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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166276
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】フィルム成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024154207
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2023059020の分割
【原出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 秀久
(72)【発明者】
【氏名】林 慶一
(72)【発明者】
【氏名】東 義雄
(72)【発明者】
【氏名】渡部 世大
(57)【要約】
【課題】効率的なフィルム成形を実現する。
【解決手段】フィルム成形装置であって、対象物を治具に載せた状態で搬送し、当該対象物を清掃する清掃動作と、前記清掃動作の後に当該対象物にフィルムを貼り付ける貼付動作と、前記貼付動作の後に当該対象物に貼り付けられたフィルムの一部を除去する除去動作とを行うための第1の成形ラインと、対象物を治具に載せた状態で搬送し、当該対象物を清掃する清掃動作と、前記清掃動作の後に当該対象物にフィルムを貼り付ける貼付動作と、前記貼付動作の後に当該対象物に貼り付けられたフィルムの一部を除去する除去動作とを行うための、前記第1の成形ラインに沿って配された第2の成形ラインと、前記第1の成形ラインにおいて使用された治具および前記第2の成形ラインにおいて使用された治具を前記第1の成形ラインの出口または前記第2の成形ラインの出口から前記第1の成形ラインの入口または前記第2の成形ラインの入口に戻すための治具戻しラインとを備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を治具に載せた状態で搬送し、当該対象物を清掃する清掃動作と、前記清掃動作の後に当該対象物にフィルムを貼り付ける貼付動作と、前記貼付動作の後に当該対象物に貼り付けられたフィルムの一部を除去する除去動作とを行うための第1の成形ラインと、
対象物を治具に載せた状態で搬送し、当該対象物を清掃する清掃動作と、前記清掃動作の後に当該対象物にフィルムを貼り付ける貼付動作と、前記貼付動作の後に当該対象物に貼り付けられたフィルムの一部を除去する除去動作とを行うための、前記第1の成形ラインに沿って配された第2の成形ラインと、
前記第1の成形ラインにおいて使用された治具および前記第2の成形ラインにおいて使用された治具を前記第1の成形ラインの出口または前記第2の成形ラインの出口から前記第1の成形ラインの入口または前記第2の成形ラインの入口に戻すための治具戻しラインと、
を備えることを特徴とするフィルム成形装置。
【請求項2】
前記治具戻しラインは、前記第1の成形ラインと前記第2の成形ラインとの間に配されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置。
【請求項3】
前記第1の成形ラインと前記第2の成形ラインとが前記治具戻しラインに対して対称に配されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム成形装置。
【請求項4】
前記治具戻しラインは、前記第1の成形ライン及び前記第2の成形ラインが配されている高さよりも上方に配されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置。
【請求項5】
前記治具戻しラインは、前記第1の成形ライン及び前記第2の成形ラインと同じ高さに配されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置。
【請求項6】
前記第1の成形ラインの前記貼付動作又は前記第2の成形ラインの前記貼付動作が真空状態で行われるように制御する真空制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置。
【請求項7】
前記第1の成形ラインの前記貼付動作を行う第1の真空貼付装置と、
前記第2の成形ラインの前記貼付動作を行う第2の真空貼付装置と、をさらに備え、
前記真空制御手段は、前記第1の真空貼付装置又は前記第2の真空貼付装置の一方が真空状態になるように制御することを特徴とする請求項6に記載のフィルム成形装置。
【請求項8】
前記第1の成形ラインの前記貼付動作で使用される真空ポンプが、前記第2の成形ラインの前記貼付動作で使用されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置。
【請求項9】
前記第1の成形ラインの前記貼付動作が行われるタイミングと、前記第2の成形ラインの前記貼付動作が行われるタイミングとが異なることを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置。
【請求項10】
前記第1の成形ラインの前記貼付動作においてフィルムを加熱する動作が行われるタイミングと、前記第2の成形ラインの前記貼付動作においてフィルムを加熱する動作が行われるタイミングとが異なることを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスプレー塗装では、広い設備や塗料ミストを処理する装置が必須であり、多くのエネルギーが必要となる。カーボンニュートラル実現には技術革新が必要であり、従来塗装に代わる加飾方式として、フィルム真空成形技術を用いたドライ加飾技術が注目されている。特許文献1は、シート状加飾材を樹脂基材に貼り付ける真空成形装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-284771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、樹脂基材を支持する治具を樹脂基材の形状に応じて取り替える必要がある。しかし、治具は重量が大きく、治具の移動・交換に手間がかかることが多い。そのため、種々の形状の樹脂基材に対して効率的にシート状加飾材を貼り付けることができず、効率的なフィルム成形を実現することが難しいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、効率的なフィルム成形を実現するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様によるフィルム成形装置は、
対象物を治具に載せた状態で搬送し、当該対象物を清掃する清掃動作と、前記清掃動作の後に当該対象物にフィルムを貼り付ける貼付動作と、前記貼付動作の後に当該対象物に貼り付けられたフィルムの一部を除去する除去動作とを行うための第1の成形ラインと、
対象物を治具に載せた状態で搬送し、当該対象物を清掃する清掃動作と、前記清掃動作の後に当該対象物にフィルムを貼り付ける貼付動作と、前記貼付動作の後に当該対象物に貼り付けられたフィルムの一部を除去する除去動作とを行うための、前記第1の成形ラインに沿って配された第2の成形ラインと、
前記第1の成形ラインにおいて使用された治具および前記第2の成形ラインにおいて使用された治具を前記第1の成形ラインの出口または前記第2の成形ラインの出口から前記第1の成形ラインの入口または前記第2の成形ラインの入口に戻すための治具戻しラインと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、効率的なフィルム成形を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係るフィルム成形装置の全体構成の一例を示す図である。
図2】実施形態1に係る制御装置の構成例を示す図である。
図3】実施形態1に係る生産ラインでのフィルム成形処理の手順を示すフローチャートである。
図4】実施形態2に係るフィルム成形装置の全体構成の一例を示す図である。
図5】実施形態2に係る制御装置の構成例を示す図である。
図6】(a)実施形態2に係る真空ポンプの制御例を示す図(交互制御なし)であり、(b)実施形態2に係る真空ポンプの制御例を示す図(交互制御あり)である。
図7】(a)実施形態2に係るヒータの制御例を示す図(交互制御なし)であり、(b)実施形態2に係るヒータの制御例を示す図(交互制御あり)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(実施形態1)
本実施形態では、治具に載せた対象物に対してフィルムを貼り付けることによりフィルム成形を行う生産ラインの構成例を説明する。本実施形態では、フィルムを貼り付ける対象物は、車両(例えば四輪車)のフロントバンパー又はリアバンパーであるものとして説明を行うが、対象物はこれらに限定されるものではなく、様々な物体に本発明を適用することができる。車両カラーに応じてフィルムの色を変更することで容易に加飾を行うことが可能となる。
【0011】
<生産ラインの全体構成>
図1は、本実施形態に係るフィルム成形装置の全体構成の一例を示す図である。図中の矢印は対象物10単体、対象物10が載置された治具20、或いは治具20単体の搬送方向を示している。台車30に載置されて運ばれてきた対象物10が、搬送装置101により把持されて、成形ライン1の開始位置(入口)で治具20の上に載置される。第1の作業者201は、対象物10が治具20の上に適切に載置されているかどうかを確認するとともに、治具20の上に載置された対象物10を手動で拭いて脱脂する。また、適切に載置されていない場合には、位置の調整を行う。
【0012】
その後、対象物10は、治具20の上に載置された状態で成形ライン1に沿って除塵装置102が配置されている除塵領域Aへ搬送される。この搬送は、例えばベルトコンベヤ装置により自動で及び/又は作業者により手動で行うことができる。除塵領域Aでは、除塵装置102が対象物10に対して清掃動作を行う。除塵装置102は、例えばゴミを吸引することにより清掃動作を行う除塵装置である。例えば、モップのような拭き取り部を有する除塵装置で対象物10の表面を拭きながら併せて吸引を行うことで、ゴミを除塵領域Aの空間内に排出しないような清掃動作を行う。
【0013】
除塵装置102により清掃動作を行った後、治具20の上に載置された対象物10は、真空貼付装置103が配置されている貼付領域Bへ搬送される。真空貼付装置103内部へ搬送された対象物10の上方を覆うように、フィルム35を巻き出して引っ張り、真空貼付装置103の内部で張るように制御する。真空貼付装置103内部へ対象物10が搬送された後(スライドイン)、フィルム35を巻き出して所望の位置にセットしたら、真空貼付装置103の内部空間を真空状態にして加熱動作を行い、対象物10に対してフィルム35を貼り付ける貼り付け動作を行う。なお、真空貼付装置103の内部空間を真空状態にする真空動作と、真空貼付装置103の内部空間を加熱する加熱動作と、の順番は限定されない。真空動作の後に加熱動作を行ってもよいし、加熱動作の後に真空動作を行ってもよいし、真空動作と加熱動作とを重複するタイミングで行ってもよい。また、真空貼付装置103内部へ対象物10を搬送する方法はスライドインに限定されない。例えば、リフター(不図示)又は把持ロボットにより、対象物10を治具20ごと持ち上げて真空貼付装置103内部へ搬送してもよい。この場合、治具20とは別の分割治具(不図示)を予め真空貼付装置103内部に固定配置しておき、対象物10が載置された治具20を当該分割治具の上に載せるようにしてもよい。
【0014】
フィルム35は、ロール紙のように巻かれた状態のロールフィルムを巻き出して使用する。また、ロールフィルムは種々の色に交換可能である。例えば対象物10が赤い車体用のバンパーである場合には、赤いロールフィルムを使用し、対象物10が青い車体用のバンパーである場合には、青いロールフィルムに交換して使用することで、所望の色に加飾することができる。また、フィルムの色に限らず、フィルムの模様、立体感等が異なる種々のフィルム、機能性フィルム等への交換も可能である。貼り付け動作が完了したら、真空貼付装置103の外部へ対象物10を搬送する(スライドアウト)。このスライドアウトと同時に、次の対象物10が真空貼付装置103内部へスライドインされるように制御する。また、真空貼付装置103外部へ対象物10を搬送する方法はスライドアウトに限定されない。例えば、リフター(不図示)又は把持ロボットにより、対象物10を治具20ごと持ち上げて真空貼付装置103外部へ搬送してもよい。この場合、分割治具(不図示)上に存在する、対象物10が載置された治具20を、真空貼付装置103外部へ搬送してもよい。
【0015】
真空貼付装置103による貼り付け動作により、対象物10及び治具20とそれらの周辺領域にフィルム35が貼り付けられた状態となる。対象物10及び治具20は、この状態で除去領域Cへ搬送される。なお、真空貼付装置103の下流側且つ除去装置104の上流側にフィルム硬化装置(UV装置等)を設けてもよい。フィルム硬化装置によるフィルム硬化処理の後に、対象物10及び治具20が除去領域Cへ搬送されるように構成してもよい。さらに、フィルム硬化装置に代えてフィルム仕上げ装置を設けてもよい。除去装置104は、この状態の対象物10に対してトリミングを行うことにより、不要なフィルムの除去動作を行う。例えば、COレーザを用いてフィルム35をトリミングする。その後、除去装置105の位置へ搬送され、除去装置105によりフィルム端材(トリミングにより生じたフィルムの切れ端)の回収を行う。ここでは、除去装置105は、トリミングされたフィルム端材を剥がし、掴んで廃棄箱に入れる動作を行う。なお、対象物10以外の治具20と、対象物10及び治具20の周辺面(治具20の載置面)にはあらかじめ離型剤を塗布しておき、除去装置105により剥がしやすい状態とされている。
【0016】
その後、対象物10及び治具20は、第2の作業者202の位置へさらに搬送される。第2の作業者202は、除去装置105により除去しきれなかったフィルム端材を手動で剥がして綺麗にする処理を行うとともに、品質のチェックおよび必要に応じて補修作業等を行う。その後、対象物10及び治具20は除去領域Cの外部へ搬送され、対象物10は搬送装置106によって把持されて、フィルム35が貼り付けられた状態の対象物10が台車40の上に載置される。
【0017】
なお、第2の作業者202は、除去装置104及び除去装置105とは別の作業環境空間に位置してもよい。すなわち、除去装置104及び除去装置105が配置される空間を除去領域C1とし、第2の作業者202が配置される空間を除去領域C2として区画分けしてもよい。その場合、除去領域C1及び除去領域C2は成形ライン1に沿って流体連通させてもよい。その際、除去領域C1を除去領域C2よりも低い圧力になるように制御して、除去領域C1から除去領域C2へ空気が流れないように構成してもよい。これにより、第2の作業者202は、除去装置104及び除去装置105の動作で発生した粉塵・煙等から隔離されるため、作業環境を改善することができる。
【0018】
一方、搬送装置106により対象物10が把持されて移動した後は、治具20だけが残る。この治具20は、治具戻しライン2に沿って戻されて再利用される。治具20は、治具戻しライン2に沿って、第3の作業者203の位置まで搬送される。第3の作業者203は、トリミングの際に残ったゴミを清掃する。また、第3の作業者203は、治具20に対して離型剤を塗布する。なお、ゴミの清掃動作及び離型剤の塗布動作は、ロボットによって自動で行うように構成してもよい。その後、治具20は治具戻しライン2に沿ってさらに搬送装置107の位置まで搬送される。搬送装置107は、対象物10の種類に合わせて、治具20の入れ替え動作を行う。搬送装置107は、入れ替え動作が必要である場合、治具20を把持して治具戻しライン2からライン外へ移動させ、ライン外から別の治具を治具戻しライン2へ移動させる。その後、治具20は、治具戻しライン2に沿って治具20の上に対象物10を載置する成形ライン1の開始位置(入口)まで搬送される。以降、同様の動作が繰り返される。
【0019】
図1において、ポンプ室31には真空ポンプ301が配置されている。真空ポンプ301は、真空貼付装置103と接続されており、制御装置302の制御下で、真空貼付装置103の内部の所定の空間を真空状態にする。コントロール室32には制御装置302が配置されている。作業者(不図示)は、コントロール室32において制御装置302による生産ライン全体の制御を監視している。
【0020】
また、図1において、給気装置401は、除塵領域A及び貼付領域B内の圧力が大気圧に対して陽圧になるように、除塵領域A及び貼付領域B内に給気を行う。また、排気装置402は、除去領域C内の圧力が大気圧に対して陰圧になるように排気を行う。なお、第1の作業者201がいる空間と除塵領域Aとは流体連通している。同様に、除塵領域Aと貼付領域Bとは流体連通しており、貼付領域Bと除去領域Cとは流体連通しており、除去領域Cと搬送装置106がいる空間とは流体連通している。なお、除塵領域A及び貼付領域Bは仕切り50で区切られているが、空間的には流体連通している。
【0021】
<制御装置の構成>
続いて、図2を参照して、本実施形態に係る制御装置の構成例を説明する。制御装置302は、圧力制御部3021、貼付動作制御部3022、真空制御部3023、搬送動作制御部3024、除塵動作制御部3025、及び除去動作制御部3026を備えている。制御装置302は、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)によって動作し、当該1つ以上のCPUが不図示の1つ以上のメモリに格納されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより各種動作が実行される。その他、制御装置302は、液晶ディスプレイ等の表示部、スピーカ等の報知部、キーボードやスイッチ等の入力部を備えていてもよい。コントロール室32内の作業者は、これらを介して生産ラインの状態を監視することができ、状況に応じてラインの動作を停止することができるように構成してもよい。
【0022】
圧力制御部3021は、給気装置401及び/又は排気装置402の動作を制御することにより、除塵領域A及び貼付領域Bと、除去領域Cとのそれぞれの空間内の圧力を制御する。本実施形態では、圧力制御部3021は、給気装置401を制御して、外部から除塵領域A及び貼付領域B内へ、クリーンな空気を給気し、これらの領域が陽圧になるように制御する。クリーンルーム内の空気は、成形ライン1に沿って、除塵領域Aからライン上流側(第1の作業者201の側)へ、対象物10の搬送のための除塵領域Aの入口の開口部(不図示)を介して排出される。さらに、クリーンルーム内の空気は、成形ライン1に沿って、貼付領域Bからライン下流側(除去領域Cの側)へ、対象物10の搬送のための領域BC間の開口部(不図示)を介して排出される。これにより、除塵領域A及び貼付領域Bの内部をクリーンルームとして形成することができる。
【0023】
また、圧力制御部3021は、排気装置402を制御して、除去領域C内の圧力が大気圧に対して陰圧になるように排気を行う。従って、成形ライン1に沿って、貼付領域Bからライン下流側(除去領域Cの側)へ、対象物10の搬送のための領域BC間の開口部(不図示)を介して空気が流入する。また、成形ライン1に沿って、搬送装置106が位置する空間からライン上流側(除去領域Cの側)へ、対象物10の搬送のための領域Cの出口側の開口部(不図示)を介して空気が流入する。
【0024】
貼付動作制御部3022は、真空貼付装置103を制御して、フィルム35の貼り付け動作を制御する。具体的には、真空貼付装置103の内部にスライドインされた対象物10に対して、フィルム35を巻き出して張り出す動作を行う。貼付動作制御部3022はさらに、フィルム35が張り出した状態で、不図示のチャンバを下降する制御を行い、真空制御部3023により内部を真空状態にするとともに加熱処理を行う。真空制御部3023は、真空ポンプ301を制御することにより、真空貼付装置103内部の圧力を制御して真空状態にする。なお、前述のように、真空動作と加熱動作との先後は限定されない。これによりフィルム35の貼り付け動作が行われる。その後、そのチャンバを上昇させ、フィルム35が貼り付けられた対象物10を真空貼付装置103からスライドアウトする。
【0025】
搬送動作制御部3024は、各種の搬送動作を制御する。搬送動作制御部3024は、搬送装置101の動作を制御して、対象物10を把持して成形ライン1の開始地点(第1の作業者201が作業を行う地点=成形ライン1の入口)まで対象物10を移動する動作を行う。また、搬送動作制御部3024は、成形ライン1及び治具戻しライン2のうちの少なくとも一部に設けられているベルトコンベヤ装置(不図示)の動作を制御する。また、搬送動作制御部3024は、搬送装置106、搬送装置107の各動作も制御する。除塵動作制御部3025は、除塵装置102の動作を制御する。除去動作制御部3026は、除去装置104、除去装置105の各動作を制御する。
【0026】
<処理>
続いて、図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る生産ラインでのフィルム成形処理の手順を説明する。なお、除塵領域A、貼付領域B、除去領域Cの各圧力は、図1を参照して説明したように制御されているものとする。
【0027】
S301において、搬送動作制御部3024は、搬送装置101を制御して、台車30に載置されている対象物10を把持して成形ライン1の開始位置(入口)に移動し、その位置に搬送されてきた治具20の上に載置する。第1の作業者201は、対象物10が治具20の上に適切に載置されているかどうかを確認し、ずれが生じている場合には調整する作業を行う。また、第1の作業者201は、治具20の上に載置された対象物10を手動で拭いて脱脂する。
【0028】
S302において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、除塵領域A内へ、対象物10が載置された治具20を搬送する。なお、ここで使用する装置は、ベルトコンベヤ装置に限定されず、ローラコンベヤ、リニアコンベヤ、ローラトップコンベヤ等であってもよい。S303において、除塵動作制御部3025は、除塵装置102を制御して清掃動作を行う。S304において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、対象物10が載置された治具20を貼付領域B内へ搬送し、さらに真空貼付装置103内へ搬送する(スライドイン)。
【0029】
S305において、貼付動作制御部3022が真空貼付装置103を制御し、真空制御部3023が真空ポンプ301を制御して、フィルム35の貼付動作を行う。S306において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、対象物10が載置された治具20を真空貼付装置103外へ搬送する(スライドアウト)。
【0030】
S307において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、対象物10が載置された治具20(フィルム35の貼り付け後)を除去領域C内へ搬送する。S308において、除去動作制御部3026は、除去装置104を制御して、治具20上に載置された対象物10に貼り付けられたフィルム35をトリミングすることにより、不要なフィルムの除去動作を行う。
【0031】
S309において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、除去装置104によりトリミングされた、対象物10が載置された治具2010を除去装置105へ搬送する。S310において、除去動作制御部3026は、除去装置105を制御して、除去装置104によりトリミングされたフィルム端材を剥がし、掴んで廃棄箱に入れる回収動作を行う。
【0032】
S311において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、除去装置104及び除去装置105により除去動作が行われた、対象物10が載置された治具20を、第2の作業者202がいる位置へ搬送する。第2の作業者202は、除去装置105により除去しきれなかったフィルム端材を手動で剥がして綺麗にする処理を行う。また、目視で品質のチェックおよび必要に応じて補修作業等を行う。
【0033】
S312において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、対象物10が載置された治具20を除去領域Cの外部へ搬送する。S313において、搬送動作制御部3024は、搬送装置106を制御して、成形ライン1の終了位置(出口)に到達した、フィルム35が貼り付けられた状態の対象物10を把持して台車40の上へ搬送する。
【0034】
S314において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、治具20を成形ライン1から治具戻しライン2へ移動し、第3の作業者203がいる位置まで搬送する。第3の作業者203は、除去装置104及び除去装置105による除去動作の後に残ったゴミを清掃する。また、第3の作業者203は、治具20に対して離型剤を塗布する。なお、ゴミの清掃動作及び離型剤の塗布動作は、ロボットによって自動で行うように構成してもよい。
【0035】
S315において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、治具20を治具戻しライン2に沿って搬送装置107の位置へ搬送する。
【0036】
S316において、搬送動作制御部3024は、搬送装置107を制御して、対象物10の種類に合わせて、治具20の入れ替え動作を行う。例えば、対象物10をフロントバンパーからリアバンパーへ変更する場合に、フロントバンパー用の治具からリアバンパー用の治具へ入れ替える。なお、治具20の入れ替えが不要である場合、本ステップはスキップする。
【0037】
S317において、搬送動作制御部3024は、ベルトコンベヤ装置(不図示)を制御して、治具20を成形ライン1の開始位置(入口)へ搬送する。
【0038】
S318において、搬送動作制御部3024は、一連の処理を終了するか否かを判定する。例えば、規定数の対象物10に対するフィルム成形処理が完了した場合に、処理を終了すると判定することができる。本ステップがYesである場合、処理を終了する。一方、本ステップがNoである場合、S301に戻って、処理を繰り返す。以上が図3の一連の処理である。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、対象物を治具に載せた状態で搬送し、対象物を清掃する清掃動作と、清掃動作の後に対象物にフィルムを貼り付ける貼付動作と、貼付動作の後に対象物に貼り付けられたフィルムの一部を除去する除去動作とを行うための成形ラインと、この成形ラインにおいて使用された治具を成形ラインの出口から入口に戻すための治具戻しラインとを備えるフィルム成形装置が提供される。
【0040】
これにより、対象物を効率的に加飾することが可能となり、効率的なフィルム成形を実現することが可能となる。
【0041】
[実施形態1の変形例]
上述の実施形態1では、除塵装置102は、ゴミを吸引することにより清掃動作を行う除塵装置であるものとして説明を行った。しかし、除塵装置102は、ゴミを吹き飛ばすことにより清掃動作を行う除塵装置(例えば除電エアーブロー)であってもよい。その場合、仕切り50によって除塵領域A及び貼付領域Bを区分し、貼付領域Bの内部がクリーンルームになるように形成する。除塵領域A及び貼付領域Bの間には成形ライン1に沿って開口部があり、成形ライン1に沿って流体連通している。貼付領域B内の給気装置401の動作により、貼付領域B内の圧力が大気圧に対して陽圧になるように制御するとともに、除塵領域A内に別途排気装置(不図示)を設け、除塵領域A内の圧力が大気圧に対して陰圧になるように制御する。これにより、除塵領域Aが陰圧、貼付領域Bが陽圧、除去領域Cが陰圧になるため、貼付領域Bの内部をクリーンルームとして形成することができる。あるいは、図1の除塵領域A及び貼付領域Bを含む領域全体が1つのクリーンルーム(1つの貼付領域)となるように構成し、除塵装置102をこれらの領域外(例えば、図1の除塵領域Aよりもさらにライン上流側の位置)に設けてもよい。
【0042】
(実施形態2)
実施形態1では、1つの成形ラインと、1つの治具戻しラインとを含むフィルム成形装置について説明を行った。これに対して、本実施形態では、2つの成形ラインと、1つの治具戻しラインとを含むフィルム成形装置について説明する。治具戻しラインを共用することにより、省スペース化及びコスト削減を実現することができる。本実施形態でも、フィルムを貼り付ける対象物は、車両(例えば四輪車)のフロントバンパー又はリアバンパーであるものとして説明を行うが、同様に対象物はこれらに限定されるものではなく、様々な物体に本発明を適用することができる。
【0043】
<生産ラインの全体構成>
図4は、本実施形態に係るフィルム成形装置の全体構成の一例を示す図である。本実施形態では、2つの成形ラインが1つの治具戻しラインを共用する。基本的な構成は実施形態1において図1を参照して説明した構成と同様である。ただし、本実施形態では、ポンプ室61及び真空ポンプ601が第1の成形ライン1と第2の成形ライン3との間に配置されており、コントロール室62及び制御装置602が第1の成形ライン1と第2の成形ライン3との間に配置されている。
【0044】
そして、本実施形態に係る治具戻しライン4は、成形ライン1と成形ライン3との間において、ポンプ室61及びコントロール室62よりも高い位置を通るように設けられている。すなわち、治具戻しライン4は、成形ライン1と成形ライン3との間において、成形ライン1及び成形ライン3が配されている高さよりも上方に配されている。そのため、治具20を成形ライン1の終了位置(出口)501から位置503へ移動する際に、昇降装置(不図示)により治具20を上昇させる。また、治具20を成形ライン3の終了位置(出口)502から位置503へ移動する際に、昇降装置(不図示)により治具20を上昇させる。1つの昇降装置を用いて、成形ライン1から搬送されてきた治具20又は成形ライン3から搬送されてきた治具20を上昇させる。
【0045】
また、治具戻しライン4に沿って位置504へ搬送された治具20は、成形ライン1の開始位置(入口)505又は成形ライン3の開始位置(入口)506へ移動される。その際、昇降装置(不図示)により治具20を下降させる。1つの昇降装置を用いて、成形ライン1へ搬送されるべき治具20又は成形ライン3へ搬送されるべき治具20を下降させる。
【0046】
図4に示すように、成形ライン1には、搬送装置101a、除塵装置102a、真空貼付装置103a、除去装置104a、除去装置105a、搬送装置106a等が設けられている。そして、実施形態1と同様にして除塵領域A、貼付領域B、除去領域Cが設けられている。さらに、治具戻しライン4について対称になるように、成形ライン3には、搬送装置101b、除塵装置102b、真空貼付装置103b、除去装置104b、除去装置105b、搬送装置106b等が設けられている。そして、実施形態1と同様にして除塵領域D、貼付領域E、除去領域Fが設けられている。図4では、成形ライン1と成形ライン3とが、治具戻しライン4について対称の配置関係になるように構成されており、搬送装置107は2つの成形ライン間で共用される。各作業者も同様に配置されている。なお、もちろん完全に対称な配置にする必要はなく、一部が対称的な配置になっていなくてもよい。
【0047】
このように、2つの成形ライン間で、ポンプ室61、コントロール室62、昇降装置(不図示)、搬送装置107を共用することで、生産ライン全体の製造コストを低減することができる。また、省スペース化を実現できる。
【0048】
<制御装置の構成>
続いて、図5を参照して、本実施形態に係る制御装置602の構成例を説明する。実施形態1と同様に、制御装置602は、圧力制御部6021、貼付動作制御部6022、真空制御部6023、搬送動作制御部6024、除塵動作制御部6025、及び除去動作制御部6026を備えている。
【0049】
圧力制御部6021は、給気装置401a及び/又は排気装置402aの動作を制御することにより、除塵領域A及び貼付領域Bと、除去領域Cとのそれぞれの空間内の圧力を制御する。制御内容の詳細は実施形態1と同様である。また、圧力制御部6021は、給気装置401b及び/又は排気装置402bの動作を制御することにより、除塵領域D及び貼付領域Eと、除去領域Fとのそれぞれの空間内の圧力を制御する。除塵領域D、貼付領域E、除去領域Fの圧力はそれぞれ、除塵領域A、貼付領域B、除去領域Cの圧力と同様に制御する。
【0050】
貼付動作制御部6022は、真空貼付装置103a及び真空貼付装置103bを制御して、各成形ライン1及び成形ライン3でのフィルム35の貼付動作を制御する。制御内容の詳細は実施形態1と同様である。真空制御部6023は、成形ライン1の貼付動作又は成形ライン3の貼付動作が真空状態で行われるように、真空ポンプ601を制御して、真空貼付装置103a又は真空貼付装置103b内部の圧力を真空状態にする。制御内容の詳細は実施形態1と同様である。
【0051】
搬送動作制御部6024は、各種の搬送動作を制御する。搬送動作制御部6024は、搬送装置101aの動作を制御して、対象物10を把持して成形ライン1の開始地点(入口)まで対象物10を移動する動作を行う。また、搬送動作制御部6024は、搬送装置101bの動作を制御して、対象物10を把持して成形ライン3の開始地点(入口)まで対象物10を移動する動作を行う。また、搬送動作制御部6024は、成形ライン1、成形ライン3及び治具戻しライン4の少なくとも一部に設けられているベルトコンベヤ装置(不図示)の動作を制御する。また、搬送動作制御部6024は、搬送装置106a、搬送装置106b、搬送装置107の各動作も制御する。制御内容の詳細は実施形態1と同様である。
【0052】
除塵動作制御部6025は、除塵装置102a、除塵装置102bの各動作を制御する。制御内容の詳細は実施形態1と同様である。除去動作制御部6026は、除去装置104a、除去装置104b、除去装置105a、除去装置105bの各動作を制御する。制御内容の詳細は実施形態1と同様である。
【0053】
<生産ラインの制御>
本実施形態では、2つの成形ライン(成形ライン1及び成形ライン3)が1つの真空ポンプ301を共用する構成である。すなわち、成形ライン1の貼付動作で使用される真空ポンプ601が、成形ライン3の貼付動作でも使用される。そこで、本実施形態に係る真空制御部6023は、成形ライン1の貼付動作が行われるタイミングと、成形ライン3の貼付動作が行われるタイミングとを異ならせるように、真空ポンプ601を制御する。このように、真空貼付装置103a及び真空貼付装置103bを、例えば交互に動作させる構成とすることで、1つの真空ポンプを用いて効率的な貼付動作を実現できる。また、貼付動作のタイミングを成形ライン間で異ならせることによって、各成形ラインから位置503へ治具20が搬送されてくるタイミングを異ならせることができる。よって、タクトタイムを短縮することが可能となる。従って、生産効率を向上させることが可能となる。
【0054】
ここで、図6(a)及び図6(b)を参照して、本実施形態に係る真空ポンプの制御例を説明する。図6(a)が交互制御なしの制御例を示し、図6(b)が交互制御ありの制御例を示している。成形動作のサイクルタイムが2分である場合について説明を行う。また、真空ポンプ1台の消費電力は、0.75kWであるものとする。図6(a)に示すように、交互の真空制御なしの場合、真空貼付装置103a及び真空貼付装置103bのそれぞれに対応する真空ポンプを設ける必要がある。この場合、真空ポンプの消費電力は2台分となり、消費電力は合計で1.5kWとなる。一方、図6(b)に示すように、本実施形態のように交互の真空制御ありの場合、真空貼付装置103a及び真空貼付装置103bに対して1台の真空ポンプ601を交互に動作させる。例えば、真空制御部6023は、真空ポンプ601を制御して、基準となる時刻に対して0分~1分の間に真空貼付装置103a内部を真空状態にし、1分~2分の間に真空貼付装置103b内部を真空状態にし、2分~3分の間に再び真空貼付装置103a内部を真空状態に制御する。これにより、真空ポンプの消費電力を低減しつつ、真空ポンプの稼働率を上げることができる。また、ポンプ台数を減らすことができるため、コスト削減を図ることができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、2つの成形ライン間で、ポンプ室61(真空ポンプ601)、コントロール室62(制御装置602)、昇降装置(不図示)、搬送装置107を共用することで、生産ライン全体の製造コストを低減することができる。また、各成形ラインにおける真空貼付装置の動作タイミングを異ならせることで、効率的な貼付動作を実現でき、タクトタイムを短縮して生産効率を向上させることが可能となる。従って、対象物を効率的に加飾することが可能となり、効率的なフィルム成形を実現することが可能となる。
【0056】
さらに、治具戻しライン4をポンプ室61及びコントロール室62の上方に配することで、生産ライン全体の必要面積(スペース)を削減することができる。従って、限られた敷地面積においてコンパクトな生産ラインを提供することが可能となる。
【0057】
[実施形態2の変形例]
実施形態2では、治具戻しライン4の高さが、成形ライン1及び成形ライン3の高さよりも上方に位置する例を説明したが、この例に限定されない。実施形態1と同様に、治具戻しライン4の高さが、成形ライン1及び成形ライン3の高さと同じであってもよい。その場合、例えば、成形ライン1と、ポンプ室61及びコントロール室62との間に治具戻しライン4を設けてもよい。あるいは、成形ライン3と、ポンプ室61及びコントロール室62との間に治具戻しライン4を設けてもよい。
【0058】
また、実施形態2では、2つの成形ライン間で真空ポンプを共用する例を説明したが、共用する対象は真空ポンプに限定されない。真空貼付装置の内部では加熱動作も実行されるが、各真空貼付装置の内部のヒータ(不図示)を加熱するための電源を、2つの成形ライン間で共用してもよい。
【0059】
ここで、図7(a)及び図7(b)を参照して、本実施形態に係るヒータの制御例を説明する。図7(a)が交互制御なしの制御例を示し、図7(b)が交互制御ありの制御例を示している。成形動作のサイクルタイムが2分である場合について説明を行う。また、ヒータ1台の消費電力は、0.5kWであるものとする。図7(a)に示すように、交互制御なしの場合、真空貼付装置103aのヒータ及び真空貼付装置103bのヒータの両方に電源を供給する必要がある。この場合、電源の消費電力は2台分となり、消費電力は合計で1.0kWとなる。一方、図7(b)に示すように、交互制御ありの場合、真空貼付装置103aのヒータ及び真空貼付装置103bのヒータに対して電源を交互に供給する。例えば、貼付動作制御部6022は、制御装置602が備える電源(不図示)を制御して、基準となる時刻に対して0分~1分の間に真空貼付装置103a内部を加熱し、1分~2分の間に真空貼付装置103b内部を加熱し、2分~3分の間に再び真空貼付装置103a内部を加熱する。この場合、電源の消費電力は0.5kWとなる。これにより、電源の消費電力を低減しつつ、電源の稼働率を上げることができる。また、高出力の電源が不要となるため、コストを削減することができる。
【0060】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,3:成形ライン、2,4:治具戻しライン、10:対象物、20:治具、30,40:台車、35:フィルム、50:仕切り、101:搬送装置、102:除塵装置、103:真空貼付装置、104,105:除去装置、106:搬送装置、107:搬送装置、301:真空ポンプ、302:制御装置、3021:圧力制御部、3022:貼付動作制御部、3023:真空制御部、3024:搬送動作制御部、3025:除塵動作制御部、3026:除去動作制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7