(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166604
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】連節バス
(51)【国際特許分類】
B60K 1/00 20060101AFI20241122BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20241122BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B60K1/00 ZHV
B60K1/04 A
B60K11/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082808
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 智康
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AA10
3D038AB02
3D038AC01
3D038AC03
3D038AC22
3D235AA05
3D235BB17
3D235BB24
3D235BB36
3D235BB45
3D235BB53
3D235CC12
3D235CC14
3D235DD12
3D235DD24
3D235FF25
3D235HH16
(57)【要約】
【課題】後続車両を効率よく利用できる連節バスを提供する。
【解決手段】駆動輪を有する先頭車両と、先頭車両に後続し、乗客が搭乗する後続車両と、先頭車両と、後続車両との間に配置され、先頭車両と、後続車両とを揺動可能に連節する連節部と、を備える連節バスであって、先頭車両は、駆動輪に駆動力を供給する電動モータと、電動モータへ電力を供給するバッテリとを含む動力発生部を備える、連節バス。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪を有する先頭車両と、
前記先頭車両に後続し、乗客が搭乗する後続車両と、
前記先頭車両と、前記後続車両との間に配置され、前記先頭車両と、前記後続車両とを揺動可能に連節する連節部と、を備える連節バスであって、
前記先頭車両は、電動モータと、前記電動モータへ電力を供給するバッテリとを含み、前記駆動輪に駆動力を供給する動力発生部を備える、連節バス。
【請求項2】
前記連節部は、前記動力発生部の少なくとも一部を冷却する冷却システムをさらに備える、請求項1記載の連節バス。
【請求項3】
前記冷却システムは、熱交換部を備えており、
前記熱交換部は、冷媒が流通するラジエータと、前記ラジエータに送風するファンとを備え、前記動力発生部で発生した熱を前記冷媒を介して冷却する、請求項2記載の連節バス。
【請求項4】
前記熱交換部は、前記連節部の天井部に設けられることを特徴とする、請求項3記載の連節バス。
【請求項5】
前記熱交換部は、前記連節部の底部に設けられることを特徴とする、請求項3記載の連節バス。
【請求項6】
前記バッテリは、交換可能な交換式バッテリであり、
前記先頭車両には、前記バッテリの交換を可能とする開閉扉をさらに備える、請求項1記載の連節バス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連節バスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
市街地における輸送効率を向上させるため、先頭車両と、その先頭車両に後続する後続車両とを連節した連節バスが知られている。このような連節バスは、先頭車両の後端部にエンジンなどの駆動源を搭載して、先頭車両により後続車両を牽引する牽引式連節バスと、後続車両の後端部にエンジンなどの駆動源を搭載して、その後続車両により先頭車両を押すプッシャー式連節バスとが知られている。また、特許文献1に示すように、連節バスにおいて、排ガスの低排出化を目的として、エンジンと、電動モータとを駆動源とするハイブリッドシステムを利用したり、電動モータを駆動源とする電動バスが採用されるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、プッシャー式の連節バスにハイブリッドシステムを搭載する場合であって、電動モータをエンジンと同様に後続車両の後端部に配置し、HVバッテリを先頭車両の屋根上に配置している。このような構成とすると、HVバッテリが後続車両の屋根上に配置される場合に比べて、後続車両に対する先頭車両の重量割合が大きくなる。これにより、操舵輪の軸重不足による操縦安定性の低下を抑制している。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、エンジンや電動発電機を含むハイブリッドシステムを後続車両の後端部に配置するため、後端部を低床化することが困難であると共に、後続車両の客室空間を大きくするには、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、後続車両を効率よく利用できる連節バスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様、又は適用例として実現することができる。
【0008】
本適用例に係る連節バスは、駆動輪を有する先頭車両と、前記先頭車両に後続し、乗客が搭乗する後続車両と、前記先頭車両と、前記後続車両との間に配置され、前記先頭車両と、前記後続車両とを揺動可能に連節する連節部と、を備える連節バスであって、前記先頭車両は、前記駆動輪に駆動力を供給する電動モータと、前記電動モータへ電力を供給するバッテリとを含む動力発生部を備える。
【0009】
本適用例によれば、先頭車両に動力発生部が備えられるため、後続車両の客室空間を形成する床面には、座席が設けられる他に乗客が通行する範囲に段差がなく、さらに、その床面を低く配置することができる。そのため、後続車両については、ノンステップ化に加えて、客室空間を最大限確保することができる。これにより、後続車両を効率よく利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】連節バスを車高方向に沿って上方から見た場合の構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図2に示す連節部の周辺を拡大した概略断面図である。
【
図4】連節バスの連節部をその連節バスの前方から見た場合の構成を示す概略断面図である。
【
図5】連節バスの冷却システムの構成を概念的示すブロック図である。
【
図6】連節バスを車幅方向に沿って見た場合の構成の一部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.連節バスの全体構成
初めに、
図1、及び
図2を参照して、連節バス10の全体の構成を説明する。
図1は、連節バス10の構成を示す概略図である。
図2は、連節バス10を車高方向に沿って上方から見た場合の構成を示す概略断面図である。
図2は、具体的に、連節バス10を水平面H(
図1参照)に沿って切断し、その連節バス10を車高方向に沿って上方から見た場合の構成を示す概略断面図である。
【0012】
また、以下の記載において、連節バス10の車長方向をX方向と記載することがある。また、以下の記載において、連節バス10の車高方向をZ方向、又は鉛直方向と記載することがある。さらに、以下の記載において、連節バス10の車幅方向をY方向と記載することがある。さらにまた、以下の記載において、水平面をXY平面として記載することがある。また、以下の記載において、車長方向及び鉛直方向を含む平面である車長方向鉛直面をYZ平面として記載することがある。さらに、以下の記載において、車幅方向及び鉛直方向を含む平面である車幅方向鉛直面をXZ平面として記載することがある。
【0013】
本実施形態の連節バス10は、先頭車両12、後続車両14、及び連節部16から構成されるバスであって、後述する電動モータ30の動力によって走行する電動バスに該当する。
【0014】
先頭車両12は、連節バス10の車長方向の前方に位置する車両、具体的には、連節バス10の先頭の車両であって、後続車両14を牽引する車両でもある。
【0015】
先頭車両12は、運転席20、ステアリングホイール22、第1車輪24、及び第2車輪26等を備える。さらに、先頭車両12は、動力発生部32としての、走行用バッテリ28(以下、単に「バッテリ」と記載する)、及び電動モータ(以下、単に「モータ」と記載する)30等を備える。
【0016】
運転席20と対向するステアリングホイール22は、操舵機構(図示は省略)を介して、第1車輪24と機械的に連結される。そのため、第1車輪24は、操舵輪である。
【0017】
バッテリ28は、連節バス10の各種コンポーネントと電気的に接続される。バッテリ28は、少なくともモータ30と電気的に接続される。バッテリ28は、具体的に、直流と、交流との双方向の変換に対応するインバータを介して、モータ30と電気的に接続される。
【0018】
また、バッテリ28は、モータ30に電力を供給する比較的高電圧(例えば200V)のバッテリである。なお、図示しないが、連節バス10には、電装品等に電力を供給するための比較的低電圧(例えば24V又は12V)のバッテリも搭載されている。
【0019】
さらに、バッテリ28は、先頭車両12内において、その先頭車両12の後方、言い換えると、連節部16の近傍に配置される。また、バッテリ28の位置については、運転席20に座る者、つまり、連節バス10の運転者のバックミラー34越しの視界Sを遮らないように、運転席20の上方端部よりも下方に配置されるのが好ましい。さらに、バッテリ28は、交換式のバッテリであって、先頭車両12内に対して、先頭車両12の外からの取り付け、及び先頭車両12の外への取り外しが可能とされる。
【0020】
モータ30は、電動機、及び発電機として機能するモータジェネレータであって、そのモータ30は、伝達機構36を介して、第2車輪26と機械的に連結される。また、モータ30は、上述したように、バッテリ28と電気的に接続される。なお、モータ30は、先頭車両12において、運転席20よりも下方の床下に配置される。
【0021】
バッテリ28からモータ30に電力が供給される場合、つまり、モータ30が電動機として機能する場合、モータ30は、バッテリ28から供給される電力を駆動力へと変換し、その駆動力を伝達機構36を介して、第2車輪26に供給する。つまり、動力発生部32から駆動力が供給される第2車輪26は、駆動輪である。
【0022】
一方、連節バス10が減速時等で回生運転を行う場合、つまり、モータ30が発電機として機能する場合、モータ30は、第2車輪26の回転力を電力へと変換し、その電力をバッテリ28に供給する。この場合、バッテリ28が充電される。
【0023】
また、先頭車両12の後面には、第1通路用開口部38が形成されている。さらに、先頭車両12の側面には、運転者が先頭車両12に対して、乗り降りするための第1乗降口40が設けられ、その第1乗降口40には、第1開閉扉42が設けられている。
【0024】
さらに、先頭車両12の側面には、先頭車両12内に対するバッテリ28の取り付け、及び取り外し、言い換えると、バッテリ28の交換を可能とするための交換口44が設けられ、その交換口44には、第2開閉扉46が設けられている。
【0025】
後続車両14は、先頭車両12に直接的に後続し、先頭車両12に牽引される従動車両である。後続車両14は、座席60、第3車輪62、及び第4車輪64等を備える。第3車輪62、及び第4車輪64は、従動輪である。
【0026】
また、後続車両14の前面には、第2通路用開口部66が形成されている。さらに、後続車両14の側面には、乗客が後続車両14に対して、乗り降りするための第2乗降口68が設けられ、その第2乗降口68には、グライドスライド式の開閉扉(グライドスライドドア)70が設けられている。
【0027】
後続車両14は、乗客専用の車両である。後続車両14内部に形成される客室空間は車長方向に長い略直方体をなしている。客室空間を形成する床面は、各座席60が設けられている他には乗客が通行する範囲に段差がなく、乗客は第2乗降口68からいわゆるノンステップでの乗降が可能である。
【0028】
次に、
図1~
図4、特に、
図3、及び
図4を参照して、連節バス10の連節部16の具体的な構成を説明する。
図3は、
図2に示す連節部16の周辺を拡大した概略図である。
図4は、連節バス10の連節部16をその連節バス10の前方から後方に向かって見た場合の構成を示す概略断面図である。
図4は、具体的に、連節バス10の連節部16を鉛直面V(
図1~
図3参照)に沿って切断し、その連節部16を連節バス10の前方から見た場合の構成を示す概略断面図である。
【0029】
連節部16は、先頭車両12と、後続車両14との間に配置され、先頭車両12と、後続車両14とを揺動可能に連節する。連節部16は、連節機構部90、通路部100、及び幌102を備える。
【0030】
連節機構部90は、第1連結部92、第2連結部94、軸部96、及び保持部98を含む。第1連結部92は、水平方向に沿って延びる板状部材であって、その第1連結部92には、車高方向に延びる貫通孔(図示は省略)が形成されている。また、第1連結部92は、貫通孔が後続車両14側に位置するように、先頭車両12の第1通路用開口部38のフレーム38aと接続される。フレーム38aは、具体的に、先頭車両12の第1通路用開口部38を形成するフレームのうち、第1通路用開口部38の下方端部に位置し、車幅方向に沿って延びるフレームである。
【0031】
第2連結部94は、第1連結部92と同様の板状部材である。第2連結部94は、貫通孔が先頭車両12側に位置するように、後続車両14の第2通路用開口部66のフレーム66aと接続される。フレーム66aは、具体的に、後続車両14の第2通路用開口部66を形成するフレームのうち、第2通路用開口部66の下方端部に位置し、車幅方向に沿って延びるフレームである。
【0032】
第1連結部92の貫通孔、及び第2連結部94の貫通孔は、車高方向において互いに重なり、これらの貫通孔には、円筒状の軸部96が挿通される。また、第1連結部92の貫通孔、及び第2連結部94の貫通孔から、軸部96が脱落するのを防止するために、その軸部96の両端部には、保持部98が設けられる。これらのことから、第1連結部92、及び第2連結部94は、軸部96を中心として回転することができる。また、このことから、連節機構部90によれば、先頭車両12と、後続車両14とが揺動可能に連節される。なお、連節機構部90は、例えば、2つの直線状の弾性部材が延長線上で交差するように、フレーム38aと、フレーム66aとの間に配置されることで構成されてもよい。
【0033】
通路部100は、先頭車両12と、後続車両14とに架け渡されている。通路部100は、具体的に、先頭車両12の第1通路用開口部38と、後続車両14の第2通路用開口部66とに架け渡され、連節機構部90上に載置される。
【0034】
幌102は、先頭車両12後方と、後続車両14の前方とに取り付けられて、連節機構部90、及び通路部100を覆う。幌102は、二重構造になっており、外張104、及び内張106を含む。外張104と、内張106との間には、空間Aが形成される。外張104は、幌102の外形を形成する。
【0035】
内張106は、通路部100とともに、先頭車両12の第1通路用開口部38と、後続車両14の第2通路用開口部66とに連通される通路空間Bを形成する。これらのことから、先頭車両12、後続車両14、及び連節部16内では、一体的な空間が形成されている。
【0036】
2.冷却システム
本実施形態の連節バス10は、動力発生部32の少なくとも1部を冷却する、冷却システム120をさらに備える。次に、
図1~
図5、特に、
図5を参照して、冷却システム120について、説明する。
図5は、連節バス10の冷却システム120の構成を概念的示すブロック図である。
【0037】
冷却システム120は、循環流路122、ポンプ124、熱交換部126、及び動力発生部32等により構成される。
【0038】
循環流路122は、ポンプ124、熱交換部126、及び動力発生部32とで冷媒を循環させるための流路である。そのため、循環流路122内は、冷媒で満たされている。なお、冷媒は、例えば冷却水、及び不凍液等の液体である。
【0039】
ポンプ124は、電気的に制御可能な汎用のポンプであって、循環流路122内の冷媒の流通を促す。循環流路122内を冷媒が流通すると、動力発生部32の有する熱が、その冷媒に移る。つまり、動力発生部32が冷却される。
【0040】
図5に示す例では、動力発生部32を個別に冷却するため、冷却システム120は、第1循環系統120a、及び第2循環系統120bを含む。第1循環系統120aは、循環流路122、ポンプ124、熱交換部126、及びバッテリ28等により構成され、バッテリ28が冷却される。第2循環系統120bは、循環流路122、ポンプ124、熱交換部126、及びモータ30等により構成され、モータ30が冷却される。
【0041】
また、熱交換部126は、具体的に、ラジエータ128、及び第1ファン130を含む。さらに、循環流路122は、具体的に、ポンプ124と、熱交換部126のラジエータ128と、動力発生部32とで冷媒を循環させるための流路である。
【0042】
ラジエータ128は、そのラジエータ128内を流通する冷媒を冷却する。第1ファン130は、電気的に制御可能な汎用のファンであって、ラジエータ128に送風することで、そのラジエータ128を冷却し、ラジエータ128内を流通する冷媒の放熱を促す。
【0043】
3.熱交換部の配置
本実施形態の連節部16には、冷却システム120の熱交換部126が設けられる。次に、
図1~
図5、特に、
図4を参照して、熱交換部126の配置について、説明する。
【0044】
連節部16は、少なくとも通気口108を2つさらに備える。通気口108は、空気の通り道であって、連節部16の外張104に対して設けられる。複数の通気口108のうちの少なくとも1つは、排気口としての役割を担う。また、複数の通気口108のうちの少なくとも1つは、吸気口としての役割を担う。
【0045】
図4に示す本実施形態では、外張104の底面104a、及び外張104の天井面104bのそれぞれに、通気口108が2つ設けられる。以下、外張104の底面104aに設けられる通気口108を第1通気口108a、外張104の天井面104bに設けられる通気口108を第2通気口108bとして記載することがある。
【0046】
また、連節部16の底部16aには、熱交換部126が設けられる。具体的に、熱交換部126の第1ファン130は、第1通気口108aに設けられ、その第1通気口108aは、吸気口としての役割を担う。
【0047】
通路部100の空間A内の箇所には、車高方向に延びる貫通孔134が形成されている。この貫通孔134は、第1通気口108aと、車高方向において重なり、熱交換部126のラジエータ128は、この貫通孔134を覆うように、通路部100に載置される。
【0048】
第1ファン130の動作に伴い、連節バス10の外の空気は、第1通気口108aを介して、空間Aに流入する。そのため、ラジエータ128は、第1通気口108aから流入する空気に晒されることで、冷却される。
【0049】
図4に示す例では、第2通気口108bは、排気口としての役割を担う。さらに、第2通気口108bには、第2ファン132が別途設けられる。第2ファン132によれば、空間A内の空気の排気が促され、その空気の流速が速くなる。つまり、この場合、ラジエータ128の冷却効率が上がる。
【0050】
図示は省略するが、連節バス10は、ECU(engine control unit)等のコンピュータを備えている。ECUは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、ECUは、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ、及びeMMC(embedded Multi Media Card)等の不揮発性メモリから構成される記憶部を含む。連節バス10の各種コンポーネントの動作、例えば、ポンプ124、及び第1ファン130、及び第2ファン132等の動作は、ECUの記憶部に記憶されているプログラム、及びデータ等より実現される。
【0051】
図6は、連節バスを車幅方向に沿って見た場合の構成の一部を示す概略断面図である。
図6は、具体的に、連節バス10を車長方向に沿って切断し、その連節バス10を車幅方向に沿って見た場合の構成を示す概略断面図である。このような、連節バス10によれば、先頭車両12に動力発生部32が備えられるため、後続車両14の客室空間を形成する床面には、座席60が設けられる他に乗客が通行する範囲に段差がなく、さらに、その床面を低く配置することができる。そのため、後続車両14については、ノンステップ化に加え、客室空間を最大限確保することができる。これにより、後続車両14を効率よく利用できる。
【0052】
また、このような連節バス10によれば、従来、デッドスペースであった、連節部16の空間Aに熱交換部126が設けられる。そのため、連節部16の空間Aを有効利用しつつ、先頭車両12、又は後続車両14内の空間の最大限確保することできる。これにより、先頭車両12、又は後続車両14を効率よく利用できる。
【0053】
さらに、このような連節バス10によれば、連節部16の底部16aに、熱交換部126が設けられ外部の空気を空間A内に引き込み、ラジエータ128を冷却することができる。連節部16において外張104と内張106との間の空間Aは、通路空間Bとは区画されつつ、通気口108を介して外部の空気を容易に吸排気可能であり、当該空間A内にラジエータ128を配置することでラジエータ128を風雨に晒すことなく、外気との熱交換を行うことができる。すなわち、当該構成により、ラジエータ128の風雨から保護しつつ冷却を行うことができる。
【0054】
また、このような連節バス10によれば、バッテリ28は交換式であるため、たとえば、バッテリ28の充電残量の不足に対して、バッテリ28を交換するだけで対処することができる。そのため、バッテリ28の充電残量の不足の際に、バッテリ28の充電に要する手間、及び時間を省略することができる。
【0055】
なお、本実施形態で示した具体的な構成は、一例であり、本発明の態様は、本実施形態に示した構成に限定されるものではない。
【0056】
例えば、熱交換部126が、連節部16の底部16aに設けられる場合と同様の効果が得られるのであれば、熱交換部126は、連節部16の天井部16bに設けられてもよいし、各種ファンの向きを変更することで、通気口108の役割を適宜、変更してもよい。
【0057】
さらに、先頭車両12に操舵輪、及び駆動輪が設けられるのであれば、これらは、同一の車輪であってもよい。例えば、第1車輪24が操舵輪、及び駆動輪としての役割を担ってもよい。また、このような場合、第2車輪26は、従動輪とされてもよいし、省略されてもよい。
【0058】
また、動力発生部32を構成するコンポーネントが複数存在する場合、冷却システム120は、1つの循環系統で複数の動力発生部32を冷却しても良い。この場合、例えば、循環系統は、循環流路122、ポンプ124と、熱交換部126と、バッテリ28、及びモータ30等から構成される。
【0059】
さらに、1つの循環系統で複数の動力発生部32を冷却する場合、熱交換部126を複数用意し、循環流路122内の冷媒を、動力発生部32と、熱交換部126とを交互に流通させるのが好ましい。このことによれば、動力発生部32には、放熱後の冷媒が流通するため、効率よく動力発生部32を冷却することができる。
【0060】
また、後続車両14にさらに後続する車両が存在する場合、連節部16の構成は、後続車両14と、その車両の間の連節部にも適用することができる。
【0061】
また、連節バス10の先頭車両12において、バッテリ28を前方側に配置し、連節バス10の走行風に晒してもよい。この場合、バッテリ28をより効率的に冷却することができる。
【0062】
さらに、動力発生部32には、エンジンが含まれてもよい、この場合、エンジンは、先頭車両12に設けられる。つまり、この場合、連節バス10は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)に該当する。
【0063】
また、動力発生部32には、水素タンク、及び燃料電池が含まれても良い。この場合、水素タンク、及び燃料電池は、ユニット化された状態で先頭車両12に設けられる。また、この場合、連節バス10は、FCV(Fuel Cell Vehicle)に該当する。
【符号の説明】
【0064】
10 連節バス
12 先頭車両
14 後続車両
16 連節部
16a 底部
16b 天井部
26 第2車輪
28 走行用バッテリ
30 電動モータ
46 第2開閉扉46
120 冷却システム
126 熱交換部
128 ラジエータ
130 第1ファン