(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016655
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】コンテンツ提供システム、コンテンツ提供方法、提供装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240131BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118943
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】松本 晋司
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慶介
(72)【発明者】
【氏名】石田 圭利
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】インタラクティブアートであるコンテンツをその生成に関与したユーザに提供することを可能とする提供装置を提供する。
【解決手段】提供装置は、コンテンツをユーザの通信端末に提供する提供装置であって、出力装置の近傍の環境情報に基づいて生成されたコンテンツを取得するコンテンツ取得部と、取得されたコンテンツの特徴量を抽出する抽出部と、抽出された特徴量と、出力装置から出力されたコンテンツをユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定する判定部と、特徴量が一致する場合に、通信端末がコンテンツを取得可能となるように制御する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを出力装置に送信する送信装置と、前記送信装置によって生成されたコンテンツをユーザの通信端末に提供する提供装置と、を有するコンテンツ提供システムであって、
前記送信装置は、
前記出力装置の近傍の環境情報を取得して、前記環境情報に基づいてコンテンツを生成するコンテンツ生成部と、
前記コンテンツを前記出力装置に送信する第1送信部と、
前記コンテンツを前記提供装置に送信する第2送信部と、を有し、
前記提供装置は、
前記送信装置から送信されたコンテンツの特徴量を抽出する抽出部と、
前記抽出された特徴量と、前記出力装置から出力された前記コンテンツを前記ユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定する判定部と、
前記特徴量が一致する場合に、前記通信端末が前記コンテンツを取得可能となるように制御する制御部と、を有する
ことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項2】
前記抽出部は、前記コンテンツに含まれる画像および音声のうち、音声のみから前記特徴量を抽出する、
請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項3】
前記抽出部は、前記コンテンツに含まれる非可聴域の音声から前記特徴量を抽出する、
請求項2に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項4】
前記第2送信部は、前記通信端末が前記コンテンツの記録を開始したことに応じて、前記コンテンツを前記提供装置に送信し、
前記抽出部は、前記第2送信部によるコンテンツの送信が開始されてから所定期間における前記コンテンツの特徴量を抽出する、
請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記抽出部によって抽出された特徴量を前記通信端末に送信し、前記通信端末が、前記送信された特徴量と前記記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定した結果を取得する、
請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記環境情報に基づいて生成されたコンテンツの識別情報と前記通信端末の識別情報とを含み、前記通信端末が前記コンテンツを取得可能であることを示す電子チケットを発行する、
請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記環境情報に基づいて生成されたコンテンツの識別情報を含む非代替性トークンを発行する、
請求項6に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項8】
コンテンツを出力装置に送信する送信装置と、前記送信装置によって生成されたコンテンツをユーザの通信端末に提供する提供装置と、を有するコンテンツ提供システムによって実行されるコンテンツ提供方法であって、
前記送信装置が、前記出力装置の近傍の環境情報を取得して、前記環境情報に基づいてコンテンツを生成し、
前記送信装置が、前記コンテンツを前記出力装置に送信し、
前記送信装置が、前記コンテンツを前記提供装置に送信し、
前記提供装置が、前記送信装置から送信されたコンテンツの特徴量を抽出し、
前記提供装置が、前記抽出された特徴量と、前記出力装置から出力された前記コンテンツを前記ユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定し、
前記提供装置が、前記特徴量が一致する場合に、前記通信端末が前記コンテンツを取得可能となるように制御する
ことを含むことを特徴とするコンテンツ提供方法。
【請求項9】
コンテンツをユーザの通信端末に提供する提供装置であって、
出力装置の近傍の環境情報に基づいて生成されたコンテンツを取得するコンテンツ取得部と、
前記取得されたコンテンツの特徴量を抽出する抽出部と、
前記抽出された特徴量と、前記出力装置から出力された前記コンテンツを前記ユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定し、
の特徴量とが一致するか否かを判定する判定部と、
前記特徴量が一致する場合に、前記通信端末が前記コンテンツを取得可能となるように制御する制御部と、
を有することを特徴とする提供装置。
【請求項10】
コンテンツをユーザの通信端末に提供するコンピュータのプログラムであって、
出力装置の近傍の環境情報に基づいて生成されたコンテンツを取得し、
前記取得されたコンテンツの特徴量を抽出し、
前記抽出された特徴量と、前記出力装置から出力された前記コンテンツを前記ユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定し、
前記特徴量が一致する場合に、前記通信端末が前記コンテンツを取得可能となるように制御する
ことを含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ提供システム、コンテンツ提供方法、提供装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックチェーンに記録される非代替性トークンを用いて、デジタルコンテンツの正当な権利者を証明する方法が知られている。この方法を用いることにより、デジタルコンテンツの権利者は、販売数を制限してデジタルコンテンツの権利を販売することができ、デジタルコンテンツの希少性を担保することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鑑賞者の動作や属性に基づいてその内容を変化させる、インタラクティブアートと呼ばれるデジタルコンテンツが知られている。インタラクティブアートにおいて、鑑賞者の動作等に応じて生成されたコンテンツには独自性がある。したがって、非代替性トークンを用いて、生成されたコンテンツの権利をコンテンツの生成に関与した鑑賞者に提供したいという需要がある。そのためには、コンテンツと鑑賞者とを関連付ける必要がある。しかしながら、インタラクティブアートのコンテンツは鑑賞者の動作等に基づいてリアルタイムに生成されるため、コンテンツと鑑賞者との関連付けをすることが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、インタラクティブアートであるコンテンツをその生成に関与したユーザに提供することを可能とするコンテンツ提供システム、コンテンツ提供方法、提供装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るコンテンツ提供システムは、コンテンツを出力装置に送信する送信装置と、送信装置によって生成されたコンテンツをユーザの通信端末に提供する提供装置と、を有するコンテンツ提供システムであって、送信装置は、出力装置の近傍の環境情報を取得して、環境情報に基づいてコンテンツを生成するコンテンツ生成部と、コンテンツを出力装置に送信する第1送信部と、コンテンツを提供装置に送信する第2送信部と、を有し、提供装置は、送信装置から送信されたコンテンツの特徴量を抽出する抽出部と、抽出された特徴量と、出力装置から出力されたコンテンツをユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定する判定部と、特徴量が一致する場合に、通信端末がコンテンツを取得可能となるように制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、抽出部は、コンテンツに含まれる画像および音声のうち、音声のみから特徴量を抽出することが好ましい。
【0008】
また、抽出部は、コンテンツに含まれる非可聴域の音声から特徴量を抽出することが好ましい。
【0009】
また、第2送信部は、通信端末がコンテンツの記録を開始したことに応じて、コンテンツを提供装置に送信し、抽出部は、第2送信部によるコンテンツの送信が開始されてから所定期間におけるコンテンツの特徴量を抽出する、ことが好ましい。
【0010】
また、判定部は、抽出部によって抽出された特徴量を通信端末に送信し、通信端末が、送信された特徴量と記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定した結果を取得することが好ましい。
【0011】
また、制御部は、環境情報に基づいて生成されたコンテンツの識別情報と通信端末の識別情報とを含み、通信端末がコンテンツを取得可能であることを示す電子チケットを発行することが好ましい。
【0012】
また、制御部は、環境情報に基づいて生成されたコンテンツの識別情報を含む非代替性トークンを発行することが好ましい。
【0013】
本発明の実施形態に係るコンテンツ提供方法は、コンテンツを出力装置に送信する送信装置と、送信サーバによって生成されたコンテンツをユーザの通信端末に提供する提供装置と、を有するコンテンツ提供システムによって実行されるコンテンツ提供方法であって、送信装置が、出力装置の近傍の環境情報を取得して、環境情報に基づいてコンテンツを生成し、送信装置が、コンテンツを出力装置に送信し、送信装置が、コンテンツを提供装置に送信し、提供装置が、コンテンツの特徴量を抽出し、提供装置が、抽出された特徴量と、出力装置から出力されたコンテンツをユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定し、提供装置が、特徴量が一致する場合に、通信端末がコンテンツを取得可能となるように制御することを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の実施形態に係る提供装置は、コンテンツをユーザの通信端末に提供する提供装置であって、出力装置の近傍の環境情報に基づいて生成されたコンテンツを取得するコンテンツ取得部と、取得されたコンテンツの特徴量を抽出する抽出部と、抽出された特徴量と、出力装置から出力されたコンテンツをユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定する判定部と、特徴量が一致する場合に、通信端末がコンテンツを取得可能となるように制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の実施形態に係るプログラムは、コンテンツをユーザの通信端末に提供するコンピュータのプログラムであって、出力装置の近傍の環境情報に基づいて生成されたコンテンツを取得し、取得されたコンテンツの特徴量を抽出し、抽出された特徴量と、出力装置から出力されたコンテンツをユーザの通信端末が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定し、特徴量が一致する場合に、通信端末が前記コンテンツを取得可能となるように制御することを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るコンテンツ提供システム、コンテンツ提供方法、提供装置およびプログラムは、インタラクティブアートであるコンテンツをその生成に関与したユーザに提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】コンテンツ提供システム1の概略構成を示す図である。
【
図6】コンテンツ出力処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】コンテンツ提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るコンテンツ提供システム1の概略構成を示す図である。コンテンツ提供システム1は、出力装置2、送信装置3、通信端末4、提供装置5および提供管理装置6を有する。出力装置2、送信装置3、通信端末4、提供装置5および提供管理装置6は、インターネット、イントラネット等の通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続される。
【0020】
出力装置2は、美術館等の施設に配置され、インタラクティブアートであるデジタルコンテンツを出力する装置である。出力装置2は、例えばサーバ、PC(Personal Computer)等の情報処理装置に表示部とセンサとが接続されたものである。表示部は、例えばディスプレイである。センサは、例えばカメラである。送信装置3は、出力装置にコンテンツを送信する装置であり、例えばサーバ、PC等の情報処理装置である。
【0021】
出力装置2は、出力装置2の近傍の環境情報をセンサから取得し、送信装置3に送信する(ステップS1)。送信装置3は、出力装置2から送信された環境情報に基づいてコンテンツを生成し、出力装置2に送信する(ステップS2)。出力装置2は、送信装置3から送信されたコンテンツを表示することにより出力する。
【0022】
環境情報は、例えば、出力装置2の近傍でコンテンツを鑑賞するユーザの動作の情報である。この場合、出力装置2は、センサを用いて、出力装置2の近傍でコンテンツを鑑賞するユーザUを撮像して動画像を生成する。出力装置2は、生成した動画像の各フレーム画像からユーザUに対応する人物領域を抽出する。出力装置2は、各フレーム画像における人物領域の形状を示す情報をユーザの動作の情報として送信装置3に送信する。送信装置3は、各フレーム画像において、人物領域の形状に対応する形状を有する領域Aを他の領域と異なる態様で表示する動画像であるコンテンツを生成し、出力装置2に送信する。出力装置2は、送信装置3から出力された動画像をコンテンツとして出力する。上述の処理を繰り返すことにより、出力装置2には、ユーザと同様の動作をする人物を含む動画像が表示される。
【0023】
また、出力装置2の近傍にユーザがおらず、生成したフレーム画像から人物形状が抽出されなかった場合には、出力装置2は、そのことを示す環境情報を送信装置3に送信する。この場合、送信装置3は、領域Aを含まない動画像をコンテンツとして生成し、出力装置2に送信する。出力装置2は、送信装置3から出力されたコンテンツを出力する。
【0024】
また、コンテンツは音声を含んでもよい。コンテンツは、コンテンツの各フレーム画像の領域Aの形状に応じて異なる音声を含んでもよく、領域Aの形状にかかわらず所定の音声を含んでもよい。
【0025】
このようにして出力されたコンテンツは、出力装置2の近傍のユーザの動作に応じてその内容を異ならせる、いわゆるインタラクティブアートである。このようなコンテンツはユーザの動作を反映したものであるため、ユーザはコンテンツの生成に関与したということができる。ユーザには、自身が生成に関与したコンテンツを取得したいと考える動機付けがある。
【0026】
なお、インタラクティブアートであるコンテンツの例は上述したものに限られない。コンテンツは、センサが取得する、ユーザの属性、出力装置2の周囲の音声、出力装置2に加わる振動等の情報に応じてその内容を異ならせるものであってもよい。
【0027】
通信端末4は、ユーザが所持する携帯電話、スマートフォン、PC、携帯ゲーム機等の情報処理端末である。提供装置5は、環境情報に基づいて生成されたコンテンツを通信端末が取得可能となるように制御する装置であり、例えばサーバ、PC等の情報処理装置である。
【0028】
ユーザがコンテンツを取得したいと考えた場合、ユーザは、通信端末4を操作して、出力装置2から出力されたコンテンツを通信端末4に記録させることによって記録コンテンツを生成する(ステップS3)。記録コンテンツは、出力装置2から出力されたコンテンツを通信端末4が録音したコンテンツである。また、通信端末4は、コンテンツの記録を開始したことを示す開始信号を送信装置3に送信する(ステップS4)。
【0029】
開始信号を通信端末4から受信した送信装置3は、コンテンツを提供装置5に送信する(ステップS5)。すなわち、送信装置3は、開始信号を受信すると、出力装置2と提供装置5との両方にコンテンツを送信するようになる。提供装置5は、コンテンツを受信することにより取得する。
【0030】
提供装置5は、取得されたコンテンツの特徴量を抽出し、抽出された特徴量と、通信端末4によって記録された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定する。例えば、提供装置5は、送信装置3から提供装置5へのコンテンツの送信が開始されてから所定時間経過後のコンテンツの特徴量を抽出する。特徴量は、例えばスペクトラム包絡、MFCC(Mel-Frequency Cepstrum Coefficient)等の音響特徴量である。提供装置5は、抽出した特徴量を通信端末4に送信する(ステップS6)。
【0031】
通信端末4は、記録コンテンツの特徴量を抽出する。例えば、通信端末4は、コンテンツの記録が開始された時刻から所定時間経過後の、記録コンテンツの特徴量を抽出する。通信端末4は、提供装置5によって抽出された特徴量と記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定し、判定の結果を提供装置5に送信する(ステップS7)。このようにすることで、出力装置2がコンテンツを出力した時間に通信端末4のユーザUが出力装置2の近傍にいたか、すなわちユーザUがコンテンツの生成に関与したか否かを判定することが可能になる。
【0032】
特徴量が一致する場合に、提供装置5は、通信端末4がコンテンツを取得可能となるように制御する。例えば、提供装置5は、非代替性トークンが関連付けられたコンテンツ(いわゆる「NFTアート」)を購入可能とする公知のプラットフォームを提供する提供管理装置6にコンテンツを送信する(ステップS8)。提供管理装置6は、送信されたコンテンツの識別情報を含む非代替性トークンをブロックチェーンB上に発行する。
【0033】
また、提供装置5は、通信端末4がコンテンツを取得可能であることを示す電子チケットを発行する。電子チケットは、コンテンツの識別情報と通信端末4の識別情報とを含む。通信端末4の識別情報は、例えば電話番号である。通信端末4の識別情報は、提供管理装置6が提供するプラットフォームにおけるユーザのアカウントの情報でもよい。提供装置5は、電子チケットを提供管理装置6に送信するとともに、電子チケットが発行されたことを示す発行通知を通信端末4に送信する(ステップS9)。
【0034】
提供管理装置6は、提供装置5によって発行された電子チケットに基づいて、通信端末4のユーザUにコンテンツの購入を許可する。通信端末4のユーザが所定の対価を支払ってコンテンツを購入すると、提供管理装置6は、その購入に係る取引履歴をブロックチェーンB上に記録することにより、通信端末4のユーザにコンテンツの権利を取得させる(ステップS10)。このようにして、コンテンツをその生成に関与したユーザに提供することが可能となる。
【0035】
図2は、出力装置2の機能ブロック図である。出力装置2は、美術館や商業施設等の施設に配置され、インタラクティブアートであるコンテンツを出力する。出力装置2は、記憶部21、通信部22、表示部23、音声出力部24、センサ25、処理部26を有する。
【0036】
記憶部21は、プログラムまたはデータを記憶するための構成であり、例えば、半導体メモリ装置を備える。記憶部21は、処理部26による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピュータ読み取り可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部21にインストールされる。
【0037】
通信部22は、出力装置2を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部22が備える通信インタフェース回路は、有線LAN(Local Area Network)、無線LANまたはLTE(Long Term Evolution)、第5世代若しくは第6世代移動通信システム等の移動体通信方式等の通信インタフェース回路である。通信部22は、データを他の装置から受信して処理部26に供給するとともに、処理部26から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0038】
表示部23は、画像を表示するための構成であり、例えば、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを備える。表示部23は、スクリーンや立体構造物に画像を投影するプロジェクタ等を備えてもよい。表示部23は、処理部26から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0039】
音声出力部24は、音声を出力するための構成であり、スピーカを備える。音声出力部24は、処理部26から供給される音声データに基づいて音声を出力する。音声出力部24は、非可聴域の音声を出力することができる。非可聴域は、例えば、16kHz以上の周波数帯域である。
【0040】
センサ25は、出力装置2の近傍の環境情報を取得するための構成である。環境情報は、送信装置3がコンテンツを生成するために用いられる。
【0041】
環境情報は、例えば、出力装置2の近傍でコンテンツを鑑賞するユーザの動作または属性に関する情報である。この場合、センサ25は、カメラを備える。カメラは、結像光学系、撮像素子および画像生成回路を備え、結像光学系を介して撮像素子に結像されたユーザの像を含む画像を生成する。画像は、例えばユーザの姿勢、位置等の動作に関する情報を生成するために用いられる。画像は、ユーザの年齢、性別、体形等の属性に関する情報を生成するために用いられてもよい。センサ25は、生成された画像を処理部26に供給する。センサ25は、カメラに代えて、距離画像を生成する測距センサ等を備えてもよい。
【0042】
環境情報は、出力装置2の周辺の気温、湿度、照度、騒音、空気中の特定のガス濃度の情報、出力装置2に加わる振動の情報等でもよい。この場合、センサ25は、環境情報の種類に応じて、測距センサ、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、音響センサ、ガスセンサ、加速度センサ、マイク等を有する。環境情報は、センサ25にユーザが近接し、または接触しているか否かを示す情報でもよい。この場合、センサ25は、静電容量センサ、圧力センサ等の近接検知センサまたは接触検知センサを有する。環境情報は、上述した複数の種類の情報の組合せでもよい。この場合、出力装置2は、環境情報の種類に応じて複数の種類のセンサ25を有してもよい。
【0043】
処理部26は、出力装置2の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備える。処理部26は、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。処理部26は、記憶部21に記憶されているプログラム並びに通信部22およびセンサ25からの入力に基づいて各種の処理を実行する。
【0044】
処理部26は、環境情報生成部261、要求部262および出力部263を機能ブロックとして備える。これらの機能ブロックは、処理部26によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの機能ブロックは、出力装置2に実装されたファームウェアによって実現されてもよい。
【0045】
図3は、送信装置3の機能ブロック図である。送信装置3は、サーバ、PC等の情報処理装置である。送信装置3は、記憶部31、通信部32、処理部33を有する。
【0046】
記憶部31は、プログラムまたはデータを記憶するための構成であり、例えば、半導体メモリ装置を備える。記憶部31は、処理部33による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部31にインストールされる。
【0047】
通信部32は、送信装置3を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部32が備える通信インタフェース回路は、有線LAN、無線LANまたはLTE、第5世代若しくは第6世代移動通信システム等の移動体通信方式等の通信インタフェース回路である。通信部32は、データを他の装置から受信して処理部33に供給するとともに、処理部33から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0048】
処理部33は、送信装置3の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部33は、例えば、CPUを備える。処理部33は、GPU、DSP、LSI、ASIC、FPGA等を備えてもよい。処理部33は、記憶部31に記憶されているプログラムおよび通信部32からの入力に基づいて各種の処理を実行する。
【0049】
処理部33は、コンテンツ生成部331、第1送信部332、第2送信部333および開始時刻送信部334を機能ブロックとして備える。これらの機能ブロックは、処理部33によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの機能ブロックは、送信装置3に実装されたファームウェアによって実現されてもよい。
【0050】
図4は、通信端末4の機能ブロック図である。通信端末4は、記憶部41、通信部42、表示部43、操作部44、音声入力部45および処理部46を有する。
【0051】
記憶部41は、プログラムまたはデータを記憶するための構成であり、例えば、半導体メモリ装置を備える。記憶部41は、処理部46による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0052】
通信部42は、通信端末4を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部42が備える通信インタフェース回路は、無線LANまたはLTE、第5世代若しくは第6世代移動通信システム等の移動体通信方式等の通信インタフェース回路である。通信部42は、データを他の装置から受信して処理部46に供給するとともに、処理部46から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0053】
表示部43は、画像を表示するための構成であり、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイを備える。表示部43は、処理部46から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0054】
操作部44は、通信端末4に対する操作を受け付けるための構成であり、キーボード、キーパッド、マウス等を備える。操作部44は、表示部43と一体化されたタッチパネルを備えてもよい。操作部44は、受け付けた操作に応じた信号を生成して処理部46に供給する。
【0055】
音声入力部45は、音声の入力を受け付けるための構成であり、マイクを備える。音声入力部45は、非可聴域の音声の入力を受け付けることができる。
【0056】
処理部46は、通信端末4の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部46は、例えば、CPUを備える。処理部33は、GPU、DSP、LSI、ASIC、FPGA等を備えてもよい。処理部46は、記憶部41に記憶されているプログラム並びに通信部42、操作部44および音声入力部45からの入力に基づいて各種の処理を実行する。
【0057】
処理部46は、信号送信部461、記録部462、判定部463、判定結果送信部464及びコンテンツ取得部465を機能ブロックとして備える。これらの機能ブロックは、処理部46によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの機能ブロックは、通信端末4に実装されたファームウェアによって実現されてもよい。
【0058】
図5は、提供装置5の機能ブロック図である。提供装置5は、サーバ、PC等の情報処理装置である。提供装置5は、記憶部51、通信部52および処理部53を有する。
【0059】
記憶部51は、プログラムまたはデータを記憶するための構成であり、例えば、半導体メモリ装置を備える。記憶部51は、処理部53による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0060】
通信部52は、提供装置5を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部52が備える通信インタフェース回路は、無線LANまたはLTE等の通信インタフェース回路である。通信部52は、データを他の装置から受信して処理部53に供給するとともに、処理部53から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0061】
処理部53は、抽出部531、特徴量送信部532、判定結果受信部533および制御部534を機能ブロックとして備える。これらの機能ブロックは、処理部53によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの機能ブロックは、提供装置5に実装されたファームウェアによって実現されてもよい。
【0062】
以下では、コンテンツ提供システム1によって実行される処理について説明する。
【0063】
図6は、コンテンツ提供システム1の出力装置2および送信装置3によって実行されるコンテンツ出力処理の流れを示すシーケンス図である。コンテンツ出力処理は、コンテンツを出力装置2に出力させるための処理であり、出力装置2及び送信装置3が動作している間に定期的に実行される。コンテンツ出力処理は、出力装置2および送信装置3の処理部が、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、各装置のハードウェアと協働することにより実現される。
【0064】
最初に、出力装置2の環境情報生成部261は、出力装置2の近傍の環境情報を生成する(ステップS101)。環境情報がユーザの動作の情報であり、センサ25がカメラを備える場合、環境情報生成部261は、センサ25がユーザを撮像することによって生成された動画像を取得する。環境情報生成部261は、取得した動画像を構成する複数のフレーム画像からユーザに対応する人物領域をそれぞれ抽出する。
【0065】
例えば、環境情報生成部261は、フレーム画像とあらかじめ記憶された背景画像との差分を算出し、画像から背景領域を除いた変化領域を抽出する。環境情報生成部261は、抽出した変化領域の大きさおよび形状と、人物の大きさおよび形状を示すものとしてあらかじめ記憶された所定のパターンとのマッチング処理を行うことで、人物領域を抽出する。環境情報生成部261は、各フレーム画像について抽出された人物領域の位置、形状および大きさを示す情報を環境情報であるユーザの動作の情報として生成する。また、各フレーム画像から人物領域が抽出されなかった場合には、環境情報生成部261は、そのことを示す環境情報を生成する。
【0066】
次に、要求部262は、コンテンツを送信装置3に要求する(ステップS102)。要求部262は、通信部22を介して、コンテンツ要求を送信装置3に送信する。コンテンツ要求には、環境情報が含まれる。
【0067】
次に、送信装置3のコンテンツ生成部331は、環境情報に基づいてコンテンツを生成する(ステップS103)。コンテンツ生成部331は、通信部32を介して、コンテンツ要求を出力装置2から受信する。コンテンツ生成部331は、コンテンツ要求に含まれる環境情報を取得する。コンテンツ生成部331は、取得した環境情報に基づいてインタラクティブアートであるコンテンツを生成する。
【0068】
環境情報が複数のフレーム画像における人物領域の位置、形状および大きさを示す情報である場合、コンテンツ生成部331は、人物領域に対応する部分とそれ以外の部分との表示態様が異なる複数のフレーム画像から構成される動画像を生成する。
【0069】
また、コンテンツ生成部331は、音声を出力するための音声データを生成する。出力される音声は、例えば非可聴域(例えば、16kHz以上の帯域)の音声である。出力される音声は、環境情報(すなわち、動画像の内容)に応じて異なる音声でもよく、所定の音声でもよい。コンテンツ生成部331は、生成された動画像および音声データからなるコンテンツを生成し、記憶部31に記憶する。すなわち、コンテンツ生成部331によって生成されたコンテンツは、画像および音声を含むコンテンツである。
【0070】
次に、第1送信部332は、通信部32を介して、コンテンツを出力装置2に送信する(ステップS104)。
【0071】
次に、出力装置2の出力部263は、コンテンツを出力する(ステップS105)。出力部263は、通信部22を介して、コンテンツを送信装置3から受信する。出力部263は、受信したコンテンツに含まれる画像を表示部23に表示するとともに、コンテンツに含まれる音声データに基づく音声を音声出力部24から出力する。以上で、コンテンツ出力処理は終了する。
【0072】
図7は、コンテンツ提供システム1の送信装置3、通信端末4および提供装置5によって実行されるコンテンツ提供処理の流れを示すシーケンス図である。コンテンツ提供処理は、通信端末4にコンテンツを提供するための処理であり、出力装置2から出力されたコンテンツを記録するためにユーザが通信端末4を操作したことに応じて、コンテンツ出力処理と並行して実行される。コンテンツ提供処理は、送信装置3、通信端末4および提供装置5の処理部が、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、各装置のハードウェアと協働することにより実現される。
【0073】
最初に、通信端末4の信号送信部461は、通信端末4がコンテンツの記録を開始することを示す開始信号を送信装置3に送信する(ステップS201)。信号送信部461は、コンテンツの記録を開始するための、操作部44に対する操作を受け付ける。信号送信部461は、操作を受け付けたことに応じて、開始信号を生成する。信号送信部461は、通信部42を介して、生成した開始信号を送信装置3に送信する。
【0074】
次に、送信装置3の第2送信部333は、通信端末4によるコンテンツの記録が開始されたことに応じて、コンテンツを提供装置5に送信する(ステップS202)。第2送信部333は、通信部32を介して開始信号を通信端末4から受信する。第2送信部333は、開始信号を受信したことに応じて、通信部32を介して、第1送信部332が出力装置2に送信するコンテンツと同一のコンテンツを提供装置5に送信する。
【0075】
また、開始時刻送信部334は、通信部32を介して、第2送信部333が提供装置5に対してコンテンツの送信を開始した開始時刻を通信端末4に送信する(ステップS203)。開始時刻は、時刻でもよく、提供装置5に送信された動画像であるコンテンツを構成する複数のフレーム画像のうちの先頭のものの識別情報であってもよい。コンテンツ出力処理において、送信装置3は、提供装置5に送信された動画像と同一の動画像を継続的に出力装置2に送信しているため、フレーム画像の識別情報によって時刻を示すことができる。
【0076】
次に、通信端末4の記録部462は、出力装置2から出力されたコンテンツを記録することにより記録コンテンツを生成する(ステップS204)。記録部462は、音声入力部45を制御して、出力装置2から出力されたコンテンツの音声に基づく音声データを記録コンテンツとして生成する。記録部462は、生成した記録コンテンツを記憶部41に記憶する。
【0077】
次に、提供装置5の抽出部531は、送信装置3から送信されたコンテンツの特徴量を抽出する(ステップS205)。抽出部531は、通信部52を介してコンテンツを受信することにより取得し、記憶部51に順次記憶する。抽出部531は、第2送信部333によるコンテンツの送信が開始された時刻に基づいて第1所定期間を決定する。第1所定期間は、例えば、コンテンツの受信が開始された時刻の10秒後から11秒後までの期間である。抽出部531は、決定した所定期間におけるコンテンツを記憶部51から取得し、特徴量を抽出する。
【0078】
例えば、抽出部531は、記憶されたコンテンツに含まれる画像および音声のうち、音声のみから特徴量を抽出する。この場合、抽出部531は、所定期間におけるコンテンツの音声データを記憶部51から取得する。抽出部531は、取得した音声データに公知の時間周波数解析を適用し、音響特徴量を抽出する。抽出される音響特徴量は、例えばスペクトラム包絡またはMFCCである。
【0079】
また、抽出部531は、非可聴域の音声から特徴量を抽出してもよい。この場合、抽出部531は、抽出された、例えばスペクトラム包絡またはMFCCである音響特徴量から、非可聴域の特徴を示す特徴量のみを抽出する。
【0080】
次に、特徴量送信部532は、通信部52を介して、抽出された特徴量を通信端末4に送信する(ステップS206)。
【0081】
次に、通信端末4の判定部463は、送信された特徴量と記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定する(ステップS207)。判定部463は、通信部42を介して、提供装置5によって抽出された特徴量を受信する。また、判定部463は、ステップS205と同様にして、記憶部41に記憶された記録コンテンツの特徴量を抽出する。
【0082】
判定部463は、ステップS203で受信した開始時刻に基づいて第1所定期間を決定し、決定した第1所定期間におけるコンテンツを取得し、特徴量を抽出する。判定部463は、受信した特徴量と抽出した記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定する。例えば、判定部463は、特徴量の相関値を算出し、相関値が閾値以上である場合に特徴量が一致すると判定し、相関値が閾値未満である場合に特徴量が一致しないと判定する。
【0083】
次に、判定結果送信部464は、通信部42を介して、判定部463による判定の結果を提供装置5に送信する。提供装置5の判定結果受信部533は、通信部52を介して、判定の結果を受信することにより取得する(ステップS208)。このように、特徴量送信部532および判定結果受信部533は、抽出された特徴量を通信端末4に送信し、通信端末4が、送信された特徴量と記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定した結果を取得する。
【0084】
次に、制御部534は、特徴量が一致する場合に、通信端末4がコンテンツを取得可能となるように制御する(ステップS209)。例えば、制御部534は、コンテンツの送信が開始されてから第2所定期間(例えば、送信の開始時刻から1分間)の間におけるコンテンツを記憶部51から取得し、提供コンテンツとして生成する。制御部534は、通信部52を介して、提供コンテンツを提供管理装置6に送信する。また、制御部534は、提供コンテンツに関連付けられた非代替性トークンの発行指示を提供管理装置6に送信する。発行指示を受信した提供管理装置6は、送信された提供コンテンツに関連付けられた非代替性トークンをブロックチェーンB上に発行する。
【0085】
また、制御部534は、提供コンテンツの識別情報と通信端末4の識別情報とを含み、通信端末4が提供コンテンツを取得可能であることを示す電子チケットを発行する。通信端末4の識別情報は、例えば電話番号またはメールアドレスである。通信端末4の識別情報は、提供管理装置6が提供するプラットフォームにおける、通信端末4のユーザのアカウントの情報でもよい。制御部534は、通信部52を介して、電子チケットの情報を提供管理装置6に送信するとともに、電子チケットが発行されたことを示す通知を通信端末4に送信する。
【0086】
通信端末4のユーザは、提供コンテンツを取得するために通信端末4を操作する。通信端末4のコンテンツ取得部465は、提供管理装置6にアクセスし、通信端末4の識別情報を送信する。提供管理装置6は、通信端末4の識別情報と提供装置5によって発行された電子チケットとに基づいて、通信端末4のユーザが提供コンテンツを購入可能であるか否かを判定する。提供管理装置6は、受信した識別情報と電子チケットに含まれる識別情報とが一致する場合に、通信端末4のユーザに提供コンテンツの購入を許可し、そのことを示す通知を通信端末4に送信する。
【0087】
提供コンテンツの購入を許可されたユーザの操作に応じて、通信端末4のコンテンツ取得部465は、提供コンテンツの対価を支払うための決済処理を実行するとともに、提供コンテンツの購入に必要な情報を提供管理装置6に送信する。提供管理装置6は、決済処理が正常に実行され、購入に必要な情報が正常に受信された場合に、購入に係る取引履歴をブロックチェーンB上に記録する。これにより、通信端末4のユーザは提供コンテンツの権利を取得する。
【0088】
以上説明したように、コンテンツ提供システム1は、コンテンツを出力装置2に送信する送信装置3と、送信装置3によって生成されたコンテンツをユーザの通信端末4に提供する提供装置5と、を有する。送信装置3は、出力装置2の近傍の環境情報を取得して、環境情報に基づいてコンテンツを生成するコンテンツ生成部331と、コンテンツを出力装置2に送信する第1送信部332と、コンテンツを提供装置5に送信する第2送信部333と、を有する。提供装置5は、送信装置3から送信されたコンテンツの特徴量を抽出する抽出部531と、抽出された特徴量と、出力装置2から出力されたコンテンツを通信端末4が記録することによって生成された記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定する特徴量送信部532および判定結果受信部533と、特徴量が一致する場合に、通信端末4がコンテンツを取得可能となるように制御する制御部534と、を有する。これにより、コンテンツ提供システム1は、コンテンツをその生成に関与したユーザに提供することを可能とする。
【0089】
また、抽出部531は、コンテンツに含まれる画像および音声のうち、音声のみから特徴量を抽出する。通信端末4がコンテンツに含まれる画像を記録するためには、ユーザは通信端末4を操作して出力装置2の表示部23に表示された画像を撮像する必要がある。しかしながら、画像の撮像は通信端末4と出力装置2の位置関係や、通信端末4の位置における照明環境といった撮像環境の影響を受けやすいため、コンテンツが適切に記録されず、ユーザが出力装置2の近傍に位置するか否かが正しく判定されないおそれがある。コンテンツ提供システム1は、音声のみから特徴量を抽出することにより、ユーザが出力装置2の近傍に位置するか否かを適切に判定することを可能とする。
【0090】
また、抽出部531は、コンテンツに含まれる非可聴域の音声から特徴量を抽出する。これにより、コンテンツ提供システム1は、出力装置2が美術館等の音声の出力が制限される環境に配置される場合でも、ユーザが出力装置2の近傍に位置するか否かを適切に判定することを可能とする。
【0091】
また、第2送信部333は、通信端末4がコンテンツの記録を開始したことに応じて、コンテンツを提供装置5に送信する。抽出部531は、コンテンツの送信が開始されてから所定期間におけるコンテンツの特徴量を抽出する。これにより、通信端末4がコンテンツの記録を開始した時刻にかかわらず、提供装置5と通信端末4とは同様の条件のもとで特徴量を抽出することができる。したがって、コンテンツ提供システム1は、上述の特徴を有することにより、通信端末4がコンテンツの記録を開始した時点にかかわらず、ユーザが出力装置2の近傍に位置するか否かを適切に判定することを可能とする。
【0092】
また、特徴量送信部532は、抽出部531によって抽出された特徴量を通信端末4に送信し、判定結果受信部533は、通信端末4が、送信された特徴量と記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定した結果を取得する。これにより、提供装置5と通信端末4との間でコンテンツ自体が送受信されることがなくなるため、コンテンツ提供システム1は、提供装置5と通信端末4との間の通信負荷を低減することを可能とする。
【0093】
また、制御部534は、環境情報に基づいて生成されたコンテンツの識別情報と通信端末4の識別情報とを含み、通信端末4がコンテンツを取得可能であることを示す電子チケットを発行する。電子チケットが発行されることにより、コンテンツの取得に際して通信端末4のユーザを認証することが可能となる。したがって、コンテンツ提供システム1は、上述の構成を有することにより、コンテンツをその生成に関与したユーザのみに提供することを可能とする。
【0094】
また、制御部534は、環境情報に基づいて生成されたコンテンツの識別情報を含む非代替性トークンを発行する。これにより、コンテンツ提供システム1は、コンテンツの権利がその生成に関与したユーザに帰属することの証明を可能とする。
【0095】
コンテンツ提供システム1には、次に述べるような変形例が適用されてもよい。
【0096】
上述した説明では、出力装置2の近傍にユーザがいない場合にも、出力装置2はそのことを示す環境情報を送信装置3に送信するものとしたが、このような例に限られない。例えば、出力装置2は、出力装置2の近傍にユーザがいない場合には環境情報を送信しなくてもよい。この場合、コンテンツ出力処理のステップS102において、要求部262は、環境情報を含まないコンテンツ要求を送信する。また、ステップS103において、コンテンツ生成部331は、環境情報が送信されなかった場合のコンテンツとしてあらかじめ設定されたコンテンツを生成する。このようにすることで、環境情報の送信回数が減少し、通信負荷が低減される。
【0097】
なお、この場合において、環境情報が送信されなかった場合に、送信装置3はコンテンツを生成および送信しなくてもよい。この場合、コンテンツ出力処理のステップS103において、コンテンツ生成部331は、環境情報が出力装置2から送信されるまで待機し、環境情報を取得したことに応じてコンテンツを生成する。このようにすることで、環境情報に変化がない場合のコンテンツの送信が抑止されるため、通信負荷が低減される。
【0098】
上述した説明では、提供装置5の抽出部531は、コンテンツに含まれる画像および音声のうち、音声のみから特徴量を抽出するものとしたが、このような例に限られない。抽出部531は、コンテンツに含まれる画像のみから特徴量を抽出してもよい。特徴量は、例えばSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)特徴量またはSURF(Speeded-up Robust Features)特徴量等の画像特徴量である。この場合、コンテンツ提供処理のステップS204において、記録部462は、通信端末4が備える撮像部を制御して、コンテンツを出力している出力装置2を撮像して画像を生成する。なお、抽出部531は、コンテンツに含まれる画像および音声の両方から特徴量を抽出してもよい。
【0099】
上述した説明では、送信装置3の第2送信部333は、通信端末4がコンテンツの記録を開始したことに応じてコンテンツを提供装置5に送信するものとしたが、このような例に限られない。第2送信部333は、通信端末4がコンテンツの記録を開始しているか否かにかかわらず、第1送信部332が出力装置2に送信するコンテンツと同一のコンテンツを提供装置5に送信してもよい。この場合、コンテンツ出力処理のステップS203において、送信装置3の開始時刻送信部334は、通信端末4に加えて提供装置5に対しても開始時刻を送信する。また、ステップS205において、提供装置5の抽出部531は、受信した開始時刻に基づいて所定期間を決定し、決定した所定期間におけるコンテンツの特徴量を抽出する。
【0100】
このようにすることで、コンテンツ提供システム1は、ユーザにとってより魅力的なコンテンツを提供し、コンテンツを取得するより強い動機付けをユーザに与えることを可能とする。すなわち、送信装置3には、環境情報に基づいてコンテンツを即時に生成して出力するというリアルタイムな処理が要求される。しかし、送信装置3がステップS201-S203のような、開始信号を受信して提供装置5に対するコンテンツの出力を開始する処理を実行する場合、送信装置3の処理負荷が増大してコンテンツ出力処理がリアルタイムに実行できなくなる可能性がある。上述の変形例を適用することにより、送信装置3の処理負荷が低減されるため、送信装置3は鑑賞者であるユーザにとって魅力的なリアルタイムなインタラクティブアートを出力することが可能となる。
【0101】
他方で、送信装置3が、通信端末4がコンテンツの記録を開始したことに応じてコンテンツを提供装置5に送信する場合には、提供装置5は開始信号が送信された場合にのみ稼働すればよい。したがって、消費電力が低減される。
【0102】
上述した説明では、特徴量送信部532および判定結果受信部533は、抽出された特徴量を通信端末4に送信し、通信端末4が、送信された特徴量と記録コンテンツの特徴量とが一致するか否かを判定した結果を取得するものとしたが、このような例に限られない。例えば、提供装置5の抽出部531が記録コンテンツの特徴量を抽出し、特徴量が一致するか否かを判定してもよい。この場合、コンテンツ提供処理のステップS206-S208を実行することに代えて、通信端末4は、記録コンテンツを提供装置5に送信する。抽出部531は、受信した記録コンテンツの特徴量を抽出し、特徴量が一致するか否かを判定する。このようにすることで、通信端末4において不正に特徴量が一致することを示す判定の結果が生成されることが防止される。また、記録コンテンツは画像を含まない音声データであるため、このようにしても、通信負荷の増大は一定程度防止される。
【0103】
上述した説明では、制御部534は、通信端末4がコンテンツを取得可能であることを示す電子チケットを発行するものとしたが、このような例に限られない。例えば、電子チケットは、通信端末4がコンテンツを優先的に取得可能であることを示すものであってもよい。コンテンツを優先的に取得可能であるとは、例えば、コンテンツをより少ない対価で購入可能であること、またはコンテンツを他のユーザよりも早い時期に購入可能であることをいう。
【0104】
上述した説明では、制御部534は、環境情報に基づいて生成されたコンテンツの識別情報を含む非代替性トークンを発行するものとしたが、このような例に限られない。例えば、制御部534は、非代替性トークンを発行することなく、電子チケットによって識別される通信端末4のユーザ以外のユーザにはコンテンツを公開しないようにしてもよい。このようにすることによっても、事実上、コンテンツに関する権利をコンテンツの生成に関与したユーザのみに取得させることが可能となる。
【0105】
上述した説明では、制御部534は、提供装置5に対するコンテンツの送信が開始されてから第2所定期間の間におけるコンテンツを提供コンテンツとするものとしたが、このような例に限られない。例えば、制御部534は、提供装置5に対するコンテンツの送信が開始されてから終了するまでの間におけるコンテンツを提供してもよい。この場合、コンテンツ提供処理のステップS204とS205との間に、通信端末4の信号送信部461は、ユーザの操作に応じて、コンテンツの記録を終了することを示す終了信号を送信装置3に送信する。送信装置3の第2送信部333は、終了信号を受信したことに応じて、提供装置5に対するコンテンツの送信を終了する。制御部534は、提供装置5に対するコンテンツの送信が開始されてから終了するまでの間に記憶部51に記憶されたコンテンツを提供コンテンツとする。このようにすることで、ユーザは、自身が所望する期間のコンテンツのみを取得することができる。
【0106】
上述したコンテンツ提供システム1の各装置または端末の機能は、複数の装置または端末によって実現されてもよい。また、コンテンツ提供システム1が有する複数の装置または端末の機能は、一つの装置によって実現されてもよい。例えば、出力装置2の機能と送信装置3の機能とは、一つの装置によって実現されてもよい。また、送信装置3の機能と提供装置5の機能とが一つの装置によって実現されてもよい。
【0107】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【0108】
本発明は、SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献するものである。
【符号の説明】
【0109】
1 コンテンツ提供システム
3 送信装置
331 コンテンツ生成部
332 第1送信部
333 第2送信部
5 提供装置
531 抽出部
532 特徴量送信部
533 判定結果受信部
534 制御部