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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166629
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】高所電気工事用アシスト装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20241122BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20241122BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H02G1/02
B66F9/06 W
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082841
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】000134903
【氏名又は名称】株式会社ニシヤマ
(71)【出願人】
【識別番号】390013321
【氏名又は名称】株式会社ダイドー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】於保 健一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 丙午郎
(72)【発明者】
【氏名】佐久 豊
(72)【発明者】
【氏名】大野 達也
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅章
(72)【発明者】
【氏名】江草 良一
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 喜太
【テーマコード(参考)】
3F333
5G352
【Fターム(参考)】
3F333AA09
3F333AB04
3F333AC13
5G352AE04
5G352AE05
5G352AJ01
5G352AJ03
5G352AJ09
(57)【要約】
【課題】高所電気工事を行う作業者の肉体的負担を軽減できるアシスト装置を提供する。
【解決手段】高所作業車の作業バケット1の上方周端縁部12に取着される取付具4を有し、かつ、伸縮自在な帯板状アーム板21,22を設けて、先端に、操作スティック5を受持するスティック受け具6を、左右前後に水平移動させ、さらに、上方へ常時弾発回転付勢するガススプリングを、設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高所作業車(10)の伸縮ブーム(11)の先端に設けられた上方開口箱型の作業バケット(1)の上方周端縁部(12)に取着される取付具(4)と、
該取付具(4)に対して、鉛直状軸心(Lh )廻りに回転可能として取着されたベース部材(15)と、
上記ベース部材(15)に水平軸心(L15)廻りに上下揺動自在として枢着された帯板状第1アーム板(21)と、
該第1アーム板(21)に対して、該第1アーム板(21)の先端(21A)から延伸短縮自在に重ね合わされる帯板状第2アーム板(22)と、
上記第1アーム板(21)と上記第2アーム板(22)を直線状態に維持しつつ、上記第2アーム板(22)を、直線往復動するように案内するガイドレール機構(G)と、
上記第2アーム板(22)を、第1アーム板(21)に対して、延伸方向(N1 )へは常時移動可能であって、かつ、短縮方向(N3 )へは短縮移動可能状態と短縮移動阻止状態を選択自在なラッチ機構(50)と、
上記第2アーム板(22)の先端に付設され、操作スティック(5)を受持可能なスティック受け具(6)とを、
具備することを特徴とする高所電気工事用アシスト装置。
【請求項2】
上記ラッチ機構(50)は、
上記第1アーム板(21)の前方下端縁(21B)に沿って固設された、多数のラッチギア(51)を有するラッチギア帯材(52)と、
上記第2アーム板(22)に取着されて、上記ラッチギア帯材(52)のラッチギア(51)に係止自在な爪(54)を有するラッチ(53)と、
上記ラッチギア帯材(52)と平行状として上記第1アーム板(21)の上記前方下端縁(21B)に沿って、配設され、しかも、上記前方下端縁(21B)から前後方向(H)に微動自在として、上記第1アーム板(21)に、取付けられたラッチ制御帯材(60)と、
上記ラッチ制御帯材(60)を、上記前後方向(H)に微動させるための手動切替レバー(18)とを、
具備している請求項1記載の高所電気工事用アシスト装置。
【請求項3】
上記ラッチ制御帯材(60)が、上記前方下端縁(21B)から後方へ微動した後退状態では、上記ラッチ(53)は上記ラッチギア帯材(52)に対して係止状態を保ち、
上記ラッチ制御帯材(60)が、上記前方下端縁(21B)から前方へ微動した前進状態では、上記ラッチ(53)は上記ラッチギア帯材(52)に対して離脱状態を保つように、
構成した請求項1又は2記載の高所電気工事用アシスト装置。
【請求項4】
上記ラッチ(53)は、
前端に上記爪(54)を有すると共に基端(55)が第1軸部(56)にて揺動自在に枢着されたラッチ本体(57)と、
該ラッチ本体(57)の上記基端(55)から後方へ延伸状に一体形成された板バネ片部(59)と、
該板バネ片部(59)の後端(59B)を枢支する第2軸部(62)とを、
具備している請求項2記載の高所電気工事用アシスト装置。
【請求項5】
上記ラッチ機構(50)を操作するための手動切替レバー(18)を、上記ベース部材(15)に配設した請求項1記載の高所電気工事用アシスト装置。
【請求項6】
上記帯板状第1アーム板(21)を、上記水平軸心(L15)廻りに上方へ常時弾発回転付勢するガススプリング(25)を付設した請求項1記載の高所電気工事用アシスト装置。
【請求項7】
外周縁(41)の一部に切欠凹部(39)が形成されると共に、上記ベース部材(15)に上記水平軸心(L15)廻りに所定角度回転可能として枢着された角度調整板(40)と、
該角度調整板(40)を上記水平軸心(L15)廻りの複数の所定回転位置に択一的に固定保持するロック手段(Y)と、
上記第1アーム板(21)の基端に固設されたストッパ部材(46)とを、
具備し、
上記角度調整板(40)の上記切欠凹部(39)の周方向の一側端縁(39A)に対して、上記ストッパ部材(46)を当接可能に構成し、
上記第1アーム板(21)が上記ガススプリング(25)の弾発付勢力に抗して、下方揺動する際に、上記ストッパ部材(46)が上記一側端縁(39A)に当接して、上記下方揺動を阻止し、
第1アーム板(21)の傾斜角度の下限を所定値に規制するように構成した請求項6記載の高所電気工事用アシスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所電気工事用アシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高所電気工事のために、高所作業車のブームの先端に設けられた作業バケットに作業者が乗って架空電線の電気工事を行っていた。
その際、作業バケット内の作業者は、両手で絶縁操作スティック(特許文献1,2参照)を握って、作業操作を行う。
【0003】
最近、上記絶縁スティックの先端に取付けられる作業器具類が複雑化し、重量が次第に増加しつつある。
そこで、絶縁スティックの基部を、高所作業車の作業バケットに設置する技術が提案されている(特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3-3110号公報
【特許文献2】特開2019-161778号公報
【特許文献3】特開2017-103863号公報
【特許文献4】特開2000-324637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載の発明では、作業バケットの内部底壁面に、操作スティックを垂直姿勢に設置する構成である。従って、架空電線の真下位置まで、作業バケットを移動させる必要があり、かつ、複雑かつ微妙な電気工事が困難であるという欠点、及び、作業者は真上を向いて作業せねばならず、身体に無理が掛る欠点があった。
【0006】
また、特許文献4に記載の発明では、作業バケットに固着した保持(固定)装置によって、操作スティックを強固に安定して支持できるので、作業者の身体への負担は軽減される。しかしながら、架空電線と作業バケットとの上下・前後・左右方向の相対的位置関係が固定され、容易に変更することができず、架空電線への各種の電気工事をスムーズに行い得なくなり、作業能率が著しく低下するという欠点があった。
特に都市部においては、架空電線が輻輳している場合が多く、高所作業車の作業バケットが工事対象の電線に容易にアプローチすることが出来ない場合がある。このような場合、作業者は重量大なる回転工具や横パイプ部材を操作スティックの先端に付設し、基端を支持して作業を行うことになる。このため、作業者はやや離れた位置から無理な体勢で操作スティックを操作することになり、重心が先端側に偏った操作スティックの取扱いにかかる作業者の負担が大きいものとなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、従来のこのような欠点を解消して、高所作業車の作業バケットに乗った作業者の身体への負担を著しく軽減(疲労を軽減)して、電気工事を能率良く、正確・高品質に行うことができるアシスト装置の提供を目的とする。
【0008】
さらに、作業バケットと(輻輳した)架空電線の被作業箇所との相対的位置関係が、左右・上下・前後に変化しても、作業者は、スムーズに対応でき、正確かつ高品質の作業を行うことができるアシスト装置の提供を、他の目的とする。特に、作業バケットから、(架空電線の)被作業箇所までの「高さ」が大幅に変化しても、スムーズに対応できるアシスト装置の提供を、目的とする。
特に、操作スティックの先端に、重量大なる回転工具や横パイプ部材が付設された作業状況に於ても、作業者は、腕の力で支える必要がなくなり、(身体に負担を掛けず、)能率良く、疲れずに、正確な電気工事を行うことができるアシスト装置を、提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、高所作業車の伸縮ブームの先端に設けられた上方開口箱型の作業バケットの上方周端縁部に取着される取付具と;該取付具に対して、鉛直状軸心廻りに回転可能として取着されたベース部材と;上記ベース部材に水平軸心廻りに上下揺動自在として枢着された帯板状第1アーム板と;該第1アーム板に対して、該第1アーム板の先端から延伸短縮自在に重ね合わされる帯板状第2アーム板と;上記第1アーム板と上記第2アーム板を直線状態に維持しつつ、上記第2アーム板を、直線往復動するように案内するガイドレール機構と;上記第2アーム板を、第1アーム板に対して、延伸方向へは常時移動可能であって、かつ、短縮方向へは短縮移動可能状態と短縮移動阻止状態を選択自在なラッチ機構と;上記第2アーム板の先端に付設され、操作スティックを受持可能なスティック受け具とを;具備する。
【0010】
また、上記ラッチ機構は;上記第1アーム板の前方下端縁に沿って固設された、多数のラッチギアを有するラッチギア帯材と;上記第2アーム板に取着されて、上記ラッチギア帯材のラッチギアに係止自在な爪を有するラッチと;上記ラッチギア帯材と平行状として上記第1アーム板の上記前方下端縁に沿って、配設され、しかも、上記前方下端縁から前後方向に微動自在として、上記第1アーム板に、取付けられたラッチ制御帯材と;上記ラッチ制御帯材を、上記前後方向に微動させるための手動切替レバーとを;具備している。
【0011】
また、上記ラッチ制御帯材が、上記前方下端縁から後方へ微動した後退状態では、上記ラッチは上記ラッチギア帯材に対して係止状態を保ち;上記ラッチ制御帯材が、上記前方下端縁から前方へ微動した前進状態では、上記ラッチは上記ラッチギア帯材に対して離脱状態を保つように、構成した。
【0012】
また、上記ラッチは;前端に上記爪を有すると共に基端が第1軸部にて揺動自在に枢着されたラッチ本体と;該ラッチ本体の上記基端から後方へ延伸状に一体形成された板バネ片部と;該板バネ片部の後端を枢支する第2軸部とを;具備している。
【0013】
また、上記ラッチ機構を操作するための手動切替レバーを、上記ベース部材に配設した。
また、上記帯板状第1アーム板を、上記水平軸心廻りに上方へ常時弾発回転付勢するガススプリングを付設した。
【0014】
また、外周縁の一部に切欠凹部が形成されると共に、上記ベース部材に上記水平軸心廻りに所定角度回転可能として枢着された角度調整板と;該角度調整板を上記水平軸心廻りの複数の所定回転位置に択一的に固定保持するロック手段と;上記第1アーム板の基端に固設されたストッパ部材とを;具備し;上記角度調整板の上記切欠凹部の周方向の一側端縁に対して、上記ストッパ部材を当接可能に構成し;上記第1アーム板が上記ガススプリングの弾発付勢力に抗して、下方揺動する際に、上記ストッパ部材が上記一側端縁に当接して、上記下方揺動を阻止し;第1アーム板の傾斜角度の下限を所定値に規制するように構成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、操作スティックの中間部位をスティック受け具に受持させれば、作業者の意志通りに、スティック受け具の先端を左右上下前後方向に、特に、作業バケットから、高い(遠い)作業箇所にまで、広大な空間を自在に動かすことができ、一定の空間位置に静止した作業バケットから、架空電線の皮剥ぎ(皮剥ぎ取り)、切断、テーピング、その他の各種工事(作業)を、疲れ少なく、容易、かつ、スムーズ・迅速に、行うことができる。特に、操作スティックの先端に、重量大なる回転工具や横パイプ部材等を付設した状態下であっても、操作スティックの中間位置は確実にサポートされ、作業者の肉体的負担を軽減しながら、作業バケットに近い作業箇所から、高くかつ遠い作業箇所までの広大な空間を、スムーズかつ能率的に、電気工事を行うことができる。
【0016】
特に、前方(先端方向)へ延伸した第2アーム板が、回転工具や横パイプ部材等の重量物を先端に付設した操作スティックからの大きな外力によって、第1アーム板側へ短縮しようとしても、「ラッチ機構」により、短縮移動阻止状態を選択すれば、第2アーム板が短縮することを、簡単に、かつ、確実に防止できる。言い換えれば、作業者が力を抜いても、「ラッチ機構」によって、第2アーム板が縮まないので、作業者の腕の負担を大きく軽減させることができる。
【0017】
また、第1アーム板が、回転工具や横パイプ部材等の重量物を先端に付設した操作スティックからの大きな外力によって、下方向へ傾斜(揺動)しようとしても、角度調整板の回転位置をロック手段によって択一的に選定することで、第1アーム板の傾斜角度の下限を、迅速かつ容易に、所定値に規制することができる。言い換えれば、作業者は、作業状況に応じて、手元にて最も使用し易い傾斜下限値にセッティングできるので、操作スティックがサポートされて、電気工事を安定的かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】使用状態の一例を示す全体斜視図である。
図2】使用状態の一例を示す全体側面図である。
図3】作業バケットから見て比較的に低い高さに在る作業箇所に対して作業者が操作スティックを用いて作業を行っている状態を示す図であって、(A)はバケットから作業箇所まで近い場合を示す側面図、(B)は遠い場合を示す側面図である。
図4】作業バケットから見て中位の高さに在る作業箇所に対して作業者が操作スティックを用いて作業を行っている状態を示す図であって、(A)はバケットから作業箇所まで近い場合を示す側面図、(B)は高くかつ遠い場合を示す側面図である。
図5】作業バケットから見て高い位置に在る作業箇所に対して作業者が操作スティックを用いて作業を行っている状態を示す図であって、(A)はバケットから作業箇所までやや近い場合を示す側面図、(B)はさらに高い場合を示す側面図である。
図6】本発明に係るアシスト装置及びスティックの姿勢を示す図であって、(A)は右方向に振った状態の斜視図、(B)は図5(A)に対応した斜視図である。
図7】右側面図を示し、(A)は緩い勾配の図、(B)は急な勾配の図である。
図8図7の(A)(B)に各々対応した左側面図である。
図9図8(A)のIX部の拡大図である。
図10】(A)は図8のX部の断面拡大図、(B)は図8のIX部の断面拡大図である。
図11】ラッチがラッチ帯体に係止した状態を示す要部の側面図である。
図12】ラッチがラッチ帯体に係止した状態を示す要部の断面側面図である。
図13】(A)はラッチがラッチ帯体から離脱した状態を示す要部の側面図であり、(B)はその平面図である。
図14】ラッチがラッチ帯体から離脱した状態を示す要部の断面側面図である。
図15図14の要部拡大断面説明図である。
図16】ガススプリングの内部機構及びその付近を示す断面図である。
図17】スティック受け具を例示し、(A)は全体斜視図、(B)は着脱自在に取付けられる離脱防止バンドの平面図である。
図18】スティック受け具の作動を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1図2に於て、10は高所作業車であり、その伸縮ブーム11の先端には、上方開口箱型の作業バケット1が設けられる。電柱2,2の上部に懸架された電線(架空電線)3に対して、伸縮ブーム11の回転及び伸長作動によって、図1図2のように作業バケット1を接近させる。原則的には、電線3の手前かつ僅かに下方位置に、作業バケット1を接近して停止させる。
【0020】
本発明に係るアシスト装置30は、上記作業バケット1の上方周端縁部12の一部に取付けられる。作業者Mは、作業バケット1に乗り込んでおり、このバケット1内から、本発明に係るアシスト装置30によって、操作スティック5を支持させながら、各種電気工事(作業)を、行う。
【0021】
図3図8に示すように、本発明のアシスト装置30は、作業バケット1の上方周端縁部12に取着される取付具4を有する。この取付具4は、図例では、横断面形状が角張った下方開口状コの字部(チャンネル部)から成る。言い換えると、作業バケット1の上方周端縁部12に上方から外嵌状として嵌込まれる(下方開口状の)門型部(チャンネル部)4Cをもって形成されている。
この下方開口状とした門型部4Cの外方側の垂下片44に、ネジ孔(図示省略)を開設して、このネジ孔に対して、ノブ付きボルト7を螺進退自在に螺着する。このボルト7の先端には、作業バケット1の前壁1Fの外面(図5図6参照)に圧接状に固着するための第1固定板7Aが付設されている。
【0022】
第1固定板7Aは、上記ボルト7の先端が回転自在として、ボルト7に連結されている。かつ、第1固定板7Aには、鉛直状ノブ付きボルト9が下方から螺着されるネジ孔付きの突片7Bが固設され、このボルト9の上端の当接片9Aが付設されている。
この当接片9Aは、作業バケット1の上方周端縁部12の外鍔12Aに対して、下方から圧接(当接)状として、取付具4に固着する。
以上のように、取付具4は、作業バケット1の上方周端縁部12に、強固に固着される(図3図5図6参照)。
【0023】
次に、図7図8(特に図7(B))に示したように、15はベース部材であって、取付具4の上面壁に取着された軸受部材15Aと、この軸受部材15Aによって鉛直状軸心廻りに回転可能として上方へ突設された支軸15Bと、この支軸15Bの上端に固設の二股状クレビス15C等から、成っている。このようにして、ベース部材15は、取付具4に対し、鉛直状軸心Lh 廻りに回転自在である。
【0024】
上述のように、取付具4に対して、鉛直状軸心Lh 廻りに回転自在なベース部材15のクレビス15Cに、水平軸心L15廻りに、(図7の矢印M1 ,M2 のように、)上下揺動自在として、帯板状第1アーム板21が枢着されている。
この第1アーム板21に対して、その先端21Aから延伸短縮自在として、重ね合わされた帯板状第2アーム板22が付設されている。
【0025】
さらに、第1アーム板21と第2アーム板22を、直線状態を維持しつつ、第2アーム板22を、直線往復動するように案内するガイドレール機構Gが、第1アーム板21と第2アーム板22の間に、介設される(図13(B)参照)。
さらに、第2アーム板22を、第1アーム板21に対して、延伸方向N1 へは常に移動可能であって、短縮方向N3 へは、短縮移動可能状態と短縮移動阻止状態を、手動操作にて選択自在なラッチ機構50を、具備する。
【0026】
ところで、前記第2アーム板22の先端には、操作スティック5を受持可能なスティック受け具6が、付設されている。このスティック受け具6に関しては図17図18等にて後述する。
【0027】
ここで、ラッチ機構50について、具体的に以下説明する。
ラッチ機構50は、第1アーム板21の前方下端縁21Bに沿って固設されたラッチギア帯材52を、有する。このラッチギア帯材52は、多数のラッチギア51を有しており、各ラッチギア51は、第1アーム板21の先端方向へ傾斜状の略三角山型である。
そして、図10図15に示すように、ラッチ機構50は、第2アーム板22に取着されて、上記ラッチギア帯材52のラッチギア51に係止自在な爪54を有するラッチ53を、備えている。
【0028】
60は、ラッチギア帯材52と平行状として、しかも、摺動可能に当接して、第1アーム板21の前方下端縁21Bに沿って、配設されたラッチ制御帯材である。
しかも、このラッチ制御帯材60は、第1アーム板21の前方下端縁21Bから前後方向Hに微動自在として、第1アーム板21に、取付けられている。
【0029】
本発明にあっては、第1アーム板21・第2アーム板22は、図1図8に例示したように、通常使用状態では水平面に対して、約30度~80度の傾斜姿勢を保って使用される。
従って、このような通常使用状態における第1アーム板21の約30度~80度の傾斜姿勢における前後方向Hに沿って、微動自在として、ラッチ制御帯材60を、取付ける。
【0030】
図9図14に示す実施の形態にあっては、ラッチ制御帯材60の具体的取付構成は、以下の通りである。
ラッチ制御帯材60には、その長手方向に対して、上述の約30度~80度の傾斜角度θをもって、複数個の長孔16…を所定ピッチで貫設する(図11図15参照)。
この複数個の傾斜状の長孔16の各々に対して、差込まれるガイドピン17を、第1アーム板21又はラッチギア帯材52に立設する。
【0031】
手動切替レバー18を作業者が、矢印M18のように、操作すると、連動リンク機構19を介して、ラッチ制御帯材60は矢印N60のように移動する(図11図12参照)。従って、制御帯材60の長手方向の各部位は、ガイドピン17と長孔16の誘導(案内)によって、小矢印N16のように平行移動し、ラッチギア帯材52のラッチギア51が露出する。つまり、ラッチ53の爪54がラッチギア51に噛合可能な状態となる。
【0032】
また、手動切替レバー18を、作業者が、矢印M20のように、操作すると、連動リンク機構19を介して、ラッチ制御帯材60は矢印N62のように移動する(図13図14参照)。従って、制御帯材60の長手方向の各部位は、ガイドピン17と長孔16の誘導(案内)によって、小矢印N26のように平行移動し、ラッチギア帯材52のラッチギア51が、隠れる。つまり、ラッチ53の爪54が、ラッチ制御帯材60に邪魔された状態となって、ラッチギア51に噛合できない状態となる。
【0033】
以上のように、手動切替レバー18は、ラッチ制御帯材60を前後方向Hに、微動させることによって、爪54のラッチギア51への噛合可能状態と、噛合不可能状態のいずれかに、確実に、しかも、迅速・容易に、切替えできる。
【0034】
次に、ラッチ53の形状及び構成について、説明すると、図15、及び、図10図14に示すように、本発明に使用されるラッチ53は、前端58に爪54を有し、基端55が第1軸部56にて揺動自在に枢着されたラッチ本体57を、有する。
また、ラッチ本体57の基端55から後方へ延伸状に一体形成された板バネ片部59を有する。
【0035】
さらに、板バネ片部59の後端59Bを、枢支する第2軸部62を、具備している。
言い換えると、ラッチ53は、前端に爪54を有すると共に基端55が第1軸部56にて揺動自在に枢着されたラッチ本体57と、ラッチ本体57の基部55から後方へ延伸状に一体形成された板バネ片部59と、板バネ片部59の後端59Bを枢支する第2軸部62とを、具備している。
なお、(図示省略するが、)第2軸部62に枢着される後端59Bの孔を、長孔とするも好ましい。即ち、板バネ片部59の弯曲弾性変形をスムーズに行わせ得る。
【0036】
ところで、前述のようにラッチ制御帯材60を介して、ラッチ機構50を操作するための手動切替レバー18は、作業者にとって操作し易いように、ベース部材15に配設する。つまり、作業者は手元で容易かつ確実に操作可能である。
【0037】
次に、図16、及び、図7図13(B)に示すように、第1アーム板21を、水平軸心L15廻りに、矢印M1 の如く、上方へ常時弾発回転付勢するためのガススプリング25を、付設している。
具体的には、ベース部材15のクレビス15Cに固設した水平状の固定軸26に、カム27を固着する。
そして、第1アーム板21の基端の側面に、包囲ケーシング28を固着するが、このケーシング28を上記固定軸26が貫通しており、固定軸26に固設のカム27もケーシング28に内有されている(図16参照)。
【0038】
さらに、このケーシング28の上壁には、上記ガススプリング(ガスダンパー)25が上方突出状に固着される。また、ガススプリング25のロッド25Aによって、一軸心L29廻りに揺動する揺動部材29には、カム27に対して転動自在に圧接する小ローラ31が枢着されている。
従って、この小ローラ31がカム27に対して圧接しつつ転動すると、小ローラ31がカム27から受ける反力によって、第1アーム板21は矢印M1 にて示した上方揺動のための回転トルク(回転モーメント)を受けることとなる。図7にて説明した(矢印M1 ,M2 の内の)矢印M1 の方向が、ガススプリング25とカム27によって発生する回転トルク(回転モーメント)M1 の方向に該当する。
【0039】
このようにして、第1アーム板21は常に上方揺動方向の回転トルクM1 を受け、従って、この第1アーム板21に取付けられた第2アーム板22及びその先端のスティック受け具6も、常に上方揺動方向に、弾発付勢され、従って、スティック受け具6にて受持された操作スティック5の中間部位は、常時、上方向へ弾発的に付勢されつつサポートされる。
要するに、上記ガススプリング25の弾発付勢力によって、帯板状第1アーム板21は、水平軸心L15廻りに、常時、上方へ弾発回転付勢M1 されている。
【0040】
次に、図9、及び、図4図8に示すように、ベース部材15には、水平軸心L15廻りに所定角度回転可能として、角度調整板40が、枢着されている。
この角度調整板40には、丸底V字状の切欠凹部39が外周縁41の一部に形成されている。
この角度調整板40を、水平軸心L15廻りの複数の所定回転位置に、択一的に固定保持するロック手段Yが付設されている。
つまり、このロック手段Yは、図9の実施例では、上記外周縁41の一部に形成された円弧状部に沿って配設した複数個―――例えば、4個乃至12個―――の係止用貫孔42と、ベース部材15に形成したネジ孔43と、このネジ孔43に螺進退自在に螺合する(摘み付き)手動回転ボルト45と、等から構成する。
【0041】
このようにして、手動回転ボルト45を螺着・螺退させて、所望の係止用貫孔42に挿入することで、角度調整板40を(軸心L15廻りの)所望の回転角度位置に固定できる。なお、48は角度調整板40を軸心L15廻りに回転させる際に、手で操作するためのレバーである。
【0042】
図9に示したように、第1アーム板21の基端には、ストッパ部材46が、(ボルト47…にて)固設されている。そして、角度調整板40の切欠凹部39の周方向の一側端縁39Aに対して、第1アーム板21の基端に固設のストッパ部材46は、第1アーム板21の(図7(A)に示した)下方向への揺動M2 に伴って、当接して停止する(図9及び図8(A)参照)。
即ち、第1アーム板21の傾斜角度の下限を、ストッパ部材46が、切欠凹部39の一側端縁39Aに対して、当接することによって、所定値に規制(規定)することができる(図8(A)と図4参照)。
【0043】
ところで、切欠凹部39の上記一側端縁39Aは、直線状であるのが、望ましい。また、これに対応して、ストッパ部材46の当接部位も、図9のように、直線状とするのが望ましい。
【0044】
次に、図17図18に於て、スティック受け具6を、具体的に説明する。
図7図8等に示すように、スティック受け具6は、第2アーム板22の先端に付設されるのであるが、33は略Y字状固定受け具本体であり、2本(枚)の上方突出腕34,34を有している。
36は、上方へ拡大状の略U字型の揺動受け板である。図18(A)(B)(C)に示すように、一軸心L36廻りに揺動可能である。
また、図11図13に示すように、第2アーム板22の先端に固着具14,14にて取着された傾斜状の短軸13に、固定受け具本体33の(図示省略の)下方開口状取付孔を、外嵌させて、取付ける(図7等を参照)。
【0045】
ところで、上方突出腕34,34の各外側面には、ゴムバンド37を引掛け自在なフック片38が取付けられている。
ゴムバンド37としては、例えば、図17(A)のように、ゴム製の細長状リング体37Aから構成する。又は、図17(B)のように、細長状リング体37Aの一端に、複数の引掛孔37Bを有する長さ調整部37Cを連設すると共に、作業者が指で摘んで引張るための突片部37Dを連設する。
操作スティック5を揺動受け板36の凹部に嵌め込んで、図17(A)に仮想線で示したように、ゴムバンド37を両フック片38,38に引掛ければ、操作スティク5が不意に離脱することを、防止できる。
【0046】
また、図17に示したゴムバンド37を使用する際について説明すると、一端37Eを、一方のフック片38に引掛ける。続いて、他方端の突片部37Dを指で摘んで引張力を与えつつ、適度に伸びた状態で、長さ調整部37Cの引掛孔37Bを、他方のフック片38に引掛ければ、適切な弾発的保持力を発揮する細長状リング体37Aの部位にて、操作スティック5が、不意に揺動受け板36の凹部から離脱することを、防止できる。
【0047】
本発明に係るアシスト装置は、図1図2に示したように、高所の電線3に対して、作業バケット1に乗った作業者Mが、安全に、かつ、能率良く、各種電気工事(作業)を行うことができる。
【0048】
図3図4図5及び図6に於て、操作スティック5の傾き角度が、水平に近い状態から鉛直に近い状態にまで、使用可能であることを示している。しかも、作業バケット1から近い電線3に対応することは勿論容易であると共に、強力に支持力を発揮する第1アーム板21と第2アーム板22の伸長作動によって、バケット1から遠い電線3や、バケット1から十分に高いところの電線3にも、作業者Mの身体的な疲労を低減しつつ、安全に、かつ、能率良く、高所作業を行い得る。
【0049】
また、図3(A),図5(A)と、図3(B),図5(B)とを対比して見れば、明らかな如く、操作スティック5の全長を同一としたままで、スティック受け具6に対して、操作スティック5を(前方かつ上方へ)送りを付与すれば済む。このようにして、操作スティック5の最先端部5Pの前方・上方への到達可能な領域が十分広大である。さらに、ベース部材15の軸受部材15Aによって、第1アーム板21と第2アーム板22とスティック受け具6等は、鉛直状軸心Lh 廻りに回転自在であるので、これに受持された操作スティック5の先端は、平面視で、大きく左右に振ることができる。
【0050】
このようにして、作業者Mは、左右方向の広い範囲、及び、上下方向の広い範囲にわたって、操作スティック5を振る(揺動させる)ことができ、図1図2に示したように作業バケット1に乗って、架空電線3に対する電気工事作業を、能率的かつ安全に行い得る。
つまり、架空電線3と作業バケット1との上下・前後・左右方向の相対的位置関係を、容易に変更調整自在である。これに伴って、操作スティック5の最先端部5P―――及び、これに取着した(電気工事用の)回転工具や横パイプ部材等―――を、広大な領域内を、容易かつ安全に変更可能であり、電気工事の作業能率を著しく改善でき、かつ、作業者Mの身体的負担を大きく軽減できる。
【0051】
なお、本発明の用途としての「電気工事」とは、「通信線工事」も、包含するものと定義する。
【0052】
本発明は、以上詳述したように、高所作業車10の伸縮ブーム11の先端に設けられた上方開口箱型の作業バケット1の上方周端縁部12に取着される取付具4と;該取付具4に対して、鉛直状軸心Lh 廻りに回転可能として取着されたベース部材15と;上記ベース部材15に水平軸心L15廻りに上下揺動自在として枢着された帯板状第1アーム板21と;該第1アーム板21に対して、該第1アーム板21の先端21Aから延伸短縮自在に重ね合わされる帯板状第2アーム板22と;上記第1アーム板21と上記第2アーム板22を直線状態に維持しつつ、上記第2アーム板22を、直線往復動するように案内するガイドレール機構Gと;上記第2アーム板22を、第1アーム板21に対して、延伸方向N1 へは常時移動可能であって、かつ、短縮方向N3 へは短縮移動可能状態と短縮移動阻止状態を選択自在なラッチ機構50と;上記第2アーム板22の先端に付設され、操作スティック5を受持可能なスティック受け具6とを、具備する構成であるので、次のような効果を発揮する。
【0053】
即ち、 (i) 帯板状第1アーム板21と帯板状第2アーム板22は、両者間にガイドレール機構Gを介在させる構成であるので、ガイドレール機構Gの横断面は、幅寸法が大で、厚み寸法を小さく設定できる。 (ii) ガイドレール機構Gの幅寸法を大きく、厚み寸法を小さくすることができ、ガイドレール機構Gに作用する曲げモーメントに対して、有利である。(iii) 厚み寸法の小さいガイドレール機構Gは、図13(B)に例示するように、(帯板形状の)第1アーム板21と第2アーム板22の間に、コンパクトに、巧妙に介在配置できる。 (iv) ラッチ機構50を具備するので、第2アーム板22の短縮移動阻止状態を選択できる。これによって、圧縮方向の大きな外力が作用しても、作業者Mは、従来のように操作スティック5を、腕の力で支え続ける必要がない。 (v) 具体的には、操作スティック5の先端に重量大なる回転工具等を取付けて電気工事作業を行う際に、第2アーム板22を第1アーム板21に対して延伸させ、所望の延伸位置で作業者が腕の力を抜いても、ラッチ機構50によって、短縮移動阻止状態が(自動で)確保できる。従って、作業者Mにとっての腕や手の身体負担を、大幅に軽減できる。
【0054】
また、本発明は、上記ラッチ機構50は;上記第1アーム板21の前方下端縁21Bに沿って固設された、多数のラッチギア51を有するラッチギア帯材52と;上記第2アーム板22に取着されて、上記ラッチギア帯材52のラッチギア51に係止自在な爪54を有するラッチ53と;上記ラッチギア帯材52と平行状として上記第1アーム板21の上記前方下端縁21Bに沿って、配設され、しかも、上記前方下端縁21Bから前後方向Hに微動自在として、上記第1アーム板21に、取付けられたラッチ制御帯材60と;上記ラッチ制御帯材60を、上記前後方向Hに微動させるための手動切替レバー18とを;具備しているので、ラッチ53の爪54が、第2アーム板22の伸長・短縮作動に伴って、(長尺状の)ラッチギア帯材52の長手方向のいずれの位置に、存在(対応)していたとしても、(長尺状の)ラッチ制御帯材60によって、爪54を、ラッチギア帯材52のラッチギア51に、係止させたり、逆に、離脱させることが、可能である。しかも、(誤作動を生ずることなく)正確な安定制御を実現している。
【0055】
また、本発明にあっては、上記ラッチ制御帯材60が、上記前方下端縁21Bから後方へ微動した後退状態では、上記ラッチ53は上記ラッチギア帯材52に対して係止状態を保ち;上記ラッチ制御帯材60が、上記前方下端縁21Bから前方へ微動した前進状態では、上記ラッチ53は上記ラッチギア帯材52に対して離脱状態を保つように;構成したので、第2アーム板22が第1アーム板21に対して、延伸方向N1 ・短縮方向N3 へ長い移動を行ったとしても、長尺状ラッチギア帯材52に対して(小さな部品の)ラッチ53が、誤動作なく、正確な係止作動と離脱作動を、確実に行うことができる。
【0056】
また、本発明にあっては、上記ラッチ53は;前端に上記爪54を有すると共に基端55が第1軸部56にて揺動自在に枢着されたラッチ本体57と;該ラッチ本体57の上記基端55から後方へ延伸状に一体形成された板バネ片部59と;該板バネ片部59の後端59Bを枢支する第2軸部62とを;具備しているので、従来は必要であった弾発力発生用小コイルバネが省略できる。従って、この小コイルバネの組立作業時の紛失や、損傷の問題を防止できる。そして、図15に示したように、板バネ片部59の弯曲弾性変形によって、ラッチ本体57は、その爪54が、確実にラッチギア帯材52のラッチギア51に噛合(係止)する。また、このラッチ53は細長形状であり、第1アーム板21の前方下端縁21Bから、殆ど突出せずに、コンパクトに配置できる。
【0057】
また、上記ラッチ機構50を操作するための手動切替レバー18を、上記ベース部材15に配設したので、作業者Mは、手元近くで、確実かつ容易に、手動操作可能となる。
【0058】
また、上記帯板状第1アーム板21を、上記水平軸心L15廻りに上方へ常時弾発回転付勢するガススプリング25を付設したので、操作スティック5の中間部位が弾発的に常時受持されて、左右上下前後に、操作スティック最先端部5Pを動かすことが可能となり、各種の作業を、疲れずに、能率的に行うことができる。特に、操作スティック5の最先端部5Pに、5kg~12kgもの重量大の回転工具や横パイプ部材等が取着した状態下でも、十分にガススプリング25による弾発的サポートによって、作業者の肉体的負担を著しく軽減できる。しかも、操作スティック5の最先端部5Pの上記回転工具や横パイプ部材等を上下左右及び前後方向に動かすことができて、作業全体を容易かつスムーズに(肉体的負担を軽減して)行うことが可能となる。
【0059】
また、外周縁41の一部に切欠凹部39が形成されると共に、上記ベース部材15に上記水平軸心L15廻りに所定角度回転可能として枢着された角度調整板40と;該角度調整板40を上記水平軸心L15廻りの複数の所定回転位置に択一的に固定保持するロック手段Yと;上記第1アーム板21の基端に固設されたストッパ部材46とを;具備し;上記角度調整板40の上記切欠凹部39の周方向の一側端縁39Aに対して、上記ストッパ部材46を当接可能に構成し;上記第1アーム板21が上記ガススプリング25の弾発付勢力に抗して、下方揺動する際に、上記ストッパ部材46が上記一側端縁39Aに当接して、上記下方揺動を阻止し;第1アーム板21の傾斜角度の下限を所定値に規制するように構成したので、アシスト装置30の傾斜角度の下限値を、作業状況に応じた最適の状態に、迅速かつ容易に、調整できる。
【0060】
また、スティック受け具6に作用する荷重が所定値以上であれば、第1アーム板21・第2アーム板22等が下方揺動して、所定姿勢に規制されて、安全に電気工事ができる。そして、上記荷重が所定値未満ならば、ガススプリング25による上方向への弾発付勢力によって、弾発的に軽く揺動しつつ、スティック受け具6で受持された操作スティック5は、サポートされて、作業者Mは、電気工事を楽に行い得る。そして、角度調整板40の回転位置をロック手段Yによって、択一的に選定することで、電気工事の現場の状況に対応して、最も使用し易い、第1アーム板21・第2アーム板22の傾斜下限値にセッティングできる。しかも、作業者Mは手元にて容易に角度調整板40を、所望の回転位置に選定自在である。さらに、第1アーム板21が、回転工具や横パイプ部材等の重量物を先端に付設した操作スティック5からの大きな外力によって、下方向へ傾斜(揺動)しようとしても、角度調整板40の回転位置をロック手段Yによって択一的に選定することで、第1アーム板21の傾斜角度の下限を、迅速かつ容易に、所定値に規制することができる。言い換えれば、作業者Mは、作業状況に応じて、手元にて最も使用し易い傾斜下限値にセッティングできるので、操作スティック5がサポートされて、電気工事を安定的かつ確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 作業バケット
4 取付具
5 操作スティック
6 スティック受け具
10 高所作業車
11 伸縮ブーム
12 上方周端縁部
15 ベース部材
18 手動切替レバー
21 第1アーム板
21A 先端
21B 前方下端縁
22 第2アーム板
25 ガススプリング
39 切欠凹部
39A 一側端縁
40 角度調整板
41 外周縁
46 ストッパ部材
50 ラッチ機構
51 ラッチギア
52 ラッチギア帯材
53 ラッチ
54 爪
55 基端
56 第1軸部
57 ラッチ本体
59 板バネ片部
59B 後端
60 ラッチ制御帯材
62 第2軸部
G ガイドレール機構
H 前後方向
15 水平軸心
Lh 鉛直状軸心
1 延伸方向
3 短縮方向
Y ロック手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18