(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166267
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ポリマー色素がコンジュゲートされた抗体の乾燥のための新規製剤
(51)【国際特許分類】
G01N 33/532 20060101AFI20241121BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01N33/532 A
G01N33/532 B
C12Q1/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024153702
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2024527546の分割
【原出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アディティヤ ジャラレ
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシュ ヴェンカテシュ
(72)【発明者】
【氏名】スミート チャウラ
(72)【発明者】
【氏名】メフル ジヴラジャニ
(72)【発明者】
【氏名】ナイナ アローラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴピナド ジャッカ
(72)【発明者】
【氏名】シヴァ ランジニ スリニバサン
(57)【要約】
【課題】パネル中に複数の蛍光色素コンジュゲートを含む組成物を提供すること。
【解決手段】新規ドライダウン緩衝液を、フローサイトメトリーにおける使用のための基材上の複数の蛍光色素コンジュゲートの乾燥における使用のために提供する。水性緩衝液は、水溶性モノマー;タンパク質安定剤;炭水化物安定剤;および両性イオン性界面活性剤を含む。蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含むマルチカラーパネルと混合され、基材上で乾燥され、生体試料で再構成されると、緩衝液は、水溶性モノマーまたは両性イオン性界面活性剤なしの緩衝液の使用と比較した場合に、蛍光ポリマー色素コンジュゲートの凝集の減少、ならびに単球および顆粒球の非特異的結合の減少を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として2021年11月12日に出願されている。
【背景技術】
【0002】
背景
マルチカラーフローサイトメトリーは、複数の蛍光マーカーを使用して、目的の細胞下位集団を同定および特徴付け、1秒あたり数万個の細胞の迅速な分析を可能にする、急速に進化している技術である。フローサイトメトリーは、全血試料、骨髄、および他の生物学的検体を含む異なる生体試料を染色するために抗体色素コンジュゲートを使用する。正常なヒト全血試料では、異なる種類の細胞が、異なるマーカーを発現する、例えば、T細胞においてCD4、およびB細胞においてCD20を発現する。相互排他的マーカー(1つの特定の細胞型においてのみ発現されるマーカー)が、それらの対応物である抗マーカー抗体蛍光色素コンジュゲートを使用して染色される場合、それぞれの細胞からのシグナル(蛍光)は、分析のために、フローサイトメーターにおいて捕捉され、デジタル変換される。
【0003】
マルチカラー乾燥試薬は、生体試料のフローサイトメトリー分析において有用な異なる抗体色素コンジュゲートの多様性を含む、乾燥された利用されるカクテルである。乾燥試薬技術は、生体分子の安定性を増加させて室温での保管を可能にし、試料調製を簡素化し、ユーザーのエラーを最小化するために使用される。
【0004】
マルチカラー乾燥試薬カクテルは、低分子(例えば、FITC)、タンデム(例えば、PC5.5)、または大分子(例えば、APC)色素(例えば、CD4-FITC、CD8-PE、CD20-APC、PC5.5など)にコンジュゲートされたいくつかの異なる抗体を含んでいてもよく、さまざまな生物学的検体中の細胞を染色し、フローサイトメーターにおいてそれを分析するために使用され得る。
【0005】
既存の古典的な(モノマー)色素(FITC、PC5.5、APCなど)コンジュゲートと比較して、ポリマー色素コンジュゲートは、構造および複雑性において異なる。ポリマー色素の構造の剛性は、より明るい発光をもたらす回転エネルギーを低減するのを助ける。そのため、ポリマー色素コンジュゲートは、ほとんど発現されない受容体を有する細胞の同定および分析において特に有用である。これらの明るいポリマー色素は、はっきりしない集団の検出および分離(resolution)を可能にし得る。しかしながら、青紫色ポリマー色素などのポリマー色素は、それらの固有の疎水性を理由として、互いと相互作用し、凝集体を形成する傾向がある。
【0006】
従来の乾燥技術は、一定期間にわたる安定性を伴って、機能性(抗原に対する親和性)または物理的性質(明るさおよび漏出など)を変更することなく、単一チューブ中で異なる古典的色素コンジュゲートのドライダウンを可能にする。「試薬緩衝液(Reagent Buffer)」(RB)は、機能性(抗原に対する親和性)または物理的性質(明るさおよび蛍光など)を変更することなく、単一チューブ中で異なるモノマー色素コンジュゲートを乾燥するために以前に開発された、犠牲タンパク質(sacrificial protein)、炭水化物安定剤、抗菌剤および緩衝剤を含む先行技術の製剤である。「物理的性質」は、蛍光色素コンジュゲートの明るさ、および他のチャネルへのその漏出を指す。例えば、従来の乾燥技術を使用して乾燥され、生物学的検体を染色するために使用された場合に、CD4-PE色素コンジュゲートを使用する所望のフローサイトメトリー結果が示される。
図1Aに示されるように、所望の機能性、物理的性質、ならびにCD4 PE+単球およびCD4 PE+リンパ球細胞集団の分離能が示される。同様に、従来技術を使用して乾燥され、血液試料で再構成された場合に、所望のフローサイトメトリー結果が、CD20 APC色素コンジュゲートについて示される。
図1Bに示されるように、所望の機能性、物理的性質、およびCD20 APC+細胞集団のフローサイトメトリー分離能が示される。
【0007】
試薬緩衝液を使用する従来の乾燥技術を使用して、チューブ中で2つのポリマー色素抗体コンジュゲートをドライダウンする場合、ポリマー色素コンジュゲート間の非特異的相互作用を防止できず、凝集をもたらす。一般に、2つまたはそれよりも多くのポリマー色素抗体コンジュゲートが、従来の乾燥技術を使用して乾燥される場合、それらは、互いと相互作用する傾向があり、所望されない結果をもたらす。凝集は、補正できない他のチャネルにおける偽陽性集団をもたらす。この課題を、
図2Aおよび
図2Bに図示する。
【0008】
図2Aは、混合され、従来の乾燥技術を使用して乾燥された場合の、CD20-605およびCD4-786ポリマー色素抗体コンジュゲートの所望されないフローサイトメトリー結果を示す。xおよびy軸において集団を分離できないことは、漏出の問題であると仮定された。しかしながら、漏出の補正後でさえ、集団は分離されなかった(
図2B)。
【0009】
図2Bは、漏出の補正とともに、混合され、従来の乾燥技術を使用して乾燥された場合の、CD20-605およびCD4-786ポリマー色素抗体コンジュゲートの所望されないフローサイトメトリー結果を示す。それらの個々の蛍光チャネルに対して集団を補正できないことは、2つのポリマー色素抗体コンジュゲートが、従来の乾燥技術を使用して乾燥された場合の、ポリマー色素抗体コンジュゲートの凝集に起因すると見なされた。
【0010】
改善された機能性、物理的性質、およびフローサイトメトリー分離能を可能にする、ポリマー色素抗体コンジュゲートを安定に保つことができ、乾燥しながらおよび再構成の間に凝集を回避することができる新規緩衝液製剤についての必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示の概要
新規緩衝液組成物は、基材上の複数の色素コンジュゲートの乾燥における使用のために提供される。色素コンジュゲートは、蛍光色素コンジュゲートを含んでいてもよい。蛍光色素コンジュゲートは、蛍光色素、および抗体などの結合パートナーのコンジュゲートであってもよい。蛍光色素コンジュゲートは、抗体などの結合パートナーにコンジュゲートされた蛍光ポリマー色素であってもよい。蛍光色素コンジュゲートは、フローサイトメトリーにおいて使用されてもよい。緩衝液組成物は、水溶性モノマー;タンパク質安定剤;炭水化物安定剤;および両性イオン性界面活性剤を含む。緩衝液組成物が、2つまたはそれよりも多くの蛍光色素コンジュゲートを含むマルチカラー蛍光色素コンジュゲートパネルと混合され、基材上で乾燥され、生物学的検体で再構成される場合、緩衝液は、タンパク質安定剤、水溶性モノマーまたは両性イオン性界面活性剤なしの緩衝液の使用と比較した場合に、蛍光色素コンジュゲートの凝集の減少を提供する。一部の例では、緩衝液組成物は、タンパク質安定剤、モノマーまたは両性イオン性界面活性剤なしの緩衝液の使用と比較した場合に、単球への色素の非特異的結合の減少および/または顆粒球への色素の非特異的結合の減少も提供する。
【0012】
一部の実施形態では、本開示は、パネル中に複数の蛍光色素コンジュゲートを含む組成物を提供する。適切な緩衝液の存在下では、複数の蛍光色素コンジュゲートを、パネル中で使用して、細胞の下位集団を同定することができる。適切な緩衝液なしでは、蛍光色素コンジュゲートは、互いと相互作用し、データ解釈に影響を及ぼし得る染色の人為現象を引き起こす可能性がある。
【0013】
緩衝液組成物は、水溶性モノマー;タンパク質安定剤;炭水化物安定剤;および両性イオン性界面活性剤を含む、基材上の複数の色素コンジュゲートの乾燥における使用のために提供される。複数の色素結合パートナーコンジュゲートのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つが、蛍光ポリマー色素部分を含んでいてもよい。
【0014】
水溶性モノマーは、それぞれ必要に応じて、それらに結合した水溶性部分を有する、アリール部分またはヘテロアリール部分を含むモノマー単位であってもよい。水溶性部分は、1つまたはそれよりも多くのポリ(エチレングリコール)部分であってもよい。水溶性モノマーは、モノマーAサブユニット、モノマーBサブユニット、またはモノマーAおよびモノマーBサブユニットの組合せを有する複数の蛍光ポリマー色素のうちの少なくとも1つの調製における使用のために適切であり得る。水溶性モノマーは、ジヒドロフェナントレン(DHP)系水溶性モノマーであってもよい。水溶性モノマーは、フルオレン系水溶性モノマーであってもよい。
【0015】
水溶性モノマーは、式(I):
【化1】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのR
2は、独立して、水溶化部分、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、スルホンアミド-PEG、ホスホラミド-PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化2】
からなる群から選択され;
それぞれのR
3は、水溶化部分であり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR
5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのQは、独立して、結合、NR
4、または-CH
2であり;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の化学構造を有するジヒドロフェナントレン(DHP)系モノマーであってもよい。
【0016】
一部の実施形態では、それぞれのG1、G2は、独立して、ハロ(F、Cl、Br、I)、C1~C6アルキル、およびPEGからなる群から選択される。
【0017】
水溶性モノマーは、式(II):
【化3】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、アルキン、水素、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのXは、CまたはSiであり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR
5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の化学構造を有するフルオレン系モノマーであってもよい。
【0018】
一部の実施形態では、それぞれのG1、G2は、独立して、ハロ(F、Cl、Br、I)、C1~C6アルキル、およびPEGからなる群から選択される。
【0019】
水溶性モノマーは、式(III):
【化4】
(式中、それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロ(F、Cl、Br、I)であり;それぞれのZは、独立して、O、CH
2、およびNHからなる群から選択され;それぞれのR
1は、独立して、アルキル(C
1~C
3)であり;それぞれのR
2は、独立して、H、アルキル(C
1~C
6)であり;それぞれのnは、独立して、1~6であり;それぞれのmは、独立して、5~50である)
に記載の化学構造を有するジヒドロフェナントレン(DHP)系モノマーであってもよい。一部の実施形態では、G
1、G
2は、それぞれ、Brであり;それぞれのZは、Oであり;それぞれのR
1は、CH
3であり;それぞれのR
2は、Hであり;それぞれのnは、2~4であり;それぞれのmは、独立して、5~20である。一部の実施形態では、それぞれのnは、3であり;それぞれのmは、11または12である。
【0020】
タンパク質安定剤は、カゼイン、ウシ血清アルブミン(BSA)、およびゼラチンからなる群の1つまたはそれよりも多くから選択されてもよい。
【0021】
炭水化物安定剤は、二糖炭水化物安定剤であってもよい。二糖炭水化物安定剤は、トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、もしくはメリビオース、またはそれらの水和物であってもよい。具体的な実施形態では、二糖炭水化物安定剤は、トレハロースまたはその水和物であってもよい。炭水化物安定剤は、トレハロース二水和物であってもよい。
【0022】
両性イオン性界面活性剤は、式(XV):
【化5】
(式中、Y=CO
2-またはSO
3-であり、W=HまたはOHであり、Z=CH
3またはNHC(O)R(式中、R=C
1~15アルキルである)であり;独立して、それぞれのp=0または1であり;q=0~21であり;必要に応じて、W=Hであり、Z=CH
3であり、q=11~15である)
に記載の構造を含んでいてもよい。
【0023】
両性イオン性界面活性剤は、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオプロパンスルホネート(DMMA);3-[N,N-ジメチル(3-パルミトイルアミノプロピル)アンモニオ]-プロパンスルホネート(DMPA);N-(アルキルC10~C16)-N,N-ジメチルグリシンベタイン;およびN,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタインからなる群から選択されてもよい。
【0024】
必要に応じて、緩衝液組成物は、保存剤、抗酸化剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および着色剤からなる群から選択される、1つもしくはそれよりも多く、2つもしくはそれよりも多く、または3つもしくはそれよりも多くの追加の添加剤を含んでいてもよい。
【0025】
緩衝液組成物は、pH6.5~7.5の範囲のpHを有していてもよい。一部の例では、水性緩衝液組成物は、pH7.0~7.4の範囲内のpHを有していてもよい。
【0026】
緩衝液組成物は、試験あたり、200~800μgのモノマー;2000~3000μgの炭水化物安定剤;8.4~72μgのタンパク質安定剤;および2~15μgの両性イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0027】
緩衝液組成物は、試験あたり、300~600μgのモノマー;2200~2800μgの炭水化物安定剤;15~20μgのタンパク質安定剤;および8~12μgの両性イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0028】
一部の実施形態では、緩衝液組成物は、複数の蛍光色素コンジュゲートを含んでいてもよい。一部の実施形態では、緩衝液組成物は、複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含んでいてもよい。蛍光ポリマー色素コンジュゲートは、本開示にそれぞれ記載の、式(V)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XII)、式(XIII)、および/または式(XIV)に記載の構造を含んでいてもよい。
【0029】
他の実施形態では、水性緩衝液組成物は、複数の蛍光色素コンジュゲートを含まない。さらなる実施形態では、水性緩衝液組成物は、任意の蛍光色素コンジュゲートを含まない。
【0030】
単一反応物フィルムを調製する新規方法であって、本開示に記載の緩衝液組成物を含む液相中で一緒に複数の反応物を基材上に分注するステップであって、複数の反応物が、第1の反応物および第2の反応物を含み、第1の反応物が、第1の色素にコンジュゲートされた第1の結合パートナーを含み、第1の色素が、蛍光ポリマー色素を含み;第2の反応物が、第2の色素にコンジュゲートされた第2の結合パートナーを含む、ステップ;ならびに液相の水性緩衝液中で一緒に第1の反応物および第2の反応物を乾燥して、基材上に第1の単一反応物フィルムを形成するステップを含む、方法が提供される。第2の色素は、蛍光ポリマー色素であってもよい。単一反応物フィルムは、複数の反応物を含む均一フィルムであってもよい。複数の反応物は、異なる結合パートナー色素コンジュゲートをそれぞれ含む、2つもしくはそれよりも多く、3つもしくはそれよりも多く、4つもしくはそれよりも多く、5つもしくはそれよりも多く、6つもしくはそれよりも多く、7つもしくはそれよりも多く、8つもしくはそれよりも多く、9つもしくはそれよりも多く、10もしくはそれよりも多く、11もしくはそれよりも多く、12もしくはそれよりも多くの反応物、または2~20、3~18、もしくは4~12の異なる反応物を含んでいてもよい。色素は、蛍光色素であってもよい。蛍光色素は、蛍光ポリマー色素であってもよい。例えば、それぞれの反応物は、固有の蛍光色素コンジュゲートであってもよい。複数の反応物は、2つまたはそれよりも多くの固有の蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含んでいてもよい。基材は、チューブ、ウェル、膜、またはビーズであってもよい。基材は、反応容器の内面を含んでいてもよい。
【0031】
本開示は、本開示の新規方法によって調製される複数の反応物を含む均一フィルムである単一反応物フィルムを提供する。単一反応物フィルムは、液体生体試料の第1のアリコートに曝され、処理され、フローサイトメトリーによって分析された後、第1の反応物および第2の反応物を含む第2の単一反応物フィルムを液体生体試料の第2のアリコートに曝し、処理し、フローサイトメトリーによって分析することによって得られた第2のフローサイトメトリープロットと比較した場合に、単球の非特異的結合の減少;顆粒球の非特異的結合の減少;蛍光色素コンジュゲートの非特異的相互作用の減少;蛍光色素コンジュゲートの凝集の減少のうちの1つまたはそれよりも多くを示す第1のフローサイトメトリープロットを提供し、ここで、第2の単一反応物フィルムは、水溶性モノマーなしおよび両性イオン性界面活性剤なしの従来技術の液相を用いて調製される。蛍光色素コンジュゲートは、蛍光ポリマー色素コンジュゲートであってもよい。
【0032】
本開示に記載の緩衝液組成物は、凝集および結果として生じた他のチャネルへの偽陽性集団を回避しながら、機能性(すなわち、分析物に対する親和性)および物理的性質(明るさまたは蛍光など)を変更することなく、単一チューブ中で異なる蛍光色素コンジュゲートを乾燥して、均一フィルムを提供することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】
図1Aは、従来の乾燥技術の試薬緩衝液を使用して乾燥された場合のCD4-PEコンジュゲートのフローサイトメトリー密度プロットを示す。所望の機能性(抗原に対する親和性)、物理的性質(明るさまたは蛍光など)、および細胞集団の分離能を示す。
【0034】
【
図1B】
図1Bは、従来の乾燥技術の試薬緩衝液を使用して乾燥された場合のCD20-APCコンジュゲートのフローサイトメトリー密度プロットを示す。所望の機能性(抗原に対する親和性)および物理的性質(明るさまたは蛍光など)および細胞集団の分離能を示す。
【0035】
【
図2A】
図2Aは、コンペンセーションなしの従来の乾燥技術の試薬緩衝液を使用して混合および乾燥された場合のCD20-SNv605およびCD4-SNv786ポリマー色素コンジュゲートのフローサイトメトリー二次元ドットプロットを示す。所望されない結果、ならびにxおよびy軸において集団を分離できないことを示した。
【0036】
【
図2B】
図2Bは、コンペンセーションありの従来の乾燥技術の試薬緩衝液を使用して混合および乾燥された場合のCD20-SNv605およびCD4-SNv786ポリマー色素コンジュゲートのフローサイトメトリー結果を示す。集団をコンペンセーションできないことは、2つのポリマー色素が従来の乾燥技術を使用して乾燥された場合のポリマー色素抗体コンジュゲートの凝集に起因すると見なされた。
【0037】
【
図3A】
図3Aは、コンペンセーションなしの安定剤を有するDM 2(DM2+S)DM緩衝液におけるCD20-SNv605およびCD4-SNv786ポリマー色素コンジュゲートのドライダウンのフローサイトメトリー二次元ドットプロットを示す。610蛍光チャネルの漏出が、780蛍光チャネルにおいて観察される。
【0038】
【
図3B】
図3Bは、コンペンセーションありの本発明のDM緩衝液DM2+SにおけるCD20-SNv605およびCD4-SN v 786ポリマー色素コンジュゲートのドライダウンのフローサイトメトリーの二次元ドットプロットを示す。DM2+S DM緩衝液は、任意の非特異的相互作用なしで、細胞集団を分離することができる。
【0039】
【
図4】
図4は、代表的なモノマーAおよびモノマーBの化学構造を示す。
【0040】
【
図5】
図5は、動員パーセンテージを測定し、非特異的事象の低減を実証するための、CD20-SNv605を使用するDMにおけるカゼインの用量設定についてのフローサイトメトリーのプロットを示す。
【0041】
【
図6】
図6は、試験あたり200μg(上側パネル)および400μg(下側パネル)のモノマーA濃度での3色試験のための乾燥製剤の二次元蛍光ドットプロットを示す。集団の広がりの低減が、試験あたり400μgのモノマーAで観察された。
【0042】
【
図7A】
図7Aは、DMMAの用量最適化における散乱性のフロープロットを示す。
図7Aは、未染色(左上)、乾燥DM単独(左から2番目、上パネル)、DM中乾燥DMMA0.004%(左から3番目、上パネル)、DM中乾燥DMMA0.008%(右上パネル)、DM中乾燥DMMA0.018%(左下パネル)、DM中乾燥DMMA0.021%(下中央パネル)、およびDM中乾燥DMMA0.03%(右下パネル)を示す。0.004%および0.008%のDMMAは、他のDMMA濃度と比較して、非特異的好中球のプルアウト(矢印によって示す)が少ないことを示す。
【0043】
【
図7B】
図7Bは、未染色(左上)、乾燥DM単独(左から2番目、上パネル)、DM中乾燥DMMA0.004%(左から3番目、上パネル)、DM中乾燥DMMA0.008%(右上パネル)、DM中乾燥DMMA0.018%(左下パネル)、DM中乾燥DMMA0.021%(下中央パネル)、およびDM中乾燥DMMA0.03%(右下パネル)を含む、DM中のDMMAの用量最適化のためのすべての製剤についてのCD20-SNv605のドットプロットを示す。0.004%、0.008%および0.018%のDMMAは、DMおよび他のDMMA濃度と比較して、610チャネルにおける非特異的単球のプルアウト(矢印によって示す)が少ないことを示す。
【0044】
【
図7C】
図7Cは、未染色(左上)、乾燥DM単独(左から2番目、上パネル)、DM中乾燥DMMA0.004%(左から3番目、上パネル)、DM中乾燥DMMA0.008%(右上パネル)、DM中乾燥DMMA0.018%(左下パネル)、DM中乾燥DMMA0.021%(下中央パネル)、およびDM中乾燥DMMA0.03%(右下パネル)を含む、DM中のDMMAの用量最適化のためのすべての製剤についてのHLADR-786のドットプロットを示す。
【0045】
【
図7D】
図7Dは、乾燥DM単独(左上パネル)、DM中の乾燥DMMA0.004%(上中央パネル)、DM中の乾燥DMMA0.008%(右上パネル)、DM中の乾燥DMMA0.018%(左下パネル)、DM中の乾燥DMMA0.021%(下中央パネル)、およびDM中の乾燥DMMA0.03%(右下パネル)についてのCD20-605およびHLADR-786の二次元ドットプロットを示す。
【0046】
【
図8A】
図8Aは、未染色(左上)、乾燥DM(左から2番目、上パネル)、DMMA0.008%(右上)、DMMA0.008%+カゼイン2.5×(左下)、DMMA0.008%+Prionex 2 dil(下中央パネル)、およびDMMA0.008%+Prionex 3 dil(右下)を含む、0.008%のDMMAとの添加剤の組合せについての散乱性のフロープロットを示す。散乱性は、矢印で示されるように、非特異的顆粒球および単球のプルアウトを示すDMを除いて、組合せのそれぞれについて類似しているように見える。
【0047】
【
図8B】
図8Bは、単一CD20(左上)、乾燥DM(左から2番目、上パネル)、DMMA0.008%(右上)、DMMA0.008%+カゼイン2.5×(左下)、DMMA0.002%+Prionex 2 dil(下中央パネル)、およびDMMA0.008%+Prionex 3 dil(右下)を含む、0.008%のDMMAとの添加剤の組合せについてのCD20-SNv605のドットプロットを示す。
【0048】
【
図8C】
図8Cは、単一HLADR(左上)、乾燥DM(左から2番目、上パネル)、DMMA0.008%(右上)、DMMA0.008%+カゼイン2.5×(左下)、DMMA0.008%+Prionex 2 dil(下中央パネル)、およびDMMA0.008%+Prionex 3 dil(右下)を含む、0.008%のDMMAとの添加剤の組合せについてのHLADR-786のドットプロットを示す。HLADR+の動員%は、個々の液体単一と比較して、0.008%のDMMAとのすべての組合せにおいて類似していることが見出された。
【0049】
【
図8D】
図8Dは、乾燥DM(左上パネル)、DMMA0.008%(右上)、DMMA0.002%+カゼイン2.5×(左下)、DMMA0.008%+Prionex 2 dil(下中央パネル)、およびDMMA0.008%+Prionex 3 dil(右下)を含む、0.008%のDMMAとの添加剤の組合せについてのCD20-SNv 605およびHLADR-786の二次元ドットプロットを示す。0.008%のDMMAとのすべての組合せにおける二重陽性集団の動員%は、DMと比較して、類似していることが見出された。
【0050】
【
図9】
図9は、試験群DM2+S、トレハロース+モノマー、トレハロース+カゼイン、トレハロース+DMMA(左から右、上パネル)、DM2+S、モノマーなしのDM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S(左から右、下パネル)のそれぞれにおける、乾燥チューブの物理的外観および性質を示す。ここで、DM2+Sは、対照群としての役割を果たす。物理的観察は、モノマーなしで、乾燥フィルムの色の変化(典型的には、赤色フィルムが薄橙色~茶色になる)が存在することを示す。フィルムの収縮が、カゼインおよびDMMAなしの群において観察された。乾燥フィルムの外観の変化は、DM2+Sと比較して、DMMAなしのチューブにおいて観察されなかった。しかしながら、カゼインなしのチューブは、乾燥フィルムの最低限の収縮を示す。
【0051】
【
図10A】
図10Aは、試験群DM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S、モノマーなしのDM2+S(左から右、上側パネル)、トレハロース+DMMA、トレハロース+カゼイン、トレハロース+モノマー(左から右、下側パネル)におけるCD56-SNv428についての側方散乱SSC対FLプロットを示す。カゼインおよびDMMAが存在しない場合、非特異的単球のプルアウトが存在する(矢印で示す)。モノマーの非存在は、リンパ球における陰性集団の広がりを引き起こす(矢印で示す)。陰性集団の広がりは、モノマーおよびカゼインの非存在下、SN色素の間の非特異的相互作用に主に起因する。
【0052】
【
図10B】
図10Bは、試験群DM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S、モノマーなしのDM2+S(左から右、上側パネル)、トレハロース+DMMA、トレハロース+カゼイン、トレハロース+モノマー(左から右、下側パネル)におけるCD20-SNv605についての側方散乱SSC対FLプロットを示す。カゼインが存在しない場合、非特異的単球のプルアウトが存在する(矢印で示す)。モノマーの非存在は、リンパ球における陰性集団の広がりを引き起こす(矢印で示す)。陰性集団の広がりは、モノマーおよびカゼインの非存在下、SN色素の間の非特異的相互作用に主に起因する。
【0053】
【
図10C】
図10Cは、試験群DM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S、モノマーなしのDM2+S(左から右、上側パネル)、トレハロース+DMMA、トレハロース+カゼイン、トレハロース+モノマー(左から右、下側パネル)におけるCD4-SNv786についての側方散乱SSC対FLプロットを示す。モノマーの非存在は、リンパ球における陰性集団の広がりを引き起こす(矢印で示す)。
【0054】
【
図10D】
図10Dは、試験群DM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S、モノマーなしのDM2+S(左から右、上側パネル)、トレハロース+DMMA、トレハロース+カゼイン、トレハロース+モノマー(左から右、下側パネル)におけるCD56-SNv428対CD20-SNv605についての二次元フロープロットを示す。モノマーおよびカゼインの非存在は、SN集団の間の非特異的相互作用/集団の広がり(矢印で示す)を引き起こす。このプロットは、モノマーおよびカゼイン両方が、非特異的相互作用を防止するために重要であることを示す。
【0055】
【
図10E】
図10Eは、試験群DM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S、モノマーなしのDM2+S(左から右、上側パネル)、トレハロース+DMMA、トレハロース+カゼイン、トレハロース+モノマー(左から右、下側パネル)におけるCD4-SNv786対CD20-SNv605についての二次元フロープロットを示す。モノマーおよびカゼインの非存在は、SN集団の間の非特異的相互作用/集団の広がり(矢印で示す)を引き起こす。このプロットは、モノマーおよびカゼイン両方が、非特異的相互作用を防止するために重要であることを図示す。
【0056】
【
図10F】
図10Fは、試験群DM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S、モノマーなしのDM2+S(左から右、上側パネル)、トレハロース+DMMA、トレハロース+カゼイン、トレハロース+モノマー(左から右、下側パネル)におけるCD4-SNv786対CD56-SNv428についての二次元フロープロットを示す。モノマーおよびカゼインの非存在は、SN集団の間の非特異的相互作用/集団の広がり(矢印で示す)を引き起こす。そのため、モノマーおよびカゼイン両方が、非特異的相互作用を防止するために重要である。
【0057】
【
図11A】
図11Aは、CD45-APC-A750のゲーティング、本発明のDM2+Sドライダウン緩衝液を有するカクテルにおける乾燥、および血液試料による再構成を含む、3つのポリマー色素コンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、およびCD4-SNv786についての代表的なSSC対FLの重ね合わせフロープロットを示す。第2の群では、同じ抗体の液体カクテルを、市販のBD Horizon(商標)Brilliant染色緩衝液を使用して調製した。BD Horizon(商標)Brilliant染色緩衝液は、DM2+S乾燥チューブと比較して、非特異的顆粒球および単球のプルアウト(矢印で示す)を引き起こした。
【0058】
【
図11B】
図11Bは、本発明のDM2+Sドライダウン緩衝液を用いて乾燥され、血液試料で再構成された、3つのポリマー色素抗体コンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、およびCD4-SNv786についての代表的な二次元重ね合わせフロープロットを示す。第2の群では、同じ抗体の液体カクテルを、市販のBD Horizon(商標)Brilliant染色緩衝液を使用して調製した。BD Horizon(商標)Brilliant染色緩衝液は、DM2+Sと比較した場合に、SNコンジュゲートのすべての組合せにおいて非特異的リンパ球のプルアウト(例えば、CD56およびCD20における非特異的リンパ球のプルアウト)を引き起こした。
【0059】
【
図12】
図12は、6か月経過したオープンパウチでのDM2+S緩衝液乾燥チューブの写真を示す。
【0060】
【
図13A】
図13Aは、新鮮、3か月経過したおよび6か月経過したDM2+S乾燥チューブの6か月の安定性を示す。3つのロットのそれぞれにおけるSN色素の異なる組合せについての代表的な二次元重ね合わせフロープロットを示す。乾燥チューブは、12の異なる結合パートナー色素コンジュゲートを含有する;すなわち、12色(12C)パネル(9Cの従来のコンジュゲート+3CのSNコンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、CD4-SNv786)。これらのロットを、1つのフローサイトメーター機器において単一反復で、4人のドナーに対して試験した。プロトコールおよび方法で述べる染色-溶解-洗浄プロトコールを、研究のために使用した。これらの重ね合わせは、3か月および6か月熟成したロットにおける集団が、新鮮なロットと完全に重なることを示す。加えて、非特異的相互作用または集団の広がりは、すべての試験ドナーにおいて、6か月熟成されたロットで観察されなかった。
【0061】
【
図13B】
図13Bは、3か月および新鮮なロットと比較した、DM2+S乾燥チューブの6か月の安定性:3つのロットすべてにおけるSN対古典的組合せについての代表的な二次元重ね合わせフロープロットを示す。12色(12C)パネル(9Cの従来のコンジュゲート+3CのSNコンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、CD4-SNv786)を含有する乾燥チューブを、1つのフローサイトメトリー機器において単一反復で、4人のドナーに対して試験した。CD3 ECD-A対CD20Violet610-A(左パネル)、CD8 KO525-A対CD4Violet780-A(中央パネル)、およびCD45 APC-A750-A対CD56PB450-A(右パネル)についての6か月および3か月熟成されたロットと新鮮なロットについての重ね合わせフロープロットは、3か月および6か月熟成されたロットにおける集団が、新鮮なロットと完全に重なることを示す。加えて、非特異的相互作用または集団の広がりは、すべての試験ドナーにおいて、6か月経過したロットで観察されなかった。
【0062】
【
図13C】
図13Cは、3か月および新鮮なロットと比較した、DM2+S乾燥チューブの6か月の安定性:3つのロットすべてにおける古典的対古典的組合せについての代表的な二次元重ね合わせフロープロットを示す。12色(12C)パネル(9Cの従来のコンジュゲート+3CのSNコンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、CD4-SNv786)を含有する乾燥チューブを、1つのフローサイトメトリー機器において単一反復で、4人のドナーに対して試験した。CD16 FITC-A対CD25PE-A(左パネル)、CD8 KO525-A対CD45APC-A750-A(中央パネル)、およびCD3 ECD-A対CD10APC-A(右パネル)についての6か月および3か月熟成されたロットと新鮮なロットについての重ね合わせは、3か月および6か月熟成されたロットにおける集団が、新鮮なロットと完全に重なることを示す。加えて、非特異的相互作用または集団の広がりは、すべての試験ドナーにおいて、6か月経過したロットで観察されなかった。
【発明を実施するための形態】
【0063】
開示の詳細な説明
本開示は、一緒にドライダウンされた場合に、2つまたはそれよりも多くの色素コンジュゲートの凝集を最小化するための組成物および方法を提供する。蛍光色素コンジュゲートの混合物における蛍光色素構造の完全性を維持するのを助け、凝集を減少させ、非特異的相互作用および染色の人為現象を減少させるドライダウン緩衝液組成物が提供される。例えば、ドライダウン緩衝液組成物は、一緒にドライダウンされる場合または再構成の間に、2つまたはそれよりも多くの蛍光ポリマー色素コンジュゲートの凝集を減少させ、または防止するために使用され得る。
【0064】
蛍光色素コンジュゲートの間の凝集は、液体カクテル中で、または蛍光色素コンジュゲートのカクテルを乾燥しながら、または再構成の間に起こり得る。本発明は、例えば、蛍光ポリマー色素コンジュゲートが乾燥の間に相互作用しないように、凝集を減少させ、または回避するためのドライダウン緩衝液組成物を提供することによって課題を解決する。再構成の際に、蛍光色素コンジュゲートは、独立して、分析される液体試料中の標的分析物に結合することができ、凝集または架橋から生じる誤った結果が、実質的に低減または排除される。
【0065】
蛍光色素の非特異的相互作用を減少させ、または排除することができ、目的の抗原に対する蛍光色素コンジュゲートの天然の結合能力も妨げない、新規ドライダウン緩衝液を開発した。
【0066】
図2Bおよび
図3Bは、実施例1に従って、(
図2B)従来のドライダウン技術、および(
図3B)本発明のドライダウン(「DM」)緩衝液DM2+Sチューブを使用してドライダウンされ、処理されたCD20-605およびCD4-786ポリマー色素コンジュゲートの比較フローサイトメトリードットプロットを示す。
図2Bは、従来のドライダウン技術を使用してドライダウンされたポリマー色素コンジュゲートが、細胞集団を分離することに失敗したことを示すが、
図3Bは、本発明のDM緩衝液DM2+Sが、任意の非特異的相互作用なしで細胞集団を分離することができたことを示す。
【0067】
定義
【0068】
本明細書で使用される場合、以下の用語およびその変形形態は、異なる意味がそのような用語が使用される文脈によって明確に意図されない限り、下記に示される意味を有する。
【0069】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他を指示しない限り、同様に複数の形態を含むことが意図される。
【0070】
「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたはそれよりも多くのあらゆる可能な組合せを指し、それを包含する。
【0071】
「約」という用語は、化合物、用量、時間、温度などの量などの測定可能な値を指す場合、規定された値の10%、5%、1%、0.5%、またはさらに0.1%の変動、および値を測定するための試験方法における少なくとも業界標準の変動を包含することを意味する。
【0072】
「患者」、「対象(単数)」または「対象(複数)」という用語は、限定されるものではないが、ヒトを含み、この用語は、他の哺乳動物、または家畜動物もしくはエキゾチックアニマル、例えば、イヌ、ネコ、フェレット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、鳥類、または爬虫類も包含し得る。
【0073】
他に規定されない限り、「室温」という用語の語句は、18~27℃を指す。
【0074】
他に規定されない限り、「パーセント」または「%」という用語は、重量パーセントを指す。
【0075】
それ自身または別の置換基の一部としての「活性化エステル」または「活性エステル」という用語は、アミノ酸誘導体のカルボキシル基と遊離アミノ基との容易な縮合を促進するために、ペプチド化学において用いられるカルボキシル活性基を指す。これらのカルボキシル活性基の説明は、ペプチド化学の一般的な教科書、例えば、K. D. Kopple, "Peptides and Amino Acids", W. A. Benjamin, Inc., New York, 1966, pp. 50-51およびE. Schroder and K. Lubke, "The Peptides"; Vol. 1, Academic Press, New York, 1965, pp. 77-128に見出される。
【0076】
「アシル」という用語は、本明細書で使用される場合、カルボニル部分を含有する基を指し、ここで、基は、カルボニル炭素原子を介して結合している。カルボニル炭素原子は、水素に結合して「ホルミル」基を形成するか、または別の炭素原子に結合しており、これは、アルキル、アリール、アラルキル シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル基などの一部であり得る。アシル基は、カルボニル基に結合した、0~約12、0~約20、または0~約40個の追加の炭素原子を含み得る。アシル基は、本明細書の意味内で、二重または三重結合を含み得る。アシル基は、必要に応じて、本明細書の意味内で、ヘテロ原子も含み得る。アシル基の例としては、限定されるものではないが、ニコチノイル基(ピリジル-3-カルボニル) アセチル、ベンソイル、フェニルアセチル、ピリジルアセチル、シンナモイル、およびアクリルオキシ基などが挙げられる。カルボニル炭素原子に結合している炭素原子を含有する基が、ハロゲンを含有する場合、基は、「ハロアシル」基と称される。例は、トリフルオロアセチル基である。
【0077】
それ自身または別の置換基の一部としての「アルデヒド」という用語は、-CHO基を有する化学化合物を指す。
【0078】
それ自身または別の置換基の一部としての「アルケン」または「アルケニル」という用語は、2個の炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖状、分枝鎖状、または環状炭化水素のいずれかを指す。アルケン基の例としては、限定されるものではないが、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、イソペンテニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,5-ヘキサジエニル、2,4-ヘキサジエニル、または1,3,5-ヘキサトリエニルが挙げられる。アルケン基は、典型的には一価であるが、例えば、アルケニル基が2つの部分を一緒に連結する場合、二価であり得る。
【0079】
それ自身または別の置換基の一部としての「アルコキシ」という用語は、アルキル基を結合点に接続する酸素原子を有する、上記に定義されるアルキル基を指す。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられる。アルコキシ基は、ここに記載される各種の置換基でさらに置換され得る。例えば、アルコキシ基は、ハロゲンで置換されて、「ハロ-アルコキシ」基を形成することができる。
【0080】
それ自身または別の置換基の一部としての「アルキル」という用語は、示された炭素原子の数を有する直鎖状または分枝状の飽和脂肪族ラジカルを指す。アルキル基は、必要に応じて置換されたアルキル基であり得る。例えば、C1~C6アルキルは、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。他のアルキル基としては、限定されるものではないが、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。アルキルは、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、2~3、2~4、2~5、2~6、3~4、3~5、3~6、4~5、4~6および5~6などの任意の数の炭素を含み得る。アルキル基は、典型的には一価であるが、例えば、アルキル基が2つの部分を一緒に連結する場合、二価であり得る。
【0081】
それ自身または別の置換基の一部としての「アルキン」または「アルキニル」という用語は、2個の炭素原子間に少なくとも1つの三重結合を有する、直鎖状または分枝状炭化水素のいずれかを指す。アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、イソブチニル、sec-ブチニル、ブタジイニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジイニル、1,4-ヘキサジイニル、1,5-ヘキサジイニル、2,4-ヘキサジイニル、または1,3,5-ヘキサトリイニルが挙げられる。アルキニル基は、典型的には一価であるが、例えば、アルキニル基が2つの部分を一緒に連結する場合、二価であり得る。
【0082】
「分析物」という用語は、試料中の分子、化合物、または他の構成要素を指す。分析物としては、限定されるものではないが、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、有機分子、糖および他の炭水化物、ならびに脂質が挙げられ得る。
【0083】
それ自身または別の置換基の一部としての「アミン」という用語は、本明細書で使用される場合、1つまたはそれよりも多くのアミノ基を有する、ここで定義されるアルキル基を指す。アミノ基は、第一級、第二級または第三級であり得る。アルキルアミンは、ヒドロキシ基でさらに置換され得る。本開示において有用なアミンとしては、限定されるものではないが、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン、およびエタノールアミンが挙げられる。アミノ基は、アルキルアミンを化合物の残部との結合点に連結し得るか、アルキル基のオメガ位に存在し得るか、またはアルキル基の少なくとも2個の炭素原子で一緒に連結され得る。当業者は、他のアルキルアミンが本開示において有用であることを認識するであろう。
【0084】
「アミノ基」という用語は、プロトン化できない-NR3
+を除いて、-NH2、-NHR、-NR2、-NR3
+(式中、それぞれのRは、独立して選択される)の形態およびそれぞれのプロトン化形態の置換基を指す。したがって、アミノ基で置換された任意の化合物は、アミンと見なすことができる。本明細書の意味内の「アミノ基」は、第一級、第二級、第三級、または第四級アミノ基であり得る。「アルキルアミノ」基としては、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびトリアルキルアミノ基が挙げられる。
【0085】
「アミド(amide)」という用語は、一般式RC(=O)NR’R’’(式中、R、R’、およびR’’は、有機基または水素原子を表す)を有する、アミン基に結合したカルボニル基を有する官能基を指す。「アミド(amido)」という用語は、アミド(amide)基を含有する置換基を指す。
【0086】
それ自身または別の置換基の一部としての「アンモニウム」という用語は、式NHR3
+(式中、それぞれのR基は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のアルキル、アリール、アラルキル、またはアルコキシ基である)を有するカチオンを指す。好ましくは、R基のそれぞれが、水素である。
【0087】
「抗体」という用語は、分析物に特異的に結合する、免疫グロブリンタンパク質またはその断片もしくは誘導体を指す。抗体は、免疫グロブリンのさまざまなクラスおよびアイソタイプ、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、およびIgMを含む。抗体断片は、Fab、scFv、F(ab’)2、およびFab’分子などの分子を含む。抗体誘導体は、キメラ抗体などの付加または置換を有する抗体またはその断片を含む。抗体は、ヒトもしくは動物起源、組換え法によるハイブリドーマ由来、または当技術分野で公知の任意の他の方法に由来し得る。
【0088】
「アラルキル」という用語は、アルキル基の水素または炭素原子が、本明細書に定義されるアリール基への結合で置き換えられている、本明細書に定義されるアルキル基を指す。代表的なアラルキル基としては、ベンジルおよびフェニルエチル基、ならびに縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基、例えば、4-エチル-インダニルが挙げられる。アラルケニル基は、アルキル基の水素または炭素原子が、本明細書に定義されるアリール基への結合で置き換えられている、本明細書に定義されるアルケニル基である。
【0089】
それ自身または別の置換基の一部としての「アリール」という用語は、芳香環アセンブリ中にヘテロ原子を含有しない、環状芳香族炭化水素基を指す。「アリール」基は、6~16個の環炭素原子を含有する、単環式、または縮合二環式、三環式もしくはそれよりも多くの環式の芳香環アセンブリであり得る。例えば、アリールは、限定されるものではないが、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニル、ベンジルまたはナフチルであり得る。「アリーレン」は、アリール基に由来する二価ラジカルを意味する。アリール基は、アルキル、アルコキシ、アリール、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アミノ-アルキル、トリフルオロメチル、アルキレンジオキシおよびオキシ-C2~C3-アルキレンから選択される1つ、2つまたは3つのラジカルによって、一置換、二置換または三置換され得、これらのすべては、必要に応じて、例えば、本明細書の以下で定義されるもの、あるいは1-もしくは2-ナフチル、または1-もしくは2-フェナントレニルでさらに置換される。アルキレンジオキシは、フェニルの2個の隣接する炭素原子に結合した二価置換基、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。オキシ-C2~C3-アルキレンも、フェニルの2個の隣接する炭素原子に結合した二価置換基、例えば、オキシエチレンまたはオキシプロピレンである。オキシ-C2~C3-アルキレン-フェニルの例は、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イルである。
【0090】
それ自身または別の置換基の一部としての「アリールオキシ」という用語は、O-アリール基を指し、ここで、アリールは、上記に定義される通りである。アリールオキシ基は、非置換であり得るか、または1つもしくは2つの好適な置換基で置換され得る。「フェノキシ」という用語は、アリールオキシ基を指し、ここで、アリール部分は、フェニル環である。「(ヘテロ)アリールオキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、-O-ヘテロアリール基を意味し、ここで、ヘテロアリールは、下記に定義される通りである。「(ヘテロ)アリールオキシ」という用語は、その部分が、アリールオキシまたは(ヘテロ)アリールオキシ基のいずれかであることを示すために使用される。
【0091】
それ自身または別の置換基の一部としての「ヘテロアリール」という用語は、5~16個の環原子を含有する、単環式、または縮合二環式もしくは三環式芳香環アセンブリを指し、ここで、環原子のうちの1~4個は、それぞれ、N、OまたはSのヘテロ原子である。例えば、ヘテロアリールとしては、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、または例えば、アルキル、ニトロもしくはハロゲンによって置換された、特に、一置換もしくは二置換された、任意の他のラジカルが挙げられる。ピリジルは、2-、3-または4-ピリジル、有利には、2-または3-ピリジルを表す。チエニルは、2-または3-チエニルを表す。キノリニルは、好ましくは、2-、3-または4-キノリニルを表す。イソキノリニルは、好ましくは、1-、3-または4-イソキノリニルを表す。ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニルは、好ましくは、それぞれ、3-ベンゾピラニルまたは3-ベンゾチオピラニルを表す。チアゾリルは、好ましくは、2-または4-チアゾリルを表し、4-チアゾリルが最も好ましい。トリアゾリルは、好ましくは、1-、2-または5-(1,2,4-トリアゾリル)である。テトラゾリルは、好ましくは、5-テトラゾリルである。
【0092】
一部の実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、キノリニル、ピロリル、チアゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、オキサゾリル、インダゾリル、または置換された、特に、一置換もしくは二置換されたラジカルのいずれかである。
【0093】
一部の実施形態では、アリールおよびヘテロアリール基についての置換基は、多様であり、ゼロから芳香環系上の空原子価の総数までの範囲の数の、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R’’、-SR’、-R’、-CN、-NO2、-CO2R’、-CONR’R’’、-C(O)R’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’’C(O)2R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-N3、-CH(Ph)2、パーフルオロ(C1~C4)アルコキシ、およびパーフルオロ(C1~C4)アルキルから選択され、式中、R’、R’’およびR’’’は、独立して、水素、(C1~C5)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリールおよびヘテロアリール、(非置換アリール)-(C1~C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ-(C1~C4)アルキルから選択される。
【0094】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、必要に応じて、式-T-C(O)-(CH2)q-U-(式中、TおよびUは、独立して、-NH-、-O-、-CH2-または単結合であり、qは、0~2の整数である)の置換基で置き換えられていてもよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、必要に応じて、式-A-(CH2)r-B-(式中、AおよびBは、独立して、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-または単結合であり、rは、1~3の整数である)の置換基で置き換えられていてもよい。そのようにして形成される新しい環の単結合のうちの1つは、必要に応じて、二重結合で置き換えられていてもよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、必要に応じて、式-(CH2)s-X-(CH2)t-(式中、sおよびtは、独立して、0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または-S(O)2NR’-である)の置換基で置き換えられていてもよい。-NR’-および-S(O)2NR’-中の置換基R’は、水素または非置換(C1~C6)アルキルから選択される。
【0095】
本明細書で使用される場合、それ自身または別の置換基の一部としての「アジドという用語は、構造-N3を指す。
【0096】
「結合パートナー」という用語は、分析物に特異的に結合することができる分子を指す。結合パートナーは、抗体もしくはその抗原結合性断片、または他のタンパク質、ペプチド、多糖、脂質、核酸、もしくは核酸アナログ、例えば、オリゴヌクレオチドもしくはPNA(ペプチド核酸)を含む、多くの異なる種類の分子のいずれかであり得る。
【0097】
それ自身または別の置換基の一部としての「ボロン酸」という用語は、構造-B(OH)2を指す。ボロン酸は、クエンチャーの合成におけるさまざまなステップでボロン酸エステルとして存在し得ることが当業者によって認識される。ボロン酸は、そのようなエステルを含むことを意味する。「ボロン酸エステル(boronic ester)」または「ボロン酸エステル(boronate ester)」という用語は、本明細書で使用される場合、-B(Z1)(Z2)部分(式中、Z1およびZ2は、それぞれの場合におけるホウ素に結合した原子が酸素原子である部分を一緒に形成する)を含有する化学化合物を指す。一部の実施形態では、ボロン酸エステル部分は、5員環である。一部の他の実施形態では、ボロン酸エステル部分は、6員環である。一部の他の実施形態では、ボロン酸エステル部分は、5員環および6員環の混合物である。
【0098】
それ自身または別の置換基の一部としての「カルバメート」という用語は、構造-NR’’CO2R’(式中、R’およびR’’は、独立して、水素、(C1~C8)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリールおよびヘテロアリール、(非置換アリール)-(C1~C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ-(C1~C4)アルキルから選択される)を有する官能基を指す。カルバメートの例としては、t-Boc、Fmoc、ベンジルオキシ-カルボニル、alloc、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2,7-ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、Tbfmoc、Climoc、Bimoc、DBD-Tmoc、Bsmoc、Troc、Teoc、2-フェニルエチルカルバメート、Adpoc、2-クロロエチルカルバメート、1,1-ジメチル-2-ハロエチルカルバメート、DB-t-BOC、TCBOC、Bpoc、t-Bumeoc、Pyoc、Bnpeoc、V-(2-ピバロイルアミノ)-1,1-ジメチルエチルカルバメート、NpSSPeocが挙げられる。
【0099】
それ自身または別の置換基の一部としての「カルボン酸」という用語は、構造R-COOH(式中、Rは、原子の炭素含有基である)を指す。
【0100】
それ自身または別の置換基の一部としての「カルボキシレート」という用語は、カルボン酸のコンジュゲート塩基を指し、これは、一般に、式RCOO-によって表され得る。例えば、「マグネシウムカルボキシレート」という用語は、カルボン酸のマグネシウム塩を指す。それ自身または別の置換基の一部としての本明細書で使用される「カルボン酸エステル」という用語は、カルボン酸に由来する化合物を指し、これは、一般に、式RCOOR’(式中、R’は、アルキル、アルケン、アルキン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(非置換アリール)アルキル、および(非置換アリール)オキシ-アルキルまたは原子の他の炭素含有基であり得る)によって表され得る。R’は、必要に応じて、官能基を含有する。
【0101】
「CD」という用語は、分化抗原群を指す。
【0102】
「発色団」という用語は、共有結合し得る反応性基(例えば、カルボキシレート部分、アミノ部分、ハロアルキル部分など)を有する化合物を指す。好適な発色団の例としては、限定されるものではないが、米国特許第7,687,282号;同第7,671,214号;同第7,446,202号;同第6,972,326号;同第6,716,979号;同第6,579,718号;同第6,562,632号;同第6,399,392号;同第6,316,267号;同第6,162,931号;同第6,130,101号;同第6,005,113号;同第6,004,536号;同第5,863,753号;同第5,846,737号;同第5,798,276号;同第5,723,218号;同第5,696,157号;同第5,658,751号;同第5,656,449号;同第5,582,977号;同第5,576,424号;同第5,573,909号;および同第5,187,288号に記載されるものが挙げられ、これらの特許は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
フローサイトメトリーにおける「コンペンセーション」という用語は、蛍光漏出(多重パラメーターのフローサイトメトリーデータのスペクトルの重なり)について補正する数学的プロセスである。例えば、コンペンセーションは、その色素の測定に専念するものを除く、すべての検出器からの任意の所与の蛍光色素のシグナルを除去することによって行われ得る。蛍光色素は、広範囲のスペクトルを有し得るので、それらは、重なり、データ解析の間に所望されない混乱を引き起こし得る。
【0104】
それ自身または別の置換基の一部としての「シクロアルキル」という用語は、3~12個の環原子を含有するか、または単環式環の示される原子の数の、飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式の環アセンブリを指し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが挙げられる。二環式および多環式環としては、例えば、ノルボルナン、デカヒドロナフタレンおよびアダマンタンが挙げられる。例えば、C3~8シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、およびノルボルナンが挙げられる。
【0105】
それ自身または別の置換基の一部としての「ジアゾニウム塩」という用語は、R-N2
+X-(式中、Rは、任意の有機基(例えば、アルキルまたはアリール)であり得、Xは、無機または有機アニオン(例えば、ハロゲン)である)の構造を有する有機化合物の群を指す。
【0106】
「DM-2」または「DM2」という用語は、DM-2を指す。「S」という用語は、「DM2+S」緩衝液への言及において、安定剤を指す。「DM2+S」は、本開示の記載のDM緩衝液であり、ここで、例えば、表3に従って、炭水化物安定剤は、トレハロースまたはその水和物であり、水溶性モノマーは、モノマーAであり、タンパク質安定剤は、カゼインであり、両性イオン性界面活性剤はDMMAである。
【0107】
「色素コンジュゲート」という用語は、結合パートナーにコンジュゲートされた色素を指す。
【0108】
「蛍光色素」という用語は、光励起の際に再発光することができる、光で励起可能なフルオロフォアを含む色素を指す。「蛍光色素」という用語は、蛍光モノマー性色素および他の従来の蛍光色素の両方を包含する、蛍光ポリマー性色素および蛍光非ポリマー性色素の両方を包含する。例えば、SuperNova(商標)(「SN」)v428(Beckman Coulter,Inc.)は、青紫色レーザー(405nm)によって最適に励起され、414nmの励起極大、428nmの発光ピークを有する蛍光ポリマー色素であり、450/50バンドパスフィルターまたは等価物を使用して検出することができる。SN v605およびSN v786は、コアSN v428ポリマー色素に由来するタンデムポリマー色素である。両方とも、414nmに極大励起を有する、同じ吸光度特性を共有する。それぞれ、605nmおよび786nmのSN v605およびSN v786についての発光ピークで、それらは、フローサイトメーターの610/2および780/60nmバンドパスフィルターを使用して最適に検出される。
【0109】
「フルオロフォア」という用語は、光励起の際に再発光することができる、蛍光化学化合物を指す。フルオロフォアは、典型的には、いくつかの混合芳香族基、またはいくつかのπパイ結合を有する平面および環状分子を含有し得る。
【0110】
それ自身または別の置換基の一部としての「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0111】
それ自身または別の置換基の一部としての「(ヘテロ)アリールアミノ」という用語は、アリール基で置換されたアミンラジカル(例えば、-NH-アリール)を指す。アリールアミノはまた、アミン基で置換されたアリールラジカル(例えば、-アリール-NH2)であってもよい。アリールアミノは、置換または非置換であり得る。
【0112】
本明細書で使用される場合、それ自身または別の置換基の一部としての「ヒドラゾン」という用語は、構造
【化6】
(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)を指す。Rは、限定されるものではないが6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む、水溶化ポリマーであり得る。
【0113】
それら自身または別の置換基の一部としての「ヒドラジン」および「ヒドラジド」という用語は、単結合した窒素を含有し、その1つが、第一級アミン官能基である、化合物を指す。
【0114】
「炭化水素」または「ヒドロカルビル」という用語は、炭素および水素原子を含む分子または官能基を指す。この用語は、通常、炭素および水素原子の両方を含むが、水素原子の一部またはすべてが、他の官能基で置換されている、分子または官能基も指し得る。「ヒドロカルビル」という用語は、直鎖状、分枝状または環状炭化水素に由来する官能基を指し、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アシル、またはそれらの任意の組合せであり得る。ヒドロカルビル基は、(Ca~Cb)ヒドロカルビル(式中、aおよびbは、整数であり、a~bのいずれかの数の炭素原子を有することを意味する)として示すことができる。例えば、(C1~C4)ヒドロカルビルは、ヒドロカルビル基が、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、またはブチル(C4)であり得ることを意味し、(C0~Cb)ヒドロカルビルは、ある特定の実施形態では、ヒドロカルビル基が存在しないことを意味する。ヒドロカルビレン基は、ジラジカル炭化水素、例えば、2つの場所で結合した炭化水素である。
【0115】
「標識された結合パートナー」という用語は、色素にコンジュゲートされている結合パートナーを指す。
【0116】
「リンカー」または「連結」という用語は、2つの基を接続し、長さが100個またはそれ未満の原子の骨格を有する、連結部分を指す。リンカーまたは連結は、2つの基を接続する共有結合であってもよく、または長さが1~100個の間の原子の鎖、例えば、長さが1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20個、またはそれよりも長い炭素原子の鎖であってもよく、ここで、リンカーは、直鎖状、分枝状、環状、または単一原子であってもよい。一部の実施形態では、リンカーは、3つまたはそれよりも多くの基を接続する連結部分を指す分枝状リンカーである。ある特定の場合では、リンカー骨格の1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つ、またはそれよりも多くの炭素原子は、必要に応じて、硫黄、窒素、または酸素ヘテロ原子で置換されていてもよい。一部の実施形態では、リンカー骨格としては、連結官能基、例えば、エーテル、チオエーテル、アミノ、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、エステル、チオエステル、またはイミンが挙げられる。骨格原子間の結合は、飽和または不飽和であり得、一部の場合では、1つ、2つ、または3つを超えない不飽和結合がリンカー骨格に存在する。リンカーとしては、例えば、アルキル、アリールまたはアルケニル基を有する、1つまたはそれよりも多くの置換基が挙げられ得る。リンカーとしては、限定されないが、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、第三級アミン、直鎖状または分枝状であり得るアルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)などが挙げられ得る。リンカー骨格としては、環状基、例えば、アリール、複素環、またはシクロアルキル基が挙げられ得、ここで、環状基の2個またはそれよりも多くの原子、例えば、2、3または4個の原子が、骨格に含まれる。リンカーは、切断可能または切断不能であり得る。
【0117】
リンカー部分は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2020/0190253A1号に教示されるように、「L」または「A」に結合することができる。リンカー部分は、スルホンアミド、ジスルホンアミド、セレノミド、スルフィンアミド、スルタム、ジスルフィンアミド、アミド、セレニンアミド、ホスホンアミド、ホスフィンアミド、ホスホンアミデート、または第二級アミンを含み得る。
【0118】
ここに記載されるように、またそれぞれがリンカー部分に関連するように、「スルホンアミド」という用語は、部分-S(O)2NR-を指し;「ジスルホンアミド」という用語は、部分-S(O)2NRS(O)2-を指し;「セレノンアミド」という用語は、部分-Se(O)2NR-を指し;「スルフィンアミド」という用語は、部分-S(O)NR-を指し;「ジスルフィンアミド」という用語は、部分-S(O)NRS(O)-を指し;「セレニンアミド」という用語は、部分-Se(O)NR-を指し;「ホスホンアミド」という用語は、部分-NR-PR(O)NR-を指し;「ホスフィンアミド」という用語は、部分-PR(O)NR-を指し;「ホスホンアミデート」という用語は、部分-O-PR(O)NR-を指し;「スルタム」という用語は、環状スルホンアミドを指し(例えば、R基は、アルキレン部分を介して硫黄原子に結合している);ここで、それぞれの用語について、R基は、独立して、H、アルキル、ハロアルキル、またはアリールである。
【0119】
本明細書で使用される場合、それ自身または別の置換基の一部としての「N-ヒドロキシスクシンイミジル」という用語は、構造
【化7】
(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)を指す。Rは、限定されるものではないが、6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む水溶化ポリマーであり得る。
【0120】
「反応物溶液」という用語は、標識された結合パートナーを含む溶液を指す。一部の実施形態では、標識された結合パートナーに加えて、反応物溶液は、安定剤、塩、緩衝液、界面活性剤、および/または他の試薬をさらに含む。それ自身または別の置換基の一部としての「マレイミド」という用語は、構造
【化8】
(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)を指す。Rは、限定されるものではないが、6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む水溶化ポリマーであり得る。
【0121】
「MdFl」または「MDFl」という用語は、蛍光強度中央値を指す。
【0122】
「動員%」という用語は、関連する集団のゲーティングされた細胞の数を指す。
【0123】
「マルチカラー抗体パネル」という用語は、血液を染色し、フローサイトメーターにおいてそれを分析するために直接使用され得る、液体または乾燥フォーマットの複数の異なる蛍光色素コンジュゲート(例えば、CD4-FITC、CD8-PE、CD20-APC、CD3-PC5.5、CD16-FITC、CD25-PE、CD3-ECD、CD38-PC5.5、CD27-PC7、CD10-APC、CD14-APCA700、CD45-AA750、CD8-KRO、CD56-SNv428、CD20-SNv605、CD4-SNv786など)を含むカクテルを指す。
【0124】
「マルチカラー乾燥試薬」という用語は、血液を染色し、フローサイトメーターにおいてそれを分析するために直接使用され得る、乾燥フォーマットの異なる蛍光色素コンジュゲート(CD4-FITC、CD8-PE、CD20-APC、CD3-PC5.5など)のカクテルを指す。FITC、PE、ECD、PC5、PC5.5、PC7、APC、AA700、AA750、PBEおよびKrOなどの従来の色素のみを有するマルチカラー乾燥試薬カクテルは、従来の乾燥技術を使用して乾燥され得る。しかしながら、従来の乾燥技術は、カクテル中の複数の蛍光ポリマー色素抗体コンジュゲートを乾燥する間に、無効になることが見出された。これらのポリマー色素コンジュゲートは、非特異的に相互作用する傾向があり、集団の分離において困難さをもたらし、これは、所与の試料中の所望の細胞集団の同定における課題をもたらす可能性がある。
【0125】
本明細書における「多重化」という用語は、複数の分析物を同時にアッセイすることができる、アッセイまたは他の分析方法を指す。
【0126】
「オリゴエーテル」という用語は、エーテル官能性を有する構造繰り返し単位を含有するオリゴマーを指す。本明細書で使用される場合、「オリゴマー」は、同じまたは異なる式の1つまたはそれよりも多くの同定可能な構造繰り返し単位を含有する分子を意味することが理解される。
【0127】
「有機基」という用語は、任意の炭素含有官能基を指す。炭素含有官能基の例としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基などの酸素含有基;カルボン酸、カルボキシレート、およびカルボン酸エステルを含むカルボキシル基;アルキルおよびアリールスルフィド基などの硫黄含有基;ならびに他のヘテロ原子含有基が挙げられ得る。有機基の非限定的な例としては、OR、OOR、OC(O)N(R)2、CN、CF3、OCF3、R、C(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)2、SR、SOR、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CH2C(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)2、OC(O)N(R)2、C(S)N(R)2、(CH2)0~2N(R)C(O)R、(CH2)0~2N(R)N(R)2、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)2、N(R)C(S)N(R)2、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)2、C(O)N(OR)R、C(=NOR)R、および置換または非置換(C1~C100)ヒドロカルビルが挙げられ、ここで、Rは、水素(他の炭素原子を含む例において)または炭素に基づく部分であり得、炭素に基づく部分は、置換または非置換であり得る。
【0128】
「PEG」という用語は、式-(CH2-CH2-O-)n-またはその誘導体によって記載されるエチレングリコールモノマー単位に基づく、生体適合性の水溶化線状ポリマーのファミリーである、ポリエチレングリコール、またはポリ(エチレングリコール)を指す。一部の実施形態では、「n」は、1000もしくはそれ未満、500もしくはそれ未満、200もしくはそれ未満、100もしくはそれ未満、50もしくはそれ未満、40もしくはそれ未満、30もしくはそれ未満、20もしくはそれ未満、15もしくはそれ未満、例えば、3~15、または10~15である。PEGポリマー基は、任意の好都合な長さのものであり得、限定されるものではないが、アルキル、アリール、ヒドロキシル、アミノ、アシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、アシルオキシ、およびアミド末端基および/または置換基を含む、各種の末端基および/またはさらなる置換基を含み得ることが理解される。「PEG」の後の数は、平均分子量を指し、Mwは、重量平均分子量を指し、Mnは、数平均分子量を指す。
【0129】
「PBS」という用語は、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化カリウム、およびリン酸二水素カリウムを含有し得る水性緩衝液である、リン酸緩衝食塩水を指す。例えば、PBSは、milliQ水または脱イオン水、および137mMのNaCl、2.7mMのKCl、10mMのNa2HPO4、1.8mMのKH2PO4を含有し得る。pHは、約pH7.0~7.4であってもよい。PBSは、アジ化ナトリウムなどのアジドを用いて保存されてもよく、または保存されなくてもよい。PBSは、等張性溶液である。
【0130】
それ自身または別の置換基の一部としての「ホスホラミド」という用語は、構造
【化9】
(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)を指す。Rは、限定されるものではないが、6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む水溶化ポリマーであり得る。
【0131】
それ自身または別の置換基の一部としての「ホスホンアミデート」という用語は、構造
【化10】
(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)を指す。Rは、限定されるものではないが、6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む水溶化ポリマーであり得る。
【0132】
それ自身または別の置換基の一部としての「ホスフィンアミド」という用語は、構造
【化11】
(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)を指す。Rは、限定されるものではないが、6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む水溶化ポリマーであり得る。
【0133】
「物理的性質」という用語は、蛍光色素コンジュゲートの明るさまたは蛍光、および他のチャネルへのその漏出を含む性質を指す。
【0134】
「ポリマー色素コンジュゲート」という用語は、結合パートナーにコンジュゲートされたポリマー色素を指す。例えば、ポリマー色素コンジュゲートは、限定されるものではないが、ジヒドロフェナントレン(DHP)、フルオレン、およびそれらの組合せを含む、モノマーサブユニット有する蛍光ポリマーを含み得る。
【0135】
「実質的に低減された」という用語は、測定可能な量の少なくとも10%、少なくとも25%、または少なくとも50%の低減を指す。
【0136】
「置換、置換された(substituted)」という用語は、本明細書に定義される分子また
は有機基と併せて本明細書で使用される場合、そこに含有される1個またはそれよりも多くの水素原子が、1個またはそれよりも多くの非水素原子によって置き換えられている状態を指す。「官能基」または「置換基」という用語は、本明細書で使用される場合、分子上もしくは有機基上にあり得るか、またはそこで置換され得る、基を指す。置換基または官能基の例としては、限定されるものではないが、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、およびI);ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸、カルボキシレート、およびカルボン酸エステルを含むカルボキシル基などの基中の酸素原子;チオール基、アルキルおよびアリールスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホンアミド基などの基中の硫黄原子;アミン、ヒドロキシアミン、ニトリル、ニトロ基、N-オキシド、ヒドラジド、アジド、およびエナミンなどの基中の窒素原子;ならびにさまざまな基中の他のヘテロ原子が挙げられる。置換された炭素(または他の)原子に結合し得る置換基の非限定的な例としては、F、Cl、Br、I、OR、OC(O)N(R)2、CN、NO、NO2、ONO2、アジド、CF3、OCF3、R、O(オキソ)、S(チオノ)、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)2、SR、SOR、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CH2C(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)2、OC(O)N(R)2、C(S)N(R)2、(CH2)0~2N(R)C(O)R、(CH2)0~2N(R)N(R)2、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)2、N(R)C(S)N(R)2、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)2、C(O)N(OR)R、およびC(=NOR)Rが挙げられ、ここで、Rは、水素または炭素に基づく部分であり得;例えば、Rは、水素、(C1~C100)ヒドロカルビル、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり得るか;または窒素原子にもしくは窒素原子に隣接して結合する2つのR基は、窒素原子または原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成し得る。
【0137】
それ自身または別の置換基の一部としてのいずれかの「スルホネート官能基」または「スルホネート」という用語は、遊離スルホネートアニオン(-S(=O)2O-)およびその塩の両方を指す。したがって、スルホネートという用語は、スルホネート塩、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウムおよびアンモニウムスルホネートを包含する。
【0138】
それ自身または別の置換基の一部としての「スルホンアミド」という用語は、式-SO2NR-(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)の基を指す。Rは、限定されるものではないが、6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む水溶化ポリマーであり得る。
【0139】
それ自身または別の置換基の一部としての「スルホンアミド」という用語は、式-SO2NR2(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)の基を指す。Rは、限定されるものではないが、6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む水溶化ポリマーであり得る。
【0140】
それ自身または別の置換基の一部としての「スルフィンアミド」という用語は、式-SONR2-(式中、Rは、例えば、水溶化部分、水素、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、またはその他であり得、カルボキシル基を含有し得る)の基を指す。Rは、限定されるものではないが、6つまたはそれよりも多くのモノマー単位を含むポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、PEG、カルボン酸またはカルボン酸エステルが末端の修飾PEGを含む水溶化ポリマーであり得る。
【0141】
それ自身または別の置換基の一部としての「シリル」という用語は、Si(Rz)3(式中、それぞれのRzは、独立して、アルキル、アリールまたは原子の他の炭素含有基である)を指す。
【0142】
それ自身または別の置換基の一部としての「チオール」という用語は、硫黄-水素結合から構成される官能基を含有する化合物を指す。チオール官能基の一般化学構造は、R-SH(式中、Rは、アルキル、アルケン、アリール、または原子の他の炭素含有基を表す)である。
【0143】
「水溶化部分」という用語は、それ自身または別の置換基の一部として本明細書で使用される場合、例えば、生理学的条件下などの水性環境で十分に水和し、それが結合する分子の水溶性を増加させることができる、任意の親水性基を指す。分子の水溶性の増加は、結合する部分に非常に依存し得る。一部の例では、水溶性の増加(結合する部分なしの分子の溶解性と比較した)は、2倍もしくはそれよりも高い、5倍もしくはそれよりも高い、10倍もしくはそれよりも高い、25倍もしくはそれよりも高い、50倍もしくはそれよりも高い、または100倍もしくはそれよりも高い。「水溶化部分」は、限定されるものではないが、PEG基、限定されるものではないが、カルボン酸およびカルボキシレートを含む、カルボキシ基、ポリビニルアルコール、グリコール、ペプチド、ポリホスフェート、ポリアルコール、スルホネート、ホスホネート、ボロネート、アミン、アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、アルコール、両性イオン性誘導体、炭水化物、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、置換PEG基、限定されるものではないが、置換カルボン酸および置換カルボキシレートを含む、置換カルボキシ基、置換グリコール、置換ペプチド、置換ポリホスフェート、置換ポリアルコール、置換スルホネート、置換ホスホネート、置換ボロネート、置換アミン、置換アンモニウム、置換スルホニウム、置換ホスホニウム、アルコール、置換両性イオン性誘導体、置換炭水化物、置換ヌクレオチド、置換ポリヌクレオチド、ならびにそれらの組合せなどの部分を含む。
【0144】
「水溶性ポリマー」(WSP)という用語は、本明細書で使用される場合、1mg/mLもしくはそれよりも高い、例えば、3mg/mLもしくはそれよりも高い、10mg/mLもしくはそれよりも高い、20mg/mLもしくはそれよりも高い、30mg/mLもしくはそれよりも高い、40mg/mLもしくはそれよりも高い、50mg/mLもしくはそれよりも高い、60mg/mLもしくはそれよりも高い、70mg/mLもしくはそれよりも高い、80mg/mLもしくはそれよりも高い、90mg/mLもしくはそれよりも高い、100mg/mLもしくはそれよりも高い、またはさらに高い、本明細書で使用される「水」への溶解度を有するポリマーを指す。水溶性ポリマーが、ある特定の条件下で、水性系において別個の水に水和したナノ粒子を形成し得、凝集に抵抗し得ることが理解される。
反応容器
【0145】
本明細書に開示される「反応容器」は、結合パートナーまたはその色素コンジュゲートと標的分析物との間の反応が起こり得る任意の入れ物であり得る。例えば、反応容器は、チューブ、プレート、マイクロタイタープレートのウェル、チャンバー、およびスライドであり得る。好ましい実施形態では、反応容器は、結合反応が閉鎖環境で起こり得るように、蓋またはキャップを有する。
基材
【0146】
反応容器は、1つまたはそれよりも多くの基材を含む。「基材」は、限定されるものではないが、プラスチック、ニトロセルロース、酢酸セルロース、石英、およびガラスを含む、任意の好適な表面であり得る。プラスチックの非限定的な例としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、シクロ-オレフィン、およびポリカーボネートが挙げられ得る。一部の実施形態では、基材は、膜である。基材は、反応容器、例えば、プラスチックチューブまたはマイクロタイタープレートのウェルの本体の内面であり得る。基材はまた、ビーズであり得る。一部の実施形態では、標識された結合パートナー(例えば、膜)を受ける基材の少なくとも1つは、反応容器の本体の内面に結合する。一部の実施形態では、膜基材は、シートまたはロールであり、これは、溶液を預けるのを容易にし、乾燥するのを容易にする。一部の実施形態では、膜は、個々に乾燥された反応物スポットを分けるために切断され得る。一部の実施形態では、切断膜は、反応容器に容易に落とされる。一部の好ましい実施形態では、切断膜は、液体が反応容器にまたはその外にピペッティングされる場合に、膜が容器から逃げないように、反応容器の表面に結合する。
【0147】
頭字語「SN」は、SuperNova(商標)を指す。
【0148】
頭字語「SSC」は、側方散乱を指す。
【0149】
「WBC」という用語は、白血球を指す。
液体試料
【0150】
反応容器は、液体試料を受けるように構成される。本発明で使用される液体試料は、典型的には、主に水性媒体として得られるか、またはそこに分散された、標的分析物を含む。試料は、生体材料の任意の起源、例えば、直接的にまたは間接的に、生物から得ることができる、タンパク質、炭水化物、またはポリヌクレオチドであり得る。試料としては、例えば、細胞、組織または流体、ならびにウイルス、マイコプラズマ、および化石を含む、その生物によって残された沈着物が挙げられ得る。試料は、全体的にまたは部分的に、合成手段により調製された標的分析物を含んでいてもよい。試料の非限定的な例としては、血液、血清、血漿、尿、精液、乳、痰、粘液、頬スワブ、膣スワブ、直腸スワブ、吸引物、針生検、例えば、手術または解剖によって得られた組織の切片、血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚、呼吸器、腸、および尿生殖路の外分泌物、涙液、唾液、腫瘍、器官、in vitro細胞培養構成物質の試料(限定されるものではないが、細胞培養培地における細胞の成長から生じる条件付け培地、推定のウイルス感染細胞、組換え細胞、および細胞構成要素を含む)が挙げられる。
標的分析物
【0151】
本発明は、特定の標的分析物の存在、および一部の場合ではその量を検出するように設計される。「標的分析物」という用語は、生体試料において検出される標的分子、例えば、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、有機分子、糖および他の炭水化物、ならびに脂質を指す。標的分析物が、液体試料に含まれ、一部の点でアクセス可能であるか、アクセス可能になって、本発明の分析物特異的結合パートナーに結合することは、本発明の重要な態様である。標的分析物は、生体試料、例えば、血液試料、細胞系開発試料、組織培養試料などにおいて見出され得る。
【0152】
標的分析物は、ビーズ上に存在し得るか、または細胞の表面上に存在およびアクセス可能であり得る。有用な分析物の例としては、限定されるものではないが、以下:1)特異的細胞表面マクロ分子および抗原(ホルモン、タンパク質複合体、および細胞受容体によって認識される分子を含む)、ならびに2)異常なDNAもしくはRNA配列、または異常な量のある特定のメッセンジャーRNAを含む、透過処理された細胞中の細胞のタンパク質、DNAまたはRNAが挙げられる。これらの分析物の検出は、それらが、各種のがんの初期ステージで見出されるものなどのまれな細胞に含有されるか、および/またはその識別子である状況において特に有用である。
結合パートナー
【0153】
「結合パートナー」という用語は、標的分析物のエピトープに特異的に結合する分子を指す。多くの異なる種類の結合パートナーを、本システムおよび方法において使用することができる。一実施形態では、結合パートナーは、抗体である。特定の分析物に結合するために使用される抗体は、好ましくは、モノクローナルであり、したがって、分析物の単一エピトープに対するものである。モノクローナル抗体は、当技術分野で公知のさまざまな技法を使用して調製することができ、典型的には、所望の結合特性を有する抗体を産生するB細胞系を使用する、ハイブリドーマの作出により調製される。単一エピトープに対する抗体は、他の方法、例えば、組換え法により作製することもできる。一部の実施形態では、ポリクローナル抗体を、本システムおよび方法における特異的結合パートナーとして使用することができる。例えば、結合パートナーは、分析物のエピトープに対して生じるポリクローナル抗体であり得る。ポリクローナル抗体は、当技術分野で公知の方法で、例えば、宿主を免疫化すること、および宿主から血漿または血清を収集することによって、調製することができる。抗体のFc部分を欠いている断片、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片を含む、それらの特異的結合特性を保持する抗体断片も、本発明における特異的結合パートナーとして使用することができる。F(ab’)2断片は、当技術分野で公知の方法によって、例えば、パパインおよびペプシンなどのタンパク質分解酵素でモノクローナル抗体を切断することによって生成することができる。Fab’断片は、ジチオスレイトールまたはメルカプトエタノールなどの試薬によるF(ab’)2断片の還元的切断によって生成することができる。あるいは、抗体断片は、組換え法を使用して、例えば、ファージディスプレイライブラリーの使用により生成することができる。
【0154】
抗体または抗体断片もしくは誘導体以外の結合パートナーも、本システムおよび方法において使用することができる。例えば、結合パートナーは、核酸または核酸アナログ、例えば、オリゴヌクレオチドまたはPNAプローブであってもよい。一実施形態では、アプタマーを、特異的結合パートナーとして使用することができる。アプタマーは、高い親和性および特異性を有するタンパク質およびペプチドを含む事前選択された標的に結合することができる一本鎖DNAまたはRNA(ssDNAまたはssRNA)分子である。標的分析物に結合して、受容体-リガンド、酵素-基質、酵素-阻害剤、および酵素-補因子の対を形成することができる他の結合パートナーも使用することができる。そのような結合パートナー対の具体例としては、炭水化物およびレクチン、ビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン、葉酸および葉酸結合タンパク質、ビタミンB12および内因子、プロテインAおよび免疫グロブリン、ならびにプロテインGおよび免疫グロブリンが挙げられる。標的分析物と共有結合を形成する結合パートナーも含まれる。
色素
【0155】
「色素」は、検出可能シグナルを提供する部分であり、これは、直接的または間接的のいずれかで、結合パートナーに結合し得るか、またはそれに組み込まれ得る。本発明で使用される色素は、有色性、蛍光性、または発光性であり得、典型的には、フローサイトメーターにおける検出器、例えば、PMTまたはAPDによって検出される。蛍光色素は、モノマー性またはポリマー性であり得る。モノマー性色素の非限定的な例としては、フルオレセイン、ローダミン、およびシアニンが挙げられる。例えば、一般に使用されるモノマー性色素蛍光色素としては、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)(励起極大494nm/発光極大520nm)、PE(R-フィコエリトリン)(励起極大496nm/発光極大578nm)、APC(アロフィコシアニン)(励起極大650nm/発光極大660nm)、およびPerCP(植物プランクトンに由来するカロテノイド-タンパク質複合体)(励起極大482nm/発光極大678nm)、Cy5.5(シアニン色素)(励起極大675nm/発光極大694nm)が挙げられ得る。他のシアニン色素は、2-、3-、5-、または7-メチン構造から合成され得、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、およびCy7.PC5.5を含み得る。蛍光色素は、タンデム色素であってもよい。タンデム色素としては、PE-Cy5.5タンデム(励起極大566nm/発光極大671nm)、APC-Cy5.5タンデム(励起極大656nm/発光極大700nm)、およびPerCP-Cy5.5タンデム(励起極大489nm/発光極大679nm)が挙げられ得る。
【0156】
蛍光色素は、蛍光ポリマー色素であってもよい。蛍光ポリマー性色素は、化学的および生物学的標的の分析のために特に有用である。それらは、それらが含む複数の発色団のおかげで、非常に反応性の光学的レポーターおよび効率的な光吸収材である。蛍光ポリマー性色素の例としては、限定されるものではないが、発色団の繰り返し単位を有するコンジュゲートされたポリマー、コンジュゲートされた分子の凝集体、側鎖を介して飽和ポリマーに結合した発光色素、半導体量子ドット、および樹状構造が挙げられる。米国特許第7,214,489号、同第8,354,239号、同第8,575,303号に開示される蛍光ポリマー性およびモノマー性色素も、本出願のために使用することができる。
【0157】
一部の場合では、蛍光色素は、式(IV):
【化12】
(式中、
それぞれのAは、独立して、芳香族コモノマーおよびヘテロ芳香族コモノマーからなる群から選択され;
それぞれのLは、リンカー部分であり;
それぞれのMは、独立して、芳香族コモノマー、ヘテロ芳香族コモノマー、バンドギャップ改変モノマー、必要に応じて置換されたエチレン、およびエチニレンからなる群から選択され;
G
1およびG
2は、独立して、未修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端から選択され;
a、c、およびdは、独立して、構造内のそれぞれの単位のモル%を定義し、それぞれの単位が均等にまたはランダムに繰り返され得、ここで、それぞれのaは、10~100%のモル%であり、それぞれのcは、0~90%のモル%であり、それぞれのdは、0~25%のモル%であり;
それぞれのbは、独立して、0または1であり;
mは、1~約10,000の整数である)
に記載の構造を有する蛍光ポリマー色素であってもよい。
【0158】
Lは、ポリマー主鎖にそって均等にまたはランダムに分布するアリールまたはヘテロアリール基を含むリンカー部分であってもよく、別の基材、アクセプター色素、分子または結合剤へのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、およびそれらの保護基からなる群から選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されていてもよい。
【0159】
蛍光ポリマー色素は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS2020/0190253号に記載されるように、結合パートナーにコンジュゲートして、例えば、モノマーAサブユニットおよびモノマーBサブユニットを有する蛍光ポリマー色素コンジュゲートを形成してもよい。蛍光ポリマー色素コンジュゲートは、式V:
【化13】
(式中、
それぞれのAは、独立して、芳香族コモノマーおよびヘテロ芳香族コモノマーからなる群から選択され;
L
1、L
2、およびL
3は、リンカー部分であり;
Wは、水溶化部分であり;
それぞれのEは、独立して、選択された発色団、機能性部分、または結合パートナーであり;
それぞれのBは、独立して、芳香族コモノマー、ヘテロ芳香族コモノマー、バンドギャップ改変モノマー、必要に応じて置換されたエチレン、およびエチニレンからなる群から選択され;
G
1およびG
2は、独立して、未修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端から選択され;
下付き文字nおよびmは、独立して、1~10,000の範囲の整数であり、
下付き文字pは、0~10,000の範囲の整数であり、
下付き文字n、m、およびpの合計は、2~10,000の範囲であり;
下付き文字qは、1、2、3、または4であり;
下付き文字rは、1、2、3、または4であり;
下付き文字sは、0、1、2、または3であり;
下付き文字tは、1または2であり、
下付き文字rおよびsの合計は、1~4の範囲であり;
AおよびBは、コンジュゲートされたポリマー中でランダムにまたは非ランダムに分布している)
の構造を有していてもよい。
【0160】
蛍光色素は、水溶性モノマーAサブユニットおよびモノマーBサブユニットを有する蛍光ポリマー色素であってもよい。ポリマー色素は、水溶性蛍光ポリマー色素であってもよい。例えば、モノマーAまたはモノマーBは、ジヒドロフェナントレン(DHP)部分を含んでいてもよい。モノマーAまたはモノマーBは、フルオレン部分を含んでいてもよい。一部のコンジュゲートされたポリマー色素では、モノマーBは、ポリマーのバンドギャップを変更するために使用され得る。モノマー単位は、水溶性であってもよく、例えば、1つもしくはそれよりも多く、または2つもしくはそれよりも多くの水溶化部分(W)、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分を含む。一部の実施形態では、モノマーAまたはモノマーBは、それぞれ独立して、水溶性モノマー分子である。水溶性モノマーAまたはモノマーBは、それぞれ独立して、DHP部分、および1つもしくはそれよりも多く、または2つもしくはそれよりも多くのPEG部分を含んでいてもよい。水溶性モノマーAまたはモノマーBは、それぞれ独立して、スルホンアミド基を介して結合した可溶化PEG部分とともに、DHP部分を含んでいてもよい。
【0161】
DHP部分を含む水溶性モノマーAまたはモノマーBは、それぞれ独立して、式(I):
【化14】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、水素、アルキル、PEG、ハロゲン、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、およびそれらの保護基から選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのR
2は、独立して、水溶化部分、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、スルホンアミド-PEG、ホスホラミド-PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化15】
からなる群から選択され;
;
それぞれのR
3は、水溶化部分であり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR
5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのQは、独立して、結合、NR
4、または-CH
2であり;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の構造を有していてもよい。
【0162】
一部の実施形態では、DHP部分を含む水溶性モノマーAまたはモノマーBは、それぞれ独立して、式(III):
【化16】
(式中、それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロ(F、Cl、Br、I)であり;それぞれのZは、独立して、O、CH
2、およびNHからなる群から選択され;それぞれのR
1は、独立して、アルキル(C
1~C
3)であり;それぞれのR
2は、独立して、H、アルキル(C
1~C
6)であり;それぞれのnは、独立して、1~6であり;それぞれのmは、独立して、5~50である)
に記載の化学構造を有していてもよい。一部の実施形態では、G
1、G
2は、それぞれ、Brであり;それぞれのZは、Oであり;それぞれのR
1は、CH
3であり;それぞれのR
2は、Hであり;それぞれのnは、独立して、2~4であり;それぞれのmは、独立して、5~20である。一部の実施形態では、それぞれのnは、3であり;それぞれのmは、11である。
【0163】
水溶性モノマーAまたはモノマーBは、それぞれ独立して、フルオレン部分、および1つもしくはそれよりも多く、または2つもしくはそれよりも多くのPEG部分を含んでいてもよい。フルオレン部分を含む水溶性モノマーAまたはモノマーBは、それぞれ独立して、式(II):
【化17】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、PEG、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、およびそれらの保護基から選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのXは、CまたはSiであり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の構造を有していてもよい。
【0164】
蛍光ポリマー色素は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるUS2019/0144601号に開示される任意の色素であってもよい。蛍光ポリマー色素は、例えば、式VI:
【化18】
(式中、
それぞれのXは、独立して、CおよびSiからなる群から選択され;
それぞれのYは、独立して、結合、CR
1R
2およびSiR
1R
2からなる群から選択され;
Yが結合である場合、Xは、両方の環に直接結合し;
それぞれのR
1は、独立して、ポリエチレングリコール(PEG)、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、および
【化19】
からなる群から選択され;
それぞれのR
2は、独立して、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、および
【化20】
からなる群から選択され;
それぞれのR
3は、独立して、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、およびPEGからなる群から選択され;それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのQは、独立して、結合、NH、NR
4、およびCH
2からなる群から選択され;
それぞれのMは、独立して、ポリマーのバンドギャップを変更することができる電子リッチリンカー単位であり、ポリマー主鎖に沿って均等にまたはランダムに分布しており;
それぞれのR
4は、10mg/mLの場合に、過剰に水への溶解性を付与することができる非イオン性側鎖であり、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3(式中、それぞれのx’は、独立して、0~20の整数であり;それぞれのy’は、独立して、0~50の整数である)、およびC
2~C
18(ヘテロ)アリール基からなる群から選択され;
それぞれの必要に応じたリンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等にまたはランダムに分布したアリールまたはヘテロアリール基であり、別の基材、アクセプター色素、分子または結合剤へのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、およびそれらの保護基からなる群から選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されていてもよく;
それぞれのG
1およびG
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されたフルオレン、基材または結合剤へのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、およびそれらの保護基から選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリール(hetroaryl)
からなる群から選択され;
a、c、およびdは、構造内のそれぞれの単位のモル%を定義し、それぞれの単位が均等にまたはランダムに繰り返され得、ここで、aは、10~100%のモル%であり、cは、0~90%のモル%であり、それぞれのdは、0~25%のモル%であり;
それぞれのbは、独立して、0または1であり;
mは、1~約10,000の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
の構造を有する青紫色蛍光ポリマー色素であってもよい。
【0165】
一部の場合では、それぞれのMは、独立して、
【化21】
(式中、それぞれのR
4は、10mg/mLの場合に、過剰に水への溶解性を付与することができる非イオン性側鎖であり、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3(式中、それぞれのx’は、独立して、0~20の整数であり;それぞれのy’は、独立して、0~50の整数である)、およびC
2~C
18(ヘテロ)アリール基からなる群から選択される)
からなる群から選択されてもよい。
【0166】
一部の場合では、蛍光ポリマー色素は、式VII:
【化22】
(式中、X、Y、R
2、R
3、G
1、G
2、L、M、Q、Z、a、b、c、d、mおよびnは、前に定義された通りである)
の構造を有していてもよい。
【0167】
一部の場合では、蛍光ポリマー色素は、式VIII:
【化23】
(式中、
X、Y、R
2、R
4、R
5、G
1、G
2、L、M、Q、Z、a、b、c、d、mおよびnは、前に定義された通りであり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのR
5は、独立して、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択される)
の構造を有していてもよい。
【0168】
一部の場合では、蛍光ポリマー色素は、式IX:
【化24】
(式中、R
2、R
4、R
5 G
1、G
2、L、Z、a、b、d、f、mおよびnは、前に定義された通りである)
の構造を有していてもよい。
【0169】
一部の場合では、蛍光ポリマー色素は、式X:
【化25】
(式中、G
1、G
2、a、f、およびnは、前に定義された通りである)
の構造を有していてもよい。
【0170】
一部の場合では、蛍光ポリマー色素は、式XI:
【化26】
(式中、X、Y、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
2、L、M、Q、Z、a、b、c、d、mおよびnは、前に定義された通りであり;
gおよびaは、一緒に、10~100%のモル%である)
の構造を有するコポリマーであってもよい。
【0171】
一部の場合では、蛍光ポリマー色素は、式XII:
【化27】
(式中、
X、Y、R
2、R
4、R
5、G
1、G
2、L、M、Q、Z、a、b、c、d、mおよびnは、前に定義された通りであり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのgおよびaは、一緒に、10~100%のモル%である)
の構造を有するコポリマーであってもよい。
【0172】
一部の場合では、蛍光ポリマー色素は、式XIII:
【化28】
(式中、
X、R
2、R
4、R
5、G
1、G
2、L、Z、a、b、d、f、mおよびnは、前に定義された通りであり;
それぞれのgおよびaは、一緒に、10~100%のモル%である)
の構造を有するコポリマーであってもよい。
【0173】
一部の場合では、蛍光ポリマー色素は、式XIV:
【化29】
(式中、
G
1、G
2、a、f、およびnは、前に定義された通りであり;
それぞれのgおよびaは、一緒に、10~100%のモル%である)
の構造を有するコポリマーであってもよい。
【0174】
蛍光ポリマー色素は、モノマーAおよびモノマーBなどの水溶性モノマーの重合によって調製されてもよく、これは、高度にコンジュゲートされた蛍光骨格の形成をもたらす。キャッピングが、適切な官能性を使用する活性化によってポリマーに対して行われてもよく、これは、結合パートナーにコンジュゲートすることができるポリマーをもたらす。あるいは、モノマーAまたはモノマーBは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるUS2020/0190253号に従って、適切な官能性を使用する活性化によって直接修飾されてもよい。活性化されたポリマーは、結合パートナーにコンジュゲートされていてもよい。任意の適切な結合パートナー、例えば、抗体を用いてもよく、続いて、例えば標準的な手順を使用することによって、精製されてもよい。
【0175】
ポリマー色素は市販されている。例えば、SuperNova(商標)(「SN」)v428(Beckman Coulter,Inc.)は、青紫色レーザー(405nm)によって最適に励起され、414nmの励起極大、428nmの発光ピークを有するポリマー色素であり、450/50バンドパスフィルターまたは等価物を使用して検出することができる。SN v428は、タンデム色素のためにアミンにより活性化され、続いてタンデムコンジュゲートのために活性化され得る明るいポリマー色素である。ポリマー色素の構造の剛性は、より明るい発光をもたらす回転エネルギーを低減するのを助け得る。これは、最適化されたFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)効率および安定性の増加を達成するのを助け得る。
【0176】
SN v428は、青紫色レーザーによって励起可能な最も明るい色素の1つであり、そのため、これは、ぼんやりと発現されるマーカーを評価するために特に適している。SNがコンジュゲートされた抗体としては、抗CD19抗体-SN v428、抗CD22抗体-SN v428、抗CD25抗体-SN v428、および抗CD38抗体-SN
v428抗体-ポリマー性色素コンジュゲートが挙げられ得る。SN v605およびSN v786(Beckman Coulter,Inc.)は、コアSN v428ポリマー色素に由来するタンデムポリマー色素である。両方とも、414nmに極大励起を有する、同じ吸光度特性を共有する。それぞれ、605nmおよび786nmのSN v605およびSN v786についての発光ピークで、それらは、フローサイトメーターの610/2および780/60nmバンドパスフィルターを使用して最適に検出される。
【0177】
蛍光ポリマー色素は、Brilliant(商標)Blue、Brilliant(商標)VioletおよびBrilliant(商標)Ultra Violet色素を含む、Becton Dickinsonから市販されている蛍光ポリマー性色素であってもよい。蛍光ポリマー色素は、Super Bright 436、Super Bright 600、Super Bright 645、Super Bright 702、およびSuper Bright 780色素を含む、ThermoFisher Scientificから市販されている蛍光ポリマー性色素であってもよい。
水溶性モノマー
【0178】
「水溶性モノマー」は、それぞれ必要に応じて、それらに結合した1つまたはそれよりも多くの水溶化部分を有する、アリール部分またはヘテロアリール部分を含むモノマー単位であってもよい。水溶性部分は、1つまたはそれよりも多くのPEG部分であってもよい。水溶性モノマーは、モノマーAサブユニット、モノマーBサブユニット、またはモノマーAおよびモノマーBサブユニットの組合せを有する複数の蛍光ポリマー色素のうちの少なくとも1つの調製における使用のために適切であり得る。水溶性モノマーは、ジヒドロフェナントレン(DHP)系水溶性モノマーであってもよい。水溶性モノマーは、フルオレン系水溶性モノマーであってもよい。
【0179】
水溶性モノマーは、式(I):
【化30】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのR
2は、独立して、水溶化部分、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、スルホンアミド-PEG、ホスホラミド-PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化31】
からなる群から選択され;
それぞれのR
3は、水溶化部分であり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR
5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのQは、独立して、結合、NR
4、または-CH
2であり;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の化学構造を有するジヒドロフェナントレン(DHP)系モノマーであってもよい。
【0180】
水溶性モノマーは、式(II):
【化32】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのXは、CまたはSiであり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR
5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の構造を有するフルオレン系モノマーであってもよい。
【0181】
水溶性モノマーは、式(III):
【化33】
(式中、それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロ(F、Cl、Br、I)であり;それぞれのZは、独立して、O、CH
2、およびNHからなる群から選択され;それぞれのR
1は、独立して、アルキル(C
1~C
3)であり;それぞれのR
2は、独立して、H、アルキル(C
1~C
6)であり;それぞれのnは、独立して、1~6であり;それぞれのmは、独立して、5~50である)
に記載の化学構造を有するジヒドロフェナントレン(DHP)系モノマーであってもよい。一部の実施形態では、G
1、G
2は、それぞれ、Brであり;それぞれのZは、Oであり;それぞれのR
1は、CH
3であり;それぞれのR
2は、Hであり;それぞれのnは、独立して、2~4であり;それぞれのmは、独立して、5~20である。一部の実施形態では、それぞれのnは、3であり;それぞれのmは、独立して、11または12である。
標識された結合パートナー
【0182】
色素は、結合パートナーおよび標識中に位置する反応性対の間のさまざまな連結化学によって結合パートナーにコンジュゲートされ得る。反応性対としては、限定されるものではないが、マレイミド/チオール、スクシミジルエステル(NHSエステル)/アミン、アジド化学、カルボキシ/EDC(1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)/アミン、アミン/スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート)/チオール、およびアミン/BMPH(N-[~-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド.TFA)/チオールが挙げられ得る。
【0183】
蛍光ポリマー色素は、コンジュゲーションを提供する官能基を含むことができるコンジュゲートされたポリマー鎖上の末端を特徴とする。一部の場合では、そのような官能性は、末端リンカーと称する。これらの末端リンカーにより、共有結合が形成されて、例えば、タンパク質、ペプチド、親和性リガンド、抗体、抗体断片、ポリヌクレオチド、またはアプタマーなどの結合パートナーが結合し得る。加えて、オルトゴナルな官能基は、ドナーアクセプターポリマー性タンデム色素中のアクセプターシグナリング発色団のコンジュゲーションまたは結合のいずれかのために使用され得るコンジュゲートされたポリマー鎖に沿って挿入され得る。
【0184】
コンジュゲーションを行うための方法は、当技術分野において周知である。コンジュゲーションを行うための市販のキットはまた、例えば、Innova Biosciences(Cambridge、UK)、Novus Biologicals(Littleton、Colo.)、Thermo Fisher Scientific(Waltham、Mass.)から容易に入手可能である。
ドライダウンプロセス
【0185】
乾燥試薬技術を、生体分子の安定性を増加させるために使用し得る。乾燥プロセスは、例えばチューブの底で、均一な試薬層を作出するために使用され得る。乾燥試薬は、冷蔵保存は必要としない。乾燥試薬は、室温で保管されてもよい。抗体パネルは、単回使用カクテルで供給されてもよい。抗体パネルは、チューブまたはプレートフォーマットを含む各種の基材において提供されてもよい。試薬は、コンジュゲートされた抗体を乾燥するため、それらを室温での保管のために安定化するために、使用され得る。試薬フォーマットは、抗体カクテルを作出する異なる試薬を組み合わせるために適合され得る。抗体カクテルは、多重性の抗体-色素コンジュゲート、例えば、1つもしくはそれよりも多く、2つもしくはそれよりも多く、3つもしくはそれよりも多く、4つもしくはそれよりも多く、5つもしくはそれよりも多く、6つもしくはそれよりも多く、7つもしくはそれよりも多く、8つもしくはそれよりも多く、9つもしくはそれよりも多く、10もしくはそれよりも多く、11もしくはそれよりも多く、または12もしくはそれよりも多くの抗体コンジュゲート、または1~20、2~15、または3~12の異なる抗体-色素コンジュゲートを含んでいてもよい。
【0186】
乾燥試薬技術は、カクテルを有する一覧のビーズを乾燥する能力を可能にし得る。抗体-色素および抗体-ポリマー色素コンジュゲートを含む結合パートナー-色素コンジュゲートは、フローサイトメトリーアッセイにおいて使用され得る。チューブまたはウェルの底で均一な層を作出する試薬を乾燥する任意の適切な乾燥プロセスが用いられ得る。
【0187】
犠牲タンパク質、炭水化物安定剤、抗菌剤および緩衝剤を含む先行技術の「試薬緩衝液」製剤(RB)は、機能性(抗原に対する親和性)および物理的性質(明るさまたは蛍光など)を変更することなく、単一チューブ中で異なるモノマー性コンジュゲート色素を乾燥するために以前に開発された。従来技術のRB製剤は、両性イオン性界面活性剤または水溶性モノマーを含まない。物理的性質は、コンジュゲートの明るさ、および他のチャネルへのその漏出を指す。
【0188】
図1Aに図示されるように、所望の機能性、物理的性質、およびCD4 PE単球およびCD4 PE+リンパ球細胞集団の分離を含めて、モノマー性CD4-PE色素コンジュゲートを使用する所望のフローサイトメトリー結果が、従来のドライダウン技術を使用して乾燥され、血液試料で再構成される場合に示される。同様に、
図1Bに図示されるように、所望の機能性、物理的性質、およびCD20 APC+細胞集団の分離を含めて、モノマー性CD20 APC色素コンジュゲートの所望のフローサイトメトリー結果が、先行技術の技術を使用して乾燥され、血液試料で再構成される場合に示される。
【0189】
RBなどの従来の乾燥技術は、チューブ中で2つまたはそれよりも多くのポリマー色素コンジュゲートをドライダウンするために使用される場合に、ポリマー構造の完全性を変更し、ポリマー色素コンジュゲートの凝集をもたらすことが見出された。凝集は、非特異的相互作用を増加させ、染色の人為現象を作出する。
図2Aおよび2Bは、従来技術が、2つのポリマー色素コンジュゲートが従来の乾燥技術を使用して乾燥された場合に、ポリマー色素コンジュゲートの凝集に起因して、ポリマー色素を使用して染色された細胞集団を分離することができないことを表す。
【0190】
図2Aは、コンペンセーションなしの、混合され、従来の乾燥技術を使用して乾燥された場合のCD20-SNv605およびCD4-SNv786ポリマー色素抗体コンジュゲートの所望されないフローサイトメトリー結果を示す。非特異的相互作用、ならびにxおよびy軸において集団を分離できないことを示した。
【0191】
図2Bは、コンペンセーションありの、混合され、従来の乾燥技術を使用して乾燥された場合のCD20-SNv605およびCD4-SNv786ポリマー色素抗体コンジュゲートの所望されないフローサイトメトリー結果を示す。非特異的相互作用を防止できないことは、2つのポリマー色素が、従来の乾燥技術を使用して乾燥された場合のポリマー色素抗体コンジュゲートの凝集に起因すると見なされた。
【0192】
したがって、乾燥の間に、蛍光色素コンジュゲートを安定に保ち、凝集を減少させるために、新しい緩衝液組成物についての必要性が存在する。
【0193】
上記で述べた技術的課題を克服するために、最初に、蛍光色素コンジュゲートは、混合された場合に、その液体状態で安定でなければならない。2つの蛍光色素コンジュゲートの混合物は、液体状態でさえ、一緒に混合された場合に、非特異的相互作用の増加をもたらすことが見出されたが、漏出はコンペンセーションできた。液体状態での限界を克服するために、BD Biosciences製(Brilliant Stain Buffer、カタログ番号:563794)およびThermo Fisher製(Super Bright Complete Staining Buffer、カタログ番号:SB-4401-42)を含む、市販の緩衝液を試験した。ポリマー色素コンジュゲートの乾燥の間のBrilliant Stain BufferまたはSuper Bright Complete Staining Bufferの使用は、低い安定性および凝集の課題を解決しなかった。
【0194】
他の技法を、蛍光色素コンジュゲートを乾燥するために適合させ、これは、参照により本明細書に組み込まれるUS2019/0242882号に記載されるように、別々での基材上の蛍光色素コンジュゲートの膜固定化を含んでいた。これらの試みから、蛍光色素コンジュゲートは、基材膜上で、別々に異なるスポットで乾燥できたが、2つの蛍光色素コンジュゲートは、混合および乾燥できなかったと結論付けた。ポリマー色素コンジュゲートを別々に乾燥する不利益は、セルロース膜上で蛍光色素コンジュゲートを乾燥することが、現在の乾燥技法からの逸脱、DURAClone(商標)チューブ基材の内側でセルロース膜を維持する不都合、および高コンペンセーション値による他のチャネルにおける漏出の許容を含むという事実を含む。これらの実験は、乾燥プロセスの間に障壁を形成し、それぞれの蛍光色素コンジュゲートの個別化を防止する緩衝液の存在下でのみ、1つよりも多くの蛍光色素コンジュゲートを乾燥することができたことを示した。
【0195】
蛍光色素コンジュゲートは、マルチカラー乾燥試薬(例えば、DURAClone(商標)チューブ、Beckman Coulter,Inc.)において用いられてもよい。マルチカラー乾燥試薬は、血液を染色し、フローサイトメーターにおいてそれを分析するために直接使用され得る、異なる蛍光色素コンジュゲート(CD4-FITC、CD8-PE、CD20-APC、CD3-PC5.5など)のカクテルである。既存のモノマー性コンジュゲート色素と比較して、ポリマー色素コンジュゲートは、その構造および複雑性において相違する。
【0196】
異なるコンジュゲートを用いるマルチカラー乾燥試薬カクテルを達成するために、従来の乾燥技術が用いられる。従来の色素、例えば、FITC、PE、ECD、PC5、PC5.5、PC7、APC、AA700、AA750、PBEおよびKrOは、従来の乾燥技術を使用して乾燥され得る。
【0197】
ポリマー色素コンジュゲートの導入により、従来の乾燥技術は、カクテル中の複数のポリマー色素抗体コンジュゲートを乾燥する間に、無効になることが見出された。これらのポリマー色素コンジュゲートは、非特異的に相互作用する傾向があり、集団の分離において困難さをもたらし、これは、所与の試料中の所望の細胞集団の同定における課題をもたらす可能性がある。
組成物
【0198】
従来の乾燥技術の限界を克服するために、色素カクテル中で1つまたはそれよりも多くの蛍光(ポリマーまたはモノマー)色素コンジュゲートを乾燥するために使用され得る、新規「乾燥ミックス(Dry Mix)」(「DM」)緩衝液を開発した。色素カクテルは、1つよりも多くの蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含んでいてもよい。色素カクテルは、1つよりも多くの従来の非ポリマー蛍光色素コンジュゲートを含んでいてもよい。色素カクテルは、1つまたはそれよりも多くの蛍光ポリマー色素コンジュゲート、および1つまたはそれよりも多くの従来の非ポリマー蛍光色素コンジュゲートの組合せを含んでいてもよい。
【0199】
蛍光色素コンジュゲートは、カクテル中の他の従来の色素と一緒に乾燥されてもよい。いくつかの構成要素を、実施例1のプロトコールに従って、DM緩衝液製剤における使用のために評価した。DM緩衝液の開発の間に評価されたこれらの構成要素に対する実験の結果を、表1に示す。
【0200】
本発明のDM緩衝液製剤は、典型的には、水溶性モノマー、タンパク質安定剤、炭水化物安定剤、両性イオン性界面活性剤、および必要に応じて着色剤、および必要に応じて保存剤を含む、水溶液である。
【0201】
溶液中で使用される安定剤としては、タンパク質安定剤(例えば、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、カゼイン)、および炭水化物安定剤(例えば、トレハロース、デキストロース、スクロース)が挙げられ得る。一部の実施形態では、安定剤は、乾燥構成要素の基材への結合を容易にし得、その結果、安定剤は、反応容器を開けたときに、チューブの底に残ったままで、吹き飛ばされないか、またはキャップに付かないであろう。DM緩衝液組成物は、試験あたり、200~800μgの水溶性モノマー;2000~3000μgの炭水化物安定剤;8.4~72μgのタンパク質安定剤;および2~15μgの両性イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。
希釈剤
【0202】
DM緩衝液のための希釈剤は、水および等張緩衝液からなる群から選択されてもよい。水は、脱イオン水(DI水)であってもよい。等張緩衝液は、PBS(リン酸緩衝食塩水)緩衝液であってもよい。
タンパク質安定剤
【0203】
「タンパク質安定剤」という用語は、非特異的結合を低減する、例えば、細胞間相互作用を低減する、または抗体と非標的分子との間の非特異的結合を阻止する助けになるのに役立つタンパク質を指す。タンパク質安定剤は、ウシ血清アルブミン(BSA)、さまざまなゼラチン、およびカゼインを含んでいてもよい。さまざまなタンパク質安定剤は、表1に示されるように、DM緩衝液組成物において評価された。タンパク質安定剤は、カゼインであってもよい。タンパク質安定剤は、ゼラチンであってもよい。一部の実施形態では、タンパク質安定剤は、BSAであってもよい。一部の実施形態では、タンパク質安定剤は、BSAではない。ドライダウン緩衝液は、1つまたはそれよりも多くのタンパク質安定剤を含んでいてもよい。
【0204】
ゼラチン(gelatinまたはgelatine)は、通常、動物の身体のパーツから採取されたコラーゲンに由来するタンパク質である。これは、乾燥するともろく、湿るとベタベタする。これは、加水分解を受けた後、加水分解コラーゲン、コラーゲン加水分解物、ゼラチン加水分解物、加水分解ゼラチン、およびコラーゲンペプチドと称されることもある。A型ゼラチン、B型ゼラチン、Prionex(登録商標)高精製A型ゼラチン、およびゼラチン-冷水魚を含む、いくつかの種類のゼラチンが市販されている。これらのそれぞれは、候補DM緩衝液構成要素として評価された。表1に報告されるように、乾燥フォーマットのA型ゼラチンは、対応する液体カクテルと比較して、より広い陰性集団の広がりを示した。B型ゼラチン乾燥ミックスは、非特異的相互作用を防止することができたが、ストックの調製は困難であった。B型ゼラチンの有効濃度は、試験あたり150マイクログラム~450マイクログラムの範囲内であった。B型ゼラチンと同等の濃度のPrionex(登録商標)高精製A型ゼラチンは、非特異的相互作用の防止に有効であったが、安定性がいくらか低減された。Prionex(登録商標)高精製A型ゼラチンの既成の溶液の濃度は、定量化され、有効な乾燥ミックスの濃度は、試験あたり67マイクログラム~135マイクログラムの範囲内であった。ゼラチン-冷水魚は、性能の観点から、B型ゼラチンと同等であった。ゼラチン-冷水魚の有効濃度は、試験あたり150マイクログラム~450マイクログラムンも範囲内であった。
【0205】
カゼインは、リンタンパク質のファミリー(アルファS1、アルファS2、ベータ、およびカッパ)である。これらのタンパク質は、哺乳動物の乳中で見出され、牛乳中で見出されるタンパク質の約80%を構成している。1つの一般的な形態は、カゼイン酸ナトリウムである。カゼインは、多くの数のプロリンアミノ酸残基を含有し、これは、タンパク質の一般的な二次構造モチーフの形成を妨げる。カゼインは、ジスルフィド架橋を含有せず、そのため、相対的にわずかな三次構造を有する。カゼイン10×ブロッキング緩衝液(約14mg/mL~約18mg/mLの範囲内)を、乾燥ミックスの構成要素の1つとして用いた。5×(2倍希釈)および2.5×(4倍希釈)濃度のカゼインは、1超のポリマーコンジュゲートの添加により、2つのポリマー色素抗体コンジュゲートの相互作用を効果的に防止できた。
炭水化物安定剤
【0206】
「炭水化物安定剤」は、基材への乾燥および/または生体試料による再構成の際に、溶液中での色素抗体コンジュゲートの安定性を増加させるのを助けるために使用される、炭水化物分子である。
【0207】
候補多糖を評価した。カラギーナンは、硫酸化アニオン性多糖である。カラギーナンのストックの調製は、困難であることが見出された。カラギーナンのDM緩衝液組成物への添加は、顆粒球における非特異的結合を増加させた。アルギン酸ナトリウムは、アルギン酸のナトリウム塩であり、これは、(1→4)-連結されたベータ-D-マンヌロン酸およびアルファ-L-グルロン酸残基のホモポリマーブロックを含む線状多糖である。ストックの調製は、困難であり、全体的な顆粒球、単球、およびリンパ球の広がりは、アルギン酸ナトリウムをDM緩衝液組成物に添加した場合よりも高かった。
【0208】
炭水化物安定剤は、二糖であってもよい。二糖は、トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、メリビオース、またはそれらの水和物もしくは塩であってもよい。一部の実施形態では、二糖は、トレハロースまたはその水和物である。トレハロースは、2つのアルファ-グルコース単位間に1,1-グリコシド結合を有する非還元性二糖である。トレハロースは、トレハロース二水和物であってもよい。二糖安定剤は、水性緩衝溶液中に、試験あたり約2000~約3000マイクログラム、もしくは試験あたり約2200マイクログラム~約2800マイクログラム、もしくは試験あたり約2500マイクログラム、またはストック調製物中に約400mg/mLの範囲で存在していてもよい。
【0209】
トレハロースデカノエート、トレハローステトラデカノエート、およびトレハロースヘキサデカノエートを含む、トレハロース誘導体も評価した。トレハロース二水和物と同等の用量での3つすべてについて、化合物は、すべての細胞を完全に溶解し、用量を低下させることにより、チューブを乾燥させないであろう。
界面活性剤
【0210】
さまざまな種類の界面活性剤を、DM緩衝液製剤における非特異的相互作用を防止するために探索した。(表1を参照されたい)。
【0211】
少なくとも10個の炭素のアルキル基を有するアルキルサルフェートおよびアルキルスルホネートを含む、アニオン性界面活性剤を評価した。サルコシル、CH3(CH2)10CO-N(CH3)-CH2COONaとしても公知のN-ラウリルサルコシンナトリウム塩は、アニオン性界面活性剤である。N-ラウリルサルコシンナトリウム塩は、単球および顆粒球における非特異的結合を防止することが見出されたが、ポリマー間相互作用を防止することはできなかった。リグノスルホン酸(「LSA」)、3-(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-[2-メトキシ-4-(3-スルホプロピル)フェノキシ]プロパン-1-スルホン酸は、アニオン性界面活性剤である。SN v605およびSN v786集団の陰性バックグラウンドは、LSAが添加された場合のDM緩衝液と比較して、増加した。
【0212】
非イオン性界面活性剤を、DM緩衝液製剤における可能性がある使用について評価した。ポリソルベート80を、非イオン性界面活性剤として試験した。「エステル連結非イオン性界面活性剤」という用語は、エステル連結によって接続されるか、またはそれを含む、疎水性基および親水性基を含有する非イオン性有機化合物を指す。エステル連結非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレングリコールソルビタンエステル(Polysorbate、TWEEN(登録商標))、ソルビタンアルキルエステル(Span)が挙げられる。SN v605コンジュゲートによる非特異的単球のプルアウトおよび集団の広がりは、乾燥ミックス中に0.015%および0.075%のポリソルベート80で含まれた。
【0213】
両性イオン性界面活性剤を、DM緩衝液製剤における可能性がある使用について評価した。両性イオン性界面活性剤である、N,N-ジメチル-N-ドデシルグリシン、またはN-(アルキルC10~C16)-N,N-ジメチルグリシンベタインとしても公知のEmpigen(登録商標)BB(Huntsman Corporation);3-(N,N-ジメチルテトラデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、ミリスチルスルホベタイン、CH3(CH2)13N+(CH3)2CH2CH2CH2SO3
-)としても公知の3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオプロパンスルホネート(DMMA);およびZwittergent(登録商標)3-16洗浄剤(Merck KGaA、Darmstadt、Germany)としても公知の3-[N,N-ジメチル(3-パルミトイルアミノプロピル)アンモニオ]-プロパンスルホネート(DMPA)を、DM緩衝液組成物において評価した。Empigen(登録商標)BBは、単球および顆粒球における非特異的結合を防止できたが、ポリマー相互作用を防止することはできなかった。DMPAは、室温で沈殿するが、Empigen(登録商標)BBと機能的に同等であった。DMPAの有効濃度範囲は、0.002%~0.006%であった。DMMAは、Empigen(登録商標)BBと機能的に同等であり、したがって、さらなる試験のために考慮した。DMMAの有効濃度は、0.002%~0.037%、または0.004%~0.018%の範囲であることが見出された。
【0214】
一部の実施形態では、両性イオン性界面活性剤は、化学式(XV):
【化34】
(式中、Y=CO
2-またはSO
3-であり、W=HまたはOHであり、Z=CH
3またはNHC(O)R(式中、R=C
1~15アルキルである)であり;独立してそれぞれ、p=0または1であり;q=0~21である)
に記載の構造を有する。一部の実施形態では、W=Hであり、Z=CH
3であり、q=11~15である。一部の実施形態では、両性イオン性界面活性剤は、DMMA、DMPA、N-(アルキルC
10~C
16)-N,N-ジメチルグリシンベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、ミリスチルベタイン、セチルベタイン、デシルベタイン、ラウリルベタイン、ベヘニル(behanyl)ベタイン、コカミドプロピルベタイ
ン、またはコカミドプロピルヒドロキシスルタインであってもよい。一部の実施形態では、両性イオン性界面活性剤は、DMMA、DMPA、N-(アルキルC
10~C
16)-N,N-ジメチルグリシンベタインであってもよい。
抗酸化剤
【0215】
抗酸化化合物を、DM緩衝液製剤の候補構成要素として評価した。抗酸化剤は、1つもしくはそれよりも多く、2つもしくはそれよりも多く、または3つもしくはそれよりも多くのカルボン酸またはカルボキシレート部分、およびC1~C8またはC2~C6脂肪族部分を含んでいてもよい。脂肪族部分は、直鎖状、分枝鎖状、もしくはシクロ-アルキルまたはアルケニル部分であってもよい。例えば、L-アスコルビン酸およびクエン酸を、抗酸化剤として評価した。SN v605コンジュゲートによる非特異的単球のプルアウトは、0.2mMおよび0.6mMの濃度のL-アスコルビン酸で低かった。0.6mMのL-アスコルビン酸は、V610チャネルにおいて、SN v786陽性集団の低い広がりを有していた。クエン酸は、顆粒球の脱顆粒を低減し、SN v605コンジュゲートにおける非特異的単球のプルアウトは、すべての濃度で低かった。しかしながら、クエン酸は、集団の広がりを含む、追加の影響を有していなかった。
モノマー
【0216】
蛍光色素コンジュゲート間、特に蛍光ポリマー色素コンジュゲート間の非特異的相互作用を防止するために、さまざまな水溶性モノマー種を検討した。用いるモノマーを、コンジュゲートポリマー色素の調製において使用された合成モノマーから選択した。ポリマー色素は、モノマーAサブユニットおよびモノマーBサブユニットを有する蛍光ポリマーを含む、水溶性のコンジュゲートされたポリマーであってもよい。例えば、モノマーAまたはモノマーBは、DHPを含んでいてもよい。ポリマー色素およびモノマーは、US2020/0190253号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、DHP骨格を含有するコンジュゲートされたポリマー色素が用いられてもよい。一部の実施形態では、9,10-ジヒドロフェナントレンDHP系構造を有するモノマーAを、DM緩衝液組成物製剤における使用のために検討し、実施例1に従って試験した。
【0217】
水溶性モノマーは、それぞれ必要に応じて、それらに結合した水溶性部分を有する、アリール部分またはヘテロアリール部分を含むモノマー単位であってもよい。水溶性部分は、1つまたはそれよりも多くのPEG部分であってもよい。水溶性モノマーは、モノマーAサブユニット、モノマーBサブユニット、またはモノマーAおよびモノマーBサブユニットの組合せを有する複数の蛍光ポリマー色素のうちの少なくとも1つの調製における使用のために適切であり得る。水溶性モノマーは、DHP系水溶性モノマーであってもよい。水溶性モノマーは、フルオレン系水溶性モノマーであってもよい。
【0218】
水溶性モノマーは、式(I):
【化35】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのR
2は、独立して、水溶化部分、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、スルホンアミド-PEG、ホスホラミド-PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化36】
からなる群から選択され;
それぞれのR
3は、水溶化部分であり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR
5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのQは、独立して、結合、NR
4、または-CH
2であり;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の化学構造を有するDHP系モノマーであってもよい。
【0219】
一部の実施形態では、それぞれのG1、G2は、独立して、ハロ(F、Cl、Br、I)、C1~C6アルキル、およびPEGからなる群から選択される。
【0220】
水溶性モノマーは、式(II):
【化37】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのXは、CまたはSiであり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の構造を有するフルオレン系モノマーであってもよい。
【0221】
一部の実施形態では、それぞれのG1、G2は、独立して、ハロ(F、Cl、Br、I)、C1~C6アルキル、およびPEGからなる群から選択される。
【0222】
水溶性モノマーは、式(III):
【化38】
(式中、それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロ(F、Cl、Br、I)であり;それぞれのZは、独立して、O、CH
2、およびNHからなる群から選択され;それぞれのR
1は、独立して、アルキル(C
1~C
3)であり;それぞれのR
2は、独立して、H、アルキル(C
1~C
6)であり;それぞれのnは、独立して、1~6であり;それぞれのmは、独立して、5~50である)
に記載の化学構造を有するDHP系モノマーであってもよい。一部の実施形態では、G
1およびR
2は、それぞれ、Brであり;それぞれのZは、Oであり;それぞれのR
1は、CH
3であり;それぞれのR
2は、Hであり;それぞれのnは、独立して、2~4であり;それぞれのmは、独立して、5~20である。一部の実施形態では、それぞれのnは、3であり;それぞれのmは、11である。
【0223】
具体的なモノマーAおよびモノマーB種の化学構造を、
図4に示す。
図4に示されるモノマーAが、2つのSNコンジュゲート間の非特異的相互作用を防止できたことが見出された。有効濃度は、試験あたり200~800マイクログラム(50uL)の範囲内であることが見出された。しかしながら、モノマーBは、2つのSNコンジュゲート間の非特異的相互作用を防止できず、陰性細胞におけるいくらかの非特異的結合も示した。
【0224】
理論によって縛られないが、モノマーAは、ポリマー骨格とランダムに相互作用し、そのため、2つのポリマーコンジュゲート間の相互作用を防止すると仮定される。対照的に、ゼラチンまたはカゼインなどのタンパク質安定剤は、その粘着性の特質に起因して、これらの色素コンジュゲートをマスクし、それらが近接して接近するのを防止する可能性がある。
保存剤
【0225】
水性DM緩衝液組成物は、任意の適切な保存剤を含んでいてもよい。保存剤は、抗酸化剤、バイオサイド、または抗菌剤であってもよい。保存剤は、無機塩であってもよい。保存剤は、アジ化ナトリウム、2-クロロアセトアミド、2-メチルイソチアゾリノン、サリチル酸、ProClin(商標)、Kathon(商標)CG、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、または2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンであってもよい。
着色剤
【0226】
水性DM緩衝液組成物は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤は、FD&C着色剤であってもよい。着色剤は、例えば、アルラレッド(FD&C赤色40号、6-ヒドロキシ-5-[(2-メトキシ-5-メチル-4-スルホナトフェニル)アゾ]-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム)であってもよい。
ポリマー
【0227】
異なる溶媒中の蛍光ポリマー色素も、DM緩衝液組成物の調製のために検討した。しかしながら、液体カクテルと比較して、より広い陰性集団の広がりを示した。
【0228】
試験された異なる試薬から、最初に、トレハロース二水和物、モノマーA、B型ゼラチン、およびEmpigen(登録商標)BB両性イオン性界面活性剤を含有するDM緩衝液を製剤化した。
【0229】
初期の技術的解決手段は、色素構造の完全性を維持し、凝集を減少させるために、蛍光色素コンジュゲートを乾燥するためのDM緩衝液の形態において開発された。一実施形態では、ゼラチンおよびモノマーAを有するDM緩衝液製剤は、乾燥プロセスの間に、凝集の問題を減少させた。従来のドライダウン技術における最適なタンパク質安定剤濃度、ならびに最適な濃度のモノマーおよびゼラチンを用いて、DMは、蛍光色素コンジュゲートの完全性の維持を支援し、蛍光色素コンジュゲートの乾燥の間の凝集に関連する課題を解決する。
【0230】
DM緩衝液は、水溶性モノマー;タンパク質安定剤;炭水化物安定剤;および両性イオン性界面活性剤を含む。DM緩衝液は、DHP系モノマー、および1つもしくはそれよりも多く、または2つもしくはそれよりも多くのポリ(エチレングリコール)部分を含む水溶性モノマーを含んでいてもよい。水溶性モノマーは、式(I)に記載の構造を含んでいてもよい。タンパク質安定剤は、アルブミンタンパク質であってもよい。タンパク質安定剤は、ゼラチンタンパク質であってもよい。タンパク質安定剤は、カゼインタンパク質を含んでいてもよい。
【0231】
その後、DM緩衝液を、SuperNova(商標)コンジュゲート間の非特異的相互作用および非特異的単球のプルアウトを防止するためにさらに改善し、これを「DM2」(DM 2)と名付けた。DM2は、トレハロース二水和物、モノマーA、Prionex(登録商標)A型ゼラチンおよびDMMA界面活性剤を含有する。
【0232】
安定性を改善するために、DM2を、Prionex(登録商標)A型ゼラチンをカゼイン10×ブロッキング緩衝液で置き換えることによってさらに最適化した。この緩衝液を、「DM2+S」(安定剤)と名付けた。最終製剤中に存在する添加剤を、表2に提供する。DM2+S緩衝液のpHは、7~7.4であることが見出された。DM2+Sを使用して作製された乾燥チューブは、SuperNova(商標)コンジュゲートの非特異的相互作用の防止だけでなく、カクテルに懸濁されたコンジュゲートの性能(明るさおよび集団の動員)を妨げることのない非特異的プルアウトの防止、および乾燥製品のより高い安定性の達成(まだ6か月のリアルタイム安定性が確立されたところまで)をもたらした。乾燥チューブの調製において、SuperNova(商標)コンジュゲートのバルク製剤を使用した。
【実施例0233】
(実施例1A)
試験手順
本実施例で使用された一般的なプロセスおよび手順を下記に示す。
【0234】
乾燥:乾燥という用語は、本明細書で使用される場合、ある特定数の時間の間の特定の真空圧力での真空乾燥を指す。
【0235】
2つのコンジュゲートの混合:2つのコンジュゲートの混合は、5mlのチューブ中で2つのコンジュゲートを混合することを指す。
【0236】
液体試験:液体試験という用語は、試験チューブ中でコンジュゲートを一緒に混合し(液体カクテル)、続いて、混合されたコンジュゲートを使用して細胞を染色することを指す。
【0237】
乾燥試験:乾燥試験という用語は、試験チューブ中でコンジュゲートを一緒に混合し、真空乾燥を使用して乾燥し、続いて、乾燥されたコンジュゲートを使用して細胞を染色することを指す。
【0238】
試験は、本明細書で使用される場合、以下のプロトコールを指す。
1. 必要なx個のチューブを準備する(x個のチューブは試験される性能に依存する)。
2. 計算された体積のコンジュゲートされた抗体(必要な用量)を、それぞれのチューブ、または次のステップのための使用される乾燥試験チューブに添加する。
3. それぞれのチューブにおいて、100μLの全血を添加する。チューブを、6~8秒間、穏やかにボルテックスする。
4. 光から保護して、室温(18~27℃)で15~20分間インキュベートする。
5. 2mlのVersaLyse+IOTest3 Fixative混合物(2mlのVersalyse Ref.A09777+50μlのIOTest3 fixative 10× Ref.A07800)を添加する。すぐにボルテックスして適正な混合を確保し、光から保護して、室温(18~27℃)で20分間インキュベートする。
6. 室温で5分間、300gで遠心分離する。
7. 上清を吸引によって除去する。
8. 細胞ペレットを、3mLの1×PBSを使用して再懸濁する。
9. 室温で5分間、300gで遠心分離する。
10. 上清を吸引によって除去し、細胞ペレットを、0.3mlの1×PBS 1Xまたは1×PBS+0.1%ホルムアルデヒド(1mlの1×PBS+12.5μlの10×IOTest3 fixative)を使用して再懸濁する。
【0239】
コンペンセーション:サイトメトリーにおいて、コンペンセーションは、異なる蛍光色素の発光スペクトルのチャネル間のシグナル重複の数学的補正である。したがって、この補正因子を使用して、他の望ましくないチャネルへのシグナルのブリーディング(bleeding)を排除した。手動のコンペンセーションを行って、コンジュゲートの性能を評価した。
(実施例1B)
フローサイトメトリーのプロトコール
【0240】
以下のプロトコールを、検体処理のために用いた。
【0241】
染色溶解洗浄プロトコールを使用して、フローサイトメトリー取得のための試料を調製および処理した。試料を、DxFLEX/CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter,Inc.)において処理および取得して、さまざまな製剤の性能を解析した。
1. 100μLのK2EDTA抗凝固血液を乾燥染色チューブまたは液体抗体カクテルを有するチューブに添加し、6~8秒間ボルテックスする。室温で15~20分間、暗所でインキュベートする。
2. 2mLのVersa Fix(1mlのVersalyseについて、25μLのIOTest 3 fixativeを添加)溶解試薬溶液(Beckman Coulter,Inc.)を添加し、短時間ボルテックスして、適正な混合を確保する。室温で20分間、暗所でインキュベートする。
3. lysis & fix緩衝液(Versa Fix)とのインキュベーション後、室温で5分間、300gで遠心分離して、WBCをペレット化する。上清を吸引および廃棄し、ボルテックスによってペレットをバラバラにする。
4. 3mLの1×PBSを添加し、室温で5分間、300gで遠心分離する。
5. 上清を吸引および廃棄し、ペレットを300μLの1×PBSに再懸濁し、チューブを穏やかにボルテックスし、推奨される設定において、DxFLEXフローサイトメーターにおいてチューブを取得する。
【0242】
機器の設定:
【0243】
フローサイトメーター機器の設定を、CytoFLEXまたはDxFLEX Daily QC蛍光スフェア(Beckman Coulter,Inc.)を使用して行った。QCビーズを使用して、機器の日常的な品質管理マネージメントを行い、ゲインの標的値を特定する。QCプロトコールによって特定されるゲインのための推奨設定を、フローサイトメーターにおける試験チューブの取得のために使用した。
【0244】
コンペンセーションを、汎用コンペンセーションキット(Beckman Coulter,Inc.)、ならびに液体および/または乾燥フォーマット中の単一のSNポリマー色素コンジュゲートを使用して、12色について設定した。
(実施例2)
乾燥ミックスの構成要素の選択
【0245】
水性DM緩衝液製剤を、蛍光色素コンジュゲートを乾燥するために開発した。従来の乾燥技術で開始して、いくつかの試薬(表1)を、ポリマー色素抗体コンジュゲートの非特異的相互作用および非特異的結合の防止について試験した。水またはPBSを、これらの試薬のストック溶液の調製において使用した。試験された試薬およびそれぞれの試薬についての結果を、表1に示す。太字の書体で示された試薬をさらに評価した。
【0246】
【0247】
以下のDM候補試薬を、ポリマー色素コンジュゲートチューブのドライダウンにおいて使用した:BSA(ウシ血清アルブミン)、PEG550(ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、平均M
n550)、BSA-ox(酸化BSA)、Empigen(登録商標)BB洗浄剤(N-(アルキルC
10~C
16)-N,N-ジメチルグリシンベタイン)、N-ラウリルサルコシンナトリウム塩、モノマーA、モノマーB、異なる溶媒中のポリマー、A型ゼラチン、B型ゼラチン、リグノスルホン酸、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、カゼインブロッキング緩衝液10×、Prionex(登録商標)高精製A型ゼラチン、ゼラチン-冷水魚、L-アスコルビン酸、クエン酸、ポリソルベート80、アクリルアミド、トレハロースデカノエート、トレハロース(treahalose)-テトラデカノエート、トレハロース-ヘキサデカノエート、3-[N,N-ジメチル(3-パルミトイルアミノプロピル)アンモニオ]-プロパンスルホネート(DMPA)、および3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート(DMMA)。モノマーAおよびモノマーBの化学構造を、
図4に示す。モノマーAは、3,3’-((2,7-ジブロモ-9,10-ジヒドロフェナントレン-9,10-ジイル)ビス(オキシ))ビス(N-(2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35-ドデカオキサヘプタトリアコンタン-37-イル)プロパン-1-スルホンアミド)であってもよい。ドライダウンチューブを、実施例1のプロトコールに従って、試験した。試験の結果を表1に示す。Empigen(登録商標)、モノマーA、B型ゼラチン、カゼインブロッキング緩衝液10×、Prionex(登録商標)高精製A型ゼラチン、ゼラチン冷水魚、DMPA、およびDMMAを、さらなる試験のために選択した。
【0248】
試験された異なる試薬から、トレハロース二水和物、モノマーA、B型ゼラチン、およびEmpigen BB(登録商標)洗浄剤(N,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタイン;N-(アルキルC10~C16)-N,N-ジメチルグリシンベタイン)を含有する、最初のDM(DM)緩衝液製剤を開発した。
【0249】
その後、改善されたDM緩衝液製剤を、SuperNova(商標)コンジュゲート間の非特異的相互作用および非特異的単球のプルアウトを防止するために開発し、これを、DM2(DM 2)と名付けた。DM2は、トレハロース二水和物、モノマーA、Prionex(登録商標)ゼラチンおよびDMMAを含有する。しかしながら、後で、DM2を使用して調製された乾燥チューブが、安定性の問題を有することが見出された。最終的に、DM2を、Prionexをカゼイン10×ブロッキング緩衝液で置き換えることによってさらに最適化した。この緩衝液を、DM2+S(安定剤)と名付けた。
【0250】
最終DM緩衝液製剤中に存在する添加剤を、表2に提供する。DM2+S緩衝液のpHは、7~7.4であることが見出された。DM緩衝液DM2+Sを使用して作製された乾燥チューブは、SuperNova(商標)コンジュゲートの非特異的相互作用の防止だけでなく、カクテルに懸濁されたコンジュゲートの性能(明るさおよび集団の動員)を妨げることのない非特異的プルアウトの防止、および乾燥製品のより高い安定性の達成(今のところ6か月のリアルタイム安定性が確立された)をもたらした。乾燥チューブの調製において、SuperNova(商標)コンジュゲートのバルク製剤を使用した。
【0251】
【0252】
【0253】
表3は、試験あたりのDM2+S DM緩衝液の構成要素の好ましい量を示す。一部の実施形態では、量は、色素コンジュゲートなしの28.48マイクロリットルの緩衝液あたりである。一部の実施形態では、量は、色素コンジュゲートありの50マイクロリットルの緩衝液あたりである。
【0254】
一部の実施形態では、DM緩衝液は、トレハロース、モノマーA、DMMA、およびカゼインを含んでいてもよい。一部の実施形態では、ドライダウン緩衝液は、試験あたり2000~3000マイクログラムのトレハロース;試験あたり200~800マイクログラムのモノマーA;試験あたり8.4~72マイクログラムのカゼイン;および試験あたり2~15マイクログラムのDMMAが得られるように、適切な濃度を含み得る。一部の実施形態では、DM緩衝液は、色素コンジュゲートなしで、70~105mg/mL、または80~100mg/mLのトレハロース二水和物;7~28mg/mL、または10~20mg/mLのモノマーA;0.07~0.53mg/mL、または0.2~0.4mg/mLのDMMA、および0.3~2.5mg/mL、または0.5~0.8mg/mLのカゼインを含み得る、水性緩衝液である。DM緩衝液は、例えば、水またはPBS緩衝液中の、ストック濃度の炭水化物安定剤、水溶性モノマー、両性イオン性界面活性剤、およびタンパク質安定剤から調製されてもよい。例えば、ストック濃度は、約400mg/mlのトレハロース二水和物、約40mg/mlのモノマーA、約1.5mg/mlのDMMA、および/または約2~20mg/mLのカゼインを含み得る。
(実施例3)
DM緩衝液のための実験の設計およびそれらの結果
【0255】
最適な結果を達成するために、DM緩衝液のそれぞれの構成要素(トレハロース二水和物、アジ化ナトリウムおよびアルラレッドを除く)の濃度を用量設定および最適化した。
【0256】
1.トレハロース二水和物:
【0257】
トレハロース二水和物は、従来技術の構成要素の1つであった。この添加剤の非存在下では、コンジュゲートおよび他の緩衝液の構成要素をドライダウンすることは困難であった。
【0258】
2.カゼイン10×ブロッキング緩衝液の用量設定:
【0259】
2.1:実験:1
【0260】
目的:液体フォーマットで、非特異的結合の防止におけるカゼインの最適な濃度を見出すこと。
【0261】
方法:この実験では、異なる濃度(5×、2.5×、1.25×、0.625×および0.31×)の既成の溶液のカゼイン10×ブロッキング緩衝液を、実施例1のプロトコールに従って試験した。
【0262】
結果および観察:
【0263】
図5は、カゼインの用量設定、ならびに陰性対照(カゼインなし)、0.31×、0.625×、1.25×、2.25×および5×カゼインを用いる比較CD20-SNv605フロープロットを示す。1.25×、2.5×および5×濃度のカゼインは、V610チャネルにおいて、非特異的単球のプルアウトの低減を助ける。加えて、CD20+細胞の動員%は、CD20単一(カゼインなし)と比較した場合に、すべての製剤にわたって同じであった。HLADR+細胞の動員%は、すべての群において一貫していることも見出された(データは示さない)。そのため、カゼイン単独を、異なる濃度で、乾燥チューブにおいてさらに評価した。カゼインの濃度をさらに最適化して、乾燥チューブのための最適な濃度を見出した。
【0264】
2.2:実験:2
【0265】
目的:乾燥フォーマットで、非特異的結合の防止におけるカゼインの最適な濃度を見出すこと。
【0266】
方法:この実験では、異なる濃度(4×、2.5×および1×)の既成の溶液のカゼイン10×ブロッキング緩衝液を使用して、定位置の他の添加剤と一緒に12の異なる抗体コンジュゲートを乾燥した。2.5×が、標準の濃度である。そのため、2.5×濃度を、参照として、1×および4×濃度と比較した。ここで、2つの異なるロット(L1およびL2)のカゼイン10×ブロッキング緩衝液を試験した。
【0267】
結果および観察:
【0268】
異なる濃度(4×、2.5×および1×)を有するDM緩衝液の二重蛍光プロット(V610対V780、PB450対V610およびPB450対V780)の重なりを比較した(データは示さない)。異なる濃度にわたる、SuperNova(商標)(青紫色チャネル)対従来のチャネル、および古典的対古典的コンジュゲートチャネルについての二重蛍光プロットの重なりも比較した(データは示さない)。これらの比較はすべて、試験されたカゼインの異なる濃度にわたって有意な変動がなかったことを確認した。表4および表5は、すべての特異性に対するデルタ動員絶対%およびMdFIについて、カゼインの異なる濃度にわたる比較を示す。
【0269】
【0270】
【0271】
この実験は、重ね合わせプロット、MdFI、およびデルタ動員絶対%が、カゼイン10×ブロッキング緩衝液の異なる濃度(1×、2.5×、4×)の有意な変動を有さないことを実証する。デルタ動員絶対%は、カゼイン10×ブロッキング緩衝液の異なる濃度の最小限の効果/効果なしに起因して、ロット間および試験された異なる濃度にわたって<5%であることが見出された。したがって、1×~4×のカゼインブロッキング緩衝液を、他の従来の色素と一緒に、SuperNova(商標)コンジュゲートを乾燥するために使用することができる。
【0272】
モノマーAの用量設定:
3.1:実験:1
【0273】
目的:2つのポリマー色素抗体コンジュゲートのドライダウンのためのモノマーA濃度を用量設定すること。
【0274】
方法:50μg、100μg、200μg、400μgおよび800μgの試験あたりマイクログラムのモノマー濃度を、一定に保たれた他の添加剤と一緒に、乾燥フォーマットのCD45-FITC、CD20-SN-v605およびCD3-SN-v786からなる製剤において試験した。
【0275】
結果および観察:CD20-SN v605およびCD3-SN v786とさまざまな用量のモノマーAの二次元フローサイトメーター蛍光プロットを解析した(データは示さない)。異なる用量のモノマーから、200μgおよび400μgのモノマーは、ポリマー色素コンジュゲートの相互作用を防止するのに十分であった。
3.2:実験:2
【0276】
目的:3つのポリマー色素抗体コンジュゲートのドライダウンのためのモノマーA濃度を用量設定すること。
【0277】
方法:試験あたり200マイクログラムおよび試験あたり400マイクログラムのモノマーA濃度を、一定に保たれた他の添加剤と一緒に、乾燥フォーマットのCD45-FITC、CD19-SN v428、CD20-SNv605およびCD3-SNv786からなる製剤において試験した。
【0278】
結果および観察:
図6は、試験あたり200μg(上の行)および400μg(下の行)のモノマー濃度に対して試験された3色についての乾燥製剤の二重蛍光プロットを示す。200μg~400μgのモノマーAで、400μgを含有するチューブは、1つのチャネルから他のチャネルに漏れる集団の広がりの観点から、より良好な結果を示し(
図6において矢印および円によって示される通り)、ポリマー色素抗体コンジュゲートの相互作用を防止するのに十分であった。
【0279】
4.DMMAの用量設定:
【0280】
非特異的相互作用の防止における、DMMA(3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート)の役割を評価すること。
4.1:実験1:2つのSuperNova(商標)ポリマー色素抗体コンジュゲートの存在下での両性イオン性界面活性剤DMMAの用量設定
【0281】
目的:2つのSuperNova(商標)コンジュゲート間の非特異的相互作用の防止におけるDMMAの最適な濃度を見出すこと。
【0282】
方法:この実験では、異なる濃度のDMMA(Sigma、パーツ番号T7763-5G)を、DMバージョン1において、Empigen(登録商標)BBをDMMAで置き換えることによって試験した。DMMAは、水溶性両性イオン性界面活性剤である。DMMAを、容易な製造可能性を伴う非特異的相互作用の低減におけるEmpigen(登録商標)に対するより良好な選択肢を見出すために、試験した。異なる濃度のDMMAを、試験された群の詳細と一緒に、表6に提供する。
【0283】
【0284】
ここで、DMMAの異なる濃度、すなわち、0.03%、0.015%、0.0075%および0.00375%を、液体および乾燥チューブにおいて試験し、DM緩衝液と比較した。DMMAの濃度を、DM緩衝液の構成要素の1つであるEmpigen BB(登録商標)濃度(0.15%)に基づいて選択した。適切な対照を、実験において使用した。表6で述べるように、0.15%のDMMAを、最終製剤に添加して、個々の濃度のDMMAを実現した。DMMAの効果を、2つのSupernova(商標)コンジュゲートCD20-SN-v605およびHLADR-SN-v786を使用して試験した。検体を、実施例1Bに従うプロトコールを使用して処理した。実験を、2人のドナーに対して行った。
【0285】
結果および観察:CD20-SN-v605、HLADR-SN-v786および二重陽性集団についての散乱性のフロープロットを、試験されたすべての乾燥DMMA製剤について比較した(データは示さない)。DMMAは、界面活性剤であり、より高い濃度で細胞死を引き起こし得る。DM対試験されたDMMAの濃度のそれぞれの重ね合わせ散布図を解析した。0.03%のDMMAは、細胞死を引き起こし、他のパラメーターについて評価しなかった。0.0075%および0.00375%のDMMAは、DMと同等の散乱性を示した。同様に、CD20+およびHLADR+の動員%は、個々の液体単一と比較して、0.0075%および00375%のDMMAにおいて類似していることが見出された。加えて、0.0075%および0.00375%のDMMAは、DMと比較して、610チャネルにおける786+集団の広がりが少ないことを示した。
【0286】
この実験は、0.0075%および0.00375%のDMMAが、DMと同等の散乱性、CD20+およびHLADR+集団の動員%を示すことを実証する。DMMAの濃度を、最適な濃度を得るために、0.0075%~0.00375%の範囲内でさらに最適化した。
4.2:実験2:2つのSupernova(商標)コンジュゲートの存在下でのDMMAの用量最適化
【0287】
目的:2つのSuperNova(商標)コンジュゲート間の非特異的相互作用の防止におけるDMMAの最適な濃度を見出すこと。
【0288】
方法:この実験では、DMMAの濃度を、最適な濃度を見出すために、0.03%~0.004%でさらに最適化した。異なる濃度のDMMAを、試験された群の詳細と一緒に、表7に提供する。
【0289】
【0290】
ここで、DMMAの異なる濃度、すなわち、0.03%、0.021%、0.018%、0.008%および0.004%を、乾燥チューブにおいて試験し、DMと比較した。適切な対照を、実験において使用した。表7で述べるように、0.15%のDMMAを、最終製剤に添加して、個々の濃度のDMMAを実現した。DMMAの効果を、2つのSupernova(商標)コンジュゲート、CD20-SN-v605およびHLADR-SN-v786を使用して試験した。検体を、実施例1Bで述べたプロトコールを使用して処理した。実験を、2人のドナーに対して行った。
【0291】
図7A~Dは、試験された乾燥DMMA製剤すべてについてのCD20-SN-v605、HLADR-SN-v786および二重陽性集団の散乱性のフロープロットを示す。
図7Aは、未染色およびDMと一緒に試験されたDMMAのすべての濃度の散布図を示す。0.004%および0.008%のDMMAは、他のDMMA濃度と比較して、非特異的好中球のプルアウト(矢印によって示す)が少ないことを示す。同様に、0.004%、0.008%および0.018%のDMMAは、DMおよび他のDMMA濃度と比較して、V610チャネルにおける非特異的単球のプルアウト(矢印で示す、
図7B)が少ないことを示す。CD20+およびHLADR+の動員%は、個々の液体単一と比較して、すべてのDMMA濃度において類似していることが見出された。同様に、すべてのDMMA濃度における二重陽性集団の動員%は、DMと比較して、類似していることが見出された。加えて、0.004%、0.008%および0.018%のDMMAは、DMと比較して、V610チャネルにおける786+事象の類似の広がりを示す。この実験は、0.004%、0.008%および0.018%のDMMAが、DMと比較して、より良好な性能を示すことを実証する。そのため、これらのDMMA濃度を、他の選択された添加剤との組合せにおいてさらに評価した。
【0292】
5.異なる濃度の選択された添加剤の性能を評価すること。
5.1:実験1:選択された添加剤の組合せの性能評価
【0293】
目的:SNコンジュゲート間の非特異的結合および非特異的相互作用の防止における選択された添加剤の組合せの性能を評価すること。
【0294】
方法:この実験では、選択された添加剤の組合せ、例えば、DMMA+カゼイン、DMMA+Prionexを評価した。異なる濃度の添加剤を、試験された群の詳細と一緒に、表8に提供する。
【0295】
【0296】
ここで、DMMAの異なる濃度、すなわち、0.018%および0.008%を、乾燥チューブ中で、異なる希釈のカゼインおよびPrionexとの組合せにおいて試験し、DMバージョン1と比較した。適切な対照を、実験において使用した。DMMAの効果を、2つのSupernova(商標)コンジュゲートCD20-SN-v605およびHLADR-SN-v786を使用して試験した。検体を、実施例1Bのプロトコールを使用して処理した。実験を、4人のドナーに対して行った。
【0297】
結果および観察:DMMA0.008%との添加剤の組合せについてのCD20-SN-v605、HLADR-SN-v786および二重陽性集団の散乱性のフロープロットを比較した。
図8Aは、DMと比較した、DMMA0.008%との添加剤の組合せの散布図を示す。散乱性は、DMを除いて、それぞれの濃度について類似しているように見える。DMは、矢印で示されるように、非特異的顆粒球および単球のプルアウトを示す。同様に、DMは、0.008%のDMMAとの他の組合せと比較して、V610チャネルにおけるより高い非特異的顆粒球および単球のプルアウトを示す(矢印で示す、
図8B)。CD20+およびHLADR+の動員%は、個々の液体単一と比較して、0.008%のDMMAとのすべての組合せにおいて類似していることが見出された(
図8B、
図8C)。同様に、0.008%のDMMAとのすべての組合せにおける二重陽性集団の動員%は、DMと比較して、類似していることが見出された。
【0298】
同様に、CD20-SN-v605、HLADR-SN-v786および二重陽性集団の散乱性のフロープロットを、DMMA0.018%との添加剤の組合せについての比較した(データは示さない)。DMMA0.018%との添加剤のすべての組合せの散布図を、DMと比較した。散乱性は、すべての組合せについて類似しているように見える。DMおよびDMMA0.018+カゼイン1×は、0.018%のDMMAとの他の組合せと比較して、V610チャネルにおけるより高い非特異的単球のプルアウトを示す。CD20+およびHLADR+の動員%は、個々の液体単一と比較して、0.018%のDMMAとの組合せのそれぞれにおいて類似していることが見出された。同様に、0.018%のDMMAとのすべての組合せにおける二重陽性集団の動員%は、DMと比較して、類似していることが見出された。しかしながら、DMMA0.018%+カゼイン2.5×および0.018%のDMMAとPrionexの組合せは、DMと比較して、V610において、786+事象の広がりが少ないことを示した。
【0299】
カゼインおよびPrionex(DMバージョン1において、ゼラチンをカゼインおよびPrionexによって置き換えた)などの異なる濃度の単一添加剤についてのCD20-605、HLADR-786および二重陽性集団の散乱性のフロープロットを比較した(データは示さない)。散乱性は、組合せのそれぞれについて類似していると思われる。DM単独と単一のすべては、添加剤とDMMAとの組合せと比較して、V610チャネルにおけるより高い非特異的単球のプルアウトを示す。CD20+およびHLADR+の動員%は、個々の液体単一と比較して、すべての単一において類似していることが見出された。同様に、単一のそれぞれにおける二重陽性集団の動員%は、DMと比較して、類似していることが見出された。単一とPrionex希釈は、DMと比較して、V610チャネルにおける786+事象の広がりが少ないことを示す。
【0300】
全体として、すべての組合せのうち、DMMA0.008%+prionex 2 dilおよび3 dil、DMMA0.018%+Prionex 3 dilおよびDMMA0.018%+カゼイン2.5×は、V610チャネルにおける非特異的単球のプルアウトの低減、およびSNコンジュゲート間の非特異的相互作用の低減の観点から、良好な性能を提供した。この実験は、DMMA0.008%+prionex 2 dilおよび3 dil、DMMA0.018%+Prionex 3 dilおよびDMMA0.018%+カゼイン2.5×を含む組合せが、2つのSNコンジュゲートを用いて試験された場合に、非特異的結合および非特異的相互作用の低減の観点から、良好な性能を提供したことを実証する。
【0301】
これらの実験から、DMMA0.008%+Prionex 2希釈、およびDMMA0.018%+カゼイン2.5×希釈を有するDM緩衝液は、SNコンジュゲート間の非特異的相互作用、およびまた非特異的プルアウトの低減における良好な性能を示した。しかしながら、開発の間に、DMMA0.008%+Prionex 2希釈(DM2製剤と名付けた)が、安定性の問題を示したことが見出され、そのため、さらに評価しなかった。DMMA0.018%+カゼイン2.5×(DM2+Sと名付けた)を用いるその後の実験は、この製剤が、良好な安定性:これまでに確立された乾燥チューブの6か月のリアルタイム安定性(試験進行中)を有することを示した。
6:添加剤、最終製剤(DM2+S)における添加剤マイナス1(AMO)の機能性試験
【0302】
目的:散乱性および非特異的相互作用に対するDM2+安定剤緩衝液(最終製剤)中に存在するそれぞれの添加剤の効果を理解するために、緩衝液マイナス構成要素のそれぞれの1つを分析した。
【0303】
方法:実験を、下記で述べる乾燥製剤において、4色パネル(CD45-AA750、CD56-SNv428、CD20-SNv605 CD4-SNv786)を使用して行った。DM2+Sは、他の群と比較するために、この実験において対照としての役割を果たした。
1. DM2+S
2. DM2+S モノマーなし
3. DM2+S DMMAなし
4. DM2+S カゼインなし
5. DM2+S トレハロース+モノマー
6. DM2+S トレハロース+DMMA
7. DM2+S トレハロース+カゼイン
【0304】
トレハロースがドライダウンのために必要であることが以前の実験から確立されており、そのため、トレハロースなしのDM2+Sは、この実験のために使用しなかった。実験を、単一反復で、6人のドナーに対して行った。試料処理プロトコールは、プロトコールおよび方法で述べたものに従った。停止ゲートを、10000 CD45+リンパ球に設定した。ドライダウン後、すべての群からの乾燥チューブを、任意の明白な変化について、物理的に観察した。加えて、二重蛍光プロットの散乱性も、任意の非特異的プルアウトおよび非特異的相互作用について観察した。
【0305】
図9は、試験群DM2+S、トレハロース+モノマー、トレハロース+カゼイン、トレハロース+DMMA(左から右、上パネル)、DM2+S、モノマーなしのDM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S(左から右、下パネル)のそれぞれにおける、物理的外観および乾燥チューブの性質を示す。ここで、DM2+Sは、対照群としての役割を果たす。物理的観察は、モノマーなしで、乾燥フィルムの色の変化(典型的には、赤色フィルムが薄橙色~茶色になる)が存在することを示す。フィルムの収縮が、カゼインおよびDMMAなしの群において観察された。乾燥フィルムの外観の変化は、DM2+Sと比較して、DMMAなしのチューブにおいて観察されなかった。しかしながら、カゼインなしのチューブは、乾燥フィルムの最低限の収縮を示す。
【0306】
図10A~Cは、試験群DM2+S、DMMAなしのDM2+S、カゼインなしのDM2+S、モノマーなしのDM2+S(左から右、上側パネル)、DM2+S:トレハロース+DMMA、DM2+S:トレハロース+カゼイン、DM2+S:トレハロース+モノマー(左から右、下側パネル)における、それぞれ、CD56-SNv428;CD20-SNv605、およびCD4-SNv786についての側方散乱SSC対FLプロットを示す。カゼインおよびDMMAが存在しない場合、非特異的単球のプルアウトが存在する(矢印で示す)ことを図から観察することができる。モノマーの非存在は、リンパ球における陰性集団の広がりを引き起こす(矢印で示す)。陰性集団の広がりは、モノマーおよびカゼインの非存在下、SN色素の間の非特異的相互作用に主に起因し得る。
【0307】
図10D~Fは、試験されたすべての群におけるすべてのSNの組合せについてのFL対FL二重蛍光プロット(例えば、それぞれ、CD56-SNv428対CD20-SNv605、CD4-SNv786対CD20-SNv605、およびCD4-SNv786対CD56-SNv428)が、モノマーおよびカゼインの非存在が、SN集団内のSNコンジュゲート間の非特異的相互作用/集団の広がりを引き起こすことを実証したことを示す。そのため、モノマーおよびカゼイン両方が、非特異的相互作用を防止するために重要であると見なされる。
【0308】
この実施例は、モノマーAおよびカゼインが、それらなしでは細胞間相互作用の非効率的な防止が観察されるので、SNコンジュゲートのドライダウンのために重要であることを実証する。加えて、カゼインは、非特異的単球のプルアウトも防止する。DMMAは、非特異的単球のプルアウトの防止において主要な役割を有する。この実験は、個々の添加剤の機能を提供するだけでなく、品質管理の問題におけるトラブルシューティングのためにも重要である。
7:BD染色緩衝液と比較したDM2+S乾燥チューブの性能
【0309】
目的:BD染色緩衝液と比較したDM2+S乾燥チューブの性能を実証すること。
【0310】
方法:この実験は、BD染色緩衝液の性能と比較した場合の乾燥チューブの性能をチェックするために行った。ここで、DM2+S乾燥チューブの性能を、BD horizon brilliant緩衝液と比較した。実験を、4色パネルを使用して行った。群の詳細は以下の通りである。
【0311】
3つのポリマー色素コンジュゲートを、ゲーティングマーカー(CD45-APC-A750、CD56-SNv428、CD20-SNv605、およびCD4-SNv786)と一緒に、市販のBD Horizon(商標)Brilliant染色緩衝液(Becton,Dickinson and Company)を使用して評価した。染色プロトコールは、製造業者の説明書に従った。最初に、50μlのBD horizon
brilliant緩衝液をチューブに添加し、続いて、4つのコンジュゲートを添加した。ボルテックスによって完全に混合する。その後、100μlの血液検体を添加した。ボルテックスによって適正に混合し、室温で30分間インキュベートし、プロトコールおよび方法セクションにおいて述べたように、ステップ2以降に従うことによって処理した。
【0312】
3つのポリマー色素コンジュゲートを、ゲーティングマーカー(CD45-APC-A750、CD56-SNv428、CD20-SNv605、およびCD4-SNv786)と一緒に、本発明のDMバージョン2+安定剤において乾燥した。試料処理プロトコールは、プロトコールおよび方法において上記で述べたものと同じである。
【0313】
6人のドナー(単一反復による)を、2つの述べた群のすべてに対して、上記のプロトコールを用いて試験した。停止ゲートを、10000 CD45+リンパ球に設定した。
【0314】
結果および観察:
【0315】
図11Aは、本発明のDM2+Sドライダウン緩衝液のいずれかを用いて乾燥され、血液試料で再構成されたか、または比較BD Horizon(商標)Brilliant染色緩衝液を用いる、3つのポリマー色素コンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、およびCD4-SNv786についての代表的なSSC対FL重ね合わせフロープロットを示す。比較の市販のBD Horizon(商標)Brilliant染色緩衝液は、DM2+S乾燥チューブと比較して、非特異的顆粒球および単球のプルアウト(矢印で示す)を引き起こした。
【0316】
図11Bは、ゲーティングマーカー(CD45-APC-A750、CD56-SNv428、CD20-SNv605、およびCD4-SNv786)と一緒に、3つのポリマー色素コンジュゲートについての代表的な二重蛍光重ね合わせプロットを示す。比較BD Horizon(商標)Brilliant染色緩衝液は、DM2+Sと比較した場合に、SNコンジュゲートのすべての組合せにおいて非特異的リンパ球プルアウトを引き起こした。
【0317】
この実施例は、DM2+SおよびBD染色緩衝液が、散乱性、動員%およびMdFI値について有意差を示さないことを実証する(データは示さない)。しかしながら、DM2+S乾燥チューブは、BD染色緩衝液と比較した場合に、より厳格な集団(任意の非特異的プルアウトなし)を示す。そのため、データから、DM2+S乾燥チューブが、BD染色緩衝液と比較して、より良好な性能を有すると結論付けることができる。
(実施例4)
6か月の暫定的安定性
【0318】
目的:DM2+S乾燥チューブの6か月の安定性を評価およびチェックすること
【0319】
方法:この実施例では、DM2+S乾燥チューブの6か月の安定性を評価した。比較のために、3か月経過したおよび新鮮なロットを、研究に含めた。それぞれのロットの詳細を、表9に示す。3か月および6か月経過した乾燥チューブの両方を、オープンパウチに属する研究において試験し、すなわち、乾燥チューブを、開いたパウチから複数回試験した。これらの乾燥チューブは、12色(12C)パネル(9Cの従来のコンジュゲート+3CのSNコンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、CD4-SNv786)を含有する。これらのロットを、単一の機器において単一反復で、4人のドナーに対して試験した。実施例1Bで述べた染色-溶解-洗浄プロトコールを、研究のために使用した。停止ゲートを、10000 CD45+リンパ球に設定した。コンペンセーションを、新鮮なロットに対して調整した。その後、新鮮なロットのコンペンセーションを、3か月および6か月経過したロットに適用し、必要なマイナーなコンペンセーション調整を、3か月および6か月経過したロットの両方において行った。3か月および6か月経過したロットのデルタ動員絶対%およびMdFIを新鮮なロットと比較した(データは示さない)。
【0320】
【0321】
結果および観察:
【0322】
図12は、6か月経過した乾燥チューブにおいてドライダウンフィルムを有するチューブの写真画像を示す。外観の劣化は、ドライダウンフィルムにおいて、視覚的に観察されなかった。
【0323】
図13A、13B、および13Cは、研究において試験された特異性の異なる組合せについての3つのロットすべての代表的な重ね合わせプロットを示す。
【0324】
図13Aは、3か月および新鮮なロットと比較した、6か月の安定性についてのDM2+S乾燥チューブの代表的なFL対FL重ね合わせプロットを示す。12色(12C)パネル(9Cの従来のコンジュゲート+3CのSNコンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、CD4-SNv786)を含有する乾燥チューブを、単一のフローサイトメトリー機器において単一反復で、4人のドナーに対して試験した。CD56 PB450-A対CD20 Violet610(左パネル)、CD4Violet780対CD20Violet610(中央パネル)、およびCD4 Violet780対CD56PB450(右パネル)についての3つのロットすべてにおけるSN色素の異なる組合せに対する代表的なFL対FL重ね合わせプロット。これらの重ね合わせは、3か月および6か月経過したロットにおける集団が、新鮮なロットと完全に重なることを示す。加えて、非特異的相互作用または集団の広がりは、すべての試験ドナーにおいて、6か月経過したロットで観察されなかった。
【0325】
図13Bは、3か月および新鮮なロットと比較した、DM2+S乾燥チューブの6か月の安定性:3つのロットすべてにおけるSN対古典的組合せについての代表的なFL対FL重ね合わせプロットを示す。12色(12C)パネル(9Cの従来のコンジュゲート+3CのSNコンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、CD4-SNv786)を含有する乾燥チューブを、単一のフローサイトメトリー機器において単一反復で、4人のドナーに対して試験した。CD3 ECD対CD20Violet610(左パネル)、CD8 KO525対CD4Violet780(中央パネル)、およびCD45 APC-A750対CD56PB450(右パネル)に対する6か月、3か月、および新鮮なロットについての重ね合わせは、3か月および6か月経過したロットにおける集団が、新鮮なロットと完全に重なることを示す。加えて、非特異的相互作用または集団の広がりは、すべての試験ドナーにおいて、6か月経過したロットで観察されなかった。
【0326】
図13Cは、3か月および新鮮なロットと比較した、DM2+S乾燥チューブの6か月の安定性:3つのロットすべてにおける古典的対古典的組合せについての代表的なFL対FL重ね合わせプロットを示す。12色(12C)パネル(9Cの従来のコンジュゲート+3CのSNコンジュゲートCD56-SNv428、CD20-SNv605、CD4-SNv786)を含有する乾燥チューブを、単一のフローサイトメトリー機器において単一反復で、4人のドナーに対して試験した。CD16 FITC対CD25PE(左パネル)、CD8 KO525対CD45APC-A750(中央パネル)、およびCD3
ECD対CD10APC(右パネル)に対する6か月、3か月、および新鮮なロットについての重ね合わせは、3か月および6か月経過したロットにおける集団が、新鮮なロットと完全に重なることを示す。加えて、非特異的相互作用または集団の広がりは、すべての試験ドナーにおいて、6か月経過したロットで観察されなかった。この実施例では、6か月の暫定的安定性の結果は、DM2+S乾燥チューブが少なくとも6か月間安定であることを示す。非特異的相互作用または広がりは、暫定的な6か月の時点で観察されなかった。リアルタイム安定性は、24か月間計画している。
(実施例5)
標準化DM緩衝液製剤
【0327】
本発明のDM緩衝液を、以下の通り調製し得る。可溶化された添加剤(構成要素)のストック調整物を、以下の通り調製し得る。ストック調製後、DM2+S緩衝液を、表10に示されるようにして調製する。DM2+S緩衝液のpH範囲は、7~7.4の間であることが見出された。
【0328】
【0329】
その後、DM2+S DM緩衝液(表10)を使用して、3つの蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含むチューブフォーマットの単一乾燥反応物の均一フィルムとして、表11に示されるパネル製剤を調製した。
【0330】
【0331】
試験あたりの最終体積は、50uLである。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
基材上の複数の色素コンジュゲートの乾燥における使用のための緩衝液組成物であって、
水溶性モノマー;
タンパク質安定剤;
炭水化物安定剤;および
両性イオン性界面活性剤を含む、緩衝液組成物。
(項目2)
前記複数の色素コンジュゲートのうちの少なくとも1つが、ポリマー色素コンジュゲートを含む、項目1に記載の緩衝液組成物。
(項目3)
前記ポリマー色素コンジュゲートが、式(IV):
【化39】
(式中、
それぞれのAは、独立して、芳香族コモノマーおよびヘテロ芳香族コモノマーからなる群から選択され;
それぞれのLは、リンカー部分であり;
それぞれのMは、独立して、芳香族コモノマー、ヘテロ芳香族コモノマー、バンドギャップ改変モノマー、必要に応じて置換されたエチレン、およびエチニレンからなる群から選択され;
G
1およびG
2は、独立して、未修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端から選択され;
a、c、およびdは、独立して、構造内のそれぞれの単位のモル%を定義し、それぞれの単位が均等にまたはランダムに繰り返され得、ここで、それぞれのaは、10~100%のモル%であり、それぞれのcは、0~90%のモル%であり、それぞれのdは、0~25%のモル%であり;
それぞれのbは、独立して、0または1であり;
mは、1~約10,000の整数である)
に記載の構造を有する蛍光ポリマー色素にコンジュゲートされた結合パートナーである、項目2に記載の緩衝液組成物。
(項目4)
前記複数の色素コンジュゲートが、式(IV)に記載の構造をそれぞれ有する、2つまたはそれよりも多くの異なる蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含む、項目3に記載の緩衝液組成物。
(項目5)
前記水溶性モノマーが、前記蛍光ポリマー色素コンジュゲートのうちの少なくとも1つの調製において使用されるモノマー単位である、項目3または4に記載の緩衝液組成物。
(項目6)
前記水溶性モノマーが、ジヒドロフェナントレン(DHP)系水溶性モノマーまたはフルオレン系水溶性モノマーである、項目1~5のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目7)
前記水溶性モノマーが、式(I):
【化40】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのR
2は、独立して、水溶化部分、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、スルホンアミド-PEG、ホスホラミド-PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化41】
からなる群から選択され;
それぞれのR
3は、水溶化部分であり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、
ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR
5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、およびC
2~C
12カルボン酸エステルからなる群から選択され;
それぞれのQは、独立して、結合、NR
4、または-CH
2であり;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の化学構造を有するジヒドロフェナントレン(DHP)系水溶性モノマーである、項目1~6のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目8)
それぞれのG
1、G
2が、ハロゲンであり;それぞれのZが、Oであり;それぞれのR
2が、Hであり;それぞれのR
5が、H、ヒドロキシル、C
1~C
6アルキル、またはC
1~C
6アルコキシであり;それぞれのnが、独立して、2~4であり;それぞれのfが、独立して、5~20である、項目7に記載の緩衝液組成物。
(項目9)
それぞれのnが、3であり;それぞれのR
5が、-OCH
3であり;それぞれのfが、11~12である、項目7または8に記載の緩衝液組成物。
(項目10)
前記水溶性モノマーが、式(II):
【化42】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのXは、CまたはSiであり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、
ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の化学構造を有するフルオレン系水溶性モノマーである、項目1~6のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目11)
それぞれのG
1、G
2が、ハロゲンであり;それぞれのXが、Cであり;それぞれのZが、Oであり;それぞれのR
5が、H、ヒドロキシル、C
1~C
6アルキル、またはC
1~C
6アルコキシであり;それぞれのnが、独立して、2~4であり;それぞれのfが、独立して、5~20である、項目10に記載の緩衝液組成物。
(項目12)
前記両性イオン性界面活性剤が、式(XV):
【化43】
(式中、Y=CO
2-またはSO
3-であり、W=HまたはOHであり、Z=CH
3またはNHC(O)R(式中、R=C
1~15アルキルである)であり;独立して、それぞれのp=0または1であり;q=0~21であり;必要に応じて、W=Hであり、Z=CH
3であり、q=11~15である)
に記載の構造を有する、項目1~11のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目13)
前記両性イオン性界面活性剤が、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオプロパンスルホネート(DMMA);3-[N,N-ジメチル(3-パルミトイルアミノプロピル)アンモニオ]-プロパンスルホネート(DMPA);N-(アルキルC
10~C
16)-N,N-ジメチルグリシンベタイン;およびN,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタインからなる群から選択される、項目1~12のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目14)
前記タンパク質安定剤が、カゼイン、ウシ血清アルブミン(BSA)、およびゼラチンからなる群から選択される、項目1~13のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目15)
前記炭水化物安定剤が、二糖炭水化物安定剤である、項目1~14のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目16)
前記二糖炭水化物安定剤が、トレハロースまたはその水和物であり、必要に応じて、前記トレハロースまたはその水和物が、トレハロース二水和物である、項目15に記載の緩衝液組成物。
(項目17)
保存剤、抗酸化剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および着色剤から
なる群から選択される1つまたはそれよりも多くの追加の添加剤をさらに含む、項目1~16のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目18)
前記組成物が、水性組成物である、項目1~17のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目19)
pH6.5~7.5、またはpH7.0~7.4の範囲内のpHを有する、項目1~18のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目20)
試験あたり、
200~800μgの前記水溶性モノマー;
2000~3000μgの前記炭水化物安定剤;
8.4~72μgの前記タンパク質安定剤;および
2~9μgの前記両性イオン性界面活性剤
を含む、項目1~19のいずれか一項に記載の緩衝液組成物。
(項目21)
単一反応物フィルムを調製する方法であって、前記方法が、
項目1~18のいずれか一項に記載の水性緩衝液組成物を含む液相中で一緒に複数の色素コンジュゲートを基材上に分注するステップであって、前記複数の色素コンジュゲートが、少なくとも1つのポリマー色素コンジュゲートを含む、ステップ;および
前記液相の水性緩衝液中で一緒に前記複数の色素コンジュゲートを乾燥して、前記基材上に第1の単一反応物フィルムを形成するステップ
を含む、方法。
(項目22)
前記複数の色素コンジュゲートが、2つまたはそれよりも多くのポリマー色素コンジュゲートを含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記基材が、チューブ、ウェル、膜、およびビーズからなる群から選択される、項目20または21に記載の方法。
(項目24)
前記基材が、反応容器の内面を含む、項目21~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記複数の色素コンジュゲートが、異なる結合パートナーをそれぞれ含む、2つもしくはそれよりも多く、3つもしくはそれよりも多く、4つもしくはそれよりも多く、5つもしくはそれよりも多く、6つもしくはそれよりも多く、7つもしくはそれよりも多く、8つもしくはそれよりも多く、9つもしくはそれよりも多く、10もしくはそれよりも多く、11もしくはそれよりも多く、12もしくはそれよりも多く、または2~20、3~18、もしくは4~12の異なる色素コンジュゲートを含む、項目21~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記第1の単一反応物フィルムを液体血液試料の第1のアリコートに曝すステップ、処理するステップ、ならびにフローサイトメトリーによって分析して、第2の単一反応物フィルムを前記液体生体試料の第2のアリコートに曝し、処理し、フローサイトメトリーによって分析することによって得られた第2のフローサイトメトリープロットと比較した場合に、
単球の非特異的結合の減少;
顆粒球の非特異的結合の減少;
ポリマー色素コンジュゲートの非特異的相互作用の減少;および
ポリマー色素コンジュゲートの凝集の減少
からなる群のうちの1つまたはそれよりも多くを示す第1のフローサイトメトリープロッ
トを得るステップを含み、
前記第2の単一反応物フィルムが、前記第1の単一反応物フィルムを形成するために一緒に乾燥される同じ複数の色素コンジュゲートを含む液相、ならびに前記水溶性モノマーなしおよび前記両性イオン性界面活性剤なしの従来の乾燥技術の試薬緩衝液から調製される、
項目21~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲート;
水溶性モノマー;
タンパク質安定剤;
炭水化物安定剤;および
両性イオン性界面活性剤
を含む組成物。
(項目28)
基材上に配置された単一反応物フィルムの形態の、項目27に記載の組成物。
(項目29)
単一反応物フィルムあたり、
200~800μgの前記水溶性モノマー;
2000~3000μgの前記炭水化物安定剤;
8.4~72μgの前記タンパク質安定剤;および
2~9μgの前記両性イオン性界面活性剤
を含む、項目27または28に記載の組成物。
(項目30)
前記複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲートのうちの少なくとも1つが、式(IV):
【化44】
(式中、
それぞれのAは、独立して、芳香族コモノマーおよびヘテロ芳香族コモノマーからなる群から選択され;
それぞれのLは、リンカー部分であり;
それぞれのMは、独立して、芳香族コモノマー、ヘテロ芳香族コモノマー、バンドギャップ改変モノマー、必要に応じて置換されたエチレン、およびエチニレンからなる群から選択され;
G
1およびG
2は、独立して、未修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端から選択され;
a、c、およびdは、独立して、構造内のそれぞれの単位のモル%を定義し、それぞれの単位が均等にまたはランダムに繰り返され得、ここで、それぞれのaは、10~100%のモル%であり、それぞれのcは、0~90%のモル%であり、それぞれのdは、0~25%のモル%であり;
それぞれのbは、独立して、0または1であり;
mは、1~約10,000の整数である)
に記載の構造を有する蛍光ポリマー色素部分を含む、項目27~29のいずれか一項に記載の組成物。
(項目31)
前記水溶性モノマーが、前記複数の蛍光ポリマー色素のうちの少なくとも1つの調製に
おいて使用されるモノマー単位である、項目27~30のいずれか一項に記載の組成物。
(項目32)
前記水溶性モノマーが、ジヒドロフェナントレン(DHP)系水溶性モノマーまたはフルオレン系モノマーである、項目27~31のいずれか一項に記載の組成物。
(項目33)
前記水溶性モノマーが、式(I):
【化45】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのR
2は、独立して、水溶化部分、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、スルホンアミド-PEG、ホスホラミド-PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化46】
からなる群から選択され;
それぞれのR
3は、水溶化部分であり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR
5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、およびC
2~C
12カルボン酸エステルからなる群から選択され;
それぞれのQは、独立して、結合、NR
4、または-CH
2であり;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の化学構造を有するジヒドロフェナントレン(DHP)系水溶性モノマーである、項目27~32のいずれか一項に記載の組成物。
(項目34)
G
1およびG
2が、それぞれ、ハロであり;それぞれのZが、Oであり;それぞれのR
2が、Hであり;それぞれのnが、独立して、2~4であり;それぞれのfが、独立して、5~20であり;必要に応じて、それぞれのnが、3であり;それぞれのmが、11~12である、項目33に記載の組成物。
(項目35)
前記水溶性モノマーが、式(II):
【化47】
(式中、
それぞれのG
1、G
2は、独立して、ハロゲン、アルキル、PEG、水素、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフラート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、必要に応じて置換されたテトラヒドロピラン(THP)、必要に応じて置換されたフルオレン、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、アリールまたはヘテロアリールであって、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、およびチオールから選択される官能基が末端の1つまたはそれよりも多くのペンダント鎖で置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのXは、CまたはSiであり;
それぞれのR
4は、独立して、H、アルキル、PEG、水溶化部分、リンカー部分、発色団、カルボン酸アミン、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、もしくはチオール、またはそれらの保護基からなる群から選択され;
それぞれのR5は、独立して、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステル、およびC
1~C
12アルコキシからなる群から選択され;
それぞれのZは、独立して、CH
2、O、またはNR
4であり;
それぞれのfは、独立して、0~50の整数であり;
それぞれのnは、独立して、1~20の整数である)
に記載の化学構造を有するフルオレン系水溶性モノマーである、項目27~32のいずれか一項に記載の組成物。
(項目36)
前記両性イオン性界面活性剤が、式(XV):
【化48】
(式中、Y=CO
2-またはSO
3-であり、W=HまたはOHであり、Z=CH
3またはNHC(O)R(式中、R=C
1~15アルキルである)であり;独立して、それぞれ
のp=0または1であり;q=0~21であり;必要に応じて、W=Hであり、Z=CH
3であり、q=11~15である)
に記載の構造を有する、項目27~35のいずれか一項に記載の組成物。
(項目37)
前記両性イオン性界面活性剤が、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオプロパンスルホネート(DMMA);3-[N,N-ジメチル(3-パルミトイルアミノプロピル)アンモニオ]-プロパンスルホネート(DMPA);N-(アルキルC
10~C
16)-N,N-ジメチルグリシンベタイン;およびN,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタインからなる群から選択される、項目27~36のいずれか一項に記載の水性緩衝液組成物。
(項目38)
前記タンパク質安定剤が、カゼイン、ウシ血清アルブミン(BSA)、およびゼラチンからなる群から選択される、項目27~37のいずれか一項に記載の組成物。
(項目39)
前記炭水化物安定剤が、二糖炭水化物安定剤である、項目27~38のいずれか一項に記載の組成物。
(項目40)
前記二糖炭水化物安定剤が、トレハロースまたはその水和物であり、必要に応じて、前記トレハロースまたはその水和物が、トレハロース二水和物である、項目39に記載の組成物。
(項目41)
保存剤、抗酸化剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および着色剤からなる群から選択される1つまたはそれよりも多くの追加の添加剤をさらに含む、項目27~40のいずれか一項に記載の水性緩衝液組成物。