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特開2024-166526断熱シートが施された建物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166526
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】断熱シートが施された建物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20241122BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
E04B1/76 500Z
E04G23/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082679
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000133984
【氏名又は名称】BXテンパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】石田 和成
【テーマコード(参考)】
2E001
2E176
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA14
2E001GA24
2E001HB04
2E001HD01
2E176BB27
(57)【要約】
【課題】本発明は、施工コストや時間を大幅に短縮することを課題とする。
【解決手段】本発明は、建物の内部において、(工程1)断熱シートロールを用意する工程、(工程2)建物内に断熱シートを載置することができる支持部材が無い場合は、断熱シートを載置する下地材を建物内に取り付ける工程、(工程3)断熱シートロールから断熱シートを引き出しながら、支持部材および/または下地材の上に断熱シートを載置する工程、(工程4)断熱シートを建物に固定する工程、を含む断熱シートが施された建物の製造方法とすることで、課題を解決することができた。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内部において、
(工程1)断熱シートロールを用意する工程、
(工程2)建物内に断熱シートを載置することができる支持部材が無い場合は、断熱シートを載置する下地材を建物内に取り付ける工程、
(工程3)断熱シートロールから断熱シートを引き出しながら、支持部材および/または下地材の上に断熱シートを載置する工程、
(工程4)断熱シートを建物に固定する工程、
を含む断熱シートが施された建物の製造方法。
【請求項2】
下地材が線材である請求項1記載の断熱シートが施された建物の製造方法。
【請求項3】
さらに、(工程2)の前に、
(工程1A) 用意した断熱シートロールの中心軸を軸支する架台に断熱シートロールを取り付け、断熱シートを断熱シートロールから引き出し自在にする工程
を有する請求項1記載の断熱シートが施された建物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の断熱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物は、燃料費の上昇により、断熱性能の向上が求められている。既設の建物は、さらに断熱性を向上するため、断熱材を取り付ける施工が施されるようになってきた。特に、倉庫や工場などの建物は、寒暖の差が大きいことから、断熱材を取り付ける工事が求められている。
【0003】
これまで、特許文献1のように簡易的な断熱施工方法として、断熱シートを壁や天井に取り付けることが行われている。
特許文献1の断熱シートは、周囲に鳩目(ハトメ)が取り付けられており、鳩目(ハトメ)を用いて建物内の部材に固定するものであった。断熱シートは、建物側の何らかの部材にフックが取り付けられており、当該フックに断熱シートを引掛けることで施工が短時間で完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-168951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術である特許文献1の鳩目を用いた断熱シートは、断熱シートは四辺に鳩目が取付られていないと弛んでしまう。断熱シートの一つの辺に鳩目が無い断熱シートを用いると、鳩目の無い辺が弛み断熱性が著しく低下してしまう。そのため、特許文献1の断熱シートは、断熱シートの支持材となる梁などの支持部材と支持部材の幅を採寸し、取り付け部位に対応する大きさに切断し、その四辺に鳩目を形成する作業を要するものであった。
この断熱シートを取り付けるための下準備は、時間を要しコストがかかるという問題があった。
本発明は、施工コストや時間を大幅に短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、次の態様1を採用することで課題を解決した。
建物の内部において、(工程1)断熱シートロールを用意する工程、(工程2)建物内に断熱シートを載置することができる支持部材が無い場合は、断熱シートを載置する下地材を建物内に取り付ける工程、(工程3)断熱シートロールから断熱シートを引き出しながら、支持部材および/または下地材の上に断熱シートを載置する工程、(工程4)断熱シートを建物に固定する工程、を含む断熱シートが施された建物の製造方法。
【0007】
さらに、本明細書は、態様1に加えて、下地材が線材である態様も開示する。
【0008】
本明細書は、態様1に加えて、さらに、(工程2)の前に、(工程1A) 用意した断熱シートロールの中心軸を軸支する架台に断熱シートロールを取り付け、断熱シートを断熱シートロールから引き出し自在にする工程を有する態様も開示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、断熱シートの準備から施工までの総合的なコストと施工時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、建物1の一部の領域を斜め上方から観た斜視図である。図1は、説明のため所々屋根材(折板)を取り除いて図示している。
図2図2は、図1に付したA-A間の断面図である。図2(A)は、磁石による断熱シートの固定の、第1の態様を表し、図2(B)は、磁石による断熱シートの固定の、第2の態様を表わす。
図3図3は、図1に付したB-B間の断面図である。
図4図4は、断熱シートの断面図である。
図5図5は、架台に断熱シートロールの中心軸を軸支させた斜視図である。
図6図6は、箱体5を利用した断熱シートの引き出し装置の説明図である
図7図7は、(工程3)の説明図である。
図8図8は、建物の桁に断熱シートを固定する(工程4)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
実施例は、屋根材11に折板を使った倉庫などによくみられる建物1に関する例である。図1は、建物1の一部の領域を斜め上方から観た斜視図である。図1は、説明のため所々屋根材11(折板)を取り除いて図示している。図示してない桁19(鋼材)と桁19(鋼材)の間には、何本もの梁12が通されている。
【0012】
(梁)
梁12は、支柱17で支えられており、その上面にタイトフレーム15が取り付けられている。タイトフレーム15は、屋根材11(折板)を支える部材である。実施例の断熱シート2は、屋根材11から来る冷気や熱気を遮断するために設置されており、何枚もの断熱シート2が天井側に隙間無く取り付けられている。
実施例は、露出する梁12を備えた建物1に関する例である。本発明の断熱シート2が適用される建物1は、構造は適宜でよく、実施例はその一例を示しているに過ぎない。
【0013】
(下地材)
下地材13は、必要に応じて用いられる部材である。下地材13は、建物1内の施工領域に、断熱シート2を載置できるような梁12などの適切な部材が無い場合に用いられる。
下地材13は、その上に断熱シート2が載置され、断熱シート2を支えるものである。
実施例の下地材13は、複数の梁12の間を繋ぐように梁12と直交する方向に取り付けられている。建物1内には、梁12があるが、梁12の上には、屋根材11(折板)を支えるタイトフレーム15が取り付けられており、断熱シート2を載置することができない。
【0014】
建物1に、実施例のような断熱シート2を支える適当な支持部材が無いときは、作業者が、下地材13になるような棒材を梁12に後付けすることができる。
後付けする下地材13は、梁12の上に設けられたタイトフレーム15の間を挿通するように取り付けられていてもよい。下地材13は、断熱シート2を支えさえすればよく、特段固定されている必要はないが、梁12などに固定されてもよいことは言うまでもない。下地材13の素材は、木材、鋼材、アルミ材など材質を問わない。しかし、後述するように磁石3で断熱シート2を下地材13に固定したい場合は、下地材13の素材は、鋼材など磁石3が吸着する素材が選択される。実施例は、下地材13の素材として鋼材・H形鋼を選択し、下地材13に磁石3を用いて断熱シート2を固定する態様である。
【0015】
(線材)
下地材13は、軽い断熱シート2を載置し支える機能を果たせばよいから、多様な材料を使うことができる。実施例は、針金18を複数の梁12間に張設する態様を含んでいる。針金18は、下地材13と同じく断熱シート2を支えるものであり、実施例は、針金18と下地材13が交互に並ぶ態様となっている。針金18は、タイトフレーム15に巻き付けて固定してもよいし、ビスなどの締結具で梁12などに固定してもよい。針金18は、水平に設置されないと、その上に載る断熱シート2が水平にならないため、できる限りテンションをかけて水平になるように張設される。
この説明は、下地材13のバリエーションを説明するものであり、針金18でも建物1に備わっている構造材でも、さらに後付けの下地材13でも、とにかく断熱シート2を支えることができるのなら、下地材13の選択は適宜であることを述べるものである。針金18を含め、説明した下地材13は例示に過ぎない。下地材13を必要とせず断熱シート2を設置できるのであれば、下地材13は不要である。
【0016】
下地材13として好ましい線材は、針金18の他にワイヤがある。線材は、合成樹脂製の紐であってもよい。断熱シート2が時間経過ともに下に垂れ下がるようなことがあると、断熱性を損なう原因となるため、下地材13として線材を使う場合は、張力をかけても切れず、できるだけ水平に設置できる素材であることが好ましい。また、下地材13として選ばれた線材は、時間経過とともに緩んで垂れ下がらない素材であることが好ましい。
【0017】
(断熱シートの配置)
図1に図示されているように、断熱シート2は、梁12に対して平行に複数枚並べて取り付けられている。梁12の上はタイトフレーム15があるため、断熱シート2を梁12の上に設けることはできないが、梁12と梁12の間は、隙間無く複数枚の断熱シート2が張設されている。
さらに、変形例として、梁12の下面に、梁12と平行に下地材13設け、断熱シート2を取り付ける態様を加えることができる。下地材13の設置方向は、任意である。
【0018】
断熱シート2は、下地材13や針金18の上に載置されている。断熱シート2の横ずれを防ぐため、断熱シート2の梁12側の端部は、テープなどで梁12に貼り付けられていてもよいし、磁石3により梁12に固定されてもよい。
【0019】
(磁石による固定位置)
図2は、図1に付したA-A間の断面図である。図2(A)は、磁石3による断熱シート2の固定の、第1の態様を表し、針金18は実際の寸法より太く強調して図示されている。タイトフレーム15を載せた梁12は説明のため図示していない。下地材13は、建物1に元々存在していた構造材であり、図から観て分かるようにH形鋼である。断熱シート2は、中間部にある下地材13と針金18の上に載せられている。針金18や下地材13の間隔は、断熱シート2が垂れ下がらず、ほぼ水平に取り付けることができる間隔になっている。断熱シート2の端部は、固定されなければならない。図2(A)は、端部にある下地材13のフランジ裏側132に磁石3で固定される態様を表している。実施例は、下地材13に断熱シート2を固定する態様であるが、建物1の端部に桁19などの断熱シート2を固定するのに適した構造材(鋼材)がある場合は、桁19などの構造材(鋼材)に断熱シート2を固定することができる。桁19などの建物1の構造材(鋼材)を断熱シート2に固定することは、下地材13)を別途取り付ける手間とコストを省けるため、好ましい態様である。
【0020】
図2(B)は、磁石3による断熱シート2の固定の、第2の態様を表わす。第2の態様の断熱シート2は、端部にある下地材13のフランジ表側133で磁石3により固定されている。図示はしないが、断熱シート2は、端部にある下地材13のウエブ131に磁石3で固定されてもよい。
【0021】
(隣接する断熱シート間のオーバーラップ部)
図3は、図1に付したB-B間の断面図である。3枚の断熱シート2が、タイトフレーム15が取付けられた梁12(鋼材)と梁12(鋼材)の間に取付けられている。断熱シート2は、梁12(鋼材)と平行に延びている。隣接する断熱シート2同士は、オーバーラップ部26ができるように重ねられており、断熱シート2と断熱シート2の間に断熱性を損ねる隙間が空かないように配慮されている。必要に応じ、断熱シート2と断熱シート2の間は、隙間が空かないようにテープなどで固定することは好ましい態様である。
【0022】
(断熱シートの構造)
図4は、断熱シート2の断面図である。実施例の断熱シート2は、アルミ蒸着膜などから成る熱線反射層21があり、熱線反射層21を裏打ちする発泡断熱層22で構成される積層体である。
【0023】
発泡断熱層22は、潰すまたは削ることで厚さ24を薄くできる材料で形成されている。図4で図示された取付部23は、潰すまたは削ることで厚さ24が薄くなった領域である。
押圧は、何で潰すまたは削ってもよいが、取付部23に磁石3が取りつけられるため、磁石3と同様の形状と大きさの治具で押圧して潰すことできれいに厚さ24を薄くすることができる。また、取付部23は、押圧して潰した部分が元に戻らないように、例えば、治具の押圧面の下にヒータを設けた治具などを使って形成されてもよい。したがって、本発明でいう、潰すまたは削ることで厚さ24を薄くできる材料は、加熱と押圧により潰されて厚さ24を薄くできる材料であってもよく、その手段を問わない。
【0024】
熱線反射層21は、断熱シート2の断熱効果を高める作用をするが、発泡断熱層22で十分断熱性を確保できるのであれば、無くてもよい。
また、断熱シート2は、その一部に潰すまたは削ることで厚さ24を薄くできる材料が用いられていればよく、断熱シート2の全体が当該特性を備えている必要はない。また、実施例は、潰すまたは削ることで厚さ24を薄くできる特性を備えた材料として発泡断熱層22を使った例であるが、発泡していない断熱層であっても、当該特性を備えていれば本発明に適用できることは言うまでもない。
【0025】
(架台)
図5は、架台4に断熱シートロール28の中心軸281を軸支させた斜視図である。断熱シートロール28は、架台4上で回転することで、引き出し自在になっている。
【0026】
(作業工程)
作業者は、次の工程を行い断熱シート2が施された建物1を製造する。
【0027】
(工程1)
作業者は、建物1の内部(室内)に、断熱シートロール28を持ち込み、作業のための断熱シートロール28を用意する。
【0028】
(工程1A)
作業者は、用意した断熱シートロール28の中心軸281を軸支する架台4に断熱シートロール28を取り付ける。これにより、断熱シートロール28は、断熱シート2を引き出し自在に架台4に取付けられたことになる。作業者は、断熱シート2の端部を引っ張ることで断熱シートロール28から、必要なだけ断熱シート2を引き出すことができる。
本明細書は、(工程1A)は、好ましい態様の一つとして示している。作業者が、以降の工程を行うに際し、断熱シートロール28から断熱シート2を引き出すことができればよく、架台4を使わなくてもよい。たとえば、断熱シート2を建物1に取り付ける作業者とは別の作業者がおり、別の作業者が断熱シートロール28から必要量の断熱シート2を引き出すようにすることも可能である。
【0029】
この架台4を使う態様は、断熱シート2を楽に引き出せるという利点に加え、別の利点がある。断熱シートロール28は中心軸281で架台4に軸支されているため、断熱シートロール28を引き出し方向とは逆に回転させることで引き出しされた断熱シート2を引っ張ることができる。断熱シート2の端部は、後述する工程で固定されることになる。固定された後の断熱シート2は全体的に弛んでいるが、断熱シートロール28を逆に回転させることで、敷設された断熱シート2の弛みは解消する。
【0030】
(変形例)
また、断熱シートロール28の中心軸281を軸支せずに、断熱シート2を引き出す変形もある。
図6は、箱体5を利用した断熱シート2の引き出し装置の説明図である。
作業者は、断熱シートロール28を収める箱体5を用意し、箱体5に断熱シートロール28を入れる。箱体5の側面には断熱シート2を引き出すための引き出し開口部51が設けられている。断熱シート2の端部は、引き出し開口部51から箱体5の外に引き出される。
この変形例は、断熱シートロール28の中心軸281は軸支されておらず、断熱シート2の端部を作業者が引っ張ることで、円筒状の断熱シートロール28が箱体5内で回転し、断熱シート2が引き出されて行く。
このように、断熱シートロール28から断熱シート2を引き出す態様は様々であり得る。
【0031】
(工程2)
(工程2)は、断熱シート2を取り付ける準備を行う工程である。建物1は、断熱シート2を載置することができる部材や構造材が都合よく有している場合があるが、載置するのに適した部材が存在しないか不十分にしか有していない場合がある。
作業者は、(工程2)建物1内に断熱シート2を載置することができる支持部材が無い場合は、断熱シート2を載置する下地材13を建物1内に取り付ける工程を行う。
ここで使用される下地材13は、断熱シート2を載置できればよく、針金18やワイヤなどの線材や木材、鋼材、アルミ材など材質を問わず使うことができることは前述したとおりである。
【0032】
(工程3)
(工程3)は、断熱シートロール28から断熱シート2を引き出しながら、支持部材および/または下地材13の上に断熱シート2を載置する工程である。
図7は、(工程3)の説明図である。図7は、作業者が(工程2)で、下地材13となるH形鋼や下地材13の一種である針金18を予め建物1に取り付けた後の状態を示している。タイトフレーム15の上は、屋根材11(折板)が取り付けられている。断熱シート2は、屋根材11(折板)側から来る冷気や熱を遮断するために設置される。タイトフレーム15は、梁12の上に設置されているが、図7では説明のため梁12を図示していない。
【0033】
作業者は、断熱シート2を取り付ける準備が整った建物1内に架台4を持ち込み、架台4に断熱シートロール28の中心軸281をセットする。次いで、作業者は、矢印の方向に手前から奥に向かって断熱シートロール28を引き出す。引き出された断熱シート2は、予め取り付けてある針金18や下地材13(H形鋼)の上に手前から奥に向かって通されて行く。手前側には、桁19と壁16があり、建物1の外壁を構成している。図7には図示されていないが、奥側にも手前側と同じ、桁19と壁16がある。
【0034】
(工程4)
(工程4)は、断熱シート2を建物1に固定する工程である。作業者は、建物1の構造などを勘案して断熱シート2を固定する場所を決めるため、その場所は様々であり得る。図8は、建物1の桁19に断熱シート2を固定する(工程4)の説明図である。タイトフレーム15は梁12で支えられているが、説明のため図示していない。また、桁19と壁16の関係は、概念図のため正確なものではない。実施例の桁19はH形鋼であり、断熱シート2は、フランジ裏側132に磁石3を用いて固定されている。断熱シート2は、磁石3の効きを良くするため、厚さ24が薄くなるように潰されて取付部23が形成されている。作業者は、取付部23に磁石3を取り付け、桁19に断熱シート2を固定する。磁石3が何らかの原因で脱落こともあり得るため、作業者は、念のため、磁石3を接着シート25で覆うように貼り付ける。
【0035】
磁石3による固定は、固定の一例であって、断熱シート2は何らかの治具で固定されてもよいし、接着によって固定されてもよい。また、H形鋼である桁19に対する固定位置は、フランジ表側133でもよいし、ウエブ131でもよい。実施例は、桁19が最も壁16側にあるため、断熱シート2の端部を固定する部材として選ばれたが、断熱シート2の端部は、建物1の構造により桁19とは異なる部材に取付けられることが好ましい場合もある。
また、断熱シート2の端部を固定するのに適した部材が無い場合は、何らかの下地材13を壁16に取り付けて断熱シート2を固定してもよい。
【0036】
図7に戻り説明を続ける。
断熱シート2の端部が、奥側にある桁19に取付けられると、次いで作業者は、手前側の桁19に断熱シート2の端部を固定する作業を行う。断熱シート2が弛まないよう手前側の桁19に向けて断熱シート2が引っ張られる。断熱シートロール28から引き出された断熱シート2は、桁19とそれに隣接する針金18の幅に合わせて適当な長さに切断され、手前側にある桁19に奥側と同じ要領で固定される。
さらに、奥側の桁19と手前側の桁19の間にある下地材13と断熱シート2は、適宜な手段で固定されてもよい。実施例は、奥側の桁19から手前側の桁19まで途切れることなく一枚の断熱シート2となるよう設置する態様であった。断熱シート2は、隣接する下地材13と下地材13の間などに小分けして固定されてもよい。
【0037】
実施例は、以上の(工程1)~(工程4)を含む、断熱シート2が施された建物1の製造方法である。
【0038】
(作用効果)
実施例は、断熱シートロール28から断熱シート2を引き出しながら、支持部材および/または下地材13の上に断熱シート2を載置する工程があることで、効率的に断熱シート2を建物1に取り付けることができるようになった。
【0039】
以上、本発明に係る実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の実施例や変形例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 建物
11 屋根材(折板)
12 梁
13 下地材
131 ウエブ
132 フランジ裏側
133 フランジ表側
15 タイトフレーム
16 壁
17 支柱
18 針金
19 桁
2 断熱シート
21 熱線反射層
22 発泡断熱層
23 取付部
24 厚さ
25 接着シート
26 オーバーラップ部
28 断熱シートロール
281 中心軸
3 磁石
4 架台
5 箱体
51 引き出し開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8