特開 2024-166527 レーザー走査ユニット、画像形成装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024166527

(43)【公開日】2024-11-29

(54)【発明の名称】レーザー走査ユニット、画像形成装置

(51)【国際特許分類】

   G02B 26/10 20060101AFI20241122BHJP

   B41J 2/47 20060101ALI20241122BHJP

   H04N 1/113 20060101ALI20241122BHJP

【ＦＩ】

G02B26/10 F

B41J2/47 101D

H04N1/113

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023082681

(22)【出願日】2023-05-19

(71)【出願人】

【識別番号】000006150

【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100167302

【弁理士】

【氏名又は名称】種村 一幸

(74)【代理人】

【識別番号】100135817

【弁理士】

【氏名又は名称】華山 浩伸

(72)【発明者】

【氏名】水谷 秀次

(72)【発明者】

【氏名】吉田 真悟

【テーマコード（参考）】

2C362

2H045

5C072

【Ｆターム（参考）】

2C362AA10

2C362BA04

2C362BA17

2C362BA86

2C362BB03

2C362CA18

2C362CA39

2C362DA01

2H045AA01

2H045AA33

2H045AB01

2H045BA22

2H045BA34

2H045CA63

2H045DA02

2H045DA04

5C072AA03

5C072BA05

5C072DA02

5C072DA04

5C072HA02

5C072HA12

5C072XA05

(57)【要約】

【課題】複数のミラーおよび複数のレンズをロボットによって効率的に筐体に組み付けできること。
【解決手段】複数の二点ミラー支持部５０１は、複数のミラー５４各々の第１方向の第１の側の端部におけるミラー特定面の２箇所をそれぞれ支持する。複数の一点ミラー支持部５０２は、前記複数のミラー５４各々の前記第１方向の第２の側の端部における前記ミラー特定面の１箇所または端面をそれぞれ支持する。複数の二点レンズ支持部５０３は、複数のレンズ５５各々のレンズ特定面における前記第１方向の前記第２の側の端部の２箇所をそれぞれ支持する。複数の一点レンズ支持部５０４は、前記複数のレンズ５５各々の前記レンズ特定面における前記第１方向の前記第１の側の端部の１箇所をそれぞれ支持する。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

筐体と、
前記筐体内に配置され、複数のレーザー光を第１方向に沿って走査する光走査器と、
前記第１方向に沿って前記筐体内にそれぞれ配置され、前記複数のレーザー光をそれぞれ反射する複数のミラーと、
前記第１方向に沿って前記筐体内にそれぞれ配置され、前記複数のレーザー光がそれぞれ透過する複数のレンズと、
前記複数のミラー各々の前記第１方向の両端部をそれぞれ前記筐体の一部である複数のミラー支持部に留める複数のミラー留め部材と、
前記複数のレンズ各々の前記第１方向の両端部をそれぞれ前記筐体の一部である複数のレンズ支持部に留める複数のレンズ留め部材と、を備え、
前記複数のミラーと前記複数のレンズとが前記第１方向に交差する第２方向において間隔を空けて交互に配置され、
前記複数のミラー支持部は、
前記複数のミラー各々の前記第１方向の第１の側の端部における反射面または前記反射面の反対の背面であるミラー特定面の２箇所をそれぞれ支持する複数の二点ミラー支持部と、
前記複数のミラー各々の前記第１方向の第２の側の端部における前記ミラー特定面の１箇所または端面をそれぞれ支持する複数の一点ミラー支持部と、を含み、
前記複数のレンズ支持部は、
前記複数のレンズ各々の前記第１方向の前記第２の側の端部における前記複数のレーザー光各々の入射面または出射面であるレンズ特定面の２箇所をそれぞれ支持する複数の二点レンズ支持部と、
前記複数のレンズ各々の前記レンズ特定面における前記第１方向の前記第１の側の端部の１箇所をそれぞれ支持する複数の一点レンズ支持部と、を含む、レーザー走査ユニット。

【請求項2】

前記複数の一点ミラー支持部各々は、前記複数のミラー各々の前記ミラー特定面をそれぞれ支持し、
前記複数のミラー留め部材各々は、前記複数のミラー各々を前記複数の二点ミラー支持部各々または前記複数の一点ミラー支持部各々へ弾性付勢するミラー付勢部を有する、請求項１に記載のレーザー走査ユニット。

【請求項3】

前記複数のレンズは、４つの現像色に対応する４個のレンズであり、前記複数のレンズ留め部材は、前記４個のレンズの両端部を留める８個のレンズ留め部材であり、前記８個のレンズ留め部材は、前記４個のレンズのうちの１個に対応する第１形状の２個の第１レンズ留め部材と、前記４個のレンズのうちの残りの３個に対応する第２形状の６個の第２レンズ留め部材と、を含む、請求項１または請求項２に記載のレーザー走査ユニット。

【請求項4】

前記複数の一点ミラー支持部各々は、前記複数のミラー各々の前記端面をそれぞれ支持し、
前記複数のミラー留め部材の一部である複数の第一ミラー留め部材各々は、前記複数のミラー各々を前記複数の二点ミラー支持部各々へ弾性付勢するミラー付勢部を有し、
前記複数のミラー留め部材の他の一部である複数の第二ミラー留め部材各々は、前記複数のミラー各々の端面を前記複数の一点ミラー支持部各々へ接着する接着剤である、請求項１に記載のレーザー走査ユニット。

【請求項5】

前記複数のレンズ各々は、
前記レンズ特定面における前記第１方向の前記第２の側の端部において突出した一対の第一突起部と、
前記レンズ特定面における前記第１方向の前記第１の側の端部において突出した第二突起部と、を有し、
前記複数の二点レンズ支持部各々は、前記複数のレンズ各々の前記一対の第一突起部に当接する平面であり、
前記複数の一点レンズ支持部各々は、前記複数のレンズ各々の前記第二突起部に当接する平面であり、
前記複数のレンズ留め部材各々は、前記複数のレンズ各々を前記複数の二点レンズ支持部各々または前記複数の一点レンズ支持部各々へ弾性付勢するレンズ付勢部を有する、請求項２または請求項４に記載のレーザー走査ユニット。

【請求項6】

前記光走査器を覆い、前記複数のレーザー光が通過する開口が形成された走査器カバーをさらに備える、請求項１または請求項２に記載のレーザー走査ユニット。

【請求項7】

複数の感光体と、
前記複数の感光体の表面に複数のレーザー光を走査することにより前記複数の感光体の表面に複数の静電潜像を書き込む請求項１または請求項２に記載のレーザー走査ユニットと、
前記複数の静電潜像を複数のトナー像へ現像する複数の現像装置と、
前記複数のトナー像を前記複数の感光体からシートへ転写する転写装置と、を備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、複数のミラーおよび複数のレンズを備えるレーザー走査ユニットおよび画像形成装置に関する。

【背景技術】

【0002】

電子写真方式のカラー画像形成装置は、複数の感光体およびレーザー走査ユニットを備える。前記レーザー走査ユニットは、複数の感光体各々の表面に複数のレーザー光各々を走査する。これにより、前記レーザー走査ユニットは、前記複数の感光体各々の表面に静電潜像を書き込む。

【0003】

前記レーザー走査ユニットは、筐体と複数のミラーと複数のレンズとを備える。前記複数のミラーおよび前記複数のレンズは、前記複数のレーザー光の走査方向を長手方向として前記筐体内に配置される。

【0004】

前記複数のミラーおよび前記複数のレンズの配置の精度は、前記静電潜像の書き込みの精度に大きく影響する。

【0005】

例えば、前記複数のミラーおよび前記複数のレンズの各々が、３箇所で前記筐体に支持されることが知られている（例えば、特許文献１参照）。

【0006】

上記の場合、前記複数のミラー各々の長手方向の第１端部が２箇所で支持され、前記複数のミラー各々の長手方向の第２端部が１箇所で支持される。同様に、前記複数のレンズの各々の長手方向の第１端部が２箇所で支持され、前記複数のレンズの各々の長手方向の第２端部が１箇所で支持される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【特許文献1】特開２０１９－１０１１６０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

ところで、前記レーザー走査ユニットの製造工程において、前記複数のミラーおよび前記複数のレンズは、ロボットによって前記筐体に組み付けられる。

【0009】

前記ロボットは、予め前記筐体内に配置された前記複数のミラーおよび前記複数のレンズの各々の両端部に順次アクセスする。その際、前記ロボットは、前記複数のミラーおよび前記複数のレンズの各々の３箇所の被支持部を留具の装着または接着剤による接着によって前記筐体に固定する。

【0010】

前記複数のミラーおよび前記複数のレンズを前記ロボットにより前記筐体に組み付ける工程が、効率的に行われることが望まれる。

【0011】

本発明の目的は、複数のミラーおよび複数のレンズをロボットによって効率的に筐体に組み付けることが可能なレーザー走査ユニットおよび画像形成装置を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0012】

本発明の一の局面に係るレーザー走査ユニットは、筐体と、光走査器と、複数のミラーと、複数のレンズと、複数のミラー留め部材と、複数のレンズ留め部材と、を備える。前記光走査器は、前記筐体内に配置され、複数のレーザー光を第１方向に沿って走査する。前記複数のミラーは、前記第１方向に沿って前記筐体内にそれぞれ配置され、前記複数のレーザー光をそれぞれ反射する。前記複数のレンズは、前記第１方向に沿って前記筐体内にそれぞれ配置されている。前記複数のレーザー光がそれぞれ前記複数のレンズを透過する。前記複数のミラー留め部材は、前記複数のミラー各々の前記第１方向の両端部をそれぞれ前記筐体の一部である複数のミラー支持部に留める。前記複数のレンズ留め部材は、前記複数のレンズ各々の前記第１方向の両端部をそれぞれ前記筐体の一部である複数のレンズ支持部に留める。前記複数のミラーと前記複数のレンズとが前記第１方向に交差する第２方向において間隔を空けて交互に配置されている。前記複数のミラー支持部は、複数の二点ミラー支持部と、複数の一点ミラー支持部と、を含む。前記複数の二点ミラー支持部は、前記複数のミラー各々の前記第１方向の第１の側の端部における反射面または前記反射面の反対の背面であるミラー特定面の２箇所をそれぞれ支持する。前記複数の一点ミラー支持部は、前記複数のミラー各々の前記第１方向の第２の側の端部における前記ミラー特定面の１箇所または端面をそれぞれ支持する。前記複数のレンズ支持部は、複数の二点レンズ支持部と、複数の一点レンズ支持部と、を含む。前記複数の二点レンズ支持部は、前記複数のレンズ各々の前記第１方向の前記第２の側の端部における前記複数のレーザー光各々の入射面または出射面であるレンズ特定面の２箇所をそれぞれ支持する。前記複数の一点レンズ支持部は、前記複数のレンズ各々の前記レンズ特定面における前記第１方向の前記第１の側の端部の１箇所をそれぞれ支持する。

【0013】

本発明の他の局面に係る画像形成装置は、複数の感光体と、前記レーザー走査ユニットと、複数の現像装置と、転写装置と、を備える。前記レーザー走査ユニットは、前記複数の感光体の表面に複数のレーザー光を走査することにより前記複数の感光体の表面に複数の静電潜像を書き込む。前記複数の現像装置は、前記複数の静電潜像を複数のトナー像へ現像する。前記転写装置は、前記複数のトナー像を前記複数の感光体からシートへ転写する。

【発明の効果】

【0014】

本発明によれば、複数のミラーおよび複数のレンズをロボットによって効率的に筐体に組み付けることが可能なレーザー走査ユニットおよび画像形成装置を提供することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】図１は、実施形態に係るレーザー走査ユニットを備える画像形成装置の構成図である。

【図2】図２は、実施形態に係るレーザー走査ユニットの断面図である。

【図3】図３は、実施形態に係るレーザー走査ユニットの平面図である。

【図4】図４は、実施形態に係るレーザー走査ユニットが備える複数種類の留具の側面図である。

【図5】図５は、実施形態に係るレーザー走査ユニットにおけるミラーおよびレンズの第１側の端部の支持部の側面図である。

【図6】図６は、実施形態に係るレーザー走査ユニットにおけるミラーおよびレンズの第２側の端部の支持部の側面図である。

【図7】図７は、実施形態に係るレーザー走査ユニットの組立工程におけるロボットアームの移動軌跡を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0016】

以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。

【0017】

実施形態に係るレーザー走査ユニット５は、電子写真方式の画像形成装置１０の一部を構成している（図１参照）。

【0018】

［画像形成装置１０の構成］
図１に示されるように、画像形成装置１０は、シート搬送装置３およびプリント装置４を備える。画像形成装置１０は、タンデム式のカラー画像形成装置である。

【0019】

シート搬送装置３は、シート給送機構３０および複数組の搬送ローラー対３１を備える。シート給送機構３０は、シート収容部２に収容されたシート９を搬送路３００へ送り出す。搬送路３００は、シート９が搬送される通路である。

【0020】

複数組の搬送ローラー対３１は、不図示のモーターによって回転駆動される。複数組の搬送ローラー対３１は、回転することによってシート９を搬送路３００に沿って搬送し、さらにシート９を排出トレイ１ｘへ排出する。

【0021】

プリント装置４は、電子写真方式でプリント処理を実行する。前記プリント処理は、シート９に画像を形成する処理である。シート９は、用紙またはシート状の樹脂部材などの画像形成媒体である。

【0022】

プリント装置４は、複数のトナー色に対応する複数の画像形成部４ｘを備える。さらにプリント装置４は、レーザー走査ユニット５、転写装置４４および定着装置４６を備える。

【0023】

画像形成部４ｘ各々は、ドラム状の感光体４１、帯電装置４２、現像装置４３およびドラムクリーニング装置４５などを含む。即ち、プリント装置４は、複数のトナー色に対応する複数の感光体４１、複数の現像装置４３および複数のドラムクリーニング装置４５を備える。

【0024】

画像形成部４ｘ各々において、感光体４１が回転し、帯電装置４２が感光体４１の表面を帯電させる。レーザー走査ユニット５は、それぞれ帯電した複数の感光体４１各々の表面に複数のレーザー光各々を走査する。これにより、レーザー走査ユニット５は、複数の感光体４１各々の表面に静電潜像を書き込む。

【0025】

複数の現像装置４３は、複数の感光体４１の表面にそれぞれトナーを供給することにより前記静電潜像をトナー像へ現像する。前記トナーは、粒状の現像剤である。感光体４１は、前記トナー像を担持して回転する像担持体の一例である。

【0026】

本実施形態において、プリント装置４は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの４つの現像色の前記トナーに対応する４つの画像形成部４ｘを備える。従って、プリント装置４は、４個の感光体４１、４個の現像装置４３および４個のドラムクリーニング装置４５を備える。

【0027】

４個の感光体４１の表面に４つの前記トナー像が形成される。転写装置４４は、４つの前記トナー像を４個の感光体４１からシート９へ転写する。

【0028】

転写装置４４は、中間転写ベルト４４１と、４個の画像形成部４ｘに対応する４個の一次転写装置４４２と、二次転写装置４４３と、ベルトクリーニング装置４４４とを含む。

【0029】

４個の一次転写装置４４２は、４個の感光体４１の表面の前記トナー像を中間転写ベルト４４１の表面へ転写する。これにより、４個の感光体４１の前記トナー像が合成されたカラートナー像が中間転写ベルト４４１の表面に形成される。

【0030】

二次転写装置４４３は、中間転写ベルト４４１に形成された前記カラートナー像を、搬送路３００の転写位置においてシート９に転写する。

【0031】

定着装置４６は、シート９に転写された前記カラートナー像を加熱しつつ加圧する。これにより、定着装置４６は、シート９に前記カラートナー像を定着させる。

【0032】

ドラムクリーニング装置４５各々は、感光体４１各々の表面に残存する廃トナーを除去する。ベルトクリーニング装置４４４は、中間転写ベルト４４１に残存する前記廃トナーを除去する。

【0033】

図２，３に示されるように、レーザー走査ユニット５は、筐体５０と複数の光源５１と走査器５２と主レンズ５３と複数のミラー５４と複数の副レンズ５５とを備える。筐体５０は、合成樹脂の成形部材である。複数の光源５１および走査器５２は、筐体５０内に配置されている。

【0034】

複数の光源５１は、それぞれレーザー光を出射するレーザー光源である。走査器５２は、複数の光源５１から出射される複数のレーザー光を第１方向Ｄ１に沿って走査する。図３に示される例において、前記複数のレーザー光の走査方向ＳＤ１は、第１方向Ｄ１の第１の側Ｄ１１から第２の側Ｄ１２へ向かう方向である。

【0035】

本実施形態において、走査器５２はポリゴンミラーである。前記ポリゴンミラーは、周方向に正多角形状に並ぶ複数のミラーを有する。前記ポリゴンミラーは、ポリゴンモーター５２０によって駆動されることにより回転する（図２参照）。

【0036】

なお、ガルバノミラーまたはＭＥＭＳミラー（Micro Electro Mechanical Systems mirror）が、走査器５２として採用されてもよい。

【0037】

レーザー走査ユニット５は、走査器５２を覆う走査器カバー５２１をさらに備える（図２，３参照）。走査器カバー５２１には、前記複数のレーザー光が通過する開口５２１ａが形成されている。

【0038】

走査器カバー５２１は、ポリゴンモーター５２０が発する熱により加熱された高温の空気が走査器５２によって筐体５０内の一部の領域に偏って流れることを抑制する。これにより、筐体５０内の温度分布の偏りが抑制され、筐体５０および筐体５０内の光学機器の熱膨張の分布の偏りが抑制される。その結果、熱膨張の分布に起因する前記複数のレーザー光の走査の精度の悪化が抑制される。

【0039】

主レンズ５３、複数のミラー５４および複数の副レンズ５５は、それぞれ第１方向Ｄ１を長手方向として筐体５０内に取り付けられている。即ち、主レンズ５３、複数のミラー５４および複数の副レンズ５５は、第１方向Ｄ１に沿って筐体５０内にそれぞれ配置されている。

【0040】

複数のミラー５４は、前記複数のレーザー光をそれぞれ反射する。前記複数のレーザー光は、複数のミラー５４によって反射されるとともに主レンズ５３および複数の副レンズ５５を透過する。

【0041】

主レンズ５３は、前記４つの現像色に共通のｆθレンズである。本実施形態において、レーザー走査ユニット５は、それぞれ前記４つの現像色に対応する４個の副レンズ５５を備える。

【0042】

複数のミラー５４は、ブラックに対応する第１ミラー５４ａと、シアンに対応する第２ミラー５４ｂおよび第３ミラー５４ｃと、マゼンタに対応する第４ミラー５４ｄと、イエローに対応する第５ミラー５４ｅとを含む（図２，３参照）。

【0043】

主レンズ５３は、４個の感光体４１に照射される前記複数のレーザー光の全てを透過させるｆθレンズである。４個の副レンズ５５は、前記複数のレーザー光のうちそれぞれ対応する感光体４１に照射される一部を透過させる。

【0044】

４個の副レンズ５５は、ブラックに対応する第１副レンズ５５ａと、シアンに対応する第２副レンズ５５ｂと、マゼンタに対応する第３副レンズ５５ｃと、イエローに対応する第４副レンズ５５ｄとを含む（図２，３参照）。

【0045】

複数のミラー５４および複数の副レンズ５５の配置の精度は、前記４つの現像色に対応する４つの前記静電潜像の書き込みの精度に大きく影響する。

【0046】

ところで、レーザー走査ユニット５の製造工程において、複数のミラー５４および複数の副レンズ５５は、ロボットによって前記筐体に組み付けられる。

【0047】

複数のミラー５４および複数の副レンズ５５は、それぞれ第１方向Ｄ１の両端部において筐体５０によって支持される。

【0048】

前記ロボットは、予め筐体５０内に配置された複数のミラー５４および複数の副レンズ５５の各々の両端部に順次アクセスする。その際、前記ロボットは、複数のミラー５４および複数の副レンズ５５の各々の３箇所の被支持部を留具の装着または接着剤による接着によって筐体５０に固定する。

【0049】

複数のミラー５４および複数の副レンズ５５を前記ロボットにより筐体５０に組み付ける工程が、効率的に行われることが望まれる。

【0050】

レーザー走査ユニット５において、複数のミラー５４および複数の副レンズ５５を支持するための支持構造は、前記ロボットによって効率的に筐体５０に組み付けることを可能にする構造を有する。以下、前記支持構造について説明する。

【0051】

［複数のミラー５４および複数の副レンズ５５の支持構造］
図２，３に示されるように、５個のミラー５４および４個の副レンズ５５は、第２方向Ｄ２において間隔を空けて交互に配置されている。第２方向Ｄ２は、前記第１方向に交差する方向である。

【0052】

レーザー走査ユニット５は、複数のミラー５４および複数の副レンズ５５の第１方向Ｄ１の両端部を筐体５０に留める複数の留具５６を備える（図４参照）。

【0053】

複数の留具５６は、複数のミラー５４の両端部および複数の副レンズ５５の両端部を筐体５０に留める用具である。本実施形態において、留具５６各々は金属の部材である。

【0054】

複数の留具５６は、それぞれ係合部５６ｘ、第１弾性部５６ｙおよび第２弾性部５６ｚを有する（図４参照）。係合部５６ｘは、筐体５０に係合することにより、留具５６を筐体５０における特定の部位に固定する部分である（図５，６参照）。

【0055】

第１弾性部５６ｙおよび第２弾性部５６ｚは、それぞれミラー５４または副レンズ５５を筐体５０へ弾性付勢する。本実施形態において、第１弾性部５６ｙおよび第２弾性部５６ｚは、それぞれ板バネである。

【0056】

複数の留具５６は、複数のミラー留具５６１と、複数のレンズ留具５６２と、を含む。本実施形態において、複数のミラー留具５６１は、５つのミラー５４に対応する１０個のミラー留具５６１を含む。

【0057】

複数のレンズ留具５６２は、第１副レンズ５５ａに対応する第１形状の２つの第１レンズ留具５６２ａと、第２副レンズ５５ｂから第４副レンズ５５ｄに対応する第２形状の６個の第２レンズ留具５６２ｂとを含む（図４参照）。

【0058】

第１レンズ留具５６２ａ各々は、第１副レンズ５５ａに直接接触する状態で第１副レンズ５５ａを筐体５０に留める。一方、第２レンズ留具５６２ｂ各々は、不図示のレンズホルダーを介して第２副レンズ５５ｂ、第３副レンズ５５ｃおよび第４副レンズ５５ｄの各々を筐体５０に留める。そのため、第２レンズ留具５６２ｂ各々は、第１レンズ留具５６２ａ各々と異なる形状を有している。

【0059】

レーザー走査ユニット５の製造工程において、ロボットアームが、複数のミラー５４および複数のレンズ５５を筐体５０に取り付ける。その際、前記ロボットアームは、複数の留具５６を保持し、留具５６各々を用いてミラー５４各々およびレンズ５５各々を筐体５０に留める。留具５６の種類が極力少なく抑えられることにより、前記ロボットアームの構成が簡素化される。

【0060】

なお、前記レンズホルダーは、第１副レンズ５５ａを透過する第１走査光と、第２副レンズ５５ｂ、第３副レンズ５５ｃおよび第４副レンズ５５ｄの各々を透過する第２走査光と、の相対的な位置関係の調整のために設けられる。

【0061】

１０個のミラー留具５６１は、５つのミラー５４各々の第１方向Ｄ１の両端部をそれぞれ１０箇所のミラー支持部５０１，５０２に留める。１０箇所のミラー支持部５０１，５０２は、それぞれ筐体５０の一部である。１０個のミラー留具５６１は、複数のミラー留部材の一例である。

【0062】

２個の第１レンズ留具５６２ａは、第１副レンズ５５ａの第１方向Ｄ１の両端部を８箇所のレンズ支持部５０３，５０４のうちの２箇所に留める。６個の第２レンズ留具５６２ｂは、第２副レンズ５５ｂ、第３副レンズ５５ｃおよび第４副レンズ５５ｄの第１方向Ｄ１の両端部を８箇所のレンズ支持部５０３，５０４のうちの６箇所に留める。

【0063】

８箇所のレンズ支持部５０３，５０４は、それぞれ筐体５０の一部である。８個のレンズ留具５６２は、複数のレンズ留め部材の一例である。

【0064】

１０箇所のミラー支持部５０１，５０２は、５箇所の二点ミラー支持部５０１と、５箇所の一点ミラー支持部５０２と、を含む（図３，５，６参照）。第１レンズ留具５６２ａは、第１レンズ留め部材の一例であり、第２レンズ留具５６２ｂは、第１レンズ留め部材の一例である。

【0065】

図５において、第１ミラー端部５４ｘは、ミラー５４各々における第１方向Ｄ１の第１の側Ｄ１１の端部である。図６において、第２ミラー端部５４ｙは、ミラー５４各々における第１方向Ｄ１の第２の側Ｄ１２の端部である。

【0066】

５箇所の二点ミラー支持部５０１は、５個のミラー５４各々の第１ミラー端部５４ｘにおけるミラー特定面の２箇所をそれぞれ支持する（図３，５参照）。前記ミラー特定面は、ミラー５４各々における反射面または前記反射面の反対側の背面である。５箇所の一点ミラー支持部５０２は、５個のミラー５４各々の第２ミラー端部５４ｙにおける前記ミラー特定面の１箇所をそれぞれ支持する（図３，６参照）。

【0067】

図５に示されるように、二点ミラー支持部５０１各々は、第１ミラー端部５４ｘの前記ミラー特定面に当接する一対の突出部である。筐体５０は、それぞれ５つの第１ミラー端部５４ｘの第１側面を支持する５箇所の第１ミラー側面支持部５０１ａをさらに有する。

【0068】

図５に示されるように、第１ミラー端部５４ｘを留めるミラー留具５６１において、係合部５６ｘが筐体５０の一部に係合され、第１弾性部５６ｙが第１ミラー端部５４ｘを二点ミラー支持部５０１へ弾性付勢し、第２弾性部５６ｚが第１ミラー端部５４ｘを第１ミラー側面支持部５０１ａへ弾性付勢する。

【0069】

図６に示されるように、一点ミラー支持部５０２各々は、第２ミラー端部５４ｙの前記ミラー特定面に当接する１つの突出部である。筐体５０は、それぞれ５つの第２ミラー端部５４ｙの前記第１側面を支持する５箇所の第２ミラー側面支持部５０２ａをさらに有する。

【0070】

図６に示されるように、第２ミラー端部５４ｙを留めるミラー留具５６１において、係合部５６ｘが筐体５０の一部に係合され、第１弾性部５６ｙが第２ミラー端部５４ｙを一点ミラー支持部５０２へ付勢し、第２弾性部５６ｚが第２ミラー端部５４ｙを第２ミラー側面支持部５０２ａへ付勢する。

【0071】

以上に示されるように、ミラー留具５６１各々の第１弾性部５６ｙは、ミラー５４各々を二点ミラー支持部５０１各々または一点ミラー支持部５０２各々へ弾性付勢する。ミラー留具５６１各々の第１弾性部５６ｙは、レンズ付勢部の一例である。

【0072】

８箇所のレンズ支持部５０３，５０４は、４箇所の二点レンズ支持部５０３と、４箇所の一点レンズ支持部５０４と、を含む（図３，５，６参照）。

【0073】

図５において、第１レンズ端部５５ｘは、副レンズ５５各々における第１方向Ｄ１の第１の側Ｄ１１の端部である。図６において、第２レンズ端部５５ｙは、副レンズ５５各々における第１方向Ｄ１の第２の側Ｄ１２の端部である。

【0074】

４箇所の二点レンズ支持部５０３は、４個の副レンズ５５各々の第２レンズ端部５５ｙのレンズ特定面の２箇所をそれぞれ支持する（図３，６参照）。４箇所の一点レンズ支持部５０４は、４個の副レンズ５５各々の第１レンズ端部５５ｘにおける前記レンズ特定面の１箇所をそれぞれ支持する（図３，５参照）。前記レンズ特定面は、副レンズ５５各々におけるレーザー光各々の入射面または出射面である。

【0075】

本実施形態において、副レンズ５５各々は、第１レンズ端部５５ｘの前記レンズ特定面において突出した突起部５５ｉを有する（図６参照）。さらに副レンズ５５各々は、第２レンズ端部５５ｙの前記レンズ特定面において突出した一対の突起部５５ｈを有する（図５参照）。一対の突起部５５ｈは、一対の第一突起部の一例であり、突起部５５ｉは第二突起部の一例である。

【0076】

図６に示されるように、二点レンズ支持部５０３各々は、第２レンズ端部５５ｙの前記レンズ特定面の２箇所に当接する。本実施形態において、二点レンズ支持部５０３各々は、第２レンズ端部５５ｙの前記レンズ特定面における一対の突起部５５ｈに当接する平面である。

【0077】

筐体５０は、それぞれ４個の副レンズ５５の第２レンズ端部５５ｙの第１側面を支持する４箇所の第１レンズ側面支持部５０３ａをさらに有する（図６参照）。

【0078】

図６に示されるように、第２レンズ端部５５ｙを留めるレンズ留具５６２において、係合部５６ｘが筐体５０の一部に係合され、第１弾性部５６ｙが第２レンズ端部５５ｙを二点レンズ支持部５０３へ付勢し、第２弾性部５６ｚが第２レンズ端部５５ｙの第１レンズ側面支持部５０３ａへ付勢する。

【0079】

図５に示されるように、一点レンズ支持部５０４各々は、第１レンズ端部５５ｘの前記レンズ特定面の１箇所に当接する。本実施形態において、一点レンズ支持部５０４各々は、第１レンズ端部５５ｘの前記レンズ特定面における突起部５５ｉに当接する平面である。

【0080】

筐体５０は、それぞれ４個の副レンズ５５の第１レンズ端部５５ｘの前記第１側面を支持する５箇所の第２レンズ側面支持部５０４ａをさらに有する（図５参照）。

【0081】

図５に示されるように、第１レンズ端部５５ｘを留めるレンズ留具５６２において、係合部５６ｘが筐体５０の一部に係合され、第１弾性部５６ｙが第１レンズ端部５５ｘを一点レンズ支持部５０４へ付勢し、第２弾性部５６ｚが第１レンズ端部５５ｘを第２レンズ側面支持部５０４ａへ付勢する。

【0082】

以上に示されるように、レンズ留具５６２各々の第１弾性部５６ｙは、副レンズ５５各々を二点レンズ支持部５０３各々または一点レンズ支持部５０４各々へ弾性付勢する。レンズ留具５６２各々の第１弾性部５６ｙは、レンズ付勢部の一例である。

【0083】

ミラー５４各々の両端部は、予め定められた標準手順で筐体５０に取り付けられる。前記標準手順において、第１ミラー端部５４ｘがミラー留具５６１によって二点ミラー支持部５０１に留められ、次に第２ミラー端部５４ｙがミラー留具５６１によって一点ミラー支持部５０２に留められる。

【0084】

前記標準手順が採用される場合、第２ミラー端部５４ｙが先に一点ミラー支持部５０２に留められるよりも、ミラー５４各々の姿勢が安定する状態で、ミラー５４各々を筐体５０に取り付けることが可能である。

【0085】

同様に、副レンズ５５各々の両端部も前記標準手順で筐体５０に取り付けられる。副レンズ５５各々についての前記標準手順において、第２レンズ端部５５ｙがレンズ留具５６２によって二点レンズ支持部５０３に留められ、次に第１レンズ端部５５ｘがミラー留具５６１によって一点レンズ支持部５０４に留められる。

【0086】

図７において、破線矢印は、５個のミラー５４および４個の副レンズ５５が上記の手順で取り付けられる場合における前記ロボットアームの移動の軌跡の一例を示す。

【0087】

前記ロボットアームは、複数のミラー留具５６１および複数のレンズ留具５６２を保持しつつ、図７に示される破線矢印に従った経路を移動する。そして、前記ロボットアームは、複数の取付対象部各々に到達するごとに、ミラー留具５６１またはレンズ留具５６２によって前記複数の取付対象部各々を筐体５０に取り付ける。

【0088】

前記複数の取付対象部は、５個のミラー５４各々の両端部および４個の副レンズ５５各々の両端部である。

【0089】

前記ロボットアームは、図７に示される破線矢印に従って移動しつつ前記複数の取付対象部の取り付け処理を実行する。これにより、５個のミラー５４および４個の副レンズ５５は、前記標準手順に従って筐体５０に取り付けられる。

【0090】

レーザー走査ユニット５が採用されることにより、前記ロボットアームは、第１方向Ｄ１に沿って１往復するごとに、４つの取付対象部を筐体５０に留めることができる。

【0091】

一方、参考例として、二点ミラー支持部５０１および二点レンズ支持部５０３が第１方向Ｄ１の同じ側に配置される場合がある。この場合、前記ロボットアームは、第１方向Ｄ１に沿って１往復するごとに、２つの取付対象部しか筐体５０に留めることができない。

【0092】

レーザー走査ユニット５が採用されることにより、複数のミラー５４および複数の副レンズ５５を前記ロボットによって効率的に筐体５０に組み付けることが可能である。

【0093】

[応用例]
次に、レーザー走査ユニット５の応用例について説明する。

【0094】

本応用例において、５箇所の一点ミラー支持部５０２各々は、５個のミラー５４各々の第２ミラー端部５４ｙの端面をそれぞれ支持する。この場合、一点ミラー支持部５０２各々の形状は、図６に示される形状とは異なる。

【0095】

本応用例において、５個のミラー５４各々の第２ミラー端部５４ｙの端面は、接着剤によって一点ミラー支持部５０２各々に接着される。

【0096】

本応用例において、５個のミラー５４各々の第１ミラー端部５４ｘを二点ミラー支持部５０１各々に留める複数のミラー留具５６１は、複数の第一ミラー留め部材の一例である。

【0097】

本応用例において、５箇所の一点ミラー支持部５０２における前記接着剤は、５個のミラー５４各々の第２ミラー端部５４ｙの１箇所を一点ミラー支持部５０２各々に留める複数の第二ミラー留め部材の一例である。

【0098】

本応用例において、前記ロボットアームは、複数の留具５６と前記接着剤を吐出するチューブとを保持しつつ図７に示される破線矢印に従って移動する。さらに前記ロボットアームは、前記複数の取付対象部各々に到達するごとに、留具５６の取り付けまたは接着剤の吐出によって前記複数の取付対象部各々を筐体５０に取り付ける。

【0099】

例えば、前記接着剤は、紫外線硬化接着剤である。例えば、紫外光が、前記接着剤が吐出された部位に到達するように、ミラー５４各々の前記反射面に照射される。本応用例が採用される場合も、レーザー走査ユニット５が採用される場合と同様の効果が得られる。

【符号の説明】

【0100】

４ ：プリント装置
４ｘ ：画像形成部
５ ：レーザー走査ユニット
１０ ：画像形成装置
４１ ：感光体
４２ ：帯電装置
４３ ：現像装置
４４ ：転写装置
４６ ：定着装置
５０ ：筐体
５１ ：光源
５２ ：走査器
５３ ：主レンズ
５４ ：ミラー
５４ｘ ：第１ミラー端部
５４ｙ ：第２ミラー端部
５５ ：副レンズ
５５ｈ ：突起部（第一突起部）
５５ｉ ：突起部（第二突起部）
５５ｘ ：第１レンズ端部
５５ｙ ：第２レンズ端部
５６ ：留具
５０１ ：二点ミラー支持部
５０１ａ ：第１ミラー側面支持部
５０２ ：一点ミラー支持部
５０２ａ ：第２ミラー側面支持部
５０３ ：二点レンズ支持部
５０３ａ ：第１レンズ側面支持部
５０４ ：一点レンズ支持部
５０４ａ ：第２レンズ側面支持部
５２０ ：ポリゴンモーター
５６１ ：ミラー留具
５６２ ：レンズ留具

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】