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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166528
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20241122BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20241122BHJP
   F23D 5/04 20060101ALI20241122BHJP
   F23D 5/16 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F23N5/24 106A
F23N5/00 B
F23N5/00 H
F23N5/00 G
F23D5/04
F23D5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082682
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】今井 啓介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛明
(72)【発明者】
【氏名】岡島 理子
(72)【発明者】
【氏名】上村 亮介
【テーマコード(参考)】
3K003
【Fターム(参考)】
3K003EA01
3K003FA01
3K003FA02
3K003FC06
3K003GA04
3K003SC02
3K003SC04
(57)【要約】
【課題】不完全燃焼を確実に検出できる燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃油を燃焼させて火力が調整可能なバーナ部9を備え、バーナ部9は、燃油を気化させる気化器13と、気化温度まで加熱する気化ヒータ14と、燃油を供給する電磁ポンプ45と、気化器の温度を検出する気化器温度検出手段47と、バーナ部の燃焼炎を検出する炎検出手段(43)と、を有し、気化ヒータ14のオンオフ制御を行う制御部50と、をさらに備え、制御部50は、燃焼中に炎検出手段43による炎検出値が第1基準値FR1を下回ったとき、オンオフ制御を中止して気化ヒータ14の通電を停止し、炎検出値が第1基準値FR1より小さい第2基準値FR2を下回ったとき、または、炎検出値が第1基準値FR1未満を所定時間経過したとき、電磁ポンプ45を停止して燃焼を停止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃油を燃焼させて、この燃焼による火力が調整可能なバーナ部を備え、
前記バーナ部は、
前記燃油を気化させる気化器と、
前記燃油を気化温度まで加熱する気化ヒータと、
前記気化器に前記燃油を供給する電磁ポンプと、
前記気化器の温度を検出する気化器温度検出手段と、
前記バーナ部の燃焼炎を検出する炎検出手段と、
を有し、
前記気化器を前記気化温度に維持するために前記気化ヒータの通電と停止を繰り返し行うオンオフ制御を行う制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
燃焼中に前記炎検出手段による炎検出値が第1基準値を下回ったとき、前記オンオフ制御を中止して前記気化ヒータの通電を停止し、前記炎検出値が前記第1基準値より小さい第2基準値を下回ったとき、または、前記炎検出値が前記第1基準値未満を所定時間経過したとき、前記電磁ポンプを停止して燃焼を停止する
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記制御部は、
燃焼中に前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値を下回ったとき、前記オンオフ制御を中止して前記気化ヒータの通電を停止し、
燃焼中に前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値より大きい第3基準値を上回ったとき、前記オンオフ制御を再開する
ことを特徴とする請求項1に記載した燃焼装置。
【請求項3】
前記制御部は、
燃焼中に前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値を下回った場合は、前記気化器温度検出手段が検出する温度が基準温度を下回っても前記オンオフ制御を復帰させず、
燃焼中に前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値より大きい第3基準値を上回ったとき、前記オンオフ制御を再開する
ことを特徴とする請求項1に記載した燃焼装置。
【請求項4】
前記制御部は、
燃焼中で前記バーナ部の火力が所定レベル以上のとき、
かつ、前記気化器温度検出手段が検出する温度が基準温度を下回り、
かつ、前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値を下回ったとき、前記オンオフ制御を中止して前記気化ヒータの通電を停止し、
前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値より大きい第3基準値を上回ったとき、前記オンオフ制御を再開し、
燃焼中で前記バーナ部の火力が前記所定レベル未満のとき、
前記気化ヒータの前記オンオフ制御を中止しないとする
ことを特徴とする請求項1に記載した燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼装置に関し、特に暖房機器や給湯機器などの燃焼機器に関し、特に燃焼バーナの不完全燃焼を検知する機能を備えた燃焼機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の燃焼装置では、バーナの燃焼炎を検出するフレームロッドを備えて、バーナの火炎の有無や不完全燃焼の有無を検知するものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の燃焼装置は、燃焼を行うバーナと、バーナの燃焼炎を検出するフレームロッドとを備え、燃焼中にフレームロッドの検出値が、第1の検出値(閾値)未満となったときに、不完全燃焼を検知する機能が備えられている。
この燃焼装置のバーナには、燃油を加熱して燃油の気化温度を維持するための気化ヒータが備えられており、この気化温度に維持するために気化ヒータを通電させたり停止させたりを周期的に行うオンオフ制御を行い、燃油を安定して気化させ燃焼を継続できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-11644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、気化ヒータのオンオフ制御で気化ヒータの通電の入り切りが繰り返し行われるとき、気化ヒータが通電して加熱している時は気化温度の上昇により燃油の気化が進み、燃料過多となってフレームロッドの炎検出値が上昇する。
燃焼装置の給排気筒の脱落や閉塞などにより、燃焼炎が不完全燃焼となっているときに、本来は下降するはずの炎検出値が上昇するので、閾値を下回らず、不完全燃焼が継続してしまう可能性があり、改善の余地があった。
【0006】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、不完全燃焼の本来の炎検知の値の低下を確実に検出できる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、燃油を燃焼させて、この燃焼による火力が調整可能なバーナ部を備え、前記バーナ部は、前記燃油を気化させる気化器と、前記燃油を気化温度まで加熱する気化ヒータと、前記気化器に前記燃油を供給する電磁ポンプと、前記気化器の温度を検出する気化器温度検出手段と、前記バーナ部の燃焼炎を検出する炎検出手段と、を有し、前記気化器を前記気化温度に維持するために前記気化ヒータの通電と停止を繰り返し行うオンオフ制御を行う制御部と、をさらに備え、前記制御部は、燃焼中に前記炎検出手段による炎検出値が第1基準値を下回ったとき、前記オンオフ制御を中止して前記気化ヒータの通電を停止し、前記炎検出値が前記第1基準値より小さい第2基準値を下回ったとき、または、前記炎検出値が前記第1基準値未満を所定時間経過したとき、前記電磁ポンプを停止して燃焼を停止することを特徴とした。
【0008】
請求項2では、前記制御部は、燃焼中に前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値を下回ったとき、前記オンオフ制御を中止して前記気化ヒータの通電を停止し、燃焼中に前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値より大きい第3基準値を上回ったとき、前記オンオフ制御を再開することを特徴とした。
【0009】
請求項3では、前記制御部は、燃焼中に前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値を下回った場合は、前記気化器温度検出手段が検出する温度が基準温度を下回っても前記オンオフ制御を復帰させず、燃焼中に前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値より大きい第3基準値を上回ったとき、前記オンオフ制御を再開することを特徴とした。
【0010】
請求項4では、前記制御部は、燃焼中で前記バーナ部の火力が所定レベル以上のとき、かつ、前記気化器温度検出手段が検出する温度が基準温度を下回り、かつ、前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値を下回ったとき、前記オンオフ制御を中止して前記気化ヒータの通電を停止し、前記炎検出手段による前記炎検出値が前記第1基準値より大きい第3基準値を上回ったとき、前記オンオフ制御を再開し、燃焼中で前記バーナ部の火力が前記所定レベル未満のとき、前記気化ヒータの前記オンオフ制御を中止しないとすることを特徴とした。
【発明の効果】
【0011】
この本発明によれば、不完全燃焼を確実に検出できる燃焼装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態の燃焼装置の斜視図
図2】本発明の第1の実施形態の燃焼装置の一部の部品を外した状態の斜視図
図3】本発明の第1の実施形態の燃焼装置の燃焼室の説明図
図4】本発明の第1の実施形態の燃焼装置のバーナ部の説明図
図5】本発明の第1の実施形態の燃焼装置の気化器の断面図
図6】本発明の第1の実施形態の燃焼装置の気化器の正面図
図7】本発明の第1の実施形態の燃焼装置のバーナ部の平面図
図8】本発明の第1の実施形態の燃焼装置のバーナ部の要部説明図
図9】本発明の第1の実施形態の燃焼装置のブロック図
図10】本発明の第1の実施形態のフローチャート図
図11】本発明の第2の実施形態のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる第1の実施形態を図1から図10を参照して説明する。
【0014】
1は温風とともに遠赤外線を放射した暖房を行う暖房装置の器具本体で、この器具本体1の中央上部には表面に遠赤塗料が塗布され内方を燃焼ガスが流通することで遠赤外線を放熱する放熱器2が備えられている。
この放熱器2の下方には後述する燃焼室の前面を覆う化粧枠3を備え、さらに放熱器2と化粧枠3の前面にはガード体4が位置し、前面上部には各種作動状態を表示する表示部5が設けられ、上面には各種操作ボタン等からなる操作部6が備えられている。
【0015】
7は放熱器2の下部に備えられ、放熱器2に燃焼ガスを供給する燃焼室で、内方下部には複数の横切り込みの炎孔からなる炎孔部8を有し、燃油と気化ガスと一次燃焼空気との予混合ガスを燃焼させ、この燃焼による火力が調整可能なバーナ部9を備えている。
また、燃焼室7の正面中央には、バーナ部9の青色火炎を露呈させる方形の輻射窓10が形成され、この輻射窓10には正面側に複数の横長ビードを一面に設けた耐熱性のビードガラス11が設けられ、化粧枠3にはこの輻射窓10を露呈するための開口12が形成されている。
【0016】
13は側壁部にU字状の気化ヒータ14を鋳込んだアルミダイキャストから成る縦長箱型の気化器で、燃焼室7の一側壁を貫通して備えられ、その正面は燃油噴射ノズル15および燃焼用の一次空気の噴出口であるベンチュリー部16を備えた蓋体17で閉塞され、中央に突出した仕切壁18で仕切られ、下部には混合ガスの流出口19が形成されている。
【0017】
ベンチュリー部16と仕切壁18との間には、蓋体17から垂直気化面20に向かって突出した水平板24を備え、仕切壁18とにより垂直気化面20と蓋体17との間に蛇行路25を形成するものであり、さらに流出口19の手前には、蓋体17からコ字状に突設された整流板26が備えられ、蛇行路25を通り混合が促進された混合ガスが整流板26に一旦ぶつかりその勢いを抑えられ、また整流されながら流出口19へと流れるようにしたものである。
【0018】
27は気化器13の背面を除く全体を覆ったカバー体で、ベンチュリー部16に連通し一次燃焼空気を供給する一次空気供給穴28と、その下方で蓋体17外周と気化器13外周から成る二次空気通路29に二次燃焼空気を供給する二次空気供給穴30とを備え、さらにこの2つの供給穴28、30にスムーズに空気を供給する空気案内部31が燃焼ファン32の吹き出し側に設けられている。
【0019】
33は気化器13の背面側で流出口19からの混合ガスを一側の流入口34から流入させ、上端の一列のみのバーナ部9で燃焼させる先細状の1つのガス室で、一端下部には上記二次空気通路29と連通する連通口35を形成した箱型の二次空気室36で覆われており、さらにこの二次空気室36の上面と一列のバーナ部9との隙間を二次空気孔37とするとともに、この両側の二次空気孔37とバーナ部9との間には二次空気整流用の保炎板38が設けられている。
【0020】
燃焼に用いられる一次燃焼空気および二次燃焼空気は、燃焼ファン32の駆動により吸排気筒(図示しない)から吸込まれる。
【0021】
また、バーナ部9の上面の炎孔部8で、気化器13の背面のヒートバック用の複数の吸熱フィン39と対向する炎孔は他より大きな大炎孔40としている。
41はガス室33底部の入り口近くに備えられた三角山状の偏流板で、ガス室33内に流入してくる混合ガスの一部を大炎孔40側に案内するものである。
【0022】
42はバーナ部9の混合ガスの流入口34近傍の炎孔部8上に設けられた点火プラグで、バーナ部9との間で放電して炎孔部8から放出される混合ガスに着火するものである。
43はバーナ部9の燃焼炎を検出する炎検出手段であるフレームロッドで、燃焼炎に流れる電流により生じるフレームロッド電圧を検出し、その検出値に基づいて、着火ミス、途中失火、あるいは不完全燃焼による異常等を判断して燃焼を停止させるものである。
【0023】
燃焼室7の正面の方形状の輻射窓10は、下端を炎孔部8よりやや上方とし、左右両端の一端はバーナ部9の混合ガスの流入口34近傍の点火プラグ42がぎりぎり隠れる位置とし、他端は反対側の最終炎孔部8上でに備えられたフレームロッド43がぎりぎり隠れる位置とし、この間に気化燃焼の青色火炎をビードガラス11全体で映し出すようにしたものである。
【0024】
さらに保炎板38の両端部には、幅広で長く突出した舌片44を設け、吸熱フィン39下では、大炎孔40で加熱された吸熱フィン39が、二次燃焼空気で冷却されることを防止するものであり、又反対側ではフレームロッド43が検知する火炎が二次燃焼空気の供給を受けてリフト燃焼して、火炎検知できなくなることを防止するものである。
45は燃油噴射ノズル15に燃油を供給する電磁ポンプ、46は一定量の燃油を貯める定油面器である。
【0025】
47は、気化器13の温度を検出する気化器温度検出手段としての温度センサである。
【0026】
50は、操作部6と、温度センサ47と、フレームロッド43の炎検出値の信号を受け、気化ヒータ14と電磁ポンプ45と燃焼ファン32と表示部5と、点火プラグ42に電気的に接続されたイグナイタ(図示しない)などの各アクチュエータの駆動を制御する制御部である。
この制御部50は、気化器13を燃油の気化温度に維持するために気化ヒータ14の通電と停止を繰り返し行うオンオフ制御を行うものである。
すなわち、気化器13の温度がヒータオフ温度(例えば250℃)以上になったら気化ヒータ14の通電をオフし、ヒータオン温度(以下、基準温度)(例えば200℃)未満になったら、気化ヒータ14の通電をオンする。これによって、気化器13が一定温度に維持されるものである。
【0027】
次に、この第1の実施形態の作動について説明する。
【0028】
操作部6からの運転開始指示により、制御部50は気化ヒータ14に通電して気化器13を燃油の気化可能な温度(例えば250℃)まで加熱する。
そして、適所に設けた温度センサ47によって気化器13の温度を検知しつつ、燃焼空気供給用の燃焼ファン32および燃油供給用の電磁ポンプ45を駆動させることで、気化器13には燃油噴射ノズル15から燃油が、またベンチュリー部16からは一次燃焼空気がそれぞれ供給される。
【0029】
そして、気化器13では、燃油噴射ノズル15から噴射された燃油が、垂直気化面20の平坦面21に衝突して気化し気化ガスとなるものであり、また、ここで気化しきれなかった燃油は水平ビード22や山形ビード23に流れて気化されて、ベンチュリー部16から供給される一次燃焼空気と予混合して混合ガスとなって、下部の流出口19に向かって流通する。この時、混合ガスは先ず仕切壁18と水平板24とで形成された蛇行路25を流通し、長い流路で2つの曲がりを通過することで混合が促進され、さらに流出口19の手前で整流板26にぶつかり、この整流板26を蓋体17から突設させるための上下の支持板にぶつかって、その流速が抑えられるとともに、乱流が起きてさらに混合が促進され、最終的には整流板26の周囲を通過して流入口34からガス室33へ流入する。
【0030】
そして、ガス室33へ流入した混合ガスは、整流板26で流速が抑えられているので、流入口34の近傍上方のバーナ部9の大炎孔40に集中することなく、先細となっているガス室33内の反対側まで流通した後、上部のバーナ部9の全ての炎孔から均一に放出され、点火プラグ42の放電で着火されて安定して燃焼するものである。
【0031】
バーナ部9で燃焼した燃焼ガスは、放熱器2および室内の空気と熱交換する熱交換器(図示しない)を経由して給排気筒(図示しない)から屋外に排出される。
もし、雪や風などの影響で給排気筒が脱落したり閉塞した場合、燃焼用の空気が十分に給気できない、あるいは、燃焼した後の燃焼ガスが器具本体1の外に排出されないなどの事象が発生した場合、バーナ部9の燃焼炎は酸欠状態となり不完全燃焼となって、フレームロッド43の炎検出値は時間の経過とともに減少する。
【0032】
しかし、気化器13の温度を燃油の気化温度に保つため、気化ヒータ14をオンオフ制御しているため、オンオフ制御のオンのとき、すなわち、気化ヒータ14が通電して加熱しているときは、気化温度の上昇により燃油の気化が進み、燃料過多となってフレームロッド43の炎検出値が上昇する。
燃焼装置の給排気筒の脱落や閉塞などにより、燃焼炎が不完全燃焼となっているときに、本来は下降するはずの炎検出値が上昇するので、不完全燃焼を検出するための判定用の閾値を下回らず燃焼が続き、不完全燃焼が継続してしまう可能性があった。
【0033】
本発明では、制御部50は、燃焼中でバーナ部9の火力が所定レベル以上のとき、かつ、気化器温度検出手段47が検出する温度が基準温度(例えば200℃)を下回り、かつ、燃焼中に炎検出手段43による炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)を下回ったとき、オンオフ制御を中止して気化ヒータ14の通電を停止し、炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)未満を所定時間(例えば20秒)経過したとき、電磁ポンプ45と燃焼ファン32を停止して燃焼を停止するものである。
そして、炎検出手段43による炎検出値が第1基準値FR1より大きい第3基準値FR3(例えば5.0V)を上回ったとき、オンオフ制御を再開する。
また、燃焼中でバーナ部9の火力が所定レベル未満のときは、気化ヒータ14のオンオフ制御を中止しないでオンオフ制御を継続するものである。
【0034】
図10を用いて詳しく説明する。
制御部50は、燃焼を開始したのち、ステップS1で気化ヒータ14のオンオフ制御を実施し、ステップS2でフレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)を下回ったとき、不完全燃焼の兆しがあると捉え、ステップS3で現在の火力が所定火力以上かどうかを判断して、所定火力以上の場合は、ステップS4で気化ヒータ14のオンオフ制御を中止して気化ヒータ14の通電を停止する。
もし、ステップS2でフレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)以上の場合は、引き続きステップS1の気化ヒータ14のオンオフ制御を継続する。
ステップS3で現在の火力が所定火力未満の場合は、気化ヒータ14のオンオフ制御が継続される。
【0035】
ステップS5でフレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)を下回った状態が所定時間(例えば20秒)を経過した場合、不完全燃焼が発生していると判断し、ステップS8で電磁ポンプ45を停止し、ステップS9で燃焼ファン32を停止し、不完全燃焼が発生した旨のエラー報知を行い燃焼運転を停止する。
もし、ステップS5で所定時間(例えば20秒)をまたず、フレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1より小さい第4基準値FR4(例えば2.0V)未満が第2の所定時間(例えば2秒)を経過した場合(ステップS6でYES)は、失火と判断し、ステップS8、ステップS9で燃焼を即座に停止する。
もし、不完全燃焼の要因が解消されフレームロッド43の炎検出値が上昇すると、第1基準値FR1より大きい第3基準値FR3(例えば5.0V)を上回って第3の所定時間(例えば10秒)経過した場合(ステップS7でYES)は、不完全燃焼が解消されたものと判断して、ステップS1で気化ヒータ14のオンオフ制御を再開する。
【0036】
ステップS4でオンオフ制御を中止したあとは、もし、不完全燃焼が発生している場合は、炎検出値は時間の経過とともに緩やかに下降する。
このとき、オンオフ制御はオフであるため、すなわち、気化ヒータ14が通電していないので、気化温度の上昇はなく、燃油の気化が進むことはなく、フレームロッド43の炎検出値が上昇することもない。
【0037】
この状態で、ステップS5で、第1基準値FR1未満を所定時間(例えば20秒)を経過したとき、不完全燃焼が発生していると判断して、ステップS9で電磁ポンプ45を停止し、ステップS10で燃焼ファン32を停止し、不完全燃焼が発生した旨のエラー報知を行い燃焼運転を停止するものである。
【0038】
ここで、ステップS3でバーナ部9の火力は所定火力以上の条件としたが、低火力に比べ高火力の方が気化させるべき燃油の量が多く、気化ヒータ14がオンとなっている時間が相対的に長いため、燃焼中に気化ヒータ14のオンオフ制御を一時中止しても、すぐには燃焼炎が不安定になるような影響がでないことによる。
【0039】
なお、燃焼中にフレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)を下回った場合は、温度センサ47の検出する温度が基準温度(例えば200℃)を下回ってもオンオフ制御を復帰しないようにしてもよい。
【0040】
これにより、燃焼装置の給排気筒の脱落や閉塞などにより、燃焼炎が不完全燃焼となっているときに、フレームロッド43の炎検出値が下降して第1基準値FR1を下回った場合、気化ヒータ14のオンオフ制御を中止して通電を停止するので、気化ヒータの通電により燃油の気化が進んで燃料過多となりフレームロッド43の炎検出値が上昇してしまい、不完全燃焼を検出するための判定用の閾値(第1基準値FR1)を所定時間の間下回らず、不完全燃焼の判定に至らずに燃焼が継続するということはなく、検出遅れが生じることなく適切なタイミングで確実に不完全燃焼を検出して燃焼運転を停止することができるものである。
【0041】
次に、第2の実施形態における作用について説明する。
【0042】
第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、制御部50の第1の実施形態のステップS5の判定において、炎検出値が第1基準値FR1より小さい第2基準値FR2(例えば4.0V)を下回ったとき、不完全燃焼と判定する点(図11のステップS15)である。
【0043】
すなわち、制御部50は、燃焼中でバーナ部9の火力が所定レベル以上のとき、かつ、気化器温度検出手段47が検出する温度が基準温度(例えば200℃)を下回り、かつ、燃焼中に炎検出手段43による炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)を下回ったとき、オンオフ制御を中止して気化ヒータ14の通電を停止し、炎検出値が第1基準値FR1より小さい第2基準値FR2(例えば4.0V)を下回ったとき、電磁ポンプ45と燃焼ファン32を停止して燃焼を停止するものである。
そして、炎検出手段43による炎検出値が第1基準値FR1より大きい第3基準値FR3(例えば5.0V)を上回ったとき、オンオフ制御を再開する。
また、燃焼中でバーナ部9の火力が所定レベル未満のとき、気化ヒータ14のオンオフ制御を中止しないでオンオフ制御を継続するものである。
【0044】
図11を用いて詳しく説明する。
制御部50は、燃焼を開始したのち、ステップS10で気化ヒータ14のオンオフ制御を実施し、ステップS11でフレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1および第2基準値FR2より小さい第4基準値FR4(例えば2.0V)未満を瞬時に検出した場合は、即座に失火と判断し、ステップS17で電磁ポンプを停止し、ステップS18で燃焼ファンを停止して燃焼を即座に停止する。
【0045】
ステップS12でフレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)を下回ったとき、不完全燃焼の兆しがあると捉え、ステップS13で現在の火力が所定火力以上かどうかを判断して、所定火力以上の場合は、ステップS14で気化ヒータ14のオンオフ制御を中止して気化ヒータ14の通電を停止する。ここで、炎検出値は直近3秒間の時間的な平均値を用いて第1基準値FR1を下回ったか判定しているものである。
もし、ステップS12でフレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1(例えば4.5V)以上の場合は、引き続きステップS10の気化ヒータ14のオンオフ制御を継続する。
ステップS13で現在の火力が所定火力未満の場合は、気化ヒータ14のオンオフ制御が継続される。
【0046】
ステップS15でフレームロッド43の炎検出値が第1基準値FR1より小さい第2基準値FR2(例えば4.0V)を下回った場合、不完全燃焼が発生していると判断し、ステップS17で電磁ポンプ45を停止し、ステップS18で燃焼ファン32を停止し、不完全燃焼が発生した旨のエラー報知を行い燃焼運転を停止する。ここで、炎検出値は直近3秒間の時間的な平均値を用いて第2基準値FR2を下回ったか判定しているものである。
もし、不完全燃焼の要因が解消されフレームロッド43の炎検出値が上昇して、第1基準値FR1より大きい第3基準値FR3(例えば5.0V)を上回って第3の所定時間(例えば10秒)を経過した場合(ステップS16でYES)は、不完全燃焼が解消されたものと判断し、ステップS10で気化ヒータ14のオンオフ制御を再開する。
【0047】
これにより、燃焼装置の給排気筒の脱落や閉塞などにより、燃焼炎が不完全燃焼となっているときに、フレームロッド43の炎検出値が下降して第1基準値FR1を下回った場合、気化ヒータ14のオンオフ制御を中止して通電を停止するので、気化ヒータの通電により燃油の気化が進んで燃料過多となりフレームロッド43の炎検出値が上昇してしまい、不完全燃焼を検出するための判定用の閾値(第1基準値FR1)を所定時間の間下回らず、不完全燃焼の判定に至らずに燃焼が継続するということはなく、検出遅れが生じることなく適切なタイミングで確実に不完全燃焼を検出して燃焼運転を停止することができるものである。
【0048】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
9 :バーナ部
13 :気化器
14 :気化ヒータ
43 :炎検出手段(フレームロッド)
45 :電磁ポンプ
47 :気化器温度検出手段(温度センサ)
50 :制御部
FR1 :第1基準値
FR2 :第2基準値
FR3 :第3基準値
図1
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