(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166607
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】傾斜地の崩壊予兆検知システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20241122BHJP
G01C 7/02 20060101ALI20241122BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G01C7/02
G08B31/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082811
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 武宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 與志
(72)【発明者】
【氏名】古賀 真代
【テーマコード(参考)】
5C087
【Fターム(参考)】
5C087AA19
5C087DD02
5C087DD17
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG09
5C087GG14
5C087GG66
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】傾斜地の崩壊予兆を低コストに広い範囲にわたって検知できるようにする。
【解決手段】傾斜地の崩壊予兆検知システムの処理回路は、初期画像における基準マークと比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す初期位置関係を算出し、点検画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す点検位置関係を算出し、同一のコードID情報に関連付けられた前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較し、判定結果を出力するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜地を含む土地における前記傾斜地の崩壊予兆を検知するためのシステムであって、
データベースと、
前記データベースに接続された処理回路と、を備え、
前記処理回路は、
前記傾斜地の初期時に、前記土地に設けられた基準マークと前記傾斜地に設けられた比較二次元コードとを含むように撮像された初期画像を取得することと、
前記傾斜地の点検時に、前記基準マークと前記比較二次元コードとを含むように撮像された点検画像を取得することと、
前記初期画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す初期位置関係を算出することと、
前記初期画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記初期位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
前記点検画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す点検位置関係を算出することと、
前記点検画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記点検位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することと、
前記初期位置関係と前記点検位置関係との間の比較に基づいて、前記傾斜地の崩壊予兆に関する判定結果を出力することと、
を行うように構成されている、傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項2】
前記比較二次元コードは、前記傾斜地に打ち立てられた杭部材を介して前記傾斜地に設けられており、
前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対角度を含む、請求項1に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項3】
前記土地は、前記傾斜地とは異なる基準地を更に含み、
前記基準マークは、前記基準地に設けられている、請求項1又は2に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項4】
前記基準マークは、前記比較二次元コードと同種の二次元コードである基準二次元コードを含む、請求項1又は2に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項5】
前記初期画像及び前記点検画像を取得することは、通信ネットワークを介してアップロードされた前記初期画像及び前記点検画像を受信することを含む、請求項1又は2に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項6】
前記データベースは、クライアントID情報に対応するクライアント宛先情報を記憶し、
前記初期画像及び前記点検画像を取得することは、前記クライアントID情報が含まれる前記初期画像及び前記点検画像を取得することを含み、
前記初期位置関係及び前記点検位置関係を前記データベースに記憶することは、前記クライアントID情報に関連付けて前記初期位置関係及び前記点検位置関係を前記データベースに記憶することを含み、
前記判定結果を出力することは、前記比較した点検位置関係に関連付けられた前記クライアントID情報に対応する前記クライアント宛先情報が示す宛先に前記判定結果を送信することを含む、請求項5に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項7】
前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することは、前記初期位置関係に対する前記点検位置関係の変化量が閾値を超えたときに異常が発生した判定することを含む、請求項1又は2に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項8】
前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することは、人工知能によって前記初期位置関係に対する前記点検位置関係の変化を分析して異常の有無を判定することを含む、請求項1又は2に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項9】
前記比較二次元コードは、第1比較二次元コードであり、前記傾斜地には、第2比較二次元コードが設けられ、
前記初期位置関係は第1初期位置関係であり、かつ、前記点検位置関係は第1点検位置関係であり、
前記初期画像は、前記基準マークと前記第1比較二次元コードと前記第2比較二次元コードとを含み、
前記点検画像は、前記基準マークと前記第1比較二次元コードと前記第2比較二次元コードとを含み、
前記処理回路は、
前記初期画像における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第2初期位置関係を算出することと、
前記初期画像に含まれる前記第2比較二次元コードのコードID情報と前記第2初期位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
前記点検画像における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第2点検位置関係を算出することと、
前記点検画像に含まれる前記第2比較二次元コードのコードID情報と前記第2点検位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記第2初期位置関係及び前記第2点検位置関係を互いに比較することと、を行うように構成されており、
前記判定結果を出力することは、前記第2初期位置関係と前記第2点検位置関係との間の比較に基づいて、前記判定結果を出力することを含む、請求項1又は2に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項10】
前記第1比較二次元コード及び前記第2比較二次元コードは、それぞれ前記傾斜地に打ち立てられた杭部材を介して前記傾斜地に設けられており、
前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度を含み、
前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度を含み、
前記第1初期位置関係及び前記第1点検位置関係を互いに比較することは、前記傾斜地の初期時における前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度と、前記傾斜地の点検時における前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度との間の差分である第1差分を算出することを含み、
前記第2初期位置関係及び前記第2点検位置関係を互いに比較することは、前記傾斜地の初期時における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度と、前記傾斜地の点検時における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度との間の差分である第2差分を算出することを含み、
前記処理回路は、前記第1差分及び前記第2差分の正負の符号が互いに同じである場合よりも、前記第1差分及び前記第2差分の正負の符号が互いに異なる場合の方が、異常レベルが高いと判定するように構成されている、請求項9に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項11】
前記比較二次元コードは、第1比較二次元コードであり、
前記傾斜地には、第2比較二次元コードが設けられ、
前記初期画像は第1初期画像であり、かつ、前記点検画像は第1点検画像であり、
前記初期位置関係は第1初期位置関係であり、かつ、前記点検位置関係は第1点検位置関係であり、
前記処理回路は、
前記傾斜地の初期時に、前記基準マークを含まずに前記第1比較二次元コード及び前記第2比較二次元コードを含むように撮像された第2初期画像を取得することと、
前記傾斜地の点検時に、前記基準マークを含まずに前記第1比較二次元コード及び前記第2比較二次元コードを含むように撮像された第2点検画像を取得することと、
前記第2初期画像における前記第1比較二次元コードと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第2初期位置関係を算出することと、
前記第2初期画像に含まれる前記第2比較二次元コードのコードID情報と前記第2初期位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
前記第2点検画像における前記第1比較二次元コードと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第2点検位置関係を算出することと、
前記第2点検画像に含まれる前記第2比較二次元コードのコードID情報と前記第2点検位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記第1初期位置関係及び前記第2初期位置関係に基づいて、前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第3初期位置関係を算出することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記第1点検位置関係及び前記第2点検位置関係に基づいて、前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第3点検位置関係を算出することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記第3初期位置関係及び前記第3点検位置関係を互いに比較することと、を行うように構成されており、
前記判定結果を出力することは、前記第3初期位置関係と前記第3点検位置関係との間の比較に基づいて、前記判定結果を出力することを含む、請求項1又は2に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項12】
前記第1比較二次元コード及び前記第2比較二次元コードは、それぞれ前記傾斜地に打ち立てられた杭部材を介して前記傾斜地に設けられており、
前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度を含み、
前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度を含み、
前記第1初期位置関係及び前記第1点検位置関係を互いに比較することは、前記傾斜地の初期時における前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度と、前記傾斜地の点検時における前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度との間の差分である第1差分を算出することを含み、
前記第3初期位置関係及び前記第3点検位置関係を互いに比較することは、前記傾斜地の初期時における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度と、前記傾斜地の点検時における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度との間の差分である第2差分を算出することを含み、
前記処理回路は、前記第1差分及び前記第2差分の正負の符号が互いに同じである場合よりも、前記第1差分及び前記第2差分の正負の符号が互いに異なる場合の方が、異常レベルが高いと判定するように構成されている、請求項11に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【請求項13】
傾斜地を含む土地における前記傾斜地の崩壊予兆を検知する方法であって、
前記傾斜地の初期時に、前記土地に設けられた基準マークと前記傾斜地に設けられた比較二次元コードとを含むように撮像された初期画像を取得することと、
前記傾斜地の点検時に、前記基準マークと前記比較二次元コードとを含むように撮像された点検画像を取得することと、
前記初期画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す初期位置関係を算出することと、
前記初期画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記初期位置関係とを互いに関連付けて記憶することと、
前記点検画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す点検位置関係を算出することと、
前記点検画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記点検位置関係とを互いに関連付けて記憶することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することと、
前記初期位置関係と前記点検位置関係との間の比較に基づいて、前記傾斜地の崩壊予兆に関する判定結果を出力することと、を含む、傾斜地の崩壊予兆検知方法。
【請求項14】
請求項13に記載された方法を少なくとも1つのプロセッサに実行させる、崩壊予兆検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、傾斜地の崩壊予兆を検知するためのシステム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、土砂崩壊を検知する土砂崩壊検知装置が開示されている。この装置は、土砂崩壊の発生を監視する傾斜地に配置される傾斜センサと、前記傾斜地に敷設されるセンサーケーブルと、前記センサーケーブルを介して前記傾斜センサの検知信号を受信する制御装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記装置では、多数のセンサを準備して且つセンサーケーブルを敷設するため、部品コスト及び工事コストが高くなる。コストの制約があると、前記装置を広い範囲にわたって設置することが難しい。
【0005】
本開示の一態様は、傾斜地の崩壊予兆を低コストに広い範囲にわたって検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る傾斜地の崩壊予兆検知システムは、傾斜地を含む土地における前記傾斜地の崩壊予兆を検知するためのシステムであって、データベースと、前記データベースに接続された処理回路と、を備える。前記処理回路は、前記傾斜地の初期時に、前記土地に設けられた基準マークと前記傾斜地に設けられた比較二次元コードとを含むように撮像された初期画像を取得することと、前記傾斜地の点検時に、前記基準マークと前記比較二次元コードとを含むように撮像された点検画像を取得することと、前記初期画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す初期位置関係を算出することと、前記初期画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記初期位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、前記点検画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す点検位置関係を算出することと、前記点検画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記点検位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、同一の前記コードID情報に関連付けられた前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することと、前記初期位置関係と前記点検位置関係との間の比較に基づいて、前記傾斜地の崩壊予兆に関する判定結果を出力することと、を行うように構成されている。
【0007】
本開示の一態様に係る傾斜地の崩壊予兆検知方法は、傾斜地を含む土地における前記傾斜地の崩壊予兆を検知する方法であって、前記傾斜地の初期時に、前記土地に設けられた基準マークと前記傾斜地に設けられた比較二次元コードとを含むように撮像された初期画像を取得することと、前記傾斜地の点検時に、前記基準マークと前記比較二次元コードとを含むように撮像された点検画像を取得することと、前記初期画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す初期位置関係を算出することと、前記初期画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記初期位置関係とを互いに関連付けて記憶することと、前記点検画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す点検位置関係を算出することと、前記点検画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記点検位置関係とを互いに関連付けて記憶することと、同一の前記コードID情報に関連付けられた前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することと、前記初期位置関係と前記点検位置関係との間の比較に基づいて、前記傾斜地の崩壊予兆に関する判定結果を出力することと、を含む。
【0008】
本開示の一態様に係る崩壊予兆検知プログラムは、前記方法を少なくとも1つのプロセッサに実行させる。前記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され得る。前記記憶媒体は、非一時的(non-transitory)で有形(tangible)な媒体である。前記記憶媒体は、コンピュータ(例えば、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、サーバ等)に内蔵又は外付けされ得る。前記記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、ストレージ等を含み、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク等とし得る。前記記憶媒体に記憶されたプログラムは、前記記憶媒体が直接接続されるコンピュータにおいて実行されてもよいし、前記記憶媒体とネットワーク(例えば、インターネット)を介して接続されたコンピュータにおいて実行されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、初期時と点検時との間における基準マークに対する比較二次元コードの相対位置関係の変化を調べることで、傾斜地の崩壊の予兆を検知できる。しかも、比較二次元コードは、対となる初期位置関係及び点検位置関係を特定するためのID情報としての役目も果たす。よって、監視対象が広い範囲にわたる場合でも低コストに傾斜地の崩壊予兆を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る傾斜地の崩壊予兆検知システムの模式図である。
【
図4】
図4は、
図1のシステムの処理を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、傾斜地の初期時に各コードを撮像して得られる初期画像を示す図面である。
【
図7】
図7は、傾斜地の点検時に各コードを撮像して得られる点検画像を示す図面である。
【
図8】
図8は、変形例における各コードの撮影態様を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る傾斜地12の崩壊予兆検知システム1の模式図である。
図1に示すように、検知システム1は、土地10の傾斜地12の崩壊予兆を検知するためのシステムである。検知システム1は、例えば、複数の二次元コードC0~C3、カメラ29を搭載したドローン2、サーバ3及びデータベース4を備える。
【0013】
土地10は、基準地11及び傾斜地12を有する。傾斜地12は、粒状物の集合を含む。例えば、傾斜地12は、粒状物の集合としての土を含む。傾斜地12は、例えば、表面から内部まで土を含むものであるが、その表面がアスファルト又はコンクリートのような人工物で覆われていてもよい。なお、傾斜地12は、粒状物の集合としての雪を含んでもよい。
【0014】
基準地11は、傾斜地12よりも崩壊が起きにくい構造(例えば、アスファルト構造又はコンクリート構造)を有する場所である。基準地11は、例えば、例えば水平地であるが、非水平地でもよいし土地に設置された物又は建物でもよい。
図1の例では、傾斜地12は、1つだけ例示されているが、互いに離れた複数のロケーションに分散して存在し得る。また、互いに離れた複数のロケーションに分散して存在する複数の傾斜地12は、それぞれ別々のクライアント企業によって管理され得る。
【0015】
基準地11には、基準二次元コードC0が設けられている。具体的には、基準二次元コードC0は、基準地11に固定された基準部材P0を介して基準地11に設けられている。例えば、基準二次元コードC0は、基準部材P0に貼り付けられている。なお、基準二次元コードC0は、レーザー等によって基準部材P0に直接形成されたものでもよい。
【0016】
傾斜地12には、複数の比較二次元コードC1~C3が設けられている。本実施形態では、簡略化のために3つの比較二次元コードC1~C3が例示されているが、それよりも多い数の比較二次元コードが傾斜地12に配置され得る。
【0017】
具体的には、傾斜地12には、複数の杭部材P1~P3が互いに間隔をあけて打ち立てられている。例えば、第1比較二次元コードC1は、傾斜地12に打ち立てられた第1比較杭部材P1に貼り付けられている。第2比較二次元コードC2は、傾斜地12に打ち立てられた第2比較杭部材P2に貼り付けられている。第3比較二次元コードC3は、傾斜地12に打ち立てられた第3比較杭部材P3に貼り付けられている。二次元コードC0~C3は、傾斜地12の上から下に向かう傾斜に沿った方向U及び傾斜地12の表面に直交する方向Vの両方に直交する方向Wに向いている。
【0018】
比較二次元コードC1~C3は、比較マークの一例である。基準二次元コードC0及び比較二次元コードC1~C3の法線は、実質的に同じ向きに向いている。基準二次元コードC0及び第1~第3比較二次元コードC1~C3は、互いに同種の二次元コードである。二次元コードC0~C3は、例えば、QRコード(登録商標)であるが、画像上で二次元コードの角度を検知できるものであれば他の種類の二次元コードであってもよい。なお、比較二次元コードC1~C3は、レーザー等によって比較杭部材P1~P3にそれぞれ直接形成されたものでもよい。
【0019】
各二次元コードC0~C3は、カメラ29によって撮影される。カメラ29は、例えば、ドローン2に搭載されている。なお、カメラ29は、ドローン2以外の移動体に搭載されてもよいし、土地10に設置された監視カメラであってもよい。カメラ29によって撮影された画像データは、通信ネットワーク6を介してサーバ3にアップロードされる。
【0020】
サーバ3は、インターネットのような通信ネットワーク6に接続されている。通信ネットワーク6は、インターネットに限定されるものでなく、LAN、WAN、衛星通信回線、携帯電話網など、その他のネットワークでもよい。サーバ3は、データベース4に接続されている。データベース4は、サーバ3にローカル接続されてもよいし、サーバ3に通信ネットワーク6を介して接続されてもよい。クライアント端末5は、通信ネットワーク6に接続されている。クライアント端末5は、例えば、傾斜地12を管理するクライアント企業のものである。クライアント端末5は、通信機能を有する情報処理装置としてのコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等とし得る。
【0021】
ドローン2が通信ネットワーク6と無線通信可能な場合には、カメラ29が撮影した画像データは、ドローン2が通信ネットワーク6に接続することでサーバ3に送信されてもよい。或いは、カメラ29が撮影した画像データは、記録媒体、有線通信又は無線通信を介してドローン2からクライアント端末5に保存されてから、クライアント端末5から通信ネットワーク6を介してサーバ3に送信されてもよい。
【0022】
図2は、
図1のドローン2のブロック図である。
図2に示すように、ドローン2は、処理回路20、ジャイロセンサ24、加速度センサ25、衛星測位センサ26、高度センサ27、地磁気センサ28、カメラ29、通信インターフェース30、プロペラアクチュエ-タ31、及び、プロペラ32を備える。処理回路20は、プロセッサ21、システムメモリ22及びストレージメモリ23を備える。プロセッサ21は、CPUを含み得る。システムメモリ22は、RAMを含み得る。ストレージメモリ23は、ハードディスク、フラッシュメモリ又はその組合せを含み得る。ストレージメモリ23は、プログラム33を記憶している。ストレージメモリ23からシステムメモリ22に読み出されたプログラム33をプロセッサ21が実行する構成は、処理回路20の一例である。プログラム33の一部又は全部は、ドローン2の外部のプロセッサにより実行されてもよく、その実行結果をドローン2が受信してもよい。
【0023】
ジャイロセンサ24は、ドローン2の3つの姿勢軸周りの角速度をそれぞれ検出する。3つの姿勢軸は互いに直交しており、ドローン2の前後方向、左右方向及び上下方向にそれぞれ対応して設定する。加速度センサ25は、ドローン2の前後方向、左右方向及び上下方向の加速度をそれぞれ検出する。プロセッサ21は、加速度センサ25が検出した加速度を積分して速度を算出する。衛星測位センサ26は、衛星測位システムを利用してドローン2の位置を検出する。衛星測位システムは、例えばGPS(Global Positioning System)である。高度センサ27は、ドローン2の高度を検出し、例えば、気圧センサ又は電波センサである。気圧センサは、速度センサを兼ねることもできる。地磁気センサ28は、ドローン2を基準とした方角を知るために地球の磁力を検出する。
【0024】
カメラ29は、ドローン2の周辺を撮影する。通信インターフェース30は、操作端末と無線通信する通信機と、通信ネットワーク6と無線通信する通信機と、を含み得る。ドローン2は、例えば、複数のプロペラ32を備える。複数のプロペラ32の回転数を調節することで、ドローン2の挙動が決められる。プロペラアクチュエータ31は、複数のプロペラ32に個別に設けられ、プロペラ32をそれぞれ駆動する。各センサ24~28、カメラ29、通信インターフェース30及びプロペラアクチュエータ31は、プロセッサ21に接続されている。
【0025】
ドローン2は、ストレージメモリ23に保存された飛行計画情報に基づいて自動飛行する。前記飛行計画情報は、計画飛行ルート、計画飛行速度及び離着陸ポイントに関する情報を含む。プロセッサ21は、前記飛行計画情報に従うように各センサ23~28の検出信号に応じてプロペラアクチュエータ31を制御することで自動飛行する。
【0026】
ドローン2は、操作者が操作した操作端末から直接無線通信により通信インターフェース30が受信した指令に基づいて飛行してもよい。操作端末には、上昇又は下降指令、右移動又は左移動指令、前進又は後進指令、及び、右旋回又は左旋回指令の手動操作が操作者により入力され得る。プロセッサ21は、これら指令に従ってプロペラアクチュエータ31を制御し得る。
【0027】
図3は、
図1のサーバ3のブロック図である。
図3に示すように、サーバ3は、処理回路40及び通信インターフェース44を備える。処理回路40は、プロセッサ41、システムメモリ42及びストレージメモリ43を含む。プロセッサ41は、CPUを含み得る。システムメモリ42は、RAMを含み得る。ストレージメモリ43は、ハードディスク、フラッシュメモリ又はその組合せを含み得る。ストレージメモリ43は、プログラム45を記憶している。ストレージメモリ43からシステムメモリ42に読み出されたプログラム45をプロセッサ41が実行する構成は、処理回路40の一例である。通信インターフェース44は、通信ネットワーク6に有線又は無線で通信可能に接続する通信インターフェースを含む。通信インターフェース44は、データベース4に有線又は無線で通信可能に接続する通信インターフェースを含むが、サーバ3がデータベース4を内蔵していてもよい。
【0028】
図4は、
図1の検知システム1の処理を説明するフローチャートである。
図5は、
図4の続きのフローチャートである。以下、
図1乃至3の構成を適宜参照しながら
図4及び5の流れに沿って説明する。なお、以下の説明において、ドローン2の処理は処理回路20に実行され、サーバ3の処理は処理回路40に実行される。
【0029】
基準地11に基準二次元コードC0が設置され且つ傾斜地12に第1~第3比較二次元コードC1~C3が設置されたとき、即ち、傾斜地12が正常なときの初期時において、ドローン2は、飛行しながらカメラ29を使って、第1~第3比較二次元コードC1~C3の少なくとも1つと、基準二次元コードC0とを1つの画像に含めて撮影する(ステップS1)。このとき撮影された画像は、初期画像M(
図6参照)と称する。本実施形態では、1つの初期画像Mに各コードC0~C3が含まれる場合を例示的に説明する。
【0030】
図6は、傾斜地12の初期時に各コードC0~C3を撮像して得られる初期画像Mを示す図面である。
図6に示すように、ドローン2は、初期時において基準二次元コードC0と比較二次元コードC1~C3とを纏めて撮影して得られる1つの画像を初期画像Mとして保存する(ステップS2)。ドローン2は、通信ネットワーク6を介してサーバ3に初期画像Mをアップロードする(ステップS3)。この際、ドローン2は、初期画像Mにプロパティ情報を付して送信する。
【0031】
前記プロパティ情報は、例えば、傾斜地12の管理者を識別可能なクライアントID情報を含んでもよい。前記プロパティ情報は、初期画像Mの撮影時でのドローン2の位置情報を含んでもよい。前記プロパティ情報は、傾斜地12を特定するための識別情報を含んでもよい。
【0032】
サーバ3は、ドローン2から通信ネットワーク6を介してアップロードされた初期画像Mを受信する(ステップS4)。サーバ3は、その受信した初期画像Mをデータベース4に記憶させる(ステップS5)。サーバ3は、画像処理によって初期画像Mにおける基準二次元コードC0及び比較二次元コードC1~C3を読み取る(ステップS6)。これにより、サーバ3は、各二次元コードC0~C3の記録情報を読み取るとともに、初期画像M上における各二次元コードC0~C3の位置及び角度をそれぞれ取得する。
【0033】
例えば、QRコード(登録商標)である二次元コードC0~C3では、正方形の4隅のうち3つの隅にあるファインダパターンを判別することで、画像上における二次元コードC0~C3の位置、大きさ及び角度(傾き)を検出できる。そのため、基準二次元コードC0に対する比較二次元コードC1~C3の相対位置関係(例えば、相対角度、相対距離など)を知ることができる。
【0034】
基準二次元コードC0の記録情報は、二次元コード自体の識別情報を示すコードID情報を含む。傾斜地12の管理者の識別情報を示すクライアントID情報は、基準二次元コードC0の記録情報に含まれてもよいし、ドローン2によって初期画像Mに付されたプロパティ情報に含まれてもよい。基準二次元コードC0の記録情報は、基準二次元コードC0の位置情報を含んでもよい。基準二次元コードC0の記録情報は、傾斜地12の識別情報を含んでもよい。
【0035】
比較二次元コードC1~C3の記録情報は、二次元コード自体の識別情報を示すコードID情報を含む。傾斜地12の管理者の識別情報を示すクライアントID情報は、比較二次元コードC1~C3の記録情報に含まれてもよいし、ドローン2によって初期画像M及び点検画像Nに付されてもよい。比較二次元コードC1~C3の記録情報は、それぞれ自身の位置情報を含んでもよい。比較二次元コードC1~C3の記録情報は、傾斜地12の識別情報を含んでもよい。サーバ3は、各二次元コードC0~C3の少なくとも何れかから読み取った記録情報をコードID情報に関連付けてデータベース4に記憶させるとよい。
【0036】
サーバ3は、取得した二次元コードC0~C3の画像が正対撮影されずに斜めから撮影されたものである場合、正方形である二次元コードC0~C3が画像上では台形に歪むことになる。そこで、サーバ3は、画像上の二次元コードC0~C3が台形になって歪んでいる場合には、歪み補正を行う。歪み補正の第1例としては、二次元コードC0~C3がQRコード(登録商標)である場合に、QRコード(登録商標)が持つ複数のアライメントパターンを利用して歪み補正する公知の手法を採用し得る。この例では、QRコード(登録商標)が持つ複数のアライメントパターンの中心座標を求め、それら中心座標が所定の配置になるように画像上のQRコード(登録商標)の全体を補正する。歪み補正の第2例としては、画像上の二次元コードC0~C3の形状を画像処理によって取得し、画像上の二次元コードC0~C3の形状の歪を画像補正によって正対画像に変換する公知の手法を採用し得る。
【0037】
サーバ3は、初期画像Mにおける基準二次元コードC0と比較二次元コードC1~C3との間の相対位置関係を示す初期位置関係を算出する(ステップS7)。具体的には、
図6に示すように、サーバ3は、公知の二次元コード認識技術によって、初期画像Mにおいて基準二次元コードC0の基準角度α0と、比較二次元コードC1~C3の比較角度α1~α3とを算出する。なお、初期画像Mは、飛行中のドローン2が撮影したものであるため、
図6の初期画像Mの座標軸(x1,y1)は
図1の実際の土地10の座標軸(X,Y)と不一致となり得る。
【0038】
QRコード(登録商標)である二次元コードC1,C2は、正方形の4隅のうち3つの隅にファインダパターンを有し、ファインダパターンが右上隅、左上隅及び左下隅にあるときの姿勢を基本姿勢とし得る。例えば、サーバ3は、基本姿勢の基準二次元コードC0の上辺が画像上の横軸x1となす角を基準二次元コードC0の基準角度α0として算出する。前記上辺は、二次元コードの左上隅のファインダパターンと右上隅のファインダパターンを結ぶ線である。
【0039】
同様に、サーバ3は、基本姿勢の第1比較二次元コードC1の上辺が画像上の横軸x1となす角を第1比較二次元コードC1の比較角度α1として算出する。同様に、サーバ3は、基本姿勢の第2比較二次元コードC2の上辺が画像上の横軸x1となす角を第2比較二次元コードC2の比較角度α2として算出する。同様に、サーバ3は、基本姿勢の第3比較二次元コードC3の上辺が画像上の横軸x1となす角を第3比較二次元コードC3の比較角度α3として算出する。なお、QRコード(登録商標)である二次元コードC0~C3の角度の算出方法は、これに限られず、他の公知の手法(例えば、ファインダパターンの幅変化に基づいた角度算出)が用いられてもよい。
【0040】
サーバ3は、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の第1初期相対角度(α1-α0)を、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の第1初期位置関係として算出する。同様に、サーバ3は、基準二次元コードC0と第2比較二次元コードC2との間の第2初期相対角度(α2-α0)を、基準二次元コードC0と第2比較二次元コードC2との間の第2初期位置関係として算出する。同様に、サーバ3は、基準二次元コードC0と第3比較二次元コードC3との間の第3初期相対角度(α3-α0)を、基準二次元コードC0と第3比較二次元コードC3との間の第3初期位置関係として算出する。
【0041】
サーバ3は、各比較二次元コードC1~C3に関し、前記算出した初期相対角度(α1-α0、α2-α0及びα3-α0)を初期位置関係としてデータベース4に記憶させる(ステップS8)。具体的には、サーバ3は、第1比較二次元コードC1のコードID情報と関連付けて、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の第1初期相対角度(α1-α0)をデータベース4に記憶させる。サーバ3は、第2比較二次元コードC2のコードID情報と関連付けて、基準二次元コードC0と第2比較二次元コードC2との間の第2初期相対角度(α2-α0)をデータベース4に記憶させる。サーバ3は、第3比較二次元コードC3のコードID情報と関連付けて、基準二次元コードC0と第3比較二次元コードC3との間の第3初期相対角度(α3-α0)をデータベース4に記憶させる。
【0042】
その際、サーバ3は、当該算出した各相対角度(α1-α0、α2-α0及びα3-α0)を、初期画像Mに関連するクライアントID情報に関連付けてデータベース4に記憶させる。また、サーバ3は、初期画像Mの前記プロパティ情報を基準二次元コードC0のコードID情報に関連付けてデータベース4に記憶させるとよい。
【0043】
次に、傾斜地12の点検時期が到来すると、ドローン2は、飛行しながらカメラ29を使って、第1~第3比較二次元コードC1~C3の少なくとも1つと、基準二次元コードC0とを1つの画像に含めて撮影する(ステップS9)。このとき撮影された画像は、点検画像N(
図7参照)と称する。
【0044】
図7は、傾斜地12の点検時に各コードC0~C3を撮像して得られる点検画像Nを示す図面である。
図7に示すように、ドローン2は、点検時において基準二次元コードC0と比較二次元コードC1~C3とを纏めて撮影して得られる1つの画像を点検画像Nとして保存する(ステップS10)。ドローン2は、通信ネットワーク6を介してサーバ3に点検画像Nをアップロードする(ステップS11)。サーバ3は、ドローン2から通信ネットワーク6を介してアップロードされた点検画像Nを受信する(ステップS12)。
【0045】
サーバ3は、その受信した点検画像Nをデータベース4に記憶させる(ステップS13)。サーバ3は、画像処理によって点検画像Nにおける基準二次元コードC0及び比較二次元コードC1~C3を読み取る(ステップS14)。これにより、サーバ3は、二次元コードC0~C3の記録情報を読み取るとともに、点検画像N上における二次元コードC0~C3の位置及び角度をそれぞれ取得する。
【0046】
サーバ3は、二次元コードC0~C3が正常に読み取れたか否かを判定する(ステップS15)。サーバ3は、二次元コードC0~3のいずれかを正常に読み取ることができない場合には(ステップS15:N)、エラーを出力する。例えば、二次元コードが設けられた部材P0~P3が倒れる又は吹き飛ばされるなどして所定の位置に存在しない場合には、エラーが出力されることになる。サーバ3は、当該エラーを示す二次元コードに関する情報、例えば、当該エラーを示す二次元コードが存在する位置情報を、エラーの事実を示す情報とともに、当該二次元コードが設けられた傾斜地12を管理するクライアントのクライアント端末5に送信するとよい。
【0047】
サーバ3は、二次元コードC0~C3のいずれも正常に読み取ることができた場合には(ステップS15:Y)、点検画像Nにおける基準二次元コードC0と比較二次元コードC1~C3との間の相対位置関係を示す点検位置関係を算出する(ステップS16)。具体的には、
図7に示すように、サーバ3は、点検画像Nにおいて基準二次元コードC0の基準角度β0と、比較二次元コードC1~C3の比較角度β1~β3とを算出する。角度β0~β3の算出方法は、前述した角度α0~α3の算出方法と同様である。なお、点検画像Nは、飛行中のドローン2が撮影したものであるため、
図7の点検画像Nの座標軸(x2,y2)は
図6の初期画像Mの座標軸(x1,y1)と不一致となり得る。
【0048】
サーバ3は、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の第1点検相対角度(β1-β0)を、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の第1点検位置関係として算出する。同様に、サーバ3は、基準二次元コードC0と第2比較二次元コードC2との間の第2点検相対角度(β2-β0)を、基準二次元コードC0と第2比較二次元コードC2との間の第2点検位置関係として算出する。同様に、サーバ3は、基準二次元コードC0と第3比較二次元コードC3との間の第3点検相対角度(β3-β0)を、基準二次元コードC0と第3比較二次元コードC3との間の第3点検位置関係として算出する。
【0049】
サーバ3は、各比較二次元コードC1~C3に関し、前記算出した点検相対角度(β1-β0、β2-β0及びβ3-β0)を点検位置関係としてデータベース4に記憶させる(ステップS17)。具体的には、サーバ3は、第1比較二次元コードC1のコードID情報と関連付けて、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の第1点検相対角度(β1-β0)をデータベース4に記憶させる。サーバ3は、第2比較二次元コードC2のコードID情報と関連付けて、基準二次元コードC0と第2比較二次元コードC2との間の第2点検相対角度(β2-β0)をデータベース4に記憶させる。サーバ3は、第3比較二次元コードC3のコードID情報と関連付けて、基準二次元コードC0と第3比較二次元コードC3との間の第3点検相対角度(β3-β0)をデータベース4に記憶させる。
【0050】
第1比較二次元コードC1に関し、サーバ3は、互いに一致するコードID情報に関連付けられた第1初期相対角度(α1-α0)及び第1点検相対角度(β1-β0)をデータベース4から抽出し、その抽出された第1初期相対角度(α1-α0)とその抽出された第1点検相対角度(β1-β0)とを互いに比較する(ステップS18)。同様に、第2比較二次元コードC2に関し、サーバ3は、互いに一致する別のコードID情報に関連付けられた第2初期相対角度(α2-α0)及び第2点検相対角度(β2-β0)をデータベース4から抽出し、その抽出された第2初期相対角度(α2-α0)とその抽出された第2点検相対角度(β2-β0)とを互いに比較する。同様に、第3比較二次元コードC3に関し、サーバ3は、互いに一致する更に別のコードID情報に関連付けられた第3初期相対角度(α3-α0)及び第3点検相対角度(β3-β0)をデータベース4から抽出し、その抽出された第3初期相対角度(α3-α0)とその抽出された第3点検相対角度(β3-β0)とを互いに比較する。
【0051】
具体的には、第1比較二次元コードC1に関し、サーバ3は、第1点検相対角度(β1-β0)と第1初期相対角度(α1-α0)との間の差分{(β1-β0)-(α1-α0)}の絶対値が所定の閾値を超えると、傾斜地12の崩壊予兆が発生したと判定する。第2比較二次元コードC2に関し、サーバ3は、第2点検相対角度(β2-β0)と第2初期相対角度(α2-α0)との間の差分{(β2-β0)-(α2-α0)}の絶対値が所定の閾値を超えると、傾斜地12の崩壊予兆が発生したと判定する。第3比較二次元コードC3に関し、サーバ3は、第3点検相対角度(β3-β0)と第3初期相対角度(α3-α0)との間の差分{(β3-β0)-(α3-α0)}の絶対値が所定の閾値を超えると、傾斜地12の崩壊予兆が発生したと判定する。そして、サーバ3は、このような判定の結果を、後述の判定結果レポートに含める。
【0052】
サーバ3は、崩壊予兆に関する異常レベルを設定していてもよい。例えば、1つの傾斜地12に関し、点検相対角度と初期相対角度との間の変化量(前記差分の絶対値)が閾値を超えた比較二次元コードの数が増加するにつれて、異常レベルが高くなるようにしてもよい。点検相対角度と初期相対角度との間の前記変化量が所定の閾値を超えた二次元コードが複数ある場合に、その複数の二次元コードに関する各前記差分に正負の符号が混在すると、正負の符号が混在しない場合に比べて異常レベルが高くなるようにしてもよい。閾値判定では、複数の閾値が設定されていてもよい。即ち、閾値が大きくなるほど異常レベルが高くなるように異常レベルが設定されてもよい。或いは、サーバ3は、人工知能によって点検相対角度に対する初期相対角度の変化を分析して異常の有無を判定してもよい。
【0053】
定期的に複数回の点検を行う場合、サーバ3は、前記変化量が閾値を超えていないと判定したときでも、前記変化量がゼロよりも大きいと人工知能により保守が必要な時期を演算してもよい。例えば、サーバ3は、複数回の点検によって得られる前記変化量の進展量と点検間隔(日数又は時間)とを入力として前記変化量が閾値を超えるまでの時間を出力とした機械学習済みの進展予測モデルを備える。サーバ3は、複数回の点検によって得られる前記変化量の進展量(例えば、第2回点検の変化量から第1回点検の変化量を引いた量)と点検間隔とを前記進展予測モデルに入力し、現時点から前記変化量が閾値を超えるまでの時間を取得し、将来のいつの時点で前記変化量が閾値を超えるかを推定する。前記進展予測モデルの入力は、傾斜地12の周辺環境(例えば、天気等)及び傾斜地12に生じた過去の自然現象(例えば、地震等)の少なくとも何れかのデータを含んでもよく、それによれば、更なる保守精度の向上を図ることもできる。そして、サーバ3は、その推定結果を後述の判定結果レポートに含める。
【0054】
サーバ3は、その比較に用いた点検相対角度に関連付けられたクライアントID情報に対応するクライアント宛先情報が示す宛先に、判定結果レポートを送信する(ステップS19)。判定結果レポートは、異常が発生したと判定されたコードID情報が示す傾斜地12を特定するための識別情報と、崩壊予兆が発生した事実を示す情報と、を互いに関連付けて記載した出力を含む。傾斜地12を管理するクライアント企業のクライアント端末5は、判定結果レポートを受信すると、それを参考にして必要に応じて傾斜地12に対してメンテナンス作業を実施する。
【0055】
以上に説明した構成によれば、初期時と点検時との間における基準二次元コードC0に対する比較二次元コードC1~C3の相対位置関係の変化を調べることで、傾斜地12の崩壊の予兆を検知できる。しかも、基準二次元コードC0は、対となる初期位置関係及び点検位置関係を特定するためのID情報としての役目も果たす。よって、監視対象が広い範囲にわたる場合でも低コストに傾斜地の崩壊予兆を検知できる。
【0056】
図8は、変形例における各コードC0~C3の撮影態様を説明する図面である。
図8に示すように、ドローン2のカメラ29が撮影する1画像は、撮影を要する二次元コードC0~C3の全部を含まず、撮影を要する二次元コードC0~C3の数よりも少ない数の二次元コードを含むようにしてもよい。即ち、ドローン2のカメラ29は、比較二次元コードC1~C3のいずれかを撮影するときに、基準二次元コードC0を含まずに1画像を撮影してもよい。これによれば、多くの二次元コードC0~C3が分散している場合にも二次元コードC0~C3の各々が1画像内で小さくなることを避けることができる。
【0057】
具体的には、傾斜地12の初期時に、ドローン2は、基準二次元コードC0及び第1比較二次元コードC1を含むように第1初期画像M1を撮影し、また、基準二次元コードC0を含まずに第1比較二次元コードC1及び第2比較二次元コードC2を含むように第2初期画像M2を撮影し、また、基準二次元コードC0を含まずに第2比較二次元コードC2及び第3比較二次元コードC3を含むように第3初期画像M3を撮影する。
【0058】
サーバ3は、通信ネットワーク6を介して第1~第3初期画像M1~M3を受信する。サーバ3は、第1初期画像M1において、基準二次元コードC0の基準角度α0と、第1比較二次元コードC1の比較角度α1とを算出する。サーバ3は、第2初期画像M2において、第1比較二次元コードC1の比較角度2α1と、第2比較二次元コードC2の比較角度2α2とを算出する。サーバ3は、第3初期画像M3において、第2比較二次元コードC2の比較角度3α2と、第3比較二次元コードC3の比較角度3α3とを算出する。なお、第1初期画像M1~M3は、飛行中のドローン2が撮影したものであるため、第1~第3初期画像M1~M3の座標軸は互いに不一致となり得る。
【0059】
第2初期画像M2には基準二次元コードC0が含まれないため、サーバ3は、第1初期画像M1及び第2初期画像M2での第1比較二次元コードC1の角度α1,2α1を利用して、基準二次元コードC0に対する第2比較二次元コードC2の相対角度α2を算出する。
【0060】
具体的には、サーバ3は、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の相対角度(α1-α0)を、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の第1初期位置関係として算出する。サーバ3は、第1比較二次元コードC1と第2比較二次元コードC2との間の相対角度(2α2-2α1)を、第1比較二次元コードC1と第2比較二次元コードC2との間の第2初期位置関係として算出する。そして、同一のコードID情報(第1比較二次元コードC1のコードID情報)に関連付けられた第1初期位置関係及び第2初期位置関係に基づいて、基準二次元コードC0と第2比較二次元コードC2との間の相対位置関係を示す第3初期位置関係を算出する。
【0061】
より具体的には、サーバ3は、第1比較二次元コードC1に対する第2比較二次元コードC2の相対角度(2α2-2α1)に、基準二次元コードC0に対する第1比較二次元コードC1の相対角度(α1-α0)を加算することで、基準二次元コードC0に対する第2比較二次元コードC2の相対角度(α2-α0)を第3初期位置関係として算出する。これと同様にして、サーバ3は、基準二次元コードC0に対する第3比較二次元コードC3の相対角度(α3-α0)も第4初期位置関係として算出する。
【0062】
サーバ3は、各比較二次元コードC1~C3に関し、それぞれに対応するコードID情報とともに、前記算出した相対角度(α1-α0、α2-α0及びα3-α0)を初期位置関係としてデータベース4に記憶させる。
【0063】
次に、傾斜地12の点検時期が到来すると、ドローン2は、基準二次元コードC0及び第1比較二次元コードC1を含むように第1点検画像N1を撮影し、また、基準二次元コードC0を含まずに第1比較二次元コードC1及び第2比較二次元コードC2を含むように第2点検画像N2を撮影し、また、基準二次元コードC0を含まずに第2比較二次元コードC2及び第3比較二次元コードC3を含むように第3点検画像N3を撮影する。
【0064】
サーバ3は、通信ネットワーク6を介して第1~第3点検画像N1~N3を受信する。サーバ3は、第1点検画像N1において、基準二次元コードC0の基準角度β0と、第1比較二次元コードC1の比較角度β1とを算出する。サーバ3は、第2点検画像N2において、第1比較二次元コードC1の比較角度2β1と、第2比較二次元コードC2の比較角度2β2とを算出する。サーバ3は、第3点検画像N3において、第2比較二次元コードC2の比較角度3β2と、第3比較二次元コードC3の比較角度3β3とを算出する。
【0065】
第2点検画像N2には基準二次元コードC0が含まれないため、サーバ3は、第1点検画像N1及び第2点検画像N2での第1比較二次元コードC1の角度β1,2β1を利用して、基準二次元コードC0に対する第2比較二次元コードC2の相対角度β2を算出する。
【0066】
具体的には、初期時と同様に、サーバ3は、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の相対角度(β1-β0)を、基準二次元コードC0と第1比較二次元コードC1との間の第1点検位置関係として算出する。サーバ3は、第1比較二次元コードC1と第2比較二次元コードC2との間の相対角度(2β2-2β1)を、第1比較二次元コードC1と第2比較二次元コードC2との間の第2点検位置関係として算出する。そして、同一のコードID情報(第1比較二次元コードC1のコードID情報)に関連付けられた第1点検位置関係及び第2点検位置関係に基づいて、基準二次元コードC0と第2比較二次元コードC2との間の相対位置関係を示す第3点検位置関係を算出する。
【0067】
より具体的には、サーバ3は、第1比較二次元コードC1に対する第2比較二次元コードC2の相対角度(2β2-2β1)に、基準二次元コードC0に対する第1比較二次元コードC1の相対角度(β1-β0)を加算することで、基準二次元コードC0に対する第2比較二次元コードC2の相対角度(β2-β0)を第3点検位置関係として算出する。これと同様にして、サーバ3は、基準二次元コードC0に対する第3比較二次元コードC3の相対角度(β3-β0)も第4点検位置関係として算出する。
【0068】
第1比較二次元コードC1に関し、サーバ3は、互いに一致するコードID情報に関連付けられた初期相対角度(α1-α0)及び点検相対角度(β1-β0)を互いに比較する。同様に、第2比較二次元コードC2に関し、サーバ3は、互いに一致する別のコードID情報に関連付けられた初期相対角度(α2-α0)及び点検相対角度(β2-β0)を互いに比較する。同様に、第3比較二次元コードC3に関し、サーバ3は、互いに一致する更に別のコードID情報に関連付けられた初期相対角度(α3-α0)及び点検相対角度(β3-β0)を互いに比較する。比較は、前述した実施形態と同様に、差分の閾値判定によって行われる。
【0069】
なお、本開示の技術は、前述した実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、前述した実施形態及び変形例では、基準地11に基準二次元コードC0を設けたが、基準地11に基準二次元コードC0を設けずに、傾斜地12に設けた比較二次元コードC1~C3のうちいずれかを基準二次元コードとして扱ってもよい。また、二次元コードC0~C3は、上空から撮影できるように上方に向けて配置されてもよい。また、基準二次元コードと比較二次元コードとの間の相対角度を両者の相対位置関係とする代わりに、基準二次元コードと比較二次元コードとの間の距離を両者の相対位置関係としてもよい。これによれば、杭部材P1~P3が平行移動するような傾斜地12の動きを検知すること、二次元コードを上方に向けて配置した場合に二次元コードが斜面に沿って変位する事象を検知すること等ができる。
【0070】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【0071】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット若しくは手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、又は、列挙された機能を実行するようにプログラム若しくは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段若しくはユニットは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0072】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0073】
[項目1]
傾斜地を含む土地における前記傾斜地の崩壊予兆を検知するためのシステムであって、
データベースと、
前記データベースに接続された処理回路と、を備え、
前記処理回路は、
前記傾斜地の初期時に、前記土地に設けられた基準マークと前記傾斜地に設けられた比較二次元コードとを含むように撮像された初期画像を取得することと、
前記傾斜地の点検時に、前記基準マークと前記比較二次元コードとを含むように撮像された点検画像を取得することと、
前記初期画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す初期位置関係を算出することと、
前記初期画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記初期位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
前記点検画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す点検位置関係を算出することと、
前記点検画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記点検位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することと、
前記初期位置関係と前記点検位置関係との間の比較に基づいて、前記傾斜地の崩壊予兆に関する判定結果を出力することと、
を行うように構成されている、傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0074】
この構成によれば、初期時と点検時との間における基準マークに対する比較二次元コードの相対位置関係の変化を調べることで、傾斜地の崩壊の予兆を検知できる。しかも、比較二次元コードは、対となる初期位置関係及び点検位置関係を特定するためのID情報としての役目も果たす。よって、監視対象が広い範囲にわたる場合でも低コストに傾斜地の崩壊予兆を検知できる。
【0075】
[項目2]
前記比較二次元コードは、前記傾斜地に打ち立てられた杭部材を介して前記傾斜地に設けられており、
前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対角度を含む、項目1に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0076】
この構成によれば、傾斜地が少し動き始めただけで傾斜地に打ち立てられた杭部材が傾くため、比較二次元コードに角変位が生じやすい。よって、傾斜地の崩壊予兆を初期段階で検知できる。
【0077】
[項目3]
前記土地は、前記傾斜地とは異なる基準地を更に含み、
前記基準マークは、前記基準地に設けられている、項目1又は2に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0078】
この構成によれば、基準地が動かずに傾斜地が動いたときに基準マークと比較二次元コードとの間の相対位置が変化する。よって、傾斜地の崩壊予兆を精度良く検知できる。
【0079】
[項目4]
前記基準マークは、前記比較二次元コードと同種の二次元コードである基準二次元コードを含む、項目1乃至3のいずれか1項に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0080】
この構成によれば、比較二次元コードの画像認識と共通するアルゴリズムで基準二次元コードを画像認識できるため、傾斜地の崩壊予兆検知の処理の高速化を促進できる。
【0081】
[項目5]
前記初期画像及び前記点検画像を取得することは、通信ネットワークを介してアップロードされた前記初期画像及び前記点検画像を受信することを含む、項目1乃至4のいずれか1項に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0082】
この構成によれば、様々なロケーションにある傾斜地の状態を一元的に検知できる。
【0083】
[項目6]
前記データベースは、クライアントID情報に対応するクライアント宛先情報を記憶し、
前記初期画像及び前記点検画像を取得することは、前記クライアントID情報が含まれる前記初期画像及び前記点検画像を取得することを含み、
前記初期位置関係及び前記点検位置関係を前記データベースに記憶することは、前記クライアントID情報に関連付けて前記初期位置関係及び前記点検位置関係を前記データベースに記憶することを含み、
前記判定結果を出力することは、前記比較した点検位置関係に関連付けられた前記クライアントID情報に対応する前記クライアント宛先情報が示す宛先に前記判定結果を送信することを含む、項目5に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0084】
この構成によれば、多数のクライアントがそれぞれ管理する傾斜地の状態を一元的に管理し、点検結果である判定果をクライアントごとにレポートできる。
【0085】
[項目7]
前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することは、前記初期位置関係に対する前記点検位置関係の変化量が閾値を超えたときに異常が発生したと判定することを含む、項目1乃至6のいずれか1項に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0086】
この構成によれば、変化量の閾値判定によって傾斜地の崩壊予兆を簡単に検知できる。
【0087】
[項目8]
前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することは、人工知能によって前記初期位置関係に対する前記点検位置関係の変化を分析して異常の有無を判定することを含む、項目1乃至6のいずれか1項に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0088】
この構成によれば、人工知能によって傾斜地の崩壊予兆を高精度に簡単に検知できる。
【0089】
[項目9]
前記比較二次元コードは、第1比較二次元コードであり、前記傾斜地には、第2比較二次元コードが設けられ、
前記初期位置関係は第1初期位置関係であり、かつ、前記点検位置関係は第1点検位置関係であり、
前記初期画像は、前記基準マークと前記第1比較二次元コードと前記第2比較二次元コードとを含み、
前記点検画像は、前記基準マークと前記第1比較二次元コードと前記第2比較二次元コードとを含み、
前記処理回路は、
前記初期画像における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第2初期位置関係を算出することと、
前記初期画像に含まれる前記第2比較二次元コードのコードID情報と前記第2初期位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
前記点検画像における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第2点検位置関係を算出することと、
前記点検画像に含まれる前記第2比較二次元コードのコードID情報と前記第2点検位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記第2初期位置関係及び前記第2点検位置関係を互いに比較することと、を行うように構成されており、
前記判定結果を出力することは、前記第2初期位置関係と前記第2点検位置関係との間の比較に基づいて、前記判定結果を出力することを含む、項目1乃至8のいずれか1項に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0090】
この構成によれば、複数の比較二次元コードの動きを監視して傾斜地の崩壊予兆を良好に検知できる。
【0091】
[項目10]
前記第1比較二次元コード及び前記第2比較二次元コードは、それぞれ前記傾斜地に打ち立てられた杭部材を介して前記傾斜地に設けられており、
前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度を含み、
前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度を含み、
前記第1初期位置関係及び前記第1点検位置関係を互いに比較することは、前記傾斜地の初期時における前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度と、前記傾斜地の点検時における前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度との間の差分である第1差分を算出することを含み、
前記第2初期位置関係及び前記第2点検位置関係を互いに比較することは、前記傾斜地の初期時における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度と、前記傾斜地の点検時における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度との間の差分である第2差分を算出することを含み、
前記処理回路は、前記第1差分及び前記第2差分の正負の符号が互いに同じである場合よりも、前記第1差分及び前記第2差分の正負の符号が互いに異なる場合の方が、異常レベルが高いと判定するように構成されている、項目9に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0092】
この構成によれば、傾斜地の崩壊時の挙動を考慮して異常レベルを適切に設定することができる。
【0093】
[項目11]
前記比較二次元コードは、第1比較二次元コードであり、
前記傾斜地には、第2比較二次元コードが設けられ、
前記初期画像は第1初期画像であり、かつ、前記点検画像は第1点検画像であり、
前記初期位置関係は第1初期位置関係であり、かつ、前記点検位置関係は第1点検位置関係であり、
前記処理回路は、
前記傾斜地の初期時に、前記基準マークを含まずに前記第1比較二次元コード及び前記第2比較二次元コードを含むように撮像された第2初期画像を取得することと、
前記傾斜地の点検時に、前記基準マークを含まずに前記第1比較二次元コード及び前記第2比較二次元コードを含むように撮像された第2点検画像を取得することと、
前記第2初期画像における前記第1比較二次元コードと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第2初期位置関係を算出することと、
前記第2初期画像に含まれる前記第2比較二次元コードのコードID情報と前記第2初期位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
前記第2点検画像における前記第1比較二次元コードと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第2点検位置関係を算出することと、
前記第2点検画像に含まれる前記第2比較二次元コードのコードID情報と前記第2点検位置関係とを互いに関連付けて前記データベースに記憶することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記第1初期位置関係及び前記第2初期位置関係に基づいて、前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第3初期位置関係を算出することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記第1点検位置関係及び前記第2点検位置関係に基づいて、前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す第3点検位置関係を算出することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記第3初期位置関係及び前記第3点検位置関係を互いに比較することと、を行うように構成されており、
前記判定結果を出力することは、前記第3初期位置関係と前記第3点検位置関係との間の比較に基づいて、前記判定結果を出力することを含む、項目1乃至10のいずれか1項に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0094】
この構成によれば、基準マークと第1比較二次元コードと第2比較二次元コードとを全部纏めて1つの画像に含めるように撮影せずに済む。よって、各コードの間の距離が離れている場合でも、特別なカメラを用いずに点検を行うことができる。
【0095】
[項目12]
前記第1比較二次元コード及び前記第2比較二次元コードは、それぞれ前記傾斜地に打ち立てられた杭部材を介して前記傾斜地に設けられており、
前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度を含み、
前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の前記相対位置関係は、前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度を含み、
前記第1初期位置関係及び前記第1点検位置関係を互いに比較することは、前記傾斜地の初期時における前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度と、前記傾斜地の点検時における前記基準マークと前記第1比較二次元コードとの間の相対角度との間の差分である第1差分を算出することを含み、
前記第3初期位置関係及び前記第3点検位置関係を互いに比較することは、前記傾斜地の初期時における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度と、前記傾斜地の点検時における前記基準マークと前記第2比較二次元コードとの間の相対角度との間の差分である第2差分を算出することを含み、
前記処理回路は、前記第1差分及び前記第2差分の正負の符号が互いに同じである場合よりも、前記第1差分及び前記第2差分の正負の符号が互いに異なる場合の方が、異常レベルが高いと判定するように構成されている、項目11に記載の傾斜地の崩壊予兆検知システム。
【0096】
この構成によれば、傾斜地の崩壊時の挙動を考慮して異常レベルを適切に設定することができる。
【0097】
[項目13]
傾斜地を含む土地における前記傾斜地の崩壊予兆を検知する方法であって、
前記傾斜地の初期時に、前記土地に設けられた基準マークと前記傾斜地に設けられた比較二次元コードとを含むように撮像された初期画像を取得することと、
前記傾斜地の点検時に、前記基準マークと前記比較二次元コードとを含むように撮像された点検画像を取得することと、
前記初期画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す初期位置関係を算出することと、
前記初期画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記初期位置関係とを互いに関連付けて記憶することと、
前記点検画像における前記基準マークと前記比較二次元コードとの間の相対位置関係を示す点検位置関係を算出することと、
前記点検画像に含まれる前記比較二次元コードのコードID情報と前記点検位置関係とを互いに関連付けて記憶することと、
同一の前記コードID情報に関連付けられた前記初期位置関係及び前記点検位置関係を互いに比較することと、
前記初期位置関係と前記点検位置関係との間の比較に基づいて、前記傾斜地の崩壊予兆に関する判定結果を出力することと、を含む、傾斜地の崩壊予兆検知方法。
【0098】
この方法によれば、初期時と点検時との間における基準二次元コードに対する比較二次元コードの相対位置関係の変化を調べることで、傾斜地の崩壊の予兆を検知できる。しかも、比較二次元コードは、対となる初期位置関係及び点検位置関係を特定するためのID情報としての役目も果たす。よって、監視対象が広い範囲にわたる場合でも低コストに傾斜地の崩壊予兆を検知できる。
【0099】
[項目14]
項目13に記載された方法を少なくとも1つのプロセッサに実行させる、崩壊予兆検知プログラム。
【符号の説明】
【0100】
1 傾斜地の崩壊予兆検知システム
2 ドローン
3 サーバ
4 データベース
5 クライアント端末
6 通信ネットワーク
10 土地
11 基準地
12 傾斜地
29 カメラ
40 処理回路
45 プログラム
C0 基準二次元コード
C1 第1比較二次元コード
C2 第2比較二次元コード
C3 第3比較二次元コード
M 初期画像
N 点検画像
P0 基準部材
P1 第1比較杭部材
P2 第2比較杭部材
P3 第3比較杭部材