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特開2024-166296薬物送達適用のためのポリマー賦形剤
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  • 特開-薬物送達適用のためのポリマー賦形剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166296
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】薬物送達適用のためのポリマー賦形剤
(51)【国際特許分類】
   C07K 2/00 20060101AFI20241121BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241121BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20241121BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C07K2/00
A61K47/34
A61K47/69
A61K9/10
A61P35/00
A61K31/337
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024154941
(22)【出願日】2024-09-09
(62)【分割の表示】P 2022542400の分割
【原出願日】2020-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】522275577
【氏名又は名称】ティンダル フォーミュレーション サービシーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エヌ. シル
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード ティー. サリバン
(57)【要約】
【課題】ポリ(サルコシン)ブロックおよびD、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックを含むマルチブロックコポリマー、およびその使用を提供すること。
【解決手段】本開示は、親水性ポリ(サルコシン)ブロック、およびD-アミノ酸とL-アミノ酸との混合物を含む疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックを含むマルチブロックコポリマーを対象とする。マルチブロックコポリマーは、対応するアミノ酸N-カルボキシ無水物の重合によって合成することができる。本明細書に記載されている通り、マルチブロックコポリマーは、疎水性分子の封入に有用であり、これによって、水溶液への分子の溶解度が増大する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、ポリマー化学の分野、より詳細には、マルチブロックポリ(アミノ酸)コポリマーおよびその使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
本開示の背景
ポリマー賦形剤は、薬学的に活性な成分(API)の製剤化に一般に利用される。これらのポリマーは、錠剤の溶解を補助するため、結合剤を提供するため、または経口用製剤の粘度を改変するために使用される。一部の場合、ポリマー賦形剤は、疎水性APIの水溶解度を増大させるために使用される。ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PGLA)およびシクロデキストリン(CD)は、疎水性APIの溶解度を改善するため、医薬品の開発に常套的に使用されるポリマー賦形剤の非限定例である。しかし、これらの公定賦形剤が疎水性薬物を適度に可溶化しない場合、選択肢がほとんど残されていない。そのような場合、APIは化学修飾されて、その水への溶解度を増大させることができる(例えば、プロドラッグ、またはポリマー薬物コンジュゲートなどの新規APIの創製)、この化合物は却下され得る、または新規な非公定賦形剤が開発され得る。多くの場合、これらの新規な賦形剤は、目的とするAPI用に設計された特別仕様となる。これは、学術研究グループによって開発された、特定のAPIを可溶化する多数の薬物送達技術によって証明される。新規な薬物製品は、商業的段階に進まない限り、一般の人は、このような溶解度を増大させる賦形剤の合成、毒性および有用性に関してほとんど知ることはない。
【0003】
したがって、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、幅広い範囲の疎水性APIを可溶化させる幅広い有用性を有するポリマー賦形剤を開発することが望ましいと思われる。そのような賦形剤は、アモルファス性のlogPが高い化合物(口語では、「グリースボール(grease ball)」と称される)、および高度に結晶性の疎水性API(口語では、「ブリックダスト(brick dust)」と称される)を封入する必要があると思われる。
【0004】
ポリマーミセルは、疎水性化合物を可溶化するための方法の1つとなる。ポリマーミセルは、両親媒性ブロックコポリマーのコア-シェルタイプ構造への熱力学的自己集合によって形成される(Yu, K. et al. Macromolecules 1996, 29(19), 6359; Roesler, A. et al. Adv. Drug Deliv. Rev. 2012, 64, 270を参照されたい)。水溶液中のポリマーミセルの場合、このポリマーの親水性ブロックはミセルのコロナを形成する一方、疎水性ブロックはコアを形成する。ミセル形成が、さらなる疎水性分子(例えば、疎水性薬物)の存在下で行われる場合、この疎水性化合物は、ポリマーミセルの疎水性コアに自発的に向かい、隔離される。疎水性薬物は、ポリマーミセルの親水性コロナによって水溶性にされる。このような特定の適用では、薬物は、物理的に捕捉されており、ポリマー鎖に化学的に結合していないことに留意すべきであることが重要である。
【0005】
薬物送達適用のための両親媒性ブロックコポリマーの大多数が、文献に報告されている(Kedar, U. et al. Nanomedicine 2010, 6(6), 714; Ahmad, Z. et al. RSC Adv. 2014, 33, 17028; Kataoka, K. et al. Adv. Drug Delivery Rev. 2001, 47(1), 113を参照されたい)。PEG-PGLA、PEG-PLA、PEG-ポリ(アミノ酸)、ポリ(アクリレート)-ブロック-ポリ(メタクリレート)およびそれらの誘導体は、ポリマーミセルをベースとする薬物送達適用に関して研究が行われてきたすべての共通するポリマーである。これらのポリマーの大部分は、親水性構成成分として、PEGの使用を含む。PEGは、非毒性の非免疫原性化合物と幅広くみなされており、食物、化粧品および医薬製品において数十年間、使用されてきた。しかし、最近の研究により、とりわけ静脈内製品に関すると、PEG含有物質に対して免疫原性反応がある恐れがあることが示され始めている(Garay, R. et al., Expert Opin. Drug Delivery, 2012, 1319-1323; Yang, Q. et al., Anal. Chem. 2016, 88(23), 11804-11812; Wenande, E. et al., Clin. Exp. Allergy, 2016, 46(7), 907-922.; Webster, R. Drug Metab. Dispos, 2007, 35(1), 9-16を参照されたい)。このようなPEG含有医薬製品は、注入に関する反応を生じる恐れもある(Browne, E.K. et al. J. Pediatr Oncolo. Nurs. 2018, 35(2), 103を参照されたい)。さらに、高純度の薬学的に許容されるPEG誘導体の製造は、酸化エチレンの極めて危険な重合を伴い、生成物中の微量不純物でさえ、その適用に有意な影響を及ぼす恐れがある(Vojkovsky, T. et al. Polymer, 2016, 105, 72-78; Sill, K. et al. Biomacromolecules 2017, 18(6), 1874-1884を参照されたい)。これによって、PEG含有医薬品の利用は高価になり、したがって、ある特定の適用の場合、法外な費用になる恐れがある。
薬物送達適用に一般に使用される他のポリマーは、アクリレートまたは他のビニルポリマーの化学に基づく。そのようなポリマーは、ビニルモノマーのアニオン重合またはラジカル重合によって調製される。多くの場合、アクリル酸ブチルなどのこれらのモノマーは、強力な感作剤である。さらに、これらのポリマーの主鎖は、炭素-炭素結合からもっぱら構成されているので、これらのポリマーは、生体適合性であるが、in vivoで分解しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Garay,R.ら、Expert Opin.Drug Delivery(2012)1319~1323
【非特許文献2】Yang,Q.ら、Anal.Chem.(2016)88(23)11804~11812
【非特許文献3】Wenande,E.ら、Clin.Exp.Allergy(2016)46(7)907~922
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の簡単な要約
本開示は、親水性ポリ(サルコシン)ブロック、およびD-アミノ酸とL-アミノ酸との混合物を含む疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックを含むマルチブロックコポリマーを対象とする。マルチブロックコポリマーは、対応するアミノ酸N-カルボキシ無水物の重合によって合成することができる。本明細書に記載されている通り、マルチブロックコポリマーは、疎水性分子の封入に有用であり、これによって、水溶液への分子の溶解度が増大する。本開示の組成物は、マルチブロックコポリマーおよび疎水性薬物を含む薬物製品を含む。そのような組成物は、非経口投与に一般に使用される希釈剤への前記疎水性薬物の溶解度を増大させる。同様に、本明細書に記載されている組成物または単位用量形態を調製する方法が、本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】5.0mg/kgとなる等価なパクリタキセル用量での、アブラキサンに対するTYN-21のラットの薬物動態プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のある特定の実施形態の詳細説明
1.一般説明:
本明細書に記載されている通り、本開示は、マルチブロックポリ(アミノ酸)コポリマーを対象とする。第1のブロックは、親水性ポリ(サルコシン)ブロックであり、第2のブロックは、D-アミノ酸およびL-アミノ酸の混合物を含む疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックである。そのようなコポリマーは、水溶液中でミセル構造へと自発的に自己集合し、親水性ポリ(サルコシン)ブロックはコロナを形成し、疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックはミセルのコアを形成する。このような集合の間に、疎水性分子(例えば、API、化合物、薬物または医薬活性剤)が存在する場合、この分子は、ミセルの疎水性部分に隔離され得る。これは、水溶液中での疎水性分子の溶解度を増大させる効果を有する。ポリ(サルコシン)ブロックのアミド主鎖は、シスおよびトランス立体配置の両方をとることができる一方、D-アミノ酸とL-アミノ酸の両方の混合物を含むポリ(アミノ酸)ブロックは、二次構造および三次構造の形成を妨害する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、これらの2つの特性は、一緒になって、回転の自由度が増大し、これによって、マルチブロックポリ(アミノ酸)コポリマーは、多数のコンフォメーションをとることが可能となり、これが、会合した疎水性分子が最低の可能なエネルギー状態を見出すよう促進すると考えられる。疎水性分子が疎水性薬物である場合、本開示の組成物は、Cremophor(登録商標)EL(ポリオキシエチル化ヒマシ油)などの、追加の可溶化剤を必要とすることなく、一般的な水性希釈剤(例えば、食塩水またはD5W)を使用する非経口投与に有用であることが理解されよう。当業者は、Cremophor ELは、気管支けいれん、低血圧、末梢神経障害およびアナフィラキシー反応を含めた、いくつかの注入に関連する副作用を引き起こすことが知られているので、これを必要としなくなるという利点があることを認識している。これらの副作用は、Cremophor ELをベースとするパクリタキセル製剤に対する過敏反応を軽減するために、HおよびHアンタゴニストによる事前投薬ならびに注入時間の長期化が必要となる(Authier, N. et al., Neurotox. Res. 2001, 3, 301-306; Gelderblom, H. et al., Eur. J. Cancer 2001, 37, 1590-1598; Brat, D. et al., Pharmacology Exp. Ther.1992, 261, 803-810; Windebank, A.J. et al., J. Pharmacology Exp. Ther.1994, 268, 1051-1056; Van Zuylen, L. et al., Investigational New Drugs, 2001, 19, 125-141を参照されたい)。Cremophor ELはまた、ポリ塩化ビニル(PVC)物質に由来する可塑剤であるDEHP(ジ(2-エチルヘキシル)フタレート)を抽出するので、標準的な静脈用チューブと適合しない。さらに、Cremophor ELを用いて製剤化した薬物(例えば、パクリタキセル)は、Cremophorのミセルに捕捉された状態になる恐れがあり、これは、非線形薬物動態をもたらす(Sparreboom, A. et al., Cancer Res, 1999, 59, 1454-1457を参照されたい)。
【0010】
一部の実施形態では、本開示のポリ(アミノ酸)コポリマーは、対応するアミノ酸N-カルボキシ無水物(NCA)の重合によって調製することができる。本開示のマルチブロックコポリマーは、サルコシンのNCA、次いでD-アミノ酸とL-アミノ酸のNCAの混合物の逐次重合によって調製することができる。一部の実施形態では、この重合は、単一溶媒中で行われ、最終コポリマーは、単一の抗溶媒(anti-solvent)による沈殿により単離される。溶媒および試薬は、「受領したとおり」で使用され、NCA重合に一般に使用される通り、精製するため、または空気および/もしくは水分を排除するためのさらなるステップ(例えば、Schlenk技法)をとらない(Aliferis, T. et al. Biomacromolecules 2004, 5(5), 1653.; Deming, T. J. et al. Nature 1997, 390(6658), 386; Kricheldorf, H.R. α-Amino acid-N-carboxy-anhydrides and related heterocycles: syntheses, properties, peptide synthesis, polymerization, Berlin, Springer-Verlag, 2011を参照されたい)。これは、最少数の溶媒を調達して、リリース試験の間に定量することしか必要としないので、とりわけ、製造管理および品質管理に関する基準(GMP)ガイダンス下での商業的規模でのポリ(アミノ酸)コポリマーの調製に関連する費用が最小限になることが理解されよう。
【0011】
2.定義:
以下が、本開示を説明するため、本明細書において使用される様々な用語の定義であり、本明細書において開示されている実施形態、部分実施形態および種によってさらに例示される。これらの定義は、個別に、またはより大きな群の一部としてのどちらかで、特定の場合において特に示されていない限り、本明細書全体を通じて使用される用語に適用される。
【0012】
本開示の目的のために、化学元素は、CRC Handbook of Chemistry and Physics, 100th Edの元素周期表に従って特定される。さらに、有機化学の一般原理は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている、Sorrell, T. Organic Chemistry, 2nd Ed., Sausalito, University Science Books, 2005;および Smith, M. B. March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 7th Ed., New York, J. John Wiley & Sons, 2001に記載されている。
【0013】
用語「約」は、量、時間的な期間などの測定可能な値に言及する場合、指定される値の±20%、または一部の例では±10%、または一部の例では±5%、または一部の例では±2%、または一部の例では±1%、または一部の例では±0.1%の変動を指し、このような変動は、本開示を行うために適切となる。
【0014】
用語「TFS-1」、「ポリ(サルコシン)175-ブロック-ポリ(d-ロイシン35-co-チロシン25)」、「PSar175-P(dLeu35/Tyr25)」、「ポリ[Sar175]-ブロック-ポリ-[D-Leu35-co-L-Tyr25]」、および以下の構造:
【化1】

を有するコポリマーは、すべて同じ化合物を表し、互換的に使用することができることが理解される。
【0015】
用語「TFS-2」、「ポリ(サルコシン)175-ブロック-ポリ(d-ロイシン30-co-チロシン20)」、「PSar175-P(dLeu30/Tyr20)」、「ポリ[Sar175]-ブロック-ポリ-[D-Leu30-co-L-Tyr20]」、および以下の構造:
【化2】

を有するコポリマーは、すべて同じ化合物を表し、互換的に使用することができることが理解される。
【0016】
用語「TFS-3」、「ポリ(サルコシン)235-ブロック-ポリ(d-フェニルアラニン10-co-チロシン30)」、「PSar235-P(dPhe10/Tyr30)」、「ポリ[Sar235]-ブロック-ポリ-[D-Phe10-co-L-Tyr30]」、および以下の構造:
【化3】

を有するコポリマーは、すべて同じ化合物を表し、互換的に使用することができることが理解される。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「ブロックコポリマー」とは、2つまたはそれより多くのポリ(アミノ酸)部分を含むポリマーを指す。本明細書に記載されている通り、アミノ酸ブロックの1つまたは複数は、「混合型ブロック」であってもよく、これらのブロックは、アミノ酸モノマーの混合物を含有することができ、これによって、本開示のブロックコポリマーが生成することを意味する。当業者は、モノマー繰り返し単位は、繰り返しモノマー単位の周りに図示されている丸括弧によって定義されることを認識している。丸括弧の右下にある数(または数値範囲を表す文字)は、ポリマー鎖中に存在するモノマー単位の数を表す。1種だけのモノマーがブロック(例えば、ホモポリマー)を表す場合では、このブロックは、丸括弧によって単に表される。混合型ブロックの場合、複数のモノマーが単一の連続ブロックを含む。角括弧は、一部分またはブロックを定義することが理解されよう。例えば、1つのブロックが、4つの個々のモノマーからなることができる場合、各々は、それら自体の個々の1組の丸括弧および存在する繰り返し単位の数によって規定される。4組の丸括弧がすべて、1組の角括弧によって囲まれ、これは、これらのモノマーの4つすべてが、混合型ブロックを含むランダムな、またはほぼランダムな順序で一緒になることを意味する。明確にするため、[BCADDCBADABCDABC]というランダムに混合したブロックは、[(A)(B)(C)(D)]による略記法で表される。
【0018】
本明細書で使用する場合、上記のモノマー繰り返し単位は、ポリマー鎖を含むモノマー単位の数平均を表す数値である。例えば、(A)10によって表されるポリマーは、10個の「A」モノマー単位が一緒に連結したものからなるポリマーに相当する。当業者は、この場合の数10は、平均が10となる数の分布を表すことを認識している。この分布の幅は、多分散指数(PDI)によって表される。1.0のPDIは、各鎖長が正確に同じであるポリマー(例えば、タンパク質)を表す。2.0のPDIは、鎖長がガウス分布を有するポリマーを表す。本開示のポリマーは、通常、1.20未満のPDIを有する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「マルチブロックコポリマー」または「コポリマー」とは、2個またはそれより多くのポリ(アミノ酸)ブロックを含むポリマーを指す。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「ポリ(アミノ酸)」または「アミノ酸ブロック」とは、各モノマーがアミノ酸単位である、共有結合により連結されているアミノ酸鎖を指す。そのようなアミノ酸単位は、天然および非天然アミノ酸を含む。そのようなポリ(アミノ酸)は、好適に保護された官能基を有するものを含む。例えば、アミノ酸モノマーは、ヒドロキシル部分またはアミノ部分を有してもよく、これらの部分は、適切な場合、ヒドロキシル保護基またはアミン保護基によって必要に応じて保護されている。本明細書で使用する場合、アミノ酸ブロックは、1個または複数のモノマー、または一組の2個もしくはそれより多くのモノマーを含む。ある特定の実施形態では、アミノ酸ブロックは、ブロック全体が親水性または疎水性となるよう、1つまたは複数のモノマーを含む。さらに他の実施形態では、本開示のアミノ酸ブロックは、アミノ酸残基の混合物を含むブロックを含めた、ランダムなアミノ酸ブロックを含む。例示的なポリ(アミノ酸)は、ポリ(D-ロイシン-co-チロシン)およびポリ(D-フェニルアラニン-co-チロシン)を含む。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「D、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロック」とは、ポリ(アミノ酸)が、D-およびL-立体配置の両方のアミノ酸の混合物からなる、ポリ(アミノ酸)ブロックを指す。ある特定の実施形態では、D、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックは疎水性である。他の実施形態では、D、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックは、D-立体配置の疎水性アミノ酸およびL-立体配置の親水性アミノ酸の側鎖基の混合物からなり、こうして、ポリ(アミノ酸)ブロック全体が疎水性となる。
【0022】
本明細書で使用する場合、句「天然アミノ酸」とは、タンパク質中に天然に存在する任意のアミノ酸、および自然界において天然に存在するものを指す。そのような天然アミノ酸は、非極性または疎水性アミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびプロリンを含む。システインは、時として、非極性または疎水性として分類されることもあれば、極性として分類されることもある。天然アミノ酸はまた、チロシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸(荷電している場合、アスパルテートとしても知られている)、グルタミン酸(荷電している場合、グルタメートとしても知られている)、アスパラギンおよびグルタミンなどの、極性または親水性アミノ酸を含む。ある特定の極性のまたは親水性のアミノ酸は荷電した側鎖を有する。そのような荷電しているアミノ酸には、リシン、アルギニンおよびヒスチジンが含まれる。当業者は、極性アミノ酸または親水性アミノ酸の側鎖の保護によって、アミノ酸を非極性にすることができることを認識している。例えば、好適に保護されたチロシンのヒドロキシル基は、ヒドロキシル基を保護することによって、そのようなチロシンを非極性および疎水性にすることができる。明確にするため、サルコシンは、自然界において天然に存在するアミノ酸である。
【0023】
本明細書で使用する場合、句「天然アミノ酸の側鎖基」とは、本明細書で定義されている、任意の天然アミノ酸の側鎖基を指す。明確にするため、側鎖基-CHは、アミノ酸のアラニンという天然アミノ酸の側鎖基を表す。
【0024】
本明細書で使用する場合、句「非天然アミノ酸」とは、上記の通り、タンパク質において天然の、および自然界において天然に存在するそのようなアミノ酸のリストには含まれない任意のアミノ酸を指す。非天然アミノ酸はまた、ホモセリン、オルニチンおよびチロキシンを含む。例示的な非天然アミノ酸には、β-トリチル-アスパラギン、β-ベンジル-アスパラギン酸、S-ベンジル-システイン、シクロヘキシルグリシン、γ-ベンジル-グルタミン酸、γ-tert-ブチル-グルタミン酸、ε-トリフルオロアセチル-リシン、ε-Boc-リシン、ε-ベンジル-リシン、β-ベンジル-セリン、O-アセチル-チロシンが含まれる。他の非天然アミノ酸には、N-アルキル化されている、環化している、リン酸化されている、アセチル化されている、アミド化されている、アジド化されている、標識されているものなどを含めた、改変アミノ酸を含む。
【0025】
本明細書で使用する場合、句「非天然アミノ酸の側鎖基」とは、本明細書で定義されている、任意の非天然アミノ酸の側鎖基を指す。明確にするため、側鎖基-(CHCOCHは、非天然アミノ酸であるγ-ベンジル-グルタミン酸の側鎖基を表す。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」は、一般用語であることが理解され、天然アミノ酸と非天然アミノ酸の両方を包含する。用語「D-アミノ酸」は、D-立体配置を有する天然または非天然アミノ酸を指すことが理解される。用語「L-アミノ酸」は、L-立体配置を有する天然または非天然アミノ酸を指すことが理解される。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「立体規則性」とは、ポリ(アミノ酸)ブロックの立体化学を指す。単一立体異性体(例えば、すべてがL異性体)からなるポリ(アミノ酸)ブロックは、「イソタクチック」と呼ばれる。D-およびL-アミノ酸モノマーのランダムな組み込みからなるポリ(アミノ酸)は、「アタクチック」ポリマーと呼ばれる。立体化学が交互(例えば、...DLDLDL...)のポリ(アミノ酸)は、「シンジオタクチック」ポリマーと呼ばれる。ポリマーの立体規則性は、その全内容が参照により組み込まれている、Odian, G. Principles of Polymerization, 4th Ed., New York, John Wiley & Sons, 1991に一層詳細に記載されている。
【0028】
本明細書で使用する場合、句「リビングポリマー鎖-末端部(living polymer chain-end)」とは、追加のモノマーまたは重合停止剤とさらに反応する能力を維持する、重合反応に起因する末端部を指す。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「停止」とは、リビングポリマーが適切な化合物と反応することによって、末端基がポリマー鎖-末端部に結合することを指す。代替的に、用語「停止」は、末端基が、ポリマー鎖のアミン末端もしくはヒドロキシル末端、またはその誘導体に結合することを指すことができる。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「重合停止剤(polymerization terminator)」は、用語「重合停止作用物質(polymerization terminating agent)」と互換的に使用され、リビングポリマー鎖-末端部と反応して、末端基を有するポリマーを与える化合物を指す。代替的に、用語「重合停止剤」は、ポリマー鎖のアミン末端もしくはヒドロキシル末端、またはその誘導体と反応して、末端基を有するポリマーを与える化合物を指すことがある。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「重合開始剤」とは、所望のモノマーの重合をもたらす様式で、そのようなモノマーと反応する化合物、または上記化合物のアニオンもしくは遊離塩基形態がそのようなモノマーと反応する、化合物を指す。ある特定の実施形態では、重合開始剤はアミンである。
【0032】
用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、本明細書で使用する場合、直鎖状(すなわち、非分岐状)、分岐状または環式(縮合、架橋およびスピロ縮合多環式を含む)とすることができる炭化水素部分であって、完全に飽和であってもよく、または1つもしくは複数の不飽和単位を含有してもよいが、芳香族ではない、炭化水素部分を表す。別段の指定がない限り、脂肪族基は、1~20個の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~10個の炭素原子を含有する。他の実施形態では、脂肪族基は、1~8個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~6個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~4個の炭素原子を含有する。脂肪族基中に存在する炭素原子数もまた、前記脂肪族基を列挙する前に規定され得る。例えば、用語(C1~C6)脂肪族とは、1~6個の炭素原子を含む、本明細書で定義されている脂肪族基を指す。本開示は、このような範囲のメンバーの各々のおよびあらゆる個々の部分組合せを含むことが具体的に意図される。特に、用語(C1~C6)脂肪族は、C1脂肪族(例えば、メチル)、C2脂肪族(例えば、エチル、エチレンまたはエチリン(ethylyne))、C3脂肪族、C4脂肪族、C5脂肪族およびC6脂肪族)を含むよう意図される。脂肪族基には、以下に限定されないが、直鎖状または分岐状の、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基、ならびに(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルなどのそれらのハイブリッドが含まれる。
【0033】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素のうちの1種または複数を意味する。これは、窒素、硫黄、リンまたはケイ素の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素の四級化形態、または3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおける=N-、ピロリジニルにおける-NH-もしくはN-置換ピロリジニルにおける=N(R)-を含めた複素環式環の置換可能な窒素を含む。
【0034】
用語「不飽和の」は、本明細書で使用する場合、ある部分が1つまたは複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0035】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」のような、より大きな部分の一部として使用されている用語「アリール」は、合計が5~14個の環員を有する単環式、二環式および三環式環系を指し、これらの系中の少なくとも1つの環は芳香族であり、これらの系中の各環は、3~7個の環員を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用することができる。
【0036】
本明細書に記載されている通り、本開示の化合物は、「必要に応じて置換されている」部分を含有することがある。一般に、用語「置換されている」とは、用語「必要に応じて」が前にあろうがなかろうが、指定部分の1個または複数の水素が好適な置換基により置き換えられていることを意味する。一部の実施形態では、「必要に応じて置換されている」基は、この基のいずれの置換可能な位置にも好適な置換基を有することがあり、任意の所与の構造中の1つより多い位置が、指定基から選択される1つより多い置換基により置換されていてもよい場合、この置換基は、各位置において、同一であってもよく、または異なっていてもよい。一部の実施形態では、「必要に応じて置換されている」基は、指定した基から独立して選択される、0~5つの置換基を有する基を指す。一部の実施形態では、「必要に応じて置換されている」基は、指定した基から独立して選択される、0~3つの置換基を有する基を指す。本開示によって想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。用語「安定な」とは、本明細書で使用する場合、本明細書において開示されている1つまたは複数の目的のために、その生成、検出、ならびにある特定の実施形態では、その回収、精製および使用を可能にする条件が施されても、実質的に変化しない化合物を指す。
【0037】
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な炭素原子上の一価の置換基は、独立して、ハロゲン;-(CH0~4R°;-(CH0~4OR°;-O-(CH0~4C(O)OR°;-(CH0~4CH(OR°);-(CH0~4SR°;-(CH0~4Ph(これは、R°により置換されていてもよい);-(CH0~4O(CH0~1Ph(これは、R°により置換されていてもよい);-CH=CHPh(これは、R°により置換されていてもよい);-NO;-CN;-N;-(CH0~4N(R°);-(CH0~4N(R°)C(O)R°;-N(R°)C(S)R°;-(CH0~4N(R°)C(O)NR°;-N(R°)C(S)NR°;-(CH0~4N(R°)C(O)OR°;-N(R°)N(R°)C(O)R°;-N(R°)N(R°)C(O)NR°;-N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH0~4C(O)R°;-C(S)R°;-(CH0~4C(O)OR°;-(CH0~4C(O)SR°;-(CH0~4C(O)OSiR°;-(CH0~4OC(O)R°;-OC(O)(CH0~4SR-、SC(S)SR°;-(CH0~4SC(O)R°;-(CH0~4C(O)NR°;-C(S)NR°;-C(S)SR°;-SC(S)SR°、-(CH0~4OC(O)NR°;-C(O)N(OR°)R°;-C(O)C(O)R°;-C(O)CHC(O)R°;-C(NOR°)R°;-(CH0~4SSR°;-(CH0~4S(O)R°;-(CH0~4S(O)OR°;-(CH0~4OS(O)R°;-S(O)NR°;-(CH0~4S(O)R°;-N(R°)S(O)NR°;-N(R°)S(O)R°;-N(OR°)R°;-C(NH)NR°;-P(O)R°;-P(O)R°;-OP(O)R°;-OP(O)(OR°);SiR°;-(C1~4直鎖状または分岐状アルキレン)O-N(R°);または-(C1~4直鎖状または分岐状アルキレン)C(O)O-N(R°)であり、R°はそれぞれ、以下で定義されている通りに置換されていてもよく、独立して、水素、C1~6脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環またはアリール環であるか、あるいは上記の定義に関わらず、独立して出現する2つのR°は、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、3~12員の飽和の単環式もしくは二環式環、部分不飽和の単環式もしくは二環式環、またはアリール単環式もしくは二環式環を形成し、これらの環は、以下に定義されている通り、置換されていてもよい。
【0038】
R°上の一価の置換基(または、独立して出現する2つのR°をそれらの介在する原子と一緒になることによって形成される環)は、独立して、ハロゲン、-(CH0~2、-(ハロR)、-(CH0~2OH、-(CH0~2OR、-(CH0~2CH(OR;-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH0~2C(O)R、-(CH0~2C(O)OH、-(CH0~2C(O)OR、-(CH0~2SR、-(CH0~2SH、-(CH0~2NH、-(CH0~2NHR、-(CH0~2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR -(C1~4直鎖状または分岐状アルキレン)C(O)ORまたは-SSRであり、Rはそれぞれ、無置換であるか、または「ハロ」が前に付く場合、1個または複数のハロゲンによってしか置換されておらず、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環またはアリール環から独立して選択される。R°の飽和炭素原子上のこのような二価の置換基は、=Oおよび=Sを含む。
【0039】
「必要に応じて置換されている」基の飽和炭素原子上の二価の置換基には、以下:=O、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、-O(C(R ))2~3O-または-S(C(R ))2~3S-が含まれ、独立して出現するRはそれぞれ、水素、以下に定義されている通り置換されていてもよいC1~6脂肪族、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の無置換の飽和環、部分不飽和環またはアリール環から選択される。「必要に応じて置換されている」基の隣接する置換可能な炭素に結合している二価の置換基には、-O(CR 2~3O-が含まれ、独立して出現するRはそれぞれ、水素、以下に定義されている通り置換されていてもよいC1~6脂肪族、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の無置換の飽和環、部分不飽和環またはアリール環から選択される。「必要に応じて置換されている」基の隣接する置換可能なメチレン炭素に結合している四価の置換基は、それを有するメチレンと共に図示される場合、
【化4】

によって表されるジコバルトヘキサカルボニルクラスターである。
【0040】
の脂肪族基上の好適な置換基は、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH、-NHR、-NR または-NOであり、Rはそれぞれ、無置換であるか、または「ハロ」が前に付く場合、1個または複数のハロゲンによってしか置換されておらず、独立して、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環またはアリール環である。
【0041】
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な窒素上の好適な置換基には、-R、-NR 、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)C(O)R、-C(O)CHC(O)R、-S(O)、-S(O)NR 、-C(S)NR 、-C(NH)NR または-N(R)S(O)が含まれ、Rはそれぞれ、独立して、水素、以下に定義されている通り置換されていてもよいC1~6脂肪族、無置換-OPh、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の無置換の飽和環、部分不飽和環またはアリール環であるか、あるいは上記の定義に関わらず、独立して出現する2つのRは、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、無置換の3~12員の飽和単環式もしくは二環式環、部分不飽和単環式もしくは二環式環、またはアリール単環式もしくは二環式環を形成する。
【0042】
の脂肪族基上の好適な置換基には、独立して、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH、-NHR、-NR または-NOが含まれ、Rはそれぞれ、無置換であるか、または「ハロ」が前に付く場合、1個または複数のハロゲンによってしか置換されておらず、独立して、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環またはアリール環である。
【0043】
一部の実施形態では、「必要に応じて置換されている脂肪族」基とは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ、フェニル、アジドまたはアルキンからなる群より選択される0~5つの置換基により置換されている、上で定義した脂肪族基を指し、前記フェニルは、ハロゲン、-CH、-CFH、-CF、-OCHまたは-OHから選択される0~5つの置換基により置換されている。例えば、「必要に応じて置換されている脂肪族」基は、-C基により置換されているメチル基、すなわちベンジル基(-CH)を指すことができる。
【0044】
一部の実施形態では、「必要に応じて置換されている脂肪族」基とは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ、フェニル、アジドまたはアルキンからなる群より選択される0~3つの置換基により置換されている、上で定義した脂肪族基を指し、前記フェニルは、ハロゲン、-CH、-CFH、-CF、-OCHまたは-OHから選択される0~3つの置換基により置換されている。例えば、「必要に応じて置換されている脂肪族」基は、CH基、すなわちベンジル基により置換されているメチル基を指すことができる。
【0045】
保護ヒドロキシル基は、当分野で周知であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Wuts, P.G.M. Protecting Groups in Organic Synthesis, 5th Ed., New York, John Wiley & Sons, 2014に詳述されているものを含む。好適に保護されているヒドロキシル基の例には、以下に限定されないが、エステル、カーボネート、スルホネート、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルがさらに含まれる。好適なエステルの例には、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、ペンタン酸エステル、クロトン酸エステルおよび安息香酸エステルが含まれる。好適なエステルの具体例には、ギ酸エステル、ベンゾイルギ酸エステル、クロロ酢酸エステル、トリフルオロ酢酸エステル、メトキシ酢酸エステル、トリフェニルメトキシ酢酸エステル、p-クロロフェノキシ酢酸エステル、3-フェニルプロピオン酸エステル、4-オキソペンタン酸エステル、4,4-(エチレンジチオ)ペンタン酸エステル、ピバリン酸エステル(pivaloate)(トリメチル酢酸エステル)、クロトン酸エステル、4-メトキシ-クロトン酸エステル、安息香酸エステル、p-ベンジル安息香酸エステル(benylbenzoate)、2,4,6-トリメチル安息香酸エステルが含まれる。カーボネートの例には、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリルおよびp-ニトロベンジルカーボネートが含まれる。シリルエーテルの例には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが含まれる。アルキルエーテルの例には、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチルおよびアリルエーテルまたはそれらの誘導体が含まれる。アルコキシアルキルエーテルには、メトキシメチル、メチルチオメチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、ベンジルオキシメチル、ベータ-(トリメチルシリル)エトキシメチルおよびテトラヒドロピラン-2-イルエーテルなどのアセタールが含まれる。アリールアルキルエーテルの例には、ベンジル、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、2-および4-ピコリルエーテルが含まれる。
【0046】
保護アミンは、当分野で周知であり、Wuts(2014)に詳細に記載されているものを含む。一保護アミンには、以下に限定されないが、アラルキルアミン、カルバメート、アリルアミン、アミドなどがさらに含まれる。一保護アミノ部分の例には、t-ブチルオキシカルボニルアミノ(-NHBOC)、エチルオキシカルボニルアミノ、メチルオキシカルボニルアミノ、トリクロロエチルオキシカルボニルアミノ、アリルオキシカルボニルアミノ(-NHAlloc)、ベンジルオキソカルボニルアミノ(-NHCBZ)、アリルアミノ、ベンジルアミノ(-NHBn)、フルオレニルメチルカルボニル(-NHFmoc)、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、ジクロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、フェニルアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、ベンズアミド、t-ブチルジフェニルシリルなどが含まれる。二保護アミンは、一保護アミンとして上記のものから独立して選択される2つの置換基により置換されているアミンを含み、フタルイミド、マレイミド、スクシンイミドなどの環式イミドをさらに含む。二保護アミンはまた、ピロールなど、2,2,5,5-テトラメチル-[1,2,5]アザジシロリジンなどおよびアジドを含む。
【0047】
保護アルデヒドは、当分野で周知であり、Wuts(2014)に詳細に記載されているものを含む。保護アルデヒドは、以下に限定されないが、非環式アセタール、環式アセタール、ヒドラゾン、イミンなどをさらに含む。このような基の例には、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、ジイソプロピルアセタール、ジベンジルアセタール、ビス(2-ニトロベンジル)アセタール、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、セミカルバゾン、およびそれらの誘導体が含まれる。
【0048】
保護カルボン酸は、当分野で周知であり、Wuts(2014)に詳細に記載されているものを含む。保護カルボン酸には、以下に限定されないが、必要に応じて置換されているC1~6脂肪族エステル、必要に応じて置換されているアリールエステル、シリルエステル、活性化エステル、アミド、ヒドラジドなどがさらに含まれる。このようなエステル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジルおよびフェニルエステルが含まれ、各基は必要に応じて置換されている。さらなる保護カルボン酸には、オキサゾリンおよびオルトエステルが含まれる。
【0049】
保護チオールは、当分野で周知であり、Wuts(2014)に詳細に記載されているものを含む。保護チオールは、以下に限定されないが、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネートおよびチオカルバメートなどをさらに含む。このような基の例には、以下に限定されないが、数例を挙げると、アルキルチオエーテル、ベンジルおよび置換ベンジルチオエーテル、トリフェニルメチルチオエーテルおよびトリクロロエトキシカルボニルチオエステルが含まれる。
【0050】
特に明記しない限り、本明細書において図示されている構造は、構造のすべての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体(または配座異性体))形態、例えば、各不斉中心に関してRおよびS立体配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびE配座異性体を含むことがやはり意図されている。したがって、本化合物の単一立体化学異性体、ならびに鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体(または配座異性体)の混合物が、本開示の範囲内にある。特に明記しない限り、本開示の化合物のすべての互変異性体が、本開示の範囲内にある。さらに、特に明記しない限り、本明細書において図示されている構造は、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない化合物も含まれることがやはり意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除いて、本構造を有する化合物は、本開示の範囲内にある。このような化合物は、例えば、分析手段として、または生物学的アッセイにおけるプローブとして、中性子散乱実験において有用である。
【0051】
本明細書で使用する場合、用語「検出可能な部分」は、用語「標識」と互換的に使用され、検出可能な任意の部分(例えば、一次標識および二次標識)に関連する。「検出可能な部分」または「標識」は、検出可能な化合物のラジカルである。
【0052】
「一次」標識は、放射性同位体含有部分(例えば、32P、33P、35Sまたは14Cを含有する部分)、質量タグおよび蛍光標識を含み、さらに修飾することなく、検出することができるシグナルを生じるリポーター基である。
【0053】
「二次」標識は、ビオチン、または検出可能なシグナルを生成するために、第2の化合物の存在を必要とするタンパク質抗原などの部分を含む。例えば、ビオチン標識の場合、第2の化合物は、ストレプトアビジン-酵素コンジュゲートを含むことができる。抗原標識の場合、第2の化合物は、抗体-酵素コンジュゲートを含むことができる。さらに、ある特定の蛍光基は、非放射性蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の過程で、エネルギーを別の化合物または基に移動させて、第2の化合物または基に、検出されるシグナルを次に発生させることによって、二次標識として働くことができる。
【0054】
用語「蛍光標識」、「蛍光基」、「蛍光化合物」、「蛍光色素」および「フルオロフォア」とは、本明細書で使用する場合、規定した励起波長において光エネルギーを吸収して、異なる波長の光エネルギーを放出する化合物または部分を指す。蛍光化合物の例には、以下に限定されないが:Alexa Fluor色素(Alexa Fluor350、Alexa Fluor488、Alexa Fluor532、Alexa Fluor546、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor633、Alexa Fluor660およびAlexa Fluor680)、AMCA、AMCA-S、BODIPY色素(BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY530/550、BODIPY558/568、BODIPY564/570、BODIPY576/589、BODIPY581/591、BODIPY630/650、BODIPY650/665)、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、カスケードブルー、カスケードイエロー、クマリン343、シアニン色素(Cy3、Cy5、Cy3.5、Cy5.5)、ダンシル、ダポキシル、ジアルキルアミノクマリン、4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシ-フルオレセイン、DM-NERF、エオシン、エリスロシン、フルオレセイン、FAM、ヒドロキシクマリン、IRDyes(IRD40、IRD700、IRD800)、JOE、リサミンローダアミンB、マリーナブルー、メトキシクマリン、ナフトフルオレセイン、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、PyMPO、ピレン、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ロードルグリーン、2’,4’,5’,7’-テトラ-ブロモスルホン-フルオレセイン、テトラメチル-ローダミン(TMR)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、Texasレッド、Texasレッド-Xが含まれる。
【0055】
用語「基材」は、本明細書で使用する場合、マルチブロックコポリマーが結合することができる、任意の物質または高分子複合体を指す。一般に使用される基材の例には、以下に限定されないが、ガラス表面、シリカ表面、プラスチック表面、金属表面、金属コーティングまたは化学コーティングを含有する表面、膜(例えば、ナイロン、ポリスルホン、シリカ)、マイクロビーズ(例えば、ラテックス、ポリスチレンまたは他のポリマー)、多孔質ポリマーマトリックス(例えば、ポリアクリルアミドゲル、多糖、ポリメタクリレート)、高分子複合体(例えば、タンパク質、多糖)が含まれる。
【0056】
特に示さない限り、放射性同位体含有部分は、少なくとも1個の放射性同位体を含有する、必要に応じて置換されている炭化水素基である。特に示さない限り、放射性同位体含有部分は、1~40個の炭素原子、および1個の放射性同位体を含有する。ある特定の実施形態では、放射性同位体含有部分は、1~20個の炭素原子、および1個の放射性同位体を含有する。
【0057】
用語「同位体富化」または「同位体に富む」とは、同位体の相対存在量が変わっていることを指し、したがって、1個の特定の同位体に富み、かつその他の同位体が枯渇している元素の形態を生成する。例えば、C14化合物は、同位体に富むと言われる。
【0058】
用語「受領したとおり」とは、化学反応または単離において使用される、溶媒、試薬、樹脂または他の構成成分の使用に言及する場合、追加的な単離および/または精製をなんら行うことなく、製造業者によって提供された状態でそれらを使用することを指す。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「疎水性分子」とは、化合物、薬物、治療剤または医薬品有効成分、およびそれらの薬学的に許容される塩を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、用語「薬物」、「治療剤」、「医薬品」、「医薬」およびそれらの派生語は、互換的に使用され、疾患の診断、治癒、緩和、処置または予防に使用することが意図されている物質を指す。
【0061】
本明細書で使用する場合、用語「薬物が負荷された」および「封入されている」、およびそれらの派生語は、互換的に使用される。本開示による、用語「薬物が負荷された」ミセルとは、ミセルのコア内部に位置する、薬剤または治療剤を有するミセルを指す。ある種の例では、薬物または治療剤は、コアと親水性コロナとの間の界面に位置する。これは、ミセル内部に「封入されている」薬物または治療剤とも称される。
【0062】
本明細書で使用する場合、「重量負荷」とは、合計の薬物製品製剤に対する薬物の比を指し、薬物製品製剤には、以下に限定されないが、薬物、賦形剤およびコポリマーを含むことができる。重量負荷は、重量百分率(%w/w)として表され、例えば、90mgの凍結保護物質(cryoprotectant)および90mgのコポリマーをさらに含む全製剤中の20mgの薬物は、10%の重量負荷(20/(20+90+90)=10%)と表される。
【0063】
本明細書で使用する場合、「フィード比」とは、薬物製品の製造の間、コポリマーと組み合わされた薬物の比を指す。フィード比は、重量百分率(%w/w)として表され、例えば500mgのコポリマー(他の構成成分とは無関係)と一緒にした100mgの薬物は、20%(100/500=20%)のフィード比として表される。
【0064】
本明細書で使用する場合、「高せん断ミックス」または「高せん断混合」とは、乳化、超音波処理または微小流動化により、通常なら非混和性となる連続相に、構成成分の組合せを分散させることを指す。
【0065】
本明細書で使用する場合、「単位剤形」または「単位用量形態」とは、処置される対象にとって適切な、製剤の物理的に別個になった単位を指す。しかし、本開示の組成物の1日あたりの合計使用量は、妥当な医療的判断の範囲内で、主治医により決定されることが理解されよう。任意の特定の対象または生物向けの具体的な有効用量レベルは、処置される障害および障害の重症度、使用される具体的な活性剤の活性、使用される具体的な組成物、対象の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与時間、ならびに使用される具体的な活性剤の排出速度、処置期間、使用される具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物および/または追加の治療法を含めた様々な因子、ならびに医療技術において周知の同様の因子に依存する。
【0066】
本明細書で使用する場合、「薬物製品」は、治療剤、および以下に限定されないが、張度剤(tonicity agent)、凍結保護物質(cryoprotectant)、マルチブロックコポリマー、安定化剤、付着防止剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、崩壊剤、矯味矯臭剤、流動促進剤(glidant)、滑沢剤、保存剤、吸着剤、甘味剤およびビヒクルから選択される1種または複数の「賦形剤」を意味する。当業者によって理解される通り、各賦形剤の量は、治療剤、投与経路、所望の生物学的エンドポイント、標的細胞または組織に依存する。
【0067】
本明細書で使用する場合、「凍結保護物質」または「凍結保護剤」とは、凍結を防止するか、または凍結に関連する損傷もしくは他の化合物への変質を防止する化合物を指す。これには、以下に限定されないが、糖、モノサッカライド、ジサッカライド、多価アルコール、アミノ酸、グリシン、ポリビニルピロリジン、ポリエチレングリコール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、ラフィノース、スクラロース、ラクトース、トレハロース、デキストランおよびデキストロースが含まれる。
【0068】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、所望の生物学的応答を誘発する物質(例えば、治療剤、組成物および/または製剤)の量を意味する。一部の実施形態では、物質の治療有効量とは、疾患、障害および/もしくは状態に罹患している、または罹患しやすい対象に投与レジメンの部分として投与した場合、疾患、障害および/もしくは状態を処置する、診断する、それらの進行を減速させる、および/またはそれらの発病を遅延させるのに十分な量である。当業者によって理解される通り、物質の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される物質、標的細胞または組織などの因子に応じて様々となり得る。例えば、疾患、障害および/または状態を処置するための、製剤中での化合物の有効量は、疾患、障害および/もしくは状態のうちの1つもしくは複数の症状または特徴を軽減する、改善する、緩和する、阻害する、それらの進行を減速させる、それらの発病を遅延させる、それらの重症度を低下させる、および/またはそれらの出現率を低下させる量である。一部の実施形態では、「治療有効量」とは、がんなどの増殖性疾患に関連する疾患もしくは障害の1つまたは複数の症状を処置するのに十分な、化合物または化合物を含有する組成物の少なくとも最小限の量のことである。
【0069】
用語「対象」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物を意味し、ヒト、および家畜(例えば、ウマ、イヌ、ネコなど)などの動物対象を含む。
【0070】
用語「処置する」または「処置すること」とは、本明細書で使用する場合、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の1つもしくは複数の症状を部分的または完全に緩和する、阻害する、それらの発病を遅延させる、それらの進行を減速させる、これらを改善する、および/あるいはそれらを軽減することを指す。本明細書で使用する場合、用語「処置」、「処置する」および「処置すること」とは、本明細書に記載されている疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の1つもしくは複数の症状を部分的または完全に緩和する、阻害する、それらの発病を遅延させる、それらの進行を減速させる、これらを改善する、および/あるいはそれらを軽減することを指す。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に行われてもよい。一部の実施形態では、用語「処置すること」とは、疾患または障害の進行を予防する、減速させるまたは停止させることを含む。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で行われてもよい。例えば、処置は症状の発病前に、感受性の個体に行われてもよい(例えば、症状歴を考慮して、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子を考慮して)。処置はまた、症状が消散した後に、例えば、その再発を予防または遅延させるために、継続されてもよい。したがって、一部の実施形態では、用語「処置すること」とは、疾患または障害の回帰または再発を予防することを含む。
【0071】
用語「非経口」または「非経口的に」は、本明細書で使用する場合、投与のための皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内(intrasternal)、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入技法が含まれる。好ましくは、本組成物は、腹腔内または静脈内に投与される。本開示の組成物の滅菌の注射可能な形態は、水性または油性懸濁剤とすることができる。これらの懸濁剤は、分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用する当分野で公知の技法に従い、製剤化することができる。滅菌の注射可能な調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の液剤として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌の注射可能な液剤または懸濁剤とすることもできる。使用することができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発油が、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に使用される。
【0072】
用語「TYN-21」とは、パクリタキセル、TFS-2およびトレハロースの製剤であって、パクリタキセルが、製剤の約13重量%±2重量%の重量負荷となる製剤を指すことが理解される。
【0073】
用語「TYN-38」とは、SN-38、TFS-3およびトレハロースの製剤であって、SN-38が、製剤の約10重量%±2重量%の重量負荷となる製剤を指すことが理解される。
【0074】
3.例示的な実施形態の記載:
3.1 マルチブロックコポリマー
一部の態様では、本開示は、ポリ(サルコシン)ブロックおよびD、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックを含む、マルチブロックコポリマーに関する。ある特定の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマー:
【化5】

(式中、
1aは、Hまたは必要に応じて置換されている脂肪族基であり、
1bは、Hまたは必要に応じて置換されている脂肪族基であり、
は、H、必要に応じて置換されている脂肪族基またはCO-(C1~C6)脂肪族であり、
はそれぞれ、独立して、D-アミノ酸側鎖であり、
はそれぞれ、独立して、L-アミノ酸側鎖であり、
xは、125~350であり、
yは、5~35であり、
zは、5~35である)
を提供する。
【0075】
一部の態様では、本開示は、親水性ブロックが、N-メチルグリシンのポリマーを含む、マルチブロックコポリマーに関する。当業者は、他のN-アルキルグリシンを使用して、水溶性ブロックを生成することができることを認識している(Robinson, J. W. et al. Macromolecules 2013, 46(3), 580を参照されたい)。一部の実施形態では、本開示には、親水性ブロックが、ポリ(N-メチルグリシン)、ポリ(N-エチルグリシン)、ポリ(N-{n-プロピル})グリシン、ポリ(N-イソプロピル)グリシンまたはポリ(N-アリル)グリシンである、マルチブロックコポリマーが含まれる。一部の態様では、本開示はまた、N-メチルグリシンとN-エチルグリシンとの混合物などの水溶性ブロックを構築するために使用される、2つまたはそれより多くのN-アルキルグリシンの混合物を含む。
【0076】
一部の態様では、本開示は、R1aおよびR1bによって表される必要に応じて置換されている脂肪族基を有するアミン含有部分から始まるポリ(サルコシン)ブロックを含む、式Iのマルチブロックコポリマーに関する。一部の実施形態では、R1aは水素であり、R1bは、必要に応じて置換されている脂肪族基である。一部の実施形態では、R1aは、必要に応じて置換されている脂肪族基または水素であり、R1bは、必要に応じて置換されている脂肪族基である。一部の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーに、以下に限定されないが、検出可能な部分、蛍光標識または基質を含めたそうでなければ存在しない、官能基を付与することができる、R1aおよびR1bにおける置換を構想する。当業者は、R1aおよびR1bの多数の置換が可能であることを認識している。本開示によって構想されるR1aおよびR1bの置換には、以下に限定されないが、一部の実施形態では、必要に応じて置換されているベンジル基、必要に応じて置換されている炭化水素、必要に応じて置換されているシリル基、ポリ(アミノ酸)ポリマー、ポリ(エチレングリコール)ポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ポリマー、ポリ(アクリルアミド)ポリマー、ポリ(2-オキサゾリン)ポリマー、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)ポリマー、ポリ(メタクリレート)ポリマー、ポリ(ビニルアルコール)ポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)ポリマーおよびそれらの対応するアミン塩が含まれる。一部の実施形態では、R1a脂肪族基は、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルケン、(C1~C6)アルキンまたは(C3~C10)シクロアルキルから選択され、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルケン、(C1~C6)アルキンまたは(C3~C10)シクロアルキルは、0~5つのハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソまたはフェニルにより置換されており、前記フェニルは、ハロゲン、-CH、-CFH、-CF、-OCHまたは-OHから選択される0~3つの置換基により置換されている。一部の実施形態では、R1b脂肪族基は、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルケン、(C1~C6)アルキンまたは(C3~C10)シクロアルキルから選択され、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルケン、(C1~C6)アルキンまたは(C3~C10)シクロアルキルは、0~5つのハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソまたはフェニル基により置換されており、前記フェニルは、ハロゲン、-CH、-CFH、-CF、-OCHまたは-OHから選択される0~3つの置換基により置換されている。一部の実施形態では、R1bは、ベンジル、メトキシベンジル、ネオペンチル(すなわち、CHC(CH)またはヘキシル基)から選択される。好ましい実施形態では、R1aは、Hであり、R1bは、ネオペンチルである。別の好ましい実施形態では、R1aは、Hであり、R1bは、ベンジルである。別の好ましい実施形態では、R1aは、Hであり、R1bは、p-メチルベンジルである。別の好ましい実施形態では、R1aは、Hであり、R1bは、p-メトキシベンジルである。別の好ましい実施形態では、R1aは、Hであり、R1bは、n-ヘキシルである。
【0077】
ある特定の実施形態では、本開示は、ブロックが全体として疎水性となるよう、アミノ酸を含むD、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックを含む、マルチブロックコポリマーに関する。式Iによって表される組成物に関して上で定義されている通り、RおよびRは、それぞれ、D-アミノ酸およびL-アミノ酸を表す。D、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックは、一般に疎水性とは考えられない、1つもしくは複数の天然アミノ酸側鎖基または非天然アミノ酸側鎖基を含むことができるが、疎水性であるアミノ酸側鎖基または非天然アミノ酸側鎖基を含ませると、ブロック全体が疎水性になり得ることが当業者によって理解される。例えば、ある特定の状況では、チロシンは、そのフェノール官能基により親水性アミノ酸と考えられるが、(チロシン)20-co-(ロイシン)30というポリ(アミノ酸)ブロックは、一部には、当分野において一般に疎水性アミノ酸と考えられるかなりの量のロイシン(例えば、過剰な疎水性ユニット)を含むことにより、全体として疎水性となる。アミノ酸側鎖保護基は、一般に、親水性と考えられるアミノ酸を一般に疎水性と考えられるアミノ酸に変換することができることがやはり理解される。例えば、グルタミン酸は、当分野において親水性アミノ酸と一般に考えられる。しかし、カルボン酸の保護は、γ-ベンジル-グルタミン酸の場合と同様に、アミノ酸側鎖を疎水性にすることができる。
【0078】
ある特定の実施形態では、式Iによって表される組成物の場合、Rはそれぞれ、親水性D-アミノ酸に由来し、Rはそれぞれ、疎水性L-アミノ酸に由来する。
【0079】
ある特定の実施形態では、式Iによって表される組成物の場合、Rはそれぞれ、疎水性D-アミノ酸に由来し、Rはそれぞれ、親水性L-アミノ酸に由来する。
【0080】
ある特定の実施形態では、式Iによって表される組成物の場合、Rはそれぞれ、疎水性D-アミノ酸に由来し、Rはそれぞれ、疎水性L-アミノ酸に由来する。
【0081】
一部の実施形態では、Rはそれぞれ、独立して、γ-ベンジル-D-グルタミン酸、D-ロイシン、D-チロシン、D-フェニルアラニン、D-アラニン、D-バリン、D-イソロイシン、D-ノルロイシン、O-アセチル-D-チロシン、O-ベンジル-D-チロシンまたはε-ベンジル-D-リシンの側鎖である。一部の実施形態では、Rはそれぞれ、独立して、γ-ベンジル-L-グルタミン酸、L-ロイシン、L-チロシン、L-フェニルアラニン、L-アラニン、L-バリン、L-イソロイシン、L-ノルロイシン、O-アセチル-L-チロシン、O-ベンジル-L-チロシンまたはε-ベンジル-L-リシンの側鎖である。一部の実施形態では、Rはそれぞれ、独立して、D-ロイシン、D-フェニルアラニンまたはD-チロシンの側鎖である。一部の実施形態では、Rはそれぞれ、独立して、L-ロイシン、L-フェニルアラニンまたはL-チロシンの側鎖である。
【0082】
上記の通り、式Iによって表される組成物の場合、xおよびyは、それぞれ、ポリ(アミノ酸)ブロック中の天然または非天然D-アミノ酸およびL-アミノ酸についての残基の数を表す。当業者は、RおよびRの選択、ならびにyおよびzの値の選択は、最終的なマルチブロックコポリマーが果たすべき最終役割に応じて様々となることを認識している。いくつかの所望の役割の場合、xによって表されるサルコシンブロックの長さは、yおよびzとは無関係ではないことがやはり理解される。
【0083】
一部の態様では、本開示は、コアアミノ酸の1つが、これがD-アミノ酸であるかL-アミノ酸であるかに関わらず、イソタクチックポリ(アミノ酸)ポリマーによって、通常、とられるらせん構造を破壊する別のアミノ酸によって置き換えられている、マルチブロックコポリマーに関する。本開示によって構想されるそのようなアミノ酸は、以下に限定されないが、N-置換グリシン(例えば、サルコシン)、プロリンおよび/またはグリシンを含む。
【0084】
一部の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーであって、Rが、H、必要に応じて置換されている脂肪族基、CO-(C1~C6)脂肪族または-COCHから選択される、式Iのマルチブロックコポリマーに関する。本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーに、以下に限定されないが、検出可能な部分、蛍光標識または基質を含めたそうでなければ存在しない官能基を付与することができる、Rにおける置換を構想する。一部の実施形態では、Rは、アミド結合が形成されるように選択される。好ましい実施形態では、Rはアセチル基である。別の好ましい実施形態では、Rは、同位体に富む。当業者は、同位体に富む物質が、動物における組成物の分布を決定するために有用な、定量的全身オートラジオグラフィー(QWBA)アッセイなどの、生物学的アッセイにおける有用なプローブであり得ることを認識している。
【0085】
ある特定の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマー
(式中、
1aは、必要に応じて置換されている脂肪族基であり、
1bは、Hであり、
は、HまたはCOCHであり、
はそれぞれ、独立して、D-アミノ酸側鎖であり、
はそれぞれ、独立して、L-アミノ酸側鎖であり、
xは、125~350であり、
yは、5~35であり、
zは、5~35である)
を提供する。
【0086】
ある特定の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマー
(式中、
1aは、必要に応じて置換されている脂肪族基であり、
1bは、Hであり、
は、HまたはCOCHであり、
はそれぞれ、D-ロイシンの側鎖に対応するアミノ酸側鎖であり、
はそれぞれ、L-チロシンの側鎖に対応するアミノ酸側鎖であり、
xは、125~350であり、
yは、5~35であり、
zは、5~35である)
を提供する。
【0087】
本開示の一実施形態は、以下の構造:
【化6】

によって表されるマルチブロックコポリマーを提供する。
【0088】
本開示の別の実施形態は、以下の構造:
【化7】

によって表されるマルチブロックコポリマーを提供する。
【0089】
本開示の一実施形態は、以下の構造:
【化8】

によって表されるマルチブロックコポリマーを提供する。
【0090】
本開示の一実施形態は、以下の構造:
【化9】

によって表されるマルチブロックコポリマーを提供する。
【0091】
本開示の一実施形態は、以下の構造:
【化10】

によって表されるマルチブロックコポリマーを提供する。
【0092】
本開示の一実施形態は、以下の構造:
【化11】

によって表されるマルチブロックコポリマーを提供する。
【0093】
3.2 マルチブロックコポリマーの合成
ある特定の実施形態では、本開示は、ポリ(サルコシン)ブロックおよびD、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックを含む、マルチブロックコポリマーの調製法を提供する。前記マルチブロックコポリマーを調製するための一般的な方法の一実施形態が、スキーム1に図示されており、以下:1)サルコシンのNCA(式III)と好適なアミン含有開始剤(式II)との重合を開始するステップ、2)1つまたは複数のD-アミノ酸NCA(式IVy)および1つまたは複数のL-アミノ酸のNCA(式IVz)を含む混合物をリビング重合に添加するステップを含む。
スキーム
【化12】
【0094】
一部の例では、NCAを固体よりも溶液として反応に添加する方が有利なことがある。例えば、大規模製造の間、溶液は固体よりも取り扱いが一層容易である。本開示の一部の実施形態では、NCAは、式III、式IVyまたは式IVzに関わりなく、固体として反応に添加される。本開示の別の実施形態では、NCAは、式III、式IVyまたは式IVzに関わりなく、溶液として反応に添加される。ある特定の実施形態では、前記溶媒は、開始剤IIを可溶化するために使用される溶媒と同じ溶媒である。好ましい実施形態では、溶媒は、N,N,-ジメチルホルムアミドである。好ましい実施形態では、溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミドである。
【0095】
本明細書に記載されている通り、ある特定の実施形態では、式IのD、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックは、天然アミノ酸および非天然アミノ酸に由来するNCAの重合によって調製される。一部の実施形態では、式IVyおよび式IVzのNCAは、得られたポリ(アミノ酸)ブロックが全体として疎水性となるよう選択される。既に議論した通り、一般に親水性と考えられるアミノ酸が含まれても、ブロックが全体として疎水性になることを必ずしも阻止するものではない。したがって、ある特定の実施形態では、式IVyのNCAは、親水性D-アミノ酸に由来し、式IVzのNCAは、疎水性L-アミノ酸に由来する。他の実施形態では、式IVyのNCAは、疎水性D-アミノ酸に由来し、式IVzのNCAは、親水性L-アミノ酸に由来する。他の実施形態では、式IVyのNCAは、疎水性D-アミノ酸に由来し、式IVzのNCAは、疎水性L-アミノ酸に由来する。
【0096】
ある特定の実施形態では、スキーム1に図示されるプロセスは、単一溶媒中で行われる。溶媒は、すべての物質が、プロセス全体の間、溶液中に存在しているままであるよう、出発原料、リビング重合鎖および最終コポリマーを可溶化することが可能である。アミドを含む溶媒が、このプロセスに好適である。好ましい実施形態では、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)である。別の好ましい実施形態では、溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)である。
【0097】
ある特定の実施形態では、式IIの開始剤は、第一級アミンであり、R1aは、水素であり、R1bは、必要に応じて置換されている脂肪族基である。ある特定の実施形態では、式IIの開始剤は第二級アミンであり、R1aは、必要に応じて置換されている脂肪族基であり、R1bは、必要に応じて置換されている脂肪族基である。当業者は、多数の第一級アミンおよび多数の第二級アミンが、NCAとの重合反応の開始に好適であることを認識している。本開示によって構想される開始剤には、以下に限定されないが、必要に応じて置換されているベンジルアミン、必要に応じて置換されている炭化水素アミン、必要に応じて置換されているシリルアミン、ポリ(アミノ酸)ポリマー、ポリ(エチレングリコール)ポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ポリマー、ポリ(アクリルアミド)ポリマー、ポリ(2-オキサゾリン)ポリマー、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)ポリマー、ポリ(メタクリレート)ポリマー、ポリ(ビニルアルコール)ポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)ポリマーおよびそれらの対応するアミン塩が含まれる。好ましい実施形態では、式IIの開始剤は、ベンジルアミン、p-メチルベンジルアミン、p-メトキシベンジルアミンまたはn-ヘキシルアミンから選択される。好ましい実施形態では、式IIの開始剤は、以下の構造:
【化13】

によって表されるネオペンチルアミンである。
【0098】
一部の実施形態では、本開示は、受領したとおり、化学反応または単離において使用される試薬、溶媒、樹脂および他の構成成分を使用して、式Iの化合物を調製する方法に関する。一部の実施形態では、式Iの化合物は、空気および/または水分を排除するためにとられる手段(例えば、Schlenk技法)なしに調製される。当業者は、NCA重合反応が、費用を削減し、このようなプロセスの頑健性が増大するので、これらの条件下でのNCA重合反応の利点を理解している。
【0099】
本開示はまた、単一の抗溶媒を使用して、反応混合物からの式Iのマルチブロックコポリマーの単離に関連する。一部の実施形態では、抗溶媒に対する反応混合物の比率は、使用する総量を最小限にするようなものである。当業者は、最少量の抗溶媒が費用および複雑さを低減し、調製のスケールを大きくすることができるので、最少量の抗溶媒を使用する利点を認識している。本開示により企図されるこのような抗溶媒に対する反応混合物の比は、以下に限定されないが、1:0.25、1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10を含む。
【0100】
本開示は、単一の反応溶媒および単一の抗溶媒の使用に関する。当業者は、式Iの化合物の調製に合計で2種の溶媒しか使用しないことは、とりわけ、製造管理および品質管理に関する基準(GMP)ガイダンスの下での商業的規模での費用が最小限になり、最少数の溶媒を調達して、リリース試験の間に定量することしか必要としないので、式Iの化合物の調製にとって、合計で2種の溶媒しか使用しないことは有利であることを認識している。ある特定の実施形態では、抗溶媒は、以下に限定されないが、ケトン含有溶媒、ヒドロキシル含有溶媒、エステル含有溶媒、エーテル含有溶媒、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、水性溶媒を含めたリストから選択される。
【0101】
本開示において構想される抗溶媒は、以下に限定されないが、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、酢酸メチル、酢酸ブチル、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼン、水、水性緩衝溶液を含む。
【0102】
好ましい実施形態では、抗溶媒は酢酸エチルである。別の好ましい実施形態では、抗溶媒は、メチルtert-ブチルエーテルである。
【0103】
上記の通り、式Iの化合物の場合、Rは、必要に応じて置換されている脂肪族基である。当業者は、RがH(式IV)である場合、停止剤による処理は、Rにおける置換を変更する方法であることを認識している。スキーム2におけるR-LGによって表されるこのような停止剤は、式IVの化合物の末端アミンと反応することが可能な任意のR含有基を含む。
スキーム2
【化14】
【0104】
当業者は、構造R-LGの多数の停止剤が、式Vおよびその対応するアニオンによって表される化合物の末端アミンと反応することができることを認識している。本開示によって構想される構造R-LGの停止剤は、無水物、ハロゲン化スルホニルおよび他のアシル化剤、ならびに求核置換を受けやすい脱離基(LG)を含有する基を含む。好ましい実施形態では、停止剤は、以下の構造によって表される無水酢酸:
【化15】

である。
【0105】
当業者は、式Vの化合物のR-LGによって表される停止剤による処理は、NCA重合の終了時に行われてもよく、これによって、式Vの化合物が得られ、こうして、式Iの化合物を調製する方法は「ワンポット」合成として行われることを認識している。代替的に、R-LGによる処理は、「多段階」プロセスで、反応混合物から式Vの化合物を単離した後に行うことができる。ある特定の実施形態では、式Iの化合物は、ワンポットプロセスで調製される。他の実施形態では、式Iの化合物は、多段階プロセスで調製される。
【0106】
3.3 ミセル
ある特定の実施形態では、本開示は、ポリマーミセルに関する。親水性ブロックを含むマルチブロックポリ(アミノ酸)コポリマーおよび親水性ブロックは、水溶液中でミセルへと自発的に自己集合することが理解される。当業者は、ポリ(サルコシン)ブロックが親水性であることを認識している。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、ポリ(サルコシン)および全体として疎水性であるポリ(アミノ酸)ブロックを含むマルチブロックコポリマーは、ミセルを形成し、ポリ(サルコシン)ブロックは親水性コロナを形成し、疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックはミセルのコアを形成すると考えられる。
【0107】
本開示のポリ(アミノ酸)ブロックは、D-アミノ酸とL-アミノ酸との混合物から構成される。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、アタクチックポリ(アミノ酸)ブロックを組み込むと、タンパク質などのイソタクチックポリ(アミノ酸)によって通常とられる二次構造および三次構造の形成を妨害すると考えられる。これは、等価なイソタクチックポリ(アミノ酸)含有コポリマーから構築されたミセルの物理特性とは異なる物理特性を有するアタクチックポリ(アミノ酸)含有コポリマーから構築されるミセルの形成をもたらす。前記物理特性は、以下に限定されないが、臨界ミセル濃度、溶解度および薬物負荷効率を含む。
【0108】
ある特定の実施形態では、本開示は、その濃度が臨界ミセル濃度を超えると、水溶液中に多分子ミセルへと自己集合することができる、式Iのマルチブロックポリ(アミノ酸)コポリマーに関する。このようなミセルは、以下に限定されないが、薬物、治療剤、診断剤およびプローブを含めた、疎水性分子の封入に有用である。
【0109】
3.4 薬物負荷
ある特定の実施形態では、本開示は、疎水性分子を封入し、これによって、水溶液中での分子の溶解度を増大させるポリマーミセルに関する。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、疎水性分子が、水溶液中に式Iのマルチブロックコポリマーと共に存在すると、この分子は、マルチブロックコポリマーの疎水性部分に隔離され、疎水性分子の溶解度を増大させる効果を有すると考えられる。マルチブロックコポリマーがミセルを形成する場合、疎水性分子は、ミセルの疎水性コアに隔離され、したがって、ミセルの親水性コロナによって水溶性にされる。ある特定の実施形態では、疎水性分子は薬物である。
【0110】
一部の実施形態では、本開示は、疎水性分子および式Iのマルチブロックコポリマーを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、疎水性分子は薬物である。ある特定の実施形態では、本開示は、薬物を負荷したミセルであって、薬物が、以下に限定されないが、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセルおよびSN-38、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩を含めたリストから選択される、ミセルを提供する。
【0111】
一部の実施形態では、本開示は、マルチブロックコポリマーTFS-1および疎水性分子を含む組成物を提供する。好ましい実施形態では、疎水性分子は、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセルおよびSN-38、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩からなるリストから選択される薬物である。
【0112】
一部の実施形態では、本開示は、マルチブロックコポリマーTFS-2および疎水性分子を含む組成物を提供する。好ましい実施形態では、疎水性分子は、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセルおよびSN-38、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩からなるリストから選択される薬物である。
【0113】
一部の実施形態では、本開示は、マルチブロックコポリマーTFS-3および疎水性分子を含む組成物を提供する。好ましい実施形態では、疎水性分子は、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセルおよびSN-38、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩からなるリストから選択される薬物である。
【0114】
特定の疎水性分子の重量負荷は、式Iのマルチブロックコポリマーの特定の組成に依存する。当業者は、疎水性分子に関して様々な重量負荷が、本開示で可能であることを認識している。重量負荷は、得られる製剤の溶解度、安定性、および製品の費用の削減などの、特定の製剤の必要を満たすよう調節することができることもやはり認識される。一部の実施形態では、疎水性分子は薬物であり、前記薬物の重量負荷は、組成物の約1%~約25%の間である。
【0115】
一部の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーおよび薬物を含む組成物であって、薬物が、組成物の約1%~約5%である、組成物を提供する。
【0116】
一部の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーおよび薬物を含む組成物であって、薬物が、組成物の約5%~約10%である、組成物を提供する。
【0117】
一部の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーおよび薬物を含む組成物であって、薬物が、組成物の約10%~約15%である、組成物を提供する。
【0118】
一部の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーおよび薬物を含む組成物であって、薬物が、組成物の約15%~約20%である、組成物を提供する。
【0119】
一部の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーおよび薬物を含む組成物であって、薬物が、組成物の約20%~約25%である、組成物を提供する。
【0120】
3.5 薬物製品
本開示は、疎水性薬物を封入するのに有用な組成物を提供し、このような組成物は、それを必要とする患者の処置に有用な薬物製品として提供され得る。一部の実施形態では、本開示は、式Iのマルチブロックコポリマーおよび薬物を含む薬物製品を提供する。このような組成物は、本明細書で定義されている賦形剤をさらに含むことができる。
【0121】
本開示のある特定の実施形態は、薬学的に許容される組成物として提供され得る。このような組成物は、以下に限定されないが、丸剤、錠剤、カプセル剤、水性懸濁剤または液剤、坐剤、クリーム剤、エアロゾル剤、シロップ剤、フィルム、皮膚パッチ剤、経皮パッチ剤、膣リング、点眼剤を含む。好ましい実施形態では、薬学的に許容される組成物は、凍結乾燥させた散剤である。
【0122】
本開示の組成物は、それを必要とする対象を処置するために好適な治療有効量の薬物を提供することができる。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0123】
本開示はまた、それを必要とする患者に投与され得る、組成物を提供する。投与経路は、以下に限定されないが、非経口、経口、舌下、口内、直腸、膣、眼経路によるもの、耳経路によるもの、鼻、吸入、噴霧、皮膚、皮下、局所、全身性または経皮を含む。一部の実施形態では、本開示の組成物は、インプラントもしくはデバイスの一部として製剤化されてもよく、または緩徐放出もしくは延長放出のために製剤化されてもよい。好ましい実施形態では、投与経路は、静脈内である。別の好ましい実施形態では、投与経路は、中心静脈カテーテルによるものである。別の好ましい実施形態では、投与経路は、末梢静脈カテーテルによるものである。
【0124】
本開示のある特定の実施形態では、本組成物は、例えば、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(風味を付けた基剤、通常、スクロース、およびアカシアまたはトラガントを使用する)、散剤、顆粒剤の形態で、あるいは水性液体もしくは非水性液体中の液剤または懸濁剤として、あるいは水中油型もしくは油中水型液体エマルションとして、あるいはエリキシル剤またはシロップ剤として、あるいはトローチ剤(ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用する)などとして、経口投与のために製剤化される。
【0125】
経口投与のための固形剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖剤、散剤、顆粒剤など)では、本開示の組成物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの1種または複数の薬学的に許容される担体、および/または以下:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸などの充填剤または増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤、(3)グリセロールなどの保水剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(8)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの滑沢剤、および(10)着色剤のいずれかと混合されてもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、本医薬組成物はまた、緩衝化剤を含んでもよい。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用されてもよい。
【0126】
一部の実施形態では、本開示の薬物製品は、経口投与のための液体剤形として製剤化される。経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容されるエマルション剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。液体剤形は、水または他の溶媒などの当分野において一般に使用される不活性希釈剤、エタノール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレン(butyline)グリコール、油(例えば、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステルまたはソルビタン、ならびにそれらの混合物などの可溶化剤および乳化剤を含有してもよい。経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、着香剤および保存剤などの佐剤を含むことができる。
【0127】
ある特定の実施形態では、本開示の組成物は、非経口投与のために製剤化される。一例として、本開示の組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される滅菌した等張性水性液剤または非水性液剤、分散物、懸濁剤もしくはエマルション剤、または使用直前に滅菌の注射可能な液剤または分散物に再構成することができる滅菌散剤をさらに含ませることによって非経口投与のために製剤化することができる。非経口投与のための組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および/または製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質、または懸濁化剤、または増粘剤を含有してもよい。本開示の医薬組成物において使用され得る好適な水性および非水性ビヒクルの例には、水、リンゲル液、等張性塩溶液、エタノール、ポリオール(例えば、1,3-ブタンジオール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)および好適なそれらの混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。好ましい実施形態では、本開示の組成物は、非経口投与のために意図されており、水、1,3-ブタンジオール、リンゲル液または等張性塩化ナトリウム溶液から選択されるビヒクルをさらに含む。
【0128】
本開示の組成物は、緩徐放出、制御放出または延長放出のために投与され得る。用語「延長放出」は、医薬品科学の分野において広く認識されており、長時間、例えば、1時間を超えるまたは1時間にわたる(その間を通してまたはその間)、ある環境への剤形からの活性化合物または薬剤の制御放出を指すために、本明細書において使用される。延長放出剤形は、長時間にわたって実質的に一定速度で薬物を放出するか、または実質的に一定量の薬物が、長時間にわたって増加して放出される。本明細書において使用される用語「延長放出」は、用語「制御放出」、「長期放出」、「持続放出」、「遅延放出」または「緩徐放出」が医薬品科学において使用される通りにこれらの用語を含む。一部の実施形態では、延長放出投与量は、パッチ剤またはポンプの形態で投与される。
【0129】
3.6 疎水性分子の溶解度を増強する方法
ある特定の実施形態では、本開示は、水溶液中の疎水性分子の溶解度を増大するための方法を提供する。上記の通り、本開示のマルチブロックコポリマーは、水溶液中でミセル構造へと自発的に自己集合し、親水性ポリ(サルコシン)ブロックはコロナを形成し、疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックは、ミセルのコアを形成することができる。疎水性分子が、この集合の間に存在する場合、この分子は、ミセルの疎水性部分に隔離(すなわち、封入)され得る。これは、水溶液中での疎水性分子の溶解度を増大させる効果を有する。
【0130】
一態様では、本開示は、本開示によるマルチブロックコポリマー中に疎水性分子を封入するステップを含む、水溶液中での疎水性分子の溶解度を増大させる方法を対象とする。本開示の一実施形態は、疎水性分子、および水溶液中での溶解度特性が増強した凍結保護剤を含む組成物を調製するための方法を提供する。前記組成物を提供するための一般的な方法は、凍結保護物質および本開示によるマルチブロックコポリマーの水溶液を調製するステップを含む。有機溶媒中で疎水性分子の溶液を調製し、これによって有機溶液とする。ホモジナイザーを使用するせん断混合により均一なエマルションを生成しながら、前記有機溶液を凍結保護物質およびマルチブロックコポリマーの前記溶液に加える。マイクロフルイダイザーによって、前記均一なエマルションを処理する。凍結保護物質の水溶液に対して、タンジェンシャルフローろ過によってマイクロフルイダイザーによる押出し溶液を処理する。得られた溶液を滅菌ろ過し(例えば、無菌ろ過)、滅菌条件下で、バイアルの充填を行い、滅菌条件下で凍結乾燥する。好適な凍結保護剤には、以下に限定されないが、糖、モノサッカライド、ジサッカライド、多価アルコール、アミノ酸、グリシン、ポリビニルピロリジン、ポリエチレングリコール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、ラフィノース、スクラロース、ラクトース、トレハロース、デキストランおよびデキストロースが含まれる。好ましい実施形態では、凍結保護物質は、トレハロースである。
【0131】
3.8.製造方法
ある特定の態様では、本開示は、疎水性分子および式Iのコポリマーを含む薬物製品を調製する方法を対象とする。
【0132】
一部の実施形態では、本開示は、疎水性分子および式Iのコポリマーを含む滅菌した凍結乾燥薬物製品を調製する方法を対象とする。この薬物製品は、患者への投与に好適と思われる。
【0133】
一部の実施形態では、本開示は、疎水性分子、式Iのコポリマーおよび凍結保護剤を含む、滅菌した凍結乾燥薬物製品を調製する方法を対象とする。前記薬物製品を提供するための一般的な方法は、水性tert-ブタノールの混合物中で、凍結保護物質および式Iのコポリマーの溶液を調製するステップを含む。tert-ブタノール中で疎水性分子溶液を調製する。前記疎水性分子溶液を凍結保護物質および式Iのコポリマーの前記溶液に加え、得られた溶液を滅菌ろ過し(例えば、無菌ろ過)、滅菌条件下でバイアルの充填を行い、滅菌条件下で凍結乾燥する。好適な凍結保護剤には、以下に限定されないが、糖、モノサッカライド、ジサッカライド、多価アルコール、アミノ酸、マンニトール、グリシン、ポリビニルピロリジン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、スクロース、グルコース、ラフィノース、スクラロース、ラクトース、トレハロース、デキストランおよびデキストロースが含まれる。好ましい実施形態では、凍結保護物質は、トレハロースまたはグリシンである。
【0134】
一部の実施形態では、本開示は、
a)疎水性分子または薬学的に許容されるその塩、式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質を水性tert-ブタノールに溶解し、これによって混合溶液を形成するステップ、ならびに
b)必要に応じて、混合溶液を凍結乾燥するステップ
を含む、単位剤形を調製する方法を対象とする。
【0135】
一部の実施形態では、本開示は、
a)疎水性分子または薬学的に許容されるその塩をtert-ブタノールに溶解し、これによって、疎水性分子溶液を形成するステップ、
b)式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質をtert-ブタノール水溶液に溶解し、これによってコポリマー溶液を形成するステップ、
c)疎水性分子溶液とコポリマー溶液とを混合し、これによって、混合溶液を形成するステップ、ならびに
d)必要に応じて、混合溶液を凍結乾燥するステップ
を含む、単位剤形を調製する方法を対象とする。
【0136】
一部の実施形態では、本開示は、
a)疎水性分子または薬学的に許容されるその塩をtert-ブタノールに溶解し、これによって、疎水性分子溶液を形成するステップ、
b)式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質をtert-ブタノール水溶液に溶解し、これによってコポリマー溶液を形成するステップ、
c)疎水性分子溶液とコポリマー溶液とを混合し、これによって、混合溶液を形成するステップ、
d)混合溶液をろ過し、これによってろ過した溶液を形成するステップ、
e)ろ過した溶液を必要に応じて凍結乾燥するステップ
を含む、単位剤形を調製する方法を対象とする。
【0137】
一態様では、本開示は、疎水性分子および式Iのコポリマーを含む滅菌の凍結乾燥薬物製品を調製する方法を対象とする。この薬物製品は、患者への投与に好適と思われる。本開示の一実施形態は、疎水性分子、式Iのコポリマーおよび凍結保護剤を含む、滅菌の凍結乾燥薬物製品を調製する方法を提供する。前記薬物製品を提供するための一般的な方法は、凍結保護物質、および式Iのコポリマーの水溶液を調製するステップを含む。有機溶媒中で疎水性分子溶液を調製する。ホモジナイザーを使用してせん断混合により均一なエマルションを生成しながら、前記疎水性分子溶液を凍結保護物質および式Iのコポリマーの前記溶液に加える。高せん断ミキサー(例えば、マイクロフルイダイザー)によって、前記均一なエマルションを処理する。凍結保護物質の水溶液に対して、タンジェンシャルフローろ過によって高せん断ミキサーによる押出し溶液を処理する。得られた溶液を滅菌ろ過し(例えば、無菌ろ過)、滅菌条件下で、バイアルの充填を行い、滅菌条件下で凍結乾燥する。好適な凍結保護剤には、以下に限定されないが、糖、モノサッカライド、ジサッカライド、多価アルコール、アミノ酸、グリシン、ポリビニルピロリジン、ポリエチレングリコール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、ラフィノース、スクラロース、ラクトース、トレハロース、デキストランおよびデキストロースが含まれる。好ましい実施形態では、凍結保護物質は、トレハロースである。
【0138】
一部の実施形態では、本開示は、
a)疎水性分子または薬学的に許容されるその塩、式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質を水溶液に溶解し、これによって混合溶液を形成するステップ、
b)高せん断ミキサーによって混合溶液を処理し、これによって高せん断混合溶液を形成するステップ、ならびに
c)高せん断混合溶液を必要に応じて凍結乾燥するステップ
を含む、単位剤形を調製する方法を対象とする。
【0139】
一部の実施形態では、本開示は、
a)疎水性分子または薬学的に許容されるその塩を有機溶媒に溶解し、これによって、疎水性分子溶液を形成するステップ、
b)式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質を水溶液に溶解し、これによってコポリマー溶液を形成するステップ、
c)疎水性分子溶液とコポリマー溶液とを混合し、これによって、混合溶液を形成するステップ、
d)高せん断ミキサーによって混合溶液を処理し、これによって、高せん断ミキサー溶液を形成するステップ、
e)高せん断ミキサー溶液をろ過し、これによって、ろ過した溶液を形成するステップ、ならびに
f)ろ過した溶液を必要に応じて凍結乾燥するステップ
を含む、単位剤形を調製する方法を対象とする。
【0140】
一部の実施形態では、本開示は、
a)疎水性分子または薬学的に許容されるその塩を有機溶媒に溶解し、これによって、疎水性分子溶液を形成するステップ、
b)式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質を水溶液に溶解し、これによってコポリマー溶液を形成するステップ、
c)疎水性分子溶液とコポリマー溶液とを混合し、これによって、混合溶液を形成するステップ、
d)高せん断ミキサーによって混合溶液を処理し、これによって、高せん断ミキサー溶液を形成するステップ、
e)透析ろ過システムを用いて高せん断ミキサー溶液を処理し、これによって透析ろ過した溶液を形成するステップ、
f)透析ろ過した溶液をろ過し、これによって、ろ過した溶液を形成するステップ、ならびに
g)ろ過した溶液を必要に応じて凍結乾燥するステップ
を含む、単位剤形を調製する方法を対象とする。
【0141】
3.7 具体例
本開示は、以下の構造:
【化16-1】

【化16-2】

【化16-3】

【化16-4】

【化16-5】

【化16-6】

【化16-7】

のマルチブロックコポリマーを構想する。
【実施例0142】
本開示を一層完全に理解するため、以下の実施例を説明する。これらの実施例は、例示目的に過ぎず、本開示を制限するものと決して解釈されるべきではないことが理解される。
【0143】
アミノ酸またはNCAが、接頭辞「D」を含む実施例では、対応するアミノ酸またはNCAは、D-立体配置である。そのような接頭辞が存在しない場合、対応するアミノ酸またはNCAは、L-立体配置である。
【0144】
実施例において、特に明記しない限り、すべてのマルチブロックコポリマーは、簡略説明中を含め、明示的ではない場合でさえも、ネオペンチルアミノ基(CHCH-NH-から始めることが理解される。例えば、Sar-b-p-[D-Leu-co-L-Tyr]とは、以下の化合物:
【化17】

の簡略説明である。
【0145】
分析方法:
以下の分析方法を利用して、本開示の化合物を特徴付ける。
【0146】
赤外(IR)分光法 - 試料はすべて、Universal ATR Sampling Accessory(ダイヤモンド/ZnSe)を装備したPerkinElmer Spectrum100 FT-IR分光計を使用して分析した。IRを使用して反応をモニタリングする場合、ほぼ100μLのアリコートを採取して直接測定した。固体試料は、さらに操作することなく測定した。
【0147】
核磁気共鳴(NMR)分光法 - 試料はすべて、以下のパラメーターを使用して、400MHzの分光計で分析した:45°パルス、2秒の取得時間、5秒のリサイクル遅延(recycle delay)、16~32回のトランジエント。
【0148】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析 - 試料は、2×PSS GRAM分析用100Å、8×300mm、10μmのカラム;1×PSS GRAM分析用1000Å、8×300mm、10μmカラム;Wyatt TREOS II光散乱検出器およびWyatt Optilab T-rEX屈折率検出器を直列に接続した、Shimadzu LC-20ADポンプを使用して分析した。流量1.0mLで、LiBrを追加補充したDMF(50mM)の移動相を使用し、分析物を溶出した。カラムの温度を45℃に維持した。典型的には、45分間の試行時間を使用した。GPC数平均分子量(Mn)およびピーク分子量(Mp)は、ポリスチレン分子量標準を使用して較正した。
【0149】
パクリタキセルのHPLC法 - パクリタキセルのアッセイおよび正体は、227nmにおけるUV検出をともなう高速液体クロマトグラフィーによって決定した。利用したカラムは、周囲温度でのPhenomenex Gemini(登録商標)5μm C18(110Å、250×4.6mm)とした。移動相は、10mMのリン酸ナトリウムおよびアセトニトリルの60:40(v/v)混合物からなった。パクリタキセル薬物製品試料は、移動相にこの物質を溶解することによって調製した。パクリタキセル標準は、アセトニトリルにこの物質を溶解することによって調製した。分離は、12分間の全試行時間にわたり、1.0mL/分の流量で達成した。
【0150】
カバジタキセルのHPLC法 - カバジタキセルのアッセイおよび正体は、227nmにおけるUV検出をともなう高速液体クロマトグラフィーによって決定した。利用したカラムは、周囲温度におけるPhenomenex Gemini(登録商標)5μm C18(110Å、250×4.6mm)とした。移動相は、10mMのリン酸ナトリウムおよびアセトニトリルの60:40(v/v)混合物からなった。カバジタキセル薬物製品試料は、移動相にこの物質を溶解することによって調製した。カバジタキセル標準は、アセトニトリルにこの物質を溶解することによって調製した。分離は、8分間の全試行時間にわたり、1.0mL/分の流量で達成した。
【0151】
ドセタキセルのHPLC法 - ドセタキセルのアッセイおよび正体は、227nmにおけるUV検出をともなう高速液体クロマトグラフィーによって決定した。利用したカラムは、周囲温度におけるPhenomenex Gemini(登録商標)5μm C18(110Å、250×4.6mm)とした。移動相は、10mMのリン酸ナトリウムおよびアセトニトリルの60:40(v/v)混合物からなった。ドセタキセル薬物製品試料は、移動相にこの物質を溶解することによって調製した。ドセタキセル標準は、アセトニトリルにこの物質を溶解することによって調製した。分離は、8分間の全試行時間にわたり、1.0mL/分の流量で達成した。
【0152】
SN-38のHPLC法 - SN-38のアッセイおよび正体は、265nmにおけるUV検出をともなう高速液体クロマトグラフィーによって決定した。利用したカラムは、周囲温度におけるPhenomenex Gemini(登録商標)5μm C18(110Å、250×4.6mm)とした。移動相は、0.1%(v/v)トリエチルアミンを含む、10mMのリン酸ナトリウム(pH3.5)およびアセトニトリルの70:30(v/v)混合物からなった。SN-38薬物製品試料および標準は、アセトニトリルおよびDMSOの7:3(v/v)混合物にこの物質を溶解することによって調製した。分離は、8分間の全試行時間にわたり、1.5mL/分の流量で達成した。
【0153】
パクリタキセルの重量負荷分析 - 重量負荷は、HPLC分析によって、パクリタキセルの標準曲線と既知濃度の薬物製品を比較することによって決定した。標準は、10、25、50、100および200μg/mLの濃度で、アセトニトリルにパクリタキセルを溶解することによって調製した。パクリタキセル薬物製品試料は、1mg/mLの濃度で移動相にこの物質を溶解することによって調製した。次に、薬物製品中のパクリタキセルの量を、薬物製品の既知量(すなわち、1mg/mL)に基づく合計の重量百分率に変換する。
【0154】
SN-38の重量負荷分析 - 重量負荷は、HPLC分析によって、SN-38の標準曲線と既知濃度の薬物製品を比較することによって決定した。標準は、50、100、200、300および400μg/mLの濃度で、アセトニトリルおよびDMSOの7:3(v/v)の混合物にSN-38を溶解することによって調製した。SN-38薬物製品試料は、重量負荷に応じて、1~4mg/mLの間の濃度で、アセトニトリルおよびDMSOの7:3(v/v)混合物にこの物質を溶解することによって調製した。次に、薬物製品中のSN-38の量を、薬物製品の既知量に基づく合計の重量百分率に変換する。
【0155】
カバジタキセルの重量負荷分析 - 重量負荷は、HPLC分析によって、カバジタキセルの標準曲線と既知濃度の薬物製品を比較することによって決定した。標準は、20、40、60、80および100μg/mLの濃度で、アセトニトリルにカバジタキセルを溶解することによって調製した。カバジタキセル薬物製品試料は、1mg/mLの濃度で移動相にこの物質を溶解することによって調製した。次に、薬物製品中のカバジタキセルの量を、薬物製品の既知量(すなわち、1mg/mL)に基づく合計の重量百分率に変換する。
【0156】
ドセタキセルの重量負荷分析 - 重量負荷は、HPLC分析によって、ドセタキセルの標準曲線と既知濃度の薬物製品を比較することによって決定した。標準は、10、50および100μg/mLの濃度で、アセトニトリルにドセタキセルを溶解することによって調製した。ドセタキセル薬物製品試料は、1mg/mLの濃度で移動相にこの物質を溶解することによって調製した。次に、薬物製品中のドセタキセルの量を、薬物製品の既知量(すなわち、1mg/mL)に基づく合計の重量百分率に変換する。
【0157】
ラットのパクリタキセル薬物動態実験 - この研究のため、Hilltop Lab
Animalsから調達したSprague-Dawleyラット(試験項目あたり3匹の雄および3匹の雌)が、WuXi AppTecによって使用された。TYN-21パクリタキセル製剤(13重量%のパクリタキセル100mg)を食塩水(5.2mL)中で再構成し、2.50mg/mLのパクリタキセル濃度を有する溶液を得た。アブラキサンを添付文書に従い、20mLの食塩水で再構成して、5mg/mLのパクリタキセルの溶液を得、食塩水を用いてこの溶液を1:1(v/v)に希釈して、2.5mg/mLのパクリタキセル濃度を有する溶液を得た。TYN-21とアブラキサン溶液の両方を、2.0mL/kgで、尾部静脈から1~2分間かけて迅速なボーラスIV注入によって投与し、5.0mg/kgのパクリタキセル用量を送達した。注入の終了時(EOI)、1時間後、2時間後、4時間後および8時間後に、血液試料(約300μL)を頚静脈からKEDTAを含有するBD Microtainer管に採取した。採取して30分以内に、血液試料を4℃、3000gで5分間、遠心分離した。血漿をポリプロピレン製管または96ウェルプレートに採取し、ドライアイス上で迅速に冷凍し、LC-MS/MS分析まで、-70±10℃で保管した。定量は、血漿中のパクリタキセルの標準曲線(6つの非ゼロ濃度)を各時間点からの試料と比較することによって決定した。アブラキサンは、4,648±1,306ng時/mLのパクリタキセルAUCとなることを実証した。アブラキサンからのパクリタキセルのCmaxは、20,067±8,069ng/mLであった。アブラキサンからのパクリタキセルの半減期は、3.1±0.6時間であった。アブラキサンからのパクリタキセルのクリアランスは、18.4±5.3mL/分/kgであった。TYN-21は、5,873±2,103ng時/mLのパクリタキセルAUCとなることを実証した。TYN-21からのパクリタキセルのCmaxは、18,367±7,410ng/mLであった。TYN-21からのパクリタキセルの半減期は、3.2±0.4時間であった。TYN-21からのパクリタキセルのクリアランスは、15.3±4.6mL/分/kgであった。薬物動態データが図1に示されている。
(実施例1)
Sar175-b-p-[D-Leu35-co-L-Tyr25](TFS-1)の調製
【0158】
循環イソプロパノール/水浴を装備したジャケット付き丸底フラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(100mL)を投入した。浴温度を20℃に設定し、約15分間、撹拌して平衡にした後、ネオペンチルアミンの溶液(DMF中の300mMを3.31mL、86.6mg、1当量)を添加し、次いで、サルコシンN-カルボキシ無水物(20.0g、173.8mmol、175当量)を添加した。漏斗および反応容器の側面をさらなるDMF(約5mL)によりゆすいだ。反応容器をアルミニウムホイルに包み、光を阻止した。反応が進行するにつれて、色が透明で無色から透明な明オレンジ色溶液に変化する。IRを使用し、約1850および1778cm-1において、カルボニル伸縮の消失により反応の進行をモニタリングした。8時間後、この反応は>95%完了したが、一晩、置いた(さらに12時間)。浴温度を25℃に設定し、次に、この反応物にD-ロイシンN-カルボキシ無水物(5.46g、34.77mmol、35当量)およびL-チロシンN-カルボキシ無水物(5.15g、24.84mmol、25当量)を投入した。2つのNCAの消費を、約1851および1785cm-1におけるIRでのカルボニル伸縮の消失により再度、モニタリングし、約24時間後に完了した。手助けするため、この反応混合物を少量のDMF(約5~10mL)を使用してビーカーに移した。オーバーヘッド型撹拌器を用いて激しく撹拌しながら、酢酸エチル(480mL、約4体積)を1~2分間かけて、ゆっくりと加えた。この沈殿は素早く、<1体積のEtOAcを添加した後に、はっきりとした固体が形成し始める。いずれの大きな固体も機械的に壊れてバラバラになる一助となるように、この沈殿物を5~10分間、撹拌して、固体中に捕捉された状態になり得るDMFを絞り出す一助とした。撹拌を停止し、この物質を沈殿させた後に、多孔質の中度のフリット付きガラス製漏斗において、真空ろ過によって採取した。さらに2体積(240mL)のEtOAcを用いて、フリット上で半乾燥物質を手短にスラリー形成させた。この生成物を90~100℃で、2日間、真空オーブン中で乾燥して、19.8g(97%)の表題化合物を微細なオフホワイト色の密度の高い粉末として得た。H NMR (DMSO-d) δ 9.2-9.0 (30H), 8.6-7.8 (48H), 7.2-6.5 (125H), 4.7-3.7 (845H), 3.0-2.6 (1440H), 1.9-1.2 (104H), 1.0-0.5 (289H);GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=17.6kDa、Mp=18.7kDa、PDI=1.08。
(実施例2)
Sar175-b-p-[D-Leu30-co-L-Tyr20](TFS-2)の調製
【0159】
循環イソプロパノール/水浴を装備したジャケット付き丸底フラスコを20℃に冷却した後、サルコシンN-カルボキシ無水物(19.9g、172.9mmol、175当量)、次いでN,N-ジメチルホルムアミド(100mL)を加えた。この混合物を<30秒間、撹拌した後、ネオペンチルアミン(DMF中の300mMを3.30mL、86.2mg、1当量)を加えた。反応容器をアルミニウムホイルに包み、光への曝露を防止した。15~20分後、反応物は、最初の透明かつ無色の溶液から、明オレンジ色に変化し始め、この色は、反応が進行するにつれて、濃くなり続ける。IRを使用し、約1850および1778cm-1において、SarのNCAカルボニル伸縮の消失により反応の進行をモニタリングした(1778cm-1がモニタリングする好ましい波長である)。この反応は、6時間後に約90%が終了したが、一晩、置いて撹拌した。合計で19時間後の翌日に、反応が完了した。循環浴温度を25℃まで昇温した後、D-ロイシンN-カルボキシ無水物(4.66g、29.66mmol、30当量)およびL-チロシンN-カルボキシ無水物(4.10g、19.78mmol、20当量)を加えた。追加のDMF(約5mL)を使用して、漏斗および反応容器の側面をゆすいだ。反応が開始した直後、かなりのCOガスの形成が観察された。IRを使用し、約1851および1785cm-1において、D-LeuのNCAおよびL-TyrのNCAのカルボニル伸縮の消失により反応の進行をモニタリングした(1785cm-1がモニタリングする好ましい波長である)。反応が進行するにつれて、色が透明な明オレンジ色から、透明な黄色-オレンジ色溶液に変化し、これは、数時間後しか明白でなかった。10時間後に反応が>85%完了し、24時間後に、>99.9%完了した。反応混合物(合計で約125mL)をビーカーに移し、オーバーヘッド型撹拌器を取り付けた。激しく撹拌しながら、酢酸エチル(250mL、2体積)を加え、生成物を沈殿させた。この固体をろ過により、中度のフリット付きガラス製漏斗に採取した。この固体を元の沈殿ビーカーに追加のEtOAc(250mL)と共に移して戻し、20分間、激しく撹拌しながらスラリーを形成した。この固体を新しいフリット付きガラス製漏斗中で採取し、次に、同じ20分間のスラリー形成手順をもう1回、EtOAc(250mL)で繰り返した。この生成物を90~100℃で、真空オーブン中のフリット上で乾燥して、15.95g(84.1%)の表題化合物を微細なオフホワイト色の密度の高い粉末として得た。H NMR (DMSO-d) δ 9.2-8.9 (21H), 8.6-7.6 (39H), 7.2-6.4 (100H), 4.7-3.7 (694H), 3.1-2.6 (1039H), 1.9 (3H), 1.7-1.2 (33H), 1.0-0.6 (186H);GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=16.9kDa、Mp=18.0kDa、PDI=1.08。
(実施例3)
Sar175-b-p-[D-Leu30-co-L-Tyr20]-Ac(TFS-2-Ac)の調製
【0160】
丸底フラスコにTFS-2(500mg、0.0261mmol、1当量)およびN,N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)を投入し、この混合物を撹拌して、ヒートガンを用いて加熱し、物質を溶解した。この反応混合物を周囲温度まで一旦、冷却した後、トリエチルアミン(36μL、0.261mmol、10当量)および無水酢酸(25μL、0.261mmol、10当量)を加えた。この反応物を24時間、撹拌した後、ビーカーに移し、この移送を支援するため、最少量のN,N-ジメチルホルムアミド(約1.5mL)を使用した。激しく撹拌しながら、大過剰の酢酸エチル(40mL)を1分間かけて加えた。沈殿物を5分間、撹拌した後、この固体をフリット付きガラス製漏斗に採取した。漏斗表面のこの生成物を追加の酢酸エチル(2×40mL)を用いて洗浄し、次に、48時間、95℃で乾燥し、表題化合物を粒状白色粉末(320mg、64.0%)として得た。H NMR (DMSO-d) δ 9.2-9.0 (16H), 8.8-7.5 (54H), 7.5-6.4 (100H), 4.7-3.7 (843H), 3.2-2.6 (1272H), 2.2 (24H), 1.8-1.0 (96H), 1.0-0.4 (211H).
(実施例4)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]の調製
【0161】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(30mg、1当量)、サルコシンのNCA(4.95g、125当量)、D-Glu(OBn)のNCA(1.36g、15当量)およびL-Glu(OBn)(1.36g、15当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(4.6g、86%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=13.9kDa、Mp=14.9kDa、PDI=1.15。
(実施例5)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]の調製
【0162】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(30mg、1当量)、サルコシンのNCA(4.95g、125当量)、D-Glu(OBn)のNCA(1.81g、20当量)およびL-Glu(OBn)(1.81g、20当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(4.9g、80%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=14.6kDa、Mp=15.6kDa、PDI=1.11。
(実施例6)
Sar125-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr15]の調製
【0163】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(30mg、1当量)、サルコシンのNCA(4.95g、125当量)、D-PheのNCA(0.987g、15当量)およびL-Tyr(1.07g、15当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(3.9g、83%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=13.7kDa、Mp=14.5kDa、PDI=1.03。
(実施例7)
Sar125-b-p-[D-Leu20-co-L-Tyr15]の調製
【0164】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(30mg、1当量)、サルコシンのNCA(4.95g、125当量)、D-LeuのNCA(1.08g、20当量)およびL-Tyr(1.07g、15当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(3.7g、79%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=15.1kDa、Mp=16.1kDa、PDI=1.09。
(実施例8)
Sar175-b-p-[D-Glu(OBn)25-co-L-Glu(OBn)25]の調製
【0165】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(43mg、1当量)、サルコシンのNCA(10.0g、175当量)、D-Glu(OBn)のNCA(3.27g、25当量)およびL-Glu(OBn)(3.27g、25当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(10g、86%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=15.9kDa、Mp=16.9kDa、PDI=1.06。
(実施例9)
Sar175-b-p-[D-Phe20-co-L-Tyr20]の調製
【0166】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(43mg、1当量)、サルコシンのNCA(10.0g、175当量)、D-PheのNCA(1.90g、20当量)およびL-Tyr(2.06g、20当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(7.8g、85%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=14.9kDa、Mp=15.9kDa、PDI=1.04。
(実施例10)
Sar175-b-p-[Sar10-co-L-Tyr50]の調製
【0167】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(43mg、1当量)、サルコシンのNCA(第1のブロック、10.0g、175当量)、サルコシンのNCA(0.57g、10当量)およびL-Tyr(5.14g、50当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(10.1g、96%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=15.5kDa、Mp=16.4kDa、PDI=1.15。
(実施例11)
Sar175-b-p-[D-Phe25-co-L-Glu(OBn)25]の調製
【0168】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(21.7mg、1当量)、サルコシンのNCA(4.98g、175当量)、D-PheのNCA(1.19g、25当量)およびL-Glu(OBn)(1.64g、25当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(3.8g、71%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=16.3kDa、Mp=17.4kDa、PDI=1.09。
(実施例12)
Sar175-b-p-[D-Phe30-co-L-Tyr10]の調製
【0169】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(21.7mg、1当量)、サルコシンのNCA(4.98g、175当量)、D-PheのNCA(1.43g、30当量)およびL-Tyr(0.515g、10当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(4.26g、92.4%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=15.9kDa、Mp=16.9kDa、PDI=1.60。
(実施例13)
Sar175-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]の調製
【0170】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(21.7mg、1当量)、サルコシンのNCA(4.98g、175当量)、D-PheのNCA(0.475g、10当量)およびL-Tyr(1.54g、30当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(4.66g、99.3%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=16.1kDa、Mp=17.1kDa、PDI=1.07。
(実施例14)
Sar175-b-p-[D-Phe25-co-L-Tyr15]の調製
【0171】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(21.7mg、1当量)、サルコシンのNCA(5.0g、175当量)、D-PheのNCA(1.19g、25当量)およびL-Tyr(0.772g、15当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(4.37g、94.3%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=14.1kDa、Mp=15.0kDa、PDI=1.54。
(実施例15)
Sar175-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]の調製
【0172】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(21.7mg、1当量)、サルコシンのNCA(5.0g、175当量)、D-PheのNCA(0.712g、15当量)およびL-Tyr(1.29g、25当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(4.57g、97.7%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=14.4kDa、Mp=15.3kDa、PDI=1.07。
(実施例16)
Sar210-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]の調製
【0173】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(18mg、1当量)、サルコシンのNCA(5.0g、210当量)、D-PheのNCA(0.593g、15当量)およびL-Tyr(1.07g、25当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(3.43g、78.0%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=17.0kDa、Mp=18.1kDa、PDI=1.06。
(実施例17)
Sar210-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]の調製
【0174】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(18mg、1当量)、サルコシンのNCA(5.0g、210当量)、D-PheのNCA(0.396g、10当量)およびL-Tyr(1.29g、30当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(3.62g、82.0%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=17.0kDa、Mp=18.1kDa、PDI=1.08。
(実施例18)
Sar210-b-p-[D-Phe-co-L-Tyr35]の調製
【0175】
以下の試薬の当量および量で実施例1の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(18mg、1当量)、サルコシンのNCA(5.0g、210当量)、D-PheのNCA(0.198g、5当量)およびL-Tyr(1.50g、35当量)。これによって、表題化合物を薄黄色固体(3.64g、82.2%)として得た。GPC(DMF、50mM
LiBr)Mn=16.8kDa、Mp=17.8kDa、PDI=1.13。
(実施例19)
Sar235-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30](TFS-3)の調製
【0176】
循環イソプロパノール/水浴を装備したジャケット付き丸底フラスコを20℃に冷却した後、サルコシンN-カルボキシ無水物(15.0g、130.5mmol、235当量)、次いでN,N-ジメチルホルムアミド(75mL)を加えた。この混合物を<30秒間、撹拌した後、ネオペンチルアミン(DMF中の300mMを1.85mL、48.4mg、0.555mmol、1当量)を加えた。反応容器をアルミニウムホイルに包み、光への曝露を防止した。15~20分後、反応物は、最初の透明かつ無色の溶液から、明オレンジ色に変化し始め、この色は、反応が進行するにつれて、濃くなり続ける。IRを使用し、約1850および1778cm-1において、SarのNCAカルボニル伸縮の消失により反応の進行をモニタリングした(1778cm-1がモニタリングする好ましい波長である)。合計で22時間後の翌日に、反応が完了した。循環浴温度を25℃まで昇温した後、D-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物(1.06g、5.55mmol、10当量)およびL-チロシンN-カルボキシ無水物(3.45g、16.7mmol、30当量)を加えた。追加のDMF(約5mL)を使用して、漏斗および反応容器の側面をゆすいだ。反応が開始した直後、かなりのCOガスの形成が観察された。IRを使用し、約1847および1786cm-1において、D-PheのNCAおよびL-TyrのNCAカルボニル伸縮の消失により反応の進行をモニタリングした(1786cm-1がモニタリングする好ましい波長である)。反応が進行するにつれて、色が透明な明オレンジ色から、透明な黄色-オレンジ色溶液に変化し、これは、数時間後しか明白でなかった。この反応は合計で30時間後に完了した。反応混合物(合計で約100mL)をビーカーに移送し、オーバーヘッド型撹拌器に取り付けた。激しく撹拌しながら、酢酸エチル(400mL、4体積)を加え、生成物を沈殿させた。この固体を中度のフリット付きガラス製漏斗にろ過により採取し、次に、半乾燥物質を元の沈殿ビーカーに追加のEtOAc(200mL、2体積)と共に移して戻し、20分間、激しく撹拌してスラリーを形成した。この固体を同じガラス製漏斗に採取し、追加のEtOAc(100mL、1体積)により、もう1回、洗浄した。この生成物を90~100℃で、2日間、真空オーブン中で乾燥して、11.3g(87.9%)の表題化合物を、微細なオフホワイト色粉末として得た。H NMR (DMSO-d) δ 9.3-9.0 (28H), 8.5-7.8 (45H), 7.4-6.4 (170H), 4.6-3.6 (784H), 3.2-2.5 (1326H), 1.9 (5H), 1.2-1.1 (6H), 0.9-0.8 (14H);GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=18.1kDa、Mp=19.3kDa、PDI=1.07。
(実施例20)
Sar235-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]の調製
【0177】
以下の試薬の当量および量で実施例19の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(16.1mg、1当量)、サルコシンのNCA(5.0g、235当量)、D-PheのNCA(0.531g、15当量)およびL-Tyr(0.959g、25当量)。これによって、表題化合物をクリーム色固体(3.24g、75.9%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=17.1kDa、Mp=18.2kDa、PDI=1.07。
(実施例21)
Sar235-b-p-[D-Phe-co-L-Tyr35]の調製
【0178】
以下の試薬の当量および量で実施例19の一般手順に従う:ネオペンチルアミン(16.1mg、1当量)、サルコシンのNCA(5.0g、235当量)、D-PheのNCA(0.177g、5当量)およびL-Tyr(1.34g、35当量)。これによって、表題化合物をクリーム色固体(3.89g、90.5%)として得た。GPC(DMF、50mM LiBr)Mn=17.0kDa、Mp=18.1kDa、PDI=1.10。
(実施例22)
TFS-2を含む30%パクリタキセルフィード
【0179】
2.0gのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および2.0gのトレハロースを、90mLの30:70(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、22.2mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。得られた溶液のpHを25mM NaOHを用いてpH7.0に調節した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(603mg)を30mLのtert-ブタノールに溶解し、20.1mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌した後、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。次に、バイアルあたり10mLのアリコートのこの製剤溶液を20mLのバイアルに移し、-80℃で凍結させて、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、12.9%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキ4.2gを得た。
(実施例23)
TFS-2を含む15%パクリタキセルフィード
【0180】
100mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および100mgのトレハロースを、10mLの40:60(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、10mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。得られた溶液のpHを25mM NaOHを用いてpH7.0に調節した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(15mg)を0.75mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌した後、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を7.51%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例24)
TFS-1を含む15%パクリタキセルフィード
【0181】
使用したコポリマーをTFS-1(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu35-co-Tyr25))としたことを除いて、実施例23の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を6.90%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例25)
TFS-2を含む20%パクリタキセルフィード
【0182】
薬物溶液が、1.0mLのtert-ブタノールに溶解した20mgのパクリタキセルからなることを除いて、実施例23の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を9.33%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例26)
TFS-1を含む20%パクリタキセルフィード
【0183】
使用したコポリマーをTFS-1(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu35-co-Tyr25))とし、薬物溶液が、1.0mLのtert-ブタノールに溶解した20mgのパクリタキセルからなることを除いて、実施例23の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を9.20%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例27)
TFS-2を含む25%パクリタキセルフィード
【0184】
50mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および50mgのトレハロースを、5mLの40:60(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、10mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。得られた溶液のpHを25mM NaOHを用いてpH7.0に調節した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(12.5mg)を0.625mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌した後、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を11.4%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例28)
TFS-2を含む30%パクリタキセルフィード
【0185】
薬物溶液が、0.75mLのtert-ブタノールに溶解した15mgのパクリタキセルからなることを除いて、実施例27の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を14.6%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例29)
TFS-2を含む25%パクリタキセルフィード(4mg/mL)
【0186】
100mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および100mgのトレハロースを、5mLの35:65(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、20mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。得られた溶液のpHを25mM NaOHを用いてpH7.0に調節した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(25mg)を1.25mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌して、4mg/mLのパクリタキセル濃度を有する溶液を生成し、次に、この溶液を0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を9.9%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例30)
TFS-2を含む30%パクリタキセルフィード(4mg/mL)
【0187】
100mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および100mgのトレハロースを、6mLの35:65(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解して、16.7mg/mLの各構成成分の溶液を生成したこと、および薬物溶液が、1.5mLのtert-ブタノールに溶解した30mgのパクリタキセルからなることを除いて、実施例29の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を11.7%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例31)
TFS-2を含む35%パクリタキセルフィード(4mg/mL)
【0188】
100mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および100mgのトレハロースを、7mLの35:65(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解して、14.3mg/mLの各構成成分の溶液を生成したこと、および薬物溶液が、1.75mLのtert-ブタノールに溶解した35mgのパクリタキセルからなることを除いて、実施例29の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を14.3%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例32)
TFS-2を含む25%パクリタキセルフィード(5mg/mL)
【0189】
100mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および100mgのトレハロースを、3.75mLの35:65(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、26.7mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。得られた溶液のpHを25mM NaOHを用いてpH7.0に調節した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(25mg)を1.25mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌して、5mg/mLのパクリタキセル濃度を有する溶液を生成し、この溶液を次に、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を10.2%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例33)
TFS-2を含む30%パクリタキセルフィード(5mg/mL)
【0190】
100mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および100mgのトレハロースを、4.5mLの35:65(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解して、22.2mg/mLの各構成成分の溶液を生成したこと、および薬物溶液が、1.5mLのtert-ブタノールに溶解した30mgのパクリタキセルからなることを除いて、実施例32の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を11.5%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例34)
TFS-2を含む35%パクリタキセルフィード(5mg/mL)
【0191】
100mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))および100mgのトレハロースを、5.25mLの35:65(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解して、19.0mg/mLの各構成成分の溶液を生成したこと、および薬物溶液が、1.75mLのtert-ブタノールに溶解した35mgのパクリタキセルからなることを除いて、実施例32の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を13.1%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例35)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]を含み、凍結保護物質を含まない、2.5%パクリタキセルフィード
【0192】
200mgのポリ(Sar)125-ブロック-ポリ[(d-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]を10mLの40:60(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、20mg/mLのポリマーの溶液を生成した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(5mg)を0.25mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌し、次に、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を3.0%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例36)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]を含み、凍結保護物質を含まない、5.0%パクリタキセルフィード
【0193】
原薬溶液が、0.5mLのtert-ブタノールに溶解した10mgのパクリタキセルからなり、これをポリマー溶液に添加したことを除いて、実施例35の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を6.3%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例37)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]を含み、凍結保護物質を含まない、10.0%パクリタキセルフィード
【0194】
原薬溶液が、1.0mLのtert-ブタノールに溶解した20mgのパクリタキセルからなり、これをポリマー溶液に添加したことを除いて、実施例35の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を11.1%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例38)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]を含む、2.5%パクリタキセルフィード
【0195】
100mgのポリ(Sar)125-ブロック-ポリ[d-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]および100mgのトレハロースを5mLの40:60(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、20mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(2.5mg)を0.125mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌し、次に、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を1.6%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例39)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]を含む5%パクリタキセルフィード
【0196】
原薬溶液が、0.25mLのtert-ブタノールに溶解した5.0mgのパクリタキセルからなり、これをポリマーおよびトレハロースの溶液に添加したことを除いて、実施例38の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を1.9%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例40)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)15-co-L-Glu(OBn)15]を含む、10%パクリタキセルフィード
【0197】
原薬溶液が、0.5mLのtert-ブタノールに溶解した10.0mgのパクリタキセルからなり、これをポリマーおよびトレハロースの溶液に添加したことを除いて、実施例38の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を4.1%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例41)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]を含み、凍結保護物質を含まない、2.5%パクリタキセルフィード
【0198】
200mgのポリ(Sar)125-ブロック-ポリ[d-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]を10mLの40:60(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、20mg/mLのポリマーの溶液を生成した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(5mg)を0.25mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌し、次に、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を2.7%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例42)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]を含み、凍結保護物質を含まない、5.0%パクリタキセルフィード
【0199】
原薬溶液が、0.5mLのtert-ブタノールに溶解した10mgのパクリタキセルからなり、これをポリマー溶液に添加したことを除いて、実施例41の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を5.1%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例43)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]を含み、凍結保護物質を含まない、10.0%パクリタキセルフィード
【0200】
原薬溶液が、1.0mLのtert-ブタノールに溶解した20mgのパクリタキセルからなり、これをポリマー溶液に添加したことを除いて、実施例41の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を8.3%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例44)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]を含む、2.5%パクリタキセルフィード
【0201】
100mgのポリ(Sar)125-ブロック-ポリ[d-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]および100mgのトレハロースを5mLの40:60(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、20mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。これとは別に、超音波水浴を利用してパクリタキセル(2.5mg)を0.125mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌し、次に、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を1.4%の重量負荷のパクリタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例45)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]を含む、5%パクリタキセルフィード
【0202】
原薬溶液が、0.25mLのtert-ブタノールに溶解した5.0mgのパクリタキセルからなり、これをポリマーおよびトレハロースの溶液に添加したことを除いて、実施例44の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を2.5%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例46)
Sar125-b-p-[D-Glu(OBn)20-co-L-Glu(OBn)20]を含む、10%パクリタキセルフィード
【0203】
原薬溶液が、0.5mLのtert-ブタノールに溶解した10.0mgのパクリタキセルからなり、これをポリマーおよびトレハロースの溶液に添加したことを除いて、実施例44の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を4.3%の重量負荷のパクリタキセルを含有する白色固体として得た。
(実施例47)
TFS-3を含む、15%SN-38フィード
【0204】
トレハロース(8.0g)を400mLの水に溶解した後、2.0gのTFS-3(Sar235[D-Phe10-co-Tyr30])を加え、20mg/mLのトレハロースおよび5mg/mLのTFS-3の溶液を生成した。得られた溶液を1時間、撹拌した後、0.5μmのポリプロピレンフィルターによってろ過した。これとは別に、熱を利用してSN-38の溶液を3.75mLのDMSOに281mgを溶解することによって調製し、75mg/mLのストック溶液を生成した。10,000RPMでホモジナイザーを用いて、ポリマー/トレハロース溶液375mLをせん断混合しながら、SN-38ストック溶液を加え、この混合を1分間、継続した。得られた均一なエマルションを100PSIの入口圧、およびほぼ25,000PSIの操作圧で、マイクロフルイダイザー、補助処理チャンバ、次いで氷-水浴中で冷却した出口管を備える50μm X相互作用チャンバに2回、通して処理した。次に、mPES中空繊維フィルター(10kDa MWCO、790cmの表面積)を備えるタンジェンシャルフローろ過システムを使用し、300mL/分の流量で押出し溶液を20mg/mLのトレハロース2.5Lに対して透析ろ過した。次に、最終ポリマー濃度が約20mg/mLになるよう、この溶液を元の体積の約1/4まで濃縮した。次に、この製剤溶液を、20cmの表面積を有する0.2μmのPESフィルターに通してろ過した。ろ過した溶液を-80℃で凍結し、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製剤を5.73%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例48)
TFS-3を含む20%SN-38フィード
【0205】
合計で5.0mLのSN-38溶液(75mg/mL)を375mLのポリマー/トレハロース溶液と共にホモジナイズしたことを除いて、実施例47の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を7.54%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例49)
TFS-3を含む25%SN-38フィード
【0206】
合計で6.25mLのSN-38溶液(75mg/mL)を375mLのポリマー/トレハロース溶液と共にホモジナイズしたことを除いて、実施例47の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を9.35%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例50)
TFS-3を含む30%SN-38フィード
【0207】
合計で7.5mLのSN-38溶液(75mg/mL)を375mLのポリマー/トレハロース溶液と共にホモジナイズしたことを除いて、実施例47の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を11.64%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例51)
TFS-3を含む40%SN-38フィード
【0208】
合計で10.0mLのSN-38溶液(75mg/mL)を375mLのポリマー/トレハロース溶液と共にホモジナイズしたことを除いて、実施例47の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を14.80%のSN-38重量負荷を有する、断片化された黄色ケーキとして得た。
(実施例52)
Sar175-b-p-[D-Phe25-co-L-Glu(OBn)25]を含む、10%SN-38フィード
【0209】
トレハロース(750mg)を150mLの水に溶解した後、750mgのSar175-b-p-[D-Phe25-co-L-Glu(OBn)25]を加え、5mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。これとは別に、熱を利用してSN-38の溶液を1.0mLのDMSOに75mgを溶解することによって調製し、75mg/mLのストック溶液を生成した。10,000RPMでホモジナイザーを用いて、ポリマー/トレハロース溶液をせん断混合しながら、SN-38ストック溶液を加え、この混合を1分間、継続した。得られた均一なエマルションを100PSIの入口圧、およびほぼ25,000PSIの操作圧で、マイクロフルイダイザー、補助処理チャンバ、次いで氷-水浴中で冷却した出口管を備える50μm X相互作用チャンバに通して処理した。次に、mPES中空繊維フィルター(10kDa MWCO、790cmの表面積)を備えるタンジェンシャルフローろ過システムを使用し、300mL/分の流量で押出し溶液を5mg/mLのトレハロース1.2Lに対して透析ろ過した。製剤溶液の半分を-80℃で凍結し、2日間、凍結乾燥した。製剤のもう一方の半分を0.2μmのPESフィルターに通してろ過し、-80℃で凍結して、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製剤を、ろ過していない製剤の場合、2.8%、およびろ過した製剤の場合、0.3%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例53)
Sar175-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]を含む、10%SN-38フィード
【0210】
使用したポリマーをSar175-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]としたことを除いて、実施例52の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を、ろ過していない製剤の場合、4.2%、およびろ過した製剤の場合、4.1%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例54)
Sar175-b-p-[D-Phe25-co-L-Tyr15]を含む、10%SN-38フィード
【0211】
使用したポリマーをSar175-b-p-[D-Phe25-co-L-Tyr15]としたことを除いて、実施例52の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を、ろ過していない製剤の場合、4.1%、およびろ過した製剤の場合、0.5%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例55)
Sar175-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を含む、10%SN-38フィード
【0212】
使用したポリマーをSar175-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]としたことを除いて、実施例52の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を、ろ過していない製剤の場合、3.9%、およびろ過した製剤の場合、2.8%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例56)
Sar210-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を含む、15%SN-38フィード
【0213】
トレハロース(1.0g)を200mLの水に溶解した後、1.0gのSar210-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を加え、5mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。これとは別に、熱を利用してSN-38の溶液を2.0mLのDMSOに150mgを溶解することによって調製し、75mg/mLのストック溶液を生成した。10,000RPMでホモジナイザーを用いて、ポリマー/トレハロース溶液をせん断混合しながら、SN-38ストック溶液を加え、この混合を1分間、継続した。得られた均一なエマルションを100PSIの入口圧、およびほぼ25,000PSIの操作圧で、マイクロフルイダイザー、補助処理チャンバ、次いで氷-水浴中で冷却した出口管を備える50μm X相互作用チャンバに通して処理した。次に、mPES中空繊維フィルター(10kDa MWCO、790cmの表面積)を備えるタンジェンシャルフローろ過システムを使用し、300mL/分の流量で、ほぼ120mLの押出し溶液を5mg/mLのトレハロース600mLに対して透析ろ過した。この製剤を0.45μmのPVDFフィルターに通して、次に0.2μmのPESフィルターに通してろ過し、-80℃で凍結して、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製剤を5.0%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例57)
Sar175-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]を含む、15%SN-38フィード
【0214】
使用したポリマーをSar175-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]としたことを除いて、実施例56の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を4.9%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例58)
Sar175-b-p-[D-Phe-co-L-Tyr35]を含む、15%SN-38フィード
【0215】
使用したポリマーをSar175-b-p-[D-Phe-co-L-Tyr35]としたことを除いて、実施例56の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を2.9%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例59)
Sar210-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を含む、10%SN-38フィード
【0216】
トレハロース(1.0g)を200mLの水に溶解した後、1.0gのSar210-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を加え、5mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。溶解を支援するため、ポリマー/トレハロース溶液を約30分間、65℃に加熱した。これとは別に、熱を利用してSN-38の溶液を1.33mLのDMSOに100mgを溶解することによって調製し、75mg/mLのストック溶液を生成した。10,000RPMでホモジナイザーを用いて、ポリマー/トレハロース溶液をせん断混合しながら、SN-38ストック溶液を加え、この混合を1分間、継続した。得られた均一なエマルションを100PSIの入口圧、およびほぼ25,000PSIの操作圧で、マイクロフルイダイザー、補助処理チャンバ、次いで氷-水浴中で冷却した出口管を備える50μm X相互作用チャンバに通して処理した。次に、mPES中空繊維フィルター(10kDa MWCO、790cmの表面積)を備えるタンジェンシャルフローろ過システムを使用し、300mL/分の流量で、ほぼ120mLの押出し溶液を5mg/mLのトレハロース600mLに対して透析ろ過した。この製剤を0.45μmのPVDFフィルターに通して、次に0.2μmのPESフィルターに通してろ過し、-80℃で凍結して、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製剤を3.8%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例60)
Sar210-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]を含む、10%SN-38フィード
【0217】
使用したポリマーをSar210-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]としたことを除いて、実施例59の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を3.4%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例61)
Sar210-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を含む、15%SN-38フィード
【0218】
トレハロース(1.0g)を200mLの水に溶解した後、1.0gのSar210-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を加え、5mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。溶解を支援するため、ポリマー/トレハロース溶液を一晩、撹拌し、次に、0.2μmのPESフィルターに通してろ過した。これとは別に、熱を利用してSN-38の溶液を2.0mLのDMSOに150mgを溶解することによって調製し、75mg/mLのストック溶液を生成した。10,000RPMでホモジナイザーを用いて、ポリマー/トレハロース溶液をせん断混合しながら、SN-38ストック溶液を加え、この混合を1分間、継続した。得られた均一なエマルションを100PSIの入口圧、およびほぼ25,000PSIの操作圧で、マイクロフルイダイザー、補助処理チャンバ、次いで氷-水浴中で冷却した出口管を備える50μm X相互作用チャンバに通して処理した。次に、mPES中空繊維フィルター(10kDa MWCO、790cmの表面積)を備えるタンジェンシャルフローろ過システムを使用し、300mL/分の流量で、ほぼ120mLの押出し溶液を5mg/mLのトレハロース600mLに対して透析ろ過した。この製剤を0.45μmのPVDFフィルターに通して、次に0.2μmのPESフィルターに通してろ過し、-80℃で凍結して、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製剤を1.4%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例62)
Sar210-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]を含む、15%SN-38フィード
【0219】
使用したポリマーをSar210-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30]としたことを除いて、実施例61の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を3.0%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例63)
Sar235-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を含む、15%SN-38フィード
【0220】
使用したポリマーをSar235-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]としたことを除いて、実施例61の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を1.6%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例64)
TFS-3(Sar235-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30])を含む、15%SN-38フィード
【0221】
使用したポリマーをTFS-3(Sar235-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30])としたことを除いて、実施例61の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を3.7%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例65)
Sar235-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を含む、6%SN-38フィード
【0222】
トレハロース(1.0g)を200mLの水に溶解した後、1.0gのSar235-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を加え、5mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。溶解を支援するため、ポリマー/トレハロース溶液を一晩、撹拌し、次に、0.8/0.45μmのPESフィルターに通してろ過した。これとは別に、熱を利用してSN-38の溶液を0.6mLのDMSOに45mgを溶解することによって調製し、75mg/mLのストック溶液を生成した。10,000RPMでホモジナイザーを用いて、ろ過したポリマー/トレハロース溶液150mLをせん断混合しながら、SN-38ストック溶液を加え、この混合を1分間、継続した。得られた均一なエマルションを100PSIの入口圧、およびほぼ25,000PSIの操作圧で、マイクロフルイダイザー、補助処理チャンバ、次いで氷-水浴中で冷却した出口管を備える50μm X相互作用チャンバに通して処理した。次に、mPES中空繊維フィルター(10kDa MWCO、790cmの表面積)を備えるタンジェンシャルフローろ過システムを使用し、300mL/分の流量で、ほぼ120mLの押出し溶液を5mg/mLのトレハロース600mLに対して透析ろ過した。この製剤を0.45μmのPVDFフィルターに通して、次に0.2μmのPESフィルターに通してろ過し、-80℃で凍結して、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製剤を2.02%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例66)
Sar235-b-p-[D-Phe15-co-L-Tyr25]を含む、8%SN-38フィード
【0223】
SN-38溶液が、0.8mLのDMSOに溶解した60mgからなることを除いて、実施例65の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を2.49%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例67)
TFS-3(Sar235-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30])を含む、6%SN-38フィード
【0224】
使用したポリマーをTFS-3(Sar235-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30])としたことを除いて、実施例65の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を2.35%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例68)
TFS-3(Sar235-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30])を含む、8%SN-38フィード
【0225】
使用したポリマーをTFS-3(Sar235-b-p-[D-Phe10-co-L-Tyr30])とし、SN-38溶液が、0.8mLのDMSOに溶解した60mgからなることを除いて、実施例65の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製剤を2.88%のSN-38重量負荷を有する、断片化されたわずかに黄色のケーキとして得た。
(実施例69)
(Sar125-b-p-[D-Phe20-co-L-Tyr15])を含む、15%カバジタキセルフィード
【0226】
100mgのポリ(Sar)125-ブロック-ポリ(d-Leu20-co-Tyr15)および100mgのトレハロースを、10mLの40:60(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、10mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。これとは別に、超音波水浴を利用してカバジタキセル(15mg)を1.65mLのtert-ブタノール中の13%(v/v)DMSOに溶解し、9mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌し、次に、0.22μmのPVDFフィルターに通してろ過した。製剤溶液を-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を1.82%の重量負荷のカバジタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例70)
(Sar175-b-p-[D-Glu(OBn)25-co-L-Glu(OBn)15])を含む、15%カバジタキセルフィード
【0227】
使用したポリマーをポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Glu(OBn)25-co-L-Glu(OBn)25)としたことを除いて、実施例69の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を2.22%の重量負荷のカバジタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例71)
TFS-2(Sar175-b-p-[D-Leu30-co-L-Tyr20])を含む、15%カバジタキセルフィード
【0228】
使用したポリマーをTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(D-Leu30-co-L-Tyr20))としたことを除いて、実施例69の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を2.00%の重量負荷のカバジタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例72)
TFS-1(Sar175-b-p-[D-Leu35-co-L-Tyr25])を含む、15%カバジタキセルフィード
【0229】
使用したポリマーをTFS-1(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(D-Leu35-co-L-Tyr25))としたことを除いて、実施例69の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を1.84%の重量負荷のカバジタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例73)
TFS-2(Sar175-b-p-[D-Leu30-co-L-Tyr20])を含む、10%カバジタキセルフィード
【0230】
磁気撹拌子を装備したビーカーに200mgのTFS-2(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(d-Leu30-co-Tyr20))を入れ、100mLのDI水に溶解した。これとは別に、カバジタキセル(20mg)を2mLのジクロロメタンに溶解した。水溶液を激しく撹拌し、有機相をほぼ1分かけて滴下して加えた。この溶液を一晩、撹拌して、ジクロロメタンを蒸発させた。得られた溶液をμmのPVDFフィルターに通して真空でろ過し、-80℃で凍結して、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を0.77%の重量負荷のカバジタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例74)
TFS-1(Sar175-b-p-[D-Leu35-co-L-Tyr25])を含む、10%カバジタキセルフィード
【0231】
使用したポリマーをTFS-1(ポリ(Sar)175-ブロック-ポリ(D-Leu35-co-L-Tyr25))としたことを除いて、実施例73の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を1.04%の重量負荷のカバジタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例75)
(Sar125-b-p-[D-Leu20-co-L-Tyr15])を含む、5%ドセタキセルフィード
【0232】
100mgのポリ(Sar)125-ブロック-ポリ(d-Leu20-co-Tyr15)および100mgのトレハロースを、10mLの40:60(v/v)のtert-ブタノール:水に溶解し、10mg/mLの各構成成分の溶液を生成した。これとは別に、超音波水浴を利用してドセタキセル(5mg)を0.25mLのtert-ブタノールに溶解し、20mg/mLの溶液を生成した。2つの溶液を混合し、15分間、撹拌して、-80℃で凍結し、次に、2日間、凍結乾燥した。これによって、薬物製品を2.36%の重量負荷のドセタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例76)
(Sar125-b-p-[D-Leu20-co-L-Tyr15])を含む、10%ドセタキセルフィード
【0233】
薬物溶液が、0.5mLのtert-ブタノールにドセタキセル(10mg)を溶解することによって調製したことを除いて、実施例75の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を4.76%の重量負荷のドセタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
(実施例77)
(Sar125-b-p-[D-Leu20-co-L-Tyr15])を含む、15%ドセタキセルフィード
【0234】
薬物溶液が、0.5mLのtert-ブタノールにドセタキセル(10mg)を溶解することによって調製したことを除いて、実施例75の一般的な方法を使用する。これによって、薬物製品を6.98%の重量負荷のドセタキセルを含有する断片化された白色ケーキとして得た。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
式I:
【化18】

のマルチブロックコポリマーであって、式中、
1aは、Hまたは必要に応じて置換されている脂肪族基であり、
1bは、Hまたは必要に応じて置換されている脂肪族基であり、
は、H、必要に応じて置換されている脂肪族基または必要に応じて置換されているCO-(C1~C6)脂肪族基であり、
はそれぞれ、独立して、D-アミノ酸側鎖であり、
はそれぞれ、独立して、L-アミノ酸側鎖であり、
xは、125~350であり、
yは、5~35であり、
zは、5~35である、
マルチブロックコポリマー。
(項目2)
がそれぞれ、独立して、γ-ベンジル-D-グルタミン酸、D-ロイシン、D-チロシン、D-フェニルアラニン、D-アラニン、D-バリン、D-イソロイシン、D-ノルロイシン、O-アセチル-D-チロシン、O-ベンジル-D-チロシンまたはε-ベンジル-D-リシンの側鎖であり、
がそれぞれ、独立して、γ-ベンジル-L-グルタミン酸、L-ロイシン、L-チロシン、L-フェニルアラニン、L-アラニン、L-バリン、L-イソロイシン、L-ノルロイシン、O-アセチル-L-チロシン、O-ベンジル-L-チロシンまたはε-ベンジル-L-リシンの側鎖である、項目1に記載のマルチブロックコポリマー。
(項目3)
がそれぞれ、独立して、γ-ベンジル-D-グルタミン酸、D-ロイシン、D-チロシンまたはD-フェニルアラニンの側鎖であり、
がそれぞれ、独立して、γ-ベンジル-L-グルタミン酸、L-ロイシン、L-チロシンまたはL-フェニルアラニンの側鎖である、項目1に記載のマルチブロックコポリマー。
(項目4)
がそれぞれ、D-ロイシンの側鎖であり、
がそれぞれ、L-チロシンの側鎖である、項目1に記載のマルチブロックコポリマー。
(項目5)
1aが、Hであり、
1bが、ベンジル基、メトキシベンジル基、ネオペンチル基またはヘキシル基であり、
が、HまたはCOCHである、項目1から4のいずれか一項に記載のマルチブロックコポリマー。
(項目6)
以下の構造:
【化19】

を有するマルチブロックコポリマー。
(項目7)
以下の構造:
【化20】

を有するマルチブロックコポリマー。
(項目8)
以下の構造:
【化21】

を有するマルチブロックコポリマー。
(項目9)
以下の構造:
【化22】

を有するマルチブロックコポリマー。
(項目10)
以下の構造:
【化23】

を有するマルチブロックコポリマー。
(項目11)
以下の構造:
【化24】

によるマルチブロックコポリマー。
(項目12)
項目1から11のいずれか一項に記載のマルチブロックコポリマー、および1種または複数の疎水性分子を含む組成物。
(項目13)
前記疎水性分子が、前記組成物の約1重量%~約25重量%の量で存在する、項目12に記載の組成物。
(項目14)
前記疎水性分子が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセルもしくはSN-38、またはそれらの化合物の薬学的に許容される塩である、項目12または13に記載の組成物。
(項目15)
凍結保護物質をさらに含む、項目12から14のいずれか一項に記載の組成物。
(項目16)
前記凍結保護物質が、グリシン、ポリビニルピロリジン、ポリエチレングリコール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、ラフィノース、スクラロース、ラクトース、トレハロース、デキストランまたはデキストロースである、項目15に記載の組成物。
(項目17)
前記凍結保護物質がトレハロースである、項目16に記載の組成物。
(項目18)
凍結乾燥粉末の形態にある、項目12から18のいずれか一項に記載の組成物。
(項目19)
薬学的に許容されるビヒクルをさらに含む、項目12から18のいずれか一項に記載の組成物。
(項目20)
前記ビヒクルが、水、1,3-ブタンジオール、リンゲル液または等張性塩化ナトリウム溶液から選択される、項目19に記載の組成物。
(項目21)
水溶液中での疎水性分子の溶解度を増大させる方法であって、項目1から11のいずれか一項に記載のマルチブロックコポリマー中に前記疎水性分子を封入するステップを含む、方法。
(項目22)
a. 水溶液中に前記マルチブロックコポリマーを提供するステップ、
b. 有機溶液中に前記疎水性分子を提供するステップ、
c. 前記水溶液および前記有機溶液を混合して、エマルションを生成するステップ、
d. 前記エマルションから上清を採取するステップ、
e. 前記上清から乾燥粉末を生成するステップ、ならびに
f. 前記乾燥粉末を可溶化するステップ
を含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記水溶液および前記有機溶液がホモジナイザーを用いて混合される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記エマルションが、マイクロフルイダイザーを使用して処理されて、押出し溶液を生成する、項目22または23に記載の方法。
(項目25)
前記押出し溶液をろ過して、前記上清を採取するステップをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
凍結保護物質が、前記水溶液、前記上清、またはそれら両方に添加される、項目22から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記凍結保護物質が、グリシン、ポリビニルピロリジン、ポリエチレングリコール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、ラフィノース、スクラロース、ラクトース、トレハロース、デキストランまたはデキストロースである、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記乾燥粉末が凍結乾燥により生成される、項目22から26のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記疎水性分子が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセルもしくはSN-38、またはそれらの化合物の薬学的に許容される塩である、項目21から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
a)疎水性分子、式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質を水性tert-ブタノールに溶解し、これによって混合溶液を形成するステップ、ならびに
b)必要に応じて、前記混合溶液を凍結乾燥するステップ
を含む、項目12から18のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
(項目31)
a)疎水性分子をtert-ブタノールに溶解し、これによって疎水性分子溶液を形成するステップ、
b)式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質をtert-ブタノール水溶液に溶解し、これによってコポリマー溶液を形成するステップ、
c)前記疎水性分子溶液と前記コポリマー溶液とを混合し、これによって、混合溶液を形成するステップ、ならびに
d)必要に応じて、前記混合溶液を凍結乾燥するステップ
を含む、項目12から18のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
(項目32)
a)疎水性分子をtert-ブタノールに溶解し、これによってパクリタキセル溶液を形成するステップ、
b)式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質をtert-ブタノール水溶液に溶解し、これによってコポリマー溶液を形成するステップ、
c)前記疎水性分子の溶液と前記コポリマー溶液とを混合し、これによって、混合溶液を形成するステップ、
d)前記混合溶液をろ過し、これによってろ過した溶液を形成するステップ、
e)前記ろ過した溶液を、必要に応じて凍結乾燥するステップ
を含む、項目12から18のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
(項目33)
a. 疎水性分子、式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質を水溶液に溶解し、これによって混合溶液を形成するステップ、
b. 高せん断ミキサーによって前記混合溶液を処理し、これによって、高せん断ミキサー溶液を形成するステップ、ならびに
c. 前記高せん断ミキサー溶液を必要に応じて凍結乾燥するステップ
を含む、項目12から18のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
(項目34)
a. 疎水性分子を有機溶媒に溶解し、これによって、疎水性分子溶液を形成するステップ、
b. 式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質を水溶液に溶解し、これによってコポリマー溶液を形成するステップ、
c. 前記疎水性分子溶液と前記コポリマー溶液とを混合し、これによって、混合溶液を形成するステップ、
d. 高せん断ミキサーによって前記混合溶液を処理し、これによって、高せん断ミキサー溶液を形成するステップ、ならびに
e. 前記高せん断ミキサー溶液を必要に応じて凍結乾燥するステップ
を含む、項目12から18のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
(項目35)
a. 疎水性分子を有機溶媒に溶解し、これによって、疎水性分子溶液を形成するステップ、
b. 式Iのコポリマー、および必要に応じて凍結保護物質を水溶液に溶解し、これによってコポリマー溶液を形成するステップ、
c. 前記疎水性分子溶液と前記コポリマー溶液とを混合し、これによって、混合溶液を形成するステップ、
d. 高せん断ミキサーによって前記混合溶液を処理し、これによって、高せん断ミキサー溶液を形成するステップ、
e. 透析ろ過システムを用いて前記高せん断ミキサー溶液を処理し、これによって透析ろ過した溶液を形成するステップ、
f. 前記透析ろ過した溶液をろ過し、これによって、ろ過した溶液を形成するステップ、ならびに
g. 前記ろ過した溶液を必要に応じて凍結乾燥するステップ
を含む、項目12から18のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
図1
【外国語明細書】