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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166368
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/12 20060101AFI20241121BHJP
   B41F 15/36 20060101ALI20241121BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20241121BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B41F15/12 A
B41F15/36 A
B41F15/08 303E
H05K3/12 610N
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161201
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2021011275の分割
【原出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 聖弥
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 亮
(57)【要約】
【課題】基板の反りをより効果的に矯正でき、基板とマスクとの密着性を向上させて高品質な印刷を実現できる。
【解決手段】スクリーン印刷装置は、所定位置に基板を搬送する一対の基板搬送コンベアと、所定位置の基板を下方から支持する下受け部材と、基板の対向する側辺を保持する一対の基板クランプ部材と、一対の基板搬送コンベアの間に配置され、負圧源の駆動により側辺と交差する方向に沿う所定の吸着領域でマスクを吸着するマスク吸着部と、パターン孔が形成されたマスクに基板を接触させて、パターン孔を介してペーストを基板に印刷する印刷部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に基板を搬送する一対の基板搬送コンベアと、
前記所定位置の基板を下方から支持する下受け部材と、
前記基板の対向する側辺を保持する一対の基板クランプ部材と、
少なくとも1つのマスク吸着ユニットにより構成され、前記一対の基板搬送コンベアの間に配置され、負圧源の駆動により前記側辺と交差する方向に沿う所定の吸着領域でマスクを吸着するマスク吸着部と、
パターン孔が形成された前記マスクに前記基板を接触させて、前記パターン孔を介してペーストを前記基板に印刷する印刷部と、
前記マスク吸着ユニットを昇降可能に移動させる昇降部と、をさらに備え、
前記マスク吸着部は、前記マスクと接触する接触面に少なくとも1つの第1の吸引孔を有し、
前記昇降部は、前記下受け部材の設置面と同じ面上に配置される、
スクリーン印刷装置。
【請求項2】
所定位置に基板を搬送する一対の基板搬送コンベアと、
前記所定位置の基板を下方から支持する下受け部材と、
前記基板の対向する側辺を保持する一対の基板クランプ部材と、
少なくとも1つのマスク吸着ユニットにより構成され、前記一対の基板搬送コンベアの間に配置され、負圧源の駆動により前記側辺と交差する方向に沿う所定の吸着領域でマスクを吸着するマスク吸着部と、
パターン孔が形成された前記マスクに前記基板を接触させて、前記パターン孔を介してペーストを前記基板に印刷する印刷部と、
前記マスク吸着ユニットを昇降可能に移動させる昇降部と、をさらに備え、
前記マスク吸着部は、前記マスクに接触し、前記マスクを吸着可能な少なくとも1つの第1の吸引孔の個数または配置に基づく前記吸着領域を有し、
前記マスク吸着部は、前記マスクと接触する接触面に少なくとも1つの前記第1の吸引孔を有し、
前記昇降部は、前記下受け部材の設置面と同じ面上に配置される、
スクリーン印刷装置。
【請求項3】
複数の前記マスク吸着ユニットのそれぞれは、互いに結合されて1つの前記マスク吸着部を構成し、少なくとも1つの前記マスク吸着ユニットが前記負圧源と接続されて前記マスクを吸着する、
請求項1または2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記マスク吸着ユニットは、前記マスク吸着ユニットの内部に前記接触面に沿う空間を有し、前記空間によって前記第1の吸引孔と前記負圧源とを接続する吸引路を形成する、
請求項3に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記マスク吸着部は、2つ以上の前記マスク吸着ユニットにより構成される場合、前記2つ以上の前記マスク吸着ユニットのそれぞれが個別に前記負圧源と接続されて前記マスクを吸着する、
請求項1または2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
前記昇降部は、前記設置面と接触する面に磁性体を有する、
請求項5に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項7】
前記一対の基板クランプ部材のそれぞれに設けられ、前記側辺の方向に沿って前記マスクを吸着する複数の第2の吸引孔と、をさらに備え、
前記第1の吸引孔と前記第2の吸引孔とは前記負圧源に接続されて前記マスクを吸着する、
請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項8】
前記第1の吸引孔は、前記マスクの前記パターン孔の位置に対応する位置に配置される、
請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する部品実装ラインのスクリーン印刷装置は、基板に部品を結合するためのはんだを供給するためのスクリーン印刷を行う。スクリーン印刷装置は、保持部材によって基板の両側を保持した状態で基板を上昇させて、マスク下面に基板上面を接触させる。スクリーン印刷装置は、保持部材に形成された吸引孔によってマスクを吸引し、マスクと基板とを密着させることでマスクと基板との間の密着性を十分確保した上で、スキージをマスク上で摺動させることによりマスク開口部を介してはんだ供給対象である基板上のランドにはんだを転写する。
【0003】
このようなスクリーン印刷方法において、スクリーン印刷装置は、基板の反り部分がマスク吸引の吸引位置に近い場合には、基板クランプ部材を用いてマスクを吸引することで基板の反りを矯正する。しかし、基板の反り部分がマスク吸着の吸引位置から遠い場合には、スクリーン印刷装置は、基板クランプ部材を用いたマスクの吸引によって基板の反りを矯正することが困難であり、この基板の反りによってマスクと基板との間の密着性を十分に得られない。このため、スクリーン印刷装置は、マスクと基板との間のギャップにはんだが侵入した状態で基板上のランドにはんだが転写されることで印刷不良が生じることがあった。
【0004】
このような印刷不良を防ぐため、特許文献1は、基板保持部材で保持されていない基板の一対の側辺の外側にマスク支持面を配置し、基板の下面を支持する基板支持面とマスク支持面とが一体化した凹状の基板支持台により、基板保持部材と凹状部材の一部であるマスク支持面とでマスクを吸着し、マスクと基板との間の密着性を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-179669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のスクリーン印刷装置は、マスク支持面と基板支持面とが一体化した凹状の基板支持台が使用されるため、基板の寸法に対応して異なる大きさの基板支持台を複数作成する必要があり、コストが増大するという問題がある。
【0007】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、基板の反りをより効果的に矯正でき、基板とマスクとの密着性を向上させて高品質な印刷を実現できるスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、所定位置に基板を搬送する一対の基板搬送コンベアと、前記所定位置の基板を下方から支持する下受け部材と、前記基板の対向する側辺を保持する一対の基板クランプ部材と、少なくとも1つのマスク吸着ユニットにより構成され、前記一対の基板搬送コンベアの間に配置され、負圧源の駆動により前記側辺と交差する方向に沿う所定の吸着領域でマスクを吸着するマスク吸着部と、パターン孔が形成された前記マスクに前記基板を接触させて、前記パターン孔を介してペーストを前記基板に印刷する印刷部と、前記マスク吸着ユニットを昇降可能に移動させる昇降部と、をさらに備え、前記マスク吸着部は、前記マスクと接触する接触面に少なくとも1つの第1の吸引孔を有し、前記昇降部は、前記下受け部材の設置面と同じ面上に配置される、スクリーン印刷装置を提供する。
【0009】
また、本開示は、所定位置に基板を搬送する一対の基板搬送コンベアと、前記所定位置の基板を下方から支持する下受け部材と、前記基板の対向する側辺を保持する一対の基板クランプ部材と、少なくとも1つのマスク吸着ユニットにより構成され、前記一対の基板搬送コンベアの間に配置され、負圧源の駆動により前記側辺と交差する方向に沿う所定の吸着領域でマスクを吸着するマスク吸着部と、パターン孔が形成された前記マスクに前記基板を接触させて、前記パターン孔を介してペーストを前記基板に印刷する印刷部と、前記マスク吸着ユニットを昇降可能に移動させる昇降部と、をさらに備え、前記マスク吸着部は、前記マスクに接触し、前記マスクを吸着可能な少なくとも1つの第1の吸引孔の個数または配置に基づく前記吸着領域を有し、前記マスク吸着部は、前記マスクと接触する接触面に少なくとも1つの前記第1の吸引孔を有し、前記昇降部は、前記下受け部材の設置面と同じ面上に配置される、スクリーン印刷装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の反りをより効果的に矯正でき、基板とマスクとの密着性を向上させて高品質な印刷を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係るスクリーン印刷装置の正面図
図2A】実施の形態に係るスクリーン印刷装置の部分平面図
図2B】実施の形態に係るスクリーン印刷装置の部分平面図
図3】実施の形態に係るスクリーン印刷装置の部分側面図
図4A】実施の形態におけるマスク吸着部の第1構成例を示す図
図4B】実施の形態におけるマスク吸着部の第2構成例を示す図
図4C】実施の形態におけるマスク吸着部の第3構成例を示す図
図4D】実施の形態におけるマスク吸着部の第4構成例を示す図
図4E】実施の形態におけるマスク吸着部の第5構成例を示す図
図4F】実施の形態におけるマスク吸着部の第6構成例を示す図
図4G】実施の形態におけるマスク吸着部の第7構成例を示す図
図5図4Cおよび図4Eに示すマスク吸着部の斜視図
図6図5に示すマスク吸着部のS-S断面図
図7図5に示すマスク吸着部のT-T断面図
図8】実施の形態におけるマスク吸着ユニットの結合例を説明する図
図9】実施の形態におけるマスク吸着部の吸着動作例を説明する図
図10】実施の形態におけるマスク吸着部の吸着動作例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るスクリーン印刷装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
また、方向を示す矢印が記された各図において、X軸は奥行き方向を示す。Y軸は左右方向を示す。Z軸は上下方向(垂直方向)を示す。X軸およびY軸は、互いに直交して水平面に含まれる。Z軸は、鉛直面に含まれる。
【0014】
まず、図1図2Aおよび図2Bを参照して、スクリーン印刷装置1の構造を説明する。図1は、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1の正面図である。図2Aは、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1の部分平面図である。図2Bは、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1の部分平面図である。
【0015】
図1において、スクリーン印刷装置1は、基板保持ステージ移動機構2と、スクリーン印刷部3と、基板保持ステージ4とを含み、基板保持ステージ移動機構2によりZ軸方向および-Z軸方向に昇降される基板保持ステージ4の上方にスクリーン印刷部3が配置されて構成される。
【0016】
基板保持ステージ移動機構2は、基板保持ステージ4を水平面内(XY平面内)で移動または回転させるとともに、基板保持ステージ4を上下方向(Z軸方向)に移動させる。基板保持ステージ4は、第1のベースプレート5と、垂直フレーム6と、基板搬送機構7と、下受け部材昇降機構9と、第2のベースプレート10と、下受け部材12と、により構成される。第1のベースプレート5は、基板保持ステージ移動機構2によって水平面内(XY平面内)に移動または回転、および上下方向(Z軸方向)に移動される。垂直フレーム6および下受け部材昇降機構9は、第1のベースプレート5の上面側に配置される。基板搬送機構7は、垂直フレーム6の上端部に保持される。基板クランプ機構8は、基板搬送機構7の上方に配置される。第2のベースプレート10は、下受け部材昇降機構9によって上下方向(Z軸方向)に昇降される。下受け部材12は、第2のベースプレート10の上面に配置され、基板搬送機構7により搬送された基板11の下面を下方から支持する。
【0017】
基板搬送機構7は、X軸方向に沿って互いに平行に配置された2条の基板搬送コンベア7aを備え、基板11の下面の対向する両端を基板搬送コンベア7aによって下方から支持して、所定の基板搬送位置まで基板11を搬送する。基板搬送機構7は、上流側(-X軸方向)から下流側(X軸方向)に向かって基板11を搬送する。上流側から搬入された基板11は、基板搬送機構7によって所定の基板搬送位置まで搬送され、基板保持ステージ移動機構2によって位置決めされる。なお、基板11は、スクリーン印刷部3によるスクリーン印刷処理が行われた後、基板搬送機構7によって下流側に搬送される。
【0018】
スクリーン印刷装置1は、基板保持ステージ移動機構2を駆動させて、基板保持ステージ4の第1のベースプレート5を上下方向(Z軸方向あるいは-Z軸方向)に上昇させる。スクリーン印刷装置1は、第1のベースプレート5を上方向(Z軸方向)に上昇させることで、第1のベースプレート5と一体的に構成された基板搬送機構7によって保持された基板11を、スクリーン印刷部3のマスク13が保持された高さ(マスク13の下面が位置する高さであり、例えば図9に示す高さH0)まで上昇させることができる。
【0019】
マスク吸着部20は、下受け部材昇降機構9によって昇降される第2のベースプレート10の上面に配置され、負圧源30と接続された少なくとも1つのマスク吸着ユニット20aにより構成される。マスク吸着部20は、接続された負圧源30の駆動により生じた負圧でマスク13を吸着する。
【0020】
マスク吸着ユニット20aの上面は、図2Bに示すように、マスク13の下面と接触する接触面20dを有する。接触面20dは、マスク13を吸着するための吸引孔20bを備える。なお、本実施の形態における吸引孔20bの形状は、一例として円形である例を示すが、例えば楕円、矩形等の他の形状であってもよい。吸引孔20bは、マスク吸着ユニット側穴部20kと連通し、このマスク吸着ユニット側穴部20kに接続された吸引管20cにより負圧源30との間で接続される。吸引孔20bは、負圧源30の駆動によりマスク吸着ユニット側穴部20kおよび吸引管20cの内部が負圧となり、接触面20dの上方に位置する、または接触面20dと接触するマスク13の下面を吸引して吸着する。マスク吸着部20は、基板11の搬送方向(X軸方向)に沿って下受け部材12(図3参照)を挟むように配置される。
【0021】
ここで、図6および図8を参照して、マスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの各種構造について説明する。本実施の形態におけるマスク吸着ユニット20aは、吸引孔20b、マスク吸着ユニット側穴部20k、吸引路20f、凸部20oあるいは凹部20p等の有無、形状が異なる3種類のマスク吸着ユニット20a1,20a2,20a3が使用される。
【0022】
マスク吸着ユニット20a1は、図6に示すように、マスク13の下面と接触する接触面20dを有する。接触面20dは、マスク吸着ユニット20a1の上面に形成され、マスク13の下面を吸着するための吸引孔20bを備える。吸引孔20bは、-Z軸方向に延伸して形成されて接触面20dの略平行方向に沿って形成されたマスク吸着ユニット側穴部20kと連通する。吸引孔20bは、吸引管20cおよびマスク吸着ユニット側穴部20kにより負圧源30との間で接続されて、負圧源30の駆動により吸引管20cおよびマスク吸着ユニット側穴部20kの内部が負圧となり、接触面20dの上方に位置する、または接触面20dと接触するマスク13の下面を吸着する。なお、本実施の形態における吸引孔20bの形状は、一例として円形である例を示すが、例えば楕円、矩形等の他の形状であってもよい。
【0023】
マスク吸着ユニット20a1が負圧源30に最も近い位置に配置された場合、マスク吸着ユニット側穴部20kにより形成された2つの貫通孔のうち一方の貫通孔(つまり、図6においてY軸方向側に位置する貫通孔)は、吸引管20cが接続されて、吸引孔20bでの吸引(吸着)を実行可能にする吸引路20fとして機能する。また、マスク吸着部20が2個以上のマスク吸着ユニット20aにより構成される場合、マスク吸着ユニット側穴部20kにより形成された2つの貫通孔のうち他方の貫通孔(つまり、図6において-Y軸方向側に位置する貫通孔)は、次に接続されたマスク吸着ユニット20a(つまり、負圧源30から遠ざかる方向に接続された他のマスク吸着ユニット20a)のマスク吸着ユニット側穴部20kと負圧源30とを、Y軸方向に貫通して形成されたマスク吸着ユニット側穴部20kにより空間的に接続して、吸引路20f(図6参照)を形成する。なお、マスク吸着ユニット20a1は、マスク吸着部20が2個のマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される場合には負圧源30から最も近い位置に配置され、マスク吸着部20が3個以上のマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される場合には負圧源30から最も遠い端部以外に配置される。
【0024】
マスク吸着ユニット20a2は、図6に示すように、マスク13の下面と接触する接触面20dを有する。接触面20dは、マスク吸着ユニット20a2の上面に形成され、マスク13の下面を吸着するための吸引孔20bを備える。吸引孔20bは、-Z軸方向に延伸して形成されて接触面20dの略平行方向に沿って形成されたマスク吸着ユニット側穴部20kと連通する。マスク吸着ユニット20a2におけるマスク吸着ユニット側穴部20kは、マスク吸着ユニット20a2をY軸方向に半貫通して形成される。吸引孔20bは、吸引管20cおよびマスク吸着ユニット側穴部20kにより負圧源30との間で接続されて、負圧源30の駆動により吸引管20cの内部が負圧となり、接触面20dの上方に位置する、または接触面20dと接触するマスク13の下面を吸着する。
【0025】
マスク吸着ユニット20a2が負圧源30に最も近い位置に配置された場合、マスク吸着ユニット側穴部20kにより形成された貫通孔は、吸引管20cが接続されて、吸引孔20bでの吸引(吸着)を実行可能にする吸引路20fとして機能する。また、マスク吸着ユニット側穴部20kにより形成された貫通孔は、マスク吸着部20が2個のマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される場合、負圧源30から最も遠い位置に配置されて、手前側(つまり、負圧源30側)に接続されたマスク吸着ユニット20aのマスク吸着ユニット側穴部20kの貫通孔と空間的に接続される。
【0026】
マスク吸着ユニット20a3は、図6に示すように、マスク13の下面と接触する接触面20dを有し、接触面20dの略平行方向に沿って形成され、マスク吸着ユニット20a3をY軸方向に貫通するマスク吸着ユニット側穴部20kと連通する。
【0027】
マスク吸着ユニット20a3が負圧源30に最も近い位置に配置された場合、マスク吸着ユニット側穴部20kにより形成された2つの貫通孔のうち一方の貫通孔(つまり、図6においてY軸方向側に位置する貫通孔)は、吸引管20cが接続されて吸引路20fとして機能する。また、マスク吸着部20が2個以上のマスク吸着ユニット20aにより構成される場合、マスク吸着ユニット側穴部20kにより形成された2つの貫通孔のうち他方の貫通孔(つまり、図6において-Y軸方向側に位置する貫通孔)は、次に接続されたマスク吸着ユニット20a(つまり、負圧源30から遠ざかる方向に接続された他のマスク吸着ユニット20a)のマスク吸着ユニット側穴部20kと負圧源30とを、Y軸方向に貫通して形成されたマスク吸着ユニット側穴部20kにより空間的に接続して、他のマスク吸着ユニット20a1,20a2のマスク吸着ユニット側穴部20kと接続されて吸引路20f(図6参照)を形成する。なお、マスク吸着ユニット20a3は、マスク吸着部20が2個のマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される場合には負圧源30から最も近い位置に配置され、マスク吸着部20が3個以上のマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される場合には負圧源30から最も遠い端部位置以外に配置される。
【0028】
以上により、マスク吸着部20は、1つ以上のマスク吸着ユニット20a(具体的には、マスク吸着ユニット20a1,20a2,20a3)により構成される。マスク吸着部20は、上述した3種類のマスク吸着ユニット20a1,20a2,20a3のそれぞれを組み合わせて構成されることで、吸着力をより容易に調整できる。マスク吸着部20は、例えばパターン孔13aの密度あるいは数が多い部分(つまり、リフロー工程により基板11の反りが大きくなりやすい部分)等の基板11へのマスク13の密着性を高めるべき(つまり、より強く吸着すべき)位置に吸引孔20bを有するマスク吸着ユニット20a1,20a2を配置することで吸着力をより向上させることができる。したがって、スクリーン印刷装置1は、マスク吸着ユニット20aによりマスク13の下面を吸着することにより、-Z軸方向に基板11を押え付ける力を増加させて、マスク13による基板11の反りをより矯正できる。
【0029】
なお、マスク吸着部20は、マスク吸着ユニット20aに接続された吸引管20cを分岐させ、基板クランプ機構8の基板クランプ部材8aにも接続しても良い。つまり、スクリーン印刷装置1は、同一の負圧源30によりマスク吸着部20と基板クランプ部材8aとを用いてマスク13の下面を吸着する。これにより、スクリーン印刷装置1は、マスク吸着部20と基板クランプ部材8aとを用いてマスク13の下面を吸着することで、マスク吸着部20または基板クランプ部材8aのいずれか一方を用いてマスク13の下面を吸着した場合と比較して、吸着されたマスク13により-Z軸方向に基板11を押え付ける力を増加させることができる。したがって、スクリーン印刷装置1は、-Z軸方向に基板11を押え付ける力を増加させることで、マスク13による基板11の反りをより矯正できる。
【0030】
第2のベースプレート10の上面に設けられた下受け部材12は、下受け部材昇降機構9の駆動により上下方向(Z軸方向、-Z軸方向)に昇降されて、基板搬送機構7に保持された状態の基板11に対して接近または離反するように昇降される。下受け部材12は、基板11の下面に当接することで、基板11の下面を下方から支持する。
【0031】
マスク吸着部20は、第2のベースプレート10の上面に設けられ、下受け部材12と同様に下受け部材昇降機構9の駆動により上下方向(Z軸方向、-Z軸方向)に昇降されて、基板搬送機構7に保持された状態の基板11に対して接近または離反するように昇降される。なお、マスク吸着部20の接触面20dは、下受け部材12が基板11の下面に当接する高さ(図9に示す高さH2)において、基板11の下面に接触しない(詳細は後述する)。
【0032】
基板クランプ機構8は、基板搬送機構7の上方に配置される。基板クランプ機構8は、X軸方向に対向する一対の基板クランプ部材8aのそれぞれを備え、いずれか一方の基板クランプ部材8aをY軸方向または-Y軸方向に進退させることで、基板11の互いに対向する一対の側辺のそれぞれ(つまり、X軸方向に沿った対向する一対の側辺のそれぞれ)を一対の基板クランプ部材8aで挟み込んで保持して固定する。また、図2Bに示すように、一対の基板クランプ部材8aのそれぞれは、マスク13を吸着するための複数の吸引孔8cを上面に備える。複数の吸引孔8cのそれぞれは、基板11の互いに対向する一対の側辺(つまり、X軸方向)に沿って設けられる。なお、複数の吸引孔8cのそれぞれと接続される負圧源は、マスク吸着部20に接続される負圧源30であってもよいし、他の負圧源(不図示)であってもよい。
【0033】
なお、複数の吸引孔8cのそれぞれと接続される負圧源がマスク吸着部20に接続される負圧源30である場合、負圧源30は、マスク吸着ユニット20aに接続された吸引管20cを分岐させて、後述する一対の基板クランプ機構8の基板クランプ部材8aに接続される。これにより、スクリーン印刷装置1は、1つの負圧源30によりマスク吸着部20と基板クランプ部材8aとを用いたマスク13の下面の吸着を実現できる。
【0034】
以上により、本実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、マスク吸着部20における吸引孔20bと基板クランプ部材8aが有する各吸引孔8cのそれぞれとを用いてマスク13の下面を吸引して吸着する。これにより、スクリーン印刷装置1は、1つの負圧源30によりマスク吸着部20と基板クランプ部材8aとを用いてマスク13の下面を基板11に対して四方向(X軸方向、-X軸方向、Y軸方向、および-Y軸方向のそれぞれ)から吸着できるため、基板11がどの方向に反っていてもより効果的に矯正できる。したがって、スクリーン印刷装置1は、マスク吸着部20と基板クランプ部材8aとを用いたマスク13の下面の吸着することで、マスク吸着部20または基板クランプ部材8aのいずれか一方を用いてマスク13の下面を吸着した場合と比較して、吸着されたマスク13により-Z軸方向に基板11を押え付ける力を増加させることができる。つまり、スクリーン印刷装置1は、-Z軸方向に基板11を押え付ける力を増加させることで、マスク13による基板11の反りをより矯正できる。
【0035】
スクリーン印刷装置1は、基板クランプ部材8aによってY軸方向および-Y軸方向から基板11の側辺を保持し、基板11の移動を規制した状態で基板保持ステージ移動機構2を駆動して基板11をZ軸方向に上昇させる。スクリーン印刷装置1は、基板保持ステージ移動機構2を駆動して、基板11の上面とマスク13の下面とが接触する高さ位置に位置決めする。このように、スクリーン印刷装置1は、基板保持ステージ4における基板クランプ部材8aより基板11を保持した状態で、基板保持ステージ移動機構2をZ軸方向に上昇させることで、マスク13の下方から基板11を接近させ、マスク13の下面に基板11の上面が接触する所定の高さに位置決めする。
【0036】
スクリーン印刷装置1は、基板保持ステージ移動機構2を駆動することにより、基板クランプ部材8aによって保持された基板11とともにマスク吸着部20を上昇させる。マスク吸着部20は、接触面20dがマスク13の下面に接触する所定の高さ、またはマスク吸着部20によりマスク13の下面を吸着可能(つまり、負圧源30の駆動によりマスク吸着部20がマスク13の下面を吸着可能)であって、接触面20dがマスク13の下面に接触しない所定の高さ(図9に示す高さH0)で位置決めする。
【0037】
次に、スクリーン印刷部3について説明する。図1図2Aおよび図2Bに示す例おいて、スクリーン印刷部3は、平板状に形成され、例えば矩形状のマスク13を備える(図2A参照)。枠体14は、基板保持ステージ移動機構2の上方において所定の高さに固定され、マスク13の外縁に配置されて所定の高さでマスク13を展張保持する。マスク13は、基板11上に形成された複数の電極11aのそれぞれ(図2B参照)の形状および位置に対応した複数のパターン孔13aのそれぞれ(図2A参照)が形成される。
【0038】
マスク13は、上方にスキージヘッド15が配置される。スキージヘッド15は、水平に形成されたプレート15aを備え、プレート15aに複数のスキージ15bのそれぞれを昇降させるスキージ昇降機構15cを備える。スキージ昇降機構15cは、下方(-Z軸方向)に向けて延伸する複数のロッド15dのそれぞれを有する。複数のロッド15dのそれぞれは、下端部にスキージ15bが装着される。複数のスキージ15bのそれぞれは、ロッド15dを介して一体に構成されたスキージ昇降機構15cにより駆動され、マスク13の上面に接する高さまで降下されて基板11にはんだペーストを印刷する。
【0039】
次に、図3を参照して、マスク吸着部20、下受け部材12、および基板11のそれぞれの位置関係について説明する。図3は、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1の部分側面図である。
【0040】
図3(a)は、基板11の搬送方向(X軸方向)の寸法α1が下受け部材12のX軸方向の寸法β1以下の場合(つまり、寸法α1≦寸法β1)におけるマスク吸着部20と下受け部材12または基板11との間の位置関係を示す図である。複数のマスク吸着部20のそれぞれは、第2のベースプレート10の上面に配置された下受け部材12を挟んで下受け部材12からX軸方向および-X軸方向のそれぞれに所定距離だけ離間した位置に配置される。
【0041】
図3(b)は、基板11の搬送方向(X軸方向)の寸法α2が下受け部材12のX軸方向の寸法β2より大きい場合(つまり、寸法α2>寸法β2)におけるマスク吸着部20と下受け部材12または基板11との間の位置関係を示す図である。複数のマスク吸着部20のそれぞれは、第2のベースプレート10の上面に配置された下受け部材12を挟んで下受け部材12からX軸方向および-X軸方向のそれぞれに所定距離だけ離間した位置に配置される。
【0042】
また、ここで、一対のマスク吸着部20のそれぞれの配置について説明する。図3に示す距離γ1,γ2のそれぞれは、下受け部材12の-X軸方向およびX軸方向のそれぞれに配置された一対のマスク吸着部20のそれぞれの少なくとも1つのマスク吸着ユニット20aが備える吸引孔20bの中心点間の距離である。複数のマスク吸着部20のそれぞれは、寸法α1≦寸法β1の場合、距離γ1>寸法β1となるように配置され、寸法α2>寸法β2の場合、距離γ2>寸法α2>寸法β2となるように配置される。これにより、基板11の寸法が下受け部材の寸法よりも大きい(つまり、寸法α2>寸法β2)場合であっても、基板11の上面全体をマスク13が覆った状態で吸着することができる。また、これにより、複数のマスク吸着部20のそれぞれは、基板保持ステージ移動機構2および下受け部材昇降機構9のそれぞれにより基板11と略同じ高さまで上昇しても、マスク吸着部20と基板11との干渉を回避できる。
【0043】
なお、図3に示す一対のマスク吸着部20のそれぞれは、下受け部材12に対してX軸方向および-X軸方向のそれぞれに等しい所定距離だけ離れた位置に配置される例を示すが、これに限定されない。一対のマスク吸着部20のそれぞれは、マスク13に形成された複数のパターン孔13aのそれぞれの数および位置に基づいて、下受け部材12との間の距離がそれぞれに異なる任意の距離だけ離れた位置に配置されてもよい。これにより、スクリーン印刷装置1は、マスク13のそれぞれに形成されたパターン孔13aに応じて吸着強度を調整できる。
【0044】
次に、図4A図4Gを参照して第2のベースプレート10(図1図2参照)上に配置されたマスク吸着部20を構成する複数のマスク吸着ユニット20aのそれぞれの構成例について説明する。図4Aは、実施の形態におけるマスク吸着部20の第1構成例を示す図である。図4Bは、実施の形態におけるマスク吸着部20の第2構成例を示す図である。図4Cは、実施の形態におけるマスク吸着部20の第3構成例を示す図である。図4Dは、実施の形態におけるマスク吸着部20の第4構成例を示す図である。図4Eは、実施の形態におけるマスク吸着部20の第5構成例を示す図である。図4Fは、実施の形態におけるマスク吸着部20の第6構成例を示す図である。図4Gは、実施の形態におけるマスク吸着部20の第7構成例を示す図である。なお、マスク吸着部20の構成は、図4A図4Gのそれぞれに示す各構成例に限定されないことは言うまでもない。
【0045】
一対のマスク吸着部20のそれぞれは、一対の基板搬送機構7のそれぞれの間、かつ、基板11のX軸方向および-X軸方向(つまり、紙面左側と紙面右側)のそれぞれに配置される。一対のマスク吸着部20のそれぞれは、基板保持ステージ移動機構2によってZ軸方向に上昇されて、マスク13の下面とマスク吸着部20の接触面20dとが接触する所定高さ、または、マスク吸着部20が負圧源30の駆動によりマスク13の下面を吸着可能な所定高さに位置決めされる。スクリーン印刷装置1は、一対のマスク吸着部20のそれぞれを所定高さまで上昇させた後に負圧源30を駆動し、一対のマスク吸着部20のそれぞれと、一対の基板クランプ機構8のそれぞれとによって略矩形状に形成されたマスク13の4辺のそれぞれに対応する方向からマスク13の下面を吸着する。
【0046】
一対のマスク吸着部20のそれぞれは、少なくとも1つのマスク吸着ユニット20aを含んで構成される。また、一対のマスク吸着部20のそれぞれを構成する少なくとも1つのマスク吸着ユニット20aは、少なくとも1つの吸引孔20bを備える。
【0047】
マスク吸着ユニット20aは、少なくとも負圧源30の駆動により発生した負圧を吸引孔20bに伝達するための吸引路20f(図6図7参照)が設けられる。吸引路20fは、接触面20dと平行となる方向に沿って設けられる。なお、吸引孔20bは、マスク吸着部20が複数のマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される場合には、すべてのマスク吸着ユニット20aのそれぞれに設けられなくてもよく、少なくとも1つのマスク吸着ユニット20aに吸引孔20bが設けられていればよい。
【0048】
図4Aに示す一対のマスク吸着部20は、接触面20dに吸引孔20bを有する4つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれが接続(連結)されることで一体的に構成された例を示す。一対のマスク吸着部20は、各マスク吸着ユニット20aが有する吸引孔20bの近傍を含む吸着領域20e(吸引孔20bの周囲に示された破線が示す領域)でマスク13の下面を吸着する。ここで、吸着領域20eは、少なくとも吸引孔20bを含み、負圧源30の駆動により発生した負圧を吸引管20cと連通した吸引路20fを通じて吸引孔20bへ伝達することでマスク13の下面を吸着することができる領域である。
【0049】
図4Bに示す一対のマスク吸着部20は、接触面20dに吸引孔20bを有する6つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれが接続(連結)されることで一体的に構成された例を示す。一対のマスク吸着部20は、各マスク吸着ユニット20aが有する吸引孔20bの近傍を含む吸着領域20e(吸引孔20bの周囲に示された破線が示す領域)でマスク13の下面を吸着する。
【0050】
図4Aおよび図4Bのそれぞれは、Y軸方向における基板11の寸法に合わせてマスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの数と、X軸方向におけるマスク吸着部20の配置位置(つまり、基板11とマスク吸着部20との間の距離)とを変更した例を示す図である。具体的に、図4Aに示す基板11のX軸方向およびY軸方向の寸法は、図4Bに示す基板11のX軸方向およびY軸方向の寸法以下である例を示す。これにより、作業者は、例えばリフロー工程等の過熱処理により寸法(大きさ)が変化した基板11、あるいは異なる寸法(大きさ)の基板11等にはんだを印刷する場合であっても、マスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの個数、およびマスク吸着部20の配置位置(つまり、基板11とマスク吸着部20との間の距離)を調整することでマスク13をより適切に吸着できる。
【0051】
具体的に、作業者は、より小さい寸法を有する基板11にはんだを印刷する場合にはマスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの個数を減らして、一対のマスク吸着部20のそれぞれと基板11との間の距離を調整する。一方、作業者は、より大きい寸法を有する基板11にはんだを印刷する場合にはマスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの個数を増やして、一対のマスク吸着部20のそれぞれと基板11との間の距離を調整する。
【0052】
なお、スクリーン印刷装置1は、リフロー処理前の基板11の寸法と異なる寸法(大きさ)を有する基板11にはんだを印刷する場合であっても、リフロー処理前の基板11へのはんだ印刷処理の時に設置された一対のマスク吸着部20のそれぞれの個数および配置位置で基板11の上面とマスク13の下面との密着性を実現可能である場合には、作業者によるマスク吸着ユニット20aの数および配置位置が調整(変更)されなくてもよいし、いずれか一方のみが調整(変更)されてもよい。
【0053】
図4Cに示す一対のマスク吸着部20のそれぞれは、接触面20dに吸引孔20bが設けられた3つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれと、接触面20dに吸引孔20bが設けられていない2つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれとにより構成される例を示す。一対のマスク吸着ユニット20aのそれぞれは、複数のマスク吸着ユニット20aのうち少なくとも1つに吸引孔20bがあればよく、マスク吸着部20を構成する複数のマスク吸着ユニット20aのうち、吸引孔20bが設けられていないマスク吸着ユニット20a(具体的には、マスク吸着ユニット20a1,20a2)の数を増減させたり、配置を調整したりして吸着領域20eを変化させることで、マスク13の下面に対するマスク吸着部20の吸着力(吸引力)を調整することができる。
【0054】
図4Dに示す一対のマスク吸着部20のそれぞれは、マスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aが異なる例を示す。例えば、基板11に対して-X軸方向に設置されたマスク吸着部20は、3つの接触面20dに吸引孔20bが設けられた3つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれと、接触面20dに吸引孔20bが設けられていない1つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれとにより構成され、これら4つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれのうち2つのマスク吸着ユニット20aに吸引管20cが接続される。
【0055】
また、例えば、基板11に対してX軸方向に設置されたマスク吸着部20は、3つの接触面20dに吸引孔20bが設けられた3つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれと、接触面20dに吸引孔20bが設けられていない2つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれとにより構成され、これら5つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれのうち1つのマスク吸着ユニット20aに吸引管20cが接続される。これにより、一対のマスク吸着部20のそれぞれは、マスク13に形成されたパターン孔13aの大きさ、配置等に応じて、マスク13の下面に対するマスク吸着部20の吸着力(吸引力)および吸着領域20eの領域を調整し、マスク13の下面をより適切に吸着できる。
【0056】
図4Eに示す一対のマスク吸着部20のそれぞれは、接触面20dに吸引孔20bが設けられ、かつ、吸引管20cが接続された3つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される例を示す。マスク吸着ユニット20aのそれぞれは、吸引孔20bによりそれぞれ単独でマスク13の下面を吸着可能であり、Y軸方向に沿って等間隔で配置されて、接触面20dに設けられた吸引孔20bがマスク吸着ユニット側穴部20kおよび吸引路20fに連通する(図6参照)。マスク吸着ユニット20aのそれぞれは、吸引路20fが吸引管20cと接続され、吸引管20cと接続された負圧源30の駆動により、接触面20d上に位置するマスク13の下面を吸着する。
【0057】
図4Fに示す一対のマスク吸着部20のそれぞれは、接触面20dに吸引孔20bが設けられ、かつ、吸引管20cが接続された2つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される例を示す。マスク吸着ユニット20aのそれぞれは、吸引孔20bによりそれぞれ単独でマスク13の下面を吸着可能であり、Y軸方向に等間隔で配置されて、接触面20dに設けられた吸引孔20bがマスク吸着ユニット側穴部20kおよび吸引路20fに連通する(図6参照)。マスク吸着ユニット20aのそれぞれは、吸引路20fが吸引管20cと接続され、吸引管20cと接続された負圧源30の駆動により、接触面20d上に位置するマスク13の下面を吸着する。
【0058】
なお、図4Eに示す一対のマスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの個数は、図4Fに示す一対のマスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの個数より多い。マスク吸着部20は、吸引孔20bを有するマスク吸着ユニット20aの配置間隔が狭いほどマスク13の下面を吸着する吸着力が向上する。したがって、例えば図4Eおよび図4Fのそれぞれに示す基板11が同じ寸法である場合、図4Eに示す一対のマスク吸着部20の吸着力は、図4Fに示す一対のマスク吸着部20の吸着力より大きい。
【0059】
図4Gに示す一対のマスク吸着部20のそれぞれは、接触面20dに吸引孔20bが設けられ、かつ、吸引管20cが接続された4つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれにより構成される例を示す。マスク吸着ユニット20aのそれぞれは、吸引孔20bによりそれぞれ単独でマスク13の下面を吸着可能であり、Y軸方向に沿って等間隔で配置されて、接触面20dに設けられた吸引孔20bがマスク吸着ユニット側穴部20kおよび吸引路20fに連通する(図6参照)。マスク吸着ユニット20aのそれぞれは、吸引路20fが吸引管20cと接続され、吸引管20cと接続された負圧源30の駆動により、接触面20d上に位置するマスク13の下面を吸着する。
【0060】
なお、図4Eに示す一対のマスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの個数は、図4Gに示す一対のマスク吸着部20を構成するマスク吸着ユニット20aの個数より少ない。したがって、例えば図4Eおよび図4Gのそれぞれに示す基板11が同じ寸法である場合、図4Eに示す一対のマスク吸着部20の吸着力は、図4Gに示す一対のマスク吸着部20の吸着力より小さい。
【0061】
以上のように、マスク吸着部20の吸着領域20eおよび吸引力は、吸引孔20bを有するマスク吸着ユニット20a(具体的に、マスク吸着ユニット20a1,20a2)の個数あるいは配置に基づいて調整できる。なお、マスク吸着部20は、基板11の寸法ごとにマスク吸着ユニット20aの種類、個数あるいは配置を調整されなくてよい。例えば、異なる寸法の基板11にはんだペーストを印刷する場合であっても、印刷処理に必要な基板11の上面とマスク13の下面との間の十分な密着性が得られる場合、マスク吸着部20は、マスク吸着ユニット20aの種類、個数あるいは配置を調整されず、そのまま使用されてもよい。
【0062】
なお、図4A図4Cおよび図4E図4Gに示すマスク吸着部20は、単独でマスク13の下面を吸着できるマスク吸着ユニット20aの配置がY軸方向に沿って等間隔に配置された場合について説明してきたが、例えば図4Dに示すマスク吸着部20のようにすべてのマスク吸着ユニット20aが等間隔で配置される必要はない。また、例えば図4Dに示す一対のマスク吸着部20のように、一対のマスク吸着部20のそれぞれを構成するマスク吸着ユニット20aの種類、個数、あるいは配置は、同じでなくてよい。これにより、作業者は、基板11の寸法あるいはマスク13のパターン孔13aに基づいて、はんだペーストの印刷に必要な基板11の上面とマスク13の下面との間の十分な密着性が得られるように、マスク吸着部20の構成をより容易に調整できる。
【0063】
図5は、図4Cおよび図4Eに示すマスク吸着部20の斜視図である。図5(a)は、図4Cに示すマスク吸着部20の斜視図を示す。図5(b)は、図4Eに示すマスク吸着部20の斜視図を示す。
【0064】
図5(a)に示すマスク吸着部20は、複数のマスク吸着ユニット20aのそれぞれが互いに結合されて一体的に構成される。具体的に、図5(a)に示すマスク吸着部20は、-Y軸方向(紙面の奥から手前への方向)に向かってマスク吸着ユニット20a1、マスク吸着ユニット20a3、マスク吸着ユニット20a1、マスク吸着ユニット20a3、マスク吸着ユニット20a2の順で結合して構成される。
【0065】
マスク吸着ユニット脚部20hは、第2のベースプレート10(不図示)上に配置される。マスク吸着ユニット脚部20hは、マスク吸着ユニット脚部20hの上方から延伸するマスク吸着ユニット支持部20iによってマスク吸着ユニット20aとの間で接続され、マスク吸着ユニット20aを支持する。
【0066】
マスク吸着部20は、複数のマスク吸着ユニット20aのそれぞれのうちY軸方向において紙面の最奥に配置されたマスク吸着ユニット20a1のマスク吸着ユニット側穴部20k(図6参照)に吸引管20cが接続される。マスク吸着部20は、各マスク吸着ユニット20aの内部に形成されたマスク吸着ユニット側穴部20k(図6参照)を通じて、各マスク吸着ユニット20aが有する吸引孔20bと負圧源30とを接続して吸引路20fを形成し、負圧源30の駆動によりマスク13の下面を吸着する。なお、吸引管20cは、図5(a)に示すように最奥に配置されたマスク吸着ユニット20aに接続される必要はなく、マスク吸着部20を構成する複数のマスク吸着ユニット20aのうちのいずれかに接続されていればよい。また、吸引管20cが接続されるマスク吸着ユニット20aは、複数のマスク吸着ユニット20aのそれぞれのうちいずれか1つのマスク吸着ユニット20aに限定されず、2つ以上のマスク吸着ユニット20aのそれぞれに接続されてもよい。
【0067】
図5(b)に示すマスク吸着部20は、互いに結合せず単独のマスク吸着ユニット20aのそれぞれから構成される。具体的に、図5(a)に示すマスク吸着部20は、互いに結合されない3つのマスク吸着ユニット20a2のそれぞれにより構成される。
【0068】
マスク吸着部20は、各マスク吸着ユニット20aのそれぞれが有する吸引路20f(図6図7参照)に吸引管20cが接続される。各マスク吸着ユニット20aは、吸引孔20bと負圧源30とが接続され、負圧源30の駆動によりマスク13の下面を吸着する。マスク吸着ユニット20a2は、内部に形成された吸引路20fが吸引管20cを介して負圧源30に接続され、この負圧源30とマスク吸着ユニット側穴部20kを通じて吸引管20cとが連通してマスク13の下面を吸着する。
【0069】
次に、図6図7を参照して、図4Cおよび図4Eに示すマスク吸着部20の吸引路について説明する。図6は、図5に示すマスク吸着部20のS-S断面図である。図7は、図5に示すマスク吸着部20のT-T断面図である。なお、ここでいう吸引路は、各マスク吸着ユニット20aのそれぞれが有する吸引孔20bのそれぞれから、負圧源30までの間の経路を示す。
【0070】
まず、マスク吸着ユニット20aの構造について説明する。なお、固定部材20mおよび固定部材20mが挿入される側穴20rは、一部のマスク吸着ユニット20aにのみ図示し、他のマスク吸着ユニット20aでは図示を省略する。
【0071】
側穴20rは、マスク吸着ユニット20aの側面からマスク吸着ユニット支持部20iが螺合するねじ切り孔20sに連通して設けられる。側穴20rは、マスク吸着ユニット支持部20iの螺合状態を固定する固定部材20mを備える。固定部材20mは、例えば六角穴付き止めネジ等であって、ねじ切り孔20sに螺合したマスク吸着ユニット支持部20iをY軸方向に押圧することで、ねじ切り孔20sとマスク吸着ユニット支持部20iとの間の螺合状態の解消によるマスク吸着ユニット20aの回転を抑制する。なお、固定部材20mは、上述した六角穴付き止めネジ等に限定されず、マスク吸着ユニット支持部20iを押圧することができるものであればよい。
【0072】
マスク吸着ユニット支持部20iは、上部および下部が雄ネジとなっており、マスク吸着ユニット20aの下面(-Z軸方向の面)に形成されたねじ切り孔20sと、マスク吸着ユニット20aの下面と対向するマスク吸着ユニット脚部20hの上面に形成されたねじ切り孔20tとに螺合される。マスク吸着ユニット支持部20iは、作業者により所定の方向に回転されて、マスク吸着ユニット20aの接触面20dおよび吸引孔20bのZ軸方向の高さを調整可能にする。なお、マスク吸着ユニット支持部20iは、ねじ切り孔20sに接着されて固着されてもよい。このような場合、側穴20rおよび固定部材20mは、不要となる。また、マスク吸着ユニット支持部20iの上部は、雄ネジが形成されなくてよい。
【0073】
なお、マスク吸着ユニット20aのZ軸方向の昇降手段は、マスク吸着ユニット支持部20iに限定されない。例えば、マスク吸着ユニット20aは、マスク吸着ユニット20aの下方にシリンダ等の昇降手段が設けられて、Z軸方向の昇降を実現してもよい。
【0074】
また、マスク吸着ユニット20aは、後述する凸部20оおよび凹部20pにより他のマスク吸着ユニット20aと結合される。マスク吸着ユニット20aは、凸部20оと凹部20pとの結合による結合力、あるいはマスク13の下面に対する接触面20dの平衡度等がマスク13の下面の吸着に十分である場合、マスク吸着ユニット脚部20hおよびマスク吸着ユニット支持部20iの構成を省略してもよい。
【0075】
マスク吸着ユニット脚部20hは、マスク吸着ユニット20aの設置面である第2のベースプレート10と接触する面に、マスク吸着ユニット脚部20hの内部に向かう方向(例えば、図6に示すZ軸方向)に向かって脚部側穴部20lが形成されて、マスク吸着ユニット20aを固定可能なマグネット部材20jを収容する。なお、マグネット部材20jは、脚部側穴部20lに収容されず、マスク吸着ユニット脚部20hの下面に結合されてもよい。このような場合、マグネット部材20jは、マスク吸着ユニット脚部20hの下面と同じ大きさおよび形状で形成されてもよい。また、マグネット部材20jの高さは、脚部側穴部20lの穴の深さと同一であってもよいし、脚部側穴部20lの穴の深さよりも小さくてもよい。これにより、作業者は、マスク吸着ユニット脚部20hの下面にマグネット部材20jにより、第2のベースプレート10上へのマスク吸着ユニット20aの脱着あるいはマスク吸着部20を構成する1つ以上のマスク吸着ユニット20aのそれぞれの位置の調整をより容易に行える。
【0076】
図6に示すマスク吸着部20は、吸引管20cが接続されたマスク吸着ユニット20a1のマスク吸着ユニット側穴部20kと、このマスク吸着ユニット側穴部20kと接続された他のマスク吸着ユニット20aのマスク吸着ユニット側穴部20kおよび吸引孔20bとがマスク13を吸引する吸引路として機能する。これにより、マスク吸着部20は、負圧源30の駆動によりマスク13の下面を吸着可能になる。
【0077】
図7に示すマスク吸着部20は、これら3つのマスク吸着ユニット20a2のそれぞれの吸引孔20bでマスク13の下面を吸着する。なお、3つのマスク吸着ユニット20a2のそれぞれに接続された負圧源30は、同一の負圧源30であってもよいし、異なる負圧源(不図示)のそれぞれであってもよい。
【0078】
次に、図8を参照して、複数のマスク吸着ユニット20aのそれぞれの結合するための構造について説明する。図8は、実施の形態におけるマスク吸着ユニット20aの結合例を説明する図である。
【0079】
図8(a)は、マスク吸着ユニット20a同士が結合する結合面20nを示す図である。結合面20nは、結合面20nの中央部分に、マスク吸着ユニット20aの内部に向かって形成されたマスク吸着ユニット側穴部20kの貫通孔が貫通しており、このマスク吸着ユニット側穴部20kの周囲に凸部20oおよび凹部20pのそれぞれが形成される。なお、図8に示す凸部20oおよび凹部20pの数および位置は、一例でありこれに限定されなくてもよい。
【0080】
凸部20oのそれぞれは、図8(b)に示すように他のマスク吸着ユニット20aに形成された凹部20pのそれぞれに対応する位置に嵌合可能に設けられる。凸部20oのそれぞれは、他のマスク吸着ユニット20aに形成された凹部20pのそれぞれと嵌合して、2つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれを結合する。
【0081】
凹部20pのそれぞれは、マスク吸着ユニット20a内部に向かって設けられた窪みであって、図8(b)に示すように他のマスク吸着ユニット20aに形成された凸部20оのそれぞれに対応する位置に嵌合可能に設けられる。
【0082】
なお、凸部20oおよび凹部20pの形状は、図8に示す球面形状に限定されず、例えば円柱状、四角柱状、三角錐状、円錐状等であってもよい。また、マスク吸着ユニット20a同士の誤結合(例えば、吸引孔20bが第2のベースプレート10側を向いた状態での結合、マスク吸着ユニット20a同士のマスク吸着ユニット側穴部20kが接続されない状態での結合等)を防止するため、図8に示すように結合面20nの上部に2つの凸部20oまたは凹部20pを配置し、結合面20nの下部に1つの凸部20oまたは凹部20pを形成することで、マスク吸着ユニット20a同士の結合方向を限定できる。したがって、本実施の形態におけるマスク吸着ユニット20aは、結合面20nの上部と下部(もしくは左右)で異なる数の凸部20oと凹部20pとを有することで、マスク吸着ユニット20a同士の誤結合をより防止できる。
【0083】
また、向かい合う一方の結合面20nに形成された凸部20oは、磁性体で形成されてもよい。このような場合、作業者は、他方の結合面20nに形成された凹部20pが凸部20oに向かって引き寄せられる磁力を利用してマスク吸着ユニット20a同士の結合が可能となるため、結合と分離とをより容易に行うことができる。
【0084】
図8(b)は、2つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれの結合面20nに形成された凸部20оおよび凹部20pのそれぞれの高さ関係を示す図である。凸部20оおよび凹部20pのそれぞれは、互いに嵌合可能な高さに形成される。
【0085】
図8(c)は、2つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれの結合のようすを示す図である。2つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれは、凸部20oと凹部20pとが嵌合することで、互いの結合面20nの相対的位置が固定されて位置決めされる。これにより、2つのマスク吸着ユニット20aのそれぞれは、互いのマスク吸着ユニット20aの接触面20dの高さがばらつくことなくマスク吸着ユニット20a同士を結合される。
【0086】
図9および図10を参照して、マスク吸着部20がマスク13の下面を吸着するまでの動作手順を説明する。図9は、実施の形態におけるマスク吸着部20の吸着動作例を説明する図である。図10は、実施の形態におけるマスク吸着部20の吸着動作例を説明する図である。なお、図9は、スクリーン印刷装置1をX軸方向からみたスクリーン印刷装置1の側面図である。図10は、図9に示す断面線のそれぞれでスクリーン印刷装置1を切断したスクリーン印刷装置1のUU断面、VV断面、WW断面を示す断面図である。なお、図9および図10に示すスクリーン印刷装置1は、マスク吸着部20がマスク13の下面を吸着するまでの動作手順を説明するために必要な構成を示し、一部の構成の図示を省略する。
【0087】
図9(a)および図10(a)に示すスクリーン印刷装置1は、上流側から搬入された基板11が基板搬送機構7の基板搬送コンベア7aによって所定の基板搬送位置まで搬送され、基板保持ステージ移動機構2によって下受け部材12の上方に位置決めた状態を示す。
【0088】
図9(a)および図10(a)に示すように、スクリーン印刷装置1は、基板保持ステージ移動機構2によって下受け部材12の上方に基板11を位置決めした後、図9(b)および図10(b)に示すように、下受け部材昇降機構9を駆動する。スクリーン印刷装置1は、下受け部材昇降機構9により現在の高さH1から下受け部材12の上面が基板11の下面に当接する高さH2まで第2のベースプレート10を上昇させる。下受け部材12は、高さH2の位置で基板11の下面を下方から支持する。
【0089】
また、マスク吸着部20は、第2のベースプレート10の上面に設けられるため、下受け部材昇降機構9の駆動によりZ軸方向に上昇される。なお、マスク吸着部20は、高さH2において接触面20dの高さと基板11の上面とが同じ高さとなるようにマスク吸着ユニット脚部20hの高さが調整されていてもよいし、マスク13の下面を吸着可能な高さであって、図9に示すように上昇後のマスク吸着部20の接触面20dの高さが基板11の上面の高さよりも下方となるようにマスク吸着ユニット脚部20hの高さが調整されていてもよい。
【0090】
図9(c)および図10(c)に示すスクリーン印刷装置1は、基板保持ステージ移動機構2を駆動し、下受け部材昇降機構9をZ軸方向に上昇させる。スクリーン印刷装置1は、基板11を高さH0で保持した状態で、基板保持ステージ移動機構2により現在の高さH3から基板11の上面がマスク13の下面と当接する高さH4まで下受け部材昇降機構9を上昇させる。なお、マスク吸着部20は、高さH2において接触面20dの高さと基板11の上面とが同じ高さとなるようにマスク吸着ユニット脚部20hの高さが調整されていてもよいし、マスク13の下面を吸着可能な高さであって、図9に示すように上昇後のマスク吸着部20の接触面20dの高さが基板11の上面の高さよりも下方となるようにマスク吸着ユニット脚部20hの高さが調整されていてもよい。
【0091】
スクリーン印刷装置1は、基板保持ステージ移動機構2により現在の高さH3から基板11の上面がマスク13の下面と当接する高さH4まで下受け部材昇降機構9を上昇させた後、負圧源30を駆動し、基板クランプ機構8の吸引孔8cと、マスク吸着部20の吸引孔20bとによりマスク13の下面を吸引する。これにより、本実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、略矩形状を有するマスク13を基板11に対して四方向から吸引することで、基板11に反りがあった場合でも基板11の反りをより矯正できる。なお、本実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、吸引孔8cが設けられたX軸方向と直交する方向(つまり、Y軸方向)に沿って基板11が反っている場合であっても、基板11を挟んでX軸方向に配置された一対のマスク吸着部20によりマスク13の下面を吸引することで、基板11のY軸方向の反りをより効果的に矯正できる。したがって、スクリーン印刷装置1は、基板11に反りがあっても、マスク13と基板11との間の密着性を向上させることができるため、マスク13と基板11との間のギャップをより小さくできる。これにより、スクリーン印刷装置1は、このギャップにはんだが侵入した状態で基板11上のランドにはんだが転写されることを抑制し、印刷不良の発生をより抑制できる。
【0092】
以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、所定位置に基板11を搬送する一対の基板搬送コンベア7aと、所定位置の基板11を下方から支持する下受け部材12と、基板11の対向する側辺を保持する一対の基板クランプ部材8aと、一対の基板搬送コンベア7aの間に配置され、負圧源30の駆動により側辺と交差する方向に沿う所定の吸着領域20eでマスク13を吸着するマスク吸着部20と、パターン孔13aが形成されたマスク13に基板11を接触させて、パターン孔13aを介してペーストを基板11に印刷するスクリーン印刷部3(印刷部の一例)と、を備える。
【0093】
これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、吸引孔8cが設けられたX軸方向と直交する方向(つまり、Y軸方向)に沿って基板11が反っている場合であっても、マスク13を基板11に対して四方向(つまり、基板11の対向する側辺(X軸方向)と、この側辺に直交する方向(Y軸方向))から吸引することで基板11の反りをより矯正できる。したがって、スクリーン印刷装置1は、基板11に反りがあっても、マスク13と基板11との間の密着性を向上させることができるため、マスク13と基板11との間のギャップをより小さくできる。これにより、スクリーン印刷装置1は、このギャップにはんだが侵入した状態で基板11上のランドにはんだが転写されることを抑制し、印刷不良の発生をより抑制できる。
【0094】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1が備えるマスク吸着部20は、マスク13に接触し、マスク13を吸着可能な少なくとも1つの吸引孔20b(第1の吸引孔の一例)の個数または配置に基づく吸着領域20eを有する。これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、吸引孔20bの個数または配置に基づいて、吸着領域20eを調整できる。したがって、スクリーン印刷装置1は、一対のマスク吸着部20のそれぞれは、マスク13に形成されたパターン孔13aの大きさ、配置等に応じて、マスク13の下面に対するマスク吸着部20の吸着力(吸引力)および吸着領域20eの領域を調整可能となり、マスク13の下面をより適切に吸着し、基板11の反りをより適切に矯正できる。
【0095】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1が備えるマスク吸着部20は、少なくとも1つのマスク吸着ユニット20aにより構成され、マスク13と接触する接触面20dに少なくとも1つの吸引孔20bを有する。これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、マスク13の下面を吸引して吸着できる。
【0096】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1が備える複数のマスク吸着ユニット20aのそれぞれは、互いに結合されて1つのマスク吸着部20を構成し、少なくとも1つのマスク吸着ユニット20aが負圧源30と接続されてマスク13を吸着する。これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、基板11の大きさ、マスク13に形成されたパターン孔13aの大きさまたは配置等に応じて、マスク13の下面に対するマスク吸着部20の吸着力(吸引力)の大きさおよび吸着領域20eの領域を調整可能となり、マスク13の下面をより適切に吸着し、基板11の反りをより適切に矯正できる。
【0097】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1が備えるマスク吸着ユニット20aは、マスク吸着ユニット20aの内部に接触面20dに沿うマスク吸着ユニット側穴部20k(空間の一例)を有し、マスク吸着ユニット側穴部20kによって吸引孔20bと負圧源30とを接続する吸引路20fを形成する。これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、マスク吸着部20が複数の吸引孔20bのそれぞれを備える場合であっても、1つの負圧源30でマスク13の吸着(吸引)を実現できる。
【0098】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1が備えるマスク吸着部20は、2つ以上のマスク吸着ユニット20aにより構成される場合、2つ以上のマスク吸着ユニット20aのそれぞれが個別に負圧源30と接続されてマスク13を吸着する。これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、マスク吸着部20の吸着力(吸引力)をより向上させることができる。
【0099】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、マスク吸着ユニット20aを昇降可能に移動させるマスク吸着ユニット支持部20iおよびマスク吸着ユニット脚部20h(昇降部の一例)と、をさらに備える。マスク吸着ユニット支持部20iおよびマスク吸着ユニット脚部20hは、下受け部材12の設置面と同じ面(つまり、第2のベースプレート10の上面)上に配置される。これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、基板11の厚み等に対応する高さにマスク吸着部20の接触面20dおよび吸引孔20bの高さを調整できる。
【0100】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1が備えるマスク吸着ユニット支持部20iおよびマスク吸着ユニット脚部20hは、下受け部材12が設置された設置面(つまり、第2のベースプレート10の上面)と接触する面(つまり、マスク吸着ユニット脚部20hの底面)にマグネット部材20j(磁性体の一例)を有する。これにより、作業者は、マスク吸着部20の構成および配置の変更また調整をより容易に行うことができる。
【0101】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、一対の基板クランプ部材8aのそれぞれに設けられ、側辺の方向に沿って基板11を吸着する複数の吸引孔8cのそれぞれ(第2の吸引孔の一例)をさらに備える。マスク吸着部20の吸引孔20bと基板クランプ部材8aの吸引孔8cとは、負圧源30に接続されてマスク13を吸着する。これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、1つの負圧源30によりマスク吸着部20と基板クランプ部材8aとを用いてマスク13の下面を基板11に対して四方向(X軸方向、-X軸方向、Y軸方向、および-Y軸方向のそれぞれ)から吸着できるため、基板11がどの方向に反っていてもより効果的に矯正できる。したがって、スクリーン印刷装置1は、マスク吸着部20と基板クランプ部材8aとを用いたマスク13の下面の吸着することで、マスク吸着部20または基板クランプ部材8aのいずれか一方を用いてマスク13の下面を吸着した場合と比較して、吸着されたマスク13により-Z軸方向に基板11を押え付ける力を増加させることができる。つまり、スクリーン印刷装置1は、-Z軸方向に基板11を押え付ける力を増加させることで、マスク13による基板11の反りをより矯正できる。
【0102】
また、以上により、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1が備えるマスク吸着部20の吸引孔20bは、マスク13のパターン孔13aの位置に対応する位置に配置される。これにより、実施の形態に係るスクリーン印刷装置1は、基板11の大きさ、マスク13に形成されたパターン孔13aの大きさまたは配置等に応じて、マスク13の下面に対するマスク吸着部20の吸着力(吸引力)の大きさおよび吸着領域20eの領域を調整可能となり、マスク13の下面をより適切に吸着し、基板11の反りをより適切に矯正できる。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示は、基板の反りをより効果的に矯正でき、基板とマスクとの密着性を向上させて高品質な印刷を実現できるスクリーン印刷装置として有用である。
【符号の説明】
【0105】
1 スクリーン印刷装置
2 基板保持ステージ移動機構
3 スクリーン印刷部
4 基板保持ステージ
7 基板搬送機構
7a 基板搬送コンベア
8 基板クランプ機構
8a 基板クランプ部材
8c 吸引孔
11 基板
12 下受け部材
13 マスク
13a パターン孔
20 マスク吸着部
20a マスク吸着ユニット
20b 吸引孔
20d 接触面
20e 吸着領域
20f 吸引路
20k マスク吸着ユニット側穴部
20i マスク吸着ユニット支持部
20j マグネット部材
30 負圧源
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6
図7
図8
図9
図10