IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マレリキャビンコンフォートジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱交換器 図1
  • 特開-熱交換器 図2
  • 特開-熱交換器 図3
  • 特開-熱交換器 図4
  • 特開-熱交換器 図5
  • 特開-熱交換器 図6
  • 特開-熱交換器 図7
  • 特開-熱交換器 図8
  • 特開-熱交換器 図9
  • 特開-熱交換器 図10
  • 特開-熱交換器 図11
  • 特開-熱交換器 図12
  • 特開-熱交換器 図13
  • 特開-熱交換器 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016643
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20240131BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20240131BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
F28F9/02 301J
F28F1/02 A
F25B39/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118920
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】320014857
【氏名又は名称】ハイリマレリジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎章
(72)【発明者】
【氏名】丹野 良城
(72)【発明者】
【氏名】中所 和生
(57)【要約】
【課題】冷媒を流れ易くすることが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器10は、冷媒が供給される上部ヘッダタンク20A,20Bと、上部ヘッダタンク20A,20Bよりも下方に配置される下部ヘッダタンク22A,22Bと、上部ヘッダタンク20A,20Bと下部ヘッダタンク22A,22Bとを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブ24と、を各々有し、空気の流れ方向12に複数重ねて設けられて連続して冷媒が流れる複数のコア部としての上流側コア部16及び下流側コア部14を備える。熱交換器10は、一方のコア部としての上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bと、空気の流れ方向12に重ねて配置される他方のコア部としての下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aと、を連通させて下部ヘッダタンク22Bから上部ヘッダタンク20Aに冷媒を流通させる連通路26を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相と気相との相変化を生じる冷媒を凝縮して空気を加熱する熱交換器であって、
冷媒が供給される上部ヘッダタンクと、前記上部ヘッダタンクよりも下方に配置される下部ヘッダタンクと、前記上部ヘッダタンクと前記下部ヘッダタンクとを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブと、を各々有し、空気の流れ方向に複数重ねて設けられて連続して冷媒が流れる複数のコア部と、
一方の前記コア部の前記下部ヘッダタンクと、空気の流れ方向に重ねて配置される他方の前記コア部の前記上部ヘッダタンクと、を連通させて前記下部ヘッダタンクから前記上部ヘッダタンクに冷媒を流通させる連通路と、
を備える、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
一方の前記コア部の前記上部ヘッダタンクは、冷媒が流入する冷媒流入口を一端部に有し、他方の前記コア部の前記下部ヘッダタンクは、冷媒が流出する冷媒流出口を一端部に有し、
前記連通路は、一方の前記コア部の前記下部ヘッダタンクの他端部と他方の前記コア部の前記上部ヘッダタンクの他端部とを連通する、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の熱交換器であって、
前記連通路は、一方の前記コア部の前記下部ヘッダタンクと連通可能に接続される下部コネクタと、他方の前記コア部の前記上部ヘッダタンクと連通可能に接続される上部コネクタと、前記下部コネクタ及び前記上部コネクタが有する接続穴に接続され前記下部コネクタ及び前記上部コネクタを連通する管部材と、で構成される、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項3に記載の熱交換器であって、
前記下部コネクタを対応する前記下部ヘッダタンクに接続するとともに前記上部コネクタを対応する前記上部ヘッダタンクに接続した状態において、前記管部材が接続される前記下部コネクタの前記接続穴及び前記上部コネクタの前記接続穴は、互いに対向するとともに前記チューブの延在方向と同方向に開口する、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項4に記載の熱交換器であって、
前記下部コネクタと前記上部コネクタとは、同じ部材によって構成される、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項6】
請求項5に記載の熱交換器であって、
前記部材は、重ねて配置される前記上部ヘッダタンクの各端部又は重ねて配置される前記下部ヘッダタンクの各端部を挿入可能な第一挿入穴及び第二挿入穴を一面に有し、かつ前記第一挿入穴と連通する前記接続穴を前記一面の延在方向と交差する方向に延在する交差面に有するとともに当該接続穴が前記第一挿入穴の中心を通る中心線と前記第二挿入穴の中心を通る中心線との中間位置に配置されたブロックで構成される、
ことを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コア部が重ねて設けられた熱交換器が開示されている。コア部は、上下のヘッダタンクと、上下のヘッダタンク間で冷媒を通流する熱交換管とを有する。
【0003】
ヘッダタンク内には、仕切部が設けられており、コア部には、上のヘッダタンクから下のヘッダタンクへ向けて冷媒を流す下方パスと、下のヘッダタンクから上のヘッダタンクへ向けて冷媒を流す上方パスとが熱交換管によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-118335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この熱交換器にあっては、冷媒を下方へ流す下方パスと上方へ流す上方パスとが交互に存在する。このため、コア部の熱交換管で冷媒を凝縮して熱交換を行う場合、密度が高められた冷媒を熱交換管内において何度も押し上げる必要があり、冷媒の流れが悪化する。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、冷媒を流れ易くすることが可能な熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、液相と気相との相変化を生じる冷媒を凝縮して空気を加熱する熱交換器は、冷媒が供給される上部ヘッダタンクと、前記上部ヘッダタンクよりも下方に配置される下部ヘッダタンクと、前記上部ヘッダタンクと前記下部ヘッダタンクとを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブと、を各々有し、空気の流れ方向に複数重ねて設けられて連続して冷媒が流れる複数のコア部と、一方の前記コア部の前記下部ヘッダタンクと、空気の流れ方向に重ねて配置される他方の前記コア部の前記上部ヘッダタンクと、を連通させて前記下部ヘッダタンクから前記上部ヘッダタンクに冷媒を流通させる連通路と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様の熱交換器では、一方のコア部に供給された冷媒は、当該コア部の上部ヘッダタンクからチューブを介して下部ヘッダタンク側へ流れる。一方のコア部の下部ヘッダタンクの冷媒は、連通路を介して他方のコア部に供給される。他方のコア部に供給された冷媒は、当該コア部の上部ヘッダタンクからチューブを介して下部ヘッダタンクへ流れる。
【0009】
そのため、下流側へ流れるに従って凝縮して密度が高まる冷媒を、連通路で連通された両コア部のチューブにおいて上から下へ流すことができる。これにより、凝縮して密度が高められた冷媒を、コア部のチューブにおいて下から上に押し上げる必要がなくなる。したがって、冷媒を流れ易くすることが可能な熱交換器を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る熱交換器の斜視図である。
図2図2は、連通路の構造を示す分解斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4図4は、第一ブロックを示す正面図である。
図5図5は、第二ブロックを示す正面図である。
図6図6は、第三ブロックを示す正面図である。
図7図7は、第四ブロックを示す正面図である。
図8図8は、第五ブロックを示す正面図である。
図9図9は、第六ブロックを示す正面図である。
図10図10は、各ブロックを用いて構成された連通路の通路抵抗を示すグラフである。
図11図11は、第一変形例を示す要部の斜視図である。
図12図12は、第二変形例を示す要部の斜視図である。
図13図13は、第三変形例の斜視図である。
図14図14は、第三変形例のアダプタの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る熱交換器10について説明する。
【0012】
まず、図1を参照して、熱交換器10の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る熱交換器10の斜視図である。
【0013】
熱交換器10は、車両(図示省略)に搭載される。熱交換器10は、空調装置(図示省略)で循環され液相と気相との相変化を生じる冷媒と、空調に用いられる空気との間で熱交換を行う。
【0014】
具体的には、熱交換器10は、空調に用いられる空気が通過するHVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)ユニット(図示省略)内に設けられる。熱交換器10は、空調装置が暖房運転を行う際に、空調に用いられる空気との熱交換を行い、冷媒を凝縮させて空気を加熱する凝縮器である。
【0015】
熱交換器10は、冷媒が供給される一方のコア部としての上流側コア部16と、上流側コア部16からの冷媒が供給される他方のコア部としての下流側コア部14と、当該熱交換器10の両側部に設けられた補強部材18と、を有する。
【0016】
下流側コア部14と上流側コア部16とは、空気の流れ方向12に重ねて配置される。下流側コア部14は、風上に配置される。上流側コア部16は風下に配置される。
【0017】
なお、本実施形態では、熱交換器10を下流側コア部14と上流側コア部16との二つのコア部で構成する場合について説明するが、本実施形態は、これに限定されるものではない。熱交換器10を、三以上のコア部で構成してもよい。また、上流側コア部16及び下流側コア部14は、連続して冷媒の流れ方向に配置された一組のコア部のうちの一方のコア部及び他方のコア部を示す。
【0018】
下流側コア部14及び上流側コア部16は、冷媒が供給される上部ヘッダタンク20A,20Bと、上部ヘッダタンク20A,20Bよりも下方に配置される下部ヘッダタンク22A,22Bと、を各々有する。下流側コア部14は、上部ヘッダタンク20Aと下部ヘッダタンク22Aとを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブ24と、複数のフィン(図示省略)と、を各々有する。また、上流側コア部16は、上部ヘッダタンク20Bと下部ヘッダタンク22Bとを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブ24と、複数のフィン(図示省略)と、を各々有する。
【0019】
各ヘッダタンク20A,20B,22A,22B,チューブ24,及びフィンは、アルミニウムなどの金属によって形成され、ろう付け等によって互いに接合されて一体になる。
【0020】
また、熱交換器10は、上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bと下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aとを連通する連通路26を有する。
【0021】
(チューブ)
各コア部14,16に設けられた各チューブ24は、各コア部14,16の各ヘッダタンク20A,20B,22A,22Bどうしを接続し、内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う。
【0022】
各コア部14,16は、各々のチューブ24の間を空気が通過するように、空気の流れ方向12に対して交差するように設けられる。各コア部14,16は、連続して空気が通過するように、空気の流れ方向12に重ねて設けられる。
【0023】
複数のチューブ24は、平行に並べて設けられ、間隔を空けて積層される。チューブ24は、扁平な形状に形成され、厚さ方向に積層される。隣り合うチューブ24どうしの間には、フィンが設けられる。チューブ24は、空気の流れ方向12に対して交差する方向に積層される。チューブ24内には、冷媒が流通する流路が形成される。
【0024】
(フィン)
フィンは、隣り合うチューブ24の間に設けられ、チューブ24と交互に積層される。フィンは、チューブ24の長手方向に沿って波状に形成され、隣接する二つのチューブ24と接合される。複数のチューブ24とフィンの周囲には、空調装置のブロワ(図示省略)によって供給される空気が通過する。そのため、チューブ24の内部を流通する冷媒は、チューブ24の表面とフィンとを介して、空気との間で熱交換を行うことができる。このように、フィンは、冷媒と空気との間の熱交換を促進させる。
【0025】
(補強部材)
補強部材18は、下流側コア部14及び上流側コア部16の両側部に各々設けられる。補強部材18は、下流側コア部14及び上流側コア部16の両側部に設けられるフィンに当接する。補強部材18は、長手方向の端部が各ヘッダタンク20A,20B,22A,22Bにそれぞれ係止され、一対のヘッダタンク20A,20B,22A,22Bの間を連結して補強する。補強部材18は、チューブ24とフィンとをろう付けして下流側コア部14及び上流側コア部16を形成する際に、フィンにろう付けされて下流側コア部14及び上流側コア部16と一体になる。
【0026】
(ヘッダタンク)
各ヘッダタンク20A,20B,22A,22Bは、チューブ24の並び方向に長い筒状である。各ヘッダタンク20A,20B,22A,22Bの断面は、閉断面形状である。各上部ヘッダタンク20A,20Bの上面は、当該熱交換器10を取り付けた状態において、幅方向の中央部が上方へ向けて突出した曲面状に形成されている。各ヘッダタンク20A,20B,22A,22Bの各端部は、略同形状である。
【0027】
各コア部14,16の上部ヘッダタンク20A,20Bと下部ヘッダタンク22A,22Bとは、対向して配置される。対向して配置された上部ヘッダタンク20A,20B及び下部ヘッダタンク22A,22Bには、複数のチューブ24の長手方向の各端部が各々挿入された状態で接合される。各ヘッダタンク20A,20B,22A,22Bは、冷媒を一時的に貯蔵する。
【0028】
上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bの一端は、冷媒が流入する冷媒流入口30を構成する。この冷媒流入口30には、冷媒を供給する供給配管31が接続される。つまり、上流側コア部16は、冷媒が流入する冷媒流入口30を一側部側32の一方側端部に有する。
【0029】
上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bの他端は閉塞される。上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bに流入した冷媒は、各チューブ24を介して下部ヘッダタンク22Bに流れる。冷媒は、チューブ24を流通する際に空気との間で熱交換を行う。
【0030】
上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの一端は閉塞される。上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの他端は、冷媒が流出する冷媒流出口34を構成する。冷媒流出口34には、前述した連通路26が接続される。
【0031】
下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aの他端は、冷媒を流入する冷媒流入口28を構成する。この冷媒流入口28には、前述した連通路26が接続される。
【0032】
これにより、連通路26は、上流側コア部16の他側部側36の他方側端部において、上流側コア部16と下流側コア部14とを連通する。具体的には、連通路26は、上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの他端部から流出する冷媒を、下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aの他端部へ流入する。
【0033】
下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aの一端は、閉塞される。下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aに流入した冷媒は、各チューブ24を介して下部ヘッダタンク22Aに流れる。冷媒は、チューブ24を流通する際に空気との間で熱交換を行う。
【0034】
下流側コア部14の下部ヘッダタンク22Aの他端は閉塞される。下流側コア部14の下部ヘッダタンク22Aの一端は、冷媒を流出する冷媒流出口40を構成する。冷媒流出口40には、冷媒を回収する回収配管42が接続される。
【0035】
(連通路)
図2は、連通路26の構造を示す分解斜視図である。
【0036】
図1及び図2に示すように、連通路26は、下部コネクタ50と、上部コネクタ52と、下部コネクタ50及び上部コネクタ52を連通する管部材54と、で構成される。管部材54の内側の断面積は、チューブ24の内側の断面積より十分に大きい。
【0037】
下部コネクタ50は、上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bと連通可能に接続される。上部コネクタ52は、下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aと連通可能に接続される。
【0038】
管部材54は、下部コネクタ50が有する接続穴56に一端が接続されるとともに上部コネクタ52が有する接続穴(図示省略)に他端が接続される。管部材54は、下部コネクタ50及び上部コネクタ52を連通する。
【0039】
下部コネクタ50を対応する下部ヘッダタンク22Bに接続し上部コネクタ52を対応する上部ヘッダタンク20Aに接続した状態で、管部材54が接続される下部コネクタ50の接続穴56及び上部コネクタ52の接続穴(図示省略)は、互いに対向する。また、下部コネクタ50の接続穴56及び上部コネクタ52の接続穴(図示省略)は、上下に延在するチューブ24(図1参照)の延在方向と同方向に開口する。
【0040】
(ブロック)
図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
【0041】
図2及び図3に示すように、下部コネクタ50及び上部コネクタ52は、同じ部材としてのブロック60によって構成される。
【0042】
下部コネクタ50及び上部コネクタ52を構成するブロック60は、各コア部14,16に向けて配置される平坦な一面62を有する。また、ブロック60は、一面62と反対側に突出する山形の突出部64を有する。これにより、ブロック60は、三角柱状に形成されている。
【0043】
ブロック60の一面62には、重ねて配置される上部ヘッダタンク20A,20Bの各端部又は重ねて配置される下部ヘッダタンク22A.22Bの各端部を挿入可能な第一挿入穴66及び第二挿入穴68を有する。第一挿入穴66及び第二挿入穴68は、各ヘッダタンク20A,20B,22A,22Bの各端部と略同形状である。また、第一挿入穴66と第二挿入穴68とは、重ねて配置された各ヘッダタンク20A,20B,22A,22Bの配置間隔と同じ間隔で配置されている。
【0044】
第二挿入穴68の奥部は、閉塞面70で閉塞されている。これにより、第二挿入穴68は、挿入されるヘッダタンクの端部を閉塞する閉塞部72を構成する。
【0045】
ブロック60は、一面62の延在方向と直交する方向に延在する交差面としての端面74(図2参照)に第一挿入穴66と連通する前述した接続穴56を有する。第一挿入穴66は、奥側に一面62と平行な奥面76を有する。奥面76には、接続穴56と連通する内部通路78が開口している。
【0046】
接続穴56は、端面74(図2参照)に対して垂直に開口するとともに一面62と平行に延在する。接続穴56は、第一挿入穴66の中心を通る中心線C1と第二挿入穴68の中心を通る中心線C2との中間位置に配置される(図3参照)。つまり、第一挿入穴66及び第二挿入穴68は、接続穴56に対して対称となる位置に配置される。
【0047】
これにより、接続穴56が開口した端面74を上方へ向けて配置することで、ブロック60を下部コネクタ50として利用することができる。また、接続穴56が開口した端面74を下方へ向けて配置することで、ブロック60を上部コネクタ52として利用することができる。
【0048】
図1に示すように、下部コネクタ50を構成するブロック60は、上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの端部が第一挿入穴66に挿入され、下部ヘッダタンク22Bを接続穴56に連通する。また、下流側コア部14の下部ヘッダタンク22Aの端部が第二挿入穴68に挿入され、下部ヘッダタンク22Aの端部を閉塞する。
【0049】
そして、上部コネクタ52を構成するブロック60は、上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bの端部が第二挿入穴68に挿入され、上部ヘッダタンク20Bの端部を閉塞する。また、下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aの端部が第一挿入穴66に挿入され、上部ヘッダタンク20Aを接続穴56に連通する。
【0050】
この接続穴56は、第一挿入穴66の中心を通る中心線C1と第二挿入穴68の中心を通る中心線C2との中間位置に配置されている(図3参照)。このため、端面74を上方へ向けて配置したブロック60からなる下部コネクタ50の接続穴56と、端面74を下方へ向けて配置したブロック60が構成する上部コネクタ52の接続穴56とは、互いに対向する。
【0051】
また、接続穴56は、端面74に対して垂直に開口するとともに一面62と平行に延在する。このため、下部コネクタ50の接続穴56の開口方向及び上部コネクタ52の接続穴56の開口方向は、上下に延在するチューブ24の延在方向と一致する。
【0052】
(内部通路)
図3に示すように、第一挿入穴66と接続穴56とを連通する内部通路78は、第一挿入穴66の奥面76に対して斜め40度方向へ直線状に延在する。この内部通路78は、例えばドリルを用いた切削加工によって形成される。
【0053】
本実施形態では、異なる形状の内部通路78を有するブロック60を複数用意した(ブロック60-1,60-2,60-3,60-4,60-5,60-6)。そして、各ブロック60を用いた連通路26において通路抵抗を測定した。
【0054】
(第一ブロック)
図4は、第一ブロック60-1を示す正面図である。
【0055】
図4に示すように、第一ブロック60-1の内部通路78は、第一挿入穴66の奥面76から接続穴56へ向けて斜め方向へ直線状に形成された切削穴80で構成される。この切削穴80は、第一ブロック60-1の端面74と平行に形成されている。
【0056】
(第二ブロック)
図5は、第二ブロック60-2を示す正面図である。
【0057】
図5に示すように、第二ブロック60-2の内部通路78は、第一挿入穴66の奥面76から接続穴56へ向けて斜め方向へ直線状に形成された切削穴82で構成される。この切削穴82は、奥面76から接続穴56へ向かうに従って当該第二ブロック60-2の端面74に近づく方向へ傾斜する。端面74と平行な平行線84と切削穴82の中心線C3とが成す角度α1は、25.4度である。
【0058】
これにより、接続穴56と切削穴82とが直交する場合と比較して、冷媒を流れスムーズにする。
【0059】
(第三ブロック)
図6は、第三ブロック60-3を示す正面図である。
【0060】
図6に示すように、第三ブロック60-3の内部通路78は、第一挿入穴66の奥面76から接続穴56へ向けて斜め方向へ直線状に形成された第一切削穴86及び第二切削穴88で構成される。
【0061】
第一切削穴86及び第二切削穴88は一部が重なるように形成され、一つの内部通路78を構成する。第三ブロック60-3の内部通路78が奥面76に開口する開口面積は、第一ブロック60-1の内部通路78の開口面積よりも大きい。
【0062】
第一切削穴86及び第二切削穴88は、当該第三ブロック60-3の端面74と平行に形成されている。
【0063】
(第四ブロック)
図7は、第四ブロック60-4を示す正面図である。
【0064】
図7示すように、第四ブロック60-4の内部通路78は、第一挿入穴66の奥面76から接続穴56へ向けて斜め方向へ直線状に形成された第一切削穴90と第二切削穴92と第三切削穴94とで構成される。
【0065】
第一切削穴90と第二切削穴92と第三切削穴94とは一部が重なるように形成され、一つの内部通路78を構成する。第四ブロック60-4の内部通路78が奥面76に開口する開口面積は、第三ブロック60-3の内部通路78の開口面積よりも大きい。
【0066】
第一切削穴90と第二切削穴92と第三切削穴94とは、当該第四ブロック60-4の端面74と平行に形成されている。
【0067】
(第五ブロック)
図8は、第五ブロック60-5を示す正面図である。
【0068】
図8示すように、第五ブロック60-5の内部通路78は、第一挿入穴66の奥面76から接続穴56へ向けて斜め方向へ直線状に形成された第一切削穴96及び第二切削穴98で構成される。
【0069】
第一切削穴96は、端面74と平行に形成されている。第二切削穴98は、奥面76から接続穴56へ向かうに従って当該第五ブロック60-5の端面74に近づく方向へ傾斜する。端面74と平行な平行線84と第二切削穴98の中心線C4とが成す角度α2は25.4度である。
【0070】
第一切削穴96及び第二切削穴98は一部が重なるように形成され、一つの内部通路78を構成する。第五ブロック60-5の内部通路78が奥面76に開口する開口面積は、第一ブロック60-1の内部通路78の開口面積及び第二ブロック60-2の内部通路78の開口面積より大きい。
【0071】
(第六ブロック)
図9は、第六ブロック60-6を示す正面図である。
【0072】
図9示すように、第六ブロック60-6の内部通路78は、第一挿入穴66の奥面76から接続穴56へ向けて斜め方向へ直線状に形成された第一切削穴100及び第二切削穴102で構成される。
【0073】
第一切削穴100は、端面74と平行に形成されている。第二切削穴102は、奥面76から接続穴56へ向かうに従って当該第六ブロック60-6の端面74に近づく方向へ傾斜する。端面74と平行な平行線84と第二切削穴102の中心線C5とが成す角度α3は、37度である。
【0074】
第一切削穴100及び第二切削穴102は一部が重なるように形成され、一つの内部通路78を構成する。第六ブロック60-6の内部通路78が奥面76に開口する開口面積は、第一ブロック60-1の内部通路78の開口面積及び第二ブロック60-2の内部通路78の開口面積より大きい。
【0075】
なお、各ブロック60-1,60-2,60-3,60-4,60-5,60-6の内部通路78を形成する各切削穴80、82,86,88,90,92,94,96,98,100,102は、同一径のドリルによって形成される。また、各ブロック60-1,60-2,60-3,60-4,60-5,60-6の内部通路78を除く他の構成部分は、同じとする。
【0076】
次に、通路抵抗について説明する。
【0077】
図10は、各ブロック60-1,60-2,60-3,60-4,60-5,60-6を用いて構成された連通路26の通路抵抗を示すグラフである。各連通路26の通路抵抗を示す棒形状には、使用した各ブロックの符号が付されている。
【0078】
このグラフには、数値化した通路抵抗が棒形状の長さで示されている。このグラフにおいて、縦軸は、通路抵抗を示し、通路抵抗が小さいほど優れている。
【0079】
このグラフから第六ブロック60-6で構成された連通路26の通路抵抗が最も低く、第六ブロック60-6を用いた構成が、他のブロック60-1,60-2,60-3,60-4,60-5を用いた構成よりも優れていることが分かる。このため、本実施形態の各コネクタ50,52には、第六ブロック60-6を採用する。
【0080】
なお、本実施形態では、第六ブロック60-6で各コネクタ50,52を構成する場合について説明するが、本実施形態は、これに限定されるものではない。前述した各ブロック60-1,60-2,60-3,60-4,60-5,60-6のいずれかを用いて各コネクタ50,52を構成してもよい。
【0081】
(管部材)
図2に示すように、管部材54は、直線状に延びる円筒部材で構成される。管部材54の一端部及び他端部には、周方向に延在する突条110が形成されている。
【0082】
管部材54の外周部には、ろう材がリング状に形成されたリングろう112が装着される。このリングろう112は、加熱時に溶融し、管部材54を各コネクタ50,52にろう付けする。
【0083】
(作用及び効果)
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0084】
熱交換器10は、液相と気相との相変化を生じる冷媒を凝縮して空気を加熱する熱交換器10である。熱交換器10は、冷媒が供給される上部ヘッダタンク20A,20Bと、上部ヘッダタンク20A,20Bよりも下方に配置される下部ヘッダタンク22A,22Bと、上部ヘッダタンク20A,20Bと下部ヘッダタンク22A,22Bとを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブ24と、を各々有し、空気の流れ方向12に複数重ねて設けられて連続して冷媒が流れる複数のコア部としての上流側コア部16及び下流側コア部14を備える。熱交換器10は、一方のコア部としての上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bと、空気の流れ方向12に重ねて配置される他方のコア部としての下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aと、を連通させて下部ヘッダタンク22Bから上部ヘッダタンク20Aに冷媒を流通させる連通路26を備える。
【0085】
この構成の熱交換器10によれば、一方のコア部としての上流側コア部16に供給された冷媒は、当該上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bからチューブ24を介して下部ヘッダタンク22Bへ流れる。上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの冷媒は、連通路26を介して、他方のコア部としての下流側コア部14に供給される。
【0086】
下流側コア部14に供給された冷媒は、当該下流側コア部の上部ヘッダタンク20Aからチューブ24を介して下部ヘッダタンク22Aへ流れる。これにより、各コア部14,16を流れる冷媒は、各コア部14,16において、凝縮することで密度を高めながら上方から下方へ流れる。
【0087】
そのため、下流へ流れるに従って凝縮して密度が高まる冷媒を、連通路26で連通された両コア部14,16のチューブ24において上から下へ流すことができる。これにより、凝縮して密度が高められた冷媒を、各コア部14,16のチューブ24において下から上に押し上げる必要がなくなる。したがって、冷媒を流れ易くすることが可能な熱交換器10を提供することができる。
【0088】
また、一方のコア部としての上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bは、冷媒が流入する冷媒流入口30を一端部に有し、他方のコア部としての下流側コア部14の下部ヘッダタンク22Aは、冷媒が流出する冷媒流出口40を一端部に有する。連通路26は、一方のコア部としての上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの他端部と他方のコア部としての下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aの他端部とを連通する。
【0089】
この構成によれば、上流側コア部16は、上部ヘッダタンク20Bの一端部から冷媒が流入し、下部ヘッダタンク22Bの他端部から連通路26を介して冷媒が流出する。
【0090】
このため、上流側コア部16は、冷媒が流入する一方側端部から冷媒が流出する他方側端部へ向かうに従って、流れる冷媒の温度が低下するので、上流側コア部16は、一方側端部から他方側端部へ向かうに従って温度が低くなる。
【0091】
また、下流側コア部14は、連通路26を介して上部ヘッダタンク20Aの他端部から冷媒が流入し、下部ヘッダタンク22Aの他端部から冷媒が流出する。
【0092】
このため、下流側コア部14は、冷媒が流入する他方側端部から冷媒が流出する一方側端部へ向かうに従って流れる冷媒の温度が低下するので、下流側コア部14は、他方側端部から一方側端部へ向かうに従って温度が低くなる。
【0093】
そして、温度が高い上流側コア部16の一方側端部は、温度が低い下流側コア部14の一方側端部に重ねて配置される。また、温度が低い上流側コア部16の他方側端部は、温度が高い下流側コア部14の他方側端部に重ねて配置される。
【0094】
このため、上流側コア部16と下流側コア部14とが重ねて配置される熱交換器10は、一方側端部と他方側端部との温度差が抑制され、熱交換器10の温度分布の均一化が図られる。
【0095】
また、連通路26は、一方のコア部としての上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bと連通可能に接続される下部コネクタ50と、他方のコア部としての下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aと連通可能に接続される上部コネクタ52と、下部コネクタ50及び上部コネクタ52が有する接続穴56に接続され下部コネクタ50及び上部コネクタ52を連通する管部材54と、で構成される。
【0096】
この構成によれば、管部材54の長さを変更することで、下部コネクタ50と上部コネクタ52との離間距離を変更することができる。
【0097】
このため、仕様変更に伴って各コア部14,16のチューブ24の長さが変更された場合であっても、下部コネクタ50と上部コネクタ52とを接続する管部材54の長さを変更するだけで、仕様変更に対応することが可能となる。
【0098】
下部コネクタ50を対応する下部ヘッダタンク22A,22Bに接続するとともに上部コネクタ52を対応する上部ヘッダタンク20A,20Bに接続した状態において、管部材54が接続される下部コネクタ50の接続穴56及び上部コネクタ52の接続穴56は、互いに対向するとともにチューブ24の延在方向と同方向に開口する。
【0099】
この構成によれば、両コネクタ50,52間に管部材54を斜めに配管して下部コネクタ50と上部コネクタ52とを連通する場合と比較して、接続穴56の角度を変更することなく、チューブ24の長さ変更に対応することが可能となる。
【0100】
下部コネクタ50と上部コネクタ52とは、同じ部材によって構成される。
【0101】
この構成によれば、下部コネクタ50と上部コネクタ52とが別部材で構成される場合と比較して、製造コストの抑制が可能となる。
【0102】
下部コネクタ50と上部コネクタ52を構成する部材は、重ねて配置される上部ヘッダタンク20A,20Bの各端部又は重ねて配置される下部ヘッダタンク22A,22Bの各端部を挿入可能な第一挿入穴66及び第二挿入穴68を一面62に有し、かつ第一挿入穴66と連通する接続穴56を一面62の延在方向と交差する方向に延在する交差面としての端面74に有するとともに当該接続穴56が第一挿入穴66の中心を通る中心線C1と第二挿入穴68の中心を通る中心線C2との中間位置に配置されたブロック60で構成される。
【0103】
この構成によれば、接続穴56が下方へ向けて開口するようにブロック60を配置することで、当該ブロック60を上部コネクタ52として利用することができる。また、接続穴56が上方へ向けて開口するようにブロック60を配置することで、当該ブロック60を下部コネクタ50として利用することができる。
【0104】
したがって、ブロック60の向きを変えるだけで、ブロック60を上部コネクタ52及び下部コネクタ50として使用することができる。
【0105】
そして、ブロック60の第二挿入穴68は、接続穴56に接続されておらず、閉塞面70で閉塞された閉塞部72を構成する。
【0106】
このため、ブロック60の第二挿入穴68に挿入されるヘッダタンクの端部を閉塞部72で閉塞することができる。このため、各ヘッダタンク20B,22Aの端部を閉塞する為の閉塞部材を別途用意しなければならない場合と比較して、コストの削減が可能であるとともに、閉塞部材を取り付ける為の手間が不要となる。
【0107】
(第一変形例)
図11は、第一変形例を示す要部の斜視図である。
【0108】
第一変形例に係る熱交換器200は、上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの端部と下流側コア部14の下部ヘッダタンク(図示省略)の端部とに下部アダプタ202が接続されている。
【0109】
下部アダプタ202は、アルミニウムが直方体形状に形成されたブロック体で構成される。下部アダプタ202は、上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの端部を閉塞する閉塞部(図示省略)を有する。
【0110】
下部アダプタ202は、下流側コア部14の下部ヘッダタンク(図示省略)の端部に接続され、当該下部ヘッダタンク(図示省略)と連通する筒部204を有する。筒部204は、下流側コア部14の下部ヘッダタンク(図示省略)から冷媒を排出する冷媒排出路206を構成する。筒部204には、冷媒を回収する回収配管(図示省略)が接続される。
【0111】
筒部204は、下流側コア部14の下部ヘッダタンク(図示省略)の延在方向に対して直交する方向に延在する。これにより、当該筒部204に接続される回収配管(図示省略)を下部ヘッダタンク(図示省略)の延在方向に対して直交する方向に引き出すことができる。
【0112】
この変形例では、下流側コア部14の下部ヘッダタンク(図示省略)に接続された回収配管を曲げて回収配管を下部ヘッダタンクの延在方向に対して直交する方向に引き回す場合と比較して、熱交換器200の一側部側32に要するスペースの削減が可能となる。
【0113】
(第二変形例)
図12は、第二変形例を示す要部の斜視図である。
【0114】
第二変形例に係る熱交換器300は、上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bの端部と下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aの端部とに上部アダプタ302がさらに接続されている。
【0115】
上部アダプタ302は、アルミニウムが直方体形状に形成されたブロック体で構成される。上部アダプタ302は、下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aの端部を閉塞する閉塞部(図示省略)を有する。
【0116】
上部アダプタ302は、上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bの端部に接続され(図示省略)、当該上部ヘッダタンク20Bと連通する筒部304を有する。筒部304は、上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bへ冷媒を供給する冷媒供給路306を構成する。筒部304には、冷媒を供給する供給配管(図示省略)が接続される。
【0117】
筒部304は、上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bの延在方向に対して直交する方向に延在する。これにより、当該筒部304に接続される供給配管を上部ヘッダタンク20Bの延在方向に対して直交する方向に引き出すことができる。
【0118】
この変形例では、上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bに接続された供給配管を曲げて供給配管を上部ヘッダタンク20Bの延在方向に対して直交する方向に引き回す場合と比較して、熱交換器300の一側部側32に要するスペースの削減が可能となる。
【0119】
(第三変形例)
図13は、第三変形例の斜視図である。図14は、第三変形例のアダプタ421の拡大図である。
【0120】
図13に示すように、第三変形例に係る熱交換器400は、他方のコア部としての下流側コア部14の一側部側32には、下部ヘッダタンク22A(図示省略)に連通し、上部ヘッダタンク20A側へ向けて延在する冷媒排出路402を有する。
【0121】
(冷媒排出路)
冷媒排出路402は、排出コネクタ410と、アダプタ412と、排出コネクタ410及びアダプタ412を連通する管部材414と、で構成される。
【0122】
(排出コネクタ)
排出コネクタ410は、前述のブロック60で構成され、ブロック60の接続穴56が開口した端面74を上方へ向けて配置することで、当該ブロック60を排出コネクタ410として利用する。
【0123】
排出コネクタ410の第二挿入穴68には、上流側コア部16の下部ヘッダタンク22Bの端部が挿入され、当該下部ヘッダタンク22Bの端部は、第二挿入穴68の閉塞面70で閉塞される。排出コネクタ410の第一挿入穴66には、下流側コア部14の下部ヘッダタンク(図示省略)の端部が挿入され、当該下部ヘッダタンク(図示省略)は、排出コネクタ410の接続穴56に連通される。
【0124】
(アダプタ)
図14に示すように、アダプタ412は、アルミニウムが直方体形状に形成されたブロック体で構成される。
【0125】
アダプタ412は、上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bの端部が接続され、当該上部ヘッダタンク20Bと連通する第一筒部420を有する。アダプタ412は、第一筒部420の側部に設けられた第二筒部422を有する。
【0126】
アダプタ412は、下流側コア部14の上部ヘッダタンク20Aの端部が接続され、当該上部ヘッダタンク20Aの端部を閉塞する閉塞穴(図示省略)を有する。
【0127】
アダプタ412は、排出コネクタ410側へ向けて開口した接続穴424を有し、当該接続穴424は、排出コネクタ410の接続穴56と対向する。この接続穴424は、第二筒部422と連通する。
【0128】
(管部材)
管部材414は、一端部が排出コネクタ410の接続穴56と接続される。管部材414は、他端部がアダプタ412の接続穴424に接続される。
【0129】
アダプタ412の第一筒部420には、冷媒を供給する供給配管(図示省略)が接続される。アダプタ412の第二筒部422には、冷媒を回収する回収配管(図示省略)が接続される。
【0130】
これにより、供給配管から供給される冷媒は、アダプタ412を介して、上流側コア部16の上部ヘッダタンク20Bに供給される。また、下流側コア部14の下部ヘッダタンク(図示省略)から排出される冷媒は、排出コネクタ410及び管部材414を介してアダプタ412の第一筒部420に接続された回収配管で回収される。
【0131】
この変形例に係る熱交換器400は、他方のコア部としての上流側コア部16の一側部側32に、下部ヘッダタンク22Aに連通し、上部ヘッダタンク20A側へ向けて延在する冷媒排出路402を有する。
【0132】
この構成の熱交換器400によれば、供給配管及び回収配管の引き出し位置を熱交換器400の一方側端部における上部に集めることができる。このため、供給配管と回収配管とが異なる位置から引き出される場合と比較して、配管の取付作業が容易となる。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0134】
10,200,300,400 熱交換器
12 流れ方向
14 下流側コア部(一方のコア部)
16 上流側コア部(他方のコア部)
20A,20B 上部ヘッダタンク
22A,22B 下部ヘッダタンク
24 チューブ
26 連通路
30 冷媒流入口
40 冷媒流出口
50 下部コネクタ
52 上部コネクタ
54 管部材
56 接続穴
60 ブロック
62 一面
66 第一挿入穴
68 第二挿入穴
74 端面(交差面)
C1 中心線
C2 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14