(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166259
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ガス処理システム及びそれを含む船舶
(51)【国際特許分類】
B63H 21/38 20060101AFI20241121BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B63H21/38 C
B63B25/16 D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024153326
(22)【出願日】2024-09-05
(62)【分割の表示】P 2023521451の分割
【原出願日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0130566
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0133568
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】513235337
【氏名又は名称】エイチディー コリア シップビルディング アンド オフショア エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュ クァン ニョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ ピョン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ スン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】アン テ ファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ウォン キ
(72)【発明者】
【氏名】スン スク ミン
(57)【要約】
【課題】エンジンで加熱された冷却水の廃熱をエンジンに流入する液化ガスの加熱によりエネルギーの使用を節約できるガス処理システム及びそれを含む船舶の提供。
【解決手段】本発明は、ガス処理システム及びそれを含む船舶に関し、メインエンジンに燃料を供給する燃料供給ラインと、上記燃料供給ラインに設けられて燃料を加熱する熱交換器と、上記熱交換器に熱源を供給するように設けられる上記メインエンジンの冷却水循環ラインと、を含み、上記冷却水循環ラインは、上記熱交換器を循環する第1冷却水循環ラインと、上記メインエンジンを循環する第2冷却水循環ラインとに分離できるように設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインエンジンに燃料を供給する燃料供給ラインと、
前記燃料供給ラインに設けられて燃料を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器に熱源を供給するように設けられる前記メインエンジンの冷却水循環ラインと、を含み、
前記冷却水循環ラインは、
前記熱交換器を循環する第1冷却水循環ラインと、前記メインエンジンを循環する第2冷却水循環ラインとに分離できるように設けられることを特徴とするガス処理システム。
【請求項2】
前記第1冷却水循環ラインの両端を連結して冷却水が前記メインエンジンを迂回して前記熱交換器を循環するようにする第1分岐ラインと、
前記第2冷却水循環ラインの両端を連結して冷却水が前記熱交換器を迂回して前記メインエンジンを循環するようにする第2分岐ラインと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガス処理システム。
【請求項3】
前記第1冷却水循環ラインまたは前記第1分岐ラインに設けられるバックアップヒーターを含み、
前記バックアップヒーターは、
前記メインエンジンの負荷が既設定値未満であるか、または冷却水が前記第1分岐ラインによって前記メインエンジンを迂回する場合、冷却水を加熱して前記熱交換器に供給することを特徴とする請求項2に記載のガス処理システム。
【請求項4】
冷却水が前記冷却水循環ラインを介して前記メインエンジンを経由して前記熱交換器に供給される場合、前記バックアップヒーターを迂回するように設けられる迂回ラインをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のガス処理システム。
【請求項5】
前記第1分岐ラインは、
前記メインエンジンが停止すると、冷却水が前記メインエンジンを迂回して前記熱交換器を循環するようにすることを特徴とする請求項2に記載のガス処理システム。
【請求項6】
冷却水は、
前記冷却水循環ラインの全体に沿って循環しながら前記熱交換器及び前記メインエンジンを経由するか、
前記第1冷却水循環ラインと前記第1分岐ラインに沿って循環しながら前記メインエンジンを迂回して前記熱交換器を経由するか、
前記第2冷却水循環ラインと前記第2分岐ラインに沿って循環しながら前記熱交換器を迂回して前記メインエンジンを経由することを特徴とする請求項2に記載のガス処理システム。
【請求項7】
前記第1冷却水循環ラインと前記第1分岐ラインによって形成される第1閉ループは、
前記第2冷却水循環ラインと前記第2分岐ラインによって形成される第2閉ループとは独立して設けられることを特徴とする請求項6に記載のガス処理システム。
【請求項8】
前記第1閉ループまたは前記第2閉ループに沿って流動する冷却水の圧力調整のために設けられる膨張タンクをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のガス処理システム。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の前記ガス処理システムを有することを特徴とする船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス処理システム及びそれを含む船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶は大量の鉱物や原油、天然ガス、または数千個以上のコンテナなどを載せて大洋を航海する輸送手段で、鋼鉄からなっており、浮力により水線面に浮遊した状態でプロペラの回転を通じて発生する推力を利用して移動する。
【0003】
このような船舶はエンジンやガスタービンなどを駆動することにより推力を発生させるが、このとき、エンジンはガソリンやディーゼルなどのオイル燃料を用いてピストンを動かしてピストンの往復運動によってクランク軸を回転させ、クランク軸に連結されたシャフトが回転してプロペラを駆動させるが、ガスタービンは圧縮空気とともに燃料を燃焼させ、燃焼空気の温度/圧力によりタービン翼を回転させることによって発電してプロペラに動力を伝達する方式を用いる。
【0004】
ところが、最近では、液化ガスの一種である液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)を運ぶLNG運搬船でLNGを燃料として使用してエンジンやタービンなどの需要先を駆動するLNG燃料供給方式が用いられており、LNGはクリーン燃料で、且つ埋蔵量も石油より豊富であるため、需要先の燃料としてLNGを使用する方式はLNG運搬船以外の他の船舶にも適用されている。
【0005】
しかし、ディーゼルなどのオイル燃料を利用する従来の場合と比べると、ガス燃料であるLNGを利用する場合に解決すべき問題がいまだに複数ある状況であり、クリーン燃料であるLNGを用いて船舶内の需要先に供給する技術に対する研究開発が持続的に行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するために創出されたものであり、本発明の目的は、エンジンで加熱された冷却水の廃熱をエンジンに流入する液化ガスの加熱に活用することによりエネルギーの使用を節約できるガス処理システム及びそれを含む船舶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によるガス処理システムは、メインエンジンに燃料を供給する第1燃料供給ラインと、上記第1燃料供給ラインから分岐して補助エンジンに燃料を供給する第2燃料供給ラインと、上記第1燃料供給ラインに設けられて燃料を加熱する熱交換器と、上記熱交換器に熱源を供給するように設けられる上記メインエンジンの冷却水循環ラインと、を含み、上記冷却水循環ラインは、上記熱交換器を循環する第1冷却水循環ラインと、上記メインエンジンを循環する第2冷却水循環ラインとに分離できるように設けられる。
【0008】
具体的に、上記第1冷却水循環ラインの両端を連結して冷却水が上記メインエンジンを迂回して上記熱交換器を循環するようにする第1分岐ラインと、上記第2冷却水循環ラインの両端を連結して冷却水が上記熱交換器を迂回して上記メインエンジンを循環するようにする第2分岐ラインと、をさらに含んでもよい。
【0009】
具体的に、上記第1冷却水循環ラインまたは上記第1分岐ラインに設けられるバックアップヒーターを含み、上記バックアップヒーターは、上記メインエンジンの負荷が既設定値未満であるか、または冷却水が上記第1分岐ラインによって上記メインエンジンを迂回する場合、冷却水を加熱して上記熱交換器に供給することができる。
【0010】
具体的に、冷却水が上記冷却水循環ラインを介して上記メインエンジンを経由して上記熱交換器に供給される場合、上記バックアップヒーターを迂回するように設けられる迂回ラインをさらに含んでもよい。
【0011】
具体的に、上記第1分岐ラインは、上記メインエンジンが停止すると、冷却水が上記メインエンジンを迂回して上記熱交換器を循環するようにすることができる。
【0012】
具体的に、冷却水は、上記冷却水循環ラインの全体に沿って循環しながら上記熱交換器及び上記メインエンジンを経由するか、上記第1冷却水循環ラインと上記第1分岐ラインに沿って循環しながら上記メインエンジンを迂回して上記熱交換器を経由するか、上記第2冷却水循環ラインと上記第2分岐ラインに沿って循環しながら上記熱交換器を迂回して上記メインエンジンを経由することができる。
【0013】
具体的に、上記第1冷却水循環ラインと上記第1分岐ラインによって形成される第1閉ループは、上記第2冷却水循環ラインと上記第2分岐ラインによって形成される第2閉ループとは独立して設けられてもよい。
【0014】
具体的に、上記第1閉ループまたは上記第2閉ループに沿って流動する冷却水の圧力調整のために設けられる膨張タンクをさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の一側面による船舶は上記ガス処理システムを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるガス処理システム及びそれを含む船舶は、メインエンジンに使用される冷却水を用いて液化ガスを加熱することで効率的な液化ガスの気化を具現することができ、メインエンジンが停止しているか、または冷却水の熱量が不十分であっても液化ガスの安定した加熱を保障することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例によるガス処理システムの概念図である。
【
図2】本発明の一実施例によるガス処理システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的、特定の利点及び新規な特徴は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明及び好ましい実施例によりさらに明らかになるであろう。本明細書では、各図面の構成要素に参照番号を付するにおいて、同じ構成要素に限ってはたとえ異なる図面に表示されても、できる限り同じ番号を付したことに留意されたい。また、本発明を説明するに当たり、関連する公知技術の具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0019】
以下において、燃料は液化ガスであってもよく、液化ガスはLPG、LNG、エタンなどであってもよく、例えば、LNG(Liquefied Natural Gas)を意味することができ、蒸発ガスは自然気化したLNGなどであるBOG(Boil Off Gas))を意味することができる。また、以下において、液化ガスは液体状態または自然気化または強制気化された気体状態などを全て包括する用語として用いられてもよい。ただし、蒸発ガスは液化ガス貯蔵タンク内で自然気化したガスを意味する用語として使用されることができる。
【0020】
参考までに、本発明は以下に説明するガス処理システムを備える船舶を含む。このとき、船舶は一般商船であるか、またはFLNG、FSRUなどの海洋プラントを包括する表現であり、さらには陸上に設置されているプラントなどに置き換えられてもよい。
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0022】
図1及び
図2は本発明の一実施例によるガス処理システムの概念図である。
【0023】
参考までに、
図1はメインエンジンE1の負荷が既設定値以上の状態を示し、
図2はメインエンジンE1の負荷が既設定値未満であるか、メインエンジンE1が稼働していない状態を示したものである。
【0024】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例によるガス処理システム1は、液化ガス貯蔵タンク10、冷却水ポンプ21、冷却水クーラー22、清水生成器23、熱交換器30、ブースターポンプ41、バックアップヒーター42、ガスセパレーター43を含む。
【0025】
このとき、冷却水ポンプ21、冷却水クーラー22、清水生成器23、熱交換器30、ブースターポンプ41、バックアップヒーター42、ガスセパレーター43は冷却水循環ラインL20に沿って設けられてもよく、後述するが、冷却水ポンプ21、冷却水クーラー22及び清水生成器23は第1閉ループに設けられ、熱交換器30、ブースターポンプ41、バックアップヒーター42及びガスセパレーター43は第2閉ループに設けられることができる。
【0026】
液化ガス貯蔵タンク10は液化ガスを貯蔵する。液化ガス貯蔵タンク10はIMO規定による独立型タンクであり、タイプA、B、Cなどであってもよく、メンブレン型タンクであってもよい。
【0027】
液化ガス貯蔵タンク10は極低温で液化ガスを貯蔵することができるが、外部からの熱が浸透することにより液化ガスが自然蒸発して蒸発ガスが発生する。このとき、蒸発ガスは液化ガス貯蔵タンク10の内圧上昇を引き起こすため、液化ガス貯蔵タンク10の内圧を安定的に保持するために蒸発ガスを外部に排出することができる。
【0028】
液化ガス貯蔵タンク10内に収容された液化ガス(及び/または蒸発ガス)は、需要先であるエンジンE1、E2などに供給されて使用されてもよい。このとき、エンジンE1、E2は船舶の推進のためのメインエンジンE1(ME-GI、X-DF、ME-LGI、ME-GIEなど)と、船内の電力負荷をカバーするための発電エンジンとしての補助エンジンE2などを含んでもよい。
【0029】
液化ガス貯蔵タンク10に貯蔵されている液化ガスをエンジンE1、E2に供給するために燃料供給ラインL30が設けられてもよく、具体的には、燃料供給ラインL30はメインエンジンE1に液化ガスを供給するための第1燃料供給ラインL31と、補助エンジンE2に液化ガスを供給するための第2燃料供給ラインL32とを含んでもよい。このとき、第1燃料供給ラインL31には熱交換器30が設けられ、第2燃料供給ラインL32は第1燃料供給ラインL31における熱交換器30の下流から分岐して補助エンジンE2に連結されてもよい。また、第1、2燃料供給線L31、L32には液化ガスの流量を制御するバルブ(符号不図示)やガスバルブユニット(符号不図示)などが設けられてもよい。
【0030】
冷却水循環ラインL20は熱交換器30を循環する第1冷却水循環ラインL20aと、メインエンジンE1を循環する第2冷却水循環ラインL20bとを含んでもよく、第1冷却水循環ラインL20aと第2冷却水循環ラインL20bは相互連結されて1つの閉ループを形成することができる。また、第1、2冷却水循環ラインL20a、L20bは冷却水の流れを相互分離できるように設けられてもよい。
【0031】
以下では、冷却水循環ラインL20上においてメインエンジンE1側(第2冷却水循環ラインL20b)に設けられる冷却水ポンプ21、冷却水クーラー22、清水生成器23について先ず説明する。
【0032】
冷却水ポンプ21は冷却水をポンピングして冷却水が冷却水循環ラインL20に沿って循環するようにすることができる。冷却水ポンプ21が設けられる冷却水循環ラインL20は、液化ガスを燃料として使用するメインエンジンE1及び後述する熱交換器30に冷却水を循環供給するように閉ループを形成することができる。ただし、本明細書で説明する冷却水は、メインエンジンE1の他に補助エンジンE2にも使用されるものであってもよい。
【0033】
冷却水ポンプ21は冷却水循環ラインL20におけるメインエンジンE1の上流に配置されてもよく、複数個が並列に設けられて互いにバックアップできるように設けられてもよい。
【0034】
冷却水ポンプ21は後述する冷却水クーラー22によって冷却された冷却水をメインエンジンE1に供給することができ、冷却水ポンプ21は図のように冷却水クーラー22の下流に設けられてもよい。また、冷却水ポンプ21は、図とは異なって冷却水循環ラインL20における冷却水クーラー22の上流に設けられてもよい。
【0035】
冷却水クーラー22はメインエンジンE1を経由しながら加熱された冷却水を冷却する。冷却水クーラー22は海水、清水、空気などの様々な冷媒を用いて冷却水を冷却することができ、冷却水循環ラインL20における冷却水ポンプ21の上流などに配置されてもよい。
【0036】
冷却水循環ラインL20は少なくとも一部の冷却水が冷却水クーラー22を迂回することができるように設けられ、これにより冷却水クーラー22の下流で冷却水の温度が調整されることができる。即ち、冷却水クーラー22の上流で流動する冷却水のうち冷却水クーラー22を迂回する冷却水の量が多くなると、冷却水クーラー22の下流の温度が高くなり、逆に冷却水クーラー22を迂回する冷却水の量が減少すると、冷却水クーラー22の下流の温度が低くなる。
【0037】
冷却水クーラー22を迂回する冷却水の量は、冷却水クーラー22に伝達される冷却水の温度に応じて決まってもよく、冷却水の温度を左右するメインエンジンE1の負荷に応じて決まってもよい。
【0038】
清水生成器23は冷却水の廃熱を利用して清水を生成する。清水生成器23はメインエンジンE1から排出された高温の冷却水を用いて海水などを加熱して蒸気を生成し、蒸気から清水を生成するものであってもよい。その他にも、清水生成器23は冷却水を用いて清水を加熱することができるいわゆる方式を用いてもよい。
【0039】
清水生成器23は清水タンク(不図示)に清水を伝達することができ、清水タンクの貯蔵量が十分であるか、または清水の追加生成が不要な場合、冷却水は清水生成器23を迂回することができる。
【0040】
即ち、冷却水クーラー22で説明したように、冷却水循環ラインL20は清水生成器23を迂回するように設けられてもよい。また、冷却水は清水生成器23を経由しながら温度が低くなることができるため、冷却水循環ラインL20で清水生成器23を迂回する冷却水の量を調整することにより、清水生成器23の下流の冷却水の温度を調整することができる。
【0041】
清水生成器23は冷却水循環ラインL20における冷却水クーラー22の上流に設けられてメインエンジンE1から排出された高温の冷却水が清水生成器23を経て1次冷却された後、冷却水クーラー22で2次冷却されるようにすることができる。
【0042】
冷却水循環ラインL20には第1、2分岐ラインL21、L22が設けられて、冷却水は冷却水循環ラインL20によって形成される閉ループで循環するか、第1、2分岐ラインL21、L22により形成される第1、2閉ループで循環することができる。これについては以下で詳細に説明する。
【0043】
熱交換器30は液化ガスを加熱してメインエンジンE1または補助エンジンE2などに供給する。熱交換器30は熱媒を液化ガスと熱交換する構成であって、シェル&チューブ、bath type、PCHEなどのタイプで設けられてもよいが、そのタイプに限定されるものではない。
【0044】
熱交換器30は第1燃料供給ラインL31上に設けられ、液化ガスが流れる流路と熱媒が流れる流路とを備えてもよい。液化ガスは、熱交換器30でエンジンE1、E2が要求する温度に対応するように加熱されてからエンジンE1、E2に伝達され、熱媒は高温で熱交換器30に流入した後、液化ガスによって冷却されてから熱交換器30を抜け出る。
【0045】
本実施例における熱媒はエンジンE1、E2で使用される冷却水であってもよい。熱交換器30は液化ガスを冷却水で直接熱交換させるタイプで設けられてもよく、冷却水はエンジンE1、E2のうちメインエンジンE1で使用されるものであってもよい。従って、熱交換器30は一側が第1燃料供給ラインL31と連結され、他側が冷却水の流動する冷却水循環ラインL20と連結されてもよい。
【0046】
もちろん、本発明は、熱交換器30に冷却水が直接流動する直接熱交換方式ではない熱交換器30の熱媒が冷却水によって加熱される間接熱交換方式も含んでもよい。
【0047】
熱交換器30は図のように1個設けられてもよく、または2個以上設けられてもよい。熱交換器30が複数で構成される場合、複数の熱交換器30は直列及び/または並列に設けられてもよく、メインエンジンE1と補助エンジンE2にそれぞれ別個の熱交換器30が割り当てられてもよい。
【0048】
以下では、冷却水循環ラインL20上において熱交換器30側(第1冷却水循環ラインL20a)に設けられるブースターポンプ41、バックアップヒーター42、ガスセパレーター43について説明する。
【0049】
ブースターポンプ41はメインエンジンE1から排出された高温の冷却水を熱交換器30にポンピングする。ブースターポンプ41は冷却水循環ラインL20の熱交換器30の上流に配置されてもよく、上述の冷却水ポンプ21と類似する機能を有することができる。
【0050】
ブースターポンプ41は、熱交換器30における液化ガスと冷却水との圧力差を最小化するために、熱交換器30に流入する液化ガスの圧力に対応して冷却水を加圧することができる。この場合、ブースターポンプ41の排出圧力は冷却水ポンプ21の排出圧力より相対的に高くてもよい。
【0051】
ブースターポンプ41は冷却水ポンプ21と同様に複数個が並列または直列に設けられてもよく、ブースターポンプ41が並列に設けられる場合、冷却水は複数個のブースターポンプ41によって同時にポンピングされることにより、各ブースターポンプ41の負荷が分割されることができる。
【0052】
バックアップヒーター42は熱交換器30に伝達される冷却水の少なくとも一部を加熱する。バックアップヒーター42は別途の熱源を用いて冷却水を加熱することで、冷却水が熱交換器30で液化ガスを加熱するのに十分な温度を有するようにすることができる。このとき、熱源は海水、清水、スチームなどであってもよいが、制限されない。
【0053】
バックアップヒーター42は、メインエンジンE1の負荷が低くなるにつれて冷却水の温度が低下して熱交換器30で液化ガスを十分に加熱する熱が足りなくなった場合や、外気温度によって冷却水の温度が低下する場合、そして、メインエンジンE1が停止して冷却水の加熱を行えない場合などに備えるためのものであってもよい。
【0054】
バックアップヒーター42は冷却水循環ラインL20のブースターポンプ41の下流に配置されてもよいが、バックアップヒーター42の位置はこれに限定されず、後述する第1分岐ラインL21上に設けられてもよい。
【0055】
ガスセパレーター43は熱交換器30から排出された低温の冷却水に含まれ得るガスを分離する。ガスセパレーター43は冷却水循環ラインL20の熱交換器30の下流に設けられてもよく、熱交換器30からガスが漏れて冷却水に混入した場合、これを検知及び分離することができる。そのために、ガスセパレーター43にはガス検知器(不図示)が備えられてもよく、ガスセパレーター43に分離されたガスは爆発性があるため、ベントラインL25を介して安全に外部に放出されることができる。
【0056】
ガスセパレーター43が冷却水にガスが混入したことを検知した場合、液化ガスの追加漏れを防止するために熱交換器30への液化ガスの供給が遮断されることができ、エンジンE1、E2は稼働が停止するか、または液化ガスではないオイル燃料などを消費するモードに切り替わることができる。後者のために、エンジンE1、E2はガス燃料及び/またはオイル燃料の両方を使用できる二重燃料エンジンであってもよい。
【0057】
ガスセパレーター43は冷却水循環ラインL20の熱交換器30とブースターポンプ41との間に配置されてもよく、冷却水を貯蔵する容器の形態を有することができる。これにより、ガスセパレーター43は冷却水循環ラインL20において部分的な膨張機能を有することができる。
【0058】
以下では、冷却水循環ラインL20及び第1、2分岐ラインL21、L22について説明する。
【0059】
冷却水循環ラインL20はメインエンジンE1と熱交換器30に冷却水を循環供給するように設けられ、冷却水はメインエンジンE1から高温で排出された後、熱交換器30で液化ガスと熱交換して低温に冷却され、再びメインエンジンE1に循環することができる。
【0060】
このとき、冷却水循環ラインL20には、第1冷却水循環ラインL20aの両端を連結することにより熱交換器30の上流及び下流の間を連結して、冷却水がメインエンジンE1を迂回しながら熱交換器30を循環するようにする第1分岐ラインL21が設けられる。
【0061】
また、冷却水循環ラインL20には、冷却水循環ラインL20の第2冷却水循環ラインL20bの両端を連結することによりメインエンジンE1の上流及び下流を連結して、冷却水が熱交換器30を迂回しながらメインエンジンE1を循環するようにする第2分岐ラインL22が設けられる。
【0062】
このとき、第1、2分岐ラインL21、L22は第1、2冷却水循環ラインL20a、L20bとともに互いに独立して設けられる第1、2閉ループを構成することができる。このように構成することにより、冷却水は計3つの閉ループに沿って循環することができる。
【0063】
具体的には、冷却水は、冷却水循環ラインL20の全体に沿って循環して熱交換器30及びメインエンジンE1を経由するか、第1冷却水循環ラインL20aと第1分岐ラインL21に沿って循環してメインエンジンE1を迂回し熱交換器30を経由するか、第2冷却水循環ラインL20bと第2分岐ラインL22に沿って循環して熱交換器30を迂回しメインエンジンE1を経由することができる。
【0064】
メインエンジンE1及び熱交換器30の作動に問題がない場合、第1、2分岐ラインL21、L22は全て閉鎖されてもよく、冷却水は冷却水循環ラインL20の全体に沿って大きく循環する。従って、冷却水はメインエンジンE1で加熱され、熱交換器30で冷却される過程を繰り返す。
【0065】
特に、この場合、冷却水は正常負荷で稼働するメインエンジンE1によって十分な温度に加熱されることができるため、バックアップヒーター42による追加加熱が不要となり得る。従って、冷却水循環ラインL20には、冷却水が冷却水循環ラインL20を通じてメインエンジンE1を経由して熱交換器30に供給される場合にバックアップヒーター42を迂回すうようにするヒーター迂回ラインL23が設けられてもよい。
【0066】
ただし、メインエンジンE1の負荷が既設定値以下に低下すると、メインエンジンE1で冷却水の加熱が十分に行われないことがあるため、この場合はヒーター迂回ラインL23が遮断され、バックアップヒーター42が使用されてもよい。
【0067】
一方、メインエンジンE1が停止したときのように冷却水がメインエンジンE1を循環することができないか、または循環する必要性が低い場合、本発明は第1分岐ラインL21を開放して冷却水が第1冷却水循環ラインL20a及び第1分岐ラインL21に沿って形成される第1閉ループで循環するようにする。
【0068】
このとき、冷却水循環ラインL20で第1分岐ラインL21が分岐される地点の下流と第1分岐ラインL21が合流する地点の上流には冷却水の流れを遮断することができるバルブ(符号不図示)が設けられることにより、冷却水が第1閉ループ内で循環されるようにすることができる。
【0069】
第1閉ループ上にはブースターポンプ41、バックアップヒーター42、熱交換器30、ガスセパレーター43が設けられ、冷却水はバックアップヒーター43で加熱されてから熱交換器30に供給される。従って、本発明は、冷却水がメインエンジンE1を循環しないか、またはできない場合でも熱交換器30における安定的な液化ガスの加熱を保障することができる。
【0070】
これにより、本発明はメインエンジンE1と補助エンジンE2が1つの熱交換器30を共有するシステムにおいて、メインエンジンE1による冷却水の加熱に問題が生じても補助エンジンE2の稼働が安定的に行われるようにする。
【0071】
一方、ガスセパレーター43でガスの漏れが検知された場合やエンジンE1、E2に液化ガス以外の燃料が供給される場合などのように熱交換器30の使用が望ましくない場合、本発明は第2分岐ラインL22を開放して冷却水が第2冷却水循環ラインL20b及び第2分岐ラインL22に沿って形成される第2閉ループで循環するようにする。
【0072】
このとき、上述したように冷却水循環ラインL20で第2分岐ラインL22が分岐される地点の上流及び第2分岐ラインL22が合流する地点の上流に設けられるバルブの操作により、冷却水を第2閉ループ内で循環させることができる。
【0073】
参考までに、冷却水循環ラインL20で第1分岐ラインL21が分岐される地点の下流に設けられるバルブは冷却水循環ラインL20で第2分岐ラインL22が合流する地点の上流に設けられるバルブであってもよく、冷却水循環ラインL20で第1分岐ラインL21が合流する地点の上流に設けられるバルブは冷却水循環ラインL20で第2分岐ラインL22が分岐される地点の下流に設けられるバルブであってもよい。
【0074】
もちろん、本発明は上記のようなバルブの配置に限定解釈されず、2wayバルブ及び/または3wayバルブなどを適宜活用することができる。
【0075】
第2閉ループ上には冷却水ポンプ21、冷却水クーラー22、清水生成器23が設けられ、冷却水はメインエンジンE1で加熱された後、冷却水クーラー22で冷却されることができる。従って、本発明は冷却水が熱交換器30に伝達されないか、またはできない場合、メインエンジンE1に対する冷却水の供給を保障してメインエンジンE1の稼働を安定的に保持することができる。
【0076】
冷却水循環ラインL20には膨張タンク44a、44bが連結される。膨張タンク44a、44bは冷却水循環ラインL20の全体に沿って流動する冷却水の圧力調整のために設けられてもよい。
【0077】
膨張タンク44a、44bは複数個設けられ、第1、2分岐ラインL21、L22によって形成される第1閉ループ及び第2閉ループのそれぞれに連結されることにより、第1、2閉ループにおける冷却水の圧力調整を具現して第1、2閉ループでの過圧を防止することができる。または、これとは異なり、1つの膨張タンク44a、44bが第1、2閉ループに統合的に連結されることも可能である。
【0078】
前者の場合、膨張タンク44a、44bは第1、2冷却水循環ラインL20a、L20bにそれぞれ連結されるように設けられてもよい。このとき、第1冷却水循環ラインL20aに連結される膨張タンク44aは冷却水循環ラインL20におけるガスセパレーター43の下流に設けられてもよく、冷却水循環ラインL20から分岐連結されることにより、ガスセパレーター43を通過した冷却水は膨張タンク44aを経由せずに流動することができる。ただし、ガスセパレーター43の下流で冷却水の圧力が高くなると、膨張タンク44aに向かって冷却水が自然に伝達されるようにすることで、膨張タンク44aにより圧力を下げることができる。
【0079】
一方、第2冷却水循環ラインL20bに連結される膨張タンク44bは、冷却水クーラー22と冷却水ポンプ21との間に連結されるように設けられてもよく、冷却水循環ラインL20から分岐連結されることにより、冷却水クーラー22で冷却された冷却水は膨張タンク44bを迂回して冷却水ポンプ21に流入することができる。ただし、第2閉ループで過圧が発生すると、冷却水は膨張タンク44bに伝達されて冷却水ポンプ21の流入圧力が適正水準を保持することができる。
【0080】
膨張タンク44a、44bは冷却水循環ラインL20または第1、2分岐ラインL21、L22から分枝して連結されるか、冷却水循環ラインL20または第1、2分岐ラインL21、L22上に設けられてもよい。また、膨張タンク44a、44bは必ずしも容器形態に限定されず、ラインの一部が拡管した形態などのようにバッファ機能を具現するあらゆる形態であってもよい。
【0081】
本発明は、このような膨張タンク44a、44bを備えることにより、冷却水が第1閉ループでのみ循環するか、第2閉ループでのみ循環する場合の両方に対して、冷却水の流れにおける過圧防止機能を確保することができる。
【0082】
さらに、熱交換器30の上流の冷却水循環ラインL20には熱交換器30を迂回する熱交換器迂回ラインL24が設けられてもよい。従って、冷却水の少なくとも一部は熱交換器30を迂回して液化ガスによって冷却されないことができるため、熱交換器30の下流で冷却水の温度を調整するのに使用することができる。
【0083】
熱交換器迂回ラインL24への流れは液化ガスの流量や温度、冷却水の流量、温度などの変数に応じて制御することができる。例えば、液化ガスの温度が比較的高い場合、液化ガスの過度な加熱を防止するために、冷却水の一部が熱交換器迂回ラインL24を介して迂回されることができる。一方、液化ガスの温度が低いと検知されると、熱交換器迂回ラインL24の冷却水の流れが遮断されることができる。
【0084】
以下では、本実施例で示される様々な冷却水の流れについて説明する。まず、
図1のように冷却水循環ラインL20に沿って冷却水が流動する場合について説明する。
【0085】
図1を参照すると、上述したように冷却水循環ラインL20は、メインエンジンE1と熱交換器30の両方を連結する閉ループを構成することにより、メインエンジンE1から排出された高温の冷却水が冷却水循環ラインL20を介して熱交換器30に伝達されることができる。その後、熱交換器30から排出される低温の冷却水は、冷却水循環ラインL20に沿ってガスセパレーター43などを経由した後、冷却水クーラー22に流入することができる。
【0086】
このような流れによると、冷却水は冷却水循環ラインL20に沿って冷却水クーラー22、冷却水ポンプ21、メインエンジンE1に流入しながらも、メインエンジンE1の下流で少なくとも一部の冷却水が冷却水循環ラインL20に沿ってブースターポンプ41、バックアップヒーター42(必要な場合)、熱交換器30、ガスセパレーター43に沿って流れた後、再び冷却水クーラー22に伝達されることができる。
【0087】
このような流れは、メインエンジンE1が正常に作動して冷却水がメインエンジンE1で十分に加熱される場合に形成されることができる。即ち、本実施例は、メインエンジンE1を経由して加熱された高温の冷却水が冷却水循環ラインL20に沿って熱交換器30に伝達されるようにすることで、冷却水の廃熱を熱交換器30の液化ガスに伝達するものである。
【0088】
冷却水の十分な加熱のためにはメインエンジンE1の負荷が既設定値以上に高くなければならない。即ち、メインエンジンE1の負荷が既設定値以上である場合(または船舶の船速が既設定の速度以上)、冷却水は冷却水循環ラインL20の全体に沿って循環することができる。この場合、冷却水がメインエンジンE1で十分に加熱されるため、冷却水循環ラインL20における冷却水はヒーター迂回ラインL23を介してバックアップヒーター42を少なくとも部分的に迂回して熱交換器30に流入することができる。
【0089】
一方、メインエンジンE1の負荷が既設定値未満である場合(船速が既設定の速度未満)、冷却水はメインエンジンE1を経由しても十分に加熱されないことがある。従って、この場合、冷却水が冷却水循環ラインL20に沿って循環するのは上述した場合と類似するが、冷却水循環ラインL20を流れる冷却水はバックアップヒーター42を経て追加加熱された後、熱交換器30に流入することができる。
【0090】
以下では、
図2のように冷却水循環ラインL20及び第1分岐ラインL21によって形成される第1閉ループに沿って冷却水が流動する場合について説明する。
【0091】
図2を参照すると、船舶の停泊などのためにメインエンジンE1が停止すると、冷却水循環ラインL20には冷却水が流動しないことがある。このとき、第1分岐ラインL21がバルブの調整により開放されて冷却水が第1冷却水循環ラインL20a及び第1分岐ラインL21によって形成される第1閉ループに沿って流れるようになる。
【0092】
ただし、この場合、冷却水はメインエンジンE1によって加熱されないため、バックアップヒーター42が用いられてもよい。即ち、冷却水は第1冷却水循環ラインL20aと第1分岐ラインL21に沿って循環しながらバックアップヒーター42を経て加熱された後、熱交換器30に流入することができる。
【0093】
また、この場合、上述したように、冷却水循環ラインL20におけるガスセパレーター43の下流などに設けられる膨張タンク44a、44bを介して冷却水の圧力が調整されることができるため、メインエンジンE1の廃熱を利用せずに熱交換器30が冷却水により安定的に液化ガスを加熱することができるようになる。
【0094】
このように本実施例は、メインエンジンE1の冷却水を活用してエンジンE1、E2に供給される液化ガスを加熱するが、メインエンジンE1の負荷、作動有無に応じて冷却水の流れを制御し、バックアップヒーター42を適宜活用することで、液化ガスを安定的に加熱して発電エンジンの稼働安定性を確保することができる。
【0095】
以上、本発明を具体的な実施例で詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者によりその変形や改良が可能であることは明らかである。
【0096】
本発明の単純な変形乃至変更はすべて本発明の範囲に属し、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明らかになるであろう。