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特開2024-166292マクロファージ分極のための方法及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166292
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】マクロファージ分極のための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20241121BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20241121BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 51/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C12N15/113 Z
C12N5/0786
C12N5/10
A61K31/7105
A61K31/713
A61K9/16
A61K47/46
A61P37/02
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P1/18
A61K45/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K48/00
A61P43/00 111
A61K51/00 100
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024154757
(22)【出願日】2024-09-09
(62)【分割の表示】P 2020542161の分割
【原出願日】2019-02-12
(31)【優先権主張番号】62/629,563
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522228126
【氏名又は名称】ロンザ セールス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LONZA SALES AG
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スリラム サティヤナラヤナン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス イー. ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ダリア ブジン
(72)【発明者】
【氏名】アダム トーマス ブティン
(72)【発明者】
【氏名】スシュルト カメルカル
(57)【要約】
【課題】マクロファージ分極のための方法及び組成物の提供。
【解決手段】遺伝子を標的とする核酸を含む細胞外小胞を含み、腫瘍関連マクロファージのマクロファージ分極をもたらす組成物及び方法が、本明細書に開示される。特定の実施形態では、がんの治療のためにマクロファージ分極を増加させるための方法及び組成物が、本明細書に開示される。本開示の態様は、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞を包含する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子を標的とする核酸を保持する細胞外小胞を含み、腫瘍関連マクロファージのマクロファージ分極をもたらす組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫療法は、免疫応答を誘発、増強、または抑制することによる疾患の治療である。がん免疫療法は、通常、化学療法及び放射線療法のような従来のがん療法よりも少ない副作用を有する。1つのアプローチでは、がん免疫療法は、患者自身のマクロファージを刺激してがん細胞を攻撃するために使用されている。マクロファージは異なる表現型を示し、例えば、マクロファージはがん促進性であり得るか、またはマクロファージは抗がん活性を持つことができる。M2表現型、または「代替的に活性化されたマクロファージ」は、典型的には、免疫系の抑制ならびに細胞外のマトリックス及び組織リモデリング活動の産生のような、がん促進活性を呈する。M1表現型、または「古典的に活性化されたマクロファージ」は、典型的には、腫瘍細胞が認識及び攻撃され得るように、腫瘍細胞の食作用及び獲得免疫の刺激のような抗がん活性を呈する。マクロファージ分極(すなわち、M1表現型への変換)を促進する免疫調節方法及び組成物の改善が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の態様は、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞を包含する。いくつかの態様では、本開示は、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分を含むエキソソームである細胞外小胞を包含する。
【0004】
いくつかの態様では、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含み、免疫調節成分(複数可)は、核酸、例えば、阻害性RNA、例えば、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAもしくはpre-miRNA、または、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であるか、または、例えば、免疫調節成分は、配列番号1~6から選択される配列に少なくとも95%同一の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0005】
いくつかの態様では、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含み、免疫調節(成分)、例えば、核酸、例えば、阻害性RNA、例えば、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAもしくはpre-miRNA、または、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、または、例えば、免疫調節成分は、配列番号1~6から選択される配列に少なくとも95%同一の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、例えば、少なくとも1つの遺伝子が、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、及びPKM2、例えば、STAT3、STAT6、CEBP/β、Pi3Kγ、KRAS、及びHIF1-アルファ、例えば、STAT3、例えば、KRASからなる群から選択される、少なくとも1つのマクロファージ標的遺伝子を阻害する。
【0006】
いくつかの態様では、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージと接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含み、免疫調節成分はSTAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0007】
いくつかの態様では、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージと接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含み、免疫調節成分はKRASを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0008】
いくつかの態様では、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージと接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含み、免疫調節成分は、KRAS、例えば、野生型ヒトKRAS、または野生型ヒトKRAS及びマウスKRASG12Dも標的とする阻害性RNA、例えば、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNAである。
【0009】
上記の態様のいずれかでは、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)、例えば、核酸、阻害性RNA、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNA、またはASOを含み、マクロファージは腫瘍(例えば、膵腫瘍)常在マクロファージである。
【0010】
上記の態様のいずれかでは、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)、例えば、核酸、阻害性RNA、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNA、またはASOを含み、追加的な免疫調節成分、例えば、小分子薬剤、抗体もしくはその活性断片、例えば、CTLA-4、PD-1、もしくはPD-L1に結合する免疫チェックポイント阻害剤、またはCSF1-Rに結合する阻害剤、または治療用タンパク質もしくはその活性断片を更に含む。
【0011】
上記の態様のいずれかでは、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)、例えば、核酸、阻害性RNA、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNA、またはASOを含み、追加的な免疫調節成分、例えば、抗体またはその活性断片、例えば、CTLA-4、PD-1、またはPD-L1に結合する免疫チェックポイント阻害剤またはCSF1-Rに結合する阻害剤を更に含み、抗体もしくはその活性断片は、イピリムマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはニボルマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはセミプリマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはペムブロリズマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはアテゾリズマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはアベルマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはデュルバルマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはペキシダルチニブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはPLX7486のCDRに少なくとも95%同一、もしくはARRY-382のCDRに少なくとも95%同一、もしくはJNJ-40346527のCDRに少なくとも95%同一、もしくはBLZ945のCDRに少なくとも95%同一、もしくはエマクツズマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはAMG820のCDRに少なくとも95%同一、もしくはIMC-CS4のCDRに少なくとも95%同一、もしくはカビラリズマブのCDRに少なくとも95%同一であるCDRを含むか、または抗体もしくはその活性断片は、イピリムマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、IMC-CS4及びカビラリズマブからなる群から選択される少なくとも1つの抗体であるか、または抗体もしくはその活性断片は、イピリムマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、IMC-CS4及びカビラリズマブからなる群から選択される抗体と結合について競合する少なくとも1つの抗体である。
【0012】
細胞外小胞、例えば、エキソソームは、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)、例えば、核酸、阻害性RNA、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNA、またはASOを含み、追加的な免疫調節成分、例えば、抗体またはその活性断片、例えば、CTLA-4、PD-1、またはPD-L1に結合する免疫チェックポイント阻害剤またはCSF1-Rに結合する阻害剤を更に含み、抗体もしくはその活性断片は、イピリムマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはニボルマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはセミプリマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはペムブロリズマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはアテゾリズマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはアベルマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはデュルバルマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはペキシダルチニブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはPLX7486のCDRに少なくとも95%同一、もしくはARRY-382のCDRに少なくとも95%同一、もしくはJNJ-40346527のCDRに少なくとも95%同一、もしくはBLZ945のCDRに少なくとも95%同一、もしくはエマクツズマブのCDRに少なくとも95%同一、もしくはAMG820のCDRに少なくとも95%同一、もしくはIMC-CS4のCDRに少なくとも95%同一、もしくはカビラリズマブのCDRに少なくとも95%同一であるCDRを含むか、または抗体もしくはその活性断片は、イピリムマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、IMC-CS4及びカビラリズマブからなる群から選択される少なくとも1つの抗体であるか、または抗体もしくはその活性断片は、イピリムマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、IMC-CS4及びカビラリズマブからなる群から選択される抗体と結合について競合する少なくとも1つの抗体である、上記の態様のいずれかでは、それは、PTGFRNまたはその断片を更に含み、抗体またはその断片は、任意選択で、PTGFRNまたはその断片に融合され得る。
【0013】
上記の態様のいずれかでは、比較は、細胞外小胞取り込みアッセイ、標的遺伝子発現アッセイ、下流遺伝子発現アッセイ、サイトカイン放出アッセイ及びマクロファージ細胞表面タンパク質からなる群から選択されるアッセイを使用して決定される。
【0014】
上記の態様のいずれかでは、M2マクロファージは腫瘍関連マクロファージであり、M2a、M2b、及びM2cマクロファージからなる群から選択される腫瘍関連マクロファージである。
【0015】
上記の態様のいずれかでは、M1マクロファージは、分極前のM2マクロファージと比較して、INFγ、IL-12、IL-23、TNFα、IL-6、IL-1、CSCL9、CXCL10及びCXCL11からなる群から選択される炎症性サイトカイン及びケモカインの増加した分泌を呈し、及び/または分極前のM2マクロファージと比較して、IL-10、TGFβ、PGE2、CCL2、CCL17、CCL18、CCL22、及びCCL24からなる群から選択される免疫抑制性サイトカイン及びケモカインの減少した分泌を呈し、及び/または分極前のM2マクロファージと比較して、増加した腫瘍関連抗原を発現し、及び/または分極前のM2マクロファージと比較して、CD8T細胞及び/またはナチュラルキラー細胞の刺激を増加させる。
【0016】
態様では、本開示は、マクロファージとの接触の際に、マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞、例えば、エキソソームを含む薬学的組成物を包含する。
【0017】
いくつかの態様では、本開示は、それを必要とする患者(例えば、ヒト)において疾患(例えば、例えば膵癌のようながん)を治療する方法を包含し、上記の態様のいずれかの細胞外小胞、例えば、マクロファージとの接触の際に、マクロファージを上記の態様のいずれかのM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)(例えば、がん原遺伝子を標的とする阻害性RNA(例えば、KRAS))を含むエキソソームを投与すること(例えば、静脈内、腹腔内及び腫瘍内投与からなる群から選択される経路を介して)を含むか、または、上記の態様のいずれかの細胞外小胞、例えば、マクロファージとの接触の際に、マクロファージを上記の態様のいずれかのM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含むエキソソームを含む薬学的組成物を投与することを含む。
【0018】
いくつかの態様では、本開示は、上記の治療方法を包含し、第2の療法、例えば、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、または免疫療法を更に含む。
【0019】
いくつかの態様では、本開示は、少なくとも1つの遺伝子を阻害し、それにより等モル量(複数可)の免疫調節成分単体とマクロファージを接触させることと比較して、M2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させる1つ以上の免疫調節成分を含む細胞外小胞とマクロファージを接触させることを含む、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する方法を包含する。
【0020】
いくつかの態様では、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する方法は、少なくとも1つの遺伝子を阻害し、それによりマクロファージを等モル量(複数可)の免疫調節成分単体と接触させることと比較して、M2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させる1つ以上の免疫調節成分を含む細胞外小胞とマクロファージをインビボまたはインビトロで接触させることを含む。
【0021】
いくつかの態様では、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する方法は、少なくとも1つの遺伝子を阻害し、それによりマクロファージを等モル量(複数可)の免疫調節成分単体と接触させることと比較して、M2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させる1つ以上の免疫調節成分を含む細胞外小胞とマクロファージをインビボで接触させる(例えば、静脈内、腹腔内、及び腫瘍内投与からなる群から選択される経路により、例えば、細胞外小胞を対象、例えば、ヒト対象に投与することによる)ことを含む。
【0022】
いくつかの態様では、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する上に開示された方法の対象は、がん(例えば、膵癌)及び線維症から選択される状態に罹患している。
【0023】
いくつかの態様では、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する上に開示された方法のいずれかにおいて使用される細胞外小胞はエキソソームであり、免疫調節成分は核酸、例えば、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNAのような阻害性RNAである。
【0024】
いくつかの態様では、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する上に開示された方法のいずれかにおいて使用される細胞外小胞はエキソソームであり、免疫調節成分は核酸、例えば、ASOである。
【0025】
いくつかの態様では、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する上に開示された方法のいずれかにおいて使用される細胞外小胞はエキソソームであり、免疫調節成分は核酸、例えば、配列番号1~6から選択される配列に95%同一の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは配列番号1~6から選択される配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、少なくとも1つの遺伝子は、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、及びPKM2からなる群から、またはSTAT3、STAT6、CEBP/β、Pi3Kγ、KRAS、及びHIF1-アルファから選択されるか、またはSTAT3であるか、またはKRASであり、KRASの場合には、免疫調節成分は任意選択で野生型ヒトKRASを標的とする阻害性RNAであり得る。
【0026】
いくつかの態様では、本開示は、ヒト野生型KRASを標的とする阻害性RNAを含む細胞外小胞を対象に投与することを含む、対象における膵癌を治療する方法を提供し、治療は、腫瘍常在マクロファージのM2表現型からM1表現型への分極の割合を、ヒトKRASG12Dを標的とする阻害性RNAで治療された患者において観察されるものよりも高いレベルに増加させる。
【0027】
いくつかの態様では、本開示は対象における膵癌を治療する上記の方法を提供し、腫瘍常在マクロファージの分極の割合は、腫瘍試料から得られた腫瘍常在マクロファージのエクスビボアッセイを使用して決定される。
【0028】
本明細書では、マクロファージの活性を改変できる1つ以上の免疫調節成分で選択、濃縮、または操作された細胞外小胞を含み、マクロファージのM2表現型からM1表現型へのスイッチングを促進し(マクロファージ分極)、がんと闘う患者の免疫系を高める組成物及び方法が、本明細書に提供される。
【0029】
したがって、第1の態様では、1つ以上の免疫調節成分、例えば、標的細胞において少なくとも1つの遺伝子を阻害する核酸分子を含む細胞外小胞が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、標的細胞はマクロファージであり、遺伝子阻害は、等モル量の免疫調節成分(複数可)単体と比較して、M2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させる。ある特定の実施形態では、細胞外小胞はエキソソームである。ある特定の実施形態では、核酸は阻害性RNAである。ある特定の実施形態では、阻害性RNAは、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNAである。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの遺伝子は、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、及びPKM2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、遺伝子はKRASである。ある特定の実施形態では、核酸は、野生型ヒトKRASを標的とする阻害性RNAである。ある特定の実施形態では、阻害性RNAはまた、マウスKrasG12Dを標的とする。ある特定の実施形態では、マクロファージは腫瘍常在マクロファージである。ある特定の実施形態では、がんは膵癌である。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は追加的な免疫調節成分を更に含む。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、小分子薬物、抗体または治療用タンパク質である。ある特定の実施形態では、抗体は免疫チェックポイント阻害剤である。ある特定の態様では、上記の細胞外小胞のいずれかを含む薬学的組成物が、本明細書に提供される。
【0030】
ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞外小胞または薬学的組成物を患者に投与し、それにより患者における疾患を治療することを含む、それを必要とする患者における疾患を治療する方法が、本明細書に記載される。ある特定の実施形態では、この疾患は、がんである。ある特定の実施形態では、がんは膵癌である。いくつかの実施形態では、疾患は線維化状態である。いくつかの実施形態では、線維化状態は、肺線維症、肝線維症、または膵線維症である。ある特定の実施形態では、肝線維症は、非アルコール性脂肪性肝炎、またはNASHである。ある特定の実施形態では、患者はヒトである。ある特定の実施形態では、核酸は、がん原遺伝子を標的とする阻害性RNAである。ある特定の実施形態では、がん原遺伝子はヒトKRASである。ある特定の実施形態では、がんは膵癌である。ある特定の実施形態では、方法は、少なくとも第2の療法を実行することを更に含む。ある特定の実施形態では、第2の療法は、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、または免疫療法を含む。
【0031】
ある特定の実施形態では、M2マクロファージは、M2a、M2b、及びM2cマクロファージからなる群から選択される腫瘍関連マクロファージである。ある特定の実施形態では、M1マクロファージは、分極前のM2マクロファージと比較して、INFγ、IL-12、IL-23、TNFα、IL-6、IL-1、CSCL9、CXCL10及びCXCL11からなる群から選択される炎症性サイトカイン及びケモカインの増加した分泌を呈する。ある特定の実施形態では、M1マクロファージは、分極前のM2マクロファージと比較して、IL-10、TGFβ、PGE2、CCL2、CCL17、CCL18、CCL22及びCCL24からなる群から選択される免疫抑制性サイトカイン及びケモカインの減少した分泌を呈する。ある特定の実施形態では、M1マクロファージは、分極前のM2マクロファージと比較して、増加した腫瘍関連抗原を発現する。ある特定の実施形態では、M1マクロファージは、分極前のM2マクロファージと比較して、CD8T細胞及び/またはナチュラルキラー細胞の刺激を増加させる。
【0032】
ある特定の態様では、ヒト野生型KRASを標的とする阻害性RNAを含む細胞外小胞を対象に投与することを含む、対象における膵癌を治療する方法が本明細書に記載され、治療は、腫瘍常在マクロファージのM2表現型からM1表現型への分極の割合を、ヒトKRASG12Dを標的とする阻害性RNAで治療された患者において観察されるものよりも高いレベルに増加させる。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
マクロファージとの接触の際に、前記マクロファージをM2表現型からM1表現型に選択的に再分極させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞。
(項目2)
前記1つ以上の免疫調節成分(複数可)が少なくとも1つのマクロファージ標的遺伝子を阻害する、項目1に記載の細胞外小胞。
(項目3)
前記細胞外小胞がエキソソームである、項目1または2に記載の細胞外小胞。
(項目4)
前記免疫調節成分が核酸である、項目1~3のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目5)
前記核酸が阻害性RNAである、項目4に記載の細胞外小胞。
(項目6)
前記阻害性RNAが、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNAである、項目5に記載の細胞外小胞。
(項目7)
前記核酸がアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である、項目4に記載の細胞外小胞。
(項目8)
前記免疫調節成分が、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、及びPKM2からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子を阻害する、項目1~7のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目9)
前記少なくとも1つの遺伝子が、STAT3、STAT6、CEBP/β、Pi3Kγ、KRAS、及びHIF1-アルファからなる群から選択される、項目8に記載の細胞外小胞。
(項目10)
前記免疫調節成分が、配列番号1~6から選択される配列と少なくとも95%同一の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである、項目9に記載の細胞外小胞。
(項目11)
前記免疫調節成分が、配列番号1~6から選択される配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである、項目10に記載の細胞外小胞。
(項目12)
前記少なくとも1つの遺伝子がSTAT3である、項目9に記載の細胞外小胞。
(項目13)
前記免疫調節成分がSTAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである、項目12に記載の細胞外小胞。
(項目14)
前記少なくとも1つの遺伝子がKRASである、項目9に記載の細胞外小胞。
(項目15)
前記免疫調節成分が野生型ヒトKRASを標的とする阻害性RNAである、項目14に記載の細胞外小胞。
(項目16)
前記阻害性RNAがマウスKrasG12Dも標的とする、項目15に記載の細胞外小胞。
(項目17)
前記マクロファージが腫瘍常在マクロファージである、項目1~16のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目18)
前記腫瘍が膵腫瘍である、項目17に記載の細胞外小胞。
(項目19)
追加的な免疫調節成分を更に含む、項目1~18のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目20)
前記追加的な免疫調節成分が、小分子薬物、抗体もしくはその活性断片または治療用タンパク質もしくはその活性断片である、項目19に記載の細胞外小胞。
(項目21)
前記追加的な免疫調節成分が、抗体またはその活性断片である、項目20に記載の細胞外小胞。
(項目22)
前記抗体またはその活性断片が、CTLA-4、PD-1、またはPD-L1に結合する免疫チェックポイント阻害剤、またはCSF1-Rに結合する阻害剤である、項目21に記載の細胞外小胞。
(項目23)
前記抗体またはその活性断片が、イピリムマブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはニボルマブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはセミプリマブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはペムブロリズマブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはアテゾリズマブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはアベルマブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはデュルバルマブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはペキシダルチニブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはPLX7486のCDRに少なくとも95%同一であるか、またはARRY-382のCDRに少なくとも95%同一であるか、またはJNJ-40346527のCDRに少なくとも95%同一であるか、またはBLZ945のCDRに少なくとも95%同一であるか、またはエマクツズマブのCDRに少なくとも95%同一であるか、またはAMG820のCDRに少なくとも95%同一であるか、またはIMC-CS4のCDRに少なくとも95%同一であるか、またはカビラリズマブのCDRに少なくとも95%同一であるCDRを含む、項目22に記載の細胞外小胞。
(項目24)
前記抗体またはその活性断片が、イピリムマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、IMC-CS4、及びカビラリズマブからなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、項目23に記載の細胞外小胞。
(項目25)
前記抗体またはその活性断片が、イピリムマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、IMC-CS4、及びカビラリズマブからなる群から選択される抗体と結合について競合する少なくとも1つの抗体である、項目22に記載の細胞外小胞。
(項目26)
PTGFRNまたはその断片を更に含む、項目20~25のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目27)
前記抗体またはその断片がPTGFRNまたはその断片に融合される、項目26に記載の細胞外小胞。
(項目28)
比較が、細胞外小胞取り込みアッセイ、標的遺伝子発現アッセイ、下流遺伝子発現アッセイ、サイトカイン放出アッセイ及びマクロファージ細胞表面タンパク質アッセイからなる群から選択されるアッセイを使用して決定される、項目1~27のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目29)
前記M2マクロファージが、M2a、M2b、及びM2cマクロファージからなる群から選択される腫瘍関連マクロファージである、上記の項目のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目30)
前記M1マクロファージが、分極前の前記M2マクロファージと比較して、INFγ、IL-12、IL-23、TNFα、IL-6、IL-1、CSCL9、CXCL10及びCXCL11からなる群から選択される炎症性サイトカイン及びケモカインの増加した分泌を呈する、上記の項目のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目31)
前記M1マクロファージが、分極前の前記M2マクロファージと比較して、IL-10、TGFβ、PGE2、CCL2、CCL17、CCL18、CCL22及びCCL24からなる群から選択される免疫抑制性サイトカイン及びケモカインの減少した分泌を呈する、上記の項目のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目32)
前記M1マクロファージが、分極前の前記M2マクロファージと比較して、増加した腫瘍関連抗原を発現する、上記の項目のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目33)
前記M1マクロファージが、分極前の前記M2マクロファージと比較して、CD8T細胞及び/またはナチュラルキラー細胞の刺激を増加させる、上記の項目のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
(項目34)
項目1~33のいずれか一項に記載の細胞外小胞を含む、薬学的組成物。
(項目35)
それを必要とする患者において疾患を治療する方法であって、項目1~33のいずれか一項に記載の細胞外小胞または項目34に記載の薬学的組成物を前記患者に投与し、それによって前記患者における前記疾患を治療することを含む、前記方法。
(項目36)
前記疾患ががんである、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記患者がヒトである、項目35または36に記載の方法。
(項目38)
前記免疫調節成分ががん原遺伝子を標的とする阻害性RNAである、項目35~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記がん原遺伝子がヒトKRASである、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記がんが膵癌である、項目39に記載の方法。
(項目41)
少なくとも第2の療法で実行することを更に含む、項目35~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記第2の療法が、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、または免疫療法を含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記投与することが、静脈内、腹腔内及び腫瘍内投与からなる群から選択される経路を介する、項目26~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
マクロファージにおいて遺伝子発現を調節する方法であって、前記マクロファージを等モル量(複数可)の免疫調節成分単体に接触させることと比較して、前記マクロファージを、少なくとも1つの遺伝子を阻害し、それによりM2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させる1つ以上の前記免疫調節成分を含む細胞外小胞と接触させることを含む、前記方法。
(項目45)
前記接触させることがエクスビボまたはインビボである、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記接触させることがインビボである、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記インビボで接触させることが対象に前記細胞外小胞を投与することを含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記投与することが、静脈内、腹腔内及び腫瘍内投与からなる群から選択される経路を介する、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記対象がヒトである、項目46~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記対象が、がん及び繊維症から選択される状態に罹患している、項目46~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記状態が膵癌である、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記細胞外小胞がエキソソームである、項目44~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記免疫調節成分が核酸である、項目44~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記核酸が阻害性RNAである、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記阻害性RNAが、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、pri-miRNAまたはpre-miRNAである、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記核酸がアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記少なくとも1つの遺伝子が、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、及びPKM2からなる群から選択される、項目44~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記少なくとも1つの遺伝子が、STAT3、STAT6、CEBP/β、Pi3Kγ、KRAS、及びHIF1-アルファからなる群から選択される、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記免疫調節成分が、配列番号1~6から選択される配列と少なくとも95%同一の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記免疫調節成分が、配列番号1~6から選択される配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記少なくとも1つの遺伝子がSTAT3である、項目58に記載の方法。
(項目62)
前記免疫調節成分がSTAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記少なくとも1つの遺伝子がKRASである、項目58に記載の方法。
(項目64)
前記免疫調節成分が野生型ヒトKRASを標的とする阻害性RNAである、項目63に記載の方法。
(項目65)
対象における膵癌を治療する方法であって、ヒト野生型KRASを標的とする阻害性RNAを含む細胞外小胞を前記対象に投与することを含み、前記治療が、M2表現型からM1表現型への腫瘍常在マクロファージの分極の割合を、ヒトKRASG12Dを標的とする阻害性RNAで治療された患者において観察されるものよりも高いレベルに増加させる、前記方法。
(項目66)
前記腫瘍常在マクロファージの分極の割合が、腫瘍試料から得られた腫瘍常在マクロファージのエクスビボアッセイを使用して決定される、項目65に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】遺伝子の各々を標的とする増加する量のsiRNAのトランスフェクション後の、Stat 3、Stat 6、Cebpβ-1、Pi3Kγ、CEBPβ-2、及びKrasの遺伝子発現レベルを示す。
図2】それぞれStat 3、Stat 6、Cebpβ-1、Pi3Kγ、CEBPβ-2、及びKrasを標的とする増加する量のsiRNAのトランスフェクション後のArg1発現を示す。スクランブルされたsiRNAトランスフェクトマクロファージを、対照として使用した。
図3】6つのマクロファージ亜集団(M0、M1、M2a、M2c、M2++、及びTAM)の総細胞GFP強度により決定されたエキソソーム取り込みを示す。
図4】総蛍光強度によって測定されたM2またはM0マクロファージによる遊離アンチセンスオリゴ(Free-ASO)及びASO負荷されたエキソソーム(Exo-ASO)の取り込みを示す。
図5図5Aは、ナイーブマウスにおける1x1011または1x1012のGFP含有エキソソームの腹腔内注射後の、インビボでのマクロファージによるエキソソーム取り込みを示す。図5Bは、B16F10担腫瘍マウスにおける単回用量のネイティブ非標識エキソソームまたはCy5標識Exo-ASOの注射後のインビボでの腫瘍細胞及びマクロファージによるネイティブエキソソーム及びExo-ASOの更新を示す。
図6】5μMの遊離コレステロールタグ付きASO、またはコレステロールタグ付きASOで負荷された1×10または1×10のエキソソームのいずれかとのインキュベーション後のM2分極マウスRAW264.7細胞におけるStat3発現を示す。STAT3を標的とする5つの異なるコレステロールタグ付きASOを、試験した。ASO4.1、二本鎖MOEケミストリー;ASO5.1及びASO5.2、一本鎖O-メチルケミストリー;ASO5.3及びASO5.4、一本鎖MOEケミストリー。未処理の分極マクロファージ及び未修飾のエキソソームとインキュベートされた分極マクロファージを、陰性対照として使用した。Stat3 siRNAトランスフェクトマクロファージを、陽性対照として使用した。
図7】5μMの遊離コレステロールタグ付きASO、またはコレステロールタグ付きASOで負荷された1×10または1×10のエキソソームのいずれかとのインキュベーション後のM2分極マウスRAW264.7細胞におけるArg1転写レベルを示す。STAT3を標的とする5つの異なるコレステロールタグ付きASOを、試験した。ASO4.1、二本鎖MOEケミストリー;ASO5.1及びASO5.2、一本鎖O-メチルケミストリー;ASO5.3及びASO5.4、一本鎖MOEケミストリー。未処理の分極マクロファージ及び未修飾のエキソソームとインキュベートされた分極マクロファージを、陰性対照として使用した。Stat3 siRNAトランスフェクトマクロファージを、陽性対照として使用した。
図8図8Aは、STAT3についての高(4μM)用量のASOまたは高(4μM)用量及び低(0.4μM)用量のExo-ASOとのインキュベーション後のM2分極マウスRAW264.7細胞におけるSTAT3発現を示す。図8Bは、KRASについての高(4μM)用量のASOまたはExo-ASOとのインキュベーション後のM2分極マウスRAW264.7細胞におけるKRAS発現を示す。図8Cは、C/EBPβについての高(4μM)用量及び低(0.4μM)用量のASOまたはExo-ASOとのインキュベーション後のM2分極マウスRAW264.7細胞におけるC/EBPβ発現を示す。
図9図9Aは、異なる用量の遊離STAT3 ASOまたはSTAT3 Exo-ASOでの処理後の、3名の別個のドナーからの初代ヒトマクロファージにおけるSTAT3転写レベルを示す。各処理のIC50及び遊離STAT3 ASOと比較したSTAT3 Exo-ASOの改善倍率が提示される。図9Bは、異なる用量の遊離STAT3 ASOまたはSTAT3 Exo-ASOでの処理後の、3名の別個のドナーからの初代ヒトマクロファージにおけるCD163レベルを示す。各処理のIC50及び遊離STAT3 ASOと比較したSTAT3 Exo-ASOの改善倍率が提示される。
図10】それぞれHIF1α、Pi3Kγ、CEBP/β、STAT6、及びSTAT3についての4μMの遊離ASOまたはExo-ASOでの処理後のヒトM2マクロファージにおける標的遺伝子発現を示す。未処理ヒトM2マクロファージ及び4μMのスクランブルされたExo ASOで処理されたヒトM2マクロファージを、対照として使用した。
図11】それぞれHIF1α、Pi3Kγ、CEBP/β、STAT6、及びSTAT3についての4μMの遊離ASOまたはExo-ASOでの処理後のヒトM2マクロファージにおけるCD163発現を示す。未処理ヒトM2マクロファージ及び4μMのスクランブルされたExo ASOで処理されたヒトM2マクロファージを、対照として使用した。
図12図12Aは、4μMの遊離STAT3 ASO、4μMのSTAT3 Exo-ASO、4μMのスクランブルされたExo-ASO、ネイティブエキソソーム、またはC188-9、LPSの存在下または非存在下でのSTAT3の小分子阻害剤での処理後のIL-12の誘導を示す。図12Bは、4μMの遊離STAT3 ASO、4μMのSTAT3 Exo-ASO、4μMのスクランブルされたExo-ASO、ネイティブエキソソーム、またはC188-9、LPSの存在下または非存在下でのSTAT3の小分子阻害剤での処理後のIL-23の誘導を示す。
図13A図13Aは、未修飾のエキソソーム(EVのみ)、及び濃度一致したStat3遊離ASO及びStat3 Exo-ASOでの処理後のSTAT3転写レベルを示す。
図13B図13Bは、未修飾のエキソソーム(EVのみ)、及び濃度一致したStat3遊離ASO及びStat3 Exo-ASOでの処理後のCD163転写レベルを示す。
図13C図13Cは、未修飾のエキソソーム(EVのみ)、及び濃度一致したStat3遊離ASO及びStat3 Exo-ASOでの処理後のTGFβ転写レベルを示す。
図13D図13Dは、未修飾のエキソソーム(EVのみ)、及び濃度一致したStat3遊離ASO及びStat3 Exo-ASOでの処理後のSTAT6転写レベルを示す。
図14】それぞれSTAT3(MOE及びLNAケミストリーの両方)、STAT6(MOEケミストリー)、CEBP/β(MOEケミストリー)に対してASOで負荷されたエキソソームでの処理後のTGFβ発現レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
マクロファージ分極は、マクロファージがそれらの微小環境からの信号に応答して異なる機能プログラムを採用するプロセスである。この能力は、生物におけるそれらの複数の役割に関連する。それらは、自然免疫系の強力なエフェクター細胞であるが、細胞破片の除去、胚発生及び組織修復においても重要である。
【0035】
マクロファージの表現型は大まかに2つの群、M1(古典的に活性化されたマクロファージ)及びM2(代替的に活性化されたマクロファージ)に分けられる。この大まかな分類は、培養されたマクロファージが特定の状態へスイッチングするそれらの表現型を刺激する分子で処理されたインビトロ研究に基づく。M1マクロファージは、炎症促進性であり、食作用ならびに炎症促進性サイトカイン及び殺菌分子の分泌のような、病原体に対する直接的な宿主防御において重要である。M2マクロファージは全く逆の機能、炎症の解消段階及び損傷した組織の修復の制御を有する。例えば、Wynn,T.A.,Chawla,A.,& Pollard,J.W.(2013).Origins and Hallmarks of Macrophages:Development,Homeostasis,and Disease.Nature,496(7446),445-455、Mills,C.D.,Kincaid,K.,Alt,J.M.,Heilman,M.J.,& Hill,A.M.(2000).M-1/M-2 Macrophages and the Th1/Th2 Paradigm.The Journal of Immunology,164(12),6166-6173を参照されたい。多くの固形腫瘍は、多くの場合、腫瘍関連マクロファージ(TAM)として知られるM2マクロファージの型を含む、骨髄リッチな細胞浸潤により特徴付けられる。M2マクロファージ(TAMのような)は、代謝酵素アルギナーゼ(Arg1)の発現を促進する高レベルのリン酸化STAT3及びSTAT6を発現する。TAMは、例えば、がん細胞の運動性、転移形成及び血管新生の促進のような多くの腫瘍促進活性を媒介し、TAM形成は、発生する腫瘍に存在する微小環境因子に依存する。TAMは、例えば、IL-10、TGFβ、PGE2のような免疫抑制性サイトカイン、及び非常に少量のNOまたはROI、及び低レベルの炎症性サイトカイン(IL-12、IL-1β、TNFα、IL-6)を産生する。「古典的に活性化された」M1マクロファージと比較して、TAMによる腫瘍関連抗原の提示は、T及びNK細胞の抗腫瘍機能の刺激もそうであるように、減少する。M1マクロファージとは異なり、TAMは腫瘍細胞を溶解できない。https://en.wikipedia.org/wiki/Macrophage_polarization-cite_note-Sica2008-31したがって、TAM及び他のM2マクロファージを標的とすることは、TAMの動員と分布を変更するか、既存のTAMを枯渇させるか、またはM2表現型からM1表現型へTAMの再教育を誘導するいずれかが薬剤の送達を通じて実証されているように、がんに対する新規の治療戦略を提供する。
【0036】
本発明のエキソソーム治療法は、これらの疾患の文脈において異常なマクロファージをM1表現型に「再分極すること」により、がん及び線維症のような疾患を治療するための組織常在微小環境を促進するためのM2マクロファージに対する選択的効果を有する。本明細書に記載のエキソソームは、ヒトの疾患を治療するためにM2マクロファージをM1表現型に再分極させる経路に関与する候補を作成するために、エキソソーム表面上またはエキソソーム内腔内で様々な生物学的活性分子を用いて精密に操作される。
【0037】
腫瘍関連M2分極マクロファージ、またはTAMは、T細胞増殖及びエフェクター機能を効果的に抑制し、腫瘍成長を促進できる。M1表現型へのTAMの復帰もまた、CSF-1受容体に配向されたマクロファージを枯渇させる抗体を使用して報告されている。これらのアプローチは、狭い治療ウィンドウ、及び意図されたよう異常なM2マクロファージだけでなく、全てのマクロファージを標的とすることによる特異性の欠如により、臨床試験において限定した成功を示している。かかるマクロファージの大量の枯渇は、増加した感染リスク及び他の安全上の懸念を生じると予想されるであろう。本発明のエキソソームは、マクロファージに対する天然のエキソソーム配向性により、M2マクロファージをより選択的に標的とし、機能のバランスを所望のM1表現型に傾ける。これらのエキソソームは、マクロファージを再分極させ、抗腫瘍免疫応答に必要な炎症性サイトカインの所望のスペクトルの産生を生じる。以下の例に示されるように、エキソソームは、インビトロで免疫抑制性M2マクロファージをM1表現型に再プログラムした。
【0038】
腫瘍微小環境において誘導される免疫抑制に加えて、M2分極マクロファージは、線維芽細胞の蓄積を誘導してコラーゲン沈着及び組織再構築をもたらし、最終的には組織線維症を生じる、細胞シグナル伝達に関与する重要なサイトカインであるトランスフォーミング増殖因子ベータ、またはTGFβを大量に分泌する。これらのM2マクロファージを再プログラミングしてSTAT3のような主要なシグナル伝達分子を標的とすることによりTGFβ産生を低下させることは、肺線維症の前臨床モデルにおいて有益な活性を有することが、示されている。STAT3を標的とするいくつかの小分子アプローチが採用されているが、異常なM2マクロファージ内のみでの阻害の特異性の欠如は、処理に対するこのアプローチが実行可能になることを防止した。本明細書に記載されるある特定のエキソソームは、M2マクロファージにおける主要な経路を選択的に標的化し、それらが肺及び他の組織線維症症候群におけるSTAT3及び他の細胞経路を標的とすることを可能にする。
【0039】
免疫系のマクロファージを調節するために有用な細胞外小胞が、本明細書に開示される。これらの細胞外小胞は、等モル量(複数可)の1つ以上の免疫調節成分(複数可)単体と比較して、マクロファージとの接触の際に、少なくとも1つのマクロファージ標的遺伝子を阻害し、それによりマクロファージ分極をM2表現型からM1表現型に増加させる1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む。細胞外小胞を産生するための方法、ならびにがん及び、例えば、繊維症状態のような他の免疫系関連疾患を治療するためにこれらの細胞外小胞を使用する方法も、提供される。
【0040】
本発明をより詳細に記載する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、言うまでもなく、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定するものとしては意図されないことも理解されたい。
【0041】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値、及びその表示された範囲の任意の他の表示値(stated value)または介在値(intervening value)が、文脈が別途明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1まで、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値及び下限値は、より小さい範囲内に独立して含まれることができ、表示された範囲内の任意の具体的に除外された限界値を条件として、本発明内にも包含される。表示された範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の片方または両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0042】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法及び材料は本発明の実施または試験においても使用され得るが、代表的な例示的方法及び材料が次に記載される。
【0043】
本明細書に引用された全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物または特許が参照によって組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が引用されるのと関連した方法及び/または材料を開示及び記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。同様に、用語「少なくとも1つ」は、複数の指示対象を含む(すなわち、文脈が別途明確に指示しない限り、語句「1つ以上」と同等である)。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように作成し得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連した「単に」、「のみ」等のような排他的な専門用語の使用のため、または否定的な制限の使用のための先行詞として役立つよう意図される。
【0045】
用語「約」は、数値を改変するために使用される際に、当業者によって容易に決定され得るように、記載された技術を実践する目的のために記載された値と機能的に同等である表示値の変動を包含することが意図される。ある特定の実施形態では、用語「約」は、表示値からの+/-5%、+/-10%、+/-20%、+/-30%、+/-40%または+/-50%の変動を含む。
【0046】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に切り離され得るか、または組み合わされ得る別個の成分及び特徴を有する。任意の列挙される方法は、列挙される事象の順で、または論理的に可能な任意の他の順序で行われ得る。
【0047】
本発明を更に説明する際に、本方法を実施する際の使用のための本系は、より詳細に議論され、その後、関連する方法の概説が後に続く。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「細胞外小胞」は、内部空間を封入する膜を含む細胞由来の小胞を指す。細胞外小胞は、それらが由来する細胞よりも小さい直径を有する全ての膜結合小胞を含む。一般的に、細胞外小胞は直径が20nm~1000nmの範囲であり、内部空間内で、細胞外小胞の外部表面に表示されて、及び/または膜をまたいでのいずれかで、様々な高分子カーゴを含むことができる。カーゴは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/またはそれらの組み合わせを含むことができる。例として、かつ限定することなく、細胞外小胞は、アポトーシス小体、細胞の断片、直接的操作または間接的操作による細胞由来の小胞(例えば、連続押出またはアルカリ溶液での処理による)、小胞化オルガネラ、及び生細胞により産生される小胞(例えば、直接原形質膜出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合による)を含む。細胞外小胞は、生きているもしくは死んだ生物、外植された組織もしくは器官、及び/または培養された細胞に由来し得る。細胞外小胞の種は、例えば、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、共有の米国特許第10,195,290号に記載されるような、エキソソーム及びナノ小胞を含む。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「エキソソーム」は、内部空間を封入する膜を含み、直接原形質膜出芽によるか、または後期エンドソームの原形質膜との融合により細胞から生成される、細胞由来の小さい(直径20~300nm、より好ましくは直径40~200nm)小胞を指す。エキソソームは、細胞外小胞の一種である。エキソソームは、脂質または脂肪酸及びポリペプチドを含み、任意選択で、ペイロード(例えば、治療薬)、レシーバー(例えば、標的化部分)、ポリヌクレオチド(例えば、核酸、RNA、またはDNA)、糖(例えば、単糖、多糖類、もしくはグリカン)または他の分子を含む。エキソソームは、プロデューサー細胞に由来することができ、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいてプロデューサー細胞から単離され得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「ナノ小胞」は、内部空間を封入する膜を含み、ナノ小胞が操作なしではプロデューサー細胞によって産生されないように直接的操作または間接的操作により細胞から生成される、細胞由来の小さい(直径20~250nm、より好ましくは直径30~150nm)小胞を指す。プロデューサー細胞の適切な操作は、連続押出、アルカリ溶液での処理、超音波処理、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。ナノ小胞の産生は、いくつかの例では、プロデューサー細胞の破壊を生じ得る。好ましくは、ナノ小胞の集団は、原形質膜からの直接出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合により、プロデューサー細胞に由来する小胞を実質的に含まない。ナノ小胞は、細胞外小胞の一種である。ナノ小胞は、脂質または脂肪酸及びポリペプチドを含み、任意選択で、ペイロード(例えば、治療薬)、レシーバー(例えば、標的化部分)、ポリヌクレオチド(例えば、核酸、RNA、またはDNA)、糖(例えば、単糖、多糖類、もしくはグリカン)または他の分子を含む。ナノ小胞は、ナノ小胞が操作に従ってプロデューサー細胞に由来すると、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいてプロデューサー細胞から単離され得る。
【0051】
本明細書で使用される用語「M2表現型」は、1つ以上の腫瘍促進活性を呈するか、または当業者に、CD8T細胞及び/またはナチュラルキラー細胞の低下した刺激または刺激の欠如;腫瘍細胞の食作用の欠如;M2関連サイトカイン(例えば、IL-10、TGFβ、PGE2、CCL2、CCL17、CCL18、CCL22及びCCL24)の分泌及び/または発現;成長因子(例えば、VEGF-A、VEGF-C、EGF、及びTGF-β)の分泌及び/または発現;転移酵素(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼMMP2、MMP9、システインカテプシンプロテアーゼ)の分泌及び/または発現;免疫抑制性因子(例えば、基質L-アルギニンを誘導性一酸化窒素シンターゼ(iNOS)から引き抜くアルギナーゼI(ArgI))の分泌/発現;細胞表面マーカーYM1、FIZZ1、デクチン-1、MGLの発現、M2関連miRNA(例えば、miRNA146a、miRNA let 7b、及びmiR-223)の発現(例えば、Mosser,D.M.,& Edwards,J.P.(2008)Exploring the full spectrum of macrophage activation.Nature Reviews Immunology,8(12),958-96;Murray,P.J.,Allen,J.E.,Biswas,S.K.,Fisher,E.A.,Gilroy,D.W.,Goerdt,S.,Wynn,T.A.(2014).Macrophage activation and polarization:nomenclature and experimental guidelines.Immunity,41(1),14-20;and Liu,Y.C.,Zou,X.B.,Chai,Y.F.,&Yao,Y.M.(2014).Macrophage polarization in inflammatory diseases.International Journal of Biological Sciences,10(5),520-5299、及び、各々が全ての目的のために参照により組み込まれる、それらに引用される参照文献を参照されたい)及び/または以下に列挙されるM1関連因子の低下した発現/分泌または低下したM1関連活性に関連すると知られるマクロファージを指し、参照試料は、M1活性マクロファージの集団を含む。インビトロでのM1活性化は、グラム陰性細菌について典型的な細菌性リポ多糖(LPS)及びグラム陽性細菌について典型的なリポテイコ酸(LTA)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)またはLPS及びインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)の組み合わせのような、TLRリガンドでの処理により誘発される。Mills,C.D.,Kincaid,K.,Alt,J.M.,Heilman,M.J.,& Hill,A.M.(2000)M-1/M-2 Macrophages and the Th1/Th2 Paradigm.The Journal of Immunology,164(12),6166-6173、Krausgruber,Thomas,et al.”IRF5 promotes inflammatory macrophage polarization and TH1-TH17 responses.”Nature immunology 12.3(2011):231-238及びMartinez,F.O.,& Gordon,S.(2014)The M1
and M2 paradigm of macrophage activation:time for reassessment.F1000Prime Reports,6(March),1-13、及び、各々が全ての目的のために参照により組み込まれる、それらに引用される参照文献を参照されたい。
【0052】
本明細書で使用される用語「M1表現型」は、これらに限定されないが、CD8 T細胞及び/またはナチュラルキラー細胞の刺激、腫瘍細胞の食作用、M1関連サイトカイン(例えば、INFγ、IL-12、IL-23、TNFα、IL-6、IL-1、CCL5、CSCL9、CXCL10及びCXCL11)の分泌及び/または発現、M1関連miRNA(例えば、miRNA155、miR-33)の発現(例えば、Mosser,D.M.,&Edwards,J.P.(2008)Exploring the full spectrum of macrophage activation.Nature Reviews Immunology,8(12),958-96;Murray,P.J.,Allen,J.E.,Biswas,S.K.,Fisher,E.A.,Gilroy,D.W.,Goerdt,S.,Wynn,T.A.(2014)Macrophage activation and polarization:nomenclature and experimental guidelines.Immunity,41(1),14-20;and Liu,Y.C.,Zou,X.B.,Chai,Y.F.,& Yao,Y.M.(2014).Macrophage polarization in inflammatory diseases.International Journal of Biological Sciences,10(5),520-5299、及び、各々が全ての目的のために参照により組み込まれる、それらに引用される参照文献を参照されたい)及び/またはM2関連因子の低下した発現/分泌、または少なくとも1つの参照試料と比較して、上に列挙される低下したM2関連活性のようなM1表現型に関連すると当業者に知られる抗腫瘍活性またはマーカーを呈するマクロファージを指し、参照試料はM2関連マクロファージの集団を含む。インビトロでの M2活性化は、IL-4及びIL-13により誘発される(例えば、全ての目的のために参照により組み込まれるLiu,Y.C.,Zou,X.B.,Chai,Y.F.,&Yao,Y.M.(2014)Macrophage polarization in inflammatory diseases.International Journal of Biological Sciences,10(5),520-529を参照されたい)。
【0053】
本明細書で使用される用語「マクロファージ分極」は、マクロファージのM2表現型からM1表現型への変化を指し、及び/または少なくとも1つの参照試料(例えば、同じ患者から試験試料または履歴データの前に採取された試料)と比較して、M1表現型を呈するマクロファージの患者で見出されるマクロファージ(例えば、腫瘍に関連するマクロファージ、または循環マクロファージ)の集団の割合の増加を指す。例えば、全ての目的のために参照により組み込まれるMills,C.D.,Kincaid,K.,Alt,J.M.,Heilman,M.J.,& Hill,A.M.(2000)M-1/M-2 Macrophages and the Th1/Th2 Paradigm.The Journal of Immunology,164(12),6166-6173、Mosser,D.M.,& Edwards,J.P.(2008)Exploring the full spectrum of macrophage activation.Nature Reviews Immunology,8(12),958-969、及びXue,J.,Schmidt,S.V.and Schultze,J.L.(2014),Transcriptome-Based Network Analysis Reveals a Spectrum Model of Human Macrophage Activation.Immunity,40(2)L 274-288を参照されたい。
【0054】
用語「細胞外小胞送達」または「細胞外小胞の送達」は、対象の標的組織、細胞及び/または器官への細胞外小胞の投与及び局在化を指す。いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、標的細胞の細胞質に送達され得る。他の実施形態では、免疫調節成分は、標的細胞の膜に送達される。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の膜は、標的細胞の膜と融合する。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「プロデューサー細胞」は、細胞外小胞が単離され得る任意の細胞を指す。プロデューサー細胞は、細胞外小胞に対する供給源として役立つ細胞である。プロデューサー細胞は、タンパク質、脂質、糖、または核酸成分を細胞外小胞と共有できる。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞は、改変された細胞または人工細胞である。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞は、培養または単離された細胞である。ある特定の実施形態では、プロデューサー細胞は、細胞株である。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞株は、ヒト胎児腎細胞株である。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞株は、HEK293SF細胞株である。ある特定の実施形態では、プロデューサー細胞は、初代細胞である。いくつかの特定の実施形態では、プロデューサー細胞は、例えば、Bリンパ球、Tリンパ球、樹状細胞、マスト細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、抗原提示細胞、Tヘルパー細胞、または制御性T細胞(Treg細胞)のような免疫細胞である。
【0056】
本明細書で使用される「膜」は、1つ以上の生物学的化合物、典型的には脂質、及び任意選択でポリペプチド及び/または炭水化物を含む外部空間から内部空間を分離する境界層である。いくつかの実施形態では、膜は脂質及び脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、膜は、リン脂質、糖脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、ステロール、コレステロール、及びホスファチジルセリンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、膜は、1つ以上のポリペプチド及び/またはグリカンのような1つ以上の多糖類を更に含む。細胞外小胞は、本明細書で定義される膜を含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「免疫調節成分」は、薬剤と接触し、免疫細胞(例えばマクロファージまたは他の免疫細胞)を改変する標的(例えば、例としてこれらに限定されないが、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、及びPKM2を含む標的遺伝子)に作用する治療薬を指す。細胞外小胞及び/またはプロデューサー細胞中に導入され得る免疫調節成分は、阻害性核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、siRNA、miRNA、アンチセンスRNA、shRNA、lncRNA、pri-miRNA及びpre-miRNA)、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体、及び/または抗原結合断片、免疫チェックポイント阻害剤のモジュレーターまたは免疫チェックポイント阻害剤のリガンド、表面抗原及びそれらの誘導体、及び/またはサイトカイン及びそれらの誘導体のようなポリヌクレオチドのような治療薬を含むことができる。ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、阻害性核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、siRNA、miRNA、アンチセンスRNA、shRNA、lncRNA、pri-miRNA及びpre-miRNA)である。例えば、全ての目的のために参照により組み込まれるWeiss,B.(ed.):Antisense Oligodeoxynucleotides and Antisense RNA:Novel Pharmacological and Therapeutic Agents,CRC Press,Boca Raton,FL,1997、Elbashir S,Harborth J,Lendeckel W,Yalcin A,Weber K,Tuschl T(2001)”Duplexes of 21-nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells”.Nature.411(6836):494-988、Bartel DP(January 2004)”MicroRNAs:genomics,biogenesis,mechanism,and function”.Cell.116(2):281-97、Paddison,PJ;Caudy,AA;Bernstein,E;Hannon,GJ;Conklin,DS(15 April 2002).”Short hairpin RNAs (shRNAs)induce sequence-specific silencing in mammalian cells”.Genes & Development.16(8):948-58、Ma L,Bajic VB,Zhang Z(June 2013)”On the classification of long non-coding RNAs”.RNA Biology.10(6):925-33、及びAmbros V,Bartel B,Bartel
DP,Burge CB,Carrington JC,Chen X,Dreyfuss G,Eddy SR,Griffiths-Jones S,Marshall M,Matzke M,Ruvkun G,Tuschl T(March 2003).”A uniform system for microRNA annotation”.RNA.9(3):277-9を参照されたい。
【0058】
本明細書で使用される場合、語句「阻害する核酸分子」または「阻害性核酸」は、標的遺伝子と相互作用するように細胞中に導入される際に、その標的遺伝子の発現または活性の阻害を生じる任意の核酸を指す。阻害する核酸分子、すなわち阻害性核酸は、DNAまたは阻害性RNA(例えば、siRNA、miRNA、アンチセンスRNA、shRNA、lncRNA、pre-miRNA、またはmRNA)であり得、該RNAは一本鎖であるか、二本鎖であるか、または一本鎖及び二本鎖領域の両方を含有する。いくつかの実施形態では、阻害性核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。ASOは、一本鎖または二本鎖のDNA、RNA、またはDNA/RNAハイブリッドであり得る。例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Antisense Oligodeoxynucleotides and Antisense RNA:Novel Pharmacological and Therapeutic Agents,CRC Press,Boca Raton,FL,1997を参照されたい。「EXO ASO」は、小胞膜(例えば、コレステロールまたは脂肪酸アシル誘導体化ASOと共に発生する)との相互作用を通じて、または電気穿孔のような技法を使用して小胞内腔中に負荷することによって、または、例えば、操作されたプロデューサー細胞からの細胞外小胞の単離が後に続く、所望のASOをコードする構築物をプロデューサー細胞中に導入するためのトランスフェクションまたは形質導入によるようなプロデューサー細胞の遺伝子操作を介して、例えば、エキソソームのような細胞外小胞に物理的に関連する。
【0059】
用語「レシーバー」は、細胞外小胞を標的に導き、及び/または細胞外小胞の対象の標的との相互作用を促進する分子を指す。いくつかの実施形態では、レシーバーは、本明細書で「レシーバーポリペプチド」としても時々称されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、レシーバーは、対象の標的組織へ導かれた輸送によるように、対象の組織中の免疫調節成分の濃度を増加させることができる。レシーバーの例は、表3に列挙される例を含むが、これらに限定されない。
【0060】
用語「標的」は、その活性が本開示の免疫調節成分(すなわち、標的遺伝子)によって調節される遺伝子を指すことができる。ある特定の実施形態では、標的遺伝子は、例えば、阻害性ASOのような細胞外小胞に関連する(すなわち、膜表面に結合する、脂質二重層内に挿入される、または小胞の封入容積内に封入される)核酸分子によって阻害される。標的遺伝子の例は、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、及びPKM2を含むが、これらに限定されない。「標的」はまた、本開示の細胞外小胞が導かれる細胞(すなわち、標的細胞)を指すことができる。ある特定の実施形態では、標的細胞は、免疫細胞(例えば、マクロファージ)である。ある特定の実施形態では、標的細胞は、造血幹細胞または多能性幹細胞である。ある特定の実施形態では、標的細胞は、循環マクロファージである。ある特定の実施形態では、標的細胞は、腫瘍常在マクロファージ(すなわち、腫瘍微小環境内、腫瘍組織内、または腫瘍表面近傍に位置するマクロファージ)である。追加的に、「標的」はまた、その活性が本開示の免疫調節成分との接触により調節される標的細胞上のタンパク質、または本開示の細胞外小胞に結合するためのリガンドとして作用するタンパク質(すなわち、標的タンパク質)を指し得る。したがって、ある特定の実施形態では、標的タンパク質は標的細胞上にあり、細胞外小胞と相互作用する。
【0061】
「治療薬」または「治療分子」は、有効量で存在する際に、それを必要とする対象に所望の治療効果、薬理学的及び/または生理学的効果を生み出す化合物または分子を含む。それは、対象に投与される際に、対象に対する測定可能または伝達可能な効果を有する、例えば、それが疾患、障害または状態の症状を軽減または減少させる任意の化合物、例えば、小分子薬物、または生物製剤(例えば、ポリペプチド薬物または核酸薬物)を含む。
【0062】
本明細書で使用される用語「免疫チェックポイント阻害剤」または「チェックポイント阻害剤」は、免疫細胞を抑制する免疫抑制性チェックポイント経路を低下させることによって免疫細胞活性を刺激する治療薬(例えば、PD-1/PD-L1を阻害する薬剤(PD-1を標的とするニボルマブと、セミプリマブとペムブロリズマブ、及び各々PD-L1を標的とするアテゾリズマブと、アベルマブと、デュルバルマブのような)ならびにイピリムマブのようなCTLA-4/B7-1/B7-2を阻害する薬剤)を指す。例えば、Pardoll DM(March 2012)”The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy”.Nature Reviews.Cancer.12(4):252-64を参照されたい。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、天然または部分的もしくは全体的に合成的に産生されていようとなかろうと、免疫グロブリン、及びその断片を包含する。この用語はまた、免疫グロブリン結合ドメインに相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を網羅する。「抗体」は、抗原に特異的に結合し認識する免疫グロブリン遺伝子またはその断片からのフレームワーク領域を含むポリペプチドを更に含む。抗体という用語の使用は、抗体全体、ポリクローナル、モノクローナル及び組換え抗体、それらの断片を含むことを意味し、例えば、scFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、及びFd断片、ダイアボディ(diabody)、及び抗体関連ポリペプチドのような、一本鎖抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ、マウス-ヒト、マウス-霊長類、霊長類-ヒトモノクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体断片を更に含む。抗体は、それらが所望の生物学的活性または機能を呈する限り、二重特異性抗体及び多重特異性抗体を含む。例示的な抗体組成物は、例えば、イピリムマブのようなCTLA-4を阻害する抗体、例えば、ニボルマブ、セミプリマブ及びペムブロリズマブのようなPD-1を阻害するもの、例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブのようなPD-L1を阻害するもの、及び、例えば、ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、IMC-CS4及びカビラリズマブのようなCSFR1を阻害するものを含む。本明細書で使用される用語「抗原結合断片」は、無傷の免疫グロブリンの断片、及び抗原に特異的に結合する能力を有する抗原結合領域を含むポリペプチドの任意の部分を指す。例えば、抗原結合断片は、F(ab’)断片、Fab’断片、Fab断片、Fv断片、またはscFv断片であり得るが、これらに限定されない。Fab断片は、1つの抗原結合部位を有し、軽鎖及び重鎖の可変領域、軽鎖の定常領域、ならびに重鎖の第1の定常領域CH1を含有する。Fab’断片は、Fab’断片が重鎖CH1領域のC末端に少なくとも1つのシステイン残基を含む重鎖のヒンジ領域を追加的に含むという点で、Fab断片とは異なる。F(ab’)は産生され、それにより、Fab’断片のシステイン残基が、ヒンジ領域でジスルフィド結合によって結合される。Fv断片は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のみを有する最小の抗体断片であり、Fv断片を産生するための組換え技法は当該技術分野で周知である。二本鎖Fv断片は、重鎖可変領域が非共有結合によって軽鎖可変領域に連結されている構造を有することができる。一本鎖Fv(scFv)断片は、一般に、重鎖可変領域がペプチドリンカーを介して軽鎖可変領域に共有結合されているか、または重鎖可変領域及び軽鎖可変領域がそれらのC末端で互いに直接連結される二本鎖Fv断片のような二量体構造を有することができる。抗原結合断片は、プロテアーゼを使用して取得され得(例えば、抗体全体がFab断片を得るためにパパインで消化され、F(ab’)断片を得るためにペプシンで消化される)、遺伝子組換え技法により調製され得る。dAb断片は、VHドメインからなる。一本鎖抗体分子は、多数の個々の分子を有するポリマー、例えば、二量体、三量体または他のポリマーを含むことができる。
【0064】
語句「核酸分子」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖ポリマーを指す。核酸分子は、染色体DNA及び自己複製プラスミド、ベクター、mRNA、tRNA、siRNA、miRNA等を含む。核酸分子は組換え型であり得、核酸が細胞中に導入される際に、外因性ポリペプチドが発現され得る。用語は、例えば、Selvam C,Mutisya D,Prakash S,Ranganna
K,Thilagavathi R.“Therapeutic potential
of chemically modified siRNA:Recent trends,”Chem Biol Drug Des.2017 Nov;90(5):665-678に記載されるもののような化学的に改変された核酸、例えば、Petersen M,Wengel J(February 2003)”LNA:a versatile tool for therapeutics and genomics”.Trends Biotechnol.21(2):74-81に記載されるようなロックド核酸(LNA)、及び、例えば、Summerton,J;Weller,D(1997).”Morpholino Antisense Oligomers:Design,Preparation and Properties”.Antisense & Nucleic Acid Drug Development.7(3):187-195、Goodchild,J(2011).Therapeutic oligonucleotides.Methods in Molecular Biology.764.pp.1-15に記載されるもののような、臨床的に適切な化学的に改変された核酸を包含し、各々は全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
用語「アゴニスト」は、受容体に結合し、受容体を活性化して生物学的応答を生み出す分子を指す。受容体は、内因性アゴニストまたは外因性アゴニストのいずれかによって活性化され得る。内因性アゴニストの非限定的な例は、ホルモン及び神経伝達物質を含む。外因性アゴニストの非限定的な例は、小分子、抗体、合成ペプチド等を含む様々なクラスの化合物を含む。アゴニストは、完全、部分的、または逆アゴニストであり得る。
【0066】
用語「アンタゴニスト」は、受容体に結合すると、それ自体が生物学的応答を誘発するよりも、むしろアゴニスト媒介性応答を遮断または抑制する分子を指す。多くのアンタゴニストは、受容体上の構造的に定義された結合部位で内因性リガンドまたは基質と競合することにより、それらの効力を達成する。アンタゴニストの非限定的な例には、アルファ遮断薬、ベータ遮断薬、及びカルシウムチャネル遮断薬が挙げられる。アンタゴニストは、競合的、非競合的、または不競合的アンタゴニストであり得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的組成物」は、例えば、薬学的に許容される担体及び賦形剤のような1つ以上の他の化学成分と混合または懸濁された細胞外小胞のような、本明細書に記載される1つ以上の化合物を指す。医薬組成物の1つの目的は、細胞外小胞の調製物の対象への投与を促進することである。用語「薬学的に許容される」及びその文法的変形例は、組成物の投与を禁止する程度に望ましくない生理学的効果を生み出すことなく、対象へのまたは対象に対する投与が可能な組成物、担体、希釈剤及び試薬を指す。用語「賦形剤」または「担体」は、化合物の投与を更に促進するために薬学的組成物に添加される不活性物質を指す。用語「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、ヒトを含む動物での使用について米国連邦政府の規制機関によって承認されたか、または米国薬局方に列挙されている任意の薬剤、同様に、対象に重大な刺激を引き起こさず、投与された化合物の生物学的活性及び特性を抑止しない任意の担体または希釈剤を包含する。薬学的組成物を調製するのに有用であり、一般に安全で、非毒性であり、望ましい賦形剤及び担体が、含まれる。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「単離する」、「単離された」、及び「単離すること」または「精製する」、「精製された」、及び「精製すること」、同様に「抽出された」及び「抽出すること」は、互換的に使用され、精製、例えば、所望の細胞外小胞調製物の選択または濃縮の1つ以上のプロセスを経た所望の細胞外小胞の調製(例えば、複数の既知または未知の量及び/または濃度)の状態を指す。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される単離することまたは精製することは、プロデューサー細胞を含有する試料から細胞外小胞を除去、部分的に除去する(例えば、画分)プロセスである。いくつかの実施形態では、単離された細胞外小胞組成物は検出可能な望ましくない活性を有しないか、または、代替的には、望ましくない活性のレベルもしくは量は、許容されるレベルもしくは量未満である。他の実施形態では、単離された細胞外小胞組成物は、許容される量及び/または量以上の所望の細胞外小胞の量及び/または濃度を有する。他の実施形態では、単離された細胞外小胞組成物は、組成物が得られる出発材料(例えば、プロデューサー細胞調製物)と比較して濃縮される。この濃縮は、出発材料と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、または99.9999%超であり得る。いくつかの実施形態では、単離された細胞外小胞調製物は、残留生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、単離された細胞外小胞調製物は、いかなる汚染生物物質も100%含まないか、99%含まないか、98%含まないか、97%含まないか、96%含まないか、または95%含まない。残留生物学的産物は、非生物物質(化学物質を含む)または不要な核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物を含むことができる。残留生物学的産物を実質的に含まないことはまた、細胞外小胞組成物が検出可能なプロデューサー細胞を含有しないことと、細胞外小胞のみが検出可能であることとを意味し得る。
【0069】
用語「投与」、「投与すること」及びそれらの変形例は、細胞外小胞または薬剤のような組成物を対象中に導入することを指し、1つ以上の追加的な組成物または薬剤の治療効果を生み出すことに一致する任意の予定通りの同時及び順次導入を含む。用量投与のタイミングは、対象内で投与された薬剤の、または突発的曝露に対する一定のレベル(例えば、血漿レベル)を達成するために、例えば、毒性を低下させるか、または脱感作を防止するために選択され得る。これらの結果を達成する方法は、例えば、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Macmillan Publishing Co.13th Ed.)に示されている既知の薬物動態原理に基づいて、当該技術分野の開業医に周知である。対象中への組成物または薬剤の導入は、経口的、肺内、鼻腔内、非経口的(静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下)、直腸内、リンパ管内、くも膜下腔内、眼周囲、腫瘍内または局所的を含む、任意の好適な経路による。投与は、自己投与及び他者による投与を含む。好適な投与経路は、組成物または薬剤がその意図された機能を実行することを可能にする。例えば、好適な経路が静脈内である場合、組成物は、組成物または薬剤を対象の静脈中に導入することによって投与される。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「調節する」、「調節すること」、「改変する」及び/または「調節因子」は、一般に、例えば、アンタゴニストまたはアゴニストとして作用するためのような、直接的または間接的に特定の濃度、レベル、発現、機能または行動を増加または減少により変更する、例えば、促進/刺激/上方制御または干渉/阻害/下方制御する能力を指す。いくつかの例では、調節因子は、対照に対して、または一般に予想されるであろう活性の平均的レベルに対して、または活性の対照レベルに対して、ある特定の濃度、レベル、活性または機能を増加及び/または減少させることができる。用語「阻害」、「抑制」、「調節」は、免疫調節成分(複数可)を伴わない状態と比較して、標的遺伝子の発現または活性の変化を説明するために本明細書で使用される。阻害は、遺伝子の発現または活性の消失または実質的な消失を指す。抑制は、遺伝子の発現または活性の低下を意味するが、完全な消失または実質的な消失を意味しない。調節は、遺伝子の発現または活性の任意の変更、上昇または下降を意味する。
【0071】
用語「十分な量」は、所望の効果を生み出すのに十分な量、例えば、対象の状態を調節するのに十分な量を意味する。
【0072】
用語「治療有効量」は、疾患の症状を改善するのに有効な量である。予防が療法と見なされ得るため、治療有効量は、「予防的有効量」であり得る。
【0073】
ヌクレオチド配列と参照配列との間の「同一性」パーセントは、必要な場合に、配列を整列させ、ギャップを導入した後、最大配列同一性パーセントを達成するための参照配列中の単一ヌクレオチドと同一であるヌクレオチド配列中の単一ヌクレオチドの割合として定義される。ヌクレオチド配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野内にある様々な手段で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMEGALIGN(DNASTAR)、CLUSTALW、CLUSTAL OMEGA、またはMUSCLEソフトウェアのような公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、達成され得る。当業者は、比較されている配列の完全長にわたる最大のアライメントを得るために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアライメントするために適切なパラメータを決定することができる。BLASTアルゴリズムの更なる詳細については、Mount,D.W.(2004)Bioinformatics:Sequence and Genome Analysis(2nd ed.).Cold Spring Harbor Press.ISBN 978-0-87969-712-9を参照されたい。
【0074】
ポリペプチド配列と参照配列との間の「同一性」パーセントは、必要な場合に、配列を整列させ、ギャップを導入した後、最大配列同一性パーセントを達成するための参照配列中のアミノ酸残基と同一であるポリペプチド配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野内にある様々な手段で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMEGALIGN(DNASTAR)、CLUSTALW、CLUSTAL OMEGA、またはMUSCLEソフトウェアのような公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、達成され得る。当業者は、比較されている配列の完全長にわたる最大のアライメントを得るために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアライメントするために適切なパラメータを決定することができる。BLASTアルゴリズムの更なる詳細については、Mount,D.W.(2004).Bioinformatics:Sequence and Genome Analysis(2nd ed.).Cold Spring Harbor Press.ISBN 978-0-87969-712-9を参照されたい。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に」または「実質的な」は、例えば、特定の空間における実体の存在、レベル、もしくは濃度、別の実体に対するある実体の影響、または処理の影響を指す。例えば、実体の活性、レベル、または濃度は、増加がベースラインに対して2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍、または1000倍である場合、実質的に増加している。実体の活性、レベル、または濃度はまた、増加がベースラインに対して5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、または500%である場合、実質的に増加している。
【0076】
用語「インビボ」は、生きている生物において発生するプロセスを指す。
【0077】
本明細書で使用される用語「哺乳動物」は、ヒト及び非ヒト哺乳動物の両方を含む。
【0078】
本出願で使用される略語は以下を含む。「mRNA」はメッセンジャーRNAを指し、「miRNA」はマイクロRNAを指し、「siRNA」は低分子干渉RNAを指し、「アンチセンスRNA」は、mRNAに相補的な一本鎖RNAを指すが、これはDNAヌクレオチドを追加的に含むことができ、多くの場合アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは「ASO」と称され、「shRNA」は小さいまたは短いヘアピンRNAを指し、「lncRNA」は長い非コードRNAを指し、「dsDNA」は二本鎖DNAを指す。
【0079】
組成物
本開示の態様は、免疫系を制御できる組成物を含む。組成物は、細胞膜を含む細胞外小胞、及び細胞膜に関連するか、または膜結合封入容積内に封入された少なくとも1つの免疫調節成分を含む。膜結合容積内のエンクロージャは、電気穿孔、凍結乾燥を含む技法を使用して、または核酸(ASOをコードする)もしくはタンパク質のような免疫調節成分をコードする構築物を導入するためのプロデューサー細胞(例えば、HEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、及び間葉系幹細胞(MSC)のような)を操作することを通じて、達成され得る。細胞膜との会合は、膜の内側または外側の脂質リーフレットへの結合及び脂質二重層への膜貫通挿入を包含する。いくつかの例では、膜会合は、例えば、プロスタグランジンF2受容体ネガティブ制御因子(PTGFRN);ベイシジン;(BSG);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(IGSF2);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8);インテグリンベータ1(ITGB1);インテグリンアルファ-4(ITGA4);4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2);及びATPトランスポータータンパク質のクラス(足場及び免疫調節成分を含む融合タンパク質の要素を提供できるエキソソームの表面上で高度に濃縮されることが特定されている)(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4(共有の米国特許第10,195,290号に記載されている)ようなタンパク質(例えば、足場タンパク質またはその断片)を使用して達成される。かかる細胞外小胞及び例示的技法は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、共有の米国特許第10,195,290号に詳細に記載される。共有の米国特許第10,195,290号に記載されるように、表面処理されたエキソソームは、これらの足場タンパク質(及びその断片)をエキソソームまたはプロデューサー細胞中に導入するためのPEG誘導融合及び/または超音波融合のような化学的及び/または物理的方法により生成され得る。複合体は、外因性治療用タンパク質と足場タンパク質との間に生成され得る。代替的には、融合タンパク質は、前述の化学的及び/または物理的方法を使用して、足場タンパク質と、例えば、免疫調節タンパク質のような外因性治療用タンパク質とを複合体化し、表面に複合体または融合タンパク質を含有する操作されたエキソソームを産生することによって産生され得る。治療用タンパク質のネイティブな完全長または生物学的活性断片は、足場タンパク質に複合体化することにより、エキソソームの表面に輸送され得る。かかるエキソソームは、細胞のゲノムに挿入された外因性配列を含むプロデューサー細胞から得られることもできる。例えば、外因性配列は、PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2またはATPトランスポーターをコードするゲノム配列の3’または5’末端に位置するゲノム部位に挿入され得る。例えば、外因性配列は、PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2またはATPトランスポーターをコードするゲノム配列に挿入され得る。細胞膜との会合は、免疫調節成分の内部膜表面または外部膜表面への結合、脂質二重層内での免疫調節成分の固定、または脂質二重層を通じた免疫調節成分の拡大を包含する。免疫調節成分は、足場タンパク質に繋留され得るか、または共有の米国特許第10,195,290号に記載されるような足場タンパク質との融合タンパク質として発現され得る。
【0080】
細胞外小胞
様々な実施形態では、組成物は、細胞外小胞を含む。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、共有の米国特許第10,195,290号に記載されるような、内部空間を封入する膜を含む細胞由来小胞である。
【0081】
様々な実施形態では、細胞外小胞は、それが由来する細胞よりも小さな直径を有する膜結合小胞であり得る。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、約20~100nm、20-200nm、20-300nm、20-400nm、20-500nm、20-600nm、20-700nm、20-800nm、20-900nm、30-100nm、30-200nm、30-300nm、30-400nm、30-500nm、30-600nm、30-700nm、30-800nm、30-900nm、40-100nm、40-200nm、40-300nm、40-400nm、40-500nm、40-600nm、40-700nm、40-800nm、40-900nm、50-150nm、50-500nm、50-750nm、100-200nm、100-500nm、または500-1000nmのような、約20~1000nmの最長寸法を有する。
【0082】
ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、エキソソームである。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、ナノ小胞である。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、アポトーシス小体である。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、細胞の断片である。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、直接的操作または間接的操作によって細胞に由来する小胞である。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、小胞化器官である。様々な実施形態では、細胞外小胞は、生細胞によって産生される小胞である。
【0083】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、生きている生物に由来する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、死んだ生物に由来する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、外植された組織に由来する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、外植された器官に由来する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、培養された細胞に由来する。これらの実施形態のいくつかでは、細胞外小胞が細胞培養系において生成される際に、細胞外小胞は、更に単離される(例えば、培養細胞から細胞外小胞を分離することによって)。分離は、沈降によって達成され得る。例えば、細胞外小胞は、0.5~2.0、0.6~1.0、0.7~1.0、0.8~1.0、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.4~1.5、1.0~1.5、1.5~2.0、及び1.0~2.0kg/mの比重を有することができる。分離は、アフィニティ精製によっても達成され得る。例えば、細胞外小胞は、細胞外小胞を含む集団を樹脂に結合することによって精製され得、該樹脂は、細胞外小胞の表面上の1つ以上のタンパク質に対して特異的親和性を有する複数のリガンドを含む。タンパク質は、テトラスパニン(例えば、CD63、CD81、CD9)、EWIタンパク質/免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー(例えば、PTGFRN、IGSF8、IGSF3)、インテグリン(例えば、ITGB1、ITGA4)、ATPトランスポータータンパク質(例えば、ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4)、SLC3A2、BSG、またはCD98hcであり得る。
【0084】
様々な実施形態では、細胞外小胞は、脂質または脂肪酸及びポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、糖を更に含む。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、ポリヌクレオチドを更に含む。
【0085】
様々な実施形態では、細胞外小胞膜は、内部表面及び外部表面を含み、内部空間を封入する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、本明細書に記載されるような免疫調節成分のようなペイロードを更に含む。ある特定の実施形態では、ペイロードは、内部空間内に封入される。ある特定の実施形態では、ペイロードは、細胞外小胞の外部表面上に表示される。ある特定の実施形態では、ペイロードは、細胞外小胞の膜をまたぐ。様々な実施形態では、ペイロードは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/またはそれらの組み合わせを含む。ペイロードを用いて細胞外小胞を産生するための方法は、電気穿孔、凍結乾燥、及び細胞外小胞が単離され得るプロデューサー細胞の遺伝子操作を含む。例えば、共有の米国特許第10,195,290号及び上記を参照されたい。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、共有の米国特許第10,195,290号に記載されるように、レシーバー、すなわち、器官、組織、または細胞に特異的であり得る標的化部分を更に含む。標的化部分を有する融合タンパク質が、使用される。例えば、融合タンパク質は、PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、ATPトランスポーター、またはそれらの断片もしくは変異体、及び標的化部分を含むことができる。標的化部分は、エキソソームを使用した治療のために、エキソソームを特定の器官、組織、または細胞に標的化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、標的化部分は、抗体またはその抗原結合断片である。抗体及びそれらの抗原結合断片は、抗体全体、ポリクローナル、モノクローナル及び組換え抗体、それらの断片を含み、例えば、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’、及びF(ab’)2、F(ab1)2、Fv、dAb、及びFd断片、ダイアボディ、及び抗体関連ポリペプチドのような、一本鎖抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ、マウス-ヒト、マウス-霊長類、霊長類-ヒトモノクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体断片を更に含む。抗体及びそれらの抗原結合断片は、所望の生物学的活性または機能を呈する限り、二重特異性抗体と多重特異性抗体も含む。
【0086】
エキソソーム
様々な実施形態では、細胞外小胞はエキソソームである。ある特定の実施形態では、エキソソームは、プロデューサー細胞によって分泌された小さな膜結合小胞である。
【0087】
いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞からのエキソソームは、約20~290nm、20~280nm、20~270nm、20~260nm、20~250nm、20~240nm、20~230nm、20~220nm、20~210nm、20~200nm、20~190nm、20~180nm、20~170nm、20~160nm、20~150nm、20~140nm、20~130nm、20~120nm、20~110nm、20~100nm、20~90nm、20~80nm、20~70nm、20~60nm、20~50nm、20~40nm、20~30nm、30~300nm、30~290nm、30~280nm、30~270nm、30~260nm、30~250nm、30~240nm、30~230nm、30~220nm、30~210nm、30~200nm、30~190nm、30~180nm、30~170nm、30~160nm、30~150nm、30~140nm、30~130nm、30~120nm、30~110nm、30~100nm、30~90nm、30~80nm、30~70nm、30~60nm、30~50nm、30~40nm、40~300nm、40~290nm、40~280nm、40~270nm、40~260nm、40~250nm、40~240nm、40~230nm、40~220nm、40~210nm、40~200nm、40~190nm、40~180nm、40~170nm、40~160nm、40~150nm、40~140nm、40~130nm、40~120nm、40~110nm、40~100nm、40~90nm、40~80nm、40~70nm、40~60nm、40~50nm、50~300nm、50~290nm、50~280nm、50~270nm、50~260nm、50~250nm、50~240nm、50~230nm、50~220nm、50~210nm、50~200nm、50~190nm、50~180nm、50~170nm、50~160nm、50~150nm、50~140nm、50~130nm、50~120nm、50~110nm、50~100nm、50~90nm、50~80nm、50~70nm、50~60nm、60~300nm、60~290nm、60~280nm、60~270nm、60~260nm、60~250nm、60~240nm、60~230nm、60~220nm、60~210nm、60~200nm、60~190nm、60~180nm、60~170nm、60~160nm、60~150nm、60~140nm、60~130nm、60~120nm、60~110nm、60~100nm、60~90nm、60~80nm、60~70nm、70~300nm、70~290nm、70~280nm、70~270nm、70~260nm、70~250nm、70~240nm、70~230nm、70~220nm、70~210nm、70~200nm、70~190nm、70~180nm、70~170nm、70~160nm、70~150nm、70~140nm、70~130nm、70~120nm、70~110nm、70~100nm、70~90nm、70~80nm、80~300nm、80~290nm、80~280nm、80~270nm、80~260nm、80~250nm、80~240nm、80~230nm、80~220nm、80~210nm、80~200nm、80~190nm、80~180nm、80~170nm、80~160nm、80~150nm、80~140nm、80~130nm、80~120nm、80~110nm、80~100nm、80~90nm、90~300nm、90~290nm、90~280nm、90~270nm、90~260nm、90~250nm、90~240nm、90~230nm、90~220nm、90~210nm、90~200nm、90~190nm、90~180nm、90~170nm、90~160nm、90~150nm、90~140nm、90~130nm、90~120nm、90~110nm、90~100nm、100~300nm、110~290nm、120~280nm、130~270nm、140~260nm、150~250nm、160~240nm、170~230nm、180~220nm、または190~210nmのような、約20~300nmの最長寸法を有する。
【0088】
特に好ましい実施形態では、本明細書に記載されるプロデューサー細胞からのエキソソームは、約30~100nmの最長寸法を有する。別の好ましい実施形態では、プロデューサー細胞からのエキソソームは、約20~300nmの最長寸法を有する。別の好ましい実施形態では、プロデューサー細胞からのエキソソームは、約40~200nmの最長寸法を有する。別の実施形態では、本明細書に記載されるエキソソームの集団は、エキソソームの90%が20~300nmの最長寸法を有する集団を含む。別の実施形態では、本明細書に記載されるエキソソームの集団は、エキソソームの95%が20~300nmの最長寸法を有する集団を含む。別の実施形態では、本明細書に記載されるエキソソームの集団は、エキソソームの99%が20~300nmの最長寸法を有する集団を含む。別の実施形態では、本明細書に記載されるエキソソームの集団は、エキソソームの90%が40~200nmの最長寸法を有する集団を含む。別の実施形態では、本明細書に記載されるエキソソームの集団は、エキソソームの95%が40~200nmの最長寸法を有する集団を含む。別の実施形態では、本明細書に記載されるエキソソームの集団は、エキソソームの99%が40~200nmの最長寸法を有する集団を含む。他の好ましい実施形態では、本明細書に記載されるエキソソームまたはエキソソームの集団のサイズは、以下に記載される方法に従って測定される。
【0089】
いくつかの実施形態では、エキソソームは、プロデューサー細胞によって生成される。いくつかの実施形態では、エキソソーム膜は、プロデューサー細胞に由来する1つ以上の分子を含む。いくつかの実施形態では、エキソソームは、細胞培養系中で生成され、単離される(例えば、プロデューサー細胞からエキソソームを分離することによって)。分離は、沈降によって達成され得る。例えば、エキソソームは、0.5~2.0、0.6~1.0、0.7~1.0、0.8~1.0、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.4~1.5、1.0~1.5、1.5~2.0、及び1.0~2.0kg/mの比重を有することができる。分離は、アフィニティ精製によっても達成され得る。例えば、細胞外小胞は、細胞外小胞を含む集団を樹脂に結合することによって精製され得、該樹脂は、細胞外小胞の表面上の1つ以上のタンパク質に対して特異的親和性を有する複数のリガンドを含む。細胞外小胞の表面上の1つ以上のタンパク質は、テトラスパニン(例えば、CD63、CD81及び/またはCD9)、EWIタンパク質/免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー(例えば、PTGFRN、IGSF8及び/またはIGSF3)、インテグリン(例えば、ITGB1及び/またはITGA4)、ATPトランスポータータンパク質(例えば、ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3及び/またはATP2B4)SLC3A2、BSG、またはCD98hcであり得る。タンパク質は、任意選択で、例えば、チェックポイント阻害活性を有する抗体、抗体断片、scFv等のような、所望の薬理学的活性を有するポリペプチド部分への融合を介して、エキソソームの表面上に表示される免疫調節成分としての活性を追加的に有することができる。かかる抗体は、当該技術分野で既知であり、例えば、CTLA-4を標的とするイピリムマブ、PD-1を標的とするニボルマブ、セミプリマブ及びペムブロリズマブ、ならびに各々がPD-L1を標的とするアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブである(例えば、参照により本明細書に組み込まれるPardoll DM(March 2012)“The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy”.Nature Reviews.Cancer.12(4):252-64を参照されたい。
【0090】
いくつかの実施形態では、エキソソーム膜は、内部表面及び外部表面を含む。ある特定の実施形態では、内部表面は、エキソソームの内側コアに面する。ある特定の実施形態では、外部表面は、プロデューサー細胞または標的細胞のエンドソーム、多小胞体、または膜/細胞質と接触し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、エキソソーム膜は、脂質及び脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、エキソソーム膜は、リン脂質、糖脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、ステロール、コレステロール、及びホスファチジルセリンを含む。いくつかの実施形態では、脂質及び脂肪酸は、表1に列挙されたもののうちの1つ以上であり得る。
【0092】
ある特定の実施形態では、エキソソームは、内側リーフレット及び外側リーフレットから構成される脂質二重層を含む。内側及び外側リーフレットの組成物は、当該技術分野で既知のトランスバイレイヤー(transbilayer)分布アッセイによって決定され得、例えば、Kuypers et al.Biohim Biophys Acta
1985 819:170を参照されたい。いくつかの実施形態では、外側リーフレットの組成物は、およそ70~90%のコリンリン脂質、およそ0~15%の酸性リン脂質、及びおよそ5~30%のホスファチジルエタノールアミンである。いくつかの実施形態では、内側リーフレットの組成物は、およそ15~40%のコリンリン脂質、およそ10~50%の酸性リン脂質、及びおよそ30~60%のホスファチジルエタノールアミンである。
【0093】
いくつかの実施形態では、エキソソーム膜は、1つ以上のポリペプチドを更に含む。ある特定の実施形態では、エキソソームは、スペクトリン、ミオシン様ポリペプチド、バンド3、SLC4A1、アクチン、アクチン様ポリペプチド、グリセルアルデヒド3-Pデヒドロゲナーゼ(G3PD)、テトラスパニン(例えば、CD63、CD81及び/またはCD9)、Alix及びTSG101、インテグリン(例えば、ITGB1及び/またはITGA4)、セレクチン、CR1、TNFRI、タンパク質分解酵素、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合タンパク質またはヒストン、EWIタンパク質/免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー(例えば、PTGFRN、IGSF8及び/またはIGSF3)、ATPトランスポータータンパク質(例えば、ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3及び/またはATP2B4)、SLC3A2、BSG、またはCD98hc)を含むがこれらに限定されない、以下のリストから選択される1つ以上のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、エキソソームは、表2から選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、エキソソームは、その表面にポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、エキソソームは、1つ以上のポリペプチドを含有するように改変される。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞は、1つ以上のポリペプチドを含有するように改変される。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞は1つ以上のポリペプチドを天然に含有し、そこに由来するエキソソームもポリペプチドを含有する。任意の所望の表面マーカーのレベルは、エキソソーム上で直接改変され得る(例えば、複合体を組換えにより産生されたポリペプチドと接触させて、複合体の膜への挿入または複合体化をもたらすことによって)。代替的にまたは加えて、任意の所望の表面マーカーのレベルは、プロデューサー細胞上で直接改変され得る(例えば、複合体を組換えにより産生されたポリペプチドと接触させて、細胞の膜への挿入または複合体化をもたらすことによって)。代替的には、プロデューサー細胞は、所望の表面マーカーを発現させるためにプロデューサー細胞中に外因性核酸を形質導入することにより改変され得る。表面マーカーは、プロデューサー細胞上にすでに天然に存在でき、その場合、外因性構築物は、マーカーの過剰発現及びプロデューサー細胞内またはプロデューサー細胞上でのマーカーの増加した濃度をもたらし得る。代替的には、天然に発現された表面マーカーは、プロデューサー細胞から除去され得る(例えば、プロデューサー細胞において遺伝子サイレンシングを誘導することによって)。ポリペプチドは、エキソソームに異なる機能性を付与できる(例えば、特定の標的化能力、送達機能(例えば、融合分子)、酵素機能、インビボでの増加または減少した半減期等)。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、CD47、CD55、CD49、CD40、CD133、CD59、グリピカン-1、CD9、CD63、CD81、インテグリン、セレクチン、レクチン、及びカドヘリンを含むが、これらに限定されない。
【0095】
特定の実施形態では、エキソソームは、その表面上に1つ以上のポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、エキソソームの表面上で濃縮されることが最近特定されたタンパク質の群から選択される(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる共有の米国特許出願第62/550,543号及びPCT/US2018/048026に詳細に記載される)。このポリペプチドの群は、プロスタグランジンF2受容体ネガティブ制御因子(PTGFRN)、ベイシジン(BSG)、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3)、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8)、インテグリンベータ-1(ITGB1)、インテグリンアルファ-4(ITGA4)、4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2)、及びATPトランスポータータンパク質のクラス(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4))を含む。
【0096】
様々な実施形態では、エキソソーム表面上の1つ以上のポリペプチドは、抗体または抗原結合断片を含む。抗体または抗原結合断片は、天然の供給源に由来するか、または部分的もしくは全体的に合成的に産生され得る。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、IgG抗体である。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である。いくつかの他の実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、及びFd断片から選択される。ある特定の実施形態では、抗原結合断片は、scFvまたは(scFv)断片である。ある特定の他の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、ナノボディ(登録商標)(単一ドメイン抗体)である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、二重特異性または多重特異性抗体である。様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、メソセリンに結合する。
【0097】
いくつかの実施形態では、エキソソームは、その表面上に、(1)PTGFRNまたはその断片及び(2)抗体またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質を含み、抗体またはその抗原結合断片は、PD-1、PD-1L、CSF1-R、または他の免疫調節成分に結合する。
【0098】
いくつかの実施形態では、エキソソーム膜は、グリカンのような1つ以上の多糖類を更に含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、エキソソームは、ペイロード(治療薬)を標的に送達する。ペイロードは、エキソソームと接触する標的(例えば、標的細胞)に作用する治療薬である。ある特定の実施形態では、ペイロードは、免疫調節成分、例えば、阻害性RNAである。接触は、インビトロで、または対象において発生できる。エキソソーム及び/またはプロデューサー細胞中に導入され得るペイロードは、ヌクレオチド(例えば、検出可能な部分もしくは毒素を含む、または転写を妨害するヌクレオチド)、核酸(例えば、酵素のようなポリペプチドをコードするDNAもしくはmRNA分子、またはmiRNA、dsDNA、lncRNA、siRNAのような制御機能を有するRNA分子)、アミノ酸(例えば、翻訳を妨害する検出可能な部分または毒素を含むアミノ酸)、ポリペプチド(例えば、酵素)、脂質、炭水化物、小分子(例えば、小分子薬物及び毒素)、ならびにそれらの組み合わせのような治療薬を含む。ある特定の実施形態では、エキソソームは、2つ以上の治療薬を送達する。ある特定の実施形態では、治療薬は、1つ以上の標的遺伝子を阻害する1つ以上の核酸である。ある特定の実施形態では、治療薬は、抗体及び核酸を含む。ある特定の実施形態では、治療薬は、核酸及び小分子を含む。ある特定の実施形態では、治療薬は、臨床候補ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、及びIMC-CS4等のようなCSF1R阻害剤を含み、例えば、Cannarile MA,Weisser M,Jacob W,Jegg AM,Ries CH,Ruttinger D(2017)”Colony-stimulating factor 1 receptor(CSF1R)inhibitors in cancer therapy”.Journal for Immunotherapy of Cancer.5(1):53に記載される他のもののようなタンパク質性免疫調節成分を含む。Patel S,Player MR(2009)”Colony-stimulating factor-1 receptor inhibitors for the treatment of cancer and inflammatory disease”.Curr Top Med Chem.9:599-610も参照されたい。モノクローナル抗体であり、転移性膵癌の初期の臨床試験にあるカビラリズマブ(cabira、FPA-008)(A phase I/II dose escalation and expansion study of cabiralizumab(cabira;FPA-008),an anti-CSF1R antibody,in tenosynovial giant cell tumor (TGCT,diffuse pigmented villonodular synovitis D-PVNS、A
Study of Cabiralzumab Given by Itself or With Nivolumab in Advanced Cancer or Cancer That Has Spread、及びNovel Combination Shows Promising Responses in Pancreatic Cancer Nov 2017を参照されたい)。ある特定の実施形態では、治療薬は、免疫チェックポイント阻害剤を含む。ある特定の実施形態では、例えば、CTLA-4を標的とするイピリムマブ、PD-1を標的とするニボルマブ、セミプリマブ及びペムブロリズマブ、ならびに各々がPD-L1を標的とするアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブのような抗体における免疫チェックポイント阻害剤。
【0100】
エキソソームは、膜融合を介して標的細胞と相互作用し、エキソソーム組成物中のペイロード(例えば、治療薬)を標的細胞の表面または細胞質に送達できる。いくつかの実施形態では、膜融合は、エキソソームと標的細胞の原形質膜との間で発生する。他の実施形態では、膜融合は、エキソソームと標的細胞のエンドソーム膜との間で発生する。
【0101】
いくつかの実施形態では、エキソソームは、レシーバーポリペプチドを含む。レシーバーポリペプチドは、合成的であり得る。いくつかの実施形態では、レシーバーポリペプチドは、プロデューサー細胞(例えば、レシーバーポリペプチドをコードする外因性核酸はプロデューサー細胞中に導入される)、またはプロデューサー細胞の外側で作製される組換えレシーバーポリペプチド(例えば、タンパク質発現系により合成される)中に導入される。いくつかの実施形態では、レシーバーポリペプチド(例えば、組換えにより産生されたポリペプチド)は、直接エキソソーム中に導入される(例えば、エキソソームがプロデューサー細胞から単離された後に)。いくつかの実施形態では、レシーバーポリペプチドは、エキソソームの表面上にあり得る。いくつかの実施形態では、レシーバーポリペプチドは、血液のような対象の循環系中を循環する特定の標的(例えば、病原体、代謝産物、タンパク質、ポリペプチド複合体または非機能細胞もしくはがん細胞のような細胞のような標的)、または組織(患部組織のような)に常在する標的にエキソソームを標的とすることができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、エキソソームは、合成的である。つまり、エキソソームのプロデューサー細胞からの回収後、追加的な成分を添加するために改変が行われる。例えば、エキソソームは、例えば、プロデューサー細胞から回収された時にエキソソーム中に見出だされない治療用ポリペプチド、核酸(DNAもしくはRNAのような)または他のポリヌクレオチド、多糖またはグリカン、脂質または脂肪酸、大きな生物学的、小分子または毒素のようなペイロードを含むことができる。いくつかの実施形態では、エキソソームは改変される(例えば、ペイロードを導入すること、または、他の方法では、膜のタンパク質、脂質またはグリカン含有量を変化させることによるように、複合体の含有量を改変することによって)。例えば、エキソソームは、まずプロデューサー細胞から単離され、次いで、必要に応じて改変され、それにより合成エキソソームを生成する。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞は、改変される。例えば、外因性核酸、外因性ポリペプチドまたは小分子または毒素は、プロデューサー細胞中に導入され得る。代替的にまたは加えて、プロデューサー細胞は、他の方法で改変され得る(例えば、細胞膜の脂質またはグリカン含有量を変化させることによるように、細胞または膜含有量を改変することによって)。改変されたプロデューサー細胞から生成されたエキソソームは、プロデューサー細胞の改変のうちの1つ以上を含む。このプロセスは、合成エキソソームを産生する。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞及びプロデューサー細胞から単離されたエキソソームの両方は、本明細書に記載されるように改変される。
【0103】
ナノ小胞
様々な実施形態では、細胞外小胞は、ナノ小胞である。ある特定の実施形態では、ナノ小胞は、内部空間を封入する膜を含み、ナノ小胞が操作なしでは細胞によって産生されないように直接的操作または間接的操作により細胞から生成される、細胞由来の小さな小胞である。細胞の適切な操作は、連続押出、アルカリ溶液による処理、超音波処理、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されず、いくつかの例では、プロデューサー細胞の破壊を生じ得る。
【0104】
様々な実施形態では、ナノ小胞は、約20~100nm、20~150nm、20~200nm、30~100nm、30~150nm、30~200nm、30~250nm、40~100nm、40~150nm、40~200nm、40~250nm、50~100nm、50~150nm、50~200nm、50~250nm、100~200nm、または150~250nmのような、約20~250nmの最長寸法を有する。
【0105】
様々な実施形態では、ナノ小胞は、プロデューサー細胞に由来する。ある特定の実施形態では、ナノ小胞は、直接的操作または間接的操作によってプロデューサー細胞から生成される。適切な操作は、連続押出、アルカリ溶液による処理、超音波処理、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。これらの実施形態のいくつかでは、操作は、プロデューサー細胞の破壊を生じ得る。いくつかの好ましい実施形態では、ナノ小胞の集団は、原形質膜からの直接出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合により、プロデューサー細胞に由来する小胞を実質的に含まない。
【0106】
いくつかの実施形態では、ナノ小胞は、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいてプロデューサー細胞から単離される。ある特定の実施形態では、単離は、沈降によって達成され得る。例えば、ナノ小胞は、0.5~2.0、0.6~1.0、0.7~1.0、0.8~1.0、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.4~1.5、1.0~1.5、1.5~2.0、及び1.0~2.0kg/mの比重を有することができる。
【0107】
様々な実施形態では、ナノ小胞は、脂質または脂肪酸及びポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、ナノ小胞は、糖を更に含む。ある特定の実施形態では、ナノ小胞は、ポリヌクレオチドを更に含む。いくつかの実施形態では、ナノ小胞は、レシーバーを更に含む。いくつかの実施形態では、ナノ小胞は、ペイロードを更に含む。これらの実施形態のいくつかでは、ペイロードは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/またはそれらの組み合わせを含む。
【0108】
免疫調節成分
一態様では、細胞外小胞、例えば、エキソソームは、M2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させる少なくとも1つの免疫調節成分を含む。一態様では、M2表現型からM1表現型への増加は、M2マクロファージの集団を含む参照試料に関して評価される。一態様では、本開示の細胞外小胞によって達成される増加は、等モル量の免疫調節成分単体によって達成されるもの以上である。ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、マクロファージ分極を増加させるポリヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、例えば、これらに限定されないが、以下の遺伝子:KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、及びPKM2を例として含む、その阻害がM2表現型からM1表現型への増加した分極を促進するがん原遺伝子及び他の型の遺伝子のような、少なくとも1つの遺伝子を阻害する核酸である。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドとタンパク質性免疫調節成分との組み合わせが企図され、例えば、PD-1、PD-L1、CTLA-4を標的とする抗体または抗体断片(例えば、CTLA-4を標的とするイピリムマブ、PD-1を標的とするニボルマブ、セミプリマブ及びペムブロリズマブ、ならびに各々がPD-L1を標的とするアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ)、CSF1R阻害剤(例えば、臨床候補ペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、及びIMC-CS4、及び、例えば、Cannarile MA,Weisser M,Jacob W,Jegg AM,Ries CH,Ruttinger D(2017)”Colony-stimulating factor 1 receptor(CSF1R)inhibitors in cancer therapy”.Journal for Immunotherapy of Cancer.5(1):53に記載される他のもののようなタンパク質性免疫調節成分、(Patel S,Player MR(2009)”Colony-stimulating factor-1 receptor inhibitors
for the treatment of cancer and inflammatory disease”.Curr Top Med Chem.9:599-610も参照されたい。)モノクローナル抗体であり、転移性膵癌の初期の臨床試験にあるカビラリズマブ(cabira、FPA-008)(A phase I/II dose escalation and expansion study of cabiralizumab (cabira;FPA-008),an anti-CSF1R
antibody,in tenosynovial giant cell tumor(TGCT,diffuse pigmented villonodular synovitis D-PVNS、A Study of Cabiralzumab Given by Itself or With Nivolumab in Advanced Cancer or Cancer That Has Spread、及びNovel Combination Shows Promising Responses in Pancreatic Cancer Nov 2017を参照されたく、ならびに、がん及び炎症状態の治療に有用な他の免疫調節成分を含む。
【0109】
これらの実施形態のいくつかでは、核酸は、mRNA、miRNA、siRNA、アンチセンスRNA、shRNA、lncRNA、及びdsDNAを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、核酸は、RNA(例えば、mRNA、miRNA、siRNA、アンチセンスRNA、shRNA、またはlncRNA)である。これらの実施形態のいくつかでは、ポリヌクレオチドがmRNAである際に、それは所望のポリペプチドに翻訳され得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、マイクロRNA(miRNA)、pri-miRNA、またはpre-miRNA分子である。これらの実施形態のいくつかでは、miRNA分子が標的細胞においてネイティブmRNAを発現停止できるように、miRNAは、標的細胞の細胞質に送達される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、がん遺伝子または他の制御不全ポリペプチドの発現に干渉できる低分子干渉RNA(siRNA)または短いヘアピンRNA(shRNA)である。これらの実施形態のいくつかでは、siRNA分子が標的細胞においてネイティブmRNAを発現停止できるように、siRNAは、標的細胞の細胞質に送達される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNAに相補的なアンチセンスRNAである。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、遺伝子発現を制御し、疾患を調節することができる長い非コードRNA(lncRNA)である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。様々な実施形態では、ASOは、一本鎖または二本鎖のDNA、RNA、またはDNA/RNAハイブリッドである。例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Antisense Oligodeoxynucleotides and Antisense RNA:Novel Pharmacological and Therapeutic
Agents,CRC Press,Boca Raton,FL,1997を参照されたい。
【0110】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、RNAに転写され得るDNAである。これらの実施形態のいくつかでは、転写されたRNAは、所望のポリペプチドに翻訳され得る。ある特定の実施形態では、核酸は、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、グルタミナーゼ、及びPKM2からなる少なくとも1つの遺伝子を阻害する。ある特定の実施形態では、核酸は、STAT3、STAT6、CEBP/β、Pi3Kγ、KRAS、及びHIF1-アルファからなる少なくとも1つの遺伝子を阻害する。ある特定の実施形態では、核酸は、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、グルタミナーゼ、及びPKM2からなる少なくとも1つの遺伝子を阻害する阻害性RNAである。ある特定の実施形態では、核酸は、STAT3、STAT6、CEBP/β、Pi3Kγ、KRAS、及びHIF1-アルファからなる少なくとも1つの遺伝子を阻害する阻害性RNAである。ある特定の実施形態では、核酸は、KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、c-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、CEBP/β、Pi3Kγ、グルタミナーゼ、及びPKM2からなる少なくとも1つの遺伝子を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。ある特定の実施形態では、核酸は、STAT3、STAT6、CEBP/β、Pi3Kγ、KRAS、及びHIF1-アルファからなる少なくとも1つの遺伝子を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。ある特定の実施形態では、核酸は、ヒトKRASがん原遺伝子を阻害する。ある特定の実施形態では、核酸は、ヒトKRASがん原遺伝子を阻害する阻害性RNAである。ある特定の実施形態では、核酸は、STAT3を阻害する。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態では、核酸は、既知のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、その例は表0に列挙される。ある特定の実施形態では、ASOは、既知のASO、例えば、表0に列挙されるものに少なくとも90%~99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、STAT3を阻害する。様々な実施形態では、ASOは、TAAGCTGATAATTCAACTCA(配列番号1)に少なくとも90%~99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも90%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも91%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも92%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも93%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも94%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも95%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも96%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも97%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも98%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1に少なくとも99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号1の配列を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、MOE、O-メチル、またはLNAケミストリーによって改変される。いくつかの実施形態では、ASOは、5’または3’末端でコレステロールタグを更に含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、核酸は、STAT6を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。様々な実施形態では、ASOは、TGAGCGAATGGACAGGTCTT(配列番号2)に少なくとも90%~99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも90%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも91%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも92%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも93%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも94%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも95%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも96%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも97%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも98%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2に少なくとも99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号2の配列を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、MOE、O-メチル、またはLNAケミストリーによって改変される。いくつかの実施形態では、ASOは、5’または3’末端でコレステロールタグを更に含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、核酸は、CebpBを阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。様々な実施形態では、ASOは、TGGATTTAAAGGCAGGCGGC(配列番号3)に少なくとも90%~99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも90%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも91%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも92%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも93%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも94%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも95%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも96%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも97%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも98%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3に少なくとも99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号3の配列を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、MOE、O-メチル、またはLNAケミストリーによって改変される。いくつかの実施形態では、ASOは、5’または3’末端でコレステロールタグを更に含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、核酸は、Pi3Kγを阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。様々な実施形態では、ASOは、TTGGGTAAAGTCGTGCAGCA(配列番号4)に少なくとも90%~99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも90%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも91%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも92%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも93%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも94%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも95%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも96%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも97%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも98%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4に少なくとも99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号4の配列を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、MOE、O-メチル、またはLNAケミストリーによって改変される。いくつかの実施形態では、ASOは、5’または3’末端でコレステロールタグを更に含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、核酸は、HIF1αを阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。様々な実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも90%~99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも90%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも91%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも92%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも93%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも94%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも95%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも96%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも97%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも98%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5の配列を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、MOE、O-メチル、またはLNAケミストリーによって改変される。いくつかの実施形態では、ASOは、5’または3’末端でコレステロールタグを更に含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、核酸は、HIF1αを阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。様々な実施形態では、ASOは、GTGCAGTATTGTAGCCAGGC(配列番号5)に少なくとも90%~99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも90%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも91%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも92%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも93%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも94%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも95%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも96%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも97%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも98%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5に少なくとも99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号5の配列を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、MOE、O-メチル、またはLNAケミストリーによって改変される。いくつかの実施形態では、ASOは、5’または3’末端でコレステロールタグを更に含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、核酸は、Krasを阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。様々な実施形態では、ASOは、GTAGCATGTAAATATAGCCC(配列番号6)に少なくとも90%~99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも90%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも91%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも92%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも93%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも94%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも95%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも96%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも97%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも98%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6に少なくとも99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、ASOは、配列番号6の配列を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、MOE、O-メチル、またはLNAケミストリーによって改変される。いくつかの実施形態では、ASOは、5’または3’末端でコレステロールタグを更に含む。
【0118】
ある特定の実施形態では、組成物は、細胞外小胞、例えば、エキソソームを含み、マクロファージ分極を促進することが知られている小分子、抗体または抗体断片である追加的な免疫調節成分を更に含む。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)阻害剤である。
【0119】
ある特定の実施形態では、組成物は、抗腫瘍活性を有する追加的な免疫調節成分を含む。いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、自然免疫応答を制御する。これらの実施形態のいくつかでは、追加的な免疫調節成分は、ナチュラルキラー細胞を標的とする。いくつかの他の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、獲得免疫応答を制御する。これらの実施形態のいくつかでは、追加的な免疫調節成分は、細胞傷害性T細胞を標的とする。
【0120】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、細胞外小胞の表面上に位置する。いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、細胞外小胞の内側に位置する。いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、細胞外小胞の表面上及び内側の両方に位置する。
【0121】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、その完全長形態でプロデューサー細胞において発現される。他の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、エキソソーム表面タンパク質への翻訳融合タンパク質として発現され、エキソソームの表面上の免疫調節化合物の生物学的活性部分のより高いレベルの発現を生じる。いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節化合物は、該可溶性タンパク質がエキソソームの表面上に保持されるように、エキソソーム表面タンパク質への翻訳融合タンパク質として発現される可溶性タンパク質である。
【0122】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、例えば、A2AR、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、NOX2、PD-1、TIM-3、VISTA、SIGLEC7(CD328)及びSIGLEC9(CD329)のようなネガティブチェックポイント制御因子に対する阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、例えば、PD-L1及びPD-L2のようなネガティブチェックポイント制御因子の結合パートナーに対する阻害剤である。
【0123】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)の阻害剤である。これらの実施形態のいくつかでは、CTLA-4阻害剤は、CTLA-4のモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、阻害剤は、CTLA-4のモノクローナル抗体の断片である。ある特定の実施形態では、抗体断片は、CTLA-4のモノクローナル抗体のscFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、またはFdである。ある特定の実施形態では、阻害剤は、CTLA-4に対するナノボディ、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。いくつかの特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、イピリムマブである。いくつかの特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、トレメリムマブである。
【0124】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、プログラム死リガンド1(PD-L1)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、プログラム死リガンド2(PD-L2)の阻害剤である。いくつかの実施形態では、PD-1、PD-L1、またはPD-L2の阻害剤は、PD-1、PD-L1、またはPD-L2のモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、阻害剤は、PD-1、PD-L1、またはPD-L2のモノクローナル抗体の断片である。ある特定の実施形態では、抗体断片は、PD-1、PD-L1、またはPD-L2のモノクローナル抗体のscFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、またはFdである。ある特定の実施形態では、阻害剤は、PD-1、PD-L1、またはPD-L2に対するナノボディ、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。いくつかの特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、ニボルマブである。いくつかの特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、ピディリズマブである。いくつかの特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、アテゾリズマブである。いくつかの特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、アベルマブである。
【0125】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、リンパ球関連遺伝子3(LAG3)の阻害剤である。これらの実施形態のいくつかでは、LAG3の阻害剤は、例えば、BMS-986016のようなLAG3のモノクローナル抗体である(ClinicalTrials.govで”Safety Study of Anti-LAG-3 With and Without Anti-PD-1 in the Treatment of Solid Tumors”についての臨床試験番号NCT01968109を参照されたい)。
【0126】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、T細胞免疫グロブリンムチン含有タンパク質3(TIM-3)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、B及びTリンパ球減衰因子(BTLA)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、アデノシンA2a受容体(A2aR)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、CD20、CD39、またはCD73の阻害剤である。
【0127】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、正の共刺激分子に対する活性化剤である。いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、正の共刺激分子の結合パートナーに対する活性化剤である。
【0128】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、アゴニスト抗体または天然リガンドまたはTNF受容体スーパーファミリーメンバーのような、TNF受容体スーパーファミリーメンバーの活性化剤である。ある特定の実施形態では、TNF受容体スーパーファミリーメンバーは、CD120a、CD120b、CD18、OX40、CD40、Fas受容体、M68、CD27、CD30、4-1BB、TRAILR1、TRAILR2、TRAILR3、TRAILR4、RANK、OCIF、TWEAK受容体、TACI、BAFF受容体、ATAR、CD271、CD269、GITR、TROY、CD358、TRAMP、及びXEDARからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、TNFスーパーファミリーメンバーである。ある特定の実施形態では、TNFスーパーファミリーメンバーは、TNFα、TNF-C、OX40L、CD40L、FasL、LIGHT、TL1A、CD27L、Siva、CD153、4-1BBリガンド、TRAIL、RANKL、TWEAK、APRIL、BAFF、CAMLG、NGF、BDNF、NT-3、NT-4、GITRリガンド、及びEDA-2からなる群から選択される。
【0129】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、TNF受容体スーパーファミリーメンバー4(OX40)の活性化剤である。これらの実施形態のいくつかでは、OX40の活性化剤は、OX40のアゴニスト抗体である。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、OX40の活性化剤は、OX40リガンド(OX40L)である。
【0130】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、CD27の活性化剤である。これらの実施形態のいくつかでは、CD27の活性化剤は、CD27のアゴニスト抗体である。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、CD27の活性化剤は、CD27リガンド(CD27L)である。
【0131】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、CD40の活性化剤である。これらの実施形態のいくつかでは、CD40の活性化剤は、CD40のアゴニスト抗体である。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、CD40の活性化剤は、CD40リガンド(CD40L)である。
【0132】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)の活性化剤である。これらの実施形態のいくつかでは、GITRの活性化剤は、GITRのアゴニスト抗体である。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、GITRの活性化剤は、GITRの天然リガンドである。
【0133】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、4-1BBの活性化剤である。これらの実施形態のいくつかでは、4-1BBの活性化剤は、4-1BBのアゴニスト抗体である。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、4-1BBの活性化剤は、4-1BBの天然リガンドである。
【0134】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、Fas受容体(Fas)である。これらの実施形態のいくつかでは、Fas受容体は、細胞外小胞の表面上に表示される。いくつかの他の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、Fasリガンド(FasL)である。これらの実施形態のいくつかでは、Fasリガンドは、細胞外小胞の表面上に表示される。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、Fas受容体の抗体である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、Fasリガンドの抗体である。
【0135】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、CD28スーパーファミリー共刺激分子の活性化剤である。ある特定の実施形態では、CD28スーパーファミリー共刺激分子は、ICOSまたはCD28である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、ICOSL、CD80、またはCD86である。
【0136】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)の活性化剤である。これらの実施形態のいくつかでは、ICOSの活性化剤は、ICOSのアゴニスト抗体である。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、ICOSの活性化剤は、ICOSリガンド(ICOSL)である。
【0137】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、CD28の活性化剤である。これらの実施形態のいくつかでは、CD28の活性化剤は、CD28のアゴニスト抗体である。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、CD28の活性化剤は、CD28の天然リガンドである。ある特定の実施形態では、CD28のリガンドは、CD80である。
【0138】
ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、サイトカインである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、エキソソーム表面タンパク質またはその断片に翻訳によって融合されている可溶性サイトカインである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-2である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-7である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-12である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-15である。
【0139】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、T細胞受容体(TCR)またはその誘導体である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、TCRα鎖またはその誘導体である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、TCRβ鎖またはその誘導体である。いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、T細胞またはその誘導体の共受容体である。
【0140】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、腫瘍抗原である。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、ムチン1(MUC1)、Tn-MUC1、ムチン16(MUC16)、チロシナーゼ、黒色腫関連抗原(MAGE)、腫瘍タンパク質p53(p53)、CD4、CD8、CD45、CD80、CD86、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、NY-ESO-1、PSMA、TAG-72、HER2、GD2、cMET、EGFR、メソセリン、VEGFR、アルファ葉酸受容体、CE7R、IL-3、がん精巣抗原、MART-1 gp100、及びTNF関連アポトーシス誘導性リガンドからなる群から選択される。
【0141】
ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、がん胎児性抗原(CEA)である。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、上皮腫瘍抗原(ETA)である。
【0142】
ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、ムチンである。これらの実施形態のいくつかでは、ムチンは、分泌型ムチンである。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、ムチンは、膜貫通ムチンである。特定の実施形態では、腫瘍抗原は、ムチン1(MUC1)である。特定の実施形態では、腫瘍抗原は、Tn-MUC1である。特定の実施形態では、腫瘍抗原は、ムチン16(MUC16)である。
【0143】
ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、黒色腫関連抗原(MAGE)である。これらの実施形態のいくつかでは、MAGEは、I型MAGEである。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、MAGEは、II型MAGEである。特定の実施形態では、I型MAGEは、MAGE-A2である。特定の実施形態では、I型MAGEは、MAGE-A4である。
【0144】
ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、アルファ-フェトプロテイン(AFP)である。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、腫瘍タンパク質p53(p53)である。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、チロシナーゼである。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、チロシナーゼ関連タンパク質(TRP)である。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、プログラム死リガンド1(PD-L1)またはプログラム死リガンド2(PD-L2)である。様々な実施形態では、腫瘍抗原は、CD4、CD8、CD45、CD80、及びCD86からなる群から選択される。
【0145】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、キメラ抗原受容体(CAR)またはその誘導体である。いくつかの実施形態では、CARは、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、ムチン1(MUC1)、Tn-MUC1、ムチン16(MUC16)、チロシナーゼ、黒色腫関連抗原(MAGE)、腫瘍タンパク質p53(p53)、CD4、CD8、CD45、CD80、CD86、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、NY-ESO-1、PSMA、TAG-72、HER2、GD2、cMET、EGFR、メソセリン、VEGFR、アルファ葉酸受容体、CE7R、IL-3、がん精巣抗原、MART-1 gp100、及びTNF関連アポトーシス誘導性リガンドのうちの1つ以上に結合する。
【0146】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、T細胞受容体または共受容体の活性化剤である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、CD3の活性化剤である。ある特定の実施形態では、活性化剤は、CD3のモノクローナル抗体の断片である。ある特定の実施形態では、抗体断片は、CD3のモノクローナル抗体のscFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、またはFdである。ある特定の実施形態では、活性化剤は、CD3に対するナノボディ、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。ある特定の実施形態では、追加的な免疫調節成分は、CD28の活性化剤である。ある特定の実施形態では、活性化剤は、CD28のモノクローナル抗体の断片である。ある特定の実施形態では、抗体断片は、CD28のモノクローナル抗体のscFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、またはFdである。ある特定の実施形態では、活性化剤は、CD28に対するナノボディ、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。
【0147】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、主要組織適合複合体(MHC)またはその誘導体である。これらの実施形態のいくつかでは、追加的な免疫調節成分は、MHCクラスIまたはその誘導体である。これらの実施形態のいくつかでは、追加的な免疫調節成分は、MHCクラスIIまたはその誘導体である。これらの実施形態のいくつかでは、追加的な免疫調節成分は、MHCクラスIIIまたはその誘導体である。
【0148】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、ヒト白血球抗原(HLA)またはその誘導体である。これらの実施形態のいくつかでは、追加的な免疫調節成分は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、またはその誘導体である。これらの実施形態のいくつかでは、追加的な免疫調節成分は、HLA-E、HLA-F、HLA-G、またはその誘導体である。これらの実施形態のいくつかでは、追加的な免疫調節成分は、HLA-DP、HLA-DQ、HLA-DR、またはその誘導体である。
【0149】
様々な実施形態では、免疫調節成分は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、脂質、小分子、または毒素であり得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、タンパク質、ペプチド、糖脂質、または糖タンパク質であり得る。
【0151】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、アゴニストである。これらの実施形態のいくつかでは、アゴニストは、ホルモンまたは神経伝達物質のような内因性アゴニストである。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、アゴニストは、薬物のような外因性アゴニストである。いくつかの実施形態では、アゴニストは、受容体に結合することなくアゴニスト応答を生み出すことができる物理的アゴニストである。いくつかの実施形態では、アゴニストは、内因性アゴニストよりも大きな最大応答を産生できるスーパーアゴニストである。ある特定の実施形態では、アゴニストは、受容体で完全な効力を有する完全アゴニストである。ある特定の他の実施形態では、アゴニストは、完全アゴニストと比較して、受容体で部分的効力のみを有する部分アゴニストである。いくつかの実施形態では、アゴニストは、受容体の恒常的活性を阻害できる逆アゴニストである。いくつかの実施形態では、アゴニストは、受容体に対する効果を産生するために他のコアゴニストと協働するコアゴニストである。ある特定の実施形態では、アゴニストは、共有結合の形成を通じて受容体に永久的に結合する不可逆的アゴニストである。ある特定の実施形態では、アゴニストは、特定の型の受容体に対する選択的アゴニストである。
【0152】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、アンタゴニストである。これらの実施形態のいくつかでは、アンタゴニストは、競合的アンタゴニストであり、受容体を活性化することなく内因性リガンドまたはアゴニストと同じ結合部位で受容体に可逆的に結合する。競合的アンタゴニストは、最大応答を達成するために必要なアゴニストの量に影響できる。これらの実施形態のいくつかの他のものでは、アンタゴニストは非競合的アンタゴニストであり、受容体の活性部位または受容体のアロステリック部位に結合する。非競合的アンタゴニストは、任意の量のアゴニストによって達成され得る最大応答の規模を低下できる。いくつかの他の実施形態では、アンタゴニストは、別個のアロステリック結合部位へのその結合の前にアゴニストによる受容体活性化を必要とする不競合的アンタゴニストである。
【0153】
様々な実施形態では、免疫調節成分は、抗体または抗原結合断片を含む。免疫調節成分は、完全長タンパク質またはその断片であり得る。抗体または抗原結合断片は、天然の供給源に由来するか、または部分的もしくは全体的に合成的に産生され得る。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、IgG抗体である。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である。いくつかの他の実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、及びFd断片から選択される。ある特定の実施形態では、抗原結合断片は、scFvまたは(scFv)断片である。ある特定の他の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、ナノボディ(登録商標)(単一ドメイン抗体)である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、二重特異性または多重特異性抗体である。
【0154】
様々な実施形態では、抗体または抗原結合断片は、完全にヒトである。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、キメラである。これらの実施形態のいくつかでは、キメラ抗体は、非ヒトV領域ドメイン及びヒトC領域ドメインを有する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、マウスまたは獣医学のような非ヒトである。
【0155】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、タンパク質、ペプチド、糖脂質、または糖タンパク質である。
【0156】
様々な実施形態では、組成物は、原子、分子等の、混合物、融合物、組み合わせ、及び複合体を含む、2つ以上の上記の免疫調節成分を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、ポリペプチドと組み合わされた核酸を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、互いに複合体化した2つ以上のポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、組成物は、生物学的活性分子に複合体化したタンパク質を含む。これらの実施形態のいくつかでは、生物学的活性分子は、プロドラッグである。
【0157】
薬学的組成物
薬学的組成物は、一般に、複数の細胞外小胞と、対象への投与に適した形態の薬学的に許容される賦形剤または担体と、を含む。薬学的に許容される賦形剤または担体は、部分的には、投与される特定の化合物によって、同様に組成物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。したがって、複数の細胞外小胞を含む薬学的組成物の多種多様な好適な製剤がある。(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.21st ed.(2005)を参照されたい)。医薬組成物は一般に滅菌して製剤化され、米国食品医薬品局の全ての適正製造基準(GMP)規制に完全に準拠する。
【0158】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に記載される1つ以上の治療薬及び細胞外小胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、1つ以上の別個の治療剤と同時投与され、同時投与は、細胞外小胞の投与の前、後または同時の別個の治療剤の投与を含む。
【0159】
薬学的に許容される賦形剤は、ヒトの薬学的使用に対して同様に獣医学的使用に対して許容される賦形剤を含む、一般に安全で、非毒性で、望ましい賦形剤を含む。
【0160】
担体または希釈剤の例は、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンを含むが、これらに限定されない。薬学的活性物質のためのかかる媒体及び化合物の使用は、当該技術分野で既知である。任意の従来の培地または化合物が本明細書に記載される細胞外小胞と不適合でない限り、組成物におけるその使用が企図される。補助的な治療薬はまた、組成物中に組み込まれ得る。典型的には、薬学的組成物は、その意図される投与経路に適合するように製剤化される。細胞外小胞は、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、筋肉内経路または吸入剤によって投与され得る。ある特定の実施形態では、細胞外小胞を含む薬学的組成物は、例えば、注射によって静脈内投与される。細胞外小胞は、任意選択で、細胞外小胞が意図される疾患、障害または状態の治療に少なくとも部分的に有効である他の治療薬と組み合わせて投与され得る。
【0161】
溶液または懸濁液は、以下の成分、水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗微生物化合物、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩のような緩衝液、及び塩化ナトリウムまたはデキストロースのような浸透圧の調整のための化合物を含むことができる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整され得る。調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスもしくはプラスチックから作製された複数用量バイアルに封入され得る。
【0162】
注射可能な使用に好適な薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液及び滅菌粉末を含む。静脈内投与については、好適な担体は、生理学的生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。組成物は一般に滅菌されており、容易な注入性(syringeability)が存在する程度に流動的である。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、ならびにそれらの好適な混合物を含有する、溶媒または分散液であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌化合物及び抗真菌化合物、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成され得る。所望される場合、等張化合物、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、及び塩化ナトリウムは、組成物に添加され得る。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる化合物、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含めることによってもたらされ得る。
【0163】
滅菌注射可能溶液は、細胞外小胞を、所望されるように、有効量で、かつ本明細書に列挙された成分の1つまたは組み合わせを有する適切な溶媒に組み込むことによって調製され得る。一般に、分散液は、細胞外小胞を、基本的な分散媒と任意の所望の他の成分とを含有する滅菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、活性成分と、事前に滅菌濾過されたその溶液からの任意の追加的な所望の成分との粉末をもたらす、真空乾燥及び凍結乾燥である。細胞外小胞は、細胞外小胞の持続的または拍動性放出を可能にするような様式で製剤化され得るデポー注射またはインプラント調整物の形態で投与され得る。
【0164】
細胞外小胞を含む組成物の全身投与は、経粘膜手段によることもできる。経粘膜投与のために、浸透すべき障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。かかる浸透剤は、一般に当該技術分野で既知であり、例えば、経粘膜投与のための、洗剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、例えば、点鼻薬の使用を通じて達成され得る。
【0165】
ある特定の実施形態では、細胞外小胞を含む薬学的組成物は、薬学的組成物の恩恵を受けるであろう対象に静脈内投与される。ある特定の他の実施形態では、組成物は、リンパ系に、例えば、リンパ内注射によってまたは結節内注射によって(例えば、Senti et al.,PNAS 105(46):17908(2008)を参照されたい)、または筋肉内注射によって、皮下注射によって、胸腺もしくは肝臓への直接注射による皮下投与によって投与される。
【0166】
ある特定の実施形態では、細胞外小胞を含む薬学的組成物は、液体懸濁液として投与される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、投与に続いてデポーを形成できる製剤として投与される。ある特定の好ましい実施形態では、デポーは、細胞外小胞を循環中に緩徐に放出するか、またはデポー形態のままである。
【0167】
典型的には、薬学的に許容される組成物は、汚染物質を含まないように高度に精製され、生体適合性があり、毒性がなく、対象への投与に適している。水が担体の構成要素である場合、水は、汚染物質、例えば、エンドトキシンを含まないように高度に精製及び加工される。
【0168】
薬学的に許容される担体は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム(gum acacia)、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシ安息香酸塩、プロピルヒドロキシ安息香酸塩、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び/または鉱油であり得るが、これらに限定されない。薬学的組成物は、潤滑剤、湿潤剤、甘味料、風味増強剤、乳化剤、懸濁剤及び/または保存料を更に含むことができる。
【0169】
本明細書に記載される薬学的組成物は、本明細書に記載される細胞外小胞と、任意選択で、薬学的に活性な薬剤または治療剤と、を含む。治療剤は、生物学的薬剤、小分子薬剤、または核酸薬剤であり得る。
【0170】
本明細書に記載される細胞外小胞を含む薬学的組成物を含む剤形が、提供される。いくつかの実施形態では、剤形は、静脈内注射用の液体懸濁液として製剤化される。
【0171】
ある特定の実施形態では、細胞外小胞の調製物は、残留複製能のある(residual replication-competent)核酸を損傷するために、放射線、例えば、X線、ガンマ線、ベータ粒子、アルファ粒子、中性子、陽子、元素核、紫外線に曝される。
【0172】
ある特定の実施形態では、細胞外小胞の調製物は、1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100超、または100kGy超の照射線量を使用するガンマ照射に曝される。
【0173】
ある特定の実施形態では、細胞外小胞の調製物は、0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000超、または10000mSv超の照射線量を使用するX線照射に曝される。
【0174】
方法
本開示の態様はまた、細胞外小胞及び免疫調節成分を含む組成物を産生する方法を含む。いくつかの実施形態では、方法は、プロデューサー細胞から細胞外小胞を得ることであって、プロデューサー細胞が免疫調節成分を天然に含有する、得ることと、任意選択で、得られた細胞外小胞を単離することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、プロデューサー細胞を免疫調節成分で改変することと、改変されたプロデューサー細胞から細胞外小胞を得ることと、任意選択で、得られた細胞外小胞を単離することと、を含む。いくつかの他の実施形態では、方法は、プロデューサー細胞から細胞外小胞を得ることと、得られた細胞外小胞を単離することと、単離された細胞外小胞を免疫調節成分で改変することと、を含む。ある特定の実施形態では、方法は、単離された細胞外小胞を薬学的組成物に製剤化することを更に含む。
【0175】
細胞外小胞を産生する方法
免疫調節成分でプロデューサー細胞を改変する方法
様々な実施形態では、方法は、免疫調節成分でプロデューサー細胞を改変することを含む。
【0176】
プロデューサー細胞は、哺乳動物細胞株、植物細胞株、昆虫細胞株、真菌細胞株、または原核細胞株であり得る。ある特定の実施形態では、プロデューサー細胞は、哺乳動物細胞株である。哺乳動物細胞株は、ヒト胎児腎(HEK)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT-1080細胞株、HeLa細胞株、PERC-6細胞株、CEVEC細胞株、線維芽細胞株、羊膜細胞株、上皮細胞株、及び間葉系幹細胞(MSC)細胞株を含むが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態では、哺乳動物細胞株は、HEK-293細胞、BJヒト包皮繊維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪性間葉系幹細胞、またはRPTEC/TERT1細胞であり得る。プロデューサー細胞はまた、初代細胞であり得る。様々な実施形態では、初代細胞は、初代哺乳動物細胞、初代植物細胞、初代昆虫細胞、初代真菌細胞、または初代原核細胞であり得る。
【0177】
ある特定の実施形態では、プロデューサー細胞は、樹状細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、抗原提示細胞、マクロファージ、Tヘルパー細胞、または制御性T細胞(Treg細胞)のような免疫細胞である。
【0178】
様々な実施形態では、免疫調節成分は、プロデューサー細胞中に導入された導入遺伝子またはmRNAからのプロデューサー細胞において発現され得るが、それはトランスフェクション(例えば、Bacchetti S,Graham FL(April 1977)”Transfer of the gene for thymidine kinase to thymidine kinase-deficient human
cells by purified herpes simplex viral DNA”.Proceedings of the National Academy
of Sciences of the United States of America.74(4):1590-4、Kriegler M(1991)Transfer and Expression:A Laboratory Manual.W.H.Freeman.pp.96-97、Felgner PL,Gadek TR,Holm M,Roman R,Chan HW,Wenz M,Northrop JP,Ringold GM,Danielsen M(November 1987)”Lipofection:a highly efficient,lipid-mediated DNA-transfection procedure”.Proceedings of the National Academy of Sciences
of the United States of America.84(21):7413-7、Felgner JH,Kumar R,Sridhar CN,Wheeler CJ,Tsai YJ,Border R,Ramsey P,Martin
M,Felgner PL(January 1994)”Enhanced gene delivery and mechanism studies with a novel series of cationic lipid formulations”.The Journal of Biological Chemistry.269(4):2550-61を参照されたい)、ウイルス形質導入(例えば、Griffiths AJ,Miller JH,Suzuki DT,Lewontin RC,Gelbart WM(2000).”Transduction”.An Introduction to Genetic Analysis(7th ed.)を参照されたい)、電気穿孔(例えば、Neumann,E;Schaefer-Ridder,M;Wang,Y;Hofschneider,PH(1982)”Gene transfer into mouse lyoma cells by electroporation in high electric fields”.The EMBO Journal.1(7):841-5)を参照されたい)、押出(例えば、Sharei A,Zoldan J,Adamo A,Sim WY,Cho N,Jackson E,Mao S,Schneider S,Han MJ,Lytton-Jean A,Basto PA,Jhunjhunwala S,Lee J,Heller DA,Kang JW,Hartoularos GC,Kim KS,Anderson DG,Langer R,Jensen KF(February 2013)”A vector-free microfluidic platform for intracellular delivery”.Proceedings of
the National Academy of Sciences of the
United States of America.110(6):2082-7を参照されたい、超音波処理(例えば、Yizhi Song(2007)”Ultrasound-mediated DNA transfer for bacteria”.Nucleic Acids Res.35(19):e129.を参照されたい)、細胞融合(例えば、Felgner PL,Gadek TR,Holm M,Roman R,Chan HW,Wenz M,Northrop JP,Ringold GM,Danielsen M(November 1987)”Lipofection:a highly efficient,lipid-mediated DNA-transfection procedure”.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America.84(21):7413-を参照されたい)、または当業者に既知の他の方法による。
【0179】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、トランスフェクションによってプロデューサー細胞に導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、カチオン性脂質及びポリマーのような合成高分子を使用して好適なプロデューサー細胞中に導入され得る(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、電荷相互作用を通じて免疫調節成分と複合体を形成する。これらの実施形態のいくつかでは、正に荷電した複合体は、負に荷電した細胞表面に結合し、エンドサイトーシスによって細胞により取り込まれる。いくつかの他の実施形態では、カチオン性ポリマーは、プロデューサー細胞をトランスフェクトするために使用され得る。これらの実施形態のいくつかでは、カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)である。ある特定の実施形態では、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、またはポリブレンのような化学物質は、免疫調節成分をプロデューサー細胞に導入するために使用され得る。免疫調節成分はまた、粒子媒介性トランスフェクション、「遺伝子銃」、微粒子銃(biolistic)、または粒子衝撃技術のような物理的方法を使用してプロデューサー細胞中に導入され得る(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。例えば、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質のようなレポーター遺伝子は、プロデューサー細胞のトランスフェクション効率を評価するために使用され得る。
【0180】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、ウイルス形質導入によってプロデューサー細胞に導入される。モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レンチウイルス、及びスプマウイルスを含む多くのウイルスは、遺伝子導入ビヒクルとして使用され得る。ウイルス媒介性遺伝子導入ビヒクルは、レトロウイルスと同様に、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス及びヘルペスウイルスのようなDNAウイルスに基づくベクターを含む。
【0181】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、電気穿孔によってプロデューサー細胞に導入される。電気穿孔は、細胞膜に一時的な孔を作成し、細胞中への様々な分子の導入を可能にする。いくつかの実施形態では、ポリペプチド及び非ポリペプチド治療薬と同様に、DNA及びRNAは、電気穿孔によってプロデューサー細胞中に導入され得る。
【0182】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、マイクロ注射によってプロデューサー細胞中に導入される。いくつかの実施形態では、ガラス製マイクロピペットは、顕微鏡レベルで免疫調節成分をプロデューサー細胞中に注射するために使用され得る。
【0183】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、押出によってプロデューサー細胞に導入される。
【0184】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、超音波処理によってプロデューサー細胞に導入される。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞は、高強度音波に曝露され、細胞膜の一時的な破壊を引き起こして、免疫調節成分の負荷を可能にする。
【0185】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、細胞融合によってプロデューサー細胞に導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、電気的細胞融合によってプロデューサー細胞に導入される。いくつかの他の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、プロデューサー細胞を融合させるために使用される。いくつかの他の実施形態では、センダイウイルスは、プロデューサー細胞を融合させるために使用される。
【0186】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、低張溶解によってプロデューサー細胞に導入される。これらの実施形態のいくつかでは、プロデューサー細胞は、低イオン強度緩衝液に曝露され、それらを破裂させて免疫調節成分の負荷を可能にする。いくつかの代替的な実施形態では、低張溶液に対する制御された透析は、プロデューサー細胞を膨潤させ、プロデューサー細胞膜に孔を作成するために使用される。プロデューサー細胞は、その後、膜のリシーリング(resealing)を可能にする条件に曝露される。
【0187】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、洗剤処理によってプロデューサー細胞に導入される。ある特定の実施形態では、プロデューサー細胞は、免疫調節成分の負荷を可能にする孔を作成することによってプロデューサー細胞膜を一時的に損なう穏やかな洗剤で処理される。プロデューサー細胞が負荷された後、洗剤は洗い流され、それによって膜をリシールする。
【0188】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、受容体媒介性エンドサイトーシスによってプロデューサー細胞に導入される。ある特定の実施形態では、プロデューサー細胞は、免疫調節成分の結合時に受容体及び関連する免疫調節成分の内部移行を誘導する表面受容体を有する。
【0189】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、濾過によってプロデューサー細胞に導入される。ある特定の実施形態では、プロデューサー細胞及び免疫調節成分は、プロデューサー細胞より小さい孔径のフィルターを強制的に通して、プロデューサー細胞膜の一時的な破壊を引き起こし、免疫調節成分がプロデューサー細胞に入ることを可能にする。
【0190】
いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞は、いくつかの凍結融解サイクルに曝され、細胞膜破壊を生じ、免疫調節成分の負荷を可能にする。
【0191】
免疫調節成分で細胞外小胞を改変する方法
様々な代替的実施形態では、免疫調節成分は、細胞外小胞の単離後に細胞外小胞に直接導入される。
【0192】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、トランスフェクションによって細胞外小胞に導入される。いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、カチオン性脂質及びポリマーのような合成高分子を使用して細胞外小胞中に導入され得る(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。ある特定の実施形態では、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、またはポリブレンのような化学物質は、免疫調節成分を細胞外小胞に導入するために使用され得る。
【0193】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、電気穿孔によって細胞外小胞に導入される。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞膜に一時的な孔を作成する電界に曝露され、免疫調節成分の負荷を可能にする。
【0194】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、マイクロ注射によって細胞外小胞に導入される。いくつかの実施形態では、ガラス製マイクロピペットは、顕微鏡レベルで免疫調節成分を細胞外小胞中に直接注射するために使用され得る。
【0195】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、押出によって細胞外小胞に導入される。
【0196】
ある特定の実施形態では、免疫調節成分は、超音波処理によって細胞外小胞に導入される。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、高強度音波に曝露され、細胞外小胞膜の一時的な破壊を引き起こして、免疫調節成分の負荷を可能にする。
【0197】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、細胞外小胞の表面に複合体化され得る。複合体化は、当該技術分野で既知の方法により、化学的または酵素的に達成され得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、化学的に複合体化される免疫調節成分を含む。化学的複合体化は、リンカーを有するか有しないかに関わらず、免疫調節成分を別の分子に共有結合させることによって達成され得る。かかる複合体の形成は当該技術分野の範囲内であり、複合体化を達成するための様々な技法が既知であり、特定の技法の選択は複合体化される材料によって導かれる。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、細胞外小胞に複合体化される。ある特定の他の実施形態では、脂質、炭水化物、核酸、及び小分子のような非ポリペプチドは、細胞外小胞に複合体化される。
【0199】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、低張溶解によって細胞外小胞に導入される。これらの実施形態のいくつかでは、細胞外小胞は、低イオン強度緩衝液に曝露され、それらを破裂させて免疫調節成分の負荷を可能にする。いくつかの代替的実施形態では、低張溶液に対する制御された透析は、細胞外小胞を膨潤させ、細胞外小胞膜に孔を作成するために使用される。細胞外小胞は、その後、膜のリシーリングを可能にする条件に曝露される。
【0200】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、洗剤処理によって細胞外小胞に導入される。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、免疫調節成分の負荷を可能にする孔を作製することによって細胞外小胞膜を一時的に損なう穏やかな洗剤で処理される。細胞外小胞が負荷された後、洗剤は洗い流され、それによって膜をリシールする。
【0201】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、受容体媒介性エンドサイトーシスによって細胞外小胞に導入される。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、免疫調節成分の結合時に受容体及び関連する免疫調節成分の内部移行を誘導する表面受容体を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、機械的発射によって細胞外小胞に導入される。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、金マイクロキャリアのような重い粒子または荷電粒子に付着された免疫調節成分を用いて衝撃され得る。これらの実施形態のいくつかでは、粒子は、粒子が細胞外小胞膜を横断するように機械的または電気的に加速され得る。
【0203】
いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、濾過によって細胞外小胞に導入される。ある特定の実施形態では、細胞外小胞及び免疫調節成分は、細胞外小胞より小さい孔径のフィルターを強制的に通して、細胞外小胞膜の一時的な破壊を引き起こし、免疫調節成分が細胞外小胞に入ることを可能にする。
【0204】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、いくつかの凍結融解サイクルに曝され、細胞外小胞膜破壊を生じ、免疫調節成分の負荷を可能にする。
【0205】
細胞外小胞を単離する方法
細胞外小胞はプロデューサー細胞から単離され得る。ある特定の実施形態では、細胞外小胞は、プロデューサー細胞によって細胞培養培地中に放出される。細胞外小胞の単離の全ての既知の様式は、本明細書での使用に適すると思われることが企図される。例えば、細胞外小胞の物理的性質は、電荷(例えば、電気泳動分離)、サイズ(例えば、濾過、分子ふるい等)、密度(例えば、通常遠心分離のまたは勾配遠心分離)、Svedberg定数(例えば、外力を伴うまたは伴わない沈降等)に基づく分離を含む、培地または他の供給源材料からそれらを分離するために採用され得る。代替的にまたは追加的に、単離は、1つ以上の生物学的特性に基づくことができ、表面マーカーを採用できる方法を含む(例えば、沈殿、固相への可逆的結合、FACS分離、特異的リガンド結合、非特異的リガンド結合、アフィニティ精製等)。
【0206】
単離及び濃縮は、典型的には連続遠心分離を含む、一般的かつ非選択的様式で行われ得る。あるいは、単離及び濃縮は、細胞外小胞またはプロデューサー細胞特異的表面マーカーを使用するような、より特異的かつ選択的な様式で行われ得る。例えば、特異的表面マーカーは、免疫沈降、FACSソーティング、アフィニティ精製、及びビーズ結合リガンドを用いた磁気分離において使用され得る。
【0207】
いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーは、細胞外小胞を単離するために使用され得る。サイズ排除クロマトグラフィー技法は、当技術分野で既知である。例示的で非限定的な技法は、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ボイド容積画分は、単離され、目的の細胞外小胞を含む。更に、いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、当該技術分野で一般に既知のように、(1つ以上のクロマトグラフィー画分の)遠心分離技法によるクロマトグラフィー分離後に更に単離され得る。いくつかの実施形態では、例えば、密度勾配遠心分離が、細胞外小胞を更に単離するために利用され得る。ある特定の実施形態では、プロデューサー細胞由来の細胞外小胞を他の起源の細胞外小胞から更に分離することが望ましい場合がある。例えば、プロデューサー細胞由来の細胞外小胞は、プロデューサー細胞に特異的な抗原抗体を使用する免疫吸着剤捕捉により、非プロデューサー細胞由来の細胞外小胞から分離され得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞の単離は、示差遠心分離、サイズに基づく膜濾過、免疫沈降、FACSソーティング、及び磁気分離を含むがこれらに限定されない方法の組み合わせに関与できる。
【0209】
細胞外小胞のサイズを測定する方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、細胞外小胞及び/または細胞外小胞の集団のサイズを測定することを含む。一般に、細胞外小胞サイズは、最も長い測定可能な寸法として測定される。一般に、細胞外小胞の最も長い測定可能な寸法はまた、その直径として参照される。
【0210】
細胞外小胞サイズは、動的光散乱(DLS)及び/または多角度光散乱(MALS)を使用して測定され得る。細胞外小胞のサイズを測定するためにDLS及び/またはMALSを使用する方法は、当業者に既知であり、ナノ粒子追跡アッセイ(NTA、例えば、Malvern NanoSight NS300ナノ粒子追跡デバイスを使用する)を含む。特定の実施形態では、細胞外小胞サイズは、Malvern NanoSight NS300を使用して決定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞は、NTAによって測定される場合(例えば、Malvern NanoSight NS300を使用する)、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞は、NTAによって測定される場合(例えば、Malvern NanoSight NS300を使用する)、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の90%は、NTAによって測定される場合(例えば、Malvern NanoSight NS300を使用する)、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の95%は、NTAによって測定される場合(例えば、Malvern NanoSight NS300を使用する)、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の99%は、NTAによって測定される場合(例えば、Malvern NanoSight NS300を使用する)、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の90%は、NTAによって測定される場合(例えば、Malvern NanoSight NS300を使用する)、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の95%は、NTAによって測定される場合(例えば、Malvern NanoSight NS300を使用する)、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の99%は、NTAによって測定される場合(例えば、Malvern NanoSight NS300を使用する)、約40~200nmの最長寸法を有する。
【0211】
細胞外小胞サイズは、調整可能な抵抗パルスセンシング(TRPS)を使用して測定され得る。特定の実施形態では、TRPSによって測定される細胞外小胞サイズは、iZON qNANO Goldを使用して決定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞は、TRPSによって測定される場合(例えば、iZON qNano Goldを使用する)、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞は、TRPSによって測定される場合(例えば、iZON qNano Gold)、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の90%は、TRPSによって測定される場合(例えば、iZON qNano Goldを使用する)、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の95%は、TRPSによって測定される場合(例えば、iZON qNano Goldを使用する)、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の99%は、TRPSによって測定される場合(例えば、iZON qNano Goldを使用する)、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の90%は、TRPSによって測定される場合(例えば、iZON qNano Goldを使用する)、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の95%は、TRPSによって測定される場合(例えば、iZON qNano Goldを使用する)、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の99%は、TRPSによって測定される場合(例えば、iZON qNano
Goldを使用する)、約40~200nmの最長寸法を有する。
【0212】
細胞外小胞サイズは、電子顕微鏡法を使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、細胞外小胞サイズを測定するために使用される電子顕微鏡法は、透過型電子顕微鏡法である。特定の実施形態では、細胞外小胞サイズを測定するために使用される透過型電子顕微鏡は、Tecnai(商標)G Spirit BioTWINである。電子顕微鏡を使用して細胞外小胞サイズを測定する方法は当業者に周知であり、任意のかかる方法は、細胞外小胞サイズを測定するために適切であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞は、走査型電子顕微鏡(例えば、Tecnai(商標)G Spirit BioTWIN走査型電子顕微鏡)によって測定される場合、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞は、走査型電子顕微鏡(例えば、Tecnai(商標)G Spirit BioTWIN走査型電子顕微鏡)によって測定される場合、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の90%は、走査型電子顕微鏡(例えば、Tecnai(商標)G Spirit BioTWIN走査型電子顕微鏡)によって測定される場合、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の95%は、走査型電子顕微鏡(例えば、Tecnai(商標)G Spirit BioTWIN走査型電子顕微鏡)によって測定される場合、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の99%は、走査型電子顕微鏡(例えば、Tecnai(商標)G
Spirit BioTWIN走査型電子顕微鏡)によって測定される場合、約20~300nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の90%は、走査型電子顕微鏡(例えば、Tecnai(商標)G Spirit BioTWIN走査型電子顕微鏡)によって測定される場合、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の95%は、走査型電子顕微鏡(例えば、Tecnai(商標)G Spirit BioTWIN走査型電子顕微鏡)によって測定される場合、約40~200nmの最長寸法を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される細胞外小胞集団は、集団を含み、細胞外小胞の99%は、走査型電子顕微鏡(例えば、Tecnai(商標)G Spirit BioTWIN走査型電子顕微鏡)によって測定される場合、約40~200nmの最長寸法を有する。
【0213】
マクロファージ分極を決定するための方法
マクロファージ標的遺伝子の発現を阻害する1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞を使用して、M2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させるための方法及び組成物が、本明細書に開示される。組成物は、マクロファージによって優先的に取り込まれ(T細胞、B細胞、マクロファージ、または樹状細胞のような他の細胞型と比較して)、等モル量の免疫調節成分単体よりもマクロファージ分極を増加させるのに同じまたはそれ以上に有効である。マクロファージのM2及びM1表現型の検出を含む、マクロファージ分極を決定するための方法は、M2及びM1表現型を決定するための当技術分野で既知の任意の方法によって実行され得る。組織切片(例えば、腫瘍生検から)、血液試料等は、M2細胞表面マーカー(例えば、YM1、FIZZ1、デクチン-1、MGL)、M2関連サイトカイン(例えば、IL-10、TGFβ、PGE2、CCL2、CCL17、CCL18、CCL22及びCCL24)、M1関連サイトカイン(例えば、INFγ、IL-12、IL-23、TNFα、IL-6、IL-1、CCL5、CSCL9、CXCL10及びCXCL11)、成長因子(例えば、VEGF-A、VEGF-C、EGF、及びTGF-β)、酵素(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼMMP2、MMP9、システインカテプシンプロテアーゼ)、M2関連miRNA(例えば、miRNA146a、miRNA let 7b、及びmiR-223)及び/またはM1関連miRNA(例えば、miRNA155、miR-33)を含むがこれらに限定されないM2及びM1マクロファージと同様に、汎マクロファージ(pan-macrophage)のマーカーについてアッセイ(例えば、染色)され得る。例えば、Mosser,D.M.,& Edwards,J.P.(2008).Exploring the full spectrum of macrophage activation.Nature Reviews Immunology,8(12),958-969、Murray,P.J.,Allen,J.E.,Biswas,S.K.,Fisher,E.A.,Gilroy,D.W.,Goerdt,S.,Wynn,T.A.(2014).Macrophage activation and polarization:nomenclature and experimental guidelines.Immunity,41(1),14-20を参照されたい。試料内のマクロファージ及び/またはマクロファージ成分、分泌またはマクロファージ活性(例えば、Gautier,E.L.,Shay,T.,Miller,J.,Greter,M.,Jakubzick,C.,Ivanov,S.,Randolph,G.J.(2007).Gene expression profiles and transcriptional regulatory pathways underlying mouse tissue macrophage identity and diversity,Nature Immunology 13(11),1118-1128を参照されたい)は、フローサイトメトリー、免疫組織化学、イムノブロッティング、定量PCR、または生物学的試料中の細胞または細胞産物を検出するための当該技術分野で既知の任意の他の方法によって検出され得る。
【0214】
がんを治療する方法
また、対象におけるがんを治療する方法が、本明細書に提供される。
【0215】
様々な実施形態では、少なくとも1つの遺伝子を阻害し、それによりM2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させる1つ以上の免疫調節成分を含む細胞外小胞、例えば、エキソソームの組成物は、がんを有する対象に投与される。これらの実施形態のいくつかでは、組成物は、免疫応答を上方制御し、対象の免疫系の腫瘍標的化を増強できる。いくつかの態様では、M2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極の増加は、それ自体で対象の免疫応答を上方制御し、対象の免疫系の腫瘍標的化を増強する。一部の著者はIL-6及びアデノシンに対する応答としてM2dサブタイプの活性化に言及しており、これらのマクロファージは腫瘍関連マクロファージ(TAM)とも称される。例えば、Roszer,T.(2015).Understanding the Mysterious M2 Macrophage through Activation
Markers and Effector Mechanisms.Mediators of Inflammation,2015,1-16、Funes,S.C.,Rios,M.,Escobar-Vera,J.,& Kalergis,A.M.(2018).Implications of macrophage polarization in autoimmunity.Immunology,154(2),186-195、及びQ.Wang,H.Ni,L.Lan,X.Wei,R.Xiang,and Y.Wang,“Fra-1 protooncogene regulates IL6 expression in macrophages and promotes the generation of M2d macrophages,”Cell Research,vol.20,no.6,pp.701-712,2010を参照されたい。腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、典型的には、がん細胞の運動性、転移形成及び血管新生の促進などのそれらの腫瘍誘発(protumoral)機能について典型的であり、それらの形成は、発生する腫瘍に存在する微小環境因子に依存する。TAMは、IL-10、TGFβ、PGE2などの免疫抑制性サイトカインと、非常に少量のNOまたはROIと、低レベルの炎症性サイトカイン(IL-12、IL-1β、TNFα、IL-6)と、を産生する。腫瘍関連抗原を提示するTAMの能力は、T及びNK細胞の抗腫瘍機能の刺激と同様に、低下する。また、TAMは腫瘍細胞を溶解できない。https://en.wikipedia.org/wiki/Macrophage_polarization-cite_note-Sica2008-31
TAMの標的化は、TAMの動員及び分布を変更するか、既存のTAMを枯渇させるか、またはM2表現型からM1表現型へTAMの再教育を誘導するかのいずれかが薬剤の送達を通じて実証されているように、がんに対する新規の治療戦略である。例えば、Lewis,Claire E.,and Jeffrey W.Pollard.”Distinct role of macrophages in different tumor microenvironments.”Cancer research 66.2(2006):605-612、Sica,Antonio,et al.”Macrophage polarization in tumour progression.”Seminars in Cancer Biology.Vol.18.No.5.Academic Press,2008、Sica,Antonio,et al.Autocrine production of IL-10 mediates defective IL-12 production and NF-kappa B activation in tumor-associated macrophages.J Immunol.2000 Jan 15;164(2):762-7、Cuccarese,Michael F.;Dubach,J.Matthew;Pfirschke,Christina;Engblom,Camilla;Garris,Christopher;Miller,Miles A.;Pittet,Mikael J.;Weissleder,Ralph(2017-02-08)”Heterogeneity of macrophage infiltration and therapeutic response in lung carcinoma
revealed by 3D organ imaging”.Nature Communications.8:14293、Zeisberger,S M;Odermatt,B;Marty,C;Zehnder-Fjallman,A H M;Ballmer-Hofer,K;Schwendener,R A(2006-07-11)”Clodronate-liposome-mediated depletion
of tumour-associated macrophages:a new and highly effective antiangiogenic therapy approach”.British Journal of Cancer.95(3):272-281、Rodell,Christopher B.;Arlauckas,Sean P.;Cuccarese,Michael F.;Garris,Christopher S.;Li,Ran;Ahmed,Maaz S.;Kohler,Rainer H.;Pittet,Mikael J.;Weissleder,Ralph(2018-05-21)”TLR7/8-agonist-loaded nanoparticles promote the polarization of tumour-associated macrophages to enhance cancer immunotherapy”.Nature Biomedical Engineering、Guerriero,Jennifer L.;Sotayo,Alaba;Ponichtera,Holly E.;Castrillon,Jessica A.;Pourzia,Alexandra L.;Schad,Sara;Johnson,Shawn F.;Carrasco,Ruben D.;Lazo,Suzan (March 2017).”Class IIa HDAC inhibition reduces breast tumours and metastases through anti-tumour macrophages”.Nature.543(7645):428-432を参照されたい。
【0216】
いくつかの実施形態では、治療されているがんは、白血球(T細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球)の腫瘍微小環境への浸潤、またはいわゆる「熱い腫瘍(hot
tumor)」もしくは「炎症性腫瘍」により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、治療されているがんは、腫瘍微小環境への低レベルもしくは検出不可能なレベルの白血球浸潤、またはいわゆる「冷たい腫瘍(cold tumor)」もしくは「非炎症性腫瘍」により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、組成物は、「冷たい腫瘍」を「熱い腫瘍」に変換するのに十分な量及び時間投与され、すなわち、該投与は、白血球(T細胞のような)の腫瘍微小環境への浸潤を生じる。
【0217】
いくつかの実施形態では、組成物は、細胞外小胞と、M2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を促進する成分、ならびにチェックポイント遮断阻害剤、例えば、CTLA-4を標的とするイピリムマブ、PD-1を標的とするニボルマブ、セミプリマブ及びペムブロリズマブ、各々がPD-L1を標的とするアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びペキシダルチニブ、PLX7486、ARRY-382、JNJ-40346527、BLZ945、エマクツズマブ、AMG820、IMC-CS4及びカビラリズマブのようなCSFR-1の阻害剤のような免疫応答を追加的に増強する成分を含む、2つ以上の免疫調節成分の組み合わせと、を含む。がんを有する対象に対する治療としてのこれらの組成物の投与は、免疫応答を更に上方制御し、免疫調節成分の組み合わされた作用を通じて対象の免疫系の腫瘍標的化を増強できる。
【0218】
いくつかの実施形態では、追加的な免疫調節成分は、CTLA-4、PD-1、PD-L1、またはCSF1-Rを標的とする抗体または活性断片である。実施形態では、抗体またはその活性断片は、イピリムマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、ニボルマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、セミプリマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、ペムブロリズマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、アテゾリズマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、アベルマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、デュルバルマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、ペキシダルチニブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、PLX7486のCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、ARRY-382のCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、JNJ-40346527のCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、BLZ945のCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、エマクツズマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、AMG820のCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、IMC-CS4のCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。実施形態では、抗体またはその活性断片は、カビラリズマブのCDRに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるCDRを含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞及び免疫調節成分を含む組成物は、がんワクチンとして対象に投与される。これらの実施形態のいくつかでは、組成物は、個別化されたがんワクチンとして対象に投与される。いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、腫瘍抗原または腫瘍抗原に由来するペプチドである。好適な腫瘍抗原の例は、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、ムチン1(MUC1)、Tn-MUC1、ムチン16(MUC16)、チロシナーゼ、黒色腫関連抗原(MAGE)、腫瘍タンパク質p53(p53)、CD4、CD8、CD45、CD80、CD86、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、NY-ESO-1、PSMA、TAG-72、HER2、GD2、cMET、EGFR、メソセリン、VEGFR、アルファ葉酸受容体、CE7R、IL-3、がん精巣抗原、MART-1 gp100、及びTNF関連アポトーシス誘導性リガンドを含む。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、参照ゲノム配列に由来する。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、組成物を受容する対象のゲノム配列に由来する。
【0220】
組成物で治療され得るがんは、表5に列挙されるがんを含むが、これらに限定されない。
【0221】
マクロファージにおける遺伝子発現、転写ネットワーク及び分極を調節する方法
いくつかの実施形態は、対象に1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞を投与することを含む、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する方法を提供し、免疫調節成分は遺伝子に標的化され、調節は遺伝子に標的とされた等モル量の遊離免疫調節成分の投与により産生される調節以上である。また、対象に1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞を投与することを含む、マクロファージにおける遺伝子発現を阻害する方法が提供され、免疫調節成分は遺伝子に標的とされ、阻害は遺伝子に標的化された等モル量の遊離免疫調節成分の投与により生み出される阻害以上である。いくつかの実施形態は、対象に1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞を投与することを含む、マクロファージにおける遺伝子の下流標的を抑制する方法を提供し、免疫調節成分は遺伝子に標的とされ、抑制は遺伝子に標的化された等モル量の遊離免疫調節成分の投与により生み出される抑制以上である。いくつかの実施形態は、対象に1つ以上の免疫調節成分(複数可)を含む細胞外小胞を投与することを含む、マクロファージの集団の分極を変更する方法を提供し、免疫調節成分は遺伝子に標的とされ、分極の変更は遺伝子に標的化された等モル量の遊離免疫調節成分の投与により生み出される分極の変更以上である。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、エキソソームである。いくつかの実施形態では、免疫調節成分は、ASOである。いくつかの実施形態では、分極の変更は、M2表現型からM1表現型への変化である。
【0222】
線維化状態を治療する方法
また、マクロファージをM2表現型からM1表現型に再分極させる免疫調節成分を含むエキソソームを含む有効量の組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象における線維化状態を治療する方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、線維化状態は、肺線維症、肝線維症、または膵線維症である。ある特定の実施形態では、肝線維症は、非アルコール性脂肪性肝炎、またはNASHである。例えば、Mayo Clinic Staff.”Definition[of pulmonary fibrosis]”.Mayo Foundation for Medical Education and Research.Archived from the original on 15 July 2014.Retrieved 26 July
2014,available from the world wide at webmayoclinic.org/diseases-conditions/pulmonary-fibrosis/symptoms-causes/syc-20353690、Ferri FF.Idiopathic pulmonary fibrosis.In:Ferri’s Clinical Advisor 2016.Philadelphia,Pa.:Mosby Elsevier;2016、Gross TJ,Hunninghake GW(2001)”Idiopathic pulmonary fibrosis”.N Engl J Med.345(7):517-525、Friedman LS(2014)Current medical diagnosis and treatment 2014.[S.l.]:Mcgraw-Hill.pp.Chapter 16.Liver,Biliary Tract,& Pancreas Disorders、Chalasani N,Younossi Z,Lavine JE,Charlton M,Cusi K,Rinella M,Harrison SA,Brunt EM,Sanyal AJ(January 2018).”The diagnosis and management of nonalcoholic fatty liver disease:Practice guidance from the American Association for the Study of Liver Diseases”.Hepatology.67(1):328-357、Xue J,Sharma V,Hsieh MH,Chawla A,Murali R,Pandol SJ,Habtezion A.Nat Commun.2015 May 18;6:7158を参照されたい。
【0223】
投与の機序
いくつかの実施形態では、組成物は、対象の循環系に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、好適な液体に注入され、対象の静脈中に投与される。
【0224】
いくつかの実施形態では、組成物は、対象の循環系に動脈内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、好適な液体に注入され、対象の動脈中に投与される。
【0225】
いくつかの実施形態では、組成物は、くも膜下腔内投与によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物が脳脊髄液(CSF)に到達するように、脊柱管またはくも膜下腔への注射を介して投与される。
【0226】
いくつかの実施形態では、組成物は、鼻腔内投与によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、局所投与または全身投与のいずれかの形態で、鼻を通して通気され得る。ある特定の実施形態では、組成物は、点鼻薬として投与される。
【0227】
いくつかの実施形態では、組成物は、腹腔内投与によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、好適な液体に注入され、対象の腹膜中に投与される。いくつかの実施形態では、該腹腔内投与は、リンパ管への組成物(例えば、組成物中の細胞外小胞)の分布を生じる。いくつかの実施形態では、該腹腔内投与は、胸腺、脾臓、及び/または骨髄への組成物(例えば、組成物中の細胞外小胞)の分布を生じる。いくつかの実施形態では、該腹腔内投与は、1つ以上のリンパ節への組成物(例えば、組成物中の細胞外小胞)の分布を生じる。いくつかの実施形態では、該腹腔内投与は、頸部リンパ節、鼠径部リンパ節、縦隔リンパ節、胸骨リンパ節のうちの1つ以上への組成物(例えば、組成物中の細胞外小胞)の分布を生じる。いくつかの実施形態では、該腹腔内投与は、膵臓への組成物(例えば、組成物中の細胞外小胞)の分布を生じる。
【0228】
いくつかの実施形態では、組成物は、眼球周囲投与によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、眼球周囲組織に注射される。眼球周囲薬物投与は、結膜下、前テノン嚢下、後テノン嚢下、及び眼球後投与の経路を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、組成物は、複数の投与経路によって同じ対象に投与される。いくつかの実施形態では、該複数の投与経路は、静脈内投与、動脈内投与、くも膜下腔内投与、鼻腔内投与、腹腔内投与、及び/または眼球周囲投与を含む。好ましい実施形態では、該複数の投与経路は、静脈内投与及び腹腔内投与を含む。
【0230】
ある特定の実施形態では、細胞外小胞の投与量は、1ng~10ng、10ng~100ng、100ng~1μg、1μg~5μg、5μg~10μg、10μg~50μg、50μg~75μg、75μg~100μg、100μg~150μg、150μg~200μg、200μg~300μg、300μg~500μg、500μg~1mg、または1mg~10mgである。
【0231】
組成物は、対象に一度投与され得る。代替的には、複数の投与は、一定期間にわたって実施され得る。例えば、2、3、4、5、またはそれ以上の投与が、対象に与えられ得る。いくつかの実施形態では、投与は、例えば、疾患、障害または状態に関連する症状に対する限り、必要に応じて与えられ得る。いくつかの実施形態では、反復投与は、対象の生涯にわたって示され得る。治療期間は、変動でき、例えば、1年以内、6か月、3か月、2か月、1か月、2週間、1週間、3日、2日、または1日以内であり得る。
【0232】
ある特定の実施形態では、細胞外小胞の用量は、1日1回、1日おき、週1回、週2回、月1回または月2回のような間隔で投与される。
【0233】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、標的細胞または組織中の免疫調節成分の濃度を、疾患、障害または状態の症状に関連するレベルを超えて効果的に増加させるのに十分な頻度で投与される。
【0234】
いくつかの実施形態では、組成物は、疾患、障害または状態が治療されるか、またはその症状が改善されるように、治療期間にわたって少なくとも2回投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、疾患、障害または状態が治療されるか、またはその症状が防止されるように、治療期間にわたって少なくとも2回投与される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、十分な量の免疫調節成分が治療期間中に標的細胞または組織に送達されるように、治療期間にわたって十分な回数投与される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、疾患、障害または状態の1つ以上の症状が防止、減少、改善、または遅延されるように、十分な量の免疫調節成分が治療期間中に標的細胞または組織に送達されるように、治療期間にわたって十分な回数投与される。いくつかの実施形態では、標的細胞または組織における免疫調節成分濃度を増加させることは、ピーク濃度を増加させることを含むが、他の実施形態では、それは、平均濃度を増加させることを含む。いくつかの実施形態では、治療期間中の実質的な増加は、対象における治療前または治療後期間を比較することによって、または治療を受けている集団で行われた測定を対応する未治療の対照集団と比較することによって決定され得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、標的細胞または組織における免疫調節成分の濃度が少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月または6ヶ月以上の間増加するように、治療期間あたり十分な回数投与される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、標的細胞または組織における免疫調節成分の濃度が少なくとも治療期間の間増加するように、治療期間あたり十分な回数投与される。
【0236】
いくつかの実施形態では、治療期間内の反復投与間の時間間隔は、循環中の細胞外小胞の数が、投与された薬学的組成物中に存在する細胞外小胞の数の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%未満に低下する期間以下である。
【0237】
いくつかの実施形態では、治療方法は、治療薬を保持する好適な治療用量の細胞外小胞の注射前に、1つまたは複数の用量の非治療用細胞外小胞を更に含む。ある特定の実施形態では、非治療用細胞外小胞は、治療用細胞外小胞とは別個に、異なる投与量で投与される。ある特定の実施形態では、非治療用細胞外小胞の投与量は、治療用細胞外小胞の投与量より大きい。ある特定の他の実施形態では、非治療用細胞外小胞の投与量は、治療用細胞外小胞の投与量よりも小さい。ある特定の実施形態では、非治療用細胞外小胞の投与量は、治療用細胞外小胞と同じである。様々な実施形態では、好適な用量の治療用細胞外小胞の注射前の非治療用細胞外小胞の方法は、肝臓、肺、及び/または脾臓における治療用細胞外小胞の更新を低下させる。全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、共有のPCT出願PCT/US2017/047794を参照されたい。
【0238】
有効量の組成物は、少なくとも部分的に、標的組織、標的細胞型、投与の手段、細胞外小胞の物理的特徴(例えば、サイズ、及びいくつかの場合では、送達される分子の程度)及び他の決定要因に基づいて提供される。一般に、有効量の組成物は、標的細胞の効率的な細胞応答を提供する。増加した効率は、増加した細胞トランスフェクション(すなわち、細胞外小胞成分でトランスフェクトされた細胞の割合)、増加した細胞応答、または宿主対象の低下した自然免疫応答によって実証され得る。
【0239】
細胞外小胞及びその薬学的組成物の投与の用量及び頻度は、例えば、疾患の重症度、患者の年齢、性別及び食事、任意の炎症の重症度、投与時間ならびに他の臨床的因子のような様々な因子に基づいて主治医によって決定され得る。例において、静脈内投与は最小に有効である用量で開始され、用量は正の効果が観察されるまで、予め選択された時間経過にわたって増加される。その後、用量の漸増は、現れ得るすべての有害作用を考慮しながら、効果の対応する増加を生み出すレベルに限定して行われる。
【0240】
追加的な実施形態
他の態様及び実施形態は、以下の付番された項目で提供される。
1. 少なくとも1つの遺伝子を阻害し、それによってM2表現型からM1表現型へのマクロファージ分極を増加させる1つ以上の核酸分子を含む細胞外小胞。
2. 細胞外小胞がエキソソームである、実施形態1に記載の細胞外小胞。
3. 核酸が阻害性RNAである、実施形態1または2に記載の細胞外小胞。
4. 阻害性RNAが、アンチセンスRNA、siRNA、ShRNAを、miRNA、lncRNAまたはpre-miRNAである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の細胞外小胞。
5. 少なくとも1つの遺伝子が以下からなる群から選択される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の細胞外小胞:
KRAS、HRAS、NRAS、HIF1-アルファ、HIF1-ベータ、Sp1、P300、LKB1、AMPK、STAT3、STAT6、n-MYC、及びc-MYC、HCAR1、A2AB、IDO、TDO、アルギナーゼ、グルタミナーゼ、及びPKM2。6. 遺伝子がKRASである、実施形態5に記載の細胞外小胞。
7. 核酸が野生型ヒトKRASを標的とする阻害性RNAである、実施形態6に記載の細胞外小胞。
8. 阻害性RNAがマウスKrasG12Dも標的とする、実施形態7に記載の細胞外小胞。
9. マクロファージが腫瘍常在マクロファージである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の細胞外小胞。
10. 腫瘍が膵腫瘍である、実施形態9に記載の細胞外小胞。
11. 追加的な免疫調節成分を更に含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の細胞外小胞。
12. 追加的な免疫調節成分が、小分子薬物、抗体または治療用タンパク質である、実施形態11に記載の細胞外小胞。
13. 抗体が免疫チェックポイント阻害剤である、実施形態12に記載の細胞外小胞。14. 実施形態1~13のいずれか1つに記載の細胞外小胞を含む、薬学的組成物。
15. それを必要とする患者において疾患を治療する方法であって、実施形態1~13のいずれか1つに記載の細胞外小胞または実施形態14に記載の薬学的組成物を患者に投与し、それによって患者における疾患を治療することを含む、方法。
16. 疾患ががんである、実施形態15に記載の方法。
17. 患者がヒトである、実施形態15または16に記載の方法。
18. 核酸ががん原遺伝子を標的とする阻害性RNAである、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19. がん原遺伝子がヒトKRASである、実施形態18に記載の方法。
20. がんが膵癌である、実施形態19に記載の方法。
21. 少なくとも第2の療法を実行することを更に含む、実施形態15~20のいずれか1つに記載の方法。
22. 第2の療法が、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、または免疫療法を含む、実施形態21に記載の方法。
23. M2マクロファージが、M2a、M2b、及びM2cマクロファージからなる群から選択される腫瘍関連マクロファージである、上記の実施形態のいずれか1つに記載の細胞外小胞。
24. M1マクロファージが、分極前のM2マクロファージと比較して、INFγ、IL-12、IL-23、TNFα、IL-6、IL-1、CSCL9、CXCL10及びCXCL11からなる群から選択される炎症性サイトカイン及びケモカインの増加した分泌を呈する、上記の実施形態のいずれか1つに記載の細胞外小胞。
25. M1マクロファージが、分極前のM2マクロファージと比較して、IL-10、TGFβ、PGE、CCL2、CCL17、CCL18、CCL22及びCCL24からなる群から選択される免疫抑制性サイトカイン及びケモカインの減少した分泌を呈する、上記の実施形態のいずれか1つに記載の細胞外小胞。
26. M1マクロファージが、分極前のM2マクロファージと比較して、増加した腫瘍関連抗原を発現する、上記の実施形態のいずれか1つに記載の細胞外小胞。
27. M1マクロファージが、分極前のM2マクロファージと比較して、CD8T細胞及び/またはナチュラルキラー細胞の刺激を増加させる、上記の実施形態のいずれか1つに記載の細胞外小胞。
28. ヒト野生型KRASを標的とする阻害性RNAを含む細胞外小胞を対象に投与することを含む、対象における膵癌を治療する方法であって、治療が、腫瘍常在マクロファージのM2表現型からM1表現型への分極の割合を、ヒトKRASG12Dを標的とする阻害性RNAで治療された患者において観察されるものよりも高いレベルに増加させる、方法。
【実施例0241】
実施例
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように作製および使用するかの完全なる開示および説明を提供するように提示され、本発明者が自身の発明とみなすものの範囲を限定するようには意図されておらず、以下の実験がすべてまたは唯一の実行される実験であると表すようにも意図されていない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関する正確さを確保する努力がなされているが、いくつかの実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別途示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏温度であり、圧力は、大気圧であるか、またはそれに近い。例えば、bp、塩基対(複数可);kb、キロベース(複数可);pl、ピコリットル(複数可);sまたはsec、秒(複数可);min、分(複数可);hまたはhr、時間(複数可);aa、アミノ酸(複数可);nt、ヌクレオチド等の、標準的な略語が使用され得る。
【0242】
本発明の実施は、別段の指示がない限り、当該技術分野内の、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技法及び薬理学の従来の方法を採用する。かかる技術は、文献において完全に説明される。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)、A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)、Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,21th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,2005)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照されたい。
【0243】
実施例1:M2マクロファージにおける転写因子のノックダウン
方法:
PBMCからの単球分離:
・ 50mlのバフィーコートを入手した
・ 15mlのフィコールを、50mlのSTEMCELL SepMateチューブにピペットで移した
・ バフィーコートを、最終容量が約250mLであるようにPBS 2mM EDTAに希釈した
・ 希釈したバフィーコート試料を、チューブの最終容量が約45~50mlになるまでSepmateチューブ中に注いだ
・ ブレーキを1にして、チューブを1000gで15分間遠心した
・ 回転させたチューブから血漿を吸引し、バフィーコート層を50mlのコニカルチューブへのピペットエイド(pipetaid)を用いて回収した。チューブを、PBS/EDTAで満たし、細胞をペレット化するために500gで3分間遠心分離した。
・ 赤血球が大いに存在する場合、細胞を10mlのACK溶解緩衝液(ThermoFisher、カタログ番号A1049201)に再懸濁させ、室温で3分間インキュベートした(製造業者のプロトコル)。チューブを、PBS/EDTAで満たし、500gで3分間遠心分離した。
・ チューブを400xgで5分間遠心沈殿させ、ペレットをPBS EDTAでもう一度洗浄し、再ペレット化した
・ ペレットをRoboSep緩衝液(STEMCELL、カタログ番号20104)に再懸濁させ、細胞をトリパンブルー(Thermofisher)との1:1希釈を使用して計数した(約5億のPBMCが1つのバフィーコートから得られた)
・ CD14+単球を、製造業者のプロトコルに従って、EasySep Human Monocyte Enrichment Kit(STEMCELL、カタログ番号19059RF)を使用して単離した(全細胞のうち約10%を単球として単離した)
・ 500万個の単球を、RPMI 10%FBS 1%抗抗+40ng/mlのM-CSFの1つのプレートに播種した
マクロファージ分化及び分極:
(https://www.atsjournals.org/doi/full/10.1165/rcmb.2015-0012OCから翻案した)
・ 播種した細胞を、5%のCO2、37℃で5~6日間、RPMI-1640 10%FBS 1%抗抗1%PenStrep+40ng/mlのM-CSF(Biolegend)において培養した。5mlの同じ新鮮な培地を、播種後1日目と3日目に添加した。5日目に、極性化サイトカインを以下のように添加した(40ng/mlのMSCF、全てのサイトカインは20ng/mlで添加された):
・ M0:サイトカインなし
・ M2a:IL-4
・ M2c:IL-10
・ M2++:Il4、Il10、TGFb
・ M1:IFN-g+LPS(100ng/ml)
・ TAM:75%Panc-1上清
・ 細胞をサイトカインと共に24時間インキュベートした
・ 6日目に、培地を吸引し、細胞をPBSで洗浄し、次いで10mlのPBS 5mM
EDTA(氷冷)を、プレートごとに加え、4℃で30分間インキュベートした。
・ 細胞を、穏やかにプレートからこすり落とし、計数した。
・ 次いで、ウェルあたり50,000個の細胞を、24時間異なるマクロファージ集団(上記を参照)に対するそれぞれのサイトカインを用いて、RPMI-1640 10%FBS 1%抗抗1%PenStrep+40ng/mlのM-CSF(Biolegend)の96ウェルプレートに播種し、その後、処理を開始した。
【0244】
エキソソーム精製:
エキソソームを、9日後にHEK293 SF細胞の高密度懸濁培養物の上清から回収した。上清を、濾過し、陰イオン交換クロマトグラフィーにより分画し、塩化ナトリウムの段階勾配で溶出した。最も高いタンパク質濃度を有するピーク画分は、エキソソーム及び汚染細胞成分が含有した。ピーク画分を、単離し、超遠心分離によるOptiprep(商標)(60%イオジキサノールw/v)密度勾配上で更に分画した。
【0245】
エキソソーム画分を、4°Cで3時間133,900xgでのSW 32 Tiローター用の38.5mLのUltra-Clear(344058)チューブにおける超遠心分離により、濃縮した。ペレット化した材料を、1mLのPBS及び3mLのOptiprep(商標)に再懸濁させ、最終イオジキサノール濃度を45%にした。Optiprep(商標)勾配については、4層滅菌勾配を、再懸濁された材料を含有する4mLの45%イオジキサノール、3mLの30%イオジキサノール、2mLの22.5%イオジキサノール、2mLの17.5%イオジキサノール、及び1mLのPBSを、SW 41 Tiローター用の12mLのUltra-Clear(344059)チューブで調製した。Optiprep(商標)を、4℃で16時間150,000xgで超遠心分離して、エキソソーム画分を分離した。超遠心分離は、エキソソームを含有することが知られている上層画分と、中程度の密度の細胞破片を含有する中層画分と、高密度の凝集体及び細胞破片を含有する下層画分を生じた。次いで、エキソソーム層を、チューブの上層約3mLから穏やかに回収した。
【0246】
エキソソーム画分を、38.5mLのUltra-Clear(344058)チューブにおいて約32mLのPBSに希釈し、4℃で3時間133,900xgで超遠心分離して、精製されたエキソソームをペレット化した。次いで、ペレット化したエキソソームを、最小量のPBS(約200μL)に再懸濁し、4℃で保存した。
【0247】
多くの固形腫瘍は、代替的に活性化された、またはM2表現型を有するものとして特徴付けられる腫瘍関連マクロファージを多くの場合含む、骨髄リッチな細胞浸潤により特徴付けられる。M2マクロファージは、代謝酵素アルギナーゼ(Arg1)の発現を促進する高レベルのリン酸化STAT3及びSTAT6を発現する。重要なM2遺伝子のノックダウンがインビトロ分化したマクロファージのM2表現型を変更することを実証するために、マウスRAW264.7マクロファージを、上記のようにM2状態に分極した。培養された分極マクロファージを、STAT3、STAT6、CEBPβ-1、CEBPβ-2、Pi3Kγ、またはKRAS(12.5nM、25nM、50nM、及び100nM)を標的とする増加する量のsiRNAでトランスフェクトした。遺伝子の各々は用量依存的様式で抑制され(図1)、各M2遺伝子のノックダウンによりArg1の同時低下をもたらし(図2)、M2表現型が上流の制御因子の発現を低下させることにより変更され得ることを実証した。
【0248】
実施例2:マクロファージサブタイプによる志差的エキソソーム取り込み
マクロファージサブタイプは、代謝及び他の表現型活性の変更により特徴付けられる。ある特定のマクロファージサブタイプがエキソソームを優先的に取り込むかどうかを理解するために、6つのマクロファージ亜集団(M0、M1、M2a、M2c、M2++、及びTAM)を、ルーメンGFPを発現するように操作されたHEK293SF由来の増加するレベルのエキソソームと共にインキュベートした。エキソソーム取り込みを、IncuCyte(登録商標)生細胞分析システム(Essen Bioscience)において36時間にわたって全細胞GFP強度を測定することにより決定した。図3に示されるように、全てのマクロファージサブタイプがエキソソームの取り込みを示したが、M0マクロファージはエキソソームの取り込みに最も効率が悪かった一方で、M2++マクロファージは、他のマクロファージのサブタイプと比較して、エキソソームの取り込みにおいて実質的により効率的であった。
【0249】
M2マクロファージはエキソソームの取り込みに効率的であるため、ASO負荷されたエキソソームが、細胞間マクロファージ標的を標的とするのにASO単体より効率的(例えば、標的遺伝子及び遺伝子のシグナル伝達経路内の下流エフェクター分子の発現をノックダウンするのにより効率的)であろうかどうかについて調査した。STAT3を標的化し、Cy5蛍光トレーサー及び5’コレステロールリンカーを輸送する2’-メトキシエチル(MOE)一本鎖DNA/RNA ASOを、生成した。HEK293SFエキソソームをコレステロールタグ付き蛍光ASOと混合し、遊離ASOを超遠心分離及びASOを含有する上清の除去によって除去した。M2及びM0マクロファージを、同等の密度で播種し、総蛍光強度で測定される、一致した濃度の遊離ASOまたはASO負荷されたエキソソーム(Exo-ASO)と共にインキュベートした。総細胞蛍光を、48時間にわたって測定し、IncuCyte(登録商標)生細胞分析システムを使用して定量した。図4に示されるように、M2マクロファージは、M0マクロファージと比較して、遊離ASO及びExo-ASOの両方をより容易に取り込んだ。興味深いことに、Exo-ASOはM0及びM2マクロファージの両方によってより効率的に取り込まれ、M2マクロファージへのASOの送達がエキソソームへ負荷することによって強化され得ることを示唆している。
【0250】
エキソソームまたはExo-ASOが、インビボで他の細胞型と比較される場合、マクロファージによって示差的に取り込まれるかどうかを決定するために、ナイーブマウスに、1x1011または1x1012のいずれかのGFP含有エキソソームを腹腔内投与した。注射後1時間で、総腹膜細胞を単離し、異なる免疫細胞サブセット、すなわち、B細胞、樹状細胞、好中球、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、及びマクロファージ間のGFP陽性をフローサイトメトリーによって特徴付けた。図5Aに示されるように、両方の用量で、マクロファージは、蛍光エキソソームを取り込む主要な細胞型であった。この差異が疾患設定(disease setting)で発生したかどうかを決定するために、B16F10担腫瘍マウスに、単回用量のCy5標識Exo-ASOまたは天然の非標識エキソソームを注射した。注射された腫瘍を、単離し、解離し、フローサイトメトリーで測定した。図5Bに示されるように、マクロファージは腫瘍細胞よりもはるかに容易にExo-ASOを取り込み(全体的なCy5信号より約100倍大きい)、Exo-ASOの送達がいくつかの複雑な細胞混合物におけるマクロファージ集団に到達できることを示唆している。更に、マクロファージによるExo-ASOの優先的な取り込みは、他の試験された細胞型(B細胞、樹状細胞、好中球、ナチュラルキラー(NK)細胞及びT細胞)と比較して、Exo-ASO組成物を対象に投与することを含む、マクロファージ細胞に標的とされたASO送達の方法を可能にし、投与された組成物は、対象に存在するマクロファージによって優先的に取り込まれる(他の免疫細胞サブセット、例えば、B細胞、樹状細胞、好中球、ナチュラルキラー(NK)細胞及びT細胞による取り込みと比較して)。Exo-ASO組成物のこの増強されたマクロファージ特異性は、標的外細胞における影響を低下することにより、投与された組成物の安全性を改善する。
【0251】
実施例3:アンチセンスオリゴのエキソソーム媒介性送達はマクロファージ転写ネットワークを強力に制御不全にして分極を変更する
以前の実験は、ASOのエキソソーム媒介性送達がマクロファージ遺伝子発現パターンを変更する効果的な方法であり得ることを示唆する。上記の方法に従って精製されたHEK293SF由来のエキソソームを、STAT3を標的とする5つの異なるコレステロールタグ付きASOで負荷した(4.1、二本鎖MOEケミストリー;5.1及び5.2、一本鎖O-メチルケミストリー;5.3及び5.4、一本鎖MOEケミストリー)。ASO配列は、表0に示される。M2分極マウスRAW264.7細胞を、5μMの遊離コレステロールタグ付きASO、またはコレステロールタグ付きASOで負荷された1×10もしくは1×10エキソソームのいずれかと共にインキュベートした。STAT3転写産物レベルを処理後24時間で測定し、遊離ASOと比較して、Exo-ASO処理によるSTAT3の同等または優れたノックダウンを明らかにした。分極マクロファージと共にインキュベートされた未修飾のエキソソームは、STAT3発現に影響を与えなかった(図6)。STAT3の下流標的を検討するために、ARG1転写産物レベルを、処理後48時間で測定した。図7に示されるように、遊離ASOまたはExo-ASOをもちいたSTAT3ノックダウンは、場合によっては90%以上超のArg1の頑健な抑制をもたらした(図7)。M2分極RAW264.7細胞を、STAT3、KRAS、及びC/EBPβに対する高(4μM)及び低(0.4μM)ASOまたはExo-ASOと共にインキュベートした。図8A図8Cに示されるように、Exo-ASO試料は、全ての試験された用量で同等(STAT3)またはより強力(KRAS、C/EBPβ)であった(図8A図8C)。ASO配列が、表0に示される。
【0252】
この結果は、Exo-ASOが、マクロファージ発現ネットワークの強力な調節因子であり、様々な治療用途についての遊離ASOの投与と比較して、優れた分化したモダリティを提供できることを実証する。対象にExo-ASOを投与することを含む、マクロファージにおける遺伝子発現を調節する1つのかかる方法であって、該ASOは遺伝子に標的化され、調節は遺伝子に標的とされた等モル量の遊離ASOの投与により生み出される調節以上である、方法。別の実施形態は、対象にExo-ASOを投与することを含む、マクロファージにおける遺伝子発現を阻害する方法を含み、該ASOは遺伝子に標的化され、阻害は遺伝子に標的とされた等モル量の遊離ASOの投与により産生される阻害以上である。別の実施形態は、対象にExo-ASOを投与することを含む、マクロファージにおける遺伝子の下流標的を抑制する方法を含み、該ASOは遺伝子に標的化され、抑制は遺伝子に標的とされた等モル量の遊離ASOの投与により産生される抑制以上である。更に別の実施形態は、対象にExo-ASOを投与することを含む、マクロファージの集団の分極を変更する方法を含み、該ASOはマクロファージにおける遺伝子発現に標的化され、分極の変更は遺伝子に標的とされた等モル量の遊離ASOの投与により産生される分極の変更以上である。かかる実施形態では、分極の変更は、M2表現型からM1表現型への変化であり得る。
【0253】
ヒト細胞におけるExo-ASOの役割を試験するために、初代ヒトマクロファージを、M2表現型に分極させ、異なる用量の遊離STAT3 ASOまたはSTAT3 Exo-ASOで処理した。3人の別個のヒトドナーからのマクロファージを使用すると、Exo-ASOは、処理後24時間でのSTAT3転写産物レベルを抑制するのに一貫してより強力であった(図9A)。M2分極の下流ヒトマーカーであるCD163も、遊離ASOと比較して、Exo-ASOにより劇的により調節された(図9B)。ヒトM2マクロファージも、HIF1α、Pi3Kγ、CEBP/β、STAT6、及びSTAT3に対する4μMの遊離ASOまたはExo-ASOを用いて処理した。図10に示されるように、全ての処理群は標的遺伝子の抑制を生じたが、全ての場合でExo-ASOは遊離ASO処理よりも強力であった。重要なことに、マクロファージ標的うちのいずれのExo-ASOノックダウンも、CD163発現の頑健な低下をもたらし(図11)、ASOのエキソソーム媒介性送達が重要なマクロファージシグナル伝達ネットワークを強力かつ再現可能に破壊することを実証した。
【0254】
M2マクロファージ分極の機能的結果は、腫瘍化促進性微小環境に寄与する炎症促進性サイトカインの減少である。したがって、マクロファージのM2表現型からM1表現型への変換は、増強された炎症促進性シグナル伝達を生じるはずである。M2マクロファージのM1状態への変換は、IL-12及びIL-23を含むサイトカインの誘導をもたらすLPSによって誘導される。STAT3はこのサイトカイン発現ネットワークのネガティブ制御因子であり、したがって、LPSの存在下でのSTAT3阻害が炎症促進性サイトカインの産生を更に増強できるかどうかを試験した。M2分極ヒトマクロファージを、4μMの遊離STAT3 ASO、4μMのSTAT3 Exo-ASO、4μMのスクランブルExo-ASO、ネイティブエキソソーム、またはSTAT3の小分子阻害剤であるC188-9で処理した。24時間後、培地を10ng/mlのLPSを含有する培地に交換し、上清を24時間後に単離した。図12に示されるように、LPSは、IL-12及びIL-23の分泌を誘導した(LPS 10ng/ml群対LPSなし群)。遊離STAT3 ASOでなくSTAT3 Exo-ASOを用いた処理は、各サイトカインの発現を更に増強し、Exo-ASOが関連する免疫調節シグナルに応答してM1表現型の促進を更に強力にもたらし得ることを示唆している。
【0255】
STAT3、STAT6、及び他のマクロファージ調節経路の制御不全は、遺伝子発現パターンに広範な変化をもたらす。Exo-ASO処理の分化したグローバルな影響を理解するために、NanoString mRNA分析が、定常状態での、ならびに未修飾のエキソソーム(EVのみ)及び濃度一致したASOとExo-ASOとを用いた処理に応答するヒトM2マクロファージに対して、行った。nCounter(登録商標)ヒト骨髄性先天性免疫パネルを使用する正規化されたmRNA計数は、STAT3転写物が遊離ASO及びExo-ASO処理の両方の後に低下したことを実証した(図13A)。下流マーカーCD163(図13D)、TGFβ(図13C)、及びSTAT6(図13D)は、ASO処理後に全て強力に下方制御された。
【0256】
TGFβ(<85%)の頑健な抑制は、M2マクロファージ分極の重要な制御因子である(Yang and Zhang Journal of Hematology &
Oncology(2017)10:58)。TGFβ発現に対するSTAT3、STAT6、及びCEBP/β Exo-ASO処理の影響を検討した。ヒトM2分極マクロファージを、STAT3(MOE及びLNAケミストリーの両方)、STAT6(MOEケミストリー)、ならびにCEBP/β(MOEケミストリー)に対してASOで負荷されたエキソソームを用いて処理した。全ての場合に、TGFβレベルは、マイクロモル未満レベルのASOでの処理後、劇的に低下した(図14)。これらの結果は、多数のマクロファージ分極制御因子に対するASOのエキソソーム媒介性送達が、多数のがんの治療に影響を与え得る細胞プログラムの頑健で安定した制御不全もたらし得ることを実証する。重要なことに、このプロセスの制御因子としてKRASの新規認識を含むマクロファージ標的の各々は、疾患及び他の細胞プロセスにおけるそれらの役割が十分に認識されているが、安全で効果的な治療が創薬の古典的アプローチを回避している点で、「新薬開発につながらない(undruggable)」標的として特徴付けられている。
【0257】
実施例4:野生型KRASの阻害は、膵癌の同所性マウスモデルにおいて、増加したマクロファージ分極及びインビボでの低下した腫瘍サイズをもたらす。
方法:
KRASエキソソームの産生及び単離:電気穿孔方法は、エキソソームを機能的に損傷することなく、KRAS siRNA構築物をエキソソーム中に挿入するために使用される。エキソソームは、確立された超遠心分離方法を使用して、化学的に定義された培地において成長したヒト胎児腎(HEK)293SF懸濁細胞から単離される(Kahlert et al.,2014)。エキソソームの純度及び均一性(直径80~150nmの粒子)は、Nanosight(商標)測定、透過型電子顕微鏡法、及びCD9イムノゴールド標識によって検証される。スクロース勾配超遠心分離及びqPCRも、KRAS
siRNAの存在及び存在量を検証するために実行される。エキソソームを含有するスクランブルsiRNAも、生成される。
【0258】
RNAi戦略。マウス野生型KRASに対し標的とされたKRAS siRNA配列は、サイレンシング効率を促進するTTヌクレオチドオーバーハングを含む。RNAiはまた、その送達を追跡するために、センス鎖の3’端でAlexa Fluor(登録商標)647フルオロフォアで標識される。
【0259】
マウス及び画像化法。4~6週齢の雌胸腺欠損nu/nuマウス(Charles Rivers)は、21~23℃及び湿度40%~60%で12時間の明暗サイクルで個別に換気されたケージに収容される。マウスは、照射された食餌及び滅菌水への自由なアクセスが可能である。全身麻酔下で、腫瘍化ヒト膵臓PANC-1(Krasasp12(Rejiba et al.,2007、Sun et al.,2001))細胞またはBXPC-3細胞(10、10μlのPBSに再懸濁された)は、27ゲージの注射器を使用して膵臓の尾部中に注射される。同所性腫瘍サイズ/体積分析については、Living Imageバージョン4.4(Caliper Life Sciences)は、全ての腫瘍計算を定量化するために使用される。膵臓及び腫瘍の周りの円形の関心領域(ROI)は、定義され、同じ実験群内の全ての画像を比較するための標準として設定される。加えて、全ての実験群の全ての測定について、曝露条件(時間、開口、ステージ位置、ビニング)が同一に保たれる。次いで、その後の腫瘍測定(p/sec/cm/sr)は、全ての実験群について同じ条件下で得られる。マウスは、定期的に画像化され、処理のためにランダムに群に分けられる。マウスは、1日おきに100μl容積のPBSで腹腔内に2×10エキソソームを投与される。エキソソームは、2μgのsiRNAで電気穿孔され、注射前にPBSで洗浄される。
【0260】
組織学、組織病理学、及び免疫組織化学。組織はホルマリンで固定され、パラフィン包埋のために処理される。5μmの厚さの組織切片は、切断され、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)ならびにMassonのトリクローム(MTS)(Leica)に対して染色される。組織病理学的スコア化のために、H&E染色されたスライドを、膵臓癌の形態学的段階:正常、膵臓上皮内新生物(PaNIN)及び膵管腺癌(PDAC)に基づいてスコア化した。各組織切片について、3つの段階(正常、PaNIN、PDAC)の各々の割合スコアは、膵臓組織学における専門家によって盲検様式で手動で得られ、次いで平均化されて各コホートについての100のうちの全体的なスコアを与える。次いで、これらの割合スコアの平均は、それぞれのコホートにおける各マウスについて取得される。腫瘍組織切片はまた、マクロファージに対して染色される(汎マクロファージマーカー(例えば、F4/80抗体及び/または腫瘍常在マクロファージの検出のためのM2及びM1特異的細胞マーカー)。
【0261】
マクロファージ表現型特徴付けのためのアッセイ。血液試料及び腫瘍試料は、マウスから回収される。マクロファージは、単離され、フローサイトメトリーによるM1及びM2マーカーの分析のために染色される。マクロファージは、M2表現型細胞表面マーカー(例えば、YM1、FIZZ1、デクチン-1及び/またはMGL)ならびにM1表現型細胞表面マーカーと同様に、汎マクロファージマーカーに対して染色される。次いで、M2及びM1マクロファージは、計数され、サイトカイン及び/またはM1及び/またはM2表現型のいずれかに関連するmiRNAのmiRNA発現を検出する定量PCRのような更なる分析のために選別される。
【0262】
異種移植実験及び同所性腫瘍体積分析からの結果は、KRAS野生型siRNAを含むエキソソームが膵腫瘍のサイズを効果的に低下させ、スクランブルsiRNAを保持するエキソソームと比較してM1表現型腫瘍関連マクロファージの数を増加させることを確認し、ヒト野生型KRASを標的とする阻害性RNAを含むエキソソームの投与ががんの治療に有効であることを示している。

【表0】
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0263】
本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定しない例示的な実施形態と見なされる代表的な例に関して記載されている。科学刊行物、専門書、教科書、特許出願、発行済み特許を含む、刊行物への全ての参照は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
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【外国語明細書】