(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166509
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】滅菌パスボックス及び滅菌パスボックスの使用方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/08 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
A61L2/08 108
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082649
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】カナデビア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 武史
(72)【発明者】
【氏名】田中 龍太
(72)【発明者】
【氏名】清水 拓人
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB06
4C058CC05
4C058EE26
4C058KK03
4C058KK23
(57)【要約】
【課題】上室が汚染されるリスクを低減することができる滅菌パスボックス及び滅菌パスボックスの使用方法を提供する。
【解決手段】滅菌パスボックス100は、電子線の照射で滅菌対象物Wを滅菌する滅菌室1と、滅菌室1の上方で滅菌室1に連通する上室2と、上室2に給気する給気装置3とを備える。滅菌室1は、電子線照射装置15、搬入口10及び滅菌用昇降装置12を有する。電子線照射装置15は、滅菌対象物Wに電子線を照射する。搬入口10は、電子線照射装置15の下方で滅菌対象物Wが搬入される。滅菌用昇降装置12は、滅菌対象物Wを電子線が照射される位置まで上昇させる。上室2は、保持昇降装置22及び搬出口20を有する。保持昇降装置22は、電子線が照射された滅菌対象物Wを保持して上昇させる。搬出口20は、滅菌対象物Wが搬出される。保持昇降装置22は、滅菌用昇降装置12から滅菌対象物Wが引き渡されながら、電子線照射装置15から電子線が照射される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線の照射により滅菌対象物を滅菌する滅菌室と、
前記滅菌室の上方に位置して前記滅菌室に連通する上室と、
前記上室に給気する給気装置と
を備え、
前記滅菌室は、
前記滅菌対象物に前記電子線を照射する電子線照射装置と、
前記電子線照射装置の下方に形成されて前記滅菌対象物が搬入される搬入口と、
搬入された前記滅菌対象物を前記電子線が照射される位置まで上昇させる滅菌用昇降装置と
を有し、
前記上室は、
前記電子線が照射された前記滅菌対象物を保持して上昇させる保持昇降装置と、
保持された前記滅菌対象物が搬出される搬出口と
を有し、
前記保持昇降装置は、前記滅菌用昇降装置から前記滅菌対象物が引き渡されながら、前記電子線照射装置から前記電子線が照射される、滅菌パスボックス。
【請求項2】
前記保持昇降装置は、上昇及び下降し、
前記保持昇降装置による下降の限度は、前記滅菌室の前記電子線が照射される位置である、請求項1に記載の滅菌パスボックス。
【請求項3】
前記滅菌室の前記電子線が照射される位置における水平断面積が、前記上室の水平断面積よりも小さい、請求項1又は請求項2に記載の滅菌パスボックス。
【請求項4】
前記滅菌用昇降装置による上昇の速度は、前記保持昇降装置による上昇の速度以上である、請求項1又は請求項2に記載の滅菌パスボックス。
【請求項5】
前記滅菌室に接続されて前記滅菌室を排気する排気装置をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の滅菌パスボックス。
【請求項6】
電子線の照射により滅菌対象物を滅菌する滅菌室と、
前記滅菌室の上方に位置して前記滅菌室に連通する上室と、
前記上室に給気する給気装置と
を備える滅菌パスボックスの使用方法であって、
前記滅菌室に搬入された前記滅菌対象物を、前記電子線が照射される位置まで滅菌用昇降装置で上昇させ、
前記滅菌用昇降装置から保持昇降装置まで前記滅菌対象物を引き渡しながら、前記滅菌対象物及び前記保持昇降装置に前記電子線を照射し、
前記電子線が照射された前記滅菌対象物を、前記保持昇降装置で保持して前記上室まで上昇させ、
保持された前記滅菌対象物を前記上室から搬出する、滅菌パスボックスの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌パスボックス及び滅菌パスボックスの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、通過させるパッケージ(対象物)を除染するパスボックスが開示されている。特許文献1に記載のパスボックスは、対象物を除染する除染室と、除染室の上方に位置するエアレーション室(上室)とを有する。対象物は、移動装置(昇降装置)により、除染室から上室まで搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のパスボックスでは、昇降装置が、除染室における除染される前の位置(清浄度の低い位置)から、除染された後の位置(清浄度の高い位置)である上室まで移動する。また、昇降装置は、対象物が載置されたまま除染される位置を通過するので、対象物と接触する部分が十分に除染されない。したがって、昇降装置は、上室を汚染するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、上室が汚染されるリスクを低減することができる滅菌パスボックス及び滅菌パスボックスの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面の滅菌パスボックスは、滅菌室と、上室と、給気装置とを備える。滅菌室は、電子線の照射により滅菌対象物を滅菌する。上室は、滅菌室の上方に位置して滅菌室に連通する。給気装置は、上室に給気する。滅菌室は、電子線照射装置と、搬入口と、滅菌用昇降装置とを有する。電子線照射装置は、滅菌対象物に電子線を照射する。搬入口は、電子線照射装置の下方に形成されて滅菌対象物が搬入される。滅菌用昇降装置は、搬入された滅菌対象物を電子線が照射される位置まで上昇させる。上室は、保持昇降装置と、搬出口とを有する。保持昇降装置は、電子線が照射された滅菌対象物を保持して上昇させる。搬出口は、保持された滅菌対象物が搬出される。保持昇降装置は、滅菌用昇降装置から滅菌対象物が引き渡されながら、電子線照射装置から電子線が照射される。
【0007】
本発明の第2局面の滅菌パスボックスの使用方法は、滅菌パスボックスが、滅菌室と、上室と、給気装置とを備える。滅菌室は、電子線の照射により滅菌対象物を滅菌する。上室は、滅菌室の上方に位置して滅菌室に連通する。給気装置は、上室に給気する。滅菌パスボックスの使用方法は、滅菌室に搬入された滅菌対象物を、電子線が照射される位置まで滅菌用昇降装置で上昇させる。滅菌パスボックスの使用方法は、滅菌用昇降装置から保持昇降装置まで滅菌対象物を引き渡しながら、滅菌対象物及び保持昇降装置に電子線を照射する。滅菌パスボックスの使用方法は、電子線が照射された滅菌対象物を、保持昇降装置で保持して上室まで上昇させる。滅菌パスボックスの使用方法は、保持された滅菌対象物を上室から搬出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の滅菌パスボックス及び滅菌パスボックスの使用方法によれば、上室が汚染されるリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る滅菌パスボックスに滅菌対象物が搬入された直後の部分切欠き斜視図である。
【
図2】滅菌対象物を滅菌するために上昇させている状態の縦断面図である。
【
図3】滅菌対象物を滅菌しながら受け渡している状態の縦断面図である。
【
図4】受け渡された滅菌対象物をさらに上昇させている状態の縦断面図である。
【
図5】滅菌対象物を排出する直前の縦断面図である。
【
図7】実施形態2に係る滅菌パスボックスに滅菌対象物が搬入された直後の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
[実施形態1]
【0011】
図1~
図6を参照して、本実施形態1に係る滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法について説明する。
図1は、実施形態1に係る滅菌パスボックス100に滅菌対象物Wが搬入された直後の部分切欠き斜視図である。
図2は、滅菌対象物Wを滅菌するために上昇させている状態の縦断面図である。
図3は、滅菌対象物Wを滅菌しながら受け渡している状態の縦断面図である。
図4は、受け渡された滅菌対象物Wをさらに上昇させている状態の縦断面図である。
図5は、滅菌対象物Wを排出する直前の縦断面図である。
図6は、
図5を異なる角度から視た縦断面図である。
【0012】
図1に示されるように、滅菌パスボックス100は、滅菌室1と、上室2と、給気装置3とを備える。滅菌室1は、電子線の照射により滅菌対象物Wを滅菌する。上室2は、滅菌室1の上方に位置して滅菌室1に連通する。給気装置3は、上室2に給気する。
【0013】
滅菌室1は、電子線照射装置15と、搬入口10と、滅菌用昇降装置12とを有する。電子線照射装置15は、滅菌対象物Wに電子線を照射する。搬入口10は、電子線照射装置15の下方に形成されて滅菌対象物Wが搬入される。滅菌室1は、搬入口10を開閉する搬入扉11をさらに有してもよい。
図2及び
図3に示されるように、滅菌用昇降装置12は、搬入された滅菌対象物Wを電子線Eが照射される位置まで上昇させる。
【0014】
上室2は、保持昇降装置22と、搬出口20とを有する。上室2は、搬出口20を開閉する搬出扉21をさらに有してもよい。保持昇降装置22は、電子線が照射された滅菌対象物Wを保持して上昇させる。搬出口20は、保持された滅菌対象物Wが搬出される。
【0015】
保持昇降装置22は、滅菌用昇降装置12から滅菌対象物Wが引き渡されながら、電子線照射装置15から電子線Eが照射される。
【0016】
したがって、保持昇降装置22は、滅菌対象物Wが引き渡される際に電子線Eで滅菌されるので、十分に滅菌される。結果として、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを低減することができる。
【0017】
給気装置3は、例えば、FFU(Fan Filter Unit)である。FFUである給気装置3は、給気ファン31と、フィルタ32とを有する。フィルタ32は、要求される清浄度に適したもの、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタが採用される。
【0018】
給気装置3は、上室2の直上方に位置し、直下方に気体を供給することが好ましい。直下方に供給された気体は、そのまま上室2から滅菌室1まで速やかに流れる。したがって、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0019】
電子線照射装置15は、2つであり、対向するように配置されていることが好ましい。滅菌対象物W及び保持昇降装置22は、対向する2つの電子線照射装置15から電子線Eが照射されることで、一層十分に滅菌される。したがって、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0020】
電子線照射装置15は、2つに限られず、1つでもよい。電子線照射装置15が1つの場合、滅菌用昇降装置12は、滅菌対象物Wを上昇させるだけでなく、滅菌対象物Wを回転(自転)させる。滅菌対象物Wが回転することで、滅菌対象物Wが漏れなく滅菌されるからである。回転(自転)の軸は、電子線Eが照射される方向に交差(好ましくは直交)する。例えば、電子線Eが水平方向に照射される場合、回転(自転)の軸は鉛直方向である。
【0021】
電子線照射装置15が1つの場合、保持昇降装置22を回転(自転)させてもよい。保持昇降装置22が回転することで、保持昇降装置22も漏れなく滅菌されるからである。
【0022】
電子線照射装置15が2つ以上の場合も、滅菌対象物W及び保持昇降装置22を回転(自転)させてもよい。滅菌対象物W及び保持昇降装置22が回転(自転)により漏れなく滅菌されることで、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。なお、電子線照射装置15は、1つ又は2つに限られず、3つ以上でもよい。
【0023】
保持昇降装置22は、上昇及び下降する。保持昇降装置22による下降の限度は、滅菌室1の電子線Eが照射される位置であることが好ましい。したがって、保持昇降装置22は、電子線Eが照射される位置を超えて下降しないので、清浄度の低い位置(電子線Eが照射される位置より上流側)に移動しない。結果として、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0024】
滅菌用昇降装置12による上昇の限度は、滅菌室1の電子線Eが照射される位置又はその下であることが好ましい。したがって、保持昇降装置22は、電子線Eが照射される位置を超えて上昇しないので、清浄度の低い位置(電子線Eが照射される位置より上流側)から清浄度の高い位置(電子線Eが照射される位置より下流側)まで移動しない。結果として、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0025】
滅菌室1の電子線Eが照射される位置における水平断面積は、上室2の水平断面積よりも小さいことが好ましい。これらの水平断面積の差により、上室2は滅菌室1に対して陽圧になるので、上室2の気体が滅菌室1まで速やかに流れる。結果として、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0026】
滅菌室1の電子線Eが照射される位置における水平断面積は、上室2の水平断面積の半分以下であることが一層好ましい。これらの水平断面積の差により、上室2は滅菌室1に対して一層陽圧になるので、上室2の気体が滅菌室1まで一層速やかに流れる。結果として、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0027】
滅菌室1のどの位置の水平断面積も、上室2の水平断面積より小さく、上室2の水平断面積の半分以下であることが一層好ましい。これらの水平断面積の差により、上室2は滅菌室1に対して一層陽圧になるので、上室2の気体が滅菌室1まで一層速やかに流れる。結果として、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0028】
図4に示されるように、保持昇降装置22は、滅菌対象物Wを保持したまま、搬出口20の高さまで上昇する。一方、滅菌用昇降装置12は、搬入口10の高さまで下降する。
【0029】
滅菌用昇降装置12による上昇の速度は、保持昇降装置22による上昇の速度以上であることが好ましい。滅菌用昇降装置12は、清浄度の低い位置で上昇するので、上昇の速度が高くても清浄度の高い位置の気体を攪拌しにくい。したがって、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、滅菌用昇降装置12による上昇の速度が保持昇降装置22よりも高いことで、上室2が汚染されるリスクを高めることなく、搬入された滅菌対象物Wを速やかに滅菌することができる。
【0030】
同じ理由で、滅菌用昇降装置12による下降の速度は、保持昇降装置22による下降の速度以上であることが好ましい。
【0031】
保持昇降装置22の上昇及び下降の速度は、給気装置3から供給される気体の速度以下であることが好ましい。例えば、給気装置3から供給される気体の速度が0.45m/sの場合、保持昇降装置22の上昇及び下降の速度が0.45m/s以下である。保持昇降装置22の上昇及び下降の速度が給気装置3から供給される気体の速度以下であることにより、清浄度の高い位置の気体が保持昇降装置22により攪拌されにくい。結果として、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0032】
図5に示されるように、搬出口20から滅菌対象物Wが搬出される。滅菌対象物Wの搬出は、手動でもよく、自動でもよい。滅菌対象物Wを自動により搬出する場合、滅菌パスボックス100は、自動搬出装置(不図示)を備えてもよい。自動搬出装置は、保持昇降装置22から滅菌対象物Wが引き渡される。自動搬出装置は、引き渡された(受け取った)滅菌対象物Wを、搬出口20から自動で搬出する。
【0033】
図5及び
図6に示されるように、保持昇降装置22は、例えば、2本の線材で滅菌対象物Wの把持するものである。保持昇降装置22は、グリッパー(不図示)のように、滅菌対象物Wを把持するものでもよい。保持昇降装置22は、引掛け具(不図示)のように、滅菌対象物Wの穴(不図示)に引っ掛けるものでもよい。保持昇降装置22は、2本の線材、グリッパー又は引掛け具に限定されず、滅菌対象物Wを保持(つまり、把持又は引っ掛け)するものであればよい。
【0034】
滅菌用昇降装置12は、例えば、載置部13と、落下防止部14とを有する。載置部13は、滅菌対象物Wが載置される。落下防止部14は、載置部13の縁から立ち上がる。滅菌用昇降装置12は、図示された構造に限定されず、滅菌対象物Wを電子線Eが照射される位置まで上昇させるものであればよい。
【0035】
図6に示されるように、搬入口10は、電子線照射装置15の下方に形成されている。すなわち、搬入口10の下端は、電子線照射装置15の電子線Eを照射する位置の下端よりも低い。
[実施形態2]
【0036】
図7を参照して、本実施形態2に係る滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法について説明する。
図7は、実施形態2に係る滅菌パスボックス100に滅菌対象物Wが搬入された直後の縦断面図である。
【0037】
図7に示されるように、滅菌パスボックス100は、排気装置5をさらに備える。排気装置5は、滅菌室1に接続されて、滅菌室1を排気する。
【0038】
したがって、滅菌室1で電子線Eの照射により発生したオゾンは、滅菌室1から排気装置5により外部に排出される。したがって、上室2は、オゾンが滞留しにくくなる。結果として、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、電子線Eの照射によりオゾンが発生しても、直ちに上室2を使用することができる。
【0039】
滅菌パスボックス100は、除染ガス供給装置4をさらに備えてもよい。除染ガス供給装置4は、給気装置3により除染ガスを上室2に供給する。上室2に供給された除染ガスは、滅菌室1にも至る。除染ガスは、例えば、過酸化水素、又は、過酢酸等である。上室2及び滅菌室1は、適切なタイミングで供給された除染ガスにより除染される。したがって、滅菌パスボックス100及び滅菌パスボックス100の使用方法は、上室2が汚染されるリスクを一層低減することができる。
【0040】
排気装置5は、配管50と、ガス分解装置51と、排気ファン52とを有してもよい。配管50は、一端が滅菌室1に連通するとともに、他端がガス分解装置51を介して排気ファン52に接続される。ガス分解装置51は、配管50で送られるガスを分解して無害化する。分解されるガスは、オゾン及び除染ガスである。排気ファン52は、無害化された気体を排出する。
【0041】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。実施形態で説明した構成のうち「課題を解決するための手段」での第1局面及び第2局面の発明として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除及び変更することが可能である。
【0042】
(1)実施形態1及び2では、滅菌用昇降装置12及び保持昇降装置22を作動させる機構について説明しなかった。この機構は、特に限定されないが、リンク機構等、滅菌室1及び上室2を汚染しにくいものであることが好ましい。
【0043】
(2)実施形態1及び2では、滅菌対象物Wを搬入及び搬出する開口として、搬入口10及び搬出口20について説明した。上室2は、滅菌対象物Wを搬入するために、滅菌室1の搬入口10とは異なる開口(不図示)を有してもよい。この開口は、上室2において、例えば、搬出口20と同じ高さで、搬出口20と対向する位置に形成される。
【0044】
(3)上室2の保持昇降装置22は、滅菌対象物Wが引き渡される際に滅菌室1まで下降するが、上昇して上室2に戻る。このような場合も、上室2は保持昇降装置22を有するとして定義される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、滅菌パスボックス及び滅菌パスボックスの使用方法を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0046】
1 滅菌室
2 上室
3 給気装置
4 除染ガス供給装置
5 排気装置
10 搬入口
11 搬入扉
12 滅菌用昇降装置
13 載置部
14 落下防止部
15 電子線照射装置
20 搬出口
21 搬出扉
22 保持昇降装置
31 給気ファン
32 フィルタ
50 配管
51 ガス分解装置
52 排気ファン
100 滅菌パスボックス