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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166581
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】液体消費装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
B41J2/175 305
B41J2/175 133
B41J2/175 141
B41J2/175 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082768
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】林 雅洋
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA29
2C056EB20
2C056EB55
2C056EB56
2C056EC18
2C056EC26
2C056FA10
2C056KB04
2C056KB08
2C056KB11
2C056KC02
2C056KC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液体貯留室の液体が連通流路を通して大気連通室へ移動しても、ユーザが液体を補給する必要があると誤って認識することが抑制される液体消費装置を提供する。
【解決手段】液体消費装置は、注入口143を有するタンク18と、タンク18から供給される液体を消費する液体消費部と、注入口143を封止するキャップと、を備える。タンク18は、液体貯留室111と、大気連通室112と、隔壁156と、大気連通室112と液体貯留室111とを連通する連通流路と、視認面151Aと、を有する。視認面151Aは、隔壁156の上面よりも高い位置に位置する1つ以上の印140を有する。連通流路は、液体貯留室111に開口する第1連通口146Aを有する。第1連通口146Aは、1つ以上の印140のうち隔壁156の上面から最も近い位置に位置する第1印140Aよりも高い位置に位置する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を注入するための注入口を有するタンクと、
上記タンクから供給される液体を消費する液体消費部と、
上記注入口を封止するキャップと、を備えており、
上記タンクは、
上記注入口を通して液体が注入される液体貯留室と、
上記液体貯留室よりも下方に位置しており、上記タンクの外部に向かって開口する大気連通口を有する大気連通室と、
上記液体貯留室と上記大気連通室とを区画する隔壁と、
上記大気連通室と上記液体貯留室とを連通する連通流路と、
上記タンクの外壁に位置しており、上記液体貯留室を外部から視認可能な視認面と、を有しており、
上記視認面は、上記隔壁の上面よりも高い位置に位置する1つ以上の印を有しており、
上記連通流路は、上記液体貯留室に開口する第1連通口を有しており、
上記第1連通口は、上記1つ以上の印のうち上記隔壁の上面から最も近い位置に位置する第1印よりも高い位置に位置する液体消費装置。
【請求項2】
上記第1連通口は、上記第1印から、上記連通流路の液体が形成するメニスカスの表面において少なくとも、最も高い部位と最も低い部位との間の上下方向に沿った長さ分、高い位置に位置する請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項3】
上記第1印は、下向きの三角形状を有しており、
上記第1連通口は、上記下向きの三角形状の上端よりも高い位置に位置する請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項4】
上記視認面は、上記1つ以上の印として上記第1印よりも高い位置に上下方向に間隔を空けて位置する複数の目盛りを有しており、
上記第1連通口は、上記複数の目盛りのうち上記第1印から最も近い位置に位置する第1目盛りよりも高い位置に位置する請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項5】
報知部と、コントローラと、を更に備えており、
上記コントローラは、
上記液体消費部によって消費される液体の消費量の累積をカウント値としてカウントし、
上記カウント値が第1閾値に到達したことを条件として上記報知部を動作させ、
上記カウント値が、上記第1閾値に到達した後、第2閾値に到達したことを条件として、上記液体消費部の動作を停止し、
リセットコマンドを受信したことに基づいて上記カウント値をリセットし、
上記第1連通口は、上記第1閾値に相当する量の液体が上記液体貯留室において上記第1印よりも上方に貯留されているときの液面の高さよりも高い位置に位置する請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項6】
上記第1連通口は、一辺の長さが1mm以上10mm以下の長さである長方形である請求項1から5のいずれかに記載の液体消費装置。
【請求項7】
上記連通流路を上記第1連通口を含む平面と平行な平面で切断した断面積は、上記第1連通口の面積よりも大きい請求項6に記載の液体消費装置。
【請求項8】
上記連通流路は、上記大気連通室に上方へ向かって開口する第2連通口を有しており、
上記第2連通口から水平方向に延びる下側部分と、上記下側部分から上方へ延びて上記第1連通口へ至る上側部分と、を有する請求項7に記載の液体消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクから供給される液体を消費する液体消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンクから供給される液体を消費する液体消費装置が開示される。特許文献1に記載の液体消費装置は、インクを貯留する液体貯留室と、大気に連通する大気連通室と、をタンクに有する。インク貯留室は、大気連通室の上方に位置する。インク貯留室は、隔壁によって大気連通室と区画されている。インク貯留室は、連通流路を通して大気連通路と連通する。連通流路は、インク貯留室の隔壁の上面に開口する。タンクの前方側において上下方向に間隔を空けて2つの指標が示されている。2つの指標は、インク貯留室のインク量を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-81086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液体消費装置では、例えば、インク貯留室の空気が温度によって膨張すると、インク貯留室内の圧力が高くなるので、インク貯留室のインクが連通流路を通して大気連通室へ移動する。特に、インク貯留室のインクの残量が少ないときに、インク貯留室のインクが連通流路を通して大気連通室へ移動すると、インク貯留室のインクが下方の指標よりも低くなりやすいので、ユーザがインクを補給する必要があると誤って認識する可能性がある。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体貯留室の液体が連通流路を通して大気連通室へ移動しても、ユーザが液体を補給する必要があると誤って認識することが抑制される液体消費装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る液体消費装置は、液体を注入するための注入口を有するタンクと、上記タンクから供給される液体を消費する液体消費部と、上記注入口を封止するキャップと、を備える。上記タンクは、上記注入口を通して液体が注入される液体貯留室と、上記液体貯留室よりも下方に位置しており、上記タンクの外部に向かって開口する大気連通口を有する大気連通室と、上記液体貯留室と上記大気連通室とを区画する隔壁と、上記大気連通室と上記液体貯留室とを連通する連通流路と、上記タンクの外壁に位置しており、上記液体貯留室を外部から視認可能な視認面と、を有する。上記視認面は、上記隔壁の上面よりも高い位置に位置する1つ以上の印を有する。上記連通流路は、上記液体貯留室に開口する第1連通口を有する。上記第1連通口は、上記1つ以上の印のうち上記隔壁の上面から最も近い位置に位置する第1印よりも高い位置に位置する。
【0007】
液体貯留室の空気は、例えば、気圧変化や温度変化によって膨張することがある。液体貯留室の空気が膨張すると、液体貯留室の液体が連通流路を通して大気連通室へ移動することがある。このとき、第1連通口は、隔壁の上面よりも高い位置に位置する第1印よりも高い位置に位置するので、液体貯留室の液体は、液面の高さが第1連通口よりも低くなることなく、液体貯留室に残留する。したがって、液体貯留室の液体が連通流路を通して大気連通室へ移動しても、液体貯留室の液面が第1印よりも低くならないので、ユーザが、視認面を通して液体貯留室の液面を見たときに、液体を補給する必要があると誤って認識することが抑制される。液体貯留室から連通流路を通して大気連通路へ移動する液体の量が少なくなるので、大気連通路を通してタンクから外部へ液体が漏れ出すことが抑制される。
【0008】
(2)上記第1連通口は、上記第1印から、上記連通流路の液体が形成するメニスカスの表面において少なくとも、最も高い部位と最も低い部位との間の上下方向に沿った長さ分、高い位置に位置してもよい。
【0009】
液体貯留室の液面が第1連通口の高さ位置にあっても、ユーザが、視認面を通して液体貯留室の液面を見たときに、第1印よりも低い位置にあると誤って認識することが抑制される。
【0010】
(3)上記第1印は、下向きの三角形状を有してもよい。上記第1連通口は、上記下向きの三角形状の上端よりも高い位置に位置してもよい。
【0011】
ユーザが、第1印よりも低い位置にあると誤って認識することがより抑制される。
【0012】
(4)上記視認面は、上記1つ以上の印として上記第1印よりも高い位置に上下方向に間隔を空けて位置する複数の目盛りを有してもよい。上記第1連通口は、上記複数の目盛りのうち上記第1印から最も近い位置に位置する第1目盛りよりも高い位置に位置してもよい。
【0013】
ユーザが、液体貯留室の液面が第1印よりも低い位置にあると誤って認識することがより抑制される。
【0014】
(5)液体消費装置は、報知部と、コントローラと、を更に備えてもよい。上記コントローラは、上記液体消費部によって消費される液体の消費量の累積をカウント値としてカウントし、上記カウント値が第1閾値に到達したことを条件として上記報知部を動作させ、上記カウント値が、上記第1閾値に到達した後、第2閾値に到達したことを条件として、上記液体消費部の動作を停止し、リセットコマンドを受信したことに基づいて上記カウント値をリセットしてもよい。上記第1連通口は、上記第1閾値に相当する量の液体が上記液体貯留室において上記第1印よりも上方に貯留されているときの液面の高さよりも高い位置に位置してもよい。
【0015】
液体の消費量の累積が第1閾値に到達すると報知部が動作するので、ユーザは、液体貯留室に液体を補充する必要があることを知る。第1連通口は、報知部が動作するときの液面の高さよりも高い位置に位置するので、液体貯留室の液体は、連通流路を通して大気連通室へ移動しても、報知部が動作する液面の高さよりも液面が低くならない。これにより、ユーザが視認面を通して液体貯留室の液面を見たときに、液体を補充する必要があると誤って認識することが抑制される。
【0016】
(6)上記第1連通口は、一辺の長さが1mm以上10mm以下の長さである長方形であってもよい。
【0017】
第1連通口が円形や正方形である場合と比べて、メニスカスが破壊されやすい。このため、液体消費部が液体を消費するときに、第1連通口を通して空気が液体貯留室へ流入しやすくなるので、液体消費部に負荷がかかりにくい。
【0018】
(7)上記連通流路を上記第1連通口を含む平面と平行な平面で切断した断面積は、上記第1連通口の面積よりも大きくてもよい。
【0019】
液体貯留室の液体が液体消費部によって消費されるときに、大気連通室から連通流路へ流入した空気が液体貯留室へ向けて移動しやすい。
【0020】
(8)上記連通流路は、上記大気連通室に上方へ向かって開口する第2連通口を有してもよい。上記連通流路は、上記第2連通口から水平方向に延びる下側部分と、上記下側部分から上方へ延びて上記第1連通口へ至る上側部分と、を有してもよい。
【0021】
第2連通口に位置する液体には、大気連通室から連通流路へ向かう方向に重力が作用するので、例えば、第2連通口が大気連通室に下方へ向かって開口する場合に比べて、液体貯留室の液体が連通流路を通して大気連通室へ移動することが抑制される。連通流路は、上方へ延びて下方へ屈曲するような屈曲部分を有しないので、液体貯留室の液体が液体消費部によって消費されるときに、大気連通室から連通流路へ流入した空気が液体貯留室へ向けて移動しやすい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液体貯留室の液体が連通流路を通して大気連通室へ移動しても、ユーザが液体を補給する必要があると誤って認識することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1実施形態に係る複合機10の外観斜視図であって、(A)はスキャナ部12が閉位置にある状態、(B)はスキャナ部12が開位置にある状態を示す。
図2図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、記録部21、ブラックタンク18及びブラックタンク18の周辺構成を示す模式図である。
図4図4は、ブラックタンク18の正面図である。
図5図5は、連通流路146にインクのメニスカスが形成された状態を示す図である。
図6図6は、連通流路146における第1ストレート部211および第2ストレート部213をそれぞれ水平面で切断した断面積S1と第1連通口146Aの面積とを比較した模式図である。
図7図7は、バルブ170A及びバルブ開閉機構160Aの詳細な構成の一例を示す模式図である。
図8図8は、カバー100A、キャップ104及びバルブ170Aの動作を示す模式図であり、(A)は、カバー100Aが位置P1にあるときの状態、(B)は、カバー100Aが位置P7にあるときの状態、(C)は、カバー100Aが位置P2にあるときの状態を示す。
図9図9は、コントローラ130のブロック図である。
図10図10は、第1実施形態のコントローラ130の画像記録処理を示すフローチャートである。
図11図11は、第2実施形態のコントローラ130の画像記録処理を示すフローチャートである。
【0024】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。なお、以下に説明される第1実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の第1実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10及び複合機10に据え付けられたブラックタンク18及び3色タンク19が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1を参照、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の筐体14において開口13(図1参照)が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交する。
【0025】
[第1実施形態]
[複合機10の全体構成]
図1(A)に示されるように、複合機10は、概ね直方体形状である。複合機10は、スキャナ部12と、プリンタ部11と、を有している。なお、複合機10は、ファクシミリ機能等を有していてもよい。プリンタ部11は、液体消費装置の一例である。
【0026】
[スキャナ部12、筐体15]
図1(A)に示されるように、スキャナ部12は、複合機10の上部に位置する。スキャナ部12は、筐体15内に配置されている。筐体15は、概ね直方体形状である。筐体15は、筐体14の後壁付近で連結具16によって筐体14と連結されている。連結具16により、筐体15は、筐体14に対して回動可能である。図1(B)に示されるように、筐体15の前部が複合機10のユーザにより持ち上げられると、筐体15が筐体14に対して開かれる。スキャナ部12とプリンタ部11との間の空間、すなわちプリンタ部11の上方において、筐体14の内部に位置する記録部21(図2を参照)やカバー100A,100B等が外部へ露出する。この状態において、ユーザは、カバー100A,100B等を操作可能である。図1(A)に示されるように、筐体15が閉じている状態においては、記録部21やカバー100A,100B等が外部に露出されない。
【0027】
[プリンタ部11、筐体14]
プリンタ部11は、複合機10の下部に位置しており、シート状の記録媒体5(図2を参照)に、インクジェット記録方式で画像を記録する。記録媒体5は、例えば、紙、布、プラスチックシート、OHPシート及び封筒等である。
【0028】
プリンタ部11は、筐体15に、給送路71(図1(B)参照)と給送トレイ17(図1(A)参照)とを備えている。給送路71は、画像が記録される記録媒体5(図2参照)が通過する経路である。給送トレイ17は、筐体15の上面において、給送路71を開閉するものである。給送トレイ17は、筐体15の上面の一部を構成するように回動された第1状態(図1に実線で示される状態)において給送路71を塞ぐ。一方、給送トレイ17は、筐体14から後方へ突出するように回動された第2状態(図1に破線で示される状態)において、給送路71を開放する。また、第2状態において、給送トレイ17の上面は、記録媒体5を支持して給送路71へ案内するトレイ面となる。
【0029】
プリンタ部11は、筐体14を有している。筐体14は、概ね直方体形状であり、上方が開放された箱形状を有している。筐体14の前壁14Aには開口13が形成されている。プリンタ部11は、筐体14の内部空間に、図2に示されるように、搬送部20、搬送路72、記録部21(液体消費部の一例)、及び排出トレイ22を備えている。
【0030】
搬送部20は、給送トレイ17上の記録媒体5を、給送路71を経由して、搬送路72、すなわち、記録部21が備えているヘッド21Aの下方へ給送する。本実施形態では、搬送部20は、上流側搬送部20aおよび下流側搬送部20bを有する。上流側搬送部20aは、給送路71の搬送方向の下流側において給送路71の近傍に位置する。下流側搬送部20bは、記録部21の搬送方向の上流側において記録部21の近傍に位置する。搬送部20は、コントローラ130(図9参照)に接続されている。搬送部20の駆動は、コントローラ130によって制御される。
【0031】
搬送路72は、給送路71を通過した記録媒体5が搬送される経路である。搬送路72は、上流側搬送部20aの位置から下流側搬送部20bへ至り、記録部21の下方において下流側搬送部20bから記録部21の前方に亘って形成されている。
【0032】
記録部21は、ヘッド21Aと、ヘッド21Aを左右方向9に案内するガイドレール21Bとを備えている。ヘッド21Aには、ブラックタンク18及び3色タンク19に貯留されているインクが供給される。ヘッド21Aは、ヘッド21Aの下面21Cに形成された複数のノズルから、記録媒体5へ向けてインクを吐出する。これにより、記録媒体5に画像が記録される。つまり、記録部21はインクを消費する。記録部21は、コントローラ130(図9参照)に接続されている。ヘッド21Aにおけるインクの吐出は、コントローラ130によって制御される。
【0033】
図1に示されるように、排出トレイ22は、筐体14の開口13内において、記録部21よりも下方且つ前方に配置されている。排出トレイ22は、記録部21によって画像が記録されたシートを支持する。
【0034】
[ブラックタンク18、3色タンク19]
プリンタ部11は更に、筐体14の内部に、図1に示されるように、ブラックタンク18及び3色タンク19を備えている。ブラックタンク18及び3色タンク19は、筐体14の内部に据え置かれている。ブラックタンク18及び3色タンク19が筐体14に据え置かれるとは、ブラックタンク18及び3色タンク19がユーザによって交換されることが予定されておらず、ブラックタンク18及び3色タンク19が筐体14に固定された状態でインクが補充される構成のことをいう。
【0035】
ブラックタンク18は、タンク収容部101A内に使用姿勢で据え置かれている。ブラックタンク18は、ブラックのインクを貯留する。ブラックのインクは、液体の一例である。タンク収容部101Aは、筐体14内の前端部において開口13よりも左方に配置されている。タンク収容部101A内の空間は、筐体14の底部(不図示)、前壁14A、左壁14B、上壁14C等により区画されている。上壁14Cは、前壁14A及び左壁14B等の上端に配置され、タンク収容部101A内の空間の上端を閉止する。上壁14Cの中央部には開口14Dが形成されている。開口14Dからは、ブラックタンク18の注入口143が露出する。
【0036】
ブラックタンク18は、概ね直方体形状を有し、図3に示されるように、筐体141と、注入口143と、液体流出部144と、気体流入部145と、連通流路146と、を備える。
【0037】
[筐体141]
筐体141は、ポリプロピレンなどの樹脂材料からなる。樹脂材料は、ブラックタンク18におけるインクの貯留量を、前壁14A(図1参照)に形成された窓を通じて外部から視認可能な程度の透光性を有する。筐体141は、樹脂材料を射出成型することによって一体成型されている。なお、筐体141は、一体成型でなく、複数の部材が組み合わされた構成であってもよい。
【0038】
筐体141は、前壁151、右壁152、上壁153、下壁154、後壁155、及び隔壁156を備える。筐体141の左端は、不図示の左壁により閉止されている。なお、筐体141の成形上の理由で筐体141の左側等が開放されている場合がある。この場合、筐体141の左端面にフィルム(図示せず)が溶着されることによって、筐体141の左側が封止される。前壁151は、タンクの外壁の一例である。前壁151の前面151Aは、視認面の一例である。
【0039】
[注入口143]
注入口143は、上壁153の上面の中央よりも前寄りの位置に配置される。注入口143は、上壁153の上面から上方に突出している。注入口143の上端には、開口が形成されている。注入口143は、インク貯留室111とブラックタンク18の外部とを連通している。ユーザは、注入口143を通じて、外部からインク貯留室111へインクを注入可能である。
【0040】
[インク貯留室111、大気室112]
インク貯留室111は、前壁151、右壁152、上壁153、後壁155、隔壁156及び左壁により区画されている。インク貯留室111は、インクを貯留可能である。インク貯留室111は、後述の連通流路146、大気室112、後述の流入流路145A及び大気チューブ34Aを介してブラックタンク18の外部と連通する。インク貯留室111は、液体貯留室の一例である。
【0041】
大気室112は、前壁151、右壁152、下壁154、後壁155、隔壁156、及び左壁により区画されている。大気室112は、インク貯留室111の下方に位置する。ブラックタンク18において、インク貯留室111と大気室112とは、隔壁156により上下に区画されている。
【0042】
なお、大気室112の内部空間は不図示の隔壁により区画されてもよい。これにより、大気室112は、複数の部屋に分割される。複数の部屋は、細い連通路(図示せず)によりインクや大気が連通可能に互いに接続される。
【0043】
また、図3には、大気室112の全体がインク貯留室111の下方に位置する構成が示されている。しかし、上記構成に限らず、ブラックタンク18は、大気室112の少なくとも一部がインク貯留室111の下方に位置する構成であればよい。大気室112は、大気連通室の一例である。
【0044】
図4に示されるように、筐体141は、前壁151の前面151Aに複数の印140を有する。複数の印140は、インク貯留室111のインク量を示す。複数の印140は、下印140A、上印140B、および複数の目盛り140Cを有する。下印140Aは、下向きの三角形状である。下印140Aは、前壁151の左右方向9の中央に位置する。下印140Aの下端116は、上下方向7において隔壁156の上面よりも僅かに高い位置に位置する。下印140Aは、その下端の位置にインクの液面があるとき、インク貯留室111にインクを補給する必要があることを示す。下印140Aは、第1印の一例である。
【0045】
上印140Bは、上下方向7において前壁151の上端部に位置する。上印140Bは、前壁151の左右方向9の中央に位置する。上印140Bは、上向きの三角形状である。上印140Bは、その上端の位置にインクの液面があるとき、インク貯留室111のインクが満杯であることを示す。複数の目盛り140Cは、上印140Bと下印140Aの間に位置する。複数の目盛り140Cは、前壁151の左右方向9の中央に位置する。複数の目盛り140Cは、上下方向7に等間隔に位置する。本実施形態では、5つの目盛りが設けられている。
【0046】
連通流路146は、インク貯留室111及び大気室112の間でインクや大気が流通可能に連通する。連通流路146の一端は、インク貯留室111の内部に向けて開放される第1連通口146Aである。第1連通口146Aは、前壁151に隣接する位置において上向きに開口する。第1連通口146Aは、隣合う辺の長さが相違する長方形である。本実施形態では、第1連通口146Aは、前後方向8よりも左右方向9に長い長方形である(図6参照)。第1連通口146Aの一辺の長さは、好ましくは、1mm以上10mm以下の長さである。
【0047】
第1連通口146Aは、上下方向7において下印140Aの上端115から所定長さL1分だけ高い位置に位置する(図4参照)。所定長さL1は、図5に示されるように、仮に、連通流路146においてインクがメニスカスを形成した場合に、メニスカスの表面において最も高い部位h1と最も低い部位h2との間の上下方向7に沿った長さL1である。
【0048】
連通流路146の他端は、大気室112の底面において大気室112の内部に向けて開放される第2連通口146Bである。第2連通口146Bは、上向きに開口する。第2連通口146Bは、前壁151の近傍に位置する。連通流路146は、下側流路146Cおよび上側流路146Dを有する。下側流路146Cは、上下方向7において下壁154よりも僅かに下方に位置する。下側流路146Cは、第2連通口146Bから前方へ延びる。下側流路146Cは、下側部分の一例である。
【0049】
上側流路146Dは、下側流路146Cから第1連通口146Aまで上向きに延びる。具体的には、上側流路146Dは、第1ストレート部211、傾斜部212、および第2ストレート部213を有する。第1ストレート部211は、下側流路146Cの左端部から上向きへ延びる。傾斜部212は、第1ストレート部211の上端から前方斜め上向きへ延びる。第2ストレート部213は、傾斜部212の上端から隔壁156よりも上方まで上向きに延びて第1連通口146Aに繋がる。
【0050】
図6に示されるように、第1ストレート部211および第2ストレート部213をそれぞれを水平面で切断した断面積S1は、第1連通口146Aの面積S2よりも大きい。本実施形態では、断面積S1は、面積S2よりも約2倍大きい。水平面は、第1連通口146Aを含む平面と平行な平面の一例である。
【0051】
大気室112の底面及び隔壁156は、複合機10の使用姿勢において、ヘッド21Aの下面21C(図2参照)よりも上下方向7において下方に位置する。つまり、大気室112のすべてが、使用姿勢において、ノズル面41よりも上下方向7において下方に位置する。したがって、インク貯留室111が密閉された状態において、外部の圧力変化などが無ければ、インク貯留室111に貯留されているインクが、連通流路146を通じて、大気室112に流入し続けることはない。
【0052】
[液体流出部144、インクチューブ32A]
液体流出部144は、後壁155において隔壁156よりも若干上方の部分から後方に突出している。液体流出部144には、流出流路144Aが形成されている。流出流路144Aの一端はインク貯留室111と連通する。流出流路144Aはインク貯留室111から後方に延びている。
【0053】
インクチューブ32Aは、弾性変形可能な樹脂材料からなる。インクチューブ32Aの一端は、流出流路144Aの他端に接続され、ブラックタンク18の後壁155に沿って上方に延びる。インクチューブ32Aは、上下方向7において上壁153付近の所定位置で後壁155に固定されている。インクチューブ32Aの他端は、ヘッド21Aに接続されている。インク貯留室111内のインクは、流出流路144Aを通じて液体流出部144からインクチューブ32Aに流出し、インクチューブ32Aを流通してヘッド21Aに供給される。
【0054】
[気体流入部145、大気チューブ34A]
気体流入部145は、後壁155において隔壁156付近の部分であり、左右方向9に液体流出部144と異なる部分(具体的には、液体流出部144よりも左方の位置)に配置されている。気体流入部145は、この部分から後方に突出している。気体流入部145には、流入流路145Aが形成されている。流入流路145Aの一端は大気室112に開口する大気連通口を通して大気室112と連通する。流入流路145Aは、大気室112から後壁155に沿って、上下方向7において隔壁156よりも上方で且つ後壁155の上端よりも隔壁156に近い位置まで延びる。
【0055】
大気チューブ34Aは、弾性変形可能な樹脂材料からなる。大気チューブ34Aの一端は、流入流路145Aの他端に接続される。大気チューブ34Aは、流入流路145Aの他端から後壁155上に沿って上方に延びる。大気チューブ34Aは、後壁155に沿って延びるインクチューブ32Aの左方でインクチューブ32Aに沿って延びる。大気チューブ34Aの他端は、上下方向7において上壁153付近の位置に至る。大気チューブ34Aは、他端付近で後壁155に固定されている。大気チューブ34Aの他端は大気開放されている。大気室112と、ブラックタンク18の外部とは、気体流入部145及び大気チューブ34Aを介して連通している。
【0056】
ヘッド21Aからインクが排出されると、インク貯留室111に貯留されるインクが液体流出部144の流出流路144A及びインクチューブ32Aを通じてヘッド21Aへ流出する。インク貯留室111においてインクの容積が減ることによって、インク貯留室111内の空気の圧力が低下する。インク貯留室111の空気の圧力が低下することによって、大気室112から連通流路146を介して空気がインク貯留室111へ流入する。そして、気体流入部145及び大気チューブ34Aを介して外部の空気が大気室112へ流入する。
【0057】
なお、ブラックタンク18において、インク貯留室111内の空気は、気圧変動や温度変化により膨張することがある。インク貯留室111内の空気の膨張により、インク貯留室111内のインクが、連通流路146を通じて大気室112へ流入することがある。大気室112へ流入した空気は、インク貯留室111からインクがヘッド21Aへ流出したり、気圧変動や温度変化が生じたりすることによって、連通流路146を通じてインク貯留室111へ戻ることがある。
【0058】
図1において、3色タンク19は、タンク収容部101B(図1参照)内に据え置かれている。3色タンク19は、シアン、マゼンタ、イエローである3色のインク(液体の一例)のそれぞれを貯留する。3色タンク19は、3色のそれぞれについて、インク貯留室111、大気室112、注入口143、液体流出部144、気体流入部145、連通流路146を有することの他は、ブラックタンク18と同様の構成を有している(図2参照)。そのため、3色タンク19の構成については詳細な説明を省略する。タンク収容部101Bは、タンク収容部101Aを比較すると、筐体14の内部空間の前端部において開口13よりも右方に配置されている点、内部空間のサイズが異なる点、及び上壁14Cに3個の注入口143用の開口が形成されている点の他は、タンク収容部101Aと類似の構成を有している。そのため、タンク収容部101Bの構成について詳細な説明を省略する。
【0059】
[カバー100A、100B、キャップ104]
図1(B)に示されるように、プリンタ部11は更に、筐体14の内部に、カバー100A、100Bを備えている。カバー100Aは、スキャナ部12がプリンタ部11に対して開かれている場合に、外部に対して露出する。カバー100Aは、タンク収容部101Aの上壁14Cの上方に配置されている。
【0060】
カバー100Aは、位置P1(図8(A)参照)と、位置P2(図8(C)参照)との間を移動可能である。位置P1のカバー100Aは、タンク収容部101Aの上壁14C、及びブラックタンク18の注入口143(図1参照)を覆う。位置P2のカバー100Aは、タンク収容部101Aの上壁14C、及びブラックタンク18の注入口143を外部に露出させる。
【0061】
位置P1にあるカバー100Aの後端近傍にはシャフト102Aが配置されている。シャフト102Aは左右方向9に延びている。シャフト102Aは、シャフト102Aの中心軸周りに回転可能に筐体14(図1参照)に支持される。カバー100Aの前端部分が上方へ移動するようにカバー100Aがシャフト102Aとともに回動することで、カバー100Aは位置P1から位置P2に移動する。カバー100Aの前端部分が下方へ移動するように、カバー100Aがシャフト102Aとともに回動することで、カバー100Aは位置P2から位置P1に移動する。
【0062】
位置P1にあるカバー100Aの下面103Aには、キャップ104が連結されている。キャップ104は、下面103Aから上下方向7における下方に突出している。キャップ104は、ブラックタンク18の注入口143と嵌合して、注入口143を封止可能である。カバー100Aは、ユーザの操作により位置P2から位置P1に移動する。このユーザ操作に連動して、キャップ104は、注入口143に嵌合して、注入口143を封止する。また、カバー100Aは、ユーザの操作により位置P1から位置P2に移動する。このユーザ操作に連動して、キャップ104は、注入口143から外れ、注入口143を開放する。
【0063】
カバー100Bは、カバー100Aと比較すると、サイズが異なる点、タンク収容部101Bの上壁14Cの上方に配置されている点、及び3色毎のキャップ104が連結されている点の他は、カバー100Aと類似の構成を有している。そのため、カバー100Bの詳細な説明を省略する。
【0064】
[バルブ170A、170B、バルブ開閉機構160A、160B]
プリンタ部11は更に、筐体14(図1参照)の内部に、バルブ170A及びバルブ開閉機構160A(図3参照)と、バルブ170B及びバルブ開閉機構160B(図2参照)とを備えている。
【0065】
バルブ170Aは、ブラックタンク18の後壁155に沿って並ぶインクチューブ32A及び大気チューブ34Aを開閉するチューブバルブである。なお、図3及び図8では、図示の都合上、インクチューブ32Aのバルブ170A及び大気チューブ34Aのバルブ170Aが別々に示されている。しかし、図7に示されるように、バルブ170Aは、上下方向7において互いに同じ位置でインクチューブ32A及び大気チューブ34Aを開閉する。
【0066】
図7において、バルブ170Aは、具体的には、左右方向9に延びる棒状の部材である。バルブ170Aは、後壁155上のインクチューブ32A及び大気チューブ34Aの双方に当接可能な左右方向9の長さを有している。バルブ170Aは、筐体14などに設けられた不図示の支持部材によって、前後方向8に移動可能に支持されている。バルブ170Aの前端は、位置P5(図7(A)を参照)及び位置P6(図7(B)を参照)の間で前後方向8に移動可能である。位置P5は、前後方向8において位置P6より後方にある。位置P5のバルブ170Aにおいて前端は、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aに後方から接触又は後方に離間する。位置P5のバルブ170Aは、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aを弾性変形することなく開く(図7(A)参照)。その結果、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aの内部空間で液体又は気体が流通可能になる。位置P6のバルブ170Aにおいて前端は、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aを弾性的に押し潰す(図7(B)参照)。これにより、位置P6のバルブ170Aは、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aを閉塞する。その結果、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aの内部空間で液体又は気体が流通不能となる。
【0067】
図7(A)に示されるように、バルブ開閉機構160Aは、押圧部162Aを有する。押圧部162Aは、シャフト102Aに固定されており、カバー100Aの回動に伴ってシャフト102Aの中心軸周りに回動する。押圧部162Aは、シャフト102Aの中心軸から径方向に延びている。カバー100Aが位置P1であるとき、押圧部162Aはシャフト102Aから前方斜め下方へ延びており、押圧部162Aの先端部164Aはバルブ170Aから接触又は離間している。このとき、バルブ170Aは、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aの弾性力によって位置P5に保持される。図7(B)に示されるように、カバー100Aが位置P2であるとき、押圧部162Aはシャフト102Aから概ね前方へ延びており、先端部164Aがバルブ170Aと当接する。先端部164Aが当接しているバルブ170Aは、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aの弾性力に抗して位置P6に保持される。
【0068】
先端部164Aは、シャフト102Aの中心軸を軸線とする円柱形状の外面の一部をなしている。先端部164Aは、カバー100Aが位置P1及び位置P2の間を移動することに応じて、シャフト102Aとともに中心軸周りに回動する。したがって、カバー100Aが位置P2から位置P1へ向かって若干回動しても、先端部164Aは、バルブ170Aと当接している。
【0069】
[カバー100A、キャップ104、バルブ170Aの動作]
カバー100Aは、ユーザの操作により位置P1から位置P2に移動する過程において、位置P7(図8(B)を参照)を通過する。位置P7は、位置P1と位置P2との間の位置である。
【0070】
図8(A)に示されるように、位置P1のカバー100Aにおいて、キャップ104は、ブラックタンク18の注入口143に完全に嵌合する。このとき、バルブ開閉機構160Aの先端部164Aはバルブ170Aと僅かに接触し、バルブ170Aの前端は位置P5にある(図7(A)を参照)。このとき、位置P5のバルブ170Aは、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aを開いている。
【0071】
カバー100Aが位置P1から位置P7に移動する過程で、先端部164Aはバルブ170Aを押圧し始め、バルブ170Aの前端は位置P5(図7(A)参照)から位置P6(図7(B)参照)に変位し始める。すなわち、位置P7よりも位置P1側にカバー100Aが位置するとき、バルブ170Aは、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aの少なくとも一部を開いており完全に閉じていない。位置P7よりも位置P1側にカバー100Aが位置するとき、キャップ104は、未だ注入口143を封止し、インク貯留室111内を密閉している。
【0072】
図8(B)に示されるように、カバー100Aが位置P7に到達したとき、バルブ170Aの前端は位置P6(図7(B)参照)に到達する。位置P6のバルブ170Aは、インクチューブ32A及び大気チューブ34Aを完全に閉じる。位置P7と位置P2の間にカバー100Aが位置するときも、バルブ170Aは位置P6にありインクチューブ32A及び大気チューブ34Aを閉じ続ける。この場合、インク貯留室111とヘッド21Aへの間においてインクは流通しない。また、大気室112とブラックタンク18の外部との間では気体は流通しない。
【0073】
カバー100Aが位置P7に到達した後、バルブ170Aがインクチューブ32A及び大気チューブ34Aを完全に閉じると、キャップ104の少なくとも一部が注入口143から外れて、注入口143が大気開放される。位置P7から位置P2にカバー100Aが移動する過程で、図8(C)に示されるように、キャップ104は完全に注入口143から外れ、ユーザがインク貯留室111にインクを注入可能な状態となる。このとき、大気室112とブラックタンク18の外部との間で気体が流通しないので、インク貯留室111から大気室112へインクが流入しない。また、インク貯留室111のインクの液面がヘッド21Aのノズル面41よりも上方に位置していても、インク貯留室111からヘッド21Aへインクが流れない。
【0074】
一方、カバー100Aがユーザの操作により位置P2から位置P1に移動する過程において、キャップ104は、位置P7よりも僅かに位置P2側の位置にあるときに注入口143に嵌合し始め、カバー100Aが位置P7に到達する直前に注入口143を封止する。これにより、インク貯留室111が密閉される。それ以降、即ち、カバー100Aが位置P7に到達し位置P1に至る間、キャップ104は、注入口143に完全に嵌合して、インク貯留室111を密閉した状態を維持する。
【0075】
キャップ104が注入口143に封止し後、カバー100Aが位置P7に到達すると、バルブ170Aの前端は位置P6から位置P5に変位し始め、バルブ170Aはインクチューブ32A及び大気チューブ34Aを開き始める。その後、カバー100Aが位置P7から位置P1に到達する過程で、バルブ170Aの前端は位置P5に到達し、バルブ170Aはインクチューブ32A及び大気チューブ34Aを完全に開く。
【0076】
なお、バルブ170B(図2参照)は、バルブ170Bと比較すると、3色タンク19の後壁155よりも後方に配置される点、3色タンク19の後壁155上に後壁155に沿って配置される3本のインクチューブ32B及び3本の大気チューブ34Bに当接可能な長さを有する点の他についてはバルブ170Aと類似の構成を有する。また、バルブ開閉機構160B(図2参照)は、バルブ開閉機構160Aと比較すると、カバー100Bに配置される点、インクチューブ32B及び大気チューブ34B(図2参照)と開閉可能である点の他についてはバルブ開閉機構160Aと類似の構成を有している。そのため、バルブ170B及びバルブ開閉機構160Aの構成及び動作の詳細な説明を省略する。
【0077】
[報知器25]
プリンタ部11は更に、筐体14の内部に報知器25(図9参照)を備える。報知器25は、音を出力する。これにより、報知器25は、ブラックタンク18にインクを補給する必要があることをユーザに報知する。報知器25は、コントローラ130(図9参照)に接続されている。報知器25の報知は、コントローラ130によって制御される。報知器25は、報知部の一例である。なお、報知器25は、3色タンク19にインクを補給する必要があることをユーザに報知してもよい。
【0078】
[第1残量センサ125]
プリンタ部11は更に、筐体14の内部に第1残量センサ125(図9参照)を備える。第1残量センサ125は、タンク収容部101A内に設置される。第1残量センサ125は、後述のコントローラ130と電気的に接続されている。第1残量センサ125は、ブラックタンク18のインク貯留室111においてインクの液面が下印140Aの下端116の位置にあるか否かを検知する。具体的には、第1残量センサ125は、インク貯留室111の液面が下印140Aの下端116よりも高いことを条件として、第1信号をコントローラ130に出力する。第1残量センサ125は、インク貯留室111の液面が下印140Aの下端116よりも低いことを条件として、第2信号をコントローラ130に出力する。なお、第1残量センサ125と同様の残量センサがタンク収容部101Bに設置されてもよい。
【0079】
[第2残量センサ126]
プリンタ部11は更に、筐体14の内部に第2残量センサ126(図9参照)を備える。第2残量センサ126は、タンク収容部101A内に設置される。第2残量センサ126は、後述のコントローラ130と電気的に接続されている。第2残量センサ126は、ブラックタンク18のインク貯留室111においてインクの液面が上印140Bの上端の位置にあるか否かを検知する。具体的には、第2残量センサ126は、インク貯留室111の液面が上印140Bの上端よりも高いことを条件として、第3信号をコントローラ130に出力する。第2残量センサ126は、インク貯留室111の液面が上印140Bの上端よりも低いことを条件として、第4信号をコントローラ130に出力する。なお、第2残量センサ126と同様の残量センサがタンク収容部101Bに設置されてもよい。
【0080】
[カバーセンサ73]
プリンタ部11は更に、筐体14の内部にカバーセンサ73(図9参照)を備える。カバーセンサ73は、タンク収容部101A内に設置される。カバーセンサ73は、後述のコントローラ130と電気的に接続されている。カバーセンサ73は、例えば、カバー100Aが接離するスイッチ等の機械式センサであってもよいし、カバー100Aの位置によって光が遮断或いは透過される光学式センサであってもよい。カバーセンサ73は、カバー100Aの位置に応じた位置信号をコントローラ130に出力する。具体的には、カバーセンサ73は、カバー100Aが位置P1に位置することに対応する第1位置信号をコントローラ130に出力する。カバーセンサ73は、カバー100Aが位置P1と異なる位置(例えば、位置P2、位置P7)に位置することに対応する第2位置信号をコントローラ130に出力する。なお、カバーセンサ73と同様のセンサがタンク収容部101Bに設置されてもよい。
【0081】
[コントローラ130]
プリンタ部11は更に、筐体14の内部にコントローラ130を備える。コントローラ130は、図9に示されるように、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0082】
EEPROM134は、例えば、初期フラグを記憶する。初期フラグは、複合機10が初期処理を実行したか否かに対応する値である。具体的には、初期フラグは、初期処理が未だ実行されていないことに対応する第1値、或いは初期処理が既に実行されたことに対応する第2値を示す。初期処理は、インク貯留室111から記録部21に至る流路(すなわち、流出流路144A及びインクチューブ32A、32B)をインクで満たす処理である。
【0083】
複合機10の出荷時において、インク貯留室111から記録部21に至る流路は、インクで満たされていない。つまり、複合機10の出荷時において、初期フラグには第1値が設定されている。そして、コントローラ130が初期処理を実行することにより、インク流路114、インクチューブ32A、32B、及び記録部21のヘッド21Aがインクで満たされ、複合機10が記録媒体5に画像を記録することが可能な状態となる。つまり、初期処理の実行後に初期フラグに第2値が設定される。なお、複合機10の出荷時においては、用紙の画像の記録には使われない出荷時専用の出荷液がインクの代わりに流路内に充填されていても良い。この場合、コントローラ130が初期処理を実行すると、流路内の出荷液が排出されて、流路内がインクで満たされることになる。
【0084】
ASIC135には、搬送部20、記録部21、報知器25、カバーセンサ73、第1残量センサ125、および第2残量センサ126が接続されている。コントローラ130は、搬送部20に記録媒体5を搬送させる。コントローラ130は、記録部21にインクを吐出させる。コントローラ130は、第1残量センサ125から第2信号を受信したことを条件として、報知器25に音を出力させる。コントローラ130は、第1残量センサ125から第2信号を受信したことを条件として、搬送部20および記録部21を停止させる。コントローラ130は、第1残量センサ125から第2信号を受信した後、カバーセンサ73から第2位置信号を受信し、かつ、第2残量センサ126から第3信号を受信し、かつ、カバーセンサ73から第1位置信号を受信したことを条件として、画像記録処理を再開する。
【0085】
[画像記録処理]
次に、コントローラ130の画像記録処理について図10を参照しつつ説明する。
【0086】
コントローラ130は、複合機10と通信可能な情報処理装置から記録媒体5に記録される画像を示す印刷データを受信するまで待機する(S1:No)。情報処理装置としては、例えば、PCが挙げられる。コントローラ130は、印刷データを受信したことを条件に処理をS2に進める(S1:Yes)。S2では、コントローラ130は、第1残量センサ125から第2信号を受信していないことを条件に、処理をS3に進める(S2:No)。
【0087】
S3では、コントローラ130は、搬送部20を駆動させる。これにより、給送トレイ17上の記録媒体5が、給送路71を経由してヘッド21Aの下方へ給送される。次いで、コントローラ130は、ヘッド21Aの複数のノズルから記録媒体5へ向けてインクを吐出させる(S4)。これにより、記録媒体5に画像が記録される。このとき、インクの吐出によってインク貯留室111のインクが消費されると、大気室112および連通流路146を通して空気がインク貯留室111に流入する。このとき、上側流路146Dの第1ストレート部211および第2ストレート部213をそれぞれ水平面で切断した断面積S1は、第1連通口146Aの面積S2よりも大きいので、連通流路146に流入した空気は、スムーズにインク貯留室111へ到達する。次に、コントローラ130は、搬送部20を駆動させることにより、画像が記録された記録媒体5を排出トレイ22に排出させる(S5)。次に、コントローラ130は、記録媒体5に記録されるべき印刷データが残存しているか否かを判断する(S6)。コントローラ130は、記録媒体5に記録されるべき印刷データが残存しないと判断した場合(S6:No)、画像記録処理を終了する。コントローラ130は、記録媒体5に記録されるべき印刷データが残存すると判断した場合(S6:Yes)、処理をS2に戻す。
【0088】
一方、S2において、コントローラ130は、第1残量センサ125から第2信号を受信したことを条件に、処理をS7に進める(S2:Yes)。S7では、コントローラ130は、報知器25に音を出力させる。これにより、ユーザは、ブラックタンク18にインクの補給が必要であることを知ることができるので、ブラックタンク18にインクを補給することができる。次に、コントローラ130は、カバーセンサ73から第2位置信号を受信するまで待機する(S8:No)。コントローラ130は、カバーセンサ73から第2位置信号を受信したことを条件に、処理をS9に進める(S8:Yes)。S9では、コントローラ130は、第2残量センサ126から第3信号を受信するまで待機する(S9:No)。コントローラ130は、第2残量センサ126から第3信号を受信したことを条件に、処理をS10に進める。S10では、コントローラ130は、カバーセンサ73から第1位置信号を受信するまで待機する(S10:No)。コントローラ130は、カバーセンサ73から第1位置信号を受信したことを条件に、処理をS3に戻す(S10:Yes)。
【0089】
ここで、画像記録処理が実行されていない待機状態において、例えば、インク貯留室111の空気が温度によって膨張した場合、インク貯留室111の圧力により、インク貯留室111のインクが連通流路146を通して大気室112へ向けて移動することがある。その結果、インク貯留室111のインクの液面が低下する。このとき、仮に、インク貯留室111のインクの残量が少ない状態からインク貯留室111のインクの液面が低下した場合、ユーザは、インク貯留室111の液面が下印140Aの下端116よりも低くなったと誤認する可能性がある。しかしながら、第1連通口146Aが上下方向7において下印140Aの上端115から所定長さL1分だけ高い位置に位置するので、インク貯留室111のインクは、第1連通口146Aの高さよりも液面が低くなることなく、インク貯留室111に残留する。このため、ユーザは、インク貯留室111の液面が下印140Aの下端116よりも低くなったと誤認することが抑制される。
【0090】
[第1実施形態の作用効果]
複合機10では、インク貯留室111の空気は、例えば、気圧変化や温度変化によって膨張することがある。インク貯留室111の空気が膨張すると、インク貯留室111のインクが連通流路146を通して大気室112へ移動することがある。このとき、第1連通口146Aは、隔壁156の上面よりも高い位置に位置する下印140Aの上端115よりも高い位置に位置するので、インク貯留室111のインクは、液面の高さが第1連通口146Aよりも低くなることなく、インク貯留室111に残留する。したがって、インク貯留室111のインクが連通流路146を通して大気室112へ移動しても、インク貯留室111の液面が下印140Aよりも低くならないので、ユーザが、筐体141における前壁151の前面151Aを通してインク貯留室111の液面を見たときに、インクを補給する必要があると誤って認識することが抑制される。インク貯留室111から連通流路146を通して大気室112へ移動するインクの量が少なくなるので、大気室112を通してブラックタンク18から外部へインクが漏れ出すことが抑制される。
【0091】
複合機10では、第1連通口146Aは、下印140Aの上端115から所定長さL1分だけ高い位置に位置する。このため、インク貯留室111の液面が第1連通口146Aの高さ位置にあっても、ユーザが、筐体141における前壁151の前面151Aを通してインク貯留室111の液面を見たときに、下印140Aの下端116よりも低い位置に液面があると誤って認識することが抑制される。
【0092】
複合機10では、第1連通口146Aは、下印140Aの三角形状の上端115よりも高い位置に位置する。このため、インク貯留室111の液面が下印140Aの下端116よりも低い位置にあると誤って認識しにくい。
【0093】
複合機10では、第1連通口146Aは、一辺の長さが1mm以上10mm以下の長さである長方形である。第1連通口146Aが円形や正方形である場合と比べて、メニスカスが破壊されやすい。このため、ヘッド21Aからインクが吐出されるときに、第1連通口146Aを通して空気がインク貯留室111へ流入しやすいので、ヘッド21Aに負荷がかかりにくい。
【0094】
複合機10では、第1ストレート部211および第2ストレート部213をそれぞれを水平面で切断した断面積S1は、第1連通口146Aの面積S2よりも大きい。このため、インク貯留室111のインクがヘッド21Aから吐出されるときに、大気室112から第2連通口146Bおよび下側流路146Cを通して上側流路146Dに流入した空気がインク貯留室111へ向けて移動しやすい。
【0095】
複合機10では、第2連通口146Bは、大気室112の底面において上向きに開口する。このため、第2連通口146Bに位置するインクには、大気室112から下側流路146Cへ向かう方向に重力が作用するので、例えば、第2連通口146Bが大気室112に下方へ向かって開口する場合に比べて、インク貯留室111のインクが連通流路146を通して大気室112へ移動することが抑制される。連通流路146は、第2連通口146Bから前方へ延びる下側流路146Cと、下側流路146Cから上向きに延びて第1連通口146Aに繋がる上側流路146Dと、を有する。このため、連通流路146は、上方へ延びて下方へ屈曲するような屈曲部分を有しないので、インク貯留室111のインクがヘッド21Aからインクが吐出されるときに、大気室112から連通流路146へ流入した空気がインク貯留室111へ向けて移動しやすい。
【0096】
[変形例]
複合機10では、第1連通口146Aは、下印140Aの上端115から所定長さL1分だけ高い位置に位置したが、下印140Aの下端116よりも高い位置に位置すれば、上記位置に限定されることはない。例えば、第1連通口146Aは、下印140Aの下端116から所定長さL1分だけ高い位置に位置してもよい。また、第1連通口146Aは、5つの目盛り140Cのうちの最も下印140Aに近い位置に位置する目盛り140Cよりも高い位置に位置してもよい。この場合は、ユーザは、インク貯留室111の液面が下印140Aの下端116よりも低い位置にあると誤って認識することがより抑制される。
【0097】
複合機10は、報知部として報知器25を備えたが、報知器25に代えて表示器を備えてもよい。この場合、コントローラ130は、第1残量センサ125から第2信号を受信したことを条件として、報知器25に音を出力させる代わりに、表示器にインクの補給が必要であるメッセージを表示させてもよい。
【0098】
複合機10では、第1ストレート部211および第2ストレート部213をそれぞれを水平面で切断した断面積S1は、第1連通口146Aの面積S2よりも大きかったが、これに限定されることはない。例えば、断面積S1は、面積S2と同じでもよく、面積S2よりも小さくてもよい。
【0099】
複合機10では、連通流路146における下側流路146Cは、第2連通口146Bから前方へ延びたが、第2連通口146Bから水平方向に延びていれば足りる。
【0100】
複合機10では、第2連通口146Bは、大気室112の底面において上向きに開口したが、隔壁156の下面に下向きに開口してもよい。この場合、連通流路146は、第2連通口146Bから第1連通口146Aまで上向きに延びてもよい。
【0101】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。複合機10は、第1残量センサ125を備えたが、第1残量センサ125は、省略されてもよい。この場合、コントローラ130は、記録媒体5に記録されるべき印刷データに基づいてヘッド21Aから吐出されるインクの量の累積をカウント値としてカウントしてもよい。コントローラ130は、カウント値をEEPROM134に記憶する。
【0102】
コントローラ130は、カウント値が第1閾値に到達したことを条件として、報知器25に第1音を出力させる。第1音は、インク貯留室111のインク残量が少ないことを示す音である。なお、コントローラ130は、カウント値が第1閾値に到達したことを条件として、報知器25に代えて、例えば、表示器にインク残量が少ないことを示すメッセージを表示させてもよい。第1閾値は、例えば、上印140Bの上端に液面が位置するときのインク貯留室111のインク量から、一番下の目盛り140Cに液面が位置するときのインク貯留室111のインク量を引いた値に設定される。第1閾値は、EEPROM134に記憶される。
【0103】
コントローラ130は、カウント値が第2閾値に到達したことを条件として、搬送部20および記録部21を停止させ、報知器25に第2音を出力させる。第2閾値は、第1閾値よりも大きい値である。第2閾値は、例えば、上印140Bの上端に液面が位置するときのインク貯留室111のインク量から、下印140Aの下端116に液面が位置するときのインク貯留室111のインク量を引いた値に設定される。第2閾値は、EEPROM134に記憶される。第2音は、インク貯留室111にインクの補給が必要であることを示す音である。なお、コントローラ130は、カウント値が第2閾値に到達したことを条件として、報知器25に代えて、表示器にインクの補給が必要であることを示すメッセージを表示させてもよい。
【0104】
コントローラ130は、カバーセンサ73から第2位置信号を受信した後、第2残量センサ126から第3信号を受信したことを条件として、カウント値をリセットする。カバーセンサ73から第2位置信号を受信した後に受信する第3信号は、リセットコマンドの一例である。
【0105】
第1連通口146Aは、カウント値が第1閾値に到達したときのインク貯留室111の液面の高さよりも高い位置に位置する。言い換えると、第1連通口146Aは、上下方向7において一番下の目盛り140Cよりも高い位置に位置する。
【0106】
次に、第2実施形態におけるコントローラ130の画像記録処理について図11を参照しつつ説明する。
【0107】
コントローラ130は、複合機10と通信可能な情報処理装置から記録媒体5に記録される画像を示す印刷データを受信するまで待機する(S21:No)。コントローラ130は、印刷データを受信したことを条件に処理をS22に進める(S21:Yes)。S22では、コントローラ130は、カウント値が第1閾値以上であるか否かを判断する。コントローラ130は、カウント値が第1閾値未満であると判断した場合(S22:No)、処理をS23に進める。
【0108】
S23では、コントローラ130は、搬送部20を駆動させる。これにより、給送トレイ17上の記録媒体5が、給送路71を経由してヘッド21Aの下方へ給送される。次いで、コントローラ130は、ヘッド21Aの複数のノズルから記録媒体5へ向けてインクを吐出させる(S24)。これにより、記録媒体5に画像が記録される。次に、コントローラ130は、印刷データに基づいて吐出されたインクの量の累積をカウント値としてカウントする(S25)。次に、コントローラ130は、搬送部20を駆動させることにより、画像が記録された記録媒体5を排出トレイ22に排出させる(S26)。
【0109】
次に、コントローラ130は、記録媒体5に記録されるべき印刷データが残存するか否かを判断する(S27)。コントローラ130は、記録媒体5に記録されるべき印刷データが残存しないと判断した場合(S27:No)、処理を終了する。コントローラ130は、記録媒体5に記録されるべき印刷データが残存すると判断した場合(S27:Yes)、処理をS22に戻す。
【0110】
一方、コントローラ130は、カウント値が第1閾値以上であると判断した場合(S22:Yes)、処理をS28に進める。S28では、コントローラ130は、カウント値が第2閾値以上であるか否かを判断する。コントローラ130は、カウント値が第2閾値未満であると判断した場合(S28:No)、処理をS29に進める。S29では、コントローラ130は、報知器25に第1音を出力させ、処理をS23に戻す。これにより、ユーザは、ブラックタンク18のインク残量が少ないことを知ることができるので、ブラックタンク18にインクを補給する準備を行うことができる。
【0111】
一方、コントローラ130は、カウント値が第2閾値以上であると判断した場合(S28:Yes)、処理をS30に進める。S30では、コントローラ130は、報知器25に第2音を出力させる。これにより、ユーザは、ブラックタンク18にインクを補給する必要があることを知ることができるので、ブラックタンク18にインクを補給する。次に、コントローラ130は、カバーセンサ73から第2位置信号を受信するまで待機する(S31:No)。コントローラ130は、カバーセンサ73から第2位置信号を受信したことを条件に、処理をS32に進める(S31:Yes)。S32では、コントローラ130は、第2残量センサ126から第3信号を受信するまで待機する(S32:No)。コントローラ130は、第2残量センサ126から第3信号を受信したことを条件に、処理をS33に進める。S33では、コントローラ130は、カウント値をリセットする。次に、コントローラ130は、カバーセンサ73から第1位置信号を受信するまで待機する(S34:No)。コントローラ130は、カバーセンサ73から第1位置信号を受信したことを条件に、処理をS22に戻す(S34:Yes)。
【0112】
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態の複合機10では、第1連通口146Aは、報知器25が第1音を出力するときの液面の高さよりも高い位置に位置する。このため、画像記録処理が実行されていない状態において、インク貯留室111のインクが連通流路146を通して大気室112へ向けて移動しても、インク貯留室111の液面は、報知器25から第1音が出力されるときの液面の高さよりも低くならない。したがって、ユーザは、インク貯留室111の液面を見たときに、インク貯留室111のインク残量が少なくなったと誤認することが抑制される。
【符号の説明】
【0113】
11・・・プリンタ部(液体消費装置)
18・・・ブラックタンク(タンク)
19・・・3色タンク(タンク)
21・・・記録部(液体消費部)
25・・・報知器(報知部)
104・・・キャップ
111・・・インク貯留室(液体貯留室)
112・・・大気室(大気連通室)
115・・・上端
130・・・コントローラ
140・・・印
140A・・・下印140A
140C・・・複数の目盛り
143・・・注入口
146・・・連通流路
146A・・・第1連通口
146B・・・第2連通口
146C・・・下側流路(下側部分)
146D・・・上側流路(上側部分)
151・・・前壁(外壁)
151A・・・前面(視認面)
156・・・隔壁
h1・・・最も高い部位
h2・・・最も低い部位
L1・・・所定長さ(長さ)
S1・・・断面積
S2・・・面積

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11