(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166377
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】被処理液の膜処理方法および装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20241121BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C02F1/44 D
B01D61/58
C02F1/44 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161588
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2020106808の分割
【原出願日】2020-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】早水 基頼
(57)【要約】
【課題】 被処理液を高濃度で効率良く濃縮することができる被処理液の膜処理装置を提供する。
【解決手段】 被処理液を昇圧して複数段で濃縮する複数の第1膜ユニット10-1,10-2と、複数の第1膜ユニット10-1,10-2で濃縮された被処理液を当該被処理液よりも低圧の回収液に半透膜を介して接触させることにより更に濃縮して濃縮液を生成する第2膜ユニット20とを備え、複数の第1膜ユニット10-1,10-2は、前段の第1膜ユニット10-1の非透過液を後段の第1膜ユニット10-2に供給することにより、各段の第1膜ユニット10-1,10-2において淡水を生成して排出すると共に、各段の第1膜ユニット10-1,10-2において濃縮された被処理液を排出し、第2膜ユニット20は、前段の第1膜ユニット10-1の非透過液の一部を回収液として使用する被処理液の膜処理装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液を昇圧して複数段の第1膜ユニットで濃縮する第1の濃縮工程と、
前記第1の濃縮工程で濃縮された被処理液を第2膜ユニットに供給し、当該被処理液よりも低圧の回収液に半透膜を介して接触させることにより、被処理液を更に濃縮して濃縮液を生成する第2の濃縮工程とを備え、
前記第1の濃縮工程は、前段の前記第1膜ユニットの非透過液を後段の前記第1膜ユニットに順次供給することにより、各段の前記第1膜ユニットにおいて膜透過した淡水を生成して前記淡水を他の液と混合することなく排出すると共に、各段の前記第1膜ユニットのいずれも膜透過せずに濃縮された被処理液を排出し、
前記第2の濃縮工程は、最後段以外の前記第1膜ユニットの非透過液の一部を前記回収液として使用する被処理液の膜処理方法。
【請求項2】
前記第1の濃縮工程は、前記第2膜ユニットを通過した前記回収液を、最前段の前記第1膜ユニットに供給される被処理液に合流させて複数段の前記第1膜ユニットで濃縮する工程を備える請求項1に記載の被処理液の膜処理方法。
【請求項3】
前記第1の濃縮工程は、最前段の前記第1膜ユニットから排出された被処理液を昇圧して後段の前記第1膜ユニットに供給する工程を備える請求項1に記載の被処理液の膜処理方法。
【請求項4】
前記第2の濃縮工程は、前記回収液となる前記第1膜ユニットの非透過液の一部を減圧する工程を備える請求項1に記載の被処理液の膜処理方法。
【請求項5】
前記第1膜ユニットの非透過液の減圧は、当該第1膜ユニットよりも後段側の前記第1膜ユニットの非透過液との圧力交換により行われる請求項4に記載の被処理液の膜処理方法。
【請求項6】
前記第1の濃縮工程は、最前段の前記第1膜ユニットに供給される被処理液、または、最後段以外の前記第1膜ユニットの非透過液を、前記第2膜ユニットで生成された前記濃縮液との圧力交換により昇圧する工程を備える請求項1から5のいずれかに記載の被処理液の膜処理方法。
【請求項7】
前記第1の濃縮工程は、最前段の前記第1膜ユニットに供給される被処理液、または、最後段以外の前記第1膜ユニットの非透過液を、インバータ制御が可能な高圧ポンプまたはブースターポンプにより昇圧する工程を備える請求項1から6のいずれかに記載の被処理液の膜処理方法。
【請求項8】
被処理液を昇圧して複数段で濃縮する複数の第1膜ユニットと、
複数の前記第1膜ユニットで濃縮された被処理液を、当該被処理液よりも低圧の回収液に半透膜を介して接触させることにより更に濃縮して濃縮液を生成する第2膜ユニットとを備え、
複数の前記第1膜ユニットは、前段の前記第1膜ユニットの非透過液を後段の前記第1膜ユニットに順次供給することにより、各段の前記第1膜ユニットにおいて膜透過した淡水を生成して前記淡水を他の液と混合することなく排出すると共に、各段の前記第1膜ユニットのいずれも膜透過せずに濃縮された被処理液を排出し、
前記第2膜ユニットは、最後段以外の前記第1膜ユニットの非透過液の一部を前記回収液として使用する被処理液の膜処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理液の膜処理方法および装置に関し、より詳しくは、逆浸透膜を利用する被処理液の膜処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海水等の被処理液を膜処理する装置として、特許文献1には、海水を第1逆浸透膜モジュールに供給することにより淡水を分離して濃縮塩水を排出する一方、低浸透圧水を第2逆浸透膜モジュールに供給することにより淡水を分離して濃縮低浸透圧水を排出し、排出された濃縮塩水および濃縮低浸透圧水を正浸透膜モジュールに供給して、正浸透膜を介して濃縮低浸透圧水から供給される水により濃縮塩水を希釈する造水システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の造水システムは、造水量の増加を主な目的としており、第1逆浸透膜モジュールで生成された濃縮海水を正浸透膜モジュールにおいて希釈させるように構成されているため、被処理液を濃縮して回収する際の濃縮率を高める上で検討の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、被処理液を高濃度で効率良く濃縮することができる被処理液の膜処理方法および装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、被処理液を昇圧して複数段の第1膜ユニットで濃縮する第1の濃縮工程と、前記第1の濃縮工程で濃縮された被処理液を第2膜ユニットに供給し、当該被処理液よりも低圧の回収液に半透膜を介して接触させることにより、被処理液を更に濃縮して濃縮液を生成する第2の濃縮工程とを備え、前記第1の濃縮工程は、前段の前記第1膜ユニットの非透過液を後段の前記第1膜ユニットに順次供給することにより、各段の前記第1膜ユニットにおいて膜透過した淡水を生成して前記淡水を他の液と混合することなく排出すると共に、各段の前記第1膜ユニットのいずれも膜透過せずに濃縮された被処理液を排出し、前記第2の濃縮工程は、最後段以外の前記第1膜ユニットの非透過液の一部を前記回収液として使用する被処理液の膜処理方法により達成される。
【0007】
この被処理液の膜処理方法において、前記第2の濃縮工程は、前記回収液となる前記第1膜ユニットの非透過液の一部を減圧する工程を備えることが好ましい。前記第1膜ユニットの非透過液の減圧は、当該第1膜ユニットよりも後段側の前記第1膜ユニットの非透過液との圧力交換により行うことができる。
【0008】
また、前記第1の濃縮工程は、最前段の前記第1膜ユニットに供給される被処理液、または、最後段以外の前記第1膜ユニットの非透過液を、前記第2膜ユニットで生成された前記濃縮液との圧力交換により昇圧する工程を備えることが好ましい。
【0009】
前記第1の濃縮工程は、最前段の前記第1膜ユニットに供給される被処理液、または、最後段以外の前記第1膜ユニットの非透過液を、インバータ制御が可能な高圧ポンプまたはブースターポンプにより昇圧する工程を備えることが好ましい。
【0010】
前記第1の濃縮工程は、前記第2膜ユニットを通過した前記回収液を、最前段の前記第 1膜ユニットに供給される被処理液に合流させる工程を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明の前記目的は、被処理液を昇圧して複数段で濃縮する複数の第1膜ユニットと、複数の前記第1膜ユニットで濃縮された被処理液を、当該被処理液よりも低圧の回収液に半透膜を介して接触させることにより更に濃縮して濃縮液を生成する第2膜ユニットとを備え、複数の前記第1膜ユニットは、前段の前記第1膜ユニットの非透過液を後段の前記第1膜ユニットに順次供給することにより、各段の前記第1膜ユニットにおいて膜透過した淡水を生成して前記淡水を他の液と混合することなく排出すると共に、各段の前記第1膜ユニットのいずれも膜透過せずに濃縮された被処理液を排出し、前記第2膜ユニットは、最後段以外の前記第1膜ユニットの非透過液の一部を前記回収液として使用する被処理液の膜処理装置により達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被処理液を高濃度で効率良く濃縮することができる被処理液の膜処理方法および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る被処理液の膜処理装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係る被処理液の膜処理装置の概略構成図である。
【
図3】本発明の更に他の実施形態に係る被処理液の膜処理装置の概略構成図である。
【
図4】本発明の更に他の実施形態に係る被処理液の膜処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る被処理液の膜処理装置(以下、単に「膜処理装置」という)の概略構成図である。
図1に示すように、膜処理装置1は、被処理液を濃縮する2段の第1膜ユニット10-1,10-2と、第1膜ユニット10-1,10-2で濃縮された被処理液を更に濃縮して濃縮液を生成する第2膜ユニット20と、濃縮液の圧力エネルギーを回収するエネルギー回収装置30とを、主な構成要素として備えている。
【0015】
第1膜ユニット10-1,10-2は、それぞれケーシング内にRO膜(逆浸透膜)11-1,11-2を備える膜モジュールからなり、被処理液が直列に供給される。1段目の第1膜ユニット10-1でRO膜11-1を透過しない非透過液は、2段目の第1膜ユニット10-2に供給され、2段目のRO膜11-2を透過しない非透過液が、第2膜ユニット20に供給される。RO膜11-1,11-2の形状は特に限定されず、平膜や中空糸膜等を例示することができる。
【0016】
第2膜ユニット20は、ケーシング内が半透膜21で仕切られることにより高圧室22および低圧室23が形成されている。高圧室22には、第1膜ユニット10-1,10-2で濃縮された被処理液が導入される一方、低圧室23には、1段目の第1膜ユニット10-1から排出される非透過液の一部が、減圧弁などの減圧装置40で減圧された後に、回収液として供給される。高圧室22および低圧室23にそれぞれ導入された被処理液および回収液は、半透膜21を介して接触した後に外部に排出される。半透膜21は、平膜以外に中空糸膜であってもよい。半透膜21は、RO膜(逆浸透膜)を好適に使用することができるが、FO膜(正浸透膜)などの他の半透膜であってもよい。
【0017】
エネルギー回収装置30は、ターボチャージャからなり、第2膜ユニット20から排出された濃縮液によりタービンを回転させ、この動力を利用して、1段目の第1膜ユニット10-1から2段目の第1膜ユニット10-2に供給される被処理液を昇圧する。エネルギー回収装置30の構成は、濃縮液のエネルギーを回収して被処理液を昇圧可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、タービン型以外にロータ型やピストン型などの他のエネルギー回収装置であってもよい。
【0018】
次に、上記の構成を備える膜処理装置1を使用した被処理液の膜処理方法を説明する。まず、海水等の被処理液を、高圧ポンプ2により例えば4MPa程度まで昇圧した後、2段の第1膜ユニット10-1,10-2に直列に供給して濃縮する第1の濃縮工程を行う。第1膜ユニット10-1,10-2においては、被処理液がRO膜11-1,11-2を透過することより淡水(製造水)が生成されると共に、各段のRO膜11-1,11-2のいずれも透過せずに濃縮された被処理液が排出される。
【0019】
ついで、第1の濃縮工程で濃縮された被処理液を、第2膜ユニット20に供給して更に濃縮することにより濃縮液を生成する第2の濃縮工程を行う。第2膜ユニット20の高圧室22には、最後段である2段目の第1膜ユニット10-2で濃縮された被処理液が供給される一方、低圧室23には、1段目の第1膜ユニット10-1で濃縮された被処理液が回収液として供給される。
【0020】
高圧室22に供給される被処理液は、1段目の第1膜ユニット10-1から2段目の第1膜ユニット10-2に供給される過程でエネルギー回収装置30により昇圧される一方、低圧室23に供給される回収液は、減圧装置40で減圧されるため、高圧室22が低圧室23よりも高圧になる。更に、低圧室23に供給される回収液として、複数段の第1膜ユニット10-1,10-2による濃縮途中の被処理液(すなわち、1段目の第1膜ユニット10-1で濃縮されて、2段目の第1膜ユニット10-2で濃縮される前の被処理液)を使用することにより、高圧室22に供給される被処理液との浸透圧差が小さくなる。この結果、高圧室22と低圧室23との圧力差により、半透膜を介した高圧室22から低圧室23への水の移動が促されるので、高圧ポンプ2の性能や数を特に増大させることなく被処理液を更に濃縮することができ、例えば塩濃度が低い(例えば0.5%程度)被処理液の場合でも、省エネルギーで高濃度に濃縮することができる。第2膜ユニット20で生成された濃縮液は、エネルギー回収装置30で減圧された後に系外に排出されて、例えば、正浸透発電、製塩蒸発濃縮による淡水化などの他のプロセスで利用することができる。
【0021】
第2膜ユニット20において濃縮液から水を回収した回収液は、被処理液に合流された後、高圧ポンプ2により昇圧されて、1段目の第1膜ユニット10-1に再び供給される。これにより、第1膜ユニット10-1,10-2における淡水の製造効率を高めることができると共に、被処理液が希釈されて浸透圧が低下することにより第1膜ユニット10-1,10-2に低圧で供給することができるので、この点からも高圧ポンプ2の省エネルギー化を図ることができる。高圧ポンプ2の省エネルギー化に伴い、第2膜ユニット20の高圧室22に供給する被処理液を昇圧する必要がある場合には、2段目の第1膜ユニット10-2から第2膜ユニット20に被処理液を供給する配管に、ブースタポンプ等を設けてもよい。回収液は、高圧ポンプ2よりも上流側で被処理液に合流させることが好ましいが、高圧ポンプ2よりも下流側で被処理液に合流させてもよい。
【0022】
図1に示す膜処理装置1は、被処理液を2段の第1膜ユニット10-1,10-2で濃縮する構成としているが、第1膜ユニットの段数は複数であれば特に限定されず、3段以上で濃縮する構成であってもよい。
図2は、本発明の他の実施形態に係る膜処理装置の概略構成図であり、3段の第1膜ユニット10-1,10-2,10-3を備えており、それぞれがRO膜11-1,11-2,11-3を備えている。
図2において、
図1と同様の構成部分には同一の符号を付している(以下の図においても同様)。
【0023】
図2に示す膜処理装置101は、1段目の第1膜ユニット10-1の非透過液が2段目の第1膜ユニット10-2に供給され、2段目の第1膜ユニット10-2の非透過液が3段目の第1膜ユニット10-3に供給される。このように、前段の第1膜ユニットの非透過液を後段の第1膜ユニットに順次供給することにより、各段の第1膜ユニット10-1,10-2,10-3に対して被処理液を直列に供給して濃縮する第1の濃縮工程が行われる。ついで、第1の濃縮工程で濃縮された被処理液を第2膜ユニット20において更に濃縮する第2の濃縮工程が行われる。第2の濃縮工程で生成された濃縮液は、エネルギー回収装置30に供給されて、1段目の第1膜ユニット10-1から2段目の第1膜ユニット10-2に供給される被処理液を昇圧する。
【0024】
図2に示す膜処理装置101は、第2膜ユニット20に回収液として供給される被処理液を減圧する減圧装置40が、エネルギー回収装置30と同様の構成を備えるエネルギー回収装置からなり、1段目の第1膜ユニット10-1の非透過液の一部が、減圧装置40において2段目の第1膜ユニット10-2の非透過液と圧力交換することにより減圧された後、回収液として第2膜ユニット20に供給される。一方、2段目の第1膜ユニット10-2の非透過液は、減圧装置40で昇圧されて3段目の第1膜ユニット10-3に供給される。
【0025】
第1膜ユニットが3段以上の多段に配置されている場合、回収液として使用される第1膜ユニットの非透過液は、必ずしも最前段である1段目の第1膜ユニットの非透過液である必要はなく、最後段以外の第1膜ユニットの非透過液であればよい。例えば、
図3に示す膜処理装置201は、3段の第1膜ユニット10-1,10-2,10-3を備えており、2段目の第1膜ユニット10-2の非透過液の一部が、減圧弁からなる減圧装置40で減圧された後に、回収液として第2膜ユニット20に供給される。
図3に示す構成においては、1段目の第1膜ユニット10-1および2段目の第1膜ユニット10-2のそれぞれの非透過液の一部を、回収液として使用することもできる。
【0026】
回収液として使用される第1膜ユニットの非透過液の減圧は、減圧装置40において他のいずれかの第1膜ユニットの非透過液と圧力交換して行うことができるが、当該第1膜ユニットよりも後段側の第1膜ユニットの非透過液との圧力交換により、回収液が減圧されることが好ましい。
【0027】
上記各実施形態における膜処理装置は、エネルギー回収装置30による濃縮液の圧力エネルギーの回収を、1段目の第1膜ユニット10-1の非透過液との圧力交換により行っているが、第1膜ユニットが3段以上の多段に配置されている場合には、最後段以外で2段目以降の第1膜ユニットの非透過液との圧力交換により行ってもよい。例えば、
図2および
図3に示す膜処理装置101,201においては、2段目の第1膜ユニット10-2の非透過液を、第2膜ユニット20で生成された濃縮液との圧力交換により昇圧してもよい。
【0028】
図4は、本発明の更に他の実施形態に係る膜処理装置の概略構成図である。
図1から
図3に示す膜処理装置は、エネルギー回収装置30が、最後段以外の第1膜ユニット(例えば、1段目の第1膜ユニット10-1)の非透過液を、第2膜ユニット20で生成された濃縮液との圧力交換により昇圧するのに対し、
図4に示す膜処理装置301は、ターボチャージャ等からなるエネルギー回収装置30が、高圧ポンプ2により昇圧されて最前段の第1膜ユニット10-1に供給される被処理液を、第2膜ユニット20で生成された濃縮液との圧力交換により更に昇圧するように配置されている。
図4に示す膜処理装置301によれば、エネルギー回収装置30が被処理液の昇圧を補うために、高圧ポンプ2のモータ容量を小さくすることができるので、小型化が可能になると共に、製造コストやランニングコストの低減を図ることができる。
【0029】
また、膜処理装置301は、1段目の第1膜ユニット10-1と、2段目の第1膜ユニット10-2との間に、1段目の第1膜ユニット10-1の非透過液を昇圧するブースターポンプ4を備えている。ブースターポンプ4は、インバータ制御が可能なポンプであり、モータ回転数の制御によって2段目の第1膜ユニット10-2に供給する非透過液の流量や圧力を容易に制御することができると共に、流路の絞りが不要になるため省エネルギー化を図ることができる。第1膜ユニットが3段以上配置される場合には、各段の第1膜ユニット間の全てにインバータ制御のブースターポンプをそれぞれ設けてもよく、あるいは、各段の第1膜ユニット間における必要な箇所のみにインバータ制御のブースターポンプを設けてもよい。
【0030】
また、
図1から
図4に示す膜処理装置の高圧ポンプ2をインバータ制御が可能なポンプとしてもよく、これによっても省エネルギー化を図ることができる。特に、
図4に示す膜処理装置301は、上述したようにエネルギー回収装置30によって高圧ポンプ2のモータ容量を低減できるため、インバータ制御が可能な高圧ポンプ2との組み合わせにより、インバータ装置のコスト低減や設置ハードルの低下を図ることができる。
【0031】
減圧装置40は、上記の各実施形態では減圧弁やエネルギー回収装置を使用しているが、圧力エネルギーを有効利用できる他の装置であってもよい。例えば、減圧装置40として発電機能を有するタービンを使用することで、回収した電気エネルギーを上記の高圧ポンプやブースターポンプ等に利用することができるため、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【符号の説明】
【0032】
1,101,201,301 膜処理装置
10-1,10-2,10-3 第1膜ユニット
20 第2膜ユニット
30 エネルギー回収装置
40 減圧装置