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル及びアクリルが挙げられる。
【0074】
「O-カルボキシ」基は、「-OC(=O)R」基を指し、ここで、Rは、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0075】
「C-カルボキシ」基は、「-C(=O)OR」基を指し、ここで、Rは、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。非限定的な例としては、カルボキシル(即ち、-C(=O)OH)が挙げられる。
【0076】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0077】
「シアナト」基は、「-OCN」基を指す。
【0078】
「イソシアナート」基は、「-NCO」基を指す。
【0079】
「チオシアナト」基は、「-SCN」基を指す。
【0080】
「イソチオシアナト」基は、「-NCS」基を指す。
【0081】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)R」基を指し、ここで、Rは、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0082】
「スルホニル」基は、「-SO2R」基を指し、ここで、Rは、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0083】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2NRARB」基を指し、ここで、RA及びRBは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0084】
「N-スルホンアミド」基は、「-N(RA)SO2RB」基を指し、ここで、RA及びRbは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0085】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)NRARB」基を指し、ここで、RA及びRBは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0086】
「N-カルバミル」基は、「-N(RA)OC(=O)RB」基を指し、ここで、RA及びRBは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0087】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)NRARB」基を指し、ここで、RA及びRBは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0088】
「N-チオカルバミル」基は、「-N(RA)OC(=S)RB」基を指し、ここで、RA及びRBは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0089】
「C-アミド」基は、「-C(=O)NRARB」基を指し、ここで、RA及びRBは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0090】
「N-アミド」基は、「-N(RA)C(=O)RB」基を指し、ここで、RA及びRBは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0091】
「アミノ」基は、「-NRARB」基を指し、ここで、RA及びRBは各々独立して、水素、本明細書において定義されている通りのC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5員~10員のヘテロアリール及び5員~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0092】
「アミノアルキル」基は、アルキレン基を介して接続されたアミノ基を指す。
【0093】
「アルコキシアルキル」基は、アルキレン基を介して接続されたアルコキシ基、例えば「C2~8アルコキシアルキル」等を指す。
【0094】
本明細書で使用される場合、「天然アミノ酸側鎖」は、天然発生アミノ酸の側鎖置換基を指す。天然発生アミノ酸は、α-炭素に結合している置換基を有する。天然発生アミノ酸としては、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、メチオニン、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリン、プロリン及びグリシンが挙げられる。
【0095】
本明細書で使用される場合、「非天然アミノ酸側鎖」は、非天然発生アミノ酸の側鎖置換基を指す。非天然アミノ酸としては、β-アミノ酸(β3及びβ2)、ホモ-アミノ酸、プロリン及びピルビン酸誘導体、3-置換アラニン誘導体、グリシン誘導体、環-置換フェニルアラニン及びチロシン誘導体、線状コアアミノ酸及びN-メチルアミノ酸が挙げられる。例証的な非天然アミノ酸は、「非天然アミノ酸&誘導体」の下でリストされている、Sigma-Aldridge社から利用可能である。参照によりそれ全体が組み込まれるTravis S. Young及びPeter G. Schultz、「Beyond the Canonical 20 Amino Acids: Expanding the Genetic Lexicon」、J. Biol. Chem. 2010 285: 11039~11044頁も参照されたい。
【0096】
本明細書で使用される場合、置換されている基は、1個又は複数の水素原子と別の原子又は基との交換があった非置換親基から誘導される。別段に表示されていない限り、基が「置換されている」と見なされる場合、基は独立して、C1~C6アルキル、C1~C6アルケニル、C1~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、C3~C7カルボシクリル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシで置換されていてもよい)、C3~C7-カルボシクリル-C1~C6-アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシで置換されていてもよい)、5員~10員のヘテロシクリル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシで置換されていてもよい)、5員~10員のヘテロシクリル-C1~C6-アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシで置換されていてもよい)、アリール(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシで置換されていてもよい)、アリール(C1~C6)アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシで置換されていてもよい)、5員~10員のヘテロアリール(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシで置換されていてもよい)、5員~10員のヘテロアリール(C1~C6)アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシで置換されていてもよい)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシ(C1~C6)アルキル(即ち、エーテル)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C1~C6)アルキル(例えば、-CF3)、ハロ(C1~C6)アルコキシ(例えば、-OCF3)、C1~C6アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C1~C6)アルキル、ニトロ、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、アシル、シアナト、イソシアナート、チオシアナト、イソチオシアナト、スルフィニル、スルホニル及びオキソ(=O)から選択される1個又は複数の置換基で置換されていることが意味される。基が「置換されていてもよい」と記載されている場合は常に、その基は、上記の置換基で置換されていてよい。
【0097】
一部の実施形態において、置換されている基は個々に及び独立して、C1~C4アルキル、アミノ、ヒドロキシ及びハロゲンから選択される1個又は複数の置換基で置換されている。
【0098】
ある特定の基命名慣例は、文脈に依存して、モノ基又はジ基のいずれかを含むことができると理解されるべきである。例えば、置換基が分子の残りへの2つの結合点を必要とする場合、置換基はジ基であると理解される。例えば、2つの結合点を必要とするアルキルと同定されている置換基としては、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-等のジ基が挙げられる。他の基命名慣例は、該基が「アルキレン」又は「アルケニレン」等のジ基であることを明らかに示す。
【0099】
2個のR基が、「それらが結合している原子と一緒に」環(例えば、カルボシクリル環、ヘテロシクリル環、アリール環又はヘテロアリール環)を形成すると述べられている場合、原子及び2個のR基の集合単位は、列挙されている環であると意味される。該環は、個々に取り上げられている場合、各R基の定義によって別段に限定されない。例えば、以下のサブ構造が存在し:
【0100】
【化8】
【0101】
R1及びR2が、水素及びアルキルからなる群から選択されるとして定義されている、又はR1及びR2が、それらが結合している窒素と一緒に、ヘテロシクリルを形成する場合、R1及びR2は、水素若しくはアルキルから選択することができると意味される、或いは代替として、サブ構造は、構造:
【0102】
【化9】
【0103】
を有し、式中、環Aは、図示されている窒素を含有するヘテロシクリル環である。
【0104】
同様に、2個の「隣接する」R基が、「それらが結合している原子と一緒に」環を形成すると述べられている場合、原子、介在する結合、及び2個のR基の集合単位は、列挙されている環であると意味される。例えば、以下のサブ構造が存在し:
【0105】
【化10】
【0106】
R1及びR2が、水素及びアルキルからなる群から選択されるとして定義されている、又はR1及びR2が、それらが結合している原子と一緒に、アリール若しくはカルボシクリルを形成する場合、R1及びR2は、水素若しくはアルキルから選択することができると意味される、或いは代替として、サブ構造は、構造:
【0107】
【化11】
【0108】
を有し、式中、Aは、アリール環、又は図示されている二重結合を含有するカルボシクリルである。
【0109】
置換基がジ基として図示されている(即ち、分子の残りへの2つの結合点を有する)場合は常に、置換基は、別段に表示されていない限り、任意の方向の配置で結合していてよいと理解されるべきである。したがって、例えば、-AE-又は
【0110】
【化12】
【0111】
として図示されている置換基は、Aが分子の最左の結合点で結合しているような方向である場合、及びAが分子の最右の結合点で結合している場合の置換基を含む。
【0112】
「哺乳動物」という用語は、それの通常の生物学的意味において使用される。したがって、それは、具体的に、以下に限定されないが、サル(チンパンジー、類人猿、モンキー)及びヒトを含めた霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット並びにマウスを含むが、多くの他の種も含む。
【0113】
「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、任意及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質のためのこうした媒体及び薬剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と不適合である限りを除いて、治療組成物におけるそれの使用が企図される。加えて、当技術分野において共通して使用されるような様々なアジュバントが含まれ得る。医薬組成物における様々な成分の包含についての考慮は、例えば、参照によりそれ全体が本明細書に組み込まれるGilmanら(編集)(1990); Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Pressに記載されている。
【0114】
「対象」は、本明細書で使用される場合、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、非ヒト霊長類又はトリ、例えば、ニワトリ、並びに任意の他の脊椎動物又は無脊椎動物を意味する。
【0115】
「有効量」又は「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、疾患又は病態の症状の1つ又は複数をある程度緩和する又はそれの発現の可能性を低減するのに有効であるとともに、疾患又は病態を治癒することを含む治療剤の量を指す。「治癒すること」は、疾患又は病態の症状が排除されることを意味し;しかしながら、治癒が得られた後でさえ、ある特定の長期的又は恒久的効果が存在し得る(広範な組織傷害等)。
【0116】
「処置する」、「処置」又は「処置すること」は、本明細書で使用される場合、予防及び/又は治療の目的で医薬組成物を投与することを指す。「予防処置」という用語は、もう疾患又は病態の症状を呈することはないが、特別な疾患又は病態のリスクに感受性である又はそうでなければそのリスクがある対象を処置し、それによって処置が、疾患又は病態を患者が発症する可能性を低減することを指す。「治療的処置」という用語は、疾患又は状態をすでに患っている対象に処置を投与することを指す。
【0117】
調製の方法
本明細書において開示されている化合物は、下に記載されている方法によって又はこれらの方法の修正によって合成することができる。該方法論を修正するやり方としては、とりわけ、当業者に知られている温度、溶媒、試薬等が挙げられる。一般に、本明細書において開示されている化合物の調製のためのプロセスのいずれかの最中に、関係している分子のいずれかの上の感受性基又は反応性基を保護することが必要及び/又は望ましいことがある。これは、従来の保護基、例えばProtective Groups in Organic Chemistry (編集J.F.W. McOmie、Plenum Press、1973);及びP.G.M. Green、T.W. Wutts、Protecting Groups in Organic Synthesis (第3版) Wiley、New York (1999)に記載されているものの手段によって達成することができ、これらは両方とも、本明細書によって参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。保護基は、当技術分野から知られている方法を使用して、好都合な後続の段階で除去することができる。適用可能な化合物を合成することにおいて有用な合成化学転換は、当技術分野において知られており、例えば、R. Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers、1989、又はL. Paquette、編集、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons、19955に記載されているものが挙げられ、これらは両方とも、本明細書によって参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に示されており、記載されている経路は例示のみであり、いかなる方式でも請求項の範疇を限定するとは全く意図されない又は解釈されるべきでない。当業者は、開示されている合成の修正を認識すること、及び本明細書における開示に基づいて代わりの経路を講じることができ;全てのこうした修正及び代わりの経路は、請求項の範疇内である。
【0118】
以下のスキームにおいて、酸素原子のための保護基は、必要な合成工程とのそれらの適合性、並びに導入及び脱保護工程と全体的な合成スキームとの適合性のために選択される(P.G.M. Green、T.W. Wutts、Protecting Groups in Organic Synthesis (第3版) Wiley、New York (1999))。
【0119】
本技術の化合物が1個又は複数のキラル中心を含有するならば、こうした化合物は、純粋な立体異性体として、即ち、個々のエナンチオマー若しくはd(l)立体異性体として又は立体異性体富化混合物として、調製又は単離することができる。全てのこうした立体異性体(及び富化混合物)は、別段に表示されていない限り、本技術の範疇内に含まれる。純粋な立体異性体(又は富化混合物)は、例えば、当技術分野においてよく知られている光学活性出発材料又は立体選択的試薬を使用して調製することができる。代替として、こうした化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤等を使用して分離することができる。
【0120】
以下の反応のための出発材料は、一般に知られている化合物である、又は公知の手順若しくはその明白な修正によって調製することができる。例えば、出発材料の多くは、Aldrich Chemical Co.社(Milwaukee、Wisconsin、USA)、Bachem社(Torrance、California、USA)、Emka-Chemce社又はSigma社(St. Louis、Missouri、USA)等の市販供給元から利用可能である。他は、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、1~15巻(John Wiley, and Sons、1991)、Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、1~5巻、及びSupplementals (Elsevier Science Publishers、1989)、Organic Reactions、1~40巻(John Wiley, and Sons、1991)、March's Advanced Organic Chemistry、(John Wiley, and Sons、第5版、2001)、及びLarock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc.、1989)等の標準的参照テキストに記載されている手順又はその明白な修正によって調製することができる。
【0121】
一実施形態において、本明細書において開示されている方法は、固相ペプチド合成技法を使用して39-アミノ酸ペプチド骨格を構築することで中間体(II)を提供することを含むことができる。ペプチド骨格は、2つのPEG2アミドリンカーを含む。該方法は、中間体(II)の末端PEG2アミドのアミンと適切に置換されているカルボン酸(III)との間のアミドカップリング反応で樹脂結合中間体(IV)を提供することを含む。一実施形態において、該方法は、中間体(IV)を酸性条件下で加水分解、続いて精製に供することで、最終生成物(I)を得ることを伴う。(スキーム1)。
【0122】
【化13】
【0123】
上記スキーム例は、読者の手引きのために提供されており、本明細書に包含される化合物を作製するための例示的方法を集合的に表している。更に、本明細書に記載されている化合物を調製するための他の方法は、以下の反応スキーム及び実施例に照らせば当業者には容易に明らかであろう。別段に表示されていない限り、全ての可変物は、上記で定義されている通りである。
【0124】
投与及び医薬組成物
該化合物は、治療有効投与量で投与される。ヒト投与量レベルはまだ、本明細書に記載されている化合物のために最適化されていないが、一般に、日用量は、体重の約0.0125mg/kgから約120mg/kg若しくはそれ以上、体重の約0.025mg/kg若しくはそれ以下から約70mg/kg、約0.05mg/kgから約50mg/kg、又は体重の約0.075mg/kgから約10mg/kgであってよい。したがって、70kgの人間への投与について、投与量範囲は、1日当たり約0.08mgから1日当たり約8000mg、1日当たり約1.8mg若しくはそれ以下から1日当たり約7000mg若しくはそれ以上、1日当たり約3.6mgから1日当たり約6000mg、1日当たり約5.3mgから1日当たり約5000mg、又は1日当たり約11mgから約3000mgである。投与される活性化合物の量は、当然、処置されている対象及び疾患状態、苦痛の重症度、投与の方式及びスケジュール、並びに処方する医師の判断に依存する。
【0125】
本明細書において開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩の投与は、以下に限定されないが、経口的、皮下、静脈内、鼻腔内、局所的、経皮的、腹腔内、筋肉内、肺内、経膣的、直腸的又は眼球内を含めて、同様の有用性に役立つ薬剤のための投与の許容モードのいずれかを介してよい。経口及び非経口投与は、好ましい実施形態の対象である適応症を処置する際の通例である。
【0126】
上に記載されている通りに有用な化合物は、これらの病態の処置における使用のための医薬組成物に製剤化することができる。参照によりそれ全体が組み込まれるRemington's The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams & Wilkins (2005)に開示されているもの等、標準的な医薬製剤技法が使用される。したがって、一部の実施形態としては、以下を含む医薬組成物が挙げられる: (a)本明細書に記載されている化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、多形体及び溶媒和物を含める)又はその薬学的に許容される塩の安全及び治療的に有効な量;及び(b)薬学的に許容される担体、希釈液、賦形剤又はその組合せ。
【0127】
上に記載されている通りに有用な選択化合物に加えて、一部の実施形態は、薬学的に許容される担体を含有する組成物を含む。「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、任意及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質のためのこうした媒体及び薬剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と不適合である限りを除いて、治療組成物におけるそれの使用が企図される。加えて、当技術分野において共通して使用されるような様々なアジュバントが含まれ得る。医薬組成物における様々な成分の包含についての考慮は、例えば、参照によりそれ全体が本明細書に組み込まれるGilmanら(編集)(1990); Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Pressに記載されている。
【0128】
薬学的に許容される担体又はその成分として役立つことができる物質の一部の例は、糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えばコーンスターチ及びバレイショデンプン;セルロース及びそれの誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びメチルセルロース;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;固体潤滑剤、例えばステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;植物油、例えば落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びテオブロマの油;ポリオール、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;アルギン酸;乳化剤、例えばツイーン;湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;着色剤;香味剤;錠剤化剤、安定剤;抗酸化剤;保存料;ピロゲンフリー水;等張生理食塩水;並びにリン酸緩衝溶液である。
【0129】
対象化合物と併せて使用される薬学的に許容される担体の選択は、基本的に、化合物が投与されるやり方によって決定される。
【0130】
本明細書に記載されている組成物は、好ましくは、単位剤形で提供される。本明細書で使用される場合、「単位剤形」は、良好な医療実践に従って、単一用量で、動物、好ましくは哺乳動物対象への投与に適当である化合物の量を含有する組成物である。単一又は単位剤形の調製は、しかしながら、剤形が1日当たり1回又は1治療クール当たり1回投与されることを含意していない。こうした剤形は、1日当たり1回、2回、3回又はそれ以上投与されると企図され、ある時間期間(例えば、約30分から約2~6時間)かけて注入として投与する又は持続注入として投与することができ、治療クール中に1回超与えられてよいが、単回投与は具体的に除外されていない。熟練技術者は、製剤化が治療クール全体を具体的に企図せず、こうした決定が製剤化よりもむしろ処置の当業者に委ねられることを認識されよう。
【0131】
上に記載されている通りに有用な組成物は、投与のための様々な経路のための、例えば、経口、経鼻、直腸、局所的(経皮を含める)、眼球、脳内、頭蓋内、くも膜下腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、皮下又は他の非経口の投与経路のための様々な適当な形態のいずれかであってよい。一部の実施形態において、組成物は、皮下投与に適当な形態であってよい。熟練技術者は、経口及び経鼻組成物が吸入によって投与され、利用可能な方法論を使用して作製される組成物を含むことを認められよう。所望される投与の特別な経路に依存して、当技術分野においてよく知られている様々な薬学的に許容される担体が使用され得る。薬学的に許容される担体としては、例えば、固体又は液体充填剤、希釈剤、ヒドロトロピー、表面活性薬剤、及びカプセル化用物質が挙げられる。化合物の阻害活性に実質的に干渉しない任意選択の薬学的に活性な材料が含まれ得る。該化合物と併せて用いられる担体の量は、化合物の単位用量当たりの投与のための材料の実用的定量を提供するのに十分である。本明細書に記載されている方法において有用な剤形を作製するための技法及び組成物は、全てが参照により本明細書に組み込まれる以下の参照に記載されている: Modern Pharmaceutics、第4版、9章及び10章(Banker & Rhodes版、2002); Liebermanら、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (1989);及びAnsel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 第8版(2004)。
【0132】
錠剤、カプセル、顆粒及びバルクパウダー等の固体形態を含めて、様々な経口剤形が使用され得る。錠剤は、適当なバインダー、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘発剤及び溶融剤を含有し、圧縮され、錠剤粉薬、腸溶化され、糖衣され、フィルムコートされ、又は多重圧縮され得る。液体経口剤形としては、適当な溶媒、保存料、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、溶融剤、着色剤及び香味剤を含有する水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性顆粒から復元される溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から復元される発泡性調製物が挙げられる。
【0133】
経口的投与のための単位剤形の調製に適当な薬学的に許容される担体は、当技術分野においてよく知られている。錠剤は、典型的に、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロース;バインダー、例えばデンプン、ゼラチン及びスクロース;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸及びクロスカルメロース;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクとして、従来の薬学的に適合性のあるアジュバントを含む。二酸化ケイ素等の流動促進剤は、粉末混合物流動特徴を改善するために使用することができる。FD&C色素等の着色剤は、外観のために添加することができる。甘味料及び香味剤、例えばアスパルテーム、サッカリン、メンソール、ペパーミント及び果実香味は、チュアブル錠剤のための有用なアジュバントである。カプセルは、典型的に、上記で開示されている1種又は複数の固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、味、コスト及び保存安定性のような二次的考慮に依存し、重大でなく、当業者によって容易になされ得る。
【0134】
経口的組成物は、溶液、エマルジョン、懸濁液等も含む。こうした組成物の調製に適当な薬学的に許容される担体は、当技術分野においてよく知られている。シロップ、エリキシル、エマルジョン及び懸濁液のための担体の典型的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。懸濁液のため、典型的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アビセルRC-591、トラガカント及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ;典型的な湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80が挙げられ;典型的な保存料としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口的液体組成物は、上記で開示されている甘味料、香味剤及び着色料等の1種又は複数の成分を含有することもできる。
【0135】
こうした組成物は、対象化合物が所望の局所的適用の近傍に、又は所望の作用を延長するために様々な時間で胃腸管中に放出されるように、pH又は時間依存性コーティングを典型的に用いる従来の方法によってコーティングすることもできる。こうした剤形は、典型的に、以下に限定されないが、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックス及びセラックの1つ又は複数を含む。
【0136】
本明細書に記載されている組成物は、他の薬物活性物を任意選択により含むことができる。
【0137】
対象化合物の全身送達を達成するのに有用な他の組成物としては、舌下、バッカル及び経鼻剤形が挙げられる。こうした組成物は、典型的に、可溶性充填剤物質、例えばスクロース、ソルビトール及びマンニトール;並びにバインダー、例えばアカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの1つ又は複数を含む。上記で開示されている流動促進剤、滑沢剤、甘味料、着色料、抗酸化剤及び香味剤も含むことができる。
【0138】
局所的眼科使用のために製剤化される液体組成物は、それが眼に局所的に投与され得るように製剤化される。快適性は可能な限り最大にされるべきであるが、時々製剤上の考慮(例えば薬物安定性)は、最適よりも低い快適性を要することもある。快適性が最大にされ得ない場合において、液体は、液体が局所的眼科使用のために患者にとって忍容できるように製剤化されるべきである。加えて、眼科的に許容される液体は、使い捨てのためにパッケージされる、又は複数の使用にわたって汚染を防止するための保存料を含有するのいずれかであるべきである。
【0139】
眼科用途のため、溶液又は医薬は、しばしば、主要なビヒクルとして生理的食塩溶液を使用して調製される。眼科用溶液は、好ましくは、適切な緩衝液系を用いて快適なpHで維持されるべきである。該製剤は、従来の薬学的に許容される保存料、安定剤及び界面活性剤を含有することもできる。
【0140】
本明細書において開示されている医薬組成物中に使用することができる保存料としては、以下に限定されないが、塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀及び硝酸フェニル水銀が挙げられる。有用な界面活性剤は、例えば、ツイーン80である。同様に、様々な有用なビヒクルは、本明細書において開示されている眼科用調製物中に使用することができる。これらのビヒクルとしては、以下に限定されないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及び精製水が挙げられる。
【0141】
張度調整剤は、必要とされる又は好都合な場合に添加することができる。それらとしては、以下に限定されないが、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール及びグリセリン、又は任意の他の適当な眼科的に許容される張度調整剤が挙げられる。
【0142】
pHを調整するための様々な緩衝液及び手段は、結果として得られた調製が眼科的に許容される限り使用することができる。多くの組成物について、pHは、4から9の間である。したがって、緩衝液としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液が挙げられる。酸又は塩基は、必要とされる場合、これらの製剤のpHを調整するために使用することができる。
【0143】
同じように、眼科的に許容される抗酸化剤としては、以下に限定されないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
【0144】
眼科用調製物中に含むことができる他の賦形剤成分は、キレート化剤である。有用なキレート化剤はエデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート化剤も、適切に又はそれと併せて使用することができる。
【0145】
局所的使用のため、本明細書において開示されている化合物を含有するクリーム、軟膏、ゲル、溶液又は懸濁液等が用いられる。局所的製剤は、一般に、医薬担体、共溶媒、乳化剤、透過増強剤、保存剤系及び軟化薬から構成することができる。
【0146】
静脈内投与のため、本明細書に記載されている化合物及び組成物は、生理食塩水又はデキストロース溶液等の薬学的に許容される希釈液中に溶解又は分散させることができる。適当な賦形剤は、以下に限定されないが、NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl及びクエン酸を含めて、所望のpHを達成するために含まれ得る。各種実施形態において、最終組成物のpHは、2から8、又は好ましくは4から7を範囲とする。抗酸化賦形剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルホキシレート、チオ尿素及びEDTAを挙げることができる。最終静脈内組成物に見出される適当な賦形剤の他の非限定的な例としては、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、並びに炭水化物、例えばデキストロース、マンニトール及びデキストランを挙げることができる。更に許容される賦形剤は、両方がそれら全体が参照により本明細書に組み込まれるPowellら、Compendium of Excipients for Parenteral Formulations、PDA J Pharm Sci and Tech 1998、52 238~311頁、及びNemaら、Excipients and Their Role in Approved Injectable Products: Current Usage and Future Directions、PDA J Pharm Sci and Tech 2011、65 287~332頁に記載されている。抗微生物剤も、以下に限定されないが、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール及びクロロブタノールを含めて、静細菌性又は静真菌性溶液を達成するために含むことができる。
【0147】
静脈内投与のための組成物は、投与の直前に滅菌水、生理食塩水、又は水中のデキストロース等の適当な希釈液で復元される1種又は複数の固体の形態で介護者に提供することができる。他の実施形態において、組成物は、非経口的に投与する準備が整っている溶液で提供される。また他の実施形態において、組成物は、投与の前に更に希釈される溶液で提供される。本明細書に記載されている化合物及び別の薬剤の組合せを投与することを含む実施形態において、該組合せは混合物として介護者に提供することができる、又は介護者が投与の前に2種の薬剤を混合することができる、又は2種の薬剤は別々に投与することができる。
【0148】
本明細書に記載されている活性化合物の実際の用量は、特定の化合物、及び処置される病態に依存し;適切な用量の選択は、十分に熟練技術者の知識内である。
【0149】
本明細書に記載されている化合物及び組成物は、所望であれば、該活性成分を含有する1つ又は複数の単位剤形を含有するパック又はディスペンサー装置に存在することができる。こうしたパック又は装置は、例えば、金属箔若しくはプラスチック箔、例えばブリスターパック、又はバイアル中の等にガラス及びゴム栓を含むことができる。パック又はディスペンサー装置は、投与のための説明書が添付され得る。本明細書に記載されている化合物及び組成物は、適合性のある医薬担体中に製剤化され、その上、示されている病態の処置のために調製し、適切な容器に入れ、標識化することができる。
【0150】
製剤中の該化合物の量は、当業者によって用いられる全範囲内で変動することができる。典型的に、製剤は、質量パーセント(wt%)ベースで、総製剤に基づいて本技術の化合物の約0.0199.99wt%を含有し、残部は、1種又は複数の適当な医薬賦形剤である。好ましくは、該化合物は、約180wt%のレベルで存在する。代表的な医薬製剤が下に記載されている。
【0151】
製剤実施例
以下は、式Iの化合物を含有する代表的な医薬製剤である。
【0152】
製剤実施例1--錠剤製剤
以下の成分は、密接に混合され、単一の割線入り錠剤に加圧される。
【0153】
【表1】
【0154】
製剤実施例2--カプセル製剤
以下の成分は、密接に混合され、硬シェルゼラチンカプセルに充填される。
【0155】
【表2】
【0156】
製剤実施例3--懸濁液製剤
以下の成分が混合されることで、経口投与のための懸濁液を形成する。
【0157】
【表3】
【0158】
製剤実施例4--注射可能な製剤
以下の成分が混合されることで、注射可能な製剤を形成する。
【0159】
【表4】
【0160】
製剤実施例5--坐剤製剤
総質量2.5gの坐剤は、本技術の化合物とWitepsol(登録商標) H-15 (飽和植物性脂肪酸のトリグリセリド; Riches-Nelson、Inc.社、New York)とを混合することによって調製され、以下の組成を有する:
【0161】
【表5】
【0162】
処置の方法
本明細書において開示されている化合物若しくはそれらの互変異性体及び/又はその薬学的に許容される塩は、GIP/GLP1デュアル受容体アゴニストとして有効に作用することができる。一部の実施形態は、本明細書において開示されている1種又は複数の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0163】
一部の実施形態は、対象における1つ又は複数の脂肪性肝臓疾患を防止する、処置する又は軽快させる方法を提供する。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0164】
一部の実施形態は、脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎及び非アルコール性脂肪性肝臓疾患を防止する、処置する又は軽快させる方法を提供する。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0165】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を投与する方法は、線維症、線維性状態又は線維性症状の防止、処置又は軽快をもたらす。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む。
【0166】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている化合物を含む化合物及び組成物は、線維症又は炎症から生じる及び具体的に筋線維芽細胞分化と関連するものを含めた病態の宿主を処置するために使用することができる。病態例としては、進行性肝臓線維症(アルコール性、ウイルス性、自己免疫性、代謝性及び遺伝性慢性疾患)、腎線維症(例えば、慢性炎症、感染又はII型糖尿病に起因する)、肺線維症(特発性、又は毒性粒子を含めた環境侵襲、サルコイドーシス、石綿肺症、過敏性肺臓炎、結核を含めた細菌感染、薬等に起因する)、間質性線維症、全身性強皮症(多くの臓器が線維性になる自己免疫疾患)、黄斑変性症(眼の線維性疾患)、膵線維症(例えば、アルコール乱用及び膵臓の慢性炎症性疾患に起因する)、脾臓の線維症(鎌状赤血球貧血、他の血液障害から)、心臓線維症(感染、炎症及び肥大化に起因する)、縦隔線維症、骨髄線維症、心内膜心筋線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、腎原性全身性線維症、糖尿病性腎症、非アルコール性脂肪性肝炎、原発性硬化性胆管炎、角膜線維症、肝臓硬変、外科手術の線維性合併症、移植臓器における慢性同種移植血管症及び/又は慢性拒絶、虚血再灌流損傷関連線維症、注射による線維症、硬変、びまん性実質性肺疾患、精管切除後疼痛症候群、並びに関節リウマチ疾患又は障害が挙げられる。
【0167】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を投与する方法は、前記対象の1つ又は複数の組織中に存在する細胞外マトリックスタンパク質の量の低減をもたらす。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む。
【0168】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を投与する方法は、前記対象の1つ又は複数の組織中に存在するコラーゲンの量の低減をもたらす。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む。
【0169】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を投与する方法は、前記対象の1つ又は複数の組織中に存在するI型、Ia型又はIII型コラーゲンの量の低減をもたらす。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む。
【0170】
一部の実施形態は、対象における肝臓線維症、腎線維症、胆管線維症、膵線維症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝臓疾患、慢性腎臓疾患、糖尿病性腎臓疾患、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変又は特発性線維症の1つ又は複数を防止する、処置する又は軽快させる方法を提供する。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0171】
一部の実施形態は、対象における非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝臓疾患、慢性腎臓疾患、糖尿病性腎臓疾患、原発性硬化性胆管炎又は原発性胆汁性肝硬変の1つ又は複数を防止する、処置する又は軽快させる方法を提供する。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0172】
一部の実施形態は、1つ又は複数の代謝障害又はメタボリック症候群を防止する、処置する又は軽快させる方法を提供する。一部の実施形態において、前記疾患又は障害は、アテローム動脈硬化症、糖尿病、高血糖性糖尿病、2型真性糖尿病、脂質異常症、高コレステロール血症、高脂質血症、高血圧症、低血糖、肥満、又はプラダー-ウィリー症候群である。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。一部の実施形態において、該方法は、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数のその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0173】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を投与する方法は、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体を活性化する化合物をもたらす。一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を投与する方法は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を活性化する化合物をもたらす。一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物の1種又は複数を投与する方法は、GIP受容体及びGLP-1受容体を活性化する化合物をもたらす。
【0174】
一部の実施形態は、本明細書に記載されている化合物、組成物及び/又は医薬組成物を追加の医薬と同時投与することを含む。「同時投与」によって、2種以上の薬剤が、いつ又はどのようにそれらが実際に投与されるかにかかわらず、同じ時に患者の血流中に見出され得ることが意味される。一実施形態において、薬剤は同時に投与される。1つのこうした実施形態において、組合せにおける投与は、薬剤を単一剤形で組み合わせることによって達成される。別の実施形態において、薬剤は逐次に投与される。一実施形態において、薬剤は、同じ経路を介して、例えば経口的に投与される。別の実施形態において、薬剤は、異なる経路を介して投与され、例えば、1つは皮下に投与され、別のものは経口的に投与され、別のものはi.v.で投与される。
【0175】
この発明を更に例示するため、以下の実施例が挙げられる。実施例は、当然、本発明を具体的に限定すると解釈されるべきでない。請求項の範疇内におけるこれらの実施例のバリエーションは、当業者の知識範囲内であり、本明細書に記載及び請求されている通りの本発明の範疇内に入ると考えられる。読者は、本開示及び当技術分野における技能を備えた熟練技術者が、網羅的な実施例を用いずに本発明を調製及び使用することができることを認識されよう。以下の実施例は、本発明を更に記載し、例示のみの目的で使用され、限定していると解釈されるべきできない。
【実施例0176】
一般的手順
本明細書において請求されている化合物に関連している前駆体及び官能基を調製するための方法が一般に文献に記載されていることは、熟練技術者に明らかである。これらの反応において、それら自体当業者に知られているが、より詳細に記述されていない変異体を利用することも可能である。文献及びこの開示を与えられた熟練技術者は、該化合物のいずれかを調製する能力が十分に備わっている。
【0177】
有機化学の当技術分野における熟練技術者は、さらなる指示なく操作を容易に実施することができることが認識され、即ち、これらの操作を実施するのは、十分に熟練技術者の範疇及び実践内である。これらはとしては、カルボニル化合物のそれらの対応するアルコールへの還元、酸化、アシル化、芳香族置換、求電子性及び求核性の両方、エーテル化、エステル化及びケン化等が挙げられる。これらの操作は、March Advanced Organic Chemistry (Wiley)、Carey and Sundberg、Advanced Organic Chemistry(参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)等の標準的なテキストにおいて考察されている。本発明の全ての中間体化合物は、別段に特定されていない限り、更に精製することなく使用した。
【0178】
ある特定の反応は、他の官能基が分子においてマスク又は保護されている場合に最も良く実施され、したがって、任意の望ましくない副反応を回避し、及び/又は反応の収率を増加させることを、熟練技術者は容易に認められよう。しばしば、熟練技術者は保護基を利用することで、こうした収率増加を達成する、又は所望されない反応を回避する。これらの反応は、文献に見出され、十分に熟練技術者の範疇内でもある。これらの操作の多くの例は、例えば、参照によりそれ全体が本明細書に組み込まれるT. Greene及びP. Wuts Protecting Groups in Organic Synthesis、第4版、John Wiley & Sons (2007)に見出すことができる。
【0179】
以下のスキーム例は、読者の手引きのために提供され本明細書において例証されている化合物を作製するための好ましい方法を表す。これらの方法は限定的でなく、これらの化合物を調製するのに他の経路が用いられ得ることは明らかである。こうした方法は、具体的に、コンビナトリアル化学を含めて固相ベースの化学を含む。熟練技術者は、文献及びこの開示で与えられているような方法によってこれらの化合物を調製する能力が完全に備わっている。下記に図示されている合成スキームにおいて使用される化合物番号付けは、それらの特定のスキームのみのために意味を持ち、本出願の他のセクションにおける同じ番号付けと解釈又は混同されるべきでない。
【0180】
本明細書において使用されている商標は例にすぎず、本発明の時点で使用された例示的材料を反映している。熟練技術者は、ロット、製造プロセス等における変動が予想されることを認識されよう。それゆえに、実施例及びそれらにおいて使用される商標は非限定的であり、それらは限定的であると意図されないが、単に、熟練技術者が本発明の実施形態の1つ又は複数を行うために、どのように選択することができるかの例示である。
【0181】
以下の略語は、示されている意味を有する:
Aib=アミノイソ酪酸
Bn=ベンジル
Boc=tert-ブトキシカルボニル
Bu=ブチル
DMF=ジメチルホルムアミド
EDC=1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
Et=エチル
HATU=ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウラン
HBTU=ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウラン
HMDS=ヘキサメチルジシラザン
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
Me=メチル
NaHMDS=ナトリウムヘキサメチルジシラジド
NMR=核磁気共鳴
PCC=クロロクロム酸ピリジニウム
PEG=ポリエチレングリコール
Ph=フェニル
tBu=tert-ブチル
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TMS=トリメチルシリル
【0182】
以下のスキーム例は、読者の手引きのために提供されており、本明細書において提供されている化合物を作製するための例示的方法を集合的に表している。更に、本明細書に記載されている化合物を調製するための他の方法は、以下の反応スキーム及び実施例に照らせば当業者には容易に明らかであろう。別段に表示されていない限り、全ての可変物は、上記で定義されている通りである。
【0183】
(実施例1)
中間体1(INT 1)の合成
メチル7-ブロモヘプタノエートは、トリフェニルホスフィンで処理されることで、対応するホスホニウム塩を形成する。該塩は、1当量のNaHMDSで処理されることでイリドを作製し、これは、直ちにウィッティヒ反応において、12-ブロモ-1-ドデカノールのPCC酸化からのアルデヒドと反応させる。結果として得られたブロモアルケンは、水素化され、弱塩基中の亜リン酸ジベンジルで処理されることで、ホスホン酸エステルを形成する。メチルカルボキシレートの加水分解は、末端カルボン酸及びジベンジルホスホネートを有する所望のINT 1を提供する。
【0184】
【化14】
【0185】
中間体2(INT 2)の合成
ドコサン二酸は、THF中のEDC・HCl及びDMAPを用いてベンジルアルコールにカップリングされることで、INT 2をモノベンジルエステルとして得る。
【0186】
【化15】
【0187】
中間体3(INT 3)の合成
t-ブチル4-ヒドロキシブタノエートは、スワーン酸化を受けることで、アルデヒドを得る。アルデヒドは、(R)-1-アミノ-2-メトキシ-1-フェニルエタンと縮合されることで、イミンを形成する。THF中の亜リン酸ジエチルのリチウム塩の添加は、α-アミノホスホネートを発生させ、これは、水素化分解を受けることでN-アルキル基を切断し、遊離第1級アミン、t-ブチルエステル及びホスホン酸ジエチルエステルを有するINT 3を提供する。INT 3の光学純度は、Mosherアミド分析を介して1H NMRにより少なくとも96%であると確認された。
【0188】
【化16】
【0189】
中間体4(INT 4)の合成
INT 1は、DMF中のHATU及びトリエチルアミンの存在下でD-グルタミン酸の1-t-ブチルエステルとカップリングされることで、INT 4を提供する。
【0190】
【化17】
【0191】
中間体5(INT 5)の合成
INT 2は、DMF中のHATU及びトリエチルアミンの存在下でINT 3とカップリングされることで、新たなアミド連結を調製する。TMS-Brを用いるホスホン酸エチルエステルの切断は、遊離ホスホン酸を与える。N,N'-ジイソプロピルカルバミミド酸のベンジルエステルの大過剰を用いる再エステル化は、対応するジベンジルホスホネートを提供する。t-ブチルエステルは、TFAを用いて切断されることで、INT 5を提供する。
【0192】
【化18】
【0193】
中間体6(INT 6)の合成
INT 1は、DMF中のHATU及びトリエチルアミンの存在下でINT 3とカップリングされることで、新たなアミド連結を提供する。TMS-Brを用いるベンジル及びホスホン酸エチルエステルの切断は、両方の遊離ホスホン酸を与える。N,N'-ジイソプロピルカルバミミド酸のベンジルエステルの大過剰を用いる再エステル化は、対応するテトラベンジルジホスホネートエステルを提供する。t-ブチルエステルは、TFAを用いて切断されることで、INT 6を得る。
【0194】
【化19】
【0195】
(実施例2)
共通のペプチド骨格の合成
39-アミノ酸ペプチド骨格は、Rink樹脂上のアミド連結合成のためにジイミド、HATU又はHBTU活性化を用いる固相ペプチド合成技法を使用して構築される。試薬選択は、接続されているアミノ酸の同一性に基づき変動する。リジン-19のR-基を2つのPEG2アミドリンカーで拡張した。骨格全体は、リジン結合リンカーのアミノ終端にINT 4、INT 5又はINT 6をカップリングする前に、樹脂上で合成される。
【0196】
【化20】
【0197】
(実施例3)
化合物4の合成
ペプチド骨格は、INT 4にカップリングされることで、樹脂に結合した保護化合物4を得る。樹脂の切断、ペプチド鎖上の保護基、及びTFAを用いるINT 4のベンジルエステルは、化合物4を提供し、これは、HPLCを介して精製される。
【0198】
【化21】
【0199】
(実施例4)
化合物8の合成
ペプチド骨格は、INT 5にカップリングされることで、樹脂に結合した保護化合物8を得る。樹脂の切断、ペプチド鎖上の保護基、及びTFAを用いるINT 4のベンジルエステルは、化合物8を提供し、これは、HPLCを介して精製される。
【0200】
【化22】
【0201】
(実施例5)
化合物12の合成
ペプチド骨格は、INT 6にカップリングされることで、樹脂に結合した保護化合物12を得る。樹脂の切断、ペプチド鎖上の保護基、及びTFAを用いるINT 4のベンジルエステルは、化合物12を提供し、これは、HPLCを介して精製される。
【0202】
【化23】
【0203】
(実施例6)
インビトロGLP-1及びGIP結合活性
TagLite(登録商標)結合アッセイ及びEpics Therapeutics細胞株を使用して、2つのヒト組換えGタンパク質共役型受容体、GLP-1及びGIPに関する、チルゼパチド、化合物4、化合物8及び化合物12についての結合データを得た。試験化合物のアゴニスト活性は、Table 1(表6)に示されている通りの、それのIC100濃度での基準アゴニストの活性の百分率として表される。
【0204】
【表6】
【0205】
(実施例7)
マウスにおける化合物の生物学的影響
Bolandら、World J Gastroenterol、2019、25(33):4904~4920頁に記載されている通りのGubraアミリンNASH(GAN)食療法をマウスに与えることによって、NASHをマウスにおいて誘発した。化合物の第1の用量の投与の1週前に、マウスを秤量及び無作為化し、それらの食物摂取量を測定した。マウスを、1群当たり12匹のマウスで、投薬群に無作為に割り当てた。割り当てられた投与量群は以下であった:チルゼパチド(10mg/kg);化合物4(10mg/kg);化合物8(10mg/kg);化合物12(10mg/kg);1つの群は、対照としてビヒクルのみで模擬処置した。化合物用量滴定(nmol/kg):0.6(0日目)、1.2(1日目)、2.4(2日目)、4.8(3日目)、4.8(4日目)、12(5日目)、30.0(6日目から)。
【0206】
2週後、動物を屠殺した。血漿酵素(P-ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)及びP-AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ))、総血漿トリグリセリド、及び総血漿コレステロールを測定し、各肝臓の終末剖検を実施し、相対的な肝臓質量を体重の百分率として決定し、総肝臓トリグリセリド、血漿インスリン及び総肝臓コレステロールを含めた総肝臓生化学をアッセイし、同様に、ガレクチン-3及びアルファ-平滑筋アクチンの組織学的評価を行った。
【0207】
肝臓トリグリセリド(TG)レベルは、Table 2(表7)に示されている。データは、化合物4、化合物8又は化合物12の投与が、チルゼパチド又はビヒクル単独での投与と比較した場合に、より低い相対的及び総肝臓トリグリセリドをもたらしたことを示す。組織学的定量的判定によって決定される場合の肝臓ガレクチン-3(Gal-3)レベルは、Table 2(表7)に示されている。データは、化合物4、化合物8又は化合物12の投与が、チルゼパチド又はビヒクル単独での投与と比較した場合に、より低い相対的及び総肝臓ガレクチン-3をもたらしたことを示す。組織学的定量的判定によって決定される場合のアルファ-平滑筋アクチン(α-SMA)レベルは、Table 2(表7)に示されている。データは、化合物4、化合物8又は化合物12の投与が、チルゼパチドの投与と比較した場合に、より低い相対的及び総肝臓アルファ-平滑筋アクチンをもたらしたことを示す。
【0208】
【表7】
【0209】
(実施例8)
HSAモジュレートされたインビトロGLP-1及びGIP結合活性
実施例6の結合アッセイを化合物チルゼパチド(TRZ)、化合物4及び化合物12について反復し、アッセイを2%ヒト血清アルブミン(HSA)の存在又は非存在下で行った。0% HSAを用いる化合物-受容体結合に対する2% HSAを用いる化合物-受容体結合の比は、Table 3(表8)にリストされている。チルゼパチドは、GLP-1受容体及びGIP受容体についてそれぞれ12.8及び5.82のHSA比を有する。化合物4は、GLP-1受容体及びGIP受容体についてそれぞれ6.42及び1.25のHSA比を有する。化合物12は、GLP-1受容体及びGIP受容体についてそれぞれ5.26及び1.70のHSA比を有する。化合物4及び化合物12と比較した場合、チルゼパチドのより大きいHSA比は、アルブミンに対するチルゼパチドの結合親和性が、化合物4又は化合物12のそれよりも大きいことを示す。
【0210】
【表8】
【0211】
(実施例9)
モンキーにおける化合物の薬物動態
雄性カニクイザルを用いて、リン酸緩衝生理食塩水溶液中の0.1%ウシ血清アルブミンのビヒクルにおける化合物の皮下(SC)投薬を行った。割り当てられた投与量群は以下であった:チルゼパチド(0.2mg/kg);化合物4(0.2mg/kg);化合物12(0.2mg/kg)。単一用量を投与した1時間後、4時間後、8時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、120時間後、168時間後、192時間後、240時間後及び336時間後に試料を得た。
【0212】
平均半減期値は、Table 4(表9)に示されている。データは、化合物4又は化合物12の投与が、チルゼパチドの投与と比較した場合に、血流における著しく高い持続性をもたらしたことを示す。化合物4の平均半減期は、チルゼパチドと比較した場合に、ほぼ2倍長い。
【0213】
【表9】
【0214】
前の研究において、アルブミン結合親和性とインビボ半減期との間の直接的な相関が観察され;より長い半減期を有する化合物は、より高いアルブミン結合親和性を呈した。(Lau, J.ら、J. Med. Chem. 2015、58、7370~7380頁)。上に記載されている通り、実施例8の実験は、アルブミンに対するチルゼパチドの結合親和性が、化合物4又は化合物12のそれよりも高いことを示した。対照的に、この実施例に記載されている薬物動態学的実験は、チルゼパチド、化合物4及び化合物12の半減期を、それぞれ63.2時間、118時間及び104時間であると決定した。チルゼパチドと比較した場合、化合物4及び化合物12のより長い半減期は、前の研究を考慮すると予想外の結果である。化合物4及び化合物12のより小さいHSA比は、化合物4及び化合物12が、チルゼパチドに相対してより低いアルブミン結合親和性及びより短い半減期を有すると予想されることを示す。チルゼパチドに相対して化合物4又は化合物12についてのより長い半減期は、予想結果と逆である。
【0215】
(実施例10)
製剤の薬物動態研究
チルゼパチド及び化合物4の異なる製剤を用いて、実施例9に記載されているSC投薬実験を反復した。製剤1は、リン酸緩衝生理食塩水溶液中の0.1%ウシ血清アルブミンのビヒクルにおける化合物を含む。製剤2は、40%プロピレングリコール及び60% 10mM pH6クエン酸緩衝溶液における化合物を含む。割り当てられた投与量群に21日かけてチルゼパチド(0.2mg/kg)又は化合物4(0.2mg/kg)を投与した。
【0216】
2種の製剤についての平均半減期値は、Table 5(表10)に示されている。データは、製剤1及び製剤2における化合物4の投与が、同一の製剤におけるチルゼパチドの投与と比較した場合に、血流における著しく高い持続性をもたらしたことを示す。製剤1における化合物4の平均半減期は、チルゼパチドと比較した場合に、ほぼ2倍長い。製剤2は、チルゼパチドと比較した場合、2倍長い化合物4の平均半減期をもたらした。
【0217】
【表10】
【0218】
実施例9に記載されている予想外の結果は、化合物を製剤1及び製剤2中で投与した場合、この実施例においても観察された。チルゼパチドに相対して化合物4についての製剤1及び製剤2におけるより長い半減期は、上に記載されているHSA研究を考慮すると予想結果の逆である。
【0219】
(実施例11)
化合物の可溶性
U.S.薬局方(USP)ガイドラインに従って、50mMリン酸緩衝液を調製した。27.22gの一塩基リン酸カリウムの質量を水で希釈することで、1000mLの溶液を調製した。250mLの体積の一塩基性リン酸カリウム溶液及び22.4mLの体積の1M NaOH溶液を水で1000mLに希釈した。結果として生じた緩衝溶液のpHを6.83と測定した。可溶性研究を環境条件で行い、およそ20mg/mLの最大濃度を有する溶液を調製するように設計した。100μLの初期の体積の緩衝液をチルゼパチド(TRZ)、化合物4、化合物8及び化合物12のおよそ1~4mgの試料に添加し、続いて、回旋又はボルテックス混合を行った。追加の緩衝液を1mL未満から最大約200mLまでの増分で添加した。定量的可溶性(QNT)をmg/mLで報告した。視覚的観察に基づく定性的可溶性(QLT)を、USPプロトコールを使用して記載した。結果は、Table 6(表11)にリストされている。
【0220】
【表11】
【0221】
TRZと異なり、化合物4及び12は、完全に溶解することが観察され、化合物12は、TRZよりも定量的に高い可溶性を有した。
【0222】
一部の実施形態が例示及び記載されてきたが、当技術分野における通常の技術を有する人は、前述の明細書を読んだ後に、本明細書において説明されている通りの本技術の化合物若しくは塩、医薬組成物、誘導体、プロドラッグ、代謝物、互変異性体又はそのラセミ混合物に対する変化、等価物の置換及び他の型の変更をもたらすことができる。上に記載されている各態様及び実施形態は、他の態様及び実施形態のいずれか又は全てに関して開示されているような変形形態又は態様を、それとともに含んでいる又は組み込んでいることもある。
【0223】
本技術は、その上、本技術の個々の態様の単一の例示として意図される本明細書に記載されている特別な態様に関して限定されるべきでない。この本技術の多くの修正及び変形形態は、当業者に明らかである通り、それの趣旨及び範疇から逸脱することなく実施することができる。本明細書において列挙されているものに加えて本技術の範疇内の機能的に同等の方法は、前述の説明から当業者に明らかである。こうした修正及び変形形態は、添付の請求項の範疇内に入ると意図される。この本技術は、当然変動し得る特別な方法、試薬、化合物、組成物、標識化化合物又は生物系に限定されないと理解されるべきである。その上、本明細書において使用されている用語法は、特別な態様のみを記載する目的であり、限定していると意図されないと理解されるべきである。したがって、本明細書は例証のみとして考えられると意図され、本技術の幅、範疇及び趣旨は、添付の請求項、そこの定義及びその任意の均等物によってのみ示される。
【0224】
本明細書において例示的に記載されている実施形態は、本明細書において具体的に開示されていない任意の要素(単数又は複数)、限定(単数又は複数)なしで適当に実践することができる。したがって、例えば、「含む」、「含める」、「含有する」等という用語は、広義に及び限定せずに読まれるものとする。加えて、本明細書において用いられる用語及び表現は、記載用語として使用されており、限定ではなく、こうした用語及び表現の使用において、表示及び記載されている特色又はその一部の任意の均等物を除外するという意図はないが、請求されている技術の範疇内で様々な修正が可能であることは認識される。加えて、「から本質的になること」という成句は、具体的に列挙されているような要素、並びに請求されている技術の基本的及び新規な特徴に実質的に影響しないような追加の要素を含むと理解される。「からなること」という成句は、特定されていない任意の要素を除外する。
【0225】
加えて、本開示の特色又は態様がマーカッシュグループに関して記載されている場合、当業者は、本開示がそれによって、マーカッシュグループの任意の個々のメンバー又はそのメンバーのサブグループに関しても記載されていることを認識されよう。包括的開示内に入る、より狭い種及び亜属の分類の各々も、本技術の一部を形成する。これは、削除された材料が本明細書において具体的に列挙されているか否かにかかわらず、任意の対象物を類概念から除く但し書き又は否定的な限定を有する本技術の包括的記載を含む。
【0226】
この明細書において参照されている全ての公報、特許出願、発行特許、及び他の文献(例えば、学術誌、記事及び/又は教科書)は、各個々の公報、特許出願、発行特許、又は他の文献が参照によりそれ全体が組み込まれると具体的に及び個々に示されているごとく、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれるテキストに含有される定義は、この開示における定義と矛盾する範囲については除外される。
【0227】
他の実施形態は、以下の請求項において、こうした請求項が権利を与えられるものと均等物の全範疇と一緒に説明されている。
【0228】
本発明は、特に、好ましい実施形態及び様々な代替実施形態を参照して表示及び記載されてきたが、形態及び詳細における様々な変化が、本発明の趣旨及び範疇から逸脱することなく、その中で行われ得ることが、関連技術分野における技能者によって理解されよう。
【0229】
本明細書の本体内で列挙されている全ての参照、発行特許及び特許出願は、本明細書によって参照によりそれら全体が全ての目的で組み込まれる。
【0230】
本発明は、実施形態及び実施例を参照して記載されてきたが、多数の及び様々な修正が本発明の趣旨から逸脱することなく行われ得ると、理解されるべきである。したがって、本発明は、以下の請求項によってのみ限定される。
【外国語明細書】