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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166559
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】音声報知装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20241122BHJP
   B60C 23/04 20060101ALI20241122BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B60R16/02 650C
B60C23/04 180B
B60C23/04 160Z
G08B21/00 L
G08B21/00 P
G08B21/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082737
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】森林 健
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA35
5C086AA44
5C086AA60
5C086BA22
5C086CA01
5C086CA16
5C086CB20
5C086DA08
5C086DA40
5C086FA02
(57)【要約】
【課題】車両を前回使用してからの時間経過に応じて報知内容を変更する技術を提供する。
【解決手段】通信部410は、第1車両100aの状態が示された状態情報を第1通信装置300aから受信する。制御部420は、通信部410において受信した状態情報をもとに音声情報を生成する。報知部440は、制御部420において生成された音声情報を報知する。制御部420は、第1車両100aの前回の使用時からの時間経過に応じて音声情報を変える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態が示された状態情報を通信装置から受信する通信部と、
前記通信部において受信した前記状態情報をもとに音声情報を生成する制御部と、
前記制御部において生成した前記音声情報を報知する報知部とを備え、
前記制御部は、前記車両の前回の使用時からの時間経過に応じて前記音声情報を変える音声報知装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部において受信した前記状態情報を、別の車両の別の乗員に使用される別の音声報知装置に前記通信部から送信する請求項1に記載の音声報知装置。
【請求項3】
前記通信部が前記通信装置から受信する前記状態情報を第1状態情報と定義する場合、前記第1状態情報をもとに生成した前記音声情報は第1音声情報と定義され、
前記通信部は、別の車両の別の乗員に使用される別の音声報知装置から、前記別の車両の状態が示された第2状態情報を受信し、
前記制御部は、前記第2状態情報をもとに第2音声情報を生成するとともに、前記第1音声情報と前記第2音声情報において、対象となる車両を判別可能に示し、
前記報知部は、前記制御部において生成した前記第2音声情報を報知する請求項1に記載の音声報知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両の原動機が始動されるタイミングにおいて前記通信部が受信した前記状態情報を前記音声情報として前記報知部から報知し、前記車両の原動機が始動されるタイミング以外において前記通信部が受信した前記状態情報が異常を示す場合に、異常と判定された判定結果を前記音声情報として前記報知部から報知する請求項1に記載の音声報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声報知技術に関し、特に車両の状態が示された情報を報知する音声報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される警報装置の数が増加すると、インストルメントパネル内の表示領域に配置すべきランプ等の数も増加するので、警報内容が確認しづらくなる。警報内容を確認しやすくするために、タイヤの空気圧が低下すると警報内容が音声で報知される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-16954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によればタイヤの空気圧が低下すると警報内容が報知される。しかしながら、タイヤの空気圧が低下していなくても、タイヤの空気圧等の車両の状態を乗員が認識したい場合がある。例えば、乗員は、車両を前回使用してからの時間経過が長くなると車両の状態を詳細に認識したいが、車両を前回使用してからの時間経過が短いと車両の状態を簡単に認識したい。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両を前回使用してからの時間経過に応じて報知内容を変更する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の音声報知装置は、車両の状態が示された状態情報を通信装置から受信する通信部と、通信部において受信した状態情報をもとに音声情報を生成する制御部と、制御部において生成した音声情報を報知する報知部とを備える。制御部は、車両の前回の使用時からの時間経過に応じて音声情報を変える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両を前回使用してからの時間経過に応じて報知内容を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る音声報知システムの構成を示す図である。
図2図1の音声報知システムのブロック構成を示す図である。
図3図2の記憶部に記憶されるデータベースのデータ構造を示す図である。
図4図2の記憶部に記憶されるテーブルのデータ構造を示す図である。
図5図2の記憶部に記憶される別のテーブルのデータ構造を示す図である。
図6図2の記憶部に記憶されるさらに別のテーブルのデータ構造を示す図である。
図7図2の音声報知装置による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本実施例は、オートバイ等の二輪車のような車両で使用される音声報知システムに関する。各車両の乗員は、インターコミュニケーションシステムを使用する。インターコミュニケーションシステムにおいて各乗員は、無線通信により他の乗員と通話可能である。また、車両のタイヤには、タイヤ空気圧の管理・通知システム(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム:Tire Pressure Monitoring System、以下、「TPMS」という)が搭載される。TPMSはタイヤの空気圧を検知し、その結果を無線通信により送信する。例えば、四輪車におけるTPMSは、タイヤ空気圧異常を検知した場合に、タイヤ空気圧異常を通知する。
【0011】
二輪車は、一般的に、趣味性が高く、かつ季節依存性が著しく高いので、四輪車よりも使用頻度が極端に低い。そのため、二輪車の乗車間隔は四輪車の乗車間隔よりも長くなりやすい。このような状況では、タイヤ空気圧異常が生じた場合だけでなく、タイヤ空気圧の点検結果を乗車前に通知される方が好ましい。また、二輪車の前回の使用時からの時間間隔が短ければ点検結果は簡易に通知される方が好ましいが、使用時間が長くなるほど点検結果は詳細に通知される方が好ましい。本実施例に係る音声報知システムは、乗車前に、TPMSにおける点検結果を音声情報として報知するとともに、前回の使用時からの時間間隔に応じて音声情報を変える。
【0012】
図1は、音声報知システム1000の構成を示す。第1車両100aから第3車両100cは、車両100と総称され、例えばオートバイ等の二輪車である。第1車両100aの前部には第1前タイヤ110aが配置され、第1車両100aの後部には第1後タイヤ112aが配置される。第2車両100bにおける第2前タイヤ110bと第2後タイヤ112b、第3車両100cにおける第3前タイヤ110cと第3後タイヤ112cも同様に配置される。第1前タイヤ110aから第3前タイヤ110cは前タイヤ110と総称され、第1後タイヤ112aから第3後タイヤ112cは後タイヤ112と総称される。
【0013】
第1車両100aには第1乗員200aが乗車し、第1乗員200aは第1ヘルメット210aを装着する。第1乗員200aは、第1通信装置300aを所持し、第1ヘルメット210aには第1音声報知装置400aが取り付けられる。第2車両100bに対する第2乗員200b、第2ヘルメット210b、第2通信装置300b、第2音声報知装置400bも同様であり、第3車両100cに対する第3乗員200c、第3ヘルメット210c、第3通信装置300c、第3音声報知装置400cも同様である。第1乗員200aから第3乗員200cは乗員200と総称され、第1ヘルメット210aから第3ヘルメット210cはヘルメット210と総称される。第1通信装置300aから第3通信装置300cは通信装置300と総称され、第1音声報知装置400aから第3音声報知装置400cは音声報知装置400と総称される。
【0014】
第1音声報知装置400aから第3音声報知装置400cは前述のインターコミュニケーションシステムに含まれる。各音声報知装置400は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、「BLE」という)等の無線通信により、互いに通信可能である。
【0015】
通信装置300は、例えばスマートフォンであり、BLE等の無線通信を実行可能である。そのため、第1通信装置300aは第1音声報知装置400aと通信し、第2通信装置300bは第2音声報知装置400bと通信し、第3通信装置300cは第3音声報知装置400cと通信する。第1通信装置300aは第1車両100a側とも通信可能であり、第2通信装置300bは第2車両100b側とも通信可能であり、第3通信装置300cは第3車両100c側とも通信可能である。
【0016】
前タイヤ110のタイヤバルブには前タイヤ空気圧検出器(図示せず)が装着され、後タイヤ112のタイヤバルブには後タイヤ空気圧検出器(図示せず)が装着される。前タイヤ空気圧検出器と後タイヤ空気圧検出器は前述のTPMSに含まれる。前タイヤ空気圧検出器と後タイヤ空気圧検出器は、BLE等の無線通信を実行可能である。前タイヤ空気圧検出器は前タイヤ110の空気圧を検知し、検知結果(点検結果)を車両100に搭載された車両通信部(図示せず)に送信する。後タイヤ空気圧検出器は、前タイヤ空気圧検出器と同様の処理を実行する。前タイヤ空気圧検出器と後タイヤ空気圧検出器の少なくとも1つは加速度センサを内蔵し、車輪の動作・回転数を検知してもよい。検知された車輪の動作・回転数も検知結果(点検結果)として車両通信部(図示せず)に送信される。車両通信部(図示せず)は、検知結果を通信装置300に送信する。
【0017】
通信装置300は、車両通信部(図示せず)から検知結果を受信し、受信した検知結果を状態情報として音声報知装置400に送信し、音声報知装置400は状態情報を音声情報として報知する。乗員200は、音声情報を聞くことによって検知結果を認識する。
【0018】
図2は、音声報知システム1000のブロック構成を示す。第1車両100aは、前タイヤ空気圧検出器120、後タイヤ空気圧検出器122、車両通信部124、制御装置130、バッテリ検出器132、オイル検出器134、ライト検出器136を含む。第1音声報知装置400aは、通信部410、制御部420、マイクロフォン430、報知部440、記憶部450を含む。第2車両100b、第3車両100cは第1車両100aと同様に構成され、第2音声報知装置400b、第3音声報知装置400cは第1音声報知装置400aと同様に構成される。
【0019】
前タイヤ空気圧検出器120は、前述のごとく第1前タイヤ110aのタイヤバルブに装着され、第1前タイヤ110aの空気圧を検知する。空気圧は、例えば、2.3barのような数値で示される。空気圧の単位には、kPa、psi、kg/cmが使用されてもよい。前タイヤ空気圧検出器120は、加速度センサを内蔵してもよく、加速度センサにより車輪の回転を検知する。前タイヤ空気圧検出器120は、空気圧、車輪の回転を検知結果として車両通信部124に送信する。
【0020】
後タイヤ空気圧検出器122は、前述のごとく第1後タイヤ112aのタイヤバルブに装着され、第1後タイヤ112aの空気圧を検知する。後タイヤ空気圧検出器122は前タイヤ空気圧検出器120と同様の構成を有し、検知結果を車両通信部124に送信する。
【0021】
車両通信部124は、前タイヤ空気圧検出器120からの検知結果を受信するとともに、後タイヤ空気圧検出器122からの検知結果を受信する。車両通信部124は、受信した検知結果を第1通信装置300aに送信する。
【0022】
バッテリ検出器132は、第1車両100aに搭載されたバッテリ(図示せず)の電圧を測定する。バッテリ検出器132は、バッテリ電圧をもとに、バッテリの容量、充電(オルタネータ)の状態を検知する。バッテリ検出器132は、制御装置130に接続されており、検知結果を制御装置130に送信する。
【0023】
オイル検出器134は、第1車両100aに搭載された原動機(図示せず)におけるオイルの品質等を測定する。オイル検出器134は、オイルの品質をもとに、オイルの交換時期、オイルの量の異常を検知する。オイル検出器134は、制御装置130に接続されており、検知結果を制御装置130に送信する。
【0024】
ライト検出器136は、第1車両100aに搭載されたヘッドライト、ウインカ等のライト(図示せず)の異常を検知する。ライト検出器136は、制御装置130に接続されており、検知した異常を検知結果として制御装置130に送信する。
【0025】
制御装置130は、第1車両100aの動作を制御する。例えば、制御装置130は、第1車両100aの原動機の始動を制御する。制御装置130は、バッテリ検出器132、オイル検出器134、ライト検出器136に接続されており、バッテリ検出器132、オイル検出器134、ライト検出器136のそれぞれからの検知結果を受信する。制御装置130は、BLE等の無線通信を実行可能であり、検知結果を第1通信装置300aに送信する。制御装置130は、第1車両100aの原動機の始動したタイミングにおいて検知結果を送信する場合、原動機の始動タイミングが示されたフラグ(以下、「始動フラグ」という)を検知結果に含める。
【0026】
第1通信装置300aは、前述のごとくスマートフォンである。第1通信装置300aは、車両通信部124からの検知結果を受信するとともに、制御装置130からの検知結果を受信する。第1通信装置300aは、検知結果を状態情報として第1音声報知装置400aに送信する。状態情報は、車両100の状態が示された情報である。また、状態情報には、送信元の第1通信装置300aを識別するための識別情報が含まれる。
【0027】
第1音声報知装置400aは、第1車両100aの第1乗員200aに使用される。第1音声報知装置400aの通信部410は、BLE等の無線通信を実行可能であり、第1通信装置300aと予めペアリングされている。一方、通信部410は第2通信装置300b、第3通信装置300cとはペアリングされていない。通信部410は、状態情報を第1通信装置300aから受信する。
【0028】
制御部420は、状態情報を通信部410から受けつける。制御部420は、状態情報に含まれた識別情報をもとに送信元を確認する。制御部420は、状態情報の送信元が第1通信装置300aである場合、状態情報を記憶部450に記憶する。図3は、記憶部450に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。状態情報には、使用日時、前タイヤ空気圧、後タイヤ空気圧、バッテリ電圧、オイル量、ヘッドライト電球、左方向指示電球、右方向指示電球の情報が含まれる。使用日時は、第1車両100aを使用した日時であり、例えば通信部410が状態情報を受信した日時とされる。前タイヤ空気圧、後タイヤ空気圧、バッテリ電圧、オイル量は、それぞれの値を示す。ヘッドライト電球、左方向指示電球、右方向指示電球は、正常または異常を示す。図2に戻る。
【0029】
また、制御部420は、状態情報の送信元をもとに、次の処理を決定する。図4は、記憶部450に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。送信元として第1通信装置300a、他の音声報知装置400が規定される。状態情報の送信元が第1通信装置300aである場合、制御部420は、状態情報を受信したタイミングの判定に進む。状態情報の送信元が他の音声報知装置400である場合については後述する。図2に戻る。
【0030】
制御部420は、タイミングの判定に進んだ場合、状態情報に始動フラグが含まれているか否かを確認する。制御部420は、始動フラグが含まれている場合に始動タイミングと判定し、始動フラグが含まれていない場合に始動タイミング以外のタイミングであると判定する。図5は、記憶部450に記憶される別のテーブルのデータ構造を示す。始動タイミングとそれ以外のタイミングとが規定される。始動タイミングである場合、制御部420は、前回使用からの期間に応じた処理の実行を決定する。それ以外のタイミングである場合については後述する。図2に戻る。
【0031】
制御部420は、状態情報をもとに音声情報を生成し、音声情報を報知部440から報知させる。制御部420は、前回使用からの期間に応じた処理の実行を決定した場合、車両100の前回の使用時からの時間経過に応じて音声情報を変える。例えば、制御部420は、車両100の前回使用時からの経過時間に応じて音声情報の細やかさを変化させる。二輪車は、趣味性が高く、天候や気温などによって利用頻度が左右される。つまり、気温が低い、気温が高い、雪や雨の季節、あるいは仕事をしている平日には、一般的に、乗車の機会が著しく低くなる。そのため、二輪車の場合には「久しぶりの乗車」となる可能性が高い。このような状況のもと、本実施例は、久しぶりの乗車の安全をサポートするために、前回利用からある一定の間隔(例:1週間、1月など)を経た場合の安全点検として音声情報を報知する。
【0032】
制御部420は、記憶部450に記憶されたデータベース(図3)を参照して、最新の状態情報の使用日時と、前回使用の使用日時とを取得し、それらの差を計算することによって、前回使用からの期間を取得する。図6は、記憶部450に記憶されるさらに別のテーブルのデータ構造を示す。前回使用からの期間として、1年以上、1月~1年、1月未満が規定される。制御部420は、図6のテーブルを参照し、取得した前回使用からの期間が、1年以上、1月~1年、1月未満のいずれかに該当するかを特定する。
【0033】
取得した前回使用からの期間が1月~1年である場合、制御部420は、状態情報に含まれるすべての情報を用いた音声情報を生成することを決定する。このときの音声情報は、例えば、前タイヤ空気圧は「A1」bar、後タイヤ空気圧は「B1」bar、バッテリ電圧は「D1」V、・・・・を含む。さらに、制御部420は、後述する判定を実行し、判定結果を用いた音声情報を生成してもよい。報知部440は、例えば、スピーカであり、車両100の原動機が始動されるタイミングにおいて制御部420において生成された音声情報を報知する。つまり、前タイヤ空気圧等の数値または判定結果が音声として出力される。
【0034】
取得した前回使用からの期間が1月未満である場合、制御部420は、状態情報に含まれる各情報をしきい値と比較することによって正常または異常を判定し、各情報の判定結果を用いた音声情報を生成することを決定する。このときの音声情報は、例えば、前タイヤ空気圧は正常です、後タイヤ空気圧は異常です、・・・を含む。制御部420は、季節に応じて、例えば、夏季と冬季に応じてしきい値を変更してもよい。夏季は高温により空気圧も高めに測定されるので、しきい値が高めに設定される。報知部440は、車両100の原動機が始動されるタイミングにおいて制御部420において生成された音声情報(判定結果)を報知する。報知部440は、判定結果をアラームまたはブザーなどにより報知してもよい。例えば、正常の場合に「ポン」の音声が出力され、異常の場合に「ピー」の音声が出力される。取得した前回使用からの期間が1年以上である場合、制御部420は、サービス点検の案内を音声により報知することを決定する。図2に戻る。
【0035】
第1音声報知装置400aは、第2音声報知装置400bの通信部410、第3音声報知装置400cの通信部410と通信する。複数の音声報知装置400間の通信により前述のインターコミュニケーションシステムが実現される。具体的に説明すると、第1乗員200aはマイクロフォン430に発した音声は音声信号として制御部420に取得され、制御部420は、音声信号を通信部410を介して第2音声報知装置400bと第3音声報知装置400cに送信する。また、通信部410は、第2音声報知装置400bまたは第3音声報知装置400cからの音声信号を受信し、制御部420は、音声信号を音声として報知部440から出力させる。第2音声報知装置400bと第3音声報知装置400cにおいても同様の処理が実行される。
【0036】
制御部420は、状態情報の送信元が第1通信装置300aである場合に、状態情報を第2音声報知装置400bと第3音声報知装置400cに送信することを決定する。これに続いて、通信部410は、状態情報を第2音声報知装置400bと第3音声報知装置400cに送信する。その際、通信部410は、第1音声報知装置400aを識別するための識別情報を状態情報に含める。つまり、通信部410は、受信した状態情報を、別の車両100の別の乗員200に使用される別の音声報知装置400に送信する。
【0037】
前述のごとく、制御部420は、タイミングの判定において、始動フラグが含まれている場合に始動タイミングと判定し、始動フラグが含まれていない場合に始動タイミング以外のタイミングであると判定する。始動タイミング以外のタイミングである場合、制御部420は、記憶部450に記憶したテーブル(図5)を参照して、異常の発生を報知することを決定する。制御部420は、取得した前回使用からの期間が1月未満である場合と同様に、状態情報に含まれる各情報をしきい値と比較することによって正常または異常を判定する。また、制御部420は、異常と判定された判定結果を音声により報知することを決定する。報知部440は、車両100の原動機が始動されるタイミング以外において状態情報が異常を示す場合に、制御部420において生成された音声情報(異常を示す判定結果)を報知する。
【0038】
ここで、制御部420は、乗車を開始してからも通信部410が定期的に受信した状態情報をもとに、前タイヤ空気圧または後タイヤ空気圧の変化を定期的に導出してもよい。例えば、乗車を開始してから5分後、10分後、30分後、60分後の変化が導出される。制御部420は、前タイヤ空気圧または後タイヤ空気圧の変化がしきい値よりも大きい場合に異常と判定し、異常と判定された判定結果を音声により報知することを決定する。その際のしきい値は、タイヤ内の温度差による空気圧の変動レベルよりも大きくされる。バッテリの異常、つまりバッテリ交換が音声により報知されてもよく、オイルの異常、つまりオイル交換が音声により報知されてもよい。
【0039】
また、状態情報に車輪の回転が含まれる場合、制御部420は、予め入力しているタイヤの径から現在の速度(以下、「現在速度」という)を計算する。制御部420は、ナビゲーションデータに含まれる走行中の道路の法定速度を現在速度が超過している場合、法定速度の超過を知らせるための音声情報を生成する。報知部440は、制御部420において生成された音声情報を報知する。始動タイミング以外のタイミングである場合における状態情報も、第1音声報知装置400aの通信部410により第2音声報知装置400bと第3音声報知装置400cに送信されてもよい。
【0040】
第2音声報知装置400bは、第2通信装置300bから受信した状態情報を第1音声報知装置400aと第3音声報知装置400cに送信する。この状態情報には、第2音声報知装置400bを識別するための識別情報が含まれる。また、第3音声報知装置400cは、第3通信装置300cから受信した状態情報を第1音声報知装置400aと第2音声報知装置400bに送信する。この状態情報には、第3音声報知装置400cを識別するための識別情報が含まれる。
【0041】
第1音声報知装置400aの通信部410は、前述した第1通信装置300aの他に、第2音声報知装置400bまたは第3音声報知装置400cからの状態情報も受信する。制御部420は、状態情報に含まれた識別情報をもとに、状態情報の送信元が第2音声報知装置400bまたは第3音声報知装置400cであることを確認する。ここで、第1通信装置300a、つまりペアリングされた通信装置300から受信した状態情報を「第1状態情報」と定義する場合、第2音声報知装置400bまたは第3音声報知装置400c、つまり別の音声報知装置400から受信した状態情報は「第2状態情報」と定義される。第2状態情報は、別の車両100の状態が示された情報である。
【0042】
制御部420は、記憶部450に記憶されたテーブル(図4)を参照し、状態情報の送信元が第2音声報知装置400bまたは第3音声報知装置400cである場合、送信元となる他の音声報知装置400の名称と判定結果とを音声により報知することを決定する。送信元となる他の音声報知装置400の名称と判定結果とが音声情報に相当する。ここで、制御部420は、既に確認した第2音声報知装置400bまたは第3音声報知装置400cを他の音声報知装置400の名称とする。また、制御部420は、これまでと同様の処理を実行することによって、第2状態情報の判定結果を生成する。
【0043】
報知部440は、制御部420において生成された音声情報を報知する。第1状態情報をもとに生成された音声情報を「第1音声情報」と定義する場合、第2状態情報をもとに生成された音声情報は「第2音声情報」と定義される。第2音声情報には、他の音声報知装置400の名称が含まれるので、対象となる車両100が判別可能に示される。
【0044】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0045】
以上の構成による音声報知装置400の動作を説明する。図7は、音声報知装置400による処理手順を示すフローチャートである。通信部410は状態情報を受信する(S10)。送信元が通信装置300であり(S12のY)、始動のタイミングである場合(S14のY)、制御部420は、車両の前回の使用時からの期間を特定する。車両の前回の使用時からの期間が1年以上である場合(S16のY)、報知部440はサービス点検の案内を報知し(S18)、通信部410は状態情報を送信する(S26)。車両の前回の使用時からの期間が1年以上でなく(S16のN)、かつ1月未満でない場合(S20のN)、報知部440はすべての状態情報を報知し(S22)、通信部410は状態情報を他の音声報知装置400に送信する(S26)。車両の前回の使用時からの期間が1月未満である場合(S20のY)、報知部440は判定結果を報知し(S24)、通信部410は状態情報を送信する(S26)。始動のタイミングでない場合(S14のN)、報知部440は、異常を示す判定結果を報知し(S24)、通信部410は状態情報を他の音声報知装置400に送信する(S26)。送信元が通信装置300でない場合(S12のN)、報知部440は、送信元になる音声報知装置400の名称と判定結果を報知する(S28)。
【0046】
本実施例によれば、状態情報を音声情報として報知するので、乗員は表示デバイスを設置することなく、タイヤの空気圧を知ることができる。また、状態情報を音声情報として報知するので、乗員は表示デバイスを目視確認することなく、タイヤの空気圧を知ることができる。また、車両の前回の使用時からの時間経過に応じて音声情報を変えることによって、時間経過に応じた情報を報知できる。また、時間経過に応じた情報が報知されるので、安全に則した通知をできる。
【0047】
また、受信した状態情報を別の音声報知装置に送信するので、インターコミュニケーションシステムの関係者全員にタイヤ空気圧の異常を通知できる。また、第1音声情報と第2音声情報では対象となる車両が判別可能に示されるので、ペアリングした通信装置からの情報であるか、他の音声報知装置からの情報であるかを判別できる。また、報知内容を当事者には詳しく知らせ、同行者には簡単に知らせるので、ペアリングした通信装置からの情報であるか、他の音声報知装置からの情報であるかを判別できる。また、車両の原動機が始動されるタイミングにおいて音声情報を報知するので、走行前の点検の結果を知らせることができる。また、車両の原動機が始動されるタイミング以外において、異常が示された音声情報を報知するので、走行中の異常の発生を速やかに知らせることができる。
【0048】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0049】
本実施例では、車両100がオートバイであるとしている。しかしながらこれに限らず例えば、車両100が自転車、三輪トライク、四輪バギーであってもよい。本変形例によれば本発明の適用範囲を拡大できる。
【符号の説明】
【0050】
100 車両、 110 前タイヤ、 112 後タイヤ、 120 前タイヤ空気圧検出器、 122 後タイヤ空気圧検出器、 130 制御装置、 132 バッテリ検出器、 134 オイル検出器、 136 ライト検出器、 200 乗員、 210 ヘルメット、 300 通信装置、 400 音声報知装置、 410 通信部、 420 制御部、 430 マイクロフォン、 440 報知部、 450 記憶部、 1000 音声報知システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7