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特開2024-166636オリフィス内蔵バルブおよび流量制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166636
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】オリフィス内蔵バルブおよび流量制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 47/08 20060101AFI20241122BHJP
   F16K 7/17 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F16K47/08
F16K7/17 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082852
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】執行 耕平
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA38
3H066EA13
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性及びシール性が向上したオリフィス内蔵バルブを提供する。
【解決手段】バルブ要素が内蔵され一次側流路11と二次側流路12とが接続された収容凹部13を画定するボディ10を有し、バルブ要素は、下段一次側貫通孔及び下段二次側貫通孔を有する略円板状のガスケット15と、ガスケットの上に配置され、中段一次側貫通孔を有するオリフィスベース20と、オリフィスベースの上に配置されたオリフィスプレート30と、 オリフィスプレートの上に配置され、上段一次側貫通孔及び上段二次側貫通孔を有するインナー部材40と、インナー部材の上段一次側貫通孔の開口部周囲に設けられたバルブシート50と、収容凹部13の内周面に螺合して上記各要素を固定する固定リング60と、バルブシートに当接・離間して一次側貫通孔と二次側貫通孔の間を遮断・連通するダイヤフラム70と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側流路と二次側流路と、上面に開口してバルブ要素が内蔵されかつ前記一次側流路及び前記二次側流路が底面に開口する収容凹部と、を画定するボディを有し、
前記バルブ要素は、
軟質の材料で形成されて前記収容凹部の底部に配置され、前記一次側流路に連通する下段一次側貫通孔及び前記二次側流路に連通する下段二次側貫通孔を有する略円板状のガスケットと、
前記ガスケットの上に配置され、前記下段一次側貫通孔に連通する中段一次側貫通孔を有するオリフィスベースと、
前記オリフィスベースの上に配置され、前記下段一次側貫通孔に連通するオリフィスが形成されたオリフィスプレートと、
前記オリフィスプレートの上に配置され、前記オリフィスに連通して上面に開口する上段一次側貫通孔及び前記下段二次側貫通孔に連通して上面に開口する上段二次側貫通孔を有するインナー部材と、
前記インナー部材の上面にて前記上段一次側貫通孔の開口部周囲に設けられたバルブシートと、
前記収容凹部の内周面に形成されたネジ部に螺合して前記インナー部材を前記底部に向けて押圧することにより、当該インナー部材及び前記オリフィスプレート及び前記オリフィスベース及び前記ガスケットを前記ボディに対して固定する固定リングと、
前記インナー部材の上に配置され、前記バルブシートから離間または当接して、前記上段一次側貫通孔と前記上段二次側貫通孔との間を連通または遮断するダイヤフラムと、を含むオリフィス内蔵バルブ。
【請求項2】
前記ダイヤフラムを押圧するダイヤフラム押えを駆動して、前記ダイヤフラムと前記バルブシートとの間を開閉させるアクチュエータをさらに有し、
前記ダイヤフラムは、前記ネジ部と共通のネジ部に螺合する前記アクチュエータのケーシングにより前記インナー部材に向けて押圧されて当該インナー部材に固定されている、請求項1に記載のオリフィス内蔵バルブ。
【請求項3】
前記収容凹部の底面には、前記一次側流路の開口部及び前記二次側流路の開口部のうち前記一次側流路の開口部のみを包囲する第1の環状突起部及び当該第1の環状突起部を包囲するとともに前記二次側流路の開口部を包囲する第2の環状突起部が形成され、
前記オリフィスベースの下面には、全周が前記第1の環状突起部に対向し前記中段一次側貫通孔の開口部を包囲する第3の環状突起部が形成され、
前記インナー部材の下面には、全周が前記第2の環状突起部に対向し前記上段二次側貫通孔の開口部を包囲する第4の環状突起部が形成され、
前記インナー部材の前記第4の環状突起部の外周側には、環状下端面が形成され、
前記固定リングにより前記インナー部材を前記環状下端面が前記収容凹部に形成された段差面に当接するまで押圧すると、前記第1の環状突起部及び前記第2の環状突起部が前記ガスケットの下面に所定量が食い込むともに、前記第3の環状突起部及び前記第4の環状突起部が前記ガスケットの上面に所定量が食い込んで、前記一次側流路及び前記下段一次側貫通孔と前記中段一次側貫通孔との接続部及び、前記二次側流路及び前記下段二次側貫通孔と前記上段二次側貫通孔との接続部がシールされるように構成された、請求項1に記載のオリフィス内蔵バルブ。
【請求項4】
前記オリフィスベースと前記インナー部材は、同じ硬度を有する部材で形成された、請求項3に記載のオリフィス内蔵バルブ。
【請求項5】
前記第3の環状突起部及び前記第4の環状突起部は、断面視で少なくとも頂部が丸められた形状を有し、前記第3の環状突起部及び前記第4の環状突起部の前記頂部の曲率半径が等しい、請求項4に記載のオリフィス内蔵バルブ。
【請求項6】
前記オリフィスベースは、上面側に前記オリフィスプレートの外周部下面が配置される環状の支持面を有し、当該環状の支持面及び前記第3の環状突起部及び前記第1の環状突起部のそれぞれの幅方向中心円は、上面視で一致するように形成された、請求項3に記載のオリフィス内蔵バルブ。
【請求項7】
前記バルブシートは、樹脂からなり、前記インナー部材に対してカシメにより固定されている、請求項1に記載のオリフィス内蔵バルブ。
【請求項8】
前記インナー部材は、外周面の一部が前記収容凹部の内周面に嵌合して位置決めされ、前記オリフィスベースは、外周面の一部が前記インナー部材の内周面に嵌合して位置決めされている、請求項1に記載のオリフィス内蔵バルブ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のオリフィス内蔵バルブを備える、流量制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリフィス内蔵バルブおよびこのオリフィス内蔵バルブを流量制御バルブとして用いた流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいては、特に、ALD(Atomic Layer Deposition)やALE(Atomic Layer Ethching)等の微細プロセスにおいては、処理チャンバに短時間で正確に計量した処理ガスを供給するために、圧力式流量制御装置及びその構成要素としてのオリフィス内蔵バルブが用いられている。このようなオリフィス内蔵バルブでは、オリフィスプレートを、ボディ(又は、ボディに載せたホルダ)と弁座体との間に挟み、上からインナーディスク、ダイヤフラム等を載せて、アクチュエータハウジングをボディに螺合して押圧することにより一括して固定していた(例えば、特許文献1の図1図4等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4137267号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなオリフィス内蔵バルブでは、アクチュエータハウジングの螺合を緩めると全ての構成要素が緩むので、メンテナンス性の点で改善の余地があった。例えば、アクチュエータやダイヤフラムのメンテナンスのためにアクチュエータハウジングの螺合を緩めると、その下側にあるオリフィスプレートを保持する構成要素の間のシール性に影響を与える懸念があった。
また、上記構成では、アクチュエータハウジングの締め付け力を各要素に伝搬させて、要素間の各シール箇所をシールしているが、シール箇所によって必要な締め付け力(軸力)が異なると、必要とする最大の締め付け力を各所に加える必要がある。例えば、収容凹部底部における一次側と二次側との間のシール部及び二次側と外部との間のシール部では、大きな円周状接触部の全域に所定の面圧を加えてシールするため、大きな軸力を必要とするが、この軸力は、それほどシールのための軸力を要しないオリフィス保持部にも加わる。このため、シール箇所によっては過大な締め付け力(軸力)が加わり、部材の変形や破損を生ずる懸念があった。
【0005】
本発明の目的の一つは、上記問題を解決し、メンテナンス性およびシール性が向上し、かつ締め付け力による部材の変形や破損のリスクを低減できるオリフィス内蔵バルブ及びこのオリフィス内蔵バルブを用いた流量制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のオリフィス内蔵バルブは、
一次側流路と二次側流路と、上面に開口してバルブ要素が内蔵されかつ前記一次側流路及び前記二次側流路が底面に開口する収容凹部と、を画定するボディを有し、
前記バルブ要素は、
軟質の材料で形成されて前記収容凹部の底部に配置され、前記一次側流路に連通する下段一次側貫通孔及び前記二次側流路に連通する下段二次側貫通孔を有する略円板状のガスケットと、
前記ガスケットの上に配置され、前記下段一次側貫通孔に連通する中段一次側貫通孔を有するオリフィスベースと、
前記オリフィスベースの上に配置され、前記下段一次側貫通孔に連通するオリフィスが形成されたオリフィスプレートと、
前記オリフィスプレートの上に配置され、前記オリフィスに連通して上面に開口する上段一次側貫通孔及び前記下段二次側貫通孔に連通して上面に開口する上段二次側貫通孔を有するインナー部材と、
前記インナー部材の上面にて前記上段一次側貫通孔の開口部周囲に設けられたバルブシートと、
前記収容凹部の内周面に形成されたネジ部に螺合して前記インナー部材を前記底部に向けて押圧することにより、当該インナー部材及び前記オリフィスプレート及び前記オリフィスベース及び前記ガスケットを前記ボディに対して固定する固定リングと、
前記インナー部材の上に配置され、前記バルブシートから離間または当接して、前記上段一次側貫通孔と前記上段二次側貫通孔との間を連通または遮断するダイヤフラムと、を含む。
この構成により、収容凹部の内周ネジ部に螺合してインナー部材及びオリフィスプレート及び前記オリフィスベースを固定する固定リングを用いたので、アクチュエータやダイヤフラムのメンテナンスのためにアクチュエータハウジングの螺合を緩めても、オリフィスプレートを保持する構成要素の間のシール性に影響を与えることがなく、メンテナンス性およびシール性の向上が可能となる。
また、収容凹部の底部に軟質の部材からなるガスケットを配置したので、比較的小さい締め付け力(軸力)で、一次側の各流路と二次側の各流路と外部との間のシールを行うことができ、締め付け時の部材の変形や破損のリスクを低減できる。
【0007】
上記オリフィス内蔵バルブは、前記ダイヤフラムを押圧するダイヤフラム押えを駆動して、前記ダイヤフラムと前記バルブシートとの間を開閉させるアクチュエータをさらに有し、
前記ダイヤフラムは、前記ネジ部と共通のネジ部に螺合する前記アクチュエータのケーシングにより前記インナー部材に向けて押圧されて当該インナー部材に固定されている、構成を好ましく採用できる。
この構成により、アクチュエータやダイヤフラムのメンテナンスのためにアクチュエータハウジングの螺合を緩めても、オリフィスプレートを保持する構成要素の間のシール性に影響を与えることがない。
【0008】
前記収容凹部の底面には、前記一次側流路の開口部及び前記二次側流路の開口部のうち前記一次側流路の開口部のみを包囲する第1の環状突起部及び当該第1の環状突起部を包囲するとともに前記二次側流路の開口部を包囲する第2の環状突起部が形成され、
前記オリフィスベースの下面には、全周が前記第1の環状突起部に対向し前記中段一次側貫通孔の開口部を包囲する第3の環状突起部が形成され、
前記インナー部材の下面には、全周が前記第2の環状突起部に対向し前記上段二次側貫通孔の開口部を包囲する第4の環状突起部が形成され、
前記インナー部材の前記第4の環状突起部の外周側には、環状下端面が形成され、
前記固定リングにより前記インナー部材を前記環状下端面が前記収容凹部に形成された段差面に当接するまで押圧すると、前記第1の環状突起部及び前記第2の環状突起部が前記ガスケットの下面に所定量が食い込むともに、前記第3の環状突起部及び前記第4の環状突起部が前記ガスケットの上面に所定量が食い込んで、前記一次側流路及び前記下段一次側貫通孔と前記中段一次側貫通孔との接続部及び、前記二次側流路及び前記下段二次側貫通孔と前記上段二次側貫通孔との接続部がシールされる構成が好ましく採用できる。
この構成により、第1~第4の環状突起部が所定量ガスケットに食い込むことにより、比較的小さい締め付け力で、一次側の流路と二次側の流路と外部との間のシールを実現できる。また、シールに必要な面圧から上記所定量を計算して、第1~第4の環状突起部がガスケットにその所定量が食い込むように、関係する各部材の寸法を設定することにより、シールに必要な面圧を得ることができる。
【0009】
前記オリフィスベースと前記インナー部材は、同じ硬度を有する部材で形成された、構成が好ましく採用できる。
また、前記第3の環状突起部及び前記第4の環状突起部は、断面視で少なくとも頂部が丸められた形状を有し、前記第3の環状突起部及び前記第4の環状突起部の頂部の曲率半径が等しい、構成が好ましく採用できる。
この構成により、第3の環状突起部及び前記第4の環状突起部のそれぞれの頂部は、同程度の面圧で前記ガスケットに所定量食い込むので、シールに必要な締め付け力が同程度になり、過大な締め付け力を加える必要がなくなる。
【0010】
前記オリフィスベースは、上面側に前記オリフィスプレートの外周部下面が配置される環状の支持面を有し、当該環状の支持面及び前記第3の環状突起部及び前記第1の環状突起部のそれぞれの幅方向中心円は、上面視で一致するように形成された、構成を好ましく採用できる。
この構成により、締め付けた際の軸方向締め付け力は上面視で同一箇所に加わるため、曲げモーメントが生ずることなく、インナー部材やオリフィスベースの変形を最小化できる。
【0011】
前記バルブシートは、樹脂からなり、前記インナー部材に対してカシメにより固定されている構成を好ましく採用できる。
この構成により、バルブシートとダイヤフラムは共にインナー部材に固定されるので、組立時の締め付け方によるCV値変化が抑えられる。
【0012】
好適には、前記インナー部材は、外周面の一部が前記収容凹部の内周面に嵌合して位置決めされ、前記オリフィスベースは、外周面の一部が前記インナー部材の内周面に嵌合して位置決めされている、構成を採用できる。
この構成により、組立時の作業性が向上できる。
【0013】
本発明の流量制御装置は、上記のオリフィス内蔵バルブを備える。
この構成により、メンテナンス性及びシール性が向上し、部材の変形や破損を防ぐことができるオリフィス内蔵バルブおよびこれを用いた流量制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本実施形態によれば、収容凹部の内周ネジ部に螺合してインナー部材及びオリフィスプレート及びオリフィスベースを固定する固定リングを用いたので、アクチュエータやダイヤフラムのメンテナンスのためにアクチュエータハウジングの螺合を緩めても、オリフィスプレートを保持する構成要素の間のシール性に影響を与えることがなく、メンテナンス性およびシール性の向上が可能となる。
また、収容凹部の底部に軟質の部材からなるガスケットを配置したので、比較的小さい締め付け力で、一次側の各流路と二次側の各流路と外部との間のシールを行うことができ、締め付け時の部材の変形や破損のリスクを低減することができる。
本発明によれば、メンテナンス性及びシール性が向上し、締め付け時の部材の変形や破損のリスクを低減できるオリフィス内蔵バルブおよびこれを用いた流量制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係るオリフィス内蔵バルブの縦断面図。
図2図1の要部を拡大した拡大断面図。
図3】ガスケットの外観斜視図。
図4A】オリフィスベースの外観斜視図。
図4B図4Aのオリフィスベースの縦断面図。
図5】オリフィスプレートの外観斜視図。
図6A】インナー部材の外観斜視図。
図6B図6Aのインナー部材の縦断面図。
図7】バルブシートの外観斜視図。
図8】固定リングの外観斜視図。
図9】ピュアリングの外観斜視図。
図10】本発明の第2の実施形態に係る流量制御装置の要部断面を含む正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。説明において同様の要素には同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。尚、本明細書及び特許請求の範囲における「上面」「下面」等の語は、ボディにおける収容凹部の位置を「上面」側と定義した場合の部材同士の相対的な位置関係を示す語であり、地面に対する位置関係を示す語ではない。
(第1の実施形態)
図1に本実施形態に係るオリフィス内蔵バルブ1を示す。
図1において、10はボディ、15はガスケット、20はオリフィスベース、30はオリフィスプレート、40はインナー部材、50はバルブシート、60は固定リング、65はピュアリング、70はダイヤフラム、80は押えアダプタ(図2参照)、90はアクチュエータである。
尚、ガスケット15、オリフィスベース20、オリフィスプレート30、インナー部材40、バルブシート50、固定リング60、ピュアリング65、ダイヤフラム70および押えアダプタ80(図2参照)は本発明の一実施形態に係るバルブ要素を構成している。
【0017】
ボディ10は、本実施形態では、集積化ガスシステム(IGS)用のボディで、ステンレス鋼等の金属材料でブロック状に形成されている。
ボディ10には、図1に示すように、一次側流路11と二次側流路12が画定され、ボディ10の上面に開口する断面が円形の穴からなる収容凹部13が形成されている。一次側流路11は、収容凹部13の底面13tの中央部で開口しており、二次側流路12は、底面13tの中央部と周辺部の中間付近で開口している。収容凹部13の内周面にはネジ部13aが上面から深さ方向の中途まで形成されている。
収容凹部13の下部には、後述するインナー部材40を受ける段差面13sが形成されている。
収容凹部13の底面13tには、一次側流路11の開口部を包囲する第1の環状突起部13pが形成され、ガスケット15の下面15bに食い込んで、一次側流路11と後述するガスケット15の下段一次側貫通孔16との接続部をシールするように構成されている。また、第1の環状突起部13pの外側には、これを同心円状に包囲するとともに、二次側流路12の開口部も包囲する第2の環状突起部13qが形成され、ガスケット15の下面に食い込んで、二次側流路12と後述する下段二次側貫通孔17との接続部をシールするように構成されている。
【0018】
ガスケット15は、軟質の材料で形成された略円板状の部材で、本実施形態では、焼鈍したステンレス合金等の金属、すなわち、ボディ10、オリフィスベース20、インナー部材40より軟らかい金属で形成されている。ガスケット15は、収容凹部13の底部(13t)に配置され、一次側流路11に連通する下段一次側貫通孔16及び二次側流路12に連通する下段二次側貫通孔17を有する。本実施形態では、図3に示すように、下段一次側貫通孔16は、平面視でガスケット15の中心に設けられ、下段二次側貫通孔17は、下段一次側貫通孔16を囲む円周上に等間隔で6つ設けられている。但し、下段一次側貫通孔17の数は、1つ以上であればいくつでもよい。ガスケット15は、図2に示すように、収容凹部13の底面13tにおける第1の環状突起部13pと第2の環状突起部13qの上に載置され、下段一次側貫通孔16は、第1の環状突起部13pの内側に配置されて一次側流路11と連通し、下段二次側貫通孔17は、第1の環状突起部13pと第2の環状突起部13qの間の円環状領域に配置されて、二次側流路12に連通している。
ガスケット15は、軟質の金属で形成されているので、バルブ要素を固定する際、第1の環状突起部13pと第2の環状突起部13qがガスケット15の下面15bに食い込んで、前記ボディ10の説明で述べたシールがなされる。その際、第1の環状突起部13pと第2の環状突起部13qの間の円環状領域は、周囲と隔離された空間となり、二次側流路12はこの空間を通して6つの下段二次側貫通孔17(図3参照)に連通する。
【0019】
オリフィスベース20は、図2に示すように、ガスケット15の上に配置され、その下段一次側貫通孔16に連通する中段一次側貫通孔20aを有する部材である。
本実施形態では、オリフィスベース20は、ステンレス合金等の金属、すなわち、ガスケット15より硬い金属で形成されている。図4A,4Bに示すように、オリフィスベース20は、外周側に上側の小径部20f1と中央部の中径部20f2と下側の大径部20f3を有する段付の略円柱状に形成され、中心軸上に流路となる中段一次側貫通孔20aを有する。
オリフィスベース20は、図2に示すように、その外周面中央部の中径部20f2(図4B参照)が後述するインナー部材40の中段凹部40aの内周面(図6B参照)に嵌合することにより位置決めされ、中段一次側貫通孔20aはガスケット15の下段一次側貫通孔16を介してボディ10の一次側流路11と連通している。
また、オリフィスベース20の下面20bには、全周がボディ10の第1の環状突起部13pに対向し中段一次側貫通孔20aの開口部を包囲する第3の環状突起部20cが形成され、第1の環状突起部13pとともにガスケット15に食い込んで、一次側流路11と下段一次側貫通孔16と中段一次側貫通孔20aとの接続部をシールするように構成されている。
尚、図4Bに示すように、中径部20f2の軸方向には、全周に渡って外周突起部20gが設けられ、中央部の中径部20f2がインナー部材40の中段凹部40aの内周面(図6B参照)に嵌合すると、外周突起部20gが潰れてシールするようになっている。なお、外周突起部20gを設ける代わりに、例えば、中径部20f2とインナー部材40の中段凹部40aの内周面を共にテーパ面にして嵌合することにより、シールしてもよい。オリフィスベース20の外周面下側の大径部20f3と、後述するインナー部材40の下段凹部40tの内周面(図6B参照)との隙間Gpは、図2に示すように、二次側流路12及び下段二次側貫通孔17と後述する上段二次側貫通孔40pの接続部を構成している
オリフィスベース20の上端部の中段一次側貫通孔20aの開口部周囲は、オリフィスプレート30を支持する環状の支持面20sとなっている。この環状の支持面20s及び第3の環状突起部20c及び第1の環状突起部13pのそれぞれの幅方向中心円は、上面視で一致するように形成されている。この構成により、締め付けた際の軸方向締め付け力は上面視で同一箇所に加わるため、曲げモーメントが生ずることなく、インナー部材40やオリフィスベース20の変形を最小化できる。
【0020】
オリフィスプレート30は、オリフィスベース20の上に配置され、中段一次側貫通孔20aに連通するオリフィス30hが形成された部材である。
本実施形態では、オリフィスプレート30は、図5に示すように、ステンレス合金等の金属製の薄い円盤で、中心部にオリフィス30hが形成されている。オリフィスプレート30は、オリフィスベース20の上面中央部の支持面20s(図4B参照)に配置され、この支持面20sと後述するインナー部材40の天井面40b(図6B参照)との間に挟持されて固定されている。なお、オリフィスプレート30は、挟持による固定の代わりに溶接によって支持面20sに固定してもよい。オリフィスプレート30は、オリフィス30hが中段一次側貫通孔20aの開口部を絞るように構成されている。なお、本実施形態では、オリフィスプレート30にオリフィス30hを1つのみ設けたが、複数設けてもよい。
【0021】
インナー部材40は、オリフィスプレート30の上に配置され、オリフィス30hに連通して上面に開口する上段一次側貫通孔40c及び二次側流路12に連通して上面に開口する上段二次側貫通孔40pを有する部材である。
本実施形態では、インナー部材40は、オリフィスベース20と同じ硬度を有するステンレス合金等の金属製で、図6A,6Bに示すように、外周側が、上側の小径部40f1と下側の大径部40f2を有する略段付円筒状に形成されている。インナー部材40の内周側には、下面側から断面が円形の下段凹部40tが形成され、その上に断面が縮径した円形の中段凹部40aが形成され、その天井面40bから上段一次側貫通孔40cが形成されている。大径部40f2の外周面は、ボディ10の収容凹部13の下部の内周面13b(図2参照)に嵌合して、インナー部材40自体を位置決めし、中段凹部40aの内周面は、前記のように、それに嵌合するオリフィスベース20を位置決めしている。
インナー部材40の環状下端面40dは、ボディ10の収容凹部13の段差面13s(図2参照)に当接し、これによりインナー部材40の上下方向位置が位置決めされている。
この環状下端面40dの内側には、ボディの第2の環状突起部13qに全周に渡って対向する第4の環状突起部40gが形成され、第2の環状突起部13q(図2参照)とともにガスケット15に所定量食い込んで、二次側流路12及び下段二次側貫通孔17と後述する上段二次側貫通孔40pの接続部をシールするように構成されている。
【0022】
ここで、上記所定量は、シールに必要な面圧から算出し、環状下端面40dが段差面13s(図2参照)に当接したとき各環状突起部(13p,13q,20c,40g)がガスケット15に上記所定量が食い込むように関係する各要素の寸法を設定している。
この算出方法の考え方について述べる。
まず下式1からシールに必要な締め付けトルク(軸力F)を算出する。
【数1】
ここで、Fは必要軸力(単位N)、Gは接触面径(単位mm)、bはガスケット座の基本幅(単位mm)、yは最小締め付け圧力(単位N/mm2)である。
次いで、下式2を用い、必要軸力P(上記Fを式2のPに代入する)からガスケット15の歪み応力σを算出する。
【数2】
ここで、Pは軸力(単位N)、Rは軸力を受ける中心半径(単位mm)、aはシール部中心半径(単位mm)、σは応力(単位N/mm2)である。
次いで、下式3を用い、歪み応力σから歪み量ωを算出する。
【数3】
ここで、ωは歪み量(単位mm)、tは板厚(単位mm)、νはポアソン比、Eは縦弾性係数(単位N/mm2)で、いずれもガスケット15の値である。また、Dは式3の下側の式で定義した量である。
各環状突起部(13p,13q,20c,40g)がガスケット15に食い込む上記所定量をこの歪み量ωとすることにより、シールに必要な面圧を得ることができる。なお、この第4の環状突起部40gとオリフィスベース20の第3の環状突起部20cは、断面視で少なくとも頂部が丸められた形状を有し、頂部の曲率半径が等しく形成されている。この構成により、第3の環状突起部20c及び第4の環状突起部40gのそれぞれの頂部は、同程度の面圧でガスケット15に所定量が食い込むので、シールに必要な締め付け力が同程度になり、過大な締め付け力を加える必要がなくなる。
【0023】
一方、インナー部材40の上面側には、中心部に上段一次側貫通孔40cの開口部が設けられ、その周囲には、それぞれ円環状のバルブシート配置溝40h、環状流出溝40i,ダイヤフラム支持部40j,環状上端面40kが、この順に同心円状に形成されている。
下面側から環状流出溝40iに連通する上段二次側貫通孔40pが、円周上に周方向に等間隔で6本形成されている。但し、上段二次側貫通孔40pの本数は、1本以上であれば何本でもよい。本実施形態では、各上段二次側貫通孔40pを穿設するドリルをインナー部材40の上面まで通さずに、環状流出溝40iに連通させて止めており、それにより、ダイヤフラム支持部40jの形状を維持している。この上段二次側貫通孔40pの下面側は、オリフィスベース20と下段凹部40tの内周面との隙間Gp及び下段二次側貫通孔17通って、ボディ10の二次側流路12と連通している。
【0024】
バルブシート50は、インナー部材40上面の上段一次側貫通孔40cの開口部周囲に設けられた円環状の部材である。本実施形態では、フッ素樹脂(PCTFE)製で、図7に示すように、略円環状に形成されている。このバルブシート50は、インナー部材40上面のバルブシート配置溝40h(図6B参照)に嵌め込まれ、その両側の円環状壁面によってカシメられて、固定されている。この構成により、バルブシート50と後述するダイヤフラムは共にインナー部材40に固定されるので、組立時の締め付け方によるCV
値変化が抑えられる。
【0025】
固定リング60は、ステンレス鋼等の金属材料で形成されており、図8に示すように、略円環状を有する。固定リング60の外周面にネジ部60aが形成され、内周面60bは回転工具を係合させるためにダブルヘックス構造を有している。図2に示すように、固定リング60のネジ部60aを収容凹部13のネジ部13aに螺合させて締め付けると、インナー部材40の段差面40eは、固定リング60によって押圧され、インナー部材40の環状下端面40dが、ボディ10の収容凹部13の段差面13sに当接し、これによりインナー部材40の上下方向位置が位置決めされている。
このとき、オリフィスベース20は、オリフィスプレート30を挟んでインナー部材40の中段凹部40aの天井面40b(図6B参照)に押圧されて、オリフィスベース20下面側の第3の環状突起部20cがガスケット15の上面15aに食い込むとともに、ボディ10の第1の環状突起部13pがガスケット15の下面15bに食い込むことにより、シールが形成される。同時に、インナー部材40下面側の第4の環状突起部40gがガスケット15の上面15aに食い込むとともに、ボディ10の第2の環状突起部13qがガスケット15の下面15bに食い込むことにより、シールが形成される。
尚、固定リング60下端部とインナー部材40の段差面40eとの間にピュアリング65が2枚配置されている。このピュアリング65は、図9に示すように略ワッシャ状を成すステンレス鋼板に摩擦低減コーティングを施した部材で、これにより、固定リング60で締め付けるための回転時の摩擦を低減し、インナー部材40の供回りを防止している。
このピュアリング65は、上記ステンレス鋼板製のものに限られず、回転時の摩擦を低減できるものであれば、いずれでもよい。例えば、略ワッシャ状の樹脂板やスラストベアリングを用いてもよい。
【0026】
ダイヤフラム70は、図2に示すように、インナー部材40の上に配置され、バルブシート50から離間または当接して、上段一次側貫通孔40cと上段二次側貫通孔40pとの間を連通または遮断する部材である。
ダイヤフラム70は、特殊ステンレス鋼等の金属製薄板およびニッケル・コバルト合金薄板を積層したものの中央部を上方へ膨出させることにより形成され、自然状態で上に凸の球殻状を有する。ダイヤフラム70は、図2に示すように、インナー部材40のダイヤフラム支持部40j(図6B参照)により支持され、リング状の押えアダプタ80を介してアクチュエータ90のケーシング91の下端部91bの環状の端面によって押圧されることにより、固定されている。ダイヤフラム70は、流路の一部を画定しており、ダイヤフラム押え92により押圧されて弾性変形し、バルブシート50に当接すると流路が閉鎖され、バルブシート50から離間すると、流路が開放される。
なお、本実施形態では、ダイヤフラム70がケーシング91と連れ回りするのを防ぐため、金属製の押えアダプタ80を用いてダイヤフラム70をインナー部材40に固定したが、アクチュエータ90のケーシング91の下端部91bを伸ばすことで、押えアダプタ80を用いずにダイヤフラム70を直接に固定することも可能である。
【0027】
アクチュエータ90は、例えば、ケーシング91内にピストンを内蔵するエアシリンダを用いることができるが、これに限定されるわけではない。アクチュエータ90は、図示しない駆動部分にダイヤフラム押え92を保持しており、このダイヤフラム押え92をバルブシート50に対して接近および離隔する向きに駆動する。
ダイヤフラム押え92は、ポリイミド等の合成樹脂で形成され先端部が凸状に湾曲しており、ダイヤフラム70の中央部上面に当接するようになっている。
アクチュエータ90のケーシング91の外周面には、ネジ部91aが形成され、このネジ部91aがボディ10の収容凹部13の内周面に形成されたネジ部13aに螺合し、ケーシング91の下端部91bの環状の端面が、押えアダプタ80を介してダイヤフラム70の外周部を押圧している。これにより、ダイヤフラム70がインナー部材40に固定されるとともに、アクチュエータ90がボディ10に対して固定される。
【0028】
ここで、上記したオリフィス内蔵バルブの組立手順について主に図1及び図2を参照して説明する。
まず、オリフィスベース20の支持面20s(図4B参照)上にオリフィスプレート30を設置し、この状態でオリフィスベース20をインナー部材40の下面側の中段凹部40a(図6B)に嵌入させる。これにより、オリフィスプレート30が支持面20sとインナー部材40の天井面40b(図6B)で挟持されるとともに、外周突起部20g(図4B)が潰れてオリフィスベース20の外周とインナー部材40の内周がシールされる。
次いでインナー部材40の上面のバルブシート配置溝40h(図6B)にバルブシート50を嵌め込み、その両側の円環状壁面によってカシメて固定する。これにより、オリフィスベース20とオリフィスプレート30とインナー部材40とバルブシート50との結合体が形成される。
次いで、ボディ10の収容凹部13の底部に、ガスケット15を載置し、その上に前記オリフィスベース20とオリフィスプレート30とインナー部材40とバルブシート50との結合体を載置し、収容凹部13のネジ部13aに固定リング60を螺合させて、インナー部材40の環状下端面40dが収容凹部13の段差面13sに当接するまで締め込むことにより、オリフィスベース20とオリフィスプレート30とインナー部材40とバルブシート50との結合体及びガスケット15をボディ10に固定する。
次いで、ダイヤフラム70をインナー部材40のダイヤフラム支持部40j(図6B)に設置し、ダイヤフラム70上に押えアダプタ80を設置し、アクチュエータ90のケーシング91のネジ部91aをボディ10の収容凹部13のネジ部13aにねじ込む。これにより、本実施形態のオリフィス内蔵バルブが組立てられる。
【0029】
本実施形態のオリフィス内蔵バルブでは、図2に示すように、一次側流路11からガスケット15の下段一次側貫通孔16を通ってオリフィスベース20の中段一次側貫通孔20aに流入した流体は、オリフィスプレート30に形成されたオリフィス30h(図5参照)を通過し、インナー部材40の上段一次側貫通孔40cを通過し、バルブシート50とダイヤフラム70との隙間を通過してインナー部材40の環状流出溝40iに流入する。環状流出溝40iに流入した流体は、複数の上段二次側貫通孔40pを通過して、環状の隙間Gpに流入し、ガスケット15の複数の下段二次側貫通孔17を通って、収容凹部13の底面13tに開口する二次側流路12へ流出する。
【0030】
本実施形態では、上記のような構造を採用することで、オリフィス内蔵バルブを小型化できるとともに、インナー部材40内部に複数の上段二次側貫通孔40pを形成することで、流量も確保できる。
本実施形態によれば、インナー部材40を収容凹部13のネジ部13aに螺合する固定リング60を用いて固定し、ダイヤフラム70を共通のネジ部13aに螺合するアクチュエータ90のケーシング91を用いて固定することにより、ダイヤフラム70とオリフィスプレート30をそれぞれ別々に組み付けることができるので、シール性の向上およびメイテナンス性の向上が可能となる。
また、収容凹部の底部に軟質の金属からなるガスケットを配置したので、比較的小さい締め付け力で、一次側の各流路と二次側の各流路と外部との間のシールを行うことができ、締め付け時の部材の変形や破損のリスクを低減することができる。
【0031】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態は、本発明のオリフィス内蔵バルブを用いた流量制御装置を提供する。
図10に本実施形態に係る流量制御装置100を示す。
本流量制御装置は、第1の実施形態のオリフィス内蔵バルブ1のボディ10を変形したボディ10Aを含むオリフィス内蔵バルブ1Aと、流量制御バルブ110と、圧力検出器120および130を含む。
【0032】
ボディ10Aは、第1の実施形態のボディ10と同様に、ステンレス鋼等の金属材料でブロック状に形成され、一次側流路11a,11b,11c及び二次側流路12a,12b、さらに第1の実施形態の収容凹部13を画定している。
【0033】
流量制御バルブ110は、オリフィス内蔵バルブ1Aの一次側の流路11aと流路11bとの間に設けられており、外部から供給されて流路11a,11bを流通する流体の流量を制御可能となっている。
圧力検出器120は、流路11bと流路11cの間に設けられ、オリフィス内蔵バルブ1Aの一次側流路である流路11b,11cの圧力を検出する。
圧力検出器130は、オリフィス内蔵バルブ1Aの二次側流路である流路12a,12bの圧力を検出する。
【0034】
オリフィス内蔵バルブ1Aの構成は、ボディ10Aの形状がボディ10と異なる点を除いて、第1の実施形態のオリフィス内蔵バルブ1と同じである。
【0035】
このように構成された流量制御装置100は、所謂圧力式の流量制御装置であり、プロセッサ、メモリ等のハードウエアおよび所要のソフトウエアで構成される図示しない制御回路を備えており、圧力検出器120の検出する圧力P1および圧力検出器130の検出する圧力P2に基づいて、流路11a~12bを流通する流体の流量を計量し、計量流量が目標流量となるように、流量制御バルブ110を駆動制御する。
【0036】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上記各実施形態では、ガスケット15を焼鈍したステンレス合金等の金属で構成したが、耐熱性がそれほど要求されない場合等では、例えば、フッ素樹脂(PCTFE)等の樹脂材料で構成しても良い。
【0037】
また、上記各実施形態では、第1から第4の環状突起部を設けたが、ガスケット15が十分柔らかく、その変型によりシールが十分可能であれば、これらの第1から第4の環状突起部が不要の場合もある。または、環状突起部の代わりに環状以外の多角形状等に取り囲む突起や、環状または多角形状等に取り囲む段差面でシールしてもよい。
【0038】
また、上記各実施形態では、前記オリフィスベースと前記インナー部材を同じ硬度を有する部材で形成したが、ガスケット15の変型によりシールが十分可能であれば、硬度が異なる部材で形成してもよい。
【0039】
また、上記各実施形態では、固定リング60の摩擦低減のためにピュアリング65を用いたが、インナー部材40の供回りが発生しなければ、ピュアリング65は用いなくても良い。
【0040】
また、オリフィスベース20やインナー部材40は、上記各実施形態のような段付円筒状ではなく、例えばストレートの円筒状でも良い。
【符号の説明】
【0041】
1,1A オリフィス内蔵バルブ
10,10A ボディ
11,11a,11b,11c 一次側流路(流路)
12,12a,12b 二次側流路(流路)
13 収容凹部
13a ネジ部
13b 内周面
13p 第1の環状突起部
13q 第2の環状突起部
13s 段差面
13t 底面
15 ガスケット
15a 上面
15b 下面
16 下段一次側貫通孔
17 下段二次側貫通孔
20 オリフィスベース
20a 中段一次側貫通孔
20b 下面
20c 第3の環状突起部
20f1 小径部
20f2 中径部
20f3 大径部
20g 外周突起部
20s 支持面
30 オリフィスプレート
30h オリフィス
40 インナー部材
40a 中段凹部
40b 天井面
40c 上段一次側貫通孔
40d 環状下端面
40e 段差面
40f1 小径部
40f2 大径部
40g 第4の環状突起部
40h バルブシート配置溝
40i 環状流出溝
40j ダイヤフラム支持部
40k 環状上端面
40p 上段二次側流出孔
40t 下段凹部
50 バルブシート
60 固定リング
60a ネジ部
60b 内周面
65 ピュアリング
70 ダイヤフラム
80 押えアダプタ
90 アクチュエータ
91 ケーシング
91a ネジ部
91b 下端部
92 ダイヤフラム押え
100 流量制御装置
110 流量制御バルブ
120,130 圧力検出器
Gp 隙間
P1,P2 圧力
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
ここで、上記所定量は、シールに必要な面圧から算出し、環状下端面40dが段差面13s(図2参照)に当接したとき各環状突起部(13p,13q,20c,40g)がガスケット15に上記所定量が食い込むように関係する各要素の寸法を設定している。
この算出方法の考え方について述べる。
まず下式1からシールに必要な締め付けトルク(軸力F)を算出する。
【数1】
ここで、Fは必要軸力(単位N)、Gは接触面径(単位mm)、bはガスケット座の基本幅(単位mm)、yは最小締め付け圧力(単位N/mm2)である。
次いで、下式2を用い、必要軸力P(上記Fを式2のPに代入する)からガスケット15の歪み応力σを算出する。
【数2】
ここで、Pは軸力(単位N)、Rは軸力を受ける中心半径(単位mm)、aはシール部中心半径(単位mm)、σは応力(単位N/mm2)である。
次いで、下式3を用い、歪み応力σから歪み量ωを算出する。
【数3】
ここで、ωは歪み量(単位mm)、tは板厚(単位mm)、νはポアソン比、Eは縦弾性係数(単位N/mm2)で、いずれもガスケット15の値である。また、Dは式3の下側の式で定義した量である。
各環状突起部(13p,13q,20c,40g)がガスケット15に食い込む上記所定量をこの歪み量ωとすることにより、シールに必要な面圧を得ることができる。なお、この第4の環状突起部40gとオリフィスベース20の第3の環状突起部20cは、断面視で少なくとも頂部が丸められた形状を有し、頂部の曲率半径が等しく形成されている。この構成により、第3の環状突起部20c及び第4の環状突起部40gのそれぞれの頂部は、同程度の面圧でガスケット15に所定量が食い込むので、シールに必要な締め付け力が同程度になり、過大な締め付け力を加える必要がなくなる。