(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166233
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品の製造方法および金型
(51)【国際特許分類】
B29C 65/18 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B29C65/18
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024152929
(22)【出願日】2024-09-05
(62)【分割の表示】P 2021032385の分割
【原出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
(72)【発明者】
【氏名】内藤 章弘
(72)【発明者】
【氏名】上村 孝志
(72)【発明者】
【氏名】須佐 圭呉
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 孝治
(72)【発明者】
【氏名】西田 正三
(57)【要約】
【課題】ヒータを使用した樹脂成形品の製造技術において、さらなる性能の向上を図る。
【解決手段】樹脂成形品の製造方法は、樹脂成形品を構成する第1の部分を第1の金型に配置する工程、樹脂成形品を構成する第2の部分を第2の金型に配置する工程、第1の金型と第2の金型との間にヒータを挿入する工程、ヒータで第1の部分および第2の部分を部分的に加熱する工程、ヒータを退避する工程、第1の部分と第2の部分とを溶着する工程、第1の部分と第2の部分を含む樹脂成形品を取り出す工程を備える。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、樹脂成形品の製造装置:
前記樹脂成形品を構成する第1の部分が配置される第1の金型を装着可能な第1の金型装着部;
前記第1の金型装着部と対向する位置に配置された、前記樹脂成形品を構成する第2の部分が配置される第2の金型を装着可能な第2の金型装着部;
前記第1の金型と前記第2の金型によって形成されるキャビティ内に挿入されるように移動可能であり、前記第1の部分及び前記第2の部分を部分的に溶融して接合するためのヒータ;および
前記ヒータを揺動させるように構成されたヒータ揺動部。
【請求項2】
以下を含む、樹脂成形品の製造装置:
前記樹脂成形品を構成する第1の部分が配置される第1の金型を装着可能な第1の金型装着部;
前記第1の金型装着部と対向する位置に配置された、前記樹脂成形品を構成する第2の部分が配置される第2の金型を装着可能な第2の金型装着部;
前記第1の金型と前記第2の金型によって形成されるキャビティ内に挿入されるように移動可能であり、前記第1の部分及び前記第2の部分を部分的に溶融して接合するためのヒータ;および
前記ヒータから発生した熱に起因する対流を抑制する対流抑制部材。
【請求項3】
請求項2に記載の樹脂成形品の製造装置において、
前記樹脂成形品の製造装置は、前記ヒータをスライドさせるように構成されたヒータスライド機構を有し、
前記ヒータスライド機構は、前記ヒータと前記ヒータの外側に配置される外枠体とを含むスライドユニットをスライドさせる機構であり、
前記外枠体は、前記対流抑制部材として機能する。
【請求項4】
請求項2に記載の樹脂成形品の製造装置において、
前記第1の金型装着部と前記第2の金型装着部は、水平方向に対向配置されている。
【請求項5】
以下を含む、樹脂成形品の製造装置:
前記樹脂成形品を構成する第1の部分が配置される第1の金型を装着可能な第1の金型装着部;
前記第1の金型装着部と対向する位置に配置された、前記樹脂成形品を構成する第2の部分が配置される第2の金型を装着可能な第2の金型装着部;
前記第1の金型と前記第2の金型によって形成されるキャビティ内に挿入されるように移動可能であり、前記第1の部分及び前記第2の部分を部分的に溶融して接合するためのヒータ;
前記第1の部分の配置状態を監視可能に構成された第1の監視部;および
前記第2の部分の配置状態を監視可能に構成された第2の監視部。
【請求項6】
請求項5に記載の樹脂成形品の製造装置において、
前記第1監視部は、前記第1の部分の配置状態を撮像可能な第1の撮像部を含み、
前記第2監視部は、前記第2の部分の配置状態を撮像可能な第2の撮像部を含む。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造装置において、
前記第1の金型装着部は、固定されている一方、
前記第2の金型装着部は、可動可能に構成されている。
【請求項8】
(a)樹脂成形品を構成する第1の部分を第1の金型に配置する工程、
(b)前記樹脂成形品を構成する第2の部分を第2の金型に配置する工程、
(c)前記第1の金型と前記第2の金型との間にヒータを挿入する工程、
(d)前記ヒータで前記第1の部分および前記第2の部分を部分的に加熱する工程、
(e)前記(d)工程の後、前記ヒータを退避する工程、
(f)前記(e)工程の後、前記第1の部分と前記第2の部分とを溶着する工程、
(g)前記第1の部分と前記第2の部分を含む前記樹脂成形品を取り出す工程、
を備え、
前記(c)工程の前に、
前記第1の金型に配置された前記第1の部分を第1チャック部で固定する工程、
前記第2の金型に配置された前記第2の部分を第2チャック部で固定する工程、
を有し、
前記(f)工程の後、前記(g)工程の前に、前記第1チャック部による前記第1の部分の固定および前記第2チャック部による第2の部分の固定を解除する工程を有する、樹脂成形品の製造方法。
【請求項9】
(a)樹脂成形品を構成する第1の部分を第1の金型に配置する工程、
(b)前記樹脂成形品を構成する第2の部分を第2の金型に配置する工程、
(c)前記第1の金型と前記第2の金型との間にヒータを挿入する工程、
(d)前記ヒータで前記第1の部分および前記第2の部分を部分的に加熱する工程、
(e)前記(d)工程の後、前記ヒータを退避する工程、
(f)前記(e)工程の後、前記第1の部分と前記第2の部分とを溶着する工程、
(g)前記第1の部分と前記第2の部分を含む前記樹脂成形品を取り出す工程、
を備え、
前記(c)工程の前に、
前記第1の部分の配置状態を監視する工程、
前記第2の部分の配置状態を監視する工程、
を有する、樹脂成形品の製造方法。
【請求項10】
請求項11に記載の樹脂成形品の製造方法において、
前記第1の部分の配置状態を監視する工程は、第1の撮像装置を使用し、
前記第2の部分の配置状態を監視する工程は、第2の撮像装置を使用する、樹脂成形品の製造方法。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法において、
前記ヒータは、非接触ヒータから構成され、
前記(d)工程は、前記ヒータと前記第1の部分および前記第2の部分とを非接触にした状態で行われる、樹脂成形品の製造方法。
【請求項12】
請求項8~10のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法において、
前記ヒータは、加熱板から構成され、
前記(d)工程は、前記ヒータと前記第1の部分および前記第2の部分とを接触した状態で行われる、樹脂成形品の製造方法。
【請求項13】
樹脂成形品を構成する第1の部分と第2の部分とをヒータから供給される熱によって部分的に溶着させて接着することにより前記樹脂成形品を製造するように構成された樹脂成形品の製造装置に装着可能な金型であって、
前記ヒータから発生した熱に起因する対流を抑制する対流抑制部材を有する、金型。
【請求項14】
請求項13に記載の金型において、
前記対流抑制部材は、前記金型に取り付けられたカバーである、金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品の製造方法および金型に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-008404号公報(特許文献1)には、射出成形法の一種であるダイスライドインジェクション法(DSI法)に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内部に空洞を有する中空成形品を射出成形技術で製造する場合、中空成形品を一体的に製造するのではなく、射出成形技術で複数の部分成形品のそれぞれを製造した後、複数の部分成形品を接着することにより中空成形品を製造することが行われることがある。
【0005】
この技術では、例えば、複数の部分成形品を接着する際にも射出成形技術が使用される。すなわち、複数の部分成形品を接着するために接着剤を使用するのではなく、射出された溶融樹脂を接合部位に流し込んで複数の部分成形品を接着することが行われる。
【0006】
ところが、射出された溶融樹脂を接合部位に流し込んで複数の部分成形品を接着する方法では、複数の部分成形品の構成材料および結晶性の相違や接合部位に加わる熱量が少ないことなどに起因して充分な接着強度を得ることが困難である場合がある。
【0007】
そこで、例えば、複数の部分成形品を接着する技術として、射出された溶融樹脂を使用するのではなく、複数の部分成形品の間にヒータを挿入し、ヒータから発生する熱によって、複数の部分成形品自体の接合部位を溶融させた後、溶融させた接合部位に圧力を加えることによって、複数の部分成形品を接着する技術が開発されている。
【0008】
この点に関し、ヒータを使用して複数の部分成形品を接着する技術は、射出された溶融樹脂を使用して複数の部分成形品を接着する技術に比べて、充分な接合強度を得ることができる点で優れている。ただし、ヒータを使用した成形品の製造技術においても、さらなる性能の向上を図るための工夫が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態における樹脂成形品の製造装置は、第1の金型を装着可能な第1の金型装着部と、切り欠き部が設けられた第2の金型を装着可能な第2の金型装着部と、第1の金型と第2の金型によって形成されるキャビティ内に挿入されるように移動可能なヒータを備える。ここで、ヒータがキャビティの外部に移動した際に、ヒータと切り欠き部が平面視において重なる。
【0010】
一実施の形態における樹脂成形品の製造装置は、ヒータを揺動させるように構成されたヒータ揺動部を備える。
【0011】
一実施の形態における樹脂成形品の製造装置は、キャビティ内に挿入されたヒータから発生した熱に起因する対流を抑制する対流抑制部材を備える。
【0012】
一実施の形態における樹脂成形品の製造装置は、第1の金型装着部に第1の金型を装着し、かつ、第2の金型装着部に第2の金型を装着した場合において、互いに対向する第1の金型と第2の金型との間に取り付け可能なセンタリング機構であって、キャビティ内に挿入されたヒータの配置位置を第1の金型と第2の金型の間の中央部に調整することが可能なセンタリング機構を備える。
【0013】
一実施の形態における樹脂成形品の製造装置は、第1の部分の配置状態を監視可能に構成された第1の監視部と、第2の部分の配置状態を監視可能に構成された第2の監視部を備える。
【0014】
一実施の形態における樹脂成形品の製造方法は、樹脂成形品を構成する第1の部分を第1の金型に配置する工程と、樹脂成形品を構成する第2の部分を第2の金型に配置する工程とを備える。
【0015】
一実施の形態における金型は、ヒータの一部を配置可能な切り欠き部を有する。
【0016】
一実施の形態における金型は、樹脂成形品を構成する第1の部分を配置可能な凹部と、凹部に配置された第1の部分を固定可能なチャック部とを備える。
【0017】
一実施の形態における金型は、樹脂成形品を構成する第2の部分を配置可能な凹部と、凹部に配置された第2の部分を固定可能なチャック部とを備える。
【発明の効果】
【0018】
一実施の形態によれば、ヒータを使用した樹脂成形品の製造技術において、さらなる性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】射出成形技術でそれぞれ別々に製造された2つの部分成形品を接着して一体成形品を製造する技術を説明する図である。
【
図2】射出成形技術でそれぞれ別々に製造された2つの部分成形品を接着して一体成形品を製造する技術を説明する図である。
【
図3】(a)~(c)は、「DSI法」を説明する模式図である。
【
図4】「HP-DSI法」を実現する成形品製造システムの構成を示す図である。
【
図5】成形品製造システムの動作を説明する図である。
【
図6】成形品製造システムの動作を説明する図である。
【
図7】「HP-IWM」システムを模式的に示す図である。
【
図8】「HP-IWM」システムの動作の概要を説明するフローチャートである。
【
図12】成形品製造装置の構成を示す模式図である。
【
図13】ヒータの移動を示す平面図であり、(a)はヒータの挿入状態を示す図であり、(b)はヒータの退避状態を示す図である。
【
図14】成形品製造装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図15】成形品製造装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図16】成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図17】
図16に続く成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図18】金型に嵌め込まれた部分成形品を複数のチャック部で固定する状態を模式的に示す平面図である。
【
図19】チャック部による部分成形品の固定方法の一例を示す図である。
【
図20】チャック部による部分成形品の固定方法の一例を示す図である。
【
図21】チャック部による部分成形品の固定方法の他の一例を示す図である。
【
図22】チャック部による部分成形品の固定方法の他の一例を示す図である。
【
図23】成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図24】
図23に続く成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図25】
図24に続く成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図27】成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図28】
図27に続く成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図29】
図28に続く成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図30】
図29に続く成形品製造装置の動作を説明する図である。
【
図31】成形品製造装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図32】成形品製造装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図39】センタリング機構を設ける構成を説明する図である。
【
図40】非接触ヒータから構成されるヒータを固定する固定機構を示す図である。
【
図41】非接触ヒータから構成されるヒータを固定する固定機構として第3工夫点であるセンタリング機構を採用する構成例を示す図である。
【
図42】(a)および(b)は、センタリング機構の動作を示す図である。
【
図43】ラックピニオン式のセンタリング機構を示す図である。
【
図44】リンク機構方式のセンタリング機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0021】
<中空成形品の基本製造技術>
内部に空洞を有する中空成形品は、例えば、射出成形技術を使用して形成される。このとき、射出成形技術で中空成形品を一体的に製造することは少なく、ほとんどの中空成形品は、射出成形技術で製造された複数の部分成形品を組み合わせて製造されることが多い。
【0022】
例えば、
図1および
図2に示すように、射出成形技術でそれぞれ別々に製造された部分成形品1Aおよび部分成形品1Bを接着して一体成形品10が製造される。
【0023】
ここで、複数の部分成形品を接着する際にも射出成形技術が使用される。すなわち、複数の部分成形品を接着するために接着剤を使用するのではなく、射出された溶融樹脂を接合部位に流し込んで複数の部分成形品を接着することが行われる。このような成形技術の1つとして「ダイスライドインジェクション法」と呼ばれる技術がある。以下では、「ダイスライドインジェクション法」を「DSI法」と呼び、「DSI法」について説明する。
【0024】
<「DSI法」の説明>
図3(a)~(c)は、「DSI法」を説明する模式図である。
【0025】
図3(a)において、まず、部分成形品2Aを形成するための第1成形領域を有する金型20Aと、部分成形品2Bを形成するための第2成形領域を有する金型20Bを用意する。そして、金型20Aと金型20Bとを「型閉」した状態で溶融樹脂を流し込むことにより、金型20Aの第1成形領域に部分成形品2Aを形成するとともに、金型20Bの第2成形領域に部分成形品2Bを形成する。
【0026】
次に、
図3(b)に示すように、金型を開いた状態で金型20Bを金型20Aに対してスライドさせることにより、部分成形品2Aと部分成形品2Bとを対向する位置に配置する。その後、
図3(c)に示すように、金型20Aと金型20Bとを「型閉」した状態で、部分成形品2Aと部分成形品2Bとの接合部位に溶融樹脂を流し込む。これにより、部分成形品2Aと部分成形品2Bとが溶融樹脂で接着されて一体成形品が製造される。
【0027】
<「DSI法」に存在する改善の余地>
このような射出成形技術が、「DSI法」であるが、この「DSI法」では、以下に示すような改善の余地が存在する。すなわち、射出された溶融樹脂を接合部位に流し込んで部分成形品2Aと部分成形品2Bとを接着する「DSI法」では、部分成形品2Aや部分成形品2Bの構成材料および結晶性の相違や接合部位に加わる熱量が少ないことなどに起因して充分な接着強度を得ることが困難である場合がある。
【0028】
そこで、例えば、2つの部分成形品を接着する技術として、「DSI法」のように射出された溶融樹脂を使用するのではなく、2つの部分成形品の間にヒータを挿入し、ヒータから発生する熱によって、2つの部分成形品自体の接合部位を溶融させた後、溶融させた接合部位に圧力を加えることによって、2つの部分成形品を接着する技術が開発されている。この「DSI法」を改良した技術は、ヒータを使用することから、「ホットプレート-ダイスライドインジェクション法」と呼ばれる。
【0029】
以下では、「ホットプレート-ダイスライドインジェクション法」を「HP-DSI法」と呼び、この「HP-DSI法」について説明する。
【0030】
<「HP-DSI法」の説明>
図4は、「HP-DSI法」を実現する成形品製造システムの構成例を示す図である。
【0031】
図4において、成形品製造システム100は、移動可能な可動盤31に取り付けられた型締装置30を有する。この型締装置30は、可動盤31と固定盤35との間の距離を可変制御することができるように構成されている。そして、可動盤31と固定盤35との間には、可動型32と固定型33とが配置可能になっている。これにより、例えば、型締装置30によって、可動盤31と固定盤35との間の距離を可変制御することで、可動型32と固定型33との間の距離を近づけて「型閉」することができるとともに、可動型32と固定型33との間の距離を遠ざけて「型開」することができる。
【0032】
このとき、可動型32と固定型33との間を「型閉」すると、可動型32と固定型33との間に密閉空間が形成され、この密閉空間に樹脂を流し込むことにより、部分成形品が形成される。特に、
図4に示す成形品製造システム100では、可動型32と固定型33との間を「型閉」すると、互いに異なる位置に2つの密閉空間が形成され、例えば、一方の密閉空間に樹脂を流し込むことにより部分成形品45Aが形成されるとともに、他方の密閉空間に樹脂を流し込むことにより部分成形品45Bが形成される。
【0033】
可動型32にはスライド機構32Aが取り付けられており、このスライド機構32Aは、固定型33に対して可動型32の位置をスライドできるように構成されている。また、固定型33の内部には、ホットランナマニホールド(型内流路)34が形成されており、このホットランナマニホールド34に樹脂を流すことによって、可動型32と固定型33との間を「型閉」したときに形成される2つの密閉空間に樹脂が注入される。
【0034】
次に、
図4に示すように、固定盤35には、樹脂を押し出す射出装置41が接続されており、射出装置41から押し出された樹脂は、固定盤35を介して、固定型33の内部に形成されているホットランナマニホールド34に流れ込むようになっている。
【0035】
この射出装置41は、樹脂原料を入れるためのホッパ40と、シリンダ(バレル)38を有する。そして、ホッパ40に樹脂原料を入れると、この樹脂原料は、シリンダ38の内部に配置されている回転可能なスクリュ37で混練される。このとき、シリンダ38の周囲にはヒータ39が配置されており、シリンダ38の内部に入れられた樹脂原料は、ヒータ39で加熱されながら、スクリュ37で混練されて溶融樹脂となる。なお、シリンダ38の内部には、スクリュヘッド逆流防止リング36が設けられており、スクリュ37の前進時(射出時)に溶融樹脂の逆流が防止される。
【0036】
続いて、「HP-DSI法」を実現する成形品製造システム100を使用して成形品を製造する動作について簡単に説明する。
【0037】
まず、
図4において、可動盤31と固定盤35との間に可動型32と固定型33とを配置する。そして、型締装置30によって、可動盤31を固定盤35に近づけるように移動させることにより、可動型32と固定型33との間を「型閉」する。これにより、
図4に示すように、可動型32と固定型33との間に2つの密閉空間が形成される。
【0038】
次に、射出装置41のホッパ40から樹脂原料をシリンダ38の内部に投入し、投入された樹脂原料に対して、シリンダ38の周囲に配置されているヒータ39で加熱しながら、シリンダ38の内部に配置されているスクリュ37で樹脂原料を混練する。この結果、樹脂原料は、溶融樹脂となる。この溶融樹脂は、シリンダ38の内部から押し出される。押し出された溶融樹脂は、固定型33の内部に形成されているホットランナマニホールド34を介して、可動型32と固定型33との間に形成されている2つの密閉空間のそれぞれに注入される。この結果、一方の密閉空間で溶融樹脂が固化して部分成形品45Aが形成されるとともに、他方の密閉空間で溶融樹脂固化して部分成形品45Bが形成される。
【0039】
続いて、
図5に示すように、型締装置30によって、可動盤31を固定盤35から遠ざけるように移動させることにより、可動型32と固定型33との間を「型開」する。そして、スライド機構32Aによって、可動型32を固定型33に対してスライドさせる。これにより、部分成形品45Bが部分成形品45Aと対向する位置に配置される。
【0040】
その後、成形品製造システム100に備わるヒータスライド機構によって、ヒータ42を部分成形品45Aとスライドされた部分成形品45Bとの間に挿入する。すなわち、固定型33とスライドされた可動型32との間に形成されるキャビティ内にヒータ42が挿入される。そして、加熱したヒータ42から供給される熱によって、部分成形品45Aと部分成形品45Bとの接合部位となる部分が加熱されて溶融する。
【0041】
次に、ヒータスライド機構によって、ヒータ42を挿入位置から退避位置にスライドさせた後、型締装置30によって、可動盤31を固定盤35に近づけるように移動させることにより、可動型32と固定型33との間を「型閉」する。この結果、部分成形品45Aと部分成形品45Bとの溶融した接合部位となる部分に圧力が加わって部分成形品45Aと部分成形品45Bとが溶着する。そして、
図6に示すように、型締装置30によって、可動盤31を固定盤35から遠ざけるように移動させることにより、可動型32と固定型33との間を「型開」した後、部分成形品45Aと部分成形品45Bとを溶着して形成された一体成形品45を取り出す。
【0042】
以上のようにして、可動型32を固定型33に対してスライドさせた後、ヒータ42から供給される熱によって部分成形品45Aと部分成形品45Bとを部分的に溶融させて接着することにより一体成形品45を製造するという「HP-DSI法」が実現されることになる。このような「HP-DSI法」は、部分成形品45Aと部分成形品45Bとの接合部位に充分な熱量を供給できるとともに圧力を加えることができることから、「DSI法」に比べて充分な接合強度を得ることができる点で優れている。
【0043】
<「HP-DSI法」に存在する改善の余地>
本発明者は、さらに鋭意検討した結果、「HP-DSI法」においても改善の余地が存在することを新規に見出したので、以下では、この改善の余地について説明する。
【0044】
まず、第1の改善の余地について説明する。例えば、「HP-DSI法」では、射出成形技術によって、可動型32と固定型33との間に形成された2つの密閉空間のうちの一方の密閉空間に部分成形品45Aを形成するとともに、他方の密閉空間に部分成形品45Bを形成している。そして、一方の密閉空間に形成した部分成形品45Aと他方の密閉空間に形成した部分成形品45Bを取り外すことなく、部分成形品45Bをスライドさせた後、ヒータ42によって部分成形品45Aと部分成形品45Bとの接合部位を溶融させて接着することにより、一体成形品45を製造している。すなわち、「HP-DSI法」では、最初の工程から最後の工程まで、部分成形品45Aおよび部分成形品45Bは、可動型32と固定型33の間から取り外されることなく処理されている。
【0045】
ここで、部分成形品45Aや部分成形品45Bを構成する合成樹脂は収縮する傾向がある。このことから、部分成形品45Aおよび部分成形品45Bを可動型32と固定型33の間から取り外すことなく最初の工程から最後の工程まで処理する「HP-DSI法」では、途中の工程において合成樹脂の収縮が生じて、部分成形品45Aおよび部分成形品45Bが外れてしまうおそれがある。この場合、一体成形品50を製造することができなくなる。このように、「HP-DSI法」に存在する第1の改善の余地は、樹脂の収縮に起因して部分成形品45Aおよび部分成形品45Bが脱離しやすくなる点である。
【0046】
次に、第2の改善の余地について説明する。「HP-DSI法」では、例えば、部分成形品45Aと部分成形品45Bとを組み合わせて一体成形品45を製造する。この一体成形品45のサイズが大きい場合、「HP-DSI法」を実現する成形品製造システム100の大型化が必要とされる。特に、「HP-DSI法」では、可動型32を固定型33に対してスライドさせるスライド機構32Aを設ける必要がある。このため、一体成形品45のサイズの増大によって、スライド機構32Aも大型化する必要があり、このことは、成形品製造システム100の大型化に直結することを意味する。さらには、可動型32自体および固定型33自体も大きくする必要がある。したがって、「HP-DSI法」に存在する第2の改善の余地は、一体成形品45の大型化に伴って、可動型32自体および固定型33自体だけでなく、スライド機構32Aも大型化する必要がある結果、これらの構成要素を含む成形品製造システム100の大型化を招きやすくなる点である。
【0047】
そこで、本実施の形態では、上述した第1の改善の余地や第2の改善の余地を克服するための工夫を施している。以下では、この工夫を施した技術的思想について説明する。
【0048】
本実施の形態における技術的思想は、「ホットプレート-インジェクションウェルディングモールド法:Hot Plate-Injection Welding Mold」と呼ばれる技術で実現される。以下では、「ホットプレート-インジェクションウェルディングモールド法」を「HP-IWM法」と呼び、この「HP-IWM法」について説明する。
【0049】
<「HP-IWM法」の説明>
<<「HP-IWM」システムの概要>>
図7は、「HP-IWM」システムを模式的に示す図である。
【0050】
図7において、「HP-IWM」システム150は、射出成形装置160と、射出成形装置170と、取出装置160Aと、取出装置170Aと、コンベア160Bと、コンベア170Bと、ロボットアーム180と、成形品製造装置200と、コンベア190とを有している。
【0051】
射出成形装置160は、部分成形品50Aを製造するように構成されており、射出成形装置160で製造された部分成形品50Aは、取出装置160Aで射出成形装置160から取り出されて、コンベア160Bで搬送される。
【0052】
同様に、射出成形装置170は、部分成形品50Bを製造するように構成されており、射出成形装置170で製造された部分成形品50Bは、取出装置170Aで射出成形装置170から取り出されて、コンベア170Bで搬送される。
【0053】
ロボットアーム180は、コンベア160Bで搬送されてきた部分成形品50Aを成形品製造装置200に搬送するとともに、コンベア170Bで搬送されてきた部分成形品50Bを成形品製造装置200に搬送するように構成されている。
【0054】
成形品製造装置200は、ロボットアーム180で搬送されてきた部分成形品50Aと部分成形品50Bをそれぞれ金型に嵌め込み、金型に嵌め込まれた部分成形品50Aと部分成形品50Bに対して、ヒータから供給される熱を加えることによって、部分成形品50Aと部分成形品50Bとを部分的に溶融させて接着することで、一体成形品50を製造するように構成されている。
【0055】
そして、ロボットアーム180は、さらに、成形品製造装置200で製造された一体成形品50を成形品製造装置200からコンベア190に搬送する機能も有している。
【0056】
次に、「HP-IWM」システム150の動作の概要について説明する。
【0057】
図8は、「HP-IWM」システムの動作の概要を説明するフローチャートである。
【0058】
図8において、射出成形装置160では、部分成形品50Aの成形が行われた後(S11)、成形された部分成形品50Aが取出装置160Aで射出成形装置160から取り出される(S12)。そして、取出装置160Aで取り出された部分成形品50Aは、コンベア160Bで搬送される(S13)。
【0059】
同様に、
図8において、射出成形装置170では、部分成形品50Bの成形が行われた後(S21)、成形された部分成形品50Bが取出装置170Aで射出成形装置170から取り出される(S22)。そして、取出装置170Aで取り出された部分成形品50Bは、コンベア170Bで搬送される(S23)。
【0060】
続いて、コンベア160Bで搬送されてきた部分成形品50Aは、ロボットアーム180によって、成形品製造装置200に搬入されるとともに、コンベア170Bで搬送されてきた部分成形品50Bも、ロボットアーム180によって、成形品製造装置200に搬入される。その後、成形品製造装置200において、部分成形品50Aおよび部分成形品50Bのそれぞれは、金型に嵌め込まれる(S31)。そして、成形品製造装置200においては、金型に嵌め込まれた部分成形品50Aおよび部分成形品50Bのそれぞれの接合部位となる部分に対して、ヒータによる加熱が行われる(S32)。この結果、部分成形品50Aおよび部分成形品50Bのそれぞれの接合部位となる部分が溶融する。そして、成形品製造装置200では、溶融した部分を溶着させることにより(S33)、部分成形品50Aと部分成形品50Bとを接着して一体成形品50を製造する。
【0061】
成形品製造装置200で製造された一体成形品50は、成形品製造装置200から取り出された後(S34)、ロボットアーム180でコンベア190に搬送される。
【0062】
このようにして、「HP-IWM」システム150によれば、一体成形品50を製造することができる。
【0063】
<<「HP-IWM」システムの詳細>>
<<<射出成形装置の構成>>>
図9は、射出成形装置160、170の主要部分の構成を示す図である。
【0064】
図9において、射出成形装置160は、タイバー51に接続された可動盤52と固定盤53とを有し、タイバー51に接続された可動盤52は移動可能に構成されている。可動盤52と固定盤53との間には、可動型54と固定型55が配置可能になっている。これにより、射出成形装置160では、可動盤52と固定盤53との間の距離を可変制御することで、可動型54と固定型55との間の距離を近づけて「型閉」することができるとともに、可動型54と固定型55との間の距離を遠ざけて「型開」することができる。
【0065】
このとき、可動型54と固定型55との間を「型閉」すると、可動型54と固定型55との間に密閉空間が形成され、この密閉空間に樹脂を流し込むことにより、部分成形品50Aが形成される。特に、固定型55の内部には、ホットランナマニホールド(型内流路)56が形成されており、このホットランナマニホールド56に樹脂を流すことによって、可動型54と固定型55との間を「型閉」したときに形成される密閉空間に樹脂を注入することができる。
【0066】
次に、
図9に示すように、固定型55には、射出装置41が接続されている。射出装置41は、スクリュの回転と前後進の機能を有しており、樹脂を可塑化溶融、計量、射出することができる。射出装置41から射出された樹脂は、固定型55の内部に形成されているホットランナマニホールド56に流れ込むようになっている。
【0067】
この射出装置41は、樹脂原料を入れるためのホッパ61と、シリンダ(バレル)59を有する。そして、ホッパ61に樹脂原料を入れると、この樹脂原料は、シリンダ59の内部に配置されている回転可能なスクリュ58で混練される。このとき、シリンダ59の周囲にはヒータ60が配置されており、シリンダ59の内部に入れられた樹脂原料は、ヒータ60で加熱されながら、スクリュ58で混練されて溶融樹脂となる。なお、シリンダ59の内部には、スクリュヘッド逆流防止リング57が設けられており、スクリュ58の前進時(射出時)に溶融樹脂の逆流が防止される。
【0068】
さらに、
図9に示すように、射出成形装置160には、製造された部分成形品50Aを取り出すための取出装置160Aが取り付けられており、この取出装置160Aには、部分成形品50Aを吸着するためのチャック62が設けられている。
【0069】
<<<射出成形装置の動作>>>
続いて、射出成形装置160の動作について説明する。
【0070】
まず、
図9において、可動盤52と固定盤53との間に可動型54と固定型55とを配置する。そして、射出成形装置160において、可動盤52を固定盤53に近づけるように移動させることにより、可動型54と固定型55との間を「型閉」する。これにより、
図9に示すように、可動型54と固定型55との間に密閉空間が形成される。
【0071】
次に、射出装置41のホッパ61から樹脂原料をシリンダ59の内部に投入し、投入された樹脂原料に対して、シリンダ59の周囲に配置されているヒータ60で加熱しながら、シリンダ59の内部に配置されているスクリュ58で樹脂原料を混練する。この結果、樹脂原料は、溶融樹脂となる。この溶融樹脂は、スクリュの後退によりシリンダ59の内部に計量され、スクリュの前進により射出される。射出された溶融樹脂は、固定型55の内部に形成されているホットランナマニホールド56を介して、可動型54と固定型55との間に形成されている密閉空間に注入される。この結果、密閉空間で溶融樹脂が固化して部分成形品50Aが形成される。
【0072】
続いて、
図10に示すように、射出成形装置160において、可動盤52を固定盤53から遠ざけるように移動させることにより、可動型54と固定型55との間を「型開」する。その後、
図11に示すように、取出装置160Aに設けられているチャック62によって、部分成形品50Aを吸着する。そして、チャック62に吸着された部分成形品50Aは、例えば、
図7に示すコンベア160Bに載せられて搬送される。
【0073】
<<<成形品製造装置の構成>>>
図12は、成形品製造装置200の外観構成を示す模式図である。
【0074】
図12において、成形品製造装置200は、専用装置として提供できるだけでなく、例えば、汎用のプレス装置を改造することにより提供することもできる。具体的には、汎用のプレス装置に金型、ヒータ、ヒータスライド機構およびヒータスライド制御部を搭載することにより実現できる。この成形品製造装置200は、ヒータから供給される熱によって2つの部分成形品を部分的に溶融させて接着することにより一体成形品を製造するように構成されており、以下の構成を有している。
【0075】
成形品製造装置200は、金型70Aと、金型70Bと、接触/非接触制御部71と、ヒータ72と、ヒータスライド機構73と、ヒータスライド制御部74を有している。
【0076】
金型70Aは、例えば、一方の射出成形装置で製造された部分成形品250Aを嵌め込むことができるように構成されており、ステージに固定されている。したがって、金型70Aは、ステージに固定された固定金型ということができる。このステージは、金型70Aを装着する金型装着部75Aとして機能する。特に、金型70Aには、凹部が形成されており、この凹部に部分成形品250Aが嵌め込まれる。
【0077】
金型70Bは、例えば、他方の射出成形装置で製造された部分成形品250Bを嵌め込むことができるように構成されている。そして、金型70Bは、金型70Aと対向する位置に配置されて、固定された金型70Aと金型70Bの間の距離を変えられるように可動することができるようになっている。したがって、金型70Bは、可動することができる可動金型ということができる。この金型70Bは、金型装着部75Bに装着される。特に、金型70Bには、凹部が形成されており、この凹部に部分成形品250Bが嵌め込まれる。
【0078】
接触/非接触制御部71は、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aと金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bとの間の接触/非接触を制御するように構成されている。具体的に、接触/非接触制御部71は、金型70Aと金型70Bとの間の「型閉」/「型開」を制御することによって、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間の接触/非接触を制御する。例えば、接触/非接触制御部71は、金型70Bの移動を制御することによって、金型70Aと金型70Bとの間の「型閉」/「型開」を制御することができるように構成されている。この接触/非接触制御部71は、金型装着部75Aと金型装着部75Bとの間の距離を可変制御する可変制御部ということもできる。
【0079】
ヒータ72は、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aと金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bとの間に挿入可能なように構成されており、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間に挿入した状態で、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの接合部位となる部分を加熱することができるように構成されている。
【0080】
言い換えれば、ヒータ72は、部分成形品250Aを配置した金型70Aと部分成形品250Bを配置した金型70Bとの間に形成されたキャビティ内に挿入されるように移動可能に構成されており、キャビティ内にヒータ72を挿入した状態で、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの接合部位となる部分を加熱できるように構成されている。
【0081】
ヒータスライド機構73は、金型70A、金型70B、金型装着部75A、金型装着部75Bのいずれかに固定されており、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間にヒータ72を挿入したり、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間からヒータ72を退避させるために、ヒータ72をスライドさせるように構成されている。すなわち、ヒータスライド機構73は、ヒータ72を挿入位置と退避位置との間でスライド可能に構成されている。ヒータスライド機構73は、ヒータスライド制御部74で制御される。
【0082】
図12において、ステージ75A上に金型70Aが配置されており、この金型70Aに部分成形品(第1ワーク)250Aが嵌め込まれている。一方、金型70Aと対向する位置に金型70Bが配置されており、この金型70Bに部分成形品(第2ワーク)250Bが嵌め込まれている。そして、接触/非接触制御部71は、ステージ75Bの移動により金型70Bの移動を制御するように構成されている。つまり、接触/非接触制御部71は、金型70Bの移動を制御することにより、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aと金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bとの間の距離あるいは接触/非接触を制御するように構成されている。言い換えれば、接触/非接触制御部71は、金型70Aと金型70Bと間の距離あるいは「型閉」/「型開」を制御する機能を有する。
【0083】
次に、成形品製造装置200は、ヒータ72を有している。このヒータ72は、ヒータスライド機構73と接続されており、ヒータスライド機構73によって、
図12の矢印方向(水平方向)にスライドすることができるようになっている。具体的に、ヒータスライド制御部74は、ヒータスライド機構73およびヒータの温度や出力などを制御するように構成されている。ヒータスライド制御部74によるヒータスライド機構73の制御によって、ヒータ72は、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間に挿入されたり、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間から退避するようになっている。
【0084】
例えば、
図13(a)および
図13(b)は、
図12の上部から見た図であり、ヒータ72の移動を模式的に示す平面図である。ヒータ72は、金型70Bと平面的に重なる挿入位置(
図13(a))と金型70Bと平面的に重ならない退避位置(
図13(b))との間をスライド可能に構成される。ここで、
図13(a)に示すように、ヒータ72を金型70Bと平面的に重なる挿入位置に配置した場合、部分成形品250Bと部分成形品250Aの溶着部位にヒータ72による加熱位置が重なるようになっている。これにより、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの接合部位となる部分をヒータ72で加熱することができる。以上のようにして、成形品製造装置200が構成されている。
【0085】
<<<ヒータの種類>>>
ここで、「HP-IWM法」で使用されるヒータ72は、非接触ヒータから構成してもよいし、接触ヒータから構成してもよい。非接触ヒータとしては、例えば、カーボンヒータやハロゲンヒータを挙げることができるが、赤外線、近赤外線などを照射して部分成形品を非接触で加熱できるヒータであれば、種類は問わない。一方、接触ヒータとしては、加熱板を挙げることができる。加熱板は、例えば、鉄やアルミ、真鍮、銅などの金属製の板をカートリッジヒータで加熱したものや、発熱体をアルミナや窒化ケイ素などのセラミックにより挟んで絶縁したセラミックヒータ、発熱体を耐熱フィルムにより挟んで絶縁したフィルム状ヒータなど、溶着部を加熱できるものであれば、種類は問わない。
【0086】
非接触ヒータを使用する利点としては、部分成形品と接触しないため、クリーンな状態で加熱できる利点が得られる一方、温度調整が難しい。この点に関し、接触ヒータでは、非接触ヒータよりも温度調整が容易であるという利点が得られる。
【0087】
非接触ヒータおよび接触ヒータは、ともに部分成形品の投影面全体を加熱できるような形状としても良いし、部分成形品の溶着部のみを選択的に加熱できるような形状としても良い。一方で、溶着部の中にヒータで加熱できないところがあると、非加熱部の樹脂が溶融せず、その部分が接合されない。また、溶着部の中にヒータで選択的に強く加熱される部分があると、その部分の樹脂が分解して強度が低下する。そのため、ヒータは、その形状と出力特性などを調整して、溶着部を均一に加熱する機能が求められる。
【0088】
以下では、成形品製造装置200の詳細動作について説明するが、ヒータ72が非接触ヒータの場合と接触ヒータの場合で動作が異なる。このことから、まず、ヒータ72を非接触ヒータから構成する場合の動作について説明した後、ヒータ72を接触ヒータから構成する場合の動作について説明することにする。
【0089】
<<<成形品製造装置の動作(非接触ヒータの場合)>>>
図14および
図15は、成形品製造装置の動作を説明するフローチャートである。
【0090】
まず、
図16に示すように、金型70Aに部分成形品250Aを嵌め込むとともに(
図14のS101)、金型70Bに部分成形品250Bを嵌め込む(
図14のS102)。その後、
図17に示すように、接触/非接触制御部71による制御によって、金型70Bを下方移動させることにより、金型70Aと金型70Bとを部分成形品250Aと部分成形品250Bとの接合部分が密着する位置まで「型閉」する(
図14のS103)。
【0091】
次に、部分成形品250A、250Bをチャック部で固定する。具体的に、
図18は、金型に嵌め込まれた部分成形品を複数のチャック部で固定する状態を模式的に示す平面図である。
図18において、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aは、複数のチャック部80Aで固定される(
図14のS104)。同様に、金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bは、複数のチャック部80Bで固定される(
図14のS105)。例えば、金型70Aは、部分成形品250Aを固定する複数のチャック部80Aを有している。同様に、金型70Bは、部分成形品250Bを固定する複数のチャック部80Bを有している。チャックの数は、成形品の大きさにより、適宜決めることができる。また、部分成形品250Aの固定(S104)と部分成形品250Bの固定(S105)は同時に行ってもよい。
【0092】
例えば、
図19および
図20は、チャック部による部分成形品の固定方法の一例を示す図である。
図19に示すように、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aの先端部には鍔90が設けられている。そして、チャック部80Aは、部分コア81とエアシリンダ82から構成されている。このとき、
図19および
図20に示すように、エアシリンダ82による押出力によって部分コア81を鍔90に嵌め込むことにより、部分成形品250Aをチャック部80Aで固定することができる。
【0093】
また、
図21および
図22は、チャック部80Aによる部分成形品250Aの固定方法とチャック部80Bによる部分成形品250Bの固定方法の他の一例を示す図である。
図21に示すように、チャック部80Aは、部分コア83Aとエアシリンダ84Aとを有し、部分コア83Aとエアシリンダ84Aが接続されている。同様に、チャック部80Bは、部分コア83Bとエアシリンダ84Bとを有し、部分コア83Bとエアシリンダ84Bが接続されている。そして、部分コア83Aの先端部および部分コア83Bの先端部は、押し付けやすく抜けやすい「ノコ刃形状」をしている。このとき、
図21および
図22に示すように、エアシリンダ84Aによる押出力によって、部分コア83Aを部分成形品250Aの端部に押し付けることにより、部分成形品250Aをチャック部80Aで固定することができる。同様に、エアシリンダ84Bによる押出力によって、部分コア83Bを部分成形品250Bの端部に押し付けることにより、部分成形品250Bをチャック部80Bで固定できる。
【0094】
この際、エアシリンダの出入状態をリミットスイッチにより確認することで、部分成形品250Aおよび部分成形品250Bのチャック状態を監視できる。チャック機構は、
図19と
図21のどちらか1種類を使っても良いし、複数種類を組合せて使っても良い。また、部分成形品をチャックできる機構であれば、他の機構を用いても良い。例えば、エアシリンダ84A、84Bを油圧シリンダとしてもよい。また、バネの弾性力によって、部分コア83A、83Bを部分成形品250A、250Bの端部に押し付けてもよい。あるいは、部分コア83A、83Bをモータで移動させてもよい。
【0095】
続いて、接触/非接触制御部71による制御によって、金型70Bを上方移動させることにより、金型70Aと金型70Bとを「型開」する(
図14のS106)。その後、
図23に示すように、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aの嵌め込み状態を監視部91で監視するとともに(
図14のS107)、金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bの嵌め込み状態を監視部91で監視する(
図14のS108)。
【0096】
具体的に、監視部91は、撮像装置92Aと、撮像装置92Bと、監視制御部93とを有する。撮像装置92Aは、部分成形品250Aの嵌め込み状態を撮像するように構成されているとともに、撮像装置92Bは、部分成形品250Bの嵌め込み状態を撮像するように構成されている。そして、監視制御部93は、撮像装置92Aで撮像した画像に基づいて、部分成形品250Aの嵌め込み状態が良好であるか否かを監視するとともに、撮像装置92Bで撮像した画像に基づいて、部分成形品250Bの嵌め込み状態が良好であるか否かを監視するように構成されている。撮像装置92Aおよび撮像装置92Bとしては、市販の金型の状態監視用のカメラなどを使用することができる。また、撮像装置92A、92Bは、部分成形品250A、250Bの状態を1台の装置で監視しても良いし、部分成形品250Aあるいは部分成形品250Bの状態を複数の装置で一部分ずつ分割して監視しても良い。
【0097】
これにより、例えば、監視部91によって、部分成形品250Aの嵌め込み状態および部分成形品250Bの嵌め込み状態が良好であると判断された場合、成形品製造装置200の動作を継続する。これに対し、監視部91によって、少なくとも部分成形品250Aの嵌め込み状態あるいは部分成形品250Bの嵌め込み状態のいずれか一方が良好でないと判断された場合、成形品製造装置200の動作を停止するという措置を取ることができる。これにより、不良品の作り込みの防止あるいは金型の破損の防止が期待できる。
【0098】
次に、
図24に示すように、接触/非接触制御部71による制御によって、金型70Bをわずかに下方移動させることにより、金型70Aと金型70Bとを途中まで「型閉」する(
図14のS109)。そして、ヒータスライド制御部74によってヒータスライド機構73を制御することにより、ヒータ72をスライドさせて、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間に挿入する(
図14のS110)。
【0099】
そして、ヒータ72を加熱する(
図14のS111)。これにより、ヒータ72から供給される熱で、部分成形品250Aと部分成形品250Bの接合部位となる部分が溶融する。その後、
図25に示すように、ヒータスライド制御部74によってヒータスライド機構73を制御することにより、ヒータ72をスライドさせて、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間からヒータ72を退避させる(
図15のS112)。
【0100】
続いて、接触/非接触制御部71による制御によって、金型70Bを下方移動させることにより、金型70Aと金型70Bとを完全に「型閉」する(
図15のS113)。このとき、
図26に示すように、例えば、タイマで計測した所定時間の間だけ所定圧力で加圧するかあるいは所定量の押し込みを行う。これにより、溶融した樹脂に湧き出しが発生して部分成形品250Aと部分成形品250Bの接合部分が溶着する。この結果、部分成形品250Aと部分成形品250Bとが一体化して一体成形品50となる。
【0101】
次に、
図27に示すように、チャック部80Aによる一体成形品50の固定を解除する(
図15のS114)。そして、
図28に示すように、接触/非接触制御部71による制御によって、金型70Bを上方移動させることにより、金型70Aと金型70Bとを「型開」するとともに、油圧突き出しピン95によって、一体成形品250を押し上げる(
図15のS115)。その後、
図29に示すように、チャック部80Bによる一体成形品50の固定を解除する(
図15のS116)。続いて、
図30に示すように、イジェクタピン96を突き出すことにより、最終的に一体成形品250を取り出す(
図15のS117)。
【0102】
なお、チャック部80A、80Bを外す順番は、これに限定されない。本例ではチャック部80Aによる固定を先に解除したが、A側とB側を入れ替えて、チャック部80Bによる固定を先に解除しても良い。
【0103】
以上のようにして、本実施の形態における成形品製造装置200を動作させることにより、一体成形品250を製造することができる。
【0104】
<<<成形品製造装置の動作(接触ヒータの場合)>>>
続いて、ヒータ72を接触ヒータから構成する場合の動作について説明する。特に、ヒータ72を加熱板から構成する例を取り上げて説明する。
【0105】
図31および
図32は、成形品製造装置の動作を説明するフローチャートである。
【0106】
図31および
図32に示すフローチャートは、
図14および
図15に示すフローチャートとほぼ同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0107】
まず、ステップS101~ステップS110までは同様である。これにより、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間にヒータ72が挿入される(
図31のS110)。このとき、ヒータ72と部分成形品250Aおよび部分成形品250Bとの間には隙間が存在している。言い換えれば、ヒータ72は、部分成形品250Aおよび部分成形品250Bと非接触の状態にある。
【0108】
次に、接触/非接触制御部71による制御によって、金型70Bを下方移動させることにより、金型70Aと金型70Bとを「型閉」する。これにより、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間にヒータ72が接触して挟まれる。このときの「型閉」は、ヒータ72を損傷しないように押圧力が弱くなるように調整される。
【0109】
そして、ヒータ72を部分成形品250Aおよび部分成形品250Bに接触させた状態で加熱する。これにより、部分成形品250Aと部分成形品250Bの接合部位となる部分が溶融する(
図32のS201)。
【0110】
その後、、接触/非接触制御部71による制御によって、金型70Bを上方移動させることにより、金型70Aと金型70Bとを「型開」する(
図32のS202)。続いて、ヒータスライド制御部74によってヒータスライド機構73を制御することにより、ヒータ72をスライドさせて、部分成形品250Aと部分成形品250Bとの間からヒータ72を退避させる(
図32のS112)。
【0111】
その後の工程は、同様である。このようにして、本実施の形態における成形品製造装置200を動作させることにより、一体成形品250を製造することができる。
【0112】
<実施の形態における特徴>
次に、本実施の形態における特徴点について説明する。
【0113】
本実施の形態における第1特徴点は、ヒータから供給される熱によって2つの部分成形品を部分的に溶融させて接着することにより一体成形品を製造する技術において、部分成形品を金型に嵌め込む工程を有する点にある。これにより、たとえ部分成形品を構成する樹脂に収縮が生じても、金型から部分成形品が外れてしまうことを抑制できる。
【0114】
例えば、「HP-DSI法」では、最初の工程から最後の工程まで、部分成形品は金型から取り外されることなく処理されている。ところが、部分成形品を構成する合成樹脂は収縮する性質を有している。このことから、部分成形品を金型から取り外すことなく最初の工程から最後の工程まで処理すると、途中の工程において合成樹脂の収縮が生じて、部分成形品が金型から外れてしまう可能性がある。
【0115】
この点に関し、本実施の形態では、他の装置で製造された部分成形品を金型に嵌め込んでいる。この場合、部分成形品を構成する樹脂の収縮を考慮して金型を設計することができることから、金型から部分成形品が外れてしまう可能性を低減できる。この結果、本実施の形態によれば、一体成形品の製造歩留まりを向上することができる。
【0116】
本実施の形態では、部分成形品を構成する合成樹脂の収縮に起因して、部分成形品が金型から外れてしまうことを抑制するためのさらなる工夫を施している。
【0117】
本実施の形態における第2特徴点は、例えば、
図18~
図22に示すように、金型に嵌め込まれた部分成形品を固定するチャック部を設けている点にある。これにより、本実施の形態によれば、たとえ金型から部分成形品が外れようとしても、部分成形品はチェック部で固定されているため、金型から部分成形品がはずれてしまうことを効果的に抑制することができる。この結果、本実施の形態における第2特徴点によれば、金型から部分成形品が外れてしまう可能性を低減できることから、一体成形品の製造歩留まりのさらなる向上を図ることができる。
【0118】
次に、本実施の形態における第3特徴点は、例えば、
図23に示すように、部分成形品の嵌め込み状態を監視するように構成された監視部を有する点にある。これにより、仮に金型から部分成形品が外れている場合であっても、監視部によって検知することができる。そして、例えば、監視部が部分成形品の浮きなどの異常を検知した場合、製造ラインを停止することも可能となる。このことから、本実施の形態における第3特徴点によれば、不良品の作り込みを未然に防止することができるため、この点からも一体成形品の製造歩留まりのさらなる向上を図ることができる。
【0119】
<ヒータの重要性>
本実施の形態における技術的思想は、ヒータから供給される熱によって複数の部分成形品のそれぞれの接合部位となる部分を溶融させて接着することにより一体成形品を製造する技術的思想である。そして、この技術的思想を具現化する成形品製造装置において、成形品製造装置の性能を向上させるためにはヒータが重要な役割を有する。
【0120】
そこで、本実施の形態では、ヒータに着目して、ヒータに関する様々な工夫を施すことにより、成形品製造装置の性能を向上している。
【0121】
以下では、ヒータに関する様々な工夫点について説明する。上述した本実施の形態における技術的思想は、主に、「HP-IWM法」に関する思想であるが、これから説明するヒータに関する工夫点は、ヒータを使用する成形品の製造方法に幅広く適用することができる。このことから、以下に示すヒータに関する様々な工夫点は、「HP-IWM法」を実現する成形品製造装置だけでなく、「HP-DSI法」を実現する成形品製造装置にも幅広く適用することができる。ただし、以下では、特に、「HP-IWM法」を実現する成形品製造装置を想定して説明することにする。
【0122】
<第1工夫点>
<<改善の余地>>
図33は、改善の余地を説明する図である。
【0123】
図33において、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aと金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bとの接合部位となる部分は、金型70Aと金型70Bとの間に挿入されたヒータ72によって加熱されることによって溶融する。その後、溶融した部分を溶着するためには、ヒータ72が邪魔となることから、例えば、
図33に示すように、ヒータ72は、金型70Aおよび金型70Bの外側に退避される。
【0124】
このとき、ヒータ72を金型70Aおよび金型70Bに接触しない位置に確実に退避させるためには、
図33に示すストロークL1を長く取る必要がある。ただし、ストロークL1を長くすると、装置の全長が長くなり成形品製造装置の大型化を招くことになる。また、ストロークL1が長くなるということは、ヒータ72を挿入位置と退避位置との間でスライドさせるサイクル時間が長くなることを意味し、このことは、スループットの低下を招くことにつながる。さらには、ヒータ72のスライド距離が長くなることになり、ヒータ72を支持する支持部のブレ(撓み)も大きくなる。このことは、ヒータ72による接合部位での均一加熱が困難になることを意味する。以上のことから、ヒータ72をスライドさせるストロークはできるだけ短いことが望ましい。
【0125】
<<解決手段>>
そこで、本実施の形態では、ヒータ72をスライドさせるストロークをできるだけ短くするための工夫を施している。以下では、この工夫点について説明する。
【0126】
【0127】
図34において、例えば、金型70Bには、切り欠き部300が設けられている。この切り欠き部300は、ヒータ72の待機場所(退避場所)として機能する。すなわち、ヒータ72が金型70Aと金型70Bによって形成されるキャビティの外部の待機場所に移動した際、ヒータ72と切り欠き部300が平面視において重なる。このように第1工夫点とは、ヒータ72の退避場所となる切り欠き部300を金型70Bに設ける点である。ただし、切り欠き部300は、金型70Bに設けるのではなく、金型70Aに設けるようにしてもよいし、金型70Bおよび金型70Aの両方に設けてもよい。
【0128】
図34に示すように、切り欠き部300を設けることにより、ヒータ72をスライドさせるストロークL2は、切り欠き部300を設けない
図33に示すストロークL1よりも短くなる。これにより、第1工夫点によれば、ストロークL2が短くなる結果、装置の全長を短くすることができ、これによって、成形品製造装置の大型化を抑制できる。
【0129】
また、ヒータ72の挿入位置と退避位置とが近づく結果、ヒータ72を往復スライドさせるサイクル時間を短縮することができる。このことは、スループットの向上につながることを意味する。さらには、ヒータ72の挿入位置から退避位置へのスライド時間が短くなるということは、ヒータ72を退避させた後に実施される溶融部位の溶着までの時間が短くなることを意味する。そして、溶融部位の溶着までの時間が短くなるということは、溶融部位の温度低下を抑制できることを意味する。この結果、高温の状態を維持して溶融部位の溶着を行うことができる。このことから、第1工夫点によれば、溶融部位の接合信頼性を向上することもできる。
【0130】
さらには、ヒータ72を支持する支持部(例えば、支持アーム)の長さを短くすることができることから、支持部のブレ(撓み)を抑制できる。この結果、第1工夫点によれば、接合部位となる部分での均一加熱を実現できる。
【0131】
以上のように、金型70Bに切り欠き部300を設けるという第1工夫点によれば、ヒータ72のスライド時間を短縮できる。この結果、第1工夫点によれば、(1)成形品製造装置の大型化の抑制、(2)スループットの向上による一体成形品の製造効率の向上、(3)溶融部位の温度低下の抑制および均一加熱の実現による接合部位の接合信頼性の向上という今までの技術では得ることができない顕著な効果を簡単な構成で実現できる。このように、第1工夫点は、コストをかけずに大きな効果を得ることができる点で非常に優れた技術的意義を有しているということができる。
【0132】
<第2工夫点>
<<改善の余地>>
今までの説明では、主に、垂直方向に金型70Aと金型70Bを対向配置する構成(「垂直構成」と呼ぶ)を前提としていたが、例えば、水平方向に金型70Aと金型70Bを対向配置する構成(「水平構成」と呼ぶ)も考えられる。
【0133】
特に、第2工夫点は、「水平構成」で顕在化する改善の余地に対する工夫点である。以下では、まず、「水平構成」で特に顕在化する改善の余地について説明する。
【0134】
【0135】
図35において、金型70Aと金型70Bが水平方向に対向配置されている。そして、金型70Aと金型70Bとの隙間にヒータ72が挿入されている。この状態で、ヒータ72を加熱すると、下側から隙間に冷たい空気が流れ込み、流れ込んだ冷たい空気は、ヒータ72で暖められる。暖められた空気は、隙間の上側に向かって流れる。このように、金型70Aと金型70Bとの隙間に挿入されたヒータ72が加熱すると、隙間に存在する空気に対流が生じる結果、隙間の下側と上側で温度差が生じる。すなわち、隙間に温度分布が生じてしまう。隙間にこのような温度分布が生じると、均一な加熱ができなくなる結果、溶融部位の溶着に悪影響を及ぼすことになる。したがって、金型70Aと金型70Bとの隙間に挿入されたヒータ72を加熱しても、隙間の温度差が小さいことが望ましい。つまり、隙間の温度の不均一性の原因である空気の対流を抑制することが望まれている。
【0136】
<<第1解決手段>>
そこで、本実施の形態では、金型70Aと金型70Bとの隙間の温度均一性を向上させるための工夫を施している。以下では、この工夫点について説明する。
【0137】
【0138】
図36において、金型70Aと金型70Bとの隙間に挿入可能なヒータ72には、揺動機構400が連結されている。この揺動機構400は、例えば、ヒータを前後方向に移動させるように構成された前後進機構410と、回転可能なモータ420と、モータに取り付けられた偏心カム430とを有している。これにより、揺動機構400と連結されたヒータ72は、スイング動作(揺動動作)が可能となっている。
【0139】
つまり、第1解決手段は、ヒータ72に揺動機構400を連結することにより、金型70Aと金型70Bとの隙間に挿入されたヒータ72に対して揺動動作を実施するものである。この結果、本実施の形態によれば、揺動動作するヒータ72によって、隙間に存在する空気が撹拌されることによって、対流に起因する温度の不均一性を抑制できる。
【0140】
ただし、上述した第1解決手段では、揺動機構400を成形品製造装置に設ける必要があり、成形品製造装置の製造コストが上昇する。また、ヒータ72を揺動動作させることから、ヒータ72と金型70Aおよび金型70Bとの衝突を回避するために、ヒータ72と金型70Aおよび金型70Bとの間の距離を確保する必要がある。このことは、ヒータ72と金型70Aに嵌め込まれる部分成形品や金型70Bに嵌め込まれる部分成形品との間の距離が離れることを意味し、これによって、ヒータ72で発生した熱エネルギーを効率良く利用できないという改善の余地が存在する。
【0141】
<<第2解決手段>>
このことから、本実施の形態では、金型70Aと金型70Bとの隙間の温度均一性を向上させるためのさらなる工夫を施している。以下では、この工夫点について説明する。
【0142】
第2解決手段の基本思想は、金型70Aと金型70Bとの隙間の温度不均一性の原因である空気の対流を抑制する対流抑制部材を設けることによって、隙間の温度均一性を向上しようとする思想である。
【0143】
<<<具体的構成例1>>>
以下では、この基本思想を具現化する具体的構成について説明する。
【0144】
【0145】
図37に示すように、金型70Aには、隙間の上側を覆うようにカバー440が設けられているとともに、隙間の下側を覆うようにカバー450が設けられている。これにより、カバー450によって、隙間の下側からの冷たい空気の流入が抑制され、かつ、カバー440によって、隙間の上側からの暖かい空気の流出が抑制される。この結果、カバー440とカバー450によって、隙間に挿入されたヒータ72から発生する熱に起因する空気の対流が抑制される。すなわち、カバー440およびカバー450は、ヒータから供給される熱に起因する対流を抑制する対流抑制部材として機能する。このようにして、具体的構成例1によれば、隙間の温度均一性を向上することができる。
【0146】
なお、対流を抑制する観点からは、
図37に示すように、カバー440とカバー450の両方を設けることが望ましいが、カバー440とカバー450のいずれか一方だけを設ける構成でも、対流を抑制する効果は得られる。また、
図37では、金型70Aにカバー440およびカバー450を設ける構成について説明しているが、これに限らず、例えば、金型70Bにカバー440とカバー450を設ける構成であってもよい。
【0147】
<<<具体的構成例2>>>
図38は、具体的構成例2を示す図である。
【0148】
図38に示すように、隙間には、ヒータ72とともにヒータ72の外側に配置される外枠体460が挿入される。すなわち、具体的構成例2では、ヒータ72とヒータ72の外側に配置される外枠体460からなる一体構成物であるスライドユニットをヒータスライド機構でスライドさせるように構成されている。このとき、
図38からわかるように、外枠体460がヒータから供給される熱に起因する対流を抑制する対流抑制部材として機能する。また、この外枠体460の外側に対流を防止するカバー440とカバー450を装着することで対流を抑制する効果をさらに高めることができる。このようにして、具体的構成例2によれば、隙間の温度均一性を向上できる。
【0149】
外枠体460は、対流抑制部材としての機能を有するが、この外枠体460には別の機能も有しているので、この外枠体460の別の機能について説明する。例えば、外枠体460の厚さ方向に対してヒータ72を中央に配置することにより、以下の利点を得ることができる。すなわち、部分成形品がきちんと金型に嵌まっておらずに出張っている場合や、
異物などが金型から出張っている場合に、ヒータ72よりも外枠体460が先に衝突する。この場合、外枠体460をスライドさせるヒータスライド機構にトルク異常などが発生する。このことから、このトルク異常などを検出して装置を停止させることにより、ヒータ72を保護することができる。つまり、外枠体460は、対流抑制部材としての機能だけでなく、ヒータ72を保護する機能も有していることになる。
【0150】
なお、スライドユニットは、金型70Aあるいは成形品製造装置200のステージ75Aに設けても良いし、成形品製造装置200の外部に独立して設けても良い。しかし、金型70Aのパーティング面にリニアガイドなどのガイド機構のための掘り込みを作って取付けることが望ましい。このようにすることで、成形品により近い場所でヒータの位置を管理できるだけでなく、支持部のブレ(撓み)の影響などを考慮することなく設計でき、金型70Aのパーティング面と外枠体460との距離を縮めて、対流抑制部材としての効果をさらに高めることができる。
【0151】
以上のように、対流抑制部材を設けるという基本思想が根底に存在する第2解決手段によれば、ヒータ72を揺動させる揺動機構を設けなくても、具体的構成例1や具体的構成例2に示すような簡単な構成によって、金型70Aと金型70Bの隙間における温度均一性を向上できる。すなわち、第2解決手段は、コストをかけずに大きな効果を得ることができる点で非常に優れた技術的意義を有しているということができる。
【0152】
<第3工夫点>
続いて、第3工夫点について説明する。
【0153】
例えば、ヒータ72を接触ヒータである加熱板から構成する場合、ヒータ72は、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aおよび金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bの両方に均等に接触させる必要がある。このことから、金型70Aおよび金型70Bを「型開」から「型閉」する場合、ヒータ72は、金型70Aと金型70Bの間の中央部に配置された状態を維持することが望ましい。
【0154】
そこで、例えば、
図39に示すように、金型70Aと金型70Bとの間にセンタリング機構500を設けている。このセンタリング機構500は、ヒータ72と接続される接続部510と、金型70A側に設けられたバネ520Aと、金型70B側に設けられたバネ520Bとを有している。このセンタリング機構500では、バネ520Aのバネ定数とバネ520Bのバネ定数とを同じ値にしているので、金型70Aおよび金型70Bを「型開」から「型閉」する場合、接続部510に固定されたヒータ72は、金型70Aと金型70Bの間の中央部に配置された状態が維持される。すなわち、
図39に示される寸法「a」、「b」、「c」は、それぞれ同じ値に維持される。この結果、第3工夫点によれば、加熱板から構成されるヒータ72を部分成形品250Aおよび部分成形品250Bの両方に同じタイミングと加圧力で均等に接触させることができる。接触ヒータでは、成形品250A、250Bとヒータ72との間の熱の授受は、押付け圧力に依存する。したがって、第3工夫点によれば、ヒータ72によって、部分成形品250Aおよび部分成形品250Bの接合部位となる部分を均一に加熱できる。
【0155】
<<非接触ヒータへの応用>>
上述したセンタリング機構500は、接触ヒータだけでなく、非接触ヒータから構成されるヒータ72を備える成形品製造装置に適用することも有効である。
【0156】
以下では、この点について説明する。
【0157】
例えば、
図40は、非接触ヒータから構成されるヒータ72を固定する固定機構の一例を示す図である。
図40に示す固定機構600では、例えば、ヒータ72と金型70Aとの間の距離は、シムなどでメカ的に調整される。一方、ヒータ72と金型70Bとは、金型70Bを移動させる接触/非接触制御部71による制御によって調整される。つまり、
図40に示す構成では、ヒータ72と金型70Aとの間の距離(「A」)およびヒータ72と金型70Bとの間の距離(「B」)は、異なる機構で調整される。この結果、
図40に示す構成では、ヒータ72と金型70Aとの間の距離およびヒータ72と金型70Bとの間の距離を同じ距離に揃えることが難しい。このことは、ヒータ72によって、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aの加熱と金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bの加熱を均一に行うことが難しいことを意味する。
【0158】
そこで、例えば、非接触ヒータから構成されるヒータ72を固定する固定機構として、第3工夫点であるセンタリング機構500を利用することが有効である。
【0159】
図41は、非接触ヒータから構成されるヒータ72を固定する固定機構として第3工夫点であるセンタリング機構を採用する構成例を示す図である。また、
図42(a)および
図42(b)は、
図41に示すセンタリング機構の動作を模式的に示す図である。なお、
図42(a)および
図42(b)では、部分成形品250A、250Bは省略されている。
【0160】
図41において、フレーム700にセンタリング機構500が接続されており、このフレーム700の中央部にフレーム700に固定されたヒータ72が配置されている。この構成の場合、フレーム700には、第3工夫点であるセンタリング機構500が接続されていることから、フレーム700と金型70Aとの間の距離およびフレーム700と金型70Bとの間の距離を同じ距離にすることができる(
図42(a)、(b))。そして、ヒータ72は、フレーム700の中央部に配置されていることから、必然的にヒータ72と金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aとの間の距離は、ヒータ72と金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bとの間の距離と同じ距離になる。この結果、第3工夫点であるセンタリング機構500を非接触ヒータから構成されるヒータ72の固定するフレーム700に接続することによって、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aの加熱と金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bの加熱を均一に行うことができる。
【0161】
さらには、ヒータ72を非接触ヒータから構成する場合、上述した第2工夫点でも説明したように、均一加熱を行う観点から、金型70Aと金型70Bとの間の隙間に空気の対流に起因する温度分布を抑制する対流抑制部材を設けることが望ましい。
【0162】
この点に関し、
図41に示す構成では、フレーム700が対流抑制部材として機能する。つまり、非接触ヒータから構成されるヒータ72を固定するためにフレーム700を採用するとともに、このフレーム700に第3工夫点であるセンタリング機構500を接続させる構成(
図41に示す構成)を採用する。この場合、センタリング機構500によってヒータ72を金型70Aと金型70Bの中央に配置できる要因と、フレーム700自体が対流抑制部材として機能する要因との相乗要因によって、金型70Aに嵌め込まれた部分成形品250Aの加熱と金型70Bに嵌め込まれた部分成形品250Bの加熱とを均一に行うことができるという顕著な効果を得ることができる。
【0163】
さらに、金型70Aと金型70Bとがフレーム700に接触するまで「型閉」させると、ヒータ72と部分成形品250A、250Bとの隙間を近付けることができるだけでなく、空気が滞留する隙間がなくなり、対流抑制効果をさらに高めることができる。また、フレーム700内の空気の温度が上昇し、部分成形品250A、250Bから空気への放熱が減少するため、加熱の効率がさらに高まる。
【0164】
<<変形例>>
センタリング機構500として、例えば、バネ式のセンタリング機構を例に挙げて説明したが、センタリング機構500は、これに限らず、例えば、
図43(a)および
図43(b)に示すようなラックピニオン式のセンタリング機構500Aや、
図44(a)および
図44(b)に示すようなリンク機構方式のセンタリング機構500Bを採用できる。
【0165】
図43(a)は、ラックピニオン式のセンタリング機構500Aの正面図であり、
図43(b)は、ラックピニオン式のセンタリング機構500Aの側面図である。
【0166】
図43(a)および
図43(b)において、ギヤ1000は、ギヤボックス1100の中に収納されており、ギヤボックス1100は、ガイドレール1200に固定されている。ガイドレール1200にはヒータを含むフレーム1500とヒータを含むフレーム1500を駆動するヒータスライド機構73が接続されている。ここで、型盤1300が動くと、ラック1400がギヤ1000を回転させて、ヒータを含むフレーム1500が取り付けられているガイドレール1200が常に金型1600Aと金型1600Bの間の中央にくるように移動する。このようにして、ラックピニオン式のセンタリング機構500Aによれば、ヒータを含むフレーム1500を金型1600Aと金型1600Bの間の中央部に配置できる。
【0167】
図44(a)は、リンク機構方式のセンタリング機構500Bの正面図であり、
図44(b)は、リンク機構方式のセンタリング機構500Bの側面図である。
【0168】
図44(a)および
図44(b)において、型盤1300が動くと、長リンク2000Aと短リンク2000Bの角度が変化して、ヒータを含むフレーム1500とヒータを含むフレーム1500を駆動するヒータスライド機構73が接続されているガイドレール1200が常に金型1600Aと金型1600Bとの間の中央にくるように移動する。このようにして、リンク機構方式のセンタリング機構500Bによれば、ヒータを含むフレーム1500を金型1600Aと金型1600Bの間の中央部に配置できる。
【0169】
ラックピニオン式のセンタリング機構500Aおよびリンク機構方式のセンタリング機構500Bでは、金型の中央に配置されたガイドレール1200が各々金型を開閉した際に、常に中央に配置するように設計されており、バネ式のセンタリング機構500と同じ効果を得ることができる。なお、この場合、ガイドレール1200、ヒータスライド機構73、ラックピニオン式のセンタリング機構500Aを構成するギヤボックス1100、ギヤ1000、ラック1400など、およびリンク機構方式のセンタリング機構500Bを構成する長リンク2000A、短リンク2000Bなどは、「型閉」時に金型1600A、金型1600Bと干渉しないように、平面方向で金型1600A、金型1600Bの外側に配置する必要がある(
図43(b)および
図44(b)参照)。
【0170】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0171】
1A 部分成形品
1B 部分成形品
2A 部分成形品
2B 部分成形品
10 一体成形品
20A 金型
20B 金型
30 型締装置
31 可動盤
32 可動型
33 固定型
34 ホットランナマニホールド
35 固定盤
36 スクリュヘッド(逆流防止リングを含む)
37 スクリュ
38 シリンダ
39 ヒータ
40 ホッパ
41 射出装置
45 一体成形品
45A 部分成形品
45B 部分成形品
50A 部分成形品
50B 部分成形品
50 一体成形品
51 タイバー
52 可動盤
53 固定盤
54 可動型
55 固定型
56 ホットランナマニホールド
57 スクリュヘッド(逆流防止リングを含む)
58 スクリュ
59 シリンダ
60 ヒータ
61 ホッパ
62 チャック
70A 金型
70B 金型
71 接触/非接触制御部
72 ヒータ
73 ヒータスライド機構
74 ヒータスライド制御部
75A 金型装着部
75B 金型装着部
80A チャック部
80B チャック部
81 部分コア
82 エアシリンダ
83A 部分コア
83B 部分コア
84A エアシリンダ
84B エアシリンダ
90 鍔
91 監視部
92A 撮像装置
92B 撮像装置
93 監視制御部
95 油圧突き出しピン
96 イジェクタピン
100 射出成形装置
150 「HP-IWM」システム
160 射出成形装置
160A 取出装置
160B コンベア
170 射出成形装置
170A 取出装置
170B コンベア
180 ロボットアーム
190 コンベア
200 成形品製造装置
250 一体成形品
250A 部分成形品
250B 部分成形品
300 切り欠き部
400 揺動機構
410 前後進機構
420 モータ
430 偏心カム
440 カバー
450 カバー
460 外枠体
500 センタリング機構
500A センタリング機構
500B センタリング機構
510 接続部
520A バネ
520B バネ
600 固定機構
700 フレーム
1000 ギヤ
1100 ギヤボックス
1200 ガイドレール
1300 型盤
1400 ラック
1500 フレーム(ヒータを含む)
1600A 金型
1600B 金型
2000A 長リンク
2000B 短リンク