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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166645
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体循環方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/18 20060101AFI20241122BHJP
   B41J 2/045 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B41J2/18
B41J2/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082863
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】米田 翔吾
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB38
2C056EC17
2C056EC19
2C056EC21
2C056EC32
2C056HA05
2C056HA11
2C056KB16
2C056KC02
2C056KC16
2C056KC20
2C057AF72
2C057AG44
2C057AM31
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑制しつつ、吐出口の液面の乾燥を抑制可能な液体吐出装置、及び液体循環方法を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、ノズル30Aから加圧室30Bに収容されたインクを吐出させる吐出部36と、ノズル30Aよりも下側で前記インクを収容するインク収容空間81Aを有し、インク収容空間81Aに収容された前記インクの水面F1よりも上側の空間が大気に連通するサブインクタンク81と、ノズル30Aに対してサブインクタンク81に収容された前記インクの水面F1を下降させる下降処理部と、前記インクの水面F1が下降された後に、吐出部36を経由する循環経路R21に沿って前記インクを循環させる循環処理部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する第1収容空間を有し、前記第1収容空間に連通する吐出口から前記第1収容空間に収容された前記液体を吐出させる吐出部と、
前記吐出口よりも下側で前記吐出部に供給される前記液体を収容する第2収容空間を有し、前記第2収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側の空間が大気に連通する収容部と、
前記吐出口に対して前記収容部に収容された前記液体の水面を下降させる下降処理部と、
前記下降処理部によって前記液体の水面が下降された後に、前記吐出部を経由する循環経路に沿って前記液体を循環させる循環処理部と、
を備える液体吐出装置。
【請求項2】
前記収容部を昇降させる昇降部を備え、
前記下降処理部は、前記昇降部を用いて前記液体の水面を下降させる、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記収容部に収容された前記液体の一部を吸い上げる吸い上げ部を備え、
前記下降処理部は、前記吸い上げ部を用いて前記液体の水面を下降させる、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体の温度を検出する検出処理部と、
前記検出処理部による検出結果に基づいて、前記下降処理部による前記液体の水面の下降量を設定する設定処理部と、
を備え、
前記下降処理部は、前記設定処理部による設定結果に従って前記液体の水面を下降させる、
請求項1~3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記下降処理部は、直前の前記吐出部による前記液体の吐出時からの経過時間が予め定められた基準時間を超える場合に、前記液体の水面を下降させ、
前記循環処理部は、直前の前記吐出部による前記液体の吐出時からの経過時間が前記基準時間を超える場合に、前記循環経路に沿って前記液体を循環させる、
請求項1~3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
液体を収容する第1収容空間を有し、前記第1収容空間に連通する吐出口から前記第1収容空間に収容された前記液体を吐出させる吐出部と、前記吐出口よりも下側で前記吐出部に供給される前記液体を収容する第2収容空間を有し、前記第2収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側の空間が大気に連通する収容部と、を備える液体吐出装置で実行される液体循環方法であって、
前記吐出口に対して前記収容部に収容された前記液体の水面を下降させる下降ステップと、
前記下降ステップによって前記液体の水面が下降された後に、前記吐出部を経由する循環経路に沿って前記液体を循環させる循環ステップと、
を含む液体循環方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び液体循環方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置は、インクを吐出する吐出部を備える。前記吐出部は、前記インクを収容する収容空間を有し、前記収容空間に連通する吐出口から前記収容空間に収容された前記インクを吐出させる。また、前記吐出口に形成される前記インクの液面の乾燥を抑制するために、前記収容空間を膨張させて前記吐出口の前記インクを前記収容空間に吸引し、その上で前記収容空間を経由する循環経路に沿って前記インクを循環させるインクジェット記録装置が関連技術として知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-194750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記関連技術に係るインクジェット記録装置では、前記吐出口の前記インクを前記収容空間に吸引した状態を継続させるために、前記収容空間の膨張及び収縮に用いられる圧電素子に対して継続的に電力を供給する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、消費電力を抑制しつつ、吐出口の液面の乾燥を抑制可能な液体吐出装置、及び液体循環方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る液体吐出装置は、吐出部と、収容部と、下降処理部と、循環処理部とを備える。前記吐出部は、液体を収容する第1収容空間を有し、前記第1収容空間に連通する吐出口から前記第1収容空間に収容された前記液体を吐出させる。前記収容部は、前記吐出口よりも下側で前記吐出部に供給される前記液体を収容する第2収容空間を有し、前記第2収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側の空間が大気に連通する。前記下降処理部は、前記吐出口に対して前記収容部に収容された前記液体の水面を下降させる。前記循環処理部は、前記下降処理部によって前記液体の水面が下降された後に、前記吐出部を経由する循環経路に沿って前記液体を循環させる。
を備える
【0007】
本発明の他の局面に係る液体循環方法は、液体を収容する第1収容空間を有し、前記第1収容空間に連通する吐出口から前記第1収容空間に収容された前記液体を吐出させる吐出部と、前記吐出口よりも下側で前記吐出部に供給される前記液体を収容する第2収容空間を有し、前記第2収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側の空間が大気に連通する収容部と、を備える液体吐出装置で実行され、下降ステップと、循環ステップとを含む。前記下降ステップでは、前記吐出口に対して前記収容部に収容された前記液体の水面が下降される。前記循環ステップでは、前記下降ステップによって前記液体の水面が下降された後に、前記吐出部を経由する循環経路に沿って前記液体が循環される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消費電力を抑制しつつ、吐出口の液面の乾燥を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の画像形成部、及び搬送ユニットの構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッド、インク供給部、及びインク循環部の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行されるインク循環処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の他の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[画像形成装置100の構成]
まず、図1図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、図1は、画像形成装置100の構成を示す断面図である。また、図2は画像形成部3、及び搬送ユニット4の構成を示す平面図である。なお、図1では、シート搬送経路R11が二点鎖線によって示されている。
【0012】
画像形成装置100は、インクジェット方式でシートに画像を形成可能なプリンターである。なお、本発明は、インクジェット方式でシートに画像を形成可能なファクス装置、コピー機、及び複合機などの画像形成装置に適用されてもよい。
【0013】
図1、及び図3に示されるように、画像形成装置100は、筐体1、シート搬送部2、画像形成部3、搬送ユニット4、操作表示部5、記憶部6、制御部7、インク供給部8、及びインク循環部9を備える。
【0014】
筐体1は、画像形成装置100の各構成要素を収容する。筐体1には、給紙カセット11が着脱可能に設けられる。給紙カセット11には、画像が形成されるシートが収容される。筐体1の外側面には、排紙トレイ12が設けられる。排紙トレイ12には、画像形成部3によって画像が形成されたシートが排出される。筐体1の内部では、給紙カセット11に収容されたシートが、画像形成部3による画像形成位置を経由して排紙トレイ12に至るシート搬送経路R11(図1参照)に沿って搬送される。
【0015】
シート搬送部2は、給紙カセット11に収容されたシートを、シート搬送経路R11(図1参照)に沿って搬送する。図1に示されるように、シート搬送部2は、ピックアップローラー21、及び複数の搬送ローラー22を備える。ピックアップローラー21は、給紙カセット11に収容されたシート束における最上層のシートを取り出して、当該シートをシート搬送経路R11に送り出す。複数の搬送ローラー22は、シート搬送経路R11に沿って並んで設けられる。搬送ローラー22各々は、シートをシート搬送経路R11に沿って搬送する。搬送ローラー22各々は、シートを給紙カセット11から排紙トレイ12へ向かう搬送方向D11(図1参照)へ搬送する。
【0016】
画像形成部3は,シート搬送部2から供給されるシートに画像データに基づく画像を形成する。図1に示されるように、画像形成部3は、ラインヘッド31~34、及びヘッドフレーム35を備える。
【0017】
図2に示されるように、ラインヘッド31~34各々は、搬送方向D11に直交する幅方向D12に長尺である。具体的に、ラインヘッド31~34各々は、幅方向D12において、給紙カセット11に収容可能なシートのうち最大サイズのシートの幅に対応する長さを有する。ラインヘッド31~34各々は、搬送方向D11に沿って等間隔で並んで設けられる。
【0018】
図2に示されるように、ラインヘッド31~34各々は、複数の記録ヘッド30を有する。記録ヘッド30は、搬送ユニット4によって搬送されるシートへ向けてインクを吐出する。具体的に、記録ヘッド30におけるシートとの対向面には、前記インクの吐出に用いられる多数のノズル30A(図2参照)が設けられている。ラインヘッド31に設けられる記録ヘッド30各々は、ブラックの前記インクを吐出する。ラインヘッド32に設けられる記録ヘッド30各々は、シアンの前記インクを吐出する。ラインヘッド33に設けられる記録ヘッド30各々は、マゼンタの前記インクを吐出する。ラインヘッド34に設けられる記録ヘッド30各々は、イエローの前記インクを吐出する。
【0019】
本実施形態では、ラインヘッド31は、幅方向D12に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。また、他のラインヘッド32~34各々も、ラインヘッド31と同様に、幅方向D12に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。なお、図2には、画像形成部3を図1の上側から見た状態が示されている。
【0020】
ヘッドフレーム35は、ラインヘッド31~34を支持する。ヘッドフレーム35は、筐体1によって支持されている。なお、画像形成部3の備えるラインヘッドの数は、1を含む任意の数であってよい。また、ラインヘッド31~34各々に設けられる記録ヘッド30の数は、任意の数であってよい。
【0021】
図1に示されるように、搬送ユニット4は、ラインヘッド31~34の下方に配置される。搬送ユニット4は、シートを記録ヘッド30に対向させつつ搬送する。例えば、搬送ユニット4は、記録ヘッド30によって前記インクの吐出が行われるごとに、シートを予め定められた搬送量だけ搬送する。また、搬送ユニット4は、記録ヘッド30による前記インクの吐出が行われている間は、シートの搬送を停止する。図1に示されるように、搬送ユニット4は、シートが載置される搬送ベルト41と、搬送ベルト41を張架する第1張架ローラー42、第2張架ローラー43、及び第3張架ローラー44と、これらを支持する搬送フレーム45とを備える。なお、搬送ベルト41と記録ヘッド30との間隙は、画像形成時のシートの表面と記録ヘッド30との間隙が所定の距離(例えば1mm)となるように調整される。
【0022】
第1張架ローラー42は、不図示のモーターから供給される回転駆動力により回転駆動される。これにより、搬送ベルト41は、シートを搬送方向D11(図1参照)へ搬送可能な方向に回動する。なお、搬送ユニット4には、シートを搬送ベルト41に吸着させるべく、搬送ベルト41に形成された多数の貫通孔から吸気を行う吸引ユニット(不図示)なども設けられている。また、第1張架ローラー42の上側には、シートを搬送ベルト41に押しつけて搬送させるための圧ローラー46が設けられている。
【0023】
操作表示部5は、制御部7からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部7に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。操作表示部5は、筐体1の上面に設けられる。
【0024】
記憶部6は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部6は、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである。
【0025】
制御部7は、画像形成装置100を統括的に制御する。図3に示されるように、制御部7は、CPU7A、ROM7B、及びRAM7Cを備える。CPU7Aは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM7Bは、CPU7Aに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM7Cは、CPU7Aが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性、又は不揮発性の記憶装置である。CPU7Aは、ROM7Bに予め格納された各種の制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100を統括的に制御する。なお、制御部7は、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。また、制御部7は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよい。
【0026】
[記録ヘッド30、インク供給部8、インク循環部9の構成]
次に、図3、及び図4を参照しつつ、記録ヘッド30、インク供給部8、及びインク循環部9の構成について説明する。なお、図4では、前記インクの水面F1が一点鎖線によって示されている。また、図4では、循環経路R21が二点鎖線によって示されている。
【0027】
図4に示されるように、記録ヘッド30は、ノズル30A各々に対応する加圧室30B、圧電素子30C、第1個別流路30D、及び第2個別流路30Gを備える。また、記録ヘッド30は、複数のノズル30Aに共通の第1共通流路30E、連通流路30F、及び第2共通流路30Hを備える。
【0028】
加圧室30Bは、ノズル30Aに連通しており、前記インクを収容する。圧電素子30Cは、予め定められた駆動電圧の印加に応じてノズル30Aから前記インクを吐出させる。具体的に、圧電素子30Cは、前記駆動電圧の印加に応じて加圧室30Bの壁面を振動させることにより、ノズル30Aから前記インクを吐出させる。
【0029】
ノズル30A、加圧室30B、及び圧電素子30Cは、前記インクを吐出する吐出部36(図4参照)を構成する。吐出部36は、前記インク(本発明の液体の一例)を収容する加圧室30B(本発明の第1収容空間の一例)を有し、加圧室30Bに連通するノズル30A(本発明の吐出口の一例)から加圧室30Bに収容された前記インクを吐出させる。
【0030】
第1個別流路30Dは、加圧室30Bと第1共通流路30Eとの間に設けられるインク流路である。第1共通流路30Eには、複数のノズル30Aに対応する複数の第1個別流路30Dが接続される。連通流路30Fは、インク供給部8の供給流路82と第1共通流路30Eとを連通するインク流路である。
【0031】
第2個別流路30Gは、加圧室30Bと第2共通流路30Hとの間に設けられるインク流路である。第2共通流路30Hには、複数のノズル30Aに対応する複数の第2個別流路30Gが接続される。
【0032】
インク供給部8は、記録ヘッド30に前記インクを供給する。インク供給部8は、記録ヘッド30ごとに設けられる。
【0033】
図4に示されるように、インク供給部8は、サブインクタンク81、供給流路82、及び第1ポンプ83を備える。
【0034】
サブインクタンク81は、ノズル30Aよりも下側で吐出部36に供給される前記インクを収容するインク収容空間81A(図4参照)(本発明の第2収容空間の一例)を有し、インク収容空間81Aに収容された前記インクの水面F1(図4参照)よりも上側の空間が大気に連通する。サブインクタンク81は、本発明の収容部の一例である。
【0035】
サブインクタンク81には、不図示のインクコンテナから前記インクが供給される。例えば、サブインクタンク81には、インク収容空間81Aに収容された前記インクの水位を検出する水位センサーが設けられている。制御部7は、前記水位センサーによる検出結果に基づいて、インク収容空間81Aに収容された前記インクの水位が予め定められた基準水位となるように、前記インクコンテナからサブインクタンク81への前記インクの供給を制御する。これにより、鉛直方向における、ノズル30Aとインク収容空間81Aに収容された前記インクの水面F1との距離が一定に保たれる。
【0036】
例えば、サブインクタンク81に供給される前記インクは、主溶媒が水の水性インクである。なお、前記インクは、主溶媒が有機溶剤などの非水系インクなどであってもよい。
【0037】
なお、画像形成装置100は、サブインクタンク81を備えていなくてもよい。つまり、記録ヘッド30は、前記インクコンテナから直接前記インクの供給を受けてもよい。この場合、前記インクコンテナが、本発明の収容部であればよい。
【0038】
供給流路82は、サブインクタンク81と記録ヘッド30との間に設けられるインク流路である。供給流路82は、可撓性を有する素材により形成される。例えば、供給流路82は、樹脂製のチューブである。
【0039】
第1ポンプ83は、供給流路82に設けられる。第1ポンプ83は、供給流路82内の前記インクを記録ヘッド30へ向かう流動方向D21(図4参照)へ流動させる。
【0040】
インク循環部9は、吐出部36を経由する循環経路R21(図4参照)に沿って前記インクを循環させる。
【0041】
図3、及び図4に示されるように、インク循環部9は、循環流路91、第2ポンプ92、及び温度センサー93を備える。
【0042】
循環流路91は、記録ヘッド30の第1共通流路30Eから記録ヘッド30の外部を経由して記録ヘッド30の第2共通流路30Hに至るインク流路である。吐出部36と、第1個別流路30Dと、第1共通流路30Eと、循環流路91と、第2共通流路30Hと、第2個別流路30Gとで、吐出部36を経由する循環経路R21(図4参照)が構成される。なお、本発明の循環経路は、サブインクタンク81を経由するように構成されていてもよい。
【0043】
第2ポンプ92は、循環流路91に設けられる。第2ポンプ92は、循環流路91内の前記インクを図4に示される流動方向D22(図4参照)へ流動させる。
【0044】
温度センサー93は、循環流路91に設けられ、循環流路91内を流動する前記インクの温度を検出する。なお、温度センサー93は、記録ヘッド30内に設けられていてもよい。また、温度センサー93は、供給流路82に設けられていてもよい。
【0045】
ところで、ノズル30Aに形成される前記インクの液面の乾燥を抑制するために、加圧室30Bを膨張させてノズル30A内の前記インクを加圧室30Bに吸引し、その上で循環経路R21に沿って前記インクを循環させるインクジェット記録装置が関連技術として知られている。
【0046】
しかしながら、前記関連技術に係るインクジェット記録装置では、ノズル30A内の前記インクを加圧室30Bに吸引した状態を継続させるために、加圧室30Bの膨張及び収縮に用いられる圧電素子30Cに対して継続的に電力を供給する必要がある。
【0047】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、以下に説明するように、消費電力を抑制しつつ、ノズル30Aに形成される前記インクの液面の乾燥を抑制することが可能である。
【0048】
具体的に、図3に示されるように、インク供給部8は、昇降部84を備える。
【0049】
昇降部84は、サブインクタンク81を昇降させる。例えば、昇降部84は、サブインクタンク81の底面を支持する支持板84A(図4参照)と、支持板84Aを昇降させる昇降機構(不図示)とを備える。
【0050】
また、図3に示されるように、制御部7は、下降処理部71、循環処理部72、検出処理部73、及び設定処理部74を含む。画像形成部3と、制御部7と、インク供給部8と、インク循環部9とを備える装置が、本発明の液体吐出装置の一例である。
【0051】
具体的に、制御部7のROM7Bには、制御部7のCPU7Aを上述の各部として機能させるためのインク循環プログラムが予め格納されている。そして、制御部7のCPU7Aは、ROM7Bに格納された前記インク循環プログラムを実行することにより、上述の各機能部として機能する。なお、制御部7に含まれる一部、又は全部の機能部は、電子回路で構成されていてもよい。また、前記インク循環プログラムは、複数のプロセッサーを制御部7に含まれる各機能部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0052】
なお、以下で説明する制御部7の各機能部の処理は、記録ヘッド30ごとに実行される。
【0053】
下降処理部71は、ノズル30Aに対してサブインクタンク81に収容された前記インクの水面F1を下降させる。
【0054】
具体的に、下降処理部71は、昇降部84を用いて前記インクの水面F1を下降させる。
【0055】
また、下降処理部71は、直前の吐出部36による前記インクの吐出時からの経過時間が予め定められた基準時間を超える場合に、前記インクの水面F1を下降させる。前記基準時間は、前記インクの乾燥のしやすさに応じて設定されればよい。つまり、前記基準時間は、前記インクの乾燥のしやすさの程度が大きいほど、より短くなるように設定されればよい。
【0056】
ノズル30Aに対してサブインクタンク81に収容された前記インクの水面F1が下降することにより、ノズル30A内の前記インクの水圧(水頭圧)が低下する。そのため、ノズル30A内の前記インクが加圧室30Bに引き込まれる。
【0057】
なお、インク供給部8は、昇降部84に替えて、サブインクタンク81に収容された前記インクの一部を吸い上げる吸い上げ部85(図6参照)を備えていてもよい。例えば、吸い上げ部85は、サブインクタンク81に収容された前記インクを吸い上げるポンプと、前記ポンプによって吸い上げられた前記インクを一時的に収容するインク収容部と、サブインクタンク81から前記ポンプを経由して前記インク収容部まで前記インクを案内する案内流路と、を備える。この場合、下降処理部71は、吸い上げ部85を用いて前記インクの水面F1を下降させればよい。
【0058】
検出処理部73は、前記インクの温度を検出する。
【0059】
例えば、検出処理部73は、温度センサー93を用いて、前記インクの温度を検出する。
【0060】
設定処理部74は、検出処理部73による検出結果に基づいて、下降処理部71による前記インクの水面F1の下降量を設定する。
【0061】
例えば、画像形成装置100では、前記インクの温度と前記インクの水面F1の下降量との対応関係を示すテーブルデータが予め記憶部6に格納されている。前記インクの温度が低いほど、ノズル30Aに形成される前記インクの水面の表面張力が強くなる。表面張力が強くなると、ノズル30Aに形成される前記インクの水面が上昇しにくくなる。そのため、前記テーブルデータでは、前記インクの温度が低くなるほど、前記インクの水面F1の下降量が多くなるように、前記インクの温度と前記インクの水面F1の下降量との対応関係が定められている。
【0062】
例えば、前記テーブルデータでは、ノズル30Aに形成される前記インクの水面がノズル30Aの上端(ノズル30Aと加圧室30Bとの境界部分)に到達するように、前記インクの温度と前記インクの水面F1の下降量との対応関係が定められている。なお、前記テーブルデータでは、ノズル30Aに形成される前記インクの水面がノズル30Aの上端よりも下側に位置するように、前記インクの温度と前記インクの水面F1の下降量との対応関係が定められていてもよい。
【0063】
例えば、設定処理部74は、前記テーブルデータにおいて検出処理部73によって検出された前記インクの温度に対応付けられている前記インクの水面F1の下降量を、下降処理部71による前記インクの水面F1の下降量として設定する。
【0064】
ここで、下降処理部71は、設定処理部74による設定結果に従って、前記インクの水面F1を下降させる。これにより、前記インクの温度に関わらず、ノズル30Aに形成される前記インクの水面をノズル30Aの上端まで引き上げることが可能である。
【0065】
なお、下降処理部71は、前記インクの温度に関わらず、常に一定の下降量だけサブインクタンク81に収容された前記インクの水面F1を下降させてもよい。この場合、制御部7は、検出処理部73、及び設定処理部74を含んでいなくてもよい。
【0066】
循環処理部72は、下降処理部71によって前記インクの水面F1が下降された後に、吐出部36を経由する循環経路R21に沿って前記インクを循環させる。
【0067】
具体的に、循環処理部72は、第2ポンプ92を用いて、前記インクを循環経路R21に沿って循環させる。
【0068】
また、循環処理部72は、直前の吐出部36による前記インクの吐出時からの経過時間が前記基準時間を超える場合に、循環経路R21に沿って前記インクを循環させる。
【0069】
[インク循環処理]
以下、図5を参照しつつ、画像形成装置100において制御部7により実行されるインク循環処理の手順の一例とともに、本発明の液体循環方法について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、制御部7により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。例えば、前記インク循環処理は、直前の吐出部36による前記インクの吐出時からの経過時間が前記基準時間の倍数を超えるごとに実行される。
【0070】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部7は、前記インクの温度を検出する。ここで、ステップS11の処理は、制御部7の検出処理部73により実行される。
【0071】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部7は、ステップS11の処理による検出結果に基づいて、サブインクタンク81に収容された前記インクの水面F1の下降量を設定する。ここで、ステップS12の処理は、制御部7の設定処理部74により実行される。
【0072】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部7は、ステップS12の処理による設定結果に従って、ノズル30Aに対してサブインクタンク81に収容された前記インクの水面F1を下降させる。ここで、ステップS13の処理は、本発明の下降ステップの一例であって、制御部7の下降処理部71により実行される。
【0073】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部7は、ステップS13の処理によって前記インクの水面F1が下降された後に、吐出部36を経由する循環経路R21に沿って前記インクを循環させる。ここで、ステップS14の処理は、本発明の循環ステップの一例であって、制御部7の循環処理部72により実行される。
【0074】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部7は、ステップS14の処理の実行開始時から予め定められた循環時間が経過したか否かを判定する。
【0075】
ここで、制御部7は、前記循環時間が経過したと判定すると(S15のYes側)、処理をステップS16に移行させる。また、前記循環時間が経過していなければ(S15のNo側)、制御部7は、ステップS15で前記循環時間の経過を待ち受ける。
【0076】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部7は、循環経路R21に沿った前記インクの循環を停止させる。
【0077】
<ステップS17>
ステップS17において、制御部7は、ノズル30Aに対してサブインクタンク81に収容された前記インクの水面F1を上昇させる。具体的に、制御部7は、ステップS13の処理が実行される前の位置まで、前記インクの水面F1を上昇させる。
【0078】
このように、画像形成装置100では、ノズル30Aに対してサブインクタンク81に収容された前記インクの水面F1が下降されて、前記インクの水面F1の下降後に、吐出部36を経由する循環経路R21に沿って前記インクが循環される。これにより、圧電素子30Cを用いてノズル30A内の前記インクを加圧室30Bに吸引する構成と比較して、ノズル30A内の前記インクを加圧室30Bに吸引した状態を継続させるために、圧電素子30Cに対して継続的に電力を供給する必要がない。そのため、消費電力を抑制しつつ、ノズル30Aの前記インクの液面の乾燥を抑制することが可能である。
【0079】
なお、本発明の液体は、前記インクに限られず、被吐出対象の表面を覆うコーティング剤などであってもよい。
【0080】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0081】
<付記1>
液体を収容する第1収容空間を有し、前記第1収容空間に連通する吐出口から前記第1収容空間に収容された前記液体を吐出させる吐出部と、前記吐出口よりも下側で前記吐出部に供給される前記液体を収容する第2収容空間を有し、前記第2収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側の空間が大気に連通する収容部と、前記吐出口に対して前記収容部に収容された前記液体の水面を下降させる下降処理部と、前記下降処理部によって前記液体の水面が下降された後に、前記吐出部を経由する循環経路に沿って前記液体を循環させる循環処理部と、を備える液体吐出装置。
【0082】
<付記2>
前記収容部を昇降させる昇降部を備え、前記下降処理部は、前記昇降部を用いて前記液体の水面を下降させる、付記1に記載の液体吐出装置。
【0083】
<付記3>
前記収容部に収容された前記液体の一部を吸い上げる吸い上げ部を備え、前記下降処理部は、前記吸い上げ部を用いて前記液体の水面を下降させる、付記1に記載の液体吐出装置。
【0084】
<付記4>
前記液体の温度を検出する検出処理部と、前記検出処理部による検出結果に基づいて、前記下降処理部による前記液体の水面の下降量を設定する設定処理部と、を備え、前記下降処理部は、前記設定処理部による設定結果に従って前記液体の水面を下降させる、付記1~3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【0085】
<付記5>
前記下降処理部は、直前の前記吐出部による前記液体の吐出時からの経過時間が予め定められた基準時間を超える場合に、前記液体の水面を下降させ、前記循環処理部は、直前の前記吐出部による前記液体の吐出時からの経過時間が前記基準時間を超える場合に、前記循環経路に沿って前記液体を循環させる、付記1~4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【0086】
<付記6>
液体を収容する第1収容空間を有し、前記第1収容空間に連通する吐出口から前記第1収容空間に収容された前記液体を吐出させる吐出部と、前記吐出口よりも下側で前記吐出部に供給される前記液体を収容する第2収容空間を有し、前記第2収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側の空間が大気に連通する収容部と、を備える液体吐出装置で実行される液体循環方法であって、前記吐出口に対して前記収容部に収容された前記液体の水面を下降させる下降ステップと、前記下降ステップによって前記液体の水面が下降された後に、前記吐出部を経由する循環経路に沿って前記液体を循環させる循環ステップと、を含む液体循環方法。
【符号の説明】
【0087】
1 筐体
2 シート搬送部
3 画像形成部
4 搬送ユニット
5 操作表示部
6 記憶部
7 制御部
8 インク供給部
9 インク循環部
30 記録ヘッド
36 吐出部
71 下降処理部
72 循環処理部
73 検出処理部
74 設定処理部
81 サブインクタンク
84 昇降部
91 循環流路
92 第2ポンプ
93 温度センサー
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6