(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166649
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20241122BHJP
F28F 1/14 20060101ALI20241122BHJP
F28F 1/30 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
F28F1/14
F28F1/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082871
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 淳一
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA04
5F136BA24
5F136BA37
(57)【要約】
【課題】ヒートシンクの冷却能力を向上することを課題とする。
【解決手段】フィン部とベース板とを備え、フィン部は、コルゲートフィンからなり、ベース板は、同一のピッチで嵌合溝が形成されており、嵌合溝は、コルゲートフィンの基部を嵌め込むものであり、フィン部は、嵌合溝を飛ばして基部を嵌め込むことで、コルゲートフィンの密度を変えた領域を備えていることを特徴とするヒートシンク。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィン部とベース板とを備え、
フィン部は、コルゲートフィンからなり、
ベース板は、同一のピッチで嵌合溝が形成されており、
嵌合溝は、コルゲートフィンの基部を嵌め込むものであり、
フィン部は、嵌合溝を飛ばして基部を嵌め込むことで、コルゲートフィンの密度を変えた領域を備えていることを特徴とするヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器等の冷却に使用するヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器等の冷却には、空冷式のヒートシンクが用いられており、例えば、ベース板にコルゲートフィンを設置したヒートシンクが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、空冷式のヒートシンクにおいて、冷却能力を向上するためにフィンの配置が工夫されてきたが、被冷却物によっては、未だ、不十分な場合がある。
そこで、本発明は、ヒートシンクの冷却能力の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、本発明のヒートシンクは、フィン部とベース板とを備え、フィン部は、コルゲートフィンからなり、ベース板は、同一のピッチで嵌合溝が形成されており、嵌合溝は、コルゲートフィンの基部を嵌め込むものであり、フィン部は、嵌合溝を飛ばして基部を嵌め込むことで、コルゲートフィンの密度を変えた領域を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、フィン部が、コルゲートフィンの基部を、嵌合溝を飛ばして嵌め込むことで、コルゲートフィンの密度を変えた領域を備えている構成により、冷却能力が向上したヒートシンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態のヒートシンク1の図である。
【
図2】本発明の実施形態のヒートシンク1による冷却効果を示す図である。
【
図3】本発明の変形例1のヒートシンク1の図である。
【
図4】本発明の変形例2のヒートシンク1の図である。
【
図5】本発明の変形例3のヒートシンク1の図である。
【
図7】従来のヒートシンク1による冷却効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
本発明に係るヒートシンクについて、図面を参照しながら説明する。
以下の説明では、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
[全体構成]
図1は、本実施形態のヒートシンク1の図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は(a)のB-B線断面図、(f)は(a)のA-A線断面図である。
本実施形態のヒートシンク1は、ベース板2とフィン部3とからなる。ベース板2のフィン部3が設けられた側と反対側の面が、電気機器などの被冷却物が接触する面である。
ベース板2は、高い伝熱性を有するアルミニウム合金からなり押出成形により形成され、フィン部3は、高い伝熱性を有するアルミニウム合金からなる薄板を折り返して断面略矩形波形状に形成されるコルゲートフィンにより形成されている。なお、アルミニウム合金に限らず、銅合金などの熱伝導率が高いものであれば、どのようなものでもよい。
【0010】
本実施形態のヒートシンク1は、軸流ファン(図示していない)からの気流により強制空冷する冷却手段として構成されており、正面側が風上、背面側が風下である(
図1(b)参照)。
なお、強制空冷による冷却手段では、軸流ファンに限らず、他のどのような種類のファンを使用してもよい。また、被冷却物は、電気機器に限らず、電子機器、電気部品、電子部品のほか、燃焼による熱、摩擦による熱などを発生する構造を有するものなどのようなものであってもよい。
【0011】
[ベース板]
ベース板2は、平面視略矩形状の一方の面の全面に、同一のピッチpで、複数の嵌合溝21が、押出成形により形成されている。
嵌合溝21は、後述するフィン部3のコルゲートフィン31の基部311が嵌合するための溝である。
なお、嵌合溝21の長手方向を単に長手方向、長手方向に直交する方向を単に幅方向という。
【0012】
[フィン部]
本実施形態では、フィン部3は、風上側の風上領域3Uと風下側の風下領域3Dに分けられている。また、風上側の風上領域3Uと風下側の風下領域3Dの長手方向の長さが同じになるように構成されている。
風上領域3Uと風下側の風下領域3Dは、それぞれ、長尺の薄板を折り返しながら、一部を嵌合溝21に嵌め込んで設置されたコルゲートフィン31からなる。コルゲートフィン31の嵌合溝21に嵌め込まれた部分を基部311という。
フィン部3は、幅方向断面図で、略矩形波形状をなしている。
コルゲートフィン31は、風上領域3Uでは、嵌合溝21に一つおきに嵌合されており、風下領域3Dでは、すべての嵌合溝21に嵌合されている。すなわち、風上領域3Uでは、嵌合溝21を飛ばして基部311を嵌め込むことで、すべての嵌合溝21に基部311を嵌め込んだ風下領域3Dとは、コルゲートフィン31の設置密度を変えて、設置密度を小さくした構成になっている。
このように、すべての嵌合溝21に基部311を嵌め込んだ領域である風下領域3Dと、嵌合溝21を飛ばして基部311を嵌め込んだ領域である風上領域3Uを、嵌合溝21の長手方向に並べて配置している。
なお、ベース板2の長手方向の長さは、被冷却物の大きさや発熱量に合わせて任意の長さにすることができる。また、風上領域3Uと風下領域3Dの長さも、それぞれ、被冷却物の大きさや発熱量に合わせて任意の長さにすることができ、さらに、風上領域3Uと風下領域3Dの長さは異なっていてもよい。
【0013】
この構成により、風上領域3Uのコルゲートフィン31の総面積は、風下領域3Dのコルゲートフィン31の総面積よりも小さいため、フィン部3自体の放熱能力(冷却能力)は、風上領域3Uの方が風下領域3Dよりも低くなる。
しかし、風上領域3Uでは、温度の低い空気が供給されるのに対して、風下領域3Dでは、風上領域3Uで温度が高くなった空気が供給されることにより、それぞれ、風上領域3Uの低い放熱能力と、風下領域3Dの高い放熱能力と組み合わせると、風上領域3Uと風下領域3Dでほぼ同一の冷却効果が奏されることになる。
この冷却効果の一例を
図2に示す。本例では、ヒートシンク1に接触して、長手方向に3つの電気機器が配列されている。この
図2から、3つの電気機器がほぼ均等な温度になっており、均熱化されていることがわかる。
【0014】
これに対して、
図6に示す従来のヒートシンク1では、風上領域3Uと風下領域3Dでのコルゲートフィン31の設置密度が同じで、放熱能力(冷却能力)も同じである。しかし、風上領域3Uでは、温度の低い空気が供給されるのに対して、風下領域3Dでは、風上領域3Uで温度が高くなった空気が供給されることにより、風上領域3Uでの冷却効果は、風下領域3Dでの冷却効果よりも大きくなり、風上領域3Uと風下領域3Dで温度差が大きくなる。
【0015】
この冷却効果の一例を
図7に示す。本例でも、ヒートシンク1に接触して、長手方向に3つの電気機器が配列されている。この
図7から、3つの電気機器のうち、風上側の電気機器の温度が最も低く、風下側の電気機器の温度が最も高く、中間の電気機器の温度がこれらの中間であり、3つの電気機器の温度が大きく異なっていることがわかる。このように、従来のヒートシンク1では、3つの電気機器が均等な温度になっておらず、均熱化されていないことがわかる。
図2と
図7を比較すると、本実施形態のヒートシンク1では、従来のヒートシンク1より、3つの電気機器が均等な温度になるとともに、3つの電気機器の最大の温度も、本実施形態のヒートシンク1の方が、従来のヒートシンク1より低くなることがわかる。
【0016】
本実施形態のヒートシンク1と従来のヒートシンク1を対比する。
風上領域3Uでのコルゲートフィン31の設置密度は、本実施形態のヒートシンク1の方が従来のヒートシンク1より小さい。そのため、本実施形態のヒートシンク1の方が放熱能力(冷却能力)も小さくなり、冷却効果も小さい。
そのため、風上領域3Uでの放熱量は、本実施形態のヒートシンク1の方が従来のヒートシンク1よりも小さくなるため、風下領域3Dに流入する空気の温度は、本実施形態のヒートシンク1の方が従来のヒートシンク1よりも低くなる。
すると、本実施形態のヒートシンク1と従来のヒートシンク1で、風下領域3Dのコルゲートフィン31の設置密度が同じでも、冷却効果は、本実施形態のヒートシンク1の方が従来のヒートシンク1より大きくなる。
従来のヒートシンク1では、風下領域3Dの冷却効果が風上領域3Uの冷却効果より小さく、風下領域3Dの温度が風上領域3Uの温度より高くなっていたのに対して、本実施形態のヒートシンク1では、従来のヒートシンク1より、風上領域3Uの冷却効果が小さくなり、風下領域3Dの冷却効果が大きくなった結果、風上領域3Uと風下領域3Dの冷却効果がほぼ同じになり、風上領域3Uの温度と風下領域3Dの温度がほぼ均等になる。
【0017】
本実施形態では、風下領域3Dでは、すべての嵌合溝21に基部311を嵌めこむのに対して、風上領域3Uでは、嵌合溝21を1つ飛ばして基部311を嵌め込むだけで、コルゲートフィン31の設置密度を変えた領域を簡単に製造することができる。
また、フィン部3は、領域毎に、必要な設置密度でコルゲートフィン31を設置することにより形成でき、無駄な材料を使うことがないから、ヒートシンク1を軽量化できるとともに、低コストで製造することができる。さらに、少ない材料で、効率の良い冷却を行うことができる。
【0018】
[変形例1]
図3は、本発明の変形例1のヒートシンク1の図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は正面図、(d)は右側面図である。
本変形例1では、実施形態のベース板2よりも、長手方向の長さが長いベース板2を使用しており、フィン部3を、風上領域3U、中央領域3C、風下領域3Dの3つに分けている。
コルゲートフィン31は、風上領域3Uと中央領域3Cでは、嵌合溝21に一つおきに嵌合されており、風下領域3Dでは、すべての嵌合溝21に嵌合されている。すなわち、風上領域3Uと中央領域3Cでは、嵌合溝21を飛ばして基部311を嵌め込むことで、すべての嵌合溝21に基部311を嵌め込んだ風下領域3Dとは、コルゲートフィン31の設置密度を変えて、設置密度を小さくした構成になっている。
このように、すべての嵌合溝21に基部311を嵌め込んだ領域である風下領域3Dと、嵌合溝21を飛ばして基部311を嵌め込んだ領域である中央領域3Cと風上領域3Uを、嵌合溝21の長手方向に並べて配置している。
【0019】
この構成により、風上領域3Uと中央領域3Cのコルゲートフィン31の総面積は、それぞれ、風下領域3Dのコルゲートフィン31の総面積よりも小さいため、フィン部3自体の放熱能力(冷却能力)は、風上領域3Uと中央領域3Cの方が風下領域3Dよりも低くなる。
しかし、風上領域3Uと中央領域3Cでは、温度の低い空気が供給されるのに対して、風下領域3Dでは、風上領域3Uと中央領域3Cで温度が高くなった空気が供給されることにより、それぞれ、風上領域3Uと中央領域3Cの低い放熱能力と、風下領域3Dの高い放熱能力と組み合わせると、風上領域3Uと中央領域3Cと風下領域3Dでほぼ同一の冷却効果が奏されることになる。
【0020】
実施形態と同様、本変形例1でも、風上領域3Uのコルゲートフィン31の設置密度が小さいため、風上領域3Uの冷却効果が小さくなり、中央領域3Cと風下領域3Dの冷却効果が大きくなった結果、風上領域3Uと中央領域3Cと風下領域3Dの冷却効果がほぼ同じになり、風上領域3Uの温度と中央領域3Cと風下領域3Dの温度がほぼ均等になり、均熱化される。
また、このように、長いベース板2を使用するヒートシンク1の製造においても、短いベース板2を使用するヒートシンク1の製造と共通の(同じ幅の)長尺の薄板を用いて製造することができるから、コストを低減することができる。
【0021】
[変形例2]
図4は、本発明の変形例2のヒートシンク1の図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は(a)のA-A線断面図である。
変形例1では、風上領域3Uと中央領域3Cでは、ともに、コルゲートフィン31が嵌合溝21に一つおきに嵌合されているが、風上領域3Uと中央領域3Cで、コルゲートフィン31の設置密度を変えてもよい。
本変形例2では、コルゲートフィン31は、風上領域3Uでは、嵌合溝21に二つおきに嵌合されており(幅方向中央部分を除く)、中央領域3Cでは、嵌合溝21に一つおきに嵌合されており、風下領域3Dでは、すべての嵌合溝21に嵌合されている。すなわち、風上領域3Uでは、嵌合溝21を二つ飛ばして(幅方向中央部分を除く)基部311を嵌め込むことで、嵌合溝21を一つ飛ばして基部311を嵌め込んだ中央領域3Cとは、また、中央領域3Cでは、嵌合溝21を一つ飛ばして基部311を嵌め込むことで、すべての嵌合溝21に基部311を嵌め込んだ風下領域3Dとは、コルゲートフィン31の設置密度を変えて、設置密度を小さくした構成になっている。
このように、すべての嵌合溝21に基部311を嵌め込んだ領域である風下領域3Dと、嵌合溝21を一つ飛ばして基部311を嵌め込んだ領域である中央領域3Cと、嵌合溝21を二つ飛ばして(幅方向中央部分を除く)基部311を嵌め込んだ領域である風上領域3Uとを、嵌合溝21の長手方向に並べて配置している。
【0022】
この構成により、風上領域3Uのコルゲートフィン31の総面積は、中央領域3Cのコルゲートフィン31の総面積よりも小さく、中央領域3Cのコルゲートフィン31の総面積は、風下領域3Dのコルゲートフィン31の総面積よりも小さいため、フィン部3自体の放熱能力(冷却能力)は、風上領域3Uの方が中央領域3Cよりも低く、中央領域3Cの方が風下領域3Dよりも低くなる。
しかし、風上領域3Uでは、温度の低い空気が供給されるのに対して、中央領域3Cでは、風上領域3Uで温度が少し高くなった空気が供給され、風下領域3Dでは、風上領域3Uと中央領域3Cで温度が高くなった空気が供給されることにより、それぞれ、風上領域3Uの低い放熱能力と、中央領域3Cの中程度の放熱能力と、風下領域3Dの高い放熱能力と組み合わせると、風上領域3Uと中央領域3Cと風下領域3Dでほぼ同一の冷却効果が奏されることになる。
【0023】
本変形例2では、コルゲートフィン31の設置密度が、風上領域3Uで小さく、中央領域3Cで中程度、風下領域3Dで大きいため、風上領域3Uの冷却効果が小さくなり、中央領域3Cの冷却効果が変わらず、風下領域3Dの冷却効果が大きくなった結果、風上領域3Uと中央領域3Cと風下領域3Dの冷却効果がほぼ同じになり、風上領域3Uの温度と中央領域3Cと風下領域3Dの温度がほぼ均等になり、均熱化される。
【0024】
[変形例3]
図5は、本発明の変形例3のヒートシンク1の図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は(a)のB-B線断面図、(f)は(a)のA-A線断面図である。
実施形態、変形例1では、フィン部3は、幅方向には、均一の設置密度で、コルゲートフィン31を嵌合溝21に嵌め込んだものとなっている。
しかし、フィン部3の幅方向にも、設置密度を変えてもよい。
本変形例3では、実施形態と同様、フィン部3を、風上領域3Uと風下領域3Dの2つに分けたヒートシンク1において、風上領域3Uを幅方向に設置密度を変えた領域として形成している。
幅方向の両端と中央の領域では、隣接する嵌合溝21にコルゲートフィン31の基部311を嵌め込んでいるが、その他の領域では、嵌合溝21を1つ飛ばして基部311を嵌め込んでいる。すなわち、幅方向の両端と中央の領域では、すべての嵌合溝21に基部311を嵌め込んでいるのに対して、その他の領域では、嵌合溝21を飛ばして基部311を嵌め込むことで、コルゲートフィン31の設置密度を変えて、設置密度を小さくした構成になっている。
このように、すべての嵌合溝21に基部311を嵌め込んだ領域である幅方向の両端と中央の領域と、嵌合溝21を飛ばして基部311を嵌め込んだ領域であるその他の領域を、嵌合溝21の幅方向に並べて配置している。
【0025】
これは、風上領域3Uであっても、幅方向の両端の領域では、軸流ファンの外縁に対応しており、ファンからの風が弱く冷却されにくく、また、幅方向の中央の領域でも、軸流ファンの回転軸に対応する箇所で、やはりファンからの風が弱く冷却されにくい。そこで、それぞれの領域で、設置密度を高くするため、隣接する嵌合溝21にコルゲートフィン31の基部311を嵌め込んでいる。
風下領域3Dでは、幅方向全域で、すべての嵌合溝21に、基部311を嵌合している。
特許文献1(特に、[0076]、
図7)に記載されるように、幅方向で設置密度を変える際に、幅方向で嵌合溝自体のピッチを変えたベース板を別途成形する必要があった。しかし、変形例3では、嵌合溝21が同一のピッチpで形成されたベース板2を使用して、コルゲートフィン31の基部311を嵌め込む嵌合溝21を、幅方向で部分的に飛ばしていくだけで製造することができ、製造コストを下げることができる。
【0026】
以上のように、実施形態、変形例1、変形例2、変形例3で示すようなヒートシンク1では、次のような効果を奏し得る。
同一のピッチpで嵌合溝21が形成されたベース板2に、コルゲートフィン31が設置されたヒートシンク1において、嵌合溝21を飛ばして基部311を嵌め込むことで、コルゲートフィン31の設置密度を変えた領域を備えることにより、各領域において、被冷却物の大きさや発熱量に応じた冷却能力を実現することができる。このため、フィン部3は、領域毎に、必要な設置密度でコルゲートフィン31を設置することにより形成でき、無駄な材料を使うことがなく、ヒートシンク1の軽量化や低コスト化を実現できる。さらに、少ない材料で、効率の良い冷却を行うことができる。
【0027】
また、実施形態、変形例1、変形例2、変形例3では、いずれも、嵌合溝21が同一のピッチpで形成された、1種類のベース板2を使用している。
このように、複数の異なるヒートシンク1を1種類のベース板2を使用して、製造することができる。このため、1種類のベース板2で、異なる複数種類のヒートシンク1を製造することができるから、異なる複数種類のヒートシンク1を製造する際の、製造コストを下げることができる。
なお、嵌合溝21のピッチpが異なる複数種類のベース板2を用意することもできる。この場合でも、ピッチpが異なるベース板2で、それぞれ、異なる複数種類のヒートシンク1を製造することができるから、少ない種類のベース板2で、多くの種類のヒートシンク1を製造することができ、製造コストを下げることができる。
【0028】
以上、本発明に係る実施形態及び変形例を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態及び変形例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の実施形態及び変形例は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ヒートシンク
2 ベース板
21 嵌合溝
3 フィン部
31 コルゲートフィン
311 基部
3U 風上領域
3C 中央領域
3D 風下領域
p ピッチ