(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166582
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
A63F5/04 620
A63F5/04 651
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082769
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 完
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518AA06
2C518CA03
2C518CA10
2C518EA01
2C518EB07
2C518EC15
(57)【要約】
【課題】遊技の興趣を向上させる。
【解決手段】少なくとも初期設定された前記上限回数が異なる第1遊技モード(「通常A」、「通常B」、「チャンス」)と第2遊技モード(「通常A」、「通常B」、「チャンス」)とに制御可能な遊技モード制御手段(主制御装置10)と、前記第1遊技モードに制御されているときに前記有利状態に制御されるとともに、前記有利状態の後に前記第1遊技モードに制御される場合は、前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも前記有利状態の後に制御される前記第1遊技モードの前記上限回数のほうが少なくなるように、前記有利状態の後に制御される前記第1遊技モードの前記上限回数を設定可能(
図11のS11,S12)な上限回数設定手段(主制御装置10)と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームの回数が上限回数に達したときに有利状態に制御可能な遊技機において、
少なくとも初期設定された前記上限回数が異なる第1遊技モードと第2遊技モードとに制御可能な遊技モード制御手段と、
前記第1遊技モードに制御されているときに前記有利状態に制御されるとともに、前記有利状態の後に前記第1遊技モードに制御される場合は、前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも前記有利状態の後に制御される前記第1遊技モードの前記上限回数のほうが少なくなるように、前記有利状態の後に制御される前記第1遊技モードの前記上限回数を設定可能な上限回数設定手段と、を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記上限回数設定手段は、
前記第1遊技モードに制御されているときに前記有利状態に制御されるとともに前記有利状態の後に前記第2遊技モードに制御され、かつ前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも前記第2遊技モードで初期設定された前記上限回数のほうが多い場合は、前記有利状態の後に制御される前記第2遊技モードの前記上限回数が前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも少なくなるように、前記有利状態の後に制御される前記第2遊技モードの前記上限回数を設定可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記上限回数設定手段は、
前記第1遊技モードに制御されているときに前記有利状態に制御されるとともに前記有利状態の後に前記第2遊技モードに制御され、かつ前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも前記第2遊技モードで初期設定された前記上限回数のほうが少ない場合は、前記第2遊技モードの前記上限回数を異なる前記上限回数に設定しない
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記有利状態に制御するかを決定する決定手段を備え、
前記遊技モード制御手段は、
前記第1遊技モードに制御されているときに、ゲームの回数が前記上限回数より少ない所定回数に達するまでに前記決定手段により前記有利状態に制御することが決定された場合は、前記第1遊技モードよりも初期設定された前記上限回数が少ない第3遊技モードに前記有利状態の後に制御可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記上限回数設定手段により設定された前記上限回数に関する特定報知を実行可能な報知手段を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項6】
前記報知手段は、
前記有利状態が終了したときに前記特定報知を実行可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の識別情報を変動表示可能な変動表示装置を備え、変動表示装置での変動表示を伴う変動表示ゲームを実行するとともに、遊技者の停止操作により変動表示を停止させることで変動表示ゲームの結果を導出させ、導出された変動表示ゲームの結果に応じて、遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生させるようにした遊技機が知られている。
【0003】
この種の遊技機において、通常遊技状態に天井ゲーム数(上限回数)を設け、当該天井ゲーム数(500ゲームなど)に到達した場合に、通常遊技状態よりも遊技者に有利な有利状態に制御する遊技機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような従来の遊技機には、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の遊技機は、ゲームの回数が上限回数に達したときに有利状態に制御可能な遊技機において、少なくとも初期設定された前記上限回数が異なる第1遊技モードと第2遊技モードとに制御可能な遊技モード制御手段と、前記第1遊技モードに制御されているときに前記有利状態に制御されるとともに、前記有利状態の後に前記第1遊技モードに制御される場合は、前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも前記有利状態の後に制御される前記第1遊技モードの前記上限回数のほうが少なくなるように、前記有利状態の後に制御される前記第1遊技モードの前記上限回数を設定可能な上限回数設定手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】各リールにおける図柄の配置を説明するための図である。
【
図4】主制御装置での役の抽選を行う際に用いられる内部抽選テーブルを示す図表である。
【
図5】各役に入賞した際の特典を説明するための図表である。
【
図6】遊技機における遊技状態の遷移を説明するための図である。
【
図7】モード別の天井ゲーム数を示す説明図である。
【
図8】主制御装置における通常遊技状態での疑似ボーナス抽選で用いられる疑似ボーナス抽選テーブルを示す図表である。
【
図9】主制御装置における通常遊技状態での疑似ボーナス種別抽選で用いられる疑似ボーナス種別抽選テーブルを示す図表である。
【
図10】主制御装置における1ゲーム連抽選で用いられる1ゲーム連抽選テーブルを示す図表である。
【
図11】主制御装置におけるモード制御処理の流れを示す図表である。
【
図12】主制御装置におけるモード移行抽選で用いられるモード移行抽選テーブルを示す図表である。
【
図13】主制御装置における天井ゲーム数短縮抽選で用いられる天井ゲーム数短縮抽選テーブルを示す図表である。
【
図14】天井ゲーム数を示唆する短縮ゲーム数示唆ランプによる特定報知の一例を示す説明図である。
【
図15】副制御装置における点灯パターン抽選で用いられる短縮ゲーム数示唆ランプ点灯パターン抽選テーブルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
ここでは、本発明の実施形態にかかる遊技機の適例としてのスロットマシンについて説明を行う。
【0009】
まず、スロットマシン1の全体構成について、
図1~
図2を参照して説明する。
スロットマシン1は、遊技場等に設置されるものである。
図1~
図2に示すように、スロットマシン1は、前扉1a、ベットボタン2a、返却ボタン2c、演出ボタン2d、上部演出ボタン2f、メダル投入口2、スタートレバー3、リール4、停止ボタン5、表示窓6、メダル払出装置7、メダル払出口7b、メイン表示器8、サブ表示器17、スピーカ9、前面パネル19、ランプ11、ナビランプ12、有利区間ランプ13、確率設定装置14、表示器装飾枠15、ドラムユニット4d、外部出力端子18、主制御装置10、副制御装置20を備える。
【0010】
なお、主制御装置10、副制御装置20は、各々に記憶部、制御部が備えられ、各種演算処理、各種制御が可能な装置であり、コンピュータの概念に含まれる。各記憶部は、スロットマシン1の動作に必要なプログラム、情報等を記憶する半導体メモリ素子等の記憶装置を備える。各制御部は、CPU等を備える。各制御部は、各記憶部に記憶された各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、本実施形態の各種機能を実現している。
【0011】
[遊技機の外観を示す概略正面図]
図1に示すように、スロットマシン1の前面には前扉1aが配設される。
前扉1aは、前扉1aの後方側に配設され島設備(図示省略)に取り付けられる本体(図示省略)の一側(前方視左側)に開閉可能に軸着され、片開形式で前方側に開閉可能に構成される。なお、以降、スロットマシン1を手前側から見た状態で左右方向を示す。
【0012】
スロットマシン1を手前側から見た状態で、前扉1aの上部における左右方向の中央の位置にはメイン表示器8が配置される。メイン表示器8は、後述するように演出(演出画像)に係る情報等、複数の情報を表示可能な液晶表示器等から構成され、表示手段を構成する。
前扉1aの上部であってメイン表示器8の前方には、中央に開口部を有する表示器装飾枠15が配設され、メイン表示器8は、表示器装飾枠15の開口部から表示面が前方に臨んだ状態で配設される。
【0013】
メイン表示器8の左右の各々には、スピーカ9が配設され、例えば、メイン表示器8で表示される演出に対応する効果音を出力可能となっている。
また、メイン表示器8の左右の各々には、LED等からなるランプ11が配設され、例えば、役の入賞時の光や、メイン表示器8で表示される演出に対応する発光態様の光を出力可能となっている。
【0014】
メイン表示器8の右側には、操作手段として例示する上部演出ボタン2fが配設される。
上部演出ボタン2fは、前後方向に移動する押圧式のボタンであり、上部演出ボタン2fの押圧操作は、非接触型のセンサ等によって検出されて、上部演出ボタン2fの操作情報として副制御装置20に出力される。また、上部演出ボタン2fの内部には、LED等からなる発光源(図示省略)が備えられ、発光源の発光により上部演出ボタン2fの操作が有効である旨を報知可能にしている。
【0015】
スロットマシン1における前扉1aの上下方向中央には、表面に装飾や各種機能表示が施された平板状の前面パネル19が配設される。
前面パネル19の後方には、変動表示手段としてのリール4を備えたドラムユニット4dが配設される。
また、前面パネル19の略中央には、リール4に付された図柄を前方から視認可能な透光性を有する部材からなる表示窓6が形成される。
【0016】
リール4は、左右方向に並んで配設される左リール4a、中リール4b、右リール4cから構成され、各リール4a~4cの回転軸は左右方向に延在して、回転中心が同一に設定されている。リール4(4a~4c)は、周面に連続する図柄(識別情報)を有し、これらの図柄が表示窓6を透して機外から識別可能に構成され、リール4が一方向に回転することにより、表示窓6内において、例えば、図柄が上から下に変動表示可能となっている。各リール4a~4cには、複数の図柄(例えば21個)が表されていて、図柄の種類は、例えば、「リプレイ」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」、「赤7」、「青7」、「金7」等である。
なお、リール4の形態は、これに限定されず、例えば、周面の図柄の個数は21個以外でもよい。
【0017】
前面パネル19における表示窓6の上部には、後述する停止ボタン5の停止順序を報知可能なナビランプ12a、12b、12cが各リール4a、4b、4cに対応して配設される。
また、前面パネル19における表示窓6の下部左側には、例えば、LEDから構成される有利区間ランプ13が配設される。有利区間ランプ13は、有利区間(後述する)中に点灯するように制御される。なお、スロットマシン1は、有利区間ランプ13に代えて、例えば、メダルの払出数を表示する払出数表示部等を構成する7セグメントディスプレイ(「7セグ」ともいう)に「ドット」部分を設けて、これを点灯するように制御してもよい。
【0018】
前面パネル19における表示窓6(リール4)の右側には、サブ表示器17が配置される。
サブ表示器17は、後述するように演出(演出画像)に係る情報等、複数の情報を表示可能な液晶表示器等から構成され、表示手段を構成する。
また、サブ表示器17は、メイン表示器8よりも表示面積が小さくなっているが、メイン表示器8よりもリール4に近い位置に配設されていて、リール4の回転や停止状態を見ながら、表示されている画像を視認することが容易となっている。
なお、サブ表示器17は、表示窓6(リール4)の左側に設けてもよい。また、サブ表示器17をタッチパネル式の表示器で構成するようにしてもよい。
【0019】
前面パネル19の下方には、前方に突出する段部が形成され、段部の上面にメダル投入口2、操作手段として例示するベットボタン2a、演出ボタン2dが配設されている。
メダル投入口2は、遊技者がメダル(遊技媒体)を投入する部分である。メダル投入口2の内部には、メダル投入口2に投入されたメダルを検出するセンサ等であるメダルセレクタ2b(メダル検出手段)が備えられている。
ベットボタン2aは、ゲームの開始条件となるベット数の入力を遊技者が行うための押圧式のボタンであり、1操作によりスロットマシン1で許容された最大ベット数を入力可能となっている。
【0020】
演出ボタン2dは、上下方向に移動する押圧式のボタンであり、演出ボタン2dの押圧操作は、非接触型のセンサ等によって検出されて、演出ボタン2dの操作情報として副制御装置20に出力される。また、演出ボタン2dの内部には、LED等からなる発光源(図示省略)が備えられ、発光源の発光により対応する演出ボタン2dの操作が有効である旨を報知可能にしている。演出ボタン2dは、前述した上部演出ボタン2fよりもリール4に対して近い位置に配設されている。
【0021】
段部の前面には、スタートレバー3、返却ボタン2cおよび停止操作手段として例示する停止ボタン5が配設される。
スタートレバー3は、ゲームを開始させるために遊技者が操作するレバーであり、ベット数の入力後、スタートレバー3が有効となりゲームが開始可能となる。
返却ボタン2cは、前後方向に移動する押圧式のボタンで構成され、設定されたベット数のキャンセルや、クレジットメダルとして記憶されたメダルの払い出しを行う際に操作されるボタンである。
停止ボタン5は、回転するリール4を停止するためのボタンであり、前後方向に移動する押圧式のボタンで構成され、左リール4a、中リール4b、右リール4cに対応して左停止ボタン5a、中停止ボタン5b、右停止ボタン5cが横方向に所定間隔で配設される。
【0022】
スロットマシン1における前扉1aの下方には、メダル払出装置7から払い出されたメダルが排出されるメダル払出口7bが配設される。
【0023】
[遊技機の制御構成を示すブロック図]
図2は、本実施形態におけるスロットマシン1における制御系のブロック図を示している。
図2に示すように、スロットマシン1には、役の抽選や遊技の進行制御等を行う主制御装置10と、主制御装置10と通信可能に構成され主制御装置10からの制御情報に基づき各種演出制御等を行う副制御装置20と、を備えている。主制御装置10と副制御装置20との制御情報の伝達は、主制御装置10から副制御装置20に対して一方向のみに制限され、副制御装置20から主制御装置10への不正な信号の入力を防止している。
【0024】
主制御装置10は、ベットボタン2a、メダルセレクタ2b、返却ボタン2c、スタートレバー3、停止ボタン5、確率設定装置14(設定手段)、外部出力端子18、メダル払出装置7、ドラムユニット4dおよび有利区間ランプ13と通信ケーブルで接続されており各機器を制御可能となっている。また、主制御装置10には、記憶部(記憶手段)、制御部が備えられている。
【0025】
設定手段としての確率設定装置14は、特定遊技状態(例えば、AT状態)に移行する確率(当選確率)を複数段階(例えば、6段階)に変更することで、遊技者にとっての有利度合いを複数段階で設定変更可能にするもので、主制御装置10は、確率設定装置14における確率設定操作に基づき、特定遊技状態の移行確率を確率の異なる複数の確率値のうちの何れか1つの確率値に設定する処理を行う。
確率設定装置14で設定される設定値は、設定1が最も低い確率値で、大きい数字ほど確率値が高くなり設定6が最も高い確率値となっている。したがって、設定1が最も遊技者に不利な設定(有利度合いが最も低い設定)であり、大きい数字ほど遊技者に有利になり設定6が最も遊技者に有利な設定(有利度合いが最も高い設定)となっている。
【0026】
なお、特定遊技状態の移行確率を確率設定装置14の設定値に影響を受けずに、固定の確率値で制御するようにしてもよい。
また、確率設定装置14における設定値により、CZ状態や疑似ボーナス状態の移行確率を変化させるようにすることで、遊技者の有利度合いを複数段階で変化可能としてもよい。
また、特定遊技状態の他に、所定の小役(例えば、ベル役)の当選確率を複数段階(例えば、6段階)に変更可能にしてもよい。
【0027】
外部出力端子18は、遊技店に設置された管理装置(図示略)や呼出装置(図示略)に対して、スロットマシン1における遊技に関わる情報を出力するもので、スロットマシン1での実行ゲーム数、メダル投入数、メダル払出数、遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、後述する疑似ボーナス状態、AT状態)の発生回数や移行期間等の各種データを収集するための情報を主制御装置10の制御により出力するものである。
【0028】
ドラムユニット4dは、リール4a~4cと、リール4a~4cの各々を回転させるステッピングモータ(図示省略)とを一体的に備えた装置である。
メダル払出装置7は、メダルセレクタ2bに投入されたメダルを払い出し前のメダルとして回収するメダル貯留部(図示省略)を有し、メダル貯留部に貯留されたメダルをメダル払出口7bに払い出す装置である。メダル払出装置7には払い出されたメダルを検出するセンサが備えられる。
メダルセレクタ2bは、メダル投入口2の下流側に備えられ、メダル投入口2から投入されたメダルを検出するセンサが備えられる。
【0029】
主制御装置10の記憶部は、遊技に関する遊技プログラム、小役やAT状態の抽選を行うためのテーブル等の各種情報等を記憶する。
また、主制御装置10は、制御部およびプログラムが記憶された記憶部によって動作し、これにより、スロットマシン1の遊技の進行に関する処理等を行う。
【0030】
主制御装置10は、スタートレバー3からの信号に基づき、ゲームの開始処理や、乱数発生器(図示省略)からの乱数をサンプリングする処理等を行う。そして、サンプリングされた乱数に基づき役の抽選処理を行う。また、記憶部の制御プログラムに従って、例えば、所定タイミングで乱数を更新することで、乱数の生成処理を行い、生成された乱数に基づき、各遊技状態の移行抽選処理等を行う。
【0031】
すなわち、主制御装置10は、ゲームの実行に対応して、小役、疑似ボーナス状態、AT状態等の特典を付与するか否かを抽選(決定)する抽選手段を備えているのである。
また、乱数を使用した抽選パターンは、前述したパターン以外でもよく、ソフト的に生成された乱数に基づき役の抽選を行い、乱数発生器で生成された乱数に基づき疑似ボーナス状態やAT状態の移行抽選、上乗せ抽選等を行うようにしてもよいし、全ての抽選をソフト的に生成された乱数、或いは乱数発生器で生成された乱数で行うようにしてもよい。
【0032】
また、主制御装置10は、スタートレバー3からの信号に基づきリール4の回転制御を行う。主制御装置10は、各リール4a、4b、4cに備えられているセンサ(図示省略)からの信号に基づき、各リール4a、4b、4cの回転位置を検出して、各リール4a、4b、4c上の図柄の回転位置を把握可能となっている。そして、停止ボタン5からの信号に基づき、所望の図柄を表示窓6内に停止させる制御を行う。
【0033】
また、主制御装置10は、スタートレバー3等の操作部の操作に応じて、内部抽選処理等をともなうゲーム進行処理、記憶部に記憶した各種情報の管理、また、メダル払出装置7等の装置を制御することにより、スロットマシン1の遊技を実現する。
【0034】
副制御装置20は、演出ボタン2d、上部演出ボタン2f、スピーカ9、メイン表示器8、ランプ11、ナビランプ12、サブ表示器17と、通信ケーブルで接続されており通信可能である。副制御装置20は、主制御装置10からの制御情報に応じて、これらの装置を制御する。また、副制御装置20には、記憶部、制御部が備えられている。
【0035】
副制御装置20の記憶部は、演出に関するプログラム、演出画像データ、音声データ等の各種情報等を記憶する。
副制御装置20は、制御部およびプログラムが記憶された記憶部によって動作し、主制御装置10からのコマンド(制御情報)に応じて、スロットマシン1の遊技に同期した演出等の処理を行う。例えば、遊技状態の移行を示す演出画像、効果音の出力、ランプ演出等を、メイン表示器8、ランプ11、スピーカ9等を制御して行う。
【0036】
また、副制御装置20は、演出ボタン2d、上部演出ボタン2fからの信号に基づき、各演出の切替タイミングを制御可能となっている。
主制御装置10および副制御装置20のうちの何れか一方或いは両方で、本発明における、第1ゲーム制御手段、第2ゲーム制御手段、第2図柄導出制御手段、変動表示方向制御手段、特典付与決定手段、特典種類決定手段、操作アシスト手段が構成される。
【0037】
[遊技機の基本的な遊技]
次に、
図3~
図5を参照して、主制御装置10による制御により実現するスロットマシン1における基本的な遊技について説明する。
【0038】
まず、ゲームの開始にあたり、メダル投入口2からのメダルを投入、或いはベットボタン2aの操作によりクレジットメダルからベット数の設定を行う。
そして、ベット数が所定数(例えば、3枚)になったときに、ゲームの開始条件の一つが成立して、1回のゲームを実行可能な権利を保有するゲーム開始可能な状態となる。
【0039】
このゲーム開始可能な状態では、スタートレバー3の操作が有効な状態となる。この有効な状態において、スタートレバー3が傾動操作されると、ゲームの開始条件の全てが成立して、ゲームが開始され、複数の図柄の表されたリール4a~4cが変動を開始するとともに、リプレイ役、小役、ボーナス役などの複数の役(ハズレを含む)や、疑似ボーナス状態、AT状態の移行に対する今回ゲームの抽選結果をリール4の停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される。
内部抽選処理では、複数の当選役の中から今回ゲームの当選役を所定の当選確率に基づいて抽選により決定する。例えば、抽選によりリプレイ役やベル役等の抽選結果が導出される。
【0040】
また、主制御装置10は、スタートレバー3からの信号を受信しても、前回のゲームでのリール4の回転開始からの経過時間が所定時間(例えば、4.1秒)経過していない場合には、リール4の回転開始を一時的に待機(待機時間を挿入)させてリール4の回転開始を遅延させることで、単位時間(例えば、1分間)当たりのゲームの実行回数が所定数(例えば、14回)以内となるようにゲーム数を制限する制限制御を行う。すなわち、主制御装置10は、単位時間当たりのゲームの実行回数を所定数以内に制限可能なゲーム数制限手段を備えている。この制御により、1ゲームに要する最短実行時間が所定時間(例えば、4.1秒)に規定されることとなる。
なお、上記最短実行時間を監視する期間は、ゲーム間におけるリール4の回転開始時点を基準に設定する以外でもよく、例えば、停止ボタン5を有効とする時点を基準にしてもよく、単位時間当たりのゲーム回数を監視できれば何れの時点を基準にしてもよい。
【0041】
各リール4a~4cは、表示手段の一例であり、各リール4a~4cの周面には、
図3に示すように、複数の図柄(リプレイ、ベル、スイカ、チェリー、BAR、赤7、青7、金7)が所定の配列で表されており、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。
このような定常回転に達すると、各リール4a~4cに対応して設けられた停止ボタン5a~5cが押圧操作可能な状態となる。
【0042】
この状態で各停止ボタン5a~5cが押圧操作されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄組合せで停止するように、各リール4a~4cが停止制御される。
各リール4a~4cの停止制御は、各々に引き込み範囲が設定されていて、停止操作が行われた時点の図柄から逆回転方向(上方向)にある所定数(例えば、4個)の図柄が引き込み可能となり、この引き込み範囲にある図柄の何れかに限り有効ライン上に停止可能な制御(引込停止制御)となっている。
【0043】
停止状態では、リール4a~4cそれぞれに表された上下方向に連続する3つの図柄が表示窓6から機外に臨むように停止(停止表示)し、このときの停止表示態様に基づいて入賞の有無が判定される。
入賞の判定は、表示窓6内の各リール4の中段図柄を結ぶ中段の入賞ライン上に停止した図柄組合せに基づいて判定される。
【0044】
小役、リプレイ役等の当選役の入賞は、このような入賞ライン上の図柄組合せに基づいて判定される。
小役には、例えば、押し順ベル役、スイカ役、チェリー役、1枚役(以下、共通1枚役と称する)がある。
【0045】
また、押し順ベル役には、6通りある押し順(例えば、「5a→5b→5c」,「5c→5b→5a」など)のうちの1通りの押し順(特定の押し順)によって、停止ボタン5a~5cが操作されることで、対応する図柄組合せ(「ベル・ベル・ベル」)が停止表示される6つの押し順ベル役1~6が設けられている。このような押し順ベル役1~6は、他の5通りの押し順(特定の押し順以外の押し順)によって停止ボタン5a~5cが操作されると、対応する図柄組合せ(「ベル・ベル・ベル」)が停止表示されず、「ベル・ベル・リプレイ」などの他の図柄組合せ(「ベルこぼし目」という)が停止表示されることになる。
【0046】
なお、押し順ベル役に当選したときに、2、3番目に操作する停止ボタン5を問わず、最初に操作する停止ボタン5のみが特定の押し順に従っていれば、押し順ベル役に対応する図柄組合せが停止するようにリール4の停止制御を行うようにしてもよい。また、押し順ベルは、6通りに限らず、3通りの押し順ベル1~3を設けてもよい。
【0047】
スイカ役は、対応する図柄組合せを「スイカ・スイカ・スイカ」とする小役(レア役)である。
チェリー役は、対応する図柄組合せを「チェリー・ANY・ANY」とする小役(レア役)であり、「チェリー」が左リール4aの上段又は下段に停止する弱チェリー役と、「チェリー」が左リール4aの中段に停止する強チェリー役とがある。
【0048】
共通1枚役は、対応する図柄組合せを「ベル・ベル・リプレイ」とする小役である。したがって、共通1枚役の入賞時には上記した「ベルこぼし目」と同様の図柄組合せが停止することとなる。
【0049】
リプレイ役は、対応する図柄組合せを、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」とする役である。
チャンス役は、対応する図柄組合せを、「ベル・スイカ・スイカ」(チャンス目)とする小役であり、スイカ役及びチェリー役とともに、内部抽選処理において当選確率が比較的低い、所謂レア役として設定される。
また、レア役は、当選確率の比較的高い弱チェリー役とスイカ役は弱レア役として設定され、当選確率の比較的高い強チェリー役とチャンス役は強レア役として設定されている。
また、リプレイ役と共通1枚役以外の役は、所定のリールにおける入賞に対応する図柄を狙った停止操作(所謂目押し操作)を要するものとなっていて、当選して引込停止制御が行われた場合でも必ず対応する図柄組合せが停止するものとはなっていない。
【0050】
また、本実施形態のスロットマシン1においては、上記小役の他にボーナス役も当選可能となっている。
ボーナス役は、入賞により遊技状態をボーナス状態に移行させる役であり、ボーナス役の当選により、有効ライン上に特別の図柄組合せ(例えば、「7・BAR・7」)を許容するようにリール4の停止制御が行われ、特別の図柄組合せが有効ライン上に停止してボーナス役が入賞した場合に遊技状態がボーナス状態に移行することとなる。
なお、ボーナス状態中においては、メダルの増減がほぼないように役の抽選が行われるもの(所謂ゼロボ)となっている。
また、ボーナス役の当選権利は、ボーナス役が入賞するまで維持(ボーナス持越し中)され、通常のゲームでは、殆どの期間ボーナス持越し中において実行されることとなる。
【0051】
また、主制御装置10及び副制御装置20は、押し順ベル役に関する遊技状態として、AT(アシストタイム)を発生可能となっている。ATは、押し順ベル役が当選した場合に、当選した押し順ベル役の押し順を、メイン表示器8及びナビランプ12により報知(押し順ナビを実行)する状態である。
したがって、ATの発生により遊技者が容易にメダルを獲得することが可能であり、後述する疑似ボーナス状態とAT状態中に制御される。
【0052】
主制御装置10においては、各ゲームの実行時に所定の乱数の抽出に基づき上記した各役の抽選を行うこととなる。
各役に当選する確率は、
図4に示すように、例えば、確率設定装置14での設定値が設定1であった場合には、リプレイ役は、8982/65536の確率で設定され、共通1枚役は、14400/65536の確率で設定され、弱チェリー役は、650/65536の確率で設定され、強チェリー役は、164/65536の確率で設定され、スイカ役は、919/65536の確率で設定され、チャンス役は、491/65536の確率で設定され、押し順ベル役1~2の各々は、6981/65536の確率で設定され、押し順ベル役3~6の各々は、6492/65536の確率で設定されている。
また、設定2~6での各役の当選確率も、詳細な説明は省略するが図示するような値に設定されている。
【0053】
なお、
図4に示す各役の当選確率は、ボーナス持越し中の値であるが、ボーナス役に当選していない状態(ボーナス非持越し中)においても、同様の当選確率となっている。ただし、ボーナス非持越し中においては、リプレイ役の当選と同時に所定の確率でボーナス役にも当選することとなる。
また、押し順ベル役を押し順の異なる6種類に設定しているが、押し順ベル役を押し順の他に目押し操作を必要とする図柄で構成することで12種類に設定してもよい。
【0054】
そして、上記各役の抽選を伴うゲームの終了時に停止した図柄組合せに基づいて、小役、リプレイ役、ボーナス役の当選がそれぞれ判定され(判定手段)、判定の結果、その図柄組合せが上記それぞれに対応する図柄組合せであるときに、入賞が成立して各入賞の成立に応じた遊技価値(特典)が付与される。
例えば、ベル役、チェリー役、スイカ役などの小役に対応する図柄組合せの停止により、小役入賞の成立が判定され、メダル払出装置7が駆動制御されることにより、メダル払出口7bを介して所定数のメダルが払い出される。
【0055】
具体的には、
図5に示すように、リプレイ役に対応する図柄組合せの停止表示により、リプレイ役の入賞が成立した場合には、次回ゲームにおいてメダルの投入を行うことなく(ベット数の設定なしで)、前ゲームで設定したベット数と同様のベット数でのゲーム(再遊技)が可能となる。
また、共通1枚役、弱チェリー役、強チェリー役、およびチャンス役に対応する図柄組合せが停止表示した場合には、夫々1枚のメダルが払い出される。
また、スイカ役に対応する図柄組合せが停止表示した場合には、6枚のメダルが払い出される。
【0056】
また、押し順ベル役1~2の当選時において、夫々対応する図柄組合せが停止表示した場合には、3枚のメダルが払い出され、押し順ベル役3~6の当選時において、夫々対応する図柄組合せが停止表示した場合には、10枚のメダルが払い出される。
また、押し順ベル役1~6の当選時に、特定の押し順以外の押し順(5通りの押し順)で停止ボタン5a~5cを操作したときには、1枚のメダルが払い出される。
また、押し順ベル役3~6については、後述するAT状態中において、遊技者が保有するメダルが増加するような当選確率および払い出されるメダルの数に設定されている。
なお、各役に対応する図柄組合せが停止表示した場合に払い出されるメダルの数は、上記した枚数以外でもよい。
また、全ての役に対応する図柄組合せを、目押し操作を必要する図柄で構成するようにしてもよいし、目押し操作を必要としない図柄で構成するようにしてもよい。
【0057】
[遊技状態の遷移]
次に、本実施形態におけるスロットマシン1での有利区間における遊技状態の遷移について
図6を参照して説明する。
【0058】
図6に示すように、本実施形態のスロットマシン1の遊技は、通常遊技状態(非AT状態)、疑似ボーナス状態(AT状態)を含む複数の遊技状態において実行される。主制御装置10は、所定の移行条件が成立することに基づいて、一の遊技状態から他の遊技状態へと移行するように制御可能となっている。
【0059】
また、本実施形態の主制御装置10は、上記遊技状態とは別に、遊技区間として通常区間(非有利区間)および有利区間のいずれかに制御することが可能な区間制御手段を備えている。
通常区間は、押し順ナビが実行されることのない遊技区間であり、有利区間が終了された後、次ゲームが開始されることで開始され、有利区間移行条件が成立することで終了される。また、主制御装置10のリセット時にも通常区間に制御される。
通常区間では、有利区間ランプ13は消灯状態に制御される。
【0060】
また、通常区間では、有利区間移行条件が成立すること、例えば、内部抽選において所定の役(例えば、共通1枚役以外の役)に当選することで、有利区間に移行させることが決定される。
なお、有利区間への移行時期は、上記した時期以外でもよく、例えば、有利区間移行条件が成立したゲームの終了時点(最後に操作した停止ボタン5の押圧操作を終了した瞬間等)でもよい。この場合、次ゲームが開始される前から有利区間に移行することとなる。
【0061】
有利区間は、押し順ナビが実行されることのある遊技区間であり、押し順ナビが実行され得ることで通常区間に比較して遊技者にとって有利な遊技区間である。
押し順ナビは、例えば、メイン表示器8によるナビ画像の表示やスピーカ9からのナビ音声の出力により実行される。遊技者は、ナビ画像やナビ音声にしたがって停止ボタン5の操作を行うことにより役(本実施形態では押し順ベル役)を入賞させるうえで有利に遊技を進めることが可能になる。
したがって、有利区間は、遊技者に有利な停止操作に関する特定情報であるナビ画像やナビ音声をメイン表示器8やスピーカ9により報知可能な遊技区間ということができる。
換言すると、主制御装置10は、押し順ナビが実行されることにより遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な有利区間に制御可能な有利区間制御手段を含むといえる。
また、有利区間は、通常区間において有利区間移行条件が成立した後、次ゲームが開始されることで開始され、所定の有利区間終了条件が成立することで終了される。
有利区間では、有利区間ランプ13は点灯状態に制御される。
なお、有利区間への移行後、押し順ナビの実行により遊技者が保有するメダル数が増加する遊技状態(例えば、AT状態)となった時点で、有利区間ランプ13の点灯状態を開始してもよい。
【0062】
また、有利区間は、当該有利区間中における有利区間の終了条件の成立に基づき、通常区間に移行するものとなっている。
有利区間の終了条件としては、例えば、スロットマシン1(主制御装置10)がリセット(設定変更時も含む)された場合等が例示される。
【0063】
さらに、スロットマシン1には、遊技者が獲得するメダル数を制限するためのリミッタ機能(以降単にリミッタという)が設けられていて、リミッタが作動した場合にも有利区間の終了条件が成立するものとなっている。
例えば、1回の有利区間における差枚数(払い出されたメダル数―投入されたメダル数)が上限枚数(例えば、+2400枚)に達した場合にリミッタが作動するものとなっている。
【0064】
また、リミッタの作動条件として、上記以外に1回の有利区間におけるゲーム数(有利区間ゲーム数)が上限ゲーム数(例えば、4000ゲーム)に達した場合を設定するようにしている。
したがって、リミッタは、1回の有利区間における差枚数が上限枚数に達した場合、あるいは1回の有利区間におけるゲーム数が上限ゲーム数に達した場合のいずれかが成立した場合に作動することとなる。
なお、本実施形態では、基本的には疑似ボーナスが終了してもリミッタ作動まで有利区間は継続するものとなっているが、疑似ボーナス終了時の一部で有利区間の終了条件を成立させるようにしてもよいし、疑似ボーナス終了時の差枚数に応じて有利区間を終了するか否かを決定するようにしてもよい。
また、リミッタの作動条件を、1回の有利区間における差枚数が上限枚数に達した場合のみに設定し、1回の有利区間におけるゲーム数に上限ゲーム数を設けないようにしてもよい。
そして、上記した何れかの有利区間の終了条件が成立した場合に有利区間が終了するものとしてもよい。
【0065】
また、本実施形態のスロットマシン1には、遊技者が獲得するメダル数を制限するための機能として上記リミッタ機能の他に、スロットマシン1の電源が投入されてから遮断されるまでに遊技者側が実際に獲得するメダル数(純増枚数)を制限する所謂コンプリート機能(単にコンプリートともいう)も設けていて、スロットマシン1の電源が投入されてから遮断されるまでの純増枚数が所定数(コンプリート値である+19000枚)に達した場合に、ゲーム実行不能状態として、その後のゲームが不能となる遊技停止状態にするようにしている。
したがって、遊技店の営業中において、遊技者側が獲得するメダル数が制限されることとなるのである。
また、遊技店の営業中に、1回の有利区間中における差枚数が極めて小さい値となっていて、リミッタ機能が作動するまでに極めて多数のメダルを遊技者が獲得可能な状態となっていても、リミッタ機能が作動するまでにコンプリート機能が先に作動することとなり、差枚数が極めて小さい値となっていた場合でも、遊技店側の不利益が極めて大きくなってしまうことを防止可能となるのである。
【0066】
(通常遊技状態)
通常遊技状態は、スロットマシン1の主制御装置10がリセットされた場合に滞在する遊技状態であり、遊技者にとっては不利な状態である。
図6に示すように、主制御装置10は、通常遊技状態に滞在中には、CZ状態への移行抽選処理を行う。
スロットマシン1の主制御装置10がリセットされた場合等の通常遊技状態においては、遊技区間が通常区間に制御されていて、通常遊技状態中における有利区間移行条件が成立した場合に遊技区間が通常区間から有利区間に移行する。ただし、主制御装置10がリセットされた場合には、ボーナス非持越し中であるので、次ゲームが実行されても遊技状態は通常遊技状態を維持することとなる。
【0067】
・通常遊技状態から疑似ボーナス状態への移行処理(
図6の矢印a)
[モード別天井]
本実施形態のスロットマシン1では、通常遊技状態におけるゲームの上限回数が定められている。主制御装置10は、通常遊技状態におけるゲームの回数が上限回数に達した場合に疑似ボーナス状態への移行の権利を付与する。
すなわち、スロットマシン1は、ゲームの回数が上限回数に達したときに疑似ボーナス状態(有利状態)に制御可能である。以下、当該上限回数を「天井」又は「天井ゲーム数」と称することがある。
【0068】
スロットマシン1では、主制御装置10によるモード管理により通常遊技状態における天井ゲーム数が管理されている。そして、初期設定された天井ゲーム数が異なる複数種類の遊技モードが設けられている。
すなわち、主制御装置10は、少なくとも初期設定された上限回数が異なる第1遊技モードと第2遊技モードとに制御可能な遊技モード制御手段を含む。
【0069】
図7は、初期設定された天井ゲーム数(以下、初期天井ゲーム数とも称する)が異なる複数種類の遊技モードと、モード別の天井ゲーム数を示す。
遊技モードとして、「通常A」、「通常B」、「チャンス」、「天国」の4種類の遊技モードが設けられている。
「通常A」は天井ゲーム数が768ゲーム、「通常B」は天井ゲーム数が512ゲーム、「チャンス」は天井ゲーム数が256ゲーム、「天国」は天井ゲーム数が32ゲームに設定されている。
そして、本実施形態では、これら天井ゲーム数に到達したゲームの次ゲームに疑似ボーナス状態に移行する。なお、天井ゲーム数に到達した後に所定ゲーム数にわたる前兆状態に移行させ、前兆状態において疑似ボーナス状態に移行することを示唆してから疑似ボーナス状態に移行させてもよい。
【0070】
詳しくは後述するように、本実施形態では、「天国」以外の遊技モードで疑似ボーナスへの移行抽選に当選し、当該疑似ボーナス状態の終了後に「天国」以外の遊技モードに移行する場合は、前回の天井ゲーム数(移行抽選に当選した時点でのゲーム数ではない)から1以上減算された回数が次回遊技モードの天井ゲーム数となる。
【0071】
そして、スロットマシン1は、疑似ボーナスの連荘(終了後に即座に連荘する1ゲーム連)でメダルを増加させやすいゲーム性を有している。また、遊技モードが「天国」に移行しない限りは天井ゲーム数が徐々に少なくなっていくので遊技を中止しにくくなる。そして、「チャンス」は比較的低い天井ゲーム数に設定されており、「天国」よりもループ率が高いため、「チャンス」に滞在する場合の方が、「天国」に滞在する場合よりもメダル獲得への期待感が得られることがある。
【0072】
[疑似ボーナス抽選]
通常遊技状態では、主制御装置10は、ゲーム毎に疑似ボーナス状態への移行抽選処理(以下、疑似ボーナス抽選と称する)を行う。すなわち、主制御装置10は、疑似ボーナス状態(有利状態)に制御するかを決定する決定手段を含む。
【0073】
図8は、通常遊技状態中において、主制御装置10における疑似ボーナス抽選時に用いられる疑似ボーナス抽選テーブルを示している。図中において、抽選結果が「当り」を示す場合に疑似ボーナス状態への移行の権利が付与される。なお、「通常A」と「通常B」のみ共通の抽選テーブルが用いられ、その他の遊技モードはそれぞれ異なる抽選テーブルが用いられる。
疑似ボーナス抽選は、ゲームの実行時(ゲーム開始時もしくはゲーム終了時、以下同様)に抽出される乱数値(抽出範囲を256種類とする乱数値)と、遊技モードの種別と、役の抽出結果とに基づき実行される。
【0074】
図8(a)は、遊技モードが「通常A」又は「通常B」のときに用いられる疑似ボーナス抽選テーブルである。
図8(a)に示すように、例えば、「通常A」又は「通常B」であるときに、非レア役(弱レア役又は強レア役以外の抽選結果)に決定された場合は、255/256の確率でハズレとなり、1/256の確率で当りとなるように制御される。
また、弱レア役及び強レア役については説明を省略するが、図示の確率でハズレ又は当りになるように制御される。
【0075】
図8(b)は、遊技モードが「チャンス」のときに用いられる疑似ボーナス抽選テーブルである。
図8(b)に示すように、例えば、「チャンス」であるときに、非レア役に決定された場合は、255/256の確率でハズレとなり、1/256の確率で当りとなるように制御される。
また、弱レア役及び強レア役については説明を省略するが、図示の確率でハズレ又は当りになるように制御される。
【0076】
図8(c)は、遊技モードが「天国」のときに用いられる疑似ボーナス抽選テーブルである。
図8(c)に示すように、例えば、「天国」であるときに、非レア役に決定された場合は、250/256の確率でハズレとなり、6/256の確率で当りとなるように制御される。
また、弱レア役及び強レア役については説明を省略するが、図示の確率でハズレ又は当りになるように制御される。
【0077】
以上のように、「チャンス」のときは「通常A」、「通常B」、「天国」よりも疑似ボーナス抽選に当選しにくい構成となっている。しかし、「チャンス」がループしたときは、天井ゲーム数の減算により他の遊技モードよりも少ない天井ゲーム数がループする可能性があるため、疑似ボーナス抽選に当選しにくくても、疑似ボーナスを含めた利益獲得への期待感を高めることができる。
【0078】
[疑似ボーナス種別抽選]
主制御装置10は、疑似ボーナス状態への移行の権利が付与された場合(疑似ボーナス抽選の当選したとき及び天井ゲーム数に到達したときの両方を含む)に疑似ボーナス状態の種別を決定する疑似ボーナス種別抽選を行う。
本実施形態では、疑似ボーナス種別として、20ゲームで終了するRBと、70ゲームで終了するBBとが設けられている。
【0079】
図9は、主制御装置10における疑似ボーナス種別抽選で用いられる疑似ボーナス種別抽選テーブルを示している。
疑似ボーナス種別抽選は、ゲームの実行時に抽出される乱数値(抽出範囲を256種類とする乱数値)と、遊技モードの種別と、疑似ボーナスへの移行の契機とに基づき実行される。
【0080】
図9(a)は、非レア役に決定されて疑似ボーナス抽選に当選したときに用いられる疑似ボーナス種別抽選テーブルである。
図9(a)に示すように、例えば、非レア役に決定されて疑似ボーナス抽選に当選したときに遊技モードの種別が「通常A」である場合は、128/256の確率でRBとなり、128/256の確率でBBとなるように制御される。
また、「通常B」、「チャンス」、「天国」については説明を省略するが、図示の確率でRB又はBBになるように制御される。
【0081】
図9(b)は、レア役に決定されて疑似ボーナス抽選に当選したときに用いられる疑似ボーナス種別抽選テーブルである。
図9(b)に示すように、例えば、レア役に決定されて疑似ボーナス抽選に当選したときに遊技モードの種別が「通常A」である場合は、128/256の確率でRBとなり、128/256の確率でBBとなるように制御される。
また、「通常B」、「チャンス」、「天国」については説明を省略するが、図示の確率でRB又はBBになるように制御される。
【0082】
図9(c)は、天井ゲーム数に到達して疑似ボーナスに移行するときに用いられる疑似ボーナス種別抽選テーブルである。
図9(c)に示すように、例えば、天井に到達したときに遊技モードの種別が「通常A」である場合は、160/256の確率でRBとなり、96/256の確率でBBとなるように制御される。
また、「通常B」、「チャンス」、「天国」については説明を省略するが、図示の確率でRB又はBBになるように制御される。
【0083】
なお、本実施形態では、天井ゲーム数に到達した場合と他の契機(非レア役又はレア役に決定されて疑似ボーナス抽選に当選したとき)とが重複する場合は、当該他の契機に対応する抽選テーブルを参照するが、天井ゲーム数の到達に対応する抽選テーブルを参照してもよいし、抽選自体を行わずに、BB又はRBのいずれかの種別が確定するようにしてもよい。
【0084】
また、疑似ボーナスへの移行契機ごとにBB及びRBの移行傾向を異ならせてもよい。
【0085】
[1ゲーム連抽選]
主制御装置10は、疑似ボーナス状態が終了したゲームの次ゲームに再度疑似ボーナス状態に移行させるか否かを決定する1ゲーム連抽選を疑似ボーナス状態中に実行する。すなわち、1ゲーム連抽選は疑似ボーナス状態を連荘させるか否かを決定する。
【0086】
図10は、主制御装置10における1ゲーム連抽選時に用いられる1ゲーム連抽選テーブルを示している。なお、図中の「G」は「ゲーム」を示す。
1ゲーム連抽選は、ゲームの実行時に抽出される乱数値(抽出範囲を256種類とする乱数値)と、疑似ボーナス状態に移行する前の遊技モードの種別と、役の抽出結果とに基づき実行され、疑似ボーナス状態への再移行の権利を付与するか否かを決定する。
【0087】
「疑似ボーナス状態移行前の遊技モード」とは疑似ボーナス状態が連荘した場合には連荘前に移行していた遊技モードを示す。よって、例えば、通常遊技状態→BB→RB(1ゲーム連荘)→BB(1ゲーム連荘)→BB(1ゲーム連荘)→通常遊技状態の順序で遊技状態が移行した場合は、最初のBB開始前の遊技モードを参照する。
【0088】
なお、疑似ボーナス状態中に1ゲーム連抽選に複数回当選した場合は、疑似ボーナス状態への再移行の権利が複数記憶される。そして、疑似ボーナス状態中に1ゲーム連抽選に複数回当選した場合は、全ての権利が放出されるまで疑似ボーナス状態に移行し続ける。本実施形態では、1ゲーム連抽選に当選して疑似ボーナス状態への再移行の権利が記憶された状態を1ゲーム連のストックと称し、その権利数を1ゲーム連のストック数と称する。
【0089】
図10(a)は、疑似ボーナス状態中に弱レア役に当選したときに用いられる1ゲーム連抽選テーブルを示している。
図10(a)に示すように、例えば、疑似ボーナス状態中に弱レア役に当選し、かつ疑似ボーナス状態に移行する前の遊技モードの種別が「通常A」である場合は、254/256の確率でハズレとなり、1/256の確率でRBとなり、1/256の確率でBBとなるように制御される。
また、「通常B」、「チャンス」、「天国」については説明を省略するが、図示の確率でRB又はBBになるように制御される。
【0090】
図10(b)は、疑似ボーナス状態中に強レア役に当選したときに用いられる1ゲーム連抽選テーブルを示している。
図10(b)に示すように、例えば、強レア役に当選し、かつ疑似ボーナス状態に移行する前の遊技モードの種別が「通常A」である場合は、252/256の確率でハズレとなり、2/256の確率でRBとなり、2/256の確率でBBとなるように制御される。
また、「通常B」、「チャンス」、「天国」については説明を省略するが、図示の確率でRB又はBBになるように制御される。
【0091】
以上のように制御することによって、BB又はRBのいずれがストックされたかによって、疑似ボーナス状態に移行する前の遊技モードの種別を推測することが可能になり、遊技の興趣を高めることができる。
【0092】
(疑似ボーナス状態)
疑似ボーナス状態は、当該疑似ボーナス状態中のゲームにおいて、主制御装置10によるナビランプ12の点灯制御及び副制御装置20によるメイン表示器8の表示制御により、遊技者に有利な操作態様の報知として、押し順ベル役に対する押し順ナビが実行されることで、メダルの獲得が容易な遊技状態である。このため、疑似ボーナス状態は遊技者に有利な有利状態といえる。
【0093】
・疑似ボーナス状態から通常遊技状態への移行処理(
図6の矢印b)
疑似ボーナス状態は、RBの場合は20ゲーム消化されると終了し、BBの場合は70ゲーム消化されると終了する。そして、疑似ボーナス状態の終了後は、主制御装置10により遊技状態が通常遊技状態に制御される。
以上のように、主制御装置10による遊技状態の移行制御が行われる。
【0094】
[モード制御処理]
次に、本実施形態における遊技モードの移行について説明する。上述したように、本実施形態では、遊技モードとして、「通常A」、「通常B」、「チャンス」、「天国」が設けられている。そして、主制御装置10は、
図11に示すモード制御処理を実行することにより遊技モードの制御を行う。
【0095】
図11に示すように、モード制御処理では、主制御装置10は、まず、疑似ボーナス状態の終了時であるか否かを判定する(S1)。すなわち、疑似ボーナス状態が終了したかを判定する。疑似ボーナス状態の終了時でない場合(S1:NO)は処理を終了する。
【0096】
疑似ボーナス状態の終了時である場合(S1:YES)は、疑似ボーナス状態の1ゲーム連が無いか否かを判定する(S2)。すなわち、1ゲーム連がストックされていないか否かを判定する。疑似ボーナス状態の1ゲーム連がある場合(S2:NO)は処理を終了する。
【0097】
疑似ボーナス状態の1ゲーム連が無い場合(S2:YES)は特定条件が非成立であるか否かを判定する(S3)。本実施形態では、特定条件は「通常遊技状態で疑似ボーナス抽選に当選したときに、「天国」以外の遊技モードであり、かつ32ゲーム以内である」ことである。
【0098】
そして、特定条件が非成立でない場合(S3:NO)は天国モード設定処理(S6)に進む。すなわち、通常遊技状態で疑似ボーナス抽選に当選したときに、「天国」以外の遊技モードであり、かつ32ゲーム以内である場合は天国モード設定処理(S6)に進む。
【0099】
また、特定条件が非成立である場合(S3:YES)はモード抽選処理(S4)に進む。すなわち、通常遊技状態で疑似ボーナス抽選に当選したときに、「天国」であるか又は「天国」以外の遊技モードであり、32ゲーム以内でない場合はモード抽選処理(S4)に進む。
【0100】
モード抽選処理(S4)では、後述する
図12に示すモード移行抽選テーブルを用いて、疑似ボーナス状態の後に移行させる遊技モードを決定するためのモード移行抽選を実行する。
【0101】
次いで、モード移行抽選により決定した移行先の遊技モードが「天国」であるか否かを判定する(S5)。移行先の遊技モードが「天国」でない場合(S5:NO)は所定モード設定処理(S8)に進む。移行先の遊技モードが「天国」である場合(S5:YES)は天国モード設定処理(S6)に進む。
【0102】
天国モード設定処理(S6)では、疑似ボーナス状態が終了した後の遊技モードを「天国」に設定する処理を実行する。具体的には、「天国」に対応する遊技モードフラグをセットする。
【0103】
次いで、天井ゲーム数設定処理を実行する(S7)。具体的には、天井ゲーム数をカウントする天井ゲーム数カウンタに「天国」に対応する天井ゲーム数である「32」をセットする(
図7参照)。天井ゲーム数設定処理を実行し終えると処理を終了する。
【0104】
なお、主制御装置10は、天井ゲーム数カウンタにセットされたゲーム数を通常遊技状態でのゲーム毎に「1」減算する。そして、天井ゲーム数カウンタが「0」になったか否かを判定することによって天井ゲーム数に到達したか否かを判定する。
なお、本実施形態では有利区間の終了時及び設定変更時に天井ゲーム数をリセットする構成としているが、これらの契機以外の契機にリセットしてもよい。
【0105】
また、本実施形態では、天井ゲーム数カウンタの値を減算する例を挙げているが、ゲーム毎に天井ゲーム数カウンタの値をゲーム毎に「1」加算し、天井ゲーム数カウンタの値が天井ゲーム数になったか否かを判定することによって天井ゲーム数に到達したか否かを判定してもよい。
【0106】
所定モード設定処理(S8)では、モード抽選処理(S4)で決定した遊技モードに設定する。具体的には、モード抽選処理(S4)で決定した遊技モードに対応する遊技モードフラグをセットする。
【0107】
次いで、遊技モードの移行条件が成立したか否かを判定する(S9)。すなわち、疑似ボーナス状態に移行する前と異なる遊技モードに移行するかを判定する。
具体的には、所定モード設定処理(S8)でセットした遊技モードフラグと、疑似ボーナス状態の前に設定されていた遊技モードフラグとを比較することによって、疑似ボーナス状態の前と異なる遊技モードに移行するか否かを判定する。
例えば、疑似ボーナス状態の前は「通常A」であり、疑似ボーナス状態の後は「通常B」である場合は、疑似ボーナス状態の前と異なる遊技モードに移行するので、遊技モードの移行条件が成立したと判定される。
【0108】
遊技モードの移行条件が成立していない場合(S9:NO)は天井ゲーム数短縮抽選処理に進む(S11)。
【0109】
遊技モードの移行条件が成立した場合(S9:YES)は、今回遊技モードの初期天井ゲーム数(疑似ボーナス状態の後に移行する遊技モードの初期天井ゲーム数(
図7参照))が、前回遊技モードの天井ゲーム数(疑似ボーナス状態の移行前に滞在していた遊技モードの天井ゲーム数)以上であるか否かを判定する(S10)。
例えば、疑似ボーナス状態の前は「通常A」で天井ゲーム数が500ゲームであり、疑似ボーナス状態の後は初期天井ゲーム数が512ゲームの「通常B」に移行する場合は、今回遊技モードの初期天井ゲーム数が前回遊技モードの天井ゲーム数以上である(S10:YES)と判定される。
一方、疑似ボーナス状態の前は「通常A」で天井ゲーム数が600ゲームであり、疑似ボーナス状態の後は初期天井ゲーム数が512ゲームの「通常B」に移行する場合は、今回遊技モードの初期天井ゲーム数が前回遊技モードの天井ゲーム数以上でない(S10:NO)と判定される。
【0110】
そして、今回遊技モードの初期天井ゲーム数が前回遊技モードの天井ゲーム数以上でない場合(S10:NO)は天井ゲーム数設定処理(S12)に進む。
また、今回遊技モードの初期天井ゲーム数が前回遊技モードの天井ゲーム数以上である場合(S10:YES)は天井ゲーム数短縮抽選処理(S11)に進む。
【0111】
天井ゲーム数短縮抽選処理(S11)では、後述する
図13に示す天井ゲーム数短縮抽選テーブルを用いて、短縮する天井ゲーム数(以下、短縮ゲーム数とも称する)を決定するための天井ゲーム数短縮抽選を実行する。天井ゲーム数短縮抽選は疑似ボーナス状態に当選したときの遊技モードに基づいて実行される。
【0112】
次いで、天井ゲーム数設定処理(S12)に進む。天井ゲーム数設定処理(S12)では、天井ゲーム数設定処理(S7)と同様の処理により天井ゲーム数カウンタに天井ゲーム数をセットして天井ゲーム数を設定するが、設定する天井ゲーム数は以下の(1)~(3)のいずれの状況であるかに基づいて決定する。
【0113】
(1)疑似ボーナス状態の前後で遊技モードの移行がない場合(疑似ボーナス状態の前後で同一の遊技モードに移行する場合)。
(2)疑似ボーナス状態の前後で遊技モードの移行があり、かつ疑似ボーナス状態の移行前に滞在していた遊技モードの天井ゲーム数よりも、移行先の遊技モードの初期天井ゲーム数のほうが大きいか又は同一ゲーム数である場合。
(3)疑似ボーナス状態の前後で遊技モードの移行があり、かつ疑似ボーナス状態の移行前に滞在していた遊技モードの天井ゲーム数よりも、移行先の遊技モードの初期天井ゲーム数のほうが小さい場合。
【0114】
そして、上記(1)又は(2)の状況である場合は、疑似ボーナス状態の移行前に滞在していた遊技モードの天井ゲーム数から、天井ゲーム数短縮抽選処理(S11)で決定した短縮ゲーム数を減算したゲーム数を移行先の遊技モードの天井ゲーム数として設定する。
また、上記(3)の状況である場合は、天井ゲーム数短縮抽選処理(S11)で決定した短縮ゲーム数を反映することなく、移行先の遊技モードの初期天井ゲーム数を天井ゲーム数として設定する。
【0115】
このように、疑似ボーナス状態の後の天井ゲーム数は疑似ボーナス状態の前の天井ゲーム数よりも少なくなる。よって、同一の天井ゲーム数がループすることを防止できるため、遊技の意欲が減退することを防止できる。また、天井ゲーム数が徐々に少なくなっていくため、遊技を中止にしにくくなる。このため、スロットマシン1の稼働率を高めることができる。
【0116】
なお、疑似ボーナス状態の後に移行する遊技モードの初期天井ゲーム数が疑似ボーナス状態の移行前に滞在していた遊技モードの天井ゲーム数以上である場合は、疑似ボーナス状態の後に移行する遊技モードの初期天井ゲーム数が疑似ボーナス状態の移行前に滞在していた遊技モードの天井ゲーム数よりも小さくなるまで、天井ゲーム数短縮抽選を繰り返してもよい。
【0117】
また、天井ゲーム数に達する前に疑似ボーナス抽選に当選した場合は、疑似ボーナス抽選に当選した時点でのゲーム数未満のゲーム数を移行先の遊技モードでの天井ゲーム数として設定してもよい。
例えば、「通常A」での天井ゲーム数が600ゲームであるときに、300ゲームを消化した時点でレア役に当選するとともに疑似ボーナス抽選に当選したとする。そして、疑似ボーナス状態後に「通常A」又は「通常B」に移行する場合に、299ゲーム以下のゲーム数を次回の天井ゲーム数として設定する。この場合の天井ゲーム数の設定方法としては、例えば、疑似ボーナス抽選に当選したゲーム数未満の天井ゲーム数となるまで、天井ゲーム数短縮抽選を繰り返して300ゲーム未満とするなど、適宜の方法を用いることができる。
【0118】
以上のような
図11に示すモード制御処理を実行することにより、主制御装置10は、第1遊技モードに制御されているときに疑似ボーナス状態(有利状態)に制御されるとともに、疑似ボーナス状態(有利状態)の後に第1遊技モードに制御される場合は、疑似ボーナス状態(有利状態)の前に制御された第1遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)よりも疑似ボーナス状態(有利状態)の後に制御される第1遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)のほうが少なくなるように、疑似ボーナス状態(有利状態)の後に制御される第1遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)を設定可能な上限回数設定手段を含む。
【0119】
また、主制御装置10は、第1遊技モードに制御されているときに疑似ボーナス状態(有利状態)に制御されるとともに疑似ボーナス状態(有利状態)の後に第2遊技モードに制御され、かつ疑似ボーナス状態(有利状態)の前に制御された第1遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)よりも第2遊技モードで初期設定された天井ゲーム数(上限回数)のほうが多い場合は、疑似ボーナス状態(有利状態)の後に制御される第2遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)が疑似ボーナス状態(有利状態)の前に制御された第1遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)よりも少なくなるように、疑似ボーナス状態(有利状態)の後に制御される第2遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)を設定可能な上限回数設定手段を含む。
【0120】
さらに、主制御装置10は、第1遊技モードに制御されているときに疑似ボーナス状態(有利状態)に制御されるとともに疑似ボーナス状態(有利状態)の後に第2遊技モードに制御され、かつ疑似ボーナス状態(有利状態)の前に制御された第1遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)よりも第2遊技モードで初期設定された天井ゲーム数(上限回数)のほうが少ない場合は、第2遊技モードの天井ゲーム数(上限回数)を異なる天井ゲーム数(上限回数)に設定しない上限回数設定手段を含む。
【0121】
さらに、主制御装置10は、第1遊技モードに制御されているときに、ゲームの回数が天井ゲーム数(上限回数)より少ない32ゲーム(所定回数)に達するまでにモード抽選処理(決定手段)により疑似ボーナス状態(有利状態)に制御することが決定された場合は、第1遊技モードよりも初期設定された天井ゲーム数(上限回数)が少ない「天国」(第3遊技モード)に疑似ボーナス状態(有利状態)の後に制御可能な技モード制御手段を含む。
【0122】
[モード移行抽選]
上述したように、主制御装置10は、
図11のモード制御処理におけるモード抽選処理(S4)において、疑似ボーナス状態の後に移行させる遊技モードを決定するモード移行抽選を疑似ボーナスの終了時に行う。
【0123】
図12は、モード移行抽選で用いられるモード移行抽選テーブルを示している。
モード移行抽選は、ゲームの実行時に抽出される乱数値(抽出範囲を256種類とする乱数値)と、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別と、設定値とに基づき実行される。そして、主制御装置10は、疑似ボーナス状態の後にモード移行抽選により決定した遊技モードに移行させる。具体的には、主制御装置10は、遊技モードを管理するモード管理フラグを移行先の遊技モードの種別に書き換える。
【0124】
図12(a)は、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別が「通常A」である場合にモード移行抽選で用いられる抽選テーブルを示す。
図12(a)に示すように、例えば、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別が「通常A」であり、設定1である場合は、192/256の確率で「通常A」に移行し、32/256の確率で「通常B」に移行し、16/256の確率で「チャンス」に移行し、16/256の確率で「天国」に移行するように制御される。
なお、設定2~6については説明を省略するが、図示の確率で各遊技モードが選択されるように制御される。
【0125】
図12(b)は、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別が「通常B」である場合にモード移行抽選で用いられる抽選テーブルを示す。
図12(b)に示すように、例えば、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別が「通常B」であり、設定1である場合は、0/256の確率で「通常A」に移行し、192/256の確率で「通常B」に移行し、32/256の確率で「チャンス」に移行し、32/256の確率で「天国」に移行するように制御される。
なお、設定2~6については説明を省略するが、図示の確率で各遊技モードが選択されるように制御される。
【0126】
図12(c)は、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別が「チャンス」である場合にモード移行抽選で用いられる抽選テーブルを示す。
図12(c)に示すように、例えば、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別が「チャンス」であり、設定1である場合は、0/256の確率で「通常A」に移行し、0/256の確率で「通常B」に移行し、128/256の確率で「チャンス」に移行し、128/256の確率で「天国」に移行するように制御される。
なお、設定2~6については説明を省略するが、図示の確率で各遊技モードが選択されるように制御される。
【0127】
図12(d)は、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別が「天国」である場合にモード移行抽選で用いられる抽選テーブルを示す。
図12(d)に示すように、例えば、疑似ボーナスに移行する前の遊技モードの種別が「天国」であり、設定1である場合は、160/256の確率で「通常A」に移行し、0/256の確率で「通常B」に移行し、0/256の確率で「チャンス」に移行し、96/256の確率で「天国」に移行するように制御される。
なお、設定2~6については説明を省略するが、図示の確率で各遊技モードが選択されるように制御される。
【0128】
以上のように、「通常A」、「通常B」、「チャンス」のときは、初期天井ゲーム数が少ない遊技モードに移行するが、初期天井ゲーム数が最も少ない「天国」のときは、初期天井ゲーム数が最も多い「通常A」に移行(転落)する可能性がある。
また、移行先の遊技モードの移行確率に設定差があるため、設定値を推測することも可能である。
【0129】
なお、例外として、通常区間中(非有利区間中)において、有利区間移行役(共通1枚役以外の役)に当選した場合は、「通常B」で用いられる
図12(b)の抽選テーブルを参照して、移行先の遊技モードを決定する。すなわち、有利区間移行時のモード移行抽選に特典としての意味合いを付与し、遊技の興趣を高めている。
また、「天国」以外の遊技モード(「通常A」、「通常B」、「チャンス」)において32ゲーム以内に疑似ボーナス抽選に当選した場合は、モード移行抽選を実行せずに「天国」に移行するように制御される。
【0130】
[天井ゲーム数短縮抽選]
次に、本実施形態における天井ゲーム数の短縮について説明する。本実施形態では、主制御装置10は、「天国」以外の遊技モードの維持(連続)、又は「天国」以外の遊技モードから他の「天国」以外の遊技モードに移行する場合に、
図11のモード制御処理における天井ゲーム数短縮抽選処理(S11)において、疑似ボーナス状態の後に移行する遊技モードの天井ゲーム数を短縮するための天井ゲーム数短縮抽選を疑似ボーナス状態の終了時に実行可能である。
【0131】
具体的には、例えば、「通常A」→「通常A」など同一の遊技モードの移行のみならず、「通常A」→「通常B」のように異なる遊技モードの移行の場合も天井ゲーム数短縮抽選を実行する。なお、疑似ボーナス状態の終了時とは、1ゲーム連のストックが残っている場合は全てのストックを消化したときの疑似ボーナス状態終了時である。また、
図11で説明したように天井ゲーム数短縮抽選はモード移行抽選の後に行われる。
【0132】
そして、主制御装置10は、天井ゲーム数短縮抽選により決定した短縮ゲーム数に基づいて移行先の遊技モードの天井ゲーム数を短縮する。一例を挙げると、「通常A」(天井ゲーム数=768)→疑似ボーナス状態終了(5ゲーム短縮)→「通常A」(天井ゲーム数=763)→疑似ボーナス状態終了(10ゲーム短縮)→「通常A」(天井ゲーム数=753)といったように、天井ゲーム数短縮抽選で決定された短縮ゲーム数が移行先の天井ゲーム数に反映される。
【0133】
なお、本実施形態では、「天国」に移行する場合は天井ゲーム数短縮抽選を実行しない構成としているが、「天国」に移行する場合にも天井ゲーム数短縮抽選を実行してもよい。すなわち、「天国」に移行する場合に32ゲーム未満で即座に疑似ボーナス状態が連荘しやすくなるようにしてもよい。また、「天国」で天井ゲーム数短縮抽選に当選した結果、天井ゲーム数が「1以下」になった場合は、「天国」に滞在し続ける限り疑似ボーナス状態の1ゲーム連がループ(連続)するようにしても良い。
【0134】
図13は、主制御装置10における天井ゲーム数短縮抽選で用いられる天井ゲーム数短縮抽選テーブルを示している。
モード移行抽選は、ゲームの実行時に抽出される乱数値(抽出範囲を256種類とする乱数値)と、疑似ボーナス状態の後に移行する遊技モードの種別(図中「次回モード」)とに基づき実行され、主制御装置10は天井ゲーム数短縮抽選により決定したゲーム数を短縮させる。
【0135】
図13に示すように、例えば、疑似ボーナス状態の後に移行する遊技モードが「通常A」である場合は、64/256の確率で5ゲーム、64/256の確率で10ゲーム、64/256の確率で30ゲーム、32/256の確率で50ゲーム、32/256の確率で100ゲームとなるように制御される。
なお、「通常B」、「チャンス」については説明を省略するが、図示の確率で短縮ゲーム数が選択されるように制御される。
【0136】
なお、本実施形態では、天井ゲーム数短縮抽選を行った結果、天井ゲーム数が「1以下」になる場合があるが、この場合は、特典を付与することが好ましい。特典としては、例えば、1ゲーム連をストックする、強制的に天国モードに移行させることを挙げることができる。
【0137】
[短縮ゲーム数示唆ランプによる特定報知]
次に、
図14を参照して、短縮ゲーム数を示唆(特定報知)するときの演出例について説明する。
図1では図示を省略しているが、スロットマシン1には、表示窓6の下部の左側で有利区間ランプ13の下方に短縮ゲーム数示唆ランプ50が設けられている。短縮ゲーム数示唆ランプ50は短縮ゲーム数を示唆する。短縮ゲーム数示唆ランプ50は副制御装置20により制御される。
短縮ゲーム数示唆ランプ50は信号機を模した演出装置である。短縮ゲーム数示唆ランプ50は横並びの配列された3つのランプを備えている。そして、左側のランプが青、中央のランプが黄、右側のランプが赤に点灯可能である。
【0138】
図14で示すように、短縮ゲーム数示唆ランプ50は、(1)→(2)→(3)→(1)→・・・の順序(すなわち、青→黄→赤→青・・・の順序)で点灯を繰り返し、後述する点灯パターン抽選で決定された色が最終的に点灯したままとなる。すなわち、点灯するランプ(点灯色)が一定時間ごとに切り替わり、最終的にいずれかのランプが点灯したままとなる。
【0139】
短縮ゲーム数示唆ランプ50は、疑似ボーナス状態の終了時(1ゲーム連のストックが残っている場合は、最後のストックを消化したときの疑似ボーナス状態の終了時)に点灯し、通常有利状態で32ゲームが消化されると消灯する。
【0140】
そして、最終的に赤が点灯すると短縮ゲーム数が多いことへの期待値が最も高く、最終的に黄が点灯すると短縮ゲーム数が多いことへの期待値が赤の次に高く、最終的に青が点灯すると短縮ゲーム数が多いことへの期待値が最も低い。
【0141】
なお、「天国」以外の遊技モードで32ゲーム以内に疑似ボーナス抽選に当選して「天国」に移行する場合と、モード移行抽選によって遊技モードの移行先が「天国」に決定された場合は、天井ゲーム数短縮抽選が実行されないが(
図11のS3~S7参照)、短縮ゲーム数示唆ランプ50を点灯させないと、「天国」に移行することが遊技者に察知されてしまう。このため、天井ゲーム数短縮抽選が実行されなかった場合であっても3つのランプのいずれかを点灯させる制御が行われる。
【0142】
なお、短縮ゲーム数示唆ランプ50の点灯期間は、通常有利状態で32ゲームが消化されるまでに限らず、例えば、疑似ボーナス状態の遊技結果を報知するリザルト画面を表示する期間や、32ゲームと異なるゲーム数が消化されるまでの期間など、本実施形態と異なる点灯期間に設定してよい。
【0143】
以上のように、スロットマシン1は、
図11に示すモード制御処理によって主制御装置10により設定された天井ゲーム数(上限回数)に関する特定報知を実行可能な短縮ゲーム数示唆ランプ50を備えている。そして、短縮ゲーム数示唆ランプ50は、疑似ボーナス状態(有利状態)が終了したときに特定報知を実行可能である。
【0144】
[点灯パターン抽選]
副制御装置20は、疑似ボーナス状態の終了時に短縮ゲーム数示唆ランプ50の最終的な点灯色を決定する点灯パターン抽選を行う。
【0145】
図15は、副制御装置20における点灯パターン抽選で用いられる短縮ゲーム数示唆ランプ点灯パターン抽選テーブルを示している。
点灯パターン抽選は、ゲームの実行時に抽出される乱数値(抽出範囲を256種類とする乱数値)と、短縮ゲーム数(天井ゲーム数抽選が行われた場合)とに基づき実行され、副制御装置20は点灯パターン抽選により決定した点灯色で短縮ゲーム数示唆ランプ50を最終的に点灯させる。
【0146】
図15(a)は天井ゲーム数短縮抽選が行われた場合に点灯パターン抽選で用いられる抽選テーブルを示す。
図15(a)に示すように、例えば、短縮ゲーム数が5ゲームである場合は、224/256の確率で青が選択され、32/256の確率で黄が選択され、0/256の確率で赤が選択されるように制御される。
なお、短縮ゲーム数が10ゲーム、30ゲーム、50ゲーム、100ゲームの場合については説明を省略するが、図示の確率で点灯色が選択されるように制御される。
このように、
図15(a)で示す抽選テーブルでは、短縮ゲーム数が増加するほど赤や黄が点灯しやすくなり、短縮ゲーム数が少なくなるほど青が点灯しやすくなるように抽選値が割り振られている。
【0147】
図15(b)は天井ゲーム数短縮抽選が行われていない場合に点灯パターン抽選で用いられる抽選テーブルを示す。
図15(b)に示すように、例えば、96/256の確率で青が選択され、96/256の確率で黄が選択され、64/256の確率で赤が選択されるように制御される。
【0148】
以上のように、短縮ゲーム数抽選で最大短縮ゲーム数である100ゲームが選択された場合と、短縮ゲーム数抽選が実行されない場合(すなわち、上位の「天国」に移行するか、又は「天国」が継続する場合)に、赤が高確率(64/256(25%))で選択されるので、短縮ゲーム数示唆ランプ50が最終的に赤で点灯した場合は、遊技者に期待感を持たせることができる。
【0149】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態では、疑似ボーナス状態の管理をゲーム数による管理とする例を挙げて説明したが、差枚数、特定役(例えば、小役)の当選回数又は入賞回数(例えば、押し順ベルの当選回数又は入賞回数)、払い出し枚数(例えば、一部の役における払い出し枚数、又は全役における払い出し枚数)など、他の方法により疑似ボーナス状態を管理してもよい。また、疑似ボーナス状態の種別(BBとRB)に応じて異なる管理を行ってもよい。
【0150】
本実施形態で例示した各抽選テーブルにおいて設定値毎の抽選値の振り分けを同一とする例を挙げて説明したが、一部又は全部の抽選テーブルにおいて設定値毎の抽選値の振り分けを異ならせてもよい。例えば、
図4に示す内部抽選テーブルにおけるリプレイ役の抽選値を設定1~3と設定4~6とで異ならせる、又は設定1~6の全てで異ならせてもよい。
【0151】
本実施形態では、有利状態の一例として疑似ボーナス状態を挙げ、疑似ボーナス状態の天井ゲーム数が短縮される例を挙げて説明したが、例えば、疑似ボーナス状態とは別個に設けたAT状態の天井ゲーム数を短縮する、AT状態や疑似ボーナス状態に移行しやすくなるCZ状態の天井ゲーム数を短縮するなど、本実施形態と異なる態様の有利状態の天井ゲーム数を短縮してもよい。
【0152】
[本発明の効果]
以上説明したように、本発明においては、ゲームの回数が上限回数(天井ゲーム数)に達したときに有利状態(疑似ボーナス状態)に制御可能な遊技機(スロットマシン1)において、少なくとも初期設定された前記上限回数が異なる第1遊技モード(「通常A」、「通常B」、「チャンス」)と第2遊技モード(「通常A」、「通常B」、「チャンス」)とに制御可能な遊技モード制御手段(主制御装置10)と、前記第1遊技モードに制御されているときに前記有利状態に制御されるとともに、前記有利状態の後に前記第1遊技モードに制御される場合は、前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも前記有利状態の後に制御される前記第1遊技モードの前記上限回数のほうが少なくなるように、前記有利状態の後に制御される前記第1遊技モードの前記上限回数を設定可能(
図11のS11,S12)な上限回数設定手段(主制御装置10)と、を備えたことを特徴とする。
したがって、同数の上限回数が連続(ループ)してしまうことを防止できるため、遊技者の遊技の意欲が減退することを防止できる。また、有利状態に制御されるたびに上限回数が徐々に少なくなるため、遊技を中止しにくくすることができる。これにより、遊技機の稼働率を上昇させることができる。
【0153】
また、前記上限回数設定手段(主制御装置10)は、前記第1遊技モードに制御されているときに前記有利状態に制御されるとともに前記有利状態の後に前記第2遊技モードに制御され、かつ前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも前記第2遊技モードで初期設定された前記上限回数のほうが多い場合は、前記有利状態の後に制御される前記第2遊技モードの前記上限回数が前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも少なくなるように、前記有利状態の後に制御される前記第2遊技モードの前記上限回数を設定可能である(
図11のS11,S12)。
したがって、同数の上限回数が連続(ループ)してしまうことを防止できるため、遊技者の遊技の意欲が減退することを防止できる。また、有利状態に制御されるたびに上限回数が徐々に少なくなるため、遊技を中止しにくくすることができる。これにより、遊技機の稼働率を上昇させることができる。
【0154】
また、前記上限回数設定手段(主制御装置10)は、前記第1遊技モードに制御されているときに前記有利状態に制御されるとともに前記有利状態の後に前記第2遊技モードに制御され、かつ前記有利状態の前に制御された前記第1遊技モードの前記上限回数よりも前記第2遊技モードで初期設定された前記上限回数のほうが少ない場合は、前記第2遊技モードの前記上限回数を異なる前記上限回数に設定しない(
図11のS10,S12)。
したがって、第2遊技モードにおいて異なる上限回数に設定する処理を省略できるので、制御負担を軽減することができる。
【0155】
また、前記有利状態(疑似ボーナス状態)に制御するかを決定する決定手段(主制御装置10)を備え、前記遊技モード制御手段(主制御装置10)は、前記第1遊技モードに制御されているときに、ゲームの回数が前記上限回数より少ない所定回数(32ゲーム)に達するまでに前記決定手段により前記有利状態に制御することが決定された場合は、前記第1遊技モードよりも初期設定された前記上限回数が少ない第3遊技モード(「天国」)に前記有利状態の後に制御可能である(
図11のS6)。
したがって、同数の上限回数が連続(ループ)してしまうことを防止できるため、遊技者の遊技の意欲が減退することを防止できる。また、第3遊技モードに制御されることにより、有利状態と併せて大量の利益の得ることに期待させることが可能になるので、遊技の興趣を高めることができる。
【0156】
また、前記上限回数設定手段(主制御装置10)により設定された前記上限回数に関する特定報知(
図14に示す短縮ゲーム数示唆ランプ50により報知)を実行可能な報知手段(短縮ゲーム数示唆ランプ50)を備えた。
したがって、設定された上限回数に期待させることが可能になるので、遊技の興趣を高めることができる。
【0157】
また、前記報知手段(短縮ゲーム数示唆ランプ50)は、前記有利状態が終了したときに前記特定報知を実行可能である。
したがって、有利状態が終了した後の遊技に期待感を持たせることが可能になるので、遊技の興趣を高めることができる。
【0158】
なお、上記した各手段は、主制御装置10が備えるものであってもよいし副制御装置20が備えるものであってもよい。また、主制御装置10と副制御装置20の協働により構成されるものであってもよい。
【0159】
[従来技術の課題]
一方、特許文献1には、通常遊技状態に天井ゲーム数(上限回数)を設け、当該天井ゲーム数(500ゲームなど)に到達した場合に、通常遊技状態よりも遊技者に有利な有利状態に制御する遊技機が開示されている。
しかし、特許文献1に開示された遊技機は、天井ゲーム数が1種類しかないことから、有利状態の終了後に、同じ天井ゲーム数がループするため、遊技者の遊技の意欲を減退させてしまうおそれがあった。
そこで、本発明は、同じ天井ゲーム数がループするため、遊技者の遊技の意欲を減退させてしまうことを防止できる遊技機を提供することを目的とする。
そして、本発明の遊技機(スロットマシン1)は、従来の遊技機が改善すべき、このような課題を解決することができる。
【0160】
[その他、変形例]
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施形態では、有利状態として疑似ボーナス状態を一例に挙げたが、AT状態、CZ状態、ART状態、RT状態など、疑似ボーナス状態と異なる状態を有利状態としてもよい。
【0161】
また、本実施形態中において、各種テーブルに規定された数値は一例であり、幅を持った数値(2以上)でもよいし、幅を持たない数値(1)でもよい。
【0162】
また、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の疑似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0163】
1:スロットマシン
2a:ベットボタン
4:リール
5:停止ボタン
8:メイン表示器
10:主制御装置
17:サブ表示器
20:副制御装置