(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166266
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】JAK1阻害剤のための徐放性剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20241121BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20241121BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241121BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241121BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241121BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241121BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241121BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20241121BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241121BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241121BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241121BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241121BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20241121BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20241121BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241121BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241121BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241121BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241121BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241121BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241121BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241121BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K9/22
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/38
A61P1/04
A61P3/10
A61P5/14
A61P9/00
A61P13/12
A61P19/02
A61P19/08
A61P19/10
A61P21/04
A61P25/00
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/06
A61P37/08
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P7/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024153579
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2022120531の分割
【原出願日】2014-08-06
(31)【優先権主張番号】61/863,325
(32)【優先日】2013-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/913,066
(32)【優先日】2013-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515311132
【氏名又は名称】インサイト・ホールディングス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE HOLDINGS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナスワミー・イェレスワラム
(72)【発明者】
【氏名】バブニシュ・パリク
(72)【発明者】
【氏名】ディリプ・ピー・モディ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルプティ・シェート
(57)【要約】
【課題】{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を含む徐放性剤形、及びそれに関連する用量及び方法の提供。
【解決手段】{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を含む、徐放性剤形。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回用量を前記患者に経口投与することを含み、前記用量が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む、前記方法。
【請求項2】
前記方法が前記1つまたは複数の徐放性剤形を、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回投薬として前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約100mgの6つの剤形である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約200mgの3つの剤形である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約300mgの2つの剤形である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1つの剤形である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記自己免疫疾患が、皮膚障害、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節炎、I型糖尿病、狼瘡、炎症性腸疾患、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎、自己免疫性甲状腺疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚感作、皮膚刺激、皮疹、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触感作である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記自己免疫疾患が関節リウマチである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記患者のACR70スコアが約40%を超える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者のACR70スコアが約50%を超える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記自己免疫疾患が乾癬である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
PASI50スコアが約70%を超える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記癌が、前立腺がん、腎癌、肝癌、乳癌、肺癌、甲状腺癌、カポジ肉腫、キャッスルマン病、膵臓癌、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄様化生を伴う骨髄線維症(MMM)、原発性骨髄線維症(PMF)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、特発性骨髄線維症(IMF)、または全身性肥満細胞症(SMCD)である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記骨髄増殖性疾患が原発性骨髄線維症(PMF)である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、ベースラインと比較して前記患者の総症状スコア(TSS)の低下をもたらす、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が貧血症の減少をもたらす、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記骨吸収疾患が、骨粗鬆症、骨関節炎、ホルモン失調に関連する骨吸収、ホルモン療法に伴う骨吸収、自己免疫疾患に伴う骨吸収、または癌に伴う骨吸収である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が、約0.5時間から約3時間である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が、少なくとも0.5時間である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約5から約50である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約9から約40である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約15から約30である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)が、約1時間から約20時間である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が、約1時間から約9時間である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が、少なくとも1.5時間である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約10から約70である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約15から約50である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約25から約45である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)が、約1時間から約7時間である、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)が、約2時間から約5時間である、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記1つまたは複数の徐放性剤形がそれぞれ錠剤である、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、湿式造粒を含む工程によって調製される、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、1つまたは複数のヒプロメロースをそれぞれ含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、ヒプロメロース及び結晶セルロースから独立して選択された1つまたは複数の賦形剤をそれぞれ含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、ヒプロメロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、及びラクトース一水和物から独立して選択された1つまたは複数の賦形剤をそれぞれ含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、水中濃度2%で約80cPから約120cPの見掛け粘度を有することを特徴とする第一のヒプロメロース及び水中濃度2%で約3000cPから約5600cPの見掛け粘度を有することを特徴とする第二のヒプロメロースをそれぞれ含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、約10重量%から約15重量%の1つまたは複数のヒプロメロースをそれぞれ含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、約16重量%から約22重量%の結晶セルロースをそれぞれ含む、請求項1から32及び37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、約45重量%から約55重量%のラクトース一水和物をそれぞれ含む、請求項1から32及び37から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記1つまたは複数の徐放性剤形が、約0.3重量%から約0.7重量%のステアリン酸マグネシウムをそれぞれ含む、請求項1から17及び37から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記塩が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩である、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
1つまたは複数の徐放性剤形であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、前記剤形。
【請求項43】
1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、前記用量。
【請求項44】
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形であって、前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、前記剤形。
【請求項45】
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量であって、前記用量が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、前記用量。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、そのそれぞれがその全体において参照により本明細書に組み込まれる、2013年8月7日に出願された米国仮特許出願第61/863,325号、及び2013年12月6日に出願された米国仮特許出願第61/913,066号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を含む徐放性剤形、及びそれに関する用量及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質キナーゼ(PK)は、生物学的プロセスの中でも、細胞増殖、生存、分化、臓器形成、形態発生、血管新生、組織修復、及び再生などを含む多様な生物学的プロセスを調節する。タンパク質キナーゼはまた、癌を含むヒト疾患の宿主に特殊化した役割を担う。サイトカイン、低分子量のポリペプチド類または糖タンパク質類は、敗血症に対する宿主の炎症性反応に関与する多くの経路を調節する。サイトカインは、細胞の分化、増殖及び活性化に影響を及ぼし、炎症促進性及び抗炎症性反応の両方を調整し、宿主による病原への適切な反応を可能にする。広範なサイトカインのシグナル伝達は、タンパク質チロシンキナーゼのヤヌスキナーゼファミリー(JAK)及びシグナル伝達性転写因子(STAT)を伴う。4つの哺乳動物のJAK:JAK1(ヤヌスキナーゼ-1)、JAK2、JAK3(ヤヌスキナーゼ、白血球;JAKL;及びL-JAKとしても知られる)、及びTYK2(タンパク質チロシンキナーゼ2)が知られている。
【0004】
サイトカインにより刺激される免疫反応及び炎症性反応は、疾患の病因に寄与する。重症複合免疫不全症(SCID)などの病態は免疫系の抑制から生じ、一方で、機能亢進性のまたは不適当な免疫/炎症性反応は、自己免疫疾患(例えば、喘息、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、心筋炎)の病態及び強皮症及びに骨関節炎などの疾患に寄与する(非特許文献1)。
【0005】
JAKの発現の欠失は多くの疾患状態に関連する。例えば、Jak1-/-マウスは出生時から発育が遅延し、授乳することができないため、周産期に死亡してしまう(非特許文献2)。Jak2-/-マウス胎仔は貧血性であり、赤血球生成を決定的に欠くため、交尾後約12.5日で死亡する。
【0006】
JAK/STAT経路、特に4種のJAK全てが、喘息反応、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、及びその他の関連する下気道炎症性疾患の病因的役割を担うと考えられている。JAKを通してシグナル伝達する複数のサイトカインは、古典的なアレルギー反応であるかどうかにかかわらず、鼻及び副鼻腔を冒す疾患/状態(例えば、鼻炎及び副鼻腔炎)などの上気道の炎症性疾患/状態に結び付いている。JAK/STAT経路は、眼の炎症性疾患/状態及び慢性的なアレルギー反応にも関与するとされてきた。
癌におけるJAK/STATの活性化は、サイトカイン(例えば、IL-6またはGM-CSF)による刺激によって、またはSOCS(抑制因子またはサイトカインのシグナル伝達)またはPIAS(活性化STATのタンパク質阻害因子)などのJAKシグナル伝達の内在性抑制因子が減少することによって起こり得る(非特許文献3)。STATシグナル伝達、並びにJAKのその他の下流経路(例えばAkt)の活性化は、多くの癌型における予後不良に相関しているとされてきた(非特許文献4)。JAK/STATを通してシグナル伝達する循環サイトカインのレベルの上昇は、悪液質及び/または慢性疲労に因果的役割を担う。従って、JAK阻害は、潜在的な抗腫瘍活性以外にも及ぶために、癌患者にとって有益であり得る。
【0007】
JAK2チロシンキナーゼは、骨髄増殖性疾患、例えば真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄様化生を伴う骨髄線維症(MMM)の患者にとって有益であり得る(非特許文献5)。JAK2V617Fキナーゼの阻害は、造血細胞の増殖を低減させ、これはJAK2が、PV、ET、及びMMMを有する患者における薬理学的阻害のための潜在的な標的であることを示す。
【0008】
JAKの阻害は、乾癬などの皮膚免疫障害、及び皮膚感作を患う患者に有益であり得る。乾癬の持続は、様々なケモカイン及び増殖因子に加えて、多くの炎症性サイトカインに依存すると考えられ(非特許文献6)、それらの多くはJAKを通してシグナル伝達する(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ortmann、R.A.,T.Chengら(2000)Arthritis Res 2(1):16-32
【非特許文献2】Rodig、S.J.,M.A.Merazら(1998)Cell 93(3):373-83
【非特許文献3】Boudny,V.,and Kovarik、J.,Neoplasm.49:349-355,2002
【非特許文献4】Bowman,Tら、Oncogene 19:2474-2488,2000
【非特許文献5】Levinら、CancerCell,vol.7,2005:387-397
【非特許文献6】JCI,113:1664-1675
【非特許文献7】Adv Pharmacol.2000;47:113-74
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
免疫系及び炎症系経路の増強または抑制を目的とする、並びに自己免疫疾患、機能亢進性炎症反応を伴う疾患(例えば、湿疹)、アレルギー、癌(例えば、前立腺、白血病、多発性骨髄腫)、及び他の治療薬により引き起こされるいくつかの免疫反応(例えば、皮膚発疹または接触性皮膚炎または下痢)の処置におけるJAKを阻害する化合物(例えば、臓器移植のための免疫抑制剤)の有用性のために、JAKキナーゼを投与する製剤の改善が求められている。本明細書に記載の剤形、並びに上述の用量及び方法はこの必要性及びその他の目的に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
JAK阻害剤は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる、2011年3月9日に出願された米国特許出願第13/043,986号(US2011/0224190)に記述され、以下の式Iに示される{{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルを含む。
【化1】
I
【0012】
本出願は、特に、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を遊離塩基基準で約25mgから約600mg(例えば、25mg、100mg、200mg、300mg、または600mg)含む、徐放性剤形を提供する。
【0013】
本発明は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形であって、前記1つまたは複数の徐放性剤形が{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、前記剤形をさらに提供する。
【0014】
本発明は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量であって、前記用量が{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、前記用量も提供する。
【0015】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形をさらに提供する。
【0016】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量も提供する。
【0017】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を経口投与することを含む、前記方法をさらに提供する。
【0018】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回用量を前記患者に経口投与することを含み、前記用量が{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む、前記方法も提供する。
【0019】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性用量を経口投与することを含む、前記方法をさらに提供する。
【0020】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、前記方法が前記患者に1つまたは複数の徐放性剤形を{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回投薬として経口投与することを含む、前記方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1A~Cは、単回用量の300mg IRカプセル(1A:コホート1~4、絶食)、SR1、SR2、SR3、及びSR4錠剤(2B:コホート1~4、絶食;及び2C:コホート1~4、高脂肪食摂食)を受けている健常対象における式Iの化合物についての血漿中濃度(平均±SE)を示す。
【
図2】
図2A~Bは、単回用量300mg SR3のPKプロファイル(平均±SE)(2A:コホート3、SR3、絶食対高脂肪食;及び2B:コホート5、SR3、絶食対中脂肪食(medium-fat meal))を示す。
【
図3】
図3は、25mgと100mgのSR3錠剤間のPKプロファイル(平均±SE)(処置A対C)及び25mgのSR3錠剤に及ぼす高脂肪食の食効(処置B対A)の比較を示す。
【
図4】
図4は、プラセボに対する徐放性錠剤のいくつかの投与計画でのヘモグロビンのベースラインからの変化割合(%)を示す。
【
図5】
図5(a)は、用量コホート単位で(100mg 1日2回、200mg 1日2回、及び600mg 1日1回)、12週目での総症状スコア(TSS)が50%以上低下した患者の割合(%)を示す。
図5(b)は、用量コホート単位で(100mg 1日2回、200mg 1日2回、及び600mg 1日1回)、12週目でのベースラインからの総症状スコア(TSS)における変化割合(%)を示す。
【
図6】
図6(a)は、用量コホート単位で(100mg 1日2回、200mg 1日2回、及び600mg 1日1回)、継時的な平均ヘモグロビンレベルを示す。
図6(b)は、用量コホート単位で(100mg 1日2回、200mg 1日2回、及び600mg 1日1回)、48週での継時的な平均ヘモグロビンレベル(g/dL)を示す。
図6(c)は、プラセボまたはルキソリチニブを投薬された個体と比較して、用量コホート単位で、48週での継時的な平均ヘモグロビンレベル(g/dL)を3つの用量コホートの平均として示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を含む、徐放性剤形を提供する。いくつかの実施形態では、本出願は{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を遊離塩基基準で約25mgから約600mg含む徐放性剤形を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を遊離塩基基準で約300mg含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を遊離塩基基準で約200mg含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を遊離塩基基準で約100mg含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩を遊離塩基基準で約300mg含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩を遊離塩基基準で約200mgを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩を遊離塩基基準で約100mgを含む。
【0029】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)は、約100nMから約1000nMである。この文脈で使用するとき、経口投与は、単回用量が個体に投与される(この場合、3×100mg)ことを意味し、PKパラメータは継時的な血漿中濃度の測定値から算出される。この文脈では、PKパラメータ(この場合は、Cmax)は単一徐放性剤形を特徴付けるために使用されている(つまり、3つの剤形ではなく、単一剤形に関し、特許請求する)。
【0030】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)は、約400nMから約700nMである。
【0031】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は約0.5時間から約3時間である。
【0032】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は、少なくとも0.5時間である。
【0033】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約5から約50である。
【0034】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約9から約40である。
【0035】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約15から約30である。
【0036】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)は、約5時間から約15時間である。
【0037】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)は、約7時間から約12時間である。
【0038】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)は、約1時間から約20時間である。
【0039】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均バイオアベイラビリティ(AUC0-∞)は、約1000nM×時間から約4000nM×時間である。
【0040】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、絶食時個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均バイオアベイラビリティ(AUC0-∞)は、約1500nM×時間から約3100nM×時間である。
【0041】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)は、約200nMから約2000nMである。
【0042】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)は、約500nMから約1500nMである。
【0043】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は、約1時間から約9時間である。
【0044】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は、少なくとも1.5時間である。
【0045】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約10から約70である。
【0046】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約15から約50である。
【0047】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約25から約45である。
【0048】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)は、約1時間から約7時間である。
【0049】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)は、約2時間から約5時間である。
【0050】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均バイオアベイラビリティ(AUC0-∞)は、約2000nM×時間から約5000nM×時間である。
【0051】
約100mgを含む徐放性剤形のいくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への3つの前記剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均バイオアベイラビリティ(AUC0-∞)は、約3000nM×時間から約4000nM×時間である。
【0052】
いくつかの実施形態では、Cmaxについての即時放出剤形に対する徐放性剤形の幾何平均比率(%)は約15%から約30%であり、ここで1つまたは複数の即時放出剤形及び1つまたは複数の徐放性剤形は単回用量として絶食時個体に独立して経口投与され、同一服用量の{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、または医薬的に許容され得る塩が投与される。
【0053】
いくつかの実施形態では、Cmaxについての即時放出剤形に対する徐放性剤形の幾何平均比率(%)は約15%から約30%であり、ここで1つまたは複数の即時放出剤形及び1つまたは複数の徐放性剤形は単回用量として絶食時個体に独立して経口投与され、同一服用量の{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、または医薬的に許容され得る塩が投与される。
【0054】
いくつかの実施形態では、AUC0-∞についての即時放出剤形に対する徐放性剤形の幾何平均比率(%)は、約40%から約55%であり、ここで1つまたは複数の即時放出剤形及び1つまたは複数の徐放性剤形は単回用量として絶食時個体に独立して経口投与され、ここで同一服用量の{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、または医薬的に許容され得る塩が投与される。
【0055】
いくつかの実施形態では、絶食時個体に経口投与された徐放性剤形に対する高脂肪食後個体に経口投与された徐放性剤形のCmaxについての幾何平均比率(%)は、約150%から約250%である。
【0056】
いくつかの実施形態では、絶食時個体に経口投与された徐放性剤形に対する高脂肪食後個体に経口投与された徐放性剤形のAUC0-∞についての幾何平均比率(%)は、約125%から約170%である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明の徐放性剤形は、徐放性マトリックス形成剤(matrix former)を含み得る。徐放性マトリックス形成剤の例としては、セルロースエーテル、例えば高粘度ポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、ヒプロメロース)、及びメチルセルロースが挙げられる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの例としては、Methocel(商標)K15M、Methocel(商標)K4M、Methocel(商標)K100LV、Methocel(商標)E3、Methocel(商標)E5、Methocel(商標)E6、Methocel(商標)E15、Methocel(商標)E50、Methocel(商標)E10M、Methocel(商標)E4M、及びMethocel(商標)E10Mが挙げられる。いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、1つまたは複数のヒプロメロースを含む。いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、水中濃度2%で約80cPから約120cPの見掛け粘度を有することを特徴とする第一のヒプロメロース及び水中濃度2%で約3000cPから約5600cPの見掛け粘度を有することを特徴とする第二のヒプロメロースを含む。いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、約8重量%から約20重量%の1つまたは複数のヒプロメロースを含む。いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、約10重量%から約15重量%の1つまたは複数のヒプロメロースを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明の徐放性剤形は、1つまたは複数のフィラー、流動促進剤、崩壊剤、結合剤、または潤滑剤を不活性成分としてさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、フィラーは、結晶セルロース、ラクトース一水和物、または両方を含む。いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、約16重量%から約22重量%の結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、約45重量%から約55重量%のラクトース一水和物を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、本発明の剤形中に0から約5重量%の量で存在することができる。潤滑剤の非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸(ステアリン)、硬化油、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、及びベヘン酸グリセリルが挙げられる。いくつかの実施形態では、製剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、または両方を含む。いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、約0.3重量%から約0.7重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、流動促進剤は剤形中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、流動促進剤は、本発明の剤形中に0から約5重量%の量で存在することができる。流動促進剤の非限定的な例としては、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、及びコーンスターチが挙げられる。いくつかの実施形態では、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0061】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング剤は、0から約5重量%の量で存在することができる。フィルムコーティング剤の非限定的な例示的な例としては、いくつかの市販の完全なコーティング系中に、二酸化チタン、タルク、及び任意選択的に着色料を伴う、ヒプロメロースまたはポリビニルアルコール系コーティングが挙げられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形はα化澱粉を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は錠剤である。
【0064】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は湿式造粒を含む工程により調製される。
【0065】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、ヒプロメロース及び結晶セルロースから独立して選択された1つまたは複数の賦形剤を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、ヒプロメロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、及びラクトース一水和物から独立して選択された1つまたは複数の賦形剤を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、徐放性剤形は、ヒプロメロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、ラクトース一水和物、及びα化澱粉から独立して選択された1つまたは複数の賦形剤を含む。
【0068】
本発明は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形であって、前記1つまたは複数の徐放性剤形が{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、前記剤形をさらに提供する。
【0069】
本発明は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量であって、前記用量が{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、前記用量をさらに提供する。
【0070】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形をさらに提供する。
【0071】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約500mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形をさらに提供する。
【0072】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形をさらに提供する。
【0073】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約100mgの6つの剤形であり、提供される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約200mgの3つの剤形であり、提供される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約300mgの2つの剤形であり、提供される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1つの剤形であり、提供される。
【0074】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量も提供する。
【0075】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約500mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量も提供する。
【0076】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量も提供する。
【0077】
いくつかの実施形態では、用量は{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約100mgの6つの剤形を含む。いくつかの実施形態では、用量は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離基準で約200mgの3つの剤形を含む。いくつかの実施形態では、用量は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離基準で約300mgの2つの剤形を含む。いくつかの実施形態では、用量は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離基準で約600mgの1つの剤形を含む。
【0078】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を含むキットをさらに提供する。いくつかの実施形態では、キットは、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回用量として1つまたは複数の徐放性剤形を投与するための説明書をさらに含む。
【0079】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を含むキットをさらに提供する。いくつかの実施形態では、キットは、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回用量として1つまたは複数の徐放性剤形を投与するための説明書をさらに含む。
【0080】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約500mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を含むキットをさらに提供する。いくつかの実施形態では、キットは、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回用量として1つまたは複数の徐放性剤形を投与するための説明書をさらに含む。
【0081】
本出願は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を含むキットをさらに提供する。いくつかの実施形態では、キットは、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回用量として1つまたは複数の徐放性剤形を投与するための説明書をさらに含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、キットは、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約100mgの6つの剤形を含む。いくつかの実施形態では、キットは、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約200mgの3つの剤形を含む。いくつかの実施形態では、キットは、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約300mgの2つの剤形を含む。いくつかの実施形態では、キットは、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1つの剤形を含む。
【0083】
本明細書で用いるとき、「徐放性」は、当技術分野で一般的に理解されるように使用し、経口投与後に患者内へと有効成分をゆっくり放出するように設計された製剤を指す。
【0084】
本明細書で用いるとき、「用量」は、個体または患者に経口投与される式Iの化合物の総量を指す。用量は、単一剤形であってもよく、または複数の剤形(例えば、600mg用量は1つの600mg剤形、2つの300mg剤形、3つの200mg剤形、6つの100mg剤形、など)であってよい。従って、用量は、ほぼ同時に患者に摂取される複数の丸剤を指すことができる。
【0085】
本明細書で用いるとき、「絶食時個体」は、用量の投与前に少なくとも10時間絶食している個体を意味する。
【0086】
本明細書で用いるとき、「平均」は、薬物動態値に先行するとき(例えば、平均Cmax)、別段の指示がない限り、患者の集団から取られた薬物動態値の算術平均値を表す。
【0087】
本明細書で用いるとき、「Cmax」は、最大観察血漿中濃度を意味する。
【0088】
本明細書で用いるとき、「C12h」は、投与から12時間での血漿中濃度を指す。
【0089】
本明細書で用いるとき、「Tmax」は、最大血漿中濃度が観察された時間を指す。
【0090】
本明細書で用いるとき、「T1/2」は、血漿中濃度が観察最大値の半分になる時間を指す。
【0091】
本明細書で用いるとき、「AUC」は、総バイオアベイラビリティの尺度である血漿中濃度-時間曲線下面積を指す。
【0092】
本明細書で用いるとき、「AUC0-∞」は、無限大時間まで外挿した血漿中濃度-時間曲線下面積を指す。
【0093】
本明細書で用いるとき、「AUC0-t」は、時間0から血漿中濃度の最終定量可能時点(通常約12~36時間)までの血漿中濃度-時間曲線下面積を指す。
【0094】
本明細書で用いるとき、「AUC0-τ」は、時間0から次の投与時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積を指す。
【0095】
本明細書で用いるとき、「Cl/F」は経口クリアランスを指す。
【0096】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物の医薬的に許容され得る塩も含む。本明細書で用いるとき、「医薬的に許容され得る塩」は、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによりその親化合物が修飾される、本開示の化合物の誘導体を指す。医薬的に許容され得る塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩;などが挙げられるがこれに限定されない。本発明の医薬的に許容され得る塩は、例えば、非毒性の無機酸または有機酸から形成された親化合物の非毒性塩を含む。本発明の医薬的に許容され得る塩は、従来の化学的方法により塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成されることができる。通常、かかる塩は、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を水中または有機溶媒中またはその2つの混合物中で化学量論量の好適な塩基または酸と反応させることにより調製することができる。;一般的に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはブタノール)またはアセトニトリル(ACN)などの非水性媒体が好ましい。好適な塩のリストは、そのそれぞれがその全体において参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に見出される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、N-オキシド形態を含む。
【0097】
方法
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性剤形を経口投与することを含む、前記方法をさらに提供する。
【0098】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回用量を前記患者に経口投与することを含み、前記用量が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む、前記方法も提供する。本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、本明細書に記載の1つまたは複数の徐放性用量を前記患者に経口投与することを含む前記方法をさらに提供する。
【0099】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含む前記方法も提供する。
【0100】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約500mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含む前記方法も提供する。
【0101】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含む前記方法も提供する。
【0102】
前3段落における方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約100mgの6つの剤形であり、提供される。前3段落における方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約200mgの3つの剤形であり、提供される。前3段落における方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約300mgの2つの剤形であり、提供される。前3段落における方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1つの剤形であり、提供される。
【0103】
いくつかの実施形態では、絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は、約0.5時間から約3時間である。
【0104】
いくつかの実施形態では、絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は、少なくとも0.5時間である。
【0105】
いくつかの実施形態では、絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約5から約50である。
【0106】
いくつかの実施形態では、絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約9から約40である。
【0107】
いくつかの実施形態では、絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約15から約30である。
【0108】
いくつかの実施形態では、絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)は、約1時間から約20時間である。
【0109】
いくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は、約1時間から約9時間である。
【0110】
いくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は、少なくとも1.5時間である。
【0111】
いくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約10から約70である。
【0112】
いくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約15から約50である。
【0113】
いくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率は、約25から約45である。
【0114】
いくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)は、約1時間から約7時間である。
【0115】
いくつかの実施形態では、高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)は、約2時間から約5時間である。
【0116】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、それぞれ錠剤である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、湿式造粒を含む工程によって調製される。
【0117】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、1つまたは複数のヒプロメロースをそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、ヒプロメロース及び結晶セルロースから独立して選択された1つまたは複数の賦形剤をそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、ヒプロメロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、及びラクトース一水和物から独立して選択された1つまたは複数の賦形剤をそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、水中濃度2%で約80cPから約120cPの見掛け粘度を有することを特徴とする第一のヒプロメロース及び水中濃度2%で約3000cPから約5600cPの見掛け粘度を有することを特徴とする第二のヒプロメロースをそれぞれ含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、約10重量%から約15重量%の1つまたは複数のヒプロメロースをそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、約16重量%から約22重量%の結晶セルロースをそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、約45重量%から約55重量%のラクトース一水和物をそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、約0.3重量%から約0.7重量%のステアリン酸マグネシウムをそれぞれ含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、本出願は患者の骨髄線維症を処置する方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回用量を前記患者に経口投与することを含み、該用量が{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含み;該方法がベースラインと比較して前記患者の総症状スコア(TSS)の低下をもたらす、前記方法を提供する。いくつかの実施形態では、本出願は患者の骨髄線維症を処置する方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含み;該方法がベースラインと比較して前記患者の総症状スコア(TSS)の低下をもたらす、前記方法を提供する。
【0120】
いくつかの実施形態では、本出願は、患者の骨髄線維症を処置する方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約500mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含み;該方法がベースラインと比較して前記患者の総症状スコア(TSS)の低下をもたらす、前記方法を提供する。
【0121】
いくつかの実施形態では、本出願は、患者の骨髄線維症を処置する方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含み;該方法がベースラインと比較して前記患者の総症状スコア(TSS)の低下をもたらす前記方法を提供する。
【0122】
前3段落における方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約100mgの6つの剤形であり、提供される。前3段落における方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約200mgの3つの剤形であり、提供される。前3段落における方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約300mgの2つの剤形であり、提供される。前3段落における方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1つの剤形であり、提供される。
【0123】
いくつかの実施形態では、「総症状スコア(TSS)」は、ベースライン(ベースラインとは処置前の患者のベースラインTSSである)と比較して、Myelofibrosis Symptom Assessment Form(MFSAF)修正版(例えばv3.0)電子日誌により得られるTSSを指す。いくつかの実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症(PMF)、真性多血症後MF、または本態性血小板血症後MFである。
【0124】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回用量を前記患者に経口投与することを含み、該用量が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含み;前記方法が貧血症の減少をもたらす、前記方法も提供する。
【0125】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、該方法が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含み;前記方法が貧血症の減少をもたらす、前記方法も提供する。
【0126】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、該方法が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約500mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含み;前記方法が貧血症の減少をもたらす、前記方法も提供する。
【0127】
本出願は、自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、該方法が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgの1日1回投薬として1つまたは複数の徐放性剤形を前記患者に経口投与することを含み;前記方法が貧血症の減少をもたらす、前記方法も提供する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約100mgの6つの剤形であり、提供される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約200mgの3つの剤形であり、提供される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約300mgの2つの剤形であり、提供される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の徐放性剤形は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1つの剤形であり、提供される。
【0128】
貧血症の減少は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約200mgの1日2回用量について経験されたものとの比較であって、ここで該用量は{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む。
【0129】
式Iの化合物は、JAK阻害剤である。JAK1選択的阻害剤は、他のヤヌスキナーゼよりも優先的にJAK1活性を阻害する化合物である。JAK1は、多くのサイトカイン及び増殖因子のシグナル伝達経路において中心的な役割を果たし、調節不全になると、疾患状態が生じ得るまたはそれに寄与し得る。例えば、IL-6レベルは、それが有害な影響を有すると示されている疾患である関節リウマチにおいて上昇する(Fonesca、J.Eら、Autoimmunity Reviews、8:538-42、2009)。IL-6が、少なくとも部分的に、JAK1を通してシグナルを伝達するため、JAK1の阻害を通して直接的または間接的にIL-6を拮抗することが、臨床的利益をもたらすことが期待される(Guschin,D.,Nら、Embo J 14:1421,1995;Smolen,J.Sら、Lancet 371:987,2008)。さらに、いくつかの癌では、JAK1が変異し、構成的で望ましくない腫瘍細胞増殖及び生存をもたらす(Mullighan CG、Proc Natl Acad Sci USA.106:9414-8,2009;Flex Eら、J Exp Med.205:751-8,2008)。その他の自己免疫疾患及び癌では、JAK1を活性化する炎症性サイトカインの全身のレベルの上昇が、疾患及び/または関連症状に寄与することもあり得る。それゆえ、かかる疾患を有する患者は、JAK1の阻害から利益を受け得る。JAK1の選択的阻害剤は、その他のJAKキナーゼを阻害するという不必要な及び潜在的に望ましくない作用を回避する一方で、有効となり得る。
【0130】
JAK1の選択的阻害剤は、その他のJAKキナーゼに比べて、選択性が低い阻害剤を上回る複数の治療的利益を有し得る。JAK2に対する選択性に関して、例えば、エリスロポエチン(Epo)及びトロンボポエチン(Tpo)を含む多くの重要なサイトカイン及び増殖因子が、JAK2を通してシグナルを伝達する(Parganas Eら、Cell.93:385-95,1998)。Epoは赤血球の産生のために主要な増殖因子であり、ゆえに、Epo依存性シグナル伝達の不足が赤血球数の減少及び貧血症を起こす可能性がある(Kaushansky K、NEJM354:2034-45,2006)。JAK2依存性増殖因子の別の例であるTpoは、血小板を産生する細胞である巨核球の増殖及び成熟の制御に中心的な役割を担う(Kaushansky K、NEJM354:2034-45,2006)。従って、Tpoシグナル伝達の減少は、巨核球の数を減少させ得(巨核球減少)、循環血小板数を減らし得る(血小板減少)。これは、望ましくない及び/または制御不能な出血をもたらす可能性がある。JAK3及びTyk2などの他のJAK阻害の減少も、これらのキナーゼの機能的なバージョン(functional version)が欠損しているヒトが重症複合免疫不全または高IgE症候群などの多くの疾患を患うことが示されているため、望まれ得る(Minegishi,Yら、Immunity 25:745-55,2006;Macchi Pら、Nature.377:65-8,1995)。それゆえ、他のJAKへの親和性が低下したJAK1阻害剤は、免疫抑制、貧血症及び血小板減少症に伴う副作用の減少に関して、より選択性が低い阻害剤を著しく上回る利益を有するだろう。
【0131】
本発明の別の態様は、個体(例えば、患者)におけるJAK関連疾患または障害の処置を、かかる処置を必要とする個体に本発明の徐放性剤形を投与することにより、行う方法に関する。JAK関連疾患は、JAKの過剰発現及び/または異常な活性レベルを含む、JAKの発現または活性に直接的または間接的につながる任意の疾患、障害または状態を含むことができる。JAK関連疾患は、JAK活性を調節することにより予防、改善、治療することができる、任意の疾患、障害または状態も含むことができる。
【0132】
JAK関連疾患の例としては、臓器移植の拒絶反応(例えば、同種移植片拒絶及び移植片対宿主病)を含む免疫系に関与する疾患が挙げられる。
【0133】
JAK関連疾患のさらなる例としては、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、乾癬性関節炎、I型糖尿病、狼瘡、乾癬、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎、自己免疫性甲状腺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、などが挙げられる。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡(PV)または水疱性類天疱瘡(BP)などの自己免疫水疱性皮膚障害である。
【0134】
JAK関連疾患のさらなる例としては、喘息、食物アレルギー、湿疹性皮膚炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、及び鼻炎などのアレルギー病態が挙げられる。JAK関連疾患のさらなる例としては、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV1、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)及びヒトパピローマウイルス(HPV)などのウイルス性疾患が挙げられる。
【0135】
JAK関連疾患のさらなる例としては、軟骨代謝回転が関連する疾患、例えば、痛風性関節炎、化膿性または感染性関節炎、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、有痛性骨萎縮症、ティーツェ症候群、助骨関節症、地方性変形性骨関節炎、Mseleni病、Handigodu病、線維筋痛症から生じる変性、全身性エリテマトーデス、強皮症、または強直性脊椎炎が挙げられる。
【0136】
JAK関連疾患のさらなる例としては、遺伝性軟骨溶解、軟骨異形成症、及び偽性軟骨異形成症(例えば、小耳症、無耳症、及び骨幹端軟骨異形成)を含む、先天性軟骨形成異常が挙げられる。
【0137】
JAK関連疾患または病態のさらなる例としては、乾癬(例えば、尋常性乾癬)、アトピー性皮膚炎、皮疹、皮膚刺激、皮膚感作(例えば、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触性皮膚炎)などの皮膚障害が挙げられる。例えば、いくつかの薬剤を含むある物質が、局所的に適用された際に、皮膚感作を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの本発明のJAK阻害剤を、望まれない感作を引き起こす薬剤とともに同時投与または連続投与することは、このような望まれない感作または皮膚炎の処置を行うのに役に立つ可能性がある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの本発明のJAK阻害剤の局所投与により、皮膚障害を処置する。
【0138】
さらなる実施形態では、JAK関連疾患は、固形腫瘍(例えば、前立腺癌、腎癌、肝癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、膠芽腫、カポジ肉腫、キャッスルマン病、子宮平滑筋肉腫、黒色腫など)、血液癌(例えば、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)などの白血病または多発性骨髄腫)、及び皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び皮膚B細胞リンパ腫などの皮膚癌を特徴とする癌である。CTCLの例として、セザリー症候群及び菌状息肉腫が挙げられる。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書の剤形、またはその全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/637,545号に記載されるものなどの他のJAK阻害剤と組み合わせを、炎症関連癌の処置に使用することができる。いくつかの実施形態では、癌は炎症性腸疾患に関連する。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患はクローン病である。いくつかの実施形態では、炎症関連癌は大腸炎関連癌である。いくつかの実施形態では、炎症関連癌は大腸癌または結腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、腺癌、小腸癌、または直腸癌である。
【0140】
JAK関連疾患は、偽キナーゼドメインに少なくとも1つの変異を有するもの(例えば、JAK2V617F)などのJAK2変異体;偽キナーゼドメインの外に少なくとも1つの変異を有するJAK2変異体;JAK1変異体;JAK3変異体;エリスロポエチン受容体(EPOR)変異体の発現、またはCRLF2の脱調節された発現を特徴とするものをさらに含むことができる。
【0141】
JAK関連疾患は、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄化生を伴う骨髄線維症(MMM)、原発性骨髄線維症(PMF)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、全身性肥満細胞症(SMCD)などの骨髄増殖性疾患(MPD)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、骨髄増殖性疾患は骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症(PMF)または真性多血症/本態性血小板血症後の骨髄線維症(Post-PV/Post-ET MF))である。いくつかの実施形態では、骨髄増殖性疾患は本態性血小板血症後の骨髄線維症(Post-ET)である。いくつかの実施形態では、骨髄増殖性疾患は真性多血症後の骨髄線維症(Post-PV MF)である。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の剤形は、肺動脈性肺高血圧症の処置に使用することができる。
【0143】
本発明は、本発明の剤形を投与することにより、他の医薬品の皮膚の副作用を処置する方法をさらに提供する。例えば、多くの医薬品は、ざ瘡様発疹または関連皮膚炎として発症し得る、望まれないアレルギー反応をもたらす。かかる望ましくない副作用を有する医薬品の例としては、ゲフィチニブ、セツキシマブ、エルロチニブなどの抗癌剤が挙げられる。本発明の剤形を、望ましくない皮膚の副作用を有する医薬品と組み合わせて(例えば、同時にまたは連続して)全身に投与することができる。
【0144】
さらなるJAK関連疾患として、炎症及び炎症性疾患が挙げられる。炎症性疾患の例としては、サルコイドーシス、眼の炎症性疾患(例えば、虹彩炎、ブドウ膜炎、強膜炎、結膜炎、または関連疾患)、気道の炎症性疾患(例えば、鼻炎または副鼻腔炎などの鼻及び副鼻腔を含む上気道の炎症性疾患、または気管支炎、慢性閉塞性肺疾患などを含む下気道の炎症性疾患)、心筋炎などの炎症性筋疾患、及び他の炎症性疾患が挙げられる。いくつかの実施形態では、眼の炎症性疾患は眼瞼炎である。
【0145】
本明細書に記載の剤形は、虚血再潅流障害、または脳卒中または心停止等の炎症性虚血性事象に関連した疾患または病態を治療するために、さらに使用することができる。本明細書に記載の剤形は、エンドトキシンによる疾患状態(例えば、バイパス手術後の合併症または慢性心不全に寄与する慢性エンドトキシン状態)を処置するためにさらに使用することができる。本明細書に記載の剤形は、癌に起因するまたは癌に関連するものなどの食欲不振、悪液質、疲労を処置するためにさらに使用することができる。本明細書に記載の剤形は、再狭窄、硬化性皮膚炎、線維症を処置するためにさらに使用することができる。本明細書に記載の剤形は、例えば糖尿病網膜症、癌、または神経変性などの低酸素症若しくはアストログリオーシスに関連する病態を処置するためにさらに使用することができる。例えば、その両方がその全体において参照により本明細書に組み込まれる、Dudley,A.Cら、Biochem.J.2005,390(Pt2):427-36及びSriram,Kら、J.Biol.Chem.2004,279(19):19936-47.Epub 2004 Mar 2を参照されたい。本明細書に記載のJAK阻害剤は、アルツハイマー病を処置するために使用することができる。
【0146】
本明細書に記載の剤形は、全身性炎症反応症候群(SIRS)及び敗血症性ショックなどの他の炎症性疾患を処置するためにさらに使用することができる。
【0147】
本明細書に記載の剤形は、痛風、及び例えば、良性前立腺肥大または良性前立腺過形成による前立腺のサイズ増大を処置するためにさらに使用することができる。
【0148】
さらにJAK関連疾患は、骨粗鬆症、骨関節炎などの骨吸収疾患を含む。骨吸収はまた、ホルモン失調及び/またはホルモン療法、自己免疫疾患(例えば、骨サルコイドーシス)、または癌(例えば、骨髄腫)などの他の病態に関連する可能性がある。式Iの化合物に起因する骨吸収の減少は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%であり得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の剤形は、ドライアイ障害を処置するためにさらに使用することができる。本明細書で用いるとき、「ドライアイ障害」とは、ドライアイワークショップ(DEWS)の最近の公式報告書にまとめられた疾患の状態を包含することを意図し、該報告書では、ドライアイを、「眼表面に対する潜在的な損傷を伴う、不快感、視覚障害及び涙液膜不安定性などの症状を生じる、涙液と眼表面の多因子疾患。これは涙液膜のモル浸透圧濃度の上昇及び眼表面の炎症を伴う。」と定義している。その全体において参照により本明細書に組み込まれる、Lemp,“The Definition and Classification of Dry Eye Disease:Report of the Definition and Classification Subcommittee of the International Dry Eye Workshop”、The Ocular Surface、5(2)、75-92 April 2007。いくつかの実施形態では、ドライアイ障害は、涙液欠乏性ドライアイ(ADDE)または蒸発性ドライアイ障害、またはそれらの適当な組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ドライアイ障害は、シェーグレン症候群ドライアイ(SSDE)である。いくつかの実施形態では、ドライアイ障害は、非シェーグレン症候群ドライアイ(NSSDE)である。
【0150】
さらなる態様では、本発明は、結膜炎、ブドウ膜炎(慢性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎、網膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、または虹彩炎の処置;角膜移植、LASIK(レーザー角膜内切削形成術)、レーザー屈折矯正角膜切除術、またはLASEK(レーザー角膜上皮屈折矯正術)に関連する炎症または痛みの処置;角膜移植、LASIK、レーザー屈折矯正角膜切除術、またはLASEKに関連する視力の低下の阻害;または移植拒絶反応の阻害をそれを必要とする患者において行う方法であって、該患者に本発明の剤形を投与することを含む方法を提供する。
【0151】
加えて、本発明の剤形、またはその全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/637,545号に報告されるものなどの他のJAK阻害剤との組み合わせを、インフルエンザ及びSARSなどのウイルス感染症に関連する呼吸機能障害または呼吸不全を治療するために使用することができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の疾患または障害のいずれかを処置する方法において使用するための、本明細書の実施形態のいずれかに記載される剤形を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の疾患または障害のいずれかを処置する方法において使用するための薬の調製のための、本明細書の実施形態のいずれかに記載される剤形の使用を提供する。
【0153】
いくつかの実施形態では、本発明は、JAK1を調節する方法において使用するための、本明細書に記載される剤形、またはその医薬的に許容され得る塩を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、JAK1を調節する方法において使用するための薬の調製のための、本明細書に記載される剤形、またはその医薬的に許容され得る塩の使用も提供する。
【0154】
本明細書で用いるとき、用語「個体」はヒトである。いくつかの実施形態では、ヒトは成人対象である。
【0155】
本明細書で用いるとき、「処置を行う」または「処置」という用語は、(1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、病態、または障害の病理または総体症状を経験または呈している個体において、疾患、病態、または障害を阻害すること(すなわち、病理及び/または総体症状のさらなる進行を停止すること);及び(2)疾患を寛解させること、例えば、疾患の重症度を低下させることなどの、疾患、病態、または障害の病理または総体症状を経験または呈している個体において、疾患、病態、または障害を寛解させること(すなわち、病理及び/または総体症状を反転させること)のうちの1つまたは複数を指す。
【0156】
併用療法
例えば、化学療法剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制剤など、ならびに、例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれるWO2006/056399に記載されるものなどのBcr-Abl、Flt-3、RAF、及びFAKキナーゼ阻害剤、または他の薬剤などの1つまたは複数の追加の医薬品を、JAK関連疾患、障害、または状態の処置のために、本発明に記載の剤形と組み合わせて使用することができる。1つまたは複数の追加の医薬品は、患者に、同時にまたは連続して投与することができる。
【0157】
化学療法剤の例としては、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、レブリミド、及びメルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチンなどのDNA損傷剤が挙げられる。
【0158】
ステロイドの例としては、デキサメタゾンまたはプレドニゾンなどのコルチコステロイドが挙げられる。
【0159】
Bcr-Abl阻害剤の例としては、その全てがその全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,521,184号、WO04/005281、及び米国特許出願第60/578,491号に開示される属及び種の化合物、及びその医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0160】
好適なFlt-3阻害剤の例としては、その全てがその全体において参照により本明細書に組み込まれるWO03/037347、WO03/099771、及びWO04/046120に開示される化合物、及びそれらの医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0161】
好適なRAF阻害剤の例としては、その両方がその全体において参照により本明細書に組み込まれるWO00/09495及びWO05/028444に開示される化合物、及びそれらの医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0162】
好適なFAK阻害剤の例としては、その全てがその全体において参照により本明細書に組み込まれる、WO04/080980、WO04/056786、WO03/024967、WO01/064655、WO00/053595、及びWO01/014402に開示される化合物、及びそれらの医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0163】
いくつかの実施形態では、本発明の剤形のうちの1つまたは複数は、特にイマチニブまたは他のキナーゼ阻害剤に耐性である患者を処置するために、イマチニブを含む1つまたは複数の他のキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、本発明の1つまたは複数の剤形は、多発性骨髄腫などの癌の処置において化学療法剤と組み合わせて使用することができ、その毒性作用を増悪させることなく、化学療法剤単独に対する応答と比較して、処置応答を改善し得る。多発性骨髄腫の処置において使用される追加の医薬品の例としては、例えば、メルファラン、メルファラン+プレドニゾン[MP]、ドキソルビシン、デキサメタゾン、及びベルケイド(ボルテゾミブ)を挙げることができるが、これらに限定されない。多発性骨髄腫の処置において使用されるさらなる追加の薬剤には、Bcr-Abl、Flt-3、RAF、及びFAKキナーゼ阻害剤が含まれる。本発明の剤形を追加の薬剤と組み合わせることにより、結果として相加効果または相乗効果がもたらされることが望ましい。さらには、デキサメタゾンなどの薬剤に対する多発性骨髄腫細胞の耐性は、本発明の剤形による処置の際に反転し得る。薬剤は、本発明の化合物と単一剤形または連続剤形中で組み合わせることができ、または薬剤は、別個の剤形として同時にまたは連続して投与することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドは、本発明の剤形と組み合わせて患者に投与され、ここでデキサメタゾンは、連続的ではなく断続的に投与される。
【0166】
いくつかのさらなる実施形態では、1つまたは複数の本発明のJAK阻害剤と他の治療剤との組み合わせは、患者に、骨髄移植または幹細胞移植の前、移植中、及び/または移植後に投与することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、フルオシノロンアセトニド(Retisert(登録商標))、またはリメキソロン(AL-2178、Vexol、Alcon)である。
【0168】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、シクロスポリン(Restasis(登録商標))である。
【0169】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、コルチコステロイドである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、またはフルメトロンである。
【0170】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、Dehydrex(商標)(Holles Labs)、シバミド(Opko)、ヒアルロン酸ナトリウム(Vismed、Lantibio/TRB Chemedia)、シクロスポリン(ST-603、Sirion Therapeutics)、ARG101(T)(テストステロン、Argentis)、AGR1012(P)(Argentis)、エカベトナトリウム(千寿製薬-Ista)、ゲファルナート(参天製薬)、15-(s)-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(15(S)-HETE)、セビレミン、ドキシサイクリン(ALTY-0501、Alacrity)、ミノサイクリン、iDestrin(商標)(NP50301、Nascent Pharmaceuticals)、シクロスポリンA(Nova22007、Novagali)、オキシテトラサイクリン(デュラマイシン、MOLI1901、Lantibio)、CF101(2S,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-[6-[(3-ヨードフェニル)メチルアミノ]プリン-9-イル]-N-メチル-オキソラン-2-カルバミル、Can-Fite Biopharma)、ボクロスポリン(LX212またはLX214、Lux Biosciences)、ARG103(Agentis)、RX-10045(合成レゾルビン類似体、Resolvyx)、DYN15(Dyanmis Therapeutics)、リボグリタゾン(DE011、第一三共)、TB4(RegeneRx)、OPH-01(Ophtalmis Monaco)、PCS101(Pericor Science)、REV1-31(Evolutec)、ラクリチン(千寿製薬)、レバミピド(大塚製薬-Novartis)、OT-551(Othera)、PAI-2(University of Pennsylvania及びTemple University)、ピロカルピン、タクロリムス、ピメクロリムス(AMS981、Novartis)、ロテプレドノールエタボネート、リツキシマブ、ジカフォソル四ナトリウム(INS365、Inspire)、KLS-0611(キッセイ薬品工業)、デヒドロエピアンドロステロン、アナキンラ、エファリズマブ、ミコフェノール酸ナトリウム、エタネルセプト(Embrel(登録商標))、ヒドロキシクロロキン、NGX267(TorreyPines Therapeutics)、アクテムラ、ゲムシタビン、オキサリプラチン、L-アスパラギナーゼまたはサリドマイドから選択される。
【0171】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、抗血管新生剤、コリン作動薬、TRP-1受容体調節薬、カルシウムチャネル遮断薬、ムチン分泌促進剤、MUC1刺激薬、カルシニューリン阻害剤、コルチコステロイド、P2Y2受容体アゴニスト、ムスカリン受容体アゴニスト、mTOR阻害剤、別のJAK阻害剤、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、Flt-3キナーゼ阻害剤、RAFキナーゼ阻害剤、及びFAKキナーゼ阻害剤、例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれるWO2006/056399に記載されるものなどである。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、テトラサイクリン誘導体(例えば、ミノサイクリンまたはドキシクリン)である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤はFKBP12に結合する。
【0172】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、アルキル化剤またはDNA架橋剤;抗代謝剤/脱メチル化剤(例えば、5-フルオロウラシル、カペシタビンまたはアザシチジン);抗ホルモン療法(例えば、ホルモン受容体アンタゴニスト、SERM、またはアロマターゼ阻害剤);有糸分裂阻害薬(例えば、ビンクリスチンまたはパクリタキセル);トポイソメラーゼ(IまたはII)阻害剤(例えば、ミトキサントロン及びイリノテカン);アポトーシス誘導物質(例えば、ABT-737);核酸療法(例えば、アンチセンスまたはRNAi);核内受容体リガンド(例えば、アゴニスト及び/またはアンタゴニスト:全トランス型レチノイン酸またはベキサロテン);ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(例えば、ボリノスタット)、低メチル化剤(例えば、デシタビン)などのエピジェネティックな標的薬剤;Hsp90阻害剤、ユビキチン及び/またはユビキチン様共役分子または脱共役分子などのタンパク質安定性の調節因子;またはEGFR阻害剤(エルロチニブ)である。
【0173】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤(複数可)は、粘滑点眼薬(demulcent eye drop)(「人工涙液」としても知られる)であり、それらには、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、またはカルボキシメチルセルロースを含有する組成物が含まれるが、これらに限定されない。人工涙液は、減少した涙液層の湿潤及び潤滑能力を補うことによって、ドライアイの治療に役立ち得る。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、N-アセチル-システインなどの粘液溶解薬であり、それはムコタンパク質と相互作用することにより涙液層の粘性を減少させることができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤には、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、麻酔薬、ステロイド系及び非ステロイド系抗炎症薬を含む抗炎症薬、及び抗アレルギー薬が含まれる。好適な薬物の例としては、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、ネチルマイシン、及びカナマイシンなどのアミノグリコシド類;シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、ロメフロキサシン、レボフロキサシン、及びエノキサシンなどのフルオロキノロン類;ナフチリジン;スルホンアミド類;ポリミキシン;クロラムフェニコール;ネオマイシン;パラモマイシン;コリスチメタート;バシトラシ;バンコマイシン;テトラサイクリン類;リファンピン及びその誘導体(「リファンピン類」);サイクロセリン;ベータ-ラクタム類;セファロスポリン類;アンホテリシン類;フルコナゾール;フルシトシン;ナタマイシン;ミコナゾール;ケトコナゾール;コルチコステロイド類;ジクロフェナク;フルルビプロフェン;ケトロラク;スプロフェン;クロモリン;ロドキサミド;レボカバスチン;ナファゾリン;アンタゾリン;フェニラミン;またはアザリド抗生物質が挙げられる。
【0175】
明確性のため、別々の実施形態の文脈において記載される本発明のある特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせても(本明細書の実施形態が多重従属項として記載されるかのように)提供されることができることがさらに理解されたい。
【実施例0176】
実施例1.徐放性製剤の調製
徐放性錠剤を、以下の表に示す量である賦形剤と調製した。プロトコルAをSR1錠剤について用い、プロトコルBをSR2錠剤について用い、プロトコルCをSR3錠剤及び25mg SR錠剤について用い、プロトコルDをSR4錠剤について用いた。
【0177】
プロトコルA:
ステップ1.式Iの化合物のアジピン酸塩、結晶セルロース、ヒプロメロース(Methocel K100 LV及びMethocel K4M)、及びラクトース一水和物を個別にスクリーニングする。
ステップ2.ステップ1で得たスクリーニングした物質を好適なブレンダーに移し、混合する。
ステップ3.ステップ2で得た混合物を好適な造粒機に移し、混合する。
ステップ4.混合中に精製水を加える。
ステップ5.ステップ4で得た顆粒を好適な乾燥機内へと移し、LODが3%未満になるまで乾燥する。
ステップ6.ステップ5で得た顆粒をスクリーニングする。
ステップ7.スクリーニングされたステアリン酸マグネシウムとステップ6の顆粒を好適なブレンダーにて混合する。
ステップ8.ステップ7の最終混合物を好適な回転式錠剤圧縮機上で圧縮する。
【0178】
プロトコルB:
ステップ1.式Iの化合物のアジピン酸塩、結晶セルロース、ヒプロメロース及びα化澱粉を個別にスクリーニングする。
ステップ2.ステップ1で得たスクリーニングした物質を好適なブレンダーに移し、混合する。
ステップ3.ステップ2で得た混合物を好適な造粒機に移し、混合する。
ステップ4.混合中に精製水を加える。
ステップ5.ステップ4で得た顆粒を好適な乾燥機内へと移し、LODが3%未満になるまで乾燥する。
ステップ6.ステップ5で得た顆粒をスクリーニングする。
ステップ7.ポリオクス、ブチルヒドロキシトルエン及びコロイド状二酸化ケイ素を個別にスクリーニングした。
ステップ8.ステップ6で得た顆粒及びステップ7で得た物質を好適なブレンダーに移し、混合する。
ステップ9.スクリーニングしたステアリン酸マグネシウムをステップ8の物質に加え、ブレンドを継続する。
ステップ10.ステップ9の最終混合物を好適な回転式錠剤圧縮機上で圧縮する。
【0179】
プロトコルC:
ステップ1.ラクトース一水和物、式Iの化合物のアジピン酸塩、結晶セルロース及びヒプロメロースを好適なふるいを通して個別にスクリーニングする。
ステップ2.ステップ1で得たスクリーニングした物質を好適なブレンダーに移し、混合する。
ステップ3.ステップ2で得た混合物を好適な造粒機に移し、混合する。
ステップ4.混合中に精製水を加える。
ステップ5.湿潤顆粒を好適なふるいを通してスクリーニングする。
ステップ6.ステップ5で得た顆粒を好適な乾燥機内へと移し、LODが3%未満になるまで乾燥する。
ステップ7.ステップ6で得た顆粒を粉砕する。
ステップ8.スクリーニングしたステアリン酸マグネシウムとステップ7の顆粒を好適なブレンダーにて混合する。
ステップ9.ステップ8の最終混合物を好適な回転式錠剤圧縮機上で圧縮する。
【0180】
プロトコルD:
ステップ1.α化澱粉、式Iの化合物のアジピン酸塩、ヒプロメロース、及び必要な結晶セルロースの一部を好適なふるいを通して個別にスクリーニングする。
ステップ2.ステップ1で得たスクリーニングした物質を好適なブレンダーに移し、混合する。
ステップ3.ステップ2で得た混合物を好適な造粒機に移し、混合する。
ステップ4.混合中に精製水を加える。
ステップ5.湿潤顆粒を好適なふるいを通してスクリーニングする。
ステップ6.ステップ5で得た顆粒を好適な乾燥機内へと移し、LODが3%未満になるまで乾燥する。
ステップ7.ステップ6で得た顆粒を粉砕する。
ステップ8.結晶セルロースの残りの部分及び重炭酸ナトリウムの半分をスクリーニングする。
ステップ9.ステップ7で得た粉砕した顆粒及びステップ8で得たスクリーニングされた物質を好適なブレンダーに移し、混合する。
ステップ10.重炭酸ナトリウムの残りの部分をスクリーニングし、ステップ9の混合物と混合する。
ステップ11.ステアリン酸マグネシウムをスクリーニングし、ステップ10の混合物と混合する。
ステップ12.ステップ11の最終混合物を好適な回転式錠剤圧縮機上で圧縮する。
【0181】
SR1:100mg徐放性錠剤の組成
【表1】
aアジピン酸塩の遊離塩基への換算係数は、0.7911
b造粒後に添加した
c処理中に除去した
【0182】
SR2:100mg徐放性錠剤の組成
【表2】
aアジピン酸塩の遊離塩基への換算係数は、0.7911
b造粒後に添加した
c処理中に除去した
【0183】
SR3(100mg):100mg徐放性錠剤の組成
【表3】
aアジピン酸塩の遊離塩基への換算係数は、0.7911
b造粒後に添加した
c処理中に除去した
【0184】
SR4:100mg徐放性錠剤の組成
【表4】
aアジピン酸塩の遊離塩基への換算係数は、0.7911
b造粒後に添加した
c処理中に除去した
d一部造粒前に添加し、一部造粒後に添加
【0185】
25mg SR:25mg徐放性錠剤の組成
【表5】
aアジピン酸塩の遊離塩基への換算係数は、0.7911
b造粒後に添加した
c処理中に除去した
【0186】
実施例2.式Iの化合物のIR製剤の調製
実施例3の試験にて使用されるIR製剤を、下記のプロトコルEに従い下記の表に示す組成を有する50mgカプセルとして調製した。
【0187】
プロトコルE:
ステップ1.必要量の式Iの化合物のアジピン酸塩及びおおよそ等量のケイ化結晶セルロース(SMCC)を予混合する。
ステップ2.ステップ1の混合物を好適なふるい(例えば40メッシュ)に通す。
ステップ3.残りのSMCCをステップ2で使用したものと同一のスクリーンを通してスクリーニングする。
ステップ4.ステップ3で得たスクリーニングしたSMCCを、ステップ2で得た混合物と一緒に好適なブレンダーにて(例えばTurbulaブレンダー)おおよそ5分間混合する。
ステップ5.所望の充填重量まで該混合物をカプセルに充填する。
【表6】
*式Iの化合物のアジピン酸塩が有する塩換算係数は、0.7911
【0188】
実施例3.徐放性剤形の相対的バイオアベイラビリティ試験
合計72人の健常成人対象が6つのコホートに登録され(1コホート当たり12対象)、ランダム化スケジュールに従い各コホート内で処置シーケンスに無作為化された。全ての処置は式Iの化合物の単回用量投与とした。処置期間と処置期間の間に7日間の休薬期間を設けた。
【0189】
SR1、SR2、SR3、及びSR4製剤を、それぞれコホート1、コホート2、コホート3、及びコホート4にて評価した(本試験で使用したSR1、SR2、SR3、SR4、及び25mg SR錠剤については実施例1を参照されたい)。対象は、3期クロスオーバー試験に従ってIR及びSR処置を受けた:
処置A:式Iの化合物の300mg(6×50mgカプセル)IR製剤を少なくとも10時間の一晩絶食後に経口投与した。
処置B:式Iの化合物の300mg(3×100mg錠剤)SR製剤を少なくとも10時間の一晩絶食後に経口投与した。
処置C:式Iの化合物の300mg(3×100mg錠剤)SR製剤を高脂肪食後に経口投与した。
【0190】
コホート5の対象は、2期クロスオーバー試験において以下の処置を受けた:
処置A:300mg(式Iの化合物の3×100mg錠剤)SR3を少なくとも10時間の一晩絶食後に経口投与した。
処置B:300mg(式Iの化合物の3×100mg錠剤)SR3を中脂肪食後に経口投与した。
【0191】
コホート6の対象は、3期クロスオーバー試験において以下の処置を受けた:
処置A:50mg(式Iの化合物の2×25mg錠剤(実施例1からの25mg SR錠剤))を少なくとも10時間の一晩絶食後に経口投与した。
処置B:50mg(式Iの化合物の2×25mg錠剤(実施例1からの25mg SR錠剤))を高脂肪食後に経口投与した。
処置C:100mg(1×100mg錠剤)SR3を少なくとも10時間の一晩絶食後に経口投与した。
【0192】
式Iの化合物の血漿中濃度の決定のための血液試料を、ラベンダーキャップ(K2EDTA)Vacutainer(登録商標)採血管を使用して、投与の0、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、16、24、36、及び48時間後に収集した。
【0193】
5.0~5000nMの線形範囲を有する有効なGLP、LC/MS/MS方法によって、血漿試料をアッセイした。表1は、この試験から得た血漿試料の分析中のアッセイ品質管理試料の正確性及び精度(CV%)をまとめる。
【0194】
【表7】
CV%=変動係数パーセント;QC=品質管理;Theo=理論または名目濃度
【0195】
PK分析については、実際の試料収集時間を使用した。実際の収集時間が欠けている試料はいずれも、これらの試料の収集について注記されるプロトコル偏差が存在しないことを条件としてスケジュール時間を使用した。
【0196】
Phoenix WinNonlinバージョン6.0(Pharsight Corporation,Mountain View,CA)を使用して、式の化合物の血漿中濃度についてのデータを分析するために、標準的なノンコンパートメントPK解析法を使用した。したがって、Cmax及びTmaxを観察された血漿中濃度データから直接取った。終末相消失速度定数(terminal-phase disposition rate constant)(λz)を、終末消失相における濃度データの対数線形回帰を用いて推定し、t1/2をln(2)/λzとして推定した。増加している濃度については線形台形公式、及び減少している濃度については対数台形公式を使用して、AUC0-tを推定し、総AUC0-∞をAUC0-t+Ct/λzとして算出した。経口用量クリアランス(CL/F)をDose/AUC0-∞として推定し、終末相分布体積(terminal-phase volume of distribution)(Vz/F)を、Dose/[AUC0-∞
*λz]として推定した。
【0197】
対数変換されたCmax及びAUC値(用量が異なる場合、用量標準化後)を、絶食及び摂食投薬処置間、及びSR及びIR投薬処置間で、クロスオーバー分散分析試験(固定因子=処置、シーケンス、及び時期、ランダム効果=対象(シーケンス))を用いて比較した。処置間のCmax及びAUCの調整された幾何平均比率(基準=SRの絶食投与またはIR)及び対応する90%信頼区間(CI)を決定した。加えて、高脂肪食がAUC0-∞に与える観察された食効及びSR製剤の相対的バイオアベイラビリティ(IRカプセルを基準として)間の相関を、コホート1から4にて処置A、B及びCを完了した全対象からのデータを用いて分位点プロットにより調査した。統計学的分析は、Phoenix WinNonlin バージョン6.0を使用して実施した。
【0198】
図1は、処置A(絶食状態で300mg IR投与)、処置B(絶食状態で300mg SR投与)、及び処置C(高脂肪食を伴う300mg SR投与)の後の、コホート1から4の対象の式Iの化合物の血漿中濃度(平均±SE)を表す。
図2は、式Iの化合物SR3錠剤の単回用量300mg(3×100mg)投与後の平均PKプロファイルに及ぼす高脂肪食及び中脂肪食の効果を比較する。
図3は、処置A(絶食状態で2×25mg SR錠剤投与)、処置B(高脂肪食を伴う2×25mg SR錠剤)、及び処置C(絶食状態で1×100mg SR3投与)の後の、コホート6の対象の式Iの化合物の血漿中濃度(平均±SE)を表す。
【0199】
表2A、2B、3A及び3Bは、コホート1から4の対象についての平均PKパラメータ、100mg力価SR1~SR4錠剤についての相対的バイオアベイラビリティ(基準=IRカプセル)及び食効(高脂肪食)をまとめる。表4A及び4Bは、コホート5の対象についての平均PKパラメータ、及び100mg力価SR3錠剤についての食効(中脂肪食)をまとめる。表5A及び5Bは、コホート6の対象についての平均PKパラメータ、用量標準化相対的バイオアベイラビリティ(基準=100mg SR3錠剤)、及び25mg SR錠剤についての食効(高脂肪食)をまとめる。
【0200】
【0201】
【0202】
【表10】
中央値(90%信頼区間)が報告されるT
maxを除き、PKパラメータ値は平均±SD及び幾何平均である。
【0203】
【表11】
中央値(90%信頼区間)が報告されるT
maxを除き、PKパラメータ値は平均±SD及び幾何平均である。
【0204】
【表12】
中央値(90%信頼区間)が報告されるT
maxを除き、薬物動態パラメータ値は平均±SD及び幾何平均である。
【0205】
【表13】
中央値(90%信頼区間)が報告されるT
maxを除き、薬物動態パラメータ値は平均±SD及び幾何平均である。
【0206】
【表14】
NC=処置間の対象内で有意な数のミスマッチT
lastのために算出されず。;NR=有意な数のC
12h値が定量限界以下(BQL)であったために報告されず。
中央値(90%信頼区間)が報告されるT
maxを除き、PKパラメータ値は平均±SD及び幾何平均である。
i)統計学的比較は用量標準化された。
【0207】
【表15】
NC=処置間の対象内で有意な数のミスマッチT
lastのために算出されず;NR=有意な数のC
12h値が定量限界以下(BQL)であったために報告されず。
中央値(90%信頼区間)が報告されるT
maxを除き、PKパラメータ値は平均±SD及び幾何平均である。
i)統計学的比較は用量標準化された。
【0208】
300mg IRカプセルの空腹時単回用量投与後の平均PKプロファイルは、コホート1から4の対象間で類似した(
図1)。IR製剤と比較して、SR1~SR4製剤(3×100mg錠剤)の空腹時単回用量投与後、観察された血漿T
max中央値は中程度に(0.3から1.5時間)延長され、平均C
max値は有意に低下し(幾何平均C
max比率についての90%CIの上限は30%未満であった)、これはSR錠剤で式Iの化合物の吸収率が低減したことを示す。終末相において観察された見掛けの平均消失t
1/2は、IRカプセルの約2時間と比較して、SR1~SR4では7.3から11時間の範囲で有意に長かった。これは、式Iの化合物の全身排泄が、終末消失相において持続される、その吸収により速度制限されるようであることを示す。C
maxがより低くなること及び消失t
1/2がより長くなることにより、C
max/C
12h比率は、同一被検対象で、IRカプセルと比較してSR錠剤で有意に低かった。幾何平均C
max/C
12h比率は、絶食状態で投与されたIRカプセルで112倍から162倍であるのに対し、SR1、SR2、SR3、及びSR4錠剤についてそれぞれ11.6倍、8.6倍、19.3倍、及び8.9倍であった。
【0209】
絶食状態での投与については、4つのSR錠剤は、同一の対象に投薬されたIRカプセルと比較して相対的バイオアベイラビリティの低下を示した。Cmaxの幾何平均比率(%)(90%CI)は、SR1、SR2、SR3、及びSR4について、それぞれ14.2%(11.4%~17.5%)、8.9%(6.7%~11.9%)、22.3%(17.4%~28.6%)及び9.0%(6.8%~11.9%)であった。AUC0-∞の幾何平均比率(%)(90%CI)は、SR1、SR2、SR3、及びSR4について、それぞれ36.1%(33.3%~39.2%)、26.0%(21.6%~31.3%)、47.5%(41.9%~53.9%)、及び28.5%(23.2%~35.1%)であった。SR3及びSR1は、試験したSR製剤の中でも、それぞれ最良及び2番目に良い相対的バイオアベイラビリティを実証した。
【0210】
絶食状態で投薬された、血漿露出における変動係数パーセント(CV%)により測定される対象間の変動性は、胃腸で保持される製剤SR4で有意に高かったが、腸内で放出するように設計された3つの通常のSR錠剤間では同等であった。100mg SR1錠剤の対象間CV%は、Cmax及びAUC0-∞についてそれぞれ39%及び33%であった。100mg SR2錠剤の対象間CV%は、Cmax及びAUC0-∞についてそれぞれ50%及び37%であった。100mg SR3錠剤の対象間CV%は、Cmax及びAUC0-∞についてそれぞれ43%及び29%であった。100mg SR4錠剤の対象間CV%は、Cmax及びAUC0-∞についてそれぞれ83%及び73%であった。絶食状態で300mg IRを投与されたコホート1~5の全対象(n=59)を統合した場合、対象間CV%はCmax及びAUC0-∞についてそれぞれ49%及び39%であり、SR1、SR2、及びSR3にて観察されたCV%と同等であった。
【0211】
正の食効が300mg(3×100mg)用量レベルで試験された全SR製剤について観察された。高脂肪食後に投与された場合、幾何平均Cmax及びAUC0-∞値は、SR1ではそれぞれ88%及び81%;SR2ではそれぞれ158%及び118%;SR3ではそれぞれ91%及び45%;及びSR4ではそれぞれ93%及び115%増加した。食効は、コホート5のSR3に関するデータにより示されるように、高脂肪食と比較して中脂肪食では中程度であった。SR3について、標準化された中脂肪食後にSR3が投与された時、Cmax及びAUC0-∞値はそれぞれ46%及び17%増加した。食物を伴う投与は、腸内放出用に設計されたSR製剤であるSR1、SR2、及びSR3では式Iの化合物の血漿曝露において対象間CV%を有意に変化させなかった。胃腸で保持されるSR製剤であるSR4については、血漿曝露における対象間CV%は、高脂肪食と共に与えられると有意に低下すると見えた。
【0212】
この試験は、100mg SR3錠剤を基準にして25mg SR錠剤の用量標準化した相対的バイオアベイラビリティも調査した。コホート6の対象については、絶食状態での1×100mg SR3投与に対して、2×25mg SR3処置の用量標準化したCmax及びAUC0-∞幾何平均比率(%)は、それぞれ59%及び66%であった。しかしながら、式Iの化合物の上比例性(supralinear)用量-曝露関係のために、25mg SR錠剤の相対的バイオアベイラビリティは過小評価され得る。2×25mg SR用量については、高脂肪食が式Iの化合物Cmax及びAUC0-∞をそれぞれ60%及び58%増加させた。
【0213】
評価された4つのSR製剤について、観察された見掛けの消失t1/2は同等であり、空腹時単回用量投与から得られるCmax/C12h(1日2回投与から得られるP/T比の代理として使用される)は、SR1、SR2、及びSR4(約10倍)間で同様であり、SR3については中程度に高かった(約20倍)。全体として、全ての4つのSR製剤は、IRカプセルと比較して有意に平坦なPKプロファイルを実証し、持続放出にとって重要な目的を満たした。経口投与される医薬品のバイオアベイラビリティは、全身循環への薬物吸収の速度及び程度によって定義され得る。医薬品からの薬物放出速度の制限による薬物吸収速度における低下は、徐放性製剤における設計要件である。それゆえ、SR製剤については、血漿AUC0-∞により測定される式Iの化合物吸収の程度は、相対的バイオアベイラビリティを評価するための主要評価項目として使用される。ゆえに、平均相対的バイオアベイラビリティはSR2(26%)及びSR4(29%)間で同様であり、それはSR1(36%)より微かに低かった。最良相対的バイオアベイラビリティは、SR3(48%)で観察された。結果は、この試験を実施する前に得られたインビトロ溶解プロファイルと一致する。
【0214】
SR製剤について食効及び相対的バイオアベイラビリティの間で明らかな逆相関が認められた。平均して、高脂肪食と共に投薬した場合、AUC0-∞における増加により測定された食効は、SR2(118%)及びSR4(115%)で最大であり、これはSR1のそれ(81%)より低かった。最小食効はSR3(45%)で観察された。この相関はまた、全ての対象からのデータを一つに統合した時にも明らかであった。統合された個別データ(1ビン当たり9対象の5ビンに分ける)を使用する分位点プロットは、製剤にかかわらず、35%未満の相対的バイオアベイラビリティを有する対象について食効がより顕著(AUCにおいて2超倍増加)であったことを示す。製剤にかからわず、40%を超える相対的バイオアベイラビリティを有する対象について、食効は中程度であった(AUCにおいて約50%またはより少ない増加)。SR3は、48%の平均相対的バイオアベイラビリティを達成し、中程度の食効に関連すると思われる。実際、SR3錠剤(3×100mg)が中脂肪食(より典型的な日常の食事である)と共に投薬された時、幾何平均AUC0-∞において観察された増加はわずか17%であり、これは、この製剤が中脂肪食または低脂肪食を問わずに投与され得ることを示す。著しい食効を回避する観点から、SR3は他の製剤よりも優れている。
【0215】
実施例4.活動性関節リウマチ(RA)を有する患者の第2a相における臨床結果
試験の最初の28日間は、試験の第2部である3か月間の用量選択を導く、前向き用量を選択するために実施した。試験の第2部は、処置は84日間で、無作為化、二重盲検、プラセボ対照(治験依頼者非盲検)であった。第1部と同一の集団を用いて60人の対象を無作為化した:単一コホート、5つの並行処置群、各12対象:100mg SR3錠剤1日2回;300mg(3×100mg SR3錠剤)1日1回;200mg(2×100mg SR3錠剤)1日2回;600mg(6×100mg SR3錠剤)1日1回;及びプラセボ。中間データをACR(American College of Rheumatology)2013に提出した(84日間を終了したn=40対象)。3か月でのACRスコアを表6に示す。600mg 1日1回についてのACRスコアは、RAの処置に承認された他のJAK阻害剤と比較して前例がない。例えば、トファシチニブクエン酸塩(5mg 1日2回)について承認された製品は、3か月ではるかに低いACRスコアを示した:59%(ACR20)、31%(ACR50)、及び15%(ACR70)(表5のXELJANZ(登録商標)-トファシチニブクエン酸塩錠-標識)。
【0216】
【0217】
ヘモグロビンについてのベースラインからの変化割合(%)もそれぞれの投与計画について試験した(
図4)。
図4に見ることができるように、200mg 1日2回用量は、プラセボレベル付近に留まる傾向があった他の用量と比較してベースラインからの落下値を示した。例えば、600mg 1日1回用量は、1日2回用量に示すような同じ下方傾向を示さなかった。しかしながら、表6に見ることができるように、1日1回投薬(600mg 1日1回)は、1日2回用量と比較して効果を損なわなかった。これは、1日1回投薬(600mg 1日1回など)が、貧血症などの副作用を誘発することなく最大効果を達成し得ることを示す。
図4及び表6に示すように、600mg 1日1回用量は、強い効果を有し、ヘモグロビンレベルにおける変化は小さい。
【0218】
この効果/副作用プロファイルは、JAK2シグナル伝達が造血に結びつくために、1日1回用量がトラフで低いJAK2阻害を伴い最大のJAK1シグナル伝達(効果に結びつく)を達成することに起因し得ると考えられる。この仮説は、様々な用量での式の化合物についてのPK由来JAK1(IL-6)及びJAK2(TPO)阻害データにより支持される(表7)。具体的には、600mg 1日1回用量は、200mg 1日2回及び400mg 1日2回用量に対して同様の平均IL-6阻害を示した(61%対64%及び69%)が、200mg 1日2回及び400mg 1日2回用量と比較してトラフTPO阻害は低かった(4%対13%及び16%)。600mg 1日1回用量のトラフIL-6阻害も、200mg 1日2回及び400mg 1日2回用量のトラフIL-6阻害より低く、これは1日1回用量からの感染の低下があり得ることを示唆する。
【0219】
【0220】
実施例5.斑状乾癬を有する患者における臨床結果
二重盲検(治験依頼者非盲検)、無作為化、プラセボ対照試験を28日間にわたって処置されたおおよそ48対象にて実施した。資格要件には以下を含む:スクリーニング時に少なくとも6カ月間活性な斑状乾癬;体表面積(BSA)の5%以上の斑状乾癬;5以上の乾癬の面積及び重症度指標(PASI)スコア;3以上の医師による静的総合評価指標(sPGA)スコア;局所療法に対する不十分な反応;保守的な安全性評価を伴う、用量間の急速な増加を可能にする革新的な設計。100mg 1日1回から200mg 1日1回、そこから200mg 1日2回へと、そこから600mg 1日1回へと漸増する各12対象(9活性剤及び3PBO)の4つの互い違いの用量群。一度4番目の対象(3活性剤1PBOの組)が28日間の投与をグレード3またはより高い有害事象なしに完了すると、12対象の次の群が次に高い用量で処置を開始した;この群の最初の4対象が28日間処置される間に、第1群を中程度から重度の乾癬を有する60対象とし、無作為化した。5つの処置群とした:プラセボ、100mg 1日1回、200mg 1日1回、200mg 1日2回及び600mg 1日1回。最低用量から最高用量まで増加し、それぞれ前の用量の最初の4対象が28日間完了した後である、順次漸増法を使用した、28日目での結果を表8に示す(PASI50は乾癬の面積及び重症度指標である)。600mg 1日1回用量について81.8%のこれらのPASI50スコアは、乾癬の処置のために開発中の他のJAK阻害剤と比較して前例がない。例えば、5mgトファシチニブ(タソシチニブとしても知られる)は、12週目で65.3%とより低いPASI50スコアを示した(http://press.pfizer.comに2010年10月7日に公開)。5mgトファシチニブ用量は、米国において安全性の理由のためにRA用に許可された投与量レベルである。
【0221】
【0222】
実施例6.骨髄線維症を有する患者における非盲検第II相試験
この試験では、18歳以上、原発性骨髄線維症(PMF)または真性多血症後MFまたは本態性血小板血症後MF(JAK2V617F陽性または陰性変異状態)の診断を受け、血小板数50×109/L以上、ヘモグロビンレベル8.0g/dL以上(これらのレベルを達成するための輸血可)、DIPSS規準で中間-1またはより高い、及び触知可能な脾臓または事前脾臓摘出された患者が登録された。3つの異なる用量コホートを評価した:(1)100mg SR3錠剤1日2回)(2)200mg(2×100mg SR3錠剤)1日2回;及び(3)600mg(6×100mg SR3錠剤)1日1回。
図5(a)~(b)は、ベースラインと比較して12週目で、各用量群における、Myelofibrosis Symptom Assessment Form(MFSAF)修正版v3.0電子日誌による総症状スコア(TSS)が50%以上低下した対象の割合に関する中間の結果を示す。(MFSAF修正版v3.0は、0(症状なし)から10(想像し得る最悪の症状)の尺度でMF関連症状を評価する19個の質問を含む)。
図5(a)は、用量コホート単位(100mg 1日2回、200mg 1日2回、及び600mg 1日1回)で、12週目でのTSSが50%以上低下した患者の割合(%)を示す(12週目の来診より前に継続中止した患者は非応答者とみなした)。
図5(b)は、用量コホート単位(100mg 1日2回、200mg 1日2回、及び600mg 1日1回)で、12週目でのベースラインからのTSSにおける変化割合(%)を示す(ベースラインと12週目のデータを有する患者のみ含んだ)。
図6(a)は、用量コホート単位(100mg 1日2回、200mg 1日2回、及び600mg 1日1回)で、継時的な平均ヘモグロビンレベル(g/dL)を示す(全患者の試験の中間結果)。
図6(b)は、用量コホート単位(100mg 1日2回、200mg 1日2回、及び600mg 1日1回)で、48週目での継時的な平均ヘモグロビンレベル(g/dL)を示す。
図6(c)は、プラセボまたはルキソリチニブを投薬された(ルキソリチニブは、Jakafi(登録商標)のラベルに従って投与した)個体と比較して、用量コホート単位で、48週目での継時的な平均ヘモグロビンレベル(g/dL)を3つの用量コホートの平均として示す。データは、600mg 1日1回用量でヘモグロビンレベルの増加を示す。最後に、下記の表9は、各用量コホートについての中間血液検査結果(新規及び悪化)を示す。表9aは、長期曝露後の各用量コホートについての血液検査結果(新規及び悪化)を示す。
【0223】
【0224】
【0225】
実施例A:インビトロJAKキナーゼアッセイ
本明細書の式Iの化合物を、Parkら、Analytical Biochemistry 1999,269,94~104に記載される、以下のインビトロアッセイに従って、JAK標的の阻害活性について試験した。N末端Hisタグを有するヒトJAK1(a.a.837~1142)及びJAK2(a.a.828~1132)の触媒ドメインを、昆虫細胞中のバキュロウイルスを使用して発現させ、精製した。JAK1及びJAK2の触媒活性をビオチン化ペプチドのリン酸化を測定することによってアッセイした。リン酸化されたペプチドをホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF)によって検出した。化合物のIC50を、100mM NaCl、5mM DTT、及び0.1mg/mL(0.01%)BSAを含む50mMトリス(pH7.8)緩衝液中に酵素、ATP、及び500nMペプチドを含有する40μLの反応物中で各キナーゼについて測定した。1mMのIC50測定については、反応物中のATP濃度は、1mMであった。反応を室温で1時間実行し、次いでアッセイ緩衝剤(Perkin Elmer、マサチューセッツ州ボストン)中の20μLの45mM EDTA、300nM SA-APC、6nM Eu-Py20を用いて停止させた。ユーロピウム標識抗体に対する結合を、40分間行い、HTRFシグナルをFusionプレートリーダー(Perkin Elmer、マサチューセッツ州ボストン)上で測定した。式Iの化合物及びアジピン酸塩のJAK1でのIC50は、JAK2/JAK1の比が10超(1mMのATPで測定)で、5nM以下(1mMのATPで測定)であった。
【0226】
実施例B:細胞アッセイ
成長のためにサイトカインに依存し故にJAK/STATシグナル変換に依存する癌細胞株は、RPMI1640、10%FBS、及び1nG/mLの適切なサイトカイン中、ウェル当たり6000個の細胞(96ウェルプレート形式)でプレートに蒔くことができる。化合物を、DMSO/培地(最終濃度0.2%DMSO)中の細胞に加え、37℃、5%CO2にて72時間インキュベートすることができる。細胞生存性に対する化合物の効果は、CellTiter-Glo蛍光細胞生存性分析(Promega)、続いて、TopCount(Perkin Elmer、マサチューセッツ州ボストン)定量法を使用して評価する。化合物の潜在的なオフターゲット効果を、同一のアッセイ計測値を有する非JAK駆動細胞株を使用して、並行して測定する。全ての実験は、通常、二重で行う。
【0227】
上記細胞株を使用して、JAKキナーゼまたはSTATタンパク質、Akt、Shp2、またはErkなどの潜在的な下流物質のリン酸化に対する化合物の効果も検査することができる。これらの実験は、一晩のサイトカイン飢餓に続いて、化合物による短時間のプレインキュベーション(2時間以下)及び約1時間以下のサイトカイン刺激の後に行うことができる。次いで、タンパク質を細胞から抽出し、リン酸化タンパク質と総タンパク質とを分化することができる抗体を用いてウエスタンブロット法またはELISAを含む当業者によく知られる技法によって分析する。これらの実験は、正常細胞または癌細胞を利用して、腫瘍細胞生存生物学または炎症性疾患の伝達物質に対する化合物の活性を調査することができる。例えば、後者に関して、IL-6、IL-12、IL-23、またはIFNなどのサイトカインを使用して、JAKの活性化を刺激し、STATタンパク質のリン酸化、及び潜在的に転写プロファイル(アレイまたはqPCR技法によって評価される)、またはIL-17などのタンパク質の産生及び/または分泌をもたらすことができる。これらのサイトカイン媒介作用を阻害する化合物の能力は、当業者に一般的な技法を使用して測定することができる。
【0228】
本明細書の化合物は、変異JAK、例えば、骨髄性増殖疾患において見られるJAK2V617F変異に対するそれらの能力及び活性を評価するように設計される細胞モデルにおいて試験することもできる。これらの実験は、多くの場合、野生型または変異JAKキナーゼが異所的に発現する、血液系統(例えば、BaF/3)のサイトカイン依存性細胞を利用する(James,Cら、Nature 434:1144~1148;Staerk,Jら、JBC 280:41893~41899)。評価項目には、細胞生存、増殖、及びリン酸化JAK、STAT、Akt、またはErkタンパク質に与える化合物の効果が含まれる。
【0229】
本明細書に記載のある特定の化合物は、T細胞増殖を阻害するその活性について評価することができる。そのようなアッセイは、第2のサイトカイン(すなわち、JAK)駆動増殖アッセイと考えることができ、また免疫抑制または免疫活性化の阻害の単純化アッセイであると考えることができる。以下は、そのような実験をどのように行うことができるかについての簡単な概要である。末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll Hypaque分離方法を使用して、ヒトの全血試料から調製し、T細胞(画分2000)を、洗浄によってPBMCから得ることができる。新鮮に単離されたヒトT細胞を、培養培地(10%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンが補充されるRPMI1640)中、2×106細胞/mlの密度で、37℃で最長2日間維持することができる。IL-2刺激性細胞増殖分析の場合、最初にT細胞を、最終濃度10μg/mLのフィトヘマグルチニン(PHA)で、72時間処置する。PBSで一度洗浄した後、1ウェル当たり6000個の細胞を96ウェルプレートに蒔き、100U/mLのヒトIL-2(ProSpec-Tany TechnoGene(イスラエル、レホボト))の存在下、培養培地中、異なる濃度の化合物で処置する。プレートを37℃で72時間インキュベートし、CellTiter-Glo蛍光試薬を使用し、製造者(Promega(ウィスコンシン州マディソン))が提案するプロトコルに従って、増殖指数を評価する。
【0230】
実施例C:インビボ抗腫瘍有効性
本明細書の化合物は、免疫低下したマウスのヒト腫瘍異種移植モデルにおいて評価されることができる。例えば、INA-6形質細胞腫細胞株の腫瘍原生変異体を使用して、SCIDマウスに皮下的に播種することができる(Burger,Rら、Hematol J.2:42-53、2001)。腫瘍を有する動物は、次いで薬物処置群またはビヒクル処置群に無作為化され得、異なる用量の化合物を、経口、腹腔内、または埋め込みポンプを使用する連続注入を含む任意の数の通常の経路によって投与することができる。腫瘍成長は、キャリパーを使用して継時的に追跡する。さらに、腫瘍試料を上述の分析(実施例B)のために処置の開始後の任意の時点で採取して、JAK活性及び下流シグナル経路に与える化合物の効果を評価することができる。加えて、化合物(複数可)の選択性を、K562腫瘍モデルなどの他の周知のキナーゼ(例えば、Bcr-Abl)によって駆動される異種移植腫瘍モデルを使用して評価することができる。
【0231】
実施例D:マウス皮膚接触遅延型過敏症応答試験
本明細書の化合物を、T細胞駆動マウス遅延型過敏症試験モデルにおいてその(JAK標的を阻害する)効力について試験することもできる。マウス皮膚接触遅延型過敏症(DTH)応答を、臨床接触性皮膚炎及び他の皮膚のT-リンパ球媒介性免疫障害、例えば、乾癬の有効モデルと見なす(Immunol Today.1998 Jan;19(1):37-44)。マウスDTHは、乾癬と共通する特徴を複数有し、それには免疫浸潤物、炎症性サイトカインの随伴上昇、及びケラチノサイト過剰増殖が含まれる。さらに、臨床において乾癬の処置に有用な多種の薬剤は、マウスにおけるDTH応答の有効な阻害剤でもある(Agents Actions.1993 Jan;38(1-2):116-21)。
【0232】
0日目及び1日目に、Balb/cマウスをその剪毛した腹部への抗原2,4,ジニトロ-フルオロベンゼン(DNFB)の局所適用により感作させる。5日目に、技術者用マイクロメーターを使用して耳の厚さを測定する。この測定を記録し、ベースラインとして用いる。次いで、合計20μL(10μLを内側耳介、10μLを外側耳介)0.2%濃度のDNFBを局所適用することによって動物の両耳を攻撃する。攻撃の24~72時間後、耳を再び測定する。被験化合物を用いた処置を、感作及び攻撃段階(-1日目~7日目)を通して、または攻撃段階の前及びその間中を通して(通常4日目の午後~7日目)与えた。被験化合物の(異なる濃度での)処置を、全身的または局所的(耳に対する処置の局所適用)にかのいずれかで投与する。被験化合物の有効性は、無処置の状態と比較した耳の腫脹の低下によって示される。化合物が、20%以上の低下をもたらす場合、有効であると見なす。一部の実験では、マウスは攻撃されたが感作されない(陰性対照)。
【0233】
被験化合物の(JAK-STAT経路の活性化を阻害する)阻害効果は、免疫組織化学分析により確認することができる。JAK-STAT経路(複数可)の活性化は、機能的な転写因子の形成及び転座を生じる。さらに、免疫細胞の流入及びケラチノサイトの増殖の上昇は、耳における特有の発現プロファイル変化ももたらすはずであり、それを調査して定量化することができる。ホルマリン固定されパラフィン包埋された耳切片(DTHモデルにおいて攻撃段階の後に採取)をリン酸化STAT3(クローン58E12、Cell Signaling Technologies)と特異的に相互作用する抗体を使用する免疫組織化学分析に供する。マウスの耳を、比較のためにDTHモデルにおいて、被験化合物、ビヒクル、またはデキサメタゾン(乾癬に対する臨床的に有効な処置)で処置するか、または全く処置をしない。被験化合物及びデキサメタゾンは、定性的及び定量的の両方で類似の転写変化を生成することができ、被験化合物とデキサメタゾンは両方とも浸潤細胞の数を減らすことができる。被験化合物の全身投与及び局所投与の両方が、阻害効果、すなわち、浸潤細胞の数の低下及び転写変化の阻害を生じることができる。
【0234】
実施例E:インビボでの抗炎症活性
本明細書の化合物は、単一または複合的な炎症反応を再現するように設計した齧歯動物または非齧歯動物モデルにおいて評価することができる。例えば、関節炎の齧歯動物モデルを、予防的または治療的に投薬された化合物の治療可能性の評価に使用することができる。これらのモデルには、マウスまたはラットコラーゲン誘導性関節炎、ラットアジュバント誘導性関節炎、及びコラーゲン抗体誘導性関節炎が含まれるが、これらに限定されない。また、多発性硬化症、I型糖尿病、網膜ブドウ膜炎、甲状腺炎、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎、気道感作(喘息)、狼瘡、または大腸炎を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患も、本明細書の化合物の治療可能性の評価に使用することができる。これらのモデルは、研究コミュニティにおいて十分に確立され、当業者によく知られている(Current Protocols in Immunology,Vol 3.,Coligan,J.Eら、Wiley Press.;Methods in Molecular Biology:Vol.225,Inflammation Protocols.,Winyard,P.G.and Willoughby,D.A.,Humana Press,2003.)。
【0235】
実施例F:ドライアイ、ブドウ膜炎、及び結膜炎の処置のための動物モデル
薬剤は、ウサギコンカナバリンA(ConA)涙腺モデル、スコポラミンマウスモデル(皮下または経皮)、ボツリヌスマウス涙腺モデル、または眼腺機能不全を生じる多くの自発性齧歯動物自己免疫モデルのうちのいずれか(例えば、NOD-SCID、MRL/lpr、またはNZB/NZW)(そのそれぞれがその全体において参照により本明細書に組み込まれる、Barabinoら、Experimental Eye Research2004,79,613-621及びSchraderら、Developmental Opthalmology,Karger2008,41,298~312)を含むがこれらに限定されない、当業者に既知であるドライアイの1つまたは複数の前臨床モデルにおいて評価してもよい。これらのモデルにおける評価項目には、眼腺及び眼(角膜など)の組織病理と、場合により、涙液産生を測定する典型的なシルマー試験またはその修正版(Barabinoら)とが含まれ得る。活性は、測定可能な病気が存在する前または存在した後に開始し得る複数の投与経路(例えば、全身的または局所的)を介して投薬することによって評価され得る。
【0236】
薬剤は、当業者に既知であるブドウ膜炎の1つまたは複数の前臨床モデルにおいて評価してもよい。これらは、実験的自己免疫ブドウ膜炎(EAU)及びエンドトキシン誘導性ブドウ膜炎(EIU)のモデルを含むが、これらに限定されない。EAU実験は、ウサギ、ラット、またはマウスにおいて実施されてよく、受動免疫法または能動免疫法を伴い得る。例えば、多数の網膜抗原のうちのいずれかを使用して、動物を関連する免疫原に感作し得、その後、動物に同一の抗原で眼を攻撃し得る。EIUモデルは、より急性であり、致死未満量のリポ多糖類の局所投与または全身投与を伴う。EIUモデル及びEAUモデルの両方の評価項目には、とりわけ、眼底検査、組織病理を含み得る。これらのモデルは、Smithらによって総説されている(その全体において参照により本明細書に組み込まれる、Immunology and Cell Biology 1998,76,497-512)。活性は、測定可能な病気が存在する前または存在した後に開始し得る複数の投与経路(例えば、全身的または局所的)を介して投薬することによって、評価される。また、上記に列挙したモデルのいくつかは、強膜炎/上強膜炎、脈絡膜炎、毛様体炎、または虹彩炎も発症し得るため、これらの病気の治療処置に関する化合物の潜在活性を調査する際に有用である。
【0237】
薬剤は、当業者に既知である結膜炎の1つまたは複数の前臨床モデルにおいて評価されてよい。これらは、モルモット、ラット、またはマウスを利用する、齧歯動物モデルを含むが、これらに限定されない。モルモットモデルには、能動免疫化または受動免疫化及び/またはオボアルブミンまたはブタクサなどの抗原による免疫攻撃プロトコルを利用するモデルが含まれる(その全体において参照により本明細書に組み込まれる、Groneberg,D.Aら、Allergy 2003,58,1101-1113において総説されている)。ラットモデル及びマウスモデルは、モルモットにおけるモデルと一般設計において類似する(これも、Gronebergによって総説されている)。活性は、測定可能な病気が存在する前または存在した後に開始し得る複数の投与経路(例えば、全身的または局所的)を介して投薬することによって、評価され得る。このような研究の評価項目には、例えば、結膜などの眼組織の組織学的分析、免疫学的分析、生化学的分析、または分子分析が含まれ得る。
【0238】
実施例G:骨のインビボ保護
当業者に周知の骨減少症、骨粗鬆症、または骨吸収の様々な前臨床的モデルで化合物を評価してもよい。例えば、卵巣切除される齧歯動物を使用して、骨リモデリング及び/または骨密度のサイン及びマーカーに影響を与える化合物の能力を評価してもよい(その全体において参照により本明細書に組み込まれる、W.S.S.Jee and W.Yao,J Musculoskel.Nueron.Interact.,2001,1(3),193-207)。あるいは、治療(例えばグルココルチコイド)により骨減少症が誘発されたモデルにおいて、対照または化合物で処置された齧歯動物で、骨密度及び骨構造を評価してもよい(双方とも全体において参照により本明細書に組み込まれる、Yaoら、Arthritis and Rheumatism,2008,58(6),3485-3497;及び同上58(11)、1674-1686)。加えて、上(実施例E)に記載した関節炎の齧歯動物モデルにおいて、骨吸収及び骨密度に及ぼす化合物の効果が評価され得る。これらの全モデルに関する評価項目は様々あってもよいが、組織学的及び放射線学的評価、並びに免疫組織学及び骨リモデリングの適切な生化学的マーカーを含むことが多い。
本発明には、以下の態様が含まれる。
[1] 自己免疫疾患、癌、骨髄増殖性疾患、炎症性疾患、骨吸収疾患、または臓器移植の拒絶反応の処置をそれを必要とする患者において行う方法であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回用量を前記患者に経口投与することを含み、前記用量が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む、前記方法。
[2] 前記方法が前記1つまたは複数の徐放性剤形を、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回投薬として前記患者に投与することを含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約100mgの6つの剤形である、[1]に記載の方法。
[4] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約200mgの3つの剤形である、[1]に記載の方法。
[5] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約300mgの2つの剤形である、[1]に記載の方法。
[6] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1つの剤形である、[1]に記載の方法。
[7] 前記自己免疫疾患が、皮膚障害、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節炎、I型糖尿病、狼瘡、炎症性腸疾患、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎、自己免疫性甲状腺疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚感作、皮膚刺激、皮疹、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触感作である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記自己免疫疾患が関節リウマチである、[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記患者のACR70スコアが約40%を超える、[8]に記載の方法。
[10] 前記患者のACR70スコアが約50%を超える、[8]に記載の方法。
[11] 前記自己免疫疾患が乾癬である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[12] PASI50スコアが約70%を超える、[11]に記載の方法。
[13] 前記癌が、前立腺がん、腎癌、肝癌、乳癌、肺癌、甲状腺癌、カポジ肉腫、キャッスルマン病、膵臓癌、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄様化生を伴う骨髄線維症(MMM)、原発性骨髄線維症(PMF)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、特発性骨髄線維症(IMF)、または全身性肥満細胞症(SMCD)である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[14] 前記骨髄増殖性疾患が原発性骨髄線維症(PMF)である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[15] 前記方法が、ベースラインと比較して前記患者の総症状スコア(TSS)の低下をもたらす、[14]に記載の方法。
[16] 前記方法が貧血症の減少をもたらす、[14]に記載の方法。
[17] 前記骨吸収疾患が、骨粗鬆症、骨関節炎、ホルモン失調に関連する骨吸収、ホルモン療法に伴う骨吸収、自己免疫疾患に伴う骨吸収、または癌に伴う骨吸収である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[18] 絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が、約0.5時間から約3時間である、[1]から[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19] 絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が、少なくとも0.5時間である、[1]から[17]のいずれか一項に記載の方法。
[20] 絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約5から約50である、[1]から[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21] 絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約9から約40である、[1]から[19]のいずれか一項に記載の方法。
[22] 絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約15から約30である、[1]から[19]のいずれか一項に記載の方法。
[23] 絶食時個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)が、約1時間から約20時間である、[1]から[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24] 高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が、約1時間から約9時間である、[1]から[22]のいずれか一項に記載の方法。
[25] 高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が、少なくとも1.5時間である、[1]から[22]のいずれか一項に記載の方法。
[26] 高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約10から約70である、[1]から[25]ののいずれか一項に記載の方法。
[27] 高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約15から約50である、[1]から[25]ののいずれか一項に記載の方法。
[28] 高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均最高血漿中濃度(Cmax)の平均12時間血漿中濃度(C12h)に対する比率が、約25から約45である、[1]から[25]ののいずれか一項に記載の方法。
[29] 高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)が、約1時間から約7時間である、[1]から[28]のいずれか一項に記載の方法。
[30] 高脂肪食後個体への1つまたは複数の徐放性剤形の経口投与が提供する、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルの平均半減期(t1/2)が、約2時間から約5時間である、[1]から[28]のいずれか一項に記載の方法。
[31] 前記1つまたは複数の徐放性剤形がそれぞれ錠剤である、[1]から[30]のいずれか一項に記載の方法。
[32] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、湿式造粒を含む工程によって調製される、[1]から[31]のいずれか一項に記載の方法。
[33] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、1つまたは複数のヒプロメロースをそれぞれ含む、[1]から[32]のいずれか一項に記載の方法。
[34] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、ヒプロメロース及び結晶セルロースから独立して選択された1つまたは複数の賦形剤をそれぞれ含む、[1]から[32]のいずれか一項に記載の方法。
[35] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、ヒプロメロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、及びラクトース一水和物から独立して選択された1つまたは複数の賦形剤をそれぞれ含む、[1]から[34]のいずれか一項に記載の方法。
[36] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、水中濃度2%で約80cPから約120cPの見掛け粘度を有することを特徴とする第一のヒプロメロース及び水中濃度2%で約3000cPから約5600cPの見掛け粘度を有することを特徴とする第二のヒプロメロースをそれぞれ含む、[1]から[32]のいずれか一項に記載の方法。
[37] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、約10重量%から約15重量%の1つまたは複数のヒプロメロースをそれぞれ含む、[1]から[32]のいずれか一項に記載の方法。
[38] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、約16重量%から約22重量%の結晶セルロースをそれぞれ含む、[1]から[32]及び[37]のいずれか一項に記載の方法。
[39] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、約45重量%から約55重量%のラクトース一水和物をそれぞれ含む、[1]から[32]及び[37]から[38]のいずれか一項に記載の方法。
[40] 前記1つまたは複数の徐放性剤形が、約0.3重量%から約0.7重量%のステアリン酸マグネシウムをそれぞれ含む、[1]から[17]及び[37]から[39]のいずれか一項に記載の方法。
[41] 前記塩が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩である、[1]から[40]のいずれか一項に記載の方法。
[42] 1つまたは複数の徐放性剤形であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、前記剤形。
[43] 1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量であって、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約600mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、前記用量。
[44] {1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形であって、前記1つまたは複数の徐放性剤形が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に共に提供する、前記剤形。
[45] {1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩をそれぞれ含む1つまたは複数の徐放性剤形を含む用量であって、前記用量が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩の遊離塩基基準で約400mgから約600mgの1日1回経口投薬を患者に提供する、前記用量。