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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166556
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/02 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
F04B9/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082730
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩波 重樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 晴永
【テーマコード(参考)】
3H075
【Fターム(参考)】
3H075AA18
3H075BB04
3H075BB12
3H075BB16
3H075BB30
3H075CC17
3H075DA05
3H075DB03
3H075DB22
(57)【要約】
【課題】特殊なバルブ装置を設置することなく、安定して高い清掃効果を得ることを可能としながら振動を抑制可能とした清掃装置を提供すること。
【解決手段】清掃装置は、電動ポンプ21を備え、電動ポンプから吐出される空気をレンズに向けて噴射する。電動ポンプは、駆動軸32aを回転駆動するモータ32と、駆動軸と直交する第1軸線Lに沿った第1方向L1に設けられ、第1ポンプ室42の一部を構成する第1ダイヤフラム33と、第1方向の反対方向である第2方向L2に設けられ、第2ポンプ室47の一部を構成する第2ダイヤフラム34と、駆動軸の回転によって第1ダイヤフラムを第1方向と第2方向とに往復運動させる第1往復動部材35と、駆動軸の回転によって第2ダイヤフラムを第1ダイヤフラムの往復運動とは逆方向に往復運動させる第2往復動部材36とを備え、第1ポンプ室及び第2ポンプ室を同時に拡大・縮小することで空気を間欠的に吐出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ポンプ(21)を備え、前記電動ポンプから吐出される流体を清掃対象(11a)に向けて噴射可能な清掃装置(20)であって、
前記電動ポンプは、
駆動軸(32a)を回転駆動するモータ(32)と、
前記駆動軸と直交する第1軸線(L)に沿った第1方向(L1)に設けられ、第1ポンプ室(42)の一部を構成する第1ダイヤフラム(33)と、
前記第1方向の反対方向である第2方向(L2)に設けられ、第2ポンプ室(47)の一部を構成する第2ダイヤフラム(34)と、
前記駆動軸及び前記第1ダイヤフラムに連結され、前記駆動軸の回転によって前記第1ダイヤフラムを前記第1方向と前記第2方向とに往復運動させる第1往復動部材(35)と、
前記駆動軸及び前記第2ダイヤフラムに連結され、前記駆動軸の回転によって前記第2ダイヤフラムを前記第1ダイヤフラムの往復運動とは逆方向に往復運動させる第2往復動部材(36)と、
を備え、前記第1ダイヤフラム及び前記第2ダイヤフラムの往復運動により前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室を同時に拡大・縮小することで前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室から流体を間欠的に吐出する、清掃装置。
【請求項2】
前記電動ポンプは、前記第1ダイヤフラム、前記第2ダイヤフラム、前記第1往復動部材、及び前記第2往復動部材を収容するハウジング(31)を有し、
前記ハウジングは、前記第1方向の端部に設けられ前記第1ポンプ室の第1吐出孔(38d)と連通した第1吐出室(46)と、前記第2方向の端部に設けられ前記第2ポンプ室の第2吐出孔(39d)と連通した第2吐出室(53)と、前記第1吐出室と前記第2吐出室とを繋ぐ吐出通路(50)と、前記吐出通路と連通しつつ流体を前記電動ポンプの外部に吐出する吐出口(51)とを有する、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記吐出口は、前記ハウジングにおいて前記第1軸線に沿った中心位置に設けられている、
請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記電動ポンプは、前記第1ダイヤフラム、前記第2ダイヤフラム、前記第1往復動部材、及び前記第2往復動部材を収容するハウジングを有し、
前記ハウジングは、前記第1方向の端部に設けられ前記第1ポンプ室の第1吐出孔(38d)と連通した第1吐出室(46)と、前記第1方向の端部に設けられ前記第1ポンプ室の第1吸入孔(38c)と連通した第1吸入室(45)と、前記第2方向の端部に設けられ前記第2ポンプ室の第2吐出孔(39d)と連通した第2吐出室(53)と、前記第2方向の端部に設けられ前記第2ポンプ室の第2吸入孔(39c)と連通した第2吸入室(52)とを有し、
前記第1吐出室と前記第2吐出室の各々の容積は、前記第1吸入室と前記第2吸入室の各々の容積よりも小さく設定されている、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記電動ポンプは、前記駆動軸に固定されたフライホイール(54)を備える、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記電動ポンプは、前記第1軸線が水平に沿うように配置されている、
請求項1に記載の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、清掃対象の表面を清掃する清掃装置としては、流体を間欠的に清掃対象に吹き付けるものがある(特許文献1参照)。この清掃装置は、バルブ装置を備えている。バルブ装置は、連続して供給される流体としての空気を間欠的に吐出する。この清掃装置では、バルブ装置から間欠的に吐出される空気を清掃対象に向けて噴射することにより、清掃対象に付着した塵埃等の異物を効果的に除去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-190221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した清掃装置では、特殊なバルブ装置が必要であった。そして、バルブ装置は、他の部材と摺動するピストンが空気の流路に配置されているため、ピストンの摺動時の摩耗粉や潤滑油が吐出する空気に混じるという虞があった。なお、空気に混じる摩耗粉や潤滑油は、清掃対象に付着することにより清掃対象を汚してしまう原因となる。また、バルブ装置は、一気に空気を流すように繰り返し動作するピストンを有するため、大きい振動が生じる虞があった。
【0005】
本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電動ポンプと別体に特殊なバルブ装置を設置することなく、安定して高い清掃効果を得ることを可能としながら振動を抑制可能とした清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する清掃装置(20)は、電動ポンプ(21)を備え、前記電動ポンプから吐出される流体を清掃対象(11a)に向けて噴射可能な清掃装置であって、前記電動ポンプは、駆動軸(32a)を回転駆動するモータ(32)と、前記駆動軸と直交する第1軸線(L)に沿った第1方向(L1)に設けられ、第1ポンプ室(42)の一部を構成する第1ダイヤフラム(33)と、前記第1方向の反対方向である第2方向(L2)に設けられ、第2ポンプ室(47)の一部を構成する第2ダイヤフラム(34)と、前記駆動軸及び前記第1ダイヤフラムに連結され、前記駆動軸の回転によって前記第1ダイヤフラムを前記第1方向と前記第2方向とに往復運動させる第1往復動部材(35)と、前記駆動軸及び前記第2ダイヤフラムに連結され、前記駆動軸の回転によって前記第2ダイヤフラムを前記第1ダイヤフラムの往復運動とは逆方向に往復運動させる第2往復動部材(36)と、を備え、前記第1ダイヤフラム及び前記第2ダイヤフラムの往復運動により前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室を同時に拡大・縮小することで前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室から流体を間欠的に吐出する。
【0007】
同構成によれば、電動ポンプは、第1ダイヤフラム及び第2ダイヤフラムの往復運動により第1ポンプ室及び第2ポンプ室を拡大・縮小させるため、例えば、摺動するピストンを用いた場合のように流体に摩耗粉や潤滑油が混じることがない。そして、電動ポンプは、第1ポンプ室及び第2ポンプ室を同時に拡大・縮小することで第1ポンプ室及び第2ポンプ室から流体を間欠的に吐出するため、清掃対象に付着した塵埃等の異物を効果的に除去できる。よって、安定して高い清掃効果を得ることができる。さらに、電動ポンプは、第2ダイヤフラムを第1ダイヤフラムの往復運動とは逆方向に往復運動させるため、往復運動に伴う慣性力が相殺されることになり、振動が抑制される。また、電動ポンプと別体に特殊なバルブ装置を設置する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における清掃装置の概略構成図。
図2】一実施形態における電動ポンプの断面図。
図3図2の3-3線に沿った断面図。
図4】一実施形態における電動ポンプの動作を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、清掃装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0010】
(車両10の構成)
図1に示すように、車両10には、前端中央部に車載センサ11が設置されている。車載センサ11は、例えば、車載カメラであり、清掃対象としてのレンズ11aを有する。レンズ11aは、車両10の外側に露出している。レンズ11aには雨滴や塵埃等の異物が付着し得るため、車両10にはレンズ11aに付着した異物を除去するための清掃装置20が搭載されている。
【0011】
(清掃装置20の構成)
清掃装置20は、流体としての空気を吐出可能な電動ポンプ21と、ノズル22と、配管23と、制御装置24とを備える。ノズル22は、配管23を介して電動ポンプ21に接続されている。配管23は、配管23の振動を吸収可能な緩衝材を介して車両10に支持されている。ノズル22は、レンズ11aの近傍位置であって、電動ポンプ21から吐出される空気をレンズ11aに向けて噴射可能な位置に配置されている。制御装置24は、電動ポンプ21と電気的に接続され、電動ポンプ21に電源を供給可能に構成されている。
【0012】
(電動ポンプ21の構成)
図2及び図3に示すように、電動ポンプ21は、ハウジング31と、ハウジング31の外部に固定されるモータ32と、ハウジング31に収容保持される第1ダイヤフラム33、第2ダイヤフラム34、第1往復動部材35及び第2往復動部材36とを備える。
【0013】
ハウジング31は、センターハウジング37と、第1エンドハウジング38と、第2エンドハウジング39と、第1カバー40と、第2カバー41とを有する。センターハウジング37は、筒状に形成されている。
【0014】
詳しくは、図3に示すように、センターハウジング37は、それぞれ円筒状の第1筒状部37aと第2筒状部37bとを有し、各々の軸心が僅かにずれた状態で接続されている。また、図2に示すように、センターハウジング37は、周方向の一部にセンターハウジング37の長手方向に沿って貫通するセンター通路37cを有する。
【0015】
モータ32は、駆動軸32aを有し、制御装置24(図1参照)からの電源供給によって駆動軸32aを回転駆動する。モータ32は、センターハウジング37の長手方向の中央に固定されている。モータ32は、駆動軸32aがセンターハウジング37内に突出するように、センターハウジング37に固定されている。なお、図3に示すように、センターハウジング37における第1筒状部37aと第2筒状部37bとは、各々の軸心が駆動軸32aの軸線Kに沿ってずれている。また、図2に示すように、本実施形態では、第1筒状部37aは、駆動軸32aと直交する第1軸線Lに沿った第1方向L1に延びており、第2筒状部37bは、第1方向L1と反対方向である第2方向L2に延びている。
【0016】
第1エンドハウジング38は、センターハウジング37の第1筒状部37aの先端部に固定されている。第1エンドハウジング38は、筒部38aと底部38bとを有し、筒部38aが第1筒状部37aの先端部とで第1ダイヤフラム33を挟持するように固定されている。
【0017】
第1ダイヤフラム33は、ゴム等の弾性材よりなる。第1ダイヤフラム33はシート状に形成され、その外縁が第1筒状部37aと筒部38aとの間に挟持されている。そして、第1ダイヤフラム33と第1エンドハウジング38とが第1ポンプ室42を構成している。すなわち、第1ダイヤフラム33と第1エンドハウジング38とで囲われた部屋が第1ポンプ室42とされている。
【0018】
図2に示すように、第1エンドハウジング38の底部38bは、第1吸入孔38cと第1吐出孔38dとを有する。また、底部38bには、吸入弁43と吐出弁44とが固定されている。吸入弁43は、第1吸入孔38cを介した第1ポンプ室42への空気の流入を許容しながら、第1吸入孔38cを介した第1ポンプ室42からの空気の流出を阻止する。吐出弁44は、第1吐出孔38dを介した第1ポンプ室42からの空気の流出を許容しながら、第1吐出孔38dを介した第1ポンプ室42への空気の流入を阻止する。
【0019】
また、第1エンドハウジング38は、筒部38aにおける周方向の一部にセンターハウジング37のセンター通路37cと連通しつつセンター通路37cと一直線状に貫通する第1通路38eを有する。
【0020】
第1カバー40は、第1エンドハウジング38の底部38bに固定されている。すなわち、第1カバー40は、ハウジング31において、第1方向L1の端部に設けられている。第1カバー40は、第1吸入孔38cと対応した部位に第1吸入凹部40aを有する。そして、第1吸入凹部40aと底部38bとが第1吸入室45を構成している。すなわち、第1吸入凹部40aと底部38bとで囲われた部屋が第1吸入室45とされている。
【0021】
また、第1カバー40は、第1吸入室45と連通しつつ外部に突出する吸入筒部40bを有する。なお、本実施形態では、吸入筒部40bが下方であって重力方向を向くように、電動ポンプ21が車両10に対して固定されており、これにより、例えば、吸入筒部40bに液体が流れ込むことが抑制されている。また、電動ポンプ21は、前述の第1軸線Lが水平に沿うように車両10に固定されている。
【0022】
また、第1カバー40は、第1吐出孔38dと対応した部位に第1吐出凹部40cを有する。そして、第1吐出凹部40cと底部38bとが第1吐出室46を構成している。すなわち、第1吐出凹部40cと底部38bとで囲われた部屋が第1吐出室46とされている。本実施形態では、第1吐出室46の容積は、第1吸入室45の容積よりも小さく設定されている。そして、第1吐出室46は、第1エンドハウジング38の第1通路38eと連通されている。
【0023】
第2エンドハウジング39は、センターハウジング37の第2筒状部37bの先端部に固定されている。第2エンドハウジング39は、筒部39aと底部39bとを有し、筒部39aが第2筒状部37bの先端部とで第2ダイヤフラム34を挟持するように固定されている。
【0024】
第2ダイヤフラム34は、ゴム等の弾性材よりなる。第2ダイヤフラム34はシート状に形成され、その外縁が第2筒状部37bと筒部39aとの間に挟持されている。そして、第2ダイヤフラム34と第2エンドハウジング39とが第2ポンプ室47を構成している。すなわち、第2ダイヤフラム34と第2エンドハウジング39とで囲われた部屋が第2ポンプ室47とされている。
【0025】
図2に示すように、第2エンドハウジング39の底部39bは、第2吸入孔39cと第2吐出孔39dとを有する。また、底部39bには、吸入弁48と吐出弁49とが固定されている。吸入弁48は、第2吸入孔39cを介した第2ポンプ室47への空気の流入を許容しながら、第2吸入孔39cを介した第2ポンプ室47からの空気の流出を阻止する。吐出弁49は、第2吐出孔39dを介した第2ポンプ室47からの空気の流出を許容しながら、第2吐出孔39dを介した第2ポンプ室47への空気の流入を阻止する。
【0026】
また、第2エンドハウジング39は、筒部39aにおける周方向の一部にセンターハウジング37のセンター通路37cと連通しつつセンター通路37cと一直線状に貫通する第2通路39eを有する。本実施形態では、センター通路37c、第1通路38e及び第2通路39eが吐出通路50を構成している。
【0027】
また、センターハウジング37は、吐出通路50と連通しつつ空気を電動ポンプ21の外部に吐出する吐出口51を有する。吐出口51は、センターハウジング37の長手方向の中心位置であって、ハウジング31において第1軸線Lに沿った中心位置に設けられている。そして、吐出口51には、配管23(図1参照)が接続される。
【0028】
第2カバー41は、第2エンドハウジング39の底部39bに固定されている。すなわち、第2カバー41は、ハウジング31において、第2方向L2の端部に設けられている。第2カバー41は、第2吸入孔39cと対応した部位に第2吸入凹部41aを有する。そして、第2吸入凹部41aと底部39bとが第2吸入室52を構成している。すなわち、第2吸入凹部41aと底部39bとで囲われた部屋が第2吸入室52とされている。
【0029】
また、第2カバー41は、第2吸入室52と連通しつつ外部に突出する吸入筒部41bを有する。なお、本実施形態では、吸入筒部41bが下方であって重力方向を向くように、電動ポンプ21が車両10に対して固定されており、これにより、例えば、吸入筒部41bに液体が流れ込むことが抑制されている。
【0030】
また、第2カバー41は、第2吐出孔39dと対応した部位に第2吐出凹部41cを有する。そして、第2吐出凹部41cと底部39bとが第2吐出室53を構成している。すなわち、第2吐出凹部41cと底部39bとで囲われた部屋が第2吐出室53とされている。本実施形態では、第2吐出室53の容積は、第2吸入室52の容積よりも小さく設定されている。また、第2吐出室53の容積は第1吐出室46の容積と同じに設定され、第2吸入室52の容積は第1吸入室45の容積と同じに設定されている。そして、第2吐出室53は、第2エンドハウジング39の第2通路39eと連通されている。
【0031】
第1往復動部材35は、駆動軸32a及び第1ダイヤフラム33に連結され、駆動軸32aの回転によって第1ダイヤフラム33を第1方向L1と第2方向L2とに往復運動させる。
【0032】
詳しくは、第1往復動部材35は、第1偏心軸35aと第1コネクティングロッド35bとを有する。第1偏心軸35aは、駆動軸32aの軸線K方向から見て(図2参照)、円形に形成され、その軸中心からずれた位置に駆動軸32aが固定されている。第1コネクティングロッド35bは、第1偏心軸35aの外周面と摺接可能なリング部35cと、リング部35cから第1ダイヤフラム33まで延びて第1ダイヤフラム33に固定されるロッド部35dとを有する。
【0033】
第1往復動部材35は、駆動軸32aと共に第1偏心軸35aが回転すると、リング部35cが第1偏心軸35aの外周面と摺接しつつ第1コネクティングロッド35bが第1方向L1と第2方向L2とに往復運動する。これにより、第1ダイヤフラム33は第1方向L1と第2方向L2とに往復運動する。
【0034】
第2往復動部材36は、駆動軸32a及び第2ダイヤフラム34に連結され、駆動軸32aの回転によって第2ダイヤフラム34を第1方向L1と第2方向L2とに往復運動させる。このとき、第2往復動部材36は、第2ダイヤフラム34を第1ダイヤフラム33の往復運動とは逆方向に往復運動させる。
【0035】
詳しくは、第2往復動部材36は、第2偏心軸36aと第2コネクティングロッド36bとを有する。第2偏心軸36aは、駆動軸32aの軸線K方向から見て(図2参照)、円形に形成され、その軸中心からずれた位置に駆動軸32aが固定されている。また、第2偏心軸36aは、第1偏心軸35aとは180°ずれた位置で駆動軸32aに固定されている。言い換えると、第2偏心軸36aは、駆動軸32aから第1偏心軸35aが突出する方向とは反対方向に突出するように駆動軸32aに固定されている。第2コネクティングロッド36bは、第2偏心軸36aの外周面と摺接可能なリング部36cと、リング部36cから第2ダイヤフラム34まで延びて第2ダイヤフラム34に固定されるロッド部36dとを有する。
【0036】
第2往復動部材36は、駆動軸32aと共に第2偏心軸36aが回転すると、リング部36cが第2偏心軸36aの外周面と摺接しつつ第2コネクティングロッド36bが第1方向L1と第2方向L2とに往復運動する。これにより、第2ダイヤフラム34は第1方向L1と第2方向L2とに往復運動する。また、第2ダイヤフラム34は第1ダイヤフラム33の往復運動とは逆方向に往復運動する。
【0037】
すなわち、図2に示すように、駆動軸32aと共に第1偏心軸35a及び第2偏心軸36aが回転することによって、第1ダイヤフラム33が第2方向L2に移動した際、第2ダイヤフラム34は第1方向L1に移動する。
【0038】
また、図4に示すように、駆動軸32aと共に第1偏心軸35a及び第2偏心軸36aが回転することによって、第1ダイヤフラム33が第1方向L1に移動した際、第2ダイヤフラム34は第2方向L2に移動する。
【0039】
また、図3に示すように、本実施形態の電動ポンプ21は、駆動軸32aの先端に固定されたフライホイール54を備える。フライホイール54は、例えば、金属製の円盤であって、その軸中心が駆動軸32aの先端に固定されている。
【0040】
次に、上記のように構成された清掃装置20の作用について説明する。
例えば、レンズ11aに対する異物の付着が検出された場合や、運転席のスイッチが操作された場合等、制御装置24から電動ポンプ21のモータ32に電源が供給されると、駆動軸32aが回転駆動される。
【0041】
すると、第1往復動部材35の作用によって第1ダイヤフラム33は第1方向L1と第2方向L2とに往復運動される。また、同時に、第2往復動部材36の作用によって第2ダイヤフラム34は第1ダイヤフラム33の往復運動とは逆方向に往復運動される。
【0042】
すると、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47が同時に拡大・縮小することで第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47から空気が間欠的に吐出される。
詳しくは、図2に示すように、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47が拡大する過程で、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47内の気圧が低くなることで、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47に空気が吸入される。この際、空気は、吸入筒部40b、第1吸入室45、及び第1吸入孔38cを介して第1ポンプ室42に吸入される。また、空気は、吸入筒部41b、第2吸入室52、及び第2吸入孔39cを介して第2ポンプ室47に吸入される。従って、この過程では空気の吐出はおこなわれない。
【0043】
また、図4に示すように、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47が縮小する過程で、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47内の気圧が高くなることで、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47から空気が吐出される。この際、空気は、第1ポンプ室42から第1吐出孔38d、第1吐出室46、吐出通路50、及び吐出口51を介して吐出される。また、空気は、第2ポンプ室47から第2吐出孔39d、第2吐出室53、吐出通路50、及び吐出口51を介して吐出される。よって、この過程で空気の吐出がおこなわれ、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47が同時に拡大・縮小する行程において間欠的に空気が吐出されることとなる。
【0044】
すると、電動ポンプ21の吐出口51から間欠的に吐出された空気は、配管23を介してノズル22からレンズ11aに向けて間欠的に噴射される。これにより、レンズ11aに付着した雨滴や塵埃等の異物は吹き飛ばされる。このようにして、レンズ11aは清掃される。なお、本実施形態の清掃装置20は、0.075秒間隔で空気を噴射するようにモータ32の回転数等が設定されている。この噴射間隔は、運転者の認知反応時間とされている0.75秒の1/10であり、0.075秒間隔以下でレンズ11aを清掃することにより、認知反応時間が遅れることを抑制可能としている。これにより、例えば、空走距離が長くなってしまうことを抑制可能としている。
【0045】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)電動ポンプ21は、第1ダイヤフラム33及び第2ダイヤフラム34の往復運動により第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47を拡大・縮小させるため、例えば、摺動するピストンを用いた場合のように空気に摩耗粉や潤滑油が混じることがない。そして、電動ポンプ21は、第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47を同時に拡大・縮小することで第1ポンプ室42及び第2ポンプ室47から空気を間欠的に吐出するため、レンズ11aに付着した塵埃等の異物を効果的に除去できる。よって、安定して高い清掃効果を得ることができる。さらに、電動ポンプ21は、第2ダイヤフラム34を第1ダイヤフラム33の往復運動とは逆方向に往復運動させるため、往復運動に伴う慣性力が相殺されることになり、振動が抑制される。また、電動ポンプ21と別体に特殊なバルブ装置を設置する必要がない。
【0046】
(2)電動ポンプ21のハウジング31は、第1吐出室46と第2吐出室53とを繋ぐ吐出通路50を有する。よって、例えば、ハウジング31の外部で第1吐出室46と第2吐出室53とを柔軟なホースで繋ぐ場合に比べて、間欠的に吐出された空気の圧力変動が減衰してしまうことを抑えることができる。よって、ハウジング31の吐出口51から高圧の空気を間欠的に吐出することができる。よって、より高い清掃効果を得ることができる。
【0047】
(3)吐出口51は、ハウジング31において駆動軸32aと直交する第1軸線Lに沿った中心位置に設けられているため、例えば、第1方向L1の端部に設けられている場合に比べて、空気を均等に合流させて吐出口51から良好に吐出することができる。
【0048】
(4)第1吐出室46と第2吐出室53の各々の容積は、第1吸入室45と第2吸入室52の各々の容積よりも小さく設定されている。よって、第1吐出室46と第2吐出室53における間欠的に吐出された空気の圧力変動の減衰を抑えながら、第1吸入室45と第2吸入室52における空気の吸入音を抑えることができる。すなわち、第1吐出室46と第2吐出室53の各々の容積が大きいと間欠的に吐出された空気の圧力変動が減衰してしまうが、これを抑えることができる。また、第1吸入室45と第2吸入室52の各々の容積が小さいと空気の吸入音が大きくなってしまうが、これを抑えることができる。すなわち、第1吐出室46と第2吐出室53の各々の容積を第1吸入室45と第2吸入室52の各々の容積よりも小さく設定することで、上記した両方の効果を得ることができる。
【0049】
(5)電動ポンプ21は、駆動軸32aに固定されたフライホイール54を備えるため、遠心力によって駆動軸32aの回転運動のむらを抑えることができる。すなわち、高負荷となる空気の吐出時における駆動軸32aの回転速度の低下を抑えることができる。よって、空気を高圧で吐出することが可能となる。
【0050】
(6)電動ポンプ21は、第1軸線Lが水平に沿うように車両10に固定されているため、第1ダイヤフラム33及び第2ダイヤフラム34が共に水平に沿って往復運動することになる。よって、例えば、第1軸線Lが鉛直に沿うように配置された場合に比べて、重力の影響を受けずに、第1ダイヤフラム33及び第2ダイヤフラム34をより均等に動作させることができ、振動をより抑制できる。
【0051】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ハウジング31は、第1吐出室46と第2吐出室53とを繋ぐ吐出通路50を有するとしたが、これに限定されず、例えば、ハウジング31の外部で第1吐出室46と第2吐出室53とを柔軟なホースで繋ぐ構成としてもよい。そして、ホースから空気を吐出するようにしてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、吐出口51は、ハウジング31において駆動軸32aと直交する第1軸線Lに沿った中心位置に設けられているとしたが、これに限定されず、中心位置からずれた位置に設けられていてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、第1吐出室46と第2吐出室53の各々の容積は、第1吸入室45と第2吸入室52の各々の容積よりも小さく設定されているとしたが、これに限定されず、例えば、全ての容積を同じとしてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、電動ポンプ21は、駆動軸32aに固定されたフライホイール54を備えるとしたが、これに限定されず、フライホイール54を備えていない構成としてもよい。また、例えば、駆動軸32aの回転運動のむらを抑えるように制御装置24を構成してもよい。
【0055】
・上記実施形態では、電動ポンプ21は、第1軸線Lが水平に沿うように車両10に固定されているとしたが、これに限定されず、例えば、第1軸線Lが鉛直に沿うように車両10に固定してもよい。
【0056】
・上記実施形態では、流体としての空気をレンズ11aに噴射する清掃装置20としたが、噴射する流体は空気のみとは限らず、空気と液体が混合された気液混合流体をレンズ11aに噴射する清掃装置としてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、モータ32は、駆動軸32aを直接回転駆動するものとしたが、これに限定されず、例えば、ギヤ等を介して駆動軸32aを回転駆動するモータとしてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、清掃装置20が清掃する清掃対象を、車載センサ11のレンズ11aとしたが、これに限定されず、他の清掃対象を清掃する清掃装置に具体化してもよい。例えば、車両10の他の位置に配置されるセンサ、ヘッドライト、テールランプ、電子サイドミラーカメラ、車両周囲確認用カメラ等を清掃対象としてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、車両10に設けられる清掃対象を清掃する清掃装置20に具体化したが、これに限定されず、車両10以外の他の装置等に設けられる清掃装置20として具体化してもよい。
【0060】
本発明の特徴を以下の通り示す。
[1]電動ポンプ(21)を備え、前記電動ポンプから吐出される流体を清掃対象(11a)に向けて噴射可能な清掃装置(20)であって、前記電動ポンプは、駆動軸(32a)を回転駆動するモータ(32)と、前記駆動軸と直交する第1軸線(L)に沿った第1方向(L1)に設けられ、第1ポンプ室(42)の一部を構成する第1ダイヤフラム(33)と、前記第1方向の反対方向である第2方向(L2)に設けられ、第2ポンプ室(47)の一部を構成する第2ダイヤフラム(34)と、前記駆動軸及び前記第1ダイヤフラムに連結され、前記駆動軸の回転によって前記第1ダイヤフラムを前記第1方向と前記第2方向とに往復運動させる第1往復動部材(35)と、前記駆動軸及び前記第2ダイヤフラムに連結され、前記駆動軸の回転によって前記第2ダイヤフラムを前記第1ダイヤフラムの往復運動とは逆方向に往復運動させる第2往復動部材(36)と、を備え、前記第1ダイヤフラム及び前記第2ダイヤフラムの往復運動により前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室を同時に拡大・縮小することで前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室から流体を間欠的に吐出する、清掃装置。
【0061】
[2]前記電動ポンプは、前記第1ダイヤフラム、前記第2ダイヤフラム、前記第1往復動部材、及び前記第2往復動部材を収容するハウジング(31)を有し、前記ハウジングは、前記第1方向の端部に設けられ前記第1ポンプ室の第1吐出孔(38d)と連通した第1吐出室(46)と、前記第2方向の端部に設けられ前記第2ポンプ室の第2吐出孔(39d)と連通した第2吐出室(53)と、前記第1吐出室と前記第2吐出室とを繋ぐ吐出通路(50)と、前記吐出通路と連通しつつ流体を前記電動ポンプの外部に吐出する吐出口(51)とを有する、上記[1]に記載の清掃装置。
【0062】
[3]前記吐出口は、前記ハウジングにおいて前記第1軸線に沿った中心位置に設けられている、上記[2]に記載の清掃装置。
[4]前記電動ポンプは、前記第1ダイヤフラム、前記第2ダイヤフラム、前記第1往復動部材、及び前記第2往復動部材を収容するハウジングを有し、前記ハウジングは、前記第1方向の端部に設けられ前記第1ポンプ室の第1吐出孔(38d)と連通した第1吐出室(46)と、前記第1方向の端部に設けられ前記第1ポンプ室の第1吸入孔(38c)と連通した第1吸入室(45)と、前記第2方向の端部に設けられ前記第2ポンプ室の第2吐出孔(39d)と連通した第2吐出室(53)と、前記第2方向の端部に設けられ前記第2ポンプ室の第2吸入孔(39c)と連通した第2吸入室(52)とを有し、前記第1吐出室と前記第2吐出室の各々の容積は、前記第1吸入室と前記第2吸入室の各々の容積よりも小さく設定されている、上記[1]から上記[3]のいずれか1つに記載の清掃装置。
【0063】
[5]前記電動ポンプは、前記駆動軸に固定されたフライホイール(54)を備える、上記[1]から上記[4]のいずれか1つに記載の清掃装置。
[6]前記電動ポンプは、前記第1軸線が水平に沿うように配置されている、上記[1]から上記[5]のいずれか1つに記載の清掃装置。
【符号の説明】
【0064】
11a…レンズ(清掃対象)、20…清掃装置、21…電動ポンプ、31…ハウジング、32…モータ、32a…駆動軸、33…第1ダイヤフラム、34…第2ダイヤフラム、35…第1往復動部材、36…第2往復動部材、38c…第1吸入孔、38d…第1吐出孔、39c…第2吸入孔、39d…第2吐出孔、42…第1ポンプ室、45…第1吸入室、46…第1吐出室、47…第2ポンプ室、50…吐出通路、51…吐出口、52…第2吸入室、53…第2吐出室、54…フライホイール、L…第1軸線、L1…第1方向、L2…第2方向。
図1
図2
図3
図4