(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166378
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】身体状態共有シート
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20241121BHJP
A47C 7/00 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
A47C7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161591
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2022123662の分割
【原出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(57)【要約】
【課題】身体状態を評価する機能を使用するモチベーションを高くする。
【解決手段】シート本体と、シート本体に座っている着座者の身体状態を特定するための測定値を取得するセンサ(圧力センサ8)と、センサから測定値を取得可能にセンサと接続され、他の機器と通信可能に構成された制御部100とを備える身体状態共有シートである。制御部100は、測定値に基づいて、身体状態の評価値を算出する評価部121と、評価値を、着座者が使用する端末へ提示する評価値提示部122と、評価部により得られた、または、他の身体状態共有シートから得られた、他の着座者の身体状態の評価値である他者評価値を取得する共有データ取得部161と、他者評価値を、着座者が使用する端末へ提示する共有データ提示部162とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体と、
前記シート本体に座っている着座者の身体状態を特定するための測定値を取得するセンサと、
前記センサから前記測定値を取得可能に前記センサと接続され、他の機器と通信可能に構成された制御部とを備える身体状態共有シートであって、
前記制御部は、
前記測定値に基づいて、前記測定値が理想的なものに近いか否かについての前記身体状態の評価値を算出する評価部と、
前記評価値を、前記着座者が使用する端末を介して前記着座者へ提示する評価値提示部と、
前記評価部により得られた、または、他の身体状態共有シートから得られた、他の着座者の身体状態の評価値である他者評価値を取得する共有データ取得部と、
前記着座者が使用する端末を介して前記着座者に、前記評価値の目標値を提示する目標値提示部と、
前記目標値の提示前に前記評価部が算出した評価値と、前記目標値の提示後に前記評価部が算出した評価値との演算に基づいて、目標値の達成度を算出する達成度算出部とを備え、
前記共有データ取得部は、前記達成度算出部により得られた、または、他の身体状態共有シートから得られた、他の着座者の達成度である他者達成度を取得し、
前記制御部は、前記他者達成度を、前記着座者が使用する端末を介して前記着座者へ提示する共有データ提示部をさらに備えることを特徴とする身体状態共有シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の身体状態を評価可能なシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者のシートに圧力センサ等を搭載して、着座者の着座姿勢を推定する装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装置では、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであるので、着座者がその機能を使用するモチベーションがあまり湧かず、有効に利用されないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、着座者の身体状態を評価可能なシートにおいて、身体状態を評価する機能を使用するモチベーションを高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する本発明は、シート本体と、シート本体に座っている着座者の身体状態を特定するための測定値を取得するセンサと、センサから測定値を取得可能にセンサと接続され、他の機器と通信可能に構成された制御部とを備える身体状態共有シートである。このシートにおいて、制御部は、測定値に基づいて、身体状態の評価値を算出する評価部と、評価値を、着座者が使用する端末へ提示する評価値提示部と、評価部により得られた、または、他の身体状態共有シートから得られた、他の着座者の身体状態の評価値である他者評価値を取得する共有データ取得部と、他者評価値を、着座者が使用する端末へ提示する共有データ提示部とを備えることを特徴とする。
【0007】
このようなシートによれば、着座者が使用する端末に、着座者の身体状態を評価する評価値が提示されるだけでなく、他の着座者の身体状態の評価値である他者評価値も提示されるので、例えば、他者評価値を知ることによる、または、他人に自分の評価値が知られるかもしれないことによる、評価値を向上しようとする気持ちが出てくる可能性がある。また、評価値を他人と共有することにより楽しみも得られることになる。このため、身体状態を評価する機能を使用するモチベーションを高くすることができる。
【0008】
前記したシートにおいて、制御部は、着座者が使用する端末に、評価値の目標値を提示する目標値提示部と、目標値の提示前に評価部が算出した評価値と、目標値の提示後に評価部が算出した評価値とに基づいて、目標値の達成度を算出する達成度算出部とをさらに備えることができる。この場合、共有データ取得部は、達成度算出部により得られた、または、他の身体状態共有シートから得られた、他の着座者の達成度である他者達成度を取得し、共有データ提示部は、他者評価値に代えて他者達成度を、または、他者評価値および他者達成度を、着座者が使用する端末へ提示する構成とすることができる。
【0009】
このようなシートによれば、着座者が使用する端末に、着座者の身体状態の目標値の達成度が提示されるだけでなく、他の着座者の身体状態の目標値の達成度である他者達成度も提示されるので、例えば、他者達成度を知ることによる、または、他人に自分の評価値が知られるかもしれないことによる、達成度を向上しようとする気持ちが出てくる可能性がある。また、達成度を他人と共有することにより楽しみも得られることになる。このため、身体状態を評価する機能を使用するモチベーションを高くすることができる。
【0010】
前記したシートにおいて、共有データ提示部は、目標値提示部が目標値を提示する前に、他者評価値を、着座者が使用する端末へ提示することができる。
【0011】
また、共有データ提示部は、達成度算出部が達成度を算出した後に、他者評価値を、着座者が使用する端末へ提示することができる。
【0012】
また、共有データ提示部は、センサが着座者の測定値を測定中で、評価部が評価値の算出中に、他者評価値を、着座者が使用する端末へ提示することができる。
【0013】
また、共有データ提示部は、着座者が使用する端末に現在の評価値が提示されている最中に、他者評価値を、着座者が使用する端末へ提示することができる。
【0014】
前記したシートにおいて、制御部は、評価値に基づいて、評価値を高くするためのアドバイスを取得し、着座者が使用する端末に提示するアドバイス提示部を備えることができる。
【0015】
このようなシートによれば、着座者は、端末に提示されたアドバイスを参照して身体情報の評価値を高くするように楽しむことができる。
【0016】
前記したシートにおいて、制御部は、評価値提示部と共有データ提示部により、着座者が使用する端末に、評価値と他者評価値とを比較して提示することが望ましい。
【0017】
このようなシートによれば、着座者が使用する端末に、評価値と他者評価値とが比較して表示されるので、着座者のモチベーションをさらに高くすることができる。
【0018】
前記したシートにおいて、シート本体は、車両に搭載されていてもよい。この場合、共有データ取得部は、他の車両に搭載された身体状態共有シートから、他者評価値を取得することができる。
【0019】
このようなシートによれば、他の車両の身体状態共有シートから得られた他者評価値を着座者が使用する端末に提示することで、着座者のモチベーションをさらに高くすることができる。
【0020】
シート本体が車両に搭載されている場合、共有データ取得部は、当該車両中の複数の身体状態共有シートの評価値および他者評価値の平均値を取得し、共有データ提示部は、当該平均値を着座者が使用する端末へ提示することができる。
【0021】
このような構成によれば、着座者が評価値および他者評価値の平均値を知ることで、着座者のモチベーションをさらに高くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、着座者は、身体状態についての自分の評価値を知るだけでなく、他者評価値を知ることにより、身体状態を評価する機能を使用するモチベーションを高くすることができる。
【0023】
また、着座者が使用する端末に他者達成度が提示されることにより、着座者は、身体状態についての自分の評価値の達成度を知るだけでなく、他者達成度を知ることにより、身体状態を評価する機能を使用するモチベーションを高くすることができる。
【0024】
また、身体状態共有シートがアドバイス提示部を備えることで、着座者は、端末に提示されたアドバイスを参照して身体情報の評価値を高くするように楽しむことができる。
【0025】
また、着座者が使用する端末に、評価値と他者評価値とが比較して表示されることで、着座者のモチベーションをさらに高くすることができる。
【0026】
また、他の車両の身体状態共有シートから得られた他者評価値を着座者が使用する端末に提示することで、着座者のモチベーションをさらに高くすることができる。
【0027】
また、着座者が評価値および他者評価値の平均値を知ることで、着座者のモチベーションをさらに高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施形態に係る身体状態共有シートを使ったシステムの全体構成を説明する図である。
【
図2】各身体状態共有シートの構成を説明する図である。
【
図3】身体状態共有シートおよびシステムの構成を説明するブロック図である。
【
図4】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】トレーニングプログラムの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】評価値とトレーニングプログラムの選択が表示されている画面である。
【
図9】トレーニングプログラムの参加者選択画面である。
【
図12】トレーニング後の評価値、達成度の表示画面である。
【
図13】他の実施形態に係る身体状態共有シートを使ったシステムの全体構成を説明する図である。
【
図14】他の実施形態に係る身体状態共有シートおよびシステムの構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、身体状態共有シートSは、例えば、車両CRに搭載される車両用のシートとして構成される。車両CRには、例えば、2つの前席と2つの後席の4つのシートに身体状態共有シートSが設けられている。そして、車両CRでは、この4つの身体状態共有シートSの間で情報を統合し、これらを連携して動作させるとともに、着座者Pが使用する端末の一例であるスマートフォンSPと各身体状態共有シートSとの通信を媒介するECU(電子制御装置)3が採用されている。ECU3と各身体状態共有シートSとは、通信線によって接続されている。
このように車両CRには、ECU3と、複数の身体状態共有シートSとによって、身体状態共有シートSを使ったシステムSYSが構成されている。
【0030】
図2に示すように、身体状態共有シートSは、シート本体を構成するシートクッションS1およびシートバックS2を有する。シートクッションS1とシートバックS2には、表皮の下に複数の圧力センサ8が設けられている。圧力センサ8は、シート本体に座っている着座者Pの身体状態を特定するための測定値を取得するセンサの一例である。
また、シートクッションS1の適宜な箇所には、制御部100が設けられている。制御部100は、圧力センサ8から測定値を取得可能になるように圧力センサ8と接続されている。また、制御部100は、ECU3と通信線によって接続されている。
【0031】
ECU3には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが設けられている。これにより、制御部100は、他の機器の一例である他の身体状態共有シートSの制御部100と、ECU3を介して通信可能である。
【0032】
図3に示すように、制御部100は、測定値取得部111と、処理部115と、通信部180と、記憶部190とを有する。制御部100は、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各機能部が実現されている。
【0033】
測定値取得部111は、複数の圧力センサ8から、一定の制御サイクルごとに圧力の測定値を取得する機能を有する。測定値取得部111が取得した測定値は、記憶部190に記憶され、処理部115で利用される。また、測定値取得部111は、スマートフォンSPに、測定中であることを示す画像を提示する機能を有する。測定中の画像は、例えば、各圧力センサ8で測定された測定値と、その圧力センサ8での理想の圧力値との差に基づき、
図7に示すように、圧力センサ8の位置に対応した位置で、この差を色で表示する。例えば、理想的な圧力値である部分は緑、測定値が理想の圧力値より大きい場合には赤系の色、測定値が理想の圧力値より小さい場合には青系の色で表示することができる。
【0034】
図3に戻り、処理部115は、評価部121と、評価値提示部122と、目標値設定部131と、目標値提示部132と、達成度算出部141と、達成度提示部142と、アドバイス提示部151と、コントロール画像提示部155と、共有データ取得部161と、共有データ提示部162と、共有データ送信部163とを有する。
【0035】
評価部121は、圧力センサ8が測定した測定値に基づいて、着座者Pの身体状態の評価値を算出する機能を有する。身体状態の評価値の算出方法は任意である。評価部121は、算出した評価値を、適宜、記憶部190に記憶させる。なお、取得、算出、設定等した値は、適宜、記憶部190に記憶させるものとし、以下、記憶させることについての説明は適宜省略する。
【0036】
着座者の身体状態としては、ここでは一例として着座者の座り方を例示するが、これに限定されるものではない。身体状態としては、例えば、圧力センサ8に基づく着座者の運動状態、心拍数に基づくストレスや眠気の状態、循環器疾患に関する状態、体型・姿勢の状態、体温に基づく健康状態などがある。
【0037】
後述する着座者の座り方を評価する場合、例えば、記憶部190に、理想的な座り方をした場合に各圧力センサ8に掛かる圧力のバランス(圧力センサ8同士の相対値)を記憶しておく。そして、各圧力センサ8で測定した測定値(圧力)と、理想的な座り方の場合の圧力との差を求め、この差の合計を所定値(例えば、100)から引くことで求めることができる。つまり、各圧力センサ8に掛かる圧力のバランスが、理想的なものであれば100点となるように評価することができる。
【0038】
評価値提示部122は、評価部121により算出された評価値を、着座者Pが使用する端末であるスマートフォンSPへ提示する機能を有する。ここでは、一例として、スマートフォンSPの画面上に評価値を表示可能なように、スマートフォンSPに評価値のデータを送信する。
なお、本発明において、「提示する」とは、液晶ディスプレイなどの画面に文字や画像を表示することに限られず、着座者が認知可能な任意の方法で提示することを含む。例えば、音声により提示してもよいし、端末が点字を表示する装置であれば、端末に点字を表示することにより提示することもできる。
【0039】
目標値設定部131は、着座者Pの評価値についての目標値を設定する機能を有する。目標値設定部131は、例えば、現在の着座者Pの評価値に対して、一定割合高い値を目標値として設定することができる。また、目標値には、上限(例えば、100)を設定することもできる。
【0040】
目標値提示部132は、目標値設定部131が設定した評価値の目標値をスマートフォンSPに提示する機能を有する。
【0041】
達成度算出部141は、目標値の提示前に評価部121が算出した評価値と、目標値の提示後に評価部121が算出した評価値とに基づいて、目標値の達成度を算出する機能を有する。例えば、達成度は、目標値の提示後に評価部121が算出した評価値を、目標値の提示前に評価部121が算出した評価値で割ることで求めることができる。
【0042】
達成度提示部142は、達成度算出部141が算出した達成度をスマートフォンSPに提示する機能を有する。
【0043】
アドバイス提示部151は、着座者Pの現在の評価値に基づいて、評価値を高くするためのアドバイスを取得し、スマートフォンSPに提示する機能を有する。このアドバイスは、予め、評価値とアドバイスの内容(データ)とを対応づけて記憶部190に記憶させておくことができる。また、評価値だけでなく、圧力センサ8の圧力のバランスとアドバイスの内容とを関連づけて記憶させておいてもよい。なお、アドバイスを提示するタイミングは特に限定されない。
【0044】
コントロール画像提示部155は、スマートフォンSPに、身体状態の測定および共有の機能を使用するための機能の選択ボタンなどのコントロール画像を提示する機能を有する。
【0045】
共有データ取得部161は、他の着座者(過去にその身体状態共有シートSに着座していた者または他の身体状態共有シートSに着座している者)の身体状態の評価値である他者評価値と、他の着座者の達成度である他者達成度を取得する機能を有する。
【0046】
共有データ取得部161が取得する他者評価値は、その身体状態共有シートSの評価部121から得られたものであってもよいし、他の身体状態共有シートSから得られたものであってもよい。他者評価値が、その身体状態共有シートSの評価部121から得られたものである場合、共有データ取得部161は、記憶部190から取得することができる。他者評価値が、他の身体状態共有シートSから得られたものである場合、共有データ取得部161は、ECU3から取得することができる。
【0047】
共有データ取得部161が取得する他者達成度は、その身体状態共有シートSの達成度算出部141から得られたものであってもよいし、他の身体状態共有シートSから得られたものであってもよい。他者達成度が、その身体状態共有シートSの達成度算出部141から得られたものである場合、共有データ取得部161は、記憶部190から取得することができる。他者達成度が、他の身体状態共有シートSから得られたものである場合、共有データ取得部161は、ECU3から取得することができる。
【0048】
また、共有データ取得部161は、車両CR中の複数の身体状態共有シートSの評価値および他者評価値の平均値を取得する機能を有する。本実施形態においては、評価値および他者評価値の平均値は、ECU3が記憶しており、共有データ取得部161は、平均値をECU3から取得する。評価値および他者評価値の平均値は、すなわち、ECU3に接続されている、車両CR中の複数の身体状態共有シートSが算出した評価値の平均値である。この平均値は、当該車両CR中の現在着座している着座者Pのすべての評価値の平均値であってもよいし、現在および過去に当該車両CR中の身体状態共有シートSで算出されたすべての評価値の平均値であってもよい。本実施形態においては、一例として、平均値は、当該車両CR中の現在着座している着座者Pのすべての評価値の平均値とする。
【0049】
共有データ提示部162は、他者評価値および/または他者達成度を、着座者Pが使用するスマートフォンSPへ提示する機能を有する。本実施形態においては、共有データ提示部162は、他者評価値および他者達成度をスマートフォンSPへ提示する。
【0050】
また、共有データ提示部162は、評価値および他者評価値の平均値をスマートフォンSPへ提示する機能を有する。
さらに、共有データ提示部162は、目標値提示部132が目標値を提示する前に、他者評価値を、着座者Pが使用するスマートフォンSPへ提示する。
また、共有データ提示部162は、達成度算出部141が達成度を算出した後に、他者評価値を、着座者Pが使用する端末へ提示する。
また、共有データ提示部162は、圧力センサ8が着座者Pの測定値を測定中で、評価部121が評価値の算出中に、他者評価値を、着座者Pが使用するスマートフォンSPへ提示する。
また、共有データ提示部162は、着座者Pが使用するスマートフォンSPに現在の評価値が提示されている最中に、他者評価値を、着座者Pが使用するスマートフォンSPへ提示する。この際、共有データ提示部162は、評価値提示部122とともに、着座者Pが使用するスマートフォンSPに、評価値と他者評価値とを比較して提示する。
【0051】
評価値と他者評価値を比較して提示する方法は任意である。一例として、評価値と他者評価値を同じ画面上に並べて表示することで比較することができる。また、評価値の時間的変化を示すグラフと、他者評価値の時間的変化を示すグラフとを重ねて表示するようにしてもよい。
【0052】
共有データ送信部163は、身体状態共有シートSで得られたデータ、例えば、測定値、評価値、目標値および達成度などを、ECU3に送信する機能を有する。これにより、複数の身体状態共有シートSが、ECU3を介して各データを共有することができる。
【0053】
通信部180は、他の機器と通信をするための機能を有する。
【0054】
記憶部190は、演算、処理に必要なデータを適宜記憶する機能を有する。
【0055】
一方、ECU3は、平均値算出部31と、データ蓄積部33と、データ供給部34と、車内通信部38と、記憶部39とを備える。
【0056】
平均値算出部31は、車両CR内の、ECU3に接続された複数の身体状態共有シートSで算出されたすべての評価値の平均値を算出する機能を有する。
【0057】
データ蓄積部33は、各身体状態共有シートSから送信されてきた各データを記憶部39に蓄積する機能を有する。
【0058】
データ供給部34は、各身体状態共有シートSの要求に応じて、記憶部39に記憶されているデータを当該身体状態共有シートSに送信する機能を有する。
【0059】
車内通信部38は、車両CR内の、ECU3に接続された複数の身体状態共有シートSと通信をする機能を有する。ECU3は、車内通信部38を介して制御部100との通信を行う。
また、ECU3は、近距離通信機3Aを介して制御部100とスマートフォンSPと通信を媒介する。例えば、制御部100からの各種のデータの提示の指示をスマートフォンSPに送信し、スマートフォンSPからの操作信号を制御部100に送信する。
【0060】
記憶部39は、各身体状態共有シートSから取得したデータや、平均値算出部31が算出した平均値等を記憶する機能を有する。
【0061】
スマートフォンSPには、身体状態共有シートSに対応したアプリケーション(アプリ)がインストールされている。このアプリケーションは、身体状態共有シートSによるデータの提示の指示に応じた画面を表示する。また、スマートフォンSPは、制御部100の指示に応じ身体状態共有シートSで実行可能な機能の選択画面を提供するように構成されている。
【0062】
以上のような制御部100の処理の一例と、スマートフォンSPの画面の遷移の一例を
図4~
図12を参照して説明する。
図4に示すように、身体状態共有シートSの機能およびスマートフォンSPのアプリケーションを立ち上げると、ガイド画面SC1を提示する(S101、
図6参照)。ガイド画面SC1には、スタートボタンB1が表示されており、着座者PがスタートボタンB1を押すことで、ステップS102へ進む。
【0063】
制御部100が、スタートボタンB1が押された信号を受信すると、測定値取得部111は、各圧力センサ8から測定値を取得する(S102)。そして、測定値取得部111は、スマートフォンSPに、
図7のような、測定中であることを示す測定中画面SC2を提示する。
【0064】
そして、所定時間の測定が終了すると、評価部121は、測定値に基づいて評価値を算出し、評価値提示部122は、スマートフォンSPに、
図8に示すような評価値提示画面SC3を提示する(S103)。
また、共有データ取得部161は、他者評価値と平均値を取得し(S104)、共有データ提示部162は、
図8の評価値提示画面SC3に、他者評価値と平均値を提示する(S105)。
すなわち、共有データ提示部162は、評価値と他者評価値を比較して提示する。
【0065】
また、コントロール画像提示部155は、評価値提示画面SC3に、トレーニングプログラムとして、「車内でわいわいトレーニングコース」の選択ボタンB2と、「1人でストイックにトレーニングコース」の選択ボタンB3と、終了ボタンB4を提示する(S105)。
【0066】
そして、制御部100は、スマートフォンSPからのプログラムの選択を受け付ける。(S110)。着座者Pにより終了ボタンB4が選択された場合には、処理を終了する。一方、「車内でわいわいトレーニングコース」または「1人でストイックにトレーニングコース」が選択された場合には、コントロール画像提示部155は、トレーニングプログラムに応じた画像を提示する。例えば、車内でワイワイトレーニングコースが選択された場合には、
図9に示すような、参加者を選択する参加者選択画面SC4を提示する。この画面で、着座者Pは、参加者を選択し、次へボタンB5を押すことで、制御部100の処理を促す。
【0067】
制御部100が、次へボタンB5の信号を受信すると、目標値設定部131は、プログラムに応じた目標値を設定し、目標値提示部132は、
図10に示すように、この目標値をスマートフォンSPに提示する(S111、目標値提示画面SC5)。また、アドバイス提示部151は、着座者Pの身体状態の評価値に基づいてアドバイスを取得し、目標値提示画面SC5に提示する(S112)。
【0068】
そして、制御部100は、スタートボタンB11が押された信号を受信すると、トレーニングプログラムを実行する。
例えば、
図5に示すように、まず、測定値取得部111が圧力センサ8から測定値を取得し(S201)、
図11のようなトレーニング画面SC6に測定中の画像を提示する。測定中の画像では、測定値と理想値の差を色で提示する。(S202)。そして、評価部121は評価値を算出し(S203)、共有データ取得部161は、他者評価値をECU3から取得する(S204)。そして、評価値提示部122は、現在の評価値を
図11のトレーニング画面SC6に提示し、共有データ提示部162は、現在の他者評価値をトレーニング画面SC6に提示する(S205)。すなわち、共有データ提示部162は、圧力センサ8が着座者Pの測定値を測定中で、評価部121が評価値の算出中に、他者評価値を提示するとともに、着座者Pが使用するスマートフォンSPに現在の評価値が提示されている最中に、他者評価値を、着座者Pが使用するスマートフォンSPへ提示する。
【0069】
着座者Pは、このトレーニング画面SC6を見ながら、測定中の画像(シートの画像)の中のすべての圧力センサ8に対応する部分の色が緑になるように座り方を調整して座り方をトレーニングする。
トレーニング画面SC6には、コントロール画像提示部155により、トレーニングの残り時間が提示される。
【0070】
制御部100は、所定時間が経過したかどうかを判定し(S210)、所定時間が経過するまで(S210、No)、S201~S205の測定、提示を続ける。そして、所定時間が経過したら(S210、Yes)、トレーニングプログラムを終了する。
【0071】
そして、
図4に示すように、ステップS200の後、測定値取得部111は、圧力センサ8から測定値を取得する(S121)。このときも、測定値取得部111は、
図7のような測定中画面SC2を提示する。そして、評価部121は、このトレーニング後の測定値に基づいて評価値と達成度を算出する(S122)。そして、評価値提示部122は、スマートフォンSPに評価値を提示し、達成度提示部142は、スマートフォンSPに達成度を提示し、共有データ取得部161は、他者評価値と他者達成度をECU3から取得し、共有データ提示部162は、他者評価値と他者達成度をスマートフォンSPに提示する(S123)。これにより、例えば、
図12に示すような、トレーニング終了後の達成度提示画面SC7が表示される。達成度提示画面SC7では、トレーニング終了後の評価値に基づいたアドバイスをアドバイス提示部151により提示することが望ましい。この画面で、着座者Pにより終了ボタンB12が押されれば、スマートフォンSPのアプリケーションと制御部100の処理が終了する。
【0072】
なお、評価値提示画面SC3において、例えば、着座者Pにより「1人でストイックにトレーニングコース」が選択された場合には、
図9の参加者選択画面SC4の提示を省略し、
図11のトレーニング画面SC6で他者評価値の提示を省略すればよい。また、
図12の達成度提示画面SC7では、他者達成度の提示を省略してもよいし、過去の他者達成度を提示してもよい。
【0073】
以上のようにして、本実施形態の身体状態共有シートSおよびシステムSYSによれば、着座者Pは、自己の身体状態の評価値を知ることができるだけでなく、他者評価値を知ることができる。このため、例えば、他者評価値を知ることによる、または、他人に自分の評価値が知られるかもしれないことによる、評価値を向上しようとする気持ちが出てくる可能性がある。また、評価値を他人と共有することにより楽しみも得られることになる。このため、身体状態を評価する機能を使用するモチベーションを高くすることができる。
【0074】
また、本実施形態の身体状態共有シートSおよびシステムSYSによれば、自己の身体状態の評価値の達成度を知ることができるだけでなく、他者達成度を知ることができる。このため、例えば、他者達成度を知ることによる、または、他人に自分の評価値が知られるかもしれないことによる、達成度を向上しようとする気持ちが出てくる可能性がある。また、達成度を他人と共有することにより楽しみも得られることになる。このため、身体状態を評価する機能を使用するモチベーションを高くすることができる。
【0075】
また、着座者Pは、スマートフォンSPに提示されたアドバイスを参照して身体情報の評価値を高くするように楽しむことができる。さらに、身体状態共有シートSは、着座者Pが使用するスマートフォンSPに、評価値と他者評価値とが比較して表示されるので、着座者Pのモチベーションをさらに高くすることができる。
【0076】
また、身体状態共有シートSによれば、着座者Pが評価値および他者評価値の平均値を知ることで、着座者Pのモチベーションをさらに高くすることができる。
【0077】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0078】
例えば、
図13に示す他の実施形態の身体状態共有シートSおよびシステムSYSのように、複数の車両CRとの間でサーバー4を介して身体状態の情報を共有するように構成することもできる。このシステムSYSでは、
図14に示すように、ECU3には、インターネット通信機3Bが設けられ、サーバー4との間でインターネットを介してデータ通信をすることができるように構成される。また、ECU3は、データ送信部35と他者データ取得部36をさらに備える。
【0079】
データ送信部35は、自己の車両CR内の身体状態共有シートSから得られた各種のデータをサーバー4に送信する機能を有する。
他者データ取得部36は、身体状態共有シートSからの要求に応じて、他の車両CRにおいて得られた他者の身体状態のデータをサーバー4から取得する機能を有する。
【0080】
そして、身体状態共有シートSの共有データ取得部161は、他の車両CRに搭載された身体状態共有シートSから、他者評価値および/または他者達成度を取得するように構成される。すなわち、共有データ取得部161は、他者評価値や他者達成度を、ECU3を介してサーバー4から取得する。このように構成することで、着座者Pは、自車内だけでなく他車の着座者の他者評価値や他者達成度を知ることができる。他の車両CRの身体状態共有シートSから得られた他者評価値を着座者Pが使用するスマートフォンSPに提示することで、着座者Pのモチベーションをさらに高くすることができる。
【0081】
前記実施形態においては、端末として、スマートフォンSPを例示したが、端末は、車両CRに備え付けられた端末であってもよい。また、画面は必要ではなく、マイクとスピーカを備え、音声で身体状態共有シートSに指示するとともに、音声で情報が提示されるように構成された端末であってもよい。
【0082】
前記実施形態においては、共有データ提示部162は、他者評価値と他者達成度の両方を端末に提示していたが、他者評価値に代えて他者達成度を提示してもよい。つまり、他者評価値を提示することなく、他者達成度のみを提示してもよい。
【0083】
前記実施形態においては、身体状態共有シートとして車両に搭載されるシートを例示したが、身体状態共有シートは、車両以外の乗物用シートや、乗物以外の家庭や施設等に設置されるシートであってもよい。
【0084】
また、本明細書に記載した各実施形態および各変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 制御部
111 測定値取得部
115 処理部
121 評価部
122 評価値提示部
132 目標値提示部
141 達成度算出部
151 アドバイス提示部
155 コントロール画像提示部
161 共有データ取得部
162 共有データ提示部
163 共有データ送信部
180 通信部
190 記憶部
CR 車両
P 着座者
S 身体状態共有シート
S1 シートクッション
S2 シートバック
SP スマートフォン
SYS システム