(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166572
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】同軸プラグ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/40 20110101AFI20241122BHJP
【FI】
H01R24/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082757
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】595143333
【氏名又は名称】桑野工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068663
【弁理士】
【氏名又は名称】松波 祥文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕太
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AC19
5E223AC21
5E223AC23
5E223AC50
5E223BA15
5E223CA13
5E223CC09
5E223GA08
5E223GA14
5E223GA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業の手間を省き構造簡素化、部品点数削減を図った同軸プラグを提供する。
【解決手段】第1中心導体14を第1筐体11内に挿着した第1保持部材15に結合用突部17側から挿入し収納保持させて第1筐体内に配置すると共に第2中心導体27を収納保持した第2保持部材28の一端側を第1筐体の第1接合面13の結合用突部に挿入し結合用突部に配置される第1中心導体のピン状の他端側を第2中心導体の一端側にあるクリップ状の挟持部27a・bに挟持させ本状態で結合用突部と第2保持部材を第2筐体21を構成する一対の筐体部材で挟み込み結合用突部の外周にある凹溝17aに第2筐体の第2接合面22にある凹部22bの内周縁部を係合させ且つ第2保持部材を第2筐体内に収納した状態で端面同士を接合し第2筐体の他端側に固定部材を固定して第1筐体と第2筐体を抜脱不能に且つ結合用突部を中心として回転自在に結合する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に接続部を形成するとともに、他端側に中心軸に対して略45°傾斜した状態で第1接合面を形成した導電性材料からなる第1筐体と、絶縁材料からなる第1保持部材に収納・保持した状態で前記第1筐体内に配置される導電性材料からなる第1中心導体とを備えた第1接続部材と、
一端側に中心軸に対して略45°傾斜した状態で第2接合面を形成した導電性材料からなる第2筐体と、一端側が前記第2筐体の他端側に固定されるとともに、他端側に接続部を形成した導電性材料からなる固定部材と、絶縁材料からなる第2保持部材に収納・保持した状態で前記第2筐体内に配置される導電性材料からなる第2中心導体とを備えた第2接続部材とを有し、
前記第1接続部材と第2接続部材とを第1及び第2接合面において回転自在に結合してなる高周波用の同軸プラグであって、
前記第1接合面には、当該第1接合面から垂直に突出する円筒状の結合用突部を設けるとともに、前記結合用突部の外周には凹溝を形成し、
前記第1中心導体は、一端側を前記第1筐体の接続部の中心軸に沿うように水平な状態で、他端側を前記第1筐体の第1接合面に設けた結合用突部の中心軸に沿うように略45°傾斜させた状態でそれぞれ形成するとともに、前記第1筐体内に挿着した第1保持部材に、前記結合用突部側から挿入することにより収納・保持され、
前記第2筐体は、中心軸に沿って対称形状に2分割された一対の筐体部材からなり、その一端側に形成される第2接合面には前記第1筐体の第1接合面に設けた結合用突部の凹溝に係合する半円状の凹部を相対向する状態で形成し、
前記第2中心導体は、一端側を前記第2筐体の第2接合面の中心軸に沿うように略45°傾斜させた状態で、他端側を前記第2筐体の他端側の中心軸に沿うように水平な状態でそれぞれ形成して第2保持部材に収納・保持され、
前記第2中心導体を収納・保持した第2保持部材の一端側を前記第1筐体の第1接合面に設けた結合用突部に挿入して、前記結合用突部に配置される第1中心導体のピン状の他端側を前記第2中心導体の一端側に設けたクリップ状の挟持部に挟持させるとともに、
前記結合用突部及び第2保持部材を、前記第2筐体を構成する一対の筐体部材により挟み込み、前記結合用突部の外周に形成した凹溝に前記第2筐体の第2接合面に形成した凹部の内周縁部を係合させ、かつ、前記第2保持部材を第2筐体内に収納した状態で端面同士を接合し、前記第2筐体の他端側に固定部材を固定することにより、前記第1筐体と第2筐体とを抜脱不能に、かつ、前記結合用突部を中心として回転自在に結合するようにしたことを特徴とする同軸プラグ。
【請求項2】
前記第2筐体を構成する一対の筐体部材のいずれか一方の接合端面に凸壁を、他方の接合端面に凹溝をそれぞれ形成し、前記凸壁を凹溝に係合させた状態で固定部材により固定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の同軸プラグ。
【請求項3】
前記第1筐体の第1接合面と第2筐体の第2接合面との間にバネ部材を介在させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の同軸プラグ。
【請求項4】
前記第1接合面は、少なくともその左右を第1筐体の他端側の外周よりも外側に膨出させて形成したことを特徴とする請求項1記載の同軸プラグ。
【請求項5】
前記第1筐体と第2筐体との接触部分にR面取りを施したことを特徴とする請求項1記載の同軸プラグ。
【請求項6】
前記第2筐体の他端側の外周及び固定部材の一端側の内周にそれぞれネジ部を設け、いずれかのネジ部の一部のネジ山の間に係止突起を設けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の同軸プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルの先端部に取付けられて、室内の壁面に設けられたテレビ端子や、テレビ等の受信機器に設けられた入・出力端子に接続される同軸プラグに関し、特に、前記同軸ケーブルの引出し方向を自由に変更可能とした同軸プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルの先端部に取付けられる同軸プラグとしては、室内の壁面に設けられたテレビ端子や、テレビ等の受信機器に設けられた入・出力端子へ接続する際の作業を円滑に行えるようにするために、前記同軸ケーブルの引出し方向を自由に変更可能としたものが開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている同軸プラグは、第1接栓体と第2接栓体とを、それぞれ中心軸に対して略45度傾けて形成した接合面において回転可能に結合させてなり、前記第1接栓体の接合面に設けた結合用突部の係合片を、前記第2接栓体の接合面に設けた結合穴から内部に挿入して前記接合面の裏側に係合させるとともに、前記第1接栓体内に配置されて結合用突部から突出している中心ピンの先端を、第2接栓体内に配置された中心コンタクトの中心ピン結合部に挟持させることで両者を電気的に接続するようにしている。
【0004】
また、特許文献2に開示されている同軸プラグは、外部導体接続部材を、筒状体をその中心軸に対し所定角度で傾斜した切断面で2分割した形状を有する筒状部材により構成し、各筒状部材の切断面側端部を、その切断面同士が対向した状態で各筒状部材が中心軸周りに相対的に回動するよう、嵌合突起とCリングとを用いて連結するとともに、中心導体接続部材を、一端側の芯線挿入部と他端側の中心コンタクト部とに分割し、これらを各筒状部材の切断面と中心軸とが交わる中心点にて回動可能に連結するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5328463号公報
【特許文献2】特開2012-216546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、特許文献1に記載されている同軸プラグにおいては、第1接栓体と第2接栓体とを回転可能に結合するに際し、係合片と結合穴とを位置合わせしなければならないため面倒であり、組立作業に手間が掛かるという問題があった。
また、中心ピンは予め絶縁体からなる保持構体に保持させた状態で前記第1接栓体内に配置する必要があるが、前記中心ピンの先端は第1接栓体の接合面に対して直角となる状態で保持構体から突出しているので、前記第1接栓体内への配置作業に手間が掛かるという問題もあった。
更に、前記第1接栓体または第2接栓体を回転させた時に、接合面のエッジが露出するため、手に怪我をする可能性があった。
【0007】
また、特許文献2に記載されているコネクタにおいては、中心導体接続部材を構成する芯線挿入部と中心コンタクト部とをリベットやボルト等を用いて回転可能に接合しているので、その作業には手間が掛かるとともに、構造が複雑化するという問題があった。
【0008】
本発明は前記種々の問題点に鑑み、作業にかかる手間を省くとともに、構造の簡素化、部品点数の削減を可能とした同軸プラグの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の同軸プラグは、一端側に接続部を形成するとともに、他端側に中心軸に対して略45°傾斜した状態で第1接合面を形成した導電性材料からなる第1筐体と、絶縁材料からなる第1保持部材に収納・保持した状態で前記第1筐体内に配置される導電性材料からなる第1中心導体とを備えた第1接続部材と、一端側に中心軸に対して略45°傾斜した状態で第2接合面を形成した導電性材料からなる第2筐体と、一端側が前記第2筐体の他端側に固定されるとともに、他端側に接続部を形成した導電性材料からなる固定部材と、絶縁材料からなる第2保持部材に収納・保持した状態で前記第2筐体内に配置される導電性材料からなる第2中心導体とを備えた第2接続部材とを有し、前記第1接続部材と第2接続部材とを第1及び第2接合面において回転自在に結合してなる高周波用の同軸プラグであって、前記第1接合面には、当該第1接合面から垂直に突出する円筒状の結合用突部を設けるとともに、前記結合用突部の外周には凹溝を形成し、前記第1中心導体は、一端側を前記第1筐体の接続部の中心軸に沿うように水平な状態で、他端側を前記第1筐体の第1接合面に設けた結合用突部の中心軸に沿うように略45°傾斜させた状態でそれぞれ形成するとともに、前記第1筐体内に挿着した第1保持部材に、前記結合用突部側から挿入することにより収納・保持され、前記第2筐体は、中心軸に沿って対称形状に2分割された一対の筐体部材からなり、その一端側に形成される第2接合面には前記第1筐体の第1接合面に設けた結合用突部の凹溝に係合する半円状の凹部を相対向する状態で形成し、前記第2中心導体は、一端側を前記第2筐体の第2接合面の中心軸に沿うように略45°傾斜させた状態で、他端側を前記第2筐体の他端側の中心軸に沿うように水平な状態でそれぞれ形成して第2保持部材に収納・保持され、前記第2中心導体を収納・保持した第2保持部材の一端側を前記第1筐体の第1接合面に設けた結合用突部に挿入して、前記結合用突部に配置される第1中心導体のピン状の他端側を前記第2中心導体の一端側に設けたクリップ状の挟持部に挟持させるとともに、前記結合用突部及び第2保持部材を、前記第2筐体を構成する一対の筐体部材により挟み込み、前記結合用突部の外周に形成した凹溝に前記第2筐体の第2接合面に形成した凹部の内周縁部を係合させ、かつ、前記第2保持部材を第2筐体内に収納した状態で端面同士を接合し、前記第2筐体の他端側に固定部材を固定することにより、前記第1筐体と第2筐体とを抜脱不能に、かつ、前記結合用突部を中心として回転自在に結合するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、前記第2筐体は、これを構成する一対の筐体部材のいずれか一方の接合端面に凸壁を、他方の接合端面に凹溝をそれぞれ形成し、前記凸壁を凹溝に係合させた状態で端面同士を接合して固定部材により固定するようにしてもよい。
更に、前記第1筐体の第1接合面と第2筐体の第2接合面との間にバネ部材を介在させるようにしてもよい。
また、前記第1接合面は、少なくともその左右を第1筐体の他端側の外周よりも外側に膨出させて形成するようにしてもよい。
更に、前記第1筐体と第2筐体との接触部分にR面取りを施すようにしてもよい。
また、前記第2筐体の他端側の外周及び固定部材の一端側の内周にそれぞれネジ部を設け、いずれかのネジ部の一部のネジ山の間に係止突起を設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の同軸プラグにおいては、第1接続部材を構成する第1筐体内に第1中心導体を配置するに当たり、前記第1筐体内に予め第1保持部材を挿着した状態で、前記第1中心導体を前記第1保持部材に、前記第1筐体の第1接合面に設けた円筒状の結合用突部側から挿入することにより収納・保持するようにしたので、前記第1中心導体の第1筐体内への配置作業の迅速化を図ることができる。
また、第2接続部材を構成する第2中心導体を収納・保持した第2保持部材の一端側を、第1筐体の第1接合面に設けた結合用突部内に挿入し、前記結合用突部から突出する第1中心導体のピン状の他端側を、前記第2中心導体の一端側に設けたクリップ状の挟持部に挟持させるようにしたので、前記第1中心導体と第2中心導体との電気的な接続作業を容易に行うことができる。
更に、第2接続部材を構成する第2筐体は、一対の筐体部材からなり、前記第1筐体の第1接合面に設けた結合用突部と、前記結合用突部に一端側を挿入した第2保持部材とを両側から挟み込んだ状態で、前記一対の筐体部材の端面同士を接合し、かつ、固定部材にて一体的に固定するようにしたので、第1筐体と第2筐体との結合作業を容易に行うことができる。しかも、前記結合用突部の外周に設けた凹溝に、第2筐体の第2接合面に設けた凹部の内周縁部を係合させることにより、前記第1筐体と第2筐体とは抜脱不能に、かつ、前記結合用突部を中心として回転自在に結合することができる。
【0012】
また、前記一対の筐体部材のいずれか一方の接合端面に凸壁を、他方の接合端面に凹溝をそれぞれ形成し、前記凸壁を前記凹溝に係合した状態で、前記一対の筐体部材の端面同士を接合するようにしたので、前記一対の筐体部材の接合部分からの電波の漏洩を防ぐとともに、外部ノイズの侵入を防ぐことができる。しかも、前記一対の筐体部材と固定部材とは、例えば螺合や圧入等の手段により常時接触した状態で固定されているとともに、前記第1筐体の第1接合面と第2筐体の第2接合面との間にバネ部材を介在させることにより、前記第1筐体と第2筐体とを常時接触する方向へ付勢しているので、前記第1筐体、第2筐体、固定部材は常時電気的に接触した状態に保つことができる。
更に、前記第2筐体と固定部材とを螺合により固定する場合、例えば前記第2筐体の他端側の外周に設けたネジ部の一部のネジ山の間に係止突起を設けるようにすれば、前記固定部材を前記第2筐体の他端側に螺合した際に前記係止突起を噛み込んで、抜脱を防ぐことができる。
また、前記第2筐体を構成する一対の筐体部材と第1筐体との接触部分にR面取りを施すようにすれば、部品のバラツキにより発生する段差の影響を低減することができるとともに、回転面の当たりを優しくすることができる。
更に、前記第1筐体の第1接合面は、少なくともその左右の外周縁を、第1筐体の他端側の外周よりも外側に膨出させて形成されているので、前記第1筐体(もしくは第2筐体)を回転させた際に、前記第1接合面のエッジが露出するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る同軸プラグに同軸ケーブルを接続した状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る同軸プラグを分解して示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る同軸プラグの第1筐体を示す図である。
【
図5】本発明に係る同軸プラグの第1中心導体を示す図である。
【
図6】本発明に係る同軸プラグの第1保持部材を示す図である。
【
図7】本発明に係る同軸プラグの第2筐体を示す図である。
【
図8】本発明に係る同軸プラグの第2筐体を構成する第1筐体部材を示す図である。
【
図9】本発明に係る同軸プラグの第2筐体を構成する第2筐体部材を示す図である。
【
図10】本発明に係る同軸プラグの固定部材を示す図である。
【
図11】本発明に係る同軸プラグの第2筐体と固定部材との固定手段の一例を示す図である。
【
図12】本発明に係る同軸プラグの第2中心導体を示す図である。
【
図13】本発明に係る同軸プラグの第2保持部材を示す図である。
【
図14】本発明に係る同軸プラグのバネ部材の一例を示す図である。
【
図15】本発明に係る同軸プラグの第1接続部材を組立てる状態を示す図である。
【
図16】本発明に係る同軸プラグの第2接続部材を組立てる状態を示す図である。
【
図17】本発明に係る同軸プラグの動作状況を示す斜視図である。
【
図18】本発明に係る同軸プラグのエミッション測定結果を示す図である。
【
図19】同じく、本発明に係る同軸プラグのエミッション測定結果を示す図である。
【
図20】本発明に係る同軸プラグの他の実施形態を示す図である。
【
図21】本発明に係る同軸プラグの更に他の実施形態を示す図である。
【
図22】本発明に係る同軸プラグの更に他の実施形態を示す図である。
【
図23】本発明に係る同軸プラグの更に他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、
図1ないし
図23を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明に係る同軸プラグに同軸ケーブルを接続した態を示す斜視図、
図2は同軸プラグを分解して示す斜視図、
図3は同軸プラグの断面図である。本発明に係る同軸プラグ1は、
図1に示すように、室内壁面に設けられたテレビ端子や、テレビ等の受信機器に設けられた入・出力端子に接続される第1接続部材10と、同軸ケーブル2が接続される第2接続部材20とを備え、前記第1接続部材10と第2接続部材20とを接合面において回転自在に結合することにより、同軸ケーブル2の引出し方向を任意に変更可能に構成されている。以下、詳細な構造について
図2ないし
図14を参照しながら説明する。
【0015】
はじめに、前記第1接続部材10は、
図2,3に示すように、導電性材料からなる円筒状の第1筐体11と、絶縁材料からなる第1保持部材15に収納・保持された状態で前記第1筐体11内に配置される導電性材料からなる第1中心導体14とを備えて構成されている。
【0016】
前記第1筐体11は、
図4に示すように所定長さで円筒状に形成されており、その一端側には接続部12が、他端側には第1接合面13がそれぞれ設けられているとともに、その内部には前記接続部12の内径よりも小径な挿通孔11aが設けられている。
前記接続部12は、室内壁面に設けられたテレビ端子や、テレビ等の受信機器に設けられた入・出力端子を挿入することが可能な径寸法で形成されており、その内周には、
図2,3に示すようにバネ性を有する導電性材料からなる円筒状のリング部材16が嵌着されている。
前記第1接合面13は、
図4に示すように、中心軸に対して略45°傾斜した状態で形成されており、その中心には、当該第1接合面13から垂直に突出する状態で円筒状の結合用突部17が形成されているとともに、前記結合用突部17の外周には凹溝17aが周設されている。また、前記第1接合面13の少なくとも左右の外周縁は、
図4(c)に示すように、当該第1接合面13が形成される第1筐体11の他端側の外周よりも外側に膨出した状態となっている。
【0017】
前記第1中心導体14は、
図5に示すように、相反する方向へ突出する一対のピン状部14a,14bと、その間に設けた板状の連結部14cとを備えて構成されており、一方のピン状部14aは、第1筐体11の接続部12の中心軸に沿うように水平な状態で形成されているとともに、他方のピン状部14bは、第1筐体11の第1接合面13に設けた結合用突部17の中心軸に沿うように略45°の角度で上向きに曲成されている。また、前記連結部14cには板状の係合片14dが下向きに一体形成されている。
【0018】
前記第1保持部材15は、
図6に示すように、例えば中心軸に沿って上下に2分割された半円筒状の部材を組合せて円筒状に形成されており、第1筐体11内に設けた挿通孔11aに接続部12側から挿着される。
前記第1保持部材15の一端側(第1筐体11の接続部12側に位置する端部)には、第1中心導体14の一方のピン状部14aが貫通する貫通孔15aが設けられているとともに、他端側(第1筐体11の第1接合面13側に位置する端部)には、前記挿通孔11aの端部に係止される係止フック15bと、前記第1中心導体14を内部に挿入するための開口部15cが設けられている。また、前記第1保持部材15の内部には、前記第1中心導体14に設けた係合片14dが係合する凹部15dが形成されている。
【0019】
つづいて、前記第2接続部材20は、
図2,3に示すように、導電性材料からなる一対の筐体部材21a,21bを備えた第2筐体21と、前記一対の筐体部材21a,21bを一体的に固定する導電性材料からなる固定部材24と、絶縁材料からなる第2保持部材28に収納・保持された状態で前記第2筐体21内に配置される導電性材料からなる第2中心導体27とを備えて構成されている。
【0020】
前記第2筐体21は、
図7ないし
図9に示すように、中心軸に沿って左右対称に2分割した半円筒状の第1及び第2筐体部材21a,21bからなり、相対向する端面同士を接合することにより円筒状に形成される(なお、
図7ないし
図9において、前記第2筐体21及びこれを構成する一対の筐体部材21a,21bの上下方向の向きは、説明の都合上
図1ないし
図3とは逆向きになっている)。この際、前記第1及び第2筐体部材21a,21bのうち、いずれか一方(例えば第1筐体部材21a)の端面には凸壁21c(
図7(d)及び
図8参照)を、他方(例えば第2筐体部材21b)の端面には凹溝21d(
図7(d)及び
図9参照)をそれぞれ形成し、
図7(d)に示すように、前記凸壁21cを前記凹溝21dに係合させた状態で接合するとよい。
前記第2筐体21の一端側には、第1筐体11の第1接合面13に結合される第2接合面22が、中心軸に対して略45°傾斜した状態で形成されているとともに、他端側には前記一端側よりも小径な小径部23が形成されている。
前記第2接合面22には、前記第1接合面13に設けた結合用突部17の凹溝17aに係合する半円形状の凹部22a,22bが、相対向する状態で凹設されている。この際、前記凹部22a,22bにより形成される円形状の孔部の内径寸法は、前記凹溝17aの径寸法と略同じか僅かに大きくなるように設定するとよい。また、前記凹部22a,22bの外周側には、後述するバネ部材30を保持するための凹陥部22cが、前記凹部22a,22bと同心状に凹設されている。
なお、前記第2筐体21と第1筐体11との接触部分には、
図3に示すようにR面取りを施すようにするとよい。
【0021】
前記固定部材24は、
図10に示すように円筒状に形成されており、その一端側には前記第2筐体21の一端側と略同じ径寸法で固定部25が設けられているとともに、他端側には前記固定部25よりも小径な接続部26が設けられている。また、前記固定部材24の内部には、固定部25と接続部26とを隔てる壁部24aが設けられているとともに、前記壁部24aの中心には、外被を切除して露出させた同軸ケーブル2の絶縁体を挿通可能な大きさで孔部24bが設けられている。
前記固定部25は、第2筐体21の小径部23に対して、例えば、螺合や圧入等の方法により固定される。例えば、螺合により固定する場合は、前記小径部23の外周及び前記固定部25の内周にそれぞれネジ部を設けて螺合すればよい。この際、
図11に示すように、例えば小径部23側に設けたネジ部23aの一部のネジ山の間に係止突起23bを設けるようにしてもよい。また、圧入により固定する場合は、前記小径部23の外径寸法に対し、固定部25の内径寸法を同じかやや小さくした状態で形成して圧入すればよい。なお、固定方法は前記の例に限定されるものではなく、その他の周知の方法によってもよい。
また、前記接続部26は、当該接続部26に接続される同軸ケーブル2の種類(太さ)に応じて径寸法が設定されている。例えば、接続される同軸ケーブル2が2Cケーブルの場合は外被を切除していない状態の先端部を挿入可能な径寸法とし、4Cケーブルの場合は外被を切除して露出させた編組線と絶縁体との間に挿入可能な径寸法とすればよい。なお、4Cケーブルを接続する場合の接続部26の外周には、
図10(d)~(f)に示すように、編組線と係合することにより抜け止めの役割を果たす波状部26aを形成するとよい。
【0022】
前記第2中心導体27は、
図12に示すように、両端部に設けたクリップ状の挟持部27a,27bと、前記挟持部27a,27bを連結する連結部27cとを備えて構成されており、一方の挟持部27aは、第2筐体21の第2接合面22の中心軸に沿うように略45°の角度で下向きに傾斜した状態となっているとともに、他方の挟持部27bは第2筐体21の小径部23の中心軸に沿うように水平な状態となっている。
【0023】
前記第2保持部材28は、
図13に示すように、例えば中心軸に沿って左右に2分割された半円筒状の部材を組合せて円筒状に構成されているとともに、内部には前記第2中心導体27を収納・保持するための空間が設けられている。また、前記第2保持部材28は、その一端28a側を第2筐体21の第2接合面22側に、他端28b側を第2筐体21の小径部23側にそれぞれ位置させた状態で、前記第2筐体21内に収納・保持される。
前記第2保持部材28の一端28a側は、前記第2接合面22の中心軸に沿うように略45°の角度で下向きに傾斜させ、かつ、第1筐体11の第1接合面13に設けた円筒状の結合用突部17内に挿入可能な径寸法で形成されている。また、前記一端28a側には前記結合用突部17から突出する第1中心導体14の他方のピン状部14bが挿通される挿通孔28cが設けられている。
前記第2保持部材28の他端28b側は、前記小径部23の内径寸法と略同径であり、前記小径部23の中心軸に沿うように水平な状態で形成されている。また、前記他端28b側には固定部材24の接続部26に接続される同軸ケーブル2の芯線に圧着した端子ピンが挿通される挿通孔28dが設けられている。
【0024】
なお、
図2において、30は第1筐体11の第1接合面13と、第2筐体21の第2接合面22との間に介在されるバネ部材であり、例えば、
図14(a)に示す皿バネや、
図14(b)に示す波形座金等からなる。
また、
図1,2において、40は第2接続部材20と同軸ケーブル2との接続部を保護するカバー体である。
【0025】
次に、前記のように構成した同軸プラグ1を組立てる場合について、
図15,16を参照しながら説明する。
はじめに、
図15(a)に示すように、第1筐体11の接続部12側から、第1保持部材15を前記第1筐体11内に設けた挿通孔11aに挿着するとともに、
図15(b)に示すように、前記挿通孔11aの端部に係止フック15bを係止させることにより、前記第1保持部材15を第1筐体11に対して抜脱不能に固定する。
つづいて、
図15(c),(d)に示すように、第1筐体11の第1接合面13に設けた結合用突部17側から、第1中心導体14の一方のピン状部14aを第1保持部材15内に、当該第1保持部材15の他端側に設けた開口部15cを通して挿入するとともに、前記ピン状部14aの先端側を前記第1保持部材15の一端側に設けた貫通孔15aを貫通させて第1筐体11の接続部12内に突出させる。
この後、
図15(e)に示すように、前記第1中心導体14を更に第1保持部材15内に押し込み、その連結部14cに設けた係合片14dを前記第1保持部材15内に設けた凹部15dに係合させることにより、前記第1中心導体14を第1保持部材15に対して揺動不能に収納・保持させる。この際、前記第1中心導体14の他方のピン状部14bの先端側は、前記第1保持部材15の開口部15cから第1筐体11の第1接合面13に設けた結合用突部17を通って外部に突出している。
【0026】
次に、
図16(a)に示すように、第2中心導体27の一方の挟持部27aを第2保持部材28の一端28a側に、他方の挟持部27bを第2保持部材28の他端28b側にそれぞれ位置させた状態で、前記第2保持部材28内に収納・保持するとともに、第1筐体11の第1接合面13にバネ部材30を配置する。
つづいて、
図16(b)に示すように、前記第2保持部材28の一端28a側を、第1筐体11の第1接合面13に設けた結合用突部17内に挿入するとともに、前記結合用突部17から突出している第1中心導体14の他方のピン状部14bの先端側を、前記第2保持部材28の一端28a側に設けた挿通孔28cに挿通して、前記第2保持部材28内に収納・保持した第2中心導体27の一方の挟持部27aに挟持させる。
この後、
図16(c),(d)に示すように、前記結合用突部17及び第2保持部材28を、両側から第2筐体21を構成する第1及び第2筐体部材21a,21bにより挟み込み、その一端側の第2接合面22に設けた凹部22a,22bの内周縁部を、前記結合用突部17の外周に設けた凹溝17aに係合させるとともに、前記第1筐体部材21aの端面に設けた凸壁21cを、前記第2筐体部材21bの端面に設けた凹溝21dに係合させた状態で、前記第1及び第2筐体部材21a,21bの端面同士を接合する。これにより、前記第2保持部材28は第2筐体21内に収納・保持される。
そして、この状態で、
図16(e)に示すように、第2筐体21の小径部23に固定部材24の固定部25を、例えば螺合や圧入等の手段により固定するとともに、
図3に示すように、第1筐体11の接続部12の内周にリング部材16を嵌着することにより、同軸プラグ1の組み立てを完了する。
この結果、前記同軸プラグ1は、第1筐体11と第2筐体21とが抜脱不能に、かつ、前記第1筐体11の第1接合面13に設けた結合用突部17を中心として回転自在に結合される。
図17に同軸プラグ1の動作状況を示す。
【0027】
以上のように、本発明に係る同軸プラグ1においては、第1接続部材10を構成する第1筐体11内に第1中心導体14を配置するに当たり、前記第1筐体11内に予め第1保持部材15を挿着した状態で、前記第1中心導体14を、前記第1筐体11の第1接合面13に設けた円筒状の結合用突部17側から前記第1保持部材15に、当該第1保持部材15に設けた開口部15cを通して挿入するとともに、前記第1中心導体14に設けた係合片14dを、前記第1保持部材15内に設けた凹部15dに係合させることにより、前記第1中心導体14を第1保持部材15に収納・保持するようにしたので、前記第1中心導体14の第1筐体11内への配置作業の迅速化を図ることができる。
また、第2接続部材20を構成する第2中心導体27を収納・保持した第2保持部材28の一端28a側を、第1筐体11の第1接合面13に設けた結合用突部17内に挿入し、前記結合用突部17から突出する第1中心導体14の他方のピン状部14bを、前記第2中心導体27の一方の挟持部27aに挟持させるようにしたので、前記第1中心導体14と第2中心導体27との電気的な接続作業を容易に行うことができる。
更に、第2接続部材20を構成する第2筐体21は、一対の筐体部材21a,21bからなり、前記第1筐体11の第1接合面13に設けた結合用突部17と、前記結合用突部17に一端28a側を挿入した第2保持部材28とを両側から挟み込んだ状態で、前記一対の筐体部材21a,21bの端面同士を接合し、かつ、固定部材24にて一体的に固定するようにしたので、第1筐体11と第2筐体21との結合作業を容易に行うことができる。しかも、前記結合用突部17の外周に設けた凹溝17aに、第2筐体21の第2接合面22に設けた凹部22a,22bの内周縁部を係合させることにより、前記第1筐体11と第2筐体21とは抜脱不能に、かつ、前記結合用突部17を中心として回転自在に結合することができる。
【0028】
また、前記筐体部材21aの接合端面に例えば凸壁21cを、前記筐体部材21bの接合端面に例えば凹溝21dをそれぞれ形成し、前記凸壁21cを前記凹溝21dに係合した状態で、前記筐体部材21a,21bの端面同士を接合するようにしたので、前記筐体部材21a,21bの接合部分からの電波の漏洩を防ぐとともに、外部ノイズの侵入を防ぐことができる。しかも、前記筐体部材21a,21bと固定部材24とは螺合や圧入等の手段により常時接触した状態で固定されているとともに、前記第1筐体11の第1接合面13と第2筐体21の第2接合面22との間にバネ部材30を介在させることにより、前記第1筐体11と第2筐体21とを常時接触する方向へ付勢しているので、前記第1筐体11、第2筐体21、固定部材24は常時電気的に接触した状態に保つことができる。
図18,19に本発明に係る同軸プラグ1のエミッション測定結果を示す。
図18(a)は2Cケーブルを接続し、直線状とした場合の測定結果を、
図18(b)は2Cケーブルを接続し、L字状とした場合の測定結果を、
図19(a)は4Cケーブルを接続し、直線状とした場合の測定結果を、
図19(b)は4Cケーブルを接続し、L字状とした場合の測定結果をそれぞれ示しており、いずれの場合も規格値を下回ることが確認できた。
【0029】
更に、前記第2筐体21と固定部材24とを螺合により固定する場合、例えば前記第2筐体21の小径部23の外周に設けたネジ部23aの一部のネジ山の間に係止突起23bを設けるようにすれば、前記固定部材24を前記小径部23に螺合した際に前記係止突起23bを噛み込んで、抜脱を防ぐことができる。
また、前記第2筐体21を構成する一対の筐体部材21a,21bと第1筐体11との接触部分にR面取りを施すようにすれば、部品のバラツキにより発生する段差の影響を低減することができるとともに、回転面の当たりを優しくすることができる。
更に、前記第1筐体11の第1接合面13は、少なくともその左右の外周縁を、第1筐体11の外周よりも外側に膨出させて形成されているので、前記第1筐体11(もしくは第2筐体21)を回転させた際に、前記第1接合面13のエッジが露出するのを防ぐことができる。
【0030】
なお、本発明に係る同軸プラグ1は、前記のような構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、第1保持部材15の他端側に形成した係止フック15bを、第1筐体11内に設けた挿通孔11aの端部に係止させることにより、前記第1保持部材15を第1筐体11に対して抜脱不能に取付けるようにした場合を一例として説明しているが、これに代えて、
図20に示すように、挿通孔11aにおける結合用突部17側の内周に突起11bを設けるとともに、第1保持部材15の他端側に凹孔15eを設け、前記第1保持部材15を第1筐体11の接続部12側から前記挿通孔11aに挿着して、前記凹孔15eに突起11bを係合させることにより、前記第1保持部材15を第1筐体11に対して抜脱不能に取付けるようにしてもよい。
【0031】
また、
図21に示すように、第1筐体11の一端側にナット部材を回転可能に取付けることにより接続部12を構成するようにしてもよい。
更に、第1筐体11の一端側は、前記のように差し込み型やナット型の接続部12とする代わりに、
図22に示すように、第1筐体11の一端側の外周にネジ部を設けてメスのF型コネクタとして接続部12を構成するようにしてもよい。この際、前記第1筐体11の接続部12側に配置される第1中心導体の一端側は、ピン状部からクリップ状の挟持部に変更すればよい。
また、第2筐体21の小径部23に円筒状の固定部材24を固定し、その接続部26に同軸ケーブル2を接続する代わりに、
図23に示すように、前記小径部23にリング状の固定部材50を嵌着し、かつ、前記小径部23の外周にネジ部を設けてメスのF型コネクタとするとともに、第1筐体11の一端側の外周にネジ部を設けてメスのF型コネクタとして接続部12を構成することにより、中継アダプタとして使用するようにしてもよい。
なお、いずれの場合も、ネジ部の図示を省略している。
【符号の説明】
【0032】
1 同軸プラグ
2 同軸ケーブル
10 第1接続部材
11 第1筐体
11a 挿通孔
11b 突起
12 接続部
13 第1接合面
14 第1中心導体
14a,14b ピン状部
14c 連結部
14d 係合片
15 第1保持部材
15a 貫通孔
15b 係止フック
15c 開口部
15d 凹部
15e 凹孔
16 リング部材
17 結合用突部
17a 凹溝
20 第2接続部材
21 第2筐体
21a 第1筐体部材
21b 第2筐体部材
21c 凸壁
21d 凹溝
22 第2接合面
22a,22b 凹部
22c 凹陥部
23 小径部
23a ネジ部
23b 係止突起
24 固定部材
24a 壁部
24b 孔部
25 固定部
26 接続部
27 第2中心導体
27a,27b 挟持部
27c 連結部
28 第2保持部材
28a 一端
28b 他端
28c,28d 挿通孔
30 バネ部材
40 カバー体
50 固定部材