IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷制御システム 図1
  • 特開-印刷制御システム 図2
  • 特開-印刷制御システム 図3
  • 特開-印刷制御システム 図4
  • 特開-印刷制御システム 図5
  • 特開-印刷制御システム 図6
  • 特開-印刷制御システム 図7
  • 特開-印刷制御システム 図8
  • 特開-印刷制御システム 図9
  • 特開-印刷制御システム 図10
  • 特開-印刷制御システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166616
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】印刷制御システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20241122BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241122BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B41J29/38 203
G06F3/12 313
G06F3/12 367
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082821
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝信
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AS02
2C061AS06
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HK19
2C061HK23
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ17
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC04
5C062AC34
(57)【要約】
【課題】印刷ジョブのダウンロードの無駄な発生を抑制できるようにする。
【解決手段】印刷制御システムは、印刷制御システムであって、前記印刷制御システムに電子機器が接近したことを検知する検知手段と、特定の認証処理を行う認証処理手段と、電子機器が前記印刷制御システムに接近し、かつ、前記検知手段で検知された接近の態様に関する条件を含む所定の条件を満たす場合に、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御する制御手段とを有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷制御システムであって、
前記印刷制御システムに電子機器が接近したことを検知する検知手段と、
特定の認証処理を行う認証処理手段と、
電子機器が前記印刷制御システムに接近し、かつ、前記検知手段で検知された接近の態様に関する条件を含む所定の条件を満たす場合に、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御する制御手段と
を有することを特徴とする印刷制御システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記電子機器の接近の回数に関する条件を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記電子機器が接近した状態の時間に関する条件を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数に関する条件を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項5】
前記検知手段は、無線通信が可能な範囲内に前記電子機器が存在する場合には、前記印刷制御システムに前記電子機器が接近したことを検知することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項6】
前記特定の認証処理は、前記電子機器のユーザーがログインする認証処理であることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項7】
前記認証処理手段は、前記電子機器が登録ユーザーの電子機器であるか否かの第1の認証処理と、前記電子機器のユーザーがログインする第2の認証処理とを行い、
前記特定の認証処理は、前記第2の認証処理であることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項2に記載の印刷制御システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記電子機器が接近した状態の時間が第2の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器が接近した状態の時間が第2の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項3に記載の印刷制御システム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項3に記載の印刷制御システム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項3に記載の印刷制御システム。
【請求項12】
前記所定の条件は、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブのサイズに関する条件を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項13】
前記制御手段は、
前記電子機器のユーザーの印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きい場合には、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器のユーザーの印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きくない場合には、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項12に記載の印刷制御システム。
【請求項14】
前記制御手段は、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きくない場合には、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了した後に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御することを特徴とする請求項13に記載の印刷制御システム。
【請求項15】
前記制御手段は、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数が第5の閾値より多い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数が第5の閾値より多くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項4に記載の印刷制御システム。
【請求項16】
前記制御手段は、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くなく、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長く、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くなく、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長くない場合、又は、前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くなく、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長く、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項17】
前記制御手段は、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多く、かつ、前記電子機器が接近した状態の時間が第3の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くない場合、又は、前記電子機器が接近した状態の時間が第3の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項18】
前記制御手段は、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多く、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くない場合、又は、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項17に記載の印刷制御システム。
【請求項19】
前記制御手段は、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多く、かつ、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数が第5の閾値より多い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くない場合、又は、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数が第5の閾値より多くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項20】
前記制御手段は、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了した後、前記ダウンロードされた印刷ジョブを実行するように制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項21】
印刷制御システムの制御方法であって、
前記印刷制御システムに電子機器が接近したことを検知する検知ステップと、
特定の認証処理を行う認証処理ステップと、
電子機器が前記印刷制御システムに接近し、かつ、前記検知ステップで検知された接近の態様に関する条件を含む所定の条件を満たす場合に、前記認証処理ステップによる前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御する制御ステップと
を有することを特徴とする印刷制御システムの制御方法。
【請求項22】
コンピュータを、請求項1~20のいずれか1項に記載された印刷制御システムとして機能させるためのプログラム。
【請求項23】
請求項22に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷制御システム、印刷制御システムの制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自分の印刷ジョブを一旦、プリントサーバーへ登録し、出力認証(例えばPIN/CARD認証)を行う事で、印刷物の出力を行う仕組みが知られている。また、印刷ジョブのデータが大きい場合、プリントサーバーから印刷装置へのダウンロードに時間が掛かるため、印刷開始に時間が掛かるという課題がある。
【0003】
特許文献1には、スマートフォン等の端末装置又は電子機器が印刷装置に近づいた際、認証を行い、プリントサーバーから印刷装置に印刷ジョブをダウンロードし、一定の距離、離れた場合に、意図しないものと判断し、印刷ジョブを削除する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7103005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、一度ダウンロードした印刷ジョブでも、意図しない印刷ジョブと判断した場合、削除する処理を行い、再度近づいた際にダウンロードを実行する。そのため、ユーザーが意図せず、印刷装置に近づいたり離れたりすると、印刷装置に多大な処理負荷が生じる。結果として、現在、印刷装置を利用しているユーザーの印刷時間にも影響を及ぼしかねない。さらに、不用意に広域ネットワーク帯域を圧迫する事で、周辺機器にも影響が生じる可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、印刷ジョブのダウンロードの無駄な発生を抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
印刷制御システムは、印刷制御システムであって、前記印刷制御システムに電子機器が接近したことを検知する検知手段と、特定の認証処理を行う認証処理手段と、電子機器が前記印刷制御システムに接近し、かつ、前記検知手段で検知された接近の態様に関する条件を含む所定の条件を満たす場合に、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御する制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、印刷ジョブのダウンロードの無駄な発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】印刷装置のネットワーク構成例を示す図である。
図2】印刷装置の外観例を示す図である。
図3】印刷装置が待機状態にある時の内部構成例を示す図である。
図4】印刷装置の構成例を示すブロック図である。
図5】端末探知装置の構成例を示すブロック図である。
図6】認証端末の構成例を示すブロック図である。
図7】印刷ジョブをダウンロードする工程を示すフローチャートである。
図8】通信継続時間測定方法の工程を示すフローチャートである。
図9】印刷ジョブをダウンロードする工程を示すフローチャートである。
図10】印刷ジョブダウンロード設定を示す図である。
図11】印刷ジョブ選択画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について詳細に説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素は、例としての形態を示すものであり、この特許請求の範囲をそれらのみに限定するものではない。また、実施形態で対応する構成要素及び処理には、同一の符号を付し、実施形態で対応する構成要素及び処理についての重複説明は省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る印刷装置100のネットワーク構成例を示す図である。印刷装置100は、ユーザー認証する手段として、PIN認証、CARD認証といった機能を備える。印刷制御システム106は、印刷装置100と端末探知装置101を有する。なお、印刷装置100は、端末探知装置101を内蔵していてもよい。印刷装置100は、インターネット110を介して、ホスト端末102、プリントサーバー103及び認証サーバー104に接続される。
【0012】
端末探知装置101は、印刷装置100と同じネットワーク上に存在し、物理的にも同一の場所に存在する。なお、端末探知装置101は、印刷装置100を構成する一つのサブシステムとして搭載されていてもよい。端末探知装置101は、認証端末105から取得した各種情報を基に、認証サーバー104を用いて、ユーザー認証を行う。
【0013】
ホスト端末102は、ユーザーが操作し、原稿を作成するコンピュータであり、印刷装置100専用のプリンタドライバや印刷コマンドを利用することにより、任意の原稿を印刷ジョブに変換し、プリントサーバー103へ送信する。この印刷ジョブには、認証端末105の情報が含まれる。例えば、認証端末105の情報は、認証端末105のUDID(Unique Device IDentifier)やMACアドレス、電話番号等が該当する。
【0014】
なお、認証端末105の情報は、認証端末105と識別できる情報であれば、他の情報やその組み合わせでもよい。また、これらの情報は、印刷ジョブ生成前にホスト端末102に書き込まれている。例えば、ホスト端末102が認証端末105を検知した際に、認証端末105の情報を取得し、特定のファイルに書き込む。
【0015】
プリントサーバー103は、ホスト端末102から受信した印刷ジョブを保存している。認証サーバー104は、印刷装置100又は端末探知装置101からの要求に応じて、ユーザー認証を行う。なお、プリントサーバー103と認証サーバー104は、同一のコンピュータ上に構成されてもよい。
【0016】
認証端末105は、無線通信により、端末探知装置101により検知されると、要求に応じて、各種情報を端末探知装置101へ送信する。認証端末105は、電子機器の一例である。無線通信の例としては、Bluetooth(登録商標)のclass2を想定しているが、これに限定するものではない。
【0017】
図2は、図1の印刷装置100の上面排紙中の外観例を示す図である。印刷装置100には、用紙201をロール状に巻回したロール紙を2本セットすることが可能である。上下に配備された用紙供給装置200にセットされた2本のロール紙から選択的に引き出された用紙201に画像が印刷される。印刷が完了した用紙は、印刷装置100の上部に設けられたスタッカ228に排紙される。ユーザーは、操作パネル202に備わる各種のスイッチなどを用いて、用紙201のサイズ指定、オンライン/オフラインの切り換え、排紙先の設定、電源オン/オフなど、印刷装置100に対する各種コマンドなどを入力することができる。
【0018】
図3は、図1の印刷装置100の上面排紙中の構成例を示す断面図である。印刷装置100は、ロール紙及びカット紙を取り付けることが可能である。2本のロールRに対応する2つの用紙供給装置200が上下に配備されている。用紙供給装置200によってロールRから引き出された用紙201は、用紙搬送部(搬送機構)300によって、用紙搬送経路に沿って画像を印刷可能なプリント部310に搬送される。プリント部310は、インクジェット式のプリントヘッド318からインクを吐出することによって、用紙201に画像を印刷する。
【0019】
プリントヘッド318は、電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子を用いて、吐出口からインクを吐出する。プリントヘッド318は、インクジェット方式のみに限定されず、またプリント部310の印刷方式も限定されず、例えば、シリアルスキャン方式あるいはフルライン方式などであってもよい。シリアルスキャン方式の場合には、用紙201の搬送動作と、用紙201の搬送方向と交差する方向におけるプリントヘッド318の走査と、を伴って画像をプリントする。フルライン方式の場合には、用紙201の搬送方向と交差する方向に延在する長尺なプリントヘッド318を用い、用紙201を連続的に搬送しつつ画像を印刷する。
【0020】
インクの成分については、特に限定はないが、本実施形態では、色材である顔料、水、樹脂を含む水性顔料インクを用いる場合を想定する。
【0021】
プリント部310へ導かれた用紙201は、搬送ローラ314によって、搬送方向F1へ搬送されている。また、ニップローラ315は、搬送ローラ314の回転に応じて従動回転可能に設けられており、用紙201は搬送ローラ314とニップローラ315に押圧され搬送され、プリントヘッド318で記録が行われる。
【0022】
プリントヘッド318の搬送方向F1の下流側には、カッター321が配置されており、カッター321は印刷終了時に動作して用紙201をカットする。カッター321のさらに下流側には、用紙201と上流搬送ローラ363に対して選択的に押圧(D1方向)と離間(D2方向)が可能な用紙押圧機構としてのニップローラ361が設けられている。これは記録媒体の種類や長さなどの情報に基づいて図4のCPU452を制御し押圧と離間を選択している。
【0023】
ただし、ニップローラ361は、長時間離間状態であると変形してしまう恐れがあるため、なるべくニップを押圧状態にしておくのがよい。ニップローラ361の変形は、例えば、クリープ現象によって起きるが、これに限らない。
【0024】
上流搬送ローラ363のさらに下流には、図3中のE1、E2方向に回動可能な排紙先切替機構(排紙切替フラップ322)が配置されており、図4のCPU452の制御に基づいて排紙切替フラップ駆動を作動させ、上面排紙と正面排紙の排紙先を切り替えている。上面排紙中はE1側に、正面排紙中にはE2側に排紙切替フラップ322が位置している。上面排紙が選択され、排紙切替フラップ322を通過した用紙201は、上面排紙部320によって、プリント部310の上部に設置されるスタッカ228へ排紙される。
【0025】
上面排紙部320とスタッカ228の間には、下流排紙ローラ384及び排紙ニップコロ326が備えられており、カットされた用紙を把持して排紙方向F2に排紙する。排紙された用紙は、スタッカ228に収容され、トレイ329及び積載紙201aの上部に積載される。
【0026】
図4は、図1の印刷装置100の構成例を示すブロック図である。印刷装置100は、CPU452によって制御され、印刷を行うコントローラ部463と、エンジン部464を有する。コントローラ部463は、I/F(LAN/無線)部451と、CPU452と、認証部453と、表示操作部454と、画像処理部455と、設定部456と、ROM457と、RAM458と、NVRAM459を有する。
【0027】
ROM457には、印刷装置100の制御実行コード(プログラム)が格納される。RAM458は、印刷装置100の制御実行において、印刷の画像データを一時記憶として蓄える。NVRAM459は、不揮発性メモリであり、印刷装置100の保守に必要な各種データの記録や、印刷するための画像に関する情報(サンプルプリントデータ、BOX保存データ等)を保存しておく。
【0028】
印刷装置100は、プリントサーバー103又は端末探知装置101と接続するためのI/F(LAN/無線)部451を備える。I/F(LAN/無線)部451は、プリントサーバー103又は端末探知装置101と実行命令やデータのやり取りを行う。
【0029】
印刷装置100は、ユーザー認証時に、予めユーザーが指定したPIN情報、CARD情報が適切か否かを判断する認証部453を備える。認証部453の認証が成功した場合には、画像処理部455がデータを展開し、エンジン部464により印刷を行う。
【0030】
印刷装置100は、LCD、LED、キー、タッチパネルといったユーザーインターフェースを持つ表示操作部454を備える。印刷装置100の各機能の実行操作、設定動作は、表示操作部454を用いて行う。CPU452は、表示操作部454の操作状態や表示内容の制御を行う。
【0031】
印刷装置100は、端末探知装置101が認証端末105を検知した回数の閾値、通信継続時間の閾値、累計接近時間の閾値、累計印刷実行回数の閾値を設定する設定部456を備える。
【0032】
図5は、図1の端末探知装置101の構成例を示すブロック図である。端末探知装置101は、(LAN/無線)部551と、CPU552と、端末探索部553と、ROM554と、RAM555と、NVRAM556と、認証実行部557と、計測部558を有する。
【0033】
端末探知装置101は、CPU552によって制御される。ROM554には、端末探知装置101の制御実行コード(プログラム)が格納される。RAM555は、端末探知装置101の制御実行において必要となる一時データを蓄える。NVRAM556は、不揮発性メモリであり、端末探知装置101の保守に必要な各種データを蓄える。
【0034】
端末探知装置101は、印刷装置100又は認証サーバー104と接続するためのI/F(LAN/無線)部551を備える。I/F(LAN/無線)部551は、印刷装置100又は認証サーバー104と実行命令やデータのやり取りを行う。端末探索部553は、認証端末105を探索する。
【0035】
端末探知装置101は、認証端末105を探知した回数、探知し通信が継続した時間、接近した累計時間、印刷実行した累計回数等を測り、閾値を超えているかを判断する計測部558を備える。この計測部558で用いる閾値は、印刷装置100で設定された値をI/F(LAN/無線)部551を介して、CPU552により取得される。
【0036】
図6は、図1の認証端末105の構成例を示すブロック図である。認証端末105は、I/F(無線/USB)部651と、CPU652と、データ送信部653と、ROM654と、RAM655と、NVRAM656を有する。
【0037】
認証端末105は、CPU652によって制御される。ROM654には、認証端末105の制御実行コード(プログラム)が格納される。RAM655は、認証端末105の制御実行において必要となる一時データを蓄える。NVRAM656は、不揮発メモリであり、認証端末105の保守に必要な各種データを蓄える。
【0038】
認証端末105は、端末探知装置101又はホスト端末102と接続するためのI/F(無線/USB)部651を備える。I/F(無線/USB)部651は、端末探知装置101又はホスト端末102と実行命令やデータのやり取りを行う。データ送信部653は、データ送信を行う。
【0039】
図7は、図1の印刷装置100及び端末探知装置101の制御方法を示すフローチャートである。図7の各ステップは、図4のCPU452がROM457に記録されたプログラムをRAM458に展開して実行、又は、図5のCPU552がROM554に記録されたプログラムをRAM555に展開して実行することで実現される。以下、ステップはSで示す。
【0040】
S701では、端末探知装置101のCPU552は、検知部として機能し、端末探知装置101に認証端末105が接近したか否かを検知する。具体的には、CPU552は、端末探索部553により、認証端末探知を行い、無線通信(例えばBluetooth)が可能な範囲内に認証端末105が存在するか否かを判定する。認証端末105は、例えばスマートフォンである。CPU552は、範囲内に認証端末105が存在しない場合には、認証端末105が端末探知装置101に接近していないので、S701に処理を戻す。また、CPU552は、範囲内に認証端末105が存在する場合には、認証端末105が端末探知装置101に接近しているので、認証端末105のUDIDやMACアドレス等の情報を取得し、S702に処理を進める。ここで、UDIDは、Unique Device IDentifierである。
【0041】
S702では、CPU552は、S701で取得した認証端末105の情報が、NVRAM556に保存されている探知リストに登録されているか否かを判定する。探知リストには、過去に無線通信が可能な範囲内に存在した端末の情報が登録される。CPU552は、認証端末105の情報が探知リストに登録されていない場合には、認証端末105の情報をNVRAM556に保存されている探知リストに登録する。また、CPU552は、認証端末105の情報が探知リストに登録されており、かつ、認証端末105が上記の範囲外から範囲内に移動した場合には、計測部558により、認証端末105の接近回数をインクリメントする。接近回数の初期値は、例えば1である。
【0042】
次に、S703では、CPU552は、認証端末105の接近回数が第1の閾値より多いか否かを判定する。CPU552は、認証端末105の接近回数が第1の閾値より多い場合には、ユーザーが印刷実行をする明確な意図を持ちながらも印刷待ち行列が解消されない為に意図的に接近と離反を繰り返しているケースを考慮し、S705に処理を進める。また、CPU552は、認証端末105の接近回数が第1の閾値より多くない場合には、S704に処理を進める。
【0043】
S704では、CPU552は、累計接近時間が第2の閾値より長いか否かを判定する。累計接近時間は、認証端末が上記の範囲内に継続して存在する時間であり、計測部558により計測される。CPU552は、累計接近時間が第2の閾値より長い場合には、S705に処理を進る。また、CPU552は、累計接近時間が第2の閾値より長くない場合には、ユーザーは印刷実行の意図を持たずに印刷装置100に接近している可能性が高いと判定し、S701に処理を戻す。
【0044】
S705では、CPU552は、端末探知装置101と認証端末105との間の通信継続時間が第3の閾値より長いか否かを判定する。端末探知装置101と認証端末105との間の通信継続時間は、計測部558により計測される。CPU552は、通信継続時間が第3の閾値より長い場合には、印刷するユーザーと判定し、S706に処理を進める。これは、ユーザーが前のユーザーの処理が完了するまでその場に留まっている、前のユーザーの印刷が完了し印刷装置100に近づいている、又は印刷装置100の前に到着して操作に移ろうとしている可能性が高いためである。また、CPU552は、通信継続時間が第3の閾値より長くない場合には、印刷をしないユーザーと判定し、S701に処理を戻す。
【0045】
S706では、CPU552は、認証端末105から取得した情報を基に、認証サーバー104へ問い合わせ、一段階目認証の処理(第1の認証処理)を行う。具体的には、CPU552は、Bluetoothで認証端末105の識別情報又はユーザーのアカウント情報を取得して、近づいてきた認証端末105がログイン可能な登録ユーザーの認証端末であるか否かを判定する。なお、S706の処理は、S710の直後又はS702の前でもよく、Bluetoothで何等か近づいたことが分かるたびに実施してもよい。また、S706の処理は、認証サーバー104に問い合わせることなく、印刷装置100内に保持したログイン可能な認証端末105の情報と比較して行ってもよい。
【0046】
次に、S707では、CPU552は、一段階目認証が成功したか否かを判定し、一段階目認証の結果を印刷装置100へ送信する。CPU552は、認証端末105がログイン可能な登録ユーザーのものである場合には、一段階目認証が成功したと判定し、S708に処理を進める。また、CPU552は、認証端末105がログイン可能な登録ユーザーのものでない場合には、一段階目認証が失敗したと判定し、S701に処理を戻す。
【0047】
S708では、印刷装置100のCPU452は、認証端末105のユーザーの印刷ジョブ情報をプリントサーバー103から取得し、認証端末105の印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きいか否かを判定する。CPU452は、印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きくない場合には、大きな印刷ジョブではなく二段階目認証時にプリントサーバー103から印刷ジョブを受信し印刷実行しても印刷時間に影響しないと判定し、S710に処理を進める。また、CPU452は、印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きい場合には、二段階目認証時にプリントサーバー103から印刷ジョブを受信する時間が長くなる恐れがあると判定し、S709に処理を進める。
【0048】
S709では、CPU452は、制御部として機能し、プリントサーバー103から認証端末105のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、S710に処理を進める。
【0049】
S710では、CPU452は、認証処理部として機能し、二段階目認証の処理(第2の認証処理)を行う。二段階目認証は、特定の認証処理の一例である。CPU452は、事前にユーザーが指定したPIN/CARD情報と実際にユーザーが印刷装置100の表示操作部454に入力した情報とを比較する。具体的には、CPU452は、認証端末105のユーザーが実際に印刷装置100にIDやパスワードを入力してログインする二段階目認証を行う。
【0050】
次に、S711では、CPU452は、二段階目認証が成功したか否かを判定する。CPU452は、上記の比較の結果が一致である場合には、二段階目認証が成功と判定し、S712に処理を進める。また、CPU452は、上記の比較の結果が一致でない場合には、二段階目認証が失敗と判定し、S710に処理を戻す。なお、CPU452は、二段階認証を失敗した回数に応じて、該当ユーザーからの二段階目認証の実行を拒否してもよい。
【0051】
S712では、CPU452は、印刷ジョブをプリントサーバー103からダウンロード済みであるか否かを判定する。CPU452は、ダウンロード済みではない場合には、S713に処理を進め、ダウンロード済みである場合には、S714に処理を進める。
【0052】
S713では、CPU452は、S710の二段階目認証処理が完了した後に、認証端末105のユーザーの印刷ジョブをプリントサーバー103からダウンロードするように制御し、S714に処理を進める。
【0053】
S714では、CPU452は、S709又はS713でダウンロードされた印刷ジョブを実行するように制御し、エンジン部464により印刷を行う。CPU552は、計側部558により、ユーザーの累計印刷実行回数をインクリメントする。ユーザーの累計印刷実行回数の初期値は、例えば0である。その後、図7の処理が終了する。なお、印刷完了後、印刷ジョブはCPU452により削除される。
【0054】
図8は、端末探知装置101が通信継続時間を計測する処理を示すフローチャートである。図8の各ステップは、図5のCPU552がROM554に記録されたプログラムをRAM555に展開して実行することで実現される。
【0055】
S801では、端末探知装置101のCPU552は、端末探索部553により、無線通信が可能な範囲内で、認証端末105を検知したか否かを判定する。CPU452は、認証端末105を検知していない場合には、S801に処理を戻し、認証端末105を検知した場合には、S802に処理を進める。
【0056】
S802では、CPU552は、計測部558により、通信継続時間と累計接近時間のタイマーの計測を開始する。
【0057】
次に、S803では、CPU552は、無線通信が可能な範囲から認証端末105が離反したか否かを判定する。CPU452は、認証端末105が離反していない場合には、S803に処理を戻し、認証端末105が離反した場合には、S804に処理を進める。
【0058】
S804では、CPU552は、計測部558により、通信継続時間と累計接近時間のタイマーの計測を終了する。
【0059】
次に、S805では、CPU552は、計測部558により、通信継続時間のタイマーを0に初期化し、図8の処理を終える。
【0060】
図9は、印刷装置100が累計印刷実行回数を用いて印刷ジョブをダウンロードする処理を示すフローチャートである。図9の各ステップは、図4のCPU452がROM457に記録されたプログラムをRAM458に展開して実行、又は、図5のCPU552がROM554に記録されたプログラムをRAM555に展開して実行することで実現される。図7図9は、並列に処理され、いずれかの条件を満たせば、印刷が可能になる。
【0061】
S901では、端末探知装置101のCPU552は、端末探知装置101に認証端末105が接近したか否かを検知する。具体的には、CPU552は、端末探索部553により、認証端末探知を行い、無線通信が可能な範囲内に認証端末105が存在するか否かを判定する。CPU552は、範囲内に認証端末105が存在しない場合には、認証端末105が端末探知装置101に接近していないので、S901に処理を戻す。また、CPU552は、範囲内に認証端末105が存在する場合には、認証端末105が端末探知装置101に接近しているので、認証端末105のUDIDやMACアドレス等の情報を取得し、S902に処理を進める。
【0062】
S902では、CPU552は、S901で取得した認証端末105の情報が、NVRAM556に保存されている探知リストに登録されているか否かを判定する。探知リストには、過去に無線通信が可能な範囲内に存在した端末の情報が登録される。CPU552は、認証端末105の情報が探知リストに登録されていない場合には、認証端末105の情報をNVRAM556に保存されている探知リストに登録する。また、CPU552は、認証端末105の情報が探知リストに登録されており、かつ、認証端末105が上記の範囲外から範囲内に移動した場合には、計測部558により、認証端末105の接近回数をインクリメントする。接近回数の初期値は、例えば1である。
【0063】
次に、S903では、CPU552は、認証端末105の接近回数が第1の閾値より多いか否かを判定する。CPU552は、認証端末105の接近回数が第1の閾値より多い場合には、ユーザーが印刷実行をする明確な意図を持つと判定し、S904に処理を進める。また、CPU552は、認証端末105の接近回数が第1の閾値より多くない場合には、S901に処理を戻す。
【0064】
S904では、CPU552は、ユーザーの累計印刷実行回数が第5の閾値より多いか否かを判定する。ユーザーの累計印刷実行回数は、認証端末105のユーザーが印刷実行した回数である。CPU552は、ユーザーの累計印刷実行回数が第5の閾値より多い場合には、過去に該当ユーザーによる印刷が第5の閾値より多い回数、実行されていると判定し、S905に処理を進める。また、CPU552は、ユーザーの累計印刷実行回数が第5の閾値より多くない場合には、S901に処理を戻す。
【0065】
ユーザーの累計印刷実行回数は、図7のS714でインクリメントされる。図7のS714が第5の閾値より多い回数実行されることにより、ユーザーの累計印刷実行回数は第5の閾値より多くなる。すなわち、最初は、図7のフローチャートにより印刷が行われ、ユーザーの累計印刷実行回数がインクリメントされる。その後、ユーザーの累計印刷実行回数は第5の閾値より多くなると、図9のフローチャートにより印刷が可能になる。
【0066】
S905では、CPU552は、認証端末105から取得した情報を基に、認証サーバー104へ問い合わせ、一段階目認証の処理(第1の認証処理)を行う。具体的には、CPU552は、Bluetoothで認証端末105の識別情報又はユーザーのアカウント情報を取得して、近づいてきた認証端末105がログイン可能なユーザーのものであるか否かを判定する。なお、S905の処理は、S710の直後又はS902の前でもよく、Bluetoothで何等か近づいたことが分かるたびに実施してもよい。また、S905の処理は、認証サーバー104に問い合わせることなく、印刷装置100内に保持したログイン可能な認証端末105の情報と比較して行ってもよい。
【0067】
次に、S906では、CPU552は、一段階目認証が成功したか否かを判定し、一段階目認証の結果を印刷装置100へ送信する。CPU552は、認証端末105がログイン可能なユーザーのものである場合には、一段階目認証が成功したと判定し、S907に処理を進める。また、CPU552は、認証端末105がログイン可能なユーザーのものでない場合には、一段階目認証が失敗したと判定し、S901に処理を戻す。
【0068】
その後、S907~S913の処理が行われる。S907~S913の処理は、図7のS708~S714の処理と同様である。なお、S708及びS907の処理は、省略可能である。
【0069】
CPU452は、印刷ジョブが実行されるまで、ダウンロードした印刷ジョブを削除せず、不用意に広域ネットワークに負荷をかけない。
【0070】
図10は、印刷装置100の設定部456の設定の一例を示す図である。設定部456は、端末探知装置101が認証端末105を検知した図7のS703の接近回数の第1の閾値1001を設定可能である。また、設定部456は、図7のS705の通信継続時間の第3の閾値1002を設定可能である。また、設定部456は、図7のS704の累計接近時間の第2の閾値1003を設定可能である。また、設定部456は、図9のS904の累計印刷実行回数の第5の閾値1004を設定可能である。
【0071】
印刷装置100のCPU452又は端末探知装置101のCPU552は、図10で設定された閾値1001~1004を利用する。また、定期的に、印刷装置100と端末探知装置101は、I/F(LAN/無線)451及びI/F(LAN/無線)551を介して、図10の閾値1001~1004の同期を行う。
【0072】
図11は、図7のS711の二段階目認証の成功後の印刷装置100の表示操作部454の表示の一例を示す図である。CPU452は、印刷ジョブ一覧として、印刷ジョブ名と受信時刻を表示操作部454に表示するように制御する。ユーザーは、図11の印刷ジョブ一覧において、印刷ジョブを選択して、印刷ボタンを押下する。すると、図7のS714では、CPU452は、エンジン部464により、選択された印刷ジョブを実行し、印刷を行う。
【0073】
以上、本実施形態によれば、印刷装置100や広域ネットワーク帯域の負荷をかけずに印刷時間の短縮が可能となる。図7のS703~S705、S707及びS708は、図7のS701で検知された接近の態様に関する条件を含む所定の条件である。図9のS903、S904及びS906は、図9のS901で検知された接近の態様に関する条件を含む所定の条件である。
【0074】
S703及びS903の判定条件は、認証端末105の接近の回数に関する条件である。S704及びS705の判定条件は、認証端末105が接近した状態の時間に関する条件である。S704の累計接近時間は、認証端末105が接近した状態の継続時間の累計である。S705の通信継続時間は、認証端末105が接近した状態の継続時間である。S708に判定条件は、認証端末105のユーザーの印刷ジョブのサイズに関する条件である。S904の判定条件は、認証端末105のユーザーが印刷実行した回数に関する条件である。
【0075】
印刷装置100は、上記の所定の条件を満たす場合に、S710の二段階目認証が完了する前に、S709でプリントサーバー103から認証端末105のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御する。これにより、Bluetooth通信で検知される認証端末105の接近によって起こる印刷ジョブのダウンロードの無駄な発生を、接近のパターンに基づいて減らすことができる。
【0076】
(その他の実施形態)
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記録媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0077】
なお、上述の実施形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本開示はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0078】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、プログラム及び記録媒体を含む。
(構成1)
印刷制御システムであって、
前記印刷制御システムに電子機器が接近したことを検知する検知手段と、
特定の認証処理を行う認証処理手段と、
電子機器が前記印刷制御システムに接近し、かつ、前記検知手段で検知された接近の態様に関する条件を含む所定の条件を満たす場合に、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御する制御手段と
を有することを特徴とする印刷制御システム。
(構成2)
前記所定の条件は、前記電子機器の接近の回数に関する条件を含むことを特徴とする構成1に記載の印刷制御システム。
(構成3)
前記所定の条件は、前記電子機器が接近した状態の時間に関する条件を含むことを特徴とする構成1又は2に記載の印刷制御システム。
(構成4)
前記所定の条件は、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数に関する条件を含むことを特徴とする構成1又は2に記載の印刷制御システム。
(構成5)
前記検知手段は、無線通信が可能な範囲内に前記電子機器が存在する場合には、前記印刷制御システムに前記電子機器が接近したことを検知することを特徴とする構成1~4のいずれか1項に記載の印刷制御システム。
(構成6)
前記特定の認証処理は、前記電子機器のユーザーがログインする認証処理であることを特徴とする構成1~5のいずれか1項に記載の印刷制御システム。
(構成7)
前記認証処理手段は、前記電子機器が登録ユーザーの電子機器であるか否かの第1の認証処理と、前記電子機器のユーザーがログインする第2の認証処理とを行い、
前記特定の認証処理は、前記第2の認証処理であることを特徴とする構成1~6のいずれか1項に記載の印刷制御システム。
(構成8)
前記制御手段は、前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成2に記載の印刷制御システム。
(構成9)
前記制御手段は、前記電子機器が接近した状態の時間が第2の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器が接近した状態の時間が第2の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成3に記載の印刷制御システム。
(構成10)
前記制御手段は、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成3に記載の印刷制御システム。
(構成11)
前記制御手段は、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成3に記載の印刷制御システム。
(構成12)
前記所定の条件は、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブのサイズに関する条件を含むことを特徴とする構成1~4のいずれか1項に記載の印刷制御システム。
(構成13)
前記制御手段は、
前記電子機器のユーザーの印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きい場合には、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器のユーザーの印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きくない場合には、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成12に記載の印刷制御システム。
(構成14)
前記制御手段は、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブのサイズが第4の閾値より大きくない場合には、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了した後に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御することを特徴とする構成13に記載の印刷制御システム。
(構成15)
前記制御手段は、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数が第5の閾値より多い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数が第5の閾値より多くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成4に記載の印刷制御システム。
(構成16)
前記制御手段は、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くなく、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長く、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くなく、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長くない場合、又は、前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くなく、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間の累計が第2の閾値より長く、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成1に記載の印刷制御システム。
(構成17)
前記制御手段は、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多く、かつ、前記電子機器が接近した状態の時間が第3の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くない場合、又は、前記電子機器が接近した状態の時間が第3の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成1に記載の印刷制御システム。
(構成18)
前記制御手段は、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多く、かつ、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くない場合、又は、前記電子機器が接近した状態の継続時間が第3の閾値より長くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成17に記載の印刷制御システム。
(構成19)
前記制御手段は、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多く、かつ、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数が第5の閾値より多い場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御し、
前記電子機器の接近の回数が第1の閾値より多くない場合、又は、前記電子機器のユーザーが印刷実行した回数が第5の閾値より多くない場合には、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御しないことを特徴とする構成1に記載の印刷制御システム。
(構成20)
前記制御手段は、前記認証処理手段による前記特定の認証処理が完了した後、前記ダウンロードされた印刷ジョブを実行するように制御することを特徴とする構成1~19のいずれか1項に記載の印刷制御システム。
(方法1)
印刷制御システムの制御方法であって、
前記印刷制御システムに電子機器が接近したことを検知する検知ステップと、
特定の認証処理を行う認証処理ステップと、
電子機器が前記印刷制御システムに接近し、かつ、前記検知ステップで検知された接近の態様に関する条件を含む所定の条件を満たす場合に、前記認証処理ステップによる前記特定の認証処理が完了する前に、前記電子機器のユーザーの印刷ジョブをダウンロードするように制御する制御ステップと
を有することを特徴とする印刷制御システムの制御方法。
(プログラム1)
コンピュータを、構成1~20のいずれか1項に記載された印刷制御システムとして機能させるためのプログラム。
(記録媒体1)
プログラム1に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0079】
451 I/F(LAN/無線)部、452 CPU、453 認証部、454 表示操作部、455 画像処理部、456 設定部、457 ROM、458 RAM、459 NVRAM、551 (LAN/無線)部、552 CPU、553 端末探索部、554 ROM、555 RAM、556 NVRAM、557 認証実行部、558 計測部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11