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特開2024-166637制御装置、掘削装置、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166637
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】制御装置、掘削装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
E02F9/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082853
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】518317052
【氏名又は名称】株式会社DeepX
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】那須野 薫
(72)【発明者】
【氏名】那須野 僚輔
(72)【発明者】
【氏名】ダリー キリアン
(72)【発明者】
【氏名】高橋 将文
(72)【発明者】
【氏名】呂 紹安
(72)【発明者】
【氏名】フランプトン ジャック マーカス
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA02
2D003BB12
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB04
2D003DB07
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】掘削反力の算出値によらず掘削装置を制御する。
【解決手段】制御装置1は、掘削装置2が土を掘削するバケット21を駆動するための油圧を取得する油圧取得部131と、掘削装置2に制御データを送信することにより掘削装置2を制御する制御部134と、を有し、制御部134は、油圧取得部131が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、バケット21の位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土を掘削する掘削装置を制御する制御装置であって、
前記掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための油圧を取得する油圧取得部と、
前記掘削装置に制御データを送信することにより前記掘削装置を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記油圧取得部が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記掘削装置に送信する、
制御装置。
【請求項2】
前記掘削装置の姿勢を示す姿勢データを取得する姿勢データ取得部をさらに有し、
前記制御部は、前記油圧取得部が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続し、かつ前記姿勢データが示す前記掘削装置の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続した場合に、前記変更制御データを前記掘削装置に送信する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記掘削部が結合されたアームに対する前記掘削部の角度を変更するための前記変更制御データを送信する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記掘削部が結合されたアームの角度を変更するための前記変更制御データを送信する、
請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記姿勢データが示す前記掘削装置の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続し、かつ前記油圧取得部が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間未満の間継続した後に前記閾値未満の状態に変化した場合に、油圧が前記閾値以上の状態になるようにするための前記制御データを出力する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記姿勢データが示す前記掘削装置の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続し、かつ前記油圧取得部が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間未満しか継続していない場合に、前記変更制御データを前記掘削装置に送信することなく前記変更制御データ以外のデータを出力する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記掘削装置の油圧と、前記掘削装置の姿勢と、前記掘削装置に実行させる動作内容とが関連付けられた動作内容データを記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記油圧取得部が取得した油圧と、前記姿勢データ取得部が取得した前記姿勢データに対応する姿勢との組み合わせに前記動作内容データにおいて関連付けられた動作内容に対応する前記変更制御データを前記掘削装置に送信する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記動作内容データは、前記掘削装置に実行させる動作内容として、前記掘削部が移動する軌道を含んでおり、
前記制御部は、前記動作内容データにおいて前記組み合わせに関連付けられた軌道で前記掘削部を移動させるための前記変更制御データを前記掘削装置に送信する、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記掘削部が掘削した土の量を取得する土量取得部をさらに有し、
前記制御部は、前記油圧取得部が取得した油圧が前記閾値未満であり、かつ前記土量取得部が取得した量が基準量未満である場合に、前記変更制御データを前記掘削装置に送信する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記掘削部が目標の掘削深度に到達した場合に、水平方向における前記掘削部の掘削位置を変更するための前記変更制御データを前記掘削装置に送信する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
土を掘削する掘削装置を制御する制御装置であって、
前記掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための駆動力を発生する電動機が発生している駆動力の大きさを示す駆動力値を取得する取得部と、
前記掘削装置に制御データを送信することにより前記掘削装置を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記取得部が取得した駆動力値が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記掘削装置に送信する、
制御装置。
【請求項12】
土を掘削する掘削部と、
前記掘削部を駆動するための油圧を発生する油圧発生部と、
前記油圧発生部に制御データを送信することにより前記掘削部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記油圧発生部が発生した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記油圧発生部に送信する、
掘削装置。
【請求項13】
土を掘削する掘削部と、
前記掘削部を駆動するための駆動力を発生する電動機と、
前記電動機に制御データを送信することにより前記掘削部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記電動機が発生した駆動力が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記電動機に送信する、
掘削装置。
【請求項14】
コンピュータが実行する、
土を掘削する掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための油圧を取得するステップと、
取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記掘削装置に送信するステップと、
を有する制御方法。
【請求項15】
コンピュータに、
土を掘削する掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための油圧を取得するステップと、
取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記掘削装置に送信するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、掘削装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土砂を掘削するための装置が知られている。特許文献1に記載された建設機械は、バケットに作用する土砂の掘削反力が上限値よりも大きい場合に掘削動作の内容の変更の要否を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5519414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
掘削反力を算出するためには、各種のパラメータが使用される。これらのパラメータの一部に誤差があると、掘削反力の算出値が不適切な値になってしまう。その結果、建設機械の動作内容が適切に変更されない場合が生じるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、掘削反力の算出値によらず掘削装置を制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の制御装置は、土を掘削する掘削装置を制御する制御装置であって、前記掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための油圧を取得する油圧取得部と、前記掘削装置に制御データを送信することにより前記掘削装置を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記油圧取得部が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記掘削装置に送信する。
【0007】
前記制御装置は、前記掘削装置の姿勢を示す姿勢データを取得する姿勢データ取得部をさらに有し、前記制御部は、前記油圧取得部が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続し、かつ前記姿勢データが示す前記掘削装置の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続した場合に、前記変更制御データを前記掘削装置に送信してもよい。
【0008】
前記制御部は、前記掘削部が結合されたアームに対する前記掘削部の角度を変更するための前記変更制御データを送信してもよい。前記制御部は、前記掘削部が結合されたアームの角度を変更するための前記変更制御データを送信してもよい。
【0009】
前記制御部は、前記姿勢データが示す前記掘削装置の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続し、かつ前記油圧取得部が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間未満の間継続した後に前記閾値未満の状態に変化した場合に、油圧が前記閾値以上の状態になるようにするための前記制御データを出力してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記姿勢データが示す前記掘削装置の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続し、かつ前記油圧取得部が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間未満しか継続していない場合に、前記変更制御データを前記掘削装置に送信することなく前記変更制御データ以外のデータを出力してもよい。
【0011】
前記制御装置は、前記掘削装置の油圧と、前記掘削装置の姿勢と、前記掘削装置に実行させる動作内容とが関連付けられた動作内容データを記憶する記憶部をさらに有し、前記制御部は、前記油圧取得部が取得した油圧と、前記姿勢データ取得部が取得した前記姿勢データに対応する姿勢との組み合わせに前記動作内容データにおいて関連付けられた動作内容に対応する前記変更制御データを前記掘削装置に送信してもよい。
【0012】
前記動作内容データは、前記掘削装置に実行させる動作内容として、前記掘削部が移動する軌道を含んでおり、前記制御部は、前記動作内容データにおいて前記組み合わせに関連付けられた軌道で前記掘削部を移動させるための前記変更制御データを前記掘削装置に送信してもよい。
【0013】
前記制御装置は、前記掘削部が掘削した土の量を取得する土量取得部をさらに有し、前記制御部は、前記油圧取得部が取得した油圧が前記閾値未満であり、かつ前記土量取得部が取得した量が基準量未満である場合に、前記変更制御データを前記掘削装置に送信してもよい。
【0014】
前記制御部は、前記掘削部が目標の掘削深度に到達した場合に、水平方向における前記掘削部の掘削位置を変更するための前記変更制御データを前記掘削装置に送信してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の制御装置は、土を掘削する掘削装置を制御する制御装置であって、前記掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための駆動力を発生する電動機が発生している駆動力の大きさを示す駆動力値を取得する取得部と、前記掘削装置に制御データを送信することにより前記掘削装置を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記取得部が取得した駆動力値が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記掘削装置に送信する。
【0016】
本発明の第3の態様の掘削装置は、土を掘削する掘削部と、前記掘削部を駆動するための油圧を発生する油圧発生部と、前記油圧発生部に制御データを送信することにより前記掘削部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記油圧発生部が発生した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記油圧発生部に送信する。
【0017】
本発明の第4の態様の掘削装置は、土を掘削する掘削部と、前記掘削部を駆動するための駆動力を発生する電動機と、前記電動機に制御データを送信することにより前記掘削部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記電動機が発生した駆動力が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記電動機に送信する。
【0018】
本発明の第5の態様の制御方法は、コンピュータが実行する、土を掘削する掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための油圧を取得するステップと、取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記掘削装置に送信するステップと、を有する。
【0019】
本発明の第6の態様のプログラムは、コンピュータに、土を掘削する掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための油圧を取得するステップと、取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、前記掘削部の位置を変更するための変更制御データを前記掘削装置に送信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、掘削反力の算出値によらず掘削装置を制御できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】掘削システムSの概要を説明するための図である。
図2】制御装置1の構成を示す図である。
図3】動作内容データの一例を示す図である。
図4】動作内容データの他の例を示す図である。
図5】制御部134が油圧と姿勢データとに基づいて掘削装置2を制御する処理のフローチャートである。
図6】スタック解放処理(S15)の流れを示すフローチャートである。
図7】制御部134が油圧と土量とに基づいて掘削装置2を制御する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[掘削システムSの概要]
図1は、掘削システムSの概要を説明するための図である。掘削システムSは、土砂Tを掘削するためのシステムである。土砂Tは、非人工的な土砂であってもよく、人工的に作成された盛り土であってもよい。図1(a)に示すように、掘削システムSは、制御装置1と掘削装置2とを有する。掘削システムSは、例えばニューマチックケーソン工法により構造物Bの下方の土砂Tを掘削するためのシステムである。
【0023】
制御装置1は、掘削装置2を制御するための装置であり、例えばコンピュータである。制御装置1は掘削装置2に搭載されていてもよいが、本明細書においては、掘削装置2が土砂Tを掘削する位置から離れた遠隔制御室に制御装置1が設置されている場合を例にして説明する。
【0024】
掘削装置2は、制御装置1の制御に基づいて土砂Tを掘削する。掘削装置2は、ケーブルC又は無線通信回線を介して制御装置1との間でデータを送受信する。掘削装置2は、例えば、掘削装置2に加えられている油圧、及び掘削装置2の各部の姿勢を示すデータを制御装置1に送信し、掘削装置2を動作させるための制御データを制御装置1から受信する。掘削装置2は、受信した制御データに基づいて各部の位置を変化させることにより土砂Tを掘削する。掘削装置2は、構造物Bと土砂Tとの間の空間の天井に設けられたレールRに沿って移動する。
【0025】
掘削装置2は、バケット21と、アーム22と、ブーム23と、バケットシリンダー24と、アームシリンダー25と、を有する。バケット21は、土砂を掘削するための掘削部であり、角度を変えられる状態でアーム22に結合している。アーム22は、バケット21とブーム23との間に設けられており、角度を変えられる状態でブーム23に結合されている。アーム22は伸縮可能に構成されていてもよい。ブーム23はレールRに沿って移動可能な状態で、レールRに結合されている。ブーム23は、レールRに対する角度を変えられる状態でレールRに結合されていてもよい。
【0026】
バケットシリンダー24は、一端がバケット21に固定されており、他端がアーム22に固定されている。アームシリンダー25は、一端がアーム22に固定されており、他端がブーム23に固定されている。バケットシリンダー24及びアームシリンダー25は、油圧によって伸縮する。アーム22は、伸縮するための油圧を発生する油圧発生部を含んでもよい。バケットシリンダー24及びアームシリンダー25は、それぞれを伸縮するための油圧を発生する油圧発生部を含んでもよい。
【0027】
油圧発生部は、制御装置1が送信する制御データに基づいて、アーム22、バケットシリンダー24及びアームシリンダー25を伸縮させるための油圧を変化させる。油圧が変化することによりアーム22、バケットシリンダー24及びアームシリンダー25が伸縮し、バケット21及びアーム22の角度が変化する。バケット21の角度又はアーム22の角度の少なくともいずれかが変化することにより、バケット21が土砂Tを掘削することができる。
【0028】
図1(b)は、掘削装置2の拡大図である。図1(b)における位置Aは、バケットシリンダー24の一端がアーム22に固定されている位置である。位置Bは、バケットシリンダー24の他端がバケット21に固定されている位置である。位置Cは、バケット21が角度を変化させる際の回転中心の位置である。本明細書においては、レールRからバケット21の先端までの鉛直方向(すなわちレールRの長手方向と直交する方向)の距離dを掘削深度という。また、図1(b)における線分ACと線分CBとが成す角度θ(図1(c)を参照)をバケット角度θという。
【0029】
[制御装置1の構成]
図2は、制御装置1の構成を示す図である。制御装置1は、通信部11と、記憶部12と、CPU(Central Processing Unit)13と、を有する。CPU13は、油圧取得部131と、姿勢データ取得部132と、土量取得部133と、制御部134と、を有する。
【0030】
通信部11は、掘削装置2との間でデータを送受信するための通信インターフェースを有する。通信部11は、掘削装置2から受信した油圧を示すデータを油圧取得部131に入力する。通信部11は、掘削装置2がすくい上げた土の量を示す土量データを土量取得部133に入力する。
【0031】
また、通信部11は、掘削装置2から受信した掘削装置2の姿勢を示すデータを姿勢データ取得部132に入力する。姿勢を示すデータは、例えばアーム22に対するバケット21の角度、ブーム23に対するアーム22の角度、アーム22の長さ、バケットシリンダー24の長さ、又はアームシリンダー25の長さの少なくともいずれかにより表される。
【0032】
通信部11は、制御部134から入力された制御データを掘削装置2に送信する。制御データは、例えば、アーム22、バケットシリンダー24及びアームシリンダー25を駆動するための油圧を増加させたり減少させたりするためのデータである。制御データは、油圧の目標値を示すデータであってもよい。
【0033】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部12は、CPU13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、CPU13が掘削装置2を制御するために使用する各種のデータを記憶する。
【0034】
記憶部12は、例えば掘削装置2の油圧と、掘削装置2の姿勢と、掘削装置2に実行させる動作内容とが関連付けられた動作内容データを記憶する。記憶部12は、油圧とバケット21がすくった土の量と、掘削装置2に実行させる動作内容とが関連付けられた動作内容データを記憶してもよい。動作内容データは、プログラムにより記述されたデータであってもよい。動作内容データは、掘削装置2に実行させる動作内容として、バケット21が移動する軌道を含んでいてもよい。
【0035】
図3は、動作内容データの一例を示す図である。図3に示す動作内容データにおいては、油圧と、同じ油圧が継続した時間と、掘削装置2の姿勢と、同じ姿勢が継続した時間と、動作内容とが関連付けられている。本明細書における「同じ姿勢」は、完全に同一の姿勢に限られず、バケット21が振動していたり、バケット21が微量しか動いていなかったり、バケット21が土砂Tの反力に押し負けてアーム22が伸びるにつれてバケット21が回転してしまったりすることで、土をすくい取れない状態が継続している状態も含む。
【0036】
図4は、動作内容データの他の例を示す図である。図4に示す動作内容データにおいては、油圧と、バケット21がすくった土の量と、バケット21の角度と、動作内容とが関連付けられている。動作内容データにおいて、アーム22の長さがさらに関連付けられていてもよい。CPU13がこれらの動作内容データを参照して実行する動作の詳細については後述する。
【0037】
記憶部12は、掘削装置2が掘削するための動作の目標を示すデータをさらに記憶してもよい。目標を示すデータは、例えば、掘削装置2が作業をする空間における水平方向の目標位置を示すデータ、又は水平方向の位置それぞれにおいて目標とする掘削深度を示すデータである。
【0038】
続いてCPU13について説明する。CPU13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、油圧取得部131、姿勢データ取得部132、土量取得部133及び制御部134として機能する。
【0039】
油圧取得部131は、通信部11を介して、掘削装置2のバケット21を駆動するための油圧を取得する。油圧取得部131は、取得した油圧を制御部134に通知する。
【0040】
姿勢データ取得部132は、通信部11を介して、掘削装置2の姿勢を示す姿勢データを取得する。姿勢データは、例えば、ブーム23に対するアーム22の角度、アーム22の長さ又はバケットシリンダー24の長さの少なくともいずれかを含む。姿勢データ取得部132は、取得した姿勢データを制御部134に通知する。
【0041】
土量取得部133は、バケット21が掘削した土の量を取得する。土量取得部133は、例えば掘削装置2に設けられた重量センサにより計測された土の量、又は掘削装置2若しくは掘削装置2が動作する空間内に設けられたLiDARによって取得された点群データを処理することにより計測された土の量を示すデータを取得する。土量取得部133は、取得した土の量を制御部134に通知する。なお、土の量の計測には、LiDAR以外の手段が用いられてもよく、LiDARとLiDAR以外の手段の両方が用いられてもよい。
【0042】
制御部134は、掘削装置2に制御データを送信することにより掘削装置2を制御する。制御部134は、油圧取得部131から通知された油圧、姿勢データ取得部132から通知された掘削装置2の姿勢、及び土量取得部133から通知された土の量の少なくともいずれかに基づいて、掘削装置2の動作内容を決定する。
【0043】
制御部134は、油圧取得部131が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、バケット21の位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する。閾値は、例えば図3におけるF1であり、スタックが発生していない状態では発生しないと想定される油圧である。スタックは、バケット21を駆動するための油圧を大きくしてもバケット21が動かない状態である。第1所定時間は、スタックが発生していない場合には油圧が閾値以上の状態が継続しないと想定される時間であり、例えば2秒である。
【0044】
制御部134は、油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合にスタックが発生したと判定する。この場合、制御部134は、スタックが発生した状態を解放するための動作を実行するようにバケット21を制御する。具体的には、制御部134は、バケット21の位置を浅くしたり、バケット21が掘削する水平方向の位置を変更したりするための変更制御データを掘削装置2に送信する。
【0045】
より具体的には、制御部134は、バケット21が結合されたアーム22に対するバケット21の角度であるバケット角度θを変更するための変更制御データを送信したり、バケット21が結合されたアーム22の角度又は長さを変更するための変更制御データを送信したりする。図1に示す例の場合、制御部134は、バケット角度θを小さくしたり、アーム22がレールRに近づくようにアーム22の角度又は長さを変更したりする。
【0046】
制御部134は、アーム22を短くするための変更制御データを送信してもよい。制御部134は、掘削装置2の水平方向の位置を変更するために、ブーム23に対するアーム22の角度を変更するための変更制御データを送信したり、レールRにおけるブーム23の位置を変更するための変更制御データを送信したりしてもよい。
【0047】
[油圧及び姿勢に基づく制御]
制御部134は、油圧取得部131が取得した油圧と掘削装置2の姿勢とに基づいて掘削装置2を制御してもよい。制御部134は、例えば、予め定められたバケットシリンダー24の長さとバケット角度θとの関係を示すデータを参照し、姿勢データが示すバケットシリンダー24の長さに対応するバケット角度θを特定することにより、掘削装置2の姿勢を特定する。
【0048】
一例として、制御部134は、油圧取得部131が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続し、かつ姿勢データが示す掘削装置2の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続した場合に、スタックが発生したと判定し、バケット21の位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する。第2所定時間は、スタックが発生していない場合、又は掘削装置2が故障していない場合に掘削装置2の姿勢が同一の状態が継続しないと想定される時間であり、例えば第1所定時間よりも長い3秒である。制御部134がこのように掘削装置2の姿勢を用いてスタックが発生したか否かを判定することで、油圧が閾値以上の状態でありながらも、少しずつ掘削方向にバケット21が動いている場合に、スタックが発生したと誤判定することを防げる。
【0049】
第2所定時間は、第1所定時間以下の1秒であってもよい。第2所定時間がこのように設定されていることで、バケット21が掘削している場所の土砂が硬いことによりバケット21の移動速度が徐々に低下し、油圧が閾値以上になってからバケット21が動かなくなった場合に、第1所定時間が経過した時点で、制御部134が速やかに掘削装置2をスタック状態から解放することができる。第2所定時間は、固定された時間であってもよく、掘削装置2が掘削する土砂Tの特性に基づいて掘削装置2のユーザにより設定された時間であってもよい。
【0050】
制御部134は、油圧取得部131が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続し、かつ姿勢データが示す掘削装置2の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続したことに加えて、鉛直方向におけるバケット21の掘削位置が基準位置よりも浅いことを条件として、スタックが発生したと判定してもよい。この場合、制御部134は、バケット21が掘削する水平方向の位置を変更したり、掘削装置2の動作を停止させたりするための変更制御データを掘削装置2に送信する。制御部134は、異常な状態が発生したことをディスプレイに表示したり、掘削装置2の管理者が使用する情報端末に警報データを送信したりしてもよい。
【0051】
掘削装置2の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続したとしても、スタックの状態が解放されて油圧が下がるという場合がある。このような場合に掘削装置2が土砂Tを掘削することができるように、制御部134は、姿勢データが示す掘削装置2の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続し、かつ油圧取得部131が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間未満の間継続した後に閾値未満の状態に変化した場合に、油圧が閾値以上の状態(例えば、許容される最大値)になるようにするための制御データを出力してもよい。
【0052】
ただし、油圧が閾値以上に達していないにもかかわらず掘削装置2の姿勢が長時間にわたって変化していないという場合、掘削装置2に故障が発生しているというおそれがある。そこで、制御部134は、姿勢データが示す掘削装置2の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続し、かつ油圧取得部131が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間未満しか継続していない場合に、変更制御データを掘削装置2に送信することなく変更制御データ以外のデータを出力してもよい。変更制御データ以外のデータは、例えば掘削装置2の管理者に通知する警告データ、又は掘削装置2に搭載された警告灯を点滅させるためのデータである。
【0053】
制御部134は、油圧が閾値以上の状態が第1所定時間未満の間継続した後に閾値未満の状態に変化した場合、油圧を閾値以上の状態になるようにするための変更制御データを出力した後にも掘削装置2の姿勢が変化しないことを条件として、変更制御データ以外の警告データ等を出力してもよい。制御部134がこのように動作することで、油圧が閾値未満になった後に油圧を変化させることに応じて掘削装置2の姿勢が変化するかどうかを試してから故障しているか否かを判定できるので、故障していると誤判定する確率を下げることができる。
【0054】
制御部134は、図3に示す動作内容データを参照して、通知された油圧及び姿勢に対応する動作内容を決定してもよい。すなわち、制御部134は、油圧取得部131が取得した油圧と、姿勢データ取得部が取得した姿勢データに対応する姿勢との組み合わせに動作内容データにおいて関連付けられた動作内容に対応する変更制御データを掘削装置2に送信する。動作内容データに、掘削装置2に実行させる動作内容として、バケット21が移動する軌道を示すデータが含まれている場合、制御部134は、動作内容データにおいて組み合わせに関連付けられた軌道でバケット21を移動させるための変更制御データを掘削装置2に送信してもよい。
【0055】
具体的には、制御部134は、油圧が油圧閾値(F1)以上でありながらも、掘削装置2の姿勢が第2所定時間(T2)以内に変化している場合には、掘削装置2が正常に動作していると判定して、掘削装置2に動作を継続させる。この場合、制御部134は、例えば掘削装置2に土砂Tを掘削させるための制御データを定期的に送信する。制御部134は、油圧が油圧閾値(F1)以上の状態が第1所定時間(T1)以内しか継続していないながらも、姿勢が変化していない状態が第2所定時間(T2)以上継続している場合、警告データを出力する。
【0056】
制御部134は、油圧が油圧閾値(F1)以上の状態が第1所定時間(T1)以上継続し、かつ姿勢が変化しない状態が第2所定時間(T2)以上継続している場合、スタックが発生したと判定し、例えばバケット21が移動する軌道を浅くするための変更制御データを掘削装置2に送信する。動作内容データに、油圧と姿勢の状態によって異なる軌道が関連付けられている場合、制御部134は、油圧と姿勢の状態に対応する軌道でバケット21を移動させるための変更制御データを掘削装置2に送信する。
【0057】
制御部134は、油圧が油圧閾値(F1)未満であり、かつ姿勢に変化が生じている間は、正常な状態であると判定して、掘削装置2に動作を継続させる。制御部134は、油圧が油圧閾値(F1)未満でありながらも、姿勢が変化していない状態が第2所定時間(T2)以上継続している場合、警告データを出力する。
【0058】
[油圧及び土量に基づく制御]
スタックが発生しておらず、バケット21がすくった土の量が少ないという場合がある。このような場合には、掘削できる土砂がある位置に掘削装置2がないという状況、又は掘削装置2が故障している状況が発生した可能性がある。そこで、制御部134は、油圧取得部131が取得した油圧が油圧閾値(F1)未満であり、かつ土量取得部133が取得した量が土量基準量未満である場合に、変更制御データを掘削装置2に送信する。基準量は、土を掘削できる位置で掘削装置2が掘削動作をしている場合にバケット21がすくうことができると想定される土の量である。
【0059】
制御部134は、例えば記憶部12に記憶された、図4に示す動作内容データに基づいて、油圧及び土量に基づく掘削装置2の制御を実行する。油圧が油圧閾値(F1)未満であり、土量が土量基準値(V1)以上である場合、制御部134は、掘削装置2が正常に土砂Tを掘削できていると判定して、掘削装置2に掘削動作を継続させる。油圧が油圧閾値(F1)未満であり、土量が土量基準値(V1)未満であり、バケット角度θが角度限界値(A1)に達していない場合、より深くバケット21を土砂Tに差し込むことができるように、制御部134は、バケット角度θを小さくするための変更制御データを掘削装置2に送信する。角度限界値(A1)は、例えば図1に示すバケット角度θの最小値である。制御部134は、より深くバケット21を土砂Tに差し込むことができるように、アーム22を長くするための変更制御データを掘削装置2に送信してもよい。
【0060】
油圧が油圧閾値(F1)未満であり、土量が土量基準値(V1)未満であり、バケット角度θが角度限界値(A1)に達している場合、制御部134は、掘削装置2の位置においてバケット21がこれ以上土砂Tを掘削することができないと判定して、掘削装置2の水平方向の掘削位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する。制御部134は、バケット角度θ及びアーム22の長さが限界値に達していることを条件として、掘削装置2の水平方向の掘削位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信してもよい。
【0061】
油圧が油圧閾値(F1)以上であり、土量が土量基準値(V1)以上である場合、制御部134は掘削装置2が正常に動作していると判定して、掘削装置2に掘削動作を継続させる。ただし、制御部134は、掘削装置2の姿勢と図3に示した動作内容データとに基づいて掘削動作を継続させるべきでないと判定した場合、油圧と姿勢との組み合わせに対応する動作を実行してもよい。
【0062】
油圧が油圧閾値(F1)以上であり、土量が土量基準値(V1)未満である場合、バケット21が掘削している深さに硬い岩盤があると判定して、バケット21の軌道が浅くなるようにするための変更制御データを掘削装置2に送信する。制御部134は、バケット21の角度を変更してもよく、バケットシリンダー24又はアームシリンダー25のいずれかを短くすることによりバケット21の軌道が浅くなるようにしてもよい。
【0063】
[油圧、姿勢及び土量に基づく制御]
制御部134は、油圧と、掘削装置2の姿勢と、土量とに基づいて掘削装置2を制御してもよい。制御部134は、例えば、土量が土量基準値(V1)未満であり、かつ油圧及び姿勢の継続時間に基づいてスタックが発生しないと判定した場合に、次の掘削軌道を深くしてもよい。
【0064】
すなわち、制御部134は、土量が土量基準値(V1)未満であり、かつ油圧取得部131が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続していない場合、又は姿勢データが示す掘削装置2の姿勢が同一の状態で第2所定時間以上継続していない場合に、バケット角度θを小さくすることにより掘削軌道を深くする。制御部134は、アーム22の角度を変更することにより掘削軌道を深くしてもよい。逆に、制御部134は、アーム22の角度を変えて掘削軌道を浅くしてもよい。このように制御部134が動作することで、スタックが発生していない状態における掘削効率を高めることができる。
【0065】
[掘削深度に基づく制御]
制御部134は、バケット21が掘削している深さ(すなわち掘削深度)に基づいて掘削装置2を制御してもよい。一例として、制御部134は、バケット21が目標の掘削深度に到達した場合に、水平方向におけるバケット21の掘削位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する。
【0066】
具体的には、制御部134は、まず、姿勢データが示すアーム22に対するバケット21の角度、及びブーム23に対するアーム22の角度と、バケット21のサイズと、アーム22の長さと、ブーム23のサイズと、に基づいて、レールRからバケット21の先端までの鉛直方向の距離dを掘削深度として特定する。制御部134は、特定した掘削深度が、記憶部12に記憶されている目標深度未満である場合は、掘削深度を大きくするための変更制御データを掘削装置2に送信する。制御部134は、特定した掘削深度が、記憶部12に記憶されている目標深度に達している場合、同じ位置で掘削を継続するべきではないと判定し、レールRに沿ってブーム23の位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する。
【0067】
制御部134は、油圧と掘削装置2の姿勢とに基づいてスタックが発生していないと判定した場合には、目標の掘削深度に達するまで同じ位置でバケット21に掘削を継続させてもよい。また、制御部134は、油圧と掘削装置2の姿勢とに基づいてスタックが発生していると判定した時点でバケット21が目標深度に達していることを条件として、掘削装置2の水平方向の位置を変更するようにしてもよい。制御部134がこのように動作することで、スタックが発生していない状態においてはバケット21ができるだけ深く掘り下げて、スタックが発生した状態においては掘削装置2が掘削する水平方向の位置を変更することができるので、掘削効率が向上する。
【0068】
[制御装置1における処理の流れ]
図5から図7は、制御装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図5は、制御部134が油圧と姿勢データとに基づいて掘削装置2を制御する処理のフローチャートである。図5に示すフローチャートは、掘削装置2が掘削を開始する時点から開始している。
【0069】
油圧取得部131は、例えばバケットシリンダー24及びアームシリンダー25を駆動するための油圧を定期的に取得する(S11)。また、姿勢データ取得部132は、例えば掘削装置2の各部の姿勢を示す姿勢データを定期的に取得する(S12)。
【0070】
制御部134は、油圧取得部131が油圧を取得するたびに、油圧が油圧閾値(F1)以上の状態が第1所定時間(T1)以上継続しているか否かを判定する(S13)。制御部134は、油圧が油圧閾値(F1)以上の状態が第1所定時間(T1)以上継続していると判定した場合(S13においてYES)、同じ姿勢が第2所定時間(T2)以上継続しているか否かを判定する(S14)。制御部134は、同じ姿勢が第2所定時間(T2)以上継続していると判定した場合(S14においてYES)、スタック状態を解放するための処理を実行する(S15)。制御部134は、同じ姿勢が第2所定時間(T2)以上継続していないと判定した場合(S14においてNO)、S13に戻る。
【0071】
スタック解放処理を実行した結果、油圧又は掘削装置2の姿勢の少なくともいずれかの状況に変化があった場合(S16においてYES)、制御部134は、スタック状態が解放されたと判定してS11に戻る。油圧及び掘削装置2の姿勢のいずれの状態も変化していない場合(S16においてNO)、制御部134は、警告データを出力してから(S17)、掘削装置2の水平位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する(S18)。
【0072】
制御部134は、S13において油圧が油圧閾値(F1)未満であると判定した場合(S13においてNO)、同じ姿勢が第2所定時間(T2)以上継続しているか否かを判定する(S19)。同じ姿勢が第2所定時間(T2)以上継続している場合(S19においてYES)、制御部134は、油圧を大きくするように油圧の指示値を変更してS13に戻る(S20)。同じ姿勢が第2所定時間(T2)以上継続していない場合(S19においてNO)、制御部134は、同じ姿勢が第2所定時間(T2)以上継続するまで待機する。制御装置1は、掘削装置2の制御を終了する指示を受けるまでの間(S21においてNO)、S11からS20までの処理を繰り返す。
【0073】
図6は、スタック解放処理(S15)の流れを示すフローチャートである。制御部134は、バケット角度θを小さくするように変更可能か否かを判定する(S151)。制御部134は、例えば、バケット角度θが角度限界値(A1)(図1の例では最小値)に達していない場合に、バケット角度θを小さくすることができると判定する。
【0074】
制御部134は、バケット角度θを小さくするように変更できると判定した場合(S151においてYES)、バケット21を土砂Tから引き抜けるようにバケット角度θを小さくするための変更制御データを送信する(S152)。続いて、制御部134は、バケット角度θを大きくするための変更制御データを送信することにより、バケット21を再度土砂Tに差し込む(S153)。
【0075】
制御部134は、バケット角度θを小さくすることができないと判定した場合(S151においてNO)、アームシリンダー25を短くしてアーム22の角度を変更することが可能であるか否かを判定する(S154)。制御部134は、アーム22の角度を変更できると判定した場合(S154においてYES)、浅い軌道でバケット21が土砂Tに差し込まれるように、アームシリンダー25を短くすることでアーム22の角度を変更する(S155)。S154において、アーム22の角度を変更することができないと判定した場合(S154においてNO)、処理を終了してS16に進む。
【0076】
図7は、制御部134が油圧と土量とに基づいて掘削装置2を制御する処理のフローチャートである。油圧取得部131は、例えば定期的にバケットシリンダー24及びアームシリンダー25を駆動するための油圧を取得する(S31)。また、土量取得部133は、例えば定期的に土量データを取得する(S32)。
【0077】
制御部134は、油圧が油圧閾値(F1)未満であると判定した場合(S33においてYES)、土量が土量基準値(V1)未満であるか否かを判定する(S34)。制御部134は、土量が土量基準値(V1)未満であると判定した場合(S34においてYES)、バケット21、アーム22及びブーム23の角度(以下、「各部の角度」という)が限界値に達しているか否かを判定する(S35)。制御部134は、例えば、バケット角度θが角度限界値(A1)(図1の例では最小値)に達しているとともに、アーム22及びブーム23の関節の角度も限界値に達しているか否かを判定する。制御部134は、土量が土量基準値(V1)以上であると判定した場合(S34においてNO)、S31に戻る。
【0078】
各部の角度が限界値に達している場合(S35においてYES)、制御部134は、掘削装置2の水平方向における位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する(S36)。各部の角度のうちいずれかの角度が限界値に達していない場合(S35においてNO)、制御部134は、より深く掘削できるように各部の角度の少なくともいずれかを変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する(S37)。制御部134は、例えば管理者から掘削を終了する指示を受けるまでの間(S38においてNO)、S31からS39までを繰り返す。
【0079】
制御部134は、S33において油圧が油圧閾値(F1)以上であると判定した場合(S33においてNO)、土量が土量基準値(V1)未満であるか否かを判定する(S39)。制御部134は、土量が土量基準値(V1)未満であると判定した場合(S39においてYES)、図5のS14に処理を進める。制御部134は、土量が土量基準値(V1)以上であると判定した場合(S39においてNO)、S31に戻る。
【0080】
[制御装置1による効果]
以上説明したように、制御部134は、油圧取得部131が取得した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、スタックが発生したと判定し、バケット21の位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する。制御部134がこのように動作することで、制御装置1は、掘削反力の算出値によらず掘削装置2を制御することができるようになる。
【0081】
さらに、制御部134は、掘削装置2の姿勢が第2所定時間以上継続していることを条件としてスタックが発生したと判定することで、誤判定の確率を下げることができる。このように掘削装置2の姿勢を利用する制御装置1は、掘削反力を受けても掘削装置2の傾きが変化しないケーソンショベルタイプの掘削装置2に好適である。
【0082】
[変形例]
以上の説明においては、制御装置1が掘削装置2と異なる場所に設けられたコンピュータである場合を例示したが、掘削装置2が制御装置1の機能を内蔵しており、掘削装置2が自動制御により土砂Tを掘削してもよい。すなわち、掘削装置2が有するプロセッサは、油圧発生部に制御データを送信することによりバケット21を制御する制御部134と同等の処理を実行する。一例として、掘削装置2が有するプロセッサは、油圧発生部が発生した油圧が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、掘削部の位置を変更するための変更制御データを油圧発生部に送信する。
【0083】
また、以上の説明においては、制御装置1が掘削装置2を自動制御する場合を例示したが、オペレータが制御装置1を操作することができ、制御装置1が制御の一部をオペレータの操作に基づいて実行してもよい。
【0084】
また、以上の説明においては、掘削装置2が油圧により動作したが、掘削装置2は油圧に代えて、又は油圧とともに、電動機が発生した駆動力により動作するように構成されていてもよい。この場合、制御装置1は、油圧取得部131に代えて、掘削装置が土を掘削する掘削部を駆動するための駆動力を発生する電動機が発生している駆動力の大きさを示す駆動力値を取得する取得部を有し、制御部134は、取得部が取得した駆動力値が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、掘削部の位置を変更するための変更制御データを掘削装置2に送信する。そして、制御装置1は、以上の説明における油圧を駆動力値に代えて同等の方法により掘削装置2を制御することができる。なお、駆動力値は、例えば電動機に与えられている電圧又は電流を示す値であってもよく、電動機から出力される駆動力を示す値であってもよい。
【0085】
また、掘削装置2は、油圧発生部に代えて、掘削部を駆動するための電動機と、電動機に制御データを送信することにより掘削部を制御する制御部と、を有しており、当該制御部は、電動機が発生した駆動力が閾値以上の状態が第1所定時間以上継続した場合に、掘削部の位置を変更するための変更制御データを電動機に送信してもよい。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0087】
1 制御装置
2 掘削装置
11 通信部
12 記憶部
21 バケット
22 アーム
23 ブーム
24 バケットシリンダー
25 アームシリンダー
131 油圧取得部
132 姿勢データ取得部
133 土量取得部
134 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7