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特開2024-166269分子診断法で使用するシーケンシング機器および試薬の定量化
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  • 特開-分子診断法で使用するシーケンシング機器および試薬の定量化 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166269
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】分子診断法で使用するシーケンシング機器および試薬の定量化
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20241121BHJP
   G16H 10/40 20180101ALI20241121BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G16H10/40
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024153853
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2021539422の分割
【原出願日】2020-01-06
(31)【優先権主張番号】62/789,421
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,564
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521209823
【氏名又は名称】パーソナル ゲノム ダイアグノスティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アンジュオリ サミュエル ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ライリー デヴィッド
(57)【要約】
【課題】分子診断法で使用するシーケンシング機器の提供。
【解決手段】ネットワーク・インタフェースを通じて診断機器から試験パラメータについてレポートを受信し;試験パラメータが適格性確認ランとして指定されているかどうかを判定し;試験パラメータが適格性確認ランとして指定されていると判定される場合は、レポート内のソフトウェアの識別子をメモリ内の識別子と比較することにより、診断機器にインストールされたソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定し;試験パラメータの結果を調査して、診断機器または試薬が適格性確認済みかどうかを判定し;かつ関連ステータスを更新するように、プロセッサがさらに構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を具備するシステム:
(i)シーケンシング機器の識別子、および適格性確認済みまたは不適格性確認済みを含む関連ステータスと、(ii)試薬の識別子、および適格性確認済みおよび不適格性確認済みを含む関連ステータスと、(iii)前記シーケンシング機器のうちの1つのシーケンシング機器用の承認済みソフトウェアの識別子とを記憶するように構成されている、メモリ;
前記シーケンシング機器およびクライアント端末と通信するように構成されている、ネットワーク・インタフェース;ならびに
プロセッサであって、
前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記シーケンシング機器から、シーケンシング・ランについて、レポートを作成した前記シーケンシング機器の識別子、前記シーケンシング・ランにおいて使用された試薬の識別子、前記シーケンシング機器にインストールされたソフトウェアの識別子、および前記シーケンシング・ランの結果を含む、レポートを受信し、
前記シーケンシング・ランが適格性確認ランとして指定されているかどうかを判定する
ように構成されており、
前記シーケンシング・ランが前記適格性確認ランとして指定されていると判定される場合は、
前記レポート内の前記ソフトウェアの識別子を前記メモリ内の前記識別子と比較することにより、前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定することであって、前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない場合は、前記シーケンシング機器または前記試薬についての関連ステータスは不適格性確認済みである、前記判定することと、
前記シーケンシング・ランの結果を調査して、前記シーケンシング機器または前記試薬が適格性確認済みかどうかを判定することと、
調査に応じて、前記シーケンシング機器および前記試薬の少なくとも一方についての関連ステータスを更新することと
を行うようにさらに構成されている、プロセッサ。
【請求項2】
前記プロセッサがさらに、前記クライアント端末から前記ネットワーク・インタフェースを通じて、前記シーケンシング・ランを前記適格性確認ランとする指定を受信するように構成されており、前記指定が、前記適格性確認ランが前記シーケンシング機器、前記試薬、または前記シーケンシング機器と前記試薬の両方の適格性確認を実施するかどうかを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサがさらに、前記適格性確認ランに基づいて前記シーケンシング機器または前記試薬が適格性確認済みかどうかを示す通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサがさらに、リクエストされた分析が診断モードであるかどうかを判定するように構成されており、
前記分析が診断モードであると判定される場合は、前記プロセッサがさらに、
前記レポート内の前記ソフトウェアの識別子を前記メモリ内の前記識別子と比較することにより、前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定し;
前記レポートにおいて識別された前記シーケンシング機器についての、前記メモリに記憶されている前記関連ステータスに基づいて、前記シーケンシング機器が適格性確認済みかどうかを判定し;かつ
前記レポートにおいて識別された前記試薬についての、前記メモリに記憶されている前記関連ステータスに基づいて、前記シーケンシング・ランにおいて使用された前記試薬が適格性確認済みかどうかを判定する
ように構成されており、
前記プロセッサが、前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない場合、または前記シーケンシング機器および前記試薬の少なくとも一方が適格性確認済みではない場合は、前記レポートから作成された診断分析レポートを前記メモリ内に保持するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されており、かつ前記シーケンシング機器と前記試薬の両方が適格性確認済みである場合に、前記クライアント端末による前記診断分析レポートへのアクセスを許可するように、前記プロセッサが構成されており、前記アクセスを許可することによって、前記クライアント端末のユーザ・インタフェースによる前記診断分析レポートの表示が可能になる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記試薬の有効期限日が、それぞれ前記試薬の識別子と関連して記憶され、現在の日付が前記試薬の有効期限日の後である場合は、前記試薬のステータスを不適格性確認済みに変更するように、前記プロセッサがさらに構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記診断分析レポートが保持されている旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信するように、前記プロセッサがさらに構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない旨、または前記シーケンシング機器および前記試薬の少なくとも一方が適格性確認済みではない旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信するように、前記プロセッサがさらに構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない場合、または前記シーケンシング機器が適格性確認済みではない場合に、前記診断モードでの分析プランの生成を無効にするように、前記プロセッサがさらに構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記保持された診断分析レポートを公開する命令を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて受信するように、前記プロセッサがさらに構成されており、前記命令が認証パスコードを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムがユーザ・インタフェースをさらに具備し、前記ユーザ・インタフェースが前記クライアント端末上に表示可能であり、前記ユーザ・インタフェースが、利用できるシーケンシング機器を表示するように構成されており、前記利用できるシーケンシング機器が、適格性確認済みおよび不適格性確認済みのシーケンシング機器を含み、前記ユーザ・インタフェースが、前記シーケンシング機器の選択を許可する、および前記適格性確認ランとしての前記シーケンシング・ランの選択を許可する、選択ウィンドウを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ユーザ・インタフェースが、前記クライアント端末上のウェブ・ブラウザを通じてアクセス可能であり、前記プロセッサが、前記ユーザ・インタフェースへのアクセスを許可する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザ・インタフェースが、前記シーケンシング機器のうちの各シーケンシング機器の適格性確認ステータスを表示する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記シーケンシング機器についての前記関連ステータスが、適格性確認の有効期限切れをさらに含み、前記シーケンシング機器が適格性確認済みであると判定される場合に、適格性確認済みの前記シーケンシング機器の識別子と関連して適格性確認の日付が前記メモリに記憶され、適格性確認期間としての期間の間、前記シーケンシング機器が適格性確認済みのままであり、前記プロセッサが、前記期間がいつ有効期限切れになるかを判定するようにさらに構成されており、前記期間が有効期限切れであると判定される場合に、前記シーケンシング機器についての関連ステータスを適格性確認の有効期限切れに変更するように前記プロセッサが構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記適格性確認期間が有効期限切れになりそうである旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信するようにさらに構成されており、前記期間が期限切れになる前の時点で前記送信が行われ、前記通知が、前記クライアント端末上に表示可能なユーザ・インタフェース上にプロンプトを表示させるように構成されており、前記プロンプトが、前記シーケンシング機器の適格性確認を実施する前記適格性確認ランとして前記シーケンシング機器のランを実行するべき旨を示す、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記期間および前記期間が期限切れになる前の時間の設定を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて受信するようにさらに構成されており、前記設定が認証パスコードを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記シーケンシング機器のハードウェアの更新に関する情報を受信するようにさらに構成されており、前記情報が、前記クライアント端末の前記ユーザ・インタフェースに入力されて前記ネットワーク・インタフェースを通じて通信され、前記情報を受信するのに応答して前記シーケンシング機器の関連ステータスを不適格性確認済みに変更するように前記プロセッサが構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記シーケンシング機器の関連ステータスが変化する場合に前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に通知を送信するように前記プロセッサが構成されており、前記通知が、前記ユーザ・インタフェース上にプロンプトを表示させるように構成されており、前記プロンプトは、前記シーケンシング機器が前記シーケンシング機器の適格性確認を実施するための適格性確認ランとして実行されるべき旨を示す、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサが、リクエストされた分析が研究モードであるかどうかを判定するようにさらに構成されており、前記分析が前記研究モードであると判定された場合に、前記レポートから前記プロセッサによって作成された研究分析レポートへの前記クライアント端末によるアクセスを許可するように前記プロセッサが構成されており、前記アクセスを許可することによって、前記シーケンシング機器が適格性確認済みではなくても、または使用される前記試薬が適格性確認済みではなくても、前記クライアント端末のユーザ・インタフェースによる前記研究分析レポートの表示が可能になる、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記メモリが適格性確認材料の識別子をさらに含み、前記レポートが、前記レポートを作成するのに使用された前記適格性確認材料の識別子をさらに含み、前記レポートを作成するのに使用された前記適格性確認材料の識別子が、前記メモリに記憶された前記適格性確認材料の識別子と一致しない場合に、前記シーケンシング機器は適格性確認済みではないと判定するように、前記プロセッサが構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
以下を具備するシステム:
(i)診断機器の識別子、および適格性確認済みまたは不適格性確認済みを含む関連ステータスと、(ii)試薬の識別子、および適格性確認済みおよび不適格性確認済みを含む関連ステータスと、(iii)前記診断機器のうちの1つの診断機器用の承認済みソフトウェアの識別子とを記憶するように構成されている、メモリ;
前記診断機器およびクライアント端末と通信するように構成されている、ネットワーク・インタフェース;ならびに
プロセッサであって、
前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記診断機器から、試験パラメータについて、レポートを作成した前記診断機器の識別子、前記試験パラメータに使用された試薬の識別子、前記診断機器にインストールされたソフトウェアの識別子、および前記試験パラメータの結果を含む、レポートを受信し、
前記試験パラメータが適格性確認ランとして指定されているかどうかを判定する
ように構成されており、
前記試験パラメータが前記適格性確認ランとして指定されていると判定される場合には、
前記レポート内の前記ソフトウェアの識別子を前記メモリ内の前記識別子と比較することにより、前記診断機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定することであって、前記診断機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない場合は、前記診断機器または前記試薬についての関連ステータスは不適格性確認済みである、前記判定することと、
前記試験パラメータの結果を調査して、前記診断機器または前記試薬が適格性確認済みかどうかを判定することと、
調査に応じて、前記診断機器および前記試薬の少なくとも一方についての関連ステータスを更新することと
を行うようにさらに構成されている、プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年1月7日に出願された米国特許出願62/789,421号、および2019年5月9日に出願された同第62/845,564号の優先権の利益を、米国特許法第119(e)条に基づき主張するものであり、両出願の開示は、その全体が本願の開示の一部とみなされ、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本開示の分野
本開示は、遺伝子分析に関するものであり、より詳細には、診断方法の性能および質を確保するために、診断機器および試薬、例えばシーケンシング機器および試薬の使用を適格性確認、チェック、および監視するシステム、方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景情報
臨床診断検査は、ヘルスケアにおいてますます不可欠なものとなっている。特にインビトロ診断(IVD)の分野では、分子診断におけるブレークスルーのおかげで、医療上の意思決定やケアを診断が推進する全く新しい機会が開かれている。
【0004】
IVDとは、分析のために体内から取り出された試料上でなされる疾病の検査を指す。疾病を示すタンパク質、遺伝子、酵素、そしてその他の分析物などの多種多様なバイオマーカーを分析する、疾病の検査に現在使用されている技術は、無数にある。
【0005】
大部分の診断検査は、実験室設定において診断技術を用いて行われている。これらの技術のいくつかには、例示すると、イムノアッセイ、分子診断、臨床化学、質量分析、プロテオミクス、マイクロバイオーム分析、微生物学、血液学などが挙げられる。
【0006】
特定の種類の分子診断技術には、1つまたは複数の試薬を用いてDNA上でアッセイのランを実行するシーケンシング機器の使用が含まれる。シーケンシング・ランの結果を含むレポートは、使用者が作成した分析プランを使用して分析される場合がある。この分析は、複数の診断に使用される場合がある。しかし、シーケンシング機器の品質は機器ごとに異なり、時間の経過とともに悪くなる傾向になる場合がある。加えて、試薬もロットごとに異なる。
【0007】
この現象は、ほとんどすべての診断技術に使用される機器に存在する。このように、診断レポートを作成するのに使用される機器が、診断の正確性を保証するためにIVDに必要な品質基準を満たしていることを確認する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
したがって、診断機器および/または診断機器によって使用される試薬の適格性確認を実施し、少なくとも、適格性を確認されなかった診断機器からのおよび/または適格性を確認されなかった試薬を使用して得られたレポートの分析結果として作成された診断分析レポートへのアクセスを防止する、システムおよび方法が開示される。また、そのためのプログラムも開示される。
【0009】
一態様では、本開示は、シーケンシング機器および/またはシーケンシング機器によって使用される試薬の適格性確認を実施し、少なくとも、適格性を確認されなかったシーケンシング機器からのおよび/または適格性を確認されなかった試薬を使用して得られたレポートの分析結果として作成された診断分析レポートへのアクセスを防止する、システムおよび方法を提供する。また、シーケンシング機器から得られたシーケンシング・ランのレポートから作成された完全なラン・レポートなどの他のレポートも保持されてもよい。また、そのためのプログラムも開示される。
【0010】
本開示の一態様では、システムは、メモリと、ネットワーク・インタフェースと、プロセッサとを具備する。メモリは、シーケンシング機器の識別子および関連ステータスと、試薬の識別子および関連ステータスと、承認済みソフトウェアの識別子とを記憶するように構成されている。ステータスには、適格性確認済みまたは不適格性確認済みが含まれる場合がある。また、試薬に対するステータスは、有効期限切れである場合がある。また、シーケンシング機器に対するステータスは、適格性確認の有効期限切れである場合がある。試薬とシーケンシング機器の両方とも、検査されていないというステータスを有する場合がある。
【0011】
ネットワーク・インタフェースは、シーケンシング機器およびクライアント端末と通信するように構成されている。
【0012】
プロセッサは、シーケンシング・ランについてネットワーク・インタフェースを通じてシーケンシング機器からレポートを受信し、シーケンシング・ランが適格性確認ランとして指定されているかどうかを判定するように構成されている。
【0013】
レポートは、レポートを作成したシーケンシング機器の識別子と、シーケンシング・ランにおいて使用された試薬の識別子と、シーケンシング機器にインストールされているソフトウェアの識別子と、シーケンシング・ランの結果とを含んでもよい。
【0014】
シーケンシング・ランが適格性確認ランとして指定されていると判定される場合、プロセッサはさらに、シーケンシング機器にインストールされているソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定し、シーケンシング機器または試薬が適格性確認済みかどうかを判定するようシーケンシング・ランの結果を調査し、調査に応じて、シーケンシング機器と試薬の少なくとも一方についての関連ステータスを更新するように構成されている。シーケンシング機器にインストールされているソフトウェアが承認されていない場合、シーケンシング機器の関連ステータスは不適格性確認済みである。
【0015】
本開示の一態様では、シーケンシング・ランは、シーケンシング機器のみ、試薬のみ、またはシーケンシング機器と試薬の両方の適格性確認を実施するための適格性確認ランとして指定されてもよい。
【0016】
プロセッサは、シーケンシング・ランに対してリクエストされた分析が診断モードであるかどうかを判定するようにさらに構成されている。分析が診断モードであると判定される場合、プロセッサは、シーケンシング機器にインストールされているソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定し、シーケンシング機器が適格性確認済みかどうかを判定し、そしてシーケンシング・ランに使用される試薬が適格性確認済みであるかどうかを判定するようにさらに構成されている。
【0017】
シーケンシング機器にインストールされているソフトウェアが承認されていない場合、または、シーケンシング機器と試薬の少なくとも一方が適格性確認済みではない場合、プロセッサは、メモリ内のレポートから作成された診断分析レポートを保持するように構成されている。また、プロセッサは、シーケンシング・ランについて作成された完全なラン・レポートを保持してもよい。
【0018】
本開示の一態様では、シーケンシング機器と試薬の少なくとも一方が適格性確認済みではない(または試験されていない)場合、プロセッサは、診断モードでの分析プランの生成を無効にするように構成されている。
【0019】
本開示の一態様では、プロセッサは、シーケンシング機器にインストールされているソフトウェアが承認されており、シーケンシング機器と試薬の両方が適格性確認済みである場合に、クライアント端末による診断分析レポートへのアクセスを許可するように構成されている。
【0020】
本開示の一態様では、プロセッサはさらに、現在の日付が試薬の有効期限日の後である場合に、試薬のステータスを不適格性確認済みに変更するように構成されている。
【0021】
本開示の一態様では、プロセッサは、シーケンシング機器が適格性確認された時点から有効期限切れになって所定の期間が過ぎると、シーケンシング機器のステータスを適格性確認済みから適格性確認の有効期限切れに変更するように構成されている。プロセッサは、有効期限切れになる前にクライアント端末に警告を送信するように構成されている。警告は、有効期限切れの1週間前に送信されてもよい。
【0022】
本開示の一態様では、保持されている以前のレポートは、権限を与えられた使用者によって公開されてもよい。
【0023】
本開示の一態様では、プロセッサは、リクエストされた分析が研究モードであるかどうかを判定するようにさらに構成されている。分析が研究モードであると判定される場合、プロセッサは、シーケンシング機器が適格性確認済みではなくても、または使用される試薬が適格性確認済みではなくても、プロセッサによって作成された研究分析レポートへのクライアント端末によるアクセスを許可するように構成されている。
【0024】
本開示の一態様では、システムは、クライアント端末に表示可能なユーザ・インタフェースをさらに具備する。ユーザ・インタフェースは、ウェブベースのものであってもよい。プロセッサにより作成されたレポート(保持されていない場合)は、ユーザ・インタフェースを通じてアクセスされ得る。
[本発明1001]
以下を具備するシステム:
シーケンシング機器の識別子、および適格性確認済みまたは不適格性確認済みを含む関連ステータスと、試薬の識別子、および適格性確認済みおよび不適格性確認済みを含む関連ステータスと、シーケンシング機器用の承認済みソフトウェアの識別子とを記憶するように構成されている、メモリ;
シーケンシング機器およびクライアント端末と通信するように構成されている、ネットワーク・インタフェース;ならびに
プロセッサであって、
前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記シーケンシング機器から、シーケンシング・ランについて、レポートを作成した前記シーケンシング機器の識別子、前記シーケンシング・ランにおいて使用された試薬の識別子、前記シーケンシング機器にインストールされたソフトウェアの識別子、およびシーケンシング・ランの結果を含む、レポートを受信し、
前記シーケンシング・ランが適格性確認ランとして指定されているかどうかを判定する
ように構成されており、
前記シーケンシング・ランが適格性確認ランとして指定されていると判定される場合は、
前記レポート内の前記ソフトウェアの識別子をメモリ内の識別子と比較することにより、前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定し、前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない場合は、前記シーケンシング機器についての関連ステータスが不適格性確認済みであり;
前記シーケンシング・ランの結果を調査して、前記シーケンシング機器または前記試薬が適格性確認済みかどうかを判定し;かつ
調査に応じて、前記シーケンシング機器および前記試薬の少なくとも一方についての関連ステータスを更新する
ようにさらに構成されている、プロセッサ。
[本発明1002]
前記プロセッサがさらに、前記クライアント端末から前記ネットワーク・インタフェースを通じて、シーケンシング・ランを適格性確認ランとする指定を受信するように構成されており、前記指定が、前記適格性確認ランが前記シーケンシング機器、前記試薬、または前記シーケンシング機器と前記試薬の両方の適格性確認を実施するかどうかを含む、本発明1001のシステム。
[本発明1003]
前記プロセッサがさらに、前記適格性確認ランに基づいて前記シーケンシング機器または前記試薬が適格性確認済みかどうかを示す通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信するように構成されている、本発明1002のシステム。
[本発明1004]
前記プロセッサがさらに、リクエストされた分析が診断モードであるかどうかを判定するように構成されており、
前記分析が診断モードであると判定される場合は、前記プロセッサがさらに、
前記レポート内の前記ソフトウェアの識別子をメモリ内の識別子と比較することにより、前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定し;
前記レポートにおいて識別された前記シーケンシング機器についての、メモリに記憶されている前記関連ステータスに基づいて、前記シーケンシング機器が適格性確認済みかどうかを判定し;かつ
前記レポートにおいて識別された前記試薬についての、メモリに記憶されている前記関連ステータスに基づいて、前記シーケンシング・ランにおいて使用された前記試薬が適格性確認済みかどうかを判定する
ように構成されており、
前記プロセッサが、前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない場合、または前記シーケンシング機器および前記試薬の少なくとも一方が適格性確認済みではない場合は、前記レポートから作成された診断分析レポートをメモリ内に保持するように構成されている、
本発明1001のシステム。
[本発明1005]
前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されており、かつ前記シーケンシング機器と前記試薬の両方が適格性確認済みである場合に、前記クライアント端末による前記診断分析レポートへのアクセスを許可するように、前記プロセッサが構成されており、前記アクセスを許可することによって、前記クライアント端末のユーザ・インタフェースによる前記診断分析レポートの表示が可能になる、本発明1004のシステム。
[本発明1006]
試薬の有効期限日が、それぞれ前記試薬の識別子と関連して記憶され、現在の日付が前記試薬の有効期限日の後である場合は、試薬のステータスを不適格性確認済みに変更するように、前記プロセッサがさらに構成されている、本発明1004のシステム。
[本発明1007]
前記診断分析レポートが保持されている旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信するように、前記プロセッサがさらに構成されている、本発明1004のシステム。
[本発明1008]
前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない旨、または前記シーケンシング機器および前記試薬の少なくとも一方が適格性確認済みではない旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信するように、前記プロセッサがさらに構成されている、本発明1004のシステム。
[本発明1009]
前記シーケンシング機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない場合、または前記シーケンシング機器が適格性確認済みではない場合に、前記診断モードでの分析プランの生成を無効にするように、前記プロセッサがさらに構成されている、本発明1004のシステム。
[本発明1010]
保持された診断分析レポートを公開する命令を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて受信するように、前記プロセッサがさらに構成されており、前記命令が認証パスコードを含む、本発明1004のシステム。
[本発明1011]
前記システムがユーザ・インタフェースをさらに具備し、前記ユーザ・インタフェースが前記クライアント端末上に表示可能であり、前記ユーザ・インタフェースが、利用できるシーケンシング機器を表示するように構成されており、前記利用できるシーケンシング機器が、適格性確認済みおよび不適格性確認済みのシーケンシング機器を含み、前記ユーザ・インタフェースが、シーケンシング機器の選択を許可する、および適格性確認ランとしてのシーケンシング・ランの選択を許可する、選択ウィンドウを有する、本発明1001のシステム。
[本発明1012]
前記ユーザ・インタフェースが、前記クライアント端末上のウェブ・ブラウザを通じてアクセス可能であり、前記プロセッサが、前記ユーザ・インタフェースへのアクセスを許可する、本発明1011のシステム。
[本発明1013]
前記ユーザ・インタフェースが、各シーケンシング機器の適格性確認ステータスを表示する、本発明1012のシステム。
[本発明1014]
シーケンシング機器についての前記関連ステータスが、適格性確認の有効期限切れをさらに含み、前記シーケンシング機器が適格性確認済みであると判定される場合に、適格性確認済みの前記シーケンシング機器の識別子と関連して適格性確認の日付がメモリに記憶され、適格性確認期間としての期間の間、シーケンシング機器が適格性確認済みのままであり、前記プロセッサが、前記期間がいつ有効期限切れになるかを判定するようにさらに構成されており、前記期間が有効期限切れであると判定される場合に、前記シーケンシング機器についての関連ステータスを適格性確認の有効期限切れに変更するように前記プロセッサが構成されている、本発明1001のシステム。
[本発明1015]
前記プロセッサが、前記適格性確認期間が有効期限切れになりそうである旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信するようにさらに構成されており、前記期間が期限切れになる前の時点で前記送信が行われ、前記通知が、前記クライアント端末上に表示可能なユーザ・インタフェース上にプロンプトを表示させるように構成されており、前記プロンプトが、前記シーケンシング機器の適格性確認を実施する適格性確認ランとして前記シーケンシング機器のランを実行するべき旨を示す、本発明1014のシステム。
[本発明1016]
前記プロセッサが、前記期間および前記期間が期限切れになる前の時間の設定を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて受信するようにさらに構成されており、前記設定が認証パスコードを含む、本発明1014のシステム。
[本発明1017]
前記プロセッサが、シーケンシング機器のハードウェアの更新に関する情報を受信するようにさらに構成されており、前記情報が、前記クライアント端末の前記ユーザ・インタフェースに入力されて前記ネットワーク・インタフェースを通じて通信され、前記情報を受信するのに応答して前記シーケンシング機器の関連ステータスを不適格性確認済みに変更するように前記プロセッサが構成されている、本発明1011のシステム。
[本発明1018]
前記シーケンシング機器の関連ステータスが変化する場合に前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に通知を送信するように前記プロセッサが構成されており、前記通知が、前記ユーザ・インタフェース上にプロンプトを表示させるように構成されており、前記プロンプトが、前記シーケンシング機器の適格性確認を実施するために適格性確認ランを行うべき旨を示す、本発明1017のシステム。
[本発明1019]
前記プロセッサが、リクエストされた分析が研究モードであるかどうかを判定するようにさらに構成されており、前記分析が前記研究モードであると判定された場合に、前記レポートから前記プロセッサによって作成された研究分析レポートへの前記クライアント端末によるアクセスを許可するように前記プロセッサが構成されており、前記アクセスを許可することによって、前記シーケンシング機器が適格性確認済みではなくても、または使用される前記試薬が適格性確認済みではなくても、前記クライアント端末のユーザ・インタフェースによる前記研究分析レポートの表示が可能になる、本発明1001のシステム。
[本発明1020]
前記メモリが適格性確認材料の識別子をさらに含み、前記レポートが、前記レポートを作成するのに使用された前記適格性確認材料の識別子をさらに含み、前記レポートを作成するのに使用された前記適格性確認材料の識別子が、メモリに記憶された前記適格性確認材料の識別子と一致しない場合に、前記シーケンシング機器は適格性確認済みではないと判定するように、前記プロセッサが構成されている、本発明1001のシステム。
[本発明1021]
以下を具備するシステム:
診断機器の識別子、および適格性確認済みまたは不適格性確認済みを含む関連ステータスと、試薬の識別子、および適格性確認済みおよび不適格性確認済みを含む関連ステータスと、診断機器用の承認済みソフトウェアの識別子とを記憶するように構成されている、メモリ;
診断機器およびクライアント端末と通信するように構成されている、ネットワーク・インタフェース;ならびに
プロセッサであって、
前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記診断機器から、試験パラメータについて、レポートを作成した前記診断機器の識別子、前記試験パラメータに使用された試薬の識別子、前記診断機器にインストールされたソフトウェアの識別子、および試験パラメータの結果を含む、レポートを受信し、
前記試験パラメータが適格性確認ランとして指定されているかどうかを判定する
ように構成されており、
前記試験パラメータが適格性確認ランとして指定されていると判定される場合には、
前記レポート内の前記ソフトウェアの識別子をメモリ内の識別子と比較することにより、前記診断機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定し、前記診断機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない場合は、前記診断機器についての関連ステータスが不適格性確認済みであり;
前記試験パラメータの結果を調査して、前記診断機器または前記試薬が適格性確認済みかどうかを判定し;かつ
調査に応じて、前記診断機器および前記試薬の少なくとも一方についての関連ステータスを更新する
ようにさらに構成されている、プロセッサ。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の態様に準拠するシステムのブロック図である。
図2】本開示の態様に準拠するサーバのブロック図である。
図3】本開示の態様に準拠するプログラムメモリのブロック図である。
図4】本開示の態様に準拠する作業メモリのブロック図である。
図5】本開示の態様に準拠する、シーケンシング機器および試薬の使用を適格性確認、チェック、および監視する方法のフローチャートである。
図6】本開示の態様に準拠する、シーケンシング機器および試薬の使用を適格性確認、チェック、および監視する方法のフローチャートである。
図7】本開示の態様に準拠する、シーケンシング機器および試薬の使用を適格性確認、チェック、および監視する方法のフローチャートである。
図8】本開示の態様に準拠する、シーケンシング機器および試薬の使用を適格性確認、チェック、および監視する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
この詳細な説明では、診断機器としてシーケンシング機器を利用するシステムを例示するが、本明細書に記載のシステム、方法、およびプログラムは、異なる種類の診断機器を利用してもよいことは理解されよう。
【0027】
本明細書で使用される「診断機器」は、臨床研究環境で実施されるような診断試験を実施するために使用してもよいいずれの機器を含んでもよい。そのような試験には、イムノアッセイ、臨床化学アッセイ、および/または分子診断アッセイなどを挙げてもよい。例えば、実施形態では、診断機器は、例えば、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、化学発光免疫法、蛍光免疫法、比色免疫法、ラジオイムノアッセイ、迅速検査、ウェスタンブロッティング、および/または酵素結合イムノスポットアッセイを含むイムノアッセイを実施することができる場合がある。いくつかの実施形態では、診断機器は、分析物の検出、例えば、代謝、電解質、肝臓、脂質、腎臓、および/または甲状腺の機能のパネルを含む診断パネルの処理を含む臨床化学アッセイを実行することができる場合がある。実施形態では、診断機器は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温核酸増幅技術、マイクロアレイアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、核酸シーケンシングおよび次世代核酸シーケンシングおよび/または第三世代核酸シーケンシングを含む分子診断アッセイを実行することができる場合がある。実施形態では、診断機器は、微生物学的アッセイ、血液学的アッセイ、凝固学的アッセイ、止血アッセイおよび/または尿検査アッセイを行うことができる場合がある。実施形態では、診断機器は、質量分析、プロテオミクス、マイクロバイオーム分析および/または腫瘍微小環境分析を行うことができる場合がある。
【0028】
さらに、様々な実施形態では、診断機器は、単一の診断テスト、または診断テストの組み合わせを実行することができる場合がある。このように、診断機器は、臨床化学アッセイだけでなく、イムノアッセイも実施することができる場合がある。複数の診断テストを行うことができる機器の例は、電気インピーダンス(抵抗)、次いでフローサイトメトリと光散乱、または蛍光フローサイトメトリと蛍光検出器のいずれかを利用して、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、および血小板を計数、区別、および評価する場合のある血液分析装置である。
【0029】
したがって、本開示は、診断機器および関連する試薬、消耗品、および/または使い捨ての構成成分の使用を、それがIVD使用の基準を満たすまたはそれを上回る性能および品質を保証するために、チェック、記録、および適格性確認するように構成されている、システム、方法、およびプログラムを提供する。
【0030】
図1は、本開示の態様に準拠するシステム1のブロック図である。システム1は、複数のシーケンシング機器101~N(以下、「10」)と、クライアント端末20と、サーバ30とを具備する。クライアント端末20は、サーバ30と通信することができる。本開示の一態様では、通信は、LAN(Local Area Network)などの無線ネットワークを通じてのものであってもよい。
【0031】
クライアント端末20は、サーバ30と通信するユーザ・インタフェース(ウェブベースUI)にアクセスするためのウェブ・ブラウザを具備してもよい。ユーザ・インタフェースは少なくとも、シーケンス・ランの分析プランを指定するため、(特徴のうちとりわけ)シーケンシング機器10および/または試薬を適格性確認するための適格性確認ランとしてシーケンス・ランを設定するため、ならびにサーバ分析レポートを表示または取得するために使用される。ユーザ・インタフェースについては後述する。本開示の一態様では、クライアント端末20は、インターネットを通じてサーバ30と通信する。しかし、本開示の他の態様では、アプリケーションプログラムがクライアント端末20にローカルにダウンロードされてもよいし、ユーザ・インタフェースがローカルに記憶されてもよい。また、クライアント端末20は、ラップトップや携帯電話(スマートフォン)などの携帯端末であってもよいし、デスクトップ計算機であってもよい。
【0032】
シーケンシング機器10は、アッセイのランを実行するように構成されている。シーケンシング機器10は、既製のシーケンシング機器であってもよい。例えば、シーケンシング機器は、Illumina(登録商標)から市販されている機器であってもよい。シーケンシング機器10は、(型に依存して)診断用または研究用に構成されていてもよい。
【0033】
各シーケンシング機器10は、複数のソフトウェア(ソフトウェアパッケージ)を具備する。このソフトウェアは、予めインストールされていてもよい。あるいは、ソフトウェアは更新されてもよい。ソフトウェアは、バージョン番号を有する識別子によって識別される。
【0034】
シーケンシング機器10でシーケンス・ラン(ランまたはシーケンシング・ランとも呼ばれる)が実行された後、シーケンシング機器10は、シーケンシング機器レポートを作成し、それをサーバ30に送信する。本開示の一態様では、各シーケンシング機器10は、LANなどの無線ネットワークを通じてサーバ30と通信する。シーケンシング機器レポートは、ラン情報に関する情報を含む。ラン情報は、シーケンシング機器の識別子、インストールされたソフトウェアの識別子、ランの日付、ならびに、開始日時、ランにおいて使用された試薬のロット番号、ランの一意的な識別子、およびランの結果を少なくとも含むレポートを含んでもよい。ランの結果は、例えばQ30スコアであるがこれに限定されない品質スコアを含んでもよい。シーケンス機器ランのレポートは、本明細書で具体的に明らかにされない他の情報を含んでもよい。
【0035】
試薬という用語は、試薬キット、フローセル、およびPR2ボトルを含む。各試薬は、ロット番号によって識別される。
【0036】
サーバ30は、クライアント端末20と通信する。この通信は双方向であり、これは、サーバ30がクライアント端末20から情報を受信する場合があり、クライアント端末20に情報を送信する場合があることを意味する。
【0037】
図2は、サーバ30のブロック図である。サーバ30は、CPU200と、メモリ205と、ネットワーク・インタフェース210とを具備する。
【0038】
メモリ205は、プログラムメモリ207と作業メモリ208とを含む。CPU200は、プログラムメモリ207に記憶されたプログラム(本明細書では、モジュールまたは命令としても記載される)を実行して、本明細書に記載の機能を実行するように構成されている。メモリ205は、RAM、ROM、永続性記憶装置であってもよいが、これらには限定されない。メモリ205は、例えば、データ、プログラム、命令、プログラムコード、および/または他の適切な情報であるがこれらには限定されない永続性記憶装置情報を、一時的な方法および/または永続的な方法のいずれかにより記憶することができる、ハードウェアのいずれかの部分である。
【0039】
図2には、CPU200が図示されているが、サーバ30は、GPUなどの他の種類のプロセッサを具備してもよい。本開示の他の態様では、プログラムメモリ207にプログラムされた命令を実行するCPU200の代わりに、またはそれに加えて、プロセッサは、ASIC、アナログ回路、または他の機能論理、例えばFPGA、PAL、PLAであってもよい。
【0040】
プログラムメモリ207(図3に図示)は、1つまたは複数のプログラムを有してもよい。例えば、プログラムメモリ207は、シーケンシング分析プログラム304を有してもよい。シーケンシング分析プログラム304は、シーケンシング機器10から受信したシーケンシング機器レポートに関する分析プランをCPU200に実行させる命令を含んでもよい。
【0041】
また、シーケンシング分析プログラム304は、ウェブベースUIをクライアント端末30に表示する命令を含んでもよい。例えば、このウェブベースUIは、使用者識別子およびパスコードを受け付けるログイン画面を含む。本開示の一態様では、ログイン画面は、異なるシステムモード(例えば、分析モード)を使用者が選択することを可能にする。例えば、モードは、少なくとも診断モードおよび研究モードを含む。本開示の他の態様では、モードはまた、調査モードも含んでもよい。これらの態様に準拠して、サーバは、調査モードを診断モードと同様にして扱ってもよい。
【0042】
ウェブベースUIは、異なるモードで分析プランを作成する画面を含む。異なるモード用の分析プランは異なる。
【0043】
ウェブベースUI用のソフトウェアモジュールは、分析プランを実行するソフトウェアモジュールとは別個であってもよい。本開示の他の態様では、モジュールは単一のプラットフォームに統合されていてもよい。
【0044】
プログラムメモリ207は、適格性確認/追跡プログラム302をさらに含む。適格性確認/追跡プログラム20は、CPU200によって実行される命令を含む。命令は、サーバ30に、追加のウェブベースUIをクライアント端末20に表示させ、シーケンシング機器10が適格性確認済みかどうかを判定させ、試薬が適格性確認済みかどうかを判定させ、サーバ分析レポートへのアクセスを制御させ、そして必要に応じてシーケンス機器および試薬のステータスを更新させる。
【0045】
ウェブベースUI用のソフトウェアモジュールは、シーケンシング機器10が適格性確認済みかどうかを判定し、試薬が適格性確認済みかどうかを判定し、サーバ分析レポートへのアクセスを制御し、そして必要に応じてシーケンシング機器と試薬のステータスを更新するソフトウェアモジュールとは、別個であってもよい。
【0046】
加えて、適格性確認/追跡プログラム302およびシーケンシング分析プログラム304は、プラットフォームに統合されてもよい。
【0047】
適格性確認/追跡プログラム302は、シーケンシング機器、試薬、分析プラン、シーケンシング・ラン、および事例に関するウェブベースUIを作成する命令を有する。
【0048】
例えば、シーケンシング機器用のウェブベースUIは、シーケンシング機器のリスト(識別子)および関連ステータスを含んでもよい。ステータスは、不適格性確認済み、適格性確認済み、および適格性確認の有効期限切れの場合がある。適格性確認の有効期限切れとは、シーケンシング機器が適格性確認されていたが、シーケンシング機器が適格性確認されてから、設定された期間を過ぎたことを意味する。本開示の別の態様では、ステータスは、試験されていないことを含む場合がある。ステータスは、ステータスの違いを使用者が認識するように、異なって表示されてもよい。本開示の一態様では、異なるステータスに対して異なる色を使用してもよい。例えば、適格性確認済みは緑色で、例えば、適格性確認済みという言葉が緑色で表示されてもよく、不適格性確認済みまたは適格性確認の有効期限切れは赤色で、例えば、不適格性確認済みまたは適格性確認の有効期限切れという言葉が赤色で表示されてもよい。本開示の別の態様では、ステータスに応じて、識別子を赤色または緑色で表示してもよい。
【0049】
本開示の別の態様では、ウェブベースUIは、適格性確認の有効期限切れまでの残り時間を含んでもよい。
【0050】
リストは、列の見出しを有する表の形態であってもよい。
【0051】
シーケンシング機器用の別のウェブベースUIは、その最終ランに関する情報、例えば、最終ランのタイミングを含んでもよい。このUIは、シーケンシング機器用のウェブベースUIからシーケンシング機器が選択される場合、ポップアップ画面の形態をとってもよい。
【0052】
本開示の他の態様では、シーケンシング機器用の別のウェブベースUIが、適格性確認ランに対する品質スコアを含んでもよい。
【0053】
試薬用のウェブベースUIは、試薬のリスト(ロット番号によって識別される)を含んでもよい。このリストは、キット、フローセル、PR2ボトルなどの試薬の種類と、その関連ステータスとを含んでもよい。ステータスは、不適格性確認済みおよび適格性確認済みである場合がある。本開示の他の態様では、ウェブベースUIはまた、試薬の有効期限日と、試薬が失効したことを示す表示とを含んでもよい。シーケンシング機器10の場合と同様に、試薬のステータスは、ステータスの違いを使用者が認識するようにして、異なって表示されてもよい。本開示の一態様では、異なるステータスに対して異なる色を使用してもよい。例えば、適格性確認済みは緑色で、例えば、適格性確認済みという言葉が緑色で表示されてもよく、不適格性確認済みは赤色で、例えば、不適格性確認済みという言葉が赤色で表示されてもよい。本開示の別の態様では、ステータスに応じて、識別子を赤色または緑色で表示してもよい。本開示の別の態様では、有効期限切れのロットは、赤色などであるがこれには限定されない特定の色の、有効期限切れという言葉を用いて識別されてもよい。
【0054】
リストは、列の見出しを有する表の形態であってもよい。
【0055】
試薬用の別のウェブベースUIは、適格性確認の日付と、適格性確認ランに対する品質スコアとを含んでもよい。
【0056】
ランレベル(Run Level)サーバ分析レポート(本明細書では分析プランレポートとも称される)用のウェブベースUIは、シーケンシング・ランのプラン名、説明、および開始日を含んでもよい。本開示の一態様では、ウェブベースUIは、完全なラン・レポートが保持されているかどうかの表示も有することになる(完全ラン記録は、シーケンシング・ランについてサーバ30によって作成される)。例えば、表示は、色または特定の文言であってもよい。本開示の別の態様では、完全なラン・レポートが保持されている理由が含まれてもよい。その理由は、シーケンシング機器または試薬がシーケンシング・ランの時点で適格性を確認されなかったこと、または使用された試薬が有効期限切れであることを示してもよい。
【0057】
ウェブベースUIは、事例用に表示されてもよい。このウェブベースUIは、事例番号、シーケンシング・ランの開始日、プラン名、およびアッセイ名を含んでもよい。他の態様では、ウェブベースUIはまた、使用される試験試料の名前を含んでもよい。シーケンシング・ランは、複数の事例を有してもよい。本開示の一態様では、シーケンシング・ランにおける各試験試料に対して、別個の事例が存在する。本開示の他の態様では、(シーケンシング・ランからの)複数の試験試料が単一事例に含まれてもよい。本開示の一態様では、ウェブベースUIはまた、診断分析レポート(Diagnostic Analysis Report)が保持されているかどうかの表示を有することになる(診断分析レポートは、分析プランに含まれる各試験試料(事例)について、サーバ30によって作成される)。
【0058】
ラン用のウェブベースUIは、ランの識別子、ランの開始日時、ステータス(シーケンシング実行中または失敗)、およびランが適格性確認ランであるかどうかを含んでもよい。本開示の一態様では、ランが適格性確認ランである場合、ウェブベースUIはまた、適格性確認ランのステータス(例えば、合格または失敗)の表示を有してもよい。本開示の別の態様では、ラン対する品質スコアは、ウェブベースUIに含まれてもよい。
【0059】
本開示の一態様では、ラン用のウェブベースUIはまた、ランを適格性確認ランとして選択する選択ツールを含んでもよい。選択ツールは、チェックボックス、ボタン、またはスライドスイッチであってもよい。スライドスイッチは例えば、第1の位置から、ランを適格性確認ランとして選択したことを示す第2の位置に移動するように構成されてもよい。
【0060】
本開示の一態様では、ランが適格性確認ランとして選択される場合に、別のウェブベースUIが表示されてもよい。このウェブベースUIは、何の(例えば、シーケンシング機器のみ、試薬のみ、またはシーケンシング機器と試薬の両方の)適格性確認を実施するかを識別する、別の選択ツールを含んでもよい。この選択ツールは、ラジオダイヤル、複数のチェックボックス、または複数のボタンであってもよい。このウェブベースUIは、ポップアップ・ウィンドウ(本明細書では、ポップアップとも称される)として表示されてもよい。
【0061】
本開示の別の態様では、ランが適格性確認ランとして選択される場合に、別のウェブベースUIが表示されてもよい。このウェブベースUIは、ランを適格性確認ランとして進めようと使用者が望んでいることを確認するアラートまたは警告であってもよい。例えば、ウェブベースUIは、ポップアップ・ウィンドウであってもよい。ポップアップ・ウィンドウは、「このランを適格性確認ランとしてマークすると、シーケンサと試薬のロットを適格性確認済みまたは不適格性確認済みとしてマークすることになる分析を実行します。不適格性確認済みのシーケンサ上で、または不適格性確認済みの試薬ロットを使用して実行されるアッセイは、そのレポートが保持されます。本当に続行しますか」と、読み上げる可能性がある(シーケンサをシーケンシング機器に置き換えてもよい)。他の文言を使用してもよく、その文言は本明細書に記載の例には限定されない。
【0062】
本開示の一態様では、シーケンシングが完了したシーケンシング・ランのみを、適格性確認ランとしてマークまたは指定してもよい。失敗したシーケンシング・ランは、適格性確認ランとしてマークしなくてもよい。
【0063】
本開示の別の態様では、ランが適格性確認ランとして選択される場合に、別のウェブベースUIが表示されてもよい。このウェブベースUIは、管理者がログインしている場合にのみ表示されてもよい。管理者は、ランを適格性確認ランとして非選択にしてもよい。管理者は、上記と同様にして選択ツールを使用してランを非選択にしてもよい。ウェブベースUIは、ランを非選択にしようとする管理者の要望を確認するアラートまたは警告として、ポップアップ・ウィンドウであってもよい。例えば、ポップアップは「このランを適格性確認ランとするマークを外すと、どのシーケンサや試薬ロットが適格性確認済みとしてマークされているかが変わる可能性があります。本当に続行しますか?」と、読み上げる可能性がある(シーケンサはシーケンシング機器に置き換えてもよい)。他の文言を使用してもよく、その文言は本明細書に記載の例には限定されない。
【0064】
本開示の一態様では、ウェブベースのUIの種類は、メインのウェブベースUI上の異なるタブまたはボタンを通じてアクセス可能であってもよい。本開示の他の態様では、ウェブベースUIの種類は、別個のUIであってもよい。
【0065】
本開示の一態様では、各ウェブベースUIのリストは、一番新しいものから一番古いものへの順となっていてもよい。例えば、シーケンシング・ラン用のウェブベースUIは、最も新しいシーケンシング・ランを最初に、最も古いものを最後にリスト化してもよい。
【0066】
プログラムメモリ207はまた、ホストのウェブサーバ・プログラム300を含んでもよく、このプログラムは、サーバがHTTPリクエストを受け付けて応答するのを許可する。
【0067】
作業メモリ208は、適格性確認/追跡プログラム302とシーケンシング分析プログラム304とによって使用される情報を含む。
【0068】
作業メモリ208は、型番および使用承認済ソフトウェア324を含む。型番は、シーケンシング機器10についてのものである。型番は、メーカーに特定のものである。ソフトウェアは、バージョン番号を含む、シーケンシング機器10にインストールされたある種のソフトウェアである。このソフトウェアは、シーケンシング機器制御ソフトウェアおよび一次分析ソフトウェアを含むことができる。型番およびソフトウェア324は、権限を与えられた技術者、システム設置者、またはシステム管理者などの、権限を与えられた使用者によってサーバ30に入力されてもよい。本開示の一態様では、型番およびソフトウェア324は、システム1の設置に先立って、そしてシステムの使用に先だって、入力される。本開示の他の態様では、型番およびソフトウェア324は、構成段階で、設置時にサーバ30に入力される。新しい型(モデル)が製造元から入手可能になるか、または新しいソフトウェアおよびソフトウェアバージョンが生成されると、必要に応じて、追加の型番およびソフトウェア324が、権限を与えられた使用者による更新を通じて追加されてもよい。本開示の一態様では、型番およびソフトウェアの追加には、使用者名およびパスコードを通じた認証が必要である。
【0069】
型番、およびサーバ30に記憶されたソフトウェア324は、シーケンシング機器レポートを作成したシーケンシング機器10が、承認済みソフトウェアをインストールしたものであるかどうか、そして承認された型(モデル)であるかどうかを判定するのに、引き続き使用される。
【0070】
作業メモリ208はまた、シーケンシング機器10および/または試薬のいずれかを適格性確認するのに使用することが承認されている材料(本明細書では適格性確認材料326と称する)の識別子を含む。本開示の一態様では、適格性確認材料326は、アダプタを用いて製造された、バクテリオファージ(bacteriophase)源に由来する多様なシーケンス材料である。適格性確認材料326は、他の対照/試料とともにプールされる場合、シーケンシング・メトリック(sequencing metric)を追跡するのに使用される。
【0071】
型番およびソフトウェア324と同様に、適格性確認材料326は、権限を与えられた技術者、システム設置者、またはシステム管理者などの、権限を与えられた使用者によって、設置に先立って、または設置中にサーバ30に入力されてもよい。
【0072】
サーバに記憶された適格性確認材料の識別子は、適格性確認ランとして選択されたランが適切な適格性確認材料を使用したかどうかを判定するのに引き続き使用される。
【0073】
作業メモリ208はまた、シーケンシング機器(例えば、本明細書において「310」として参照されるもの)に関する情報を含む。本開示の一態様では、シーケンシング機器10の識別子は、権限を与えられた使用者が設置時に手作業で入力してもよく、例えば、サーバ30にシーケンシング機器10を登録する。シーケンシング機器(例えば、310)に関する情報は、シーケンス機器の識別子、その適格性確認ステータス、適格性確認日、適格性確認の有効期限日、および有効期限切れが近いことを警告する時期を含んでもよい。本開示の他の態様では、情報310はまた、最終ランの日時を含んでもよい。シーケンシング機器10が初回登録される場合、適格性確認ステータスは、不適格性確認済みまたは未試験に設定され、最終ランの日時は未実装である。本開示の一態様では、情報はまた、適格性確認ランの品質スコアを含んでもよい。
【0074】
新しいシーケンシング機器10がシステム1に追加されるたびに、シーケンシング機器が登録され、作業メモリに情報が追加される(情報310)。本開示の他の態様では、シーケンシング機器の識別子は、バーコードリーダなどの無線識別リーダを通じて追加されてもよい。
【0075】
本開示の他の態様では、シーケンシング機器の識別子は、シーケンシング機器10からシーケンシング機器レポートが受信される場合に、追加される。この場合には、シーケンシング機器10は、事前登録されない。
【0076】
本開示の一態様では、各シーケンシング機器10は、それ自体の記録を作業メモリ208に有する。本開示の他の態様では、すべてのシーケンシング機器は、リストとして維持される。情報は、テーブルに含まれてもよい。
【0077】
シーケンシング機器(例えば、310)に対する作業メモリ208内の情報は、シーケンシング機器用の上記のウェブベースUIを作成するために、シーケンシング機器がシーケンシング・ランを実行する場合にシーケンシング機器が適格性確認済みかどうかを判定するために、適格性確認が有効期限切れかどうかを判定するために、そして適格性確認が有効期限切れになりそうである旨の警告をいつ発するか判定するために、サーバ30によって使用される。必要に応じて、サーバ30は、適格性確認ランに基づいて、例えば、不適格性確認済みから適格性確認済みへ、そしてその逆へ(そして適格性確認済みから適格性確認の有効期限切れへ)ステータス情報を更新する。最新の適格性確認ランがステータスを支配する。
【0078】
作業メモリ208はまた、試薬に関する情報(例えば、312)を含む。本開示の一態様では、試薬に関する特定の情報は、権限を与えられた使用者によって手作業で入力されてもよい。例えば、権限を与えられた使用者は、ロット番号(識別子)、試薬の種類、および試薬の有効期限日を入力してもよい。本開示の一態様では、試薬312に関する情報は、不適格性確認済み、適格性確認済み、および未試験を含む、その適格性確認ステータスを含んでもよい。試薬が最初に登録されると、適格性確認ステータスは、不適格性確認済みまたは未試験に設定される。本開示の一態様では、情報312はまた、試薬を有する適格性確認ランの品質スコアを含んでもよい。本開示の他の態様では、適格性確認日は情報312に含まれる。品質スコア、適格性確認ステータス、および適格性確認日は、サーバ30によって自動的に入力される。
【0079】
新しい試薬がシステム1に追加されるたびに、その試薬が登録され、作業メモリに情報が追加される(情報312)。本開示の他の態様では、バーコードリーダなどの無線識別リーダを通じて、試薬のロット番号、種類、有効期限日が追加されてもよい。
【0080】
本開示の他の態様では、試薬のロット番号、種類、および有効期限日は、シーケンシング機器10からシーケンシング機器レポートを受信する場合に追加される。この場合、試薬は事前登録されない。
【0081】
本開示の一態様では、各試薬は、それ自体の記録を作業メモリ208に有する。本開示の他の態様では、試薬のすべては、リストとして維持される。情報は、テーブルに含まれてもよい。
【0082】
試薬(例えば、312)の作業メモリ208内の情報は、試薬用の上記のウェブベースUIを生成するために、シーケンシング機器10によってシーケンシング・ランが実行される場合に試薬が適格性確認済みかどうかを判定するために、そして試薬が有効期限切れであるかどうかを判定するために、サーバ30によって使用される。必要に応じて、サーバ30は、適格性確認ランに基づいて、例えば、不適格性確認済みから適格性確認済みへ、そしてその逆へ(そして適格性確認済みから適格性確認の有効期限切れへ)ステータス情報を更新する。最新の適格性確認ランがステータスを支配する。
【0083】
作業メモリ208はまた、シーケンシング機器レポート318を含む。シーケンシング機器レポート318は、シーケンシング機器10から受信されるレポートである。上述の情報に加えて、シーケンシング機器レポートはまた、シーケンシングが完了したか失敗したかの表示を含んでもよい。シーケンシング機器レポート318は、事前設定された期間、作業メモリ208に記憶されてもよい。事前設定された期間は、作業メモリ208のサイズに基づいてもよい。
【0084】
シーケンシング機器レポート内の情報は、シーケンシング機器10および試薬が適格性確認済みかどうかを判定(レポート内の情報と、作業メモリ208内のシーケンシング機器および試薬の領域(それぞれ310および312)内の情報とを比較することによる)するのに、引き続き使用される。
【0085】
作業メモリ208はまた、ラン履歴314を含む。各シーケンシング・ランについて記録が維持される(例えば、各シーケンシング機器レポート)。ラン履歴314は、シーケンシング機器レポート318と、クライアント端末20でウェブベースUIを通じて入力された情報とから作成される。例えば、各ランについて、履歴は、ランの一意的な識別子、シーケンシング機器におけるランの開始日時、シーケンシング機器の識別子、およびシーケンシングが完了したか失敗したかを含んでもよい。この情報は、サーバ30によって、シーケンシング機器レポート318から自動的に入力される。
【0086】
本開示の一態様では、ラン履歴314は、ランが適格性確認ランとして選択されたかどうか、そして選択された場合には、適格性確認に通ったか失敗したかをさらに含んでもよい。本開示の一態様では、適格性確認ランに関する情報は、シーケンシング機器のみ、試薬のみ、またはシーケンシング機器と試薬の両方の適格性確認を実施するようにランが選択されたかどうかを含む。本開示の別の態様では、ラン履歴314は、シーケンシング・ランが、不適格性確認済みのシーケンシング機器で実行されたか、または不適格性確認済みの試薬を用いて実行されたかどうかの情報を含んでもよい。本開示の他の態様では、ラン履歴314は、品質スコアをさらに含んでもよい。本開示の他の態様では、ラン履歴314は、試薬の有効期限日をさらに含んでもよい。本開示の一態様では、ラン履歴は、完全なラン・レポートを含んでもよい。
【0087】
ラン履歴314は、上記のウェブベースUIのうちの特定のものを作成するのに、サーバ30によって使用されてもよい。
【0088】
作業メモリ208はまた、事例履歴328を含む。事例履歴は、設置以降にサーバ30上で分析されたすべての事例を含む。また、事例履歴はまた、診断分析レポートや研究分析レポートなどの事例レポートを含んでもよい。作業メモリ208に記憶された事例履歴328は、サーバ30によって、上記のウェブベースUIのうちの特定のものを作成するのに使用される。
【0089】
作業メモリ208はまた、分析プラン316を含む。分析プラン316は、クライアント端末20側の使用者によりウェブベースUIを用いて作成される。使用者は、いったんログインすると、分析プラン316を生成してもよい。分析の種類は、ログインのモード、例えば、診断バース研究(diagnostic verse research)によって判定されてもよい。診断モードでは使用者は、診断分析のためのプランを作成してもよく、研究モードでは使用者は、研究分析のためのプランを生成してもよい。本開示の他の態様では、使用者は、分析プランにおいて、モード、例えば診断モードまたは研究モードを指定してもよい。
【0090】
分析プラン316は、アッセイの識別子、シーケンシング・ラン(一意的な識別子)、プラン名、およびプランの記載を含む。また、分析プラン316はまた、試料(および試料の種類、例えば外部対照や検体)を含んでもよい。作業メモリ208に記憶された分析プラン316は、上記のウェブベースUIのうちの特定のものを作成するために、サーバ30によって使用される。
【0091】
また、作業メモリ208はまた、サーバ分析レポート322を含む。サーバ分析レポート322は、サーバ30によって作成されるレポートであり、シーケンシング・ランについての使用者により定義された分析プラン316に基づいて、シーケンシング分析プログラム304を使用して、(作業メモリ208に記憶されたシーケンシング機器レポート318のデータを使用して)作成される。サーバ分析レポート322は、完全なラン・レポート(ランレベルのレポート)、診断モードの場合の診断分析レポート(事例レベルのレポート)、および研究モードの場合の研究分析レポート(事例レベルのレポート)を含む。本開示の一態様では、サーバ30は、分析プランも作成されている適格性確認ランについて、分析レポートを作成してもよい。
【0092】
本開示の態様に準拠して、サーバ30(適格性確認/追跡プログラム302を実行するCPU200)は、(レポートに含まれる)シーケンシング・ランが不適格性確認済みのシーケンシング機器によって実行された場合、またはシーケンシング・ランが不適格性確認済みの試薬を使用した場合、診断分析レポートを保持/任意のウェブベースUIによる診断分析レポートへのアクセスを防止してもよい。
【0093】
作業メモリ208はまた、登録された使用者の使用者名/パスコードを含む。登録された使用者には、使用権利に基づいて異なる種類がある。システム1は、層になったまたは階層的な権利を有する。例えば、権限を与えられたサーバ設置者またはサーバ技術者が、最も多くの権利を有してもよい。これらの権利はとりわけ、承認されたシーケンシング型と、ソフトウェア324と、適格性確認材料326との更新を含んでもよい。管理者は、上記未満の一組の権利を有してもよい。これらの権利は、保持/制限された診断分析レポートを公開すること、適格性確認ランからランを削除すること、シーケンシング機器の適格性確認期間を変更すること、および警告時間を変更することを含んでもよい。また、権利はまた、シーケンシング機器10および試薬を追加(例えば、登録)することを含んでもよい。定期的なまたは通常の使用者は、上記で識別された活動を含まないが、ウェブベースUIを閲覧すること、シーケンシング・ランを適格性確認ランとして選択すること、公開されたサーバ分析レポートを検討すること、および分析プランを作成することは含むという、より少ない権利を有する場合がある。
【0094】
管理者および権限を与えられたサーバ設置者またはサーバ技術者は、定期的なまたは通常の使用者のすべての権利を有する。
【0095】
図5~8は、本開示の態様に準拠する、シーケンシング機器および試薬の使用を適格性確認、チェック、および監視する方法のフローチャートである。図5~8に図示されている機能は、プログラムメモリ207に記憶されているプログラムを実行するサーバ30(CPU200)によって実行される。本明細書は、機能を記載する場合に、サーバ30またはCPU200を使用する場合がある。
【0096】
この機能は、図示される順序以外の順序で実行されてもよく、そして特定の機能が同時に実行されてもよい。例えば、シーケンシング機器10からシーケンシング機器レポート318を受信することは、S502で使用者がログインするのと同時に行われてもよい。また、分析プランは、シーケンシング・ランの前、最中、または後に生成されてもよい。分析プランがシーケンシング・ランの前またはその最中に生成される場合、サーバは、試薬のロット番号を用いて分析プランを識別する。分析プランがシーケンシング・ランの後に生成される場合、ウェブベースUIは、利用できるシーケンシング・ランのリストを有することになる。このリストは、シーケンシング・ランを選択するドロップダウン・ウィンドウの形態をとってもよい。
【0097】
S500では、サーバ30は、シーケンシング機器10からシーケンシング機器レポート318を受信する。サーバ30は、ネットワーク・インタフェース210(無線インタフェースであってもよいもの)を通じてレポートを受信する。CPU200は、レポート318を作業メモリ208に記憶する。
【0098】
S502に先立ち、サーバ30は、システム1にログインするためのウェブベースUIの表示リクエストを受信する。サーバ30は、表示用のウェブベースUIをクライアント端末20に送信する。クライアント端末20では、使用者がウェブ・ブラウザを用いて、サーバ用にURLを入力する。
【0099】
S502では、サーバ30は、使用者が(ネットワーク・インタフェース210を通じて)入力した使用者IDおよびパスコードを受信する。CPU200はS504で、受信した使用者IDおよびパスコードを、作業メモリ208に記憶された使用者名およびパスコード320と比較して、権限を与えられたアクセスが存在するかどうかを判定する。一致しない(S504で「いいえ」)場合には、使用者はS505で、システム1へのアクセスを拒否される。サーバ30は、ログイン失敗メッセージを送信する。一致する(S504で「はい」)場合には、CPU200は、関連する権利、例えば、権限を与えられた設置者、管理者、または通常の使用者を判定する。S506では、CPU200は、特定の種類の使用者に許可されたウェブベースUIを表示する。本開示の一態様では、使用者がログインする場合に、使用者は特定のモード(診断または研究)を選択し、よって、本開示のこの態様に準拠して、S506はまた、選択されたモード用のウェブベースUIを表示することを含む。ウェブベースUIは、ネットワーク・インタフェース210によって送信される。上述のとおり、ウェブベースUIは、作業メモリ208の情報を用いて表示される。例えば、ラン用のウェブベースUIは、ラン履歴314の情報に従って表示される。シーケンシング機器用のウェブベースUIは、シーケンシング機器(310)の情報に従って表示され、試薬用のウェブベースUIは、試薬312の情報に従って表示される。
【0100】
上述のとおり、使用者は、ウェブベースUIを通じて分析プラン316を生成してもよく、そしてシーケンシング機器のみ、試薬のみ、またはシーケンシング機器と試薬の両方のための適格性確認ランとして、シーケンシング・ランを指定してもよい。シーケンシング・ランは、ラン用のウェブベースUIを通じて、または分析プラン自体の中で、適格性確認ランとして指定されてもよい。
【0101】
S508では、サーバ30は、分析プラン316(適格性確認ランの指定有りまたは無しのもの)を受信する。本開示の一態様では、サーバ30は、適格性確認ランの別個の指定を受信してもよい。CPU200は、分析プラン316を作業メモリ208に記憶する。本開示の一態様では、使用者がシーケンス・ランを適格性確認ランとして指定した場合、分析プラン316は受信されなくてもよい。本開示の他の態様では、シーケンシング・ランが、適格性確認材料326に加えて試料も含む場合に、適格性確認ランとして指定されたランに対して分析プラン316が作成されてもよい。適格性確認ランとして指定されたランに対して分析プランが生成される場合、本開示の一態様では、シーケンシング機器および試薬が適格性確認済みかどうかの分析が最初に行われてもよい。
【0102】
S510では、CPU200は、シーケンシング・ランが適格性確認ランとして指定されているかどうか、例えば、サーバ30がウェブベースUIからの指定を受信したかどうか、またはシーケンシング・ランが適格性確認ランであることを分析プラン316が示しているかどうかを判定する。
【0103】
シーケンシング・ランが適格性確認ランとして指定されているとCPU200が判定する場合、S600が実行される。図6に、適格性確認分析を例示する。S600では、CPU200は、使用者が適格性確認ランに何を、例えば、シーケンシング機器のみ、試薬のみ、およびシーケンシング機器と試薬の両方を指定したか判定する。本開示の一態様では、試薬は、異なるシーケンシング機器上で適格性確認されてもよく、よって、再度、適格性確認される必要はない可能性がある。加えて、本開示の一態様では、シーケンシング機器10は、異なる試薬を用いて適格性確認されたものであってもよく、よって、適格性確認が有効期限切れにならない限り、再度、適格性確認される必要はない可能性がある。
【0104】
シーケンシング機器のみを適格性確認するシーケンシング・ランを使用者が指定したとCPU200が判定する場合、CPU200はシーケンシング・ランのみに対する分析を実行する。CPU200は、作業メモリ208から、シーケンシング・ランに対するシーケンシング機器レポート318を検索する。S602では、CPU200は、シーケンシング・ランに対するレポートを作成したシーケンシング機器10の型(モデル)およびそれにインストールされているソフトウェア(およびバージョン)について、型番(モデル番号)およびソフトウェア(およびバージョン)を識別する。また、CPU200は、承認されており、また作業メモリ208に記憶されている、型番およびソフトウェア324を検索する。CPU200は、シーケンシング機器の型番およびそれにインストールされているソフトウェア(およびバージョン)を、承認されている型番およびソフトウェア324と比較して(S604で)、(シーケンシング機器についての)型およびソフトウェアが承認されているかどうかを判定する。
【0105】
型番および/またはソフトウェア(およびバージョン)が作業メモリの承認済み情報と一致しないとCPU200が判定する場合(S604で「いいえ」)、シーケンシング機器は適格性確認されず、S606でシーケンシング機器についてのステータスは、不適格性確認済みに設定される(または不適格性確認済みのまま維持される)。CPU200は、シーケンシング機器についてのステータス情報(310に記憶されたもの)を不適格性確認済みに更新する。CPU20はまた、シーケンシング・ランのラン履歴614を更新する。
【0106】
S608では、CPU200は、シーケンシング機器が不適格性確認済みである旨の通知をウェブベースUIに表示する。本開示の一態様では、使用者がまだシステム1にログインしている場合には、ウェブベースUIはステータスの変化とともに更新される。本開示の一態様では、使用者がシステム1からログアウトしている場合には、引き続くログインの結果、シーケンシング機器用とラン用のウェブベースUIが更新される可能性がある。本開示の別の態様では、ポップアップ・ウィンドウが表示されてもよい。
【0107】
本開示の一態様では、CPU200は、S620で、診断モード分析の選択を無効にしてもよい。これは、システム1内に適格性確認済みのシーケンシング機器101~Nが存在しない場合に実行される場合がある。本開示のこの態様では、使用者がその後、システム1にログインしようとする場合に、ログイン用のウェブベースUIは、「診断モード」(のみ)のボタンを含まなくてもよい。本開示の他の態様では、ウェブベースUIはボタンを含んでもよいが、しかし、ボタンは選択できない状態で表示されてもよい。本開示の他の態様では、CPU200は、ログイン処理に影響を及ぼすのではなく、診断分析に対する分析プランをウェブベースUIが生成するのを禁止してもよい。
【0108】
本開示の別の態様では、CPU200は、シーケンシング機器が不適格性確認済みである場合に診断モード分析の選択を無効にするのではなく、分析プランの生成時にシーケンシング機器が選択される場合にウェブベースUIに警告を表示させてもよい。ウェブベースUIは、シーケンシング機器が不適格性確認済みである場合であってもシーケンシング機器を選択するボタンや選択ツールを備えた、ポップアップ・ウィンドウであってもよい。
【0109】
型番とソフトウェア(およびバージョン)の両方が作業メモリ内の承認済み情報と一致するとCPU200が判定(S604で「はい」)する場合、CPU200は、次いで、適切な適格性確認材料が使用されたかどうかを判定する。CPU200はS610で、シーケンシング機器レポート318の作成に使用された適格性確認材料の識別子(レポート内で識別されるもの)と、作業メモリ208に記憶された適格性確認材料326とを比較する。適切な材料が使用されなかった、例えば、不一致である(S610で「いいえ」)とCPU200が判定する場合、このCPUは、シーケンシング機器が不適格性確認済みである(または不適格性確認済みのままである)と判定し、S606~S610が実行される。S606~S610については上述したので、再び説明はしない。
【0110】
適切な材料が使用された、例えば、一致した(S610で「はい」)とCPU200が判定する場合、CPU200は次いで、シーケンシング・ランに対する品質スコアを調査する。例えば、Q30スコアを用いて適格性確認を判定してもよい。調査は、他の統計的パラメータまたは品質メトリックに基づいてもよく、本開示は、品質スコアの使用のみには限定されない。例えば、適格性確認はまた、シーケンシング・ランに対する、増幅された核酸の総収量によって判定されてもよい。
【0111】
シーケンシング・ランの品質スコアは、シーケンシング機器10によって作成され、シーケンシング機器レポート318に含まれる。S614では、CPU200は、品質スコア(または他のいずれかの統計パラメータ)を、事前設定された閾値と比較する。事前設定された閾値は、メモリ205に記憶されている。例えば、事前設定された閾値は、70%から80%の間、例えば70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%であってもよい。他の事前設定された閾値を使用してもよく、本開示は、開示された閾値には限定されない。
【0112】
統計値、例えば、Q30が、事前設定された閾値未満である(S614で「はい」)とCPU200が判定する場合、CPU200は、シーケンシング機器が不適格性確認済みである(または不適格性確認済みのままである)と判定し、S606~S610が実行される。S606~S610については上述したので、再び説明しない。
【0113】
統計値、例えばQ30が、事前設定された閾値以上である(S614で「いいえ」)とCPU200が判定する場合、CPU200は、シーケンシング機器が適格性確認済みである(または適格性確認済みのままである)と判定する。S616では、CPU200は、シーケンシング・ランを実行したシーケンシング機器のステータスを適格性確認済みに設定する。CPU200は、シーケンシング機器についてのステータス情報(310に記憶されたもの)を適格性確認済みに更新する。CPU200はまた、ラン履歴314を更新する。
【0114】
実施形態では、Q30スコアと、増幅された核酸の総収量との両方が、適格性確認を判定するのに使用される。両方が使用される場合、Q30スコアの予め設定された閾値は、70%から80%の間、例えば75%であり、総収量の事前設定された閾値は、85%から95%の間、例えば90%である。一実施形態では、Q30が、事前設定された閾値である75%以上であり、総収量が、事前設定された閾値である90%以上であるとCPU200が判定する場合、シーケンシング・ランが適格性確認される。
【0115】
S618では、CPU200は、シーケンシング機器が適格性確認済みである旨の通知をウェブベースUIに表示する。本開示の一態様では、使用者がまだシステム1にログインしている場合には、ウェブベースUIはステータスの変化とともに更新される。その後、CPU200はS512に戻る。
【0116】
試薬のみが使用者によって選択される場合は、同様の適格性確認分析が試薬に対して行われる。例えば、S602、S604、S610は同一である。型番とソフトウェアが承認されており、適格性確認材料が適切である(S604とS610で「はい」)場合、CPU200はS628で、シーケンシング・ランにおいて使用される試薬の有効期限日をチェックする。CPU200は、記憶されているシーケンシング機器レポート318から、シーケンシング・ランに使用されるロット番号を取得し、作業メモリ208から、対応する試薬の試薬情報を検索する(試薬312に記憶)。S630では、CPU200は、現在の日付と有効期限日とを比較する。CPU200は、日付を備えた時計を有する。現在の日付が有効期限日よりも後である場合、試薬は有効期限切れとなる。試薬が有効期限切れと判定される(S630で「はい」)場合、CPU200はS622に移行する。
【0117】
その他、CPU200は、S612および614について上記と同じようにして、シーケンシング・ランの品質スコア(統計的パラメータ)を調査する。
【0118】
統計値、例えば、Q30が事前設定された閾値以上であるとCPU200が判定する場合、CPU200は、試薬が適格性確認済みである(または適格性確認済みのままである)と判定する。S632では、CPU200は、シーケンシング・ランで使用された試薬のステータスを、適格性確認済みに設定する。また、CPU200は、試薬のステータス情報(312に記憶されているもの)を適格性確認済みに更新する。CPU200はまた、ラン履歴314を更新する。
【0119】
S618では、CPU200は、試薬が適格性確認済みである旨の通知をウェブベースUIに表示する。本開示の一態様では、使用者がまだシステム1にログインしている場合には、ウェブベースUIはステータスの変化とともに更新される。その後、CPU200はS512に戻る。
【0120】
型番またはソフトウェアが承認されていない、または適格性確認材料が適切でない、または試薬が有効期限切れである、または品質スコアが、事前設定された閾値未満である(S604およびS610で「いいえ」、S630およびS614で「はい」)場合、CPUはS622で、試薬についてのステータスを不適格性確認済み(または不適格性確認済みのまま)に設定する。CPU200は、試薬についてのステータス情報(312において記憶されているもの)を不適格性確認済みに更新する。CPU200はまた、ラン履歴314を更新する。
【0121】
S624では、CPU200は、試薬が不適格性確認済みである旨の通知をウェブベースUIに表示する。本開示の一態様では、使用者がまだシステム1にログインしている場合には、ウェブベースUIはステータスの変化とともに更新される。
【0122】
本開示の一態様では、試薬がいかなる理由からであっても不適格性確認済みである場合、サーバ30は、その試薬を用いた診断分析を防止してもよい。S626では、CPU200は、分析プランに含まれるべき利用できる試薬のリストから、不適格性確認済みの試薬を除いてもよい。本開示の一態様では、分析プランを生成するためのウェブベースUIは、利用できる試薬のリストを有するドロップダウン・ウィンドウを含んでもよい。リストは、試薬312の情報を用いて作成されてもよい(適格性確認済みの試薬のみ対して)。したがって、本開示の態様に準拠して、分析プランに対して不適格性確認済みの試薬を使用者が選択しようとするのを防止してもよい。
【0123】
本開示の他の態様では、試薬が有効期限切れであると判定される場合、CPU200は、試薬が有効期限切れになったことを試薬の廃棄命令とともに示すポップアップ・ウィンドウを、ウェブベースUIとして表示してもよい。ポップアップ・ウィンドウは、確認ボタンや無視ボタンを有してもよい。
【0124】
使用者がシーケンシング機器と試薬の両方の適格性確認を実施するシーケンシング・ランを指定する場合、両方の組の分析が実行され、再び記載されることはない。試薬およびシーケンシング機器に対して機能が同一である場合、機能は一度だけ実行されてもよい。例えば、シーケンシング機器と試薬の両方が適格性確認のために選択されると、S602が実行される可能性がある。
【0125】
図5に戻ると、使用者がシーケンシング・ランを適格性確認ランとして指定しなかったとCPU200が判定し(S510で「いいえ」)、分析プラン316がシーケンシング・ランに対して受信される場合、CPU200はS514で、分析用のモードと判定する。本開示の一態様では、判定は、ログインモード、例えば、使用者がログイン時に診断を選択したかまたは研究を選択したかに基づいてもよい。本開示の他の態様では、判定は、分析プランの情報に基づく。
【0126】
S516では、CPU200は、分析モードが診断モードであるかどうかを判定する。モードが研究モードであると判定される場合、CPU200は、分析プラン316に記載のとおりの分析を実行し、分析プランに含まれる事例についての研究分析レポートと、完全なラン・レポートとを作成し、これらを作業メモリ208内に(322に)記憶する。研究分析レポートは、分析プラン中の各事例に対して作成される。S518では、CPU200は、不適格性確認済みであったシーケンシング機器上で、または不適格性確認済みである試薬を使用してシーケンシング・ランが実行された場合であっても、研究分析レポートおよび完全なラン・レポートへのアクセスを可能にする。本開示の一態様では、CPU200は、少なくとも事例履歴328を、利用できるレポートのステータスとともに更新する。事例履歴はまた、分析プランにおける各事例に対してそれぞれ作成された研究分析レポートを含んでもよい。本開示の一態様では、分析プランは、作業メモリ内の完全なラン・レポートとともに更新される。本開示の一態様では、記憶場所用の識別子が含まれてもよい。本開示の一態様では、使用者がシステム1にまだログインしている場合、ウェブベースUIは、作成されたレポートについてのステータスの変化とともに更新される。本開示の一態様では、使用者がシステム1からログアウトしている場合、引き続くログインの結果、ランレベルのサーバ分析レポート用、分析プラン用、および事例用のウェブベースUIが更新される可能性がある。本開示の別の態様では、ポップアップ・ウィンドウが表示されてもよい。
【0127】
モードが診断モードであると判定される場合、CPU200は、分析プランに記載のとおりの診断分析を実行し、分析プラン316における各事例についての診断分析レポートと、シーケンシング・ランについての完全なラン・レポートとを作成する。作成されたレポートは、ワークメモリ208に記憶される(サーバ分析レポート322)。
【0128】
また、CPU200は、診断分析レポートや完全なラン・レポートを保持すべきか、アクセスのために公開すべきかを判定する。この判定を図7に示す。S700では、CPU200は、シーケンシング機器の型番、およびそれにインストールされているソフトウェア(およびバージョン)をチェックする。CPU200は、型番、およびシーケンシング・ランについてのシーケンシング機器レポート318を作成したシーケンシング機器にインストールされているソフトウェア(およびバージョン)を、レポート318から識別する。CPU200はまた、型番、および承認されており作業メモリ208に記憶されてもいるソフトウェア324を検索する。CPU200は、型番、およびシーケンシング機器にインストールされているソフトウェア(およびバージョン)を、型番および承認されているソフトウェア324と比較して(S702で)、(シーケンシング機器についての)型およびソフトウェアが承認されているかどうかを判定する。型番とソフトウェアのいずれかが承認されていない場合、S710において、作成された診断分析レポートはサーバ30に保持され、そのレポートへのアクセスが防止される(ウェブベースUIでは見られなくなる)。保持される診断分析レポートは、作業メモリ208においてステータス「保持」としてマークされる。ウェブベースUIを求めるリクエストをサーバ30が受信すると、サーバ30は、「保持」とマークされたいずれのレポートも取り出さない。本開示の別の態様では、完全なラン・レポートもまた、サーバに保持されてもよく、そのレポートへのアクセスが防止される。
【0129】
型番とソフトウェアの両方が承認されている(S702で「はい」)場合、CPU200はS704で、レポートを作成したシーケンシング機器が適格性確認済みかどうかを判定する。CPUは、シーケンシング機器の識別子に対して、(シーケンシング・ランに対する)シーケンシング機器レポート318を調査し、作業メモリ208に記憶されたステータスを検索する(310において)。ステータスが、不適格性確認済み、または適格性確認の有効期限切れ、または未試験である(S704で「いいえ」)場合、作成された診断分析レポートはサーバ30に保持され、そのレポートへのアクセスはS710で防止される。再び、本開示の一態様では、完全なラン・レポートもまた、サーバに保持されてもよく、そのファイルへのアクセスが防止される。
【0130】
シーケンシング機器レポート318を作成したシーケンシング機器についてのステータスが適格性確認済みである(S704で「はい」)場合、CPU200はS706で、シーケンシング・ランにおいて使用される試薬が適格性確認済みかどうかを判定する。CPUは、シーケンシング機器レポート318(シーケンシング・ラン用)を調査し、試薬の識別子を調べ、それについてのステータスを検索する。ステータスが不適格性確認済みまたは未試験である(S706で「いいえ」)場合、作成された診断分析レポートはサーバ30に保持され、そのレポートへのアクセスがS710で防止される。再び、本開示の一態様では、完全なラン・レポートもまた、サーバに保持されてもよく、そのファイルへのアクセスが防止される。
【0131】
試薬についてのステータスが適格性確認済みである(S706で「はい」)場合、作成された診断分析レポートおよび完全なラン記録へのアクセスが、S708で許可される。本開示の一態様では、CPU200は、シーケンシング・ランが開始される時点で、シーケンシング機器および試薬についての適格性確認に注目する。したがって、CPU200は、シーケンシング機器レポートから開始時間を検索し、この時間を、試薬とシーケンシング機器の両方についての適格性確認日時と比較する。したがって、シーケンシング機器および試薬が適格性確認済みであるが、シーケンシング・ランの開始後である場合があり得る。本開示のこの態様では、診断分析レポートもまた保持されてもよい。また、本開示の他の態様では、完全なラン・レポートもまた保持されてもよい。
【0132】
本開示の一態様では、CPU200は、少なくとも事例履歴328を、利用できるレポートのステータスとともに更新する。本開示の一態様では、記憶場所用の識別子が含まれてもよい。本開示の一態様では、使用者がシステム1にまだログインしている場合、ウェブベースUIは、作成されたレポートについてのステータスの変化とともに更新される。本開示の一態様では、使用者がシステム1からログアウトしている場合、引き続くログインの結果、ウェブベースUIが更新される可能性がある。本開示の別の態様では、ポップアップ・ウィンドウが表示されてもよい。
【0133】
診断分析レポートまたは完全なラン記録が保持されている場合、ステータスの通知がS712で表示される。本開示の一態様では、使用者がまだシステム1にログインしている場合、ウェブベースUIは、診断分析レポートに対するステータスの変化とともに更新される。本開示の一態様では、保持されている言葉が、事前設定された色、例えば赤で表示されてもよい。本開示の一態様では、使用者がシステム1からログアウトした場合、引き続くログインの結果、診断分析レポートまたは完全なラン記録が保持されていることを示すウェブベースUIが更新される可能性がある。本開示の別の態様では、ポップアップ・ウィンドウが表示されてもよい。
【0134】
上述のとおりランが、適格性確認ランとして設計されてもよく、そしてまた、分析プラン316を作成することによって分析用に指定されてもよい。この場合、適格性確認分析が最初に行われてもよい。試薬および/またはシーケンシング機器が、適格性確認ランに基づいて適格性確認済みである場合、分析プラン316として記載のとおりの分析が実行されてもよい。例えば、S618の後、CPU200はS512で、適格性確認ランが試料ランでもあるかどうかを判定し、例えば分析プランが作成される。
【0135】
分析プランが作成されていない、例えば、適格性確認ランのみであると判定される場合、シーケンシング・ランの分析はS520で終了し、そうでない場合、分析はS514に進む。
【0136】
いったん、シーケンシング機器10または試薬が適格性確認されると(または、試薬が適格性確認されていなくても)、サーバ30は、ステータスの監視を続ける。例えば、S800では、CPU200は、作業メモリに記憶された登録済みの試薬(試薬312)それぞれの有効期限日を監視する。S802では、CPU200は、いずれかの試薬が有効期限切れかどうかを判定する。試薬が有効期限切れである(S802で「はい」)場合、CPU200はS622~S626を実行するが、これらは上述してあるので再度の説明は省略する。
【0137】
いずれの試薬も有効期限切れでない(S802の「いいえ」)場合、CPU200は、シーケンシング機器に対して、S800における監視に基づき、現在の日付が警告日または通知日に達したかどうかを判定する(S804)。現在の日付が警告日に等しい(S806で「はい」)場合、CPU200はS808で、ウェブベースUIに通知を表示する。本開示の一態様では、通知は、ポップアップ・ウィンドウであってもよい。現在の日付が警告日の後である(S806で「後」)場合、CPU200は、S810に移行し、いずれかのシーケンシング機器の適格性確認期間が有効期限切れであるかどうかを判定する。CPU200は、作業メモリ208に登録されている各シーケンシング機器10に対して適格性確認期間を監視する。この判定は、現在の日付と、各シーケンシング機器の記録に記憶された適格性確認期間についての有効期限日(適格性確認済みである場合)とに基づく。
【0138】
シーケンシング機器の適格性確認期間が有効期限切れである(S810で「はい」)場合、CPU200は、S812で、シーケンシング機器についてのステータスを適格性確認済みから適格性確認の有効期限切れに変更する。CPU200は、作業メモリ208内のステータスを更新する(312の場合)。S814では、CPU200は、クライアント端末10において通知を表示させる。例えば、CPU200は、ウェブベースUIに、適格性確認期間が有効期限切れであることを示すポップアップ・ウィンドウを表示させ、使用者にシーケンシング機器の適格性確認するよう促してもよい。本開示の一態様では、ポップアップ・ウィンドウは、確認ボタンを有してもよい。加えて、本開示の態様では、シーケンシング機器用のウェブベースUIは、更新されたステータスを含むことになる。更新されたステータスは、特定の色(例えば赤)であってもよい。
【0139】
現在の日付があらゆる警告日より前である場合、CPU200はS800に移行する。
【0140】
本開示の一態様に準拠して、シーケンス機器にインストールされているソフトウェアまたはソフトウェアのバージョンが更新される場合、シーケンシング機器が不適格性確認済みであると宣言される。本開示の一態様では、管理者は、システム1にログインしてもよく、そしてウェブベースUIを通じて、新しいソフトウェアがシーケンシング機器にインストールされたこと、または新しいバージョンのソフトウェアがインストールされたことを表示してもよい。その表示が、シーケンシング機器を識別することになる。ネットワーク・インタフェース210を通じた受信に応答して、CPU200は、作業メモリ内(310内)のシーケンシング機器についてのステータスを、以前に適格性確認済みであった場合には不適格性確認済みに更新する。本開示の一態様では、CPU200は、(更新が診断分析レポートのステータスに影響する場合があるため)更新を確認する確認画面またはボックスをウェブベースUIが有するようにさせてもよい。例えば、確認画面は、「このアクションにより、シーケンサが不適格性確認済みになります」(シーケンシング機器)という表示、そして適格性確認ランの実行に成功するまで、シーケンシング機器が不適格性確認済みのままである可能性があるという表示を行ってもよい。他の語句を使用してもよく、その文言は本明細書に記載の文言には限定されない。
【0141】
続いて、CPU200は、クライアント端末10において通知を表示させてもよい。例えば、CPU200は、ウェブベースUIに、シーケンス機器が不適格性確認済みであることを示す、そしてシーケンシング機器を適格性確認するよう使用者に促すポップアップ・ウィンドウを表示させてもよい。本開示の一態様では、ポップアップ・ウィンドウは、確認ボタンを有してもよい。加えて、本開示の態様では、シーケンシング機器用のウェブベースUIは、更新されたステータスを含むことになる。更新されたステータスは、特定の色(例えば赤)であってもよい。
【0142】
本開示の態様によれば、前の2つの段落における記載のとおり、シーケンシング機器に対してソフトウェアおよびバージョンの情報が入力されるのに加えて、ハードウェアの更新が入力されてステータスに同一の結果が生じてもよく、例えば、以前に適格性確認済みであった場合にはシーケンシング機器についてのステータスが不適格性確認済みに設定されてもよい。
【0143】
本開示の態様に準拠して、管理者は、(使用者IDおよびパスコードを用いて)システム1にログインして、保持されている診断分析レポートを公開してもよい。本開示の一態様では、保持されている診断分析レポートを公開する前に、トラブルシューティング手順が完了することになる。本開示の一態様では、管理者のウェブベースUIは、保持されている診断分析レポートのリストを、対応する選択ツールとともに含んでもよい。例えば、選択ツールは、ボタンまたはチェックボックスであってもよい。ツールを使用して診断分析レポートが公開されることになるという表示を管理者が行う場合、その命令はネットワーク・インタフェース210を通じてサーバ30によって受信される。本開示の一態様では、CPU200は、ウェブベースUIに、管理者にパスコードの再入力を求めるウィンドウを表示させてもよい。CPU200は、管理者により公開されたレポートを、ウェブベースUIによるアクセスに利用できるようにする。例えば、CPU200は、ラン履歴314を更新する。更新されたラン履歴は、ウェブベースUIの生成に使用される。本開示の他の態様では、新しい診断レポートが利用できることを示すポップアップ・ウィンドウが表示されてもよい。
【0144】
本開示の一態様では、管理者がシーケンシング・ランを適格性確認ランから変更し、これが診断分析レポートの保持に影響するという状況があり得る。例えば、シーケンシング・ランが適格性確認に失敗した場合に、ならびに/または使用されているシーケンシング機器および/もしくは試薬のいずれかが現在、適格性確認済みである場合に、適格性確認ランを変更することで、保持されている診断分析レポートが公開される場合がある。この場合、本開示の一態様では、CPU200は、確認ボタンやキャンセルボタンなどの選択ツールを用いて適格性確認ランの変更を確認するポップアップ・ウィンドウを、ウェブベースUIに表示させてもよい。このポップアップ・ウィンドウはまた、「このアクションの結果として、現在保持されているレポートは公開されます」などの機能を含んでもよい。
【0145】
本開示の一態様では、保持されている診断分析レポートで使用された試薬が適格性確認済みである(不適格性確認済みにならなかった後)場合、診断分析レポートが公開される。
【0146】
本開示の一態様では、シーケンシング機器10および試薬の性能を経時的に追跡および傾向分析する目的で品質メトリックが保存されてもよい。このシナリオでは、適格性確認材料326を追加した、診断または研究のいずれかのシーケンシング・ランに対して、品質メトリックが捉えられる可能性がある。これらのデータは、徐々に劣化するが依然合格する可能性がある品質を識別するために、傾向分析される可能性がある。システム1が品質の低下傾向を検出する場合、使用者はウェブベースUIを通じて、シーケンシング機器10および/または試薬が損なわれている可能性のあることを通知されることになる。使用者は次いで、次の診断または研究のランのために、別のシーケンシング機器または試薬のロットを選択することができる可能性がある。あるいは、使用者は、先に進む前に性能を確認するために、機器10または試薬ロット上で完全な適格性確認ランを実行することができる可能性がある。
【0147】
本開示の別の態様では、複数のシーケンシング機器10が配置された実験室内に、中央ディスプレイが配置されてもよい。中央ディスプレイは、すべてのシーケンシング機器とそれらに対応するステータス、および試薬とそれらに対応するステータス(有効期限日を含む)を示すダッシュボードを表示してもよい。各ステータスは、上記のとおり特定の色で表示されてもよい。本開示のこの態様では、中央ディスプレイは、サーバ30と通信するように構成されている無線通信インタフェースを含んでもよい。シーケンシング機器10または試薬についてのステータスが変更される場合、サーバ30は、変更されたステータスを中央ディスプレイに送信してもよく、更新されたステータスを中央ディスプレイが表示することになる。
【0148】
本開示の別の態様では、各シーケンシング機器は、シーケンシング機器の近くに配置された対応する通知装置を有してもよい。通知装置は、光表示器またはディスプレイパネルであってもよい。権限を与えられた設置者によって通知装置が設置される場合、通知装置は、シーケンシング機器に関連付けられ登録される。作業メモリ208内のサーバ30は、通知装置用のネットワークアドレスを追加することになる。本開示の他の態様では、通知装置は、サーバ30と対になっていてもよい。いったん登録されると、サーバは、関連するシーケンシング機器についてのいずれかのステータス情報を、表示用の通知装置に通信してもよい。例えば、シーケンシング機器が不適格性確認済みでない場合、光表示器が赤色の光を発し、シーケンシング機器が適格性確認済みである場合、光表示器が緑色の光を発してもよい。
【0149】
本明細書に記載の色は例であり、記載の表示には他の色を使用してもよい。
【0150】
本開示の様々な態様は、プログラム、ソフトウェア、または計算機もしくは機械が使用可能または可読な媒体に具現化もしくは記憶される計算機命令、または計算機、プロセッサ、および/もしくは機械上で実行される場合に、計算機もしくは機械に方法のステップを実行させる一群の媒体群として、具現化されてもよい。本開示に記載の様々な機能性および方法を実行する機械によって実行可能な命令のプログラムを有形のものとして具現化する、機械により可読なプログラム記憶装置、例えば計算機可読媒体もまた提供され、これは例えば、計算機プログラム製造物である。
【0151】
計算機可読媒体は、計算機可読記憶装置または計算機可読信号媒体である可能性がある。計算機可読記憶装置は、例えば、磁気的、光学的、電子的、電磁気的、赤外線的、もしくは半導体的なシステム、機器、もしくは装置、または先のもののいずれかの適切な組み合わせであってもよいが、しかし計算機可読記憶装置が計算機可読信号媒体を含まないことを除き、計算機可読記憶装置はこれらの例には限定されない。計算機可読記憶装置のさらなる例には、ポータブルコンピュータ・ディスケット、ハードディスク、磁気記憶装置、ポータブルコンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブル・リードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光学記憶装置、または先のもののいずれかの適切な組み合わせなどを挙げることができるが、しかし計算機可読記憶装置もまた、これらの例には限定されない。命令実行システム、機器、または装置によってまたはこれらと接続して使用するためのプログラムを含むことのできる、または記憶することのできるいずれの有形媒体も、計算機可読記憶装置である可能性がある。
【0152】
計算機可読信号媒体は、伝搬データ信号を含んでもよく、この信号はその中に、ベースバンドで、または搬送波の一部としてなどであるが、これらには限定されない形で具現化された計算機可読プログラムコードを有するものである。伝播した信号は、電磁気的、光学的、またはそれらのいずれかの適切な組み合わせを含むがこれらには限定されない、複数の形態のいずれかを取ることができる。計算機可読信号媒体は、システム、機器、もしくは装置によりまたはこれらと接続して使用するためのプログラムを通信、伝播、または輸送することができるいずれかの計算機可読媒体(計算機可読記憶装置を除く)であってもよい。計算機可読信号媒体上に具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなどを含むがこれらに限定されないいずれかの適切な媒体、または先記のいずれかの適切な組み合わせを用いて伝送されてもよい。
【0153】
本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、本開示の範囲を限定することは意図しておらず、限定列挙であることも意図していない。多くの修正および変形が、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者には明らかになろう。
【0154】
本発明を上記の例を参照して説明してきたが、変更および変形が本発明の趣旨および範囲内に包含されることは理解されよう。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断機器およびクライアント端末と通信するように構成されているネットワーク・インタフェースを通じて前記診断機器から、前記診断機器上で実施される診断ランについて前記診断機器の識別子、前記診断ランにおいて使用された試薬の識別子、前記診断機器にインストールされたソフトウェアの識別子、および前記診断ランの結果を含む、情報を受信する工程
前記診断ランの分析モード診断モードとして指定されているかどうかを判定する工程;および
前記分析モードが前記診断モードとして指定されていると判定に応答して、
記ソフトウェアの識別子をモリ内記憶された前記診断機器についての承認済みソフトウェアの前記識別子と比較することにより、前記診断機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認済みソフトウェアであるかどうかを判定することであって、前記診断ランに基づいて作成された診断レポートが保持され、かつ前記クライアント端末による前記診断レポートへのアクセスが拒否される、前記判定することと、
前記診断機器の識別子に基づいて前記診断装置が適格であるかどうかを判定することであって、前記診断装置が、不適格性確認済み、有効期限切れ、または試験されていない場合は、前記診断レポートが保持され、前記クライアント端末による前記診断レポートへのアクセスが拒否される、前記判定することと、
前記試薬の識別子に基づいて前記試薬が適格性確認済みであるかどうかを判定することであって、前記試薬が不適格性確認済みまたは試験されていない場合は、前記診断レポートが保持され、前記クライアント端末による前記診断レポートへのアクセスが拒否される、前記判断することと、
前記ソフトウェアが承認されており、前記診断装置が適格性確認済みであり、前記試薬が適格性確認済みであるとの判定に応答して、前記クライアント端末による前記診断レポートへのアクセスを許可する、前記判断すること
を行う工程
含む、方法
【請求項2】
記クライアント端末から前記診断ランの前記分析モードを含む分析プランを受信する工程さらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記診断レポートが保持されていることを示す通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法
【請求項4】
(i)前記試薬の有効期限日が、記試薬の識別子と関連して記憶され、現在の日付が前記試薬の有効期限日の後である場合は、前記試薬のステータスを不適格性確認済みに変更する工程;
(ii)前記診断分析レポートが保持されている旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信する工程;
(iii)前記診断機器にインストールされた前記ソフトウェアが承認されていない旨、または前記診断機器および前記試薬の少なくとも一方が適格性確認済みではない旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信する工程;
(iV)前記診断機器にインストールされた前記ソフトウェアが認証されていない場合、または前記診断機器が適格性確認済みではない場合に、前記診断モードでの分析プランの生成を無効にする工程;
(v)前記保持された診断分析レポートを公開する命令を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて受信する工程であって、前記命令が認証パスコードを含む、工程
をさらに含む、請求項1~3の何れか1項に記載の方法
【請求項5】
ユーザ・インタフェースであって、前記クライアント端末上に表示可能であるユーザ・インタフェースを通じて、利用できる診断機器を表示する工程をさらに含み前記ユーザ・インタフェースが、適格性確認済みおよび不適格性確認済みの診断機器を含む前記利用できる診断機器であるように構成されているとともに、前記ユーザ・インタフェースが、前記診断機器の選択を許可する選択ウィンドウを有する、請求項1~4の何れか1項に記載の方法
【請求項6】
前記ユーザ・インタフェースが、前記クライアント端末上のウェブ・ブラウザを通じてアクセス可能であり前記ユーザ・インタフェースへのアクセスがプロセッサを通じて可能にされる、請求項に記載の方法
【請求項7】
前記ユーザ・インタフェースが利用可能な診断機器についての適格性確認ステータスを表示する、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記診断機器が適格性確認済みであると判定される場合に、適格性確認済みの前記診断機器の識別子と関連して適格性確認の日付が前記メモリに記憶され、適格性確認期間として指定された期間の間、前記診断機器が適格性確認済みのままであり前記期間が有効期限切れである合に、前記診断機器についての前記関連ステータス適格性確認の有効期限切れに変更される、請求項1~7の何れか1項に記載の方法
【請求項9】
前記適格性確認期間が有効期限切れになりそうである旨の通知を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて前記クライアント端末に送信する工程をさらに含み、前記期間が期限切れになる前の時点で前記送信が行われ、前記通知が、前記クライアント端末上に表示可能なユーザ・インタフェース上にプロンプトを表示させるように構成されており、かつ前記プロンプト前記診断機器が前記診断機器の適格性確認を実施するために前記適格性確認ランとしてされるべき旨を示す、請求項に記載の方法
【請求項10】
前記期間および前記期間が期限切れになる前の時間の設定を、前記ネットワーク・インタフェースを通じて受信する工程をさらに含み、前記設定が認証パスコードを含む、請求項8または9に記載の方法
【請求項11】
前記診断機器のハードウェアの更新に関する情報を受信する工程であって、前記情報が、前記クライアント端末の前記ユーザ・インタフェースに入力されて前記ネットワーク・インタフェースを通じて通信される、前記受信する工程および
前記診断機器についての関連ステータスを不適格性確認済みに変更する工程
をさらに含む、請求項5~10の何れか1項に記載の方法
【請求項12】
前記分析モードが前記診断モードとして指定されていないとの判定に応答して、
前記分析モードが研究モードとして指定されているかどうかを判定する工程;および
前記分析モードが前記研究モードとして指定されているとの前記判定に応答して、プロセッサによって作成された研究分析レポートへの前記クライアント端末によるアクセスを許可する工程であって、前記アクセスは、前記クライアント端末のユーザ・インタフェースによる前記研究分析レポート表示されることを可能に、前記許可する工程
をさらに含む、請求項1~11の何れか1項に記載の方法
【請求項13】
前記診断機器が診断試験を実施するために使用され、前記試験が、イムノアッセイ、臨床化学アッセイ、または分子診断アッセイである、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記診断機器は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、化学発光免疫法、蛍光免疫法、比色免疫法、ラジオイムノアッセイ、迅速検査、ウェスタンブロッティング、および酵素結合イムノスポットアッセイを含むイムノアッセイを実施することができる、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記診断機器は、代謝、電解質、肝臓、脂質、腎臓、および甲状腺の機能のパネルを含む1つまたは複数の診断パネルを使用して臨床化学アッセイを実行することができる、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記診断機器は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温核酸増幅技術、マイクロアレイアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、核酸シーケンシングおよび次世代核酸シーケンシング、および第三世代核酸シーケンシングを含む分子診断アッセイを実行することができる、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記診断機器は、微生物学的アッセイ、血液学的アッセイ、凝固学的アッセイ、止血アッセイおよび/または尿検査アッセイを行うことができる、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記診断機器は、質量分析、プロテオミクス、マイクロバイオーム分析、および/または腫瘍微小環境分析を行うことができる、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
コンピュータシステムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記コンピュータシステムに、請求項1~18の何れか1項のアクションまたは操作を実施させる、命令を記憶する、コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
以下を含む、システム:
1つまたは複数のプロセッサ;および
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記システムに、請求項1~18の何れか1項に記載の操作の一部またはすべてを実施させる、指令を記憶する1つまたは複数のコンピュータ可読媒体。