IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 元旦ビューティ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-瓦屋根 図1
  • 特開-瓦屋根 図2
  • 特開-瓦屋根 図3
  • 特開-瓦屋根 図4
  • 特開-瓦屋根 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166402
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】瓦屋根
(51)【国際特許分類】
   E04D 1/30 20060101AFI20241121BHJP
   E04D 1/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
E04D1/30 602D
E04D1/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024162449
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2021038994の分割
【原出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(72)【発明者】
【氏名】成田 謙二
(72)【発明者】
【氏名】小池 大輔
(57)【要約】
【課題】軒側から降り込む降雨からも、吹き上げ風による降雨からも、十分に建築物の側方を守ることができ、軒側からの美麗な意匠を継続的に維持することができる瓦屋根を提供する。
【解決手段】本発明の瓦屋根は、屋根勾配に沿って通し材1が配設されると共に、屋根勾配に直交する方向に隣り合う通し材1,1間に被覆状に本瓦2が配設され、瓦屋根が載置される建築物Bの軒先bより、突出状に延在された通し材1の裏面側に、屋根勾配に直交する方向に化粧板3,3が隣り合って接続された化粧面が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根勾配に沿って通し材が配設されると共に、前記屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記通し材間に被覆状に本瓦が配設される瓦屋根であって、
前記瓦屋根が載置される建築物の軒先より、突出状に延在された前記通し材の裏面側に、前記屋根勾配に直交する方向に化粧板が隣り合って接続された化粧面が形成されていることを特徴とする瓦屋根。
【請求項2】
前記屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記本瓦間には、桟瓦が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の瓦屋根。
【請求項3】
前記化粧板は、前記化粧面部が円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の瓦屋根。
【請求項4】
前記通し材は、中央に隆起する固定部を設けた排水部材であって、前記固定部にて隣り合う前記化粧板が接続されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の瓦屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒側から降り込む降雨からも、吹き上げ風による降雨からも、十分に建築物の側方を守ることができ、軒側からの美麗な意匠を継続的に維持することができる瓦屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、瓦屋根の軒先納めは、屋根のはね出しが短いため、建築物を軒側から降り込む降雨から建築物の側方を守るには十分ではなかった。この瓦屋根に用いられる本瓦等の瓦材は、頑丈であるが高重量であるため、軒先へ大きく(長く)はね出すと、留付材が瓦材を支えられなくなるため、はね出し寸法は水切れを考慮した程度の短さとなっていた。
【0003】
例えば特許文献1に提案された従来の瓦屋根の軒先納めは、唐草瓦5やその裏面側に配された敷平瓦4が軒先へ短くはね出し、更にそれらの裏面側に位置する瓦座25や裏甲24といった部材が、軒先からの降雨に曝されている。そのため、軒先からの降雨によって建築物の一部を形成するこれらの部材25,24の劣化等が推測されるが、この事象について、図5に示す比較例にて説明する。
【0004】
図5では、瓦屋根は符号Aで示される複数段の瓦材のみで形成され、前記瓦屋根と建築物Bとの間には軒先面戸Cが配設され、該軒先面戸Cが建築物Bの側方に位置する軒先端bの上方を覆っている。
そのため、軒先面戸Cにて、図中に破線矢印で示す軒先からの降雨を、ある程度は覆うことができるが、図中に一点鎖線で囲った楕円部分に位置する建築物Bの軒先端bの下方部分は降雨に確実に曝され、更に風向きが水平方向に近く生ずる降雨ではより広い範囲の軒先端bが降雨に曝されてしまう。また、最も軒先側に位置する瓦材Aは、軒先に連続していないので、その隙間からの雨水の浸入も見込まれる。
当該図5には、この状態を裏面側から視認する状態を示しているが、同方向より吹き上げ風により吹き込む降雨も想定されるため、建築物Bの軒先端bが雨水に湿潤して劣化が促進してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3654321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献1のような瓦屋根では、軒側から降り込む降雨から建築物の側方を十分に守ることもできず、降雨に曝されて湿潤されることで劣化が促進してしまう。しかも、軒先の裏面側からその劣化等が視認されるため、定期的に部材を交換するか、異なる防水処理の必要性が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、軒側から降り込む降雨からも、吹き上げ風による降雨からも、十分に建築物の側方を守ることができ、軒側からの美麗な意匠を継続的に維持することができる瓦屋根を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、屋根勾配に沿って通し材が配設されると共に、前記屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記通し材間に被覆状に本瓦が配設される瓦屋根であって、前記瓦屋根が載置される建築物の軒先より、突出状に延在された前記通し材の裏面側に、前記屋根勾配に直交する方向に、化粧板が隣り合って接続された化粧面が形成されていることを特徴とする瓦屋根に関する。
【0009】
また、本発明は、前記瓦屋根において、前記屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記本瓦間には、桟瓦が接続されていることを特徴とする瓦屋根をも提案する。
【0010】
さらに、本発明は、前記瓦屋根において、前記化粧板は、前記化粧面部が円弧状に形成されていることを特徴とする瓦屋根をも提案する。
【0011】
また、本発明は、前記瓦屋根において、前記通し材は、中央に隆起する固定部を設けた排水部材であって、前記固定部にて前記屋根勾配に直交する方向に化粧板が隣り合って接続された化粧面が形成されていることを特徴とする瓦屋根をも提案する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の瓦屋根は、この瓦屋根が載置される建築物の軒先より、突出状に延在された通し材の裏面側に、屋根勾配に直交する方向に化粧板が隣り合って接続された化粧面が形成されているので、該化粧面が軒側から降り込む降雨からも、吹き上げ風による降雨からも、十分に建築物の側方を守ることができ、裏面側からの意匠性にも優れている。
【0013】
また、屋根勾配に直交する方向に隣り合う本瓦間に、丸棒瓦等の桟瓦が接続されている場合には、桟瓦の意匠性が加わって瓦屋根は瓦棒屋根となる。
【0014】
さらに、化粧板の化粧面部が円弧状に形成されている場合には、形成される化粧面の裏面側からの視感は瓦屋根の表面側からの視感を模したものとなり、柔らかな美観を損なうことがない。
【0015】
また、通し材は、中央に隆起する固定部を設けた排水部材であって、その固定部にて屋根勾配に直交する方向に隣り合う化粧板が接続されている場合には、通し材や本瓦の裏面を化粧板が覆うので、裏面側からの意匠性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1の瓦屋根を示す側面図である。
図2】(a)実施例1の瓦屋根の施工途中を表面側から見た斜視図、(b)用いた通し材の斜視図、(c)用いた桟瓦の斜視図、(d)用いた取付材及び補強材を示す斜視図、(e)用いた本瓦を示す斜視図である。
図3】(a)屋根勾配に直交する方向に隣り合う通し材間の表面側に本瓦を、裏面側に化粧板を取り付ける状態を示す断面図、(b)施工状態を示す断面図である。
図4】(a)屋根勾配に直交する方向に隣り合う通し材間の表面側に本瓦を、裏面側に実施例2の化粧板を嵌合固定にて取り付ける状態を示す断面図、(b)施工状態を示す断面図である。
図5】比較例の瓦屋根を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の瓦屋根は、屋根勾配に沿って通し材が配設されると共に、前記屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記通し材間に被覆状に本瓦が配設され、前記瓦屋根が載置される建築物の軒先より、突出状に延在された前記通し材の裏面側に、前記屋根勾配に直交する方向に化粧板が隣り合って接続された化粧面が形成されていることを特徴とする。
【0018】
前述のように本発明の瓦屋根には、屋根勾配に沿って配設される通し材、前記屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記通し材間に被覆状に配設される本瓦、前記瓦屋根が載置される建築物の軒先より、突出状に延在された前記通し材の裏面側に、前記屋根勾配に直交する方向に配設されて隣り合って接続される化粧板、が用いられる。
【0019】
前記通し材は、前述のように屋根勾配に沿って配設される部材であって、屋根勾配に直交する方向に隣り合うこの通し材間に本瓦が被覆状に配設されるので、本瓦を取り付けるための支持材(吊子)の役割を果たすため、剛性を備える素材で形成されることが望ましい。この通し材を剛性を備える素材で形成することは、屋根のはね出しを長くした際の支持強度を向上する目的でも望ましい。また、この通し材は、樋状に成形することで、後述する図示実施例のように排水部材を兼ねるようにしてもよい。
この通し材が排水部材を兼ねる場合には、屋根下地に取り付けるための固定部を必要とするが、この固定部は、樋状排水部の外部に設けてもよいし、後述する図示実施例のように中央に隆起する固定部を設けてもよい。また、樋状に形成された左右側面の上端には、本瓦が取り付けられるので、予め所定間隔にて爪状の切起片が設けられていることが望ましい。
【0020】
前記本瓦は、前述のように屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記通し材間に被覆状に配設されるものであって、後述する図示実施例では幅方向において断面形状が円弧状に形成(下向き凸状に湾曲)される面板部と、左右に隣り合う通し材に取り付ける側縁部と、表面側へ立ち上げられる水上端と、裏面側へ折り下げられら水下端とを有しているが、その形状や材質を限定するものではなく、耐食性を備える金属板、或いは耐食処理を施した金属板を加工して作製することが望ましい。
この本瓦は、屋根勾配に係合状に接続されることで、面板部に受ける降雨を確実に流れ方向へ流下させることができ、側縁部を超えるような余剰な雨水を通し材の樋状排水部へ導くことができる。
また、この本瓦は、前記通し材間に配設されるので、通し材に切起片を設けた際には、それが挿通する孔が側縁部に設けられていることが望ましい。この構成により、通し材に対して本瓦を配設する際の位置合わせを容易に行うことができる。
【0021】
前記化粧板は、前述のように建築物の軒先より、突出状に延在された前記通し材の裏面側に配設されるものであって、前記屋根勾配に直交する方向に配設されて隣り合って接続される部材であり、特に裏面側から見上げた際の化粧に貢献する。
この化粧板は、化粧面部の側縁に、隣り合う化粧板と接続するための接続部が形成されている構成であって、該接続部を通し材に連結することで屋根勾配に直交する方向に固定することができる。後述する図示実施例ではその化粧面部の断面形状が幅方向において円弧状に形成(下向き凸状に湾曲)されているので、瓦屋根の表面側からの視感を模したものとなり、柔らかな美観を損なうことがない。
【0022】
前記化粧板の接続部は、前述のように通し材に連結する部位でもあり、止水用の特殊ビスを用いて通し材の樋状排水部の底面に取り付けてもよいし、普通ビスを用いて固定部の裏面に取り付けてもよい。
特に通し材が後述する図示実施例のように樋状の排水部材を兼ね、中央に隆起する固定部を設けた場合には、前記化粧板の接続部は、該固定部の幅の裏面に沿う嵌合端を備えることで固定部の裏面にビスを打ち込んで接続することができる。
また、左右非対称の接続部とし、一方の接続部に設けた被差込部に、他方の接続部に設けた差込部を差し込んだ状態で接続することで、屋根勾配に直交する方向に通し材を接続することができる。
【0023】
また、屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記本瓦間には、丸棒瓦等の桟瓦が接続されていることが望ましい。なお、前記本瓦は、屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記通し材間に配設されるので、この桟瓦は前記通し材の上方から被覆するように配設される。勿論のことながら、この桟瓦への降雨は、隣り合う本瓦に導かれるので、雨水を確実に軒先側へ流下させることができる。
前記桟瓦を取り付けるには、後述する図示実施例に示すように本瓦間に固定される取付材を介して桟瓦を取り付けるようにしてもよい。なお、この図示実施例の取付材は、前記本瓦の取付に際して説明した通し材に切起片を設けてそれを挿着する孔を形成した構成と同様に切起片を挿着する孔を設けて取り付けるようにしたが、特にそれに限定されるものではない。
なお、桟瓦が丸棒瓦のように機能性と共に意匠性を備える形状である場合には、その内面に沿う定形の補強材を介在させてもよいし、或いは不定形の充填材を介在させるようにしてもよい。
【0024】
本発明の瓦屋根は、以上説明した通し材、本瓦、化粧板等よりなり、この瓦屋根が載置される建築物の軒先より、突出状に延在された通し材の裏面側に、屋根勾配に直交する方向に化粧板が隣り合って接続されているので、該化粧板が軒側から降り込む降雨からも、吹き上げ風による降雨からも、十分に建築物の側方を守ることができ、裏面側からの意匠性にも優れている。
【0025】
また、屋根勾配に直交する方向に隣り合う本瓦間に、丸棒瓦等の桟瓦が接続されている場合には、桟瓦の意匠性が加わって瓦屋根は瓦棒屋根となる。
さらに、前記化粧板の化粧面部が円弧状に形成されている場合には、瓦屋根の表面側からの視感を模したものとなり、柔らかな美観を損なうことがない。
また、通し材は、中央に隆起する固定部を設けた排水部材であって、その固定部にて屋根勾配に直交する方向に隣り合う化粧板が接続されている場合には、通し材や本瓦の裏面を化粧板が覆うので、裏面側からの意匠性に優れたものとなる。
【実施例0026】
図1に示す本発明の実施例1の瓦屋根は、屋根勾配に沿って通し材1が配設されると共に、屋根勾配に直交する方向に隣り合う通し材1,1間に被覆状に本瓦2が配設される瓦屋根であって、瓦屋根が載置される建築物の軒先より、突出状に延在された通し材1の裏面側に、屋根勾配に直交する方向に化粧板3,3が隣り合って接続された化粧面が形成されている。
なお、既に説明した図5の比較例と対比させるために、建築物Bとその軒先端bは、全く同様に示している。
【0027】
通し材1は、図2(a)に示すように屋根勾配に沿って配設される部材であって、剛性を備える金属素材で形成されている。屋根勾配に直交する方向に隣り合うこの通し材1,1間には、本瓦2が被覆状に配設されるので、本瓦2を取り付けるための支持材(吊子)の役割を果たす。
この通し材1は、例えば比較例である図5との比較で明らかなように、屋根のはね出しを長くしたものであって、前述のように剛性を備える金属素材で形成したことで、はね出し部分の変形等を生ずることがなく、高い支持強度を備える。
また、この通し材1は、図2(b)に示すように中央に隆起する固定部11を設けた樋状に成形したので、排水部材(図中、10は樋状排水部、12は底面部)を兼ねるので、水分との接触により劣化等を生じない表面処理が施されている。なお、この固定部11は上方から図示しない固定具等にて下地へ固定する部位であるが、後述する化粧板3をその裏面に固定する部位でもあり、下方が開放する溝状に形成されている。
【0028】
この排水部材を兼ねる通し材1は、樋状に形成された左右側面13,13の上端14,14には、本瓦2を取り付けるための爪状の切起片141,141を予め所定間隔にて設けられている。なお、当該図2(b)では伏せた状態であるために符号141'を付したが、起立状に立ち上げた状態の符号141と区別した。即ち金属板材を略樋状に成形すると共にその所定位置に半抜き加工を施した通し材1を屋根勾配に沿って配設した後、符号141'の部位を起立させて爪状の切起片141を形成した。
【0029】
本瓦2は、図2(a)に示すように屋根勾配に直交する方向に隣り合う前記通し材1,1間に被覆状に配設される部材であって、図2(e)に示すように幅方向において断面形状が円弧状に形成(下向き凸状に湾曲)される面板部21と、左右に隣り合う通し材1,1に取り付ける側縁部22,22と、表面側へ立ち上げられる水上端24と、裏面側へ折り下げられら水下端23とを有しており、耐食性を備える金属板を加工して作製されている。
【0030】
この本瓦2は、屋根勾配に隣り合う本瓦2,2同士を係合状に接続されることで、面板部21に受ける降雨を確実に下段側(流れ方向)へ流下させることができ、側縁部22,22を超えるような余剰な雨水は、通し材1の樋状排水部10へ導くことができる。
また、この本瓦2は、前記通し材1,1間に配設されるので、通し材1に設けた切起片141が挿通する孔221を側縁部22に設けられている。なお、この孔221は、屋根勾配に沿う長孔であり、切起片141も屋根勾配に沿う起立片であるため、本瓦2のズレが防止される。
【0031】
前記化粧板3は、前述のように建築物の軒先より、突出状に延在された前記通し材1の裏面側に配設されるものであって、屋根勾配に直交する方向に配設されて隣り合って接続される部材であり、特に裏面側から見上げた際の化粧に貢献する。
この化粧板3は、図3(a)に示すように断面形状が幅方向において円弧状に形成(下向き凸状に湾曲)されている化粧面部31の側縁に、隣り合う化粧板3と接続するための接続部32,32が形成されている。
【0032】
この接続部32は、ビス(留付材)3bを用いて通し材1の固定部11の裏面に取り付ける部位でもあり、化粧面部31の側端を直角状に二度折り曲げて略L字状に形成しており、前記通し材1の下方が開放する溝状の固定部11の裏面に嵌合状に取り付けられてビス3bにて裏面側から固定される。
【0033】
また、この実施例1では、図2(a)に示すように屋根勾配に直交する方向に隣り合う本瓦2,2間に、図2(c)に示す丸棒瓦である桟瓦4が配設されている。この桟瓦4は、断面半円弧状の曲面部41の左右の下縁を内側に折り返して形成した係合部42,42を備え、前記通し材1の上方から被覆するように配設される。
この桟瓦4は、その曲面部41の左右の下縁の水上側を切り欠いた切欠部410が形成されているが、流れ方向の桟瓦4,4同士を接続する際に上段側の桟瓦4の下端に下段側の桟瓦4の上端を縮径させて嵌め込んで接続する。
【0034】
前記桟瓦4を取り付けるには、図2(d)に示す取付材5を用いている。この取付材5は、図2(a)に示すように本瓦2,2間に固定される部材であって、通し材1の上方から被覆状に配設され、通し材1の幅長さより広い被覆面部51と、その左右側縁を下方へ折り曲げた被係合部52,52とを備えている。この被係合部52,52が、前記桟瓦4の係合部42,42を係合させることで取付材5が取り付けられる。
また、この取付材5には、前記本瓦2と同様に通し材1に設けた切起片141を挿着する孔511を備えているので、この取付材5も本瓦2と同様に前記通し材1に取り付けられる。そのため、桟瓦4も本瓦2と同様に通し材1に取り付けられる。
【0035】
なお、図2(d)に点線にて示す補強材6は、その材質を限定するものではないが、複数の隆起状部を備え、丸棒瓦である桟瓦4の曲面部41の意匠性を保持する役割を果たし、特に上方から強い圧力が作用した際に桟瓦4の曲面部41の潰れ等の変形を防止する。
【0036】
これらの図1図3に示す実施例1の瓦屋根は、この瓦屋根が載置される建築物の軒先より、突出状に延在された通し材1の裏面側に、屋根勾配に直交する方向に化粧板3が隣り合って接続された化粧面が形成されているので、該化粧面が軒側から降り込む降雨からも、吹き上げ風による降雨からも、十分に建築物Bの側方を守ることができ、裏面側からの意匠性にも優れている。
なお、図1における符号7は桟瓦4や通し材1の軒先端を覆う納め材であって、符号8は本瓦2や化粧材3の軒先端を覆う納め材である。
【0037】
特に図3(b)に示すように化粧板3は、形成される目地幅Xは留付材であるビス3bの頭部の幅Yよりも狭いので、屋根勾配に直交する方向に極めて幅狭な目地が形成された化粧面が形成されるに過ぎず、美麗な意匠面を呈する。即ち、目地幅Xは、化粧面部31が円弧状に形成(下向き凸状に湾曲)されていることで、極めて狭い目地幅Xが形成される。そのため、裏面側からの意匠性も表面側からの視感を模したものとなり、柔らかな美観を備えるものである。
【実施例0038】
図4に示す実施例2の瓦屋根は、用いた化粧板3'以外の各部材については前記実施例1と全く同様であるから図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
この実施例2における化粧板3'は、前記実施例1における化粧板3と同様に断面形状が幅方向において円弧状に形成(下向き凸状に湾曲)されている化粧面部31'を備えているが、前記実施例1における化粧面部31に比べて幅方向の寸法が僅かに長く形成されている。この化粧面部31'の側縁に、隣り合う化粧板3'と接続するための左右非対称の接続部32a,32bが形成され、一方の接続部32aに設けた横溝状の被差込部33aに、他方の接続部32bに設けた横片状の差込部33dを差し込んで接続している。
また、この接続部32aには、板状材の両端(33b,33c)を傾斜状に立ち上げた形状の補助片3cが接着され、該補助片3cの一方の立ち上げ片33bが抜け止めに、他方の立ち上げ片33cが位置規制に寄与する。なお、補助片3cは、ビス(留付材)3b'の固定によりこの接続部32aが通し材1に取り付けられる際に一体化されるので、当初の接着はテープ等による接着でもよい。また、ここで用いられるビス3b'は、通し材1の底面部12に固定するので、止水用のものを用いるか、固定後に止水処理を施すようにする。
【0040】
前記化粧板3'を屋根勾配に直交する方向に接続するには、図4(a)に示すように補助片3cが接着された接続部32aを、ビス3b'にて通し材1(底面部12)の裏面に固定するが、この接続部32aには前述のように立ち上げ片33cが一体状に設けられているので、該立ち上げ片33cを通し材1の側面13に嵌合状に沿わせることで、容易にこの接続部32aの位置を特定できる。そして、固定した接続部32aの横溝状の被差込部33aに、他方の接続部32bに設けた横片状の差込部33dを側方から差し込んで接続するが、接続部32aには前述のように立ち上げ片33bが一体状に設けられているので、差し込んだ接続部32bの抜け止めが果たされる。
【0041】
このように実施例2では、屋根勾配に直交する方向に隣り合う化粧板3',3'を、嵌合固定するものであって、隙間ない化粧面が形成されるので、裏面側からの意匠性が優れており、吹き上げ風による降雨から十分に建築物Bの側方を守ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 通し材
10 樋状排水部
11 固定部
12 底面部
13 側面
14 上端
141 切起片
2 本瓦
21 面板部
22 側縁部
23 水下端
24 水上端
3,3' 化粧材
31,31' 化粧面部
32,32a,32b 接続部
3b,3b' ビス
4 桟瓦
41 曲面部
42 係合部
5 取付材
51 被覆面部
511 孔
52 被係合部
6 補強材
B 建築物
b 軒先(端)
図1
図2
図3
図4
図5